平成23年2月定例会 第20回岩手県議会定例会 会議録

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〇38番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
 議案第82号、83号に反対の討論を行います。
 この二つの議案は、津付ダム建設橋梁工事とトンネル築造工事の請負契約に関し議決を求めるものであります。
 津付ダム建設事業は、できるだけダムに頼らない治水対策を求める国の検証対象ダムとなり、11月15日に大規模事業評価専門委員会に諮問されたものであります。ところが、津付ダム建設橋梁工事とトンネル築造工事の入札は、再検証、再評価の審議が行われているさなかである12月2日と3日に行われました。本来、再検証、再評価の結果を待って行われるべき事業であります。
 津付ダム建設事業は、県の再評価案でも、ダムプラス河川改修が総事業費165億円、河川改修事業費が93億円となっており、ダム建設のほうが72億円も過大となるものであります。また、河川改修を行った場合、付替道路の工事を継続する費用は26億円と試算されており、道路事業費を加えても、ダム建設のほうが46億円過大となるものであります。深刻な県財政の危機的状況のもとで、新たな無駄遣いを行うべきではありません。
 また、ダム建設による自然環境の破壊と河川の生態系の破壊も重大です。大規模事業評価専門委員会が県にまとめさせた気仙川治水対策比較表においても、ダム建設が、環境、生物に与える影響は甚大なものがあると明記をされています。
 動物への影響では、哺乳類で6種、鳥類で26種、爬虫類で2種、両生類で2種、魚類で3種、昆虫類で14種、底生動物で4種の重要種が確認されており、クマタカの環境保全措置やその他の環境配慮が必要と指摘されています。植物でも、重要種は28種の環境保全措置、環境配慮事項が必要となっています。
 自然環境と気仙川、大股川の生態系は、地域住民の共有の財産であります。ところが、今回の検証に当たって、環境への影響についてはまともな検討も評価もされませんでした。また、地域住民には説明会も開催されず、一部流域住民だけの説明会に限定したことも問題であります。
 津付ダム建設事業の再評価、再検証に対する態度は、達増知事の姿勢を問う重大な課題でしたが、みずから検証する立場がなく、無駄なダム事業を見直す絶好の機会を放棄し、県財政の危機的な状況のもとで、さらなる無駄遣いを進める姿勢を示したものであります。
 私の一般質問でも紹介したように、熊本県の蒲島知事は、2008年9月に、本体工事だけを残した国の直轄ダムである川辺川ダムの建設中止を決断しました。その理由は、球磨川そのものがかけがえのない財産であり、守るべき宝なのではないかと思い至ったというものであります。大阪府の橋下知事も、最近、本体工事が始まっていた槙尾川ダムの建設中止を決断しました。その理由は、専門家を入れた委員会での検討の結果、河川改修のほうが費用が少なく、環境への影響が小さいことが明らかになったことでありました。
 今こそ、ダムに頼らない治水対策へ、流域全体で受けとめる治水対策へ転換を図るべきであります。津付ダムの建設は中止し、見直すべきであります。
 以上申し上げ、議案第82号、83号に対する反対討論といたします。御清聴ありがとうございました。
〇議長(佐々木一榮君) 以上で通告による討論は終わりました。
 これをもって討論を終結いたします。
 これより、議案第82号及び議案第83号を一括して採決いたします。
 各案件は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(佐々木一榮君) 起立多数であります。よって、議案第82号及び議案第83号は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
 次に、議案第56号から議案第81号まで、議案第84号及び議案第85号を一括して採決いたします。
 各案件は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(佐々木一榮君) 起立全員であります。よって、議案第56号から議案第81号まで、議案第84号及び議案第85号は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
〇議長(佐々木一榮君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後1時54分 散 会

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