平成23年2月定例会 第20回岩手県議会定例会 会議録

前へ 次へ

〇39番(及川幸子君) 民主党・ゆうあいクラブの及川幸子でございます。
 今回、一般質問13回目の登壇の機会をいただき、会派の皆様に感謝申し上げ、順次質問させていただきます。
 質問に入る前に、昨年12月下旬と年末年始の大雪や暴風雨の被害を受けられた方々に対しまして、心よりお見舞いを申し上げ、一日も早い復興を望むところでございます。
 質問に入ります。
 まず最初に、平成23年度の予算編成についてお伺いいたします。
 平成23年度当初予算の規模は6、815億円余で、骨格予算ということもあり、前年度の当初予算と比較すると171億円余、2.5%下回るものの、過去の骨格予算と比較すると減少幅は小さいものとなっておりますが、本県財政を取り巻く状況は依然として厳しい中にあり、今後においても、経済対策等に伴い発行した県債の償還が今後数年かけて償還のピークに達するとき、喫緊の課題として重くのしかかってまいります。
 予算編成に当たっては、今後の中期的な財政見通しや政策評価結果等を踏まえながら、より踏み込んだ歳入確保、歳出削減を実行することにより、財源対策的な基金の取り崩しを行うことなく当初予算編成に当たられたようですが、県債残高が1兆4、640億円と過去最高となったことに対して、今後どのように償還をされていくのか、まず、知事の御所見をお伺いいたします。
 また、平成23年度当初予算は、本年4月に行われる知事選挙を控えて骨格予算とし、新規事業や政策的な経費については、今後6月補正予算として編成される予定のようですが、そんな中においても、新規または政策的な経費であっても、年度当初からの早期の事業着手が必要な事業については当初予算に計上され、速やかな対応を図るとされておりますが、具体的にはどのような分野、どのような事業について予算計上したのかお示しいただきたいと思います。
 知事は、骨太の骨格予算となった理由について、社会経済情勢を踏まえ、県民の仕事と暮らしを支える雇用対策や医療、福祉関係事業などに重点的に取り組むためとしておりますが、雇用対策事業に対しての考え方と、この事業に対する評価をお示しいただきたいと思います。
 また、本県の雇用を支える上で、食産業の振興は重要であり、地域特有の食材や資源などの特色を生かした取り組みが必要であると考えますが、御所見をお伺いいたします。
 4広域振興圏において、共通してものづくり産業基盤の構築と人材育成の推進が求められるようですが、ものづくり産業振興の中で、どのように人材を育成されるのかお示しいただきたいと思います。
 いわて県民計画において、人材・文化芸術の宝庫いわての実現を掲げ、教育、文化の振興を重点的に推進することとしております。特にも、県内の多くの文化遺産は、私たちの郷土を愛する心をはぐくみ、私たちの誇りとして今日まで受け継がれてまいりました。その中で、いよいよ本年6月に第35回世界遺産委員会がバーレーンで開催され、平泉の文化遺産の世界遺産登録が審査されますが、世界遺産登録に向けた取り組みをお示しいただきたいと思います。
 1月16日、第71回国体県準備委員会主催の2016岩手国体講演会に元マラソンランナーの瀬古利彦さんが招かれ、心で走ると題して、岩手国体の成功を願い、講演されました。その話の中で、県は強化費用を惜しまずに支援し、有望選手を育ててほしいと話されたのがとても印象深く心に残っておりますが、このたびの予算編成での選手強化事業費は惜しまずにつけた予算と言えるのか、また、今後、選手の強化に向け、どう取り組んでいくのかお伺いいたします。
 次に、元気の出る岩手農業のあり方についてお伺いいたします。
 今まさに日本農業は、荒波の航海に立ち向かっていると言えます。国は、2020年までに、食料自給率を現在の40%から50%にするとの目標を掲げておりますが、既に日本は、食料の6割を海外に頼る世界最大の食料輸入国であります。農家への戸別所得補償制度の導入で息がつけたと思ったやさきの米価の下落、農業者に対して元気を出してもらいたいと思っても、先の見えない日本農業であります。
 大きな日本農業の転換期とも言える環太平洋パートナーシップ協定、いわゆるTPP参加の是非が求められております。国は、ことし6月をめどに方針を決定するとしておりますが、TPP参加国が9カ国であるときに、果たして日本だけが関税撤廃に反対していき世界の中の日本農業が守れるのか、疑問だけが残るのであります。
 TPP参加の場合、関税撤廃により農業生産額は4兆1、000億円減少すると言われ、食料自給率も40%から14%に低下すると言われております。本県においても、米で596億円、小麦で3億円、乳牛で214億円それぞれの生産額が減少し、農業産出額が2、445億円から6割減少して976億円になると試算されており、このことからしてもTPP参加は反対すべきであると思うのですが、この点について御所見をお伺いいたします。
 次に、地産地消の取り組みについてお伺いいたしますが、今、大きく揺れる日本農業だからこそ、岩手の安全・安心な農畜産物が求められると思います。直売で顔の見える生産者との触れ合いは確実に活性化しなければならないときであります。消費者のニーズにこたえる売り込み作戦についての取り組みについてお伺いいたします。
 また、県内の学校や病院など公的機関において地元農畜産物の利用量の状況はどうなっているのかお示しいただきたいと思います。
 岩手農業が元気になるか否かは、全国から岩手ならではの食の提供が喜ばれることこそが一番であります。胸を張って農業者であると言える施策を望むところでございます。
 次に、地域経済の発展と、安心して働ける雇用の場についてお伺いいたします。
 過去最低となった今春卒業予定の大学生の就職内定率、厳しい就職活動が続いている現状であります。本年3月の新規高等学校卒業予定者の就職内定率を見ますと、前年同月に比べ6ポイント上回っており、そのうち県内就職希望者の内定率は、前年に比べ9.2ポイント上昇して78.7%となり、前年同月に比べると9.7ポイント上回っております。就職先が決まらない学生に対して、県は今後どのように支援していくのかお伺いいたします。
 わずかとはいえ求人倍率が県内で1.08倍と、前年同月に比べ0.13ポイント上回っているのがわかりますが、県内に雇用の場が少ないことは深刻な問題であります。解決のためには企業誘致のさらなる推進が必要となりますが、これまでの取り組みの成果と、今後どのように企業誘致を進めようとしているのかお伺いいたします。
 次に、国際リニアコライダー計画についてでありますが、建設候補地として本県の北上山地が有望視されております。国内においては、北上山地と、佐賀、福岡両県の脊振山地の2カ所に絞られたようであります。
 そこでお伺いいたしますが、基礎科学へ大きな貢献になり、評価にもつながるというこの計画に県においても大きな力を注ぐべきと思うのですが、御所見をお伺いいたします。
 立地のかぎを握るのは地域の理解力であると言われますが、地域の中においては、それぞれに理解の温度差が生じているようですが、産業振興に大きく貢献するこの国際リニアコライダー計画を、今後、県の計画にどう位置づけて推進していこうとするのかお伺いいたします。
 次に、元気の出るまちづくりとインフラ整備についてお伺いいたします。
 中心市街地活性化を叫んでも人が住まないまちになってしまう現実を見るとき、何とかしなければと強い気持ちにかき立てられるのは私だけでしょうか。我がまち水沢も、中心市街地から大型食料品店が去り、何とも寂しい限りです。元気の出るまちづくりを求めたい。そのためには、人々の往来があること、そして商店街に魅力ある店舗が立ち並ぶことが大事だと思いますが、中心市街地活性化に向けた県の考えをお示しいただきたいと思います。
 また、中心市街地の活性化のためには、人々が行き交う道路や歩道の整備が必要となってまいりますが、歩行者に優しい、バリアフリーに配慮した歩行環境への取り組み状況についてお伺いいたします。
 また、そのまちには昔から川の流れがあり、人々の動きと同じに、あるときは静かに、あるときは勢いをつけ流れ行く川がありました。澄んだ清流をまちの中に見るとき、人々は心も落ち着き、安堵感を覚えるものであります。そこでお伺いいたしますが、県内においてまちづくりと川辺を一体化した地域があるのでしょうか、お伺いいたします。
 盛岡駅に着き、ふと足をとめて見るのが雄大な岩手山と洋々と流れる北上川であります。この自然をいつまでも大切にしたいと願わずにはいられません。河川を大切にした盛岡のまちづくりに大いに賛成です。
 次に、豊かな心をはぐくむ教育の充実と男女共同参画社会の構築についてでありますが、私が県議会議員として12年、常に教育について求めてきたことは心の豊かさであります。家庭、学校、地域の一体感の中で、子供たちは心に豊かさを育てていきます。
 以前、地元中学校の卒業式参列の折、卒業証書を手にした生徒の口から教師に対して自然に発せられたありがとうございますの感謝の言葉が響いたとき、いい子供たちが育ったんだと心が熱くなったことがあります。
 そこでお伺いいたしますが、国が決定した週5日制は、本来、子供と親が触れ合う中で、さまざまな経験を通して家庭学習の充実を図ることが目的のはずでした。しかし、現実はどうでしょう。両親は土曜日も働かなければならない現状にあり、結局、子供たちだけで家で過ごすことが多いようであります。学習向上にも岩手県では力を入れている今、何らかの形で土曜日の登校を実現することはできないものかお伺いいたします。
 また、自然に触れる体験学習の取り組みはいかがでしょうか。幼稚園、小学校等では、小動物の飼育を通して優しさ、命の大切さを教えてきたと思うのですが、これまでの体験学習の取り組み状況と、その成果についてお伺いいたします。
 次に、不登校についてお伺いいたしますが、いじめやその他の理由で学校に通えなくなった児童生徒の状況とその対応について、県内の小中学校と高等学校についてお示しいただきたいと思います。
 また、全国を見ますと、いじめにより、とうとい命をみずから絶つという報道もなされておりますが、本県においてこのような状況はないのかあわせてお伺いいたします。
 男女共同参画社会の構築についてでありますが、以前私は、女性の社会参画、特にも審議会委員や県庁の女性幹部職員の割合の低さを指摘したことがあります。また、平成22年4月現在で県の審議会等における女性委員の割合は33.9%と伺っており、平成22年度末の目標50%に届いておりません。このほかにも、各分野にわたってさまざまな課題が山積しております。このような状況の中で、今定例会に提案されている新しいいわて男女共同参画プランにおいては、県としてどのような施策を柱に取り組もうとしているのかお示しいただきたいと思います。
 また、農業現場で働く女性が半数以上を占める中で、全農業委員に占める女性農業委員の割合が平成17年度7.4%、平成21年度9.2%と登用が進まないようですが、その原因は何だとお考えでしょうか。また、農業委員の女性登用を進めるために、今後どう取り組まれるのかあわせてお伺いいたします。
 次に、循環型社会の推進についてでありますが、県における取り組みの中で、ごみの減量化とリサイクル促進について、3Rを促進する県民運動の展開を掲げておりますが、各自治体の住民への啓発活動への取り組みをどのように進めていくのかお伺いいたします。
 また、企業に対して、廃棄物の発生抑制や循環的な利用の促進、そして適正な処理の推進について、今後どのような指導を行っていくのかお伺いいたします。あわせて、廃棄物の適正処理に向けた監視指導の強化はどのようになさるのかお伺いいたします。
 また、産廃Gメンによる監視指導の徹底が求められておりますが、どのようになさっているのかお伺いいたします。
 循環型社会への取り組みの中で、地球に負荷をかけないCO2の削減が重要となりますが、木材振興や間伐を促進する中で、木質バイオマスエネルギーを活用した新産業の創出を目指し、ペレットストーブの普及が促進されてまいりました。平成15年からの取り組みも7年が経過しましたが、普及状況がどうなったのか気になったところであります。
 平成22年度末の目標普及台数は2、000台でありますが、平成21年度末では達成率66%で、1、325台の普及台数で取り組みの成果は見えてきません。一般購入者への補助1台5万円のときはある程度の普及もあったようですが、補助金ゼロの今は運動の成果も見えてこないようであります。現在、補助対象が公共的施設に限られましたが、県の施設の普及状況を見ますと、平成18年から平成21年の4年間でたったの1台であり、いかに力を入れて取り組んでいないかがわかります。県では、ペレットストーブを初め、関連産業の振興にどう取り組もうとしているのかお伺いいたします。
 ペレットストーブの燃料を製造している会社は、多額の投資をしてストーブの利用者へのペレットの供給をしております。現在の製造会社の数量は十分なのか、また、今後、普及した場合、燃料の供給が十分であるのか、県の指導、支援も必要であると考えますが、御所見をお伺いいたします。
 また、今後、木質バイオマスエネルギー利用の推進に向け、どのように取り組んでいくのかあわせてお示しいただきたいと思います。
 次に、保健、医療、福祉施策についてお伺いいたします。
 まず、さきの12月県議会において、議員発議により、障がいのある人もない人も共に学び共に生きる岩手県づくり条例が可決され、終始、保健福祉部の職員の方々も審議の折に同席いただき御指導いただきましたことに心より御礼申し上げます。
 全国3番目、東北では初の条例制定は、全国からも注目の的でありましょう。この条例制定により、障がいのある方々が条例ができてよかったと思える今後の歩みになってほしいと切に願うものであります。
 今月10日、アイーナ4階の県立図書館のわきに、生きがいはぐくむ憩いの場として杜のカフェが開店いたしました。障がい者自立支援を目標に開店したそのお店、10名の障がい者の方々が生き生きとお客様に接しておりました。しばらく空きスペースとなっていた場が一瞬のうちに笑いのある温かい憩いの場になったのであります。開店セレモニーに参列した私もおいしいジェラードを口にし、また寄ってみたいな、そんなホットな気持ちになりました。
 このたび条例制定となり、今後のスケジュールはどうなるのでしょうか。また、問題が発生した場合の窓口の体制は万全なのでしょうか、お伺いいたします。
 次に、医師確保対策についてお伺いいたします。
 依然として厳しい医師不足の状況の中、特にも安心して子供を産み育てる環境の充実が極めて重要であると考えますが、産婦人科医師の現状と、その確保対策や小児科における夜間、休日等の緊急患者の受け入れ体制はどのようになっているのかお伺いいたします。
 岩手に住み、医療の道に明るい灯をともしてくれる医師を求めたいのですが、御所見をお伺いいたします。
 県内の病院において、末期がんを宣告された患者さんが最期をみとられるまでの間、家族や親しい人たちと過ごせる緩和ケア、いわゆるホスピスの充実が求められておりますが、県において整備促進の予算が十分でない現状の中で、民間病院に頼ることも必要になってくると思います。
 私の地元奥州市においても、啓愛会により病院と併設した緩和ケア病棟を設置する計画があり、今、建設中であります。以前、県立中央病院の緩和ケア病床を訪れた私は、余命幾ばくもないその知人の明るく元気に応じてくれる様子をこの目に入れ、一日でも長く生きてほしいという願いで病院を後にしたのでした。最期を家族と同室で過ごし、だれに遠慮することもなく会話をしながら一日一日と過ごしていく患者さんの姿、家族は、生涯そのときの日々を大切にすることでしょう。
 県において、緩和ケアの重要性を知るとき、民間病院における緩和ケアのための支援をどのようになさっているのか、その現状と今後の計画についてお伺いいたします。
 また、特別養護老人ホームへの入所を希望しても、待機高齢者が多い中、入所するまで相当の日数を要してしまいます。そこでお伺いいたしますが、県内の待機者数の実態をどう把握し、待機者の解消に向けどのような対策を講じているのかお伺いいたします。
 最後に、岩手競馬のあり方についてお伺いいたします。
 4年前、岩手競馬存続の問題で大きく揺れた議会、構成団体から約330億円の融資を受け、単年度の収支均衡を条件に存続が決まったのであります。今現在、存続はしているものの、単年度の安定的な収支均衡がなかなか見えてこない状況下にあるのではないでしょうか。いろいろな改革を実施しながら、何とか存続の方向性を見出すための努力をなさっているのはうかがえますが、果たして人々を呼び込むだけの魅力あるレースができているのだろうか危惧されるところであります。存続を強く望んだ一人として、ギャンブルという側面だけではなく、地域に貢献してきた岩手競馬を守りたい一心から質問させていただきます。
 県など構成団体において、外部有識者により岩手競馬経営の将来方向検討会議を立ち上げておりますが、岩手競馬が抱える課題の解決に向けて、これまでどのような検討を行ってきたのかお伺いいたします。
 また、知事は、県の借金をふやさない形で存続することが民意にも沿ったことであると話しておりますが、今のままでは廃止の方向しか見出せず、今こそ大きな改革が必要であると考えます。賞典費、人件費などのコスト削減の繰り返しにより今年度も単年度黒字は達成する見込みのようですが、コスト削減を繰り返した結果、魅力のない岩手競馬になってはいないでしょうか。
 報道関係の実施したアンケート結果によりますと、盛岡か水沢の1場体制を含めた存続派は44.2%ですが、このうち現行の2場体制支持は15.7%であり、1場体制への移行が喫緊の課題であると認識されるところでありますが、検討会議では、1場体制も含めた開催形態について今後どのような検討を行うこととしているのかお伺いいたします。
 また、入場者数の落ち込みに対して、どんな対策を講じていくのかあわせてお伺いいたします。
 3期12年間、県議会議員として仕事をさせていただきました。いろいろな課題を解決していく中で、障がいのある人もない人も共に学び共に生きる岩手県づくり条例が制定されました。障がい者の27歳の方から寄せられた、病院に行った際、あなたは27歳まで生きられたからいいでしょうと告げられた医師の言葉に、こんな社会であってはならない、人を思いやる心を育てていこうと強く念じた私であります。
 以上で私の質問を終わります。答弁によっては、再質問をさせていただきます。御清聴いただきましてまことにありがとうございます。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 及川幸子議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、県債の償還方針についてでありますが、公債費は、過去の国の経済政策に呼応して発行した県債の償還が今後ピークを迎えますことや、近年の臨時財政対策債の発行額の大幅増などの影響により、今後、新発債をどの程度発行するかにもよりますが、平成26年度または平成27年度に当面のピークを迎えますことが見込まれるところであります。
 臨時財政対策債は、地方交付税の振りかえとして発行するものでありまして、その償還に当たっては、後年度に地方交付税措置がなされるものではありますが、近年、このように、国の施策の選択に伴って発行を余儀なくされる地方債が多額となっておりますことから、地方の立場から、地方債の発行総額等を計画的にコントロールすることが事実上困難な状況となっています。したがいまして、地方の財源を十分に確保できるような税財政制度改革を国に強く求めていくとともに、引き続き、県債残高の規模を中長期的に抑制していくことを目指し、県として主体的に管理可能な通常の地方債については県債残高の増加要因とならないよう、発行規模を適切に管理していく考えであります。同時に、今後しばらく県債償還の増加が見込まれる中で、財政運営に支障が生じることのないよう、事務事業や管理経費の見直しを含め、より一層の行財政改革を推進し、持続可能な財政構造を構築していく必要があると認識しております。
 次に、雇用対策事業についてでありますが、本県の経済、雇用情勢は、有効求人倍率に改善傾向が見られるなど、このところ緩やかな持ち直しの動きが続いていますものの、依然として厳しい状況にありますことから、雇用対策は喫緊の課題と認識しております。このため、骨格予算となる平成23年度当初予算においても切れ目のない雇用対策を強力に推進する観点から、総額約80億円の雇用対策基金事業や新卒未就職者等の人材育成事業などを計上したところであります。
 これまでも、雇用対策基金事業として総額約140億円を投入し、雇用の創出を行うとともに、新たなものづくり産業の集積促進や、地域資源を生かした食産業、観光産業、農林水産業などの産業振興施策による雇用の創出にも努め、平成20年度以降、合わせて約1万2、700人の常用雇用を創出してきたところであります。
 雇用環境の改善については最優先の課題と位置づけており、あわせて、本県経済の自立的かつ持続的な回復を確かなものとするため、来年度においても力を入れて取り組んでいくものであります。
 次に、食産業の振興についてでありますが、これまで、食の安全・安心を理念として、地域の特色ある農林水産物や企業の経営資源を生かし、農商工連携等により、付加価値の高い商品開発や販路開拓等に取り組んできました。
 具体的には、県内外の製パンメーカーとの連携によるヤマブドウ商品や県内菓子メーカー等によるイサダ商品、大手量販店との連携による昆布じめシメサバや煮魚の冷凍食品などが商品化されてまいりました。また、近年では、農商工連携ファンド等を活用した商品開発が年間80件を超えるなど、本県特有の食材等を活用した新しい商品の開発、販売が活発化しております。
 また、こうした取り組みが評価され、昨年度は、フード・コミュニケーション・プロジェクト岩手ブランチとして国の認定を受け、その活動の中から、独自製法によるヨーグルトや県産小麦パンの商品化など、安全・安心な地域資源を活用した取り組みによる新たな成果も生まれつつあります。現在、これまでの取り組み成果やビジネスモデルを食産業振興ロードマップとしてまとめており、今後はこのロードマップをもとに、成果を県内の食産業全体に波及させていくこととしています。
 次に、環太平洋パートナーシップ協定についてでありますが、この協定はセンシティブ品目の段階的撤廃の措置はありますものの、関税の撤廃が原則とされており、多国間の市場取引が促進される一方で、農林水産業や食産業など、地域の特性や資源を最大限に生かした産業の振興に大きな影響を与えることが懸念されるところであります。県としましては、国際貿易交渉に当たっては、国民の食料の安全保障の確保や、農業、農村の多面的機能への配慮など、農業、農村の振興などを損なわないように対応することが必要と考えております。
 環太平洋パートナーシップ協定への参加については、国において、国民の合意が得られるまで慎重に検討すべきと考えております。
 次に、岩手競馬のあり方についてであります。
 まず、岩手競馬経営の将来方向検討会議の検討内容についてでありますが、これまで競馬場の現地調査や厩舎関係者の方々との意見交換を行いながら、岩手競馬の現状と課題を整理し、安定経営に向けた基本的な方向のたたき台がまとめられたところであります。その基本的方向としては、発売額は今後も一定程度減少するという前提に立って、発売規模に見合った開催形態や収支構造への転換を図るとともに、情報発信やファン拡大の取り組みを強化しながら発売額や来場者の確保に取り組み、特にも、JRAとの相互発売を大きなチャンスととらえ、全国のファンに支持されるレースづくりを進めることとされたところであります。
 次に、1場体制も含めた開催形態の検討についてでありますが、経営体質の強化に向けた具体的な方策について検討するため、1場体制とした場合や、いずれか一方の競馬場に開催日数を大きくシフトした場合、また、土曜開催を縮小した場合など、開催形態ごとのシミュレーションが行われ、収支に及ぼす効果や地域経済、雇用等に与える影響、開催形態の移行に伴う課題等を整理し、将来の岩手競馬にとって、よりよい選択肢となり得る開催形態について検討が進められる予定です。あわせて、組織、事業体制や低コスト体質に向けた収支構造、必要な投資などについても検討されることとなっており、最終的に、岩手競馬の中長期経営の基本的方向として提言をいただきたいと考えております。
 次に、来場促進策についてでありますが、岩手競馬を応援するファン組織や企業、団体等とも一緒になってファン感謝デーやレディースデーの実施、勝馬投票券購入者へのプレゼント、観光協会等とのタイアップによる協賛イベントなど、さまざま工夫しながら、より多くのお客様に御来場いただく取り組みを積極的に進めることとしています。
 また、南部杯などのダートグレード競走の施行や地方競馬唯一の芝コースによる重賞競走の創設、全国の女性騎手によるレディースジョッキーズシリーズの実施など、話題性があり、魅力あるレースの提供に努めながら岩手競馬ファンの拡大を図り、発売額の確保につなげていきたいと考えております。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁させますので御了承をお願いします。
   〔総務部長菅野洋樹君登壇〕
〇総務部長(菅野洋樹君) 早期の事業着手が必要な事業についてでありますが、平成23年度当初予算は、義務的な経費や継続事業を中心とした、いわゆる骨格予算として編成を行ったところでございます。ただ、その中でも、厳しい経済、雇用情勢等を踏まえ、早期に着手する必要がある事業については、新規または政策的な経費であっても当初予算に計上したところでございます。
 こうした観点から、あらゆる分野、事業を精査したところでございますが、具体的な例を挙げさせていただきますと、雇用の創出や就業支援による雇用対策のための取り組み、医師確保対策やドクターヘリの導入促進など、地域保健医療体制の確立に向けた取り組みなどに必要な事業や、平泉の世界遺産の登録実現後を見据えたいわて平泉年の推進や、平泉の文化遺産に係る保全管理の重要性やその価値についての普及に向けた取り組み、さらには、平成24年度に実施が予定されておりますいわてデスティネーションキャンペーンに向け、全国の旅行会社を集め知事がトップセールスを行う全国宣伝販売促進会議や、プレデスティネーションキャンペーンによる情報発信、誘客促進などの取り組みに係る予算を計上したところでございます。
   〔商工労働観光部長齋藤淳夫君登壇〕
〇商工労働観光部長(齋藤淳夫君) まず、ものづくり産業における人材育成についてでありますが、本県では、平成17年度に設置されたいわて産業人材育成会議からの提言を基本に、さまざまな企業ニーズに対応した多様な人材の育成をねらいとして、小学生から企業人までを対象に、総合的な取り組みを推進しております。これまで、各広域振興圏で立ち上げた、ものづくりネットワークによるキャリア教育や工業高校の現場実践教育、黒沢尻工業高校への専攻科の設置などによる高度技能人材の育成、大学等の連携による設計、開発技術者の育成などを進めてきたところです。
 今年度、いわて産業人材育成会議を5年ぶりに立ち上げ、これまでの取り組みを検討し、今後の人材育成の方策について議論しているところであり、こうした成果を人材育成の現場にフィードバックすることにより、さらに質の高い人材育成に努めてまいります。
 次に、就職の決まらない学生に対する支援についてでありますが、今春の高校卒業予定者につきましては、12月末現在で内定率が84.4%と前年を上回っており、内定を得られていない生徒については、学校やハローワーク等関係機関と連携して、個別支援や求人開拓に全力で取り組んでいるところであります。大学卒業予定者につきましては、県内各大学からの聞き取りによりますと、1月末現在で、おおむね70%から80%が内定しているとのことであり、未内定者につきましては、大学と国の就職ジョブサポーターが連携して個別支援を行うほか、県では、ハローワークと連携し合同面接会を追加開催するなど、内定獲得に向けた対策を強化してまいります。
 また、4月以降につきましては、高校や大学等を未就職のまま卒業した方に対し、ジョブカフェなどでの就職支援施設において継続的に支援を行う体制を整え、就職が決定するまできめ細かな支援を行ってまいります。
 次に、企業誘致の推進についてでありますが、近年の誘致実績を申し上げますと、平成19年度が20件、リーマンショックのあった20年度が13件、21年度が11件となっておりました。22年度は、自動車関連企業を中心に21件と回復してきております。
 今後、東北地域における自動車の生産台数の増加が見込まれ、県外からの新規立地に加え、県内企業においても増設や雇用拡大の意欲の高まりが見られることから、これらの動きを的確にとらえて工場の新増設を促進し、雇用の増加を図るとともに、本県のものづくり産業の柱に位置づけております半導体関連産業や医薬品、医療機器関連産業などを中心に、引き続き強力に誘致活動を進めてまいります。
 次に、中心市街地活性化についてでありますが、まちづくりに当たっては、まず、地元市町村が、住民や商工会議所などとまちの現状や将来像についてしっかりとしたビジョンを共有し、地域の実情に応じた主体的な取り組みを行うことが重要であると考えております。県としましても、このような取り組みに対し、相談などの対応、地元での協議への参画などを行うとともに、国と県のさまざまな施策によって支援していくこととしております。
 具体的な施策につきましては、都市計画法による適正な土地利用の促進や条例による大規模集客施設の適地への誘導、国の補助事業を活用した市街地、商店街における駐車場整備や歩道のカラー舗装などのハード整備の促進などがございます。また、意欲のある商店街に対しては、商工会議所などと連携し、個店の魅力向上への支援、集客イベント、街路のLED化への助成、まちづくりをリードする人材の育成などのメニューがございます。県といたしましては、こうした施策を組み合わせながら、まちづくりに取り組む市町村や団体を積極的に支援してまいりたいと考えております。
 次に、ペレットストーブなど関連産業の振興についてでありますが、県では、平成14年度に、いわて型ペレットストーブを民間企業と共同開発し、県民の目に触れる機会の多い県施設に先導的に導入するとともに、公共施設や一般住宅などに設置する際の経費を一部助成してまいりました。また、いわて環境王国展などの機会をとらえ、普及拡大にも取り組んでまいりました。
 これまでの取り組みにより、一定の成果はあったものと認識しておりますが、灯油ストーブに比べ割高となっている導入費用や燃料費等の課題もございまして、ペレットストーブの普及台数は伸び悩んでいる状況にあります。また、木質バイオマスエネルギーの利用に対する県民の理解をさらに醸成していくことが必要であると考えております。
 今後、関係事業者にストーブやペレットの低価格化を働きかけていくとともに、引き続き県内メーカーと連携いたしまして、ペレットストーブの環境面の優位性に着目したPRなどについて普及拡大に努めてまいります。また、現在、燃焼装置の新技術開発が進んでおり、その実用化に向けた支援を行うなど、ペレットストーブなど関連産業の振興に努めてまいります。
   〔農林水産部長小田島智弥君登壇〕
〇農林水産部長(小田島智弥君) まず、地産地消の取り組みについてでありますが、近年、食の安全への関心とともに、生産者の顔が見える農畜産物を求める消費者ニーズが高まっているところであります。こうしたことから、県では、エコファーマーの拡大や県版GAPの導入促進など、食の安全性や環境保全に配慮した農畜産物の生産拡大に取り組むとともに、生産者がみずから行う宅配ビジネスや焼肉レストランの展開など、顔の見える取り組みの支援や情報発信に努めております。
 また、地元農畜産物の利用状況についてでありますが、県では、これまで、全県一斉米粉パン学校給食の日の実施や、公的機関への供給体制づくりなどを支援してきたところであり、その結果、公的機関の平成20年度の重量ベースでの利用率は48%となっており、比較が可能な学校給食で見ると、調査を開始した平成11年度の30%と比べ、51%と大幅に利用が拡大しているところであります。
 今後とも、地産地消の取り組みを一層発展させ、生産者と消費者の結びつきがより深まり、岩手の農業が元気になるよう支援してまいります。
 次に、女性農業委員の割合についてでありますが、本県の平成21年度の登用割合は9.2%と、目標の10%には達していない状況となっております。その内訳は、農協等の関係団体や市町村議会からの推薦委員が29%であるのに対し、選挙により選ばれた委員は約3%と低くなっております。この原因としては、農業委員は男性がなるべきとの地域の慣習があることや、女性は農業に加えて家事や育児、介護等の負担が大きいことなどから、立候補者が増加しないためであると考えております。これらを踏まえ、県としては、岩手県農業会議と連携を図りながら、市町村等に対し、女性登用の必要性の理解促進に向けた研修会の開催や、女性が立候補しやすい環境づくりなどに取り組んでいただけるよう、引き続き働きかけてまいります。
 次に、ペレットストーブの燃料供給についてでありますが、現在のペレット需要量は4、000トン程度であり、これに対してペレットが円滑に供給されており、不足は生じていない状況にあります。今後、需要が拡大した場合については、県内4工場の生産能力が現在の需要量の2倍程度と聞いておりますことから、当分の間、供給の問題は発生しないものと考えております。
 県では、ペレットの安定供給を促進するため、製造企業に対して、木質バイオマスコーディネーターによるペレット製造技術の指導や、未利用間伐材の利用を促進するための運搬費助成、さらには、森林組合との連携によるペレット原料供給体制の整備など、ペレットの品質向上とコスト削減に向けた指導、支援を行っているところであります。
 次に、木質バイオマスエネルギー利用の推進についてでありますが、本県の豊富な森林資源を活用した木質バイオマスエネルギーの利用拡大は、林業の振興や山村地域の活性化につながるとともに、低炭素社会の実現に大きく貢献するものと認識しております。このため、県では、これまで、ペレットストーブや木質ボイラーの公共施設への率先導入や産業分野での利用拡大を進めてきたところでありますが、今後も引き続き、ペレットストーブや木質ボイラーの導入促進、石炭混焼発電施設での大量利用モデルの実現、さらには、木質バイオマス燃焼機器導入のインセンティブとなる排出量取引の促進など、産業分野での量的な拡大を重点に置きながら、木質バイオマスエネルギー利用の推進に取り組んでまいります。
   〔政策地域部長加藤主税君登壇〕
〇政策地域部長(加藤主税君) 国際リニアコライダー計画に対する所見についてでございますが、国際リニアコライダー計画は、素粒子物理学における極めて高度な学術研究プロジェクトであり、その実現に当たっては、我が国政府の正式な決定や国際的な合意などが必要となってまいります。このような基礎科学の振興に我が国が率先して取り組むことは、世界や人類の未来に大きく貢献することから、政府が計画の推進に向け行動を起こすことを期待しております。
 県としては、本年度より、北上山地の花崗岩体の岩盤、地質について東北大学と共同研究を行うなど、研究機関が行う調査等に積極的に協力しております。また、計画の受け入れには地域の理解が欠かせないことから、東北加速器基礎科学研究会など関係機関とも連携を深めながら、講演会やシンポジウムの開催などにより普及啓発や調査研究活動を展開しておりますが、今後とも、東北一体となった受け入れ環境整備に向け、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、国際リニアコライダー計画推進の県の計画への位置づけについてでありますが、国際リニアコライダーは、超伝導、超高速の測定技術、精密加工などを駆使した世界最高水準の研究施設となるものであり、その関連技術は、スーパーコンピューター、たんぱく質の解析、がん治療などさまざまな分野に応用可能でありまして、新たな産業の創出や関連産業の立地等が期待されるものです。
 いわて県民計画におきましては、未来を切り拓く六つの構想の一つに次世代技術創造いわて構想を掲げており、新技術の創造やイノベーションパークの形成のほか、外国人研究者の受け入れ態勢整備などによる国際学術支援エリアの形成を進めることとしております。現在、本構想の具体化に向けた検討を進めておりますが、国際リニアコライダー計画をこの中に位置づけ、地域理解の醸成に努めるとともに、必要な受け入れ態勢や産業振興への活用などについて検討してまいりたいと考えております。
   〔県土整備部長平井節生君登壇〕
〇県土整備部長(平井節生君) 市街地におけるバリアフリーに配慮した歩行環境についてでございますが、歩道部の新設、拡幅、段差の切り下げ等の取り組みにつきましては、街路事業などにより対応しているところでございます。
 現在、県の街路事業では、盛岡市仙北や一関市中央町等7カ所、約2.1キロの整備を行っているところでございます。また、平泉町の一般県道、通称中尊寺通りにおきましては、地域の住民と延べ50回以上にわたる中尊寺通りまちなみ整備検討会等での意見交換を経て、電線の地中化及び歩行者と車両が共存する道路の再整備計画を取りまとめ、来年度から工事に着手する予定としております。さらに、かつて宿場町など交通の要衝として栄えた商店街の魅力を高め、にぎわいを取り戻すため、地元商店会や地域住民との協働により、まちづくりの多様な取り組みと歩行空間の改善などを連動させ、道づくりの視点からまちばの再生を支援する取り組みを葛巻町、一関市千厩町など、6地区で進めているところでございます。
 次に、まちづくりと川辺を一体化した地域についてでございますが、自然環境や景観といった、川が有している豊かな資源を活用した取り組みは各所で実施されております。県におきましては、これまでに、盛岡市の南川や花巻市の大堰川、宮古市の近内川などで、川を生かしたまちづくりに取り組んでいるところでございます。このうち、花巻市の大堰川では、県が親水性に配慮した河川整備を実施するとともに、花巻市では、中心市街地活性化の一環として遊歩道や休憩施設等の周辺施設を整備し、市民の憩いの場としてにぎわいが創出されているところでございます。
 まちづくりに当たりましては、その地域の歴史、文化、伝統や、川を初めとする自然環境等に十分配慮する必要があると考えており、県としては、引き続き地域主導の個性あるまちづくりを支援していきたいと考えてございます。
   〔環境生活部長松川求君登壇〕
〇環境生活部長(松川求君) 新しいいわて男女共同参画プランの施策についてでございますが、これまでの取り組みにより、市町村における男女共同参画計画の策定や男女共同参画サポーターの養成が進むなど、男女共同参画の基盤づくりが進展した一方、男女の不平等感や性別による固定的な役割分担意識が根強く残っているほか、政策、方針決定過程への女性の参画が不十分であること、配偶者からの暴力の問題が顕在化していることなど、多くの課題が残されております。
 新しいいわて男女共同参画プランにおきましては、こうした課題に対応していくため、引き続き、さまざまな分野の政策、方針決定過程への女性の参画拡大を進めていくほか、市町村等と連携し、幅広く男女に浸透する意識啓発、家庭、地域、職場などでの実践、DV対策の推進などを重点施策として取り組んでいくこととしております。
 次に、3Rを推進する住民への啓発活動についてでありますが、県では、エコショップ認定制度の推進など、市町村と連携して住民への啓発活動を行っているほか、市町村とのごみの減量化に係る研究会の開催などを通じて、すぐれた啓発事例について情報共有を図るとともに、市町村のごみ排出量の毎月の速報値を公表して、ごみの削減等の取り組みを促しております。
 新年度においては、これまでの取り組みに加え、3Rの一層の推進を図るため、市町村等と連携し、3Rの普及啓発キャンペーンや、3R推進フォーラムの開催などを内容とするもったいない・いわて3R運動を展開することとしております。
 次に、企業に対する適正処理の指導についてでありますが、これまで、廃棄物処理法等に基づく指導や適正処理に関する研修会の開催などにより適正処理の徹底を図るとともに、廃棄物の発生を抑制する技術やリサイクル製品の開発などの取り組みを支援してまいりました。
 今後さらに廃棄物の発生抑制や資源の有効利用を進めていくためには、身近な地域で循環可能な資源は地域で循環させ、困難なものはその輪を広げていくという地域循環の考え方で取り組みを進めていくことが必要と考えております。そのため、今年度、地域ゼロエミッションコーディネーターを配置し廃棄物の排出実態についての調査等を行っており、今後、企業や地域等のマッチングを進め、資源の循環的な利用を促進してまいります。
 次に、廃棄物の適正処理に向けた監視指導の強化についてでありますが、県では、各広域振興局に産業廃棄物適正処理指導員、通称産廃Gメンを11名配置し、排出事業者や産廃処理業者を巡回して啓発、指導を行っております。平成21年度の産廃Gメンの監視指導件数は延べ1万8、000件で、106件について法令に基づく措置を講じており、不適正処理の未然防止や初期段階での解決につながっているものと考えております。
 今後、今般の廃棄物処理法の改正点について重点的に啓発指導を行うとともに、産廃Gメンの監視活動の結果を踏まえて、不適正処理が懸念される箇所等を対象に、市町村等と連携した合同パトロールやスカイパトロール、監視カメラの設置、さらには隣県と連携した監視活動を引き続き実施してまいります。
   〔保健福祉部長千葉茂樹君登壇〕
〇保健福祉部長(千葉茂樹君) まず、障がいのある人もない人も共に学び共に生きる岩手県づくり条例の推進についてでありますが、県としましては、障がいについての理解の促進や、障がい者に対する不利益な取り扱いの解消を改めて全庁的な課題としてとらえており、条例の施行に向けまして、既に市町村、関係団体とさまざまな協議を重ねておりますほか、今般、平成23年度が計画初年度となります新しい岩手県障がい者プランにその取り組みを盛り込みますとともに、当初予算案に必要な経費を計上し、本定例会に提案しているところでございます。
 今後、関係部局の連絡会議を立ち上げ、総合的に関係施策を推進していきますとともに、障がい者に対する支援を適切に行うため、医療、保健、福祉、教育等の業務に従事する職員はもとより、すべての県職員に対しまして、障がいについての理解を深めるための研修を実施していくこととしております。
 また、障がい当事者やその御家族、障がい者団体、関係機関などを初め、広く県民に対し、条例の趣旨や不利益な取り扱いに関する相談支援の仕組みなどにつきまして、まずは7月1日の条例施行までの間、重点的に周知していきたいと考えております。
 次に、相談窓口の体制についてでありますが、不利益な取り扱いの事案が発生した場合の受け付け窓口につきましては、障がい者やその家族が相談しやすいよう地域のより身近な場所に設置することとし、具体的には、各種の相談実績を有しております市町村社会福祉協議会に委託することとしております。
 この受け付け事案につきましては、広域振興局の保健福祉環境部及び保健福祉環境センターが引き継ぎ、相談者や相手方に対する助言、調整を行うこととしておりますが、調整の難しい事案につきましては、市町村や市町村社会福祉協議会のほか、必要に応じて地域関係者を加えた地域調整会議を開催し、助言、調整内容の検討を行う体制を整備することとしております。
 さらに、地域での解決が難しい事案につきましては、法律、労働、教育等の専門家の意見を参考にしながら、本庁において助言、調整を実施する体制を構築したいと考えておりまして、条例第15条との均衡に配慮し、岩手県障害者施策推進協議会の部会に位置づけることとし、本定例会に同協議会条例の一部改正案を提案しているところでございます。
 県といたしましては、条例施行に向けまして、今後、条例施行前に相談従事者の研修会をきめ細かく行うとともに、関係機関の連携体制を十分に確立するなど、万全の体制を整えてまいりたいと考えております。
 次に、産婦人科医師の現状とその確保対策についてでありますが、本県の産婦人科、産科医師数は若干増加傾向にはありますものの、依然として厳しく、地域的にも偏在が生じている状況が続いております。こうした中で、産科医の確保につきましては、市町村医師養成事業におきまして、養成医師が産婦人科に従事した場合に義務履行年数を短縮する優遇措置や、あるいは病院勤務医に対する分娩手当の支給などの処遇改善などによりその確保に努めますとともに、国に対して制度改革に係る政策提言も行っているところでございます。
 次に、小児を含む初期救急医療体制につきましては、休日の当番医制を実施しておりますほか、小児における重症な患者や深夜帯の患者の受け入れについては、中核病院におけるオンコールでの対応や、盛岡地区の医療機関による他圏域からの受け入れ体制の確保等を行っているところでございます。
 次に、岩手に求められる医師に関する所見についてでありますが、本県の医療は、地域の医療を支える熱い思いと志を持った医師により支えられておりますが、今後ともそうした医師を確保するためには、地元出身者を中心とした医師の養成とともに、医師や家族の着任や定住の促進など、医師を受け入れる市町村など地域の取り組みも重要と考えておりますので、県としても促進してまいりたいと考えております。
 次に、緩和ケアの充実についてでありますが、県ではこれまで国の補助制度を活用し、地域における中核的機能を有する病院が行います緩和ケア病棟の整備の支援を行ってきましたほか、がん診療連携拠点病院であります岩手医科大学附属病院などで行っておりますがん診療に携わる医療従事者の育成を目的といたしました緩和ケア研修への支援等を実施してきたところでございます。
 県といたしましては、県がん対策推進計画を踏まえ、適切な緩和ケア体制の充実が必要と考えておりまして、今申し上げました民間病院における整備や緩和ケア研修への支援に加え、今後におきましては、在宅緩和ケアの推進に向けました地域の保健、医療、福祉サービスの連携体制の整備、充実に努めてまいりたいと考えております。
 次に、特別養護老人ホームの入所待機者についてでありますが、平成22年3月末の入所待機者は5、974人、このうち在宅の方は2、139人、その中でも、市町村が早期の入所が必要と判断した方は1、235人となっております。県では、これら早期に入所が必要と判断された在宅の待機者に対応した施設整備を促進してきているところでございまして、第4期計画において予定されておりました施設整備に加えまして、29床以下の地域密着型特別養護老人ホームの上乗せ整備を市町村に働きかけてまいりましたほか、平成23年度当初予算案におきましては、30床以上の広域型特別養護老人ホームの第5期計画の前倒し整備に対応した予算を計上し、地域の実情に応じた施設整備を支援していくこととしているところでございます。
 その結果、現時点におきましては、平成23年度末までに第4期計画対応分として645床、地域密着型特別養護老人ホームの上乗せ整備が397床、広域型特別養護老人ホームの前倒し整備として189床、計1、231床の整備が見込まれておりまして、早期に入所が必要な在宅の待機者に対します一定の対応が可能となったものと考えております。
   〔教育長法貴敬君登壇〕
〇教育長(法貴敬君) まず、平泉の世界遺産登録に向けた取り組みについてでありますが、登録に向けては、昨年9月のイコモスによる現地調査への対応以降、イコモスからの追加情報の要求に備えていたところですが、今回は提出要求がなかったところであります。
 また、地域の皆さんの郷土を愛する心や誇りの発現としての清掃活動やボランティアガイドなどの保存活用活動が継続的に取り組まれ、また、県議会においては、国への要望活動が行われるなど、県を挙げてさまざまな取り組みが進められてきているところであります。
 登録推薦書は、現在、イコモスによって審査が行われているところですが、今後は、5月上旬に予定されるイコモスからの審査結果の勧告、及び6月にバーレーンで開催される第35回世界遺産委員会での審議に向けて、国や関係市町、関係機関等と連携、協力し、十分に気を引き締めて万全の対応を行ってまいります。
 次に、第71回国民体育大会選手強化費についてでありますが、厳しい財政環境の中におきましても、岩手県選手強化本部が策定した選手強化年次計画に基づき、着実な選手強化を図るため必要かつ十分な予算を計上しているところでございます。
 平成23年度からは基盤整備期から育成期に移行することから、素質ある児童生徒の早期発掘や育成のほか、優秀な指導者の養成など計画的な競技力向上対策を進めるとともに、今後さらに事業を拡充して総合的な選手強化を図ってまいります。
 次に、土曜日の登校の実現についてでありますが、現行の学校の教育内容を示している学習指導要領は、学校週5日制の趣旨に基づきその範囲内で指導することを原則としており、また、教職員の勤務時間についても週5日制を前提としております。このような中で、各学校においては、学習内容の確実な定着を目指して教育活動に取り組んでいるところであります。このことから、制度的な規制から限界があり、すべての学校、すべての教員が一斉に土曜日の授業を行うということについては難しい状況にあると感じております。
 しかしながら、土曜日の過ごし方については、議員御案内のような状況が見られることもありますことから、制度自体を考えていくことも必要であると考えられ、全国的な状況を把握しながら必要に応じた措置を講じてまいりたいと考えております。
 なお、土曜日などの活用は、本県においても、運動会などの学校行事、保護者や地域の方々を招いての参観日、保護者や地域とのかかわりの中で、土日でなければ実施できない教育活動などが学校の主体性と特色を生かしながら取り組まれております。
 次に、自然に触れる体験学習の取り組みについてでありますが、小学校での取り組み状況は、教育課程編成状況調査によりますと、平成20年度、22年度ともに100%となっております。その活動内容といたしましては、自然体験活動、農作物等の栽培活動、動物の飼育活動、ボランティア活動、環境美化活動などとなっております。
 その成果といたしましては、本県における豊かな体験活動推進校を対象とした調査によりますと、子供たちにとって、身近な自然に親しみながら、命のつながりや大切さについて深く学ぶ機会となっております。また、人間関係を構築する力、他と協調して生活する力を育てることができるというふうに考えております。
 このような成果を踏まえまして、児童生徒が、規範意識や社会性、命を大切にし他人を思いやる心などを身につけ、豊かな人間性の育成が図られるよう、今後も学校における体験活動の充実を推進してまいりたいと考えております。
 次に、不登校についてでありますが、平成21年度に公立学校において30日以上欠席した児童生徒数は、小学校137人、中学校847人、高等学校507人であり、前年度と比較しますと、小中学校では人数、出現率とも減少しましたが、高等学校では人数、出現率とも増加しております。
 不登校への対応につきましては、児童生徒一人一人の状況に応じて登校を促す電話や家庭訪問による指導、援助を行うとともに、別室に登校させての個別指導などを行っております。また、専門的な助言や支援ができるようスクールカウンセラーを配置するなど、教育相談体制の充実を図っております。
 いじめによる自殺についてでありますが、本県において毎年数名の生徒がみずから命を絶つという痛ましい事案が発生しておりますが、いじめがあったという事実はなく、これまでいじめを原因とした自殺は発生していないととらえております。
〇39番(及川幸子君) それぞれ御答弁いただきましてありがとうございます。
 2点について再質問させていただきます。
 まず初めに、元気の出るまちづくりについてでありますが、魅力的で持続的なまちづくりには、何といってもその地域の特色を生かした、地域住民の意欲的、自発的な取り組みが必要不可欠であると考えます。
 私の地元の水沢は御存じのとおり偉人のまちとして有名でありますが、今、水沢の誇る3偉人、高野長英、後藤新平、斎藤實の好物を使用したおにぎりを売り出そうと、地元の40名の女性が一生懸命に取り組んでいるところでございます。これはB級グルメならぬ米級グルメであります。このような試みは商店街の活性化、まちづくりに大いに貢献すると考えますが、御所見をお伺いいたします。また、県として何らかの支援はできないのでしょうか、あわせてお伺いいたします。
 また、まちの中に行き交う人々を求めるためには、魅力ある店舗が立ち並ぶことや駐車場が整備されていることのほか、やはり居住環境の充実が重要となってまいります。高齢者専用の賃貸住宅、24時間体制の託児所、老健施設、習い事教室、公園などの憩いの場が提供されるなど、老若男女が触れ合えるまちづくりこそが求められると思います。
 その中で、高齢化社会が進展する今、特にも高齢者のための住宅の整備が必要と考えますが、高齢者専用の賃貸住宅の整備の促進についてどのように取り組んでいくのかお伺いいたします。
 2点目でございます。
 障がい者の施策について、いろいろと御答弁をいただきましてありがとうございます。
 障がい者の施策に関しては、高齢者福祉に比べて予算も限られていることから、人をいかに育てるか、マンパワーの充実が特にも重要であると考えます。
 障がい者と一口に申しましても、身体の障がい、知的障がい、精神の障がいと、それぞれ全く異なったケアが必要となりますが、障がい者に対して何か手助けをしたいという気持ちがあっても、実際にどうしていいかわからず、ただ傍観している場合もあるのではないでしょうか。
 今回、相談窓口を設置するに当たっては、障がい者から寄せられる相談、苦情は多岐にわたってくることが予想されるところであります。相談窓口を充実させるためには、特にも相談従事者の技量が大変重要になってくると思います。相談従事者に対する研修について、具体的にどういうものを考えているのかお伺いいたします。
 また、このたびの条例制定を進める過程で、障がい者の方々、県内28団体の方々と対話を重ねてまいりましたが、やはり直接意見交換することが重要であると改めて認識したところであります。県におきましても、今後なお一層障がい者の方々の意向把握に努めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか、お伺いいたします。
〇商工観光労働部長(齋藤淳夫君) 米級グルメに関するお尋ねでございますが、こうした取り組みは、商店街の活性化やまちづくりを進める上でも、話題性があって新たな魅力につながるものと受けとめております。
 このような取り組みに当たりましては、県といたしまして、事業内容を検討する場合には、商品開発、レシピ開発、デザイン開発、販売開拓などに関する専門家によるアドバイス、試験販売を行いたい場合には、チャレンジショップへの出店機会の提供、商店街と連携して取り組む場合には、いわて希望ファンドによる助成などの支援策を有しておりますので、詳細につきましては最寄りの県南広域振興局に御相談いただければと思います。
〇県土整備部長(平井節生君) 高齢者専用の賃貸住宅の整備促進についてでございますけれども、県としても、これまで岩手県高齢者住宅政策大綱を定めて供給促進に努めてまいりました。現在、県内において約500戸の住宅が整備されております。
 今般、サービスつき高齢者向け住宅の登録制度の創設等を内容とする、いわゆる高齢者住まい法の改正案が閣議決定されたところでございますが、岩手県におきましても、現在、高齢者居住安定確保計画の策定に向けた作業を進めており、今後、その計画に基づいて民間事業者の誘導等を図り、高齢者専用の賃貸住宅の供給を促進してまいります。
〇保健福祉部長(千葉茂樹君) まず、具体的な研修内容についてでありますが、本県にとって、不利益な取り扱いに関する専門的な相談対応は条例制定によります新たな取り組みでありますことから、条例施行前の研修会におきましては、全国における先進県であり、過去3年間の相談活動実績を有しております千葉県から関係者を講師に招き、実際にあった相談事例などをもとに、その対応の手法、スキルなどを学びたいと考えているところでございます。
 また、議員御指摘のとおり、障がいにはそれぞれさまざまな特性があり、その特性に応じた相談対応が求められますことから、障がい種別ごとに留意が必要な事項について確認する内容について研修に盛り込むこととしております。
 さらに、さまざまな相談が寄せられることが想定されておりますので、地域における関係者の知見や経験なども十分活用させていただく必要があるものと考えておりまして、関係機関の連携体制についても研修の中で確認していきたいと考えているところでございます。
 次に、障がい者の方々の意向把握についてでありますが、県ではこれまでも毎年度、障がい者関係団体との意見交換会を開催し、各団体を通じまして、障がい当事者やその支援者からの御意見、御要望を伺ってきたところでございます。また、各団体が開催する会議、研修会などにも職員が出向き、県の障がい者施策に対する御意見、御要望をちょうだいし、可能な限り施策に反映させてきたところでもございます。
 今後とも、引き続きこれら意見交換の場を活用して、県の障がい施策に対する御意見、御要望をちょうだいいたしますとともに、特に来年度につきましては、条例施行前に障がい者関係団体に対し、条例に対応する県の推進方策や個別事案解消の仕組みなどにつきましての説明を行うこととしておりまして、あらかじめ御意見をちょうだいしたいと考えているところでございます。
〇議長(佐々木一榮君) 以上をもって及川幸子さんの一般質問を終わります。
 次に、小西和子さん。
   〔12番小西和子君登壇〕(拍手)

前へ 次へ