平成17年6月定例会 第13回岩手県議会定例会会議録

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〇14番(飯澤匡君) 政和会の飯澤匡でございます。
 さきの2月定例会の代表質問に続き、今定例会において一般質問をする機会をいただきましたことに、先輩、同僚議員の皆様方に心から感謝を申し上げます。加えて、記念すべき岩手県議会300回の場において一等最初の発言の機会を得ましたことはまことに光栄の至りであり、地方分権が進展する今日、地方議員に課せられる課題はますます大きくなることは必至でありまして、一層精進を重ねなければならないと思った次第であります。
 それでは、感激に身を震えつつ、通告に従い順次質問をいたします。
 北川正恭前三重県知事は、みずからの提唱するマニフェストの意義をこのように申しております。民主政治はポピュリズム(大衆迎合)に陥りやすい。だから、その欠点を補う努力が必要であると。予算提案権と執行権をあわせ持つストロングガヴァナーである知事は、なおさらのこと政策を県民の前に明らかにする必要があると考えるものですが、増田知事は実際にマニフェストを作成し、その政策を、誇れるいわて40の政策や行財政構造改革プログラムの中に具現化しております。このことは、県民とじかに向き合い、開かれた県政の実現に向け、知事みずからが範を示したものと高く評価するものであります。また、今日まで本県では積極的な情報公開やパブリックコメントの活用などにより、開かれた県政に向けた努力をしてきたものと認識するものでありますし、今後、一層厳しさを増す地域間競争を勝ち抜いていくには、さらに行政と県民とが意識を共有し、協働して県政を進めていくことが必要と考えるところであります。しかしながら、行政と県民とのコンセンサスを図り、住民みずからが主体的に行政に参画できる体制をつくり上げることは大変に難しく、今や各自治体に共通する大きな課題となっており、このハードルをどのように乗り越えていくか、今、本県の力量が試されていると感じます。
 そこで、確認を込めてお伺いいたしますが、政策形成過程の中で、特に県民や市町村長の意見を取り入れていくことについての基本的な方針は何か、お示し願いたいと思います。
 さらに、パブリックコメントの進め方や審議会のあり方がマンネリになり、県民からの意見聴取が形骸化していないか、各部局の改善への取り組みはどうなっているのか、お知らせ願います。
 次に、広域生活圏と地方振興局の再編についてお伺いいたします。
 さきに、これからの広域生活圏と地方振興局(素案)が公表されたところでありますが、現在、県内各ブロックで開催されている説明会では大きな論議を呼んでおります。この案によりますと、広域生活圏については、産業振興を大きな柱に据えて、20年から30年先を見据えた長期的視点に立ち、分権社会にふさわしい圏域に見直すこと。地方振興局については、一つには、新たな広域生活圏を単位とした地域経営の拠点としてその機能を強化し、二つには、より効率的な業務遂行を図るため、その再編を進めることとされております。
 私も、去る22日に両磐地区の説明会に出席しましたが、県側の認識と各首長の認識との間にはかなり隔たりがあるように感じた次第であります。その状況を踏まえつつ、私なりの所見と提案を交えて質問いたしたいと思います。
 広域生活圏についてでありますが、圏域の枠組みを語る前に、広域生活圏そのものの設定理念を明確にし、その理念の実現に向けた具体的な施策をきっちりと提示すべきであると考えます。幾つか例を挙げますと、地域経済の強化が圏域の見直しの大きなポイントとされておりますが、ならば、それに付随した産業振興計画やアクションプランもあわせて明らかにすべきと考えます。また、県南地域では、ものづくりを中心に据えた振興方向が示されており、これは知事の意向に沿ったものと推察をいたしますが、地域経済は2次産業と1次産業とが密接にかかわり合いながら成り立っているものであり、特に中山間地の農村を今後いかに維持発展させていくかは、欠くことのできない重要な視点であります。また、生活広域圏の意義が、質の高い行政サービスと地域経済の強化によって県民生活を支えるというのであれば、医療保健圏域や県立高校の専門高校の配置にも言及していくことが必要と考えます。知事はどのようにお考えでしょうか、お尋ねいたします。
 地方振興局再編についてでありますが、知事は地方分権を進めていく上で、県と市町村の関係は垂直関係から水平関係へシフトし、パートナーシップを築きながら、それぞれが果たすべき役割を担っていくと申されておりました。私は、地方振興局の再編より先に県から市町村への権限移譲を推進すべきであり、例えば、現在県が推進している人とセットの事務事業の移譲など、市町村に対して移譲後の姿を実感できるよう、権限移譲に伴う人材確保や財政面での見通しをより具体的に示すことが必要だと考えます。また、今後、市町村合併が一層進展していくと見込まれますが、新自治体は規模は大きくなるものの、合併後、しばらくの間はその運営に不安定な要素を数多く抱え、また、新しい民主主義の挑戦とも言える地域自治区の運営をどうするかなど課題が山積しております。地方振興局は、このような課題の解決に向け、効果的、集中的に支援を行っていくことが期待されており、この点も明確にすべきであります。知事はどのようにお考えでしょうか、お尋ねいたします。
 今回の広域生活圏と地方振興局の再編の進め方ですが、確かに広域生活圏と地方振興局は密接にかかわっております。しかしながら、今回、二つの再編を同時に進めようとしたがゆえに混乱を生じたのではないでしょうか。例えば、県が設定した三つの生活圏に既存の地方振興局をそのままはめ込んだ結果、県南広域では広域振興局、総合支局、分庁舎と序列化されたとも受けとめられかねない配置がされたことにより、将来の地方振興局存廃問題の方に焦点がずれてしまったのではないかというのが私の率直な印象であります。
 まず、広域生活圏の設定の理念を明確にし、県民への浸透を十分に図った上で、次の地方振興局再編のステージに移すなど、広域生活圏と地方振興局の再編は一たん切り離した方が議論を整理しやすいのではないでしょうか。知事はどのようにお考えでしょうか、お尋ねいたします。いずれにいたしましても、県民が納得し、みずから参画を望み得る成案ができることを期待いたすものであります。
 次に、シティマネージャー制度についてお伺いいたします。
 先月、私と同僚田村誠議員は、合衆国ワシントン州、シアトル市近郊のフェデラルウェイ市を訪問し、シティマネージャー制度について視察をしてまいりました。合衆国は自治憲章制度により、自治体は、自治憲章の起草・採択を通じてみずからが行使できる権限や組織の形態を定めることができ、日本のような首長が行政管理を掌握するスタイルをとるのか、シティマネージャー制度を導入するのかは、住民の採択にゆだねられております。シティマネージャーはいわゆる行政のプロであり、首長や議会が決めた政策の実施、自治体の運営を請け負うのでありますが、合衆国では、我が国と異なり、議会の構成員である議員は、いわゆる民間会社の重役に見合う地位にあり、行政権が付与されている一方、人口10万都市レベルでは議員の数が10名以下にとどまり、議会がその役割を十分に果たしていくためには、議員の能力のみでは限界があるため、必然的に行政のプロが必要となり、この制度が定着したものと認識をいたしたところであります。また、シティマネージャーの選考については、その職責に見合う高い専門的能力が求められることから、議会が入念な審査を何度も繰り返して決定され、期待された結果が伴わない場合は解任される場合もあるようであります。合衆国の地方都市ではこの制度を採用するケースは多く、政治が担うべき政策の決定と、行政が担うべき政策の執行との分離の流れが進行しているとお聞きをいたしました。
 さて、現在の自治体を取り巻く状況を見ますと、政策の是非を争点とするマニフェスト型の選挙が、特に首長を選任する上で有効な手段であるとの評価が定着しつつある一方、厳しい財政状況のもと、行政改革を進める中で、政策を着実に推進していくことが求められております。
 このような状況に的確に対応するためには、自治体みずからの経営能力をより一層高めていくことが必要であり、これは自治体経営にかかわる者に課せられた大きな課題であります。さらに市町村合併の進展等に伴い、今後、自治体が所管する行政分野や財政規模が拡大していくことは必至であり、より大きな責任を担うこととなる首長へのサポート体制のあり方が問われております。
 このような状況を踏まえ、現在、市における収入役必置規制の廃止の動きに加えて、IT化の進展等に対応し、出納長・収入役の役割を見直してはどうかとの問題提起も行われており、さらに、政府の意向を受け、地方制度調査会において自治体の首長を補佐する副知事・助役制度を見直し、政策を実行する責任者として権限を強化するとともに、自治体が民間から企業経営の経験者らを採用し、行政運営を全面的に任せるシティマネージャー制度の導入に向けた検討が進められております。私は、今後の自治体経営のあり方を考えますと、シティマネージャー制度の導入を初めとするこのような制度改正に向けた動きは大いに歓迎すべきものと考えるところであります。
 そこで、お伺いいたしますが、現在検討が進められている我が国の副知事・助役制度の見直しは、政策の決定と執行を役割分担し、責任を明確にすることで、首長の政策実現を強力に推進することがねらいでありますが、知事はこの制度に対してどのような認識を持たれておられるのか。また、仮に地方自治法が改正された場合、本県あるいは県内市町村へのこの制度の導入についてどのようにお考えでしょうか。また、知事の提唱するローカルマニフェストの意義と地方分権の観点から、このシティマネージャー制度をどのように評価されるのか、お伺いいたします。
 さらに大きな視点になりますが、政治が担うべき政策の決定と、行政が担うべき政策の執行との分離についてどのようにお考えか、お尋ねをいたします。
 次に、指定管理者制度の導入についてお伺いいたします。
 本県では、昨年、公の施設に係る指定管理者の指定の手続等に関する条例が制定され、順次、この制度による条件が整った施設から導入することとしており、既に本年4月1日から県公会堂が導入しております。平成15年9月施行の改正地方自治法により、既存の委託施設は平成18年9月に指定管理者制度に移行するかどうかの期限を迎えることとなっており、それに呼応する形で本県も行財政構造改革プログラムで導入期日を設定しておるものと認識をしております。
 そこで、お伺いいたしますが、本県では条例において資格要件を定めず、個別の施設の性格等に応じて募集要項において資格要件を定めることとしておりますが、指定管理者が従来の委託先と変わらないいわゆるつけかえのケースに対する防止策はどのように方針化されているでしょうか。島根県では、既存委託先の外郭団体に標準人件費と呼ぶ民間に準じた人件費算定を求め、その透明性を確保しておるようでありますが、行政改革・行政経営の視点に立った庁内合意による指定管理者制度の導入の方針の明確化が必要と考えます。改めてその指針をお知らせ願います。
 あわせて、本年3月に総務省から新行革指針が示されましたが、地方公共団体が取り組む柱の一つに指定管理者制度の活用が掲げられ、施設の廃止を含めた管理のあり方を検証することが求められていると聞いておりますが、どのように対処なさるのか、お知らせください。
 一方、サービスを請け負う側からの視点で見ると、公募が名ばかりでなく、民間企業が既存の委託先と同じ土俵で競えるような公正な競争の仕組みの構築や、選定された後の創意を自由に発揮できる環境づくりが問題になると考えます。さらに、この指定管理者制度はあくまで住民がリーズナブルな負担でこれまで以上に質の高い公的サービスを得ることが基本となるべきであり、県は、よりよい公共サービスの実現に向けて努力する姿勢を決して崩すようなことがあってはならないと考えますが、御所見をお聞かせください。
 次に、県立大東病院の将来像についてお伺いいたします。
 医師確保問題は医療局のみならず保健福祉全般の本県の最大課題であり、地域病院の一つをとらえてお尋ねをすることはじくじたる思いでありますが、あえてお尋ねするその理由は、県南地区におけるリハビリテーションの中核的施設として位置づけられたその姿が、いまだなかなか見えてこないからであります。広域リハビリセンターの使命を果たすべく、院長を先頭に現場スタッフは懸命に取り組んでおられます。一昨年は一般病棟の1つを療養病棟に回し、回復期リハの専門性を高めることに努め、周辺病院からの理解を得て、リハ病棟の病床利用率は92%と大健闘しております。しかし、肝心の専門医の不足、作業療法士などのマンパワー不足の状態が続いており、かかる状況は尋常ではありません。県立病院改革プランでは、両磐医療圏の中核病院である磐井病院を核として医師の派遣システムを構築することとなっておりますが、果たしてどのように機能していくのか、いまだ先行き不透明であります。この際、新医療局長には、県立大東病院の将来像を鮮明、明確に示していただきたいと存じます。
 次に、社会資本の整備に関して2点お伺いいたします。
 1点目は、地方道路整備臨時交付金の改革についてであります。この制度の改革は、従来は市町村の道路整備が、個別事業への予算配分、個別事業内容の事前審査、個別事業採択要件であったものが、地域の課題に対応して一定の地域で一体的に整備するために一定の区域を限定して、それに関係する事業を集約する。これをパッケージと称して包括的に事業を推進できるもので、なおかつ、従来では要件にはなかった舗装や修繕も可能ということであり、市町村にとってはまことにありがたい改革であります。さきの予算委員会質疑の中で、本県の国への要望箇所は299カ所、総額83億円とお聞きをしましたが、現時点でどの程度採択が見込まれるのか、まずお尋ねいたします。
 この制度は県を経由せず、国への直接要望という形をとっているために、県の市町村への関与の仕方が課題になると考えます。従来であれば、市町村から振興局、振興局から本庁、本庁から国への流れであったものが、県を経由しないことにより、肝心の事業推進に支障を来すことがないような体制整備が不可欠と考えますが、現時点でどのように対処なさっているでしょうか。特にも、現在合併を目前に控えている市町村では、この交付金を活用して、できるだけ早期に課題解決の道筋をつけたいとするところが多いと伺っておりますが、それらの支援体制は、振興局、本庁をどのように連携を図りながら行うのか、お知らせ願います。
 2点目は、国道284号通称室根バイパスの整備についてであります。
 室根村を横断する国道284号の整備促進は、室根村における社会基盤整備の最重要課題にとどまらず、本年9月20日に誕生する予定である新一関市と宮城県気仙沼市を結び横断する、沿岸と内陸を結ぶ県南の交流幹線路線と心得ます。国道284号の整備は県においては重要路線と位置づけて、整備促進が進められてきたところでありますが、計画されている延長距離が長い区間で残された課題区間は室根バイパスのみとなりました。室根村においては活性化推進検討委員会の中で、バイパスの整備構想を軸にした室根山の資源を生かした観光資源の活性化等、さまざまな地域資源の発掘とあわせた活性化構想を立てており、また、地域が一体となった整備促進期成同盟会も組織され、村民にとっても、周辺地域住民にとっても、室根バイパスの完成は悲願であります。17年度の事業内容は、現在のルートを基本として、コストの縮減を図るべく予備設計委託を行う予定と伺っておりますが、地元での体制が完備された今、整備に向けた確かな足取りを県と互いに認識しながら、早期事業化に向けた取り組みが現時点で最も必要と考えます。
 そこで、今後の年度ごとの具体的なスケジュールを明確にお示しいただきたいと存じます。また、現在の国道284号室根村の狭隘箇所、月山下踏切の歩道の設置並びに高さ制限のある狭いS字カーブの跨道橋(大里ガード)の解消は、バイパス整備後においても整備必要な箇所であり、毎年、県に対して要望を重ねているところであります。交通事故が絶えないそれらの整備についての方針もあわせてお示し願います。
 最後に、教育問題についてお伺いいたします。
 最近、若者の凶悪犯罪が都市中心部より農村部に、地方に蔓延し始めております。それは、地方の都市化、郊外化によって、地域社会を根こそぎにするような、構造的な変動が起きているのだと指摘をする方もおります。都会と同じように核家族化が進み、消費社会化した地方は、固有の地域社会が消滅し、むしろ、地方の方がバーチャル化しているという現状があるとも言われております。その結果、地域の教育力の低下により、若者の生きる力、生きる意欲が、都会より地方の方が著しく低下し、結局は学ぶ意欲も低下し、学力の低下に歯どめがかからないという悪循環に陥っているのが、現代の社会構造であるという指摘もあります。
 照井新教育長は、学校、家庭、地域の教育力を一体化し、知・徳・体のバランスがとれ、新時代を生き抜く力を持った子供たちを育てたいとの新任の抱負を述べておられますが、さきに述べた時代背景をどのように認識され、バランスのとれた子供たちの育成のために、どのような諸施策を講じ、具体的に、だれがどのように実行しようとするのか、お知らせ願いたいと存じます。
 次に、県立高等学校新整備計画(後期計画)の再調整案についてお伺いいたします。
 県教育委員会は、去る6月10日に再調整案を発表しました。調整案と比較して、かなりの内容の変更であります。本年の3月まで、県教委は、県立高校の再編計画の基本的な考え方として、1学年2学級を維持すること。さもなければ、教科ごとの教職員の多様な配置が困難になることを柱にして、前期計画を強力に推し進めてきました。後期計画も、もちろん、その基本理念を踏襲してその内容を公表したのでありますが、御案内のとおり、県民の理解得がたく、1月の調整案でも成案の見通しが暗く、今回の再調整の策定に至ったものと理解をしております。
 この間、高校改革を担当する県教委に大幅なメンバーの入れかえがあったところであります。ラグビーの試合に例えるなら、前期計画を推進したAチームは、ゴールライン間際まで、モールを駆使してフォワード戦法で果敢に挑みましたが、後半に入った途端に息切れした模様で、ころ合いを見計らってメンバーをがらりと総入れかえしたBチームは、変幻自在のパスワークを主体としたチームと拝察いたしますが、その実力のほどは、まだはかり知れないといったところでございましょうか。
 いずれにいたしましても、再調整案が調整案から豹変した経過、私は特に、前期計画からの方針の大転換とも受けとめられかねない今回の再調整案に至るまで、この間の県教委で行われた議論のプロセスについては、明確にしておく必要があると考えております。
 その観点から、数点お伺いいたします。
 第1に、再調整案が、結果として地元のニーズを受け入れ、現状維持で処理された格好ですが、従来の再編案の基本軸であった適正な規模の考え方は、今どのように解釈をすればよろしいのでしょうか。その考え方で、前期計画に従いまじめに統合した高校は、県教委にたばかられたと認識してよろしいのでしょうか。
 第2に、今回の見直しの観点である産業界の要望を踏まえた職業教育は、各専門高校にどのように特色づけるのか。特に、今まで強力に推奨していた総合的な専門高校の位置づけは、再調整案ではどのようになったのか、明確にお答えいただきたいと存じます。
 第3に、当初案で胆江地区に計画された多部制・単位制高校は、不登校などの学校不適応者や中途退学者らのニーズが高く、その設置が望まれていましたが、今回は見送りとなりました。片や地元ニーズとして受け入れ、片や受け入れない、この差はどこにあると解釈すればよろしいのか。また、設置が見送られたニーズを今後どのように満たしていくおつもりか、示していただきたいと思います。
 第4に、県中学校校長会は、県立高校の入学者選抜で、自己推薦入試の導入を検討するよう、県教委に求める方針とお聞きをしております。高校再編とこうした必要な入試制度の見直しを行うことは効果的と考えるものですが、御所見を伺います。
 これで、壇上からの質問を終わります。答弁によっては再質問をいたしますので、よろしくお願いいたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕

〇知事(増田寛也君) 飯澤匡議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、県の政策形成過程の中で、県民や市町村長さんの意見の取り入れ方の基本方針は何かというお話でございます。あわせて、パブリックコメントや審議会の形骸化についての御質問がございました。
 さまざまな意見の取り入れ方の基本は、まず、県民の皆さん方に情報公開や説明責任の徹底を図ること、まず、これが基本にあるというふうに思います。その上で、政策を形成しそしてさらに実施していくためには、企画立案段階、そして実施段階、さらにはその後の評価という、この三つの段階をそれぞれこなしていく必要がありますが、まず、企画立案の段階にありましては、県政懇談会の開催やパブリックコメントの実施、さらには審議会における専門委員による審議。実施に当たりましては、県民の視点を取り入れてより効果的な事業とするために、NPOとの連携やワークショップの開催、こういったこと。それから評価に当たりましては、県民のニーズ度の観点から、県民意識調査結果を反映させた評価を実施したり、外部の客観的な視点を反映するための第三者による政策評価委員会の開催や、県民参加型の、そもそも評価を外部でやってもらうという外部評価の実施、こうしたことを通じて、この三つの段階それぞれの各段階において、今県民の皆さん方の意見を反映できる仕組みづくりをしているところでございます。しかし、今、議員の方からも御指摘がありましたが、特にそのうちのパブリックコメントについては、その案件ごとの提出される意見数に大きな乖離があると。それから審議会の方につきましては、これは重要な役割を担っているわけですが、さらなるその活性化が望まれていると、こういうことがございます。したがいまして、私としてもこうしたことを大きな課題として認識をしておりますので、今、その改善を図るための見直しを進めております。
 今後、具体的には、パブリックコメントについてはその一つ一つの案件情報について、県の広報誌やホームページへの掲載はもとよりですが、地域での説明会の開催、それから関係団体機関紙への掲載、報道機関を通じた広報など、複数のチャンネルを活用しての周知を図りたいと。それから実施面では、やはり公表内容について表現に工夫を凝らすなど、各部局において事案の内容に応じたきめ細かな対応が必要かと、そのように今改善を進めているところでございます。
 審議会の方につきましては、その審議の内容が活性化されるように、公募委員の拡大を図ったり、女性委員を加えたり若手委員を加えたりと、こうしたことに努めておりますほか、一部の審議会でありますが、その中では分科会を設けて、特定課題について自由に討議をしていただいて提言をいただくと、こうしたことも実施をしております。
 今後、このパブリックコメント、審議会についても、なお一層、運営について工夫をしていきたいと考えております。
 次に、広域生活圏と地方振興局の関係でございますが、この理念についてお尋ねがございました。
 県では、昭和48年、今から約30年以上前に、日常の行動圏を基準に現在の九つの広域生活圏を設定いたしました。これは、住民の日常の行動圏を基準として、いわゆる1日生活圏として設定したものでございまして、県では、この中で社会資本の整備を着実に進めるとともに、保健福祉や医療などのさまざまな分野の政策とあわせて、一定水準の住民サービスを提供できる環境を整えてきたところでございます。
 一方で、私たちを取り巻く環境は大きく変化をしていると、このことを改めて認識する必要がございまして、その変化の一つは、平成12年4月に地方分権一括法が施行されて、今、三位一体改革も動き始めるなど、地方分権改革が進展をしてきているということでございます。その中で、県内を見ても、新しい一関市や奥州市のような市町村合併の進展で、現在の広域生活圏に匹敵するような合併市の誕生などに見られますように、この市町村の行財政基盤が強化をされて、住民サービスの大部分を市町村が担っていくことができるような、そういう自治体が誕生してきた。県は、そうしたことを受けますと、より広域的、専門的な役割、すなわち、広域的な産業振興や社会資本整備、そうしたところに重点を移していくというように、県と市町村の役割分担が大きく変化をしていくということでございます。
 もう一つの変化は、少子化の問題でございまして、本県の人口は1997年から減少しておりますけれども、2030年には2000年と比較して約13%、18万人相当の人口が減少するというだけでなくて、老齢人口が2000年から11%も増加して32%に達すると、こういう予測があるわけでございます。
 今回の広域生活圏の見直しは、こうした状況変化の中で、特に産業振興に力を注いで地域経済の強化による県民生活の維持・向上に最大限努めながら、一方で、住民サービスの大部分を担う市町村を支えていくことによって、質の高い行政サービスを提供していくと、この二つの基本的な考え方に立っておりまして、特に産業振興については、付加価値の高い産業構造をつくり上げると、このことを最重要課題として位置づけているわけでございまして、ものづくり産業などのさらなる強化、そして1次産業などの地域産業のこれも育成強化、地域資源を生かし切る地域経済の強化策を早急に打ち出していくことが必要と考えております。また、県から市町村への事務移譲を進めて、この合併などによる市町村の行財政基盤の強化を支援することによって、分権型社会の実現を目指していくことも必要でございます。
 こうした二つの考え方に基本を据えて、今回素案を公表したものでございまして、まだ基本的な考え方でございますので、今さまざまな御意見をいただいておりますが、その上で我々の中で検討を深めて、秋ごろを目途に成案を取りまとめていきたいと。成案の中では、中山間地域も含めた圏域ごとの産業振興の方向性や地方振興局の機能強化のあり方など、より具体的な内容を盛り込んでいく考えでございまして、この検討作業は今年度から進めて、成案においてそのポイントを明らかにするとともに、来年度の予算編成に反映をさせていく考えでございます。
 それからもう一点、地方振興局再編と権限移譲について、より具体的に人材確保や財政面での見通しを示せということでございますが、今回広域生活圏の見直しに伴って、地方振興局も地域経営の拠点として業務の完結性を高めるなど、機能強化を進めていくと、そしてその配置を見直すと、こういう考え方に立っております。市町村への事務移譲は、こうした地方振興局の見直しと密接に関連する重要な条件と、このように我々はとらえておりまして、市町村に対して平成12年4月に地方分権一括法の施行を受けて住民に身近な行政サービスを、住民に最も身近な基礎的自治体である市町村が担えるように条例を制定して、今まで事務移譲を進めてきたところでございます。本年4月に、さらに県から市町村への事務移譲に関する指針をもう一度つくり直しまして、市町村に提示をしたところでございまして、基本的な考え方、進め方、それから具体の600余りの事務をメニューとしてその指針の中に盛り込んで、本年度から5カ年で集中的に市町村への事務移譲を進めていくと。特に、今お話がございましたように、権限や財源でなくて、人材も含めて一括してセットで移譲する方式など、今具体的な提案を行っております。既に複数の市町村と研究会を設けて具体的な検討を始めておりますので、この検討をさらに深めていきたいと。そして市町村への事務移譲の準備を進めながら、地方振興局の再編に18年4月から着手をしていきたい、このように今考えているところでございます。
 また、合併市町村に対する地方振興局の支援でございますが、これも地方振興局の機能強化の重要な視点でございまして、これは広域振興局だけでなくて、地方振興局や総合支局に対しても、こうした市町村支援のための機能強化を図っていきたいと考えております。
 それから、最後に、この問題については、広域生活圏と地方振興局の再編を一たん切り離して整理していくべきではないかという話がありました。
 市町村長さん方との意見交換会などでこう出ておりまして、確かにこの広域圏の見直しの考え方と地方振興局の見直しを同時に説明をしているために、これは本来、広域圏の見直しの目的を達成するために重要な役割を担っているのが地方振興局でございまして、両者一体としてのものということで同時に説明しているわけですが、確かに受け取り方として、両者一緒にされてしまったり、あるいは、どうしても地方振興局の存廃の方に目が行ってしまった部分もあるように、私、回っておりまして受けとめております。これは、やはり我々の方で、よりその両者の関係ですとかそれぞれの考え方をわかりやすく、混同されることのないように丁寧に説明していく必要があるだろうと。まして、県民の皆様方に、よりわかりやすいような説明が必要だろうというふうに思っておりまして、これまでのいただいている御意見なども、そうした部分での御意見なども十分参考にして、今後論点を整理して明確にして、成案を取りまとめていきたいというふうに考えております。
 最後に、シティマネージャー制度についてお話がございました。この関連で、副知事・助役制度の見直しについてお尋ねがございましたが、今、国の地方制度調査会でこの関係の議論が進められているわけですが、この首長を支えるトップマネジメントのあり方、その機能の強化について、やはり今後ますます首長に求められる責任が今まで以上に増大すると考えられますので、地方公共団体がこうした制度改正によってみずから判断し得る分野が拡大していると、拡大をしていくということを踏まえたものでございまして、こうした検討が進められるということは、私は評価すべきものと、こういうふうに判断をしております。
 本県においても、もう既に現在でも副知事・出納長については、私と一体となりましたトップマネジメントとして県政の運営に当たっておりますので、私自身も国のこうした制度の見直しの動きについて強い関心を持っておりますし、今後もまたそういう強い関心を持って見守っていく必要があると考えています。
 市町村については、その制度改正が具体化したときに、恐らく市町村において適切にみずから判断されるものというふうに思うわけでございますが、そうした中で、現行制度のもとで、やはり市町村とは違いまして、県レベルになりますと、ある程度行政規模も大きいし権限も強くなっているわけでございますので、首長がみずから策定した具体的な計画や、例えばマニフェストなどに基づいて、この政治的な責任において行政執行に当たるという場合も多いと思いますし、また、そうした課題も多かろうというふうに思いますので、この政策決定と具体的な行政執行についての分離については、これはまさに内容次第ということにはなるわけでございますが、これについては相当慎重にこの問題を考えていく必要があるのではないか。これからこの点については、地方制度調査会でもさらに議論が深められると思いますので、私もこうした大きな責任を抱える中で、執行権とそれから政治的な立場をどのようにそれぞれ考えていくか、よく考えを深めていきたいと、このように考えております。
 その他のお尋ねにつきましては関係部局長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔総務部長時澤忠君登壇〕

〇総務部長(時澤忠君) 指定管理者制度に関しまして、まず導入方針の明確化でございます。
 指定管理者の募集に当たりまして、資格要件、これは指定管理者制度の導入の趣旨であります民間能力の活用、サービス向上、そして経費節減、こういった点を踏まえまして、施設ごとあるいは部局ごとに外部有識者によります選定委員会を設置いたしまして、施設の設置目的、性格、規模、こういったものに応じて個別に定めておりまして、また、公平性を保つ観点からも、募集は原則、公募というふうにいたしております。
 この指定管理者の選定に当たりましては、選定委員会において選定することになるわけでございますが、この委員会は、単なる指定管理者の候補者の選定を行うということだけではなくて、募集要領や資格基準あるいは配点等の策定段階からかかわっているものでございますし、また、選定過程あるいは選定結果につきましても、公表するというふうにしているものでございます。
 御指摘のありました島根県の標準人件費でございますが、これは指定管理者制度の導入に当たりまして、県における積算方法を統一するために定めた内部基準であるというふうに伺っております。本県では、それぞれの施設の規模あるいは性格が異なることもありますので、各部局において、施設ごとに実態に即した人件費の積算をしているわけでございますが、指定管理者の募集に際しまして、現在の委託条件を情報公開することといたしておりますし、人件費の状況もその中で公表するというふうにいたしておりますので、それらを参考に、申請者のノウハウあるいは創意工夫を生かした提案をしていただきまして、公正な競争、透明性を確保していきたいと考えているところでございます。
 次に、行革指針への対応でございます。
 総務省の行革指針の中では、指定管理者制度の活用といたしまして、現在、直営で管理しているものも含めまして、すべての公の施設について管理のあり方についての検証を行って、検証結果を公表するというふうにされております。そのため、施設を所管する各部局におきまして、導入済みの公会堂を除く77の施設について内部検討も含めまして、制度導入の可否とあわせて検討した結果、現時点でございますが、43施設が制度を導入する予定でありまして、29施設が導入しないこととなっておりまして、5施設が検討中でございます。導入しない29施設の内訳は、直営で管理する施設が19施設、民間へ移管する施設が中山の園を含む9施設、廃止する施設が国際交流プラザ1施設となっております。
 総務省の指針におきましては、検証結果を公表するとされておりますので、外部有識者を交えた施設のあり方検討会を設置いたしました保健福祉部、県土整備部、教育委員会、こうしたものが所管する施設37施設につきましては、その検証結果を既に公表しているところでございますが、その他の施設につきましても、今後、検証結果に基づいて公表していきたいと考えております。
 次に、指定管理者制度導入に向けた姿勢でございます。
 指定管理者の募集に当たりましては、先ほども申し上げましたけれども、外部有識者を交えました選定委員会が、募集要項、選定基準等の作成段階からのかかわりを持っているわけでございます。また、現在、委託条件の情報公開をしたり、募集開始前に制度導入方針を公表したりということでやっております。なお、2カ月程度の募集期間も設けると、こういったことで、申請者が応募しやすい環境を整備しております。さらに、申請者からの利用者に対するサービス向上のための方策を提案していただくということも行っておりまして、民間のノウハウ、創意工夫が生かされるような募集を行っております。
 また、選定に当たりましても、応募のありました団体の中から、施設利用者に対する公平性、施設の管理運営の効果性、効率性、申請団体の経営上の安定性、こういったものについて総合的に審査をいたしまして、最も適切な管理を行うことができる団体を候補者として選定し、議会の議決を得て指定をしているところでございます。
 このように、募集、選定に当たりまして、公平で効果的な導入が図られるような環境を整備しているということ、また、選定後におきましても、県と指定管理者で協議の上、施設の管理運営に係る詳細について協定を締結するということになりますが、その施設の設置目的に照らして、果たすべき公的サービスの水準を確保しつつ、指定管理者の事業計画や提案を生かした協定になるようにしていきたいというふうに考えております。
 また、さらに指定管理者による管理開始後におきましても、業務報告あるいは利用者アンケートなどによりまして、適切な管理が行われているかについてモニタリングを行うということをしておりまして、こうしたことによりまして、質の高い公的サービスの実現を目指していくことといたしております。
   〔医療局長法貴敬君登壇〕

〇医療局長(法貴敬君) 大東病院についてでありますけれども、大東病院は、県立病院改革を進めるに当たりましても、一般医療を提供する地域病院としての機能と、県南部広域におけるリハビリテーション支援センターとしての機能をあわせ持つ病院として位置づけているところであります。その運営の現状を見ますと、平成16年度におけるリハビリテーションを受けた入院患者のうち、胆江・両磐・気仙地域の患者が92%を占めており、県南部におけるリハビリテーション支援センターとしての役割を果たしてきているものと考えております。
 議員御案内の、専門スタッフの状況についてでありますけれども、大東病院は理学療法士4人、作業療法士2人、言語聴覚士1人を配置しており、27県立病院の中では最も充実した体制としているところであり、作業療法士については、さらに充実を図っていきたいと考えております。しかしながら、医師の確保については、大東病院に限らず新臨床研修制度の実施に伴い、派遣元の大学医局による医師の引き揚げなどを要因として、県立病院全体としてまことに厳しい状況にあります。このことから、二次保健医療圏にある病院群を一体としてとらえ、医師確保についても広域基幹病院を中心とした応援体制を構築するよう改革を進めているところであり、その具体化として、本年4月から広域基幹病院等の判断により、地域病院等に医師を長期に派遣する医師広域人事異動システムを構築したところであります。このシステムは緒についたばかりであり、今後検証を加えながら必要な改善を行い、システムが円滑に機能するように努めてまいりたいと考えております。
 今後、大東病院については、厳しい医師確保の現状にあっても、常勤医の確保に可能な限り努めるとともに、この新たにつくったシステムを円滑に実施することにより、県南部における回復期・維持期のリハビリテーション医療が維持し得るように努めていきたいと考えております。
   〔県土整備部長橋本義春君登壇〕

〇県土整備部長(橋本義春君) 社会資本整備に関しまして、地方道路整備臨時交付金制度についてでございますけれども、平成17年度において、市町村が国に直接要望した地方道路整備臨時交付金は、46市町村の245カ所が認められまして、その金額は約68億円であり、要望に対する採択率は82%となっております。
 事業推進に当たっての県のかかわり方でございますが、新たな制度でありますことから、現時点では要望資料や交付申請資料の作成について助言を行っております。
 また、本県の道路網の構築に当たりましては、市町村道も含め、効率的な道路となるように配慮することが不可欠でありますので、パッケージの中にまた県道整備を盛り込むということもあり得ますことから、その構成内容を把握する必要があると考えております。このため、地方道路整備臨時交付金事業に係ります連絡会議を設置しまして、県及び市町村が情報の共有に努めるなど、連携を密にしてまいりたいと考えております。
 次に、国道284号室根バイパスについてでございますが、平成13年6月に調査ルートを公表しまして、今までに地形測量や地質調査、道路予備設計、環境調査を実施してまいりました。今年度は、これまで行ってきた道路予備設計等に引き続きまして、コスト縮減を視野に入れた計画の見直しを行うこととしてございます。
 今後は、国との改良予定線の協議やJRとの立体交差協議、公共事業評価のための準備等を順次行う必要がありまして、これらの進捗と道路予算の動向を見きわめながら、事業実施に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
 また、月山下踏切の歩道設置及び大里ガードの整備についてでありますが、大里ガードにつきましては、昨年度、道路面を20センチ切り下げまして跨道橋との高さ制限を緩和したところでございますが、月山下踏切の歩道設置につきましては、JRとの協議も必要でありますことから、その結果も踏まえまして検討してまいりたいというふうに考えております。
   〔教育長照井崇君登壇〕

〇教育長(照井崇君) まず、教育力の低下についてですが、最近の教育を取り巻く環境は、少子化や核家族化に伴う家庭における子供たちに対する過保護、過干渉やしつけへの自信喪失、テレビゲームやパソコン、携帯電話などの普及に伴う子供たちのコミュニケーション能力や読解力、論理的思考力の低下、地方の都市化に伴う地域コミュニティー機能の低下、人間関係の希薄化、大人社会のモラルの低下など大きく変化してきておりまして、このような問題が複雑に影響し合い、結果として家庭や地域の教育力が低下し、学校においても児童生徒の学習意欲の低下や不適応行動を引き起こしているものと、このように認識いたしております。
 本県においては、これまで家庭、学校、地域、行政、子供の5者が互いの役割と責任を明確にしながら、力を合わせて知・徳・体のバランスのとれた子供の育成を目指した教育振興運動を展開してまいりました。この運動は、家庭ではぐくみ、学校で学び、地域で鍛えると、そういう考え方のもとに、とりわけ家庭におきましては基本的な生活習慣を身につけさせること。学校におきましては基礎基本をしっかりと身につけさせ、子供一人一人がみずからの興味・関心や個性を生かして主体的に学習を行うこと。地域におきましては、さまざまな団体と連携しながら体験活動やボランティア活動などを行うこと。行政におきましては指導者養成や相談体制の整備を図ること。子供たちはこれらの取り組みに主体的に参画することなどに取り組んでいるところでございます。今後も、県におきましては、これまで以上に市町村と連携を密にしながら、家庭や学校、地域の取り組みを積極的に支援し、確かな学力と心豊かでたくましく、新しい時代を生き抜く力を身につけた子供たちをしっかりと育てていきたいと考えております。
 次に、県立高等学校新整備計画(後期計画)の再調整案についてですが、これまで掲げてきた1学年4から8学級程度とする望ましい学校規模につきましては、今回お示しした再調整案においても同じ考え方に立っております。今回の再調整案においては、この考え方を基本としながらも、通学困難な地域を抱える小規模校については、高校教育を受ける機会を確保するため、地元の意向を踏まえながら、一定の条件のもとで学校を維持することとしたところでございます。前期計画において統合した高校については、地域の意向を十分尊重しながら、子供たちにとってより望ましい学習環境の整備に努めてきたところであり、各高校からは、教育内容や施設・設備の充実などにより、志願者の増加や生徒の学習意欲の向上が見られるなどの報告を受けているところでございます。
 次に、職業教育を各専門高校にどのように特色づけるのか、また、総合的な専門高校の位置づけについてでございますが、今回の再調整案を検討するに当たって、改めて産業界の御意見を伺ったところ、職業教育に対しては、より高度な専門的能力と幅広い知識や技術・技能を身につけさせてほしいという大きな二つのニーズがありました。そこで、この二つのニーズに適切に対応できるように、専門高校においては、主としてより高度な専門的能力を身につけさせることを目指して、工業高校は、各地域の特性を生かしたものづくり産業などの振興に必要な人材を、商業高校は、ビジネスの諸活動を主体的、合理的に行うことができる人材を、それぞれ育成することにより特色を出してまいりたいと考えております。
 一方、総合的な専門高校においては、幅広い知識や技術・技能を身につけさせることを目指して、生産・製造から流通・販売までの一連の過程や関連する分野の知識、技術・技能を習得させることにより、多様化する産業社会で活躍できる人材を育成してまいりたいと考えております。
 次に、多部制・単位制高校についてですが、このたびの再調整案において、胆江地区の多部制・単位制高校の設置については、平成21年度までの後期計画期間内に、確実に校舎を確保できる見通しが立たなかったことから、後期計画以降に整備を検討することとしたところであります。しかしながら、生徒がみずから学ぶ科目や時間帯を選択することにより自己実現を図りたいとするニーズや、多部制・単位制高校の設置を求める地元のニーズにこたえるため、できるだけ早い時期の設置に向けて校舎の確保等に努力してまいりたいと考えております。
 次に、入試制度と高校再編についてですが、このたびの再調整案の策定に当たり、各地域で県民の皆様から御意見を伺ったところ、この計画に関連して、学区、推薦入試、再募集等のあり方など入試制度に関する御意見もいただいたところであります。高校再編計画は、学校・学科の配置などにとどまらず、入試制度とかかわる部分もありますので、こうした御意見も踏まえながら、入試制度につきましても、今後、必要な見直しを行い、生徒にとってよりよい仕組みとなるよう努めてまいりたいと考えております。

〇14番(飯澤匡君) それでは、再質問をいたします。おのおの答弁をいただきまして、ありがとうございました。
 それでは、4点、非常に簡潔に再質問したいと思います。
 県政参画の県民からの聴取の方法、この質問をいたしました背景には、私たち超党派でプレジャーボートの関係条例で住民説明を行いまして、私たちが質疑応答をするという形になったわけですが、非常にやはり大変な思いをいたしました。ここで感じたことは、やはりその趣旨をどの程度、どの部分を強調していいのかというふうな、私も教訓となっておりまして、当局の方々には毎回大変な御苦労をなさっているんだなということを痛感いたしましたわけですが、最近、特に思っていることなんですが、特にオブザーバーで県民への説明会、執行部当局がこちらの方に、地方の方に来ましてしますと、県民への投げかけ方、これが随分温度差があるといいますか、不明確であるように思います。ありありとただ意見を聞くだけでいいのではないかという態度であったり、ある場合は、主体性を欠いて住民に丸投げをするのではないかというような態度であったり、逆にこの制度を執行部側に有利に運用しているのではないかという疑念さえ持ったのでございます。特に今回、振興局の再編については、その部分が顕著に出たような気がいたしますが、この政策形成過程で投げかける場合には、何%と言いますか、その事案ごとに、ここまで固めているというふうな部分を明確にする必要があるのではないかというような感じをいたしております。私は、横浜で働いていたときに、よくアラブ人と話をしますと、相手は突拍子もない案を先に出してきまして、我々がのむ部分をある程度あっちでも押さえていて、こっちがそこで譲歩するというような方法を出すんですけれども、何か、その方法に似てきたのではないかというような感さえいたします。その件についての御所見をいただきたいというふうに思います。
 それから、生活広域圏と振興局の見直しについてでありますが、私は、産業育成を主体とするのであれば、この切り口でいくなれば、逆にプロジェクトチームを組んで、その事案ごとに対処した方がより効果的ではないかと。特に自動車産業に特化するのであれば、なおさらではないかというふうに思いますし、逆にこういう観点であれば、広域圏の設定などしなくてもいいのではないかというような感をいたしております。また、18年スタートというのは余りにも早過ぎるというような気がいたします。この18年スタートという根拠がどこにあるのか、これをお示し願いたいと思います。
 それから、室根バイパスの件でございますが、ことしは予備設計委託をして、その事業費の見直しをするということでございます。具体的に大規模事業評価委員会にこれはかかると思うんですが、その時期を、どの部分、何年度にやるのか、そのターゲットとする年度をお示しをいただきたいというふうに思います。
 それから、4点目、県立高校後期再編計画についてですが、後期計画が出る前に議員の前で教育委員会が説明会を開いたわけですが、私は、大東高校、大原商業の統合へ向けて町内でも大変な議論があって、この部分をきっちりと慎重には慎重を期して、それを後期計画では対処していただきたいというふうなことを再三申してまいりましたが、結果として、この経験則が全く生かされなかったのは残念でございます。この調整案、また、再調整案まで至ったということは、前期計画の理念が、これは全くねじ曲げられたと。ねじ曲げられたといいますか、弾力的になったということでしょうけれども、今後、この長期計画をいたす場合に、どのような形でこれから県政運営がなされようとするのか、非常に疑問な点がございます。特に昭和40年代、人口が爆発増加する中で県立高校もふえていきました。それにはある程度の年数がかかったわけです。10年ぐらいかかったと思いますが、閉校するにもそれぐらいの配慮が必要だと思います。まあ、10年かけろとは言いませんが、私は、県教委がその住民に対する努力を怠ったのではないかというような気がしております。私の印象でございますが、この前期計画と後期計画は全くその理念が別物と考えてよろしいのか、もう一回お尋ねをいたします。
 それから、1学年2学級校の取り扱いについて、再調整案で初めて段階的、弾力的運用が出されましたが、前期統合校との整合性はどのように保たれているのか。私たちは、前期計画でこれがベストだということで大変汗を流しましたが、その弾力的運用については、例えば何年度で何人欠ければ次にはどうしますよというような話は一つも出ませんでした。これとの整合性はどういうふうに考えていますでしょうか。
 それから、教育現場でも大変混乱を来していると聞いております。この再調整案をどのようにこれから現場にも対処なさるのか、お聞きをいたします。
 それから、今回の再調整案は、県政のスピード重視、問題の先送りというような批判がありますが、この批判をどのように受けとめておるのか、お聞きをいたします。

〇知事(増田寛也君) 今、4点お尋ねがあったので、そのうちの前の方の二つ、そちらについては私の方からお答え申し上げまして、残りの2点は担当の部長等からお答え申し上げます。
 まず初めに、この政策を形成していく際に、地域に行って当然県の考え方を説明するわけですが、そこの際の進め方について、今、御提言がございましたが、やはり重要な問題については、県のそもそもの考え方、素案と言えるような段階から、できるだけ地域の皆さん方、それは市町村長の場合もあるでしょうし、議員さん方もあるでしょうし、直接住民の皆さん方もあるでしょうし、そういう皆さん方と県の考え方、それから、それに対しての問題点を明らかにして、その相互理解のもとに具体的な案にまで、その案を経た上で議会で御審議いただいて、そして具体の政策にまで練り上げていくべきものと、こういうふうに思います。県の方ではそういう考え方でおりまして、今回は特に重要な広域圏あるいは振興局の見直しであるということで、素案の段階でお示しをしているわけですが、先ほど言いましたが、プレジャーボート等のような例もございましたけれども、その物事の性格によって、そこまでの手続を経るものなのか、あるいはもう事前に市町村長さん方との意見のすり合わせを経た上で案をお示しするのか、ここは我々の判断になると思いますけれども、今後はできるだけやはり丁寧に、そうしたすり合わせだけでなくて具体の案をはっきりわかる形で、住民の皆さん方にわかる形でお示ししながら、相互にその案を、考え方を出し合いながら政策に結びつけていくべきと、このように考えております。
 その上で、二つ目の方になりますが、今回の広域圏についてですけれども、これは産業振興ということを、前回の広域圏設定の考え方と大きく違っているところが、今言ったような点なものですから、その点を特に違いという意味で意識していただくべく申し上げておりますけれども、この産業振興についても、例えばものづくり、工業分野と、それから農業分野のお互いに相互に関連しているところもあります。それから、食品関連工業ということで、当然のことながら産業分野がダブっているところもございますし、その幅広い地域にある資源や技術や人材といったところは、これはもうすべての産業の基礎となるようなところでございますし、今まではそれを支える社会資本整備などについて大変まだ未整備だったものですから、そこに力点を置いた広域圏の設定の考え方でございましたが、今後はそういうところがある程度整備が進んできたということを前提にしていく必要がありますので、特に産業振興という違いを明確にする意味で、そういうことを申し上げております。そのほかの行政分野も含めて、やはり県の行政の基本となるくくりということでありますので、この段階で社会環境が、先ほど言いましたように、大きく二つの点で変化をしてきておりますので、もう一度見直しをして、そして新しいスタートを切るべきではないかというのが私どもの考え方です。
 それと関係して、そういった県の施策を具体的に支えていくものが振興局のような体制になりますので、これを18年度にスタートする根拠はということをお尋ねがあったわけですが、御趣旨は、検討時間をもう少しとったらどうかという御趣旨というふうに今受けとめましたけれども、この点については、15年につくりました行財政構造改革プログラムで18年4月から再編を進めると書いているんですが、その背景にある考え方は、大きく言いますと、少子化がやっぱり非常に進んできていて、そういったような再編にできるだけ早く取りかかるべきと。それから、さまざまな面での一方で県財政の改善のためのプログラムを、やはり18年度までを目途に今進めているわけです。そうしたことがある程度でき上がった上で、早急に具体的な産業振興の方に取りかかっていくべきということでございますので、確かに、先般、6月に案をお示しした上で再編に向けての作業ということになりますけれども、できるだけこれから私どもも足で地域を回っていろいろな御意見をお伺いして、でるだけ早く体制を整えたいと思っておりますので、18年4月の再編スタートを、ぜひそれに向けて県民理解を得ていきたいと、このように考えております。

〇県土整備部長(橋本義春君) 室根バイパスの公共事業評価へのターゲットとしてのタイムはいつかというお尋ねでございますけれども、実は先ほど申し上げましたように、今年度は計画の一部見直しをやります。そういうことから、大規模事業評価にかかるか、かからないかも含めて検討することになりますが、いずれ、先ほど申し上げましたように、改良路線の協議、それからJRとの協議もありまして、一つずつステップを踏んでいかなきゃないという状況にあります。また、財政的な面もございまして、ここで明確にいつにということはなかなか申し上げられないのでありますけれども、私としては、できる限り早くそのステップに行くように努めてまいりたいというふうに考えておりますので、よろしくお願いいたします。

〇教育長(照井崇君) 前期計画でお示ししている望ましい学校の規模であるとか、新しいタイプの高等学校の設置などのその方向性、これにつきましては、今回お示しした再調整案におきましても、基本的には同じ考え方に立っております。しかし、1月に公表した調整案は、地域の皆様方からなかなか十分な御理解が得られなかったということから検証を行いまして、その結果明らかになった課題を踏まえて、今回の再調整案におきましては、生徒、保護者、地域住民、あるいは産業界のニーズでありますとか、あるいは県の産業振興施策の方向性、こういったものを踏まえるとともに、その地域の抱えている事情など、こういうものにも配慮しながら、必要な見直しを行ったところでございます。
 1学年2学級校の取り扱いにつきましては、前期計画では、入学者が2学級に満たない状況が3年続いた場合にはブロック内で調整するとされておりますけれども、今回は地元の皆様方の御意見を伺いまして、再調整案ではその具体的な取り扱いを定めたところでございます。これまでのところ、県教育委員会に対しましては、地域の皆様やあるいは学校現場から、疑問であるとか反対の声は直接は寄せられておりません。また、各地域におきましても、特に反対の動き、こうしたものは見られないことから、県教育委員会としては、このたびのこの再調整案については、県民の皆様方からは一定の御理解をいただいているものと現時点では受けとめております。しかし、先ほども申し上げた多部制・単位制高校の設置などのそうした要望の動きもございますことから、この後期計画の成案の策定までにさらに広く県民の皆様の御意見を伺いまして、議論を重ね、できるだけ成案に反映するようにさらに努めてまいりたいと考えております。いずれにいたしましても、高校再編を進めるに当たりましては、やはりこれまでの成果や課題というものをしっかりと検証しまして、そして地域のニーズや生徒の志望の動向、さらには教育を取り巻く環境の変化など、こうしたものを十分把握しまして、そして、地域の皆さん、学校現場の皆さんとの話し合いを深めて、その御理解をいただくとともに、県全体の施策との整合性を図りながら着実に進めていかなければならないと、このように考えております。

〇14番(飯澤匡君) 前期計画で大変汗をかいた高校にとってはちょっと……。それとまた、壇上での質問の答弁では、前期計画のその高校については大変好評を得ているというようなことがありますが、それは間違いであるということは正したい。それは、例えば大東高校であり、千厩高校であれ、地域住民または同窓生が要望している、そういう学校周辺環境の整備については、これはおくれているものもあるし、それから全く手つかずのものもある。やはり統合ありきの中で諮って、前期計画が物すごい勢いで押してきたわけですよ。そして後期計画になって、これは県議会の中でも超党派で地域の事情を聞きながら、そしてまた専門高校の配置についてはきちっと考えを改めてやっていただきたいという経過がありますけれども、私が問いたいのはその内容ではなくて、やはり県教育委員会の考え方です。これはやはり一貫性を持ったものがないと、教育長は、言い方については、これは統一性があるというふうに言っていますけれども、私はそうは思わないんです。それはやはり後から出してきたもの。例えば1学年2学級の問題にしろ、これは後から出してきたでしょう。前期で統合を果たしたものにとっては、これはかなり不快な問題ですよ。これはやはりきちっと説明責任を果たすべきだと思います。弾力的な考えをやったというのであれば、前期計画の部分についてはどのようにこれからまた未整備の部分を配慮するのであるのかということ。
 それから、後期計画。この間、藤沢高校の説明に県教委の方から参りましたけれども、先ほどの県民からの意見聴取の部分にもかかわりますが、非常にこれは態度が投げやりでありました。これは千厩高校、それから藤沢高校普通科が一緒になるわけでございますが、これは地域の整備検討委員会にある程度任せますというような、これをもって藤沢高校の地域住民の方は、ああ、それならばこれは統合しなくてもいいのではないかと、これは県教委の姿勢も問われた非常に不可解な、そういう会でありました。でありますから、私は非常に前期計画、後期計画のこの分については、弾力性を持って言ったのはいいんですが、その理念がきちっと県民について明らかになっているのかどうか、そこが一番心配なわけでございます。これからどういうふうに進めていくのか、教育長さんのまず考え方をもう一回聞いて、質問を終わります。

〇教育長(照井崇君) これからさらに地域の皆様方に御意見を伺うんですが、やはり真摯に耳を傾けまして、誠意を持って対応していきたいと思いますし、ただいま御指摘のような説明不足というような点もあるというようなことでございましたので、きちんとそこは県民の皆様に御納得いただけるよう丁寧に説明してまいりたいと、このように考えております。

〇議長(伊藤勢至君) 次に、佐々木博君。
   〔29番佐々木博君登壇〕(拍手)


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