平成23年2月定例会 第20回岩手県議会定例会 会議録

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〇43番(吉田洋治君) 民主党・ゆうあいクラブの吉田洋治でございます。
 このたび、同僚議員の皆様の御配慮により、昨年に引き続き代表質問登壇の機会をいただきましたことに心より感謝を申し上げます。
 政治の世界は離合集散の歴史でもあり、私が歩んできた道もそのものでありました。しかし、多くの先輩、同僚議員の皆さんと、我が郷土、岩手県勢発展のため行動を共有できたことは大いなる誇りであり、重ねて感謝を申し上げるものであります。
 質問に先立ち、年末年始に本県を襲った低気圧による影響で甚大な被害が発生し、県内各地で被災された皆様に対し衷心よりお見舞い申し上げます。同時に、お正月返上で災害復旧に従事された多くの方々に対し心より敬意を表し、改めて感謝申し上げます。
 質問の第1は、達増知事の県政への思いと決意についてお伺いいたします。
 知事は、昨年12月18日、自身の後援会連合会と民主党県連の合同後援会におきまして、次期知事選に再選を目指して立候補するとして出馬を表明し、前回同様無所属で、民主党県連に推薦要請をいたしました。出馬表明に当たって、地域医療は再生の兆しを見せ、企業誘致は新たな段階に入った。岩手競馬など、過去から持ち越された課題もめどをつけたと任期中の成果を強調しました。その上で、岩手のすばらしさと県民の可能性を感じ、大きな希望がわいてくる。激動する世界にあって、岩手が光り輝くよう、さらに力を尽くしたいと再選出馬の決意を述べたのであります。
 知事は、4年前、本県が直面する四つの危機、すなわち県民所得、雇用問題、人口減少、地域医療とそれらへの速やかな対応を掲げられ、危機を希望に変えるをスローガンに、県政課題を着実に解決へと導いてこられたと思います。
 今期4年間の知事在職中、岩手・宮城内陸地震、50年ぶりに襲来したチリ地震津波、そして今般の暴風、波浪、大雪など大きな災害に遭遇しました。しかし、知事を先頭に県民が一丸となって危機に立ち向かい、四つの危機への環境は徐々に整えられてきていると認識しております。過日の知事演述でも触れられていましたが、いわて希望創造プラン、そしていわて県民計画をどのような思いで策定されたのでしょうか。また、この4年間において、四つの危機に対応するいわば処方せんと言える2大戦略、新地域主義戦略、そしてソフトパワー戦略の展開の中で、知事としてどのような成果、手ごたえを感じてこられたのでしょうか。県民のあすに希望をともす力強いお答えと決意をお伺いします。
 次に、平成23年度当初予算案に対する基本的な考え方についてお伺いします。
 依然として厳しい社会経済情勢が続く中、当初予算案は、4月の知事選挙を控え、骨格予算となりました。総額は6、815億9、900万円で、同じく知事選を前に予算を組んだ平成19年度当初に比べ4%、263億7、500万円を上回る規模となっております。国の経済対策で造成した各種基金を引き続き活用したことも要因と考えられますが、骨格予算としては例年にない積極型の当初予算案であります。知事の本当初予算案に込められた思いと、特に配慮し重点的に対応した分野、事業等についてお示し願います。
 また、県財政が厳しい中、雇用対策、医療対策など、かなり積極的な対応が見られますが、公共事業等のいわゆる投資的経費の対応状況も、今後の県勢発展を着実に導いていく上で重要でありますが、あわせてお伺いします。
 歳出面では、公債費などのいわゆる義務的経費の増嵩が続く中、財政の硬直性の尺度となるいわゆる公債費比率は依然として大きく、また、県債残高は過去最高の1兆4、640億円、県民1人当たり105万円に上ります。そのため、公債費は4年後の平成27年度にはピークを迎えると予測される中、いわゆる政策的経費へのしわ寄せが一層強まっていくものと考えられ、本県財政はいよいよ危機的状況にあると認識しております。財政運営の形としては、財政健全化重視の運営、あるいは地域経済の再生底上げのための積極的な財政出動を重視した運営が考えられるところでありますが、知事はどのような財政運営をお考えなのか伺います。
 次に、平泉文化遺産の世界遺産登録の実現についてお伺いします。
 我が岩手県議会では、3年間にわたり平泉世界文化遺産推進調査特別委員会を設置し、去る平成23年1月19日、第8回委員会において意見の取りまとめを行ったところであります。委員会では、県に対し、第35回世界遺産委員会での審議が迫る中、世界遺産登録の実現に向け、あらゆる手段、対策を講じ、万全を期すことや、より一層の県民機運の醸成を図ること、広く県内外にその価値を発信することを強く望むとともに、今回、見直しにより構成資産から除かれた奥州市、一関市及び平泉町の遺産についても、追加登録に向けた道筋を明らかにするよう申し入れることなどを議論したところであります。同時に、国に対して、平泉文化遺産の世界遺産登録の実現に向け、岩手県議会の熱い思いを要望するための意見書を提出することについても意見を交わしたところであります。
 私は、今日までの歩みを見るときに、平成14年7月に103歳で御逝去された盛岡市出身、東大名誉教授で平泉町名誉町民、故藤島亥治郎先生の御貢献がとりわけ大きかったと思います。奥州藤原氏の時代を具体的に語りかけるのは、平泉町の柳之御所遺跡こそが政庁、平泉館なのであります。藤島先生執念の奇跡の発掘だったと伝えられ、生涯をかけ熱心に研究されて、何度も県民に対し講演会などを通じて尽力なされたことを思い起こします。また、北上川の洪水治水事業対策として計画された一関遊水地、国道4号平泉バイパス建設のため、遺跡がなくなる運命にあったと言われておりました。遊水地は、単純な経済発展でなく、水害から住民の生命と財産を守る平泉・一関両住民にとって悲願の事業で、県議会では、地元関係議員を初め多くの議論や現地調査が展開されました。その結果、堤防、バイパスのルート変更が建設省の大英断で決定し、遺跡の保存と開発双方の両立がなされ、その決断が世界文化遺産登録運動につながったと当時からの関係者は明言いたしており、私も同感であります。こうした先人の血と汗の結晶が、世界遺産の登録に向けた運動に弾みをつけたものと思料しますが、登録に向けた知事の決意をお伺いします。
 また、世界遺産登録に向けた一層の機運醸成を図ること、登録後の地域づくりを進めるため一体となって、自動車の平泉ナンバー実現を目指した胆江・両磐地区5市町村の官民組織、平泉ナンバーを実現させる会が1月28日に発足したと報じられております。国土交通省は、車検所を開設しなくても新規ナンバーを設けることができる、いわゆるご当地ナンバー制度を創設し、仙台などのナンバーが新たに登場しているところです。県としても、実現に向け積極的に支援すべきと考えますが、あわせて知事の御所見をお伺いします。
 次に、特別支援教育に関連してお伺いします。
 去る12月定例県議会において、障がいのある人もない人も共に学び共に生きる岩手県づくり条例の制定が、約3年間にわたる協議を経て可決されました。及川幸子座長を初め研究会構成員の御尽力に対し敬意を表します。また、県は、平成23年度を初年度とする7カ年計画、共に生きるいわて、岩手県障がい者プランを新たに策定し、本定例会に報告がなされました。そうした一連の流れの中で、教育、医療、福祉、労働等の関係機関連携は極めて重要であります。いわて特別支援教育推進プランでは、教育環境の整備充実、就業支援充実等が明記され、整備計画を策定し、公表することが掲げられておりますが、まず、整備計画の概要をお示し願いたいと思います。
 岩手県特別支援学校PTA連合会では、二十数年の間、毎年、各般にわたり県当局への要望を続けてきております。
 この際、個別課題でありますが、質問いたします。
 1点は、長年の懸案であります県立盛岡みたけ支援学校の環境整備についてであります。本校舎は、昭和55年竣工時は14学級、91名でございましたが、その後、児童生徒が増加し、現在では26学級、111名とほぼ倍増しております。プレールームを含めた特別教室はすべてつぶして学級に改造、中学部の作業学習も教室や外にテントを張って行っている現状です。本校としては、このような深刻かつ慢性的な教室不足の状況は当分続くものと予測しており、新築を含む抜本的な対応が必要です。隣接するみたけ学園、みたけの園も老朽化が進んでおり、余裕のある敷地の有効活用という視点で所管部局が十分連携をとり、きちっと早急に方向性を見出すべきですが、いかがでしょうか。
 2点は、気仙光陵支援学校児童生徒の歯科診療についてであります。同校には110名の児童生徒がおりますが、気仙歯科医師会から、気仙地区における障がい児者歯科診療の充実への協力とお願いが出されました。要望の趣旨は、当地区において、全身麻酔などの専門的歯科医療が必要な障がい児者は、岩手医大附属病院歯科診療センター等を受診しなければならない現状であること。一方で、交通に要する時間や費用、付添者の負担等の理由で受診できない障がい児者が多くいること。したがって、専門的歯科医療が気仙地区でも可能になるため、関係者の連携と支援が求められており、これは喫緊の課題であります。同問題に対する対応策等を含め、お考えがあればお示し願います。
 なお、県立特別支援学校は14校、1、450名余の児童生徒が親元を離れるなどして学び、生活しています。昨年は異常なほどの猛暑が続きました。特別支援学校では体温調節がうまくできない児童生徒が多く、特にも医療的ケアを要する児童生徒が体調不良を訴えることが多いと仄聞しております。盛岡となん支援学校を初め寄宿舎は8校にありますが、エアコン整備は皆無の状態であり、早期の対応を要すると思いますので、この際、提言させていただきますので、ぜひ、鋭意御検討願います。
 次に、岩手競馬再生のための取り組みについてお伺いします。
 岩手競馬は、平成19年4月に新計画のもとで新たなスタートを切り、競馬関係者の一丸となった取り組みにより、本年度も4年連続となる収支均衡の見通しとなったと伺っております。しかし、今月17日の競馬組合議会で示された平成23年度の収支計画では、岩手競馬の発売額が200億円を切り、約180億円となるなど、新計画の策定時には想定できなかったような極めて厳しい水準となっております。今後もしばらくは、岩手競馬だけではなく、全国の地方競馬やJRA、他の公営競技とも発売額が好転することは期待できず、厳しい状況が続くものと見込まれます。
 一方で、昨年12月、地方競馬主催者とJRAは、将来の安定的な発展を図っていくため、共存共栄の観点から、相互発売を主体とした新たな連携協調策を実施することを発表しました。また、地方競馬共同のトータリゼータシステムの構築など、地方競馬間の連携も一層強化されていくなど、日本の競馬界は今まさに変革の時期を迎えております。私は、このような情勢の変化を的確につかみ、時期を失することなく、積極果敢に新たな取り組みを展開すべきものと考えるものです。
 現在、県と奥州市、盛岡市では、外部委員で構成する岩手競馬経営の将来方向検討会議を共同で設置し、将来にわたる経営安定方策について検討を進めておりますが、そうした議論と並行して今なすべきことを見きわめ、あらゆる手だてを講じていく必要があると考えますが、来年度の事業運営に当たっての基本的な考え方について、管理者である知事のお考えをお示し願います。
 また、地方競馬とJRAとの相互発売については、現在協議中と伺っておりますが、これが実現すれば、会員数約300万人を擁するJRAのインターネット投票会員に地方競馬のレースを買っていただくことが可能になるものであり、JRAとの相互発売は岩手競馬にとって大きなチャンスであります。岩手競馬とJRAの開催日は土曜日と日曜日が重なっており、そうした中で岩手競馬の市場拡大を図っていくためには、今後、いかにして全国のファンを取り込んでいくかが重要なかぎになります。
 そこで、例えば全国のファンにJRAのレース後に岩手競馬のレースを買ってもらえるよう、思い切ってナイター競馬を導入してみるなど、さまざまな方策を検討することが重要と考えますが、知事のお考えをお伺いします。
 岩手競馬は、昭和39年に岩手県競馬組合が設立されて以来、長きにわたり本県の地方財政に寄与してきたほか、地域の雇用や経済への貢献、さらには馬事文化の継承、発展などの面で大きな役割を果たしてまいりました。私は、馬産地としての長い歴史と伝統を有する岩手競馬が、東北地方唯一の地方競馬として後世にしっかりと引き継がれていくことを切に願うものであり、岩手競馬の継続に向けた熱い思いを込めた答弁をお願いいたします。
 次に、滝沢村の市制移行に向けての考えについてお伺いします。
 現在、国が進めている地域主権改革は国と地方のあり方を大きく転換させるもので、基礎自治体の負うべき責任と裁量はますます増大し、問われるものは基礎自治体の力量であります。達増知事は、平成22年に総務省に設置されました地方行財政検討会議に知事としては唯一の参加をされ、基礎自治体の基本構造のあり方を含め議論をされているところであります。国では、これらの検討を踏まえ、地方自治法の抜本改正となる基本法の制定を目指し、まさにこれからの自治体のあるべき姿の針路を示す段階が迫っております。平成の合併が終えんした今、それぞれの自治体はよって立つ礎に思いをいたし、地域づくりに奮闘しているわけでありますが、さきの国勢調査によれば、いずれも少子高齢化の進展が著しく、本県においても人口減少時代を迎え、国、地方とも行財政運営に厳しさを増しております。このような社会情勢、時代の転換点に当たり、分権による権限移譲の受け皿として即応できるだけの行政体制が基礎自治体には求められ、最も問われているのが自治力と考えております。
 こうした中、滝沢村が昨年12月に市制移行への調査研究を実施するとの表明をし、県もオブザーバーとして参加する滝沢村行政体制調査研究会が設置され、鋭意、調査研究がなされているとの報道があります。
 私は、基礎自治体が自主的に住民自治の方向を見据えて行政体制を確立することは、昨今の地域主権改革の潮流でもあり、本県のいわて県民計画で言う新しい公共サービスの形づくりにつながっていくものではないかと考えます。地域の価値は歴史と文化の積み重ねであり、これを次世代に引き継ぎ再生するという責任は地域と自治体にあると考えます。住民が、真の分権社会形成のため、みずからの地域にふさわしい行政サービスの内容と自主的に決定できる仕組みを目指すとすれば、その実現は地域住民に大きな希望を与えることではないでしょうか。
 北東北の拠点を目指す盛岡広域圏にとっても、その活力を県内、全国に発信し、市制移行により、盛岡広域圏の活性化や連携がさらにつながるものと私はかたく信じてやまないのであります。
 こうした地域の課題を認識しながら、以下お尋ねいたします。
 今後、盛岡広域圏における新たな展開と広域連携への期待も含め、滝沢村の市制の実現に向けて、県としてはどのような支援を進められようとしているのか、知事の御所見をお伺いします。
 以上で私の質問を終えますが、達増知事は、3月24日告示、4月10日投開票の日程で執行される知事選挙に、2期目の挑戦を決意し、希望郷いわて実現に向け、力強く推進してまいるものと存じます。
 私はこれまで、誠心、誠意、努力をみずからの信条として活動してまいりました。
 私事で恐縮ですが、私は、昭和61年、岩手県議会議員に初挑戦を決意し、25年が経過しました。以来6期にわたり県政に参画の機会をいただき、今期限りで辞することといたしました。
 多くの県民の皆さんから公私にわたる御指導、御声援を賜り、心から感謝申し上げます。先人の教えの中に、先人植樹、後人楽涼という教えがあり、すなわち先憂後楽の精神であります。
 達増知事におかれましては、リーダーシップを大いに発揮していただき、先人として植樹を行い、後に続く県民が涼を楽しむ県政、思いやりのある県政を、ぜひ実現していただきたいと思います。
 知事を初め、先輩、同僚議員各位のますますの御活躍と、希望に満ちあふれた県勢発展を心から祈念申し上げ、私の質問を終わります。
 御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 吉田洋治議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、県政への思いと決意についてでありますが、豊かな自然に恵まれ、誇れる歴史を有する、まじめで誠実な岩手県民が、国全体との所得格差の拡大や人口流出の増大などの困難に直面している姿を目の当たりにし、何とかして解決していきたいという思いの中で、いわて希望創造プランといわて県民計画を策定し、課題解決に向けた方向性を明らかにして、県政運営に努めてまいりました。
 いわて希望創造プランは、直面する危機に立ち向かい、それを乗り越えて、希望につなげていくことができるよう策定したものであります。
 また、いわて県民計画は、社会経済情勢が目まぐるしく変化する時代であるからこそ、長期的な視点に立った岩手のあるべき姿を示し、県民一人一人が主役となって、みずからの希望に向かって、未来を切り開いていくことができるよう策定いたしました。
 この間、新地域主義戦略を踏まえ、新たに4広域振興局体制を整備し、地域の自立性を高め、より広域的な視点に立った産業振興や、地域のさまざまな主体の連携による地域づくりを進めてまいりました。
 ソフトパワー戦略については、中国の自治体や企業との連携による上海万博への出展、漫画を通じた新たな岩手のファンの開拓など、岩手の価値を高め、ブランドの確立につなげてまいりました。
 こうした取り組みを通じて、私は、岩手県民の底力と可能性を改めて強く感じており、大きな希望がわいてきております。この岩手が、黄金の國としてさらに輝きを増すふるさととなるよう、力を尽くしてまいります。
 次に、当初予算に込めた思いと重点分野等についてでありますが、平成23年度当初予算は、統一地方選挙を控え、いわゆる骨格予算として編成しましたが、雇用情勢や地域医療など、県民生活を取り巻く厳しい状況を踏まえ、仕事と暮らしを守るための取り組みを中心とし、希望郷いわての実現に向けて、いわて県民計画に掲げる岩手の未来をつくる七つの政策を、着実に推進していくこととしております。
 このため、早期に着手する必要がある事業については、当初予算に計上し、産業振興施策や雇用対策基金を活用した事業などによる新たな雇用の創出に取り組むほか、産業集積の促進や地場企業の技術力向上等によるものづくり産業の振興、地域特性、資源を生かした食産業、観光産業、農林水産業の振興を図ります。また、医療を担う人材の養成、確保やドクターヘリの導入促進など、質の高い医療体制の整備などに取り組みます。
 このほか、平泉の文化遺産の世界遺産登録に関連する取り組みや、いわてデスティネーションキャンペーンに向けた取り組みについても、当初予算に計上し、年度当初からしっかりと対応することとしています。
 また、投資的経費の対応状況についてでありますが、平成23年度当初予算における公共事業関係予算は、国の補助事業等の減により、22年度当初予算比で12.3%の減となっているものの、公共事業を含めた普通建設事業全体では、県単独事業を増加させたことや国の経済対策により造成した基金を活用した結果、1.3%の減にとどめているところであります。
 さらに、今後、提案予定の平成22年度2月補正予算におきまして、国の平成22年度補正予算と連動して公共事業を追加しますとともに、地域活性化交付金を活用したきめ細かなインフラ整備を行うなど、有効需要や地元中小企業者の受注機会の創出を図ることとしており、平成23年度当初予算と一体となって、本県産業を支える基盤整備や地域経済の下支えに引き続き取り組んでまいります。
 次に、財政運営の考え方についてでありますが、国の予算編成の状況により、地方交付税等一般財源の総額が大きく左右される本県の財政構造にありましては、毎年度の予算編成において、限られた一般財源や国の経済対策等により積み立てた基金を効果的に活用しつつ、将来の県民負担を増加させないよう最大限配慮した上で、現在の県民を取り巻く厳しい状況に立ち向かうための予算を編成してきたところであります。
 平成23年度においても、臨時財政対策債以外の県としての判断により発行規模を管理することが可能な県債、いわゆる管理可能な県債の縮減に努める方針を継続するなど、持続的な財政運営が行えるよう、さまざまな工夫を行いつつ、必要な歳出予算を計上することにより、県民が希望を持って働き、安心して暮らすことができるよう予算を編成したところであります。
 次に、平泉文化遺産の世界遺産登録についてでありますが、はるか縄文の時代から、豊かな自然や風土の中で培われてきた岩手の心は、長い歴史を経て、多くの先人や人々によって今日まで受け継がれてきました。
 平泉が持つ自立と共生の理念や平和への願いは、まさしく岩手の心が花開いたものであり、平泉の文化遺産の世界遺産登録は、その価値を広く世界に伝える絶好の機会であります。
 昨年9月に実施されたイコモスによる現地調査においては、一定の理解が得られ、また、追加情報の提出要求もなかったところでありますが、ことし6月にバーレーンで開催される世界遺産委員会へ向けて、国、関係市町、関係者の方々と十分に連携し、気を引き締めて万全の対応を行っていく必要があると考えております。
 次に、平泉ナンバー実現に向けた県の支援についてでありますが、これまで、平泉の文化遺産の世界遺産登録を目指し、知事自身が行う平泉授業の実施や、関係市町と連携した登録応援キャンペーン等により、県内全域での機運の醸成に努めてきたところであります。
 このような中で、最近は、世界遺産登録祈願参拝の会の開催や、ミュージカル平泉の上演、高校生が平泉への思いを英語で表現するアンビシャス in 平泉スピーチコンテストの開催など、県内各地で120以上もの地域住民主体の自主的かつ熱心な活動が、活発に展開されてきております。
 このたびの地元官民挙げての平泉ナンバー実現に向けた取り組みも、こうした機運醸成の活動の一つととらえられますが、注目すべきは、平泉ナンバーを実現する会が、登録実現後を見据えた世界遺産を核とする地域づくりを強力に進めることをその目的として掲げていることであります。
 世界遺産登録は、自立と共生の理念に基づく希望郷いわてづくりの絶好の機会でもあると考えており、こうした取り組みは、まさに、その代表例として大いに期待されます。
 県といたしましては、これまでも、県南広域振興局が中心となり、関係機関との調整等に努めてきたところであり、今後におきましても、幾つかの課題がありますが、平泉ナンバーが実現できるよう、平泉ナンバーを実現させる会との連携を密にしながら、国への働きかけ等を含め積極的に支援していく必要があると考えております。
 次に、特別支援教育についてでありますが、望ましい共生社会づくりには、共に学び、共に育つ教育を理念としながら、時代の要請にこたえる特別支援教育を推進していくことが重要であると考えています。
 県立特別支援学校の教育環境整備については、平成21年12月策定のいわて特別支援教育推進プランにより、現在、教育委員会において検討を行っておりますが、国において、障がい者制度改革推進会議に関連したさまざまな検討が進められており、近い時期に特別支援学校への就学のあり方も見直されることになっており、このことが整備計画の策定に大きく影響してくることが予測されることから、その動向を注視しながら策定していくこととしていると聞いております。
 次に、盛岡みたけ支援学校の環境整備についてでありますが、全国的な特別支援学校の教室不足の状況は、本県でも同様であり、全県的視野で教育環境整備を進めていく中で、議員御指摘の方法も含め、教育委員会で検討がなされるものと考えております。
 次に、気仙光稜支援学校児童生徒の歯科診療についてでありますが、県といたしましては、岩手医科大学に委託設置した障害者歯科診療センターを中核として、県内どの地域においても、障がい児、障がい者に対する歯科治療が円滑に進められていくことが重要と考えており、今般、策定した新たな岩手県障がい者プランにおいても、引き続き、障がい児、障がい者に対する歯科医療体制の確保に取り組んでいくこととしております。
 しかしながら、本県においては、議員御指摘のとおり、その広大さのゆえ、必ずしも同センターへのアクセスが容易でない地域があることが、今後の課題の一つと認識しております。
 県といたしましては、歯科医師会等の医療関係団体や関係市町村の御意見もいただきながら、行政としての支援方策のあり方について検討していきたいと考えております。
 次に、岩手競馬の再生についてのお尋ねであります。
 まず、来年度の事業運営の基本的な考え方についてでありますが、岩手競馬を取り巻く経営環境は、依然として厳しい状況が続くことが見込まれますものの、来年度は、地方競馬とJRAとの連携協調策の推進など、新しい局面を見据えながら、着実に継続、発展していくための足固めをしていく大変重要な年であると認識しております。
 このような認識のもと、来年度は、まずもって、県民はもとより、全国のファンに愛され、支持される岩手競馬を目指し、地方競馬唯一の芝コースを活用した重賞競走や全国地方交流競走の充実のほか、ホッカイドウ競馬との交流競走、騎手招待レースの実施など、全国の地方競馬やJRAとの連携を図りながら、魅力あるレースの提供に取り組むこととしております。
 また、ファンや団体、企業とのつながりづくりを進め、ファン組織との連携により岩手競馬を盛り上げていくイベントや、生産者団体、民間企業による協賛レースなど、さまざまな取り組みを企画、実施することとしています。
 来年度は、こうした取り組みを通じて、発売額の確保を図るとともに、コスト管理を徹底し、岩手競馬に携わる方々と力を合わせて、5年連続となる収支均衡の達成に向けて全力で取り組むこととしております。
 さらに、平成24年度からの共同トータリゼータシステムの運用開始やJRAとの相互発売に向けて、将来の経営改善につながる基盤づくりを進めるため、地方競馬全国協会が新たに創設する緊急対策事業等を活用しながら、発売体制の効率化や馬資源の確保等に努めるとともに、持続可能で安定的な経営に向けた道筋が確かなものとなるよう、外部の有識者で構成します岩手競馬経営の将来方向検討会議の意見などを聞きながら、一層の改革、改善に全力で取り組むこととしております。
 次に、JRAとの相互発売を契機としたさまざまな方策についてでありますが、JRAとの相互発売は、マーケットの拡大につながり、岩手競馬にとっても、発売額を伸ばす好機であると期待しているところであります。
 議員御指摘のとおり、全国のファンの方々に、岩手競馬のレースに目を向けていただくためには、魅力あるレースの実施とあわせ、JRAのレースなどと開催時期ができるだけ重複しないような工夫が必要であると考えており、来年度においては、まずは、春から夏にかけての薄暮競馬について、JRAなど他の主催者と開催時間帯の調整を図りながら、その充実に努めることとしております。
 また、ナイター競馬については、照明設備の設置に新たな設備投資を要するため、現在の競馬組合の経営状況から見て慎重に検討する必要がありますが、御提案も含めた岩手競馬の安定経営につながるさまざまな取り組みについては、岩手競馬経営の将来方向検討会議や、県内の競馬関係団体の御意見も踏まえて、効果的な実施方法を幅広く検討の上、可能なものから、実現に向けて積極的に取り組むこととしております。
 次に、滝沢村の市制移行に向けての考えについてでありますが、滝沢村では、近年の社会情勢の変化や地域主権改革の進展などに対応した最もふさわしい基礎自治体の姿について、行政体制調査研究会を設置し、みずからの判断と責任において検討していると認識しております。
 このような動きは、住民に最適な行政サービスを提供できる体制の整備につながり、盛岡広域圏のイメージアップ、都市機能のさらなる集積にも寄与すると期待されることから、意義あるものと考えております。
 県は、現在、研究会にオブザーバーとして参加しており、このような場を通じて、検討状況に応じた情報提供や助言など、滝沢村の意向を受けとめながら、必要な支援を行ってまいります。
〇議長(佐々木一榮君) 以上をもって吉田洋治君の一般質問を終わります。
 次に、千葉伝君。
   〔45番千葉伝君登壇〕(拍手)

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