平成23年2月定例会 第20回岩手県議会定例会 会議録

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〇30番(佐々木順一君) 民主党・ゆうあいクラブの佐々木順一でございます。
 最初に、本県の財政状況等についてお伺いいたします。
 知事は、平成23年度当初予算の編成に当たり、知事選前という状況を勘案し、義務的経費や継続事業を中心とした骨格予算として編成されましたが、岩手県の経済、雇用の現状、あるいは医師不足を初めとする地域社会の現状など、県民の生活は依然として厳しい状況にあります。6、816億円余という県の来年度骨格当初予算案といえども、県民生活に支障が生じることがあってはならないことであり、知事も現下の経済、雇用情勢等を踏まえ、早期に開始することが必要な事業については予算計上したと述べられておりますが、県の財政状況も依然として厳しい状況にあります。すなわち、借金である県債頼みの財政からはなかなか脱却することができず、県債残高の見込みは1兆4、640億円と今年度とほぼ横ばい状態にあり、過去最高額に上る見通しにあります。
 財務省が公表した資料によると、国、地方の実質的な長期債務残高は、平成23年度末に約890兆円と依然としてふえ続ける見込みにあります。しかしながら、現在の県民生活の実態は、地域の人々の置かれた苦しい状況や懸命に頑張る姿に接し、また、その声を聞くにつけ、県民の生活を犠牲にしてまで財政再建を過度に優先させなければならない状況にあるとは、とても思えない実情にあります。しかし、将来の県民負担をふやさないために、極めて難しいかじ取りと判断が求められることもまた確かです。こうした綱渡りのような非常に厳しい状況で知事は予算編成を続けてこられたものと拝察いたしますが、県経済あるいは県民生活について、本県を取り巻く状況や課題をどのようにとらえているのか、まずはその認識についてお伺いをいたします。
 また、県の財政支援を引き続き継続しなければならない分野、あるいはさらに優先し力を入れるべき分野、領域等についてどのようにとらえているのか、あわせてお伺いいたします。
 引き続き、財政問題についてお伺いいたしますが、平成23年度当初予算や本日追加提案された平成22年度2月補正予算において、県民生活、県経済の状況などへの配慮は具体的にどのように反映されたのでしょうか。
 また、政府の平成22年度予算編成における公共事業の大幅削減は明年度においても継続されておりますが、県予算における公共事業を含めた建設事業についてはどのような考え方に立って計上されたのでしょうか。さらには、政府の円高、デフレ対策のための緊急総合経済対策で措置された自由度の高い地域活性化交付金、すなわち、きめ細かな交付金及び住民生活に光を注ぐ交付金についてはどのように活用する考えなのか、御見解をお示し願います。
 平成23年度当初予算において、県税収入は2年ぶりに1、000億円台を回復しますが、いまだ低水準にとどまっており、県債残高も減少傾向に転じることは困難な状況にあります。ついては、こうした厳しい財政状況とその要因をどのようにとらえているのか、お伺いいたします。
 また、県民生活が直面するさまざまな課題に即応するため、知事は、厳しい財政状況にありながらも、将来の県民負担を可能な限り最小限にとどめ置くため、財政運営のぎりぎりの判断で毎年度の予算編成をされてこられたものと拝察いたしますが、過去3回の当初予算編成、累次の経済対策を通じどのような所管をお持ちなのか、お伺いいたします。
 平成23年度当初予算6、816億円余のうち、地方交付税に臨時財政対策債を加えた実質的な地方交付税は合計で2、778億円余りと、歳入の4割以上を占めております。
 東京など大都市と比較し経済規模で格差のある岩手県は、地方財政制度により支えられている面が大きいとも言えますが、逆に言えば、こうした国の制度や地方財政対策の内容により、県予算が毎年度大きく左右されることは事実であり、地方の安定した財政基盤の確立が急務であることは、論をまたないところであります。
 県債には、建設事業の財源となるいわゆる建設国債に当たる県債と、臨時財政対策債などの赤字国債に当たる赤字地方債がありますが、建設事業の財源となる県債は、県のみの判断により発行額を決定することができますけれども、臨時財政対策債については、いわば国から一方的に押しつけられるものであることから、国の毎年度の政策決定の影響を強く受けることは否定できない事実であります。県の政策決定の当否を論ずる際には、一般的にはプライマリーバランスや県債残高が基礎的判断材料となっておりますが、これのみで財政を論ずるとなると、結論は緊縮財政政策以外の選択肢はないことになります。県民の生活が第一という本質を見誤ることにもなりかねません。財政運営の実質を県民に理解してもらうためには、プライマリーバランスや県債発行額以外の指標についても、その数値や意義をわかりやすく提示する必要があると思います。問題は、さまざまな財政指標を通じ、県民が、財政が悪化の一途をたどっているのか、危険な水準にあるのか、あるいは回復の兆しが期待できるのかなどについて、正しい認識を持つことが何よりも大事なことではないでしょうか。これらについて御見解をお示し願います。
 さらに、こうした財政指標以外にも、県政の主要な目的についてのさまざまな指標について、県は表面上や形式的な数値の公表にとどまっている感があります。国との乖離幅の動きなど、指標そのものやその推移から読みとれる背景、意味もあわせて、県政の取り組みの成果などをわかりやすく県民に示すべきと考えます。県民所得や医師確保などの代表的な指標を挙げて、具体的に御披瀝願います。
 次に、いわゆる一括交付金と地方の自由度の拡大についてお伺いいたします。
 以前から、限られた行財政資源を、制度の縦割りを超えて、住民に身近な組織が必要性を判断して柔軟に事業や使途を決められる仕組みづくりが指摘されてまいりましたが、政府では、いわゆる一括交付金として地域自主戦略交付金を創設、とりあえず来年度は都道府県に対し5、120億円余が計上され、社会資本整備総合交付金など、都道府県分の投資補助金の一部が新制度へ移行されることとなっております。ついては、地域自主戦略交付金、いわゆる一括交付金制度についてその意義をどのようにとらえているのか、お伺いいたします。
 引き続き、一括交付金についてお伺いいたします。
 現段階では、制度の詳細は検討中とのことでありますが、本県の平成23年度当初予算では、この地域自主戦略交付金をどのような考えに基づき計上されたのでしょうか。また、制度の詳細が確定された段階でどう対応されるのか、お伺いをいたします。
 縦割りの補助制度の壁がなくなり、地方が自由な意思で交付金の使い方を決定することが可能となれば、県としての政策の優先度や部局横断的な総合判断が、より重要性を増すものと思っております。ついては、政策立案機能の強化や県庁内における担当部署の重要性が増してくると思いますが、このことについての所感をお伺いいたします。
 次に、地域振興の諸課題について何点かお伺いいたします。
 初めに、県北・沿岸振興におけるこれまでのジオパークの取り組みと今後の方向性についてお伺いいたしますが、県では、本県の沿岸部を対象に、そのすぐれた地形等を活用するジオパークの取り組みを進めているとお伺いしております。岩手の文化遺産を世界に発信する好機として、登録の期待が高まる平泉の世界遺産とあわせて、岩手の沿岸を対象に、世界的にも評価の高い地形や景観、そこから派生する地域資源を世界に発信するため、日本ジオパークさらには世界ジオパーク認定に向けた取り組みを全力で進めていただきたいと希望するものでありますが、ジオパークの取り組みにより、沿岸振興の観点から、どのような効果が期待できるのか。また、ジオパーク認定に向けた今後の方向性や具体のスケジュールをお示し願います。
 次に、過疎対策の取り組みについてお伺いいたします。
 過疎法が改正され、各過疎市町村では過疎計画を策定したところでありますが、この過疎計画の着実な推進により、自立的な地域社会の構築を目指すことが重要であると考えます。また、過疎地域の自立促進のため、ソフト事業が過疎債の起債対象となりましたが、この事業推進に当たっては、各市町村の創意工夫が求められるところであります。この市町村の過疎計画においては、自立的な地域社会構築に向け、地域資源を活用し、地域の特色、個性を生かしたソフト事業などが実施されると思いますが、どのような取り組みがなされるのでしょうか。また、県は、そのような市町村の取り組みをどのように支援されているのか、お伺いいたします。
 次に、本県の社会資本整備の中で極めて重要で県民の足ともなる交通施策に関係してお伺いいたします。
 昨年12月に東北新幹線が全線開通し、本県を含む東北の経済、文化の発展に大きな役割を果たすものと期待されております。
 一方、新幹線開業の陰で経営が分離された並行在来線については、地域の通勤、通学などを支える生活交通として重要な役割を担っております。本県のIGRも、平成14年12月の東北新幹線八戸開業と同時に、地元出資による第三セクター鉄道として開業し、これまで県民の足として重要な役割を果たしてまいりましたが、開業以来、相当量の走行実態のあるJR貨物から、本来支払われるべき線路使用料を得られない状況が続き、その経営が圧迫されてきたところであります。これは、JR貨物の線路使用料を支援する国による調整金制度の不備によるものであり、まさに地方に対する不条理な扱いが開業以来続いてきたことによるものであります。
 この間、県におかれては、知事を先頭に、適正な線路使用料の支払いが行われるよう、調整金制度の見直しを国に強く要請したところでありますが、昨年12月、鉄道・運輸機構のいわゆる利益剰余金を活用して、ほぼ本県が主張してきたとおりの見直しが行われることになりました。ついては、知事は、今回の見直しについてどのように評価されているのか、また、今回の見直し措置がIGRの経営にどのような影響を及ぼすと考えておられるのか、お伺いいたします。
 加えて、JRと比較してIGRの運賃は高額となっております。ついては、今回の措置が運賃にどのように影響を及ぼすのか、あわせてお伺いをいたします。
 次に、情報通信関係について伺います。
 現在、情報通信基盤を活用して通話やメール、情報通信や情報交換ができるパソコンが普及し、最近では電子書籍を閲覧できる機能等を搭載した多機能携帯電話も出てきており、それらを県民がそれぞれのニーズに応じて利活用し、結果として、時間あるいは距離の壁や地理的条件を克服してきております。今やICTは、個人や企業、さらには行政におけるサービス提供の手段となるなど、現在では、社会生活を営む上で欠くことのできないツールとなっていると言っても過言ではないと思います。これまで、県は、ブロードバンドゼロ地域の解消に取り組んできたものと承知しておりますが、整備結果はどうなったのでしょうか。
 また、この整備された基盤が各分野で十二分に活用され、地域が活性化し元気を取り戻せるよう、ICTの利活用促進に軸足を移して重点的に取り組んでいくとしておりましたが、今後どのように進めていかれるのか、あわせてお伺いをいたします。
 次に、本県農業の将来像について順次お伺いをいたします。
 国民的議論も全くないまま、たった1人の突然のTPP交渉参加の是非の表明により翻弄され続ける国内第1次産業界でありますが、現在の国の政策や農業構造のまま自由化に突き進めば、本県の基幹産業である農林水産、畜産業は壊滅的打撃を受け、再生不可能な事態に陥ることは論をまたないところであります。
 本来、TPP交渉参加の是非はハイレベルの政治問題であることから、国政選挙において国民の信を問うべき重大な問題であるにもかかわらず、統一された開示情報などが全く示されないまま不安を増大させ、貴重な時間がいたずらに空費されていることは極めて遺憾なことであります。食と農林水、畜産業そして地域経済が犠牲となるようなTPP交渉の参加には反対することを、この際、明確に表明するものであります。
 さて、世界の食料事情は目まぐるしく変化しております。昨年末には、世界の主要食料の価格指数が、食料危機と叫ばれた2008年6月を上回り、1990年の統計開始以来、最高の値を記録しました。これは、ロシアにおける不作と輸出規制や中国、インド等の新興国の需要増、さらには、先物市場への投機資金の流入により、小麦等の国際価格が急騰したことが原因とされております。
 また、国連によれば、2050年には九十数億人に達するとされている世界的な人口増加や地球温暖化による干ばつや洪水、さらには病害虫の被害拡大などが予測されており、世界的な食料不足への懸念は広がるばかりであります。食料は、石油や希少金属と同様に戦略物資であります。6割もの食料を海外に依存している我が国において、輸出国の不作や輸出規制、地球温暖化による農産物生産リスクの上昇などは我が国の安定的な食料調達を困難にし、まさに国家の危機とも言える事態を招きかねません。このような事態に対処していくためには、危険水域に達していると言われている我が国、ひいては本県の食料生産力を早急に高めていく必要があると考えますが、知事は、こうした農業を取り巻く大きな変化やうねりの中で、本県農業の将来像をどのように描いているのか、お伺いをいたします。
   〔副議長退席、議長着席〕
 また、国際化に対応し、以前から農業経営の規模拡大の必要性が叫ばれてまいりましたが、アメリカの1経営体当たりの規模は日本の約180倍、オーストラリアに至っては約3、000倍とも言われております。規模拡大のみでは絶対的限界があります。ついては、本県農業を持続させるため、今後どのような農業経営体を育成しようとしているのか、お伺いをいたします。
 次に、農業の再構築に向けた方策についてお伺いをいたします。
 本県は全国屈指の農業県でありますが、農業産出額は、昭和60年3、595億円をピークに減少傾向に転じ、平成21年には2、395億円と、ピーク時から1、200億円も生産が減少しております。今後、就業人口の減少、高齢化がさらに進み、貿易自由化の波が押し寄せるという内憂外患を抱え、まさに本県農業はさらなる衰退の危機に直面しております。産出額減少の原因は、価格下落や生産調整による米の産出額の減少分を他の作目で補えていないことにあります。農業産出額の減少に歯どめをかけ増加に転じるためには、野菜などの園芸作物を今まで以上に奨励すべきものと考えるものであります。既に、園芸作物のほとんどは輸入自由化されておりますが、そのような中にありながらも、創意工夫によって所得向上を図り、安定的な経営を展開している農業者が県内にも数多く存在しております。
 かつて、本県の野菜は、長野県と肩を並べる夏秋期の産地として君臨してきましたが、今日では算出額は東北最下位に甘んじております。ついては、こうした状況を打破し、本県農業を再構築していくために、県として園芸産地の再生と拡大にどのように取り組んでいくのか、お考えをお示し願います。
 次に、農業再構築に向けた県民運動についてお尋ねいたします。
 昨年末に、農林業センサスの概数値が公表されました。本県の農業就業人口はこの5年間で20.9%も減少しており、調査開始以来、最大の減少率となっております。新規就農者は、県や関係機関、団体の取り組みでわずかながら増加傾向にあるものの、依然として絶対数が少なく、減少に歯どめをかける状況にはありません。今後も、こうした傾向はさらに加速していくものと考えられます。
 私は、こうした危機的な状況を打破し、農業産出額や農業所得の減少に歯どめをかけ、農業の再生と体質の強化を図っていくためには、担い手の確保、育成を基本に、個別経営体や集落営農組織などがみずから戦略を立て、その実践活動を展開していくことが重要であると思っております。こうしたときにこそ、農業者を初め関係機関、団体が一体となって力を結集し、実践活動を促進するための県民運動を展開し、それぞれの地域の資源の積極活用や営農の組織化、多角化、6次産業化などのチャレンジ活動を誘導していくべきと考えますが、県はこの点についてどのように考えておられるのか、お伺いをいたします。
 次に、観光振興についてお伺いいたします。
 少子高齢化が急速に進み定住人口が減少し、地域社会の活力が衰退しつつある中、交流人口を飛躍的に拡大させ、地域社会への活性化を実現するためには、観光振興にさらに積極的に取り組む必要があります。
 観光庁の試算によりますと、定住人口1人の減少による消費の減少額は年間124万円にも及び、この減少分を観光客入り込みで賄おうとした場合、外国人旅行者なら7人、国内の宿泊旅行者なら24人、日帰り旅行者なら79人もの数を確保する必要があると指摘しております。
 一方、本県にとっては、ことしは県民の悲願である平泉の文化遺産の世界遺産登録が実現するものと確信しているところでありますが、この世界遺産登録という絶好の機会や、本年7月に予定されている花巻空港の平行誘導路の使用供用開始、さらには昨年12月の東北新幹線青森開業などにより、首都圏を初め、海外から本県への移動の利便性が向上することなどから、平泉を訪れる国内外の観光客の大幅な増加が大いに期待されるところであります。このチャンスを生かし県内各地域の活性化につなげていくためには、平泉の文化遺産を核としながら、三陸の景観や海の幸あるいは県内に広く点在している温泉、県北地域の伝統ある郷土食などの県内各地の魅力ある観光素材をつなぎ合わせ、いわば点から線、線から面へと、平泉への誘客効果を県内全域に波及させていく取り組みが何よりも重要と考えますが、県は、すそ野の広い総合産業と言われている観光産業政策をどのように展開されようとしているのか、お伺いいたします。
 最後に、いわて花巻空港の利用促進についてお伺いをいたします。
 いわて花巻空港は、県内唯一の空の玄関口として、本県の産業振興を初め、観光客の誘致等に大きく寄与してきたところであります。しかしながら、最近の状況は、日本航空の経営再建に端を発したさまざまな影響を受け、路線の休止や縮小等により利用客の減少、さらには産業振興への影響など、多くの課題に直面しております。しかしながら、その一方において、ことしの前半に完成予定の平行誘導路や国際チャーター便に対応するチェックインカウンターの増設など、ハード面での整備が着々と進んでおり、加えて平泉の世界遺産登録への期待など、空港活用に向けては大きなチャンスを迎えております。
 このような空港のハード部分が順調に推移する中で、今日、空港利用の促進に向けて最も必要な事柄は、空港利用の頻度を高めるソフト的な部分、つまりは、路線復活や便数確保などに向けた強い交渉力や積極果敢なセールスの展開、さらには、利用客の増加に向けた航空会社や旅行会社との共同による企画の展示など、よりソフト面での強化であると考えるものでありますが、これまでの県の空港行政は、ハード整備が進む中で、残念ながらソフト部分の対応が少なからずおくれをとってきた感があります。空港整備がほぼ完成に向かいつつある今日、最優先でやるべきことは、路線の休止等への対応や国際線受け入れの強化という、まさに空港の利用頻度を高めることに力を注ぐべきであり、交渉やセールスへの集中的な取り組みなど、利用促進に向けた迅速、的確な対応が求められているものと考えます。
 県は、これまでも、企業誘致やポートセールス、県産品の販路拡大など、営業、セールス活動を純化させた組織体制の中で一定の実績を上げてきた経緯があります。ついては、こうした取り組みを大いに参考としながら、空港部門でも、今必要とされる交渉力を高め、マーケティングの視点からのセールス活動の展開など、集中的に利用促進、需要開拓に当たる専門の組織、例えば、副部長、総括課長クラスをヘッドとする専門チームを一定期間、しかも時限を区切って設置するなど、ソフト面での組織的強化を行うべきものと考えますが、いかがでしょうか。
 次に、名古屋路線の復活への取り組みについてお伺いいたします。
 この問題は、スピード感を持って早期に結果を出さなければならない課題であります。報道では、中部国際空港の反対により、現状では小牧空港─県営名古屋空港から飛ぶことは困難とのことでありますが、県は、これまで、地元愛知県とも連携して復活に向けて取り組まれてきたことは承知しております。しかしながら、名古屋便休止の確定以降時間もかなりたっており、このことは本県の産業振興、特にも自動車産業への影響はことのほか大きく、早急な路線復活が求められております。ついては、県は、路線復活に向けて、現在どのように交渉を進めておられるのか、また、復活に向けてどのように対応しようとしているのか、お伺いをいたします。
 あわせて、国際線の強化についてお伺いをいたします。
 空港のハード面での整備が進む中、また、平泉、世界遺産登録への期待の中、国際チャーター便の受け入れ増や国際便の定期化に向けては大きなチャンスを迎えており、今こそ、空港として強力な攻めの戦略で取り組むべき時期にあると思います。問題は、このチャンスをいかに生かし結果を出すかであり、特にも、東アジア諸国に対してのセールスの活動の強化、人脈づくり、官民一体、トップセールスを通じた効果のあるセールス活動が必要と考えますが、県としては、国際チャーター便の誘致、あるいは空港の国際化に向けてどういった戦略を持って需要を高めていくのか、今後の国際チャーター便の受け入れ見込みを含め、具体的取り組みについてお伺いをいたします。
 以上で一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 佐々木順一議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、本県を取り巻く状況や課題の認識についてでありますが、本県の経済、雇用環境は、海外経済の改善や国の各種の政策効果などを背景に、緩やかな持ち直しの動きが続いているものの、最近の円高基調、原油、原材料価格の上昇傾向などによって依然として厳しい状況にあり、引き続き、雇用創出や新規学卒者の就職支援に取り組むとともに、中長期的視点に立った足腰の強い経済基盤の構築を図ることが必要であります。また、本県の人口は、自然減に加え、若年者を中心とした社会減が続いており、少子高齢化が進行する中で、医師の不足や地域偏在の解消、子育て支援、高齢者が安心して生活できる福祉コミュニティづくりなどが課題となっています。
 本県の置かれたこのような状況を踏まえ、雇用の創出と就業の支援、医療を担う人材の養成確保を初めとした質の高い医療体制の整備など、県民の仕事と暮らしを守るための取り組みをしっかりと進めていく必要があります。これらに加え、中長期的視点に立って、すそ野が広く足腰の強い産業集積の促進や、地域の特性や資源を最大限に生かした産業の振興、安心して子供を産み育てられる環境の整備など、ゆたかさ、つながり、ひとの視点を重視しながら、希望郷いわての実現に向け、岩手の未来をつくる七つの政策を着実に推進していくことが必要と考えます。
 次に、予算における経済状況等への配慮についてでありますが、過去の骨格予算では、平成15年度当初予算が前年度比6.5%の減、平成19年度当初予算が前年度比7.9%の減であったのに対し、平成23年度当初予算は前年度比2.5%の減となり、減少幅を縮小させております。これは、県民の直面する諸課題に対応するため、雇用対策関係事業や医療、福祉関係事業などを、年度当初より必要な事業を展開するための事業費を予算計上した結果であります。
 また、本日、追加提案を行いました2月補正予算においても、経済対策予算として公共事業を追加するとともに、地域活性化交付金を活用したきめ細かなインフラ整備を行うなど、有効需要や地元中小企業者の受注機会の創出を図ることとしており、この2月補正予算と一体となって切れ目のない対応を行っていく考えであります。
 次に、本県の財政状況及びその課題についてでありますが、歳入面では、県経済の回復のおくれ等により県税収入が低い水準にとどまる中、国の地方財政対策の影響を強く受け、臨時財政対策債を多額に発行せざるを得ないなど、県債に依存した財政運営を余儀なくされているところであります。
 歳出面では、社会保障関係経費の増加や、過去の国の経済対策に呼応して発行した県債の償還が今後ピークを迎えることが見込まれるなど、義務的経費が増加し、政策的経費を圧迫する懸念があります。また、平成21年度、22年度と主要3基金への積み立てを行いましたが、その残高は326億円余と、過去の最高残高の2割程度の水準にとどまっています。
 今後、財政運営に支障が生じることのないよう、事務事業や管理経費の見直しを含め、より一層の行財政改革を推進するとともに、中長期的な見通しのもと、主要3基金の活用など、各年度における財源対策の検討を行いながら予算を編成する必要があると認識しております。
 次に、予算編成を通じての所感についてでありますが、地域で暮らす方々の豊かな生活を実現していくことが私に課せられた責務と考え、知事就任以来、岩手が置かれた現状に常に目を向けながら、何をなすべきかを県民とともに考え、県政運営を行ってまいりました。世界的な景気の後退にとどまらず、2度の大きな地震による災害とその風評被害、さらに世界遺産登録を目指していた平泉の文化遺産の登録延期と、本県は大きな逆風に見舞われる中でも、いわて希望創造プランやいわて県民計画を策定し、岩手の将来を見据えて具体的に取り組むべき課題や方策を明らかにしてまいりました。
 一方で、景気回復のおくれによる県税収入の減少や、過去大幅に削減された地方交付税の復元が一部にとどまる中、義務的経費が高い水準で推移するなど、県財政の厳しい状況も依然として続いております。
 このため、毎年度の予算編成に当たっては、県民の仕事と暮らしを守るために真に必要かつ有効な事業であるかなどの観点から、すべての事業を厳格に吟味するとともに、財源の充実についての国への提言を初めとして、あらゆる手法による歳入の確保や事務事業の見直しといった行財政改革、あるいは国の経済対策にて創設された各種の交付金を最大限活用し、政策的経費の財源を捻出するよう努めてまいりました。同時に、将来にわたり持続的な財政運営を行い、県民負担を過度に増加させることのないよう、ぎりぎりの財源対策を行ってきたところであり、管理可能な県債の縮減や主要3基金の残高の確保など、一定の財政規律を確保しながら、地域経済の下支え、雇用対策等の喫緊の課題への対応や、あるいは中長期的な視点から構造転換、体質強化につながる事業を進めることにより、将来の希望ある岩手づくりに向けて責任ある行財政運営ができたものと考えております。
 次に、財政運営等についてでありますが、近年、国税収入の減少等を背景として、地方交付税の振りかえとして発行を許可される臨時財政対策債が急増となっております。県債発行額やプライマリーバランスといった指標については、この影響を非常に強く受けることとなりました。
 財政運営に当たっては、県債発行額やプライマリーバランスのほか、国の政策決定により大きく左右される歳入項目の影響を排除した指標である実質公債費比率や将来負担比率を参考としています。このうち、県民の実質的な将来負担の状況を示す将来負担比率は、平成20年度決算312.4%、平成21年度決算305.9%となっており、県として管理可能な県債の縮減や主要3基金の残高の確保に努めた結果、平成22年度においてはさらに数ポイント改善する見込みであり、引き続き改善傾向を維持しております。
 将来負担比率の都道府県分の早期健全化基準は400%とされており、本県の比率はこの早期健全化のラインをかなり下回っている現状にあります。ただし、他団体と比較して相対的に高い水準にありますことから、今後もこうしたさまざまな財政指標を参考としつつ、県民の将来負担を過度に増加させることのないよう適切な財源対策を行いながら持続可能な財政運営を図り、県民に必要なサービスの提供を行っていくことが必要と認識しております。
 次に、取り組み成果のわかりやすい指標についてでありますが、いわて県民計画のアクションプランに盛り込んだ施策については、毎年度、政策評価によって目標数値の進捗を管理するとともに、県民ニーズ、社会経済情勢などを勘案しながら総合的な評価を行い、その結果を政策評価レポートとして公表しております。
 県民所得については、世界的な金融危機に端を発した経済、雇用情勢の悪化によって、平成21年度の1人当たり県民所得は速報値で221万9、000円と、対前年比2.1%の減少となりました。一方、1人当たり国民所得も対前年度比が3.5%減となっており、本県の落ち込み幅が我が国全体よりも小さかったことなどから、国民所得に対する県民所得の水準は83.4%と、前年度に比べ1.1ポイント上昇したところであります。
 本県の経済、雇用環境は依然として厳しい状況にあり、引き続き雇用の創出に取り組むとともに、足腰の強い経済基盤の構築を図ることが必要であります。
 また、地域医療については、医師や看護師等の地域医療を担う人材の養成、確保などに取り組んできており、これによって、人口10万人当たりの病院勤務医師数は、平成18年度と比較して平成20年度には112.3人から114.3人と2.0人増加しています。
 しかしながら、医師の地域偏在や特定診療科の医師不足など、地域医療体制は引き続き深刻な状況にあり、医師不足や地域偏在の解消に向けたさらなる取り組みが必要であります。今後とも、県政推進の成果を県民にわかりやすく情報提供していくよう努めていく必要があると考えております。
 次に、一括交付金制度の意義についてでありますが、国から地方へのひもつき補助金を廃止し、基本的に地方が自由に使える一括交付金にするという方針のもと、来年度政府予算案において地域自主戦略交付金が創設されたことは改革の一歩前進と評価しております。しかし、具体的な配分基準や交付額、制度の詳細設計等はいまだ明らかでない部分が多くなっており、県としては、地方の裁量や創意工夫が生かされる、真に自由度の高い制度となるよう、引き続き国に働きかけていきたい考えであります。
 次に、県の対応についての所感と意気込みについてでありますが、一括交付金の制度の拡大に伴いまして、県がみずからの知恵と創意工夫を生かしながら、県民のニーズに即した満足度の高い行政サービスを持続的に提供していくため、県の政策立案能力の向上がさらに求められています。
 このような認識に立ちまして、地域の現状をしっかり把握しながら、地域課題に迅速に対応していくため、政策地域部の総合的な政策の企画調整機能の発揮を図り、各部局や広域振興局の企画立案部門の連携をさらに進め、真に必要な政策の立案や効果的な政策決定過程の構築に取り組んでいくことが必要と考えております。
 次に、貨物線路使用料制度の見直しについての評価でありますが、IGRの貨物線路使用料問題は、開業以来の経営における最大の懸案事項であり、この解決が図られることは、IGRの持続的な経営を維持し、県民生活の足を確保する意味から大変大きな成果と考えております。
 この問題については、これまで関係する道県とも連携し、JRからの譲渡資産に係る資本費の対象経費化などを粘り強く主張してまいりました。このたび、長年の取り組みが実を結んだことは、県のみならず、関係市町村、関係者の一致協力した働きかけのたまものであり、各位の御努力に厚く感謝申し上げたいと思います。
 次に、本県農業の将来像についてでありますが、本県は、広大な大地や多彩な気象条件等の豊かな農業資源に恵まれ、先人から受け継いできた知恵とわざを最大限に生かしながら、日本の食を守る食料供給基地として発展してきました。本県の食料自給率は、平成20年のカロリーベースで106%、全国第6位、また、耕地面積は約15万4、000ヘクタール、全国第5位となっています。昨今、世界の食料需給に不安定な要素が増す中で、今後とも食料供給基地としての役割をしっかり果たしていくことが重要と考えます。
 こうした考えのもと、認定農業者等、地域農業の中心となる担い手に加え、新規就農者や農業参入企業が意欲的に経営を展開するとともに、小規模、兼業農家もそれぞれの経営志向に応じて集落営農に参画し、全国トップレベルの安全・安心で高品質な農産物を安定的に県内外に供給する、また、地域の多彩な資源を生かした農産加工や販売、農家レストランの展開など、生き生きと躍動している地域が県内各地に見られる、このような将来の農業の姿を描いているところであります。
 こうした姿を実現するため、経営管理能力やマーケティング能力にすぐれ、地域の土地基盤を有効に活用しながら高度な経営を展開する経営体を育成するとともに、人と人とのつながりの中で、地域資源の発掘と活用による6次産業化などに取り組む、先見性を持って地域を牽引する地域経営のリーダーの育成に努めていく必要があると考えます。
 次に、農業再構築に向けた県民運動についてでありますが、本県農業、農村は、担い手の減少や高齢化等の進行により生産構造が脆弱化し、地域力、産地力が低下している状況にあります。こうした状況に歯どめをかけ、希望に満ちた本県農業、農村を次代に継承していくことが必要です。
 一方、国においては、来年度から農業者戸別所得補償制度を本格実施するなど、今まさに農政の大転換期を迎えています。県としても、本県農業の再構築の好機ととらえ、地域の底力を結集した、新たな視点による担い手育成や産地づくりなどを進めていくことが重要と考えています。
 このため、関係機関、団体とも連携し、地域の合意形成のもと、担い手の確保、育成や産地形成、所得向上などの方向性を描いた将来ビジョンづくりを進めるとともに、ビジョンの実現に向けた新規作物の導入や農業の6次産業化等、地域資源を生かした実践活動を支援するなど、地域みずからが一歩前に踏み出す新たな運動を展開することとしています。
 さらに、地産地消運動等の取り組みを通じて、農業者のみならず、県民全体で岩手の食と農を支える県民運動に発展させ、生産者や消費者がその豊かさ、恵みを実感できる食と緑の創造県いわての実現を目指していきたいと考えております。
 その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔総務部長菅野洋樹君登壇〕
〇総務部長(菅野洋樹君) 一括交付金への対応についてでありますが、いわゆる一括交付金は、制度の詳細や本県配分額が依然として不明であるため、具体的な歳入予算として平成23年度当初予算への計上は行わなかったところであります。このため、現行補助制度に基づき予算編成を行ったところでございます。
 したがいまして、具体的な内容が判明次第、補正予算で対応することになると考えておりますが、県といたしましては、産業振興の下支えあるいは県民の安全・安心といった観点から必要な事業を厳選して平成23年度当初予算に盛り込んだと考えておりまして、財源の調整はあるといたしましても、大幅な歳出予算の組み替えが必要になるようなことはないのではないかと考えているところでございます。
〇議長(佐々木一榮君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
   〔政策地域部長加藤主税君登壇〕
〇政策地域部長(加藤主税君) まず、ジオパークの取り組みと今後の方向性についてでありますが、ジオパークは、地球活動の遺産を主な見どころとする自然公園であり、本県の沿岸エリアは日本列島の形成過程を体感できる学習フィールドとしてジオパークにふさわしいことから、その地質、地形資源を活用することにより新たな魅力が創出され、観光振興につながることが期待されます。
 ジオパーク認定には、推進組織や受け入れ態勢等の整備が求められております。このため、去る2月2日に関係市町村や国の出先機関等で構成いたします、いわて三陸ジオパーク推進協議会を設立したほか、ガイド養成や地元学習会を通じ、地域の人材育成や機運醸成を進めてまいります。
 今後、平成24年度の日本ジオパーク認定を目指し、推進協議会を中心に、学識経験者の助言のもと、申請資料を作成、精査していくほか、地元の主体的な参画を促しながら、市町村や関係団体と一体となって情報発信や普及啓発活動、ジオツーリズムの取り組みを推進してまいりたいと考えております。
 次に、過疎対策の取り組みについてでありますが、各過疎市町村が策定した過疎計画においては、地域資源を最大限活用し地域の個性や特色を高める取り組みを展開することにより、自立的な地域社会の構築を目指しているところでございます。
 過疎対策事業債についてソフト事業への対象が拡大されたことに伴い、地域医療の確保、身近な生活交通の確保、集落の維持及び活性化などの対策が盛り込まれているところでございます。
 具体的に申し上げますと、一関市や岩泉町における医師就学資金貸付事業、あるいは二戸市におけますコミュニティバス運行事業、遠野市におけますICTを活用した健康増進ネットワーク事業、西和賀町におけます地域の魅力を伝承し地域づくりに役立てるエコミュージアム構想事業などが挙げられます。
 県といたしましては、地域社会を構成するさまざまな主体がともに支え合い総力を結集する地域経営の考え方に立ち、市町村の自主性を尊重しながら、地域コミュニティ対策や定住、交流対策などとあわせ、市町村が実施する過疎対策に対しまして必要な支援を行っていく考えであります。
 次に、貨物線路使用料制度見直しのIGRの経営に対する影響についてでありますが、制度見直し後の詳細な使用料算定ルールは、現在、国と調整中でありますことから、制度見直しによるIGRの増収額は確定しておりませんが、これまで国から示されている見直しの基本的な考え方によれば、本県が求めておりました年間約3億6、000万円の増収額を相当程度上回る規模の額が確保されるものと考えておりまして、今後のIGRの安定経営に大きく寄与するものと見込まれております。
 一方、IGR沿線は、今後、人口減少、少子高齢化が一層進むほか、車両や線路設備の老朽化、定期的なシステム更新等の大規模な設備投資も見込まれるところでございまして、IGRの経営環境の厳しさには変わりはないものと考えております。
 県としては、沿線市町村等と連携しながら利用促進を図り、経営安定のために必要な支援に努めるなど、引き続き適切な取り組みを進めてまいりたいと考えております。
 また、今後のIGR運賃についてでありますが、現在のIGRの運賃は、開業に際しまして、将来にわたって健全経営を維持するため、必要とする経費に見合う収入の確保を前提に決定されたものでございます。この考え方は今後も生きていくものでございますが、今後の運賃につきましては、線路使用料の増収を反映した長期の収支見通しを踏まえ、将来にわたってIGRが健全経営を維持し鉄路の存続を可能とすることを大前提といたしまして、IGRを初め、県、沿線市町村で検討を行ってまいりたいと考えております。
 最後に、ICTの利活用促進についてでありますが、これまで、市町村の情報通信基盤整備に向けて国庫補助の導入や技術的な支援に努めてきた結果、ブロードバンドに加入することができない地域は本年度末でほぼ解消できる見込みでございます。一方、実際にブロードバンドサービスを契約している世帯は、平成22年9月末現在で45.5%と低い水準にとどまっているところでございます。
 ICTは、地域振興に資する重要なツールでございまして、仕事や住民生活のあらゆる分野で利活用促進を図っていくことが求められております。このため、県と市町村が連携し、それぞれの市町村ごとに工程表を作成し、利活用の計画的な促進に努めております。これらの取り組みによりまして、高齢者の見守りと宅配買い物を組み合わせたシステムや、特産品や観光スポット等の情報発信システムなど具体的な取り組みがあらわれてきておりまして、今後、地域振興に一層寄与していくものと期待しております。
 今後は、具体的な先進事例を他の市町村にも波及させ、ICTが積極的に活用されるよう、市町村職員や地域住民の人材育成にも力を入れてまいりたいと考えております。
 また、各分野にわたる県の事業を進めるに当たりましても、これまで以上にICTの利活用について検討いたしまして、行政サービスの向上につなげてまいりたいと考えております。
   〔農林水産部長小田島智弥君登壇〕
〇農林水産部長(小田島智弥君) 園芸産地の再生、拡大策についてでありますが、本県においては、多彩な立地条件を生かした園芸産地が形成されてまいりましたが、近年の価格低迷や農業従事者の減少、高齢化などにより生産額が減少しており、生産規模の拡大や新規生産者の確保、単収の向上、業務用等の実需者ニーズへの的確な対応が大きな課題となっております。
 こうした中において、規模拡大により10億円以上の販売額を上げている岩手町のキャベツや、農家が技術指導する体制の構築により新規生産者を確保している一関地域の小菊、また、生産者個々の生産目標の設定やコンクールの開催などにより単収を向上させた大船渡地域のキュウリ、さらには、契約先別に生産者のグループ化を図り、生産、出荷体制を強化している八幡平市のホウレンソウなど、生産者が主体的に産地の課題解決に取り組むことにより大きな成果を上げている地域が出てきております。
 県としては、こうした生産者組織が主体となって取り組む産地強化活動に対して助成するとともに、省力機械の導入や雇用労働力の確保、農地マッチングなどによる生産規模の拡大、また、産地内指導体制の構築による新規生産者等の技術向上、さらには、土壌病害対策の徹底や簡易かん水装置の導入などによる単収向上、契約取引拡大に向けた実需者とのマッチングなどを進めながら、園芸主業型農家を核とした園芸産地の再生、拡大を図ってまいります。
   〔商工労働観光部長齋藤淳夫君登壇〕
〇商工労働観光部長(齋藤淳夫君) 平泉への誘客効果の全県波及をもたらすための政策展開についてでありますが、平泉を訪れる観光客を県内各地域に誘引するためには、平泉を含め県内各地を回遊する旅行商品の造成、2次交通の充実、効果的な情報発信などを市町村、観光、商工関係者等と連携しながらオール岩手で展開していくことが重要と認識しております。
 このため、旅行商品の造成に向けては、平泉の文化遺産の世界遺産登録やデスティネーションキャンペーンを生かし、観光客が県内各地域を回遊する旅行商品が造成されるよう、全県を対象に地域の観光素材の発掘、磨き上げなどの支援を行う観光コーディネーターを今月から新たに任用し、現在、各地域に派遣しているところであります。
 また、2次交通につきましては、平泉地域から沿岸部へ向かう平泉めぐり号&遠野・陸中海岸号の運行支援のほか、平泉地域と他地域をバスで結ぶ旅行商品が企画されるよう、交通及び旅行事業者に対し働きかけてまいります。
 情報発信については、平泉の文化遺産の世界遺産登録とデスティネーションキャンペーンの相乗効果が図られるよう、本年7月に開催する全国宣伝販売促進会議などを通じ、国内外に向けて情報発信を強化してまいります。
   〔県土整備部長平井節生君登壇〕
〇県土整備部長(平井節生君) いわて花巻空港の利用促進について、まず、利用促進、需要開拓のための組織強化についてでありますが、いわて花巻空港は、施設整備にめどが立った一方で、利用状況は、日本航空の路線の休止や機材の小型化等により利用者が減少するなど、厳しい状況にあります。
 これに対し、庁内に岩手県空港利用促進対策会議を設置するなど、利用促進や需要開拓に各部局連携して取り組んできたところでございます。さらに、平成23年度には、新規航空会社の誘致や国際チャーター便の誘致拡大など、利用促進を担当する特命課長を空港課に配置することとしており、空港課総括課長のもと、この特命課長を中心に利用促進に向けた専門チームをつくることとしております。
 今後も、各部局と連携しながら、空港利用促進のための体制強化を図っていきたいと考えております。
 次に、名古屋線の復活への取り組みについてでございますが、県では、県営名古屋空港を活用した平成23年度当初からの運航再開について関係者へ働きかけを行ってきたところでございますが、中部国際空港と県営名古屋空港とのすみ分けに係る調整が十分図られていないと国において認識されていることなどから、今般、日本航空の平成23年度上期の路線便数計画には盛り込まれなかったところでございます。
 県といたしましては、一日でも早い路線復活に向け、今後も愛知県や国などと就航に向けた環境整備について改めて協議を行っていくほか、日本航空以外の航空会社の誘致も含めて航空会社への働きかけを行ってまいりたいと考えております。
 次に、国際線の強化についてでありますが、本年夏に見込まれる平泉の世界遺産登録を契機とした海外からの誘客を進める観点から、ハード面の整備とともに、ハンドリング体制などソフト面の基盤も強化しながら、国際チャーター便の戦略的拡大に向け、トップセールスや岩手県空港利用促進協議会を通じた官民一体となった誘致に取り組んでまいりたいと考えております。
 具体的には、台湾のほか、中国、韓国など東アジア圏へのエアポートセールスを強化し、LCC─格安航空会社を含む新たな航空会社の誘致などに取り組んでいきたいと考えております。このため、四季を通じた観光素材の先方国への提供により、通年での観光需要を創出するとともに、各分野での国際交流の促進による双方向での需要の拡大を図っていく必要があると考えております。また、現地での人脈づくりなど、セールス体制の強化も行ってまいります。
 こうした取り組みにより、国際チャーター便の実績を積み上げつつ、早期の国際線の定期便化を航空会社に働きかけてまいります。
   日程第2 議案第56号平成22年度岩手県一般会計補正予算(第6号)から日程第32 議案第86号職員の育児休業等に関する条例の一部を改正する条例まで
〇議長(佐々木一榮君) 次に、日程第2、議案第56号から日程第32、議案第86号までを一括議題といたします。
 提出者の説明を求めます。菅野総務部長。
   〔総務部長菅野洋樹君登壇〕
〇総務部長(菅野洋樹君) ただいま議題とされました各案件について御説明をいたします。
 議案第56号は、平成22年度岩手県一般会計補正予算(第6号)であります。これは、事業の確定等による通常の補正のほか、国により措置される各種の交付金等を活用して、地域経済の下支え等を行うための事業に要する経費について補正を行うものであり、また、平成23年度当初予算と一体的に取り組もうとするものであります。これらの結果といたしまして、総額137億658万円余を増額補正するものであります。
 増確補正の主なものは、県保有微量PCB汚染廃電気機器等処理事業費7、908万円、生活福祉資金貸付事業推進費補助15億4、331万円余、子宮頸がん等ワクチン接種促進臨時特例事業費12億7、927万円、緊急雇用創出事業臨時特例基金積立金47億9、557万円、経営体育成基盤整備事業費9億5、420万円、緊急地方道路整備事業費10億648万円等であります。
 また、減額補正の主なものは、中小企業経営安定資金貸付金53億6、387万円余、河川等災害復旧事業費31億5、881万円余等であります。
 次に、繰越明許費の追加は、緊急地方道路整備事業費等209事業に係る予算を翌年度に繰り越して使用しようとするものであります。
 次に、債務負担行為の追加及び変更は、指定管理者による総合防災センター管理運営業務等19件を新たに追加するとともに、6件について限度額の変更を行おうとするものであります。
 また、地方債の追加及び変更は、鳥獣保護センター施設災害復旧事業を新たに追加するとともに、9件について起債の限度額を変更しようとするものであります。
 議案第57号から議案第70号までは、平成22年度岩手県母子寡婦福祉資金特別会計等11特別会計及び3企業会計の各補正予算でありますが、これらは、それぞれの事業計画等に基づいて所要額を補正しようとするものであります。
 議案第71号から議案第75号までの5件は、建設事業等に要する経費の一部負担及びその変更に関し、それぞれ議決を求めようとするものであります。
 議案第76号から議案第81号までと議案第86号の7件は条例議案でありますが、これらは、新しい公共支援基金条例及び子宮頸がん等ワクチン接種促進臨時特例基金条例を新たに制定するとともに、職員の育児休業等に関する条例の一部を改正する条例など、5件の条例の一部をそれぞれ改正しようとするものであります。
 議案第82号及び議案第83号は、建設工事の請負契約の締結に関し、それぞれ議決を求めようとするものであります。
 議案第84号及び議案第85号は、損害賠償請求事件に係る和解及びこれに伴う損害賠償の額を定めることに関し、それぞれ議決を求めようとするものであります。
 以上のとおりでありますので、よろしく御審議の上、原案に御賛成くださいますようお願い申し上げます。 
〇議長(佐々木一榮君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後5時8分 散 会

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