平成19年9月定例会 第3回岩手県議会定例会会議録

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〇2番(久保孝喜君) 政和・社民クラブの久保孝喜でございます。
 今春の北上選挙区において選出をいただき、初登壇となる機会をいただきました。今後とも、先輩議員各位の御指導と、県当局の温かい御配慮を切にお願いを申し上げます。
 また、質問に先立ち、さきの大雨洪水により被災をされました県民の皆様に、心からのお見舞いを申し上げます。
 自然の驚異をまざまざと見せつけられた災害でありましたが、防災上の課題の多くが、国を含む地方自治体の責務、行政課題として、なお多く存在をすることを明らかにした災害でもあったと思います。この際、関係機関皆様の一層の御努力をお願い申し上げたいと思います。
 それでは、通告に従い順次質問を申し上げます。
 最初に、福田新政権の評価についてお伺いをいたします。
 さきの参議院選挙において、惨敗を喫した安倍政権が、国民の予想を裏切り続投を宣言したことも驚きではありましたが、御本人がいみじくも表現した、最悪のタイミングで政権を投げ出した事態は、県民のだれもが驚きました。達増知事は、これまで、マスコミを通じて、その時々の政局に関し、政治家たる個人の立場を含めコメントを発してきました。今回の自民党総裁選に至る過程、特にも、安倍総理退陣の際には、かなり辛らつで厳しいコメントが発表され、受けとめ方はさまざまにあったにせよ、驚いた県民も多数ございました。今回の福田政権誕生とその所信表明をどのように受けとめられたでしょうか、感想をお伺いいたします。
 福田総理の所信表明では、総理選出に至る力学に配慮した新味に乏しいものとの評価が一般的ではありますが、強いて注目するとすれば、この間の改革によるひずみ、わけても、格差の問題を正面から受けとめると表明したことかと思われます。しかし、この格差が、改革なるものの結果としてあらわれたひずみである以上、その方向性を転換しない限り、アクセルとブレーキの使い分けでは根本的解決とはならず、早晩、行き詰まるものと思われます。格差に関する現状認識のあいまいさだけが目立つものとなっております。
 そこで、達増知事は、地方格差と呼ばれる実相をどうとらえ、こうした所信表明を行った新政権に、どう向き合おうとお考えか、お示し願いたいと思います。
 また、所信表明では、安倍政権のフレーズをそのまま踏襲して、分権改革と道州制の推進を表明しています。トーンとしては低いものの、総務大臣に増田前知事の続投という背景もあって、その基調に変化はないものと思われますが、知事は、こうした路線に対しどういう所見を持っておられるでしょうか。特にも、道州制に対する所見をお伺いいたします。
 次に、県出資法人改革推進プランと住宅供給公社についてお伺いいたします。
 住宅供給公社に関しては、平成15年2月に、包括外部監査により廃止すべきとされ、その後設置された公社のあり方検討委員会では、8カ月、7回の検討の末に、条件つき存続が提言され、そして、そのわずか2カ月後に、県出資等法人改革推進プラン策定において廃止、という決定という、まさに二転三転の末の政策決定過程をたどりました。
 そもそも、当時の風潮が、民にできることは民にという事情もありますが、しかし、そこで本当に問われるのは、住宅政策上の誠実かつ真摯な議論が行われたのかということであり、今さらながら、その経過を残念に思うものであります。
 今、格差の拡大による若年勤労者の住宅取得が厳しい現状にあって、公的な住宅供給の役割は、拡大こそすれ小さくなり、あるいは、終わったとは到底思えない状況にあります。前知事時代の政策決定ではあっても、現下の格差の現状を考えたとき、見直しを含めた検証があるべきと思われますが、どうお考えでしょうか、所見をお伺いするものです。
  また、公社解散に向けては、既に関係機関を含めた公社整理対策連絡協議会により、平成16年9月に整理経営計画が策定されております。平成20年度末とされる公社廃止時期までに、計画に沿った具体の事業は完結することができるのでしょうか。公社資産の処分を中心に、見通しを示していただきたいと思います。
 また、現在、公社は、販売物件に係る買戻し特約の抹消登記に向けた手続を購入者に促しておりますが、公社解散時点までに完了する見通しなのでしょうか。さらに、分譲住宅には、瑕疵担保中の物件等の法的問題が存在しますが、これを今後どう取り扱うのか。販売物件等に対するクレームなども予想される中、こうしたこれまでの販売に伴う解散以後の体制を説明できないままに、販売に現在もなお営業活動がされている現状にあります。県民に対する公的責任、販売者責任の将来にわたるアフターケアをどうするのか、解散時期まで1年半となる今でも明確になっていない現状をどう認識しておられるのか、今後の対応方針を示していただきたいと思います。
 結局、公社の現状を見る限り、私は、平成16年のプラン策定後、事業規模や業態に比べて、極めて短期間に事業廃止するには無理があるのではないかと思えてなりません。公社に莫大な累積赤字があって、将来にわたる県民負担の増嵩が予想されるケースならいたし方ないとも言えますが、公社の財務は他県のそれに比べても優良であり、累積剰余金や有利子借り入れの現状からも、緊急を要する状態ではないと思われます。現在の整理計画及び解散スキーム自体が窮屈に過ぎ、このまま公社を廃止することは、長年の住宅供給のノウハウや、これまでの県民の信頼を一挙に捨て去ることでしかないように思われます。いま一度、あり方検討委員会の提言に見られるような事業の可能性などを検証しながら、廃止スキーム全体の見直しが必要ではないかと思います。改めて、公社解散の意義を、県民利益の観点で示していただきたいと思います。
 次に、北上川清流化事業についてお伺いいたします。
 県は、毎年、政府要望項目として盛り込み、県政課題の重点事項としての認識を示し続けております。しかし、毎年の要望が一様なことに象徴されるように、前進が図られてはいないと思われます。国において、休廃止鉱山の鉱害防止事業の主体や財源、その将来にわたる責任主体が明確にならないまま推移している現状は、許しがたいものがあります。
 県が、年に一度だけ関係省庁を交えた連絡会なるものを開催し、問題の風化を阻止すべく取り組んでいるのは、まさしく最後の一線を何とか保持しているということだろうと思います。対政府交渉の今後をどう展望するのか、その最大の課題は何であるかをお示しください。
 また、政府要望に触れられている不測の事態とは、どういう事態を想定しているのでしょうか。その事態が、災害時や事故の可能性における水質悪化等を指すのであれば、どう予測をしているのか。それらの事態全般に対応できる体制はあるのか、現状での認識をお示しください。
 また、四十四田ダムは、北上川本川上の唯一最大の構造物として、清流化事業にとって欠くことのできない施設ですが、このダム貯水湖の堆積物について、環境面の課題が指摘されて久しい現状にあります。現在、国を中心とした関係者による貯水池堆砂対策検討委員会が、技術的アプローチを中心に対応を検討されておられるようですが、ダム建設当初の貯水能力にも影響があると指摘される堆砂量の問題、加えて、湖底堆積物には重金属を含む有毒性物質が多量に存在し、攪拌しゅんせつが困難とされることなど、困難な課題が横たわっていると伺っております。
 大雨洪水等の放流の際に、湖底の有毒性物質が流出し周辺環境に甚大な影響を与える可能性もあり、各方面から心配されている現状にあります。県としてどう認識されておられるのか、お伺いをいたします。
 さらに、こうした北上川の現状が、かつて赤い川として存在した事実や、清流が関係者の手による人工的な事業として継続されているという現実、さらに、それがほぼ永久的に継続していかなければならないということが、県民に十分認識されているとは言えないと思います。清流化の問題を一部関係者の議論にとどまらせず、早期に広く県民世論に訴え、ひいては、国の動きを加速させる必要を強く願うものであります。そのためには、宮城県を含む北上川流域の市町村を網羅する何らかの組織立てを緊急に整える必要があると思われますが、どうでしょうか。
 北上川流域は、全国でも名立たるNPO流域と呼ばれるほどの市民活動が盛んなエリアでもあります。そうしたNPOや流域自治体はもちろん、流域で工業用水を活用する企業なども含め、さまざまな連携をつくり出す意味でも、清流化事業に係る流域連携は有効かつ必要であり、その緊急性は高いと思われます。今後の取り組み姿勢と方針をお示しいただきたいと思います。
 次に、県立高校の再編についてお伺いをいたします。
 高校再編計画は、前期から後期へと引き継がれ、これまで多くの再編整備が行われる中で、県内の多くの地域に、一部対立的状況や小さくない感情的亀裂までも生み出してきました。その過程で、計画変更を余儀なくされる事態など、一定の混乱も呈してきました。
 これまで、地域の高校の存在意義を最大の論点としつつ、一方で、余り重視されなかった課題に、高校の存在による経済的効果という論点があります。また、再編による保護者の家計に及ぼす影響も小さくありません。地域間格差の議論を持ち出すまでもなく、県の政策による地域経済の変化や県民世帯の家計に与える景況は、高校再編にかかわる地下水脈的論点であると思います。高校再編の結果に伴うそうした事後評価を考えることは重要と思われますが、どのようにお考えでしょうか。現状をどう認識し今後の再編整備に取り組むのか、御所見をお伺いいたします。
 このように、前期、後期の再編計画を通じて提起された課題は大変重く重大であります。県内にあっても、ほぼ全入に近い進学率の中で、学びの権利をどう保障するのか。通学、進路、家計、いずれも生徒だけにゆだねてしまっていい問題ではありません。
 少子化の社会構造がこの先も継続する中で、教育の効率性や学校の適正規模論による整備が引き続き行われる限り、地域づくりとは無縁の教育論との指摘、あるいは教育論なき改編と非難される事態は深刻であります。このままで推移すれば、歯どめのない再編に進むとの県民世論にどうこたえるのか、県勢発展の中長期的政策としての展望が求められております。高校再編について、現在の後期計画以後について、その展望をお示しいただきたいと思います。
 今議会の議案に付されている再編対象の学校は、いずれも中山間・沿岸地域の高校が主であることから、新年度は、県の再編計画の象徴的改編年度とも言うことができます。
 本県の地理的現状を抜きに語れない高校教育の将来像、わけても、中山間・沿岸地域の期待感は極めて大きいものがあります。高校の存在は、地域存亡の大きなかぎでもあります。これまでの再編議論の焦点もそこにありました。指摘される効率性や適正規模の行き着く果てが、結局、平場の高校しか残らないという現実を生み出しかねないとの危惧は、私だけではないと確信するものです。したがって、今こそ決断しなければならない点は、小規模校の配置基準をどうするかという点であります。再編整備計画が高校標準法に即してと言いながら、学校単位では、標準生徒数より低いレベルで取り扱い方針を決めていながら、学級単位では法の水準、すなわち、1クラス40人をかたくなに変えないでいる現状は、明らかに大きな矛盾と言わなくてはなりません。当面、例えば中山間・沿岸地域の小規模高校にあっては、30人、20人の学級編制を基準とするなど、抜本的な方針変更が必要ではないでしょうか。地域づくりや教育の本質に立ち返る議論として検討すべきと思いますが、どうでしょうか、達増知事の所信をお示しください。
 次に、多重債務者対策についてお尋ねいたします。
 政府の多重債務者対策本部が取りまとめた多重債務問題改善プログラムが発表されております。その中では、これまでの全国的取り組みの中で、岩手における対策がモデルになると指摘され、全国の自治体がその持てる機能を最大限発揮するよう、強く促しております。私にとっては、うれしい発見でもありました。
 現在、全国の消費者金融の利用が少なく見ても1、400万人と言われ、うち、多重債務者が200万人を超えると指摘されております。当然、県内にあっても、相当多数の多重債務者の存在があり、これまでそうした岩手方式と呼ばれる緻密な対策が講じられてきたのであります。格差や貧困の具体的な象徴に挙げられるこの課題は、自治体にとっても大きな課題として存在をしています。この際、県は、これまでの取り組みの成果をどうとらえ、今後の課題をどう設定しているかを御紹介願いたいと思います。
 これまでの多重債務者問題は、その負債の解消が第一義であり、その相談と解消方法にどのように切り込んでいくかが焦点となってきました。しかし、現実の問題は、そこにとどまらないということも明らかになってまいりました。債務解消を関係者の力によってなし遂げた次の段階で、新たな生活設計を立てようにも、あるいは心機一転、就職しようにも、住居の問題などを含め準備がかなわず、生活資金を借りたくとも、債務解消の際に、個人破産をした者にその手段は閉ざされているという壁が存在しているわけであります。生活の再建の道筋をどうつくるか、これが問題となっております。現在、社会福祉協議会が、こうした資金融通の窓口となっているものの、その利用は極めて低い現状にあります。
 県内34市町村が、債務解消のために要する資金を預託し、信用生協が貸し付けを実行するこれまでの取り組みは、全国の先進事例となってきました。そして、今必要なのは、これまでの債務解消対策から、生活再建に向けた資金を、どう必要とされる当事者に貸せるのか、その原資をどう調達するかにかかっております。これまで評価されてきた本県の取り組みをさらに拡充する意味でも、県の新たな対応策が求められていると考えます。そのために、県として、新たに生活再建に資する資金預託を考えるべきではないかと思いますが、御所見をお伺いいたします。
 次に、放課後児童対策についてお伺いいたします。
 厚生労働省による放課後児童クラブガイドライン案が示されました。これまでの学童クラブの実態を踏まえ、放課後児童健全育成事業からの発展型として、学童保育を2万カ所にふやそうという方針のもとで、意欲的な内容になっているとの評価があります。県のこれまでの学童保育拡充の方針に照らし、今回のガイドライン案をどう評価しているのか、お示しください。
 同ガイドラインでは、71人以上のクラブは分割しなくてはなりません。現在、県内にあって、71人以上のクラブは31クラブに上り、学童クラブの性格上、少子化や共稼ぎ世帯の増大の中で、大規模化が今後とも進行するものと思われます。そうした中で、クラブの分割が施設の間仕切りでも可能であるとの見解が示された結果、全国の関係者から、その稚拙きわまる政策に非難が集中しています。窮余の策としての間仕切りが、分割の是非にまで議論が及び、市町村の対応を含め、一定の混乱が現場に生じていると思われます。分割による弊害を少なくしたいと思いつつも、分割すれば、結果的に全体の補助額がふえてしまう市町村の苦悩があり、混乱を回避すべく現状を固定すれば、補助金対象外となってしまう学童クラブの嘆きもあります。今後、学童クラブを求める社会状況が拡大する県内市町村は、こうしたジレンマに苦しんでいくことになります。県は、市町村の苦悩にどうこたえていくのか、学童保育の将来像を見据えた方針をお示しください。
 また、学童クラブと放課後子ども教室の二つの事業を国においては放課後子どもプランと称し、一体的あるいは連携して推進するという枠組みを示しております。もとより、対象児童も理念も違うこれら二つの事業は、連携することはできても一体化は不可能なはずであります。不可能なはずの一体化が殊さらにひとり歩きすれば、学童クラブの将来にかかわって関係者の危惧も生まれているところであります。県における主体的な政策判断として、両事業の現状と将来像、その連携策をどう考えているのか、方針をお示しください。
 最後に、バス交通対策についてお尋ねいたします。
 本県におけるバス交通対策は、6月議会における議論も踏まえると、今後、市町村による総合的対策、すなわち、廃止路線の増大を踏まえた市町村独自のバス対策事業を構想すること、その点に県の支援の中心を置くとの姿勢が見られます。地域にとってのバス交通は、今や交通政策にとどまらず、福祉の課題、地域づくりの課題、集落存続の課題にまで深刻化している現状にあります。当然ながら、補助金によっての路線維持にはおのずから限界があり、県とても同様である現状は否定できません。しかしながら、財政問題を脇に置いてでも路線の維持が至上命題となるケースは多くなると思われますが、県において、今後の路線維持にかかわる基本的スタンスをどうされるのか、お示しください。どのような基準で、どの程度の支援、段階的支援措置等をどうするのか、基本的方針をお示しいただきたいと思います。
 昨年、道路運送法が改正されました。それにより、制度化された協議組織である地域公共交通会議は、その名が示すとおり、地域のバス交通を含めた全体のサービスのあり方を協議する組織として、画期的なものになり得ると言われております。しかしながら、県内の設置状況が、予定を含めても9市町村にとどまっている現状は、財政的背景に伴うバスを含めた地域交通の将来像に苦悩している市町村の姿がうかがえます。地域みずからが地域の交通の将来像を描き、その方途を探る手段として有効であると思われるのですが、県として、地域公共交通会議に対してどのようなことを期待しているのか、あわせて、現在の設置状況に対する認識をお示しください。
 また、同法においては、この地域公共交通会議を県においても設置することができるとされておりますが、方針はおありでしょうか、お伺いいたします。
 また、これまで継続してきた路線維持に係る県補助の実態からも、補助の継続は必要だと思われますが、これまで示された当面の措置以降についてはどうなされるのか言及されておられません。説明願いたいと思います。
 財政的背景の不透明感はそのとおりとしても、県民の暮らしに直結する施策の今後について、当面の市町村総合補助金への期限つき措置だけの説明では、不誠実であると思います。一定の方向性なり、基本的考え方を示すべきであり、地域公共交通会議との兼ね合いや市町村における今後の取り組み方向、県との役割分担についての見解を示すべきと思います。
 市町村にあっては、現下の厳しい国の方針に加え、県の姿勢までが見通せないのでは、ビジョン構築がままならないと言われること、必至であります。これまでの補助金を市町村総合補助金措置とした真意と、今後の支援方針をお示しください。
 以上、7項目にわたる質問を申し上げました。幾つかの項目においては、答弁内容に沿って再質問させていただくことを申し添え、質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 久保孝喜議員の質問にお答え申し上げます。
 まず、福田総理の誕生と所信表明をどのように受けとめたのかについてでありますが、さきの参議院議員選挙における与野党逆転は、自由競争と構造改革の名のもと、さまざまな格差の拡大と地方の疲弊が進んでいく中で、消えた年金や政治と金等の問題が相次いで発生する事態に対し、民意が示された結果によるものと考えております。その結果を受けての安倍総理の続投、安倍内閣改造、安倍総理の突然の辞任、そして、福田内閣の発足との目まぐるしい展開が、示された民意にこたえたものなのかは、今の段階ではよくわかりません。
 今臨時国会における所信表明演説では、構造改革により格差問題が生じたことを認めながら、自立と共生という理念を掲げており、これまでの政策を転換する方向性が示されたのかもしれないというふうに考えております。
 現内閣には、参議院議員選挙で示された民意に的確かつ早急にこたえていく責任があり、参議院において野党が多数を占めている状況においてどのように国政が進められていくか、注視してまいりたいと考えております。
 次に、地方格差問題に対する認識についてでありますが、これまで地方分権が進まない中で推し進められてきた市場原理優先の経済財政政策などにより、中央と地方における経済的な格差が拡大してきたところであり、本県においても、依然として厳しい雇用環境や医療資源の地域偏在、さらには、財政状況の逼迫などのさまざまな危機に直面しているところであります。
 福田首相の所信表明においては、地域間格差などの問題に対し、これまでの改革の方向性は維持しつつ、実態から目をそらさず、生じた問題には一つ一つ処方せんを講じるという考えが示されております。しかしながら、こうした地域間格差が我が国の構造的な問題に起因することにかんがみますと、個別に対応する対症療法的な手法ではなく、現行の制度や仕組みを根幹から変えていく必要があると考えているところであります。
 今後においては、国の政策を注視しながら、地域や中小企業の活性化などに資する誤りのない確かな経済財政運営や、地方においても、必要かつ十分な医療や福祉サービスを受けることのできる仕組みの構築、さらには、国の財政再建に軸足が置かれ、不十分な内容であったこれまでの分権改革の反省を踏まえた真の分権改革の推進などについて、国に対し地方の声をしっかりと伝え、行動し、また、必要に応じて対峙しながら、格差問題にも適切に対応してまいりたいと思います。
 次に、分権改革と道州制の方向性についてでありますが、所信表明において、地方分権に関しては、一層の権限移譲と地方税財政の改革に取り組むことが示され、また、道州制については、地方分権の総仕上げとして、実現に向け検討を加速していくと述べられたところであります。
 地方分権改革については、具体的にどう進めようとしているかについては触れられていませんが、地方の意見を反映しながら具体化していくことが必要であり、地方の意見を真摯に受けとめ、真正面から取り組み、真の分権改革を推進していくべきと考えております。
 一方、道州制については、私は、県民の暮らしがどのように変わるのかなどが示されないまま、首長・議員の選出方法や条例制定権などの制度や組織のあり方についての議論が先行しているものと感じておりまして、これから解決すべきさまざまな課題があると認識しております。まずは、地方税財源の充実強化や国と地方の役割分担の徹底した見直しなど、これまで提起してきた分権改革における課題の解決に優先的に取り組んでもらう必要があると認識しております。
 次に、住宅供給公社の公的な住宅供給の役割についてでありますが、住宅供給公社は、住宅を必要とする勤労者に対し、居住環境の良好な集団住宅及びその用に供する宅地を供給することを目的として昭和40年度に設立されたものであります。設立されて以来、住宅不足の解消や住環境の向上に貢献してきたところですが、社会経済状況の変化等から、平成14年度の包括外部監査において、総住宅数が総世帯数を超えるとともに、民間事業者による分譲住宅戸数の供給が公社の供給を大幅に上回っていることから、当初の存在意義がほぼ失われたため、廃止すべきと指摘されたところであります。
 また、平成15年度には、岩手県住宅供給公社あり方検討委員会から、これまでの住宅供給からの転換を図り、高齢者の居住の安定を図る等の地域の住宅課題を解決する事業体系の構築を目指すものとし、条件つきで公社の存続を提案するとの提言がなされております。
 県としては、このような経過をも踏まえ、平成15年度の県出資等法人改革推進プランの策定において、民間でできることは民間にゆだねるとの原則に基づき検討した結果、住宅を必要とする勤労者に対する良質な住宅供給という役割は終えたと判断し、また、公社の高齢者向け住宅供給のノウハウも不足していることから、平成20年度までに解散するとしたものと承知しております。平成15年度当時における住宅事情は平成19年度現在でも変化なく、引き続き住宅供給公社の役割は終わったものと考えられ、また、平成17年度の地方住宅供給公社法の改正により自主解散の規定も整備され、解散に向けた環境も整備されたことから、当初の予定どおり住宅供給公社の解散を進めているものであります。
 次に、北上川清流化事業についてでありますが、この事業は、さまざまな経緯を経て、県が国の補助金のもと中和処理施設を整備し、管理しているものでありますが、本来的に、鉱山行政を所管する国がその責任において対応すべきものであると認識しております。このため、これまで、政府予算要望などを通じて、補助制度を法律に基づいたものにすること、施設の大規模改修の際の方針を明確にすること、大規模災害が発生した場合の危機管理体制を確立することなどについて、特に重要課題として働きかけてきたところであります。この間、県が事業主体となり、25年間にわたり事業を進めてきたところでありますが、国の方針は変わらず、逆に補助率引き下げの動きもあった中で現状が維持されてきたという経緯がございます。
 県としては、現在のスキームを最低限維持するとともに、国がその責任を果たすよう要望を継続しながら、大きな課題が生じた場合には、5省庁の局長クラスによる会議の再開を求めるなどして北上川清流化に万全を期してまいりたいと思います。
 次に、県立高校の再編計画に伴う地域経済、家計への影響についてでありますが、平成12年度から平成21年度の県立高等学校新整備計画においては、生徒一人一人の多様な能力や適性を生かしていくことを基本として、少子化に伴う生徒減少への対応をも視野に入れながら、これからの地域を担う子供たちが、興味・関心、進路希望等に応じて選択できる多様な高校の配置や、多くの友人と切磋琢磨することにより、人間性豊かでたくましい生徒を育成できるよう、活力ある教育環境の整備を目指してきているところであります。これまで、この計画に基づいて、総合学科高校の設置や望ましい学校規模への再編などを着実に進めてきているところであり、今後も、引き続き計画の目的達成のためにしっかりと取り組むことが必要と考えております。
 しかしながら、高校再編に伴い、統合により地域に高校がなくなる場合には、通学費が必要になり、家計にとっては無視できないような負担になっている場合もあると考えております。また、地域によっては、地域の若者を育てる県立高校がなくなることは、過疎化や地域の衰退に拍車がかかるのではないかといったような将来への不安を地域社会にもたらしていることも事実であると認識しております。
 そこで、ポスト再編計画の展望についてでありますが、平成22年度からのポスト再編計画については、教育委員会において、来年度、有識者による検討委員会を立ち上げ、現在の計画の達成状況を検証しながら、将来の高校再編のあり方について検討を進める方針であります。具体的な議論はこの検討委員会にゆだねたいと考えますが、現時点において私が考える幾つかの視点を申し上げたいと思います。
 まずもって、前提として考えなければならないことは、少子化の進行ということであります。本年3月の県内の中学校卒業者数は1万4、576名でありますが、9年後の平成28年3月の中学校卒業予定者数は1万2、296名で、2、280名、約16%減少する見込みであり、このような生徒数の一層の減少が確実に見込まれるという背景の中で、社会的に有為な人材を育てるという観点に立って、高校教育のあり方を総合的に見直していかなければならないと考えています。
 具体的に申し上げますと、その第1の観点は、教育的な観点であります。生徒一人一人のニーズの多様化を踏まえて、個性的な学びの場を保障していくこと、さらには、学力と人間力の両面を兼ね備えた、たくましい人材を育成していくことが重要であります。このためには、昼間部、夜間部をあわせ持つ新しいタイプの定時制である多部制高校や中高一貫教育校など、特色ある学校づくりを検討する必要があります。また、高校生という発達段階にあっては、生徒が多くの友人、教師と触れ合い、お互いの切磋琢磨により学力を鍛えるとともに、集団の中で社会性や協調性をはぐくんでいくことはとても大切なことであります。そのためには、ある程度の学校規模を確保するための再編という考え方は必要になるものと認識しております。
 第2の観点は、地域振興の観点であります。県内各地域における農林水産業、製造業、サービス業など、それぞれの地域の特色を生かした産業振興のあり方とマッチした人材育成のあり方を検討しなければなりません。これからの社会経済動向の変化などを踏まえながら、例えばものづくり産業の振興と工業高校のあり方、農業の振興と農業高校のあり方などを十分に検討していくことが必要であります。このほか、NPO法人による学校設置など、さまざまな形での地域の活力や民間活力を生かした新しい学校づくりのあり方についても十分に念頭に入れておかなければならないと考えます。
 私としては、このような視点も踏まえた上で、教育委員会における有識者検討委員会において十分に議論を尽くしていただきたいと考えております。
 次に、中山間・沿岸地域の高校教育の将来像についてでありますが、この点についても、ポスト再編計画策定の際に十分に検討していくべきものでありますが、現段階において、私としては次のような二つの視点が重要と考えております。
 まず、第1点目は、中山間地域や沿岸地域においては、県平均を上回る人口減少や高齢化が進むなど多くの課題に直面している中で、この地域の基盤産業である農林水産業の振興をどのように進めていくのか、また、付加価値の高い食品産業のような特色ある産業をどう展開していくのかといった地域産業の活性化の視点を十分に踏まえた上で、将来を担う人材をどのように育てていくかという視点を重視することが、地域の高校教育の将来像を検討するに当たり、重要と考えます。
 第2点目としては、広大な県土を有する本県の地理的条件を考慮した場合、通学手段となる公共交通機関がない地域もあり、高校教育を受ける機会をどのように保障していくのかという教育の機会均等の視点も検討の際の重要事項になると考えます。
 以上のような二つの視点も踏まえながら、それぞれの地域の実情を十分に把握し、分析した上で、地域に合った高校教育のあり方を慎重に検討することが必要と考えます。
 その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁させますので、御了承をお願いいたします。
   〔県土整備部長西畑雅司君登壇〕
〇県土整備部長(西畑雅司君) 住宅供給公社解散に向けた整理・経営計画についてでありますが、住宅供給公社は、平成16年9月に公社が策定いたしました整理・経営計画の基本方針に基づき、平成20年度までの解散に向けて、すべての保有資産の処分に鋭意取り組んでおります。
 現在の分譲宅地の販売等の状況については、平成16年度92区画、17年度161区画、18年度101区画であり、平成19年4月から9月までに申し込みのあった43区画を合わせますと397区画となり、進捗状況は57%となっております。また、公共施設用地等につきましては、23物件中、平成18年度までに6物件、その他用地につきましては、52物件中44物件の処分を行っております。残資産につきましては、公社において引き続き積極的に販売促進に努めることとしておりますが、解散までに販売できない資産が出る可能性もあり、この取り扱いについては、今後、出資市や土地所在市町と協議を行っていくこととしております。
 次に、公社解散に向けた既購入者に対するアフターケアについてでありますが、買戻し特約登記は土地の転売防止のために付しているものでございますが、既に買戻し特約期間を経過するか、期間内でも、公社側で特約を解除しており法的拘束力はないものの、登記がなされているため、購入者が処分する際に支障となる場合もあります。公社においては、購入者の利便を図る観点から、平成18年度よりすべての購入者に登記の抹消をお願いする文書を発送し、平成19年9月末までにおおむね半数が抹消登記してございます。県としましては、今後の抹消の進捗状況を見ながら、さらなる周知などにつきまして公社と検討していくこととしております。
 公社は、平成15年度まで分譲住宅を販売しておりましたが、そのすべてにつきまして、住宅性能保証制度に加入した上で販売しております。このため、住宅供給公社が解散しても、住宅引き渡しから10年間は、住宅の主要構造部分に瑕疵が生じても、財団法人住宅保証機構等からの補償が可能です。宅地分譲については、現状での引き渡しであり、瑕疵担保責任を負うような問題はほとんど生じないものと考えております。
 県といたしましては、公社解散に伴う住宅や宅地の瑕疵担保責任について、設立団体である県が引き継がなければならないという法的根拠はございませんが、瑕疵担保責任の取り扱いについては先例がなく、今後、国土交通省と協議を行いながら検討してまいります。
 なお、既に購入された方が公社解散後の対応に不安を抱かないよう、今後、けんみん住宅プラザ等を活用し、抹消登記や住宅性能保証制度等の情報提供に努めてまいります。
 次に、県の住宅政策における公社解散の意義についてでございます。
 住宅供給公社につきましては、民間事業者による分譲住宅戸数の供給が公社の供給を大幅に上回っております。それから、総住宅ストック数が総世帯数を上回る状況を勘案すれば、これまで公社が果たしてきた、住宅を必要とする勤労者に対する良好な住宅供給という役割は終えたものと判断しております。
 また、岩手県住宅供給公社あり方検討委員会におきましては、高齢者の安定居住を図る高齢者向け住宅の供給を県公社の最重点事項として位置づけるとされておりますが、高齢者向け住宅の供給は、住宅供給公社の解散の有無にかかわらず、県、市町村などの関係機関が連携して取り組んでいけるものと考えております。平成19年8月末までに、住宅供給公社が関与することなく高齢者向け優良賃貸住宅30戸の供給と高齢者の入居を拒否しない高齢者円滑入居賃貸住宅982戸の登録がなされており、その戸数も年々増加しているところでございます。
 公社の財務状況を平成18年度決算で見ますと約40億円の資産超過となっており、現在のところ公社は健全な財務状況を維持してございますが、単年度収支につきましては、包括外部監査において、県公社は毎事業年度1から2億円の赤字が出る可能性が高いと指摘されたところであり、平成18年度決算においても約3億円弱の事業損失を計上していることから、将来、財務状況が悪化し、県民負担が発生する前に廃止することが県民利益の観点からも最も合理的であると考えてございます。
   〔環境生活部長菊池秀一君登壇〕
〇環境生活部長(菊池秀一君) まず、北上川清流化事業についてでありますが、危機管理上の課題と対応方針というお尋ねにつきましては、不測の事態とは、地震などの災害によって新中和処理施設の機能が停止した場合や、何らかの原因によりまして予想外の箇所から坑廃水が新たに流出するなど、新中和処理施設の稼動によっても北上川の清流化が保てなくなる場合を想定しております。
 また、水質悪化がもたらす事態の予測につきましては、平成13年度に県が金属鉱物資源機構に委託して予想被害額を調査したところ、農業用水、工業用水、生活用水で年間493億円の被害が生じると推計されたところでございます。
 このようなことから、県から問題提起いたしまして関係5省庁と事務レベルで協議を重ねた結果、炭酸カルシウムで対応できる範囲内の事態に対しましては、県が新中和処理施設から炭酸カルシウムを河道投入することで了解を得、今年度から施設管理の受託者である金属鉱物資源機構との委託契約にその旨盛り込んだところでございますが、大規模災害の発生への対応という大きな課題は依然として残されており、引き続き国に働きかけていく考えでございます。
 次に、四十四田ダムの堆積物についてでありますが、国土交通省北上川ダム統括管理事務所では、堆積物の影響を評価しダム機能維持の方策を検討するため、昨年3月に四十四田ダム貯水池堆砂委員会を設置しておりまして、最終結論はまだ出されておりませんが、ことし6月に開催された第2回委員会で部会報告がなされております。これによりますと、急激な堆砂の影響により洪水時の貯水能力機能が損なわれているとしてはおりますものの、環境への影響につきましては、各種調査、具体的には、平水時や洪水時におけるダム下流地点における水質検査、ダム湖底の堆積物の検査、周辺地下水の測定、ダムに生息する魚類の分析等の結果を総合的に判断して、砒素を含んだ堆積物による水環境への影響は小さいと考えられ、その存置を許容する。ただし、今後の監視体制を整理し、適切にモニタリングするとしております。この委員会には県も参加しておりますので、今後の検討が進む中で、環境への影響について確認していくとともに、引き続き、国において適切なモニタリング調査が行われるよう働きかけていく考えであります。
 次に、清流化事業に係る流域連携の構築についてでありますが、旧松尾鉱山の坑廃水対策を進めるため、本県を初め、宮城県、北上川流域の市町村、水道企業団及び国の関係機関等を構成員といたしまして、昭和50年に北上川水系水質汚濁対策連絡協議会が設立されております。この協議会は、昭和57年に新中和処理施設が稼動した後も活動を継続しておりまして、北上川の清流化にかかわるさまざまな活動を行っております。具体的には、北上川の水質汚濁対策についての情報交換、小学生の図画コンクールや水生生物調査などの啓発普及活動、水質事故対策訓練等でありまして、流域の住民に北上川の清流の大切さを伝えております。県もその構成員であり、今後とも、このような活動に参加しながら活動の活性化を図るとともに、さまざまな機会を通じまして北上川清流化事業の重要性を県民に情報提供していきたいと考えております。
 次に、多重債務者対策についてでありますが、まず、岩手方式の課題というお尋ねにつきましては、県におきましては、多重債務者対策として、各種相談に対応するため、県民生活センターを初め県内11カ所の広域振興局等において窓口を設置するとともに、センターでは土日も開所して相談に応じてきたところでありますが、こうした取り組みの結果、平成15年度をピークに多重債務関係の相談件数は減少傾向にございます。
 また、多重債務者の個別的、専門的な相談にも対応するため、昨年度からは弁護士不在地域に弁護士を派遣する出張相談を実施しておりまして、その結果、これまで相談する機会に恵まれなかった方々の救済にもつながっているものと考えております。さらに、岩手県消費者信用生活協同組合においては、平成元年度から債務整理のための借りかえ資金の融資制度を運用し、本県の多重債務者の救済に大きく貢献してきたところでございまして、このことが全国から岩手方式として注目されております。
 今後の課題といたしましては、県としては、依然として表にあらわれない多重債務者が多数いることが想定されますことから、こうした方々が相談しやすい環境づくりと救済に向けた支援、さらには新たな多重債務者の発生を予防するための各種普及啓発などに一層取り組んでいく必要があると考えております。
 次に、セーフティネット貸し付けに対する方針についてでありますが、生活再建に資する貸付制度につきましては、これまで生活福祉資金や母子・寡婦福祉資金などで対応してきたところでございますが、岩手県信用生協が、ことし6月から主に多重債務を原因として一般の金融機関から借り入れができない人を対象とした生活資金を融資する生活再生資金貸付制度を独自に創設したところでございます。また、県民生活センターでは、ことし9月にセーフティネット貸付機関連絡会議を開催いたしまして、県、岩手県社会福祉協議会、東北労働金庫岩手県本部、岩手県信用生協が連携いたしまして、多重債務者に対する適切な貸付制度の相互の紹介、誘導に取り組んでいるところでございます。
 県からの資金預託については、信用生協の自主的取り組みが始まったばかりであり、現時点では考えていないところでございますが、当面、こうした制度や取り組みの状況を注視していきたいと考えております。
   〔保健福祉部長赤羽卓朗君登壇〕
〇保健福祉部長(赤羽卓朗君) 放課後児童対策についてでございますが、まず最初に、国のガイドラインの評価でございますが、放課後児童クラブにつきましては、県ではこれまで、障害児加算や少人数クラブ助成などの県単補助も行いながら、全市町村への設置を目指して、量的な拡充に努めてきたところでございます。こうした中で、本年7月に示されました国のガイドライン案には、現行の国の実施要綱にはないクラブの適正規模あるいは児童1人当たりの面積などが望ましい姿として明記されておりまして、クラブの質的向上に一定の効果があると考えております。
 なお、県としては、国ではガイドラインに沿わないことをもって国庫補助対象外とはしないとの方針と伺っておりますが、こうした方針が継続されますよう注視してまいりたいと考えております。また、各クラブができるだけガイドラインに沿った運営ができるよう、市町村とも連携し、指導してまいりたいと考えております。
 次に、学童クラブの分割についてでございますが、本県では、15市町村31カ所のクラブが大規模クラブに該当し、国からは、平成21年度までに70人以下に分割することが求められているところでございます。分割に伴い必要となる整備費や分割後のクラブ運営費は国庫補助対象とされていると伺っております。
 県としては、市町村に対し、分割に当たって利用可能な国庫補助制度の活用についてお知らせするとともに、分割によって増加するクラブについても確実に運営費補助を受けられるよう、また、県や市町村になされております地方交付税措置が拡充され、必要な地域に父母や子供たちのニーズに対応して放課後児童クラブが維持され、つくり出されるよう、他県とも連携し、国に働きかけてまいりたいと考えております。
 次に、放課後児童クラブの現状と将来像、連携策についてでございますが、当部が所管しております放課後児童クラブは、県内32市町村230カ所で開設され、登録している児童数は9、300人余りとなっております。放課後児童クラブは、共働き家庭の父母たちが協力し合い、みずからの子供の日中の安全と健全な発達を願い、地域の人々や市町村の支援を受けながらつくり上げてきたものであり、児童の保護と健全な育成において大きな役割と社会的機能を有していると考えております。こうした役割や機能を持ちますことから、子育て支援という観点からも重要な事業と考えておりまして、県として、その運営について一定の支援を行ってきているところでございます。このような経緯にも十分に配慮しつつ、父母や子供たちなど地域のニーズを把握しながら、市町村とも連携し、拡充に努めてまいりたいと考えております。
 放課後にすべての児童が地域で安心して生活できるためには、放課後児童クラブと放課後子ども教室が連携して運営される必要があると考えております。県では、有識者で構成いたします放課後子どもプラン推進委員会を県教育委員会とともに設置しておりまして、県の放課後対策事業のあり方を検討するほか、両事業の指導員研修を一体的に行うなどにより連携を図っているところでございます。今後とも、県教育委員会と連携し、放課後児童対策に取り組んでまいりたいと考えております。
   〔地域振興部長藤尾善一君登壇〕
〇地域振興部長(藤尾善一君) バス路線維持の基本的スタンスについてでありますが、県は、広域的な立場から、複数市町村にまたがり、かつ1日当たり輸送量15人以上などの要件を満たす広域かつ幹線的なバス路線につきまして、国と協調してバス事業者への支援を行うとともに、市町村が地域にとって不可欠なバス路線に対する助成を行う場合には、市町村総合補助金により支援することとしております。さらには、同様に市町村総合補助金により、市町村が主体的に行うコミュニティバス等の地域の実情に応じた交通手段の整備に対し、支援することとしております。今後とも、バス路線の確保につきましては、地域の置かれた状況はそれぞれ異なることから、各市町村が住民の意向を踏まえつつ、地域の既存のバス車両等の交通資源等を総合的に勘案した上で対応していくことが地域のニーズに応じた運行サービスが確保できるという意味で得策であると考えております。
 県としては、こうした市町村の主体的な取り組みを支援するため、市町村総合補助金や地域交通サポートセンターによる市町村への情報提供や助言を行っていくとともに、ことし7月に設置いたしました公共交通利用推進協議会を活用しまして、県民の公共交通の利用を促す方策を検討するなど、公共交通の維持・確保に努めてまいりたいと考えております。
 次に、地域公共交通会議についてでありますが、地域公共交通会議は、地域の実情を最も把握している市町村が中心となりまして、住民代表、交通事業者、運輸局、道路管理者等をまじえ、地域の交通のあり方、地域の実情に応じた適切なバス運行形態等について協議する場でございまして、極めて重要な役割を担うものであると認識いたしております。しかし、当会議は、制度化されてから1年を経過したばかりということもございまして、設置市町村の数が少ない状況にありますが、県としては、機会をとらえて、市町村に対し当会議の設置について働きかけをしてきており、来年度には、全市町村のうち、半数程度において設置されるものと見込んでおります。
 なお、当会議は、御指摘のとおり、都道府県も設置できるとされておりますが、県では、例えば全県的なエリアでの地域交通のあり方に係る重要な課題などを検討しなければならない場合において設置することになるものと考えておりますが、今後、状況を見きわめつつ、適切な対応をしてまいりたいと考えております。
 次に、市町村総合補助金措置の真意と今後の方向性についてでありますが、市町村総合補助金については、これまでの県単独の補助制度を市町村総合補助金へ統合したということでございますが、そのねらいは、市町村がそれぞれの実情に応じた公共交通の確保に主体的に取り組む場合に対して、重点的に支援することとしたためでございます。
 市町村総合補助金を22年度以降も存続させるかどうかは現時点では明言いたしかねますが、バスを含む公共交通が県民の社会生活の重要な基盤であることは将来とも変わりはないものでございまして、したがって、その維持・確保は重要な課題であるということから、県としても適切な対応をしていくべきものと考えております。
   〔教育長相澤徹君登壇〕
〇教育長(相澤徹君) 放課後子ども教室の現状と将来像等についてでありますけれども、近年、ひとり親や共働き家庭がふえ、帰宅後にひとりでいる児童がふえているとともに、放課後に児童の安全を脅かす事件・事故がふえている現状にあり、地域で子供をはぐくむ仕組みをつくることが重要な課題であると考えております。こうした中、現在、放課後の児童対策として、県内427の小学校区中、132の学校区において放課後子ども教室、205の学校区において放課後児童クラブを実施しておりますが、まだ、どちらも設置していない学校区も124に上る状況であり、県として、すべての小学校区において放課後子ども教室や児童クラブ、あるいは児童館や児童センターを含む何らかの子供の居場所が確保されていくことが望ましいと考えております。
 そして、これらの事業をどう活用していくかにつきましては、それぞれの地域の家庭の状況、児童館や児童センターを含めた既存の受け皿施設の状況、スポーツ少年団など、放課後、安全・安心に過ごせる仲間がいるかなど、子供たちの生活実態が地域によって多種多様であることから、その実態を十分に理解している市町村が、子供たちのためにどの事業を活用するかを決めていくことが大切であり、県としては、それを支援する役割を担っていくものと考えております。また、将来的には、現場に精通した市町村の自由度が高まっていくような仕組みにしていくことが大切ではないかと考えているところであります。
〇2番(久保孝喜君) 何点かについて再質問をさせていただきたいと思います。
 最初に、福田新政権の評価については感想をいただきました。知事としては、政治的な立場を含めて、これから微妙な関係、あるいは非常に言明しにくいことも含めて対応が必要だろうと思うんですが、1点だけここの点では。
 当然のことながら、知事がその立場によってつくられ発表してきたマニフェストと国の政策方向は、当然、一定の乖離があるんだと思います。県民もそのことは十分承知の上だと思うんですが、そういうマニフェストに伴っての県民への説明と、一方では、行政の継続性ということを含めたこれからの行政運営というのは同時並行で進めていかなければならない、その点での御苦労も多分にあるんだろうというふうに思います。その点で、政治的な決断ということも、この先県政運営の中ではあるのではないか、あってほしいという部分もあるんですが、その点について、もし言及できるのであれば、今の決意なりをお知らせいただければというふうに思います。
 それから、二つ目ですが、住宅供給公社についてですが、ここは確認を含めてちょっとお尋ねをしておきたいと思います。
 資産処分を平成20年度末までに行えるのかどうかということでの答弁で、残った場合は市町村と協議すると、こういうお話です。市町村と協議というのは、つまるところ、市町村にその資産を引き受けていただくということになるのでしょうか。そこを含めて、現実的に今の市町村の財務の状況を考えると、県が廃止をした、資産が残った、それを該当の市町村にこれを引き取ってもらうというようなことの道筋が、果たして可能なのかどうかというところにちょっと疑問符がつくものですから、その点、どういう協議にしていこうとしているのか、その点をお示しいただきたいと思います。
 それから、瑕疵担保責任を含めた法的な問題については、県が主体的にかかわっていかなければならないことは、そのとおりだと思うんですが、その際に国とも検討するというお話でしたが、これは純粋、事務的な検討という意味なんでしょうか。県がどのようにこれを引き継いで、そういう法的なあるいは準法的な役割も含めてやっていかなければならないんだと思うんですけれども、その中身、国との検討の材料というのは何なのか、そこをちょっと触れていただければというふうに思います。
 それから、清流化事業についてお尋ねをします。
 答弁の中でも、今現在の状況では、大規模災害があった際に、十分なという意味合いでの対応ができるのかどうか、聞く限りにおいてはちょっと疑問符がついたところなんですが、その具体的な対応策をお尋ねしたつもりだったんですが、今現在想定される大規模災害に県が対応し切れるのかし切れないのか、そういう危機感の度合い、その点を確認しておきたいというふうに思います。
 それから、流域連携については、既にいわば官制組織に近いものがあるんだという御答弁でしたけれども、私はこの流域の問題は、宮城県にわたる250キロという北上川の流域全体が、まさに危機感を共有しなければならない大きな課題なんだというふうに思うんですね。その意味では、先般議会でも議論のあった、まさに県民運動的な対応をここでは持っていかないと、平泉の世界遺産に匹敵するようなと私個人は思うんですが、平泉の文化遺産がまさに北上川を背景として生まれたということも含めて、この水質の問題、今行っている事業の問題は、本当に県民運動的な体制で対応していかなければならないのではないかというふうに思いますので、流域連携については官制組織だけではなくて、具体的な住民の方々を巻き込んだそういう方策、方途が必要なのではないかという趣旨でしたので、その点で答弁いただければと思います。
 それから、四つ目の県立高校の再編についてですが、これは大変異例なことだとは思うんですが、知事にすべての項目にわたって答弁をいただきました。その意味では、現在この高校再編にかかわっての議論に対して、知事を筆頭に真正面からきちんと向き合っていくんだという決意のあらわれとして大変歓迎をしているところであります。
 問題は、示されたポスト再編計画の問題ですが、その点に関して言えば具体的ではない、基本的な考え方として知事が示されました。これも評価をしたいと思います。ただ、問題なのは、その具体的な考え方の上で、幾つかの再編にかかわっての具体的指摘があるわけですよね。私自身も、例えば今の再編計画で踏襲をしている高校標準法ですか、この法律にのっとって、学校としては標準法よりも低いレベルで定数なり規模を決めているのに、学級、クラスの編制基準では40人のままであるということが、特にも過疎地域における高校存続に大きな私は足かせになっているのではないかと。だからこそ、そこをきちんと方向性を明示しない限り、この問題は延々と続いていくという危惧を持っているわけです。
 過疎地域が持っているそもそものハンディーというのはあるわけですね。知事がおっしゃったように、少子化がかなり進行していますし、交通手段も整備されていないというところもありますし、いろんな意味で過疎地域が抱えるハンディーというのを、具体の基準なりというところで是正をしていくという考え方をぜひとっていただかなければならないのではないかというふうに思います。そうでなかったら、知事が言うような危機を希望に変えるという、その足がかりが見えてこないというふうに私は思うので、その点、もう少し突っ込んだ答弁をいただければなというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
 それから、多重債務者対策について1点だけお伺いいたします。
 生活再建に資する資金預託については今の時点では考えていないと、こういうことでしたが、セーフティネット貸し付けの具体的な動きがおっしゃるとおり今始まったばかりですから、当然、県もかかわってこれからどうしていくかという方途は検討されるんだろうと思いますが、当面、この対策に県もかかわって具体的に進めていく過程の中では、預託の問題は避けて通れない話に私はなってくるんだろうと思いますが、その辺の認識をどうされているのか。ここ何年間かの多重債務者問題の動きで岩手県が示してきた先進性を、今度のセーフティネット貸し付けにかかわっては、ぜひ私はもう一度全国にアピールしていくという絶好の機会なんだと思うので、その点でいかがかお伺いをいたします。
 それから、最後にバス交通対策についてお伺いいたします。
 バス交通については、御答弁では、主体的な市町村施策について支援をしていくということにするんだと、こういうお話でした。それは一つの方向性だろうというふうに思います。ただ、1点気になったのは、例えば県単補助が平成22年以降については明言できない、しかし、適切にやっていくんだというふうに言っておきながら、一方では、地域公共交通会議では、具体的なビジョンをつくることを求めていくわけですよね、当然のことながら。制度上、そういう設定の協議組織になっているわけです。したがって、そのためにも県がこれから先どうしていくのかということが前にないと、なかなかビジョン策定と言っても、市町村の段階では大変困っていくのではないかというふうに思ってしまうんですが、その点がどうなのかということが一つと、それから、現在、バス路線の廃止認定機関となっている会議があります。この役割と、地域公共交通会議の設置の役割がダブっているところがありますよね。この会議そのものの、廃止認定機関との、会議との関係をちょっと御説明をいただければなというふうに思います。
 以上です。
〇知事(達増拓也君) お答えをいたします。
 まず、福田内閣との関係で、私のマニフェストの内容と国の政策の間で乖離が出てきたような場合、政治決断等、県政運営の中でどうやっていくのかという御質問でしたけれども、私のマニフェストは、岩手県を何度も何度もめぐりまして、多くの万単位の県民の皆さんに会う中で、今の岩手の心の叫びのようなものとして、私のマニフェストをつくり訴えたところであります。その後の参議院議員選挙で、そうした岩手の叫びというものが全国的な叫びということで民意として認められつつあると思っておりまして、そういう意味では、私のマニフェストを実現していく方向に国の政策が変わっていくような、そういう民主的な基盤はあるんだと思います。したがいまして、政府の政策がそこから乖離していくようであれば、基本的にはその乖離を国に対して訴えて乖離をなくしていく、ねじれを解消という意味では、政府の側がねじれていく場合、その政府のねじれを正していく方向で働きかけていくことが中心になるのではないかと思っております。
 次に、県立高校再編に関してでありますが、高校標準法との関係で、クラスの人数の問題について御指摘を受けました。これも、今後、一つのポイントとして議論の対象になっていくんだと思います。そういう中で、切磋琢磨していくために必要な人数の規模、また、地域のために必要な人材確保という観点からの規模、そういったことも含め、総合的に判断されていくんだと思いますけれども、基本としては、やはり久保議員も御指摘、質問の中で学ぶ権利という言葉を使われましたけれども、その憲法が保障する教育を受ける権利、言いかえると、学ぶ権利というのを一人一人の子供、生徒にどう保障していくかということで、これで教育委員会初め、知事の側も知恵を絞って岩手の未来に希望が見えていくように、希望を持って岩手の子供たちが未来に進めるように制度を整備していかなければならないと思っております。
 その他の質問については、担当部局長からの答弁とさせていただきます。
〇県土整備部長(西畑雅司君) 住宅供給公社の資産の処分につきましてでございますが、基本といたしましては、すべての資産の販売促進に努力するということでございますが、仮に残った場合どうするかということも考えておかなければいけないということで、ちょっと話が複雑になりますが、住宅供給公社に出資していただいておる市がございます。本来はその出資の割合に応じて分配していくというのが基本になろうかと思っておりますが、実は残る可能性のある宅地が出資をしていただいている市と違う場所にあって、そこの町は出資していないというケースが想定されます。したがいまして、出資していただいております市の御意向、それから宅地が残っております、あるいはまだ造成中の土地が残っておる市町村の意向、その両方をよくお伺いして、どういう形がいいのかというところを具体に検討してまいりたいなと思っておるところでございます。
 それから2点目、瑕疵担保のお話がございました。
 分譲住宅につきましては、住宅性能保証制度の適用住宅でございますので、施工業者さんがその保証制度に入ってございます。ですから、免責は10万円というのがあるんですけれども、何か、例えば雨漏りがするとか、柱とかはりに異常が出ているとかということになりますと、機構のほうから8割の補償が出ます。それから、2割は施工業者さんが負担するということで、住宅をお持ちの方の負担は生じない形になっております。
 議員御指摘のところは、公社が解散したらどうなるんだというところだと思います。そのケースは、施工業者様が倒産なり廃業なりということでなくなった場合、機構では8割。もし公社が存続しておれば、公社が残りの2割を負担するわけですが、公社がなくなったときに、その残りの2割をどうするかという部分が出てまいります。住宅供給公社の解散ができるという法律が17年に通ったわけで、まだ全国で1件もないわけで、ですから、その瑕疵担保のあり方、住宅供給公社解散後のそういった取り扱いについては、国とよく協議をして、多分、全国的にもかなりトップランナー的になろうかと思いますので、よく協議してまいりたいと考えております。
〇環境生活部長(菊池秀一君) 北上川清流化事業と多重債務関係でお答え申し上げます。
 まず、1点目の大規模災害の際に県が対応し切れるのか否かというお尋ねでございましたけれども、結論から申し上げますと、対応できる状態にはなっておりません。結局、県でできる範囲内ということで、先ほど炭酸カルシウムの投入ということで、事務レベルで協議を重ねてきた結果、合意に至りまして、今年度から国の補助金も活用できるということで、委託契約の中に取り込んだというのが大きな前進ではありますけれども、例えば一番下には3メートル坑という全体の水を封じ込めている坑があるんですが、このコンクリートの栓、もしこれに何かあったりした場合の大規模災害の場合には、とても県だけでは対応できるものではございません。したがいまして、こういった対応の場合にどうするかという危機管理体制の確立ということについては重要事項ということで、国に対してずっと働きかけをしているという状況にございます。
 それから、2点目の流域連携についてさらに住民を巻き込んだ取り組みが必要ではないかというお話でございました。確かに北上川清流化事業、本県の環境問題の原点と言ってもいいような課題でございます。そうしたことで、1日も休まず中和処理をしているという現実について、多くの方に知っていただくということは重要かと思っております。そうした意味では、新たな組織を設置するということではなくて、さまざま流域で活躍、活動している組織がございます。例えば、北上川リバーカルチャーアソシエーションですとか、あるいはさまざま協議会等ございますので、そういった活動の場に出かけていって情報提供をするとか、そうしたことでの県の役割もあるのかなと思っておりますし、つい先日の土曜日もNPOの動きといたしまして、旧松尾鉱山の跡地の再生ということで、植栽活動を進めております。200人ぐらいの方が、一般県民の方も参加しているという、こういう動きもございますので、こういった動き等もさまざま各方面に発信しながら、幅広くこういった情報提供に努めてまいりたいと思っております。
 それから、3点目の多重債務について県として預託にかかわるべきではないかというお話でございました。
 信用生協は岩手方式ということで高い評価を受けている、全国の先進優良事例ということを言ってよろしいかと思います。ただ、県のほうといたしましては、これまで信用生協に対して預託等の財政的な支援ということは今までしてきておりませんでした。これは例えば既に始まっておりました、昔からやっております消費者救済資金におきましては、34の市町村が預託をしているという現状にございますけれども、県はこれに対しても預託しておりませんけれども、これは、県は市町村の対応が十分にとられていない例えば個別相談ですとか、あるいは未然防止の啓発とか、こういった部分に力を入れていこうということで、県民生活センターによる各種講座を行ったり出前講座をしたり、あるいは先ほど御紹介いたしました弁護士不在地域への出張相談ですとか、消費者110番、あるいは関係機関の連携会議等を通じて救済に努めているということで、預託をしていないという経緯もございます。こうしたこともございますので、県としては、先ほどの答弁の繰り返しになりますが、信用生協が自主的に独自で始めました今回の預託制度、スタートして間もないこともありますので、今後の運用状況を注視してまいりたいと考えております。
〇地域振興部長(藤尾善一君) 地域公共交通、バスの関係で、県がビジョンを示すべきではないのかという御提言でございました。
 地域の実情を最も把握している市町村においてこそ、地域に沿ったあるいは地域住民のニーズに沿ったいわゆる路線を引ける、あるいはそういったバス以外の交通も含めまして、地域交通のあり方といったようなものを議論できる、そしてまた、将来にわたってそういった地域交通の維持・確保といったようなものについての将来像が示せるという意味で、地域公共交通会議というのが平成18年10月の道路運送法改正によって制度化されたものというふうに認識いたしておるわけでございます。したがって、地域が具体的にどういったことを議論していくかということになりますと、その地域にとって不可欠な路線をどう引くかということももちろんではございますが、これまで保有する交通資源、スクールバスだとか福祉バスだとか、ああいったようなものも含めたいわゆる交通資源といったようなものも活用、視野に、念頭に置きながら、適切なるそういったネットワーク、そういったようなものを考え得るんだということでございますので、県としても、市町村総合補助金なりあるいは地域交通サポートセンターなりでいろいろと支援していくということが今において適切ではないかと、そのように考えておるわけでございます。
 それから、路線廃止の届け出に伴って地域の協議会というのがあるわけでございますが、平成13年度の道路交通法改正に伴うものということでございますけれども、路線廃止をする場合には1年以内にバス事業者が届け出をするということで、協議会の場で、言うなればバス事業者、市町村を含む地域の方々といろいろと調整をする、そういう機関として認識いたしておるものでございます。
〇2番(久保孝喜君) バス交通対策について、最後に1点だけお伺いいたします。
 私の聞き方が悪かったんだと思うんですが、市町村総合補助金に対する措置が21年まで、22年以降の措置については今の段階では明言できないということなんですが、そのことを含めて、地域の公共交通会議でこれから先バス路線のあり方を含めた議論をするという、その会議の趣旨に沿って設置が進んでいくということなんですから、当然、そこでの議論の過程では、県の具体的な今後の市町村補助金を含めた方向性なりがきちんと示されないと、なかなか地域ではビジョン策定をやりたくてもやれないのではないかなという、そういう心配を実は私はしたんです。その意味で、明言がある程度されないと、地域でも議論がなかなか進まないのではないんですかということをお尋ねしたつもりだったんです。その点が一つです。
 それから、廃止認定機関は法律に基づいて設置はされて、今回も法に基づいて公共交通会議ができた。これ、役割がある程度ダブっている部分があるんですよね、設置の要綱を見ますと。それらについては、この先整理されていくという方向なのだろうかという質問でございましたので、その点をお示しいただきたいと思います。
〇地域振興部長(藤尾善一君) 地域公共交通会議と廃止認定のいわゆる協議の場というのは、将来的に整理されていくかどうかというのは、ちょっと県の立場としては明言できないわけでございますが、今現実に市町村が、来年度、半数市町村と先ほど答弁申し上げましたけれども、結成をされるという過程の中で、いろいろと問題点等があるとすれば、それは国に対しても私どもとして申し上げていきたい、そのように考えております。
 それから、市町村総合補助金の、言うなれば平成22年度以降ということでございますが、市町村総合補助金は3カ年の時限措置といったようなことで発足いたしております。実は、これまでのバス路線維持のための県単補助金も、スタートが平成15年度でございまして、3年度の時限措置ということで、平成18年度は延長された、そういう経緯がございます。平成22年度以降もいいかどうかということでございますけれども、それは、繰り返しになりますけれども、今の時点で将来とも存続するとは申し上げがたいわけでございますが、いずれにしろ地域交通というのは、議員と全く認識は同じだと思いますけれども、言うなれば地域社会に欠かせない基盤であるという位置づけでございますので、そういった位置づけのもとで、将来ともそれが維持されるような手だてといったものは、しかるべきものとしてその時点では考えていかなければならないというふうに考えております。
 いずれ要求部局としては、明言をすればよろしいのかと思いますけれども、今の時点では、平成22年度以降どうだと言うことは差し控えさせていただきたい、そのように思います。
〇議長(渡辺幸貫君) この際、暫時休憩いたします。
   午後2時36分 休憩
出席議員(46名)
1 番 木 村 幸 弘 君
2 番 久 保 孝 喜 君
3 番 小 西 和 子 君
4 番 工 藤 勝 博 君
5 番 岩 渕   誠 君
6 番 郷右近   浩 君
7 番 高 橋   元 君
8 番 喜 多 正 敏 君
9 番 高 橋 昌 造 君
10 番 菅 原 一 敏 君
11 番 小野寺 有 一 君
12 番 熊 谷   泉 君
13 番 高 橋 博 之 君
14 番 亀卦川 富 夫 君
15 番 中 平   均 君
16 番 五日市   王 君
17 番 関 根 敏 伸 君
18 番 野 田 武 則 君
19 番 三 浦 陽 子 君
20 番 小田島 峰 雄 君
21 番 高 橋 比奈子 君
22 番 高 橋 雪 文 君
23 番 嵯 峨 壱 朗 君
24 番 及 川 あつし 君
25 番 飯 澤   匡 君
26 番 田 村   誠 君
27 番 大 宮 惇 幸 君
28 番 千 葉 康一郎 君
29 番 新居田 弘 文 君
30 番 工 藤 大 輔 君
31 番 佐々木 順 一 君
32 番 佐々木   博 君
33 番 工 藤 勝 子 君
34 番 平 沼   健 君
35 番 樋 下 正 信 君
36 番 柳 村 岩 見 君
37 番 阿 部 富 雄 君
38 番 斉 藤   信 君
39 番 吉 田 洋 治 君
40 番 及 川 幸 子 君
41 番 佐々木 一 榮 君
44 番 小野寺 研 一 君
45 番 千 葉   伝 君
46 番 佐々木 大 和 君
47 番 菊 池   勲 君
48 番 小野寺   好 君
欠席議員(2名)
42 番 伊 藤 勢 至 君
43 番 渡 辺 幸 貫 君
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後2時54分 再開
〇副議長(佐々木大和君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。熊谷泉君。
   〔12番熊谷泉君登壇〕(拍手)

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