平成17年6月定例会 第13回岩手県議会定例会会議録

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〇22番(照井昭二君) 自由民主クラブの照井昭二です。
 通告に従い、順次質問させていただきます。
 最初に、広域生活圏と振興局の再編についてお伺いいたします。
 今月初めに、これからの広域生活圏と地方振興局の素案が公表され、現在、素案のパブリックコメントが実施、9月には成案の公表、10月までに成案のパブリックコメントが実施され、12月には県議会において成案の審議との慌ただしいスケジュールが予定されていると聞いております。
 そこで、まず、1日生活圏についてお伺いします。県民の日常行動範囲を目安にしたいわゆる1日生活圏は、おおむね30年間行政サービスを受けてきており、県民生活には定着していると思われます。しかし、今回の素案では産業面の視点が余りにも最重要視され、県民生活がどうあるべきかがどこかに消えている印象を受けます。いわゆる1日生活圏においてこれまで行政サービスを受けてきた県民は、地方振興局の再編並びに市町村への権限移譲によって、行政サービスを受けにくくなったり、申請などの手続時間がこれまで以上に多くかかるなど、県民の負担が大きくなることはないのか、お伺いします。また、広域生活圏と振興局の再編に伴い、1日生活圏の定義はどのように変わるのか、お示しください。行政の都合で県民の生活圏が突然変わるのか、不思議であります。
 次に、市町村への権限移譲についてお伺いします。素案には、住民に身近な行政サービスは、近接性・補完性の原理から市町村が担うという役割分担を行うこととなっております。地方振興局の再編が18年4月から実施されることに伴う行政サービスの根幹となる市町村への権限の移譲について、権限移譲の受け入れ体制が整わない市町村や、何らかの理由で権限移譲を受け入れしない市町村が出てくるのではないかと心配しております。県の計画どおり実施されることになるのか、現在の状況をお伺いします。また、いつまでに市町村への権限の移譲を行おうと考えているのか、お伺いします。
 次に、市町村合併支援についてお伺いします。各広域生活圏内においては、合併が進展していない地域もあります。合併した市町村もさまざまな議論を重ね、やっと合併にこぎつけたのが実態であります。合併後の建設計画は信頼と融和によって策定されますが、市町村にとって県の総合計画によりこれまで議論を進めてきましたが、国や県の大幅な財政事情の変化により、議論が進まないのが実態ではないでしょうか。このような状況の中で、人員及び財政面などの県からの支援が必要と思いますが、県は、市町村合併について市町村に任せ切りにするのか、あるいはいつまでに市町村合併の推進を進めようと考えているのか、お伺いします。さらには、財政状況が苦しい中で頑張っている市町村もあると思いますが、そのような市町村に対しどのように支援しようとしているのか、お伺いします。
 次に、スケジュールについてお伺いします。素案では、20年先、30年先を視野に入れた長期的な視点で見直す必要があると言っておりますが、現在、市町村長との意見交換が慌ただしい日程で組まれ、開催されており、ことしの12月議会で広域生活圏と振興局の再編についての審議を行うまで数カ月しかない状況となっています。長期的な視点に立った素案ということですが、スケジュールは県民からの意見聴取や議論を行うための期間が短く、矛盾を感じざるを得ません。私としては、今回のような新たな枠組みに見直すのであれば、県のみならず市町村や県民の間で十分な議論を行うための相当な期間を置く必要があると考えます。なぜこのようなスケジュールになったのか、お伺いします。
 次に、知事の再編に対する取り組み姿勢についてお伺いします。
 今回公表された広域生活圏の素案には、仮称とは言え、県北、県南及び沿岸広域生活圏の3広域生活圏に見直しされることになっており、このような地域割りの広域生活圏になぜなったのか。市町村や各種団体などから戸惑いや疑問の声が出されております。再編の大きな理由に、産業振興の成果を着実に上げていくという観点から、地域の基盤的な産業の連続性や類似性に基づき、合併の状況と今後の進展を見据えて行ったとあります。産業振興の成果を上げていくという観点の広域生活圏と地方振興局のくくりを考えたとき、必ずしも一致することになるのか、疑問であります。再編理由のとおりであれば、広域生活圏とは別の産業経済圏の確立を優先し、県政の最重要課題と位置づけ、それに取り組む知事の強い姿勢と受けとめておりますが、そのような理解でよろしいか、お伺いいたします。
 また、18年度には新たな圏域ごとに地域振興ビジョンを策定することとしておりますが、今回公表された広域生活圏の素案の裏づけとなった地域振興ビジョン案が既に存在しているのではないかと思うのは私だけでしょうか。
 次に、地方振興局の見直しについてお伺いします。
 素案には、新しい広域生活圏において、圏域の活性化に取り組む地域経営の拠点としての機能強化を図るとともに、業務の完結性を高めるなど、より効率的な業務を遂行するためとし、本庁は国や他県の調整、県内全域を対象とした計画の策定などを行うとしております。しかし、3広域生活圏内における業務の完結性を高めることは、極論を申し上げると、本庁のほかに県庁が三つできることでもあります。予算の裁量を含むすべての権限を広域生活圏の長に任せ完結性を高めることは、各部局と地方振興局の二重構造をつくることになり、現状どおりの体制を維持することは、逆に非効率と弊害を生むことになりかねません。一方、業務の完結性を高めることは、道州制へ進む布石、近道と考えられますが、知事はそのようなことを念頭に広域生活圏と地方振興局の再編を行おうとしているのか、県民にわかりやすい言葉でお示し願います。
 次に、競馬問題についてお伺いします。
 県競馬組合は、この4月には、平成17年度の経営改革推進の方策をより具体的に示した事業進捗管理表と損益状況報告概要を明らかにして、再生に向けた取り組みを進めているものと思います。しかしながら、4月2日の開幕から最近までの成果の報道の様子を見ると、あらかじめ設定した経営目標には達せず、発売金額は前年比の87%程度で推移していると聞いております。岩手競馬の再生に向けては、改訂実行計画の確実な実施が必要不可欠のものであると考えます。
 そこで、お伺いしますが、この数カ月の間にも、事業進捗管理表に計画されている数々の経営改革方策を実行に移されているものと存じておりますが、それは予定どおりの成果を上げているのでしょうか。例えば人件費削減や施設賃貸による成果はどのようにあらわれているのでしょうか。そして、仮に予定したような成果があらわれていないとのことであれば、その原因はどこにあるとお考えなのでしょうか、お伺いします。
 私は、県民の多くが、競馬につぎ込むことができる税金があるならば、むしろ馬事文化振興やチャグチャグ馬コなどの観光振興など力を入れた方がどれほど健全で建設的なことかと考え、望んでいると思えてなりません。経営感覚にすぐれた経営者は、経営のトップの責任上からも、思うような成果が上がっていないような場合は、一刻も早い英断を下す必要があると考えますが、いかがでしょうか、御所見をお伺いします。
 次に、教育問題についてお伺いします。
 まず、県立高校の再編についてでありますが、今月、県教委は高校再編計画の再調整案を示しました。今回の再調整案は、それまでの案に検証を加え、これから高校に進学する生徒の保護者を初め、地域や企業のニーズを改めて把握しながら取りまとめたものであり、評価したいと思います。少子化が加速し、高校に入学する生徒の数自体が急激に減少してきているのは事実であり、現在の全日制77本分校という体制を初め、現状についての見直しの必要性は否定できません。再編整備の必要性について、これまで県教委は教育環境をよくするためだと説明してきましたが、財政難が背景にあるとは説明してきません。しかし、私から見れば財政難が大きな要因であろうと思います。その点、県立高校ではありますが、地域の支援でカバーできるならば、存続の方法があるのではないでしょうか。子供の教育には、家庭、地域社会、学校、それぞれの役割が大切であり、どの一つも欠かせないと思うのですが、県教委は、理想的な教育環境を整備するという名目のため子供を遠隔地の高校に通わせ、結果として子供を家庭や地域から引き離すのでは本末転倒ではないでしょうか。仮に小規模校であっても、地域の力を合わせて高校を存続させることを主眼として、どうしたら地域に高校を残せるかを県教委にも考えていただきたいと思いますが、再調整案の策定に当たり、県教委はその点の議論をしたのでしょうか、その点について伺いたいと思います。今や本県の高校進学率は98%を超え、全入に近い状態にあります。若者を育てて都市部に供給するのが地域の役目ではないはずです。地域に高校を残し、地域で高校教育を受け、その子供たちが地域で暮らしていけるようにするべきだと考えますが、いかがでしょうか、お尋ねいたします。
 次に、義務教育費についてお伺いいたします。
 現在、教育基本法の改正について与党検討委員会で協議が進められていますが、教育基本法を考え直すということは、国の礎を担う子供たちをどのように育てていくかをみんなで考えていこうということでもあります。中国共産党による反日教育による犯罪的な暴力デモに見るまでもなく、間違えた教育は国をも滅ぼします。昨年度の三位一体の改革において、義務教育国庫負担金の取り扱いは中央教育審議会にゆだね、今年度の秋までに結論を得ることとなっておりますが、先日の審議会では、国庫負担制度の存廃については、その賛否の両論が並立のままであります。知事は、義務教育における国の役割をどのように考え、地方の役割についてどうあるべきであると考えているのでしょうか、お伺いいたします。
 県全体の予算の中で教育費の占める割合は年々増加しており、自主財源の少ない岩手県では、これまで以上の財源確保が難しい状況が予想されます。教育水準を維持、向上していくためには、教育費の占める割合はこれまで以上に高くなっていくものと思われます。県民にとっては、財源が自主財源か、補助金か、負担金であるかではなく、教育費が確保されるかどうかが重要であると考えています。知事が進めている義務教育費の国庫負担を削減し、一般財源化にすることにより、教育費はこれまで以上に確保しやすくなるのでしょうか。イギリスでは、教育費は国の負担か、地方の負担かの議論を経て徐々に国の負担率を上げ、2006年度には全額国庫負担にすると聞いております。地方の立場からすると、地方の負担を少なくし、国の負担率を全額負担の方向が望ましいと考えますが、いかがでしょうか、御所見をお伺いします。金は出すが口は出さないとの姿を求めてはいかがでしょうか。
 次に、教育現場における国旗掲揚についてお伺いします。
 国旗及び国歌に関する法律は平成11年8月に制定され、約6年経過しようとしています。この法律の趣旨は、諸外国の状況などから、21世紀を迎えることを一つの契機として、習慣として定着してきた国旗と国歌を成文法で明確にすることにあるとされています。日の丸、君が代を国旗、国歌としてどう受けとめるかについては、個々人の内心にかかわる事柄ではありますが、その趣旨に照らして考えてみると、国旗・国歌に対して正しい知識を持ち、理解を深め、敬意を払うべきであることは当然であると思います。県内の小・中学校、高等学校、県立大学での国旗の掲揚については、入学式や卒業式などの特別な日だけの掲揚である場合が多いと聞いております。
   〔副議長退席、議長着席〕
 一方、県の施設である県庁舎や各合同庁舎では、平日及び祝祭日に掲揚されているところであります。法制化により小・中学校、高等学校では国旗と国歌の意義を理解し、それを尊重する態度を育て、すべての国の国旗・国歌に対してひとしく敬意をあらわす態度を育てる指導を行うこととされておりますが、このような観点から、私は、県庁舎と同じく小・中学校、高等学校、県立大学でも毎日国旗を掲揚すべきと考えますが、いかがでしょうか、お尋ねいたします。小・中学校、高等学校における国旗掲揚の現状と県からの指導はどのようになっているでしょうか。また、岩手県立大学における国旗掲揚等の現状はどのようになっているでしょうか、お伺いいたします。
 次に、農業問題についてお伺いします。
 まず、農産物の販売対策についてでありますが、農林水産省は、新たな食料・農業・農村基本計画における食の安全及び消費者の信頼を確保するための施策の一環として、外食産業が提供するメニューの食材の産地を自主的に表示する取り組みを促すためのガイドラインの骨子案を取りまとめ、現在、各方面から、この骨子案に対する意見を聴取しているところであり、今後は、この夏までにガイドラインを正式に取りまとめ、外食産業界に対し食材の原産地表示を促すと聞いております。これは、近年の牛海綿状脳症や高病原性鳥インフルエンザ、食品の偽装表示事件の発生などにより、消費者の食に対する信頼が大きく揺らいでいる中にあって、食品の流通経路の複雑化、加工食品の多様化などによって、消費者がそれら食品や料理を見ただけではその食材の原産地を理解することが困難なため、消費者から、外食においてもメニュー食材の原産地表示の実施を求める声が高まってきたことが背景と伺っております。この原産地表示システムが普及すれば、どこのレストランや食堂においても、そのメニューの食材がどこでつくられたかがわかり、岩手の文字を全国で見ることができれば、岩手県産農産物の知名度アップを図ることができます。我が国の総合食料供給基地を標榜する本県にとって、岩手を売り込む大きなチャンスと考えます。こうした外食における原産地表示に関するガイドラインが今後決定されることを契機に、外食産業や加工業者等に対して、岩手をもっと前面に打ち出し、積極的にアプローチすることが必要と考えます。我が国の主要な食料供給県として、農産物の販売対策をどのように進めようと考えているのか、見解をお聞かせ願います。
 次に、環境保全と農業についてでありますが、21世紀は環境の世紀と言われております。これは農業分野においても例外ではなく、岩手県農業・農村基本計画には、環境に配慮した持続的な農業の展開を施策の柱として位置づけております。平成15年10月に策定した誇れる40の政策の中にも、環境首都を目指す環境先進県を重点施策として掲げているところであります。御存じのとおり、本県は豊かな自然環境を有し、そこに生産されている農産物は消費者から高い評価を得ております。環境と調和した農業の展開により、持続的に農業が発展できる環境を維持・保全していくことは、広く県民の利益に寄与するものと考えます。県はこれまで、環境に配慮した農業の推進のためどのような支援を行い、どのような成果を上げてきたでしょうか。また、国などの新たな動きを受け、これまで以上に環境を意識した農業生産を推進していく必要があると考えております。今後、具体的にどう進めようとしているのかをお聞かせ願います。
 国において策定された新たな食料・農業・農村基本計画においては、地域農業の担い手を確保・育成するとともに、担い手への農地の利用集積を促進し、需要に即した生産を行う経営感覚にすぐれた農業経営が中心となった農業構造の確立に向けて、担い手に施策を集中化・重点化することとされております。また、この施策の対象となる担い手に集落を基礎とした営農組織も位置づけ、小規模な農家や兼業農家なども担い手たる集落営農に参画できることとされたところであります。
 本県においては、これまで農村に受け継がれてきた相互扶助の精神である結いによる共同活動等により、農業生産や農村環境の保全活動が行われてきたところであり、今後においても、こうした地域における活動を維持・発展させていくことが、本県農業の生産拡大に結びつくものと考えますが、県として、今後、農業・農村の振興をどのように進めようとしてのか、伺います。
 次に、去る6月13日の知事の定例記者会見で発表があった、いわての森林(もり)づくり県民税の創設についてお尋ねします。
 私は、さきの予算特別委員会においても、この新税の検討状況について知事に質問させていただきましたが、その際の答弁の中で、アンケート結果等によると、環境を基軸とした新たな森林整備が必要である。そのための新たな税制度が必要であるなど、県民の反応は肯定的な意見が大勢を占めていたとの認識を示されています。確かに、私も含め県民は、森林の重要性や環境保全という新税の大きな目的は理解できるわけでありますが、具体的な使い道が見えなければ、県民のコンセンサスが得られないのではないでしょうか。示されました施策の案を見ますと、森林環境の保全を基軸とした施策と言いながら、間伐などの森林整備、多様な担い手の育成、森林との触れ合いの促進など、これまでの森林・林業政策と余り変わらないという印象を強く受け、森林を元気にし、緑と水と空気を守り、県民みんなで森林を支えるとのイメージとは少しずれているような気がします。この新税を使い、どのような事業を行おうとしているのでしょうか、具体的にお聞かせ願います。
 また、新税の使途として、例えば早池峰山は登山客の増加によりオーバーユースの状態が続き、環境汚染問題が深刻です。環境保全のため、シーズンには登山口へのマイカー規制をし、シャトルバスを運行していますが、財政難が理由なのか、この予算がカットされるとの報道がありました。新税をこのような対策に使うなど、現在示されている施策以外にも活用することができないか、お伺いします。
 さらに、個人に対する税率は、現行の個人県民税均等割額年1、000円に一律1、000円を加算するものであり、均等割額ではいきなり2倍になります。低所得者への配慮は検討したのでしょうか。低所得者に対する減免措置を行う考えはあるのでしょうか、お伺いいたします。森林、山林をみんなで守るとの国民的コンセンサスが醸成できれば、すばらしい緑の国が永続します。イーハトーブの実現であります。森林王国との自負を持ち、頑張ってもらいたいと思います。
 次に、国民保護法についてお伺いします。
 まず、国民保護計画についてでありますが、有事における法体制整備の一環として、武力攻撃事態等から国民を保護するために、武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律、いわゆる国民保護法が昨年6月に国会で圧倒的多数の賛成で可決され、9月に施行されたところであります。申すまでもなく、政府において精力的な外交努力により、武力攻撃等の発生を未然に防ぐことが何よりも重要であることは言うまでもありません。その一方で、万が一の事態に備え、国民の生命・財産を守るため、その対処方法や手続について定めるなどの体制を整えておくことも、また必要なことであります。
 そこで、県においても国民保護計画を今年度中に作成することとしておりますが、現在までの状況と今後のスケジュールをお示し願います。また、本県のスケジュールは、隣県を中心とする他県と比較しておくれているということはないのでしょうか。3月には国から基本指針、都道府県モデル計画が示されたところでありますが、県が描いている計画の姿、特徴はいかなるものでしょうか。さらに、県の計画には啓発や訓練などについても盛り込まれるものと思いますが、一部には武力攻撃事態への対処、あるいは国民保護制度への取り組みは戦争への道を歩むことになるとの危惧から、批判的な意見もあることは十分承知をしております。しかしながら、昨今の情勢を見ると、有事はいつ起きても不思議ではありません。まさに備えあれば憂いなしです。早期の取り組みが必要と考えますが、いかがでしょうか。例えば、先ごろ、国と福井県が合同で、ことしの11月に、武力攻撃事態を想定した市町村や住民も参加しての避難訓練を実施する計画が報じられておりました。原子力発電所を数多く有している福井県とは事情が異なるとは思いますが、本県においては訓練をどのように実施していこうとしているのでしょうか、お伺いいたします。
 以上で質問を終わります。御静聴ありがとうございました。(拍手)
   

〇議長(伊藤勢至君) 本日の会議時間は議事の都合により、あらかじめ延長いたします。
   
   〔知事増田寛也君登壇〕

〇知事(増田寛也君) 照井昭二議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、広域生活圏の関係のお尋ねでございまして、今般の広域生活圏見直しの視点といたしまして、市町村と県とがそれぞれ適切な役割分担を行った上でお互いに協力をし合う、こういう考え方がこの見直しの前提となっております。すなわち、県から市町村への事務移譲を進めていくことによりまして、市町村においてワンストップサービスや事務処理の迅速化が図られる、こういうことになりますので、むしろ、こうしたことがこれからさらに行われるということによって住民の利便性が高まって、さらにはきめの細かな、質の高い行政サービスの提供が可能になるものと、このように考えます。そういった市町村の役割を十分に果たした上で、県の方では広域行政の方に力点を移していくと、このような考え方に立っているところでございます。また、地方振興局の見直しに当たりましても、現在のサービスの水準を維持しながら、段階的に市町村への事務移譲を進めるということにしてございまして、今、議員の方から御懸念の示されました住民の負担が大きくなるのではないかということにつきましては、そうした市町村への事務移譲を進めるといったようなこと、それから地方振興局の業務運営の完結性をさらに高めていくと、こういったようなことを行いまして、そうした御懸念のないように対応していきたいと考えております。
 また、1日生活圏の定義でございますが、これは確かにお話のとおり、その考え方が変わっていくものというふうに考えておりまして、これまでの圏域での日常生活の利便性を高めると、こういう視点から、今後は質の高い行政サービスと、それから地域経済の強化によって県民生活を支えるといった、このような視点に変わっていくものと、このように考えています。
 次に、今お尋ねの市町村への権限移譲の関係でございますが、市町村合併によりまして、規模、能力が拡大、充実した市町村が県内に誕生しておりますので、改めてことしの4月に権限移譲に関する県としての指針を策定して、市町村にお示しをしたところでございます。この指針では、期間を5年間といたしまして、市町村合併の状況など、市町村の実情に応じた行政サービスが検討できるように、基本的な考え方、進め方を提示しておりますが、都市計画法の開発行為の許可に関する事務や消費者の安全安心に関する事務など、移譲可能な600余りの具体の事務などをその中に盛り込んでおりまして、この期間中に移譲に集中的に取り組んでいきたいと考えております。
 また、この事務移譲に当たっては、当然のことながら一方的な押しつけにならないように、市町村側の十分な意向の尊重が必要でありますので、現在この事務移譲をモデル的に進めていくために、要望のございました遠野市や一関市、宮古市などと研究会を立ち上げております。今後、その場で、検討を深める中でこの移譲を進めていきたいと。当然、権限、財源に加えて県職員を県費で派遣する一括事務移譲などもその中に入れて工夫を凝らしながら、できるだけ早いペースでこの事務移譲を進めていきたいと考えております。
 それから、この素案のスケジュールについて、これは今までもお二方の議員の方からも御意見がございましたし、今、照井議員からもお話がございました。この素案の提示がこの段階に、6月の当初の段階になりましたのは、見直しに当たって、ことし3月までの各地域における市町村合併の協議の動向をも見きわめた上で案をつくる必要がございましたので、そういった動向の見きわめといったことに時間がかかりまして、6月初旬の素案の公表となったものでございます。
 一方で、国の人口推計によりましても、本県人口が2030年に123万という想定が出ておりますけれども、そういった大幅な人口減少が既に始まりつつありますので、この地域の活力を向上させるということから、今、状況はできるだけ急がれていると、このように認識をしております。できるだけ説明、それから意見調整などに丁寧なやり方をとっていきたいと当然考えておりますけれども、その上で、できるだけ早くこの案を成案に持っていきたいと、そして来年4月からのスタートに移していきたいと、このように考えております。
 それから、産業のことについて、産業経済圏の確立を特に強調しているわけですが、これは前回の広域圏の設定との違いということでこのような取り上げ方をしてございます。今回の広域生活圏の見直しについては、認識として、県民生活の維持・向上を実現していくためには、市町村との適切な役割分担と協働の仕組みを構築して、これまで以上に質の高い行政サービスを提供するということ、そして今申し上げました地域経済の強化を図っていくために、付加価値の高い産業構造をつくり上げていく必要がある。この二つの基本的な考え方に立って、長期的な視点でこの広域行政の枠組みを見直そうとするものと、こういうことでございます。
 この新しい広域生活圏におきましては、今後の県の広域行政の最重要課題でございます産業振興を重点的に推進していくことを強く意識しておりますが、同時に、広域的な社会資本整備、広域的な視点からの環境保全、それから危機管理、防災対策、こうしたものにも取り組んでいくものでございます。
 なお、こうした広域生活圏については、当然二、三十年先を視野に入れた長期的な視点に立っておりますが、一方で、保健福祉医療圏などの分野別の圏域につきましては、日常の住民の行動実態などの現状を見据えて、成果の上がるような枠組みとして検討していくこととなっているものでございます。
 それから、地方振興局の見直しで、本庁のほかに三つ県庁ができるような形になるので二重構造を生むのではないか、弊害を生むのではないかというお尋ねでございましたが、今回の地方振興局の見直しは、当然本庁と地方振興局のそれぞれのあり方を見直すということでございまして、一方のサイドでございます本庁につきましては、最終的に国や他県との調整、県内全域を対象とした計画の策定など、地方振興局で行うことができない業務、広域振興局における業務の調整を担う必要最小限の小さな組織を想定しております。このために、今、私どもの中で検討している事項について、できるだけそれぞれのあり方を明確にしていきたいというふうに考えております。
 また、見直しの初年度でございます平成18年度におきましては、県南広域振興局では、予算、人事など、大幅な権限委譲や必要な人員の配置を行いながら、できるだけ業務の完結性を確保できるようにしていきたいと考えております。
 また、道州制の関係でございますが、これは28次の地方制度調査会や全国知事会などで調査研究を行っている段階で、広く県民の皆さんと議論をしていきたいと考えておりますけれども、今回の広域生活圏、さらには地方振興局の見直しは、先ほど言いましたように、人口減少時代の中で県民生活の維持・向上を図っていくことが非常に困難になると。それに対しての対応ということと、それから市町村との適切な役割分担によって質の高い行政サービスを提供していくと、この二つの視点から見直しを行うものでありまして、この見直しの視点というのは、今後のこうした大きな地方自治の変化にも対応できるものとして、このようにとらえて考えたものでございます。
 競馬組合についてのお尋ねでございますが、この経営改革の進捗状況ですけれども、組合の経営改革、17年度は事業進捗管理表というものにその内容を取りまとめをして、その中で組合と振興公社の職員数減員については計画どおり40人減員、17年度、通年で人件費1億5、000万円削減と、こういうことで、これは達成の見込みでございます。
 テレトラックの委託・賃貸につきましては、17年度に1施設を考えておりましたが、6月から3施設の委託・賃貸を実施しておりまして、当該年度中に約4億円のコスト削減効果を実現する見込みでございます。このほか、コンピューターシステムの更新、インターネット発売に向けた関係業者との交渉を今進めておりますが、発売金額が計画目標を下回っている状況でございますので、特にも今幾つかのイベント、それから広報活動などに力を入れて、いわゆる営業対策を鋭意展開しております。今後も、この事業進捗管理表に掲げる方策を着実に実行する、そして所期の成果を実現することによって、このもとの改訂実行計画の目標が達成できるよう取り組んでいく考えでございます。
 この再生に向けての取り組みにつきましては、改訂実行計画の位置づけでは17年度はその準備期間、18年度からインターネット発売などの新たな取り組みを本格化できるよう進めると。この2年間のものとして特に力を入れる期間を考えておりますので、この2年間で岩手競馬の再生をきちんと方向づけていきたいと。そのために、県としても競馬組合の支援に全力を挙げたいと、このように考えております。
 義務教育の関係について2点お尋ねがございました。
 義務教育における国と地方の役割分担でございますが、これは地方自治法で自治事務とされていることからもわかるとおり、義務教育を国がすべてその責任を持つというものではなくて、県や市町村の責任もまた極めて大きいものがあって、それぞれの責任を分担し合うというのが適切であると考えております。このような観点から、国は教育の内容につきまして、統一的、基本的なその水準、内容を定めること、このことが基本的な役割だと思いますし、地方団体はその内容や水準を維持しながら、それぞれの地方団体の裁量と責任において独自に創意工夫を凝らして、また、地域でのいろいろなお考えもございますから、そういったものを踏まえて、自主的、自立的な教育を実施することがそれぞれの役割と、このように考えます。
 このことと財源との関係でございますが、実は国が全額負担をすべきではないかという考え方も、現在審議中の中央教育審議会の中でも、そのような議論が一部展開をされるやに聞いているところでございますが、現在のこの義務教育費国庫負担金制度、すなわち国が2分の1、都道府県が2分の1と、こういう負担割合でございます。この中の国の部分についても、国の財政状況、国家財政の状況に大変左右されやすいと、こういうことがございまして、これまでもその一部が既に地方に負担転嫁されていると、こういう歴史がございます。近い時期にありましても、15年度、長期の共済負担金が一般財源化され、16年度、退職手当、児童手当が一般財源化されたわけでございます。こういったことを見ましても、国の財政状況に大変左右されやすいという性格がございます。また、これは教職員の給料ではございませんが、校舎の整備を行う公立学校施設整備費負担金というもので、これも国が一定割合を負担するような制度でございますが、国の財源不足の拡大に伴って、現実には地方自治体の多くの超過負担が生ずると、こういうことになっております。
 こういうことを考えますと、またさらに今後の厳しい国の財政状況あるいは財務省などの発言などを分析いたしますと、国が全額負担をする場合においても、必ずしもこの教育費が国において十分に確保する、あるいは十分に確保される保障はないものと、このように考えておりまして、またさらに、国がそうした負担を持つことによる教育分野におけるこの画一性という問題も生じようかというふうに思っているところでございます。したがいまして、この財源の問題につきましては、私ども地方団体の多くは一般財源化を図り、交付税で調整をし、その額等について県民あるいは議会のチェックを受けると、こういう枠組みを提示してございますが、その上で地方の裁量、責任、創意工夫を多くその中に入れていくということがよいのではないかと、このように考えているところでございます。
 その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁をさせますので、御了承をお願いいたします。
   〔地域振興部長山口和彦君登壇〕

〇地域振興部長(山口和彦君) 市町村合併支援についてでございます。
 今後の市町村合併につきましては、ことし4月に施行されました合併新法に基づきます自主的な市町村の合併の推進に関する構想の策定を通じまして、さらに合併を推進していく考えであります。合併新法の期限が平成22年3月までとされておりますので、できる限り早い時期に構想を策定しまして、それぞれの市町村におきまして、地域の将来展望について、一層議論を深めていただきたいというふうに考えております。
 それから、財政状況が苦しい市町村に対しましては、ことし3月に、やはり国が示しました行政改革の推進のための新たな指針というものを踏まえまして、定員管理の適正化とかあるいは自主性、自律性の高い財政運営の確保、それからアウトソーシングを含む事務事業の見直しなど、まずもって各市町村の状況に応じた行財政改革に関する助言を行うことにしておりますし、市町村合併の検討も助言してまいりたいと考えております。
   〔総務部長時澤忠君登壇〕

〇総務部長(時澤忠君) まず、県立大学の国旗掲揚の状況でございます。
 県立大学では、国民の祝日に関する法律に定めます祝日のほか、入学式及び学位記授与式――卒業式でございますが、こういった日に国旗を掲揚しております。宮古短期大学部では、土日を除き、毎日掲揚している状況でございます。
 大学が国旗をどのように掲揚するかにつきましては、大学の自治というものもございますので、大学の自治を尊重する観点から、基本的にそれぞれの大学で独自に判断をしていただいているものでございます。
 続きまして、いわての森林づくり県民税の案につきましての御質問でございます。
 案では、現行の個人の県民税均等割1、000円に1、000円を上乗せする形で御負担をいただくというような案にしております。
 実際に税を納税していただく方の範囲でございますが、現在、個人の県民税均等割を納税していただいている方々と一致をいたします。均等割が非課税とされております一定の低所得者等につきましては、このいわての森林づくり県民税も非課税となるわけでございます。
 具体的には、生活保護法の規定によります生活扶助を受けている方々や、障害者、未成年者、配偶者と死別された方々等で、前年の所得金額が125万円以下の方、さらに、これらの方々以外でも、前年の所得金額が一定の基準以下の方々につきましては非課税となるということで、制度上、低所得者等に配慮したものとなっているというふうに考えてございます。
 次に、国民保護計画でございます。
 現在までの状況でございますが、県の計画につきましては、現在3月に閣議決定されました基本指針にのっとりまして、また、消防庁から都道府県国民保護モデル計画が示されております。これを参考に計画案を作成している段階でございます。県の国民保護計画を作成するときには、あらかじめ県の国民保護協議会へ諮問しなければならないとされておりまして、そのための岩手県国民保護協議会を5月13日に開催をいたしました。
 他県との比較でございますが、協議会の開催は把握している中では全国で7番目、東北では山形県に次いで2番目ということで、比較的早い方ではないかと認識をしております。
 今後のスケジュールでございます。
 今後は、岩手県国民保護協議会の幹事により計画案の協議、隣接県等との協議を進めまして、冬までに計画案を作成いたしまして、岩手県国民保護協議会へ諮問をいたす予定でございます。諮問に先立ちまして、パブリックコメントを通じまして、広く県民の方々から意見を聞く機会を設けるということも予定をしております。年明けには協議会からの答申を受けまして、内閣総理大臣へ協議を行いまして、計画の作成後は速やかに県議会に報告した上で公表する予定でございます。
 特徴といたしましては、今後、協議会あるいは協議会の下にあります幹事会での議論を踏まえて作成をいたしますが、今のところ、例えば冬期間の避難、救援につきましては、積雪によりまして避難経路や交通手段が限定をされること、あるいは道路の凍結などによります移動に長時間を要するということで、避難所における防寒対策、あるいは避難住民の健康管理、こういったことも地理的要因として配慮する必要があるのではないか。あるいは広い県土の中、中山間地域を多く抱えますことから、国の基本指針におきましては、交通渋滞の可能性から見て否定的な自家用車を利用した避難、こういったことも本県の場合には、別の観点から考慮する必要があるのではないかということを現在考えて進めているところでございます。
 それから、訓練でございます。
 訓練につきましては、国民保護計画で定めるものでございますが、住民の安全を守るという共通の観点から、防災のための措置と共通する事項は、防災訓練とも有機的連携を図るというふうにされているものでございます。県といたしましては、県民への国民保護措置に関する啓発あるいは関係機関の参加によりまして、国民の保護のための一連の措置について確認を行うための図上訓練、こういったものは県の国民保護計画作成後、速やかに行っていきたいと考えております。
 御指摘のありました福井県での訓練でございます。これには、職員を派遣いたしまして調査研究をするというふうにいたしておりまして、計画作成に当たり、その結果を反映させていきたいと考えておりますし、実際の訓練にも生かしていきたいと考えております。
   〔農林水産部長今泉敏朗君登壇〕

〇農林水産部長(今泉敏朗君) 農産物の販売対策についてのお尋ねについてでありますが、外食における原産地表示ガイドラインが策定されることにより、外食産業は、すぐれた食材を供給する産地との結びつきを強化する動きが強まるものと思われますが、こうした動きは、産地側にとりましてもブランドの確立や取引の拡大を図る上で大きなチャンスというふうに考えております。県といたしましては、これまで県内外のホテル、レストランなど、外食産業と連携したいわてフェア、大型量販店や食品加工業との商談会の実施などによる食品産業側に対する県産食材の売り込みなどに取り組んできたところでありますが、今後、さらにこうした食品産業と県内産地との結びつきを強化するとともに、外食や加工等の業務用需要に対応できる産地側の生産体制の確立、そうした産地と食品産業側とを結ぶ流通体制づくりを進めるなど、総合的な対策を一層推進してまいります。
 次に、環境保全と農業についてでありますが、これまでの環境に配慮した農業の推進のための支援と成果についてであります。
 県では、早くから環境保全型農業に着目し、その推進に取り組んできました。その成果としては、水稲を中心に化学農薬の使用を5割以上削減する減農薬栽培が2万ヘクタール以上の面積になっていること、農薬の削減が難しいリンゴにおきましても、性フェロモンによる害虫防除技術の普及等により、全国に先駆けて700人以上の集団的な取り組みが行われていること、土づくりと化学肥料、化学農薬の低減を一体的に行うエコファーマーは、現在約7、300名と全国トップクラスの水準になっていること、農業用廃プラスチックの再生利用率は年々向上し、現在では約41%になっていることなどが挙げられます。
 国の新たな動きを受けての今後の推進についてでございますが、国では、農業生産全体のあり方を環境保全を重視したものに転換するため、平成17年3月に、農業者が環境保全に向けて最低限取り組むべき規範、農業環境規範を策定したところであります。その内容は、その多くが本県がこれまで取り組んできたものでありまして、今後もさらにその普及拡大や内容の充実を図り、環境と調和した農業を展開してまいります。
 次に、農業・農村の振興についてのお尋ねについてであります。
 農村は生産とともに生活の場でもあり、専業農家や小規模・兼業農家など、多様な農業者がそれぞれの経営志向や地域での役割に応じて、農業生産や地域活動を行っており、共助・共存のいわゆる結いの精神を連綿と受け継ぎながら、維持・発展してきたものと考えております。
 本県におきましても、県内一円で担い手の明確化や新たな高収益作物の導入による生産拡大など、地域農業の将来方向を明らかにした、いわゆる集落ビジョンの策定づくりが円滑に進んだのは、小規模・兼業農家も含め、適切な役割分担によって地域振興を図っていこうとする結いの精神が、その根底にあったためと考えております。
 また、この集落ビジョンの実践活動に向けた地域での活発な話し合いが、創意と工夫を凝らした産直・農産加工活動、都市住民との交流、集落道・用水路の適切な保全管理、郷土芸能や伝統行事の継承などといった、住民全体を巻き込んだ共同活動の展開につながってきております。
 県といたしましては、今後とも、地域みずからが集落ビジョンの実現に向けて暮らしを支えている生産・生活の知恵や経験のほか、地域の持つ潜在力を引き出しながら、地域の活力を高めていく、そうした取り組みを支援していくことで、農業・農村の振興につなげてまいりたいと考えております。
 次に、いわての森林づくり県民税の使途についてでございます。
 いわての森林づくり検討委員会からは、新税を財源とした施策について、森林整備を林業生産活動だけにゆだねるのではなく、循環型社会の形成という新たな観点から、森林の公益的機能の恩恵を受けている県民全体の負担のもとに実施するという基本的な方向性とともに、具体的施策案につきましても御提示いただいたところであります。この検討委員会の最終報告を踏まえて、例えば植林、保育、伐採、さらに再植林というサイクルが期待できない森林を対象とする環境保全を主目的にした森林づくりのための間伐の実施、里山の整備や野生生物の生息地の整備など、地域住民やNPOなどによる地域力を生かした取り組みに対しての支援、次代を担う子供たちに森林に対する理解醸成を図るため、手入れ不足が指摘されている学校林の整備への支援、あるいは県民が森林をさらに身近に感じられるよう、既存の森林公園のユニバーサルデザイン化などに対する支援といった、新たな施策案をお示ししたところであります。
 こうした示されている施策以外の活用について可能かというお尋ねについてでございますが、現在、パブリックコメントを実施しており、新税の使途として県民の皆様からいただいた御意見、御提言につきましては、森林の公益的機能の維持・向上の観点に立って積極的に検討してまいりたいと考えております。
   〔教育長照井崇君登壇〕

〇教育長(照井崇君) まず、県立高校の再編についてですが、このたびの再調整案の策定に当たっては、これまでの生徒一人一人が一定の集団の中でお互いに切磋琢磨し合い、その個性や能力を十分伸ばすことができるような規模の学校において学ぶことが望ましいとの考え方を基本としながらも、広大な県土を有する本県の通学事情などを考えますと、小規模校の子供たちが、高校教育を受ける機会を確保できるようにするためにはどうあればよいのかにつきまして、地元の御意見を十分お聞きしながら、さまざまな角度から議論を重ねたところであります。こうした議論を経て、通学困難な地域を抱える小規模校については、一定の条件のもとで学校を維持することとしたところであります。地域社会を支える担い手の育成や地域文化の伝承など、地域において高校が果たしている役割や機能を考えた場合、地域の子供たちが、その地域の高校で学ぶことも意義のあることと考えております。しかしながら、高校生という発達段階においては、ただいま申し上げましたとおり、望ましい規模の集団の中で生徒がお互いに切磋琢磨し、社会で生きていく力をはぐくむこともまた重要であります。このため、今後、子供たちの志望動向や地域の皆様の御意向を十分踏まえながら、子供たちの視点に立って、より望ましい教育環境の整備に努めてまいりたいと考えております。
 次に、小・中学校、高等学校における国旗の掲揚についてですが、平成16年度に文部科学省が実施した特別活動実施状況調査によりますと、入学式及び卒業式における国旗の掲揚は、県内の公立小・中学校及び高等学校の全校において行われているところです。また、毎日国旗を掲揚しているのは、現在、小学校では24%、中学校では20%、高等学校では45%となっております。
 教育活動における国旗の掲揚については、学習指導要領において、入学式や卒業式などにおいては、その意義を踏まえて国旗を掲揚するとされており、この趣旨に沿って指導を行っているところです。
 国旗の意義を理解させ、これを尊重する態度を育てていくことは大切なことでありますが、毎日国旗を掲揚するかどうかなどの具体的な指導方法につきましては、教育内容の一環でありますことから、教育課程を編成し、その責任を負う校長の判断にゆだねられているところであります。
   
   日程第4 議案第28号監査委員の選任に関し同意を求めることについて

〇議長(伊藤勢至君) 次に、日程第4、議案第28号監査委員の選任に関し同意を求めることについてを議題といたします。
 提出者の説明を求めます。竹内副知事。
   〔副知事竹内重徳君登壇〕

〇副知事(竹内重徳君) 本日提案いたしました人事案件について御説明いたします。
 議案第28号は、監査委員のうち、議員のうちから選任されていた吉田昭彦氏及び田村正彦氏から辞職の申し出がありましたので、その後任として、川村農夫氏及び平沼健氏を選任するため、議会の同意を求めようとするものであります。
 よろしく御審議の上、原案に御同意くださるようお願いいたします。

〇議長(伊藤勢至君) お諮りいたします。ただいま議題となっております議案は人事案件でありますので、会議規則第34条第2項の規定及び先例により、議事の順序を省略し、直ちに採決いたしたいと思います。
 これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇議長(伊藤勢至君) 御異議なしと認めます。よって、これより議案第28号監査委員の選任に関し同意を求めることについてを採決いたします。
 ただいま議題となっております議案第28号監査委員の選任に関し同意を求めることについては、これに同意することに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇議長(伊藤勢至君) 御異議なしと認めます。よって、議案第28号監査委員の選任に関し同意を求めることについては、これに同意することに決定をいたしました。
   

〇議長(伊藤勢至君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後5時16分 散 会


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