平成17年2月定例会 第12回岩手県議会定例会会議録

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〇26番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
 県民の命と暮らしを守る立場から、県政の重要課題について質問いたします。
 昨年10月、新潟中越地震が発生し、死者40人、全壊2、803棟、一部損壊を含めると10万8、000棟の被害となりました。今また豪雪によって2次被害も心配をされています。年末にはスマトラ沖地震・インド洋巨大津波が発生し、死者・行方不明者、約30万人の犠牲が出ました。また、ことしは6、400人余の犠牲者を出した阪神・淡路大震災から10年目を迎えました。県民の命と安全を守る防災対策は文字どおり県政の緊急、重要な課題となっています。とりわけ宮城県沖地震は2033年までに99%の確率で発生すると予想されており、これまでの教訓を生かして防災対策を抜本的に強化することが求められています。
 阪神・淡路大震災の最大の教訓は、住宅の崩壊による圧死が直接の犠牲者の約9割を占めたことです。住宅、公共施設の耐震化を図ることが必要であります。県は来年度から遅まきながら木造住宅の耐震診断助成事業に取り組みますが、対象が宮城県沖地震の想定震度5強の地域、32市町村に限られています。既に全国では、宮城県、秋田県を含め17府県で耐震改修の助成事業が実施されています。耐震診断助成事業はすべての市町村を対象にし、耐震改修の助成事業にも直ちに取り組むべきと思いますがいかがでしょうか。避難施設となっている学校施設、公共施設の耐震化の取り組みも緊急の課題です。耐震化率の現状と、いつまでにどうするかの具体的対策について示していただきたい。
 津波対策では、明治三陸津波で1万8、158人の犠牲、昭和三陸津波では――きょうちょうど72年目を迎えましたが――1、408名の犠牲と最大の犠牲者を出したのが岩手県でありました。この100年間では世界でも有数の津波被災地でもあります。それだけに全国に先んじた対策が求められています。津波シミュレーションが作成されたことは評価します。全住民を対象にした学習、啓蒙活動に積極的に取り組むことが必要であります。最大の対策は避難対策であります。速やかな避難を実現するための避難経路、避難施設の整備、災害弱者対策、自主防災組織の組織化と実践的訓練など、どう具体化されているでしょうか。大きな被害が予想される夏場の観光シーズンの対策をどう進める方針でしょうか。津波の体験の伝承、津波のメカニズム、防災対策などを学び、継承する防災学習施設も必要と考えますがいかがでしょうか。
 次に、県民の暮らしと福祉を守る課題について質問します。
 県民の暮らしと地域経済にとって重大なことは、小泉内閣のもとで3兆3、000億円に及ぶ定率減税の縮小・廃止や、年金生活者、フリーターの青年への課税強化、消費税の免税点の引き下げ、年金保険料、介護保険利用料の引き上げなど、あらゆる分野で負担増の計画が進められようとしていることであります。05年と06年の2年間の負担増は7兆円に及びます。これは国民1人当たり5万円、4人家族で20万円を超える負担増となるものであります。家計の所得が減少しているもとでの負担増は、県民の生活を破綻に追い込むだけでなく、いまだに不況から抜け出せないでいる地域経済を一層危機的状況に追い込むものであります。
 知事に質問します。小泉内閣による7兆円の負担増は県民にとってどれだけの負担増となるでしょうか。県民の暮らしを守る立場から、こうした大増税、負担増に反対の立場を明らかにし、中止を求めるべきと考えますがいかがでしょうか。
 今、県政に求められていることは、国の悪政から県民の暮らしを守ることであります。ところが増田県政は、みずから招いた財政危機を理由に、昨年10月から乳幼児医療費助成などの県単独医療費助成制度を改悪して負担増を押しつけました。乳幼児、障害者などそれぞれの負担増はどう見込まれているでしょうか。通年ベースではどうなるでしょうか。乳幼児医療費助成事業では、陸前高田市など10市町村が無料化を継続しています。県としても無料化を復活すべきではないでしょうか。
 介護保険の見直し法案が国会に提出されています。その内容は、要支援、要介護度1の高齢者の介護サービスを制限すること。特養ホームなど施設入所者に対し居住費、いわゆるホテルコスト、食事代を全額負担させようとするものであります。全日本民主医療機関連合会の全国6、000件を超える軽度者の実態調査によると、介護サービス受給者の約5割――軽度者であります――この方々が、介護サービスが制限されます。このうちの4割がひとり暮らしで、老老世帯が2割を占めています。介護サービスが制限されるなら9割以上の軽度要介護者が在宅の生活に懸念があると答えています。県はこうした実態を調査、把握されているでしょうか。
 また、私は先日、盛岡市内の個室・ユニット型の特養ホームを訪問して実態を聞いてきました。入所者の8割が住民税非課税の低所得者、保険料1から3段階の高齢者でありました。介護保険以前からの入所者が、定員80人中30人、約4割を占め、法人減免の対象者がさらに約5割ということでした。こうした低所得者の高齢者に居住費、食事代を全額負担させるなら、負担できない高齢者が出てくるのではないでしょうか。施設利用者への負担増は3、000億円と言われています。これは1人当たり40万円になるものであります。負担増の実態を県はどう把握されているでしょうか。また、この特養ホームだけで入所待機者は183人でした。年に新たに入所できるのは10人から12人程度ということです。10年から20年待たなければ入所できないのが実態であります。盛岡市の待機者は特養ホームで841人、そのうち在宅の待機者は238人となっています。県内では在宅で1、991人が待機者となっています。緊急の整備が必要と考えますが、県の対策と待機者解消の見通しについて明らかにしていただきたいと思います。
 児童虐待対策について伺います。
 県内でも虐待によって幼い命が奪われる事態が相次ぎました。虐待の相談件数も昨年200件に達し、今年度は1月末で191件となり、大幅に上回る状況であります。ところが県は、国が虐待の対策に携わる児童福祉司を21人分交付税措置しているにもかかわらず、13人しか配置してきませんでした。来年度やっと児童福祉司を増員することが示されました。具体的に何人増員し、どういう体制と取り組みを強化するのか示していただきたい。
 また、児童養護施設の実態は6割以上が虐待を受けた児童となっており、入所率が昨年11月で98%と満杯状態となっております。地域小規模児童養護施設や小規模グループケアなどを含め、整備、増員すべきと思いますが来年度の見通しを具体的に示していただきたい。
 県民の命と医療を守るかけがえのない役割を果たしている県立病院の問題について質問します。
 最大の問題は、財政的理由から五つの県立病院を診療所化しようとしていることであります。九戸村にある伊保内病院は村内唯一の医療機関であります。地元の医師会長も認めるほど革命的な改革を進め、入院、外来患者ともふえて、経営上でも画期的な改善を図っています。広域基幹病院の二戸病院の院長も後方病院として伊保内病院は必要だとの声を上げています。地域医療でかけがえのない役割を果たしているこうした県立病院をなぜ診療所化しなければならないのでしょうか。個々の病院の役割を正しく評価して、地域医療を守る県立病院の使命を果たすべきではないでしょうか。県下にあまねく良質な医療の均てんをという県立病院の創業の精神が問われる問題であります。
 次に、教育問題について質問します。
 30人学級、少人数学級の実現について増田知事にお聞きします。
 30人学級を求める県民の声は、この間、17万人に及ぶ署名に示されるように、切実で大きなものがあります。また、県議会自身も30人学級の実現を求める請願を全会一致で採択しています。それなのになぜ具体化されないのでしょうか。既に今年度、全国42道府県でさまざまな形で実施されております。来年度、新たに石川県が小学校1年と2年、岐阜県が小学校1年、佐賀県が小学校1年と2年で実施される予定であります。実施しないのは東京都と神奈川県だけであります。特に東北では福島県が来年度小・中学校全学年で実施します。山形県は小学校全学年から中学校1年まで広げます。私は2月に福島県の取り組みを独自に調査してきました。30人学級を実施している小学校も見てきました。福島県の少人数学級アンケートでは、いじめや不登校など問題行動が年々減少している。これは全国1位です。児童一人一人に目が行き届き、個に応じた指導ができる、学力テストの状況についても向上が見られる、保護者の評価も高い、児童生徒も先生に質問しやすい、丁寧に教えてくれるなどの結果となって、小・中学校全学年で実施することになったものであります。実際に授業を見てきました。ゆとりある教室で先生が生徒一人一人の状況をよく把握して、生徒の出番をつくっている姿が印象的でありました。岩手県でも直ちに30人学級、少人数学級に踏み出すべきと考えますがいかがでしょうか。今年度23の小・中学校で少人数学級の研究指定校方式で実施されました。この成果をどう把握されているでしょうか。わずか23校で学年もばらばらの実施では成果の検証も難しいのではないでしょうか。研究指定校方式を続けると言うなら、来年度少なくとも小学校低学年のほとんどのクラスで実施すべきではないでしょうか。
 県立高校の統廃合を進めようとする整備計画について質問いたします。
 計画案に対する地域住民の強い反対の声が広がる中で、県教育委員会は1月18日、計画を見直した調整案を示しました。最大の問題は、1学年80人未満の高校は統廃合し地域の高校をなくしてしまう計画となっていることであります。北海道に次いで広い面積を持つ岩手県で、こうした画一的基準で機械的に統廃合を進めることは、教育の機会均等を保障する、こういう点でも問題があります。小規模な県立高校でも、伊保内高校は地域子ども会読書運動に25年間も継続して取り組み、今年度を含めこれまでに3度にわたって全国表彰されています。生徒は、小規模だからできる、すばらしい高校を残してほしい、強く求めています。こうした高校を一方的に廃止することが教育的なことでしょうか。地域の県立高校は、地域に支えられ、地域の教育の柱、地域づくりの柱にもなっているのであります。画一的基準で機械的に統廃合すべきでないと考えますがいかがでしょうか。小規模高校を存続させるためにも、秋田県、青森県、福島県でも実施されている30人、35人の学級を実施すべきではないでしょうか。必要な分校も認めるべきであります。
 第2の問題は、総合的な専門高校の名のもとに宮古、水沢で無理無理統廃合を進めようとしていることであります。宮古商業も水沢商業も地元の生徒の希望が強い高校で、就職でも進学でも実績があり、歴史と伝統のある高校であります。無理やり統合しなければならない理由は全くありません。総合的な専門高校自体、県内では花北青雲高校ができたばかりで、とてもモデルになるものではありません。全国的にも多くの問題を抱えているというのが実態であります。宮古北高との統合をやめたから今度は宮古工業と統合する、水沢商業の校地との統合をやめたら今度は水沢工業の校地に統合する、こういうやり方は場当たり的で、県教育委員会の計画に理念も哲学もないことを示すものでしかありません。特に商業高校の校長初め、すべての教員の総意として、県内に盛岡商業だけでなく、県南と沿岸に専門的商業高校を求める要望をしていることは重要であります。県内の専門的商業教育を進める土台とも保障ともなるものであります。
 第3の問題は、県議会決議にも超党派の研究会の要望にも示されている、県民、地域住民の理解を得た計画を作成することであります。地域住民の理解が得られない計画は見直すべきであります。今回の調整案について、どのように地域に説明し理解を得るつもりなのか、反対されたままでも一方的に決めるつもりなのか、いつまでに計画を作成する見通しか示していただきたい。
 第4の問題は、高校間格差を解消し、地域の高校で進学にも就職の希望にもこたえられる県立高校をつくっていくことであります。ところが、県教委の計画は、生徒が減少するもとでも通学区域からはみ出す進学者を前提にしています。
   〔副議長退席、議長着席〕
 5年後の入学定員も中学校卒業生を大きく下回るものであります。過大な学級減は見直すべきであります。中学校における偏差値による進学指導の是正を図り、地域の高校で基本的に対応できる県立高校こそ目指すべきではないでしょうか。
 船越教育委員長に質問します。
 30人学級を求める県民の声、県議会の請願採択をどう受けとめていますか。
 少人数学級の取り組みについて教育委員会議で議論されているでしょうか。
 県立高校の新整備計画について県民の理解をどう図るべきとお考えでしょうか。
 次に、雫石クリーンセンター問題について質問します。
 マイトリー株式会社は1月31日、雫石町長山地区の小岩井農場に隣接する場所に産業廃棄物処理施設を計画し、県知事に対し環境アセス実施の可否を求める申請を行いました。計画予定地は、岩手の景観の保全と創造に関する条例に基づいて、特に県民に親しまれ、かつ県民の誇りとなっている景観を有する地域及び新たにすぐれた景観を創造すべき地域として、景観形成重点地域に指定されているところです。隣接する小岩井農場には、文化財保護法に基づく国の名勝に指定するよう答申がされている狼森があります。この地域は岩手県を代表する景観を有する観光地であります。民間では最大の農場である小岩井農場が小岩井ブランドの牛乳、乳製品を製造しています。計画予定地は農業振興地域にも指定されています。また、雫石町の重要な水源地帯でもあります。雫石町長も県環境影響評価技術審査会も環境アセスが必要としています。知事として環境アセスを実施させるべきと考えますがいかがでしょうか。
 また、小岩井農牧株式会社も地域住民の多数も反対しています。岩手県を代表する景観と観光地でもある地域に産業廃棄物処理施設の建設は好ましくないし、認めるべきではないと考えます。環境首都を標榜する知事の見解を求めるものであります。
 次に、競馬組合問題について質問します。
 県競馬組合の現状と再建を目指す実行計画について、10年間にわたって競馬組合の管理者を務めてきた知事に質問します。
 2月14日に競馬組合議会に、そして18日に県議会に示された改訂実行計画は、発売収入の伸びは抑えたものの、V字型に発売収入を大幅に伸ばす計画としては、昨年出された計画と基本的に変わらないものです。事実上破綻状態にある競馬組合を再建すると言うなら、実行計画にそれだけの根拠が求められます。具体的な問題点についてお聞きします。
 一つ、競馬組合の問題は今県議会の最大の課題でありました。競馬組合の存続か廃止かが問われている重大問題、しかし、知事は知事演述で一言も触れませんでした。自信がなかったのでしょうか。なぜでしょうか。
 二つ、競馬組合の現状は、今年度末で144億円の赤字の見込みです。経常損益、当期純損益、借入金残高の見込みはどうなっているでしょうか。昨年末は金融機関に返済を猶予してもらって息をつなぎましたが、破綻状態に陥っているというのが実態ではないでしょうか。管理者として知事はこれまでどのような手だて、対策を講じてきたのでしょうか。管理者としての責任を具体的にどう受けとめているのでしょうか。
 三つ、実行計画では、既存体制の発売金額が平成17年度、18年度は減少するものの、その後は266億円程度で維持されるとしています。その根拠は、平成17年度で景気が底を打ち、景気回復の影響が2年後から出てくるとしています。しかし、今年度3期連続して国民総生産が減少しました。4年ぶりのことで不況の局面と指摘されています。一部の大企業は史上空前の利益を上げているものの家計の収入は減少したままです。また、地域経済は落ち込んだままであります。さらに、小泉内閣は7兆円の国民負担増を押しつけようとしています。経済状況から見て既存体制での発売収入が維持する根拠はないのではないでしょうか。営業目標による発売金額の増収があったとしても、既存の発売金額が減少しないとしていることも全く非現実的であります。
 四つ目、営業目標に基づく増収策は、来年度の9億円から5年後の平成21年には174億円になるとの計画ですが、極めて空想的です。階層別営業戦略、集客効果で5年後には43億円の増収となるとしていますが、発売収入総額で増収となる根拠にはなりません。JBC効果で17億円の増収が盛り込まれていますが、これまでの実績とも整合しないものであります。これまでの実績を示していただきたい。
 五つ、民間委託、インターネット発売で、18年度10億円から21年度には70億円、22年度からは80億円の増収が見込まれています。まず、どのインターネット会社が岩手競馬の勝ち馬投票券の発売を行おうとしているか示していただきたい。JRAでさえインターネット発売はふやしたものの、発売総額は4兆円から3兆円を割るところまで来ている実態をどう見ているでしょうか。JRAと違ってレースの商品価値も低く、スポーツ新聞にも予想記事さえ出ない岩手の競馬の馬券をどうしてインターネットで80億円も売れるのでしょうか。競馬の専門家は、インターネットなどのオフトラック化はかえって地方競馬の衰退につながると指摘しているのであります。
 六つ目、コスト削減策でも来年度16億円の削減計画ですが、そのうち情報関係等委託料が5億円となっています。3年間で11億円の削減計画ですが、委託会社との協議はどうなっているでしょうか。希望的計画ではないでしょうか。
 七つ目、今回の計画の最大の目玉はテレトラックの売却と賃貸の計画であります。どこのテレトラックをどの会社に売却・賃貸するのか。その会社は1社なのか何社なのか示していただきたい。知事はこれまでの交渉経過と相手先について報告等受けているのでしょうか。あいまいもことした計画では認めるわけにはいかないのであります。
 八つ目、競馬法改正のメリットとして、3場連携によるトータリゼータシステムの構築が昨年の計画にはありましたが、今回の計画では破綻しています。なぜ破綻したのでしょうか。それでも広域共同場外は設置するのでしょうか。だれが設置するのでしょうか。
 九つ目、知事は、12月県議会で、財政競馬という趣旨は、ほぼおしまいに来ているのではないかと答弁しています。財政競馬の趣旨、目的がなくなったと言うなら、県が構成団体となって競馬を続ける意味は全くないのではないでしょうか。財政競馬だからこそ公営ギャンブルとして例外的に認められてきたのではないでしょうか。
 根拠のない願望的な再建計画ではさらに赤字をふやしかねないというのが実態ではないでしょうか。
 次に、イラク自衛隊派兵問題と憲法問題についてお聞きします。
 増田知事は知事演述で、イラクへの自衛隊派兵に触れて、岩手駐屯地の部隊が無事に帰国されたことに敬意を表しました。無事に帰国したことはそれ自身喜ばしいことですが、イラクへの自衛隊の派兵はそれだけでは済まない重大な問題であります。まず、アメリカがイラク攻撃の口実とした大量破壊兵器の問題は、アメリカ自身の調査によって大量破壊兵器も開発計画もなかったことが明らかになりました。イラクへの戦争は大義のない侵略戦争ではなかったでしょうか。国連決議もなしに戦争を始めましたが、イラクに派兵した国は当初37カ国、既に撤退を決めている国を含めると20カ国に大幅に減少しています。有志連合の崩壊と言うべき状態であります。また、アメリカの占領とファルージャなどへの攻撃によって、イラクの治安は一層悪化しています。こうした状況を知事はどう認識されて発言されたのでしょうか。自衛隊のイラクへの派兵は憲法9条に明白に違反するものであります。極東有事を定めた安保条約にも反するものであります。日米同盟だから自衛隊を派兵するというのは、アメリカ言いなりの政治を憲法の上に置くものでしかありません。ことしは終戦60周年、被爆60周年でもあります。戦前の日本が犯した侵略戦争の教訓の上に立って、憲法9条は戦争のない世界と日本を展望し、国連憲章の精神をさらに発展させて、戦争の放棄とともに戦力の放棄を定めました。今、憲法9条は、国内はもとより世界からも注目されています。知事、知事は終戦60周年を踏まえて憲法9条をどうとらえているかお聞きします。
 次に、警察の捜査報償費、旅費などの裏金疑惑についてお聞きします。
 1月20日、愛媛県警の現職警察官がついに警察の裏金づくりについて実名で内部告発しました。その内容は、一つ、1973年から95年にかけて勤務した七つの警察署すべてで、上司から偽名領収書をつくるように指示された。二つ、架空の捜査協力者をでっち上げたものであり、捜査協力者への支出は皆無だった。三つ、裏金はほとんど管理職の飲み食いなどプライベートに使われた。四つ、カラ出張でも裏金をつくった。五つ、偽名領収書の作成は昇進の踏み絵だった。こういうものであります。これは北海道警の裏金事件と全く同じものであります。この1年間で明らかになった警察の裏金事件は、福岡県警、静岡県警のカラ主張、京都府警の捜査旅費振り込み口座の一括管理による裏金など極めて重大なものであります。岩手県警についても私のところに匿名ですが捜査費、捜査報償費、旅費などを裏金にしているとの告発が寄せられました。私は情報公開請求をしてその状況を調査しましたが、真っ黒の回答しか出ませんでした。
 そこで、公安委員長に質問します。
 捜査費、捜査報償費、旅費などの不正支出による裏金問題は、小泉首相も認めているように全国の警察の問題です。公安委員会としてどう審議され、県警本部に対して調査等を指示しているのでしょうか。
 県警本部長に質問します。
 捜査報償費が捜査協力者に渡されていることを証明できるでしょうか。現職警察官の告発のようにすべてが裏金となっているのではないでしょうか。旅費について京都のように口座を一括管理されていることはないでしょうか。来年度、県費である捜査報償費が約700万円、22%減額されている。2、349万円余となっていますが、その理由は何でしょうか。裏金として使いづらくなったからではないでしょうか。
 代表監査委員に質問します。
 捜査報償費の監査に当たって、捜査報償費が実際に捜査協力者に渡っていることが確認できたでしょうか。旅費や超過勤務手当が現場の警察官に実際に支給されていることが確認されているでしょうか。監査に当たって警察からの協力が得られたでしょうか。
 知事にお聞きします。
 宮城県の浅野史郎知事は、捜査費をめぐる裁判で昨年6月、仙台高裁に文書を提出しました。その中でみずから面談した元県警幹部から、捜査報償費の99%は架空であり、裏金になっていたとの証言を得て、不正経理の疑念を強く抱かざるを得ないと述べています。予算執行の責任者である知事として正確な実態を把握するために、県警の特別監査を指示すべきと考えますがいかがでしょうか。
 パトカー追跡事件の判決が2月25日にありました。警察の責任を一切認めない、大方の予想に反した最悪の判決でありました。この事件はこれからも争われるものと思いますが、判決のいかんにかかわらず重要なことは、若い2人のとうとい命が奪われたこうした事件の根絶であります。県警はこの事件からどう教訓を引き出し、再発防止に取り組んでいるのでしょうか。同じような事件が起きた長野県警の場合、東京高裁で和解となり、長野県警は犠牲者の遺族に心から哀悼の意を表明し、パトカー追跡による事故防止の具体的な方針を示しました。岩手県警の対応はどうなっているでしょうか。
 以上で私の質問を終わりますが、答弁によって再質問をいたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 斉藤信議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、小泉内閣による7兆円の負担増というお話でございますけれども、これは税制改正や社会保障制度の見直しで国民の負担増が起きているのではないかと、県民への影響がどうなっているかということですが、この7兆円と積算された内容を具体的に承知をしていないということと、所得税や年金保険料などは国が所管をしているものでございまして、県におきまして、その影響額を試算いたしますことは困難でございますので、県民への具体的な影響額を県として把握することは困難だと考えております。
 いずれにいたしましても、税制改正や社会保障制度の見直しなどが行われまして、国民や県民に新たな負担をお願いするという場合にありましては、まず、国、地方とも、国民や県民の暮らしに与える影響などを総合的に検討して、国民や県民に受益と負担の関係を明らかにして、その理解をいただきながら進めていくことが重要であると考えております。
 次に、少人数学級についてのお尋ねでございます。
 現在は、今お話がございましたとおり、県内23校で実施した研究指定校方式でこの少人数学級編制を行っているわけでございます。
 その成果といたしましては幾つかございますが、例えば学級の人数が少ないために一人一人の発言を取り上げる回数がふえたといったようなこと、それから、担任に心の余裕ができて児童生徒と接する時間がふえたことで、学級の雰囲気が落ちついたものになった、こういった声が聞こえてきております。特に、小学校の低学年におきまして、生活面での基本的な指導に効果を上げるなど、学校生活の安定が図られている、こうした報告を受けております。
 来年度におきましては、こうした小学校低学年を重点に拡大をすることといたしまして、先ほど申し上げましたが、県下小中学校あわせて10校程度、研究指定校をふやすこととしております。さらに、そうしたところでの成果や課題を継続的に検証しながら、少人数学級を含めた岩手の少人数教育の方向性につきまして、教育委員会と協議した上で、できるだけ早い時期に示せるようにしていきたいと考えております。
 次に、雫石で計画をされておりますクリーンセンターの問題でございます。
 雫石町長そして環境影響評価技術審査会から、この施設につきましてはアセスが必要であるといった意見を今いただいております。これらの意見も踏まえまして、現在、担当部において環境影響評価条例施行規則で定めております判定基準に従って、アセス手続の要否を審査中でございまして、これについては3月31日、今月の31日までに、アセス手続の要否について判定をして、事業者へ通知をすることといたしております。
 また、雫石のクリーンセンターでございますが、これは民間が設置主体でございまして、県は法令に基づいて設置の適否を判断する立場にございます。この設置の適否につきましては、施設の技術上の基準と事業者の能力、これは施設の設置及び維持管理を的確に行える知識や技能を持っているかといったような、そういうことでございますが、この事業者の能力の基準への適合性を審査して行うこととなります。ただし、本県では、条例に基づいて事前協議制というのをとっておりますので、今後、設置に係る事前協議がございました場合には、関係法令に適合するかどうかを審査した上で、施設の設置の可否について判断をしたいと考えております。
 次に、競馬組合について幾つか御質問がございました。
 順次お答え申し上げますが、まず、この競馬組合の再生は、構成団体の長として、競馬組合の管理者として、非常に重要な課題と認識しております。したがいまして、競馬組合が策定した今回の改訂実行計画も大変重要な計画でございますが、私どもその計画の内容は達成可能と考えておりまして、県としても全力を挙げて支援をしていく、そういう立場に立っていると考えております。
 それから、次に、16年度末の経常損益についてお尋ねがございましたが、16年度末の経常収支の不足、借入金残高見込みは、構成団体融資そして新たな起債の引き受けが実現した場合に、経常損失で26億7、800万円、借入金残高として284億2、900万円。この中には、構成団体融資分としての37億円、さらには新たな起債措置としての13億2、600万円を含んだ額でございますが、今申し上げた額と見込まれております。
 なお、当期純損益に当たります借入金を含めた収支でございますが、これは構成団体の融資及び新たな起債の導入を除いた実質的な収支の場合につきましては40億400万円の不足、このようになっているところでございます。
 また、競馬組合でございますが、これにつきましては今議会でも申し上げましたが、平成9年度そして平成12年度に、それぞれ経営改善計画を策定して改善に取り組んできたわけでございます。その内容は、場外馬券場の開設など、ハード施設の整備を中心とした営業の拡大を目指した、こういうことになっているわけでございますが、結果的に、このことは累積損失を生む原因にもなったわけでございます。
 そこで、今回の改訂実行計画では、競馬法の改正で可能となりました民間の発売手段の活用によりまして、新たな設備投資を伴わない、ソフト活用による商圏の拡大、売り上げの拡大へ方向転換をいたしたところでございまして、この改訂の実行計画の実現に最善を尽くすことが、競馬組合の管理者として果たすべき責任と考えております。
 それから、既存体制での売り上げの根拠についてお尋ねがございましたが、平成17年度から開催日数を120日から126日と6日間ふやしたわけでございます。そのほか、大手の経済研究所などが、平成17年度を景気の底と見ていることをもとにいたしまして、地域へのこうした経済の波及効果はおおむね2年程度おくれるものと。これは従来からの趨勢などを見まして考えまして、平成17年度及び平成18年度の既存体制の発売は、それぞれ前年度発売から減少するであろうと。この減少率は約10%と見込んでおりますが、やはりこの17年度、18年度は前年度から減少するであろうと。ただし、19年度からはおおむね横ばいで推移する、このように見込んだものでございます。
 次に、集客効果とそれからJBC、何年かに一度開催を予定してございますが、これについてのお尋ねでございます。
 まず、集客効果でございますが、顧客のニーズにこたえて顧客満足度の向上を図るために、来場頻度別等によりまして顧客の皆さん方を区分いたしまして、そして、それぞれの区分ごとに最適な営業活動を積極的に行う、いわゆるセグメント別営業を展開することとしてございまして、定期的な検証、改善をさらに加えまして、そうしたことを通じて目標は達成されるものと考えております。
 また、JBCの効果でございまして、これは岩手でも平成14年に実施をしたわけでございますが、JBC開催日の発売実績は、大井で開催をした3回の平均が約37億円、岩手で開催いたしました平成14年の発売実績は22億円、こういうことになってございます。
 それから、インターネット発売でございます。このインターネット発売につきまして、今、競馬組合の方では複数の相手先と交渉を展開しているところでございます。現時点では、恐縮でございますが、相手方の公表は差し控えさせていただきたいと思っております。
 また、JRAの方ではインターネット発売、これは順調に今伸びているわけでございますが、一方で、発売総額が減少しているということでございます。この理由についてお尋ねがございます。これにつきましては、JRAの方でその理由について分析を発表しているわけではございませんが、我々の推計としては、近年の経済そして景気動向の影響があらわれているのではないか、このように見ているところでございます。
 地方競馬でございます岩手競馬ですが、これはインターネット発売の導入で初めて面的に、地域的に拡大が可能になるという意味で、JRAとは状況が異なっていると分析をしておりますほか、さらに20代、30代を中心とした年齢層の拡大も、インターネット発売で見込まれる状況でございます。
 岩手競馬は、他の地方競馬主催者と連携した広域場外での発売実績もございますので、ここを核として知名度を向上させて面的に拡大することは、十分に可能であると考えているところでございます。
 次に、コスト削減の中でいわゆる委託料の関係です。この委託料の減額を打ち出しているわけですが、主要な委託先でございます2社とは、基本的な合意は得られているわけでございます。そのうち1社とは、減額要請額に対する回答額が、まだ我々が提示しております額、満額に至っていないということで引き続き交渉中でございます。他の1社とは、当該会社の取引金融機関が、競馬事業の継続の方向性が明らかになった時点で交渉を再開するということで、現在、その動向を見定めている状況でございます。
 それから、テレトラックの売却あるいは賃貸ということをこの計画に盛り込んでございます。これまで、この関係については複数企業と交渉してございます。そして、その交渉の経過についてでございますが、これについては私も競馬組合から報告を受けているところでございます。
 さらに、3場連携についてでございます。これは投票集計システム、いわゆるトータリゼータシステムでございますが、その投票集計システムは共同開発によりましてコスト削減を図れるものと考えまして、具体的には、名古屋とそれから佐賀、荒尾、この3カ所で検討を進めてきたわけでございますが、それぞれいろいろな事情がございまして、端末機の更新費用負担の問題ですとか、それからシステムの稼動時期、これがどうもお互いの考え方がずれ合いまして、そういったシステム稼動時期等の調整が不調となりまして、したがいまして、単独開発に変更させていただいたところでございます。
 なお、佐賀、荒尾との連携につきましては、相互に勝馬投票券を販売する等によりまして、今後とも連携を図っていきたいと考えております。
 また、広域共同場外についてですけれども、これは競馬法の改正によりまして、民間への事務の委託が可能になりましたので、民間企業による設置を予定してございまして、これまでにも複数企業から問い合わせがあったところでございます。
 それから、この競馬問題の最後で、競馬を続ける意味、それから財政競馬の趣旨といったようなことでお尋ねがございました。
 この競馬事業を含めた公営競技の法律上の意味は、当然、財政の貢献ということにあるわけでございまして、そのことによって認められているわけでございますが、岩手競馬は、これまで財政を通じた行政各分野への貢献など、岩手県にとりましても大きな役割、そして重要な役割を果たしてきたと考えております。また、財政貢献という側面だけではなくて、本県は古くからの馬産地として持ってございます馬事文化や馬事振興という、こういうねらいもございます。健全な娯楽の提供、さらには、雇用の場の提供や地域経済への貢献という面をとりますと、今申し上げましたような観点から言いますと、本県にとって大変重要な役割を果たしてきたことは、紛れもない事実であると理解をしているわけでございます。
 このような役割を果たしてまいりました岩手競馬が、今、経営の危機にあるわけでございますけれども、競馬法改正という、こういう時期をとらえまして、自助努力を基本とした実行計画の実現によって、この競馬事業の再生をしていけるように、県としても最善の努力をすべきものと考えているところでございます。
 次に、イラク自衛隊派兵問題とそれから憲法問題、憲法についての考え方の御質問でございますが、岩手駐屯地から派遣をされた隊員の皆様方、昨年の秋に無事、御帰還されたわけでございますが、人道的な立場から復興支援活動を行うという、大変とうとい任務に従事してこられたわけでございまして、苛酷な環境を克服してその使命を達成した上で、さらに無事に全員帰還していただいたということに対して、知事演述の中でも敬意を表したところでございます。
 イラクの現状に対しての認識でございますが、現実にイラクへ兵隊を派遣している国が減少してございます。さまざま事情があるようでございまして、予算事情や政権の交代、さらに派遣期間の満了、それぞれの国の事情ということであろうと認識をしてございますが、今、現実に治安の悪化が見られるところで、これはもう大変憂慮するべきことであるというふうに思いますが、イラクの再建とそして民主化の主人公は、やはりイラク人自身だというふうに考えておりまして、イラク国民議会選挙が先般行われましたが、こうしたイラク国民議会選挙を機に、イラク再建・民主化のプロセスが軌道に乗って、復興に向かって確実に歩み始めることを強く願うものでございます。
 また、憲法9条について認識を問われておりますけれども、憲法9条は、我が国憲法の特色でございます平和主義を具体化した、これは極めて重要な規定であると認識をしてございます。民族や宗教的イデオロギーの対立などに起因する国際的な紛争が、現実には世界各地で相次いでいる中にありまして、今のこの我が国憲法第9条に具現化されたこの精神というのは、今後ますますその意義は重要性を増すものと考えております。
 そこで、私は、21世紀の国際平和というものは、全地球的な立場からの国際協調を基本理念とすることで成り立つと考えておりまして、今、この平和憲法を有する我が国に最も強く求められていることは、過去の貴重なそして悲惨な経験を生かして、平和に対する国民的なコンセンサスを明確にして外交理念を確立し、全地球、全人類のために、積極的に国際協調の担い手の役割を果たしていくことである、こういう役割を我が国として積極的に果たすことではないかと認識をしているところでございます。
 最後に、警察予算、特に捜査報償費についてお尋ねがございましたが、この警察予算の執行状況でございますけれども、これは地方自治法の199条第4項そして第5項の規定によりまして、監査委員が監査を行っているわけでございまして、この監査委員が行ういわゆる一般監査におきまして、捜査報償費など捜査に要する経費も含めて厳正に監査が行われているものと認識をしております。したがいまして、現時点で監査委員に対して、いわゆる特別監査、これは地方自治法の199条第6項の規定による特別監査のことだと思いますが、この監査委員に対して特別監査の要求を行う状況には至っていない、このように判断をしているところでございます。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部局長から答弁をさせますので、御了承をお願いします。
〇議長(藤原良信君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
   〔県土整備部長橋本義春君登壇〕
〇県土整備部長(橋本義春君) 防災対策に関連して、木造住宅耐震診断助成事業についてでありますけれども、木造住宅の耐震診断助成事業の対象地域につきましては、近く予想されております宮城県沖地震の被害想定をもとにいたしまして、早急に対策が必要な地域に対して、支援をしてまいりたいと考えているところでございます。
 住宅の耐震化対策につきましては、住宅の所有者が、みずから住宅の耐震性能を把握することが重要でありまして、そのためには、まず木造住宅の耐震診断に取り組むことが先決であるという考えでおります。
 耐震改修への助成につきましては、今後の検討課題であると認識しています。
   〔総務部長時澤忠君登壇〕
〇総務部長(時澤忠君) 防災対策に関連いたしまして、まず耐震化の現状と対策でございます。
 平成15年4月1日現在の県、市町村の公共施設のうち、避難施設として指定されています学校施設1、583棟でございますが、このうち、建築基準法改正後の基準で建設された施設と改修済みの施設をあわせました耐震基準に適合する施設は、平成15年度末で714棟、45.1%となっております。また、避難施設として指定されております学校施設以外の公共施設542棟でありますが、このうち耐震基準に適合する施設は312棟、57.6%となっております。避難施設として活用されます学校施設及び公共施設の耐震改修につきましては、それぞれ設置主体において計画的に実施されるものと考えておりますが、早期・重点的に取り組んでいく必要があると考えております。
 次に、速やかな避難の実施でございます。
 津波を想定しました沿岸部の避難経路、避難施設につきましては、平成9年に整備しました津波浸水実績図をもとに指定されてきておりますが、昨年末に現在の地形、構造物に合わせました浸水状況や津波到達時間を算出しました津波浸水予測図を公表したところでありまして、これまで指定してきました避難経路や避難施設の見直しが必要であります。これをもとにいたしまして、適切な見直しが行われますよう、市町村を支援、指導しているところでございます。
 災害弱者対策につきましては、まず、障害者関係団体からの意見をもとに、障害のある方々の災害対応マニュアルを作成、配布し、障害者みずからの災害への事前対応、障害特性に応じた対応について周知に努めているほか、災害情報の獲得が困難な聴覚障害者には、ファックスなどの通信装置を給付しております。
 また、災害弱者の避難対策としましては、本人ができること、できないこと、支援を要する事項をこれは事前に確認をいたしまして、緊急時は情報の伝達や避難の支援を地域の方々が共助として行うこと、あるいは福祉関係団体、消防団員の支援の仕組みも必要であると考えております。また、町内会や自治会などの地域単位での避難計画、防災マップ、こういったものの作成を通じまして、支援や避難方法を確認いたしまして、高齢者の方々など、災害弱者への支援のあり方や避難の方法等を確認いたしまして、地域全体で緊急時に備えられますよう、取り組みを進めていくことといたしております。
 また、自主防災組織につきましては、リーダーの育成やフォーラムの開催などによりまして機運を醸成し、組織化が進展するよう取り組んでまいりたいと考えております。
 続きまして、夏場の観光シーズンの対策でございます。
 一時滞在します観光客の避難対策でございますが、これにつきましては、津波の危険性、避難場所の所在地等の情報を提供するための案内看板や避難誘導標識の設置、あるいは緊急時におきます情報の正確かつ迅速な伝達とそのための手段の確保、さらには施設管理者や売店関係者によります避難誘導、適切な避難場所の確保、こういったことが課題として考えられますので、これらの対策を的確に推進することが重要であると考えております。
 この観光客に対する避難対策につきましては、県が策定をいたしました津波避難計画策定指針によりまして具体的に示しておりますので、市町村避難計画への反映、さらには、当該計画に基づく対策の実施が早期に行われますよう、支援していくこととしております。
 次に、防災学習施設でございます。
 チリ地震津波から45年が経過をいたしまして、住民の防災意識に世代間のギャップが見られること、あるいは訓練への参加が少なくなっていること、こういった防災意識が希薄化、風化していることを懸念しておりまして、防災意識の向上を喫緊の課題ととらえております。
 御指摘の防災学習施設につきましては、本県でも総合防災センターにおきまして体験や学習ができることになっているほか、沿岸部におきましても集会施設での資料の展示など、さまざまな工夫がされておるところでございます。しかしながら、災害の伝承と正しい知識の普及、これは防災意識の高揚のため極めて重要だと認識しておりまして、さらに工夫しながら取り組んでまいりたいと考えております。
   〔保健福祉部長佐藤敏信君登壇〕
〇保健福祉部長(佐藤敏信君) 県単独医療費助成事業に伴う自己負担の増加分につきまして、それぞれの状況はどうかという御質問でございました。
 平成17年度当初予算における見込みでは、受給者1人当たりに換算しまして、障害者医療で月額約3、800円、通年で約4万6、000円、同じく乳幼児医療で月額約350円、通年で約4、000円、妊産婦医療では月額約1、900円、通年で約2万3、000円、母子家庭医療では月額約1、100円、通年で約1万4、000円となっているところでございます。
 この県単独医療助成事業につきましては、このうち重度心身障害者、それから乳幼児につきましては対象を拡大したところでございまして、それとともに、将来ともこの制度が持続可能なものとなりますよう、必要な見直しを行ったと考えておりまして、県としては、当面、無料化は考えていないところでありまして、御理解をいただきたいと存じます。
 それから、介護保険についての御質問でございました。
 要支援、要介護度1の高齢者の介護サービスの制限に係る実態を把握しているかということでございますけれども、今回の介護保険制度の見直しについては、今申し上げました要支援、それから要介護1と言われる方の一部について、新予防給付というのが創設されることになりますが、現在、国会に法案が提出された段階でございまして、その詳細は明らかにされておりません。細目については、今後、政令や通知等で示されていくものと考えております。
 そういう状況でございますので、私どもとしても予測がつかない部分がございます。そういうことで、介護サービスの制限につながるのかどうかということについても、現時点では判断できないということですが、今後、詳細が判明次第、また対応してまいりたいと考えております。
 なお、このような国の動きを察知しておりまして、県としては、昨年11月から12月にかけまして、市町村あるいは在宅介護支援センター、それから居宅サービス事業者等と、県内9の広域生活圏ごとに、介護保険に係る説明会や意見交換会を開催して、実際に現場の声を聞いたところでございます。
 それから、施設入所者の負担増の実態についてでございますが、従来、施設利用者につきましては、居住費、食費というものが介護保険の給付の対象とされていたわけですけれども、今回の制度の見直しで、在宅と同様これらが保険外となり、利用者が自己負担することになるようでございます。こういう中で、現時点で判明しております国の資料を見ますと、例えば最も所得の低い第1段階については今までの負担と変わらず、また、第2段階の方については、むしろ利用者負担額が下がるということのようでございます。このように、所得段階により利用者負担額が異なること、あるいは要介護度により利用者負担額が個々の高齢者ごとに異なるであろうということ、そういうことがさまざまありまして、一概にどの程度の負担増になるかということを、現時点で試算することはちょっとできない状況にございます。
 なお、議員の御質問の中にございました制度見直しに伴う全国の施設利用者の年間負担増が3、000億円ということにつきましては、国会における議論の中に出てきたものではないかと承知しておりますが、これは試算の前提として、施設利用者全員が介護度の最も重い方であって、しかも所得の最も高い層に属するという仮定に基づいて計算されたものではないかと推測しておりまして、本県の場合に、これをそのまま当てはめて考えることはちょっとできないのではないかと考えています。
 それから、特養入所希望者解消の見通しでございますが、現行のいわていきいきプラン2008によりまして、平成15年度から19年度までに、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設など、あわせて約2、000床を増床することとしておりまして、高齢者が住みなれた地域で生活ができるよう、これ以外にもご近所介護ステーションの設置やモデル介護支援ハウスの整備の推進などによって、在宅介護の面も一層推進していきたいと考えております。
 それから、児童福祉司の増員についてでございます。
 これも先般お答えをしたところでございますが、新たに6人の増員を図るとともに、内部の業務体制を見直し、児童福祉司全体としては、国が示す交付税積算基礎を超える程度までの配置を考えているところでございます。
 また、体制としましては、ケース指導・進行管理を的確かつ効率的に行うための指導体制の充実、これをスーパーバイズ体制と呼んでおりますが、こういったもの、それから複雑難度の高い相談に対しまして、チーム対応ということの充実で対応してまいりたいと考えております。
 それから、児童養護施設の整備、増員についてでございますが、地域小規模児童養護施設につきましては、現在、県内に1カ所の設置ということですが、平成17年度には、新たに2カ所を設置しまして12人の増員を図る予定としております。
 また、被虐待児などにケアを行います小規模グループケアにつきましては、県内6施設中5施設で実施をしておりまして、これは平成16年度の実施率で見ますと、全国平均が39.4%のところ、本県では83.3%となっております。未実施の施設に対しては、今後、実施に向け働きかけてまいりたいと考えております。
   〔医療局長千葉弘君登壇〕
〇医療局長(千葉弘君) 県立病院の診療所化についてでございますが、県立病院におきましては、在院日数の短縮や介護保険施設の整備が進んでいることなどに伴いまして、入院患者が大幅に減少し、約1、000床の空き病床が生じていたことから、昨年2月に策定いたしました県立病院改革実施計画におきましては、計画的な病棟休止や診療所化による病床規模の適正化を図りながら、二次保健医療圏を単位とした効率的な医療提供体制を確立することとしております。
 この病床規模の適正化につきましては、二次保健医療圏ごとに空き病床を勘案し、圏域の医療需要に見合う必要数を確保しながら進めておりますが、依然として相当数の空き病床があることから、今後も計画どおり診療所化など規模の適正化を進めていかなければならないと考えてございます。
 なお、診療所となった場合におきましても、当該圏域の病院全体で医療需要に対応するほか、広域基幹病院等から診療応援を行うなど、その圏域全体として地域の医療の確保をしてまいります。また、各種業務の集約など、県立病院間の一体的、効率的な運営などによりまして、これらの対策もあわせて、県立病院会計全体の収支の改善を図ってまいる所存でございます。
   〔教育委員会委員長船越昭治君登壇〕
〇教育委員会委員長(船越昭治君) 30人学級の実現を求める県民の声、あるいは県議会で採択された30人学級実現に向けての請願をどのように受けとめているのか、また、教育委員会としてどう議論しているのかという御質問でございますけれども、30人学級の実現を求める請願が採択されたこと、また、県民の方々から多くの署名運動をいただいているということについては重く受けとめております。県教育委員会としては、少人数教育については、これまで実施してまいりました少人数指導支援事業による具体的な効果があらわれ始めているということや、また、学校現場等の期待も拡充に対して強い要請があるということで、すこやかサポート講師配置を年次的に小学校2年次、また、複式学級に拡大するとともに、さらに今年度からは県内23校の少人数学級研究指定校を指定して、その充実を図っているところであります。
 今後としましては、少人数指導と少人数学級のそれぞれの成果と課題を継続的に検証しながら、本県独自の少人数教育のあり方という観点から、できるだけ早い時期に方向性を示し検討してまいりたいと考えております。
 次に、県立高等学校新整備計画について、県民の理解をどう図っていくかということについてでありますけれども、教育委員会におきましては、これまでの間、説明会や意見を聞く会など数多く開催しますとともに、要望や陳情をいただく機会等を通じましても意見交換を重ねてまいりました。しかし、いまだ十分に理解が得られたとは言いがたい地域がございます。今後、なお地域の理解が得られますよう一層の努力を続けてまいりたいということでございます。
   〔教育長佐藤勝君登壇〕
〇教育長(佐藤勝君) 県立高等学校新整備計画についてでありますが、まず、画一的な基準で機械的に統廃合すべきでないと考えるがいかがかということについてでありますが、県教育委員会は、マスタープランにおいて整備計画の基本的な考え方、方向というものを示しまして、その後、各地区での説明会でさまざまな意見、提言等を踏まえ、それぞれの地域の産業構造、中学校卒業者の動向などを勘案し計画案を明らかにしてきたものであります。それぞれブロックごとに広域的な視点に立って、中学校卒業者の志望動向、統合時期や統合形態、地理的要件等を十分勘案したもので、決して画一的、機械的な判断をしたものではないと考えております。
 次に、小規模校を存続させるためにも、少人数学級や分校も認めるべきではないかについてでありますが、高校生という発達段階に、これから社会参加し、活躍できるたくましい人間として育成するためには、ふさわしい集団の中で、多くの友人、教師と触れ合い、お互いに切磋琢磨できる望ましい学級規模を確保するとともに、生徒の多様な志望、能力を十分に伸ばさせる、伸長させることのできる教育環境に整備して、社会性や協調性をはぐくむことが大切であると考えております。
 商業教育についてでありますが、これからの商業教育は地域の産業との連携、結びつきを強め、複合化し高度化する産業活動に貢献できる人材の育成を目指さなければならないと考えております。そのため、今後一層その専門性を高めるとともに、さらに必要なことは工業などの他の関連する専門分野との連携を強めることで、より活力ある教育環境に整備する必要があると考えております。このような観点から、水沢、気仙、釜石、宮古の各地区に複数の専門学科をあわせ持つ総合的な専門高校を整備しようとするものであります。
 次に、地域の理解と成案策定の時期についてでありますが、教育委員会におきましては、地域の理解を得ること、これに最大限努力することを基本に、具体的な案を示した上で、これまでの間、それぞれの地域と積極的な意見交換を行ってきたところであります。今後も引き続き、理解が得られるよう努力してまいりたいと考えております。
 中学校における進路指導と地域の高校のあり方についてでありますが、県立高等学校の設置や配置、これは生徒の個性や能力に応じた多様で柔軟な高校教育を展開して、自立した個を確立するための学びの環境、その整備が重要だと考えております。その設置する学級数、これは各ブロック内の中学校卒業者数を基本といたしまして、生徒の志望動向等を考慮しながら、入学予定者数を推定し、そして必要学級数を設置しているものでございます。広域的な観点から、適切な学校、学科を配置するように計画をしているものであります。
 なお、進路指導につきましては、今後とも適切になされるように努めてまいりたいと考えております。
   〔代表監査委員一戸克夫君登壇〕
〇代表監査委員(一戸克夫君) 警察活動報償費の監査についてでありますが、監査は、抽出により4、247件、719万円余分を調査したところ、捜査協力者への謝礼として、現金または菓子等の物品で交付した相手先住所、氏名などは捜査活動に支障を来すとの理由により非開示とされたことから、捜査協力者からの受領確認はとれなかったところであります。
 このため、再度内部調査の実地を要請するとともに、報償費の執行実績のあった一部の捜査員から聞き取り調査を行いましたが、不適正な執行は確認できなかったところであります。
 また、旅費については、旅行命令を受けた職員本人の金融機関の口座に振り込まれており、超過勤務手当については、超過勤務等記録簿に基づき、給与と一緒に個々の職員に支給されていることを確認したところであります。
 平成17年度におきましても、警察活動報償費の執行を監査の重点項目とし、従事職員を増員するなどにより、厳正に実施してまいりたいと考えております。警察本部には、支出の正当性を証明できるよう、積極的な協力を望むものであります。
   〔公安委員会委員長佐藤ソノ子君登壇〕
〇公安委員会委員長(佐藤ソノ子君) 捜査費等に係るお尋ねについてでありますが、警察活動は県民の信頼と協力によって成り立つものであり、捜査費等を含む予算が適正に執行されなければならないことは言うまでもありません。当公安委員会におきましては、県警察による内部監査及び県監査委員による監査の結果について、適宜、県警察から報告がなされており、その際、不適切な取り扱いの有無についても確認を行っているところでございます。これまでの報告では、議員御指摘のような問題点があったとの報告は受けておらず、県警察において予算は適正に執行されているものと承知しております。このような状況から、現段階では調査等を指示することは考えておりません。会計経理に係る問題については、今後とも管理機能の一層の充実に努めながら、必要な報告を求めるなどして県警察の適正な管理に当たってまいる所存でございます。
   〔警察本部長山内正和君登壇〕
〇警察本部長(山内正和君) 捜査報償費についてですが、犯罪の捜査は捜査幹部による指揮のもと組織的に実施されることが原則であるため、捜査協力者に対して捜査報償費を執行するときにも、その事前事後に必要となる報告を捜査幹部に対して行っているところであります。具体的には、捜査員は捜査協力者と接触し、捜査報償費を執行した後において速やかに捜査協力者から得られた情報の内容、接触状況、謝礼の交付状況等を所属長に対して報告し、事後の捜査方針について指揮を受けるとともに、捜査報償費の精算を行うという、捜査管理の一環として支払い事実については把握されているところであります。このため、捜査幹部が監査等に際して執行状況等を説明することなどにより、捜査協力者への捜査報償費の支払い事実について証明することができるものと考えております。
 また、当県警察においては、岩手県警察会計事務の監査に関する訓令に基づき厳正な内部監査を実施しており、さらに監査委員の監査も受け、これまで議員お尋ねのような問題があったとはされておらず、そのようなことはないものと考えております。
 次に、職員の旅費については、旅行者本人が管理している金融機関の口座に振り込まれており、内部監査においても確認しているところであり、お尋ねのような事実はありません。
 捜査報償費の来年度予算額については、現下の厳しい財政事情のもと、直近の執行結果等を反映するなどして所要の経費を計上しているものであります。
 次に、パトカーによる追跡についてですが、パトカー等で緊急走行する車両の運行については、以前から岩手県警察職員の交通事故防止に関する訓令に緊急自動車の運行基準等を規定しており、乗務員については同訓令に基づき必要な資格審査をし、運転技能訓練等を実施してきたところでありますが、加えて平成14年3月からは警察庁から示された違反車両追跡時の受傷事故防止チェックリストにより、道路交通状況に応じた運転、交差点通過時の安全確認、乗務員相互の安全呼称の励行、追跡の打ち切りと組織対応等の徹底を図っているほか、警察署等にあっては無線等による追跡実施時の的確な指揮等について指導しているところであります。
 また、事故に対する対応についてですが、一連の警察官の職務執行は適法なものと考えておりますが、他方、本件事故により若いお二人が亡くなられたことにつきましては、痛ましいことと考えており、改めて、お亡くなりになられたお二人の御冥福をお祈りするとともに、御遺族の方々にお悔やみ申し上げたいと思っております。県警察としては、今後とも必要な運転訓練を行うとともに、第一線でパトカーによる追跡行為を行う一人一人の警察官に対し、追跡の開始、継続及びその方法について指導教養を徹底してまいりたいと考えております。
〇26番(斉藤信君) それでは、競馬問題について知事に改めてお聞きをしたいと思います。
 そのテレトラックの売却・賃貸について、テレトラックの売却・賃貸について交渉しているけれども中身は言えない、名前も言えない、場所も言えない。これは公共的財産ですよ。適正に売却されるかどうかというのは大変重大な問題なのです。それで、テレトラックの資産評価を見ますと、それぞれの施設、全然違うんですね。例えば、田舎館にあるテレトラック津軽は土地の評価だけで11億円です。そして、建物の評価は8億円ですよ。あなた方は7億円しか計上していないではないですか。こんなバナナのたたき売りでいいのかということになるのです。私は、どこの場所を売却し、どこの場所を賃貸するのか、だれが買い手なのか、公共的財産なのですから公明正大にこういう交渉経過を示さなければだめだと思いますよ。大体、恐らくこのテレトラックの売却は盛岡市長や水沢市長も知りませんよ、相手方を。ほんの一部だけで、知事が本当に知っていると言うなら、テレトラックを買うのは1社ですか、2社ですか、3社ですか。1社が一括して買うのですか。一括して賃貸するのですか。これでスケールメリット全然違うのですよ。あなた方の話は全然根拠がないのですよ。そこを具体的に知事、どういう交渉になっているか示していただきたい。
 このテレトラックについて私は、どうやったらメリットがあるのか、当局に聞いてみました。平均をすると今売上額は14.3億円だと、平均するとですよ、これ、全然違うのですからね、一つ一つ。40億円売っているところもあれば数億円でとどまっているところもあり、余り当てにならない試算ですが、しかし平均すると14億3、000万円だ。売却したときに16億2、000万円売り上げしないとペイしないと言うんですよ。テレトラックの売り上げはこの5年間で半分に減っています、実態は。私は、これだけのテレトラックを買って売り上げを伸ばしてペイするなどという売却交渉が本当に実るのか、極めて疑問です。説得力ある答弁をしてください。
 柴田副管理者は、テレトラックの売却について、5年以内に競馬組合が破綻したら買い戻す条件がつくと言っていますよ。そういう買い戻し条件で交渉しているのですか。私は本当にいいかげんな交渉ではないかと思っています。
 二つ目、インターネット発売について。交渉しているIT企業、これ4社と接触をしていると言っていますけれども、何社と契約するつもりですか。そのうちの1社と契約するのですか。その脈はどのぐらいあるのですか。JRAの場合、インターネット会員200万人です。もう300万人あなた方は会員を予想してやっているのですよ。そして、そのうちの4%が馬券を買うと、それが10億円から80億円になるのです。商品価値も全然JRAと違うし、インターネットというのはみずから特別の口座をつくらなければだめなんですよ。未成年は排除しなければだめなんです。特別の管理が必要なんです。ただインターネットの会員になればいいという問題ではないのですよ。それだけの安全管理の厳しいシステムなのです。そういう点でこのインターネット発売についても、4社と接触しているけれども、どれだけの脈があるのか、契約する場合は1社なのか、示していただきたい。
 私は先ほど聞きましたが、このインターネット発売でたとえ10億円、20億円売れたとしても、それが総売り上げにそのまま単純にふえるものではないと指摘しました。JRAが1兆2、000億円売って1兆円売り上げを下げているのですよ、総額で。天下のJRAがこういう実態になっているときに、何で岩手競馬はインターネットの売り上げが単純にふえていくのですか、売り上げに。そんなことは考えられないではないですか。先ほどJRAがなぜ売り上げ減少しているかわからないと知事言いました。だから、JRAも困って来年度はさらに売り上げを下げる計画なんですよ。そういうときに岩手競馬だけが売り上げを伸ばす計画なんですね。今までの破綻の最大の要因は、身の丈を超えた予算と過大投資です。再建をすると言うなら岩手県政と同じです。身の丈に合った経営を考えることです。しかし、同じように売り上げを次々と伸ばす計画になっているのです。そこに根拠がないと私は言っているわけです。
 先ほど知事は、既存の売り上げは景気が平成17年度で下げどまるからと言いました。景気の予測は、知事、いいところだけあなたとっているんですよ。家計の収入はどこも下がっています。雇用者の収入はどこも下がっています。そして、私が言っているようにここに7兆円の負担増がかかるわけです。景気はさらに悪化しますよ。そういうときに売り上げを増収するという計画は、全く経済情勢的にも根拠がない。そのことを指摘したいと思うのです。JRAがなぜ下がったのか、景気動向があらわれていると知事は言いました。これから景気がよくなる。JRAは景気が悪いから下がってきたのだ。あなたの言い分は全く矛盾していますよ。
 町中場外について、これは民間事業者が4、000万円の設備投資で1日25人が2、000円の馬券を10レース分、50万円買うという試算なんですね。126日開催、6、300万円の売り上げ、これは損益を見ますと、減価償却しないで160万円の黒字です。減価償却を考えれば560万円の赤字ですよ。これで本当に町中場外が民間だけでどんどん広がるのですか。減価償却しなければ赤字なんですよ。これが競馬組合の試算です。この点でも全く見通しがない。
 もっと深刻なのは、競走馬の確保です。厩舎の状況について今示していただきたい。前年度と比べてどのぐらい競走馬が減っているか。それで本当に4月からレースができるのか。126日開催にする。1、350レースです。ことしでも五、六頭で走っている。毎週走っている馬がいるというのです。こんなことではとてもインターネットで売れるどころではない。こういう馬の確保について本当に知事は実態をわかっているのか。
 その他の努力目標について言いますと、いわてグラフなど構成団体の広報誌に競馬情報を掲載する。それによって1万7、400人が競馬場に足を運び、1人3、000円の馬券を買う。来年度は5、200万円の発売収入、5年後には1億500万円の発売を見込んでいる。私、とんでもないことだと思いますよ。いわてグラフに競馬の情報を載せるなどということは、本当にギャンブルに子供を誘うようなものではないですか。こんなことは許されないし、まして、これによって1万7、400人が競馬場に足を運んで、来年度だけで5、200万円売れるなどという、あなた方こういう試算しかしていないのです。全く根拠がないのではないでしょうか。
 次に、介護保険問題について。
 さっぱり中身がわからないという話で、残念ながら具体的な答えがありませんでした。介護保険の見直しと言うなら、今抱えている問題を解決することが本当の改善なのです。今、介護保険はどういう問題を抱えているか。保険料利用料が高くて必要なサービスを受けられない。岩手県の平均は1人8、000円ですよ、保険料で言いますと。必要なサービスを受けられていないのです。だから、市町村単独で保険料利用料の軽減を実施しているのです。それでも足りないので福祉法人は福祉法人独自の減免をしているのです。市町村の保険料利用料の減免、社会福祉法人の減免の状況を示してください。そういうときに利用料を上げたらますます介護サービスを受けられなくなるのです。特養ホームも、3、000億円というのは予算に上がっているのですからね。予算に上がっている話です。単純に割ると40万円の負担だと、細目まだわからないけれども。国民年金は平均4万6、000円ですよ。最高で6万6、000円ですよ。これでは入れなくなってしまうのですね。こういうやり方でいいのかということを、本当に県自身が介護の現場で実態をつかんで国に物を言うべきではないか。増田知事は、国と県、対等だと言っているのだから、法案が出てもそれで通っていいのかということあるでしょう。そういうことをお聞きしたい。
 医療局長、私の質問に全然答えませんでした。私は伊保内病院の具体的な経営改善を紹介して、今年度も入院患者、外来患者ふやして、病床利用率82%ですよ。この間、平議員もこのことを訴えたね。私は、これだけ経営改善して患者がふえている病院、何でなくさなければならないかと聞いたのですよ。それは地域医療を本当に支えてきた県立病院の創業の精神を踏みにじるものではないか。具体的に答えていただきたい。これだけの、地域から患者から期待される、改善をしている病院をなくしていいのか。
 公安委員長、今、私は捜査報償費について、全国の実例も示して、私が情報公開を求めたら真っ黒だった、だからあなたに聞いたんですよ。監査委員にも聞いたんですよ。監査委員の監査では、皆さん、具体的な氏名、住所、非開示だったと。協力が得られなかったと。現職警察官は、捜査協力者に渡っているのは皆無だと言っていますよ。
 宮城県の浅野史郎知事が、元県警幹部に聞いたら、99%、それは使われていない。北海道警もそうでした。だから岩手県もしっかり証明責任があるんです。監査委員に協力すべきじゃないか。守秘義務を持った監査委員に、こういうことを知らせないということは都合が悪いからじゃないですか。そして、公安委員としても、ただ県警の報告を聞くだけじゃ仕事にならないんです。公安委員会というのは、警察本部を管理、監督するんですよ。報告を受ける機関じゃないんですよ。監査委員に対して協力すべきだと。公安委員としても、みずから正しく執行されているか確認する必要があるんじゃないでしょうか。
〇知事(増田寛也君) お答え申し上げます。
 競馬の関係でございますが、まず、テレトラックの売却・賃貸についてお話がございましたけれども、これまで複数の相手先と、このテレトラックの売却・賃貸交渉を組合の方で進めておりまして、この売却金額などの具体的な条件は当然向こうの方も、これを借りるなりする、あるいは所有するなりして競馬の馬券を売るということで、それで自分たちのメリットがあるかどうかということを含めて、当然、向こう側もそれを考えた上で我々の交渉に乗っているわけでございまして、組合として相手先と合意のできる見通しのあるものについて、今回の計画に盛り込んだところでございます。
 まだ交渉の相手先の名称は申し上げておりませんけれども、これはいずれ、契約の締結の時点では当然明らかにしていくわけでございまして、そういった確実性のあるものをこの中に入れてありますし、当然、その売却収入ですとか何かにつきましても公的な資産でありますから、しかるべき手続をとった上でこれは売却あるいは賃貸する、こういうことになるものと考えております。
 それからIT企業との関係ですが、これも複数交渉してございます。どういう契約になるかで、相手方が単数なのか複数なのか、契約の内容にもよります。相手方から包括的な、排除的な契約を求められているものもございますし、我々にとって一番メリットのある形にしなければいけませんので、今、そういうことで幾つかの企業と交渉しているという段階でございます。当然、青少年がこうした相手を使って馬券を購入するという御心配も今議員の方からもありましたけれども、JRAの場合もこれについては住民票をとって、それで申し込みを受けるといったような手続をとっていますから、我々も同じような形で、未成年のものはそういったところに入らないように、当然、手続をとらなければいけないと思っておりますが、相手企業が幾つかございますけれども、そこと、我々にとって有利な契約になるように、今、精力的に交渉しているところです。
 それから、JRAの全体の落ち込みですが、これはわからないというふうに申し上げませんで、私は、経済あるいは景気動向が影響しているのではないか、こういうことを申し上げたわけでございます。当然、岩手競馬もそうした状況も受けるだろうということで、売り上げを当面17年度、18年度は下がると、こういうことで景気動向を見込んでいるわけでございまして、この岩手競馬も景気の動向を受けるわけですから、今、議員の方からすべて右肩上がりで全部伸びるように計画しているようなお話がございましたけれども、そうではなくて、そうした景気動向のマイナスの影響は当然受けることも含めて、計画に盛り込んでいるところでございます。
 それから出走手当、どうも走る馬が余り集まらないのではないかというお話がございました。これは17年度、18年度は非常に厳しい中での出走をお願いせざるを得ないんですが、計画が軌道に乗りましたならば、19年からは出走手当を増額するような方向で考えていますし、馬主にとっても魅力があるように、そしていい馬が集まって魅力のあるレースの編成表になるように、そういったことを考えていきたいと思っております。
 それから、いわてグラフに載せるということについては、今いろいろお話がございました。従来からいわてグラフには馬事文化ということでページをとりまして、岩手競馬も含めた、岩手の貴重な財産の馬事文化ということで今まで載せてきているんです。もちろん、そこで岩手競馬は私は決してギャンブルではないと思っていますが、いわてグラフの中でギャンブルをあおるような記事を直接的に出すということではなくて、公的な、我々が構成団体として入ってやっているものでありますから、そういう役割を踏まえて、県民の皆さんにも正確に岩手競馬のありようですとか、いろいろ御心配もいただいておりますので、そのことについてページをとって正確に伝える必要があるのではないか。その中で、結果としてそれがまた岩手競馬の再建にも大いに役立つのではないかと考えているところでございます。
 その他の点につきましては、担当部長の方からお答えします。
〇保健福祉部長(佐藤敏信君) 介護保険制度におきましては、市町村等が低所得者への保険料、利用料の減免を行っているわけですけれども、その状況、実績についての御質問でございました。
 平成15年度実績でお答えしますと、まず保険料でございますけれども、34の市町村で613人が対象となっておられまして、683万円の減免となっております。
 二つ目が利用料でございますけれども、まず利用料の中で市町村単独の減免でございますが、28市町村で2、088人が対象で、約4、300万円の減免となっております。もう一つが、社会福祉法人による利用者負担額の減免でございまして、全138法人中111法人ということになっておりまして、46市町村で2、595人の方が対象になっておられます。7、930万円ということで、これが社会福祉法人の減免額となっております。
〇農林水産部長(今泉敏朗君) 競馬の関係で、3点ほど補足させていただきます。
 まず1点は、テレトラックを取得したときに本当に収益が上がるのかという件でございますが、先ほど議員の方からお話もありました。発売収入を16億円余見込んでおるというお話がございましたが、それは一つ前提がございまして、例えば取得価格が7億円、全額借り入れで20年償還という条件でやった場合に、発売収入16億円ぐらいを見込まないと損益が出てこないと。その場合であっても、必要な運営経費を除きますと、大体年間5、000万円ぐらいの損益が出てくると私ども見ております。
 また、この資金を全額自己資金により調達した場合には、逆に必要発売収入というものは約14億9、000万円ぐらいまで下げることができるのではないかと。そういたしますと、今16年度のテレトラックの平均売り上げが大体14億3、000万円でございますから、それほど無理な発売収入を見込まなくてもいいのではないだろうかと考えております。
 いずれ、ここは取得する側がそれぞれのところでどういう損益計算を立てていくかということにもかかわるわけでございますけれども、いずれ、その辺で利益が上がるということで私は取り組むのではないだろうかというふうに考えております。
 また、町中小規模場外の場合でございますけれども、これも一定の条件を付与して考えておりますが、例えばユニットタイプ、すべて一つの機械の中におさまった形、大体これは4、000万円ぐらいかかるわけでありますけれども、これを全額自己資金で入れた場合、大体1日の売り上げを50万円と見ますと、年の発売収入が大体6、200万円ほどになります。そういたしますと、大体損益が160万円ほど出てくるのではないかと思っております。それを一つの根拠といたしまして、唐津の競艇、やはりこれが同じような町中場外をやっているわけでございますけれども……。
〇議長(藤原良信君) 簡潔にお願いいたします。
〇農林水産部長(今泉敏朗君)(続) はい。ここでは1日売り上げ50万円の見込みが大体今125万円出ているということで、決して50万円というのは過大な見込みではないだろうと考えております。
 それから、厩舎の状況でございますが、現在、昨年2月と比較して大体60頭ほど減になっております。これは、廃止との風聞に反応したものでありまして、組合として今強く存続の意思表示をしておりますし、17年度のレースの日程表や登録の手続を進めているところでございます。いずれ、17年度は支障なく競馬開催ができるだろうと考えております。
〇医療局長(千葉弘君) 診療所化の問題でございますけれども、伊保内病院は確かに病院長以下、一生懸命頑張って、収支をことし改善いたしてございます。ただ、県立病院全体で考えた場合、依然として900床以上の空床があるということで、私、先ほど答弁で申し上げましたとおり、これを二次保健医療圏単位で一体的に病床管理をしていかなければならないということで診療所化、あるいは病棟の削減というものを考えたものでございます。
 二戸医療圏の場合、依然として、昨年一戸病院の1病棟を休止いたしてございますが、今現在、90床以上の空床があるということでございます。仮に伊保内病院を診療所化した場合に、そこから現状で言えばはみ出す患者さんがいらっしゃるわけですが、それらの患者さんは、隣接の軽米病院なり一戸病院あるいは二戸病院というところで受け入れるといったようなことによりまして、県域全体として一体的に病床を管理するということで考えているものでございます。
 なお、伊保内病院では、その分の病床が減りますので収入は当然減るわけでございますが、伊保内病院の病床を減らした分の、仮に8割の患者さんが一戸あるいは軽米、二戸に入院されたとした場合、その三つの病院で、年間で約1億5、000万円、そちらの方では収入がふえるということになります。
 いずれ、そういったような病床管理も効率的に県立病院間で調整しながら、なおかつ、必要な入院需要には対応すると。また、外来患者さんについても、従来のサービスをできるだけ低下させないようにやってまいりたいというのが今回の計画でございますので、御理解をいただきたいと思います。
〇公安委員会委員長(佐藤ソノ子君) 県の公安委員会が警察をしっかりと管理、監督せよというのは、議員御指摘のとおりでございます。これは県の監査委員への対応も含めてであり、監査委員による監査に対しては、支払い事実を証明するため捜査員の聞き取り調査に応じるなど、必要な協力をしているものと承知しております。
 また、会計経理につきましては、不明な点があれば詳細な報告を求め、また、県公安委員会として調査等の指示が必要と考えた場合にはその措置をとるなど、今後とも、県警察の適正な管理に努めてまいりたいと存じております。
〇26番(斉藤信君) 公安委員長、必要な協力をしていると言っているけれども、代表監査委員がもっと協力してくれと言っているんですよ。捜査員から聞いても、実際の氏名、住所を示されない。全国的にはみんな黒なんだから。私にも内部告発がありました。リアルな内部告発でした。しかし、どんなに私が情報公開をやったって、真っ黒しか来ないんですよ。これを調べられるのは監査委員しかないじゃないですか。監査委員にまで情報を示さないというのは、悪いことがあるからなんですよ。全然必要な協力をしていないですよ。改めてお聞きしたい。
 増田知事、テレトラックの売却交渉、見通しのあるものを盛り込んだと。見通しがあるというものは、大体内定状況のことを言うんですよ、見通しがあるというのは。だったら、テレトラックを買おうとしているのは1社なんですか。ここをはっきり答えてください。大体見通しがあると言って、中身が全然示されない。私から見たら、全然見通し見えませんよ。テレトラックは2カ所、何社に売るのか。貸すところは何社に貸すのか。知事は本当に知っているんですか。見通しがあるということを示していただきたい、具体的に。具体的な見通しをここで示していただきたい。
 インターネット関連会社、複数とやっているというけれども、ライブドアも入っているんですか。1社とだけやるつもりですか。この見通しも、今知事はどのぐらいまで行っているんですか。ただ交渉しているだけじゃ意味がないんですよ。岩手競馬でもうけようといったって、簡単にいかないんですから。私、あなた方が計画に盛り込んだ、その具体的見通しを、固有名詞がなくてもいいから、こういう内定状況になっているということを示してください。
〇知事(増田寛也君) 回答を申し上げますが、まずテレトラックの売却・賃貸の方でございますが、これにつきましては、今鋭意交渉してございまして、先般、この議会でも答弁申し上げたそこまでが今のところ限度でございますけれども、この内容につきまして、可能な限り早く相手方との契約に持ち込みたい、このように考えております。
 それから、IT企業でございますが、今、固有名詞のお話がございましたけれども、固有名詞も出たようでございますけれども、新聞報道などにもいろいろ出ているようですが、あえて私の方から申し上げませんが、複数の企業と今折衝して、一番いい条件がもたらされるところとインターネット販売の契約を締結したい、このように考えているところでございます。
〇公安委員会委員長(佐藤ソノ子君) お答えは繰り返すこととなりますけれども……(26番斉藤信君「監査委員の発言に対してどう考えるか」と呼ぶ)監査委員による監査に対しては、協力できる範囲で調査に応じるなど、必要なことをきちっと対応しているというふうに把握しております。
〇議長(藤原良信君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後5時52分 散 会

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