平成23年2月定例会 第20回岩手県議会定例会 会議録

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〇25番(飯澤匡君) 地域政党いわての飯澤匡でございます。会派を代表して質問する機会を与えていただきました先輩、同僚議員に感謝を申し上げます。
 質問に先立ち、昨年12月下旬から年末年始にかけて、大雪、暴風等により被害を受けられた皆様に心からお見舞いを申し上げます。補正予算が議決をされましたので、県当局においては、復旧に向けた迅速かつ確実な対応をお願いするものでございます。
 年末年始の大雪による被害は、農林水産業の直接的なものだけではなく、被害が甚大であった県北地域において、交通路の遮断、渋滞が起こり、県民生活に大きな影響を与えました。特に、4日間ものIGRいわて銀河鉄道の運行停止は創業以来初めてとのことであります。倒木、着雪に起因する停電も県民の心理的な不安を増幅させました。反射式ストーブを求めホームセンターに出向いたものの、品薄で肩を落として帰宅した方が多くいたとも聞いております。
 県は、12月30日午後10時42分に警戒本部を設置しました。1月4日の午後8時15分に廃止するまで、任に当たった職員の方々、関係者の方々には、休日を返上しての任務の遂行に対し、心から敬意と感謝の意をささげるものでございます。
 今回の災害対応にあっては、災害を減ずる減災という観点から、初動の態勢に不備はなかったか、関係機関との連絡調整は十分であったか、交通路の確保や迂回路の情報提供のあり方に問題はなかったか、全庁的に検証と対策を講ずる必要があります。
 今回は自然災害であることから、JR貨物からIGRいわて銀河鉄道への補償を求められることはないと聞いておりますが、本県としては、今後とも、貨物線路使用料制度の問題もあることから、運行停止期間を1時間でも短縮する県の努力が必要でしたが、その対策も不十分でした。検証への取り組みは、総務部を中心に既に検討を始めておるとのことですので、議会に対して検証結果と対策の早急な報告を求めます。
 災害対応は現場主義の最たるものであり、刻々と変化していく状況の分析と即時の対応が求められます。県組織の機動性が問われるものであり、まさに県政運営体制の究極と言えます。情報を生かし、前々と策を講じ二次災害を防止する、これこそ減災の基本と言えます。現場で判断する本県の最高責任者はだれか。言うまでもなく知事であります。
 今回の大雪で島根県と鳥取県は自衛隊に災害派遣を要請し、孤立したドライバーの救出にいち早く対応しました。自衛隊法第83条によれば、都道府県知事は、天災地変その他の災害に際して、人命または財産の保護のため必要があると認める場合には、部隊等の派遣を防衛大臣またはその指定する者に要請することができるとされています。知事が判断をするのであります。
 そこでお伺いしますが、知事は警戒本部の設置期間中、自衛隊の派遣要請を含め、ライフラインの確保等、県民生活への影響を防ぐために、あなた自身がどのように行動し、判断をされたのかお示しをいただきたい。
 新聞報道によれば、あなたは、警戒本部が設置中のさなか、元旦に上京されたと伺っております。参考までに、元旦の時点で停電戸数は4市7町2村で、4日間を通じてピークの1万7、482戸でありました。情報が集中し、適切な判断を可能にする警戒本部周辺から県の最高責任者が離れた理由は何なのか、県民に説明する責任があると考えますので、明確な説明を求めます。
 達増知事、あなたはかつてリーダーの役目とは何か問われ、サバンナの群れにあって、いち早く危険を察知して群れ全体を危険から守るのがリーダーたる役目と言いました。あなたは、群れからみずからの意思で離れたのではないでしょうか。今回の行動は、明らかにあなたの言動とは矛盾していると思いますが、いかがですか、説明を求めます。あわせて、災害時の現場主義をどのように考えておられるのかも伺います。
 それにつけても、しんしんといつとも果てぬ降りしきる外の雪、ろうそくの炎を見つめて被災地の県民は何を思っていたか、心中察するに余りあるものがあります。
 平成14年の砂鉄川災害の折、私は、当時の東山町災害本部にあって、今でも鮮明に記憶に残るのは、災害対策本部で陣頭指揮をとり、町民の苦しみを少しでも取り除こうとする町長の姿でした。その姿が、後の劇的な砂鉄川の復興を導いたと確信しています。
 県の政策推進にあってはトップマネジメントが不可欠であることは言うまでもありません。政策が精緻に富んでいても、トップが導く推進力がなければ全く意味をなしません。行政運営が地域経営と言われる今、現場主義を見失ったとき、トップマネジメントの行動力、影響力はどうなるのか、そのとき部下の士気はどうなるのか、改めて達増知事に、今回の災害対応を通じ、あなたの想定しているトップマネジメントの責任と原動力とは何かを教えていただきたく存じます。
 さきの知事演述において1期4年の成果が示されました。希望王国マニフェストに記された内容が希望創造プランに落とし込まれた四つの重点目標、すなわち県民所得の向上、雇用環境の改善、人口流出の歯どめ、地域医療の確保について取り組んだことは報告されましたが、客観的かつ具体的な検証には触れていませんでした。知事が4年前のマニフェストで岩手の危機として挙げた数字と、その後の推移は、販売農家1戸当たりの年間農業所得77万円から50万円に、県民1人当たり年間所得にあっては241万円から221万9、000円に、目標の260万円にはほど遠く、1996年度以降で過去最低となりました。経済成長率も3年連続マイナス成長でありました。これらの数値から判断して、危機が希望にどのように変わったのでしょうか。
 喫緊の課題である雇用対策では、昨年度目玉にした国の交付金を活用した基金事業と産業振興施策で4、142人の新規常用雇用を生み出す、2010年度雇用創出計画に基づく取り組みの経過とその成果はどのようになっているでしょうか。
 政策は、投資額に見合った成果、達成度を客観的に分析して、初めて政策の二次展開が図られるものであり、知事の所見は自画自賛、楽観的な主観の域にとどまっていると感じますが、いかがでしょうか。
 マニフェストサイクルが十分に機能してこそ、県民への政策浸透が図られると思いますが、知事は、自身の掲げた希望王国マニフェストのマニフェストサイクルをどのように展開されたのでしょうか。あわせて、重点目標の達成できなかった要因と、達成に向けて今後どのような施策展開をするのか、明確に示していただきたい。達増知事は次の任期への出馬を声明しましたが、次の任期のマニフェストはいつ公表されるのでしょうか、お知らせ願います。
 次に、地域主権型社会の実現に向けた本県の取り組みについて伺います。
 昨年の6月に地域主権改革大綱が閣議決定され、国と地方との関係を、依存と分配の仕組みから自立と創造の仕組みに変え、地方公共団体の自由度を拡大し、自主性及び自立性を高めていくことで、国と地方が協働して国をつくることが目指す方向とされています。私は、地域主権改革の本質は、上から降ってくる地域主権を待つのでなく、我々地方に住む住民が主権の意義をよく理解し、主権の果実をみずからの手で育て、つかみ取る覚悟を持ち、住民自治の力を高めることと考えます。よって、本県においても自主的な改革の動きを加速していかなければなりません。
 質問の第1は、ひもつき補助金の一括交付金化についてであります。一括交付金化により使い方の自由度が増し、例えば農業分野で特色ある産地形成など思い切った独自の政策を立案、実行できるメリットが考えられます。そこで、庁内部署の企画力強化を初めとした組織のあり方をどのように想定しているのかお知らせ願います。また、一括交付金が国においては各自治体への配分基準を客観性のある透明性の高いものにすることは必然でありますが、本県でも政策形成の透明化をより進めていかなければなりません。政策形成のプロセスが、さかのぼることが可能な、県民が参画できる仕組みが必要と考えます。知事部局の政策形成の進化と政策版トレーサビリティーを求めますが、考えを示していただきたい。
 一方、財政的自立の獲得と住民自治に力を入れるという目的で使用できるなら、地方にとって前進となる一括交付金化も、国が地方に金を配るという構造において全く変化はなく、一括交付金を所管する省庁に自治体からの陳情が殺到するのではという指摘があります。国からの財政的な自立をしていくためには税源移譲が必要不可欠でありますが、この議論はいまだ成熟しておりません。税源移譲を実現するための地方からの発信、行動が求められますが、知事の所感と決意を伺います。
 質問の第2は、地方自治法の抜本見直しについてであります。
 地方主権改革を進めるため、地方政府基本法の制定について総務省の地方財政検討会議において検討を進めることとされています。日本国憲法第93条には、議事機関として議会を設置すること、長と議会の議員が直接選挙することを求めており、現在、地方自治が二元代表制を採用し、基本構造を一律に定めております。地方自治法が一律に定める現行制度とは異なる組織体系があり得るかを検討することが検討会議の主題となりそうですが、私は、二元代表制の議会に与えられた権能を十二分に生かし切っているかどうかをまず問題提起すべきと考え、議会側がより一層の改革や有権者への発信を積極的に行うことや、政策提言を通じ、みずからのマニフェストサイクルを機能させることにより、住民の政治参加を促進させることにつながると考えます。地域政党いわては結党の理念としてそれらを掲げ、首長との善政競争することを約束しています。知事の地方自治法の抜本見直しに対する所感を伺うとともに、知事と議会が建設的に政策を仲介して対峙し、議会側からの政策提案や政策議論が、より県民にわかりやすくする観点から、二元代表制を発展的に機能させることを知事に求めますが、考え方をお示し願います。
 質問の第3は、地域内分権についてであります。
 知事の新地域主義戦略による広域振興局体制がしかれました。将来的には多くの権限を移譲し、行政の完結性を高め、それぞれの広域振興圏が地域の事情に応じた政策を実行していきたいと述べていました。
 そもそも広域振興局体制は産業振興が主眼でありましたが、達増知事になり、より高度な完結性を追求していくことに目的が拡大しました。それを実現するためには自由裁量権を可能な限り与えることが必要ですが、完結性を高めるため今後どのような県庁内分権を進めようとするのかお聞きします。
 また、市町村合併を進めた自治体においては、地域内分権の取り組みが花巻市や一関市などで進んでいます。これまで私は、市民の行政参加意識を高めるために、積極的な県の情報提供や、市町村と一緒になって自治体と住民組織のあり方について研究を促してきましたが、実態がよく見えません。これまでの実績と今後の方針についてお聞きします。
 戦後60有余年の長きにわたって、アメリカ文化の支配によって日本は多くのものを失った。長い年月を通じて大事に守られ、次から次への世代へと伝えられてきた大切な社会共通資本、特に農業、医療、教育にかかわる多くのものが毀損されてしまったと宇沢弘文東大名誉教授は指摘をしております。期せずして地域政党いわてが現在提示をしている2011マニフェスト、愛郷三策の3本柱は農業、介護、教育であり、これらの政策実現を通じ、我が国固有のコミュニティを中心にした精神的文化の再生や産業構築を岩手から情報発信していくことに意を強くしているところであります。
 それでは、以下、提案も交えて質問させていただきますので、明快な答弁を期待します。
 TPP協議開始の閣議決定は、あわせて適切な国内改革を先行的に推進するとして、国内の農業強化策などを検討する食と農林漁業の再生推進本部を立ち上げ、本年11月のAPEC前に基本方針と基本行動を定めることとしています。政権交代後に基盤整備、農地流動化、認定農業者制度、集落営農の農機整備のための強い農業づくり交付金等を削減、廃止し、行政刷新会議の事業再仕分けでも普及指導事業や担い手育成に係る事業を切り捨ててきました。戸別補償政策に大きくかじを切り、その制度設計が結果として米価の下落を招いて生産者の意欲をそぎ、今さら今度は農業構造改革とは、TPP参加へのつけ焼き刃的発想としか映りません。現政府の意思決定プロセスには透明性がなく、不連続であり、納得できないものばかりであります。
   〔副議長退席、議長着席〕
 本県農業は、このような国の不連続な政策に翻弄されることなく、腰の座った揺るぎのない農業施策を展開していかなければなりません。幸いなことに、本県農政は、意欲と能力のある担い手を確保、育成し、担い手が中心となった農業構造を構築することを目標とし、特に担い手対策としていわて希望農業担い手応援事業は、財政厳しい折に一定の予算を措置していることには評価をいたします。しかし、産地づくり交付金など生産者に好評を得た支援メニューも消え、米価の下落や唐突なTPP参加発言など、国の農政が不安定であることも相まって、生産者は将来の営農に不安を抱えています。そこで、知事には、現在の国の農政のあり方に関して、本県農業の将来像に照らした評価をお示し願います。また、これらの現状を踏まえ、知事には次の提案について考えを示していただきたい。
 地域主権改革を機とし、本県独自の担い手育成と産地形成を徹底強化する戦略的な施策展開と、土地利用型の農業を発展させていく政策誘導が不可欠であると考えます。それらの施策を機動的に行うには、現行の国の補助金メニューに従って構築されたと思われる管理型本庁組織を目的達成型に大胆に改編するとともに、気候風土を最大限に生かすために、広域振興局には産地形成のための自由裁量度の高い予算を配置すべきと考えます。意欲ある生産者が営農を継続していくには、生産者に対してインセンティブのある予算体系が必要です。さらに、産地形成においては、他県と比較して農業団体との連携がまだまだ不十分な点を検証し、より機動性のある連携体制の構築を求めます。
 以上について知事の考えをお示し願います。
 医療、介護については、人口減社会を想定した踏み込んだ施策展開が望まれます。先日、県がまとめた地域医療に関する県民意識調査によると、地域医療に満足感を持っている人は45.9%で、前回調査、2008年度より3.8ポイント低下し、二次医療圏域別でも、民間移管が実施された花泉を含む両磐医療圏は1.4ポイント低下した結果が出ました。これらの調査から、県の医療行政が抜本的な解決をなされていないことがうかがえます。
 医師の定着はいまだ道半ばであり、私は、現状のままでは事態の打開は困難と考えます。医師の量的確保には、保健福祉部が前面に出て、医師の招聘を一元的に行う仕組みをつくることが必要と考えます。例えば医療局は病院局として保健福祉部の組織に組み入れ、医療政策を担う責任体制を明確にする組織形成することを視野に入れることを提言します。
 一方、議会の増額補正の実現から医療圏ごとの地域医療に関する懇談会を起点として、千厩病院を守り隊─朝顔のたねなどの勤務医の負担を軽減するボランティア組織の活動が活発になってきました。地域医療懇談会からの提言を受けて、広域振興局がソフト事業支援の対策をタイムリーに行ったことには評価をいたしますし、今後とも拡充を望むものであります。
 地域医療を守るには、医療と市町村が所管する福祉行政との発展的な連携が不可欠であり、具体的には地域包括支援センターの機能の充実を図ることが喫緊の対応と考えます。したがって、当面、県から、ノウハウを有した切れ目のない継続的な人的資源の支援や、機能充実のためのアクションプランの策定への支援が必要になると考えます。
 以上、提示した課題認識と現状の取り組み、提言に対する所見を伺います。
 地域に出て話を伺いますと、高齢者の方々は、行政からのサービスに甘んじることなく、できる範囲で主体的な介護に関する活動に参画したいとの声が最近多く出てきました。身近な地域社会で安心して生活できるコミュニティづくりを進めるために、このような元気な高齢者を初めとした県民力を引き出す環境づくりに力点を置き、県は介護ボランティア応援県を目指すべきと考えますが、いかがでしょうか。
 教育について伺います。
 人づくりは国づくり。少子化が進む本県において、人材育成に係る教育の占める重要性は今後ますます高まります。学ぶ力と生きる力を伸ばす取り組みが求められます。いわて県民計画における教育・文化10項目のうち、1、学校、地域と協働する目標達成型の学校経営の改革、2、児童生徒の学力向上に関して達成度はどうなっていますでしょうか、お知らせ願います。
 一つ例を挙げて問題提起しますと、医師の定着のため、本県の医学生奨学金制度は3種類で55名の枠がありますが、80名規模まで拡充しないと、本県に必要な確保ができないとの指摘があります。ここ数年、医学部医学科に合格する本県の高校、生徒の数がふえてはいますが、さらにすそ野を広げる必要があり、これからは学力の向上とキャリア教育と密接にかかわりを持たせることも重要と考えます。昨年、いわてキャリア教育指針が策定されましたが、さらに生徒に対する職業観の動機づけに力を入れる必要があると考えますが、いかがでしょうか。
 市民たる、社会人たる責任を植えつける社会教育にも力を入れることが求められます。民主主義をかち取ったフランスでは、小学校のカリキュラムに週に2回、半日、行政サイドから市民教育、納税の意味、政治への参画意識の啓発活動を行っています。私たちは、自然に地域社会の中で教育されてきましたが、世の中の成熟化が価値観の断片化を招く昨今の状況から、本県でも、市町村教育委員会と連携し、本県の歴史教育も加味した県民社会教育の充実と対応を求めます。御所見を伺います。
 最後に、国際リニアコライダー計画─ILCについてお伺いします。
 2012年にはILCの国際設計チームによる詳細設計が完了し、その後に建設地が決定される予定になっています。我が国の候補地が本県の北上高地と北九州の脊振山地の2カ所に絞られたことや、日本の研究グループが我が国の山岳地帯に適応した独自の日本版山岳地帯シングルトンネル設計案を提案して高い評価を得るなど、環境整備に向けた動きが活発になってきました。
 また、奥州市や一関市において、一般市民や学生対象の基礎物理学やILCへの理解を広める講演会の機会もふえてきました。
 私は、何より、現時点では正しい理解の啓発が重要であると認識をしており、過去のSPring-8の誘致に係る苦い経験も生かし、県においては、科学技術分野などの情報提供や関係機関との連携した環境整備に努めるべきと考えます。
 昨年、奥州市で行われた講演会で、ILCが建設され運用される街、国際科学研究都市とは一体どんな町になるのかというスタディの機会がありました。講師の考察によれば、ILCの国内外の広報活動を進めるためにも、国際科学研究都市を形成するビジョンと計画の早急な策定が求められるとの発言があり、ILC理解に関して、これから一関市や奥州市民、住民を巻き込んだ周知理解から、地域住民が創造へと次なる段階に入ったのではないかと思います。
 そこで、現時点での課題をお伺いします。
 1、改めてお聞きするILC建設誘致に係る本県における学術的意義と経済的効果をどのように考察するか、2、国際科学研究都市形成のためのビジョン策定に関する県の役割とは何か、3、平成22年度予算で計上された花崗岩帯の地下調査の結果はいかがであったか、以上、3点お伺いをいたします。
 先月、平泉町を初め県南の五つの自治体が自動車ご当地ナンバー、平泉ナンバー実現に向けてスタートを切る大会が一関市内で開催されました。平泉世界文化遺産登録が期待される今、時宜を得た大会でありました。今後、実現に届く可能性の高い二つの登録実現と、ILCの夢の実現が続くことになれば、県南地区が、副県都はおろか、国際文化研究都市の誕生へと夢はさらに広がります。今日の国際研究都市の形成には自然との調和が必然的なテーマとなっており、これらの実現に向けての取り組みが、本県の優位性が内外に示される絶好の機会であります。そのためには、実現に向けた準備、そして不断の怠りない活動を、県民を巻き込んで着実に積み重ねていかなければなりません。とりわけ土台基礎となる農業を含んだバランスのとれた産業構造形成は不可欠であります。果たして、今の岩手県が、10年後まで見通した戦略的、機動的な塊になっているか。その基本となる目的を達成するモチベーションの高い人材を育て、動かす庁内風土、機構となっているか。さらに言えば、人が人を育てるという極めて基本的な仕組みが機能しているかどうか、よくよく本質からしっかり考察する必要があることを問題提起して、私の質問を終わります。
 御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 飯澤匡議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、警戒本部設置期間中の経過行動と判断についてでありますが、12月30日の暴風波浪警報の発表と同時に、総合防災室長を本部長とした県災害警戒本部を設置するとともに、沿岸部の四つの地方支部も立ち上げ、被害の発生状況や市町村等の対応状況などの把握に努めたところであります。
 県の災害対応の体制としましては、災害警戒本部において被害の発生状況や関係機関による対応状況の情報収集を行いながら、必要に応じて応急措置の実施を行うこととしており、被害が拡大、または拡大するおそれがあり、県として応急対策を実施する必要がある場合には、知事を本部長とした災害対策本部に移行することとしております。
 今回の災害では、県災害警戒本部において、市町村、ライフライン関係機関及び県の関係部局と連携しながら、人的被害や住家被害及びライフラインなどの被災状況及び関係機関による対応状況の把握に努めたところであり、状況に応じていつでも私に報告をさせる態勢としていたところであります。そして、総務部長から被害の状況について電話で報告をさせ、私からは、県民の生命、財産に危険が及び、かつ市町村等の対応能力を超えるような場合には、自衛隊への災害派遣要請について調整を図るよう指示をいたしました。これを受け、担当部において自衛隊に対し情報の提供を行うとともに詳細な被害の状況の把握に努め、最終的には、市町村との調整を行った結果、現地において対応が可能とのことでしたので、自衛隊への災害派遣要請は行わなかったところであります。
 次に、私の対応についてでありますが、ただいま申しましたとおり、災害警戒本部は、総合防災室長を本部長として、関係機関と連携を図りながら情報の収集に当たっており、被害の状況に応じて、いつでも私に報告をさせる態勢にあったところであります。
 1月1日には、ツイッターを活用し、県民に向け、お見舞いのメッセージを発信するとともに、2日には県庁に登庁し、被害状況や復旧状況を確認の上、県管理の幹線道路の復旧状況について、ツイッターで県民向けに情報発信を行ったところであります。
 次に、災害時の現場主義についてでありますが、災害時の対応においては、現場の状況を的確に把握した上で適切な対応策を講じることが肝要であり、その上で、必要に応じて私が直接現場に足を運び、詳細を把握することが重要と考えております。
 今回の災害においても、災害現場から関係機関を通じて情報を収集したところであり、災害の全貌を把握しながら、必要な対応策を講じることができたものと考えております。
 次に、トップマネジメントの責任と原動力についてでありますが、私が知事として心がけていますのは、知事の仕事は知ることに尽きる。岩手が今どうなっているのか。だれがどこで困っているのか。どうすればその問題が解決するのか。それを知ることができれば、あとはそれを実行するのみということであり、そのためには、常日ごろからの情報収集が肝心であると考えております。
 このため、直接地域に出向き地域の方々の声を聞くことはもとより、さまざまな情報収集手段を活用するなどして、地域の実情をしっかりと把握した上、強い信念とリーダーシップのもと、一つ一つの県政課題に的確に対応していくことによって、適切で責任あるトップマネジメントが図られるものと考えております。
 次に、希望王国マニフェストの検証についてでありますが、危機を直視して実態をつかみ、その本質を見きわめ、適切な対策を打ち、解決に向けた道筋をつけることによって、希望を持つことができると考えております。
 このため、知事就任以来、本県の置かれている現状や課題の把握に努め、いわて希望創造プランといわて県民計画のアクションプランを策定し、緊急かつ重大な課題である県民所得、雇用環境、人口減少、地域医療の課題解決に向けた方向性を明らかにし、さまざまな施策を推進してまいりました。
 こうした取り組みの結果、県民の底力の発揮と相まって、国民所得と県民所得の格差は縮小し、人口の社会減にも一定の歯どめがかかるなど、一定の手ごたえを感じております。
 本県の経済、雇用環境や地域医療を取り巻く環境は、なお厳しい状況にありますが、そうした中にあって、買うなら岩手のもの運動や、県民みんなで支える岩手の地域医療運動など、県民総参加型の運動が広がりを見せており、県民が一体となって危機に立ち向かうことにより、希望につながる主体的な力が引き出されているところであります。
 次に、雇用対策についてでありますが、今年度の4、142人の常用雇用の創出目標に対して、現時点では、雇用対策基金事業の推進により3、479人、産業振興施策の展開により1、184人、合わせて4、663人の雇用を創出し、達成率が112.6%となっており、最終的には、これを大きく上回るものと見込んでおります。
 次に、成果への所見についてでありますが、いわて県民計画のアクションプランなどに掲げた県民所得、雇用環境、人口減少、地域医療に関する目標については、政策評価を通じて、取り組みの成果と課題などを検証し、その結果をもとに、県内各地域の状況や県民の声なども踏まえ、知事演述において言及したものであります。
 なお、政策形成を客観的な観点から支援する政策評価は、指標の達成度とともに、事業予算、人件費などの投入コストに係る費用対効果はもとより、県民ニーズ、社会経済情勢などを総合的に勘案しながら実施しており、この政策評価の結果を踏まえ、より効果的な事業手法のあり方や政策の優先度などを常に見直しております。
 次に、希望王国マニフェストのマニフェストサイクルについてでありますが、私が前回の知事選挙で掲げた希望王国マニフェストでお示しした戦略や政策については、知事就任後、県として策定した希望創造プランやいわて県民計画のアクションプランに具体的な施策として織り込み、重点的に推進してきたところであり、その着実な推進を図るため、毎年度、政策評価を行い、政策項目ごとに主要な指標の達成度や課題、今後の方向等を明らかにし、公表しているところであります。
 次に、重点目標を達成できなかった要因と今後の施策展開についてでありますが、いわて希望創造プランに掲げた四つの重点目標については、同プランとの継続性に留意して策定したいわて県民計画アクションプランに引き継ぎ、施策の展開を図ってまいりました。
 雇用環境については、雇用対策基金等を活用した雇用の創出や新規学卒者等への就職支援などを行ってきましたが、世界的な金融危機の影響を受けた企業業績の悪化等により、雇用情勢は依然として厳しい状況となっています。
 県民所得については、社会経済情勢が目まぐるしく変化し、デフレ状況のもとで、国民所得も大幅に減少している中で、数値目標の達成は難しい情勢となっていますが、たゆまぬ施策の積み重ねにより、国民所得に対する県民所得水準の乖離の縮小につなげました。
 地域医療については、医師や看護師等の地域医療を担う人材の養成、確保などに取り組み、県民一人一人が地域の医療を支える体制づくりを進め、病院勤務医師数の増加などの改善傾向が見られています。
 人口については、今後、成長が期待できる分野の産業振興や雇用の場の確保、定住、交流の促進などに取り組み、本県の人口の社会減に一定の歯どめがかかりましたが、引き続き、人口の自然減への対応など、人口減少対策を総合的に進める必要があります。
 今後の施策展開については、次の選挙で選ばれた知事のもと、次期アクションプランを策定する中で具現化されるものであります。
 知事候補予定者の立場での答弁になりますが、いわて県民計画の推進によって、かなりの効果が出ていると考えておりますので、今後、いわて県民計画のさらなる推進によって、施策展開をすべきであると考えます。
 次に、次期マニフェストについてでありますが、知事候補予定者の立場での答弁になりますが、現在、ブログ─希望マニフェスト会議室を活用して、いわて県民計画の着実な推進が基本姿勢であることをお示ししつつ、県民の皆様との議論を試みているところであります。いつ公表するかにつきましては、選挙対策本部とも協議をして決めてまいりたいと思います。
 次に、一括交付金化を踏まえた組織のあり方についてでありますが、地域主権型社会の実現に向けては、国の制度改革を待つことなく、地域みずからが主体的に考え、行動する取り組みを積み重ねていくことが重要と考えております。
 このような認識のもと、本県の実情を踏まえた実効ある施策を推進していくため、これまでも、本庁各部局に企画担当セクションを置くなど、各部局の企画機能を強化するとともに、今年度は、政策地域部の設置や4広域振興局体制の整備を行うなど、県全体として企画立案、推進機能の強化を図ってきたところであります。
 今後も、政策地域部の総合的な政策の企画調整機能のもとに、各部局と広域振興局が各分野の施策を立案し、実行していくという体制を基本としつつ、職員の企画立案能力の一層の向上を図りながら、希望郷いわての実現に向けた主体的な取り組みを推進することが必要と考えております。
 次に、政策形成の透明化についてでありますが、地域社会を構成するあらゆる主体の総力を結集した地域経営を実践していくためには、企画立案の段階から県民の参画を進めることが重要であります。
 いわて県民計画の策定に当たりましては、県民アンケート調査や県内各地での懇談会の実施、構想のアイデア募集等により、広く県民の意見や提言の把握に努め、それらを計画に反映させてきました。
 また、政策の実効性を高めるためには、立案した計画に基づき施策を実施し、その評価を通じて、次に実施する施策を見直していくという一連のマネジメントサイクルを機能させ、計画を着実に推進していくことが重要と考えております。
 このため、県がみずから行う政策評価に加えまして、県民意識調査やNPO等による県民協働型評価などを行って、その結果を広く県民に公表した上で政策形成に反映させております。
 今後とも、マネジメントサイクルのそれぞれの段階で、県民の参画が図られるよう工夫しながら、政策形成の透明性の確保と県民の意向を踏まえた政策展開に努めていくことが必要と考えております。
 次に、税源移譲の実現に向けた地方からの発信、行動についてでありますが、地域主権改革の推進に当たり、住民本位の行政サービスの提供のため、税源移譲も含めた地方税財源の充実による財政的自立は必要不可欠なものであります。
 全国知事会においても、地域主権改革型の国づくりに不可欠な地方税財源の確保、充実に向け、国と地方を通じた税制の抜本的な改革の推進など、地方税財源の充実を強く訴えてきたところであり、今般の税制改正大綱においても、地方税の充実と地方自治の確立に向けた地方税制度改革の実施が明記されたところであります。
 今後におきましても、全国知事会等を通じ、引き続き、地域主権改革の実現に向けた取り組みを強く求めていく考えであります。
 次に、地方自治法の抜本見直しについてでありますが、長と議会の関係や地方公共団体の基本構造、議会のあり方など、地域主権型社会の主役となる地方が、みずからの責任と判断のもと、住民に身近な行政を担うことができるよう、あるべき地方自治法制について、総合的に議論していく必要があると考えております。
 次に、議会と長との関係についてでありますが、我が国の地方自治においては、議会と長との適切な相互牽制と均衡のもと、いわゆる熟議の民主主義を実践し、県民に開かれた政策論議を通じて、県民生活の向上を図っていくことが必要であります。
 そのため、長と議会の双方が常に県民の声を踏まえつつ、議会の場を通じて、最終的な民意の統合を図るべく、それぞれの役割を十分に果たしていかなければならないと考えております。
 次に、広域振興局の自由裁量権についてでありますが、県では、4広域振興局体制のもと、現場主義と全県的統一性、専門性・効率性の確保とのバランスに配慮しながら、広域振興局と本庁が適切な役割分担を行い、住民に身近な事務については、できる限り広域振興局に移管し、圏域における事務の完結性を高めています。また、広域振興局長の裁量で執行できる予算を措置し、地域の課題に即した、より実効性の高い施策を展開できるようにしております。
 今後も、これまでの取り組みの検証を進めながら、広域振興局長のリーダーシップのもと、現場主義に立脚した完結性の高い広域行政を推進することが必要と考えております。
 次に、地域内分権の取り組みについてでありますが、住民に最も身近な基礎自治体である市町村が、地域の実情や特色を反映しながら課題解決を行うため、住民が主体的に行政に参画する仕組みづくりの推進や、地域コミュニティによる自主的な地域づくりの促進などにより、それぞれの地域の自立性を高めていくことは望ましいと考えております。
 こうした取り組みは、一義的に市町村が担うべきものですが、県としては、市町村総合補助金による財政的支援やコミュニティ活動の人材育成、先進的な事例の情報提供などの支援を行っております。
 今後とも、県と市町村との適切な役割分担を踏まえた上で、必要な支援を行うことが必要と考えております。
 次に、農業振興施策についてのお尋ねであります。
 まず、国の農政のあり方に関する評価についてでありますが、本県では、地域農業の中心となる担い手と小規模、兼業農家が共存する、いわて型集落営農の確立を目指しておりますが、国は、農政転換の柱となる農業者戸別所得補償制度において、意欲ある農業者に対し一定の所得を補償することとしており、農業経営の安定化につながるものと期待しております。
 その一方で、人材育成や産地づくり、さらには、全国に比較して立ちおくれている農業農村整備に関する予算が削減されており、今後、本県農業の体質強化に向けた支援の充実が必要と考えております。
 また、農業振興に大きな影響が懸念される環太平洋パートナーシップ協定への参加については、国民の合意が得られるまで慎重に検討すべきものと考えております。
 次に、議員から御提案のありました組織、予算等のあり方についてでありますが、本庁組織の目的達成型への改編につきましては、組織は、本県の実情を踏まえ、担当部門が連携を図りながら、担い手育成や産地形成を含めた農業施策を推進できるようなものとして整えてきており、今後も、必要に応じて適切に見直し、連携して施策が推進できるようにしていきます。
 また、広域振興局の裁量による予算の配置につきましては、いわて県民計画アクションプラン地域編に定める施策を効果的に進めるため、広域振興局が主体的に取り組めるよう、地域振興推進費や広域振興事業を措置しております。今後においても、圏域における地域経営のツールとして、より効果的な運用を図る方向で検討しております。
 さらに、農業団体との連携につきましては、これまでも生産性、市場性の高い産地形成に向け、農業団体と連携しながら、米や野菜などの生産、販売戦略を策定するとともに、現地においても、地域協働による支援体制の確立に努めてきたところです。今後とも、産地の課題に応じて、農業団体と一層の連携強化を図りながら、機動的に対応できる体制を構築することが必要と考えております。
 次に、医療政策を担う責任体制を明確化した組織形成についてでありますが、現在、医師確保対策については、保健福祉部が中心となり、医師確保対策アクションプランに基づくさまざまな取り組みを進めているほか、保健福祉部と医療局の共管組織である医師支援推進室の設置により、医師招聘活動などの取り組みを一元的に行っております。
 こうした中、奨学金による養成医師の配置が本格化する平成28年度以降においては、その計画的な配置や派遣等の調整を行うため、医療局と保健福祉部の一元的な管理体制が必要と考えており、先般、報告をいただいた県立病院等事業の経営形態等のあり方に関する報告書においても、医師支援推進室の拡充などを検討していくことが必要である旨、提案があったところです。
 今後においては、将来的な医療局と保健福祉部の関係をも視野に入れながら、医師確保に向けた組織のあり方について検討する必要があると考えております。
 次に、ボランティア組織の活動の支援についてでありますが、昨年度取りまとめられた地域医療に関する懇談会からの提言については、今年度も各圏域において、地域住民を含めその具体化に向けた意見交換を行うとともに、地域振興推進費を活用し関係団体等の11の取り組みを支援してきたところです。
 そうした中から、議員御指摘のような地域住民のボランティア活動など、さまざまな取り組みがスタートしており、地域医療を支える芽は、着実に育ちつつあると考えております。
 県としても、広域振興局長の裁量で執行できる予算を活用した事業の支援などにより、地域住民、関係団体と一体となり取り組みを推進する必要があると考えております。
 次に、地域包括支援センターの充実についてでありますが、県では、これまで、センター職員配置の充実を市町村に要請し、また、業務水準の向上を図るため、職員のスキルアップ研修を実施するなど、人材育成の支援に努めてきたところです。
 加えて、議員御提言の市町村に対する当面の支援については、来年度から一関市において、新たな医療と介護の連携体制づくりに市独自に取り組むこととしており、現在、県から派遣された職員が中心となって、地域包括支援センターを包含した連携の仕組みづくりや介護従事者の資質向上等、具体的な取り組みについて準備を進めているものと承知しております。
 この取り組みは、県といたしましても、一つの先進的連携モデルとなることが期待されますことから、当初予算案に一関市に対する補助事業を盛り込んだところであります。
 次に、介護ボランティア応援県についてでありますが、県では、いわて県民計画に福祉コミュニティの確立を政策項目の一つとして掲げ、住民相互の支え合いや見守り活動など、地域社会において、社会参加の機会が確保される環境づくりを進めているところです。
 特に、高齢者の社会参加については、県高齢者福祉計画において、高齢者の生きがいづくりと社会参加の推進を重点施策に掲げ、高齢者が自主的に行うさまざまな社会貢献活動への支援を行っています。
 現在、平成24年度以降の次期計画の策定に向け、県立大学、県長寿社会振興財団と高齢者の社会参加活動のあり方に関し共同研究を行っているところでありますが、議員の御提言も参考としながら、研究を進めていく必要があると考えております。
 次に、目標達成型の学校経営の改革についてでありますが、平成19年度より取り組みを開始したいわて型コミュニティ・スクール構想において、まなびフェストとして、具体的な目標を家庭や地域と共有した小中学校の取り組みが進むなど、すべての学校が学校経営計画を策定し、目標達成型の学校経営が各学校に定着してきており、おおむね順調に進んでおります。
 次に、児童生徒の学力向上についてでありますが、学習定着度状況調査の小学校5年算数、中学校2年数学の分布の範囲において目標値を上回ったものの、小学校5年算数及び中学校2年数学の中央値、中学校2年英語の分布の範囲と中央値においては目標値を下回っているなど、ややおくれている状況にあります。
 このような状況を踏まえて、教育委員会において、現状の課題を分析し、学校、家庭、地域が一体となって、なお一層の学力向上への取り組みを進めていくものと認識しております。
 次に、生徒に対する職業観の動機づけについてでありますが、児童生徒が将来の社会人、職業人として自立するためには、勤労観、職業観の育成は大変重要なものと認識しております。
 昨年、教育委員会では、いわてキャリア教育指針を策定し、キャリア教育の推進に学校現場全体で取り組んでいると承知しております。
 特にも、医師確保を初めとする本県の政策課題に対応した人材育成が重要でありますことから、教育委員会において、いわてキャリア教育指針に基づき、小・中・高の発達段階に応じた職業観の動機づけに向けた取り組みが行われるものと認識しております。
 次に、社会教育の充実についてでありますが、御指摘のように、近年、地域の教育力が低下傾向にあることから、社会人としての意識をはぐくむ観点からも、社会教育を中心とした取り組みにより、地域の教育力を向上させる必要があります。
 現在、各市町村においては、青少年の社会参加活動の充実、公民館活動を通じたボランティア活動の促進、生涯学習活動を通じた地域コミュニティの活性化等により、住民一人一人が人と人とのつながりを感じ、地域に積極的にかかわっていけるような環境づくりに取り組んでおります。
 また、学校教育においても、岩手の先人や歴史を初めとした郷土理解教育や、社会貢献活動に取り組んでいるところであります。
 さらに、みずからの地域や郷土いわての歴史に誇りと愛着を持ち、そのコミュニティの将来を担う一員としての自覚を高め、貢献していく環境づくりを一層進める観点から、本年10月に全国生涯学習ネットワークフォーラム岩手大会を開催することとしております。
 これを契機に、今後とも市町村と連携しながら、社会教育の充実に努めていく必要があると考えております。
 次に、ILC─国際リニアコライダー建設に係る学術的意義と経済的効果についてでありますが、ILCは、電子と陽電子をほぼ光と同じ速度に加速して衝突させ、ビッグバン直後の状態をつくり出し、物質の根源や質量の起源を探求しようとする極めて高度な学術的な意義を持ち、国際的頭脳拠点の形成につながるものであります。
 ILCの建設により、トンネル建設による直接的な経済効果に加え、1、000人を超える研究者とその家族の居住や、研究施設運営による地元雇用の創出、メンテナンス企業などの立地が想定されます。
 さらに、ILCは、超伝導技術、超精密加工技術を駆使することから、バイオテクノロジー、ナノテクノロジー、医療など、新たな産業の創出や関連産業の立地等による経済効果も期待されます。
 次に、国際科学研究都市形成のためのビジョン策定に関する県の役割についてでありますが、県では、いわて県民計画において、次世代技術創造いわて構想を掲げ、国際学術支援エリアの形成を進めることとしており、現在、この構想の具体化に向けた検討を進めております。
 また、東北地域の産学官から成る東北加速器基礎科学研究会では、国際学術都市調査研究分科会を立ち上げ、ILCが東北に立地した場合の受け入れ環境整備に向けた課題の整理検討を行っており、本県もこれに参画しております。
 これらの中で、海外研究者及びその家族の受け入れ環境や必要な都市機能などを明らかにし、あわせて、国際科学研究都市形成に向けた役割分担や必要な体制のあり方についても、検討を進める必要があると考えております。
 次に、花崗岩体の地下調査の結果についてでありますが、本調査は、東北大学と本県が共同で実施したもので、ボーリングなど現地地質調査については、昨年12月に終了し、現在は、採取した岩体の分析や人工振動などによる調査の解析作業を行っています。
 調査を行った地質会社からの中間的な報告によりますと、おおむね均質で安定的な岩盤が形成されており、トンネル建設に適しているとの評価となっております。
 3月末に取りまとめられる調査結果を関係する研究機関に情報提供し、今後は、東北大学と追加調査の必要性などについて、協議を行っていく必要があると考えております。 
〇議長(佐々木一榮君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後4時6分 散 会

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