平成17年2月定例会 予算特別委員会会議録

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平成17年3月9日(水)
1開会 午前10時3分
1出席委員  別紙出席簿のとおり
1事務局職員
事務局長 武 田 牧 雄
議事課長 平 澤 石 郎
議事課長補佐 八重樫 典 彦
主任主査 千 田 利 之
主査 小 船   進
主査 福 田 清 喜
主査 佐々木 ユ カ
主査 嵯 峨 俊 幸
主査 安 藤 知 行
1説明員
知事 増 田 寛 也
副知事 竹 内 重 徳
総合政策室長 照 井   崇
首席政策監 相 澤   徹
参事兼政策推進課総括課長 廣 田   淳
政策調査監 中 村 一 郎
政策担当課長 深 澤 忠 雄
経営評価課総括課長 大 矢 正 昭
政策評価担当課長 菅 原 伸 夫
地域振興部長 山 口 和 彦
地域企画室長 法 貴   敬
市町村課総括課長 野 本 祐 二
総務部長 時 澤   忠
総務室長 圃 田 清 昭
人事課総括課長 小 川 明 彦
予算調製課総括課長 菅 野 洋 樹
税務課総括課長 千 葉 茂 樹
〇武田議会事務局長 御承知のとおり、委員長が互選されるまでの間、委員会条例第7条第2項の規定により、年長の委員が委員長の職務を行うことになっております。
 出席委員中、藤原泰次郎委員が年長の委員でありますので、御紹介申し上げます。
 藤原泰次郎委員、どうぞ委員長席に御着席をお願いいたします。
   〔年長委員藤原泰次郎君委員長席に着く〕
〇藤原泰次郎年長委員 ただいま紹介ありました藤原泰次郎であります。何分にもふなれでございますが、よろしく御協力をお願いいたします。
 それでは、ただいまから予算特別委員会を開会し、直ちに本日の会議を開きます。
 これより委員長の互選を行います。委員会条例第7条第2項の規定により、委員長互選の職務を行います。
 お諮りいたします。委員長互選の方法につきましては、指名推選の方法によりたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇藤原泰次郎年長委員 御異議なしと認めます。よって、互選の方法は指名推選によることに決定いたしました。
 お諮りいたします。指名推選の方法につきましては、当職において指名することにしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇藤原泰次郎年長委員 御異議なしと認めます。よって、当職において指名することに決定いたしました。
 予算特別委員長に佐々木順一君を指名いたします。
 お諮りいたします。ただいま当職において指名いたしました佐々木順一君を予算特別委員長の当選人と定めることに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇藤原泰次郎年長委員 御異議なしと認めます。よって、ただいま指名いたしました佐々木順一君が予算特別委員長に当選されました。
 ただいま当選されました佐々木順一君が委員会室におられますので、本席から当選の告知をいたします。
 佐々木委員長、委員長席にお着き願います。
   〔予算特別委員長佐々木順一君委員長席に着く〕
〇佐々木順一委員長 ただいま予算特別委員会委員長に就任しました佐々木順一でございます。
 数ある委員会の中で、今回初めて予算特別委員長職を務めるものであります。したがいまして、つたない議会経験ではありますけれども、関係法令、規則にのっとりまして、特にも各委員、執行部の皆様方の御支援、御指導を賜りながら委員会運営の務めを果たしてまいりたいと思っておりますので、皆様方の御指導、御協力のほどをよろしくお願い申し上げまして、大変簡単でありますが、ごあいさつにかえさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)
 引き続き副委員長の互選を行いたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇佐々木順一委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
 これより副委員長の互選を行います。
 お諮りいたします。副委員長互選の方法につきましては、指名推選の方法によりたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇佐々木順一委員長 御異議なしと認めます。よって、互選の方法は指名推選によることに決定いたしました。
 お諮りいたします。指名推選の方法につきましては、当職において指名することにしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇佐々木順一委員長 御異議なしと認めます。よって、当職において指名することに決定いたしました。
 予算特別副委員長に田村誠君を指名いたします。
 お諮りいたします。ただいま当職において指名いたしました田村誠君を予算特別副委員長の当選人と定めることに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇佐々木順一委員長 御異議なしと認めます。よって、ただいま指名いたしました田村誠君が予算特別副委員長に当選されました。
 ただいま当選されました田村誠君が委員会室におられますので、本席から当選の告知をいたします。
 田村誠副委員長、ごあいさつをお願いいたします。
〇田村誠副委員長 ただいま副委員長に選任いただきましてまことにありがとうございます。
 力不足ではございますが、委員長を補佐し、議事の円滑な運営に努めてまいりたいと思います。委員各位の御協力、御指導をよろしくお願い申し上げます。(拍手)
〇佐々木順一委員長 お諮りいたします。当予算特別委員会に付託されました議案30件についての審査の方法でありますが、お手元に配付してあります日程のとおり、本日から11日まで、及び14日から18日までの8日間は、関係部局長の説明を求め、質疑を行うこととし、議案30件に対する意見の取りまとめと採決につきましては、18日の企業局関係の質疑が終わった後、各会派の意見調整を経た上で行いたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇佐々木順一委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。
 これより議事に入ります。
 議案第1号から議案第20号まで、議案第24号、議案第41号から議案第45号まで、議案第47号から議案第49号まで、及び議案第100号の以上30件を一括議題といたします。
 これより、平成17年度予算の総括説明を求めます。
〇時澤総務部長 平成17年度当初予算の概要につきまして総括的に御説明申し上げます。
 本県財政は、県内景気の低迷状態が長引き、県税収入の伸びが期待できないことに加え、国の三位一体改革等の影響を受けまして、国庫支出金や実質的な地方交付税の減収が見込まれます一方、公債費が累増するなど財政構造の硬直化が進行しており、極めて厳しい状況にあります。
 このような中にあって、平成17年度当初予算は、中期財政見通しのもと、政策評価結果等に基づき、事業のより一層の選択と集中により歳入に見合った歳出規模となるよう歳出の抑制に努めたほか、持続可能な行財政構造の構築に向け、自主財源の確保や県債発行額の抑制など、将来にもわたる財政運営の健全化に努めたところであります。
 また、予算の内容につきましては、誇れるいわて40の政策を中心として、県民一人一人がみずからの地域や暮らしに誇りを持てるような自立した地域社会の形成を目指し、特に重点的に取り組むべき緊急課題と重点施策について最優先で措置したところであります。
 それでは、お手元の議案その1の1ページをお開き願います。
 議案第1号平成17年度岩手県一般会計予算であります。第1条は、歳入歳出の総額を7、671億6、500万円余と定めるものでありますが、これは、前年度当初予算に比べ1.6%の減となるものであります。第2条は債務負担行為の限度額等を、第3条は地方債の限度額等をそれぞれ定めるものであり、第4条は、一時借入金の最高額を1、000億円とするものであります。第5条は、職員給与について、同一款内での予算流用を定めたものであります。
 次に、歳入について御説明いたします。
 便宜、厚い冊子でございますが、予算に関する説明書の1ページをお開き願います。一般会計歳入歳出予算事項別明細書の1総括、歳入のうち、自主財源は、1県税、2地方消費税清算金、7分担金及び負担金、8使用料及び手数料、さらに、10財産収入から14諸収入までであり、その総額は2、538億1、600万円余で、前年度当初予算と比べますと1.0%の減となっております。これは、主に使用料及び手数料や諸収入の減などによるものであります。
 また、依存財源は、3地方譲与税、4地方特例交付金、5地方交付税、6交通安全対策特別交付金、9国庫支出金、15県債であり、その総額は5、133億4、800万円余で、前年度当初予算対比1.9%の減となっておりますが、これは、主に国庫支出金及び県債の減などによるものであります。
 この結果、歳入に占める自主財源の割合は33.1%と、前年度当初予算の32.9%から0.2ポイント上昇し、一方、依存財源の割合は66.9%となっております。
 次に、これら歳入の内容について御説明申し上げます。
 4ページをお開き願います。まず、1款県税1項県民税は226億9、000万円で、前年度当初予算対比2.3%の減となっておりますが、これは、2目の法人県民税が製造業を中心とした企業収益の増加により増収が見込まれますものの、3目の県民税利子割の減収が見込まれることなどにより減となるものであります。
 2項事業税は252億8、000万円で4.6%の増となっておりますが、これは、法人県民税と同様の理由により増収と見込んだものであります。
 次に、6ページの3項地方消費税は、地方財政計画等をもとに118億3、700万円、1.4%の増を見込んだものであります。
 4項不動産取得税は33億9、000万円で12.0%の増となっております。
 8ページに参りまして、5項県たばこ税は26億3、600万円で1.7%の減となっており、6項ゴルフ場利用税は4億2、800万円で9.9%の減となっております。
 10ページの7項自動車税は203億2、900万円で0.5%の減となっておりますが、これは、景気低迷に伴う課税台数の減少が見込まれることによるものであります。
 8項鉱区税は、最近の課税実績等を勘案し、1、900万円を計上したものであります。
 次に、12ページの9項自動車取得税は38億9、600万円で3.2%の減となっております。
 10項軽油引取税は175億4、400万円で8.0%の減となっておりますが、これは、物流の停滞や軽油使用車両の減少が見込まれることによるものであります。
 次に、14ページの11項狩猟税は、狩猟者登録見込み数により6、100万円を計上したものであります。
 12項産業廃棄物税は、最終処分場の年間埋立量等を勘案し、9、200万円を見込んだものであります。
 16ページの13項は、旧法による税であります。
 以上、県税の合計額は1、082億300万円で、前年度当初予算額に比べ7億5、100万円余、0.7%の減となるものであります。
 次に、17ページ、2款地方消費税清算金は270億6、600万円で2.4%の増となっております。
 18ページに参りまして、3款地方譲与税1項所得譲与税は、国庫補助負担金の一般財源化に伴う措置として設けられているものでありますが、平成17年度における国庫補助負担金の改革により、前年度の約3.2倍となります74億7、000万円を見込んだところであります。
 また、2項地方道路譲与税は44億2、700万円、20ページの3項石油ガス譲与税は3億3、500万円、4項航空機燃料譲与税は1、600万円をそれぞれ見込んだものであります。
 次に、22ページの4款地方特例交付金は94億7、100万円と前年度の約2.6倍に増加しておりますが、これは、国庫補助負担金の一般財源化に伴い、税源移譲予定特例交付金が増額されたことなどによるものであります。
 5款地方交付税は2、368億3、300万円余で、前年度当初予算対比0.5%の増で計上しておりますが、これは、平成17年度の地方財政計画において、地方交付税総額が前年度並みに確保されたことなどによるものであります。
 次に、24ページ、6款交通安全対策特別交付金は6億500万円と見込んだものであります。
 7款分担金及び負担金でありますが、25ページの1項分担金は、そのほとんどが農業農村整備事業等に係るものであり、26ページから28ページまでの2項負担金は、民生、衛生、農林水産業、土木及び教育に係る受益者負担金、市町村負担金を計上したものであります。
 次の29ページ、8款使用料及び手数料でありますが、1項使用料の主なものを申し上げますと、2目民生使用料では、し体不自由児施設使用料、30ページの5目農林水産業使用料では、漁港施設使用料、7目土木使用料では、空港施設使用料、道路及び河川の占用料、そして県営住宅使用料、9目教育使用料では、高等学校の授業料などであります。これら使用料の総額は73億1、900万円余で、県立大学の地方独立行政法人化に伴い、授業料が直接同法人の収入とされることなどにより、前年度に比べ15.5%の減となっております。
 次に、2項手数料でありますが、その主なものは、33ページの3目衛生手数料の食品営業許可や屠畜検査に係る手数料、35ページの7目土木手数料の建設業者許可や建築確認に係る手数料、36ページの8目警察手数料の運転免許更新等に係る手数料などであり、その合計は25億7、000万円余で、県立大学の地方独立行政法人化等により、前年度比13.2%の減となっております。
 次に、37ページ、9款国庫支出金でありますが、1項国庫負担金の主なものを申し上げますと、1目民生費負担金では、8節の児童保護委託15億7、500万円余、11節の生活保護41億1、300万円余、38ページの3目農林水産業費負担金では、1節の農業共済団体等事務16億5、300万円余、4目土木費負担金では、基幹河川改修事業、砂防事業など、5目教育費負担金では、義務教育人件費に係るものなど、また、6目災害復旧費負担金では、4節の河川等災害復旧事業などがその主なものであります。
 これら国庫負担金の総額は445億2、700万円余で、義務教育費国庫負担金の一部が追加で一般財源化されたことなどにより、前年度より14.2%の減となっております。
 次に、40ページ、2項国庫補助金でありますが、その総額は、53ページまで進んでいただきまして、709億7、800万円余で4.1%の減となっておりますが、これは、公共事業の投資規模の適正化や国庫補助金の一般財源化などによるものであります。
 次に、54ページに参りまして、3項委託金でありますが、1目総務費委託金の減などによりまして、総額は、56ページに記載しておりますとおり、16億6、100万円余で、28.1%の減となっております。
 次に、57ページの10款財産収入でありますが、1項財産運用収入は5億6、000万円余を見込んでおり、58ページの2項財産売払収入は、県有未利用地の売り払い等により、前年度に比較して93.6%増の28億700万円余を計上したものであります。
 次に、60ページの11款寄附金でありますが、県外産業廃棄物の搬入に係る事前協議に関する条例に基づく環境保全協力金のほか、財団法人岩手県学術研究振興財団の解散に伴う基本財産の寄附とをあわせ5億2、000万円を見込んでいるものであります。
 次に、61ページ、12款繰入金1項特別会計繰入金は、電気事業会計からの借り入れを行うことなどにより40億6、000万円余となっております。
 62ページ、2項基金繰入金は、財政調整基金、県債管理基金のほか、地域振興基金等のいわゆる特定目的基金の資金の活用を図ることとしたことなどにより、前年度比33.1%増の146億8、000万円余となっております。
 なお、平成17年度末の主要3基金の残高は、ここには記載しておりませんが、財政調整基金は59億7、900万円余、県債管理基金は393億300万円余、公共施設等整備基金は147億9、000万円余、合計で600億7、400万円余と見込んでおります。
 63ページの13款繰越金は整理科目であります。
 64ページに参りまして、14款諸収入1項延滞金、加算金及び過料は2億500万円余を計上しており、2項預金利子は、金利動向等から1、300万円余を見込んでおります。
 次に、66ページ、3項公営企業貸付金元利収入は139億9、200万円余で、県立病院等事業会計への貸付金元金が主なものであり、4項貸付金元利収入は、総務や農林水産業、68ページの商工など、各行政部門における貸付金に係る元利収入で、その合計は、69ページに記載しておりますとおり、540億2、800万円余となっております。
 70ページ、5項受託事業収入の総額は、次の71ページのとおり、17億7、600万円余となっております。
 次に、72ページの6項収益事業収入は、宝くじ収入35億6、300万円余を、7項利子割精算金収入は800万円余を見込んでおります。
 74ページ、8項雑入の総額は、78ページまで進ませていただきまして、61億1、500万円余と見込んでおります。
 次に、15款県債でありますが、その総額は、80ページに記載しておりますとおり、1、370億2、300万円余であり、前年度に比較して116億6、300万円余、7.8%の減となっておりますが、これは、地方交付税の振りかえであります臨時財政対策債が地方歳出の見直しに伴い減少したこと、及び借換債発行の減などによるものであります。
 この結果、県債の現在高見込みでありますが、304ページまで進ませていただきまして、平成16年度末では、前年度末現在高見込額の、305ページの計欄になりますが、1兆4、004億8、200万円余、平成17年度末では、同じく計の欄の右端になりますが、1兆4、127億3、500万円余と見込んでおります。
 以上で歳入についての説明を終わらせていただきます。
 続きまして、歳出でありますが、主要な事業につきましてはそれぞれ所管部局の審査の際に担当部局長から詳細に御説明いたしますので、款別歳出につきましては説明を省略し、私からは性質別の主なものについて申し上げます。
 お手元の予算に関する資料で説明させていただきます。予算に関する資料の3ページをお開き願います。3ページの平成17年度一般会計歳出性質別内訳表のうち、まず人件費は、表の右端の前年度当初予算からの増減率の欄をごらんいただきたいと思います。2.7%の減となっております。これは、行財政構造改革プログラムに基づき、職員数の縮減や諸手当の見直しなど総人件費の抑制に努めたことによるものであります。物件費は、オンラインシステム運営経費の見直しや県立大学運営費の交付金化などにより7.0%の減、また、維持補修費は、土木施設の維持修繕費の増等により4.2%の増となっております。4ページの扶助費は0.4%の増となっておりますが、これは、生活保護扶助費や児童扶養手当支給事業費の増などによるものであります。補助費等は4.5%の増でありますが、これは、国民健康保険に係る県財政調整交付金及び県立大学運営交付金の新設などによるものであります。普通建設事業費は、公共事業の投資規模の適正化を図ったことなどにより1.6%の減となっておりますが、単独につきましては、盛岡駅西口複合施設建設事業費の増加等により4.2%の増となっております。次に、5ページの災害復旧事業費は、漁港災害復旧費の減などにより5.4%の減となっております。公債費は1.2%の減となっておりますが、これは、金利低下により償還利子が減少することによるものであります。積立金は、中山間地域等直接支払交付金基金への積立金の増加などにより92.2%の増、また、出資金は、財団法人岩手県学術研究振興財団への出捐金の廃止などにより20.2%の減となっております。貸付金は、商工観光振興資金などの中小企業関係資金の貸付額の減少等により9.5%の減となっております。繰出金は、県有林事業特別会計への繰出額の増等に伴い3.3%の増となっております。
 一般会計歳入歳出予算の概要は以上のとおりであります。
 特別会計につきましては、所管部局において御説明申し上げますので、私からは省略させていただきます。
 なお、議案その6の議案第100号平成17年度岩手県一般会計補正予算は、岩手県競馬組合に対する短期資金の貸し付けに要する経費を補正しようとするものであります。
 以上で説明を終わります。よろしくお願いいたします。
〇佐々木順一委員長 ただいまから総括質疑に入るわけでありますが、議会運営委員会の決定に基づき、総括質疑は、各会派及び会派に所属しない議員に質疑時間を配分して行うことになっております。
 質疑時間につきましては、まず、民主・県民会議が45分、次に、自由民主クラブが42分、次に、政和会が19分、次に、社会民主党が13分、次に、会派に所属しない議員は、日本共産党斉藤信委員、公明党小野寺好委員、無所属阿部富雄委員の順に、それぞれ7分となっております。
 次に、このほかに議会運営委員会で決定された事項を申し上げます。
 各会派は、配分された時間の範囲内で複数の議員が質疑をすることができること。この場合におきましては、会派として続けて行うこと。
 会派間の質疑時間の調整は認めないこと。
 以上のとおりとされておりますので、御了承願います。
 なお、総括質疑は、あす午後2時までに終了することを目途とすることになっておりますので、御協力をお願いいたします。
 これより総括質疑に入ります。阿部敏雄委員。
   〔阿部敏雄委員質問者席に着く〕
〇阿部敏雄委員 民主・県民会議の阿部敏雄でございます。
 平成17年度当初予算の審議に当たり、会派を代表いたしまして総括的に質問させていただきますので、よろしく御答弁をお願いいたします。
 なお、会派の持ち時間が45分でありますので、私の質問の残時間につきましては同僚委員より質問させていただきます。
 また、現にこれまでの代表質問及び一般質問においていろいろと議論が交わされたところであり、一部重複する点もあろうと思いますが、よろしくお願い申し上げたいと思います。
 最初に、三位一体改革についてお伺いいたします。
 昨年11月26日に三位一体改革の全体像が決定され、平成18年度までの方向性が示されたところですが、今後、地方の自立を進めていくためには、国庫補助負担金改革に見合う税源移譲が確実に行われるとともに、地域間の財政力格差の是正について適切な対応が図られることが不可欠であります。
 増田知事は、この大きな課題に対して、地方の先頭に立って国に相対し、この国のかたちを変えるべく、過般行われました全国知事会の会長選挙に立候補されました。まことに勇気ある行動であり、大変意義深いものと存じております。結果として我々の思いはかないませんでしたが、増田知事が今後とも改革派の旗手として国に相対し、地方の実態を踏まえた改革の実現に向けて積極的に行動していくことについての各方面からの期待は今まで以上に高まるものと思われますし、私自身もそう願っております。
 そこでお伺いしますが、今回の全国知事会会長選挙の経過を踏まえた上で、知事は、今後、三位一体改革の着実な実現に向けてどのように取り組んでいくおつもりなのでしょうか。知事は、かねてから平成19年度以降を第2期改革の時期とし、継続して改革を行っていくことの必要性を述べておられますが、そこに向けた今後の取り組みを含めてお聞かせ願いたいと存じます。
〇増田知事 まず、全国知事会の会長選挙に私、立候補いたしましたが、今回、選挙で会長を決めることによって、私、あるいはこれはすべての知事の思いだと思いますが、逆に選挙という公平な仕組みによって会長を選ぶことによって知事会としての結束がより強まった、こう思っております。昨年の三位一体改革の経過を見ますと、やはり三位一体改革を推進する上では、各地方団体がさらに結束を強めていかなければならないという思いがありますので、知事会が結束を強めたということだけではなく、会長選挙のときに私も申し上げましたが、これからは、知事会だけでなく6団体の結束をさらに一層強めていかなければならない、これがこれからの三位一体改革をさらに進める際の必須のことではないかと思います。その上で、具体的な内容といたしましては、当面、義務教育費国庫負担金の関係、それから施設整備費関係について先送りとなっておりますので、ほかにもございますが、そのことについての早急な決着を地方案を中心として図ることが必要だと思います。そして、確実に3兆円の税源移譲を獲得するとともに、地方間の財政格差が生じないような措置をあわせて講ずることが必要かと思います。
 もう一つ、今お尋ねの第2期改革に向けた今後の取り組みでございますが、第2期改革ということになりますと、やはり根本にさかのぼった議論と、そしてさまざまな今の仕組みの見直しが必要となります。その中には、消費税から地方消費税への税源移譲といった税制の骨格にかかわる大きな問題もございますし、公共事業関係の補助負担金を最終的に地方への税源移譲につなげるということもございます。もう一つは、地方交付税について、今の地方交付税は特別会計も破綻状態にございますので、これの見直しが必要でございますが、安易な見直しになりますと、逆に財政力の弱い団体が非常に後で苦しむということになりますので、そうしたことのないような見直しが必要だろうと思います。
 そうした認識の上に立ちまして、今後は、より国民世論に訴えた、国民の支持のもとでの行動が必要だと思いますので、そうした国民の支持や理解を得ることを積極的に行った上で、それを追い風として国との協議に臨んでいきたい、このように考えております。
〇阿部敏雄委員 知事にはこれからも、ここ岩手県に増田ありということで、ぜひ知事会の力を中央に突き出して、地方に本当の政治をもたらせるように頑張っていただきたいと思います。
 次に、平成17年度の当初予算編成に関し、全般的な事項についてお伺いします。
 まず、平成17年度の地方財政対策の評価についてお尋ねします。本県の歳入構造は、地方交付税や国庫支出金などの依存財源の割合が高く、平成17年度当初予算では66.9%を占めており、国の地方財政対策が県の予算編成に非常に大きな影響力を持っていると言っても過言ではありません。
 思い起こせば、1年前の平成16年度の地方財政対策においては、三位一体改革の名のもとに地方財政計画の規模の抑制が前倒しで行われたため、地方交付税総額と臨時財政対策債等をあわせて実に12%も削減が行われ、本県を初め、ほとんどの地方団体において予算編成に非常に苦慮する事態に陥りました。これを称して16年度地財ショックなどと言われております。
 平成17年度の地方財政対策の策定過程では、極めて厳しい財政運営を強いられることになった地方側からの窮状を訴える声が相次いだ一方で、財務省サイドからは地方交付税の大幅な削減案が示されるなど紆余曲折がありましたが、結果として、平成17年度の地方財政計画の規模を前年度よりも1.1%減の83兆7、687億円としつつ、地方税と地方交付税及び臨時財政対策債をあわせた一般財源総額は前年度比0.1%増の53兆4、399億円となり、前年度並みの額が確保されたところです。
 県は、この地方財政計画を踏まえて平成17年度の予算編成を行ったわけですが、現時点で平成17年度地方財政対策をどう評価しているのかお伺いいたします。
〇時澤総務部長 今回の予算編成過程あるいはその地方財政対策の過程におきましては、特に財務省が投資単独事業等の過大計上あるいは過大計上分の使い回しを問題点として指摘しまして、平成17年度、18年度で7兆円から8兆円の削減・是正ということを主張しておりましたので、非常に厳しいことを予想しておりましたし、非常にその心配をしておったわけでございますが、結果として、地方財政対策は、地方交付税などの一般財源総額は前年度並みが確保されました。また、ハードからソフトへの決算乖離の是正ということも行われておりますので、地方の要望を踏まえた策定ということもうかがえますので、一定の評価をしているところでございます。ただ、今年度、交付税あるいは臨時財政対策債が12%削減された影響がやはり後を引きずっておりまして、この影響が当然平成17年度予算編成においても大きな影響を残したということで、苦しい予算編成であったということは事実でございます。
 また、交付税など一般財源総額が前年度並みを確保されたといいましても、国では、地方税、特に道府県税の伸びを仮に4.3%増と置いての一般財源の確保でございます。先ほどの説明の中で申し上げましたが、当県県税は0.7%の減と予定しております。したがいまして、大幅な税収が望めないという前提がございましたので、一般財源が地財計画で確保されたといいましても、やはり厳しい状況での予算編成であったわけでございます。
 この税の伸びにつきましては、本来、交付税で調整されるべきものと考えておりますので、今後、こうした地方の税収の格差、地方財政計画にのっておるものとかけ離れておりますので、こうした格差が交付税の算定に適切に反映されますように、国に対しまして期待、また、要望をしていかなければならないと考えているところでございます。
〇阿部敏雄委員 次に、自主財源の柱ともいうべき県税の収入見通しについてお伺いいたします。
 ただいまの御答弁にもありましたが、地方財政計画では平成17年度の道府県税を4.3%の増と見ているのに対して、本県の平成17年度当初予算では県税収入を16年度当初予算額より0.7%の減としており、全国ベースでの税収増は困難であるとの見通しであります。これは、税収の基盤である県民所得水準や産業構造などがそもそも全国と本県とで違いがあることや、景気回復速度が都市と地方との間で差があることなどによるものと思います。しかしながら、報道機関が行った各都道府県の平成17年度当初予算に関する調査結果によりますと、税収を前年度当初予算額よりもマイナスで計上しているのは本県と佐賀県の2県のみとのことであります。
 そこでお伺いしますが、本県では、平成17年度の県税収入をどのように見積もったかについて、主な税目ごとに平成16年度の決算見込みとの比較や地方財政計画との差異を含めてお示し願います。
〇時澤総務部長 平成17年度の税収の見積もりにつきましては、今年度――16年度の決算の見込み額をベースといたしまして、地方財政計画におきます税収見込み額あるいは各種統計資料等を参考にしながら、本県の実情に即して積算したものでございます。
 先ほど申し上げましたように、本県は0.7%減と見込んでおりますが、地方財政計画では4.3%増ということで、国内経済の見方と本県の経済状況というのはやはり違うと認識しております。特に、主要な事業で見てみますと、基幹税目であります法人2税が本県ですと4.3%増、地財計画ベースでいきますと15.9%の増を見込んでおりまして、ここに大きな差がございますし、また、県税収入におけるウエートが全国より高い軽油引取税は8%の減と見込んでおりますが、地方財政計画では1.8%の減にとどめておりますので、やはり地財計画よりも大きく下回るということが本県の特徴だと考えております。
 お尋ねのありました主な税目ごとの平成16年度の決算見込み額との増減、そして計画との差異でございます。
 まず、個人県民税は1.6%の増、2億5、000万円余の増と見込んでおります。これは、景気低迷や持ち直しの動きが見えるが、依然として厳しい雇用情勢から、国の地財計画の基礎数値の伸び2.3%よりもなお低調な伸びと見込んでいるところでございます。
 法人2税は4.3%の増、12億2、000万円余の増と見込んでおります。IT関連、自動車、一般機械を初めといたしました製造業を中心に堅調に推移すると見込まれますが、やはり地方の景気回復の速度はまだ緩やかと見込まれますので、地財計画の基礎数値は7.1%増と見込んでおりますが、それを下回るものと見込んでいるものでございます。
 自動車税は0.3%の増、5、000万円余の増でございます。これは、景気低迷に伴います課税台数の減少、小型車あるいは軽自動車へのシフトの傾向が見られますことから税収は微増と考えまして、地財計画の基礎数値3.3%よりなお低調と見込んだものでございます。
 軽油引取税5.2%の減、9億6、000万円余の減でございます。物流の低迷、軽油使用車両の減少が続いておりますので、地財基礎数値の3.7%の減を下回ると見込んでおります。
 なお、平成16年度当初予算がマイナスとなっておりますのは本県と佐賀県ということでございましたが、当初対比で申しますとそうなりますが、平成16年度決算との比較で申し上げますと、本県は、平成16年度決算と17年度当初対比0.7%減となるわけでございますが、本県と同様マイナスで見込んでおりますのは、秋田県など全国で11県となっているものでございます。
〇阿部敏雄委員 次に、40の政策の推進と政策形成プロジェクトについてお伺いいたします。
 県では、平成15年10月に、当面、平成18年度までの4年間に特に重点的、優先的に取り組む施策を40の施策として取りまとめ、その中で二つの緊急課題と七つの重点施策を掲げております。そして、それぞれの項目の実現に向け、政策形成プロジェクトを中心としてさまざまな取り組みを進めているものと伺っております。
 この政策形成プロジェクトは、平成15年度当初予算から新たに導入された政策形成予算編成システムに基づくものであり、各部局が政策評価結果等を踏まえ、40の政策の推進などのために必要な施策をプロジェクトとして立案し、競争原理のもと、政策評価推進会議でのプレゼンテーションに基づき採択し、予算措置を行う仕組みであることを承知しております。
 そこで、平成17年度の政策形成プロジェクトの採択状況について、当初予算案の公表資料を見ますと、40の政策に係る事業費は60億8、000万円で、前年度の64億5、000万円よりも5.7%の減となっており、一方、40の政策以外のプロジェクトの事業費は、平成16年度の29億8、400万円から17年度は37億100万円と、24.2%も増加しております。県では、平成17年度を40の政策を確実に達成していくための正念場の年と位置づけておりますが、この政策形成プロジェクトの採択状況からはその姿がよく見えません。今回の予算には、40の政策の推進のために必要な施策、事業が十分に盛り込まれているのでしょうか。また、政策形成プロジェクトが40の政策の推進に有効に機能していると言えるでしょうかお伺いします。
 また、政策形成プロジェクトに関してもう一点お伺いいたします。
 昨年11月に公表された平成16年度予算執行状況調査結果によりますと、平成15年度の政策形成プロジェクト事業について、2月補正予算で多額の減額が行われている事業が多く見受けられるなど、企画立案段階での事業内容や規模についての詰めの甘さが指摘されております。平成15年度は政策形成予算編成システム導入の初年度であり、試行錯誤しながらの実施だったという面はあると思いますが、限られた財源の効率的な活用という観点からは、やはり問題があるものと思われます。平成17年度の政策形成プロジェクト事業の検討及び採択に当たっては、事業内容や規模についての精査が十分になされたのでしょうかお尋ねいたします。
〇増田知事 まず、政策形成プロジェクトの関係でございますが、今、委員からお話がございましたとおり、来年度予算の中では40の政策以外の部分が増額になっているわけでございます。この内容は、合併市町村の自立支援交付金、これは来年度合併する市町村が県内で数多くございますが、そちらに対しての交付金と、それからもう一つ、IGRいわて銀河鉄道の新駅設置費補助の部分がふえておりまして、これは40の政策以外の部分でございます。そこで結果的に40の政策に係るプロジェクトの方が減額されているわけでございますが、今、お話ございましたとおり、事業費ベースで見ますとそういう形になってございますけれども、いわゆるプロジェクト枠という、県費で一般財源で措置する部分については、平成17年度当初分については16年度と同様の額を確保してございまして、事業費ベースは当然それにプラス国庫補助金などがつけ加わった額ということになって、それで見ますと先ほど委員からお話ございましたとおりの数字になるわけでございますが、内容的には、自動車関連の集積促進ですとか産学官による新産業の創出ですとか観光ですとか、そうした40の政策の推進に当たって必要な事業について、平成15年度の政策評価結果も踏まえて、おくれている分野に重点的に配分いたしましたので、事業の推進に当たりましては、措置した予算を効率的に使いまして、また、事業執行に当たりましては、より一層創意工夫を凝らして、しっかりとした進行管理を行って、この効果が最大限出るように努力をしていきたいと考えております。
 それからもう一点、平成15年度の政策形成プロジェクトで措置したものについて、2月の補正予算で大幅に減額をしているではないかという御指摘がございました。これにつきましては、確かにお話のとおり、我々のサイドで政策推進枠として50億円ほどを確保したわけでございますが、実は、需要の見込みが甘かったり、県民ニーズの把握が十分でなかったということもございまして、具体的には、地域活性化事業調整費や市町村総合補助金、合併市町村自立支援交付金、地域バス運行補助金などについて申し込みが当初見込みを大幅に下回ったことや、そのほか、養殖業ステップアップ事業などについて、助成の希望が少なかったといったような、今申し上げました需要の見込みが甘かった、ニーズの把握が十分でなかったことによって結果として大幅な使い残しが生じたということで、これは、深く反省をするところでございます。平成15年度そういうことがございましたので、昨年暮れに政策評価推進会議の中の部局長を集めた会議の場におきまして、平成17年度におきましては、県民ニーズをしっかり把握の上、事業費の積算に当たっては内容をよく精査するように強く指示してございまして、今回、平成17年度で計上しているものについても、できるだけその点についてはしっかりした進行管理を行うとともに、提案をしてまいりましたすべての事業の積算額をなお10%縮減して、内容を厳密に精査した上で今回計上したということでございます。今、委員から御指摘いただきました平成15年度の反省を踏まえて、後で17年度予算について減額補正することのないように十分に精査したと考えているところでございますが、予算執行に当たりましては、なお一層十分な進行管理を行って、効果が十分に上がるようにしていきたいと考えております。
〇阿部敏雄委員 財政が厳しいことは重々知っているんですけれども、地方に行きますと、本当にこれでいいのか何なのかというような思いの言葉が出てくるんです。それというのは、やはり知事の夢県土いわてをということに共感して、そして今の増田知事が誕生したわけです。そして10年になります。しかし、地方はもうどうにもならない。どうにかしてくれというのが本当の声なんです。これからの政策においては地方の本当に末端の声に耳を傾けて、花のあるようなことばかり並べないで、本当に体内に血が回るような栄養剤を加えてくれるようにお願いいたします。
 次に、防災対策についてお伺いいたします。
 県では、平成17年度において、特に重点的に取り組む政策として4本の柱を掲げ、その第1として災害への万全な備えを掲げております。この防災については一般質問でも各委員から質問されました。重複する点もあると思いますけれども、聞いてまいりたいと思います。
 昨年は、台風の相次ぐ上陸や10月に発生した新潟県中越地震によって日本列島各地に大きな被害がもたらされたところであり、さらに世界に目を向ければ、記憶にも新しいスマトラ沖で発生した地震に伴うインド洋津波による未曾有の被害など、改めて自然災害の恐ろしさを認識させられました。
 こうした中で、まずもって県民の生命と財産を守るため、防災体制の強化や地震・津波対策等に最重点で取り組むとした県の姿勢については評価したいと思います。
 平成17年度に取り組む事業の内容については、先般の知事演述においても詳しい御説明がありましたが、県として、今後どこに重点を置いて防災対策を進めようとしておられるのかについてお聞かせ願います。
 次に、津波避難対策に係る市町村の取組状況についてお伺いいたします。
 津波避難対策は、県と市町村がそれぞれの役割分担のもとに協調して取り組んでいくことが重要であります。県では、平成16年度に地震・津波シミュレーション及び被害想定調査を行ったところですが、これは、県の調査で完結するものではなく、この調査結果をベースに各沿岸市町村が市町村津波防災マップを作成することを想定したものであると聞いております。これまでの関係市町村の取組状況はどうでしょうか。また、未作成の市町村に対してはどのように働きかけていかれるのかお伺いいたします。
〇時澤総務部長 平成17年度には防災への万全な備えを重点的に進めることといたしておりまして、防災意識の高揚、自主防災意識の育成、そして、地域単位での避難計画づくり、災害対応プログラムの作成に取り組むこととしておりますが、今年度、地震・津波シミュレーション及び被害想定調査を行っておりますので、この成果を活用していくことにいたしておりまして、そして、現行の地震・津波対策の点検を行って諸対策を進めることにいたしております。
 重点を置くものといたしましては、やはり日ごろの備え、そして人命を守る、そして早期に避難、そしてその被害の軽減に重点を置いて取り組んでいくことといたしているものでございます。
 それから、市町村の取り組みについてでございます。これまで津波浸水予測図に関しまして、講演会、シンポジウムなどが3市町で計5回、地域ごとの住民説明会が6市町村25地区で計25回開催されております。今後も、ほとんどの沿岸市町村で逐次開催いたしまして住民に周知を図っていく予定と把握しております。
 それから、市町村防災マップでございますが、まだ作成済みの市町村はありませんが、釜石市などでは既にインターネットにより簡易版の防災マップが公開されておりますほか、平成17年度には6市町村で市町村防災マップの作成に取り組む予定と把握しております。
 地域ごとの津波避難計画につきましては、現在、陸前高田市で2地区、釜石市で1地区策定済みでありまして、また、宮古市、陸前高田市など計7地区で現在作成中と聞いております。市町村には、今後、早急に防災マップの作成をということで呼びかけを行っておるところでございまして、県としましては、技術的な支援を行い、また、早い段階での市町村の防災マップが作成されますように支援してまいりたいと考えております。
〇阿部敏雄委員 きのう、テレビの報道の中で釜石市の津波対策の放送をやっておりましたが、やはり一番大事なことは逃げることだと。まさにそのとおり、私もチリ津波の経験がありますので、県民、また、沿岸市町村の住民の中でも、チリ津波からもう30年以上たっていますのでその経験も形骸化されまして、テレビをひねって、ああ、大丈夫かなとぱっと寝るような状態。しかしながら、現実として先般のスマトラ沖等の被害を見ますと、ぜひ県からも市町村に十分な対策の指導をしていただきたいと思います。
 次に、堤防の耐震性等の点検についてお伺いいたします。
 先般、日本海溝、千島海溝を震源とする地震や南海地震等により津波に襲われる可能性のある全国の海岸に関する国土交通省の調査結果が新聞報道されました。その調査結果によりますと、堤防の耐震性チェックがなされていない箇所が6割近くにも上り、また、水門が正常に閉鎖できるかどうかについての確認も約5割の施設で行われていないということでありました。宮城県沖地震の30年以内の発生確率が99%と予想される今、有事において堤防等の津波対応施設が十分に機能することが最低限必要であります。
 そこでお伺いします。本県における堤防の耐震性や関連施設の確認の状況はどのようになっているのでしょうか。また、今後の対応をどのようにお考えでしょうか。
〇竹内副知事 堤防の耐震性や津波対策施設の確認の状況ですが、本県では、堤防の耐震性につきましては、阪神・淡路大震災を契機といたしまして、平成7年に、背後地が高いところや海岸保全施設がない海岸を除いた箇所、あわせて111カ所のうち103カ所について耐震点検を実施いたしまして、それから水門等の関連施設につきましては、全設置箇所について年3回ずつの点検を行っております。平成15年5月に震度6弱を記録した三陸南地震の際に緊急点検を実施いたしました結果、防潮堤の一部に亀裂や目地の開きなどは発見されましたが、平時の点検や維持修繕の成果もありまして、防潮堤の倒壊などに及ぶ大きな被害は発生いたしませんでした。
 今後の対応につきましては、引き続き既設の防潮堤や関連施設の日常的なパトロール、水門、防潮堤の門扉の保守点検、地震時の緊急点検を実施するなど、その確実な維持管理に努めていきたいと考えております。
〇阿部敏雄委員 次に、県立社会福祉施設の今後のあり方についてお伺いいたします。
 現在、県が設置している社会福祉施設のうち、入所型施設については、原則として平成18年度から民間移管とし、このうち、知的障害者施設等は移管先を岩手県社会福祉事業団とする方向と聞いております。社会福祉施設については、民間移管にするにしろ指定管理者制度導入にしろ、まず第一に考えなければならないのは入所者へのサービス、ケアの問題であり、現在よりその質、量が落ちることのないよう配慮が必要であることは言うまでもありません。知的障害者施設等が県社会福祉事業団に移管された場合、その点は大丈夫なのでしょうか。
 また、現在、県立社会福祉施設の運営を県社会福祉事業団に委託するに当たって、人件費の上積みとして多額の県費を投入しておりますが、移管後の県の支援はどのように考えておられるのでしょうかお伺いいたします。
〇増田知事 まず、県立社会福祉施設ですけれども、このうち知的障害者施設は、今お話ありましたとおり、事業団の方に移管するということで今進めております。この移管に当たっては、入所者の処遇水準の維持を図ることが重要である、これが前提になると考えております。したがいまして、このためには、処遇水準を維持するために必要な人員の配置について事業団と十分な協議・調整を行うということと、それから移管後におきましても、そうした水準がしっかりと維持できているのかどうか、利用者処遇の状況を客観的に把握する必要がございますので、福祉サービスの第三者評価を実施するなどして、水準の維持あるいはさらには向上に努めたいと考えております。今、こうした知的障害者施設の7施設につきまして、事業団がこれまで運営に当たってきておりますので、それを今回事業団に移管するということになりましても、水準の面では基本的には大きな変化が生じないものと考えておりますが、今言いましたような二つの点についてしっかりと評価をするなり、調整をするなりをしていきたいということでございます。
 それから、あと移管後の事業団に対する県の支援についてのお尋ねもございましたのですけれども、これは事業団にあっては経営の抜本的な見直しを行ってもらいたいと思っておりますけれども、ただ、一定の期間の間は利用者の処遇水準の維持や事業団の職員の雇用確保という観点から、県としてもやはり事業団に対して財政支援を行う必要があるだろう、現在のものを継続していく必要があるだろうと思っております。これは、どのぐらいの期間、どういう内容で財政支援を行う必要があるかという、その具体的なことについては今後検討することとしてございまして、今、内部でいろいろな案をつくっているところでございますが、今後さらにその点については具体的に煮詰めていきたいと考えております。
〇阿部敏雄委員 知事、ぜひこの件については、移管されましても県は常に監視の目を離さないで、やはり現在以上に、そして障害者の方々が、本人より親が本当に安心して、そういう点については十分配慮して予算措置もとっていただきたいと思います。お願いいたします。
 次に、障害者自立支援法案についてお伺いいたします。
 平成15年度に障害者福祉サービスが措置制度から支援費制度に移行し、2年が経過しようとしています。こうした中、国では、身体、知的、精神3障害の共通施策を一元化する一方、サービス利用者から利用量に比例して原則1割の自己負担を求める方針とし、これらを盛り込んだ障害者自立支援法案を今国会に提出していると聞いております。利用者負担がこれまでの支払い能力に応じた応能負担から、利用量に比例した応益負担に改正された場合の、本県のサービス利用者への影響をどのように見ておられるのかお伺いいたします。
〇竹内副知事 障害者自立支援法案についてですが、この法律は、現在、国会に提案された段階でございまして、負担の軽減措置等の詳細はまだ明らかにされておりませんで、現行制度の仕組みが障害の種別により異なりますことから、現時点におきましては、本県におけるサービス利用者への影響を試算することはまだできない状況でございますが、法案では、障害福祉サービス及び自立支援医療について、サービスの量に着目した定率の1割負担、いわゆる応益負担となりますが、これが原則とされておりますことから、障害福祉サービス及び自立支援医療のいずれの場合にも、これまで負担していなかった利用者に新たに負担が生じること。同じく、これまで負担していた利用者の負担額が増額すること。それから、自立支援医療の対象者のうち、所得制限によって新たに給付の対象外になる人が出てくることなどが予想されます。今後、詳細が判明し次第、市町村を初めとする関係者に周知を図ってまいりたいと考えております。
〇阿部敏雄委員 知事も答弁されましたけれども、副知事、この障害、知的、身体、国なり県の力をかりなければ本当にやっていけないというのが現実であります。政治の一番必要なのはこの福祉でございます。ぜひ今後とも移管した後でも、また自立支援についても、本当にみずから自立しても、社会がそれを認めなければ何にもならないんですね、障害者の場合。ですので、そういう指導体制についても、ぜひ県の方でこれにも御努力をお願いいたしたいと思います。
 次に、地域医療の確保に関して、県立釜石病院と釜石市民病院の統合問題についてお伺いいたします。
 両病院の統合実施時期につきましては、当初予定していた平成20年4月から1年前倒しして平成19年4月をめどとするとのことであります。それに向けた県立釜石病院の機能強化や医師の確保、釜石市民病院職員の受け入れに係る条件整備等については、医療局において鋭意取り組んでおられるものと存じますが、知事は、釜石・大槌地区の医療供給体制の充実を図る上で、両病院の統合に係る現在の状況をどのように認識し、評価しておられるのかお伺いいたします。
〇増田知事 釜石地区の両病院ですけれども、この釜石地域が、病床数が過剰であると、それから両方の病院の機能や規模が非常に類似をしているということもありますので、このまま両者が存続することは困難であると認識をしておりまして、そのことが、両病院が統合するということに至った大きな原因だと思っているわけです。
 今、委員からお話しありましたように、その後、関係者が集まって協議を続けてきたわけでございますけれども、その内容がまとまりまして、先月2月28日に県立釜石病院と釜石市民病院の統合に関する協定書というものが釜石市との間で締結をされたわけでございます。
 内容は大きく3点ありますが、統合の時期、今お話しありましたように、1年前倒しをして平成19年4月1日に統合するといったこと、それから医師移行についての協力についてのこと、それから職員の受け入れ条件――県立病院の方に入りますので――などを内容としたそういう協定書を締結いたしました。そういう段階まで参りましたわけですけれども、今後こうした統合によって、この釜石地域の救急、それから高度医療や保健、医療サービスがさらに充実していくという方向に持っていかなければならないと思っております。そのため、今後、平成19年4月1日の統合に向けてやるべきことがございます。地元市――釜石市、それから医師会や、さらに大槌の病院とも連携をして、全体として医師の確保をしっかりと図っていくことですとか、それから救急医療、高度医療の内容をさらに充実をさせていくといったようなことが必要でございます。そうしたことを行って、この釜石・大槌両圏域の広域基幹病院としてふさわしい体制となるように努めていきたいと考えております。
〇阿部敏雄委員 この問題は、我が地元では非常に大きな関心を寄せておるわけでございまして、特に職員の採用については、問題は准看護師さんの再雇用というのが大きな問題でありまして、やはり県としても今後、正看護師だけの採用ということでなく、准看護師さんでもやはり生計の糧として働いているので、一挙にそれがなくなるということで地元では大きな問題にされておりますので、釜石市と協議して、やはり正看護師以外にも、准看護師さんも今までずっと働いて市民病院を支えてきたことは事実でございますので、そういう点についても雇用という面にぜひお力を注いでいただくことをお願いいたします。
 次に、岩手県林業公社の廃止に向けた取り組みについてお伺いいたします。
 岩手県出資等法人改革推進プランにおいて、岩手県林業公社については、平成19年度を目途に廃止する方向とされておりますが、それに向け、当面の経営改善を図るため、施業方法の見直しや人件費、事務費の節減に努めるとともに、施業転換資金への借りかえ等による支払い利息の圧縮に取り組んでいるところと承知しております。
 しかしながら、林業公社に対しては、県及び関係市町村も貸付債権を有しておりますので、清算に際して、その弁済がなされない場合は、債権放棄という事態が想定されるところであり、県としても市町村としても大変に重い判断を迫られることになります。この点については、昨年の6月議会の一般質問において、同僚工藤大輔議員が取り上げたところですが、県側の答弁は、林業公社や関係市町村との協議を重ねており、債権処理の方法についてさまざまな角度から検討を行っているとのことでした。現時点で、その見通しはどうなっているのか含めて、今後、林業公社の廃止に向けて、どのように取り組んでいくのかお伺いいたしたいと思います。
〇増田知事 この林業公社の問題でございますが、今後のスケジュール等も含めてお答え申し上げたいと思いますけれども、県や市町村が林業公社の方に貸し付けております債権が今あるわけでございます。これについては県と市町村の合意のもとで処理をするということになっておりますが、今、関係の市町村の方からは、解散時に債権を放棄せずに保全をしてほしい、こういう要請が市町村の方から強く出されております。そこで、今、専門家の意見も聞きながら、この債権の処理の方法について検討しているという状況でございまして、この点については現在検討中ということでございます。
 それから、現在、林業公社の方での作業としては、公社営林を県に引き継ぐということになるわけでありますので、そのために必要な事前準備として、公社営林の生育状況や立地条件などの現況を再確認するための調査、これを一つ行っています。それから、もう一つは、契約から相当期間経過している契約者について、相続等が発生している可能性がありますので、相続等によって権利の移転が発生していないかどうか、そこの確認ということが必要になります。その作業を行っておりまして、この二つについてはいずれも平成18年度を目途に行っているということでございます。
 その上で、一元化のためには、先ほど言いましたような市町村から要望が来ております債権処理方法の問題もございます。林業公社、県、双方で資産整理の方針決定をする必要がございますし、それから分収造林契約の承継など、実にさまざまな手続が必要となりますので、検討事項についても結論を平成18年度までには出したいと思っておりますが、その上で、いずれの点についても平成19年度には資産整理の方針決定や、それから今申し上げました分収造林契約の承継などの手続、いずれも平成19年度に行う予定で今作業を進めているということでございます。
〇阿部敏雄委員 次に、漁業協同組合の合併についてお伺いいたします。
 漁業協同組合は、地域の水産業振興の中核組織として重要な役割を担っており、今後より一層その機能を発揮することが期待されております。このような認識のもとに、私は昨年の6月議会の一般質問で、漁協の経営基盤強化のための取り組みについてただしたところですが、今回は漁協合併に絞ってお伺いいたします。県内の漁協系統においては、平成19年度末までに県1漁協体制を構築することとし、当面、17年度末までに、県1漁協体制時の拠点支所となる11漁協体制を目指すとしておりますが、その進捗状況はどうなっているのでしょうか。対応がおくれている地区はないのかなど、現状についてお伺いします。
 あわせて、漁業協同組合の合併促進に向けた県の指導及び支援の状況についてお尋ねいたします。
〇竹内副知事 県内漁協の合併協議の進捗状況についてですが、漁協系統組織では、お話しございましたように平成17年度末までの11漁協体制の構築のため、昨年の6月までに、合併協議が必要な7地区について合併推進協議会を設立いたしまして、具体的な協議を行っております。ですが、多くの地区では、繰越欠損金の処理や漁協間の財務格差の調整等が課題となっておりまして、平成17年度末までの合併スケジュールに対して、協議は全般的におくれぎみとなっております。漁協系統組織では、今後、一層各地区の協議を促進すると聞いております。
 それから、漁協合併促進に向けた県の指導及び支援の状況ですが、漁協経営をめぐる環境が厳しさを増す中で、漁協が今後とも地域の水産業振興の中核を担うためには、合併による組織基盤の強化が、これが大変大事な課題でありますことから、県といたしましては担当課内に漁協合併推進支援チーム、これは専任1名、それから兼任2名を充てた組織を設置いたしましたほか、庁内関係課で構成する合併支援連絡体制を整備いたしまして、合併協議の促進に向けた指導・助言を積極的に行っているところでございます。また、合併の障害となる繰越欠損金の解消のための利子補給、それから県漁連への合併推進に係る事務経費の助成等によりまして、財政面でも漁協合併を支援しているところでございます。今後とも、漁協系統組織が目標とする期限内の合併の実現に向けまして、関係市町村との連携を図りながら、合併協議を促進し、漁協系統組織の主体的な取り組みを積極的に支援してまいりたいと考えております。
〇阿部敏雄委員 今、答弁にありましたが、各漁協の債務負担、本当に組合が一本立ちできるかどうかという、各単協によって違うわけでございます。これで一番大事なことは、この単協の理事の方々は、本当に困っている組合の内容というものを把握しているのかなという疑問があるのです。要するに、いいときは組合合併のガの字も出ませんでしたね。今どうにもならないから合併しようという、最後は何とか県は金を出してもやってくれるのではないかという期待感があると思います。しかし、私は北上農協などのああいうのを聞いたり、それから新聞報道を見たり説明を受けたりして、やはり理事の責任というものが重大であると。ですから、県としてもこれから県漁連、その組織、今、既に県漁連というのがあるわけです。その下に系統があって、全部県漁連を取り巻く各系統の組織が、各単協の組合長さんが理事長なり会長になっている方なのです。ですから、1漁協になったからそういういい結果が出るということは、私は未知数だと思いますので、まずその前に漁協の組合の理事が本当に現状の組合のあれをどう思っているか、その債務に対してもどう思っているか、そういうことが本当に組合員さんに伝わっているかどうか、全然わかりませんよ。ある漁協などでは出資金がゼロになっても、組合員さんはいつでもその出資金が払い戻しになるのではないかというような考えを持っています。ですから、各単協にいかにどういう力がある組合長がおるかわかりませんけれども、どうか団体指導課に組合の指導強化を厚くしていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 次に、公共事業についてお伺いいたします。
 まず、部局を超えた公共事業の重点化についてですが、県では行財政構造改革プログラムに基づき公共事業費の規模の圧縮が図られる中で、県民ニーズ等に的確かつ迅速に対応するため、平成16年度に初めて所管部局を超えた公共事業の重点化に取り組んだものと伺っております。右肩上がりの経済成長がもはや望めない今日、本当に県民が望んでいる公共事業を重点的に進めていくためには、公共事業費の分野別シェアの固定化を打破し、重点分野に集中して投資していくことが不可欠であり、私はこうした県の取り組みについては、やや遅きに失した感もありますが、方向性としては是とするところであります。
 そこで、お伺いしますが、所管部局を超えた公共事業の重点化について、具体的にどのような手法で行い、その結果はどうだったのでしょうか。また、今後どのように進めていくお考えなのでしょうか。
 次に、公共事業関係組織の一元化についてお伺いいたします。
 平成17年度から、道路整備や汚水処理施設整備、海岸施設整備について、県庁組織の一元化が行われるところですが、改めて知事から、その意図とするところ、平成17年度の組織体制、期待される成果をお伺いしたいと存じます。
 また、今回は、本庁の関係組織が一元化されますが、これに対応する地方振興局の組織体制はどうするお考えなのか、あわせてお示しを願います。
〇増田知事 公共事業の一元化ということですけれども、まず、予算の配分の方で重点化を行ったわけでございます。これについては、背景は、今、議員の方から、遅きに失したのではないかというお話ございましたが、公共事業については国の補助事業で行われるものがほとんどでございまして、中央省庁の補助金が縦割りでまいります。そういったことがありまして、非常に中央省庁からの指導が厳しい分野でもございまして、なかなかその縦割りを打破できなかったということが背景にございまして、今回あえて重点化をしたわけですが、まずその手法ですけれども、公共事業を五つの分野に分類をいたしまして、下水道や街路など、これは生活にかかわる快適分野ということで整備をする。それから、治山治水などについては安全分野、それから圃場整備などについては農林水産基盤分野、それからあと高速交通分野、地域交通分野、こういう大きく五つの分野に分けまして、その上でそれぞれの分野ごとに県民意識調査結果に基づく県民のニーズ度、それから社会経済情勢の変化、総合計画の主要な指標への到達度、それから主要な事業の目標の到達度、全国水準との比較。今申し上げました五つの視点から、その五つに分類した分野ごとに評価を行って、そしてそこのおくれているところに事業費をできるだけ投入する、あるいは県民のニーズの高いところに事業費を投入する、そういうことをしたわけでございます。
 したがいまして、今までは部局間とか省庁ごとの進度でやっておりましたけれども、それを別のそういう視点で整理をし直したということで、結果として担い手の確保・育成のための農林水産基盤の分野、それから県土保全のための安全分野、それから生活環境の改善のための快適分野は、それぞれシェアがアップしてございまして、今までよりはずっと公共事業の事業ごとのシェアは変動したと考えているわけですが、今後はより一層県民ニーズや社会経済情勢などを的確に反映したやり方になるように努めていきたいと思っております。
 それから、あと体制の方ですけれども、この体制も今申し上げましたような縦割りの背景の中で、それぞれ同じ道路でも県土整備部であったり、農林水産部であったりということで分かれておりましたが、今回、汚水処理と道路整備と海岸整備の三つの事業実施部門について、これをすべて県土整備部に一元化をするという体制整備を行ったわけでございます。そのことによって、事業間調整の時間が短縮できたり、それから県民や市町村から見てわかりやすい体制になったのではないかと思っております。
 それから、地方振興局の組織体制ですが、こちらの方については、まず本庁を変えて、それでその中でいろいろこれから調整を図る点がございますので、それをまず落ちつかせた上で地方振興局ということで、その後にということで考えていますが、それと同時に、地方振興局については、広域生活圏の見直しとあわせて地方振興局の見直しのことも今検討してございますので、段階的に地方振興局については一元化を進めるという考え方に立っておりまして、平成18年度以降の地方振興局の再編に合わせて、それぞれの地方振興局の中の組織体制を本庁と同じように、どこかの部局に一元化することで検討を進めていきたいと考えております。
〇阿部敏雄委員 いろいろ知事の答弁の中でありますけれども、問題は公共事業、やはり県民、その中にも地元に県民の建設業者がある程度その恩恵を受けなければ何にもならないんですよね。ぜひ知事、知事の先ほど話しました夢県土いわて、それに賛同したのは岩手県の建設業界が大半でした。今、地域ではもう倒産をし、どうにもならない、見通しがつかないということで、釜石地区においてももう事業を停止したところがありますし、地元でも倒産をしました。ぜひ10年前の知事の思いに戻って、せめて岩手県の中小企業の業者がこの公共事業に少しでも参画できるような、そういう、ほかの県はどうでもいいですから、我が岩手を大事にしてほしいと思います。よろしくお願いいたします。
 次に、教育問題についてお伺いいたします。
 当初はゆとり教育の見直しについて質問しようと準備しておりましたが、一般質問でも何回か取り上げられましたので質問項目から割愛いたしました。ただし、私としては、学力の向上のためにゆとり教育を見直すとしても、まずもって国及び県において学力低下の真の原因やゆとり教育の実施結果の検証を行い、その結果を学校現場にもよく理解させることが肝要であり、その上で、本当に必要でかつ効果的な見直しを行うべきものかと考えております。これについて指摘し的確な対応をお願いすることとし、次の学校不適応の問題について質問に入らせていただきます。
 地域を支える人づくりを進めていく上で、不登校など学校に適応できない児童や生徒たちに対応する適切な対応は重要な教育的課題であります。児童や生徒の悩みに答え、子供たちに感動を与える学校づくりが求められていると思うのでありますが、本県の不登校児童生徒の現状はどうなっているのでしょうか。また、今後どのような対策を講じていく考えかお伺いいたします。
 次に、学校の安全対策についてお伺いいたします。
 本年2月に、大阪府寝屋川市の小学校で、卒業生の少年に教員が殺傷されるという事件が起きました。およそ4年前に、やはり大阪府の小学校で発生した校内児童殺傷事件を受けて、国及び各自治体において学校の安全対策に取り組んできたところと存じますが、またしてもこのような事件が起き、子供たちを含む学校現場の不安や保護者の心配がやむことがないものと思います。今回の事件を踏まえ、大阪府では、府内の全小学校に警備員を1人ずつ配置することにしたとのことであり、また、東京都内の一部自治体でも同様の措置を行うとの報道もありました。このような取り組みは、一定の犯罪抑止効果があるとは思いますが、学校という施設の性格上、すべてに目を行き届かせることは不可能であり、根本的な解決策にならないのではないでしょうか。
 そこで、お伺いしますが、本県において、今回の事件を教訓に、学校現場の安全性の確保について、今後どのように取り組んでいかれるのでしょうか、お聞かせ願います。
〇竹内副知事 不登校児童生徒の現状についてですが、平成15年度の文部科学省による小・中学生を対象とした問題行動調査によりますと、本県内の不登校の児童生徒数は、小学校193名、中学校1、030名となっておりまして、高校生は328名で、合計1、551名となっておりまして、平成14年度に比べますと257名の減少ということになっております。小・中学校は2年連続で、それから高等学校は5年連続での減少でございまして、全国と比較しても不登校の児童生徒の割合は低いものとなっております。このように減少傾向にはありますものの、依然として深刻な状況に置かれていることは、変わりはないと認識をしております。
 こうした問題に適切に対応するためには、きめ細かい授業を通した教科指導、それから学ぶ意欲をはぐくむ指導、明るく楽しく安心できる魅力ある学校づくりが大切ではないかと考えております。それから、校内研修等におきましては心の問題を重点的に取り上げるなど、児童生徒の心のサインを見逃さない、きめ細かな指導体制の構築が重要でございます。このため、県教育委員会におきましては、スクールカウンセラー、子どもと親の相談員等の配置に加えまして、県単独事業として心の教室相談員、それから学校適応相談員、こういった方を配置いたしまして、校内の相談・指導体制の確立に努めるほか、不登校の児童生徒が学校に復帰できるように、関係機関等が連携した取組体制の充実を図ることとしております。今後もこうした取り組みの強化によって、不登校の児童生徒の減少に努めてまいりたいと考えております。
 それから、学校の安全対策についてでございますが、不審者の侵入など、学校を取り巻く事件は、地域性とは余り関係なくいつでも、どこでも、だれにでも起こり得る危険性を含んでいるものととらえておりまして、その対応といたしまして学校におきましては、校舎の出入り口への監視システムの設置などによる施設整備を進めておりますほか、危機管理マニュアルの作成や防犯教室、防犯訓練の実施など、ハード、ソフトの両面から児童生徒の安全確保に努めております。
 また、本県では昭和40年から本県独自の取り組みといたしまして、教育振興運動というのを推進しておりまして、この中で子供、親、教師、地域、行政が相互に連携して子供を育てようとする機運が醸成されておりまして、地域の人々が子供たちのふだんの生活を見守り、はぐくんでいこうとする環境が着実に培われてきたと認識をいたしております。
 しかしながら、近年では、予測できない重大な事件が発生するなど、学校の安全対策の難しさが出てきておりますことから、これまで以上に学校の安全確保につきましては、学校も含めた地域社会全体が一体となって取り組むことによって、地域の監視力を高めるなど、安全で安心な地域づくりを行うことが重要であると考えております。
 このため、各学校におけるこれまでの安全対策について再点検を行いますとともに、来年度におきましては、新規事業としてモデル地域を選定いたしまして、地域の巡回指導体制の整備充実を行う地域ぐるみの学校安全体制整備事業を進めるなど、より一層、地域、学校、家庭及び関係機関との連携を深めながら、学校の安全確保に取り組んでまいりたいと考えております。
〇阿部敏雄委員 ぜひ不登校の問題については、不登校の後には今度は引きこもりになって、それが今度はニートというような、仕事に意欲が全然わかないという、以前、平野ユキ子議員も取り上げましたが、本当に今大きな社会問題となっておるわけでございますので、どうか不登校だけの問題でなく、今度は引きこもり、ニート、いろいろな問題がありますので、どうかそれは横断的に社会福祉などと連携しながら、ぜひこの対策に取り組んでいただきたいと思います。お願いいたします。
 最後に、岩手競馬についてお伺いいたします。
 岩手県競馬組合に対する構成団体の支援につきましては、12月定例会、2月定例会を通じて県政の一つの大きな課題として議論が重ねられております。昨日の本会議で競馬組合に対して27億円を融資する平成16年度補正予算は可決となり、支援を継続するための17年度当初予算案が追加提案されました。この融資をめぐるこれまでの議論の中でも、特に競馬組合が策定した岩手県競馬組合改革・改訂実行計画の実行可能性について多くの議論がされ、今後、計画を実行に移していく段階では、その進捗管理のあり方が支援した構成団体として大きな課題になると考えます。
 そこで、お伺いしますが、知事はその実行可能性について、多くの意見があった実行計画についてどのように進捗管理をして計画の実効性を確保していかれるのか。また、議会の中には、議会も進捗状況をしっかり把握していくべきだという意見もありますが、この声にどのようにこたえていくお考えかお伺いいたします。
〇増田知事 まず、この実行計画の進捗管理の関係ですけれども、今お話しありましたとおり、本会議などさまざまな場でそうした御指摘をいただきました。そこで、県の立場で競馬組合からあらかじめ年間とそれから四半期ごとの作業工程ですね、これは作業工程表ということで提出をさせて、その内容については事前に点検をする。それから、途中段階でも進捗状況の報告を定期的に受ける。それから、事後にその内容を検証する。今申し上げましたように、事前、それから中途段階、それから事後と、その都度競馬組合に適切な対応を求めることとして、改訂実行計画の厳正な進捗管理をしていきたい、このように考えております。
 それから、もう一つ、県議会との情報の共有についてのただいまの議員の御指摘でございますが、これについては、県議会の方に対しても作業工程表――これは年間のものと四半期ごとのものでございますが――を提出して、それから進捗状況も当然その都度報告をしていきたいと思っております。これはまた議会の方と御相談して、どういう時期にやるかということを調整したいと思いますが、その都度進捗状況を報告し、それから県議会の方からも御意見いただきながら、情報共有をした上で実行計画の実現に万全を期していきたい、このように考えております。
〇阿部敏雄委員 競馬問題については本当にいろいろ12月も議論され今回も議論されました。結果的には可決されましたけれども、反対する立場の議員にとりましても、また、賛成する立場の議員にとりましても、これは岩手県を思ってのことなのですからね、これはぜひ知事、反対したからどうとか、賛成したからどうとか、要するに県民の代表として県議会でそれを突きました。ですがやはり、実行計画が達成されてそれが当たり前なのです。達成されないと、それ見ろと、だから言ったんじゃないかと。ぜひ知事、達成だけはできるように、今の進捗状況を報告しながら頑張っていただきたいと思います。そうでなければ、最初からわかってできないものが何だと言われますから、要するに物事というのは達成されて当たり前、達成されなければ何だと言われますので、そこを肝に銘じて、ぜひ頑張っていただきたいと思います。
 以上です。
〇佐々木順一委員長 次に、佐々木博委員。
   〔佐々木博委員質問者席に着く〕
〇佐々木博委員 それでは、阿部敏雄委員の総括質疑に続きまして、残された時間、総括質疑を続行させていただきたいと思います。
 最初に、三位一体の改革について伺います。
 先ほど阿部敏雄委員も伺いましたけれども、若干観点を変えてお伺いしたいと思いますが、知事は、第1期改革の現在までの進捗状況につきまして50点、半歩前進という評価されておりますけれども、私は大体それはいい評価ではないかと個人的にも思っております。ただ、残された課題が何点かあるわけでありますけれども、その中で一つは、義務教育費の国庫負担8、500億円、まずこれがどうなるかという大きな問題があるかと思っております。
 それから、まだ結論が出ていない6、000億円の財源の問題があるわけですけれども、これがいわゆる地方案のとおり、例えば公立文教施設などの建設国債の対象経費で決まっていくものなのか、あるいは今、国が盛んに押しつけようとしていますけれども、生活保護負担金などで決まっていくのか、この見通しがどうなのかという点があると思います。
 それから、もう一点は地方交付税でありまして、とりあえず平成17年度、18年度総額で合意しているとはいえ、果たして本当に平成18年度も合意どおり財源が確保されるか、この3点が当面の大きな課題ではないかと考えておりますが、この見通しについて御所見を伺いたいと思います。
〇増田知事 お答え申し上げますが、まず、義務教育国庫負担金の関係でございまして、これについては昨年秋の政府・与党合意の中で中央教育審議会――いわゆる中教審でございますが――中教審の中で議論して、ことしの秋までに結論を得るということになっております。この場に地方団体の代表をどういうふうに入れるかということでいろいろ議論あったようですが、特別委員会の中に地方団体の代表も参加して、議論が今月の半ばからそういう形で進められていくと思うのですけれども、その中でさまざまな議論これから出てくると思いますが、私は、義務教育が自治事務ということでありますので、そのことを踏まえた上で議論が展開されていくことを期待しております。教育の関係でございますので、いずれにしても財源がきちっと確保される確実な保証ということが大変大事だと思いますので、どういう議論になっていくのか、教育関係者の中では地方案に対して反対も非常に根強いと聞いておりますので、ただ、将来の子供たちを思ってのそれぞれの主張でございますので、そこのところを忘れずにやはり冷静に議論していきたいという、また、議論がなされることを期待したいと思います。
 それから、あともう一つは、結論が出ていない6、000億円ほどがございます。これについては今お話しございましたとおり、私は、公立の文教施設整備費などについては確実に地方に税源移譲してもらって、それで地方の裁量をもっと働かせた上で施設整備が行われるようなものにしていくべきだと思っておりまして、この中に生活保護などが入って、それで地方に単に国の負担を転嫁させて、そして何の自由裁量の余地も働かないような形でここの点が決着をつけられることを非常に恐れております。
 どういう見通しになるだろうかというお話ですが、見通しははっきりまだ正直なところつかないわけで、これからの議論の進め方によるのだと思っておりますが、ここはぜひ国民の世論にも強く訴えて、単に生活保護などの国の負担を地方に転嫁するような結論にならないように、私どものリストの中に入っているような建設国債を財源とするような公立文教施設整備費など、まだまだ地方の裁量が働くと、うんと使い勝手がよくなるような補助金がさまざまございますので、そういったものをぜひ残りの6、000億円の中に入れ込むように運動を強力に進めていきたいと思います。
 それから、最後に3点目の地方交付税でございますが、これについては、当面必要な一般財源の総額は確保すると書かれていながら、一方で先ほどの阿部敏雄委員の中でも総務部長も御答弁申し上げましたけれども、国の方も非常にこの地方交付税についての抑制については、国というか、財政当局と言ったらいいと思いますが、財政当局はこの地方交付税の抑制に並々ならぬ、今度は、向こうは向こうで意欲を持っているやに見受けられますので、そういったことが行われないように、そして地方交付税の本来の機能である地域間の非常に財政力格差が出てきたときに、それをうまく調整するような仕組みでございますので、そうした調整機能が十分に発揮されるようにしていかなければならないと思います。そういう制度改正などはやはり地方交付税の中で必要だと思いますので、そういうことを中でまずよく議論――中というのは地方団体の中で――して、それで提案していくということが必要だと思いますし、それにしても所要額の確保、総額確保ということはもう大前提の話でありますので、この地方交付税についてはその所要額の確保を、この間、国に強く求めていきたい、そういうことを知事会として活動していきたいと思っております。
〇佐々木博委員 今も知事もおっしゃいましたけれども、やはり一番心配になっていくのは地方交付税の問題だと思います。それで、この三位一体の改革ですけれども、やはり国と地方では視点が違うような気がするのですね。国は、主眼はやはり財政再建の一環としての三位一体、地方は地方分権推進としての三位一体という、そこの何か主眼が違うことがこの交付税の問題に象徴的にこれからあらわれてくるのではないかということで、実は非常に危惧しているわけであります。しかしながら、地域間のこの財政力の格差是正には地方交付税が必要不可欠だということは、これは申し上げるまでもないわけでありまして、そういった中で、これからしからばどういった形で地方交付税の財源を確保していくかということが知事会といますか、地方側としても私は大きく問われていく問題だろうと考えております。
 特にも、地方案のとおり、平成18年度の国会で所得税の3兆円が個人住民税にフラット化しますと、黙っていても所得税が3兆円減ります。そうすると32%が地方交付税率ですから、地方交付税の財源が1兆円減ってしまうわけでありますね。私は基本的に地方交付税の財源というのは、地方間に格差のある財源を交付税の財源として使うことが、公平に扱うためには一番理想的な形だと考えているわけであります。そうしますと、今5目税目があるわけですけれども、その中で一番地方間の格差の大きい税目と言えば、これはやっぱり法人税だと思うのですね。ですから、今、法人税が本当は32%なわけが、平成12年度から、来年度もそのようですが、35.8%今交付税率なっていますが、本当はこれから交付税のその財源が減っていく中にあって、法人税を私は50%ぐらいまで引き上げるような、そういった運動を地方としてあるいは知事会として展開すべきではないかと考えているわけでありますけれども、御所見を伺いたいと思います。
〇増田知事 まず、交付税についてですけれども、この交付税ですが、これは地方の固有財源でございまして、どうも一部には何か国が地方に渡している、地方に施しているようなお金のような誤った認識があるのですが、これはそもそも地方固有の財源である。ですから、私どもがこれをやはり上手に自分のために使う、こういうことをきちっと基本認識でとらえておかなければならないと思っておりまして、その上で具体的な今の仕組まれている地方交付税の仕組みについては、今、委員がお話しございましたとおり、私も税源の非常に偏在の大きいものこそ交付税原資の中に入れて、そしてもう一度再配分をして、それで全国ひとしくやはり地域間格差が余り大きく生じないようにしていく、そういう政策を税制としてもとるべきではないかと思っております。
 ですから、そういう観点でこれまでも、全国知事会の中でもそうですし、それからそれに先行して21世紀臨調という組織がありますが、あそこの中でも、今、委員がまさしくお話しになったように、これは法人税が念頭にあるのですが、税源の偏在の大きい地方税を税目款を振りかえて、それで交付税原資の中に入れるようにという提言をしてございまして、ですから、お考え、今御提案になったことは私の考えと全く一致しているというふうにお聞きをしていたところでございます。
 その上で、消費税などが、今5目とおっしゃいましたけれども、この交付税原資になっていますけれども、あれは比較的税源の偏在が少ないものでございますので、そういったものは別に残しておいて、交付税原資を、税源の非常に偏在の大きいものをできるだけ入れるようにして、それで全体を確保するという、そういう方向でこれから税体系の抜本的な見直しをぜひしてほしい。その中には当然、今お話しございましたとおりの、法定税率のあれをどうするかといったようなことも当然含まれるわけでありますので、そうした大きな税体系の抜本的な見直しについて、地方団体との、ほかの団体ともよく検討する必要がありますが、そうした検討をして国に提言をしていきたいと思います。
〇佐々木博委員 ここに3月7日の日本経済新聞がありますけれども、三位一体の改革について、知っているが内容はよくわからないが57%、知らないが22%で、約8割の方がわからないというアンケート調査になっております。それから、加えまして、その三位一体の改革についてでも、今急ぐべき改革とは思わないというのが実は52%、過半数になっているのですね。恐らく知事も族議員だとか中央官庁の厚い壁を非常に感じていらっしゃると思いますけれども、これを突破するのは、やはり住民のそれぞれの方のそういった改革に対する支援をもらう、理解をいただいて支援をもらうということが一番大切だと思います。そして、全国でそういったうねりが起きて初めてそういった族議員の壁、中央官庁の壁というものが私は突破できるのだと思うのです。しかしながら、例えば、霞が関スタンダードがローカル・スタンダードになると言ったところで、なかなかその具体像が見えなければ、やはり住民はその気にならないのだと思うのですね。したがいまして、この改革をさらに推進するためには、なお一層地域住民に、この三位一体の改革によって地方がどう変わっていくのかという具体像を周知徹底していくことが大変大切だと思うのですが、そのことについての御所見を伺いたいと思います。
〇増田知事 今お話しありましたように、やはり全体を推進していく力というのは、住民、国民の御理解、それから御支援、これが必要不可欠でありますので、そうしますと、先ほどのアンケート、私も先般、日経新聞に出ておりましたので興味深く見たのですが、まだまだそうした意味での国民の理解が足りないなと思います。それをさらに今よりも深く理解していただくためには、やはり我々の生活がどれだけそのことによって水準が上がっていくのか、どういうふうに影響していくのか、今おっしゃった具体的なそういう効果を地域の皆さん方にわかりやすくやはり説明していくことが大事だと思いますので、これから、より具体的な事柄を取り上げて、そうした活動を岩手、我々だけではなくて全国各地域でやっぱりやっていく、そういう呼びかけを各自治体に行った上で、住民支持を背景にこの改革が進められていくように努力をしていきたいと考えております。
〇佐々木順一委員長 佐々木博委員の質疑の途中でありますが、世話人会の申し合わせにより、この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
   午前11時53分 休 憩
   午後1時3分 再 開
〇田村誠副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇佐々木博委員 次に、県の出資法人改革についてお伺いします。
 平成15年12月に岩手県出資等法人改革推進プランが策定され、平成18年度までを改革推進期間として抜本的かつ集中的な改革が行われているところでありますが、その進捗状況と今後の見通しについてお伺いします。
 また、その中でうたっておりますが、職員の派遣の縮小や退職職員の推薦を廃止すると記載してあるわけでありますけれども、具体的にその成果が出ているのかあわせてお伺いします。
〇増田知事 まず、改革推進プランですけれども、一つは整理合理化の推進、二つ目が指導監督体制の強化、三つ目が情報公開の推進、四つ目が経営者への民間経験者等の積極的登用、内容がこの4点に分かれておりますので、それぞれ現在の進捗状況等を申し上げたいと思います。
 まず、整理合理化の推進につきましては、廃止対象とした法人は住宅供給公社など七つございます。それから、出資引き揚げ対象とした法人はアイシーエスなど六つでございますが、岩手バイオマス研究センター株式会社は、昨年の3月4日に清算済みでございまして、それ以外の法人は、今、他の出資者の協力を得る作業などを行っておりますけれども、おおむねスケジュールに沿って準備を進めているところでございます。それから、それ以外の法人、特に経営改善を要する法人は農業公社など7法人ございますが、そうした法人を中心に、今、必要な見直しを進めているところでございます。
 それから、大きな項目2点目の指導監督体制の強化については、県庁内に新たに統括部署を設置して、外部評価委員会の皆さん方から指導を受けながら指導監督体制の強化に取り組んでおります。運営評価の対象でございます41法人について、今、3カ年の中期経営計画をつくるように、今年度内、すなわち今月中にはそれを県の方に出すように指導してございまして、その中期経営計画に基づいて、今後、我々としても指導を強化していきたいと考えております。
 それから、監査法人による外部経営調査も実施しておりますので、その調査結果も活用したい。これは、農業公社についてモデル的に今やっておりますが、その調査結果を他の法人にも活用して、それぞれの法人の経営の健全化と自立が図られるように取り組んでいきたいと考えております。
 次に、情報公開の推進でございますが、これは、各法人に積極的な情報公開をさらに促していきたいと思っておりますし、運営状況を県民の皆様方に明らかにする上でもこれは大切なことだと考えております。今年度の運営評価では、経営改善を要する農業公社初め7法人の運営状況を公表するにとどまったんですけれども、まだ不十分でございますので、来年度以降は、対象の41法人すべてについて運営状況を公表できるように取り組んでいきたいと考えております。
 それから、最後の経営者への民間経験者の登用でございますが、これは、プラン策定後、実はまだ登用の実績がございません。今後これを進めていかなければならないと思っておりまして、民間で有益な経験のある人をこちらも積極的に発掘して、今後、積極的に登用を図っていきたいと考えております。
〇時澤総務部長 職員の派遣等でございます。公益法人等に対する県職員の派遣状況でありますが、平成14年度から16年度までの3年間で、平成13年度の派遣職員数の約1割に当たります19人を縮減しております。さらに、平成17年度当初におきましては、今年度派遣職員の約2割弱に当たります20人程度――これは見込みでございますが――の縮減を図る見込みでございます。
 次に、公益法人等に対する県の退職職員の推薦についてでございます。本来、公社等におきまして必要な人材の育成がなされまして法人を運営していくのが望ましい姿ではありますが、その役職にふさわしい人材の育成が十分に図られていないという事情がございまして県に対し退職職員の推薦要請があった場合には、平成15年度までは、当該団体の設置目的あるいはその事業内容等を勘案の上、適任者の推薦を行ってまいりました。平成16年1月から従前の取り扱いを見直しておりまして、県退職職員の公社等への役員の推薦は原則として行わないことといたしまして、公社等から推薦の依頼がありました場合には、平成16年2月に設置いたしました岩手県職員退職者人材バンクを通じまして情報提供をすることとしたものでございます。
 なお、公社等への県退職職員の就職状況は近年減少しておりまして、平成16年度当初におきましては、前年度に比べまして、約1割に当たります7人の縮減が図られているところでございます。
〇佐々木博委員 今議会におきまして岩手県の林業公社の問題を各委員が随分いろいろ取り上げておりますけれども、出資法人の中で問題を抱えているのは何も林業公社だけでなく、ほかにも幾つかあると思っております。例えば県の肉牛生産公社などもそういった法人だろうと思っておりますし、それから、今御答弁ありました農業公社もやはり大きな問題を抱えていると認識しております。
 そこでお伺いしたいわけでありますが、岩手県の農業公社が雫石町の南畑に保有しております農地ですけれども、これに係ります今までの経緯と現状についてお伺いしたいと思います。また、現在まで、この南畑の農業用地に対しまして農業公社が投資した金額がどの程度になるのかあわせてお聞かせください。
〇竹内副知事 農業公社の保有する南畑の農地に係るこれまでの経緯と現状ですが、雫石町の南畑地区は、県営梁川ダムの水没予定者の代替農地として、昭和58年に農地保有合理化事業によって、当時の岩手県農地管理開発公社――現在の社団法人岩手県農業公社になりますが――が購入した農地でございます。その後、状況の変化によりまして、水没予定者の代替農地としては不要になりましたため、別途に売却処分が必要な中間保有農地として現在も農業公社が保有を続けている農地でございます。
 こうした経緯の中で、平成元年から平成15年にかけまして、この農地の活用を図るためいろいろな取り組みを進めてまいりました。その一つは、丸紅との提携による宅地つき農場――コテージむら農場の建設・販売でございます。これは、ちょうどバブル経済の崩壊の影響を受けまして、開発済みの全95区画中、5区画の処分・入植ができた時点で平成7年に販売を中止することになりまして、丸紅が撤退いたしております。その後、平成9年から10年にかけて、農村公園、交流施設等の整備を内容とする土地利用計画エコビレッジ構想を策定いたしまして、平成14年度には構想の具体的整備案を取りまとめましたが、この構想は、再投資額が大きく、ちょっと実現が困難な状況になっております。平成15年度、県は、この農地の活用を目指して、食と農をテーマに地域の付加価値を高め、地域振興を図るための基本戦略としていわて銀河ファーム戦略(案)を策定いたしました。その後、この地区内では、地域の方々や地元のNPO法人を中心に、食品の製造や農作業を通じた交流を進めるなど、この地区の活性化に向けてさまざまな取り組みが行われております。こうした活動を促進するため、平成16年5月、農業公社、雫石町、地元NPOと県で構成するいわて銀河ファームプロジェクト連絡協議会を設置いたしまして、この協議会において、平成15年度に策定したいわて銀河ファーム戦略(案)に基づいて地域の活性化対策に取り組むことについて合意を図ったところでございます。
 現在は、南畑地区と他の地域との交流拡大を進めるとともに、地域特産品の開発やブランド化に向けた試行的取り組みを実践するなど、地域のファンをふやし、知名度アップを図るための取り組みを進めているところでございます。
 それから、投資額についてのお尋ねがございましたが、農地を取得するのに約5億6、000万円、それからコテージむら農場事業撤退の際の負担金が約8億1、000万円、活用計画策定や農地の維持管理費等が約5億5、000万円で、支出総額が約19億2、000万円。これから、農地の売却益等の約2億7、000万円を差し引きますと、現在の簿価は――つまり投資額ということになります――約16億5、000万円となっております。
〇佐々木博委員 県の出資法人については、経営状況につきましても、あるいは予算、決算につきましても、実は議会は全くのノーチェックになっているわけであります。唯一あるのは、年に一遍、地方自治法の243条の3第2項に基づいて議会に提出される法人の経営状況説明書、これだけが我々に示される資料なわけであります。これを見れば、それぞれの決算書、バランスシートは確かに載っていますが、このバランスシートを見て経営状況がわかるということはほとんど実際は不可能だと思います。これはプロが見たってわかりません。なぜかと申しますと、例えばここに農業公社の貸借対照表がありますけれども、農業公社の場合、農地はいわば流動資産になるわけでありますから、この流動資産の中の事業資産の中に入っていると思います。55億円事業資産があることになっていますけれども、その中身がわからなければ経営状況は全然わからないわけですよね。競馬組合の問題もそうでありますが、例えばこういった県の出資法人の経営がおかしくなってしまいますとストレートに県の財政に影響を与えるという点で、やはりこれから議会としてもこの出資法人をチェックする機能を考えていかなければいけない、そういった責務はあると思っております。
 それとあわせまして、情報の開示も、出資法人についてもっと積極的な開示をしていただくことが私は必要ではないかと思っております。特にも、御承知のとおり、2006年の3月期からは企業会計原則ではすべて時価評価になりまして、固定資産も全部時価評価をして、もし損失部分があれば強制的な減損会計をするということがすべての企業に適用になります。欧米ではすべてそうなっておりまして、日本はむしろ遅いぐらいであります。やはり県の出資法人でも、こういった不動産を持っているところにつきましては、それぞれの省庁等の指導によって決算書の表記の仕方というのが決まっていると思いますが、それとは別個に、やはりそういった不動産等の時価について表記をしていただくということが大切ではないかと思っていますけれども、そのことについての御所見をまずお伺いしたい。
 あわせまして、資産額が100億円以上もしくは負債額が50億円以上、または収支決算額が10億円以上、こういった法人に対しましては公認会計士等による外部監査を受けるように要請することになっているはずでありますけれども、該当する法人というのは幾つあるか。そして、それらの法人は実際に外部監査を受けているのかどうか、このことについて御答弁をいただきたいと思います。
〇照井総合政策室長 県出資法人の経営状況の説明につきまして答弁申し上げます。
 まず、適正な資産の評価と開示の状況でございます。公益法人などの場合、一般に移転目的の資産を保有することが少ないことなどから、広く取得原価主義が採用されているところでございます。これまで県出資等法人におきましては簿価による決算を行っているところでございますが、ただいま御指摘のありましたように、売却などを目的としました資産を多く保有している法人に対しましては、現在、時価評価による資産の状況を財務諸表に参考として注記するなどの方法によりまして、県民に対してできるだけ財務の実態を明らかにするよう指導しているところでございます。
 その対象となる法人でございますが、具体的には、土地開発公社、住宅供給公社、観光協会、それに農業公社などが該当いたしますけれども、その資産の適正な評価と開示に向けまして、現在それぞれ取り組みを進めているところでございます。
 次に、公認会計士等による外部監査が要請される法人の状況でございます。ただいま御指摘ありましたように、公益法人の指導監督体制の充実等に関する総務省の指導通知によりまして、公認会計士等による外部監査を要請することが必要な法人は、現在、土地開発公社や住宅供給公社など14法人ございます。そのうち、平成15年度決算について公認会計士等の監査を受けた法人は、クリーンいわて事業団のみでございます。
 今後は、運営評価の結果、財務上の課題があるとされた法人を中心にしまして、県としても公認会計士などによる外部経営調査を実施いたしますとともに、法人に対しましても、公認会計士等による外部監査を受けるよう指導してまいりたいと考えております。
 なお、県出資等法人においては、これまで県の出納長やあるいは出納局の職員が監事あるいは監査役に就任する例が多くございましたけれども、改革推進プランにおきましては、指導監督体制の強化の一環といたしまして、監事または監査役の強化を掲げております。そこで、現在、出納長や出納局職員にかえまして、公認会計士などの外部の有識者を選任して、内部の監査機能を充実するように指導しているところでございます。これまで3法人、具体的には、土地開発公社、住宅供給公社、それに土木技術振興協会が公認会計士を監事に選任しているところでございます。
〇佐々木博委員 今、取り組みの状況についてお伺いしたわけでありますが、現在進めているということでありますけれども、例えば平成17年度の決算からはそれができるのかどうか。あわせまして、要するに売買対象ということで流動資産についてのお話を今されているわけでありますが、もう民間企業は固定資産の減損会計が2006年3月期から適用になるわけです。やはり流動資産だけではなく、固定資産についても私は時価評価をすべきだと思います。ですから、そこについてもぜひとも御検討をしていただきたいと思いますが、この点について御答弁いただきたいと思います。
〇照井総合政策室長 ただいま具体的に挙げました土地開発公社の場合は、平成17年4月以降、時価会計に移行するために現在評価を実施中でございます。それからまた、住宅供給公社におきましても、時価を踏まえて売却を進めているところでございます。観光協会も、今年度末で遊休資産をすべて処理予定でございます。さらに、農業公社も、現在、外部経営調査を実施してございますので、次の決算では時価で表示できるよう強く指導してまいりたいと思います。
〇佐々木博委員 外部監査に該当する14法人のうち1法人だけが受けている。やはり早急に是正していただかなければいけない事項だと思いますので、この点については特段よろしくお願いしたいと思います。
 出資法人の情報公開のあり方についてお伺いしたいわけでありますが、県の出資等法人指導監督要綱がありまして、第14条で、所属部局長は県出資等法人に対し、定款、事業報告書、収支計算書及び貸借対照表等の業務・財務に関する資料はもとより、県から受けている委託料及び補助金等に係る金額並びに事業内容及び実績等について、インターネット等により積極的に公表するよう助言・指導するものとするとありますが、実際に今、法人の中で情報をネットで公表しているものは幾つありますか。
 あわせてお伺いします。昨年3月の予算特別委員会で私は県の信用保証協会について質問したわけでありますが、その段階で、全国の信用保証協会のホームページを開きますと、リンクしていないのは岩手県の信用保証協会だけだったんです。ですからそのことを質問いたしましたら、インターネットは今非常に大切なツールであるから、できるだけ速やかに対応するという答弁をいただいておりましたが、どうもその後改善されたように見受けられないんですが、どうなっていますか、あわせてお伺いしたいと思います。
〇照井総合政策室長 インターネットで経営状況を公表している法人数でございますけれども、要綱によりまして指導監督の対象としている県出資等法人は全部で現在47法人ございます。そのうち、インターネットで経営状況等を公表している法人は、3月1日現在で20法人でございます。そこで、いまだインターネットによる経営状況等の公表を行っていない法人に対しましては、今後も積極的に公表するよう強く指導してまいります。
 また、インターネットで公表している法人であっても、その内容を見ますと、必ずしもただいまの要綱に規定する事項のすべてを掲載していない法人もございますので、今後は、要綱に基づきましてすべての情報を公表するように指導してまいります。
〇竹内副知事 県信用保証協会のホームページについてお尋ねがございました。これにつきましては、大変申しわけなかったんですが、昨日――3月8日、ホームページを開設いたしました。
 今年度は、いろいろ経営計画の見直しとか、それから東北6県の電算システムの共同化とか、非常に信用保証協会の中で準備とか業務量の多い年度に当たっておりまして、準備に手間取りまして開設がおくれたことはまことに遺憾でございます。反省をいたしております。
 もちろんホームページによる広報は、中小企業にとって金融に関する情報を入手する大変有効な手段でございますので、大きな効果が期待できると認識しております。県といたしましては、この内容の充実などについて、まだちょっと足りない部分もありますので、今後とも信用保証協会を指導してまいりたい、このように考えております。
〇佐々木博委員 昨年の3月にそのことを指摘しまして、通告をしたらすぐホームページが開設されたということで、何かせっぱ詰まればスピーディーに対応ができるのか、改めてそう思った次第でありますが、例えば信用保証協会のホームページですけれども、いろいろな融資制度について各県にリンクしますと、事細かく説明してあるんです。これは、信用保証協会だけではありません。例えば国民金融公庫なんかもそうです。いろいろな融資制度について事細かく、ネットを見ればわかるようになっています。結局、融資を受けたいときに、どういった制度があるかということで、今はやっぱりネットを見るんですよ。信用保証協会のことをいいますと、岩手県でなくても他県は充実しています。ほとんど岩手県も同じようなものだろうということで他県を見ればいいということになるかもしれませんけれども、やっぱりその姿勢に問題があったのではないかと思っております。なぜ県の退職者に出資法人への就職を規制しているか、私は、できるだけ少なくした方がいいと考えているんですが、指導要綱等で指導監督を強化すると言っていましても、実際に自分たちの先輩がそういったところにいて、なかなか指導監督しづらいところが実はあるのではないか。そこが一つの大きなネックになっているのではないかという印象を持っております。
 知事に私申し上げたいんですが、やっぱり今は何事もスピードが非常に大切だと思っているんです。たまたま信用保証協会のホームページなどは非常にいい例ですけれども、指導していると言いながら、47法人中まだ20法人です。しかも中身を見ますと、照井総合政策室長がおっしゃったとおり、まだ非常にお粗末なものです。それで、知事の今後2年間の政局のキーワードにひとつスピードということも加えていただきまして、ぜひともこういった問題に対してもっとスピーディーな取り組みをお願いしたいと思いますけれども、御所見があればお願いいたします。
〇増田知事 先ほどの信用保証協会の関係、実は私も今回質問があるということで、初めてやっときのう開設されたというていたらくを知りまして、今、御指摘をいただいた点が当てはまる悪い例でありますけれども、反省すべき点が多々あると改めて思っております。
 いわゆる出資等法人について、御指摘ありましたように、県のOBも随分行っています。それがそういった弊害をもたらしているということであれば、これは直ちにそういったことがないようにもう一度各法人に言わなければなりませんし、また、今、答弁申し上げましたように、少しずつ人は減っていますけれども、民間登用がまだ具体的に実例がございませんので、そういったこともございます。私もただ単にOBがそういうところに安直に行くのは極めて好ましくないと思っていますので、この点についてもう一度よく見直しをして、今、御指摘ありましたスピードは県民の皆様方にとりましてサービスを向上する上で大変大事なところでありますので、こういったことは指摘されたらすぐに対応できるように、もう一度各部局あるいは各法人によく徹底した上で取り組んでいきたいと思います。
〇佐々木博委員 次に、職員互助会の補助についてお伺いします。
 平成17年度の職員互助会の補助金は2、155万8、000円と、16年度の1億3、018万6、000円と比較して大幅に削減されており、教職員互助会を初め、警察互助会等もすべて同様であります。まず、どうしてこれほど大幅に削減されたのか、その理由についてお伺いします。
〇時澤総務部長 職員の福利厚生事業につきましては、地方公務員法におきまして、地方公共団体が計画し、実施するということになっております。このため職員互助会を設置しまして必要額を補助してきたわけでございますが、県からの補助でございますので、当然事業内容は県民の理解が得られることが前提となりますし、また、職員互助会の経営状況あるいは他県における補助の状況等を勘案して行う必要があると考えてきたわけでございます。
 これまでは、互助会に対しましては給与等の一定の率を補助という形で出しておりまして、何を補助しているかが極めて不明確であったわけでございます。そういう観点から今回見直しをいたしまして、給与等の一定の率による補助をやめまして、使用者としても支援を行うべきであると考えられます事業にのみ充当する補助を出すという考え方に改めまして、その結果、補助金の額が大幅に削減されたものでございます。
〇佐々木博委員 この職員互助会の補助金につきましては大阪市のことで大きな話題ともなっているわけでありますが、私は、昨年の9月議会におきまして一般質問でこの問題を取り上げました。そして、東北6県の中で本県の補助金が突出して高いということ、宮城県は補助金を既に廃止し、福島でも包括外部監査で廃止を指摘されていることから、本県も廃止すべきではないか、あるいは必要な事業に直接補助金を出すべきではないかということを申し上げました。そのときの御答弁では、互助会を利用した方が効率がよい事業もあるということでありましたけれども、今回のこの包括外部監査の指摘を受けまして、今後どう対応されるおつもりか御所見をお伺いします。
〇時澤総務部長 今回、包括外部監査人の監査におきましても互助会について指摘をいただいたところでございます。この指摘につきましては、監査人の意見を尊重いたしまして、平成17年度中に具体的な対応を図ってまいりたいと考えております。
 今年度、既に、先ほど申し上げましたように、事業に着目するということで見直しを行いましたが、さらに、例えば県、共済組合、職員互助会の役割分担が多少ダブっている、あるいは明確ではないところがございますので、この包括外部監査人の指摘を踏まえまして、まず、この3者の役割分担をきちんと整理すべきではないかと考えております。その整理にあわせまして補助金のあり方というのも抜本的に見直しを図っていきたいと考えておりまして、そのような見直しを行いまして、県民の理解が得られるものに限定をしてまいりたいと考えております。
〇佐々木博委員 この互助会について、私、一番問題だと思っているのは、互助会に一括して補助金を交付することが問題だと思っているんです。互助会がもらった補助を何の事業に使ったかが透明ではないわけであります。もしそちらの方が効率がいいという議論があるとすれば、私は、こういった互助会に対する補助みたいなものは、効率性以上に、やはり透明性を重視しなければいけない、そういった種類のお金ではないかと思っているわけであります。
 もう一点加えますと、互助会で行っている事業はいろいろありますけれども、県の補助金を投入してやるにはふさわしくない事業がまだ何点かあります。これからそういったものを見直し、あるいは平成18年度で廃止する予定というものもありますけれども、これにつきましても、先ほどと一緒なんですが、もっとスピーディーに、もう廃止した方がいいものは即でも廃止するような、そういった態勢で臨むべきではないかと考えております。このことについて御所見をお伺いして私の総括質疑を終わりたいと思います。
〇時澤総務部長 前回見直した際に、例えばあるものについては平成18年に見直しをする、あるいは18年度以降に検討するということがございましたが、今回、事業を絞った際に、それも含めて廃止ということで見直しを行いまして、もともと予定したものを前倒しで見直しを行ったところでございます。
 委員御指摘のとおり、透明性というのは非常に大事でございます。今回は、包括的な補助ではなく事業に着目する補助に変えましたので、その補助を充当する事業につきましては、これには補助が当たっている、これには当たっていないと明確に分けて区分経理をしたいと考えております。なお、ホームページでそういう状況も公表しておりますので、透明性の確保につきましては一層の工夫をしてまいりたいと考えております。
〇田村誠副委員長 次に、照井昭二委員。
   〔照井昭二委員質問者席に着く〕
〇照井昭二委員 自由民主クラブの照井でございます。
 総括質疑の機会をいただき、先輩・同僚委員に感謝申し上げ、順次質問させていただきます。
 きのう競馬組合融資の追加予算が提出されまして、当初予算1.6%減から1.3%減という、おかげさまで全国平均1.2%減と横並びの状態からのスタートでございます。財源の確保が厳しい中で、県は、より一層の選択と集中を図り、重点的に取り組む施策などを明らかにしております。
 そこでお尋ねしますが、このような重点化を通じて、岩手らしさへのこだわり、岩手らしさの追求は予算のどこに生かされているのでしょうか。岩手スタンダードともいえる、新しい岩手ならではの地域社会の創造につながる施策がどのように反映されたのかまずお伺いいたします。
 また、平成17年度は、国の三位一体改革により、国庫補助負担金改革と、それに伴う税源移譲が行われました。これらの改革による本県の影響等については一般質問において取り上げられたところであります。
 そこで伺いますが、国から地方への税源移譲により、地方の自由度――裁量の度合いがどの程度拡大したのでしょうかお尋ねいたします。
〇増田知事 まず、来年度当初予算の岩手らしさということについてのお尋ねですが、このことは、岩手ならではの資源あるいは資産を生かして新しい価値創造をして、そして経済の自立につなげていったり地域の活性化につなげていくという中で予算がどういうふうにどの分野に投入されたのかということを申し上げればよろしいかと思います。
 例えば、まず一つは産業振興についてでありますが、今回は、自動車関連産業の育成を通じてものづくり産業の集積地域にしていく、こういうことを予算の重点事項の一つとして申し上げました。また、予算もそのように措置したわけですが、これは、北日本、東北で唯一自動車組み立て工場が立地しているという岩手の強みを生かして、そして、金ケ崎にある自動車組み立て工場にさまざまな部品を供給している工場がございますが、できるだけ地場産業に食い込んでもらって、それを核としてものづくり産業のより拡大を図っていこう、こういうことでございます。これが一つの例でございます。
 もう一つは、産業振興につきまして、岩手では、INS――岩手ネットワークシステムという非常に古く、昭和60年代にでき上がりました産学官の自由濶達な連携組織がございますが、こうした産学官連携の土壌を生かして、岩手で持っております素材――シーズに重点的に研究費を投入していくということで、例えば酸化亜鉛の単結晶ZnOの開発に向けた戦略的技術開発推進事業費などに大幅な事業費を入れているわけでございます。こうした、岩手で研究の有力な素材を持っておりまして、今後、事業化に結びつく可能性が非常に高いものにつきまして、その成果を金融機関と連携しながら事業化していく、こういう戦略のもとに特に予算化を図ったものでございます。
 このほか、観光分野では、義経をテーマとした観光戦略、それから暮らしの分野では、岩手に根づいております結いの精神を生かした御近所介護ステーションなど高齢者介護への取り組み、それから、ペレットストーブ、これも岩手に豊富に存在しているバイオマス資源を有効に活用するということでございますけれども、こうしたペレットストーブの普及など、今、幾つか申し上げましたのはそれぞれの分野での代表例のようなものでございますけれども、できるだけ岩手の資源や資産を生かした新しい価値創造につなげるということで、今回の平成17年度当初予算の中ではそういう観点で予算を重点配分したということでございます。
 それから、もう一点お尋ねの税源移譲による自由度がどれだけ広がったかということでございますが、昨年11月の政府・与党合意の中で平成17年度に措置されているとしております税源移譲の内容につきましては、義務教育国庫負担金、国民健康保険の二つでそのほとんどが占められているということでございまして、この二つは、一つは人件費でございますし、もう一つの国民健康保険については都道府県に国庫負担分が転嫁されたような形になっておりまして、ほとんど地方の自由度や裁量の拡大にはつながっていかないものでございます。
 そのほか、農業近代化資金利子補給補助など農業分野で幾つかのもの、それから文教分野でも、学校教育設備整備等補助ですとか地方スポーツ振興費補助などは完全に一般財源化されまして地方の創意工夫を入れる自由度、裁量が高まりましたので、こうしたごく限られた極めて限定的な分野については地方の裁量が高まったと言えると思いますけれども、残念ながら、平成17年度予算におきましては、先ほど申し上げましたように、義務教育と国民健康保険の二つでほとんどが占められておりますので、お尋ねの、地方の自由度がどの程度拡大したかということですが、残念ながら、平成17年度予算ではその大きな効果は認められないのではないか、このように考えておるところでございます。
〇照井昭二委員 自由度がもう少しとは思ったんですが、初年度ということもあり、スタートの第一歩かなと思っているところでございます。
 戦後50年を経て、国と地方のあり方は大きく変わろうとしております。大きな地方分権の中で三位一体改革が動き出し、国と地方の協議の場が設けられました。これは、中央集権国家たる日本の歴史の中で初めてであり、真の意味での地方分権が確立できる歴史の第一歩であります。私は、国と地方6団体との信頼と協調の成果であると評価するものであります。
 十年一昔とはいいますが、知事が夢県土いわてを目指し、知事としての職務を始めて以来、みずからの思いと理想に反し、その実現のスピードの遅さ、立ちはだかる壁の大きさを痛感し続けてきたと思います。昨年の12月議会では、三位一体改革について、知事はかなり厳しい評価をしておられました。みずからの知事会での活躍を誇示せずに、知事はかなり謙遜しておられたと思いますが、政府の全体像の決定を受けて失望を禁じえないと発言し、50点という赤点間近の厳しい採点でした。確かに、昨年段階では国庫補助負担金改革の中身が不明、あるいは税源移譲額も不明な状況での判断ですので、冷静な評価は難しかったかもしれません。平成17年度、平成18年度においては、地方団体の安定的な財政運営に必要な一般財源の総額が確保されることになり、梶原前全国知事会長は、地方交付税、税源移譲等につき鋭意調整されたことには敬意を表したいと評価しております。
 そこでお伺いしますが、予算編成を終えられて、三位一体改革についての改めての再評価が必要と思われますが、いかがでしょうか。
 また、知事が全国知事会の会長選挙の演説でも話をした闘う知事会とは、だれと闘おうというのでしょうか。国と県及び市町村は対等のパートナーであるというのが知事の持論であったと思われますが、その真意についてお聞かせ願います。
〇増田知事 まず、三位一体改革についての再評価ということですが、基本にございますのは、昨年の11月段階については、今、委員の方からお話ございましたとおり、同じテーブルについて6団体が一致協力して政府と交渉に当たったということで、その点は評価をしつつ、具体的な内容については、この前の御質問でお答え申し上げましたように、地方の裁量、責任が拡大していないということを受けて、全体としては50点と申し上げたわけです。その後、今お話がございましたとおり、平成17年度予算でほぼ前年度並みの交付税額が確保されたといったことがございますが、これについては、交付税額自体は対前年とほとんど同じ、0.5%増ということでございますけれども、それの振りかえとしての臨時財政対策債は大幅に減っていたり、それから、阿部委員のときにも申し上げましたけれども、交付税自体が、平成17年、18年は所要額確保となっていますけれども、一方で大幅な交付税総額の抑制の動きもあるということで、この交付税についてはまだ厳しい目で見ていかなければならないということもございますので、今、平成17年度予算案も見た上での改めての再評価ということでございましたけれども、あえて点数をつければ、やはり同じように50点、半歩前進という評価かと思っているところでございます。
 それから、闘う知事会ということでの闘う相手ということでございますが、この相手は、やはり地方分権を阻むものすべて、こういうことになるんだろうと思います。中央省庁が権益保持に一番強い抵抗を示しているところでありますのでやはり一番の標的になるのではないかと思いますけれども、改革を進めていく上で、それを阻むものに対してはやはりきちっとした態度をしていかなければならない。これは本会議でも申し上げましたけれども、闘うという趣旨は、対決をすべきときは対決し、協調すべきときは協調する、こういうことでございますので、その場面場面でよく判断をしながら、しかし、阻むものに対してはちゅうちょすることなく闘っていかなければならないと考えております。
〇照井昭二委員 先日の本会議の知事の答弁の中で、国は、公共事業の国庫補助負担金は、財源が建設国債であるため税源移譲の対象とはならないと主張しているが、建設国債といえども償還には国税を充てており、移譲対象となる税源は存在することから、地方への税源移譲は可能と考えていると御発言なさいました。学者の言う空理空論とは別に、我々は現実の問題を解決、処理していかなければなりません。国の赤字国債の発行が初めて減少との報がございましたけれども、しかし、赤字国債であることには変わらない。その是非はともかく、各地方のインフラの要望、整備等の要望の声が大きいこと、これもまた事実であります。その要望にこたえるべく、やむなく赤字国債を出し続けてきたのも事実であります。現状の国の財政状況を見ると、知事の求める建設国債の税源が架空のものに思えてなりません。公共事業の国庫補助負担金の税源移譲が可能だという県の意見と国の主張との違いについてわかりやすく御説明をお願いいたします。
〇照井総合政策室長 公共事業関係の国庫補助負担金につきまして、国におきましては、今お話ありましたように、財源を国債を発行して調達しているということで、移譲の対象にはならないんだと主張しています。この考え方というのは、国債というのは国の借金でございますから、借金自体を地方に移管しない限りは、地方に渡すべきお金、つまり税源がないというものでございます。これに対しまして、地方側の考え方といいますか主張は、国債といえども、それを実際償還する際には税金をそれに充てているのだから、実際にお金はあるんじゃないか、存在しているんじゃないか。したがって、地方への税源移譲は当然可能であるということでございます。
〇照井昭二委員 大変わかったようなわからないようなあれでございますが、何となく、国が借金をして現金を地方によこせというふうにも聞こえかねないわけでございますが、知事にはぜひ赤字国債を引き受けてこないようにお願いしたいと思います。
 次に、プライマリーバランスと財源不足についてお伺いしますが、岩手県行財政改革プログラムの平成17年2月推計による中期財政見通しは今年度の当初予算を反映させたものであり、その見通しによれば、県のプライマリーバランスは平成18年度までにその均衡を達成し、18年度は黒字になると推計されております。一方、中期財政見通しでは、平成18年度は221億円の財源不足になるとの見通しを立てております。この歳入歳出ギャップの財源はどうするのでしょうか。
 県が公表する数字については、県民は経済予想の参考値の一つにするものであります。マイナス予算というイメージは、県経済の動向に少なからざる影響を与えるものであります。今年度のみならず、平成18年度もマイナス予算を予告することは、プライマリーバランスの均衡という知事公約は実現できても、その反面、県経済に与える影響は大きく、地域経済を下方に向かわせる大きな要因となります。平成18年度予算の編成に際しましても、プライマリーバランスのいわゆる知事の公約と財源の確保とどちらを優先させるつもりでしょうかお伺いいたします。
〇時澤総務部長 平成18年度に見込まれます財源不足額221億円でございますが、この財源不足額に対応するために、やはりさらなる見直しが必要だと考えております。例えば、歳入面では財源確保をどうやっていくのか、歳出面では歳出削減に向けての一層の努力、この両面からの見直しを今後やっていく必要があると考えております。
 そして、その上でプライマリーバランスと財源の確保の関係でございますが、プライマリーバランスの均衡につきましては、目標年度であります平成18年度の達成も含めて、健全な財政運営に向けてこれを堅持する。堅持しつつ、さらに県債発行を抑制する中で、自主財源の確保でありますとか優先順位の厳しい選択を含めまして、限られた財源の重点的かつ効果的な活用にも努めてまいりたいと考えているものでございます。
〇照井昭二委員 教育予算に入ります。
 新しい次代を担う人づくり教育先進県の実現は、すべての県民が願うところであります。最近、本県の英語力最下位とのショッキングな報道がありました。単に予備校のデータだからと無視はできない数字です。本県における英語力は、民間データによると全国的に低位にあり、中学校英語の学習定着度状況調査においても、学年が進むにつれて低下しているのが現状であります。しかし、県の予算は、ここ数年、公共事業費の30%削減に代表されるように歳出全体が削減されている中で、県予算に占める教育予算の割合はほぼ横ばいであり、平成14年度以降毎年上昇し、平成17年度当初予算案においては20.2%に達しています。生徒数の減少を考えれば教育予算は相対的に増大しており、県としては、教育重視の予算編成を行っていると言うこともできます。
 お伺いしますが、生徒1人当たりの予算額、すなわち生徒1人当たりの教育環境は向上しているのに、学力向上の面にその効果があらわれないのはなぜでしょうか。生徒の質が落ちたのか、教育力の低下か、親が悪いのか、方針が悪いのか、理念がないのか、何が原因なのでしょうか。今後の取り組みも含めてあわせてお伺いします。
 続けてお伺いしますが、教育論は100人いれば百様でございますけれども、私見を入れてお伺いしますが、英語力に対しまして国語力でございますが、私は、国語力の向上こそが教育の原点であると考えております。正しい日本語を覚え、正しい日本語の使い方を覚えて、初めて自分で考え、他者とコミュニケーションすることが可能になります。言霊という言葉で象徴されるように、大和言葉、万葉の世界、俳句、川柳、落語、これらは日本独自の伝統と文化であり、国語力の成果であります。日本語には、日本人にしかわからない言外の言葉があります。あうんの呼吸を、英語でその本質を伝えることができるでしょうか。岩手らしさの伝達は方言なしには伝えられない。結いの心を英語で伝えることは不可能と思います。英語力の向上は、受験テクニックの向上には即効性があります。大学教育が岩手にとってどの程度必要かということはさておき、受験テクニックを上げれば進学率は上がるでしょう。しかし、大きな教育方針、あるべき教育理念から見れば本末転倒ではないでしょうか、御所見を伺います。
〇増田知事 今回、学力向上の予算を特に措置しておりますけれども、なかなか学力向上の面に結果があらわれないのはなぜかということで、これはごもっともな御疑問かと思うんですが、今、委員の方からこういうことなのかということで幾つか要因を挙げられましたけれども、そのどれが該当しているのか、あるいはどれもが該当しているのか、あるいはまたさらに別の要因なのか、実は正確な要因分析が教育委員会の方でまだできていないというのが正直なところかと思います。今の現状を正確に把握する資料すら、と言っていいのかもしれませんが、把握する資料すら今まで十分にありませんで、やっと昨年度から学習定着度状況調査、これも中でいろいろ議論がございましたけれども、やっとそういうものが始められた。2年間続けましたので、来年度もこれをやりますけれども、やっとそういう分析する資料が整い始めた。あるいは、他県との4県の統一テストを今回初めて行いましたけれども、それによってやっとどういう客観的な水準なのか手がかりを得る資料、まあ、これも一部にすぎないと思いますけれども、そういう資料がやっと得られたような状況でございます。したがいまして、その要因については、今後、これらの調査と結果の分析の中から明らかにしていかなければならないと私は思っておりますが、今、幾つか委員の方からお話がございましたもののどれが当たっているのか、この段階ではまだ十分な分析ができかねているというのが正直なところでございまして、今後、その分析をしっかりやっていきたいというところでございます。
 それから、もう一つのお尋ねの国語力の向上こそが大事ではないかという話でございまして、そのことについては私も非常に同感するものでございまして、やはり国語力を正確に義務教育の段階で身につけさせるような教育を行うことが極めて大事なことだと思っております。そのことは何ら否定するものではございませんし、当然の御指摘だと受けとめておりますが、今回、予算として、英語、特に中学校英語にかなり新たな事業を起こしておりますのは、全教科の中で横の比較というのはなかなかしづらいんですが、特に得られている資料の中でいいますと、英語力についてやはり著しくほかのところとレベルが離れておりまして、中学校での英語の定着度が学年が進むにつれて非常に大きく低下してきている。そのことが結果として高校の方に大きく影響しておりまして、高校における英語の定着度がさらに低くなっている。そして、県立高校の現場の先生を初め、いろいろな現場の人たちの中での共通認識としても、特に中学校の英語力を強化してほしいという声が非常に多く聞かれるようになってきております。そういうことが学習定着度調査によって初めて出てきたということもございまして、そういう現場の声や、あるいは定着度調査の分析結果からすれば、今一番この段階で最初に手当てをしていくべきは、これからの国際化の時代に、やはり英語力の定着度をより高めるようなことに取り組むべきではないか、こういう問題意識がございまして、今回、中学英語について新しい事業を幾つか展開することとしたところでございます。
 したがいまして、冒頭申し上げましたように、もちろん国語力の向上についても大変重要な課題でございますので、順番とか優先度の問題は、そういうことで今回は英語ということにいたしましたけれども、国語力の定着、向上に向けての努力は今後も怠ることなくやっていかなければならないもの、このように考えております。
〇照井昭二委員 知事からやっとという言葉が何度も連発されましたので、次の新しい教育長には一生懸命頑張っていただきたいと思っております。
 大学の進学率アップを目的とした学力向上対策を積極的に推進するとされておりますが、その一方で子供たちへの情操教育が軽視されることにはならないでしょうか。折しもゆとり教育の見直しが声高に叫ばれ、偏差値教育への回帰も予想される中で、教育においても岩手らしさを求めることが必要ではないかと考えております。高等学校の学習指導要綱では、英語などのいわゆる5教科のほかに、音楽、美術、書道などの芸術や家庭などのいわゆる技能教科の標準単位数が定められています。心豊かな、感性豊かな青少年の育成には、この時期の情操教育こそが必要不可欠であります。しかし、それを教える教員ですが、例えば本県の芸術科目の教員数は、平成16年度には109人となっております。さらに、音楽、美術、書道などの教科を生徒が選択することを考えると、芸術を教える専門教師が足りず、兼任教師で対応している実態が浮かび上がります。生徒にとっても、教科を選択する余地がないなどのふぐあいが生じていないでしょうか。芸術科目を軽視することなく、情操教育の強化と充実で岩手らしさと個性あるすばらしい青少年への育成につながると考えますが、いかがでしょうか御所見をお伺いします。
 また、ゆとり教育そのものに私は賛成であります。目先の数字にとらわれることなく、知識の断片の詰め込みをやめ、ただ一つ学ぶことの楽しさを教えれば、子供たちはみずから学ぶことを始めます。先人の知恵と苦労を教えれば、祖先を敬い、親への感謝の気持ちが深まります。郷土の伝統と文化を教えれば、郷土に誇りと愛を持ちます。正しい歴史を教えれば、誇りと勇気が生まれてまいります。子供がアイデンティティーを確立し、みずから学び始める瞬間です。アプローチはいろいろあると思います。郷土芸能に限らず、日本が長い歴史をかけて育て、培ってきた日本独自の柔道、剣道、世界に誇れる盤上ゲームの最高峰の囲碁、将棋、華道、茶道などなどでございます。(「相撲もだ」と呼ぶ者あり)はい。教える側は、岩手には人材が豊富です。校外にボランティアを求めれば今すぐにでも可能であります。岩手独自の教育で岩手らしさを実現してほしいものですがいかがでしょうか。
〇竹内副知事 高等学校のいわゆるその技能教科の充実についてですが、音楽・美術などの芸術教科につきましては、国が定めた学習指導要領によりまして、すべての高校生がそのいずれかを履修しなければならないとされておりまして、本県におきましても週2時間の履修単位についてこれを確実に実践するなど、豊かな情操をはぐくむことに十分配慮しているところでございます。これらにつきましては今後とも学校の個性や地域性を尊重しながら、技能教科について非常勤講師を活用するなど、教員の効果的配置に十分配慮いたしますとともに、学力の向上に合わせて岩手らしい豊かな感受性や創造性に富んだ青少年の育成、学校教育の推進に努めてまいりたいと考えております。
 それから、総合学習などのゆとり教育についてですが、岩手の将来を担う子どもたちを育成するためには、このゆとりある教育活動の中で基礎・基本を確実に身につけさせますとともに、体験的な活動や問題解決的な学習などを通して、みずから学び、みずから考える力などの生きる力をはぐくんでいくことが重要ではないかと考えております。そのためには、地域の人材を活用して体験的な学習を初め、特色あるさまざまな教育活動を展開できる総合的な学習の時間は有意義な取り組みであると考えております。
 本県では豊かな自然や温かい県民性、人づくりを大切にする風土の中で、子供たちに主体的に学ぶ心やたくましさ、創造性などを身につけさせるために、学校が地域と連携いたしまして、例えば米づくりやワカメ栽培などの農林水産業体験活動や、神楽、剣舞などの地域の伝統文化を継承する活動などのいわゆるその体験活動、それから地域環境に関する課題や食料問題に関する課題、そういったものに焦点を当てた問題解決的な学習など、いろいろな活動の充実に取り組んでいるところでございます。
 今後とも、豊かな岩手の自然環境や歴史、文化、地域の教育力を生かした教育を推進いたしまして、岩手らしい教育の実現に努めてまいりたいと考えております。
〇照井昭二委員 競馬問題についてお尋ねいたします。
 平成16年度2月補正予算では27億円の融資案が可決になりました。県経済に与える影響、雇用問題など、一時的な緊急避難的な処置と、議会としては政治的判断、苦渋の選択であり、毎年毎年借りかえていくということでは正常の姿ではないと認識を持っていただきたいと思います。税金をギャンブルに投入することについて、県民の理解を得ることは非常に困難であります。早速、数多くの県民から批難とおしかりの声を数多くいただいております。平成17年度予算にも競馬組合の融資27億円が追加計上されております。同じ議論になるわけでありますが、補正予算通過後の、競馬だけになぜとの県民の怒りに近い声を聞いた今でも、税金をギャンブルに投入することが正しいと言い切れるでしょうか。県民の理解を得ることが可能と考えているのか、まずお伺いします。
 競馬組合への融資は金融機関からは難しいと述べておりますが、何が原因なのでしょうか。知事が胸を張って実現可能な計画、不退転の決意でやるというのに、それを信用しないのはどこの銀行なのでしょうか。全国知事会での活躍で名をとどろかせたその知事の能力は否定しないことと思います。それでは岩手株式会社の経営者としての手腕を疑問視しているのでしょうか。それとも競馬組合の管理者に対してさじを投げているのでしょうか。本議会の答弁では、県知事と競馬組合の管理者、その役割が混在した答弁との感を受けました。岩手県知事として競馬組合の管理者を指導、監督する責任と厳しい決意、決断が欠けていると思うのは私だけでしょうか。
 競馬組合の実態は火の車でありながら、のんびりムードと甘えの体質、なれ合い、もたれ合いの体質はそのまま変わらない。まるで放蕩癖の息子が借金をつくって親に泣きつき、甘い親はしかりもせず、放蕩癖が直らぬままにまた金を出してやる。県と競馬組合の構図がそんな親子とダブって見えます。競馬組合の管理者としては、借金は借りやすいところから借りるというのはわかります。しかし、県知事としては、競馬組合の管理者に対し、借入先の開拓など、さらなる自助努力を求め、一日も早い自主再建と自立を指導すべきではないでしょうか。御所見をお伺いします。
 また、平成17年度予算における知事の政策的経費である政策形成プロジェクトは一般財源で50億円と聞いております。くしくも競馬組合への融資額、借換債、2市町含めての50億円と同額とは不思議な偶然であります。県民から見れば、教育、福祉、環境、産業振興などのあらゆる重要な政策よりも競馬組合の支援を優先している、競馬が最優先と映るわけであります。競馬はギャンブルではないとの詭弁、12月議会で述べた、融資は財政的支援ではないとの詭弁よりもひどい物言いであります。不退転の決意で臨まれる知事にとって、競馬組合支援は他のあらゆる重要政策よりも最優先の課題でしょうか。真意をお聞かせ願います。
〇増田知事 まず、競馬組合の問題について、税金投入で県民の理解が得られるのかというお話でございましたが、この問題については県民の皆様方からも反対の意見も含めて、県民の皆様も大変多くの御意見があることは私も十分承知をしているわけでございます。しかし、本会議でも申し上げましたとおり、この競馬が昭和39年から果たしてきた役割というのは、財政競馬というその役割のほかにもさまざまな多様な役割があったということでございまして、そうしたことをとらえて、今回新たな実行計画を確実に実行していくことが、この競馬の再建につながるという判断のもとで、今回の御提案をお願いしたということでございます。
 この後、意見がさまざま分かれている現状の中で、そうした懸念を示される皆様方の御理解をいただくためには、やはり計画を確実に実行していくということで再建の道筋を見せていくことが、そういう皆さん方の御理解をいただくことにつながる。何としてもやはり計画を、きょう午前中の議論でもございましたけれども、的確に進行管理をしていって、そして再建の道筋を見せていくことが、そうした御心配をいただいている県民の皆様方に御理解をいただく道だと考えておりますので、一層厳格な進行管理を行った上で、再建に向けて全力投球をしていきたいということでございます。
 それから、もう一点、資金調達の関係で、今、指定金融機関とその関係については交渉していますが、前向きな明るい感触を得ているわけですけれども、今、議員がお話しございましたとおり、いずれにしても組合が自力でそうした資金調達も行っていったり、自力で経営を健全経営を行っていく、これがもう大原則でございまして、公営企業でございますから自助努力がこの原則であることはもう異を待たないことでございますので、これは競馬組合の管理者としてこの組合の経営を健全化するように、そしてひとり立ちできるように最大限努力をしていくわけでございますが、そうした組合に今回融資を行った立場でありますが、そういう県としても組合を的確に指導して、そしてまずその道筋を見せるということに全力を挙げていきたいと思うものでございます。
 それから、40の政策を初めとして政策課題がさまざまあって、それとの優先関係ということでお話しございましたが、これは優先課題といいましょうか、予算などでも重点投資を行った分野、重点的なものはこれだということで四つの分野を挙げましたけれども、それ以外の部分も含めて、重要さということにおいては、これはそれぞれ変わりないわけでございまして、どの問題も県民生活に影響あるものでございますし、いずれも重要だと思っております。その中で、予算で毎年毎年重点をどこに置くかというようなことでの優先配分なり優先的な取り組みということはしてございますが、この競馬の問題も私は大事だと思いますし、それから今お話しありました40の政策の政策課題ですとか、それ以外の課題も極めていずれも重要な課題でございますので、それぞれについて一番いい効果が得られるように常に努力をしていく、そういう思いでこれからも取り組んでいきたいと思います。
〇照井昭二委員 農業問題、農業振興についてお尋ねいたします。
 本県は、農林水産業をリーディング産業と位置づけ、個性豊かな農林水産物を生産し、全国に誇れる一層のブランド化に努めるなど、食料供給県を標榜しています。しかしながら、本県の自給率は100%をちょっと超えた程度。このような食料自給率では、自給自足の段階、レベルと同じでございます。この点に関しいかがお考えでございましょうか。自給率向上は即農業生産額の向上と同じでございます。あわせて御答弁をお願いいたします。
 また、農産物の安全性についてでございますが、非常に岩手県は冷涼な気候、害虫の種類や発生回数が少ないことなどから農薬の使用量削減が可能であり、県では環境に優しくて安全で安心な農産物を安定的に供給していくための運動、生産状況を示す指標として平成11年度にいわて農業純情度を作成したところであります。この運動の成果はどうなっているでしょうか。いわて農業純情度の指標の到達状況とあわせてお示し願います。
 また、食の安全・安心の観点からも、今後は農薬の安全使用や適正販売の推進が重要になっていくと考えられます。農業生産者が農薬の安全性のPRをみずから行うことは難しいこともあり、関係機関・団体が一体となって、農産物の販売戦略の一環として、中国野菜に見られる残留農薬の不透明と、その対極にある我が岩手の農産物の安全性の周知等を推進していく必要があると思いますがいかがでしょうか。農産物の安全性のPRのため県が行おうとしている消費者に対する農薬施策の周知の状況、今後の取組方法についてお示し願います。
〇竹内副知事 食料供給県としての地位の確立についてでございますが、確かな食料を安定的に供給していくためには、本県の農業を牽引する力強い担い手の確保・育成と、消費者ニーズに対応した生産の拡大が不可欠でございます。
 このため、全国に先駆けまして、県下全域で策定した集落水田農業ビジョンにおいて明確化された担い手が、効率的、安定的な農業経営を展開できるよう、まずは認定農業者を育成していくことが重要ではないかと考えております。また、担い手が不足する地域におきましては、専業農家、兼業農家がそれぞれの役割分担のもとに、地域が一体となって集落型営農を展開することとしておりまして、これを岩手型農業の振興策の柱として取り組んでいくほか、適地適作と健康な土づくりを基本とした安全・安心な農産物の安定的な生産と、その基盤となる優良農地の確保などを進めることによりまして、消費者ニーズに即した食料供給県としての生産体制を構築していきたいと考えております。
 それから、食料自給率向上に向けた取り組みですが、これは良質で安全・安心な農産品の生産体制を強化いたしますとともに、地産地消運動の展開による県産農産物の利用を通じまして、生産者と消費者の顔の見える関係の構築に努め、食育の観点からも学校給食における地産地消の推進にも積極的に取り組むなど、今後もこうしたことを通じまして食料自給率の向上に努めていきたいと考えております。
 それから、いわて農業純情度についてでございますが、平成11年に有機物の適正施用率や環境に優しい防除技術普及面積、それから10アール当たり農薬使用量などの具体的な数値目標を設定いたしましたほか、平成12年度には土づくりと化学肥料・化学農薬の低減を一体的に行うエコファーマーの育成を目標に掲げまして、環境に優しく安全で安心な農産物を安定的に供給していくための運動に取り組んでいるところでございます。
 この結果、四つ指標を掲げておりますが、まず一つは、環境に優しい施肥技術の普及率、これは平成17年度の中間目標40%になっておりますが、平成15年度実績は26%、ちょっと伸び悩んでおります。これの普及拡大に努めてまいります。それから、有機物の適正施用率ですが、これは中間目標74%に対しまして、現在78%。それから、環境に優しい防除技術の普及面積につきましては、中間目標の3、500ヘクタールに対して3、900ヘクタール、それから10アール当たりの農薬使用量につきましては、中間目標の5.1キログラムに対して、それより少ない4.3キログラムとなっておりまして、中間目標は達成をいたしております。
 それから、エコファーマーの認定数も中間目標の2、800人に対しまして現在3、909人、これは全国トップクラスの数字になっております。
 それから、農産物の安全性の周知についてでございますが、平成14年10月に設置いたしました岩手県農薬適正販売・使用推進協議会、この協議会の御意見も参考にしながら、農薬販売店や生産者への農薬の適正な販売・使用の周知、消費者の農薬への正しい理解促進などに努めておりますほか、これを徹底するため農薬の保管、販売、それから適正な使い方を指導する農薬管理使用アドバイザー、これをこれまで1、221名育成をいたしまして、現在すべてのJAのほか、農薬販売店の8割、それから産直施設の約2割に配置したところでございます。特に消費者に対しましては、生産圃場に招いて実際の栽培状況を紹介する純情産地ツアー、あるいは農薬に関する講習会の開催などを通じまして、農薬に対する正しい知識を深めていただくよう努めておりまして、今後とも農薬に対する消費者の疑問や不安を少しでも解消し、安心して県産農産物を購入していただけるように、情報提供の仕方などをさらに工夫してまいりたいと考えております。
〇照井昭二委員 森林環境税についてお尋ねいたします。
 検討委員会では、昨年9月に中間報告を取りまとめ、その後、県内各地での説明会や県民アンケート調査を実施したと聞いておりますが、県民の反応はどうであったでしょうか。また、検討委員会ではどのような議論が進められてきたのか、今後の予定も含めてお伺いいたします。
 また、既に森林環境保全のための税制度を導入済みの県もあると聞いていますが、他県における実施状況、検討状況についてもあわせてお伺いいたします。
 環境省及び農林水産省からは、地球温暖化防止対策の財源として、環境税――仮称でしょうが――の創設についての税制改正要望がなされるに至っております。この環境税あるいは環境譲与税が創設され、地方公共団体の地球温暖化防止対策に充てるための財源を譲与する場合には、人口等での配分が予想されます。しかし、森林吸収源対策としての森林整備・保全等の諸対策を推進するため、全国第2位の森林面積を有する本県として、環境税の創設と森林面積等による地方への配分を国に強く働きかけていく必要があるのではないでしょうか。見解をお聞かせ願います。
〇増田知事 まず、森林環境税の検討状況、それから県で設置しております検討委員会での中間報告をまとめましたけれども、それの県民の皆さんの反応について申し上げますけれども、中間報告の中では、中間報告の説明会、県内各地でこれは開催しました。この説明会の中ではいろいろな御意見がございましたけれども、森林の恩恵は県民全体が受けていて、県民みんなで森林を守る必要があるといったような中間報告の報告に対して、肯定的な意見が各地での報告会では大勢を占めていたと考えております。
 それから、県民アンケートの調査結果でも、環境を基軸とする新たな視点に立った森林整備の必要性、それから財源確保のための新たな税制度の必要性、こういったところに8割の皆様方が肯定的な見解を示している、こういうアンケート調査の分析をしてございまして、それぞれのところでの県民の皆様方の反応は好意的な反応を示していただいていると思っております。
 検討委員会では、今まで、将来にわたってだれが森林を守っていくのか、それから岩手らしい森づくりとは何か、そのための財源をどう確保するのかといったことについて議論をしてきたわけありますけれども、今後は、今のアンケート調査の分析結果などを踏まえて、新しい税制度の仕組みについてさらに検討していただいておりまして、この3月に、といっても今月ですが、今月下旬にまた検討委員会を開くことにしている予定になっておりまして、その中で最終報告を取りまとめていただく、こういうスケジュールになっております。検討委員会での最終報告ですので、それを私どもの方でいただいた上で、県として、これは来年度になりますけれども、新たな税制度の必要性と具体的な使い道、それから制度の詳細について、もう一度県民の皆様方に幅広く意見を聞きたいと思っていまして、その上でどういうふうにそれを取り扱うのか、さらに検討を重ねていきたいと思います。
 それから、環境税、これは環境省の方で提示しているその環境税の案によりますと、課税による二酸化炭素の発生抑制効果があって、それを吸収源としての森林整備に充てる考えということになっているわけでございますが、森林県としての本県にとりましても、こうした二酸化炭素吸収源の森林整備に充てる財源の確保というのは重要な課題でありますから、今、環境省が提示しているようなこの環境税というものも有力な選択肢の一つになるととらえているわけでございます。
 この環境税については、経済界のみならず国民の中でも議論がいろいろあることは承知していますし、税ですから国民の理解と協力はもう不可欠でありますので、そういった国民的議論をこれからさらに進めて理解を得ていくことが必要だと思います。県の方でもこうした県民の議論をよく見ながら、環境税の創設要望も含めて、森林整備の財源確保、先ほど委員からお話しありましたように、森林面積がうちの県は大変広いわけですから、それに応じた配分といったようなことも含めて、その税の制度の仕組みと、それから具体的に本県にそれを持ってくる、その財源確保策ということを検討しなければいけませんので、その点については今後、多面的に検討していきたいと考えております。
〇時澤総務部長 他県の状況でございます。森林環境の保全のための新たな税条例を制定済みの県、平成16年12月末現在で6県ございます。いずれも県民税均等割の超過課税方式となっておりまして、超過税率は、高知県で、個人、法人ともに年額500円、鳥取県は、個人が年額300円で、法人は資本等の金額の区分に応じまして現行税率の3%相当額となります年額600円から2万4、000円、岡山県ほか3県が、個人は年額500円、法人は資本等の金額の区分に応じて現行税率の5%相当となります年額1、000円から4万円となっております。
 そのほか、現在34の道府県が何らかの検討を行っておりまして、県としての考え方を公表済みの団体も数県ございます。東北では福島県で平成18年度からの施行を目指して、2月定例会に条例提案を行っております。この県としての案を公表しておりますすべての県が県民税均等割の超過課税方式でありまして、個人は年額500円、法人は資本等の区分、金額に応じまして現行税率の5%相当額とするところが多くなっております。東北で初めて導入等を予定しております福島県は、個人は年額1、000円、法人は資本等の金額の区分に応じて現行税率の10%相当となる年額2、000円から8万円となっております。
〇照井昭二委員 知事は、知事演述の中で、林業においては、自立できる林業経営体を育成してまいると述べておられます。この自立できる林業経営体の具体的なモデル像はどのように考えておられるのでしょうか。林業の振興策となるのでしょうか、お聞かせ願います。
〇増田知事 自立できる林業経営体と言いますものは、地域での林業経営を活性化する上で、その原動力としてこれをとらえていきたいということを考えているわけでございまして、林業経営体というものを育成していくことが本県の林業の振興につながると考えております。この自立できる林業経営体ですけれども、これについては経営規模とか、それから地域の実情ですとか、事情ですとか、それからあと、その中に入っている人たちの経営意欲とか、そうしたものを十分に考えなければいけないと思っておりまして、それごとに幾つか経営タイプというものを見定めていきたいと思っています。
 具体的にはこの振興策とのつながりが非常に大事になってきますので、平成17年度に、自立できる林業経営体のそのタイプの見定めと、それから育成策の検討を、より具体的に行うことにしているわけですが、一つ経営規模で言いますと、100ヘクタール以上の大規模所有者というものについては、ある程度の経営をこれからしていく意欲もあるだろうと思っておりますし、それだけの規模を有しているところはかなり自立経営が可能だろうと思うのですが、問題は、100ヘクタールより足りない、そこまでいかないところで、しかし経営意欲をいろいろ持っている人たち、そういう人たちに対してどういう行政がかかわりを持っていくのか。
 いずれにしても、今のままですと自己経営が非常に難しい――地域のさまざまな事情ございますけれども――ということがございますので、こうした100ヘクタール未満、おおよそ規模で言えばそのぐらいの人たちについて幾つかタイプ分けをする。もちろんその中で10ヘクタール未満の小規模所有者であっても、林業経営に関心がある人たちには当然その中に入れていかなければならないと思っていますので、こういった、先ほど申し上げましたような経営規模ですとか、それから地域ごとにどういう材を今その中に持っているかということも含めて、具体的なタイプ分けを平成17年度、それの育成策とそれから林業振興策とリンクさせて検討して、より具体的にそこを明らかにしていきたいと考えています。
〇照井昭二委員 マツタケの生産振興についてでありますが、昨年の2月定例会で知事は、マツタケの研究について県としてどう取り組んだらいいのか検討させたいと前向きな答弁をされておられました。環境のバロメーターとも言われるマツタケ増産の取り組みは、循環型の森林形成と林業の生産振興という二つの課題を両立させるものであり、行政や団体が全力を挙げて行うべきものと考えております。県としてどのように取り組まれたのか、さまざまな検討を踏まえて今後の課題や展開をどのようにとらえているのかお考えをお聞かせ願います。
〇増田知事 今年度のマツタケのこの研究についての取り組みですが、県の林業技術センターで昨年の6月と7月に、センターが独自に開発をいたしましたマツタケ菌を感染させた特殊な繊維シートを使いまして、矢巾町の中の、これは試験林がございますが、そちらで接種試験というものを実施いたしました。昨年の6月と7月でございます。それから、昨年の11月には、今度は岩手町の方にございます四日市試験地の約35年生の天然アカマツ林におきましても、同じようなマツタケ菌の接種試験というのを実施いたしました。
 感染結果はことしの6月ごろに判明をするだろうと思っておりますけれども、矢巾町の試験地の方におきましては、実際にマツタケ菌を土壌中のアカマツの根に感染させることに成功いたしまして、こうした手法による実用化の可能性が実証されたと考えております。まだ感染率が高いものなのかどうかそのあたりがはっきりしておりませんので、この今申し上げましたような実証試験を、これから毎年繰り返しをしていく必要があると考えております。その上で、県内各地のアカマツ林での実証試験に移していきたいと思っているわけですが、そこに至るまでに今申し上げましたような試験地などでの試験が必要でございますので、もう少し時間をいただきまして、その試験に取り組みますのと、それから試験結果をよく分析したい、今このように考えているところでございます。
〇照井昭二委員 次に、災害時における自衛隊への出動要請についてお伺いいたします。
 阪神・淡路大震災の例を申し上げるまでもなく、災害時における救助、復旧活動に自衛隊が果たす役割は非常に大きなものがあります。阪神・淡路地震は、発生の際に兵庫県知事からの自衛隊への出動要請がおくれたとも言われており、近い将来、宮城沖地震等の発生が予想される本県においては、その教訓を他山の石とすることが必要であります。平成17年度当初予算には、津波防災緊急対策推進費3、800万円余が計上されており、災害時の初動体制強化のため市町村や自衛隊等関係機関との連携により、災害発生時から時程に応じた図上訓練を実施することとなっております。対応、手順を確立する上でも有意義なものと思いますが、この中でも輸送路の確保や救助活動、物資の輸送などに中心的な役割を果たすのは自衛隊ではないでしょうか。申し上げるまでもなく、自衛隊は、さきに開催された岩手りんどう国体におけるコース整備や毎年の岩手雪まつりでの雪像づくりなど、県民に身近な頼れる自衛隊として県民生活にも深くかかわりを持っており、平時のみならず災害時にもその活動が期待されるものであります。
 そこでお伺いしますが、災害時において、知事はどの時点で自衛隊への出動要請を行うことになるのでしょうか。出動要請に当たって、判断の基準となるものがあれば、その基準についてもあわせてお伺いいたします。
〇増田知事 災害派遣についてお答え申し上げますが、知事が自衛隊の方に災害派遣要請するのは大きく分けて二つございまして、一つは、市町村長の方から県の方に依頼があって――これは口頭でも電話でもどういう形でもいいのですが――それで知事経由で知事が自衛隊の方に派遣が必要と認めて要請をする、こういうやり方が一つあります。それから、もう一つは、市町村長からの依頼がない場合でも、知事がこれは派遣の要請を行う必要があると独自に判断した場合にはこれはもう要請ができることになっておりまして、そういう二つのやり方があると思っておりますが、これについては人命救助とそれから人々の避難、これを第一として、事態の逼迫している度合いなどを見て行うわけでございますが、特に市町村から派遣要請の依頼を受けた場合には、これはもう直ちに災害派遣要請を自衛隊に行うということで考えているところでございます。
 それから、今申し上げましたように、人的な被害とか、それから住家被害、それからライフライン、被害地域の広さ、緊急性といったようなものについては、その場面、場面ごとによって、台風なのか、津波なのか、地震なのか、もうさまざまなタイプがいろいろありまして、何か一律の基準ということはなかなか設けにくいものですから、今も具体的な基準は特に設けておりません。これからも、今申し上げましたような人的被害ですとか、それから救急救助の必要性、それから住家被害がどのようなものなのか、ライフラインがどれだけ傷められているのか、それから被害地域の広さや緊急性といったものを総合的に判断して、いずれにしてもできるだけ迅速に、そして危ないなと思われるようなときはできるだけ広く要請をしていくということで、そのあたりを総合的に判断しながらということになりますが、できるだけ迅速に、そして広く自衛隊の方にも派遣要請をしていきたいと考えているところでございます。
〇照井昭二委員 災害救助の支援体制についてでございますが、昨年10月に発生した新潟中越地震への県及び市町村の支援については、人員の派遣や食料、飲料水、毛布などの物資の提供などさまざまな対応が行われたところであり、被災地の復興・復旧に向けた取り組みへの一助となったことは明らかであります。県などが行った支援には、国からの要請にこたえたもの、あるいは自主的な支援などさまざまなスタイルがあったと伺っていますが、県や市町村がそれぞれ自主的に支援することで、救援物資に人的にも重複が生じるなどのデメリットもあったのではないかと推察します。
 そこで、お尋ねいたしますが、こうした大規模災害に備えて、平時から相互応援についての連携、連絡を行うことが必要ではないでしょうか。北海道、東北、あるいは北東北3県での災害救助の支援体制はどのようになっているのでしょうか。また、こうした支援網は市町村も含めた形で構築することで、より効果的な運用ができるものと考えますが、本県の取組状況についてお聞かせ願います。
〇時澤総務部長 まず、県レベルの支援体制でございますが、本県では、北海道・東北8道県の相互応援協定というものを結んでおりまして、北海道、そして新潟県を含みます東北地域での支援、受援体制を構築しております。また、全国都道府県における災害時の広域応援に関する協定というものを締結しております。
 さらに、防災ヘリコプターの運用につきましても、北海道・東北8道県の相互応援協定を締結いたしまして、運航不能時の支援や救急、消火活動などの支援出動を行っているところでございます。
 市町村レベルにおきましては、県内あるいは県外を含め26協定ございます。隣県との市町村間での協定につきまして、広域的なものとして岩手・宮城県際市町村災害時相互応援協定というものが結ばれております。そのほかの協定につきましては、市町村間の交流などによって個別に締結された協力というものでございます。
 新潟県中越地震でも、この協定によります支援活動が初動対応で大きな効果を発揮したところでありますので、県といたしましても、県内市町村と県外市町村の災害時相互応援協定は重要であるということを認識いたしまして、歴史、文化、経済などで交流のある市町村間の相互応援協定の締結促進について、市町村に積極的に取り組むよう要請をしているところでございます。
〇照井昭二委員 最後の一つです。広域生活圏の見直しについてお尋ねいたします。
 県においては、平成17年度のできるだけ早い時期に広域生活圏の見直しを公表し、県民の意見をいただきながら、平成18年4月をめどに実施するとしております。そこで、お伺いしますが、広域生活圏の見直しについての見通しはどのようになっているでしょうか。また、市町村合併が進展し、現在の圏域が一つまたは二つの市町村で構成されることも想定される中で、市町村合併と広域生活圏の見直しとをどのように関連づけるおつもりでしょうかお伺いいたします。
 また、関連してお伺いいたしますが、花巻地方振興局管内及び遠野地方振興局管内の市町村は既に県に合併申請書を提出しており、新市の発足とともに、一つの地方振興局管内に一つの市のみとなるわけでございます。地方振興局の持つ市町村間の調整という大きな役割が終了することになります。財政環境が厳しさを増す中、行政の効率化の観点からも、花巻、遠野2地方振興局の統合については、早急な決断が必要と思われますがいかがでしょうか、お聞かせ願います。
〇増田知事 まず、広域生活圏の見直しの関係ですけれども、これはちょうど設定以来、今の広域圏、30年余りを経過しているということでございますが、随分社会経済情勢も変化をいたしました。そこで、早急に見直しを図っていく必要があると考えているわけでありますが、特に今お話しありました市町村合併の進展によって、県と市町村の役割がこれから大きく変わる、こういう時期だと考えております。ですから、この時期に県と市町村の役割をもう一度見直しをした上で、その内容を広域圏の圏域の設定にも反映させたいと考えております。
 市町村はやはり住民に身近な行政サービスを担う主体ということになると思いますし、県は広域自治体でございますから、地域の自立の基本となる産業振興、それから雇用対策や高度な社会インフラの整備、それから環境保全、防災対策といった役割を今後重点的に行うような、そういう立場だと思いますので、今申し上げましたような県と市町村の役割を踏まえた上で、その中でもう一度圏域を見直しして、その圏域を単位に、今申し上げました県がやるべき仕事を、その圏域を単位にしっかりと進める、そういうものとしての広域圏の設定というものにしていきたいと思います。来年度のできるだけ早い時期に素案という形でお示しをしたいと思っておりまして、そのための今、内部作業を急いでいるところでございます。
 これとの関係で花巻、遠野地方振興局の統合についてもお話しがございましたが、地方振興局の再編も当然のことながらこの広域生活圏の見直しの検討ともリンクをして進めているものでございますけれども、地方振興局は今申し上げました、県のこれから必要となってくる新たな役割の中で特に広域的な課題に戦略的、機動的に対応できるようにしていきたいと考えております。
 まだ具体的な、どの地方振興局をどういうふうに切りかえていくのかという具体論は、広域圏のその次の議論だと思って、まだこれも中の検討段階ということでございますけれども、これも具体の検討をこれから鋭意進めていきたいと思っておりますし、その上での地方振興局の再編の素案についても、来年度の早い時期に公表して、できるだけ多くの皆様から御意見をいただいた上で成案を取りまとめていきたい、このように考えております。
〇照井昭二委員 どうもありがとうございます。残時間は同僚議員に引き継ぎたいと思いますので、よろしくお願いします。以上です。
〇田村誠副委員長 次に、柳村岩見委員。
   〔柳村岩見委員質問者席に着く〕
〇柳村岩見委員 自由民主クラブの柳村岩見でございます。
 照井昭二委員の持ち時間の中で10分程度質問させていただきます。
 知事は、以前より森のトレー問題、ふれあいランド問題等の質疑、議論において、みずからの責任についてしかるべき時期に明確にすると答弁してまいりました。このたび議案第32号として特別職の職員の給与並びに旅費及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例として提出をされました。その内容は、厳しい財政状況を踏まえて引き続き現行の減額措置を1年間継続実施するとした上で、知事については4月1日から4カ月間50%の減額、副知事及び出納長については4月1日から3カ月間20%の減額を行うという大変重いものになっております。食糧費問題のときに50%の減額3カ月というものがあったそうでありますが、それに比較することが単純にできるものなのか、比較することに意味があるのかどうかわかりませんが、長年続けられてきましたいわば体質的な食糧費のことが、ある時期に、あってはならない問題として出てきたとき、その責任をとってという意味と、何点か重複をし短い期間に問題となった事柄をどう比較するかは難しいところであります。いずれにいたしましても、大変な給与の減額であります。知事の今のお気持ちをお聞かせいただきたいと思います。
 提案理由に、諸般の情勢にかんがみ知事、副知事、出納長に支給する給料を減額しようとするものでありますとありますが、知事は諸般の情勢に、森のトレー問題、農作物病害虫等防除基準誤記問題、県競馬組合の経営問題、ふれあいランド用地代替地問題を挙げておられますが、それぞれの問題、性格も異なるものと考えるところでありますが、それぞれどのように責任を感じておられるのかお伺いをしたいと思います。
〇増田知事 お答え申し上げますが、まず、今回こういう給与の減額措置を提案しておりますけれども、これは、関係職員の処分などはそれぞれの責任の所在を組織として明確化をして、そしてそれぞれの責任の重さに応じてもう既に行っておりますが、知事の責任というのはそうした個々の問題処理の責任とは別に、県政の最高責任者として全体としてのやはり責任があるだろうと思いまして、議会や県民に対してそれはいわば道義的なあるいは政治的な責任をとるという意味で、県政の最高責任者としての責任を明確化するということではないか、それを今回明らかにしたものと理解をしております。これについては、既に昨年の6月議会や9月議会におきまして、任期中には責任を明らかにすると申し上げておりましたけれども、それをこの段階で具体化をしたものとこちらは考えているところでございます。
 具体的には、いわて森のトレー問題、それから農作物病害虫等防除基準誤記問題、ふれあいランド用地問題、この三つにつきましては職員の事務処理が不適切だということもございまして、その上で県政の最高責任者として、今、道義的、政治的責任をとるということを申し上げました。そういうことであるわけでございます。私と一体となって県政運営に当たる副知事、それから出納長につきましても、それぞれ職務の関与の程度に応じまして、今回それを明らかにしたものでございます。
 それから、競馬組合の経営問題でございますけれども、これは、私は構成団体の長として、組合の経営悪化の責任を明らかにいたしますとともに、あわせて昨年12月の議会でさまざまな対応の不手際がありまして、説明を十分果たしたとはやはり言えないだろう、説明責任十分果たせなかった。そういうことがありまして議会や県民の皆さんにも大変な御迷惑をおかけしたということで、その責任をとるものでございまして、これも私と一体となって県政運営に当たる副知事、それから出納長につきましても、それぞれ先ほど申し上げました他の事案と同様に責任を明らかにするということで、今回このような提案といたしたものでございます。
〇柳村岩見委員 知事、副知事及び出納長の給料月額の減額措置についてという、総務部人事課の2月7日の説明文書資料によりますと、三役の給料の減額措置は県の業務懈怠等の責任を明確にするために行うとあります。素直に懈怠を辞書で引いて見ました。一定の行為をなすべき時期に徒過して責任を果たさないこと、このようにございます。仏教用語で懈怠――けだいとも読むそうでありまして、それぞれ意味のあるところであります。それは置いておきます。いわゆる業務懈怠を招いた原因、それがあるのだろうと思うところであります。先ほど知事がその理由について一端を述べられたところでありますけれども、ある面からいきますと、業務懈怠を招いたことについて、この懈怠の――けたいでもいいのですが――意味が実はそれぞれ異なってまいります。ここでは懈怠としなければ意味が通じないのだろうと思うところであります。これを引き起こした背景というものを思うところであります。当然ながら、以前に知事の県外出張が大変多い、このような議論がされたこともございました。それらのことが直接なのか間接なのかという部分もやはり検証しておきませんと、給料の減額ということのほかに、こういうことが今後起きてはならぬという意味合いから、知事からお尋ねをするところでございます。
〇増田知事 今お話しあったさまざまな原因が起きたその背景についてお尋ねがあったかと思うのですが、私どもの方ではその後事案が起きた後、それぞれの事案ごとに検証を進めまして、次に申し上げます4点に集約されるのではないかと思っております。一つは、県民の皆様方のニーズの把握が十分にできていないということが一つ。それから、もう一つは、特に管理監督の立場にある者の仕事の進め方が、何を、いつまでに、そしてどこまでやるのかということが、やはりはっきりしていないということですね。そういう仕事の管理がやっぱり発揮できていない。それから、3番目は、職員がさまざま仕事に取り組むわけですが、その取り組んだ結果に対しての検証する仕組みが弱くて、結果としてそれが先ほど言いましたような目標管理が不十分だというところにつながってきてしまった。それから、最後の4点目ですが、それは職員の業務に対する上司の指揮監督が不十分であったり、あるいは上意下達式に、もう、ただ単に上司に判断を仰いでみんなその指示どおりにやればよいというようなやり方が蔓延していったりというようなことがあって、いずれにしても、県のこの業務、懈怠を引き起こしたその背景というのに、組織としての執行体制の問題がある。今申し上げました4点にそういった業務懈怠を引き起こした背景にあると分析をしたところでございます。
〇田村誠副委員長 柳村岩見委員の質疑の途中でございますが、世話人会の申し合わせにより、この際、10分間ほど休憩いたします。
   午後2時58分 休 憩
   午後3時18分 再 開
〇佐々木順一委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇柳村岩見委員 給料の減額は、最終的なところで責任を一つの形にしたものであります。業務懈怠を今後引き起こさないシステムや方法論をしっかり構築していく必要があろうと思います。どのような具体的な対策がとられておりますかお尋ねいたします。一番大切なのは、知事の姿勢だと思うところであります。どのように正しいイズムをつくっていくかということであります。
 組織はまた生き物であります。いつも変化しているものと思いますが、今日のように厳しい行財政下においての県庁という職場がどうあるべきか、知事と部下との関係、情報の共有化、現状認識、危機感の持ち方等、それらのレベルアップについて知事のお考えをお尋ねしたいと思います。
〇増田知事 先ほど今回のような事案が起こった背景を申し上げたわけですが、それに対応した今後の対応策として、次のようなことをまず考えております。
 その対応策を順次申し上げますと、まず、住民の皆さんから求められている課題をきちんと把握して、その課題を職場やそれぞれ個々の職員の業務目標や業務方針として掲げる。その上で、その掲げた目標をしっかり実施したかどうか達成状況を管理していく。これは、部局長については私と副知事が、課長については部局長が管理をすることにしておりますけれども、そのような達成状況管理をしていく。さらに、主体的にみずから考え、みずから業務を実行できる職員を育成する。これは、先ほど上意下達の組織になっている、こういう分析をしておりましたが、それに対応しての対策ですが、そういう職員を育成して、そのような職員に業務の執行権限を積極的に委譲していく、このようなことで県の仕事のやり方を見直しをしていきたい、このように考えています。
 それからもう一つ、職場のあり方について今お尋ねがございましたが、今、委員からもお話がありましたように、対話が活発に行われて、風通しをよくする必要があると思います。そうすることによってより一体感が強まるわけでありますので、そういった組織にすることや、県庁全体として、県民の皆さんへのサービス向上を目指すという目的を明確にして、職員が何のためにということを常に考えて仕事を行うことが重要でございます。さらには、行った仕事の成果が適正に認められることが重要だと思っております。それから、上司と部下、知事と部下、あるいは三役と部下、部局長と部下、そういった上司と部下との関係につきましては、これまで以上に対話やコミュニケーションをよく行って、理念を共有していく必要がある。私も今年度地方振興局を随分回りましたけれども、そうしたことを常々行って、考え方を共有し、職員の士気を高めるように努めていきたい、このように考えております。
〇柳村岩見委員 もう一つの視点でありますが、今回の4カ月給料50%減額という知事の責任のとり方について、現在、議案段階でありますが、岩手県民のどれだけの人がこのことを知っているのだろうか、こう考えてみますと、それほど知られているとは思われません。知事は、開かれた県政、わかりやすい県政の推進という観点から、毎週、定例記者会見を行っております。知事からの発表がある、ないにかかわらず行われているところであります。今回のこの問題について、責任のとり方のてんまつとして、知事、副知事、出納長が同席の上、記者会見を行い、マスメディアを通じて県民にそれぞれおわびをすることも一つの方法と考えるところであります。時にはマスコミを活用し、時にはマスコミを活用しないということではなくて、やはりいつも、発表したい部分もしたくない部分もすべて開かれた、県民にわかりやすい県政であるべきだ、こう思うところであります。
 それから、知事は、県庁には優秀な職員がおります、こう言われております。全くそのとおりであります。先ほど、副知事初め、幹部の方々も含めコミュニケーションを深めている、こういうことでありますが、優秀な職員ほど仕事に迷い、あるいはまた、いかにあるべきかという模索において、あるべき姿の高い目標のためにより高い方法論を選択していくときに、多くの上司に相談をしたい、このように思うのも優秀な職員の資質の一つであろうと思います。自分よがりでやっていくことが必ずしも優秀な職員の資質ではない、こう思うときに、先ほどの知事のお答えについて、これから県庁内で十分そのことが知事の思いとして浸透されることを期待するところであります。
 この項では、知事のマスコミに対する部分について御答弁を賜りたいと思います。
〇増田知事 三役の責任について、特に私の給与の減額措置も含めて三役の責任の明確化については、既に私、記者会見の席上、資料をお配りして、私が3人を代表して記者会見に臨んでおります。先般――先月でございますけれども、報道機関を通じて既に説明しております。今、副知事、出納長も同席の上、記者会見に臨んだらどうかということで、副知事、出納長は直接はまだしゃべっていませんけれども、私がほかの2人も代表して、三役ということで既に御説明申し上げていますので、そのことによって県民の皆さんに伝えることはしている、こう考えております。後は、私が先頭に立ち、それから三役が先頭に立って業務の適切な執行にさらに邁進していく、こういうことかと思いますので、そういう重い責務をしょっている、こういう意識でこれからも先頭に立って努力をしていきたい、このように考えております。
〇柳村岩見委員 本来でありますと、あるいはまた歴史的な観点から見ますと、知事がこういった重い責任をとるときは、責任をとられることでよしといたしまして、こういう場に立っての質疑というものは余りやらないのが普通なんだろう、このように思うところであります。しかしながら、今の情報化時代の中で県民にどう伝えるか、こういうことの中でいろいろ迷った末にここにこの案件で立たせていただいた次第であります。今後、岩手県庁が知事を先頭にして、相互にコミュニケーションを深められて、岩手県民の負託にこたえられ、懈怠なきよう業務の推進が行われることを祈願して私の質問を終わります。
 残余の時間は同僚委員に質問をお願いいたします。
〇佐々木順一委員長 次に、佐藤正春委員。
   〔佐藤正春委員質問者席に着く〕
〇佐藤正春委員 まず、増田寛也さん、頑張ってください。私は、5分間でございますが、森のトレーシリーズ、二つのうそについてお尋ねいたします。
 知事は、庄内鉄工との連携関係解消について、庄内鉄工とのトラブルが生じて連携関係が解消になった、そのトラブルとは、トレーの縁をカットする刃の耐久性の保証についてまず初めに議論があり、それが発端で組合と庄内鉄工との関係が悪化し、両者の連携関係の解消につながった、こう答弁しているんですね。ところが、知事も農林水産部長も、一方的に、組合ではこう言っています、岡野専務の説明はこうでしたと、全く責任のない又聞き答弁でございます。私は、本年1月に庄内鉄工の社長を初め、関係者より調査をいたしました。なかなか困難でございましたが、庄内鉄工の社長は、いわゆるトレー組合との取引関係が切れたのは、トレーの切削刃――トムソン刃の耐久性保証についてが原因ではありません、こう言っているんです。そんなことは100のうち0.01%くらいである。取引中止の約2年前から岩手林材に何万枚もトレーを無償で供給した。岡野専務に電気代と人件費だけでも払ってくれないか、こう言ったところ関係が悪くなって、金を払うつもりは全くない。これは岡野専務のパクリである、こう言っている。また、庄内鉄工の社長は、私の方から取引をとめたことは一回もない。一緒にやってみて、何と理不尽な人間、商道徳に反すると憤っています。怒っています。裏を返せば、組合のおいしい要求をのめる会社トリニティ工業に乗りかえたということなんです、これは。私は何回も言っている。それは、月500万円の試作品代5、000万円のリベートなんです。この金がばれてしまって、今、借金ということで裁判になっておりますがね。知事答弁と全く違っていますが、だれがこういううそを知事に言うんですか。それとも知事個人がこういううそを言っているんですか。どっちがうそを言っているんですか、明快にお答えください。
 また、知事自身、一番の悪者はトリニティ工業である、こう答弁しております。トリニティの代理人弁護士竹下さんあてに私は調査したところ、設備の稼動おくれの責任はない――これは裁判でも言うでしょう――と明言しております。これは、いずれ明らかになりますが、そうしますと全くの商取引であって、私は、知事の言う悪者ではない、こう思っております。
 二つ目、トリニティ工業との裁判費用について、知事は、平成17年度について、特に平成17年度当初では特別の訴訟費用を計上する必要は今のところはないと考えている、こう答弁しているんです。去年の決算特別委員会でもそうでございます。ところが、公判維持のために必要な弁護士日当や実費を84万円予算計上しております。なぜこういううそを言うんですか。知事まで言わないんですね、これは。これを調べるのは大変でした。あちこち隠している。やっと調べた。こんなうそをついた金は議会では通りませんよ、こんな予算は。明快に答えてください。こんなことをしていては恐らく否決されますよ。
〇増田知事 今、委員の方から庄内鉄工に対して調査をされたというお話がございましたけれども、組合と庄内鉄工との連携関係の解消の発端につきましては、私どもが聞きましたトレー組合と庄内鉄工との間に認識の差が見られるわけですけれども、いずれにしても、最終的に連携関係の解消につながったという結果、その間には、発端がこういうことで、その後次々信頼関係をなくしていったというさまざまな要素がこれには絡まっていると思いますけれども、最終的に連携関係の解消につながったという結果については相違はないもの、こう考えております。
 双方の言い分がいろいろあると思うわけですけれども、県の方で調査をし、今回また確認をしておりますけれども、トレーの縁をカットする刃物の保証問題をめぐる議論が発端で両者の関係が悪化し、それが連携関係の解消につながった、こういう認識をお答えしたものでございます。
 それからもう一つ、事案の真犯人はだれかということで、私、やはりトリニティ工業の責任がまず第一に問われるべき、このように御答弁申し上げたわけですけれども、事業破綻の原因は、要求された性能を満たさない機械を納入した、要求水準に到達しなかった、そういう機械を納入したトリニティ工業にある、こういう趣旨で申し上げたものでございまして、これについては、今、訴訟の場に持ち込まれてしまいましたので、その責任はそうした訴訟の場で今後明らかにされる、こう考えております。これが第1点目のお答えでございます。
 それからもう一つ、今、委員の方から訴訟費用の予算措置についてのお尋ねがございましたが、これにつきましては、今お話ございましたように、昨年の決算特別委員会の中で、特別の訴訟費用を計上する必要は今のところないと考えている、このように私の方で申し上げた趣旨でございますが、訴訟を維持してございますので、その訴訟維持のための通常必要な経費というのはかかるわけですけれども、ここで特別の訴訟費用を計上する必要はないと言いましたのは、今後、例えば鑑定を行うこととなった場合の経費など、特別にかかる訴訟費用についてはその都度予算に計上して議会の御審議をいただく必要があるだろう、そういうことで、特別の訴訟費用を今は計上する段階にない、こういうふうに申し上げたところでございます。訴訟を維持するためのものは通常管理運営費の中に含めて特に細事業項目を起こすような取り扱いにしていないわけですけれども、通常の管理運営費の中でこの訴訟自体は維持していきたい、このように考えているところでございます。
〇佐藤正春委員 知事、私は、庄内鉄工とどっちがうそをついているのかと聞いている。その1点。
 それから、トリニティは、今、裁判をやっていますからあれですがね。
 それから、いいですか、訴訟費用については、6款農林水産費4項林業費、この中に入っているんです。管理運営費の中で森のトレーの関係費用は84万1、000円、これは担当職員の旅費を含めて、組合弁護士日当、実費が62万4、000円入っているんです。あなたは決算特別委員会で言ったんだから、知事がそんなうそを言ってはだめだよ。自分が計上しないと言っていながら、ちゃんと計上しているんじゃないか。恐らくこれは部下は言っていないと思うんだよ、これは。この点はっきり。
 それから、大事なことは、ここに組合の、あなたの方の弁護士の源新さんの書面があるんです。組合から一銭ももらっていないと言っているんですね。県からはもらっている。なぜ原告である岡野さんが払わないで、県民の金で、県民の税金で弁護士代を払うんですか。なぜですか、答えてください。
〇増田知事 まず、庄内鉄工と組合とどっちがうそをついているか、こういう話でしたけれども、私どもは、組合の方に先般聞いて、直接は職員が聞いているわけですけれども、その上であのように議会で答弁を申し上げているわけでございます。庄内鉄工の方からは直接お話は聞いていないんですけれども、いずれにしても連携関係が解消されていますので、両者それぞれ言い分があると思います。対立している関係ですから、どちらが正しいのかどうか、私どもでも判断する材料は今持ち合わせておりませんけれども、いずれにしても、先ほど申し上げましたさまざまな要因が絡み合って連携関係が解消された、そこの結論においては異ならないと考えております。
 それからもう一点、弁護士費用の関係ですけれども、これについては、今、委員からお話がございましたとおり、管理運営費の中で弁護士日当等62万4、000円とか、そういうものが計上されています。そのことはそのとおりでございますけれども、前回は、特に訴訟費用として特別に計上すべき事由があるものについてはその都度訴訟費用について計上していきますということを申しておりまして、鑑定人を頼んだり、例えば裁判が1審の段階で終了して控訴するといったような新たな特別な事情が出てきた場合にはもちろんきちんと計上していくことでございますが、一般的には、公判を維持していく上で通常かかる経費、このような弁護士日当等はございますので、それについては一般的な管理運営費の中でいつも措置をしてございますので、これについては、訴訟を維持していくということで、そのものについて計上して御理解をいただけるもの、このように考えているところでございます。
 源新弁護士からの文書、私も手元になくて見ておりませんので、そういう文書の中でどのように源新弁護士が答えているかちょっとわかりかねます。したがいまして、今の点については早急に調べてお答え申し上げたいと思いますが、訴訟費用については、いずれにしても公判を維持していく上で必要なものでございますので、どういう形で支払われているか、組合を経由して源新弁護士に渡っているのか県から直接行っているのか、そこの細部までは承知してございませんが、いずれにしても、組合として訴訟を提起して、それを県としても参加して、そして公判を維持していくことが向こうから賠償額を取り戻して県の負担を軽くすることにつながるということで訴訟をお認めいただいたと理解しておりますので、その中で、当該弁護士の弁護士費用を計上することについては御理解をいただきたい、このように考えているところでございます。
〇佐藤正春委員 庄内と県とどっちがうそをついているんだということを聞いているんです。
〇増田知事 今回のこの件で、前回議会で申し上げましたようなことを私自身が直接組合の人間に聞いているわけではございませんが、もちろんそれぞれ持ち場持ち場の職員が手分けして聞いているわけでございますし、庄内に対してはうちの方から直接は事情聴取していないと聞いておりますけれども、うちの職員も、当然のことながら職務の中で誠心誠意きちっと相手に対して事情聴取しているものと思いますので、我々がそこで何か物を隠したり、故意にうそをついてねじ曲げてそれを伝えるということは全くありませんので、我々は相手方から聞いたことをそのとおりお答えしているということでございます。
 それから、庄内鉄工の方については、今申し上げましたように直接事情聴取をしていないと職員から聞いておりますけれども、庄内鉄工がどのような形で言っているのかというのはちょっと知りかねるということでございます。
〇佐藤正春委員 あと43秒しかない。議事進行について。答弁になっていないんだよ、全然。ですから、休憩して、そしてゆっくりもう少し言わないと、答弁になっていないんじゃないですか、これ。
〇佐々木順一委員長 知事に申し上げますが、十分な答弁を再度求めたいと思いますが、よろしくお願いします。
   〔佐藤正春委員「ちょっと休憩してくれ、43秒だから。議事進行で休憩してください。休憩中にもう一回わかりやすく言うから」と呼ぶ〕
〇佐々木順一委員長 知事にお伺いしますが、休憩の後、十分答弁可能ですか。
   〔佐藤正春委員「知事に頼んでいるんじゃない、委員長に頼んでいるんだ、知事は関係ない。知事が理解していないから答弁しないと思うんだ。わざとしないんだろうけれども。だから、暫時休憩してくださいよ」と呼ぶ〕
〇佐々木順一委員長 佐藤正春委員の議事進行発言によりまして、暫時休憩といたします。
   午後3時45分 休 憩
   午後3時46分 再 開
〇佐々木順一委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。再度知事の答弁を求めます。
〇増田知事 庄内鉄工について事情聴取するかどうか、その必要性について、県の方で庄内鉄工に対しては調査を行う必要がないと今まで考えていまして、それで事情聴取をしていないわけです。庄内鉄工は、結果としてこの問題から手を引いて、それで組合とトリニティ工業の間で契約を締結して、そして事業を進めていったということがございました。その前段として、委員の方で前回も問題にしておりまして今回もちょっと言っておられましたトリニティから組合への費用負担の問題があったわけですけれども、その費用負担については、我々は、組合とトリニティ工業との間で交わされた書簡によって、どういう経過でそういう費用負担が生じたのかということを確認しております。その問題は確認をして、一般的な商慣習としてあり得ることだ。ですから、そのことについては問題がないと考えておりましたので、そういう意味で、資金提供の資金の性格が明らかになっておりますので、トレー組合と庄内鉄工との連携関係が解消された理由を庄内鉄工にまで行って聞く必要がない、こういう判断をしておりましたので、庄内鉄工に事情聴取をしていない、こういうふうに申し上げたところでございます。
 そのことからしますと、今、委員の方は庄内鉄工の方からそういう回答をもらったということでございますけれども、庄内鉄工の言ったことについて正しいのかどうかということを判断できないと言いましたけれども、私は、県の方で組合の言ったことについては正確にそのとおり職員も私の方に報告していますし、それで申し上げていますので、それはそういう組合の事情があった。それが今回の我々の答弁に反映されているものでございますので、それが私どもとしては今回の物事を明らかにしていく上で正しい事実認識だ、こういうふうに思っているところであります。
 それからもう一点、弁護士費用の関係についてお話がございましたけれども、要は、県としてこの公判を維持する必要があるのかどうか、こういうことだろうと思いますけれども、相手方――トリニティ工業から損害賠償金を取り戻すことによって県負担を幾らかでも少なくしていく努力が必要でございます。これは組合が提起しているものでございますが、これについては、これまで議会の方で申し上げておりましたように、そういった組合の提起している訴訟について県も参加して、それで県費を最小限にしていく。これは、要は勝つということですけれども、勝訴に向けて努力することが負担を最小化する、あるいはなくすることにつながる、こういうことでございますので、訴訟維持については御理解をいただいていると。当然訴訟を維持していく上では弁護士さんを雇って維持していかなければなりませんので、そういう弁護士費用については県の方として訴訟費用を負担する中で御理解いただけるもの、こういうふうに考えているところでございます。
〇佐藤正春委員 原告である組合の岡野が一銭も払わないで、その費用を原告にかわって県民の税金で払うのかと聞いているんだ。この点はどうか。
〇増田知事 その訴訟に勝つことが県の負担を軽減させる、こういうことでございますので、そのための費用負担と私どもは考えておりますし、県民の皆さん方に御理解をいただける、こういうふうに考えておるところでございます。
〇佐藤正春委員 それは詭弁なんだよ。それ以前のことだよ。原告が一銭も払わないのに何で県民の税金で払うんだ。それはあなた、詭弁なんだよ。その後のことだ、それは。その点について。
〇増田知事 今、委員がおっしゃっている、原告が費用負担しないということですけれども、これについて、組合の方では資産がなくて、それで訴訟を維持できないという前提があって、それで県として、まず組合に相手方から賠償させて、そして組合から我々がお金を取る、こういうことで考えております。ですから、そういう今の組合の資産の状況と、それから、組合が訴訟を提起している、そういう状況全体を考えれば、これはやはり県が訴訟費用を負担して、そして組合に訴訟を勝たせる、こういうことについて御理解をいただける、こういうふうに思って申し上げているところでございます。
〇佐藤正春委員 裁判所は、県は直接関係ないですよと外されているんですよ、おわかりでしょう。私は1回目から聞きに行っているんだから。この点はどうなんですか。
〇増田知事 裁判所の方の判断はいろいろあると思うんですけれども、私どもは、これについて当初から私どもなりに主張してございますけれども、いずれにしても、組合の方をこの訴訟に勝たせるようにしていくことが県の、あるいは県民負担の低減につながりますので、これからさらに勝訴に向けて努力をしていくということで御理解をいただきたいと思います。
〇佐々木順一委員長 次に、吉田洋治委員。
   〔吉田洋治委員質問者席に着く〕
〇吉田洋治委員 政和会の吉田洋治です。
 順次質問をしてまいります。
 まず、地熱熱水事業について何点かお伺いしますが、このことにつきましては、本会議一般質問で大宮議員の方からるる質問が展開をされまして、できるだけ重複を避けながら質問をさせていただきたいと思います。
 岩手の地熱事業は、昭和41年、松尾村の松川地熱発電所が認可出力2万2、000キロワットから始まりまして、次いで昭和53年、葛根田地熱発電所1号機、出力5万キロワットと続きます。そして、その2年後、昭和55年、葛根田の地熱を利用しまして、岩手県が通産省からの委託事業として雫石地域地熱熱水供給事業実証調査を開始したのでございます。総事業費として、国が180億円、県が50億円、計230億円を投資してまいりました。その後、平成7年に国は撤退し、平成12年までの5年間はNEF――新エネルギー財団経由で支援を継承しております。そして、平成13年度から17年度までの5年間、岩手県の単独事業の形で実証調査を継続してまいりました。無論この実証調査中の現有設備は国からの無償提供ということでございます。
 そこでお伺いしますが、県当局は、これまで大変御苦労されて今日に至っておるわけでございますが、この25年にわたりまして総事業費約200数十億の巨費を投じておりますが、この本事業の継承と本事業の最終的な方針をどのように決定しようとしているのかまずお伺いしたいと思います。
〇増田知事 まず、この地熱熱水事業でございますけれども、この事業は、今、委員からお話がございましたとおり、まず、国の委託事業で行われて、その中では、熱水供給システムの信頼性や熱水の輸送管の耐久性などについては確保されるなどいい成果も出た部分もあるわけでございますが、石油価格が想定と大分違ったということもございまして、国の調査では供給事業としての経済性の確保は困難、こういう総合評価が取りまとめられました。そこで、その委託事業が終了後も、やはり県として、こうしたクリーンエネルギーの利活用を図る観点から引き続き調査が必要だろうということで今調査を行っているわけでございますけれども、この調査の中では、技術的な一定の成果がさらにまた得られたわけです。特に原熱水の直接利用ということを追求していたわけですが、新たな設備投資が必要になってコストが高い、経済性についても、これ以上のさらなるコスト削減が困難だといったことが検証されました。そういったことがその後の県調査でわかったということでございます。さらに今後、県調査として新たに行うべき調査項目がないと判断されましたので、一応今回、調査を考えております事業年度が平成17年度でございますので、この17年度で実証調査を終了することとしたものでございます。
〇吉田洋治委員 ことしの4月に世界地熱会議がトルコのアンタリア市で開催されること、これは知事も御承知だと思います。5年前には岩手で世界地熱会議が開催されまして、世界各国から約800人の関係者が集まりました。しかも、雫石の地熱発電所や地熱熱水施設も見学していただき、大きな注目も寄せられたところでございます。このときの岩手宣言は、各国政府に地熱資源の開発に対し強くコミットすることなどを求めるとともに、世界の地熱関係者が、地熱エネルギーの利用促進のために全力を尽くすことを宣言するものでございました。増田知事も記者会見で、このような意義深い宣言が岩手の地から発せられたことは非常に名誉なこととコメントしております。
 地熱熱水供給事業は、石油代替エネルギーとして、新エネルギー開発、いわゆるクリーンエネルギーとしてやってまいりました。三県総のマグマポリス構想にものっておる事業でございます。ただいま知事から話がございましたけれども、こういう事業はやめるということでございますが、本当にむなしい思いがするわけでございます。
 そこでお伺いいたしますが、平成9年4月に熱水供給規定を定めまして施行してまいりました。しかも、世界地熱会議以降5年間の実証調査を独自に実施してきたわけでございますが、この事業を断念する明確な理由がまだ私はわからないんですが、あえてまたお伺いいたします。
〇増田知事 この実証調査は、平成17年度を終えて、その後の事業化を図るかどうかということになるわけですけれども、これについては、本会議の方でも申し上げましたけれども、平成18年度以降の事業化について断念せざるを得なかったということです。理由は次に述べるようなものでございまして、一つは、施設が非常に大規模だということでございます。施設が非常に大規模なものでございますけれども、それに比較して利用者が大変少ないことがございます。これは、立地場所等にもよるものと思うわけでございますけれども、利用者が非常に少ないので、事業として採算に乗せるためには、現在、熱水利用協力金をいただいてございます。これは途中からいただくようになりましたが、この現在の熱水利用協力金を大幅に上回る料金設定が必要になってくると考えております。当然そのことについては、利用者の皆さん方も事業をやられたりいろいろしておられますけれども、そういった利用者の皆様方の理解を得られなかったということです。今、立地場所等のことも申し上げましたけれども、例えば町中などで利用者が大変多くいるようなところではまた違う展開の仕方もあったと思いますが、いかんせん道路下に敷く管渠も大変膨大な長さになるといったようなこともございます。利用者を周辺で見出しにくいということもございまして、あれだけの大規模な施設のままでそれを事業化ということで回転させていこうとするためには非常に高い料金設定が必要になるということもございました。そのことで平成18年度以降の事業化については断念せざるを得なかったということでございます。
〇吉田洋治委員 ただいま利用者が足りないという知事のお話がございましたが、非常に豊富に存在する熱水事業でございますが、利用者の拡大策に県の努力が足りなかったのではないか。単なる実証調査。利用者は9件だけです。ですから、利用者拡大の努力というものが不足していた、私はこのように思うんですが、いかがでしょうか。
〇増田知事 利用者拡大の努力が足りなかったのではないかということでお尋ねがございました。県の方で、利用者拡大につきましては、平成5年に、御案内のとおり熱水のデモンストレーション施設として県営屋内温水プールをつくりました。これが一つございます。それから、雫石町と連携をして、熱水を熱源とする農業ハウスへの支援を行うといったようなことで利用拡大に努めてまいりました。しかし、これは雫石町の中心部から大分離れた区域でございまして、周辺に住宅や施設が非常に少ない。九州の方にある同じような施設は町中でございますので、利用者が周辺に随分多く見込まれてコストも随分安く済んでいるようでございますけれども、こちらの方はそういう場所でもございませんでした。今言ったような農業ハウスへの支援などの努力がさらにもっと必要ではないかというお話もあろうかと思いますけれども、それぞれ担当するセクションで手を尽くしていろいろ需要を見込んだわけでございますけれども、管渠が大分長くかかってその費用も相当必要になるといったこともございまして利用拡大の十分な成果が得られなかったという状況でございます。
〇吉田洋治委員 この事業は、国のエネルギー政策として行ってきたものなんです。多額の国費と県費を投入しまして今日まで事業を展開してきたわけでございますが、今後の国への対応はどのように進めていくのでしょうか。
 また、県では、調査の終了を告げ、国に施設を返すのでしょうか。国では、施設をどのようにするのでしょうか。完全撤去になるのでしょうか。完全撤去になれば、どのくらいの経費が予想されるのでしょうか。そして、利用者に対してどのような対応をしていくのでしょうか。その場合、国の責任も明確にしなければならない、このように考えているんですが、いかがでしょうか。
 これは地熱熱水供給事業の政策転換なんですね。責任という問題が最近多く出ているんですけれども、この政策転換の責任はどこにあるんだろうか、これもまた明確にする必要があると思うんですが、いかがでしょうか。
 この事案に対しての最後なんですが、木質バイオマスや石油によってこの熱源を代替しよう、こういう計画も聞いているわけでございますが、これらについてどのような展開をしようとしているのか。利用者に対する経費の対応等、具体的にお示し願えればありがたいと思います。
〇増田知事 幾つかございましたが、今後の国への対応についてですが、今後、県の方針を国に当然伝えて、施設の取り扱いについて協議を行いたいと思っております。国の方でも、県の方針が定まった後に協議に応ずると言っておりますので、今後、国の方に早急に協議の申し出をしていきたいと思っております。
 それから、施設でございますけれども、これは、国費によって建設された実証試験のための施設でございまして、国に帰属しております財産でございます。今まで県は暫定的な利用を容認されている、こういう立場でございましたから、今回の実証調査終了とともに国に返還すべき施設と考えております。その後、国がどういう形でこれを処分するのかということは国サイドが決定するこれからの話ということでございますので、今の我々の立場からいいますと、まだ協議申し入れ前の段階でもございますし、現段階では不明ということでございます。仮に今、委員お話しになったように撤去ということになっても、どういう費用負担になるのか、どのぐらいかかるのかということはわかりませんけれども、仮に国が完全撤去を行うにしても何にしても、すべてこれからのものは国費で行うべき、このように考えているところでございます。
 それから、今、委員の方からお話がございました、特に利用者に対しての対応は大変重要だと考えております。懇談会の中でも、利用者ごとに個別に十分に対応を検討しろ、こういう附帯意見もいただいておりますので、そういった考え方で利用者と今後個別に協議をして、どのようにしていくのかを十分に検討していきたいと思っております。当然のことながら、国に対しても、そうした過程の中で必要な申し入れは随時行っていきたいと考えているところでございます。
 これは実証調査という国家プロジェクトで始まった事業でございまして、始まった当時はオイルショックが背景にありましたので、やはりこういった新しいエネルギーの活用策を見出していく、これは国のエネルギー政策の中での大きな役割だと思います。私は、国がそういう背景のもとで実証調査に乗り出す必要性は十分あったと思いますし、そのことによって得るものも調査の成果も随分ありましたので、そのことは決してむだな実証調査ではなかったと思っております。ですから、そのことについては大変意味のあったもの、こういうとらえ方をしておりますし、その上で、これはやはり先導的なパイロット事業というかモデル事業というもので、本当にそれを具体に事業化するかどうかについてはコストとか採算の問題等も含めて慎重な検討が必要になってくると思いますので、いわば冒険的に乗り出した事業が全部すぐ事業化になるものかどうかというのは、これはいろいろ事業の性格もございます。余り慎重になると、今度はそもそもの実証調査自体ができないということになりますし、中には事業化にならないものも当然幾つか出てくるだろうと思います。それはそれとしても、そこで得られた成果を十分に次にまた生かしていけばいいのではないか。今回の場合には、この実証調査で得られたノウハウやさまざまな成果がございますので、それをもっと採算性のとれる小規模な地熱発電ですとか、今、県内でも幾つかの住宅で見られていますが、地中熱を利用したヒートポンプ方式での冷暖房などの熱源としてこれを使うような、そういう道もこれから探っていく必要があるのではないか。これからは、ああいうような大変大規模な施設で地熱利用を大がかりでやるよりも、むしろ採算性のとれる小規模な地熱発電や地中熱ヒートポンプ方式による地熱エネルギーの利活用という、もっと事業化を意識したところにその成果を生かしていけばよろしいのではないか、このように思っているところでございます。
 県としても、その方向で地熱エネルギーの利活用についてこれからも取り組んでいきたい、利活用を図っていきたいと考えています。
 それから、熱源の代替でございますけれども、今、委員の方から木質バイオマスエネルギーの話がございました。私どもの方の内部では、地熱熱水よりも木質バイオマスエネルギーの方がコストの面では有利だという試算が出てきております。例えば県営の屋内温水プールについてどういう代替熱源を確保するか、こういう問題がございまして、先般、本会議でもそのことについてお話がございましたけれども、今後、木質バイオマスエネルギーの利用についてきちっとした検討を行って、具体的にはチップボイラーなどをうまく活用できないかと思っているわけでございますが、そういったチップボイラーも今、非常にエネルギー効率のいいものが開発されつつありますので、そうしたチップボイラーの開発状況を一方で見ながら木質バイオマスエネルギーの導入に向けて検討を進めていきたい、このように考えております。
〇吉田洋治委員 次に、緩和ケアと医療の充実と施設の整備の促進についてお伺いします。
 昨年9月定例県議会では、岩手にホスピス設置を願う会提出の請願を全会一致で採択したところであります。本県には、現在、緩和ケアの病棟がないことから、同会では、増田知事に対しまして1万6、300余人分の署名を添えて提出しました。末期がん患者の不安や痛みを和らげるホスピスケアを提供する専門施設の設置など、体制整備をねらいとした陳情を実施してきたのでございます。岩手県の人口動態統計の概況によりますと、平成15年にがんで亡くなった方は3、829人、全体の28.2%を占めて、今日では死亡者の3人に1人の割合に近い状況と推察されます。
 そこで質問の第1点は、緩和ケアの専門施設がない現状から、せめて情報提供の窓口の開設を要望したところ、知事からは、当面の対応として盛岡に窓口を開設する方向で検討している旨の回答をいただいているところでございましたが、今後の見通しについてお伺いしたいと思います。
 第2点目ですが、知事は、平成17年度新設の県立磐井病院に専門病棟を開設し、県内に緩和ケアを進めていくステップにしたい、このような意向を示しましたが、県営医療における緩和ケアへの今後の取り組みと施設整備の促進への基本的な考えをお示し願いたいと思います。
 第3点は、高度医療機器PET、すなわち陽電子放射断層撮影装置の導入についてお伺いしたいと思います。増加するがん患者への対策は、何といっても早期発見、早期治療にあると言われますが、がん患者の生存率向上へ寄与することが重要課題であると認識しております。
 そこで、がんの早期発見に極めて有効とされるPETの導入につきまして、私は積極的に対応すべきと考えておりますが、いかがでしょうか。
〇増田知事 まず、緩和ケア等の医療として、情報提供窓口の開設について私どもの方にも要望をいただきました。県の方で県民医療相談センターを開設したり、昨年の秋にはいわて医療情報ネットワークの運用を開始したわけですけれども、そこで皆さん方の相談に対応してございます。いずれも緩和ケア専用ということではないんですが、その中で、特に丁寧にこういった緩和ケアについても御相談に乗っておりまして、相談も実際にそういうところに寄せられておりますので、そういった皆さん方の御相談に丁寧に対応しているということでございます。県民医療相談センター、いわて医療情報ネットワーク、そこで今御相談に対応しているわけでございまして、当面、こうした県民の皆様方に対する相談対応と情報提供の充実にここの場で努めていきたいと考えております。
 それから、県営医療の中での緩和ケアへの今後の取り組みですけれども、この緩和ケアへの取り組みとして、県立病院の中で緩和ケア研究会というものを立ち上げて、そこで疼痛のコントロール――これは麻薬を使うわけですけれども――などの学習会や事例検討会、それから講演会などを開催して皆で緩和ケアの向上のための研さんを積んでいるところでございます。
 それから、施設整備の関係でございますが、これは、今、委員からもお話がございましたとおり、まず、磐井病院に緩和ケア病棟を整備することにしてございまして、これについては、専任医師の緩和医療科を昨年開設したところでございます。
 それから、新しくなる磐井病院のほかに、もう一つ、花巻厚生・北上統合病院、これは北上市の花巻寄りのところに統合病院ということで平成20年に開院するわけですが、ここの花巻厚生・北上統合病院にも緩和ケア病棟を整備するということで、今、計画をしてございまして、こちらは病院の中でも別棟を建てて、その中で緩和ケアに対応しよう、こういうことで、この二つで今病棟の整備を考えているところでございます。
 そのほか、施設整備ということからいいますと、それ以外の県立病院での対応をどうするのかという問題が当面またすぐに出てくるわけでございますが、こちらについては、整備費用の問題とか、当然病床削減等の代替でこういうことを検討するということになりますので、もう少し時間をいただいて、磐井ですとか花巻厚生・北上統合病院での運営状況なども見ながら検討していきたいと思いますし、それから、民間を含む他の医療機関、そちらの方での緩和ケアへの対応も進みつつございますので、そうした民間の他の医療機関の動向なども踏まえながら検討していきたいと思っております。
 それから、もう一つお尋ねのPETです。これは、がんの早期発見に極めて有効だと言われておりますので、このPETということについても、私どもも関心を持って見ているわけでございますが、初期投資の問題ですとか毎年の今度は運用経費の問題ですね。そういうこともあって、ある程度の患者数が求められるといったような課題もございますし、それから御協力いただくその関係者の皆さん方の意識を共同化していく必要もございます。そんなこともございますので、がんの早期発見には極めて有効だと思っているわけでございますけれども、今後、関係者の間でよく御相談をして、病院関係者、それから大学関係者等お医者様ともよく御相談をして、それでこの導入について検討を進めていきたいと考えているところでございます。
〇吉田洋治委員 私は、40代の妹をがんで失いました。末期がんでございましたが、同僚議員の中にもそうした悲しい残念な体験を持っている方も非常に多いと思うのですね。実は私、昨年の4月に勧められまして仙台に行ってPET検診を受診してまいりました。検査、検査、検査であらゆるところを検査される、全く苦痛もなくて、まず、日帰りでそのがんの存在の有無が一発でわかる。私はこういう早期発見には最適の高度医療機器だと思うのですね。仙台に新幹線で往復行ってくるわけですが、10数万円かかるような状況でございますし、健康保険もきかない。仙台市や秋田にあるけれども岩手県はそうしたものがないわけでございますね。まさに医療の先進県だと言っている岩手県で、そうしたそのものがないということも非常に悔しい思いをするわけですが、今の知事の答弁ですと、少しまだ、病院の先生方と相談してとか、主体的に県立病院の設置責任者としてぴちっとこういうのは対応しなければだめなんです。後手、後手ではだめなんです。もう少しこういうのはやるのはやらなければならないんです。かかるのはかかるんだから。ちゃんと統廃合するなら統廃合してやるのはやると、そうしなければだめなんだから、もう一丁。
〇増田知事 県立病院でどうかというお話ございまして、実はこれはちょっと微妙な問題があるのですが、大学などからも御協力いただく必要もあるのですけれども、少しそこの間で意見交換をする必要がございまして、向こうの方からもそういったことについて求められています。ですから、私はPET、単に費用だけの問題ではなくて、運用するにはそれなりのちゃんとしたお医者様を確保して、それでやっぱり体制もきちっと整えていく必要があって、それについては少し関係者の間で調整を要する微妙な問題がいろいろあるようでございます。というのは、最近そういった今申し上げましたような状況がわかってきておりまして、ということは逆に言うと、それの導入に向けていろいろこちらも考えて動いてきた上で、今言ったような問題が出てきたということでございますので、ここは少しお時間をいただいて、そこの調整をきちっと進めて、それで進めていければと思っているところがございます。そういうこともございますので、委員のそのお話の背景にあるもの、あるいは県民の皆さん方の医療を向上させるためのこのPETの機能ということ、私も十分承知しているつもりでございますし、私自身もPETで診断をしてもらった経験もございますし、非常に有効だと思っておりますので、県内にそういったものを導入する上で、そういうことを前提に据えながらこれからの検討を進めていきたい、こういう趣旨でございますので、今少しお時間をいただければと思っております。
〇吉田洋治委員 ぜひ頑張っていただきたいと思います。
 次に、海岸事業一元化による津波対策、今議会は本当にこの津波対策が出ておりますが、お伺いをします。
 3月3日は、昭和8年の三陸大津波から数えて72年。県は2005年度から堤防など津波対策の海岸事業を一元化すると地元紙が大きく報じております。これまでの海岸保全施設整備事業は、海岸法に基づき土地利用状況などから国土交通省港湾局、農林水産省農村振興局など所管が四つに分かれておりまして、異なる整備計画や予算等の整合に大変苦労があったようですが、足並みを整えることは大変歓迎すべきことであります。
 そこで、お伺いしますが、第1点として、海岸事業の要整備地域の実態をお示し願いたい。また、津波対策のため、河川の防潮堤や水門の整備を進めておりますが、その現状と今後の見通しについてお伺いします。
 2点目として、県管理堤防と水産庁所管であります市町村管理堤防の一体的整備が求められてくると思います。そこでは県の果たすべき役割は極めて大きいものがあると思いますし、今後の推進策についてどうお考えでしょうかお伺いしたいと思います。
 3点目は、宮古市鍬ケ崎地区の津波対策についてお伺いします。無防備過ぎる津波対策、防潮堤整備手つかずと、これまた大きく報道をされました。宮古の鍬ケ崎は私が生まれ育ったふるさとでございますので、宮古の同僚議員もおられますが、せっかくの機会ですのでお許し願い質問させていただきます。鍬ケ崎地区はほとんど津波対策が施されておりません。平成14年度から調査、検討を進めると、このように承知しておりますが、これまでの経過と今後の対応策についてお伺いしておきたいと思います。
 また、3月3日の新聞報道によれば、鍬ケ崎地区の住民や企業、1、179個人、団体を対象に津波対策に関するアンケートを行いながら、公表を忘れて丸1年放置、住民協力が生かされず、一瞬私は目を疑いましたが、設問も、避難場所まで歩いて何分かとか、あるいは家庭に災害弱者はいるかどうかとか、そうした切実な18項目の問いかけばかりでございました。このような事実が災害対策の盲点となって重大災害に発展するのだと私は思うのでございますがいかがでしょうか。今後の対応も含めてお伺いしたいと思います。
〇竹内副知事 海岸事業の要整備地域の実態でございますが、これまで、過去の津波高さによりまして定めた計画に基づいて海岸防潮堤や水門の整備を進めてまいりました。本県の海岸線の延長約708キロメートルのうち、津波対策が必要な延長約79キロメートルございますが、これについて整備を進めてきた結果、現在55キロメートルについては整備が完了しておりまして、整備率が69.6%、約7割になっております。これらの施設の各所管別の整備率を申し上げますと、平成15年度末で、国土交通省の河川局所管分が85%、港湾局が76%、水産庁所管分が63%、農林水産省の農村振興局所管が55%となっておりまして、今後その緊急度、重要度を見きわめながら、これについては整備に取り組んでまいりたいと思っております。
 また、津波対策が必要な沿岸部の二級河川及び市町村が管理している準用河川でございますが、67河川ございます。これまで小本川等36河川において津波堤防や水門の整備が完了しておりまして、現在、川尻川や熊野川など14河川において整備を進めておりまして、残りの17河川についても、これらの進捗状況を踏まえながら取り組んでいくことといたしております。
 市町村との一体的整備推進策に関するお尋ねでございますが、県が管理する海岸堤防の整備率は現状で、先ほど申し上げましたようにおおむね7割の水準になっておりまして、市町村が管理する漁港海岸堤防の整備率は約6割になっております。これまでも極力均衡のとれた整備を進めるために、市町村の海岸事業に対して、県が財政的支援を行ってきておりますが、これは今後とも、県管理の海岸と極力一体的な整備が図られるように、引き続き市町村を支援してまいりたいと考えております。
 それから、宮古の鍬ケ崎地区の津波対策でございますが、鍬ケ崎地区は大変狭隘な土地でございまして、市場、加工場、民家が密集しておりまして、防潮堤建設等の津波対策に当たって、まちづくりとか景観、そういったものの調整が大変大事になっておりました。このため平成14年度から一番望ましい津波対策のあり方について調査検討を進めてきたところでございます。平成14年度は過去の津波の被害、土地利用等の現況調査及び考えられる津波対策について整理を行っておりまして、平成15年度は、宮古港の鍬ケ崎地区周辺における生活基盤や産業活動などの地域特性を踏まえて、地域の意見を反映させた津波防災対策の方向性を検討することを目的といたしまして、自治会代表3名、漁協・商工会議所等の地元団体代表8名、学識経験者3名を含む20名で構成いたします宮古港鍬ケ崎地区津波対策基本構想検討委員会を設立いたしております。平成16年2月には、この検討委員会における議論の基礎資料とするために住民アンケートを実施いたしまして、このアンケート結果を平成16年3月の第2回委員会及び11月の第3会委員会に提示をいたしまして、津波対策基本構想の検討に活用してまいっております。
 今後は、アンケート結果や津波浸水予測図等をもとにいたしまして、地域住民等によるワークショップを開催するなどして、基本構想の策定と、これに対する地域の理解を深めてまいりたいと考えております。
 それから、アンケート結果の公表のお話がございました。ただいま申し上げました津波対策基本構想とあわせましてこれは公表することを考えておりましたもので、地域の方々皆様方へのより積極的な情報提供という観点から、昨年11月の第3回委員会に示した後、できるだけ早い時期に地域の皆様に公表することがより適切ではあったというふうに、これはちょっと、公表という形を早くとらなかったことは反省をいたしております。今後は、地域の皆様に対して、アンケート結果とあわせて、これまでの取組状況や今後の予定を速やかに説明いたしまして、地元の参画をいただきながら基本構想策定作業を推進してまいりたいと考えております。
 なお、このアンケート結果は、昨年の3月以来、地元の人々に委員として参加をいただいて公開で行っております津波対策基本構想検討委員会の御議論に際してお示しをしております。ですから、ただしまい込んでおいたのではなくて、これらを活用しながら平成17年度に予定しているワークショップにつなげようとしたものでございまして、いずれにしてもこういったものにつきましては、防災上利用可能な資料はより速やかに公開してまいりたいと考えております。
〇吉田洋治委員 私もチリ地震津波は高校2年のとき釜石で体験をしました。十勝沖は昭和43年に宮古で体験をしたわけでございますが、まさに津波の恐ろしさ、この前、佐々木俊夫議員の三陸津波の体験の話が新聞に報道されておりましたが、まさに海岸に住む人々の津波に対する意識というのは非常に強烈なものがあるわけでございますが、整備率も7割、未整備の地区3割の中にはこの鍬ケ崎地区が入っていると思うのです。先ほど津波対策基本構想検討委員会、こういうことで副知事の方からこのお話がありまして、いろいろな問題点の中に、あるいは委員の方々から意見が出されているところに防潮堤の築堤をしていくわけですね。相当な距離で築堤をすると思うのですが、ずっと浄土ケ浜の日立浜の入り口のあたりまで築堤をするというようなことになっていくと思うのですが、防潮堤とそれから景観とのかかわりがいろいろと議論がされているようでございますが、副知事はこの分野の専門家でございますが、そうしたことに対する副知事の示唆する御見解等はございませんでしょうか。防潮堤とこの景観という関係ですね。
〇竹内副知事 鍬ケ崎の場合は県内でもそういった調和が一番難しくて大事な地域になっております。今まで進んでこなかった要因の大きな要因の一つになる。一つは、すぐ海岸沿いに御承知のように水産加工施設がずっと並んでおりますし、民家もあります。ですから、結局、海岸にいる皆さんは防潮堤ができたときに目の前がふさがれて海が見えなくなるというのは皆さん経験なさっておられますので、この点をどういうふうに調和していくかというのは非常に難しくて、本当に防潮堤を全部つくってしまうのか、あるいは何かもうちょっといい方法がないのか。これから本当に、技術的には防潮堤をつくらないでやるということはかなり難しいわけですけれども、そういったことも含めまして、海のよさをなくさないつくり方をぜひ模索していきたいと思っております。
〇吉田洋治委員 次に、県立高等学校新整備計画、いわゆる後期計画について、設置者である知事にもお伺いをしたいと思います。
 本県では、これまで商業専門の独立商業高校が7校ありましたが、前期計画実施で花北商、それから久慈商、これが改編されまして、現在5校となり、後期計画では大原、宮古、水沢、釜石が姿を消しまして、盛岡商業1校のみ独立商業高校として存続する計画となっております。県教委の指摘として、他県には専門の独立校が何校あるのだという論は、現状にとらわれた発想だとしておりますが、私は、そうではないのではないかなと思うのです。職業教育として商業教育が今日まで果たしてきた役割には多大なものがありますし、歴史が示すところだと思うのです。実は私も商業学校の出身でございます。したがって、そうした背景を重視し、平成20年の状況として、青森県では66校中4校残るのですね。福島県では87校中5校の独立商業校が計画をし、他県も追随すると思われますが、本県は59校残るうち1校だけ、59分の1と、こういうことなのでございます。一方、工業高校につきましては、盛岡、黒沢尻、一関、そして久慈、福岡は現状のまま独立工業高校としてこれが存続の方向でございます。
 そこで、まず第1点として、この事態はいかなる理由に基づくものなのか、ここを明確に説明しておくべきではないか、そうした基本的な考えをお示し願いたいと思うのです。
 それから、第2点は、私は盛岡商業のほかに県南地域、沿岸地域にそれぞれ独立した商業高校の存続を強く望むところです。この点についてはいかがでしょうか、まずお伺いします。
〇増田知事 県立高等学校の整備、特に専門教育の部門ですね。専門高校について私は、専門教育というのは非常に重要な分野でございまして、普通科とは別にこういった専門教育のところで特色のある専門教育をしていくという必要性があるのではないかと思っています。常々この問題についても各地域でいろんなやっぱり今議論があるのですけれども、地域の合意が当然必要なわけでありますし、地域の理解をもっともっと深める作業をしていかないといけないと思っているのですが、そういうことをまず前段として思いながら、今言いました専門教育についてなんですけれども、この専門教育について言いますと、私はやはりもっと地域の産業との連携を深めていかなければいかぬ。
 それから、あと産業も随分今変わってきています。複合化して余りそういう、典型的にこの範囲を分けるというようなことよりも、非常に複合化して高度化してきている。そういう産業の実態にやっぱり合わせていく必要があるだろう。中には商業とか工業とか、そういう専門分野の枠組みにとらわれない新しい関連する専門分野というものを生み出していく必要もあると思いますから、10年とか15年先を見て、そのときの産業がどうかということを前提に、学校の中もやはり変えていく必要があるのではないかと思っています。
 したがって、新しい専門教育の道を探っていくべきですし、そういう中で、今、既に商業高校幾つかが総合的な専門高校に変わったりしていますけれども、そういうのもこれからの大いなる一つの方向だろうととらえております。教育委員会の方で今そういうことで専門高校も見直しなどをしていますけれども、やはり私自身もちょっとわかりづらいなと思いますのは、例えばそういう動きが一方で進められる中で、今御指摘あった盛岡商業はそのままずっとこれから残るとか、それから工業高校については、これも規模が大きいということも大きな理由ではあると思いますけれども、盛岡ですとか黒沢尻だとか、そういったところは工業高校として一方で残っていくというのは、やはり全体を見回してみたときになかなか県民の皆さん方にとっても、それから産業界の皆さん方にとってもわかりづらいところがあるのではないかと思うのですね。
 私は、そういった専門教育の分野についても、むしろそういう学校も含めて、本当は将来の姿というものを、もしそういうもっと専門教育を、工業とか商業ではなくてもっと専門分野の組み合わせも含めて新しい形で変えていくということであれば、本当はその盛岡商業などもそういうふうに変えるという案を出す、もしそういうことであればそういうふうな案を出さないと首尾一貫をしませんし、そうでなくてむしろ単独で残すということであれば、そういう全体のやはり構成にしてそれで幾つかそこに残していくという形にしないとなかなかいけない。今ちょうどそこが、一方で変えるものもあれば一方で残すものもあるということで、ここわかりづらいところがあって、そこが、議論がなかなか地元で理解されない原因ではないか。
 私自身がそういう中で、個々の学校をどうするか、これは教育委員会の専門家の皆さん方が考える話で、個々のものについて知事部局であれ、知事がどうのこうのということは越権行為にも当たるような部分もあるので、それはそちらの方に、専門家の皆さん方によく議論してもらいたいと思っていますが、専門教育は大変大事でございますし、新しいこれからの産業の動向を見て、私はもっと専門分野の枠にとらわれない新しい学校をそれぞれのところで大いに目指していくという、そのぐらいの大きな挑戦とかビジョンを示して、そういう大きな方向に持っていくということが、これからの産業にとってもいい方向になるのではないか、こんなふうに思っているところでございます。
〇吉田洋治委員 まず、県立高校ですから教育委員会のみならず、知事も主体性を持ってお願いしたいわけですが、商業教育は現状の県立高校77校のうち44校で開校されまして、各校が工夫を凝らしながら専門教育を進めて実効を上げていますが、しかし、独立校が盛商1校のみでは私はいけないと思うのですね。教育は学ぶ子供たちの視点でとの県教委方針がありますが、むしろ明快な目的を持って商業高校に入学して学び、将来、商業実践のスペシャリストを目指す子供たちへの選択肢を広げて、専門的受け皿を確保してやるべきだと、私はこのように思うのですね。いかがでしょうか。
〇増田知事 これからの専門教育のあり方ですけれども、今私が申し上げましたように、専門分野の枠を超えて学ぶようなそういったシステム、そういったことも含めて子供たちの目指す選択肢を多様にやっぱり確保していくことが必要だろうと私思います。ですから、今の商業高校、それから工業高校それぞれ歴史もいろいろございますけれども、そういう中でもっともっと学校間連携とか単位の互換だとか、そういうことにも大いに取り組んでいっていただきたいと思っていますし、それからやはりそうした専門分野の中での新しい産業との連携というのは、より強めていただければと私自身は思っています。その上でやはりそういうビジョンをきちっと打ち立てた上で、地域の皆さん方ともっと具体的な議論をしていく必要があるのではないか。今まだまだそういった議論がそれぞれの地域で十分になされているとは思えませんので、ですからそうした専門分野の枠を超えて学ぶようなそういうシステムも含めて、子供たちに多様な選択肢を確保しながら、そういう案を持って、それから地域の皆さん方ともっともっと意見交換をして合意形成に結びつけていくべきではないか、このように考えているところでございます。
〇佐々木順一委員長 お諮りいたします。時間もおおむね5時になりますので、続く総括質疑はあす行うこととしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇佐々木順一委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
 あす以降は毎日午前10時から開会いたしますので、よろしくお願いいたします。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後4時46分 散 会

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