平成23年2月定例会 予算特別委員会会議録

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平成23年3月2日(水)
1開会 午前10時2分
1出席委員 別紙出席簿のとおり
1事務局職員
  事務局長    宮   一 夫
  議事調査課
  総括課長     佐 藤   博
  議事管理担当課長 菊 池 達 也
  主任主査    岩 渕 伸 也
  主任主査    藤 原 由喜江
  主査    葛 西   貢
  主査    菅 原 俊 樹
  主査    大 森 健 一
  主査    千 葉 智 貴
1説明員
  知事    達 増 拓 也
  副知事    宮 舘 壽 喜
  副知事      上 野 善 晴
  企画理事     藤 尾 善 一

  秘書広報室長   廣 田   淳
  首席調査監    木 村 卓 也

  総務部長     菅 野 洋 樹
  総務部副部長
  兼総務室長    小 原 敏 文
  人事課総括課長  浅 沼 康 揮
  予算調製課
  総括課長    八 矢   拓
  税務課総括課長  八重樫 幸 治

  政策地域部長   加 藤 主 税
  政策地域部副部長
  兼政策推進室長  工 藤 孝 男
  政策地域部副部長
  兼地域振興室長  佐々木 和 延
  政策監    大 平   尚
  評価課長    南   敏 幸
  市町村課総括課長 佐々木   信

  商工労働観光部
  副部長兼
  商工企画室長   高 橋   信

  農林水産企画室
  企画課長    小 岩 一 幸

  県土整備企画室
  企画課長    木 村   稔
〇宮議会事務局長 御承知のとおり、委員長が互選されるまでの間、委員会条例第7条第2項の規定により、年長の委員が委員長の職務を行うこととなっております。
 出席委員中、菊池勲委員が年長の委員でありますので、御紹介申し上げます。
 菊池勲委員、どうぞ委員長席に御着席を願います。
   〔年長委員菊池勲君委員長席に着く〕
〇菊池勲年長委員 年長の栄をもちまして仮委員長を務めさせていただきます菊池勲と申します。
 御案内のとおり、私は今期で引退表明しておりますので、人生最後の仮委員長になるかと思いますので、よろしく御指導、御支援を賜りますようお願い申し上げます。(拍手)
 それでは、ただいまから予算特別委員会を開会し、直ちに本日の会議を開きます。
 これより委員長の互選を行います。委員会条例第7条第2項の規定により、委員長互選の職務を行います。
 お諮りいたします。委員長互選の方法につきましては、指名推選の方法によりたいと思いますが、これに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇菊池勲年長委員 御異議なしと認めます。よって、互選の方法は指名推選によることに決定いたしました。
 お諮りいたします。指名推選の方法につきましては、当職において指名することといたしたいと思いますが、これに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇菊池勲年長委員 御異議なしと認めます。よって、当職において指名することに決定いたしました。
 予算特別委員長に、五日市王君を指名いたします。
 お諮りいたします。ただいま当職において指名いたしました五日市王君を予算特別委員長の当選人と定めることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇菊池勲年長委員 御異議なしと認めます。よって、ただいま指名いたしました五日市王君が予算特別委員長に当選されました。
 ただいま当選されました五日市王君が委員会室におられますので、本席から当選の告知をいたします。
 五日市王委員長、委員長席にお着きを願います。
   〔予算特別委員長五日市王君委員長席に着く〕
〇五日市王委員長 ただいま予算特別委員長に選任されました五日市王でございます。
 議員生活通算14年目にして初めての委員長職、いわば人生最初の委員長職でございます。大変緊張いたしてございますが、委員各位の御協力をいただきまして職責を全うしたいと考えておりますので、御協力をよろしくお願い申し上げ、ごあいさつとさせていただきます。(拍手)
 引き続いて副委員長の互選を行いたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇五日市王委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。
 これより副委員長の互選を行います。
 お諮りいたします。副委員長互選の方法につきましては、指名推選の方法によりたいと思いますが、これに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇五日市王委員長 御異議なしと認めます。よって、互選の方法は指名推選によることに決定いたしました。
 お諮りいたします。指名推選の方法につきましては、当職において指名することにいたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇五日市王委員長 御異議なしと認めます。よって、当職において指名することに決定いたしました。
 予算特別副委員長に、工藤勝子さんを指名いたします。
 お諮りいたします。ただいま当職において指名いたしました工藤勝子さんを予算特別副委員長の当選人と定めることに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇五日市王委員長 御異議なしと認めます。よって、ただいま指名いたしました工藤勝子さんが予算特別副委員長に当選されました。
 ただいま当選されました工藤勝子さんが委員会室におられますので、本席から当選の告知をいたします。
 工藤副委員長、ごあいさつをお願いいたします。
〇工藤勝子副委員長 ただいまは副委員長に選任いただきまして、まことにありがとうございました。大変光栄に思っております。
 委員長を補佐いたしまして、委員会の円滑な運営に努めてまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)
〇五日市王委員長 お諮りいたします。当予算特別委員会に付託されました議案33件についての審査方法でありますが、お手元に配付してあります日程案のとおり、本日及び明日は、知事、副知事、企画理事及び関係部局長等の出席を求め総括質疑を行い、明日の総括質疑終了後から4日まで及び7日から11日までは、関係部局長等の出席を求めて部局ごとに質疑を行うこととし、議案33件に対する意見の取りまとめと採決につきましては、11日の県土整備部関係の質疑が終わった後、各会派の意見調整を経た上で行いたいと思います。
 なお、7日目の農林水産部の審査については、世話人会の申し合わせに基づき、第1部を農業関係、第2部を林業、水産業関係とし、それぞれ区分して審査することとしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇五日市王委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。
 これより議事に入ります。
 議案第2号から議案第22号まで、議案第27号、議案第29号、議案第30号、議案第32号から議案第35号まで、議案第38号から議案第40号まで、議案第42号及び議案第54号の以上33件を一括議題といたします。
 総務部長に総括説明を求めます。
〇菅野総務部長 平成23年度当初予算の概要等につきまして、総括的に御説明を申し上げます。
 この予算の編成に当たりましては、本年4月に行われる統一地方選挙を控え、義務的な経費や経常的な経費などを中心とするいわゆる骨格予算としつつ、新規または政策的な経費であっても、年度当初から早期の事業着手が必要な事業については本予算に計上し、速やかな対応等を図っていくこととして編成したところであります。さらに、喫緊の課題である地域経済の下支えや雇用への対応などの視点から、平成22年度の補正予算と一体的に取り組んだところであります。
 それでは、予算の概要について御説明を申し上げます。
 お手元の議案その2の1ページをお開きいただきたいと存じます。議案第2号平成23年度岩手県一般会計予算であります。
 第1条は、歳入歳出の総額を6、815億9、876万5、000円と定めるものであります。これは、前年度当初予算に比べ2.5%の減となるものであります。第2条は債務負担行為の限度額等を、第3条は地方債の限度額等をそれぞれ定めるものであります。第4条は一時借入金の最高額を1、000億円とするものであります。第5条は、職員給与について、同一款内での予算流用を定めるものであります。
 次に、歳入について御説明を申し上げます。便宜、予算に関する説明書、厚い冊子でありますが、そちらをごらんいただきたいと存じます。予算に関する説明書の1ページでございます。
 一般会計歳入歳出予算事項別明細書の1総括、歳入のうち、自主財源は、1県税、2地方消費税清算金、7分担金及び負担金、8使用料及び手数料、さらに10財産収入から14諸収入までであり、その総額は2、595億83万円余で、前年度当初予算に比べますと2.2%の増となっております。これは、法人二税等の伸びによる県税の増収や、国からの交付金により造成した基金からの繰り入れによる増などであります。
 また、依存財源は、3地方譲与税、4地方特例交付金、5地方交付税、6交通安全対策特別交付金、9国庫支出金、15県債であり、その総額は4、220億9、793万円余で、前年度当初予算対比5.1%の減となっておりますが、これは、主に地方交付税の振りかえである臨時財政対策債の減による県債の大幅な減などによるものであります。
 この結果、歳入に占める自主財源の割合は38.1%と、前年度当初予算の36.3%から1.8ポイント増加し、一方、依存財源の割合は61.9%となっております。
 次に、これら歳入の内容について御説明を申し上げます。4ページをお開きいただきたいと存じます。
 まず、1款県税1項県民税は353億800万円で、前年度当初予算比0.7%の減となっておりますが、これは、1目の個人県民税について、納税義務者の減少等が見込まれることから、8億5、600万円の減となっていることなどによるものであります。
 2項事業税は141億9、200万円で、23%の大幅な増となっておりますが、これは、企業収益について一定の回復が見込まれることによるものであります。
 次に、6ページの3項地方消費税は、地方財政計画等をもとに116億2、900万円、4.3%の増を見込んだものであります。
 4項不動産取得税は、住宅投資に緩やかながら回復傾向が見られ、建築件数の増加が見込まれることから20億9、800万円で、6.6%の増となっております。
 8ページに参りまして、5項県たばこ税は、増税による増収効果を見込み、25億1、400万円で5.4%の増、6項ゴルフ場利用税は3億800万円で、6.1%の減となっております。
 10ページの7項自動車取得税は、エコカー補助金終了による影響を考慮し、19億4、000万円で13.2%の減を見込んでおります。
 8項軽油引取税は、物流の状況等が改善されてきていることから、143億1、800万円で0.6%の増を見込んでおります。
 次に、12ページの9項自動車税は、自動車保有台数の減少を考慮し、179億8、300万円で2.6%の減となっております。
 10項鉱区税は、最近の課税実績等を勘案し、1、900万円を計上したものであります。
 次に、14ページの11項狩猟税は、狩猟者登録見込み数により4、000万円を、12項産業廃棄物税は、最終処分場の年間埋立量等を勘案し、6、400万円を見込んだものであります。
 16ページの13項は、旧法による税であります。
 以上、県税の合計額は1、004億1、500万円で、前年度当初予算額に比べ24億4、900万円、2.5%の増となるものであります。
 次に、17ページの2款地方消費税清算金は257億5、200万円で、3.4%の増となっております。
 18ページに参りまして、3款地方譲与税1項地方法人特別譲与税は164億8、100万円、2項地方揮発油譲与税は38億5、600万円、20ページの3項石油ガス譲与税は2億5、500万円を、21ページの4項地方道路譲与税は100万円を、22ページの5項航空機燃料譲与税は1、200万円を見込んだものであります。
 次に、23ページの4款地方特例交付金1項地方特例交付金は、児童手当及び子ども手当特例交付金、住宅借入金等特別税額控除による減収を補てんするための特例交付金、合わせて17億5、800万円と見込んだものであります。
 次に、24ページの5款地方交付税は2、268億2、315万円余で、前年度当初予算対比で58億996万円余、2.6%の増で計上いたしております。
 次に、25ページの6款交通安全対策特別交付金は5億4、474万円余と見込んだものであります。
 次に、26ページの7款分担金及び負担金でありますが、1項分担金は、そのほとんどが農業農村整備事業等に係るものであり、27ページから28ページまでの2項負担金は、民生、衛生、農林水産業、土木及び教育に係る受益者負担金、市町村負担金等を計上したものであります。
 次に29ページ、8款使用料及び手数料でありますが、1項使用料の主なものを申し上げますと、30ページの4目労働使用料では産業技術短期大学校授業料、5目農林水産業使用料では漁港施設使用料、31ページの7目土木使用料では道路及び河川の占用料、そして県営住宅使用料などであります。これら使用料の総額は、33ページの最下段でございますが、25億5、334万円余で、前年度に比べまして2.1%の減となっております。
 次に、34ページの2項手数料でありますが、その主なものは、3目衛生手数料の食品営業許可や屠畜検査に係る手数料、37ページの7目土木手数料の建設業者許可や建築確認に係る手数料、8目警察手数料の運転免許更新等に係る手数料などであり、その合計は、38ページでございますが、23億1、007万円余で、前年度比3%の減となっております。
 次に、39ページの9款国庫支出金でありますが、1項国庫負担金の主なものを申し上げますと、1目民生費負担金では、7節の児童保護委託18億3、657万円余、10節の生活保護28億9、025万円余、40ページの4目土木費負担金では基幹河川改修事業、砂防事業など、5目教育費負担金では義務教育人件費に係るものや公立高等学校授業料不徴収交付金など、また、41ページの6目災害復旧費負担金では、4節の河川等災害復旧事業などがその主なものでございます。これら国庫負担金の総額は357億6、805万円余で、前年度より1.1%の減となっております。
 次に、42ページ、2項国庫補助金でありますが、その総額は、52ページまで進んでいただきまして、375億7、305万円で19.3%の減となっておりますが、これは、公共事業の減などによるものであります。
 次に、53ページに参りまして、3項委託金でありますが、その総額は、55ページまで進んでいただきまして、11億6、293万円余で58.9%の減となっております。これは、昨年にございました国勢調査など国からの委託調査事務が終了したことなどによるものであります。
 次に、56ページの10款財産収入でありますが、1項財産運用収入は3億4、940万円余を見込んでおり、57ページから58ページにかけての2項財産売払収入は、県有未利用地や生産物の売り払いなどでありまして、25億7、068万円余を計上したものであります。
 次に、59ページの11款寄附金は、環境保全協力金など1、957万円余を見込んでいるものであります。
 次に、60ページ、12款繰入金1項特別会計繰入金は6億90万円余で、16.7%の増となっております。
 61ページ、2項基金繰入金は、介護サービス施設等整備臨時特例基金や緊急雇用創出事業臨時特例基金などのいわゆる特定目的基金の資金の活用など326億2、533万円余を計上したものであります。
 なお、2月補正予算を踏まえた平成23年度末の主要3基金の残高は、財政調整基金は167億5、400万円、県債管理基金は150億3、100万円、公共施設等整備基金は38億7、600万円、合計で356億6、100万円と見込んでおるところでございます。
 62ページに参りまして、13款繰越金は整理科目であります。
 63ページの14款諸収入1項延滞金、加算金及び過料等は2億4、378万円余を計上しており、64ページの2項預金利子は、金利動向等から4、795万円余を見込んでおります。
 65ページ、3項公営企業貸付金元利収入は134億7、300万円で、県立病院等事業会計への貸付金元金が主なものであり、66ページの4項貸付金元利収入は、衛生や農林水産業、67ページの商工など、各行政分野における貸付金に係る元利収入で、その合計額は618億7、790万円余となっております。
 68ページ、5項受託事業収入は、次の69ページの総額のとおり11億4、848万円余となっております。
 次に、70ページ、6項収益事業収入は、宝くじ収入33億9、124万円余を、71ページの7項利子割精算金収入は520万円余を見込んでおります。
 72ページの8項雑入の総額は、75ページまで進ませていただきまして、45億1、027万円余と見込んでおります。
 次に、76ページ、15款県債でありますが、その総額は、78ページに記載しておりますとおり978億6、300万円であり、前年度に比較いたしまして209億7、750万円、17.7%の減となっております。
 この結果、県債の現在高見込みでありますが、恐縮でございます、一たん281ページまで進ませていただきまして、前年度末現在高見込み額が平成22年度末、当該年度末現在高見込み額が平成23年度末となりまして、282ページの計欄になりますが、平成22年度末の見込み額は1兆4、650億8、600万円余、平成23年度末では、同じく計欄の右端になりますが、1兆4、674億1、300万円余と見込んでいるところでございます。
 なお、282ページの計欄の下に県債管理基金積立金及び当該基金積立金分を調整した実質的な県債の現在高見込み額をお示しいたしております。
 以上で歳入についての説明を終わらせていただきます。
 次に、歳出でございますが、主要な事業につきましては、それぞれ所管部局の審議の際に担当部局長から御説明をさせていただきたいと存じます。
 款別歳出については説明を省略し、私からは性質別の主なものについて申し上げさせていただきたいと存じます。
 恐縮でございます。別な冊子でございますが、お手元の予算に関する資料をごらんいただきたいと存じます。予算に関する資料の3ページをお開きいただきたいと存じます。平成23年度一般会計歳出性質別内訳表でございますが、この表の右端の前年度当初予算からの増減率の欄をごらんいただきたいと存じます。平成23年度当初予算は骨格予算として編成しており、人件費など義務的経費以外の経費については、対前年度比較の数値では全般的に低下傾向にございます。
 特徴的なところを何点か申し上げますと、まず、人件費につきましては0.7%の減となっております。これは、職員数の縮減など総人件費の抑制に努めたことによるものでございます。維持補修費は、土木施設の維持修繕費の減等により13.2%の減となっております。4ページに参りまして、普通建設事業費は、補助事業の減等により1.3%の減となっておりますが、そのうち、単独事業につきましては5.6%の増としているところでございます。災害復旧事業費は、継続事業の事業進捗等により18.4%の減となっております。次に、5ページに参りまして、公債費は、過去に発行した県債の償還額が増加していることにより3.2%の増となっております。出資金は、工業用水道事業会計への出資の減などにより89.4%の減、貸付金は、中小企業向け制度融資の貸付原資預託の減などにより14.8%の減となっております。
 平成23年度岩手県一般会計予算の概要は、以上のとおりであります。特別会計につきましては、所管部局において御説明申し上げますので、私からは省略をさせていただきたいと存じます。
 続きまして、議案第54号平成23年度岩手県一般会計補正予算(第1号)について御説明を申し上げます。薄い冊子でございますが、議案その4の1ページをお開きいただきたいと存じます。この補正は、大雪等の気象災害への対応に係る平成23年度の事業実施に要する経費について補正を行うものでございまして、まず、第1条、歳入歳出予算の総額に歳入歳出それぞれ13億8、153万8、000円を追加し、歳入歳出予算の総額を、歳入歳出それぞれ6、829億8、030万3、000円とするものであります。
 次に、第2条債務負担行為の補正につきましては、第2条債務負担行為補正のとおり、また、第3条地方債の補正につきましては、第3表地方債補正のとおりでありますので、順次御説明をさせていただきたいと存じます。
 まず、4ページをお開きいただきたいと存じます。第2表債務負担行為補正の追加につきましては、岩手県漁業信用基金協会が行う定置網復旧緊急支援資金についての信用保証契約の履行に伴う損失補償など2件につきまして追加を行うものであります。
 次に、5ページでございますが、第3表地方債補正の変更につきましては、漁業用施設災害復旧事業など2件について、その起債の限度額を変更しようとするものであります。
 それでは、補正予算の内容につきまして、また、恐縮でございますが、予算に関する説明書により御説明申し上げたいと存じます。予算に関する説明書の3ページをお開きいただきたいと存じます。
 まず、歳入予算でありますが、9款国庫支出金1項国庫負担金につきましては3億5、896万円の増額であり、4ページに参りまして、2項国庫補助金につきましては1億9、310万1、000円の増額でございます。
 次に、5ページに参りまして、12款繰入金2項基金繰入金につきましては8、947万7、000円の増額であり、財政調整基金からの繰り入れを行おうとするものであります。
 次に、6ページ、14款諸収入4項貸付金元利収入につきましては5億円の増額であり、7ページ、15款県債1項県債につきましては2億4、000万円の増額でございます。
 次に、歳出予算について御説明を申し上げます。8ページをお開きいただきたいと存じます。6款農林水産業費5項水産業費につきましては5億1、215万3、000円の増額であり、これは、定置網に被害を受けた漁業者の方々等に対し、経営の早期安定化を図るため、岩手県信用漁業協同組合と協調いたしまして、必要な資金を融資するとともに、利子補給を実施しようとするものであります。
 9ページ、11款災害復旧費1項農林水産施設災害復旧費につきましては8億6、938万5、000円の増額であり、被災した漁業用施設及び漁港施設の復旧工事を実施するものであります。
 以上で説明を終わります。よろしくお願い申し上げます。
〇五日市王委員長 ただいまから総括質疑に入るわけでありますが、議会運営委員会の決定に基づき、総括質疑は、各会派及び会派に所属しない議員に質疑時間を配分して行うことになっております。
 質疑時間につきましては、まず、民主党・ゆうあいクラブが53分、次に、自由民主クラブが27分、次に、地域政党いわてが17分、次に、社民党が11分、次に、会派に所属しない議員は、日本共産党斉藤信委員、公明党小野寺好委員、無所属阿部富雄委員の順に、それぞれ7分となっております。
 各会派は、配分された時間の範囲内で複数の議員が質疑をすることができること、この場合におきましては、会派として続けて行うこととされておりますので、御了承願います。
 なお、総括質疑は、あす遅くとも正午までに終了することを目途とすることになっておりますので、御協力をお願いします。
 これより総括質疑に入ります。工藤大輔委員。
   〔工藤大輔委員質問者席に着く〕
〇工藤大輔委員 民主党・ゆうあいクラブの工藤大輔でございます。
 平成23年度当初予算案に対し、会派を代表し総括質疑を行います。
 最初に、災害についてお伺いします。
 昨年12月22日から1月2日にかけて、暴風、波浪、大雪等による被害が県内各地で発生しました。倒木による停電の中で年を越さざるを得なかった世帯や、除雪が間に合わず、道路網を中心にライフラインが寸断された地域が数多く発生しました。我々はいかに電気に依存した生活を送っているのか、当たり前に過ごせる日々の生活のありがたさを再認識するとともに、たび重なって発生する自然界の猛威の要因となる環境の変化について考えさせられる期間ともなりました。
 また、産業面では農林水産分野、特にも水産関係被害が68億円余と甚大であり、まだ記憶に新しい昨年2月のチリ地震による津波被害とあわせて、沿岸部においては水産基盤の不安定さがさらに進むこととなり、生産基盤の再構築を強化しなければならない状況下にあります。
 そのような中、今日まで精力的に被害調査や復旧に向けて尽力をいただいた関係各位に感謝を申し上げますとともに、被害に遭われた方々にはお見舞いを申し上げます。
 2月定例県議会の初日に、緊急的に必要な4事業、1億8、000万円余を2月補正予算とし、先議したいとの提案により、さきの本会議で審議の末、可決したところであります。その迅速な対応には、知事の早期復旧に向けた並々ならぬ決意を感じることができますが、知事は、この災害を振り返り、どのような思いを持って議案の提案を行ったのかお伺いします。
〇達増知事 災害対応予算の提案についてでありますが、1月7日に現地を視察しまして、被害の実態を目の当たりにしたところであります。改めて自然の猛威の恐ろしさを感じるとともに、危惧した以上に被害が大きいと認識したところであります。
 こうした農林水産関係被害は生産活動に直結いたします。生産者の方々の経営安定に向けた一日も早い復旧、復興が何より重要と考えまして、緊急的な対応が必要となるものについて今議会の開会日に提案し、可決をいただいたところであります。今後、可決いただいた予算の早期の事業化を図り、被災した生産者の方々が希望を持って農林水産業を続けていくことができるよう、市町村等と連携し、復旧、復興に取り組んでまいりたいと考えております。
〇工藤大輔委員 民主党岩手県連並びに民主党・ゆうあいクラブでは、1月10日と11日の2日間をかけて、特に被害が大きかった洋野町から釜石市までの災害調査を行いました。その後、1月18日に6項目にわたる要請を知事に行い、その多くを盛り込んでもらえたところであり、感謝を申し上げます。
 また、一方では、全般的に見て、これまでの災害復旧のスキームどおりの内容となっており、漁協経営の4割から7割を占める定置網の被害を5年前に受けた漁協もあることから、地域特性や漁協経営を加味した支援なども必要ではないかと考えます。毎年発生する災害復旧について、その課題をどのように認識し、今後取り組んでいくのかお伺いします。
〇上野副知事 繰り返されます災害に対する県の課題認識と取り組みについてのお尋ねでございますが、養殖業や定置網漁業は本県の漁業生産の主要な位置を占めておりまして、日ごろから災害に備えることは極めて重要でございます。こうしたことを踏まえまして耐波性の高い施設を整備するほか、仮に災害が生じた場合の早期復旧には漁業共済への加入というものも必要かと考えております。
 そこで、より耐波性の高い施設の整備には国の交付金や県単独補助金を活用するとともに、自立的な安定経営を進めるため、市町村、関係団体等と連携をいたしまして、定置網や養殖施設の共済加入をさらに促進することといたしております。
 また、平成18年に引き続く被災により経営状況が厳しい漁協に対しましては、復旧、復興に向けまして、県と市町村、関係団体が一体となり経営指導を行うなど、被災の状況に応じた必要な支援を行うとともに、国に対しましては、定置網施設についても激甚災害指定が受けられるよう指定要件の見直しについて要望を行っておりまして、今後とも災害に強い態勢づくりに努めてまいります。
〇工藤大輔委員 災害復旧をする上で、原状復旧するというのが大きいわけでありますが、やはり同様のものが発生した際に同じような被害が発生しては意味もないものですので、今後とも災害に強い態勢づくりを進めるよう要望したいと思います。
 また、このほか、4年の間には、県北、県南地域での震度6を超える大規模地震や津波被害、ゲリラ豪雨なども発生しました。今後、三陸沖では大規模地震津波も予測されており、突発的に発生する災害への備えや地域力を生かした減災への取り組みが求められます。来年度は警察のヘリコプターにデジタル対応した機材や、平成24年度にはドクターヘリの導入が予定されておりますが、どのような役割を期待しているのでしょうか、お伺いします。
〇菅野総務部長 今年度当初予算に、県警本部のヘリコプターにいわゆるヘリコプターテレビ中継システム、俗にヘリテレと呼んでいますが、これの更新費用を見込んでございます。また、現在、ドクターヘリについては担当部において検討を深めているところでございます。
 県警のいわゆるヘリテレにつきましては、現在も災害の現地把握、そこで映しました映像等を県庁に送りまして、そこでの現状把握等に役立っているところでございます。今回、これが、今までアナログだったものがデジタル化されるということで、より解像度が高まってまいりますので、これまで以上に現状把握が高まるものと思ってございまして、こういった災害の活用に期待を持っているところでございます。
 また、ドクターヘリにつきましては、災害のみならず緊急的な患者さんが発生した場合に機動的に動けるということで、当然、災害においても遺憾なく力を発揮していただけると思ってございまして、これらによりまして、本県の災害対応力も今以上に向上するものと思っているところでございます。
〇工藤大輔委員 次に、平成23年度の国の予算の評価についてお伺いします。
 平成23年度予算は民主党政権が一から編成した初めての本格的な予算であります。歳出の大枠を約71兆円とし、デフレ脱却のため国債発行額を約44兆円とするなど、財政運営戦略中期財政フレームで定めたぎりぎりの財政規律を守っての編成となりました。
 社会保障費5%増、法人実効税率の5%引き下げ、中小企業の軽減税率3%引き下げ、職業訓練期間中の生活支援策と求職者支援制度、地方交付税を過去最高水準での確保、5、000億円規模での地域自主戦略交付金の創設など、税制改正とあわせ従来型と異なるものとなっていますが、国の新年度予算編成の評価をお伺いします。
 また、現在の国会審議において、この国の予算案や特例公債法案を初めとする予算関連法案の年度内成立が危うい状況になっておりますが、仮に国の予算等が年度内に成立しない場合、4月以降の県の予算や事業の執行にどのような影響が生じ、どのように対処するのかお伺いします。
〇達増知事 国の平成23年度予算編成の評価についてでありますが、平成23年度予算案については、厳しい財政状況の中、地方財政について一般財源総額が前年度を上回る59.5兆円が確保され、地方交付税が17.4兆円と、前年度と比較して0.5兆円増額されるなど、一定の評価ができるものと考えております。
 この中で、本県が求めていましたIGR関係の貨物線路使用料制度の見直しについては、JR譲渡資産に係る資本費が対象経費に追加されるなど、制度を見直す方針が示されており、将来にわたって並行在来線の安定経営に寄与するものとして高く評価しております。
 また、都道府県分約5、000億円が確保された地域自主戦略交付金の創設については、地方の自由裁量を拡大する一括交付金化の端緒を開いたものとして、地域主権の着実な推進という観点から評価できます。
 子ども手当については、地方負担が継続されたことは残念でありますが、保育料や学校給食費への充当などの地方の主張が一部受け入れられ、また、地方が子育て支援を行うための財源の拡充が図られており、一定の評価はできるものと考えております。
〇菅野総務部長 国の予算関連法案が成立しない場合の県予算への影響についてでございますが、国におきましては、この場合、40.7兆円を超える歳入欠陥が生じ、年度当初からの予算執行を抑制せざるを得ない事態も考えられること、また、地方交付税や臨時財政対策債等についても大幅な減となり、4月の概算交付額にも影響するなどの懸念を表明しているところでございます。
 このような事態に陥った場合、県といたしまして、4月から直ちにすべての予算の執行が不可能となるわけではございませんが、国庫補助事業の執行保留による事業着手のおくれなどが懸念されるところでございまして、県財政を担当する立場の総務部長といたしましては、このような事態で地方財政に影響が及ぶことのないよう、平成23年度予算の関連法案の早期の成立を期待しているところでございます。
〇工藤大輔委員 国の予算は4割の財源を赤字国債で賄っていることから、予算関連法案26本中、特例公債法案が通らないだけでも実際に大きな影響が出てきます。また、輸入品や住宅ローン、中小企業経営に係る減税分など、通常税率に戻ると実質増税となり、混乱を極めてしまいます。速やかな予算成立により国民生活に安定をもたらし、日本の危機を脱する1年となるよう期待するものであります。
 次に、県の平成23年度当初予算案について何点かお伺いします。
 平成23年度当初予算は、知事選を控えての骨格予算としておりますが、その総額は6、816億円と、前年度当初予算対比で2.5%の減となっています。平成15年度の骨格予算時は前年度当初予算対比で6.5%の減、平成19年度の骨格予算時には前年度当初予算対比で7.9%の減と、過去の骨格予算と比較して、その減少幅が縮小していることが今回の当初予算の特徴の一つであると理解をしております。
 そこでお伺いしますが、平成23年度当初予算は、県内経済情勢が厳しい中、どのような点に配慮して編成を行ったのか、予算編成の基本的な考え方についてお示し願います。
〇達増知事 平成23年度当初予算編成の基本的な考え方についてでありますが、平成23年度当初予算は、知事選を控え、義務的な経費や継続事業を中心として編成をしたところであり、新規事業や政策的な事業は、今後、6月補正予算として編成を行うこととなるものであります。ただし、現下の社会経済情勢を勘案し、県民の直面する諸課題へ対応するため、新規や政策的な事業であっても、雇用対策関係事業や医療・福祉関係事業など、早期に事業着手が必要な事業については当初予算に計上しているところであります。
 その結果、過去の骨格予算では、平成15年度当初予算が前年度比6.5%の減、平成19年度当初予算が前年度比7.9%減であるのに対しまして、平成23年度当初予算は前年度比2.5%の減となり、減少幅が縮小しております。
 なお、今年度の補正予算において、国の平成22年度補正予算と連動した経済対策事業の追加計上を行っておりまして、県民の仕事と暮らしを支えるため、切れ目ない対応を行うこととしております。
〇工藤大輔委員 平成23年度の国予算案では、公共事業関係費について4兆9、743億円、前年度対比で13.8%の減、一括交付金化の影響を除いても5.1%程度の減となっております。
 一方、県の平成23年度当初予算では、骨格予算としつつも、前年度対比で1.3%に下げどまりした予算となっています。普通建設事業の実施は県債発行の増につながると思いますが、どのような考えのもと、公共事業を含めた普通建設事業の予算計上を行ったのかお伺いします。
〇菅野総務部長 普通建設事業に係ります予算計上の考え方についてでありますが、平成23年度当初予算は骨格予算でございますので、平成22年度当初予算対比で公共事業関係予算は12.4%の減となっております。ただ、一方、現下の経済情勢にかんがみまして、公共事業を含めました普通建設事業は1.3%の減にとどめたところでございます。普通建設事業の財源といたしましては、当然、県債を充てることになるのが通常でございますが、県債の発行により県の将来負担を増加させないよう、国の経済対策等により設置した基金を有効に活用したところでございます。県といたしまして、管理が可能な県債の縮減に努める方針のもと、臨時財政対策債を除きました普通建設事業等の財源として発行する県債の発行額は、前年度比7.4%、37億円の減としているところでございます。
〇工藤大輔委員 予算編成の中で主要3基金の取り崩しを行わず編成したというような説明がありました。国の地方財源対策では、地方交付税は一定程度増額されるものの臨時財政対策債が大幅に減少となり、県税及び実質的な地方交付税の総額では46億円程度の減収見込みのようであります。肉づけ予算となる6月補正の財源は大丈夫なのでしょうか。現時点でどのように対処するのか、考えをお伺いします。
〇菅野総務部長 6月補正予算の財源についてでございますが、御指摘ございましたとおり、平成23年度当初予算は、県税等に実質的な地方交付税を含めました一般財源が約46億円の減収となる一方で、義務的経費の増加が見込まれましたことから、既存事業を見直すとともに、限られた一般財源や国の経済対策等により積み立てられた基金を効果的に活用いたしまして、予算編成を行ったところでございます。
 今後、6月補正予算におきまして、新規または政策的経費に係る予算編成を行うこととなるわけでございますが、その際は、あくまでも必要な事業を積み上げつつ、その内容に応じまして、国庫補助金や県債、または経済対策等で積み立てた基金、さらには主要3基金の活用など財源の確保について検討しながら、あくまでも必要な事業を積み上げるという観点で予算を編成することとさせていただきたいと考えております。
〇工藤大輔委員 その場合、実質、財源はどの程度計上できる見込みとか、あるいは可能性があるのかお示し願います。
〇菅野総務部長 行おうとする事業によって、国庫補助事業に該当するもの、もしくは国の経済対策等で積み立てた基金を使えるもの、あとは県債を充てられるもの、または純一般財源で対処しなければならないもの、いろんなものが考えられますので、現段階で6月補正で幾らぐらい財源を措置できるかというのはなかなか申し上げれないところがございます。したがいまして、必要な事業を積み上げつつ、それに必要な財源を確保していく。通常の現在積み立てております主要3基金の活用等も含めまして、総合的に6月補正の段階では検討してまいりたいと考えております。
〇工藤大輔委員 平成23年度当初予算によると、公債費は1、186億円余と前年度当初予算と比べて37億円余、3.2%の増となっています。平成22年度当初予算における公債費も平成21年度当初予算と比べて130億円、13.1%の大幅な増となっておりました。平成27年度をピークとし、今後も公債費は増加していく見込みということでありますが、この状況に対しどのように対処していくのか、今後の財政運営の基本的な考え方をお伺いします。
〇菅野総務部長 今後の財政運営の基本的な考え方でございます。地方の財政がこのように厳しくなったというのは、やはり国による地方交付税の削減というのは非常に大きく影響してございます。まずは地方の財源を十分確保できるような税財政制度改革を国に強く求めていく必要があろうと思ってございます。
 ただ、一方、御指摘のありましたとおり、今後の公債費の償還が続くというところから、今後、公債費をさらに増加させることのないよう、県債残高の規模を中長期的に抑制していくことを目指しまして、県として、主体的に管理が可能な通常の地方債については、発行規模を適切に管理していく必要があろうと考えてございます。
 同時に、先ほど申し上げましたとおり、今後しばらく県債償還の増加が見込まれる中で、県民の方々への行政サービスの提供に著しい支障を生じることがないよう、事務事業や管理経費の見直しを含め、より一層の行財政改革を進め、持続可能な財政構造を構築していく必要があろうと思ってございます。したがいまして、単年度だけではなくて、中期的な見直しのもとに、主要3基金の活用も含めました予算編成を行っていく必要があろうと考えております。
〇工藤大輔委員 先般、追加提案された2月補正予算には経済対策予算が盛り込まれており、骨格予算である平成23年度当初予算とあわせ一体的に県民生活や地域経済への切れ目のない対策を講じていくこととしています。こうした考えの中で、あえて質問をしたいと思いますが、2月補正予算編成の基本的な考え方、経済対策予算の内容についてお伺いをしたいと思います。
 あわせて、国の補正予算により、DV対策、自殺予防など社会的に支援が必要な方々への対策、知の地域づくりに対する地方の取り組みを支援する住民生活に光をそそぐ交付金が交付されておりますが、2月補正予算においてどのような事業を措置したのかお示し願います。
〇達増知事 2月補正予算についてでありますが、2月補正予算は、現下の経済社会情勢を踏まえた必要な対策を講じると同時に、将来への備えを行うための補正予算として編成いたしました。
 平成23年度当初予算は骨格予算でありますが、2月補正予算に盛り込んだ経済対策関連事業とあわせて、県民生活や地域経済への切れ目のない対策を講じていく考えであります。さらに、最終的な県税収入等の見込みや地方交付税の追加交付などを踏まえて、将来にわたり持続的な財政運営を行うために、財政調整基金や県債管理基金への積み立てを行うこととしたところであります。
 経済対策予算の主な内容は、公共事業などの建設事業を約70億円追加し、国の交付金による特定目的基金への積み立てを行いますほか、地域活性化交付金を活用し、社会的に支援が必要な方々のための関係施設の改修や公共施設の修繕などきめ細かなインフラ整備を行うことにより、有効需要や地元中小企業の受注機会の創出を図ることとしています。
 さらに、県のさまざまな試験研究機関における研究機器の更新整備を行って、将来に向けた研究開発等の取り組みを一層強化していくこととしたものであります。
〇菅野総務部長 住民生活に光をそそぐ交付金への対応についてでありますが、社会的に支援が必要な方々のための事業といたしまして、自殺予防のための相談体制等の充実を、ドメスティック・バイオレンス対策といたしまして婦人保護施設の環境改善のための改修、さらには児童養護施設、特別支援学校等の環境改善などの事業費を計上したところでございます。
 また、あわせまして、知の地域づくりといたしまして、図書館、美術館等の文教施設における修繕、改修や必要物品の充実などを中心としたところに事業費を計上したところでございます。
〇工藤大輔委員 では、次に行財政改革についてお伺いします。
 平成19年度から22年度までの行財政改革の取り組み成果として実施見込みの報告が示されました。これまで、前期2カ年の集中プログラム、後期2カ年のアクションプラン改革編において、本庁組織体制の整備、権限の見直しと能力開発による組織パフォーマンスの向上、歳入確保の強化や総人件費の抑制など、行財政の簡素効率化の推進など、四つの改革の方向性を示しながら取り組んでこられました。それらの成果を踏まえ、次期行財政改革ではどのような視点を取り入れていくべきと考えているのでしょうか。また、次期知事のマニフェストに沿って、就任4年間での政策実現を果たすため、いわて県民計画の地域編、政策編とセットでその方向性を示すようですが、そのスケジュールをお伺いします。
〇菅野総務部長 今後の行財政改革についてでございますが、ただいま委員からお話のございましたこれまでの成果も踏まえまして、現在、いわて県民計画の長期ビジョンに掲げてございます、一つは、いわての未来づくりを支える専門集団へ─これは職員の確保でございます─それから、いわてを支える持続可能な行財政構造の構築、多様な主体による公共サービスの提供、活力に満ちたいわてを実現する分権型行政システムの確立、この四つの視点に基づきまして具体的な方向性を検討していきたいと考えてございます。
 策定スケジュールにつきましては、選挙後、新しい知事のもと、このスケジュール等も含めまして、検討また作業を進めることになりますが、早期にこれらの全容をお示しできるよう努力してまいりたいと考えております。
〇工藤大輔委員 統一地方選後、速やかに方針を示し、一体性をもって県行政を進めるように、早期の計画また内容を示すことを望んでいきたいと思います。
 それらを実行するに当たりまして県の組織体制は非常に重要となってまいります。平成19年に、知事は就任後、総合防災室に特命課長の配置や、観光行政を一体的に進めるための観光振興担当課長の配置などを行ってきました。そして、今年度はいわて県民計画の着実な推進を進めるために、秘書広報室や政策立案機能の強化を目指した政策地域部の設置、四つの広域振興局体制への完全移行など、行政課題に応じた組織体制の整備や業務執行体制の見直しを行ってきたところでありますが、平成22年度に実施した組織体制をどう評価しているのでしょうか、お伺いします。
〇菅野総務部長 組織体制の評価についてでございますが、平成22年度は、本庁の再編と4広域振興局体制の整備を行ったところでございます。本庁におきましては、秘書広報室、政策地域部の設置等によりまして積極的な情報発信が図られたこと、政策立案機能が強化されたこと、さらには広域振興局と本庁との連携が一層強化されたことなど、また、広域振興局の設置によりまして、地域のさまざまな主体との連携による振興施策の展開が図られたことなど、おおむね所期のねらいが生かされているものではないかと考えているところでございます。
〇工藤大輔委員 知事部局4、000人体制が実現しようとしている中、いわて県民計画の着実な推進を果たしていくには的確な人事配置が求められます。来年度は平泉の世界文化遺産登録をつかむ年となり、いわてデスティネーションキャンペーンとあわせて岩手の魅力を国内外に発信する期待の年ともなります。県産品の販売強化や産業振興に向けた取り組みなどを加速させようとする中、来年度の政策的課題にどのような体制で取り組んでいくのか、その方針をお伺いします。
〇菅野総務部長 来年度の職員体制についてでございますが、限られた職員体制の中にありましても、ただいま御指摘のありましたとおり、緊急に取り組まなければならない重要な政策課題については、着実に成果を上げることができるよう、特に意を用いたところでございます。このため、平泉の世界遺産登録を契機といたしましたいわて平泉年の推進、平成24年度のいわてデスティネーションキャンペーンに向けた取り組み、さらには米の生産、販売対策や米価対策、農業者戸別所得補償制度への対応等、さらには広域振興圏の特色を生かした産業振興、それから総合的な自殺対策、こういった中に、通常、職員体制についてはどうしても減らさざるを得なかったところでございますが、ただいま申し上げたようなところについては定数を増加するなど、重要な政策課題へ的確な対応を行うため、必要な職員体制の見直しを行ったところでございます。
〇工藤大輔委員 知事は就任以降、特命課長、担当課長など、特定政策課題に対し専従職員を配置し、課題解決に当たってきました。来年度においては、適正なNPO支援や新しい公共の促進のための特命課長の配置、いわて花巻空港における国際線の受け入れ態勢の整備、誘致を行うために特命課長を配置するなど、重点施策分野に対し、課長職の新設を行おうとしていると伺っております。
 情報化戦略等の策定、情報通信インフラの構築、検討などを行うため、平成21年度に、民間から行政情報化推進課長職に登用しましたが、知識や経験、人脈を持った外部の人材を招聘することも目的達成のための有効な手段となると思いますが、今後の方針をお伺いします。
〇菅野総務部長 外部人材の登用についてでございますが、これまで、若手職員を中心といたしました民間企業経験者の採用に加えまして、管理職につきましても、行政情報化、自動車部品調達、危機管理、食産業育成などの分野において、外部人材の登用を行ってきたところでございます。
 県民ニーズが多様化、高度化している中にありまして、県民に対して、より質の高いサービスを提供するためには、民間企業等におけるさまざまな経験、それから、特殊、専門的な能力を有する人材の確保は有効な手段でございます。したがいまして、今後とも、必要に応じて県民ニーズに対応いたしました外部人材の登用に努めてまいりたいと考えております。
〇工藤大輔委員 県の仕事の中には、観光や企業誘致など、外に向けた仕事も数多くあります。そういった中では、民間の力を借りる、また、そういった方々に県庁の組織に入ってもらうというのは非常に大切なことではないかと思います。人事配置に当たっては、広くアンテナを立てて、いい人材を県の中に取り入れながら、施策推進に当たっていただきたいと思います。
 また、岩手国体の開催年が近づいており、体制強化を進めながら、急ピッチで準備作業を行っております。前回の国体開催時は、国体局を設置し、100名規模で開催準備に当たったようですが、国体に向けた今後の組織や人事のあり方をどのように考えているのか、現段階における考えをお示し願います。
〇菅野総務部長 国体に向けた組織、人事のあり方についてでございますが、前回の岩手国体、それから2巡目国体の先行県の状況を見ますと、国体開催年の3年程度前には、部局相当のいわゆる推進組織を設置していると。それから開催年には、おおむね100人前後の職員体制となっているというのが今までの傾向でございます。
 平成28年度の国体につきましては、岩手の魅力を全国にアピールいたしますとともに、国体の開催が地域の財産となるよう、全県を挙げた県民運動を展開する必要があろうと思っています。また、当然のこと、円滑な国体準備、開催を行うための体制整備も必要でございます。
 ただ、一方で、県の行財政が極めて厳しい状況にありますこと、それから国体簡素化の流れも踏まえつつ、国体推進業務の効率化を図りながら、必要な体制を検討してまいりたいと考えております。
〇工藤大輔委員 また、平成28年度の開催に向け、今後、国体競技の会場となる市町村の施設整備についても着実に実施をしていかなければならないと思いますが、現時点における全体の整備計画やその所要額についてお示し願います。
 また、市町村が行う競技施設の整備に対し、県としてどのような支援を行う考えか、お伺いします。
〇加藤政策地域部長 国体競技の会場となる市町村の施設整備についてでございます。
 全体の整備計画でございますが、去る2月4日に行われました国体県準備委員会の常任委員会におきまして、市町村を初めとする施設設置者の施設整備計画を取りまとめ、第1次の競技施設整備計画を策定いたしました。
 現時点では、正式競技及び特別競技の38競技を、県、市町村及び民間の70施設で実施する予定であります。今年度から実施しております中央競技団体による正規視察の結果を踏まえ、そのうちの59施設で改修、仮設などの整備が必要となってくるものでございます。
 これらの競技施設につきましては、平成27年のリハーサル大会までを目途に、計画的かつ着実に整備を進めていくこととしております。
 施設整備全体の所要額でございますが、市町村において整備内容を検討中の競技や会場施設が確定していない競技がございまして、精査した数値ではないものの、先催県の類似施設などを参考に試算いたしますと、現時点では、概算で100億円を上回る規模になるものと見込まれております。
 次に、競技施設整備に対する支援の考え方等でございます。
 競技会場となる市町村の施設整備に要する経費につきましては、国民体育大会県及び会場地市町村の業務分担経費負担基本方針によりまして、会場地市町村が負担することとなっております。こうした基本的な考え方に立ちつつも、いずれの先催県におきましても、市町村の財政負担を軽減するため、競技施設の整備に対しまして補助を行っております。
 今般、先催県に準じた補助制度を創設することとしたところでございまして、市町村と連携を図りつつ、平成23年度から競技施設の整備を促進していきたいと考えております。
 制度の内容といたしましては、一般競技施設の新設、改修は補助率2分の1以内、限度額1億円、常設の特殊競技施設につきましては補助率3分の2以内、限度額2億円、仮設の特殊競技施設は補助率10分の10以内、全額ということになりますが、限度額は知事が必要と認める額としたいと考えております。
 また、自治振興基金の貸付制度を見直しまして、国体の競技施設等の整備事業を貸付限度額及び貸付利率の特例の対象とすることにしておりまして、市町村の財政負担を軽減いたしまして、競技施設の整備促進を図ることとしております。
 なお、県、市町村の厳しい財政状況等も踏まえまして、既存の各種財政措置等の活用によりまして財源確保が図られるよう、市町村に対しましても必要な助言を行っていく考えでございます。
〇工藤大輔委員 先ほど財政の関係で質問しましたが、公債費の返済のピークとなる平成27年度の翌年に岩手国体が開催されます。国体関連予算がふえる見込みでありますが、当然、通常の事業も同時に進めてまいらなければなりません。財政的には非常に難しいかじ取りになると思いますが、より一層の行財政改革を進めながら、この厳しい年度、また、厳しい期間を乗り切ってもらいますように、財政規律を守りながら取り組むよう、要望したいと思います。
 次に、平泉世界文化遺産を契機とした地域振興策についてお伺いします。
 本年は、平泉の世界遺産登録となる年となります。これを契機とし、平成23年の1年間をいわて平泉年とし、自立と共生の理念を柱とする、平泉の文化遺産の価値の普及などに関する取り組みを集中的に実施することとしておりますが、これは、観光はもとより、地域振興のツールとして、全庁的に取り組まなければならないものと考えています。
 また、この取り組みは、本県の観光振興にとっても千載一遇のチャンスであります。平泉、県南地域のみならず、県、市町村を挙げて、県北・沿岸地域にも波及させていく必要があると思います。幸い、平成24年に実施が予定されているJRのデスティネーションキャンペーンがあり、平成23年度には、プレデスティネーションキャンペーンや全国宣伝販売促進会議など、本番に向けたさまざまな取り組みが予定をされております。
 そこでお伺いしますが、今年度、このいわて平泉年の取り組みについて、県全体でどのような取り組みを行おうとしているのか、具体的にお伺いします。
 また、平泉の理念、価値等をどのように県全体に浸透させ、岩手全体の観光振興に結びつけていこうと考えているのか、あわせてお伺いします。
〇上野副知事 いわて平泉年の取り組みについてでございますけれども、県では、平泉の文化遺産の世界遺産登録以降、速やかに自立と共生の理念を柱といたしますいわて平泉宣言、これは仮称でございますが、これを発表するとともに、平泉がテーマの記念貨幣、切手の発行や東北各県との連携も視野に入れた広報、それから平泉の知名度、ブランド力を活用した、多様な手法による岩手の豊かな魅力の情報発信や県産食材及び伝統工芸品の開発、販売促進など、さまざまな分野の取り組みを行うことにいたしております。
 これらの取り組みと合わせまして、この宣伝に賛同する県民や企業、団体などの自主的、自発的な取り組みを、各種インターネット媒体を通じまして広く情報発信することにより、県内各地を会場に博覧会が開催されているようなイメージで、県全体として統一感のあるいわて平泉年を開催していきたいと考えているところでございます。このため、この2月に、知事を本部長といたします岩手県平泉世界遺産事業推進本部を設置いたしまして、全庁的な推進体制を強化したところでございます。
 今後は、幅広い県民が参画し、県全体での取り組みとなるよう、世界遺産登録を見通しつつ、関係市町村、団体等で構成する実行委員会を設置する予定でございまして、この中でも、理念に沿ったさまざまな企画を募るなどしながら、希望郷いわてづくりに向けたさまざまな施策を集中的に展開していきたいと考えております。
 また、岩手全体の観光振興への結びつけについてでございますが、こうしたいわて平泉年の取り組みの一環といたしまして、おっしゃるようにいわてデスティネーションキャンペーン、通称DCでございますが、これにおきましては、世界遺産登録を契機といたしました県民や県内各地域の観光振興に向けた機運の醸成を図りながら、地域が主体となった魅力ある観光地づくりの取り組みを進めるとともに、おもてなしの心が県民に深く浸透するよう、努めていくところでございます。
 また、今後は、6月の世界遺産登録に引き続き、7月に開催いたしますDCの全国宣伝販売促進会議を通じまして、旅行会社へセールスなどを行い、県内各地域にまたがる旅行商品造成の促進に向け、多くの観光客が県内各地域を訪れていただくよう、取り組んでいるところでございます。
〇工藤大輔委員 いわて平泉年の取り組みの中に、宣言というものの答弁がありましたが、この宣言、内容的にはどういうものを意図するものなのか、お伺いをしたいと思います。
 また、さまざまJR等に提案しながらメニューを設けていかなければ、広く県北・沿岸を含めた波及効果というのも実際には出てこないと思います。具体的にどのような方向性を示そうとしているのか、また、提案をしようとしているのか、あればお伺いします。
〇上野副知事 まず最初に、いわて平泉宣言、これは仮称でございますけれども、その内容についてのお尋ねでございますけれども、これについては、これから庁内あるいは県民の皆様と、いろんな動きをうかがいながら検討してまいりたいと思っております。要は、この平泉宣言、平泉の世界遺産登録と、これを機に県民運動を盛り上げて県内各地の地域振興を図っていくと、そのためのさまざまな取り組みをこれから考えていこうということでございます。
 二つ目に、JR等各方面への働きかけの重要性ということでございます。
 おっしゃるように、この平泉の世界遺産登録というのを契機に、県内全域、さらには隣県も含めましてこの波及効果を及ぼしていくこと、それから地域活性化のための起爆剤となること、こうしたことが求められていると思いますので、私どもといたしましては、JRはもちろんでございますが、いろんな関係の旅行会社あるいは国、それから関係団体を含めまして、いろんなところにこの宣言のもとでPRをいたしまして、これが全県に必ず波及していくように、地域活性化の起爆剤となるように努めてまいりたいと思っております。
〇工藤大輔委員 では、よろしくお願いしたいと思います。
 次に、雇用対策についてお伺いします。
 雇用情勢は、県内の昨年1年間の平均の有効求人倍率が0.43倍であり、リーマンショック直後の平成21年の0.34倍に比較すると改善されてはきておりますが、依然として厳しい状態であり、地域経済の回復も足踏み状況が続いています。
 平成23年度当初予算案は骨格予算としつつも、県内の厳しい経済、雇用情勢に対応する予算については、新規、政策的な経費であっても、この当初予算に積極的に盛り込んでいることとしておるようであります。雇用対策基金の活用や産業振興施策による雇用創出のほか、きめ細かな離職者への職業訓練の実施など、引き続き、経済、雇用対策の取り組みを強力に実施していくことが必要と考えますが、県の平成23年度における経済、雇用対策に対する考え方をお示し願います。
〇上野副知事 平成23年度の経済、雇用対策の基本的な考え方についてでありますが、経済、雇用対策は喫緊の課題と認識をいたしておりまして、2月7日に開催をいたしました岩手県経済・雇用対策本部会議におきまして、平成23年度の経済、雇用対策の取り組み方針を決定いたしまして、引き続き雇用の創出と就業の支援に取り組むとともに、中長期的な視点に立ちまして、地域経済の活性化の取り組みを強力に推進することとしたところでございます。
 骨格予算となります平成23年度当初予算におきましても、必要な事業を計上し、切れ目のない対策を講じていくこととしております。
 具体的には、雇用の創出と就業の支援につきましては、総額約80億円の雇用対策基金事業により約2、350人、各種の産業振興施策により約1、350人、合わせまして3、700人の常用雇用を創出するほか、住宅手当、生活資金の貸し付け、職業訓練の実施など、引き続き、きめ細かな生活、就労支援に努めていくことといたしております。
 さらに、地域経済の活性化につきましては、本県経済の持続的な成長を目指しまして、産業集積の促進、地場企業の技術力向上などによるものづくり産業の振興や、地域の特性、資源を生かした食産業、観光産業、あるいは農林水産業の振興に取り組むほか、次世代産業の創出につながる研究開発、中小企業の前向きな取り組みや経営安定に向けた円滑な資金供給などに取り組むことといたしております。
〇工藤大輔委員 若年者の就職支援についてお伺いをしますが、全国的に大卒の内定率が過去最低と報じられるなど、若者の就職が非常に厳しい状況にあります。県内の若年者の雇用の現状と課題をどのように認識しているでしょうか。
 新年度予算で、ことし春、新卒者等への就職支援について具体的にどのような対策を講じようとしているのか、お伺いします。
〇上野副知事 若年者に対します就業支援についてでございますけれども、この春の高校卒業予定者につきましては、早い段階から個別企業を訪問して採用要請をするなどの取り組みを進めたこともございまして、県内企業からは、早期に求人票を提出していただいたところでございます。その結果、1月末の内定率は全体で89.7%と、前年同期を上回っております。
 大学生につきましては、1月末の内定率は全体で65.9%でありますが、一部の免許等が就職にかかわる学部を除きました県内の主要大学への聞き取り調査によりますと、おおむね70%から80%の内定となっており、ほぼ昨年並みであるということのようでございます。当面、未内定者が年度内に内定を獲得できるよう手だてを尽くしていく必要がありますが、未就職のまま卒業する方への支援についても課題であると認識しております。
 次に、平成23年度においてでございますけれども、各地域のジョブカフェと各広域振興局に配置をされております就業支援員及びハローワーク、教育機関等が連携して、継続して支援が受けられる体制を構築するほか、新たに新卒未就職者を含む若年層を支援するため若年者地域人材育成事業を実施いたしまして、民間企業が新卒未就職者等の若年者を雇用いたしまして、就業に必要な知識、技術を習得する研修を行いまして即戦力となる人材の育成を図るとともに、企業への就職を促進することといたしておりまして、こうした対策によりまして若者の就職をしっかりと支援していくことといたしております。
〇工藤大輔委員 社会に出る最初につまずきが出ないように、今後とも強力に支援策を講じていただきたいと思いますし、また、ミスマッチが生じないように、学生のほうにも、例えばインターンなどを積極的にするような活動を進めるなど、社会に向けての考え方、就職に向けての考え方というのも、今後それぞれの分野で必要だと思います。
 学校サイドのほうでは職業先、地域のところに何日間かのインターンのような形のものも進めておるのはわかっておりますが、短期間だけでは全般的な情勢も学生にはわかりません。これらが自主的に学生が取り組める体制になるということが、企業が必要な人材へと結びついていくのではないかと思いますが、これらの考えについて所見をお伺いしたいと思います。
〇上野副知事 今、委員からお話がございました若年者の就業支援につきましての重要性は、私どもとしても最重要課題の一つと認識いたしておりまして、先ほど申し上げましたように、若年者の地域人材育成事業という新たな事業を通じまして、就職を支援する企業、一般の企業も含めまして、こうした企業に呼びかけて、実際にこうした企業に雇っていただく、あるいはこうした企業に研修をしていただくと、こうした新しい取り組みも含めまして、今おっしゃったように、若い方々が最初の段階で就職につまずいたりとか希望を失ったりとか、そうしたことがないように、県全体として取り組んでいきたいと思っております。
〇工藤大輔委員 次に、長期失業者への支援対策についてお伺いします。
 長期の景気低迷や大規模な事業所閉鎖などにより、県内でも長期に失業されている方が多数いらっしゃいます。県では、新年度予算において、モデル的に長期失業者への支援策を講じる予定とのことでありますが、その内容についてお示し願います。
〇上野副知事 長期失業者への支援対策についてのお尋ねでございますが、これまでワンストップ・サービス・デイなどでの相談内容を見ますと、失業が長期にわたる方々は、就労や生活資金、心の健康など、お一人で複数の問題を抱えておられる状況がうかがわれます。それぞれの状況に対応しまして、よりきめの細かい支援、サービスを提供する必要があると認識しているところでございます。
 国におきましても、長期失業者などに対しまして、福祉部門と雇用部門が連携をいたしまして、継続的な支援を行う仕組みづくりが必要であるとの考え方に立ちまして、昨年、パーソナル・サポート・モデルプロジェクト事業というものを立ち上げたところでございます。県では、これに応募したところでございまして、その結果、全国19カ所の一つとして、本事業を実施することとしたものであります。
 具体的には、県央地域や県南地域にそれぞれ拠点となるセンターを設置の上、広域振興局などの相談窓口など、関係する行政機関やNPOなどと連携しながら、生活の立て直しから就労に至るまで、長期失業者の方々、本人のニーズに合わせて支援策のコーディネートを行い、継続的な支援を実施することとしているものでございます。
〇工藤大輔委員 それでは次に、1次産業についてお伺いをしたいと思います。
 後継者の育成が思うように進まず、農業への就業人口や耕地面積の減少に歯どめがかからないなど、本県の地域経済を支える大切な産業である農業は、一部に大きな輝きを持ちながらも、厳しい環境にあることは変わりません。国の農業政策の根本が大きく変わりつつあり、来年度から経営の下支えとなる農業者戸別所得補償制度が本格的に始まります。これからの農業は、個別経営だけでは限界があり、地域の合意による集落営農が望ましいと考えられますが、所得補償制度での集落営農への支援措置として農地の面的集積がなされた場合の規模拡大加算があり、その交付要件として集落営農組織が法人化されていることが条件となっています。
 そこでお伺いしますが、現在、県内の集落営農組織はどの程度あるのでしょうか。そのうち、規模拡大加算の対象となる法人数はどの程度あり、その交付要件を満たしていない集落営農組織はどの程度あるのか、お伺いします。
 さらに、規模拡大加算の交付要件を満たしていない集落営農組織への支援方策をどのように考えているのか、お伺いします。
〇上野副知事 地域営農の核となります経営体の育成についてのお尋ねでございますけれども、まず、本県の集落営農組織の数は、全体で539組織ございます。このうち、規模拡大加算の対象となる法人は58組織、規模拡大加算の対象とならない任意組織は481組織となっております。このような任意の集落営農組織の一部には、規模が小さく農業機械の効率的な利用が進んでいない組織もございまして、こうした組織は、米価が低迷する中で非常に厳しい経営状況にございます。このため、小規模な集落営農組織が作付面積の拡大や機械の整理合理化に取り組む場合に助成金を交付する県単独事業を今回創設したところでございまして、この事業の活用によりまして規模拡大を促進し、経営基盤の強化を図ることといたしております。
〇工藤大輔委員 農業に関してセンサス等の統計を見ても、10年前と比較すると大幅に就業人口また年齢構成がアップするなど、潜在的な課題からまだ脱却できない状況にあります。これらの政策を適切に進めるということも必要ですし、また、産地化やブランド化に向けた若手の取り組み等が今進んでおる中で、積極的な農業に対する支援策を講じてもらいますように、強く要望をするものであります。
 次に、林業についてお伺いします。
 森林・林業再生プランが打ち出され、木材自給率を50%に引き上げる方向にあります。公共建築物木材利用促進法も施行され、公共施設や公共事業への県産材の率先利用を一層進める必要があります。これまで、3年ごとの目標数を設定しながら拡大に努めておりますが、期待したほどの成果が出ているとは感じられません。
 平成19年度から平成21年度までの3年間の公共施設、公共工事における木材利用の推進目標は1万7、100立方メートル、これに対する実績は2万1、710立方メートルで、127%の達成率となっている一方、平成22年度から平成24年度までの木材利用の推進目標は1万立方メートルとなっており、目標とする設定数が小さ過ぎるのではないかと考えます。この点について見解をお伺いします。
 また、住宅着工戸数に持ち直しの傾向が見られる中、リフォーム助成の新設も含め、積極的な対策をとるべきとも考えます。
 県土の77%を占め、2億2、000万立方メートルの森林備蓄を有する全国屈指の森林県として、森林利用においても先進県となる取り組みが求められると思いますが、今後どのように取り組んでいくのか、県の基本的な考え方をお伺いします。
〇上野副知事 まず、公共事業への県産材の率先利用についてでございますが、昨年3月に策定をいたしました第3期行動計画におきまして、平成22年度から平成24年度における木材利用の目標は、県の公共事業が大きく減少していることも踏まえまして、1万立方メートルとしたところでございます。ただ、この目標数値は、各部局の計画量を単純に積み上げたものではございませんで、計画期間において各部局がさらに木材利用に努力することとし、積み上げ量に加算をいたしまして1万立方メートルの目標として設定をしたものであります。
 このたび、行動計画を木材利用促進法に基づく本県の方針として位置づけたところでございまして、これを機に、市町村における木材利用方針の策定、県民への木材利用の普及啓発など、県産材のさらなる利用拡大に取り組んでいく必要があると考えております。
 また、今後の林業振興の取り組みについてでございますけれども、いわて県民計画の重要施策に掲げております食料・木材供給基地の確立に向けまして、本県の豊富な森林資源、特にも伐採時期を迎えつつある人工林資源を基盤に、需要者ニーズをとらえた高品質な木材製品を県内外へ積極的に供給していくこと、あわせて、県内における県産材の利用拡大が重要と考えております。このため、第1に、路網整備等による低コスト木材の産出や林業事業体の組織化による木材の安定供給、第2に、需要者ニーズの高い乾燥材や集成材といった高品質な木材製品の生産体制の強化、第3に、工務店と製材所のマッチングによる一般住宅への県産材利用の促進に取り組むほか、第4に、石炭混焼発電への未利用間伐材供給を初めといたしまして、全国トップレベルの木質バイオマスエネルギー分野の利用を促進するなど、全国屈指の森林県といたしましてふさわしい取り組みを推進してまいりたいと考えております。
〇工藤大輔委員 林業全般でのその全国屈指のという気持ちは酌みながら、さらに進んでいただきたいと思いますが、ただ、それを率先するための公共事業に関する行動計画、過去3年間の実績の半数しか目標を設定しないというのは、やはり余りにも低いとしか言いようがないと思います。毎年、木材の備蓄量は増化をします。その中での半数の設置というのは、やはりもう一度考え直すべきではないかと思うんですが、見解をお伺いします。
〇上野副知事 委員の御指摘の点は、先ほど私どもの考え方としては一応お示しいたしました。それは公共事業の予算が最近かなり減ってきているということ、それから、各部局においてプラスアルファの要素も加えた上で1万立方メートルとしたということであります。ただ、今後、私ども一生懸命木材利用の促進に努めてまいりますので、各部局の取り組みの進捗状況も見ながら、今おっしゃったような、これについての取り組みが進んでいくというような状況になりますれば、行動計画を見直すということもそれは当然検討しなければいけないということでございますので、そうしたことになるように、全体として一生懸命取り組んでまいりたいと考えております。
〇工藤大輔委員 県ばかりでなく、市町村にも行動計画の策定を進めながら、率先的な取り組みというのを行政が主体となって取り組む必要があるんだと思います。紫波町の取り組みなどはやっぱり有名でありますし、学校をつくるに当たって約800立方メートルほどを利用するなど、要は使い方をどうするか、内装材にどう使うか、どのような形で使えるかということを考えれば、もっともっとやれる分野はあるんだと思います。
 これまでの県の行政でつくられてきた公共建築物、できる限り使うと言いながらも、結果的にできたものを見るとほとんど使われていない。もっと使えるんじゃないかというような思いを持つ施設は数多くあります。ですので、先ほど副知事に答えていただいたように、全国屈指の森林県としてふさわしい内容、また、岩手らしい公共事業というものはどういったものかということを改めて考えていただきながら、施策の推進に当たっていただきたいと思いますが、再度お伺いします。
〇上野副知事 御指摘のように、市町村における取り組みというのは非常に大事だと思っております。私ども、今回の林野庁の取り組み、新しいプランの策定を踏まえまして、これを機といたしまして、公共建築物における木材の利用促進というものにつきまして、市町村においても一層利用していただくように働きかけていく所存でございます。
 また、県といたしましても、今おっしゃいました全国屈指の森林県という名に恥じないよう、一生懸命木材利用の促進に努めてまいる所存でございます。
〇工藤大輔委員 次に、水産業についてお伺いします。
 先ほど、地震、津波被害などの状況等について話をさせていただいたところですが、本県水産業の再生には、災害に強い漁場環境の整備や資源の回復を目指した放流事業、漁協経営をも考えた形での漁業権の設定のあり方、付加価値を生む水産加工への支援など、さらに強化または対策を講じる必要性のあるものが多数あります。今後、どのように取り組んでいくのか、水産業振興に係る県の考えをお伺いします。
〇上野副知事 水産業の振興についてでございますが、委員御指摘のとおり、本県の水産業を取り巻く状況は、頻発する災害や安い輸入水産物との競合、燃油の高騰などにより、非常に厳しいものと認識をいたしております。このため、県といたしましては、第1に、耐波性の高い養殖施設の整備や漁業共済の加入促進による災害に強い態勢づくり、第2に、サケやアワビなどつくり育てる漁業の推進、第3に、さらには地域営漁計画や県北型地域営漁計画の実行支援による担い手の育成と漁家所得の向上、さらには、第4に、水産業の6次産業化、水産加工振興による高付加価値化の促進、こうしたことによりまして、本県の水産業の振興に取り組むことといたしております。
〇工藤大輔委員 大きな枠組みでの質問をしたので、大体そういう答弁になろうと思いますが、いずれ、地産地消に対する取り組みというのも同時に進める必要がありますし、また、海外への販売強化など、特にも本県の第1次産業に関するものについて、積極的な事業展開を進める必要があると考えます。
 今後の農林水産分野における流通の推進策など、そのような点にはどのような形で取り組んでいくのか、お伺いをしたいと思います。
〇上野副知事 農林水産物の物流の推進方策についてでございますが、本県は総合食料供給基地といたしまして、品質の高い農林水産物を首都圏など消費地に対し安定的に供給するとともに、県内での消費拡大や海外輸出などにも取り組んでいるところでございます。近年、国内市場が緩和傾向にある中、産地間競争の激化に伴い、多様な販路の確保が重要と認識をいたしておりまして、第1に、首都圏など、国内の大市場、大消費地に向けました安全・安心で高品質な農林水産物の供給とそのPR、第2に、加工業者や量販店と連携をいたしましたさらなる地産地消運動の拡大、第3に、国別、品目別にターゲットを絞りました戦略的な海外展開など、県産農林水産物の販路の拡大に総合的に取り組んでいくことといたしております。
〇工藤大輔委員 そこで来年度の取り組み、例えば具体的にどのような事業を予定しているのかどうかお伺いをしたいと思いますし、地産地消の取り組みなどという観点で言いますと、米関係では、米粉を見ましても、例えば学校給食では、県内で生産している小麦、また、米粉の比率に応じたような割合で学校の給食にパンを積極的に使うだとか、そういった形で思い切った施策を推進する方向性を打ち出すということもこれから必要ではないかと考えますが、お伺いをしたいと思います。
〇上野副知事 具体的なお尋ねでございますけれども、幾つか申し上げますと、例えば先ほど申し上げました6次産業化、加工関連の話については県のほうで既に進めておりますけれども、新しい6次産業化に向けたスタートアップ事業、これを新たにつくっていくことにしていまして、これまでの6次産業化の取り組み、どちらかというと大きい組織が中心だったわけですけれども、もう少しすそ野を広げまして、地域の中に入り込んでいっていろんな6次産業化を推進していこうと、こうした事業もやろうといたしております。
 それから、今おっしゃいました米粉の話でございますけれども、当然に地域のいろんな資源、これを十分に活用されていないという御指摘もありますので、そうした意味では、地域の農産物がきちんと活用されて付加価値が高まるような取り組み、こうしたものもやっていきたいと。
 さらには、産直ですとか、そうした地域の方々が一生懸命、第3次産業化というか6次産業化の中で、単につくるだけではなくて、売ることにも腐心しておられる、苦労しておられるという点もございますので、そうした点も含めながら、6次産業化全体をいろんな局面で、いろんな地域で具体的に支援していこうと思っております。
〇工藤大輔委員 地産地消の取り組みは、やはり生産者への期待また生産への後押しとなることにつながってまいります。また、知事も、買うなら岩手のものということで、積極的に岩手のものの活用をみずから勧めておる、そのような状況でもあります。厳しい環境ですから、一層、県内で生まれたものを県内でまずはしっかりと消費をし、そして他に向けての販売戦略をしっかりと練りながら、これからもその対策に当たっていただきたいと思います。
 続きまして、公営企業改革についてお伺いをしたいと思います。
 岩手県立病院等事業の経営形態のあり方に関する懇談会による報告書がまとまり、議会への報告がありました。現在の地方公営企業法全部適用と地方独立行政法人化のどちらが適切であるかは形の問題であり、肝心なのは中身であるというような内容のものでありました。そのポイントを現状に置きかえれば、病院事業管理者、いわゆる医療局長が人事と予算を中心に権限と責任を持つこと、第2に、開設者である知事と局長や病院長が課題認識を共有し運営すること、第3に、県民や議会に積極的に説明を行うことなどがその中身に盛り込まれておりました。
 この報告書では、最終的に経営形態のあるべき姿を示せなかったわけですが、高度医療や救急医療体制の向上というニーズにこれからもこたえ続けていかなければなりませんし、また、医療局の経営の健全化に向け、今後どのような運営を行っていくべきと考えているのか、お伺いをしたいと思います。
〇達増知事 医療局の経営健全化についてでありますが、高度、専門医療や救急医療については、二次保健医療圏を基本に、それぞれの圏域の県立の基幹病院が大きな役割を担っております。
 こうした役割を果たすため、新年度においては、地域医療再生臨時特例交付金などの国の交付金制度も活用しまして、地域がん診療連携拠点病院の指定に向けた釜石病院の放射線治療機器の整備、災害拠点病院であります釜石病院、そして第二次救急医療施設であります江刺病院の耐震化改修、沿岸部における救命救急センターであります久慈病院や大船渡病院へのドクターヘリ運航を見据えたヘリポート整備などの施設整備を行うこととしております。
 このような高度医療や救急医療の向上というニーズにこたえながら、医療局では、現在、7対1看護体制への移行や、基幹病院での診断群分類別包括支払方式─DPCの導入など、収益確保の取り組みを進めておりまして、費用の効率的執行とあわせて、収支改善が図られてきているところであります。
 その一方、医師不足や患者数の減少など、地域医療を取り巻く環境は依然として厳しい状況にありますことから、こうした経営健全化の取り組みに加えまして、県立病院相互の役割分担と市町村や民間の医療機関との連携、さらに医師の定着支援をより一層推進するなど、経営計画を着実に実行し、県民に良質な医療を持続的に提供していく必要があると考えております。
〇工藤大輔委員 私は当初、この事業形態のあり方に関する懇談会というものは、内容、運営方法の改善やさまざま専門家等の視点を組み入れたものが布石されるということとあわせて、やはり今後の経営形態のあり方まで踏み込んだ答申が出てくるのではないかと考えていました。しかしながら、結果とすれば、先ほど申し上げましたとおり、そのような内容は出てこなかったわけですが、例えば経営形態のあり方に関する今後の議論というのはどのように進めていくのでしょうか、お伺いします。
〇達増知事 論点はかなり示していただいたと思っておりまして、改めて答申の内容につきまして、県医療局本体、また、県はもちろんでありますけれども、市町村、さらには広く県民の皆さんに参考にしていただいて、岩手の医療の現状─あの報告書は医療局の歴史でありますとか、今現在の岩手の医療の実態でありますとか、そういった議論の参考になるデータがかなりうまくまとめて盛り込まれておりますので、そういったことを改めて県民的に学び、そして議論をしながら話を進めていくことが肝心と考えております。
〇工藤大輔委員 現在の経営形態が果たしてよいのかどうか、さらなる別の経営形態が必要なのかどうかというのは、いつの時代であっても、その管理者やまた病院長は考えていかなければならない重要な案件だと私は思います。今回の懇談会による報告書が、当面、最終形ではなくて、これからも厳しい状況が続くわけですから、さらに検討を加えながら、適切な医療体制が進むように、県でも、なお一層努力されることを求めていきたいと思います。
 次に、例年、県では、一般会計から県立病院事業会計に対し180億円前後の繰り入れを行っております。そのうち、50%程度が地方交付税で措置されているものの、残りは実質的な県負担と言えるわけであります。県内に57の市町村立病院及び診療所がありますが、その運営費に係る市町村の実質的負担の実態はどのようになっているのか、お伺いします。
〇加藤政策地域部長 昨年度、平成21年度の地方公営企業の決算状況調査、これは総務省が統一的に行っている調査でございますが、これによりまして把握しております八つの市町立病院と県内42の国保診療所について見ますと、市町村の一般会計からの繰出金は約44億7、000万円となっておりまして、そのうち55%に当たります約24億6、000万円が、地方交付税で財源措置されております。したがいまして、引き算いたしますと、一般会計による実質的負担額は全体の45%程度の約20億1、000万円となっております。
〇工藤大輔委員 プライマリーな診療機能を担う地域病院について、市町村との共同運営なども今後とも必要なこととなってくると思います。市町村が、県立病院があるなしにかかわらず、ひとしく地域医療に主体的に取り組んでいく体制も構築をしてまいらなければなりません。
 今、その数値、市町村の負担というのが出てきたわけですが、県として今後どのように取り組んでいく考えか、お伺いします。
〇達増知事 県としましては、これまで、県と市町村との連絡会議を開催して、地域医療の確保に向けて、県立病院と連携した先進的な取り組みを行っている市町村の事例を紹介するなどによりまして、市町村の主体的な取り組みを促してきたところでありますが、こうした取り組みを通じて、山田町の県立病院と連携、支援した医師招聘活動など、新たな取り組みが出てきております。
 そうした中で、先般、報告をいただいた県立病院等事業の経営形態等のあり方に関する報告書でありますけれども、委員御指摘のとおり、プライマリーな診療機能を担う地域病院については、例えば県と市町村との共同運営など、そのあり方について考えていく必要性について提案があったところでありますが、プライマリーな診療機能については、民間の診療所や市町村立の病院がその機能を担っている地域もあれば、県立病院が担っている地域もあるなど、各地域の医療資源等の状況により、大きく異なっているところであります。
 今後、平成25年度からの次期保健医療計画の策定に向けた作業を進めることとしていますが、そうした中では、各市町村が中心となって当該市町村内のプライマリーケアの方向性を考えていただくことが重要であり、そのことを起点として、二次保健医療圏全体の方向性についても議論を行う必要があると認識していますことから、この点に十分配慮しながら計画策定を進めていく必要があると考えております。
〇工藤大輔委員 次に、入札制度と公共調達についてお伺いをしたいと思います。
 県営建設工事の入札制度の改革として、条件付一般競争入札や電子入札の拡大、入札ボンド方式の導入、総合評価落札方式の拡充を行ってまいりました。
 平成21年度の入札結果は、調査基準価格を2度にわたって引き上げたため、低入札の発生率が48.9%に増加し、普通会計における平均落札率は82.2%となりました。過度な競争によるダンピングを防止する対策が急務となっておりますが、今年度の実態とさらなる改善に向けてどのような入札制度を目指していくのか、お伺いします。
〇菅野総務部長 本年度の4月から1月までの普通会計における落札率は82.5%、低入札は672件、発生率51.2%となっております。
 入札制度の改善については、お話のありましたとおり、競争性、透明性を担保し、県民の方々に信頼される仕組みとともに、やはり建設業の健全な発展を図っていくと、こういう視点も非常に大事ではないかと思ってございます。
 こういった観点から、最近の落札価格帯の低下、また、県内建設企業の財務状況等を勘案いたしまして、低入札対策を一層強化することといたしまして、本年4月から失格基準価格及び数値的判断基準を引き上げますとともに、7月からは、価格のみではなくて、技術力も合わせて評価する総合評価落札方式を本格実施することとしたところでございます。
 今後とも、入札状況の推移を注視しながら、必要な対応を検討してまいりたいと考えております。
〇工藤大輔委員 地域経済を考えると、地域に向けられた予算や事業は地域内で生かされて、その効果を広く循環させるべきと考えます。特にも、自治体の投資的経費が大幅に減少し、民間需要が少ない地域では、一定の競争性や透明性の確保を保ちながらも、地域振興や雇用の維持、拡大の観点から、このような考えは必要な視点ではないかと思います。
 四つの広域振興局体制となり、戦略性を持った地域経営が進んでいくものと期待をしておりますが、広域振興局体制における公共事業の発注や物品などの調達に当たっての考え方についてお伺いをしたいと思います。
〇菅野総務部長 地元企業の受注機会の拡大というのは非常に重要な視点だろうと思ってございます。これと入札の透明性というものをバランスを持ってやっていくということになろうと思ってございますが、建設工事の入札におきましては、工事場所の属する旧振興局の区域を基本とする地域要件を設定いたしておりまして、応札可能者が一定の基準に満たない場合は、順次拡大するという方式をとっているわけでございますし、また、物品の調達におきましても、旧振興局の区域を原則として地域要件を設定いたしまして、地元企業への発注に配慮した仕組みとしているところでございます。
〇工藤大輔委員 先ほど民間需要が少ない地域という話もさせていただきました。県の基準ではそのような形で進んでおるわけですが、やはり地域のニーズは地域内での受注、そしてまた地域での雇用をできるだけ生かしてもらう仕組みをどのように行政がつくっていくかということにあると思います。それに向けての取り組みというのはどうもまだまだ十分ではなく、どちらかというと、競争性、透明性のほうが優先されているような入札制度ではないかと考えますが、再度お伺いをしたいと思いますし、また、調査基準の価格が引き上がって低入札が発生し、さらに業務がふえているという状況にあっては、限られた職員の中で、その業務を簡素化する必要もあるのではないかと。いわば低入札になった際には、入札の落札者としないなどの取り組みなども他県では行われております。そのような状況も踏まえ、どのような対応を今後とろうとするのか、お伺いしたいと思います。
〇菅野総務部長 建設工事の入札に関しては、先ほど申し上げましたとおり、4月から見直しを行うこととしてございます。御指摘のありましたとおり、低入札となった場合は低入札の価格調査を行いまして、これはかなり厳密な調査を行いますものですから、その分の負担が生じているという事実は御指摘のとおりでございます。
 今回の見直しによりまして、失格基準価格を引き上げるということから、その調査対象がかなり減ずるのではないかと思ってございまして、そういった面でのいわゆる極端な低入札というものが抑制できるのではないかと考えているところでございます。
 また、一方、地元調達の関係でございますが、やはりインフラの維持管理ですとか災害対応を含めまして、地元企業の育成というのは非常に重要な観点でございます。国におきましても、地域社会の維持に不可欠な役割を担う地域建設業に配慮した契約方式、こういったものが検討できないかということで既に検討に入っているところでございます。
 本県といたしましても、その動向を注視しながら、こういった方策の検討、研究を進めてまいりたいと考えております。
〇工藤大輔委員 ここ毎年、検討はずっと進んでおるように思いますけれども、決定というのがなかなか出ないのではないでしょうか。改めて、進んでいるとすればいつごろをめどにしながら、どのような形で進めるんだという方向性を示していただきたいと思いますが、お伺いします。
〇菅野総務部長 入札制度の見直しにつきましては、昨年度、今年度も必要な見直しを行ったところでございますし、さらに先ほど申し上げましたとおり、低入札の強化もしくは総合評価落札制度の本格実施ということで見直しを進めたところでございます。こういった状況を勘案しつつ、やはりまだ足りないというものについては引き続き見直すべきところは見直し、実行していくということで取り組んでまいりたいと考えております。
〇工藤大輔委員 できるだけ早くその体制になるように要望したいと思います。
 知事の4年間の姿を見ますと、大きな県政課題について真っすぐ見詰め、そして対応を真正面から考えて進んできたと思います。その象徴となるのが、県立病院等の対応であったと思います。その結果として、後期の研修医の方々が下げどまったり、医師の下げどまりなど、また、県民の医療に対する考え方、どうあるべきかということが十分伝わり、知事の思いが私は県民ひとしく十分に伝わったのではないかと思います。これが結果として、大きく岩手の危機を希望に変える方向性へ導ける第一歩となる政策であったと思います。
 任期最後となりますが、これからの4年間、新たにまた再選を目指しておられるわけです。知事も、今後とも、そのような県の大きな政策課題に対し、真正面からぶつかり、また、我々議会や県民の方々へ情報を深くまた広く提供してもらいながら、大きな県民議論を用いながら、県の重要案件の課題解決に当たっていくべきと思いますが、知事の所感をお伺いしたいと思います。
〇達増知事 県立病院、診療所の問題に関しましては、私も知事就任以来、初年度から病院長の皆さんと懇談をスタートさせるとか、また、翌年度には、勤務医の中堅あるいは現場で活躍している皆さんとの懇談もスタートしたところでありますし、ほかにもいろいろ病院勤務医の皆さんの話を聞く機会、やりとりをする機会があったんですけれども、かなり疲弊といいますか疲れがたまり、病院での勤務がきつくなっている。そういう中で、今回の経営計画の前のときに、病院勤務医の負担を軽減するような診療所の体制の見直しという議論があったにもかかわらず、それが実現しなかったことで、かなり絶望感が勤務医に広がっていたと。これをそのままにしておいたら、岩手の地域医療が一気に崩壊する危険性があったということを、そういった事実を踏まえて危機に対応したところであります。
 地域医療の崩壊ということについては、一部マスコミで報じられるところはあったんですけれども、時の政府もなかなかはっきりとそのことを認めていなかったりもいたしまして、その実態が、岩手の場合、全国的に、一般に実態が知られることがなかったんですが、岩手においてはこの議会での真剣な議論もあり、県民の皆さん、岩手の地域医療の実態をかなり勉強する、知ることができたんではないかと思います。そういった事実、現状を把握していくことが、危機を克服、問題を解決していく大事な肝心かなめだと思っておりまして、そういう姿勢を岩手県政として、また、岩手全体として貫いていけば、岩手は着実にいい県に、いい方向に向かっていくということを確信しております。
〇工藤大輔委員 ありがとうございました。
 それでは、残余の時間につきましては小野共委員が質問しますので、よろしくお願いしたいと思います。
〇五日市王委員長 この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
   午後0時4分 休 憩
   午後1時3分 再 開
〇五日市王委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
 次に、小野共委員。
   〔小野共委員質問者席に着く〕
〇小野共委員 午前中の工藤大輔委員に引き続きまして総括質疑を始めさせていただきます。知事に期待をいたします岩手県民の一人といたしまして質問を始めさせていただきます。時間が許す限り、3点に絞ってきょうはお聞きいたしたいと思います。
 新年度の予算編成をする上での県の基本的な考えをまず聞いてみたいと思います。予算の規模について、まずお伺いいたします。
 平成23年度の予算は骨格予算でありまして、4月の統一地方選の後、6月定例会の補正予算で、新規事業そして政策的経費については改めて計上したいとの今現在の執行部の方針であります。当初予算は、言うまでもなく、何度も申し上げられているとおり、6、816億円ということでございます。
 平成元年度以降の県の予算額を調べてみますと、平成元年度に5、616億円だった当時の県の当初予算は、平成13年度、9、005億円になるまで13年間増加し続けております。平成元年度以降、平成13年度まで増加し続けております。平成13年度以降は平成20年度まで減少しております。そして、平成20年度以降は再び県の当初予算は増加しております。知事と当初予算との関係について言えば、達増知事の就任以降、県の予算は増加しているということになります。平成13年度、今から10年前の、平成に入り県の当初予算がピークとなりました9、005億円のときの我が岩手の人口は141万3、099人ということでありました。単純に県民1人当たりの予算額にすれば、9、005億円を人口141万人で割り返すと、平成13年度は県民1人当たり64万円の県の予算が使われたことになります。対して新年度、平成23年度の予算額を現在の岩手の人口で割りますと、県民1人当たり51万円の予算額ということになります。つまり新年度の予算は、10年前の平成13年度と比較して、数字上はこの10年で県民1人当たり13万円少なくなったということが計算上は言えます。
 地方自治法の条文に記載のありますとおり、地方公共団体の基本が住民福祉の向上にあるとするならば、当然、法律上は自治体の予算というものは住民福祉の向上のために使われなければいけないということになります。知事の就任以降は、確かに県の予算額は増加しておりますが、この10年のスパンで考えますと、単純に県民1人当たりに使われる県の予算額が13万円少なくなったというこの事実に関し、まず、知事の感想と考えを聞かせてください。
〇達増知事 平成13年度は、決算ベースでの県の普通建設事業費が3、000億円を超えていた年度でありまして、公共事業を中心に、国、地方を挙げた経済対策を行っていた時期と言えます。県の予算規模は当時と比較して小さくなっていますけれども、公共部門による景気刺激が行われなくても民間部門が自律的に好循環をつくり出して経済が拡大するような構造はいまだ実現されておらず、こうした自律的内需拡大が実現するような経済構造の改革が必要なのではないかと考えております。
〇小野共委員 確かに、今、知事のおっしゃるとおり、自律的な内需拡大が経済的にうまく回るのであれば、本当にすばらしいことなのだろうと思います。それに関して、私が前回の一般質問でも申し上げたとおり、政治の経済に対する役割というものを十分に考えて、その経済政策をやっていただきたいということであります。
 関連してお聞きしたいんですが、先ほどから申し上げたとおり、10年前の平成13年度の当初予算は9、005億円です。当初予算額だけ比較しますと、この10年で2、200億円ほど減少したということになります。
 お聞きしたいんですが、それでは、どういった分野の予算がこの10年で減少しているのか、また、すべての分野で少しずつ減少しているのか、予算額の減少に係る全体的なこの10年間の傾向についてお示し願います。
〇菅野総務部長 全体的な傾向についてでございますが、単純に比較させていただきますと、目的別で申し上げますと、土木費、農林水産業費及び教育費が減ってございます。平成23年度当初予算においては、平成13年度当初予算に比べまして土木費が約800億円程度の減、農林水産業費が750億円程度の減、教育費が390億円程度の減となっているところであります。
 その内容を性質別にお答え申し上げますと、普通建設事業費及び人件費でございます。平成23年度当初予算におきましては、平成13年度当初予算に比べ、普通建設事業費が1、600億円程度の減、人件費が420億円程度の減となっているところでございます。減について申し上げますと、そういう状況でございます。
〇小野共委員 それでは、すべての分野で少しずつ減少しているのだろうというような傾向なのかなと思います。ぎりぎりの予算で県の財政運営を行っているというのは、多分というか、そのとおりだろうと思います。しかし、私が先ほど申し上げましたとおり、県内の人口の減少の割合より大きい割合で県の当初予算の予算規模が減少しております。県民1人当たりに使われる県の予算額が減っているということです。理屈から言えば、これは、単純に県が行う施策あるいは事業などを含めた行政の住民サービスの質が落ちているということにはならないのでしょうかというのが私の今の質問です。疑問です。当局の認識を聞かせてください。
 例えば、県民1人当たりに使われる県の予算額が減少しているのに、県の行政サービスの質は落ちていないというのが当局の認識なのであれば、それではどのようにして県の行政サービスの質を維持しているのか、そのあたりのことを聞かせてください。
〇菅野総務部長 非常に難しい御質問だと思ってございます。行政サービスの水準についてでございますが、委員御案内のとおり、社会経済状況がかなり変わってきてございます。こうした中で、行政サービスを初めとする公的なサービスを行政だけで担う時代は過ぎ去りつつあると。企業ですとかNPOなど地域社会の多様な主体によって、こういうサービスが徐々に担われ始めてきている。ですから、県の財政規模だけを単純に比較して行政サービスが高い低いという、それのみをもっての比較というのはなかなか難しいのかなと思ってございます。
 このようなことを背景にいたしまして、国においてもいわゆる新しい公共という考え方が提唱されてきてございます。本県におきましては、この考え方を地域経営として取り入れてございまして、地域が主体的に考え、行動する取り組みを実践してきたところでございます。今後におきましても、多様な主体がそれぞれの役割に応じて公共サービスの提供を担っていく仕組みづくりを進めながら、県民の皆さんにとって、より必要な質の高いサービスが受けられる、そういう提供に努めてまいりたいと考えてございます。
〇小野共委員 今、部長のおっしゃるとおり、この10年あるいは平成に入り、行政の役割というのも変わってきたのだろうと、確かにそのとおりだと思います。だから、1人当たりに使われる県の予算がふえたとか減ったとかという単純な問題じゃないんだろうと思います。その中で行政の住民へのサービスをどれだけ工夫しながら維持していくのかということを確かに考えなくてはいけないのだろうと、私もそういうふうに思います。
 続きまして、県の保有の基金についてお伺いします。
 平成21年、今から2年前でありますが、既に周知のとおり、会計検査院の検査におきまして、国が補助金を出している公益法人の持つ基金が145あるというのがわかりました。そして、その145の基金の総額が1兆872億円となっていることが明るみになりました。その145の基金の中には、その公益法人の事業規模の1、000倍を超える規模の基金を保有していた公益法人もあったということです。公益法人の事業規模の1、000倍の基金残高です。地方自治法におきましては、基金を、特定の目的のために財産を維持し、資金を積み立て、または定額の資金を運用するためのものと表現しております。
 我が岩手におきましても、県が出資する法人が持つ基金が幾つかあります。しかし、きょうは、単純に県が単独で持つ基金についてお伺いいたします。
 平成22年度末時点、つまりこの新年度予算の始まる時点での県が持つ基金の残高の見込み額と基金の数、そして平成19年度以降の基金の総残高の推移を聞かせてください。
〇菅野総務部長 県が設置します基金の状況についてでございますが、平成22年度末の基金残高が1、369億円程度でございます。基金の数が42となる見込みであります。また、平成19年度以降の基金の残高の動きということになりますが、平成19年度末におきまして767億円、平成20年度末におきまして919億円、平成21年度末におきましては、ただいま申し上げました1、393億円と徐々にふえてきてございます。これは何かといいますと、国の累次の経済対策が行われてございまして、さまざまな分野で基金造成のための交付金が国から地方公共団体に交付されてございます。したがいまして、そういう国の交付金に基づいて造成された基金がふえていることによるものでございます。
〇小野共委員 平成21年度末で、40の基金で1、393億円でよろしかったですか。
〇菅野総務部長 平成22年度末現在で、基金の数としては42、基金残高が1、369億円と見込んでおります。
〇小野共委員 現在の部長の答弁によりまして、42の基金、1、369億円は、我が岩手県は6、816億円が今年度の当初予算でありますので、実に2割ほどを占める基金の残高となっております。
 それでは、一般会計から基金への積み立ての額と基金からの取り崩しの額を調べてみますと、新年度の当初予算で一般会計から基金への積立金は、平成23年度、新年度で積立金12億円を計上しております。平成22年度は、当初予算で13億円の積み立てで、一昨年の平成21年度は27億円の積み立てでありました。つまり、積み立ての額はこの3年間で減少しております。
 次に、今度は取り崩しの額を調べてみますと、つまり基金から一般会計の取り崩しの額です。取り崩しの額で見ますと、当初予算ベース、新年度で326億円、前年度は261億円、そして一昨年は150億円となっております。つまり、基金から一般会計の取り崩しの額は増加しております。これはあくまでも当初予算ベースの数字であって、決算ベースの数字ではありませんので、正確な傾向というものではないと思いますが、当初予算のベースでその数字を言えば、こういう傾向になるということです。
 疑問なのは、私は、この一般会計から基金への積立金と取り崩しの額に何か一定の基準があるんですかということなんです。本来、基金への積立金と基金からの繰入金、取り崩しの額は、基金の適正な規模から逆算され、計算され、判断されるべきものであると思います。最初に適正な基金の残高というものがあり、その適正な基金残高に向けて毎年基金を積み立てたり、取り崩したりするということだと思うんです。当然、そこには積み立てと取り崩しを通じて岩手の基金を適正な残高に近づけるという基準があります。
 それでは、県が持つ42の基金の総残高が適正な規模なのかどうかということになると思います。そもそも42の基金の総残高の適正規模というものは、それぞれの42の基金の合計であると思います。まず、そうすると、それぞれの基金の適正規模というものを考えておかなくてはいけないということだろうと思うんです。
 例えば、今の県の財政を考えたときに、基金の残高は多ければ多いほどいいというようなものではないはずです。当然、限られた県の資産の中で基金の適正規模を考え、その適正規模を超える基金残高は取り崩し、そして、その取り崩されたお金は住民福祉あるいは県の事業のために予算化されるべきものと考えますが、このことについて県の認識をお示しください。
〇菅野総務部長 基金の活用等に係る考え方、認識というお話でございますが、ちょっと整理をさせていただきますと、基金は、委員御指摘のとおり、特定の目的のために資金を積み立てる特定目的基金と、特定の目的のために定額の資金を運用する定額運用基金の二つに大別されます。特定目的基金の平成22年度末残高見込み額は935億円余となってございます。このうち、主要3基金が354億円余、先ほど申し上げましたが、国の経済対策等に基づき設置した基金が422億円余、その他の基金が159億円余となっているところでございます。
 経済対策等の関連基金につきましては、国からの交付金によって設けているという性格上、地域経済の下支え等のため、基金の周期も決まっておりますので、早期の事業化に努める必要があろうと思っております。したがいまして、これらついては早期の事業化に努めていくということになります。その他の基金につきましては、それぞれの基金の設置目的に基づきまして、各年度の事業に要する経費の財源として、適切な活用に努めているところでございます。
 また、定額運用基金の平成22年度末残高見込み額は433億円余となってございます。当該年度におけるそれぞれの資金需要を勘案いたしまして、適切な規模の残高を確保しているところでございます。
 ただ、ちょっと付言させていただきますと、定額運用基金433億円のうち、最も大きい基金が岩手競馬再生推進基金でございます。これが現在277億円程度ございまして、これは、現金で持っているというよりは、競馬組合、あとは両市に対する貸付金、債権として持っている基金でございますので、それを除きますと、かなりこの規模は少なくなると存じてございます。
 なお、これまでの財源対策等の取り組みにおきまして、毎年度、各基金の執行計画等を精査の上、一般財源として活用可能なものについては取り崩しまして、予算の財源に充当しているところです。結局、基金につきまして、それぞれの毎年の資金需要に応じまして、必要な事業がある場合については基金を取り崩して充用する、もしくは将来的に備えて、資金に若干でも余裕のある場合については、基金に積み立てをして今年度の負担に備える、毎年毎年の予算編成でそのように対応しているところでございます。
〇小野共委員 基金の質問は最後にいたします。
 例えば財政調整基金につきましては、その適正な残高は、標準財政規模の10%から15%とする見解を出している団体もあるようです。標準財政規模の10%から15%です。我が岩手の標準財政規模は現在3、885億円でありますので、私が今申し上げた説に従うとするならば、計算上は388億円から580億円ぐらいが財政調整基金残高の適正規模ということになると思います。しかし、平成21年度末の段階で実際には財政調整基金は113億円しかありませんので、適正な財政調整基金の残高に比べ、実際は予算上は280億円ぐらい足りないということになります。そこで、この額をもとに基金を積み立てたり取り崩したりすることが財政運営ということになると思います。財政調整基金の適正規模の基準は、例えばこのとおりでありますが、それでは、他の基金の適正規模というのは幾らなのだろうかということです。
 質問いたします。県の主要3基金の平成21年度末残高は、県債の満期一括償還に関する積み立てを除きまして、256億円となっております。適正な基金の規模は幾らであると推計しているのか聞かせてください。そして、果たして現在の基金の残高、256億円というのは適正なものかどうか、それを聞かせてください。
〇菅野総務部長 主要3基金残高のいわゆる適正規模についてのお尋ねでございますが、平成22年度2月補正予算案におきましては、再三御説明申し上げましたとおり、主要3基金から予定しておりました取り崩しを中止いたしまして、加えて、将来に備えた積み立てを行ったところでございます。このため、お話のありましたとおり、活用可能な主要3基金の残高は326億円と見込んでおりまして、昨年度末残高に比べまして70億円程度の増になる見込みと考えてございます。
 主要3基金の適正規模は、特に財政調整基金について委員から御指摘がございましたが、そのように考えて運用している県があることは承知してございますが、全国的には、財政調整基金の適正規模というものについては、特にこれであるという決まったデータはないということになってございます。実は過去に、財政調整基金の規模として一体どのぐらいが適正なんだという御議論をいただいた際に、財政調整基金は、何かあった場合については、特に災害等を勘案しますと、その場合に緊急的に本当に必要な財源として、幾ら少なくても何とか数十億円程度キープしておきたいと、当時そういうお答えをした記憶もございます。したがいまして、財政当局といたしましては、なるべく基金はたくさん持っていたいという思いは持っているわけでございますが、一方で、基金を積み立てることによって、当該年度の支出を、必要な事業を行わないというのもなかなかとれない。特に、過去の国の地方交付税が大幅に減少されたことに伴いまして、各県とも当時非常にやりくりに苦労いたしまして、主要基金の残高がゼロに近づいている県も出てきてございます。したがいまして、そういった観点で、主要3基金の適正規模ということを申し上げるのはなかなか難しい状況にございます。
 ただ、一方、再三申し上げましたとおり、本県においては、将来、県債の償還ですとか、国体のお話もございました。したがいまして、将来の財政需要に備えるためには、何とか相当程度の基金の積み立てを行いつつ、やれるときにその基金に積み立てておきたいという思いを持ってございますし、将来的に、厳しい局面においては、その積み立てた基金を有効に活用しながら中期的な財政運営を行っていく、そういうふうに現実問題としてやらざるを得ない状況ということでございます。その辺については御理解をいただければと存じます。
〇小野共委員 話題を変えます。県の自殺対策についてお聞きいたします。
 先日のマスコミ報道によりますと、我が岩手の自殺の死亡率が、厚生労働省の人口動態統計におきまして、平成22年で全国47都道府県中ワースト1位になってしまう可能性が出てきたとの報道がなされました。歴史的に北東北3県の自殺の死亡率は高く、報道によりますと、平成22年は青森県と秋田県が自殺による死亡率を大幅に減らすことができたため、我が岩手県が自殺死亡率ワースト1位になってしまう可能性が出てきたとの報道でありました。
 昭和33年以降平成9年までの間、2万人台で我が国の自殺の死亡者が推移してきたものでありますが、平成10年に突如3万人を超えまして、それ以降は毎年3万人を超え続けております。1日に100人が自殺する自殺大国と、外国のメディアあるいは国民の方々から言われているそうであります。我が岩手においても同様に、平成10年に自殺による死亡者が500人を超えております。平成21年には我が岩手におきまして459人の方が自殺により命を落とされております。
 そこでお伺いいたしますが、我が岩手の自殺死亡率が平成22年に全国ワースト1位になってしまう可能性が報道されたこのことに関しまして、その認識をお聞かせください。
〇宮舘副知事 自殺の現状に対する認識についてでありますが、平成22年の本県の自殺者数は、警察庁が公表した自殺統計の速報値によりますと、前年の512人から467人と45人減少しておりまして、平成15年の574人をピークとして減少傾向にあります。しかし、この統計によりますと、秋田県は70人減少しておりますし、青森県は95人の減少となっておりまして、今後公表されます厚生労働省の人口動態統計による自殺死亡率では、本県が秋田県、青森県を上回り全国で最下位になることも懸念されているところであります。いずれにいたしましても、本県の自殺死亡率は全国で高位にありまして、大変憂慮すべき状況にあると認識しております。
 このため、来年度におきましては、自殺対策の推進体制を強化するため、全庁的な取り組みとなる自殺総合対策本部の設置や、保健福祉部内に自殺対策を専門に担当する特命課長を含めた職員2人を増員配置することとしております。さらに、現在策定中の新しい自殺対策アクションプランに基づきまして、県はもとより、市町村、関係機関、団体と密接に連携した取り組みをより一層充実させ、自殺対策に取り組んでいく考えでございます。
〇小野共委員 平成10年以降の国内の自殺者の急激な増加に伴い平成18年に整備された自殺対策基本法によりますと、自殺に対する地方公共団体の責務が条文化されております。その地方公共団体の責務とは、地方公共団体は自殺対策について国と協力しつつ、当該地域の状況に応じた施策を策定し及び実施する責務を有するというものであります。これが自治体、地方公共団体の責任です。そして、平成17年には、参議院の厚生労働委員会におきまして、自殺に関する総合対策の緊急かつ効果的な推進を求める決議というものがなされ、この決議の中で、政府は、自殺を、自殺する個人の問題に帰することなく、その個人を取り巻く社会に関する問題として取り組む必要があるとしております。自殺が個人の問題ではなく社会の問題であるとするならば、自治体には当然自殺に関しまして責任の一端があるということになります。
 自殺未遂者に関して申し上げますれば、未遂の方は、実際に自殺した方の10倍以上いると言われております。我が岩手におきましては、自殺で亡くなった方が平成21年には459人いらっしゃいますので、未遂の方は4、500人以上いるということになります。遺族や友人など自殺により深刻な心理的影響を受けるであろう周囲の人たちのことを考えますと、かなりの数の人が自殺の問題に苦しんでいることになります。平成10年以降、過去13年間の我が岩手の自殺の対策は、数字だけから判断すれば、余り効果は見られませんでした。新年度での我が岩手における自殺の減少を目指す知事の意気込みと、新年度の自殺対策に関する取り組み内容を聞かせてください。
〇達増知事 本県におきましては、毎年約500人もの県民の方がみずからとうとい命を絶っている状況であったということは、極めて憂慮すべき事態と考えております。このため、一人でも多くの県民の命を救い、自殺者数を減らすための自殺対策は、委員御指摘のとおり、喫緊の課題であると考えております。今後も、自殺者数を減らすよう、県自殺対策推進協議会を中核とし、官民一体となった自殺対策に取り組むこととしております。
 自殺の要因は複雑多岐にわたりますことから、自殺対策は、言いかえますと、知事演述で申し上げた、県民が希望を持って働き、安心して暮らすことができる地域社会の構築ということを目指してさまざまな取り組みを進めていくことが必要であり、このことが中期的にしっかりした自殺者数の減少につながっていくものと考えております。こうしたことから、いわて県民計画に掲げた政策を全庁的に推進していくことが重要であり、新年度から自殺総合対策本部を設置することとしているものであります。
 また、自殺対策は市町村の地域課題でもあり、自殺対策緊急強化基金の活用によって、すべての市町村が足並みをそろえ取り組むようになってきていますことから、県としては、市町村との密接な連携のもと、地域の事情に合わせたきめ細やかな自殺対策を推し進めていく必要があると考えております。こうしたことを踏まえ、現在策定中である新しい自殺対策アクションプランに基づいて、県、市町村、関係機関、団体との連携を強化して、特にも、委員御提言のありました自殺未遂者に対するケア、自死遺族支援などについては、より一層充実させていくことが必要であります。
 さらに、今後の自殺対策については、県民一人一人が自殺対策に参画する県民運動的な取り組みも進めることとしておりまして、具体的には、今月開催いたしますいのちとこころを支えるいわてフォーラムを契機に機運の醸成を図り、より強力に自殺対策に取り組んでいくこととしております。
〇五日市王委員長 次に、嵯峨壱朗委員。
   〔嵯峨壱朗委員質問者席に着く〕
〇嵯峨壱朗委員 自由民主クラブを代表して総括質疑をさせていただきます。
 知事は、先般の知事演述において、知事就任以来、県民所得、雇用環境、人口減少、地域医療の直面する四つの危機に対応するため、それぞれ目標を設定しながら、この4年間、重点的に取り組んできたと述べておりました。危機を希望にというキャッチフレーズでありましたが、危機を希望にとは、希望はあること、もしくは希望があることにも意味はあると思いますが、私は、希望は実現を目指すべきものであり、希望そのものを目指すという発想自体に少し違和感を抱き続けております。以前も言ったかもしませんが。希望は、実現して初めて本来の意味があるのではないでしょうか。私としては、これら課題は岩手県にとって大変重要な課題であると当然認識しているところでありますが、達増知事が4年間、全身全霊を傾けたことには敬意を表しておりますが、にもかかわらず、岩手県の危機はいまだ深刻な状況にあると言わざるを得ません。
 特に人口減少については歯どめがかからず、岩手県のみではありませんが、国立社会保障・人口問題研究所が平成20年12月に推計した日本の市区町村別将来推計人口によれば、平成17年、138万5、000人程度であった本県の人口が、平成22年、134万1、000人、そして平成47年、2035年ですけれども、103万9、000人と、平成17年比で75.1%と大きく減少する見込みとなっております。先日、総務省から公表された平成22年国勢調査人口集計結果によると、本県の平成22年の人口が133万人と、平成20年の推計より1万人程度も減少していることから、より減少が進むと想定されます。社会、経済的影響はさらに深刻な状況になるのではないかと心配されるところであります。
 達増知事におかれては、知事就任後、人口減少に重点的に取り組むとしながらも、なかなか減少に歯どめがかからない現状をどのように分析しているのでしょうか。また、人口減少の影響をどのように認識しているのかお尋ねしたいと思います。
〇達増知事 本県の人口は、少子高齢化の進行により、出生数が死亡数を大幅に下回る自然減となっていることに加えまして、3年連続して転出超過の減少幅は縮小しておりますが、県外への転出者が転入者を上回る社会減の状態が続いております。その結果、全体として減少しているという構造になっております。
 社会減の主な要因としましては、進学等により首都圏などへ転出した若者が、県内に雇用の場が十分に確保されていないために県内に戻ってこないことなどが大きく影響していると考えられます。
 人口減少の影響としましては、労働力人口や消費人口の減少による地域産業の生産活動の低下や地域経済規模の縮小、社会保障面での負担の増加に加え若者や地域の担い手の減少、中山間地域を中心に地域コミュニティの維持が困難になることが懸念されています。
〇嵯峨壱朗委員 人口減少は非常に深刻な影響を及ぼすと私も認識しておりました。今までどのような取り組みを実際にやってきたのか、そして具体的な効果が見られたと思われる事業があったのか、平成23年度当初予算ではどのような取り組みをしようとしているのかお尋ねいたします。
〇達増知事 人口減少への対応は、岩手の未来を切り開いていく上で重要な課題であると認識しており、いわて県民計画のアクションプランでは、特に重点的に取り組む政策推進目標として人口の社会減に歯どめをかけることを掲げ、その達成に向けて取り組んでまいりました。
 具体的には、ものづくり産業の集積促進や農林水産業などの地域資源を活用した産業振興や、新卒の未就職者等への就業支援による雇用の場の確保、体験居住機会の提供による県内への定住と交流の促進など、人口の社会減に歯どめをかける取り組みを進めてまいりました。
 また、人口の自然減に対応するための対策として、結婚や子育てに夢を持てる意識の啓発や、安心して子供を産み育てられる環境の整備、仕事と子育ての両立支援などに取り組んでまいりました。
 具体的な効果が見られた事業としては、例えば、県外からの転入者の増加を図るため、首都圏等における積極的な情報発信や相談活動等を行いましたところ、平成21年度には県外から1、000人程度の移住があったことが挙げられます。
 平成23年度におきましても、引き続き、若年層の就職・就業支援や、岩手ファンの拡大を通じた本県への定住、交流の促進、安全・安心な出産環境の整備、多様な子育て支援活動などを実施して、社会減、自然減の両面に対応する取り組みを総合的に実施していくことが必要と考えております。
〇嵯峨壱朗委員 実際はさまざまな原因とかあるので、なかなか難しいのは事実だと思いますので、ぜひ一生懸命取り組んでいっていただきたいと思います。
 先ほどの将来推計ですけれども、県北・沿岸地域は、実は県をはるかに上回って減っていくんですね。県全体ですと、平成17年比で2035年は75.1%なんですけれども、久慈市は73.3%、二戸市は64.8%、釜石市に至ってはと言うと怒られるけれども、53.5%になると推計されております。半分ですから、いろんな商売が成り立ちにくいのも事実で、どういうふうになるのか想像がつきませんけれども、これには重点的な取り組みが必要だと思っております。やはり県北・沿岸地域の、特にも人口減少に歯どめをかける直接的、重点的な取り組みをすべきと思うんですが、その点について一つお伺いしたいと思います。
〇宮舘副知事 人口減少対策ということでございますけれども、先ほど知事から申し上げましたように、自然減と社会減の総和なわけでございますが、特に転入、転出者の差を縮小するという、人口の社会減を減らしていくことが大切であると考えておりまして、このため、雇用の場を創出して、Uターン、Iターン者などの受け入れが重要であることから、県北・沿岸圏域の産業振興を地域と一体となって取り組んでまいりました。また、新規学卒者の地元就職についても、関係機関と連携して、企業、関係団体等に対しまして、採用枠の確保等について要請活動を行っているところでございます。
 産業振興の具体的な取り組みといたしましては、例えばアパレル産業のマッチング支援による取引の拡大、雑穀、ヤマブドウ、短角牛などの食産業クラスターの形成、ナンブアカマツ、アワビなどの農林水産物のブランド化の推進、そして、東北新幹線新青森駅開業に伴う観光キャンペーンなどによる情報発信や、八戸‐宮古‐盛岡間の沿線地域の観光振興などに取り組んでいるところでございます。
 また、転入促進といたしまして、岩手ファンの拡大あるいは担い手として活躍できる場づくりに向けまして定住、交流の促進に取り組んでおりまして、昨年度は1、017人が県外から本県に定住しておりますが、そのうち県北・沿岸圏域には424人が定住しているところでございます。
 また、各市町村では、さきに策定いたしました過疎計画において自立的な地域社会の構築を目指しておりまして、県としても、地域コミュニティ対策や交通対策などとあわせまして、市町村が実施する過疎対策に対して必要な支援を行っているところでございます。これからも、地域の皆さんの意見を直接お聞きしながら、市町村、民間企業、関係団体などと連携し、これまでの成果をさらに発展させまして、人口減少に歯どめをかけるように取り組んでまいります。
〇嵯峨壱朗委員 ぜひお願いしたいと思います。
 続きまして、平成23年度当初予算等についてお尋ねしたいと思います。
 国の予算関連法案等が成立しない場合については、午前中の工藤大輔委員からの質問もありましたが、実際になってみないとわからない面もあるのでしょうけれども、これは市町村に対しても実は影響があるかと思うんですけれども、どういったものがあるのか、また、同様に県としてはどういうふうな対処をしていくのかということをお尋ねしたいと思います。
〇加藤政策地域部長 予算関連法案が成立しない場合の市町村への影響でございますが、本県市町村分の地方交付税や臨時財政対策債等につきまして、合わせて約1、000億円の大幅な減となってしまうという見込みもございます。1市町村当たりで見ましても、単純平均で約30億円もの歳入が減少するというか、なくなってしまいかねないということでございまして、市町村の財政運営に重大な影響が生じるものと考えられます。
 また、4月になりますと、普通交付税の概算交付というものがございますが、これが180億円減少する見込みだということでございまして、市町村の資金繰りの悪化の懸念もございます。こうした影響は、自主財源に乏しい市町村におきまして、より強くあらわれるおそれが大きいというところがございます。
 予算執行面におきましてはさまざまな影響が考えられるわけでございますが、例えば子ども手当につきましては、法案が通らなかった場合に児童手当が復活することになりますが、所得制限に対応するための所得の確認でございますとか、システム移行事務などが新たに生じますので、現場が混乱いたしまして、支給に支障が生じる可能性もございます。
 このようなことから、市町村の立場といたしましても来年度予算の関連法案の早期成立を期待しているものと認識しておりますが、県といたしましては、国会審議の状況等を踏まえまして、市町村に対する速やかな情報提供、あるいはそれに伴います必要な助言など適切な対応に努めてまいりたいと考えております。
〇嵯峨壱朗委員 こういうことがないことを期待するわけですけれども、実際になった場合に、今、説明されたような影響があって、県としては市町村に対して何かできることがあるものなのでしょうか、情報提供以外に。
〇加藤政策地域部長 当面、まだ全貌がどういうふうなことになるのか、あるいはどういう法案で通って、どういう法案が通らない状況になるのかというところがわからない部分がございますので、まずは適切な情報提供、助言ということになります。その後は、影響なり出てきた段階で、適時、適切に、また機動的な対応ということで、頭をやわらかくして、どういうことが起こるか、さまざまなことをあらかじめ考えて、事が起こった場合には対応ができるようにしてまいりたいと考えております。
〇嵯峨壱朗委員 私が言うのも変な感じはしますけれども、平成23年度当初予算は、知事選を控えて骨格予算として、新規または政策的経費については6月補正予算において編成することとし、当初での計上を見送る一方、平成22年度の補正予算について経済対策を行うといったような対応をするわけですけれども、どのような趣旨なのかお尋ねしたいと思います。
〇菅野総務部長 経済対策の趣旨についてでございますが、緩やかな持ち直しの動き、県内経済についてはそのような動きが続いているわけでございますが、本県の経済、雇用状況は依然として厳しい状況にあります。したがいまして、平成23年度当初予算は、骨格予算とするものの、雇用対策関係事業などにつきましては、早期に着手する必要がある事業等について、新規または政策的なものであっても予算計上しているところでございます。
 こうした考え方のもと、平成22年度の2月補正予算は、事業の確定に伴う通常の補正に加えまして、経済対策予算といたしまして、国の平成22年度補正予算と連動いたしまして公共事業を追加する、また、地域活性化交付金を活用したきめ細やかなインフラ整備を行うなど、平成23年度当初予算と一体となって、地域経済の下支え等を早期に行うという考え方のもとに編成させていただいたところでございます。
〇嵯峨壱朗委員 骨格予算ということですけれども、早期着工が必要なものはするということで、特に経済、雇用対策には注力ということになっておりましたが、具体的にはどのようなことを行う想定なのか、お願いしたいと思います。
〇菅野総務部長 経済、雇用対策についてでございますが、まず、雇用対策といたしまして、雇用対策関係基金を活用いたしまして、雇用の場の創出や離職者等の就業を支援するとともに、新規学卒未就職者の方などへの就職支援などの事業費を当初予算に計上させていただいたところでございます。
 地域活性化といたしましては、産業集積の促進などものづくり産業の振興のための事業、地域の特性を生かした食産業、観光産業、農林水産業の振興のための事業や、医師確保対策、ドクターヘリの導入促進など地域保健医療体制の確立に向けた取り組みなど、県民の皆様の仕事と暮らしを支えるために必要な事業、そういったものを当初予算に計上させていただいたところでございます。
〇嵯峨壱朗委員 効果的な施策ということですけれども、県は、地域ごと、産業種別ごとに求職者の状況をどのように把握しているのかお尋ねしたいと思います。また、県北・沿岸地域の状況を詳しく示していただきたいと思います。
 これら個別の事情等を勘案して、浅く広い対策ではなくて、ピンポイントで、これにはこれというふうに効果的な施策を行うべきではないかと思いますけれども、知事の考えもあわせてお尋ねします。
〇達増知事 まず、地域ごと、産業種別ごとの求職者の状況についてでありますが、岩手労働局によりますと、平成23年1月の県内の有効求職者数は2万9、492人、地域別に見ますと、盛岡広域振興圏が1万1、371人、県南広域振興圏が1万1、120人、沿岸広域振興圏が4、642人、県北広域振興圏が2、359人となっています。
 産業種別の有効求職者の統計データはありませんので職業別の状況となりますが、生産工程労務職が1万1、156人で38.7%、事務職が6、753人で22.9%となっています。沿岸地域では有効求職者数4、642人のうち、生産工程労務職が1、908人で41.1%、事務職が903人で19.5%、県北地域では、有効求職者数2、359人のうち、生産工程労務職が1、194人で50.6%、事務職が430人で18.2%です。
 次に、ピンポイントで効果的な施策についてでありますが、これまで地域と一体となって県北・沿岸圏域の産業振興に重点的に取り組んできた結果、食産業、ものづくり産業、観光産業、農林水産業などにおいて、さまざまな地域資源を活用した新商品の開発や販路の拡大、農商工連携などの新たな展開、新規立地企業と既存立地企業の生産拡大、農林水産物のブランド化などの成果が着実にあらわれてきております。
 新しい切り口の取り組みとしましては、例えば海洋産業の振興をいわて県民計画の中に盛り込み、いわて三陸海洋産業振興指針を策定しまして、体制を強化した広域振興局を中心に、新たな産業の創出や新商品の展開などに向けて総合的に取り組んでおります。また、本県の沿岸エリアをフィールドとしまして、地質、地形資源を活用したジオパークの取り組みを進めておりまして、地域の新たな魅力を創出し、観光振興につながるものと期待しております。
 地域の事情に即した効果的な施策を企画立案し、推進していくため、これまで、県北・沿岸移動県庁などによりまして現地の状況を把握し、地域住民の声に耳を傾けてまいりました。これに加えまして、本年度から体制を強化した広域振興局を通じまして地域の事情や課題を把握し、振興施策に反映させてきたところであります。
 今後においても、県北・沿岸振興本部を中心として本庁各部局や広域振興局との連携を図り、市町村や関係団体と協働し、地域住民の声をくみ上げながら、県北・沿岸圏域の地域資源を最大限に活用し、地域の自立と活力を生み出す産業基盤の構築を目指して取り組むことが必要と考えております。
〇嵯峨壱朗委員 なぜ、県北・沿岸にこだわるかというと、私は県北の出身だからというのもありますけれども、結局、中国も失敗しているか成功しているかですけれども、やはり先頭としっぽが離れ過ぎても全体が上がっていかないわけですよね。やっぱりしっぽをどうやったら、変な言い方ですけれども、底上げすることによって県民所得も当然上がっていくという思いを込めてもやっていると思っていただきたいと思います。
 今、落ち込んでいる産業等、臨機応変にいろんな手を打つべきだと思いますけれども、一生懸命努力していることは私もわかりますけれども、昔と同じような感じで事業もメニューもあるような気がしてならないんですが、近年の具体的な取り組みの内容と成果、特に県北・沿岸振興についての取り組みについてお尋ねしたいと思います。
〇宮舘副知事 これまで、新たな産業創出を目指す取り組みといたしまして、地域資源を活用した新素材や新商品の開発に加え、新しい産業展開として、食産業、観光産業、農林水産業の分野における6次産業化や農商工連携などに取り組んできた結果、今後に希望を持てる成果が上がりつつあります。
 具体的には、大手量販店の協力を得まして、干しシイタケの久慈地方産表示の商品の販売、サッパ船や農村生活体験など体験型観光メニューの充実による魅力的な新しい旅行商品の開発、カキ小屋など新たな素材の発掘、沿岸のトレッキングコースの整備に向けた調査の実施、さらには、付加価値の高い新製法のリキュール酒の開発や地域の食材を活用した惣菜加工工場の新設、そして、医療機器や一般産業品への応用を視野に、釜石エリアを中心とする県内外の産学官が共同で継続的に研究開発を進めてきたコバルト合金の素材生産など、こういった例が挙げられると思います。
 こうした成果が見られるものの、これからは、すぐれた農林水産物や観光資源を活用した農商工連携や体験型観光の推進などを通じまして地域資源の高付加価値化の取り組みを一層広げていくことや、海洋産業の振興、いわて三陸ジオパークなど地域資源に磨きをかける取り組みが課題と考えております。
〇嵯峨壱朗委員 さきの9月定例会の一般質問において、私は知事に、岩手県は水産県であるとの認識はあるのでしょうかと伺ったところ、水産県であるとの認識を示していただきました。大変心強く思いました。県北・沿岸に住む県民の一人として、改めて感謝いたします。
 しかしながら、水産関係予算というのはなかなか厳しいです。水産関係のみならず、これは1次産業だけでもないのでしょうが、どんどん予算が減っているのが実態です。水産関係予算で見ると、平成15年度、128億2、346万円余のものが、平成22年度には82億9、068万円余、平成23年度、来年度ですけれども、骨格予算であるとはいえ、76億8、570万円余と激減しております。これは、もちろん国、県の財政も厳しいという状況もあるし、一部交付金化されたという背景もあるかと思いますけれども、余りにも極端な減少ではないかと思っております。県北・沿岸振興という何年か前から立ち上げた本部という視点で見ると、やはり水産業は、とって何ぼだけではなくて、加工してとか、単なる500億円とかという数字じゃなくて、もっとすそ野が広い産業ですよね、雇用という面からいっても。ぜひとも、そういった面でも大いに期待しているし、振興していただきたいと思っているわけでありますが、ここを核としてやっていかないと、なかなか格差是正ということは期待─内陸になくて沿岸にあるのはやっぱり海ですので、先ほどのジオパークもそうですけれども、資源として有効に使っていただきたいと思っておりました。
 そこで、県北・沿岸振興本部には、水産を重点としながらも、広く農林水産、1次産業を核として振興していくという意味で、期間限定による特別予算枠などを設けるなどして、思い切った斬新な計画をつくっていっていただきたいと思いますけれども、御見解をお願いしたいと思います。
〇宮舘副知事 県北・沿岸の地域資源を発掘、開発いたしまして有効に活用することが極めて重要であるという観点から、これまで、消費者や市場ニーズに対応した安全・安心な農林水産物の生産拡大に取り組んできたところであります。
 水産業は、本県にとって大変重要な産業であると認識しておりますが、現在は、さきの災害の復旧、復興をまず第一に取り組んでいるところでございます。そして、これまで、沿岸にある豊かな水産資源を有効に活用いたしまして、付加価値を高めていく取り組みを進めてまいりました。具体的には、サケの回帰率の向上など増養殖技術の開発、普及による水産物の生産拡大、アワビ、ウニ等を対象とした新たな県北型地域営漁計画の策定と実行支援、そして種苗の量産化技術が確立いたしましたナマコの資源の増大に向けた取り組み、従来未利用だったイサダの食品化、機能性成分の抽出などに積極的に取り組んでまいりまして、一定の成果を上げてきたと考えております。
 県北・沿岸振興地域の農林水産業の振興のあり方についてでありますが、新年度に策定を予定しております次期アクションプランの策定の過程におきまして、地域や市町村の声を十分聞きながら、今後の方向性を検討の上、必要な予算措置を講じていく考えでございます。
〇嵯峨壱朗委員 水産業というと、どうしても沿岸部のものであるとなっています。実は食べてもらっているし、内陸の人たちもやっぱりそういった釣果というのか、何と言うのかちょっとわかりませんけれども、とれたものを食べるということによって、一定の喜びじゃない、何と言ったらいいんでしょうね、そういったものを受けるわけですね。それぞれ沿岸部だけの問題ではないと私は常々思っていますけれども、それは同様におかのこともあるでしょうし、リンクしていますので、ぜひ、広い意味で考えていただいて、しかも雇用、経済対策も含めてすそ野が広いと思っておりますので、ぜひ前向きに検討していただきたいと思います。
 ちょっと畜産業についてお尋ねしたいと思います。
 本県の畜産業というものは、平成21年度の畜産産出額1、271億円ということで、農業生産額全体の半分、53%を占めております。農地保全等の多面的な機能もございますし、ただ、今、穀物の高騰とか価格の低迷、そして担い手の高齢化とか後継者の減少、不足と大変厳しい状況にあるわけであります。そうした中で、本県では、いわて牛は、昨年、最も権威のある全国肉用牛枝肉共励会で最高位の名誉賞を受賞したということで、本県の肉用牛産地としての評価はますます高くなっていると思っております。しかも、本県は豊富な自給飼料の生産基盤を持っているため、極めてポテンシャルが高いと思っておりますが、本県では、本年度、平成32年度を目標とする肉用牛生産のための県計画を策定していると聞いておりますけれども、今後、肉用牛の振興をどのように進めていこうとしているのか、お尋ねしたいと思います。
〇達増知事 肉用牛の振興についてでありますが、本県の肉用牛生産は、飼養頭数や産出額において全国トップクラスに位置しておりますが、小規模経営が多く生産コストが高いことや、肥育技術に差があることなどから、産地力をさらに高めていくためには、経営規模の拡大や生産性の向上により生産基盤を強化するとともに、生産技術の向上による高品質な牛肉の生産拡大を図っていく必要があると考えております。このため、県単独のいわて未来農業確立総合支援事業による低コスト牛舎等の整備への支援や、子牛の育成部門などの省力化を図る外部支援組織の育成を図るとともに、肥育技術の向上に向けた研修会等の開催や、産肉能力の高い菊福秀などのすぐれた県有種雄牛の利用拡大を推進していくこととしております。
 さらに、いわて牛ブランドを高めるために、食肉卸売業者に対するトップセールスなどを進め、生産性、市場性の高い肉用牛産地を確立していくこととしております。
〇嵯峨壱朗委員 次に、国の畜産経営安定対策についてお尋ねしますけれども、畜産経営を安定的に振興していくためには、経営安定対策の強化が最も必要であると考えますが、国は、平成23年度予算で畜産の経営安定対策の一つである肉用牛肥育経営安定特別対策事業について、本県独自の短角種の肥育経営に不利となるような制度改正を行ったと聞いております。その制度の改正の内容と、これは民主党政権下になってそういった見直しが行われたと言われておりますけれども、そういった意味で知事の所感をお尋ねしたいと思います。
 また、国の制度改正を受けて、県が単独でそれに対応する対策事業を行うということを、先だっての一般質問でも部長は答えておりましたけれども、それについても内容をお尋ねしたいと思います。
〇達増知事 国は今年度、平成22年度から肉用牛肥育経営安定特別対策事業について品種区分などを見直して、それまで日本短角種と黒毛和種にそれぞれ区分されていたものを、肉専用種に統一したところであります。この結果、収益が悪化した際に交付される補てん金は、出荷頭数が多い黒毛和種の収益の動向において発動されることとなり、日本短角種の動向が反映されず、肥育経営に影響を及ぼすことを懸念しているところであります。こうしたことから、日本短角種の収益が悪化し、国の事業で補てんし切れない状況となった場合には、不足額について、従前と同額まで補てんする事業を、来年度、県独自に創設したところであり、本制度を活用し、日本短角種を県北・沿岸地域の重要な品目として一層振興していくこととしております。
〇嵯峨壱朗委員 確かに短角種は零細ですので、そういった対応をしていただいて大変感謝したいと思います。
 短角牛のブランド化についてですけれども、短角牛はそもそも肥育農家も少ない、頭数も少ないということで、まず第一歩として、岩手の短角というブランドとして、ブランド力を高める努力をすべきではないかと思っておりますけれども、そのブランド化についての考え方をお尋ねしたいと思います。
〇達増知事 短角牛のブランド化についてでありますが、岩手県産の短角牛については、消費者、流通業者への認知度向上を図るため、平成19年3月、いわて短角和牛として地域団体商標を取得しましてブランド化を進めるとともに、いわて短角和牛認証制度によりまして、自然交配による子牛生産、放牧による育成、そして国産粗飼料による肥育という点で、他県産との差別化に取り組んでいるところであります。
 近年、消費者の健康志向が高まる中で、赤身肉への関心が高まっておりまして、本県が赤身肉の国内トップブランドとしての地位を確立できるよう、いわて短角和牛という統一ブランドを前面に出して、全国へPRしていくこととしております。
 なお、久慈市、岩泉町などの短角牛の主要産地が地域の名前を冠したブランド名などで販売促進に取り組んでいまして、これまでに独自の流通、販売ルートを構築するなど一定の成果が上がっていますことから、そのような地域独自の取り組みも、県として支援していくこととしております。
〇嵯峨壱朗委員 本当に地域でいろんな短角牛の中でのブランドをつくっているという、それは本当に努力を多とするところであります。
 あわせて、全体の底上げということで、独自性もということで、ぜひ岩手の短角のさらにブランド力を高める努力をしていただきたいと思っておりました。
 次に、林業振興についてお尋ねしたいと思います。
 まず、本県は、言わずと知れた林業大県であります。まず、本県の豊富な森林資源はどのように活用されているのか、そしてその活用の状況についてお尋ねしたいと思います。
〇上野副知事 森林資源の活用状況についてでありますけれども、外材輸入に対する不安感などから、全国的に国産材へ転換する動きが出てきておりまして、本県におきましても、県内の合板工場の需要増加を背景に、木材の生産量は120万立方メートルと、5年前に比べて23%の増ということで、着実に伸びているところでございます。
 生産される木材の約8割は県内の木材産業で活用されておりまして、用途別に見ますと、建築材などの製材用に3割、合板原料に3割、残る4割が木材チップ用と、大まかに言いますとこうなっております。
 さらに広葉樹につきましては、シイタケや木炭の原木としても積極的に活用されておりまして、本県は全国有数の産地ということになっております。この結果、木材の産出額は全国第3位の129億円ということになっております。
〇嵯峨壱朗委員 3割、3割、4割ということで、チップが4割ということでしたけれども、これはいわゆる木材関係者に言わせると、最初からチップに使うのではなくて、その中間で、別の用途でまず使って、最終的にチップにするという使い方をすることによって、さらに価値を高めるということを指摘されておりますけれども、ぜひそういった発想も大事かなと、そう思います。ですから、そういったこともぜひ考えていただきたいと思います。
 また、国の森林・林業再生プランがあるわけですけれども、それに呼応して豊富な森林資源を今後どのように活用していくのかは今聞きましたね。─まだ答えていませんか。そうですか。─振興策を平成23年度当初予算の措置状況とあわせてお尋ねしたいと思います。
〇上野副知事 森林資源の活用のための振興策についてでありますが、まず、森林・林業再生プランの推進は、森林資源が豊富な本県にとって追い風となるものございまして、引き続き、県内外の木材需要にこたえていくため、木材生産の低コスト化や、定時、定量の木材供給体制、木材安定供給、さらには、木材の高付加価値化などに取り組んでいくことが重要と認識をいたしております。このため、国が新たに創設をいたしました森林環境保全直接支援事業などを活用いたしまして、第1に、搬出間伐のコスト削減技術の習得支援など、地域の森林経営を担う経営体の育成に約3、000万円、それから第2に、集約化による間伐や森林作業道の開設など、効率的で安定的な森林経営基盤づくりに約15億7、000万円、第3に、合板工場の加工施設整備への支援、さらには公共建築物等への積極的な木材利用など、県内木材産業の活性化に約7億3、000万円を予算措置いたしたところでございます。本県の林業振興はもとより、地域経済の発展や雇用拡大に結びつけていきたいと考えております。
〇嵯峨壱朗委員 森林整備予算、今、木は豊富だけれども切り出すときの路網がないということで、路網整備を国のほうも進めているようです。これは新たな公共事業、建設業とのリンクも考えられるということで、貴重な事業だなと思っておりますけれども、そういった措置をしたとしても、実は特に山で働く人が、従業者が少なくて消化し切れないという面も出ていると聞いておりますけれども、それはそうなのでしょうかということと、もしそうだとすれば原因は何なのか。そして、それに対してどう対処していこうとしているのか、お尋ねしたいと思います。
〇上野副知事 森林整備予算の執行についてのお尋ねでございますが、まず、森林整備事業は、健全な森林づくりのための国の補助制度でございまして、森林組合が中心となって、森林所有者に事業の活用を働きかけているところであります。しかしながら、残念ながら、場合によっては、これは一般的な話として申し上げますと、申請の取りまとめがおくれたり、あるいは作業員の方の労務の調整に手間取ったりということがございますし、今年度の場合は年末の大雪などによりまして、こうしたことによりまして予算の一部を繰り越すことがあるということで、今年度も繰り越さざるを得ない見込みとなっております。
 一方、森林所有者からの申請は残念ながら年々減少をいたしておりまして、その主な原因でございますが、第1に、木材価格の低迷による経営意欲が低下しているおそれがあること、第2に、事業に係る負担金、これは個人の財産でございますので負担金が必要でございますが、これが場合によっては支出が困難になってしまうということ、こうしたことなどが考えられるところでございます。このため、森林施業の低コスト化や間伐収入の確保を図り、森林所有者の自己負担をできる限り軽減していくということが必要と考えております。
 今後とも、市町村や関係団体と一体となりまして、森林整備事業の活用を促進し、健全な森林の育成を進めていく考えでございます。
〇嵯峨壱朗委員 岩手県はそういった意味では豊富な資源、山も持っていますから、ぜひ有効に活用していただきたいと思います。
 次に、商店街の振興、これはずっとどの地域でも商店街の衰退が著しいのはもう事実です。伝統的なものとかお祭りとかを今でも担っているのが商店街なんですけれども、それがなかなかに担い切れなくなるのではないかという危惧もあります。そういった意味で、衰退の現状をどのように認識しているのか、その原因というものをどのように分析しているのか、知事にお尋ねしたいと思います。
〇達増知事 商店街の現状についてでありますが、県内の商店街は、人口減少や高齢化の進行に伴う購買力の減少や郊外の大型店の増加、消費者の行動の多様化など、大変厳しい環境に置かれております。また、商店街自体も多様化した消費者ニーズへの対応が不足しているほか、商店主の高齢化や後継者不足などの問題も抱えています。
 平成19年度の商業統計によりますと、商店街の販売額は平成16年度に比べて7.5%の減少であり、昨年度に実施した商店街実態調査によりますと、64.7%の商店街が衰退していると回答しており、その現状は大変厳しいものと認識しております。
〇嵯峨壱朗委員 これは県が悪いとかどこが悪いとかというものではないと思うんですが、そうした中で、それぞれ自助努力も必要でしょうし、まず、県としてできること、商店街振興にどのように対処しているのか、お尋ねしたいと思います。
 また、平成23年度の当初予算ではどのような取り組みを予算計上しているのか、お尋ねしたいと思います。
〇上野副知事 商店街の振興策についてでございますが、まず、商店街がその厳しい現状を踏まえ、みずからの振興策について主体的に考えていただくということが重要でございまして、その実施に当たりましては、商工会議所、商工会との連携を図るとともに、市町村とも十分に話し合いながら、地域が一体となって取り組むことが肝要だと考えているところでございます。
 県といたしましては、こうした取り組みに対しまして、国や県の施策を活用するなどして支援していく考えでございます。
 次に、平成23年度予算におきましては、以下の四つの支援事業を計上しているところでございます。
 一つ目が、商店街の集客力を高めるイベントや不足業種の導入事業に対する補助、二つ目が、商店街の街路灯をLEDに交換する事業に対する補助、三つ目が、商店街の役員を対象にする研修会や講習会への補助、四つ目が、魅力ある店づくりに取り組むそれぞれのお店への専門家の派遣、こうした支援事業を計上しているところでございまして、引き続き商店街の取り組みを支援する考えでございます。
〇嵯峨壱朗委員 ぜひ、県としてできることを市町村とともに一緒にやっていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 次に、周産期医療についてお尋ねします。
 地域周産期母子医療センターについてですけれども、先日の本会議において、本県の周産期医療体制について、平成23年度から新たに3病院を地域周産期母子医療センターに認定すると伺ったところでありますけれども、具体的な病院名等については明らかではありませんでした。まず、どの病院を新たに指定する予定なのか、お知らせ願いたいと思います。
 また、あわせて、岩手医大に救急搬送コーディネーターを配置し、各圏域の地域センターとの連携の強化を図るとの答弁でありましたが、この救急搬送コーディネーターというものはどういうものなのか、具体的に御説明願えればと思います。
〇達増知事 まず、新たに認定する地域周産期母子医療センターについてでありますが、この認定に当たりましては、本来のリクスの高い分娩に加えて、中程度のリスクの分娩にも対応している岩手医大の総合周産期母子医療センターの負担軽減や、地域の実情を踏まえた体制の整備などの視点に立って、関係機関との意見交換や県境地域の受療動向調査結果を踏まえて検討してきたところでありますが、先般、岩手県周産期医療協議会の協議を経まして、盛岡赤十字病院、県立磐井病院、県立二戸病院を新たに地域センターに認定することで手続を進めております。
 次に、救急搬送コーディネーター事業についてでありますが、妊産婦及び新生児の救急時における迅速かつ適切な受け入れ先の確保を図るために、岩手医大の総合センターに産科医、小児科医をそれぞれコーディネーターとして配置して、24時間体制で受け入れ先の調整と確保を行うとともに、関係機関の連携を強化するための調整会議の開催などを行いまして、医療機関の機能分担や連携によって患者のリスクに応じ、全県で対応していく体制を強化していこうとするものであります。
〇嵯峨壱朗委員 病院間の連携についてお尋ねしますが、地域周産期母子医療センターについて、さきに二つの病院による連携型として認定している県立中部病院と北上済生会病院について、連携がうまくとれていないのではという報道がございましたが、大変心配しているところでありますけれども、現在はどうなっているのかお尋ねしたいと思います。
〇達増知事 県立中部病院と北上済生会病院は、岩手中部医療圏を中心とした県南地域の中・低リスク分娩や新生児医療について機能分担しながら、連携型の地域センターとして対応しているところでありますが、昨年6月のセンター認定以降、合同症例検討会の開催などによる連携強化の取り組みが行われているところであります。
 具体的には、前年には実績のなかった病院間搬送についても、センター認定後の6カ月間に、県立中部病院から北上済生会病院へ妊婦11件、新生児6件の搬送が行われているなど、地域の周産期医療体制の充実に向けた取り組みが着実に進められていると考えております。
〇嵯峨壱朗委員 周産期母子医療センターについてですけれども、現在、県北圏域においては、県立久慈病院が地域周産期母子医療センターとなっておりますけれども、産科医の不足ということで単独では厳しい状況で、県立二戸病院と連携しながら対応しているようであります。私の感覚からすると、盛岡圏域から遠い地域こそ、そういった安心して子供を産めるという、─今、県立久慈病院ですと医師が1人しかいないということで、通常分娩しかできないですね。そうすると、逆子でも、それでも県立二戸病院に行かなければならないといった状態です。そうすると、沿岸振興とかどうとか─安心して住めないわけですね、若い人たちも。人口減少するだけだなという気がしています。ですから、盛岡とか中心地から遠いところほど、そういったことが必要だといつも思っていました。特に冬期間は大変です。ことしのような雪が、今はあれですけれども、初めのころ。下手すれば、助かるものも助からないということも出てくる。そういった意味で言うと、発想としてぜひ遠いところに、ハイリスクはともかくとして、一定のリスク分娩はできるような体制をつくるべきと思うんですけれども、どうでしょうか。
〇達増知事 県としましては、近年高まっているハイリスク妊娠・出産に対応していくために、今年度策定した県周産期医療体制整備計画に基づいて、地域センターの追加認定と運営費に対する支援などを通じて、地域の中・低リスクを担う医療機関の体制強化を図っていくこととしております。
 緊急時における対応については、救急搬送コーディネーター事業に加えまして、ICTを活用したネットワークシステムの拡充等により、総合センターと圏域の地域センターとの診療情報の共有による連携の強化を図って、盛岡から遠い地域においても、リスクに応じて適切に対応できる体制の整備を進めていくこととしています。
 県北圏域では、委員御指摘のとおり、県立久慈病院と県立二戸病院において、機能分担と連携による一体的な診療体制がとられておりまして、中リスク分娩の対応については、県立久慈病院から県立二戸病院へ搬送が行われて、病状が安定した新生児については、県立二戸病院から県立久慈病院への搬送が行われているという状況であります。
 このような状況を踏まえまして、県北圏域の中で、両病院を連携型の県北地域周産期母子医療センターとして位置づけていくこととしております。
〇嵯峨壱朗委員 僕は子供は産めないんですけれども、当たり前の話ですけれども、産む立場の若いお母さん方からすると、僕らが想像つかないほどの不安感があるようです。特に遠いですからね。ですから、その辺もぜひ、今、できる限りのところで医師不足は対処していただいていると思うんですけれども、現状をもう少し深刻に受けとめていただきたいという気持ちがありますので、よろしくお願いしたいと思います。
 結局、今、雇用と医療、そして子育て支援、そういったものが関心が高いようです、県民の皆さん。そうなった場合に、安心して住めるという意味で、今一連のお話を聞いているつもりですけれども、次に、子育て支援についてお尋ねしたいと思います。
 放課後児童クラブについてお尋ねしたいと思います。
 小学校入学後について、共働きの家庭の子供は、小学校下校後、放課後児童クラブで過ごすことになるわけでありますけれども、この放課後児童クラブは御承知のとおりですけれども、保育所に比べ預かり時間が短いため、早く帰宅せざるを得ない。いわゆる小1の壁ということが指摘されて全国的に言われておりますが、本県の実情はどうなっているのか。
 また、放課後児童クラブの設置数、利用児童数の推移と、終了時刻は何時までとなっているのか、その状況についてお尋ねしたいと思います。また、運営の充実に向けた今後の取り組みについてもお尋ねしたいと思います。
〇宮舘副知事 放課後児童クラブについてでありますが、本県の放課後児童クラブ数は、平成22年5月1日現在で275クラブ、利用児童数は1万171人となっておりまして、最近はクラブ数及び児童数とも増加傾向にあります。また、放課後児童クラブの終了時刻についてですが、18時から19時の間としているクラブが168クラブと最も多くなっておりまして、率にすると61%ということでございます。それから、17時から18時の間が87クラブ、31.6%、19時以降のクラブは19クラブ、6.9%という状況でございます。
 今後におきましては、児童と接する児童員の資質向上のため、いわて子どもの森と連携した指導員の研修や財団法人児童健全育成推進財団が認定いたします児童厚生員二級指導員の資格取得などの研修を充実させるとともに、少人数クラブへの助成など、県単補助による運営の支援を通じまして、クラブ活動内容の一層の充実を促進していきたいと考えております。
〇嵯峨壱朗委員 人口減少にどう対処するかという側面でも質問してきたつもりでしたけれども、雇用の問題でしょうし、そして雇用の場を確保するために、岩手県の特徴である1次産業の振興を核とするという一つの見方、それと安心して住める医療、当たり前の医療をどうやって提供していくかということ。あとは子育て支援をすることによって、若いお母さん、お父さんたちが安心して住める、そういった岩手をつくっていただきたいという思いで質問したつもりでありました。
 それで、次に、知事の災害対応等についてお尋ねしたいと思います。
 ある全国紙の連載記事、何が変わった:検証・達増県政で、県内のある市長の発言を引用しておりました。
 県市長会議での発言らしいのですが、県民が大変な被害を受けた時に、危機管理を束ねる知事が東京で酒を飲んでいた。これは、陸上自衛隊岩手駐屯地が知事の災害派遣要請に備えていたと聞き、あえて公の場に持ち出した。
 さらには、ある市長が、新年会は県民より小沢さんのほうを向く知事の今を象徴している。だから暮らしに希望を持てない県民を尻目に希望を連呼できる。何をしたいのかもわからないと、大変辛らつな言葉が載っておりました。私の言葉ではありません。
 達増知事は、120人の与党国会議員と懇談できる機会は貴重で、被害の深刻さも伝わったと強調しておりましたと、これまでの部分は取材に答えていたと載っていたわけでありますが、僕は直接達増知事から聞いているわけではありませんので、今、この事実が間違っているなら御指摘いただきたいと思いますが、一方では、一般質問でも私どもの千葉伝県議、地域政党いわての飯澤匡県議が、1月1日の知事の行動に対して、岩手県知事の行動として疑問を呈しながら問いを発しておりました。
 それに対する知事の答弁は、総合防災室長を本部長とする災害警戒本部の設置であり、知事を本部長であるとする災害対策本部ではなかったということを強調していたように私は聞いておりました。その答弁の中で知事は、ツイッターを通じて県民向けお見舞いメッセージを出しました。ツイッターで県民に対し情報発信を行ったところです。ツイッターによる県民からの各地域の情報や書き込みも大変参考になりましたと述べておりました。知事が広報媒体としてツイッターを大変重要視していることが、この答弁からもうかがわれます。私はツイッターのことはよくわかりません。
 そこで、知事のツイッターは、県としては広報媒体としてどのような位置づけとなっているのか、お尋ねいたしたいと思います。
 また、知事は、いわゆるツイッターをどれほどの県民が見ているのか、利用していると考えているのか、お尋ねしたいと思います。
 もう一点、さらには、ツイッターでのお見舞いをもって県民への公式なメッセージだと認識しておられるのかどうかをお尋ねしたいと思います。
〇達増知事 最初のほうの報道の内容について事実かどうかということについては、一々報道の内容は確認しておりませんので、それは報道した新聞の責任において書いていると理解すればいいのではないかと思います。
 それから、年末年始の私の行動については、一般質問のほうでお答えしたとおりでありまして、元旦から総合防災室長が対策本部長となっていたわけでありますけれども、私や総務部長もやはり今まで体験したことのなかったような広範にわたるそういう豪雪被害、また、暴風、波浪も伴っているということでさまざま情報収集をしたり、自衛隊関係と対策を打ち合わせたりしたところであり、2日の日には私も登庁して、直接防災室のところで状況を把握し、また、途中途中の経過を、元旦にはお見舞いのメッセージとともにツイッターで発信し、2日の日にも、県が管理している道路の復旧状況等について発信したところであります。
 去年の今ごろも津波の関係をツイッターで逐次国の動き、県の動きを発信したところ、なかなか報道でそういうことがわからないという中で、大変参考になったとか、励みになったという県民の言葉もいただいたところでありますので、私が発信可能な場合でそれなりに情報を把握している場合には、なるべくツイッターも活用して情報発信をしようとしているところであります。
 ツイッターは、県の広報媒体上は県の口コミメディア展開の一つと位置づけられて、昨年2月1日に開設したものであります。
 そして、閲覧している県民の数ということでありますけれども、フォロワー数という、いわば定期購読を申し込んで閲覧している人の数、これは県内外、日本、国内外の区別は全然できないんですけれども、6、200人を超えているところでありまして、知事の中では、橋下大阪府知事に次いで第2位の数字であります。また、私のこのツイッターの書き込みは県の公式ホームページでも閲覧できますので、それで読んでいる方も多いのではないかと思います。
 それから、ツイッターでのお見舞いの意味合いについてですけれども、ツイッターは1月1日でありましたけれども、1月4日には、県公式ホームページでもお見舞いのメッセージを発信し、また、年頭の知事訓示でありますとか、団体のさまざまな新年会でのあいさつでありますとか、お見舞いのメッセージはその都度発し、そして、この議会での知事演述でもお見舞いのメッセージを発したところであり、それぞれが知事の公式的発言の中でのお見舞いのメッセージと御理解いただければと思います。
〇嵯峨壱朗委員 ツイッターそのものを、私は否定しているわけではございません。それは大いに活用していただきたいと思いますが、余りにもそれに偏り過ぎると、一方を見失うのではないかと思ってです。
 これはある調査というか、まちツイというサイトがあるんですか。それでツイッターの利用者数の統計があります。都道府県別。全国で岩手県は37番目、そして利用者数は10万人当たり487名なそうです。ということは、大体0.5%ぐらいですか。だからどうこうではないですけれども、つまり、それに頼り過ぎると、むしろ、それ以降いろいろ対応したと思うんですけれども、頼ることはいいけれども、頼り過ぎると落ちる部分も出てくるのではないかなということを懸念して、私は言っているのであります。
 やはり先ほどの市長の話、事実かどうか私はわかりませんけれども、ああいった考えを持っている市長さん方がいるという事実もやはりわかってもらいたいと思っていました。一生懸命対応していると思いますよ。それを踏まえて言っているのであります。
 それと、もう一点お伺いします。
 小沢氏の処分に係る知事発言の真意についてお尋ねします。
 2月17日、16人の党会派が離脱をしたと出ていました。その中で、記者団に対して、記者会見だと思うんですが、マニフェストの原点を守ろうという意味で大変いいことだと。菅政権はあらゆる分野で恣意的、専制的なやり方が見られ、党のあるべき姿を守るため一線を画していくしかない。また、菊池氏に対し、私も民主党のあるべき姿を守るためには、菅政権と一線を画すべきだと思っていた。菊池さんたちがやっていることはそれと同じ趣旨なので、頑張りましょうなどと述べている報道が出ていましたが、それは事実なのでしょうか。
 また、こういった会派離脱と小沢一郎元代表の党員資格停止処分についての知事の所見を改めてお尋ねしたいと思います。
〇達増知事 委員御指摘の記者団に対する私のコメントは、いわゆるぶら下がり取材での発言に基づく報道でありますけれども、記者クラブの求めに応じて臨時的に開いたぶら下がり取材でありましたので、正式な記録は残っていないんですけれども、おおむね事実でありますし、私が菊池長右エ門衆議院議員に励ましの電話をしたということも事実であります。
 そして、会派離脱等をめぐる私の考え方でありますけれども、基本的に一昨年に起きた政権交代というものは、地方切り捨て、格差拡大型の政策を転換するものであったはずと考えておりますので、その民意を実現する国政に向けての努力というものは、大変いいことではないかと考えている次第であります。
〇嵯峨壱朗委員 3月1日、きのうですか、知事の定例記者会見で、昨日未明の予算、これについても知事が記者会見でコメントしているようですけれども、16人が欠席したということを受けて、知事は、予算そのものの成否よりも、その予算を使っていく政権のありようこそが今大事なので、そこを問題にして議論しようとしている16人の皆さんは的を射たことをしていると思いますと述べております。
 確かに、一面、私もそう思っていました、政権のありようというものは。確かに言いたいことはわかるんですけれども、ただし、この時期です。今、来年度の予算を審議している、岩手県のこの議会でも最中です。当然、県予算に大きな影響を及ぼす国の予算の採決に関して、このような発言に私は違和感を持たざるを得ないです、知事の発言に対して。知事の真意を改めて説明していただきたいと思います。
〇達増知事 今、御引用いただいたのは舌足らずな報道でありまして、実際には、こちらは定例記者会見ですので記録がきちっと出ると思うので、それを参考にしていただければと思いますが、TPP問題とか消費税問題とかを例に引きまして、そのような民意に反するような、つまり格差拡大型、地方切り捨て型のそういう方向に向かっていく第一歩となる予算なのか、それともその正反対、ますます子育てを充実させて地方に配慮をして、地方の零細な農業とか、そういうのも含めた地方にも配慮した、そういう予算の第一歩になるのかという、そういう政策、予算の性格次第では、たとえ短期的に困らなくなるというようなことがあったとしても、中期的というよりは、直ちに岩手にとって大変困ったことになる事態、それはイコール日本にとっても大変なことになるわけでありますけれども、そうなるんじゃないかという問題意識を持ってそこを問いただそうとすることは、議会人としてはあり得ることではないかなというふうに思います。
〇嵯峨壱朗委員 私も前後を見ていてわからないではないというのは、そういった意味もございました。
 最後ですけれども、これも一連の連載に出ていましたけれども、知事は4年間の県政をうまくいったと、自画自賛していたと載っておりましたが、この発言は事実でしょうか。知事は、本当に自分の県政運営をそのように自己評価しているのか、お尋ねしたいと思います。
〇達増知事 自画自賛というのは私は一言も言っておりませんで、それは、その報道機関が見出しに悪意を持って、一種、知事への反感を沸き立たせるような言葉遣いをしたんだと思いますが、私はそういうことは一言も言っておりません。
〇五日市王委員長 次に、工藤勝博委員。
   〔工藤勝博委員質問者席に着く〕
〇工藤勝博委員 地域政党いわての工藤勝博です。
 前段の部分、会派を代表して質問させていただきます。
 短時間ですので、質問もコンパクトに質問いたしますので、どうぞよろしくお願いします。
 平成23年度当初予算についてお伺いいたします。
 まず最初に、歳入の確保と歳出の徹底した見直しということについてお伺いいたします。
 一般質問においても、財政運営については再三議論されました。危機的な財政状況にもかかわらず、国の経済対策等に伴い発行した県債の償還が、今後、数年にかけてピークに達し、また、国体の準備等に多額の財政需要が発生するため、将来負担をこれ以上積み上げることには県民は納得しないと思います。
 そこで、より踏み込んだ歳入確保、歳出削減策について、これまでの成果と今後の対応について、また、実行スケジュールを含めてお示しをお願いいたします。
〇達増知事 歳入の確保と歳出の徹底した見直しについてでありますが、まず、歳入確保及び歳出削減に係るこれまでの成果についてでありますが、歳入確保として地方税財政制度改正に向けた国への積極的な提言活動、県と市町村で構成する岩手県地方税特別滞納整理機構による税収確保対策の強化、地方自治法に基づく延滞金の徴収等に関する条例の制定による延滞金徴収の強化、東京事務所など県有資産の売却など、歳出削減として総人件費の抑制、事務事業評価の実施による事業の縮減、廃止、予算編成過程における事業費の精査、縮減などを実施してきたところでありまして、県民への行政サービスの提供に著しい支障が生じることのないよう、事務事業や管理経費の見直しを含め、行財政改革を推進してきたところであります。
 また、今後の対応につきましては、いわて県民計画の次期アクションプランの改革編の策定の中で、具体的に検討していくこととなるものと考えております。
〇工藤勝博委員 それでは次に、選択と集中ということに関して基本的なことですけれども、財源配分についてお伺いいたします。
 平成23年度当初予算は骨格予算でありますが、いわて県民計画を着実に推進するため、また、限られた財源をより効果的に活用しなければならないのは言うまでもありません。
 そこで、選択と集中は知事の範疇にもあると思いますが、どのように知事の思いが反映されたのか、お伺いいたします。
〇達増知事 平成23年度当初予算の編成に当たりまして、新規事業については、知事を初め、副知事及び関係部局長で数次にわたる議論を行い厳選をいたしました。また、その財源についても、既存事業のスクラップにより生み出すなど、予算要求の段階から選択と集中を図りつつ、予算査定の段階におきましても、要求がなされた全事業について、その必要性、緊急性等をさらに精査して予算編成を行ったところであります。
〇工藤勝博委員 次に、本県における予算の構造改革についてお伺いいたします。
 国においては、無駄遣いの根絶や不要不急な事務事業の見直しによる予算の構造改革が不可避であると言われております。本県においてはどのような改革を想定し、また、実行していくお考えなのか、お伺いいたします。
〇達増知事 予算の構造改革ということでありますけれども、まず、歳入面では、地方の自由な財源が確保されて、中期的な見通しが可能な税財政改革を国に強く求めるとともに、内需拡大型の経済によって税収が増加していく歳入構造を構築していくことが重要であります。
 歳出面では、県債の償還や社会保障関係経費の増加が見込まれ、当面、現行の歳出構造が続いていくものと見込まれます。このため、限られた財源を県民にとって真に必要なサービスに振り向けるため、すべての事業について聖域なく見直しを行うとともに、予算の要求段階を含めた予算編成過程を通じた選択と集中が重要であると考えております。
〇工藤勝博委員 次に、農林水産施策についてお伺いいたします。
 農林水産部の職員数は、全職員数の約3割を占めております。第1次産業を支える業務も多岐にわたり、それぞれの部門において奮闘されていることに、心から敬意を表するものであります。特にも、近年は、気象災害など予期しない事態が頻発している中、その対応に迅速かつ的確に対応されていることは、まさに基幹産業を守るとりでと言えます。
 さて、農林漁業の現場が急激に変化をしております。県の財政難や職員減少をとらえると、今後の施策は従来の発想から大きく転換する必要もあると思います。
 そこで、岩手県集中改革プログラムに基づく全庁的な定数削減の中、災害や米価下落等の喫緊の課題解決を初め、農林水産施策の着実な推進のための農林水産部の職員配置体制の考え方について、知事にお伺いいたします。
〇達増知事 農林水産部の職員体制についてでありますが、県では、これまで、集中改革プログラムに基づいて、職員体制のスリム化に取り組んでまいりましたが、そのような中でも、災害や米価下落など、特に重要あるいは喫緊の課題が発生した場合には、これに的確に対応していくため必要な体制を整備してきたところであります。このため、例えば平成20年6月に発生した岩手・宮城内陸地震の際には、復旧を推進するために、平成21年度に森林保全課及び県南広域振興局の農林部、一関総合支局農林部に計4人を増員したところであります。
 また、来年度は、米を中心とした農業を取り巻く環境の変化に応じた総合的な施策推進や県産農林水産物の販売促進を図るため、農業振興課及び流通課にそれぞれ1人を増員するとともに、平成22年7月に発生した岩手町を中心とした豪雨災害の復旧のため、盛岡広域振興局林務部に1人を増員することとしております。
 今後も、農林水産施策の推進のため、その重要性を勘案しながら、必要に応じて適切に職員配置を行っていく必要があると考えております。
〇工藤勝博委員 今の答弁の中で、農林水産部、本当に現場の体制が非常に大事だろうと思っております。特にも、戦略的な生産をするには、一番今私が思っているのは研究開発、それは重点的に進めるべきだろうと思います。これは要望としておきます。
 次に、農業生産額の低下防止と所得向上対策についてお伺いいたします。
 本県の農業生産額は、ここ10年で約2割程度減少と、他県と比較しても大幅な落ち込みとなっております。そうした中、本県の花卉生産は、関係団体等が一体となって進めておる中で、リンドウを基幹に取り組んでいるところはある一定の成果を上げております。しかしながら、一方では、コスト高等により、将来に不安を感じ、希望が持てないという声もたくさんあります。県としては、その現状と要因をどのようにとらえ、具体的な低下防止、所得向上対策等が展開されるのか、お伺いいたします。
〇上野副知事 花卉を中心といたしました生産額の低下防止と所得向上策についてのお尋ねでございますが、まず、本県では、夏の間、非常に涼しいというような気候を生かしました高収益作目といたしまして、リンドウ、小菊などの花卉産地づくりに取り組んできたところでございますが、本県花卉産地におきましては、小規模な生産者が過半を占めておりまして、高齢化の進行や景気低迷による価格の低下などの影響を受け、近年、栽培面積、生産額ともに伸び悩んでおる状況でございます。
 こうした状況に対応いたしまして、第1に、結束機などの省力機械の導入や雇用の活用などによる花卉主業型農家の育成、第2に、ベテラン農家が指南役となり、新規生産者に対して技術を指導する体制の整備、第3に、県北部での小菊の新たな産地化、こうしたことなどを進めておりまして、本県花卉の生産体質の強化を図っていくことといたしております。
 また、リンドウでは、改植による園地の若返りや市場性の高い県オリジナル品種の開発、普及、それから2番目に、小菊では花の咲く時期の開花調節技術の導入によりまして、お盆やお彼岸などの需要期での安定出荷、こうしたことによりまして生産力、販売力を強化し、花卉産地の確立と所得の向上を図っていくことといたしております。
〇工藤勝博委員 次に、担い手の育成等についてお伺いいたします。
 意欲と能力のある個別経営体や組織経営体など多様な担い手が地域特性を生かし、効率的、安定的な経営を展開することが肝要でありますが、本県における認定農業者制度の現状と課題及び今後の具体的な推進策についてお伺いいたします。
 また、今後は、認定農業者等の活動状況において、市町村等の裁量度を高めた事業展開が必要であると考えますが、いかがでしょうか、お伺いいたします。
〇上野副知事 担い手の育成などについてでございますが、まず、本県の認定農業者は、平成21年度末現在8、332経営体と、目標の約98%に達しておりますが、農産物価格の低迷など経営環境の悪化に加えまして、規模拡大や経営の多角化が進まないなどの理由により、目標所得に達している方は約4割にとどまるとともに、また、年々高齢化が進行している状況にございます。このため、今後とも、経営規模の拡大や6次産業化による所得の向上のため、農業改良普及センターなどが中心となりました技術、経営指導や農地利用集積の促進を図るとともに、本県の独自事業でございますいわて未来農業確立総合支援事業などにより、経営高度化に向けた農業機械、施設整備を支援し、地域農業の牽引役となる担い手を育成していくことといたしております。この県事業では、認定農業者を志向する青年農業者を重点的に支援することといたしておりまして、若年層の認定農業者の確保を促進してまいります。
 また、市町村の裁量度を高めた事業展開につきましては、これまでも本県の独自事業の設計に当たりまして、市町村の意向などを踏まえ、できるだけ活用しやすくしてきたところであります。
 今後におきましても、担い手や市町村の要望を酌み入れながら、より効果が高まるような事業設計に努めていくことといたしております。
〇五日市王委員長 工藤勝博委員の質疑の途中ではありますが、世話人会の申し合わせにより、この際、10分間ほど休憩いたします。
 工藤勝博委員、御了承願います。
   午後2時58分 休 憩
   午後3時18分 再 開
〇五日市王委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇工藤勝博委員 次に、商工観光と食産業についてお伺いいたします。
 郊外型の大規模店との競争や深刻な不況による経営難あるいは後継者難などを背景として、いわゆる買い物難民が問題化しております。県内における現状と、商店街活性化及び買い物難民対策にかかわる具体的な対策、対応策についてお伺いいたします。
〇上野副知事 商店街の活性化といわゆる買い物難民対策についてでございますが、まず、高齢化の進展や小売店の減少、路線バスなど公共交通の縮小などの影響によりまして、食料品などの日常の買い物が不便な状況にある方々、いわゆる買い物難民の問題が顕在化してきておりまして、市町村においてさまざまな買い物難民対策が行われているところでございます。例えば、盛岡市での生鮮食料品の移動販売の実証実験、釜石市での空き店舗に食料品店の出店を促進する事業、藤沢町での商工会による買い物代行事業などが行われているところであります。
 県といたしましても、食料品などの不足業種の導入などの買い物難民対策に取り組む商店街を支援する補助事業を平成23年度から実施する予定であるほか、いわて希望ファンドの活用も可能であるため、こうした施策の周知、活用を図りまして、市町村や関係機関と連携しながら積極的に支援をしてまいります。
〇工藤勝博委員 次に、観光振興と岩手の知名度アップについてお伺いいたします。
 平泉文化遺産の世界遺産登録を契機として、岩手の知名度アップとその効果を、県北・沿岸地域を初め全県下に波及させることが肝要であります。いわてデスティネーションキャンペーンを含めた県の戦略的な観光振興策についてお伺いいたします。また、国際観光の強化策として国際大会あるいは国際会議等の招致も有効であると考えますが、いかがでしょうか。
〇上野副知事 県の戦略的な観光振興策についてでございますが、本年6月に見込まれます平泉の世界遺産登録による知名度アップを、平成24年の4月から6月まで実施するデスティネーションキャンペーン、通称DCでございますが、このDCに生かしまして、本県への誘客の定着と全県への波及を図ることが重要と認識いたしております。このため、県内各地域における魅力づくりを進めるため、DCに向けた取り組みの一環といたしまして観光コーディネーターを設置し、各地域に派遣するなどの支援を行い、各地域が主体となった観光素材の掘り起こしや磨き上げ、受け入れ態勢の整備を進めているところでございます。
 今後は、6月の世界遺産登録に引き続き7月に開催するDCの全国宣伝販売促進会議を通じまして旅行会社へのセールスなどを行い、県内各地域にまたがる旅行商品造成の促進に努め、多くの観光客が県内各地域を訪れていただくよう取り組んでまいります。
 また、国際大会の招致につきましては、現在、財団法人盛岡観光コンベンション協会を中心に、国内外からのコンベンション誘致に力を入れているところでございまして、平成22年の国際会議の招致実績は6件、参加者数の総計は、国内参加者を含めまして約1万1、000人となっているところでございます。
 今後におきましても、国際観光振興の一環といたしまして、県内のさまざまな団体との間で情報共有と連携を図りながら、国際大会などの誘致に取り組んでまいります。
〇工藤勝博委員 最後になりますが、県産品を活用した食産業の振興についてお伺いいたします。
 地域特有の食材や資源を活用するとともに、高い付加価値生産を持つ総合産業として、食産業の振興は本県、特にも県北・沿岸地域にとっては最重要施策の一つであると思います。県北・沿岸地域においては、これまで以上に重点的、具体的に展開する必要があると思いますが、今後の取り組みについてお伺いいたします。
〇上野副知事 食産業の振興についてでありますが、本県の豊富で安全・安心な食材や多様な食料品製造業など、各地域の特性を生かした振興に現在取り組んでおりまして、特に、こうした資源に恵まれた県北・沿岸地域におきましては、地域の農林水産物を核といたしまして付加価値の高い商品の開発販売や企業などの経営強化を積極的に支援してまいりました。具体的には、産業創造アドバイザーや大手量販店との連携のもと、地域の意欲ある企業などに密着した支援により、昆布じめシメサバや活ホタテなどの商品が定番化したほか、複数の漁協の共同による低コスト輸送システムが構築されるなど、成果が出始めているところでございます。
 また、農商工連携ファンドなどの活用によりまして、地元産のベビーリーフや機能性食材─杜仲の葉でございますが─で飼育をいたしました豚を活用した加工食品などが開発販売されたところでございます。こうした取り組みが評価され、昨年度、フード・コミュニケーション・プロジェクト岩手ブランチとして国の認定を受けたところでございます。
 現在、こうした取り組み成果を食産業振興ロードマップとして取りまとめておりまして、今後は、これをもとにさらなるビジネスモデルの創出を促進し、地域の特色を生かした食産業の育成を図ってまいります。
〇工藤勝博委員 上野副知事には、就任以来半年が経過いたしました。そういう中で、岩手の水、空気、そして岩手の地酒の味、それらの所感をお願いしたいと思いますし、この岩手の、何といいますか、県民性を生かした政策、思いついてあれば、所感をお願いしたいと思います。
〇上野副知事 大変難しいお尋ねでございますが、現在まだ勉強中でございまして、生意気なことはちょっと言えないのですけれども、所感ということでお許しをいただくならば、私は、岩手のすばらしさはたくさんあるんですけど、一つはやはり素材のすばらしさ、もう一つは広大な県土を背景とした多様性、バラエティーというところにあるのではないかという気がいたしております。そういう意味では、もちろん素材のすばらしさということで、水も空気も大変おいしいわけですけれども、お酒につきましても、素材のすばらしさ、お水ですとかお米ですとかを生かしたバラエティー、各地域にすばらしいそれぞれの地酒があるということでございまして、そういう実感をいたしております。そういうところを食産業の振興とあわせてセットでセールスをしてまいりたいと思っております。
〇工藤勝博委員 残りの時間は、同会派の亀卦川委員にお願いいたしますので、私の質問は終わります。ありがとうございます。
〇五日市王委員長 次に、亀卦川富夫委員。
   〔亀卦川富夫委員質問者席に着く〕
〇亀卦川富夫委員 地域政党いわての亀卦川でございます。
 産業振興についてお尋ねしたいと思います。
 まず最初に雇用の創出についてお伺いいたします。
 深刻な雇用問題や生活のため産業振興をしっかり進めてほしいという県民の願いは大きいところであります。知事は、地域に根差し、世界に羽ばたく産業を育成するとうたっております。さきに発表された平成23年度雇用創出計画では3、693人の常用雇用を生み出すとしておりますが、一方で、平成21年度以降、一関市のNECトーキン、金ケ崎町の富士通マイクロエレクトロニクスなど有力な企業の工場や事務所が閉鎖、移転され、約3、000人の従事者が影響を受けております。また、ハローワークの求人状況を見ても常用雇用はほとんどないなどそのギャップが浮き彫りになっているところであります。どちらが正しいのでしょうか。このような状況下で、県はどのように雇用創出に向けた施策を展開していくのかお示し願いたいと思います。
〇上野副知事 雇用の創出についてでございますが、本県の経済、雇用状況は、このところ緩やかな持ち直しの動きが続いているものの、依然として厳しい状況にございまして、雇用対策は喫緊の課題であると認識をいたしております。このため、平成23年度におきましても、当面の取り組みといたしまして、総額約80億円の雇用対策基金事業により、県と市町村が一体となりまして、介護や医療、農林水産業などの成長分野におきまして重点的に人材の育成や雇用創出に取り組むとともに、さらなる回復に向けまして、産業集積の促進、地場企業の技術力向上などによるものづくり産業の振興や、地域の特性、資源を生かしました食産業、観光産業、農林水産業の振興に取り組むほか、次世代産業の創出につながる研究開発など、安定的な雇用創出を目指した積極的な施策を展開していくことといたしております。
〇亀卦川富夫委員 次に、企業誘致についてお伺いいたします。
 過日、セントラル自動車の誘致にかかわる宮城県の取り組みについての報道がありました。宮城県では、村井知事の強いリーダーシップのもと、非常にスピーディーな対応が成功の要因であったとのことであります。これは相手側企業との密なる情報交換あってのことだと推察するところであります。宮城県北と岩手県南の連携は大切な視点であり、行政の枠組みの上ではライバルであっても、両県が切磋琢磨しながら進めるべきであると考えますが、知事のリーダーシップのあり方と宮城県との連携方策について所見をお伺いいたします。
〇達増知事 宮城県でセントラル自動車の本社工場が操業したことで、自動車関連産業は、岩手県南、宮城県北のエリアを核として、東北全体の発展や岩手の発展に大きく貢献していくものと確信しており、宮城県との連携は特に重要と考えております。今後とも、宮城県を初め東北各県と連携し、自動車関連産業の集積に積極的に取り組んでまいりますが、県としては、1社でも多く県内に誘致できるよう、引き続き努力してまいります。
〇亀卦川富夫委員 先ほど、宮城県の知事のスピーディーな方策といいますか、スピーディーな展開についてのリーダーシップについてお伺いしたところでありますが、達増知事のリーダーシップあるいは企業へのトップセールス、そういった意味での所見をお伺いしたいと思います。
〇達増知事 トップセールスのあり方についてでありますが、これまで、自動車関連産業の技術展示商談会や農林水産物の全国フェアなどさまざまな機会をとらえて、本県のすぐれた技術、商品等を知事自身が直接PRしてきているところであります。また、海外におきましては、シンガポール、マレーシア、香港におけるいわてフェアなどの場を活用して知事としてのトップセールスを行い、最近では、上海万博において南部鉄瓶を広く世界に情報発信してきたところであります。今後も、国内外を問わず、状況に応じて積極的にトップセールスを行っていく必要があると考えております。
〇亀卦川富夫委員 次に、中小企業の振興についてお伺いいたします。
 中小企業の多くはいわゆる下請でありまして、昨今、発注先である大手企業の海外移転などにより、我が国の中小企業の存立基盤が揺らいでいると考えます。大手企業の海外移転などによる県内中小企業の動向についてどのように把握しているかお伺いいたします。
〇上野副知事 県内中小企業の動向についてでございますが、日本銀行盛岡事務所が先ごろ発表されました最新の岩手県金融経済概況によりますれば、県内の景気は、一部に足踏みを示す分野も見られますが、全体としては持ち直し傾向が続いているとされております。また、財団法人いわて産業振興センターが昨年12月に行った県内下請企業21社からの聞き取り調査によりますれば、建設機械、自動車・半導体関連、鉄骨・製缶などの業種で受注がどちらかというと好調でございまして、受注量はリーマンショック前の状態まで回復してきたとする企業も多くなってきているとされております。
 また、他方で、平成22年の県内中小企業の倒産は75件、負債総額は251億5、500万円と、過去10年間で件数は最少、負債総額は2番目に少額となっております。現時点では、発注企業の海外移転により受注が減少した等の事例は顕在化してはいないものの、円高などの影響により、発注側からのコスト面の要求が厳しくなっているなどの状況も聞こえてきていることから、今後も厳しい中小企業の動向については注視してまいりたいと考えております。
〇亀卦川富夫委員 本県には非常に技術力の高い中小企業が数多く存在しております。志を高く持ってしっかり取り組むという中小企業、あるいは素材を開発するといった意欲に燃えた経営者もたくさんいらっしゃると私は思っております。
 そういった技術力、能力を必要とする日本の国内よりも海外企業との結びつきなどを図ってしかるべきだと思うんです。海外から仕事を求めてくるような戦略、あるいは岩手県に進出しようと海外から仕事を求めてくる、私は、こういう戦略が県に求められているような気がしているんです。先ほど知事のトップセールスについてお伺いいたしましたが、知事のほうでは、香港とかシンガポールの商談会などのお話をいろいろいただいたところであります。それは重要なことでありますが、一方、今お話ししたように、海外に岩手県への進出を促すとか、そのような知事のトップセールスのあり方というものも工夫すべきであると私は考えるのでありますが、知事の御所見をお伺いしたいと思います。
〇達増知事 岩手に進出している企業のトップの皆さんとも海外との技術的な連携のことはよく話をしておりまして、ちょっと機微にわたるので具体的な内容については控えさせていただきますけれども、そのように岩手の進出企業あるいは地場企業ときちっと県が認識を共有しながら、そこに寄り添いながら、新しい展開についても、ともに図り、ともに歩んでいくという姿勢が重要と考えております。
〇亀卦川富夫委員 先ほど知事が、地域に根差し、世界に羽ばたく産業を育成するとうたって今までの御答弁がいろいろなされてきたわけであります。しかし、現実的には、先ほど申し上げました富士通といったところが、あるいはソニーなど、30年近く岩手から世界に製品を発信していた企業を失ったといいますか、移転といったことになった次第であります。多くの雇用を失っている。このような中、大企業のそういった意味で撤退の情報を得ていなかった原因というのがまたあるのではないかと思います。岩手県にとって大量の雇用を失った産業政策の、ある意味ではこれは失策といいますか、失敗とする評価もあるわけであります。
 そういった意味で、今まで御答弁いただきました内容で、ハローワークに行った求人状況、あるいは常用雇用の今の状況を見て、本当にしっかりした産業振興というものはできるものでしょうか。私は非常にその辺が疑問に思うのでありますが、もう一度、この辺は本当に地に足をしっかりつけた政策展開、あるいはトップセールスを中心とした担当者等の、一生懸命取り組んでいるのはわかりますが、成果を上げるためにどうやったらいいのか、もう一度、そういう意味での戦略の練り直しとか工夫というものが必要ではないか。そういう意味で、平成23年度の予算上、そういったものが展開でき得るものかどうか、組織のあり方も含めてひとつ御答弁を願えればと思います。
〇達増知事 経済産業省の調査で、全国都道府県ごとに、そこに進出している企業に好感度ランキング調査の結果、岩手が第2位になり、特に人材育成関係については全国1位の評価をいただいているところであります。また、さまざまな金融関係のアドバイザー等、全国の地方の地域振興を見ているような方からも、岩手の県、市町村の取り組みは大変いいという評価もいただいているところでありまして、私が小学校のころから教科書で─地元でつくられている教科書ですけれども、岩手の企業誘致というのは全国的にも先進的だということで、そういった伝統は岩手県庁の中にも、また市町村の中にもしっかりとあると考えております。この信頼を、企業との信頼関係という形をきちんと守っていくことで、岩手における産業振興というものを進めていくことができればと思います。
〇亀卦川富夫委員 副知事がさまざまこの点については担当されておるわけですが、今の知事の考え方をもとに具体的にどのように進めていったらいいのか、何かその辺の工夫とか、あるいは新しい機軸を何かお持ちなのかどうか、その辺を一つ御期待しているわけでありますが、何か工夫のありようなどをお尋ねしたいところであります。
〇上野副知事 今、知事からお話があったとおりでございますけれども、私どもなりに考えますところは、先ほど委員がおっしゃったような誘致企業の状況というのは経済環境によって大きく変わってくるということがございますので、幸いながら、自動車関連を中心といたしまして、最近は少しまたフォローの風が吹いているような気がいたします。そういう意味では、最近、誘致されている自動車関連の企業が少しずつふえてきているという状況がございますので、大事なことは、私どもは、これまでも、今、知事から申し上げましたように、そういう誘致企業の状況について、できる限り早目早目に、日ごろからおつき合いをきちんとしていて、入手するような体制にはあります。ですから、それを引き続き保持するとともに、新しい産業、例えばITはもちろんでございますけれども、福祉関係ですとか、医療機器関連ですとか、そうした第3の柱として取り上げておりますが、どちらかというと、外需に余り依存されないような業種、そうしたものも含めて最近は取り組んでおりまして、企業誘致の多様化といいますか、そうしたことも一つ大事かなと思っております。よろしくお願いいたします。
〇亀卦川富夫委員 今の点は私は非常に大切なところだと思うんですね。それで、せっかく進出されてきた誘致企業には足しげく企業訪問するなりして情報交換する。そういう意味で、ある意味では今言った他産業のヒントなどもあるいはあるのかもしれません。そういった情報を得るためにも、そういう体制にあると今お話いただきましたが、実行しなければならないわけです。知事を先頭に、そういった意味での展開をぜひ期待したいわけでありますが、現実的に果たしてどうなのかなという気もするわけであります。知事がお忙しいときは副知事、副知事がお忙しいときには部長とか、その辺のチームワークをよろしく展開する必要があると思うんですが、これまでを振り返って、今後どのようにそれを進めるのかお伺いします。
〇上野副知事 今、委員のほうから、そういう体制にあるだけでは不十分であるという御指摘を受けましたけれども、私どもとしては、そういう体制にあるし、そういう体制を生かして、今までもできる限り実際に日本全国の企業に足を運んでお願いをしてきておりますし、それから、既に立地されている企業についても、事業の拡張あるいは工場の拡張といったお願いをしてきておりますし、あるいは業況が思わしくない企業については、先回りをして、できる限り雇用についての影響を少なくするようにというお願いもいたしております。そうした意味では、委員からごらんになったらまだ不十分な面があるかもしれませんけれども、私どもなりに、そうした伝統を生かして一生懸命企業誘致の促進に取り組んでいこうと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
〇亀卦川富夫委員 それでは、次に人材育成についてお伺いします。
 先ほども知事から御答弁のあったところでありますが、ものづくり人材育成というのは大変大切なところであります。県は既に北上川流域ものづくりネットワークを初めものづくり産業人材育成を推進してきたところであります。これまでの成果と課題を改めてお伺いいたしまして、今後の進め方についてお伺いするところであります。
〇上野副知事 ものづくり産業人材育成の成果等についてでございますが、平成17年度に、産業界、教育界の有識者によりましていわて産業人材育成会議を設置いたしまして、この会議により提言された内容が、現在の人材育成の大きな柱となっております。
 成果といたしましては、まず、全県を網羅する形で五つのものづくりネットワークを立ち上げまして、地域における小中学生のキャリア教育を初め工業高校の実践教育を産学官で支援することにより、技能検定資格取得者の増につながっております。また、黒沢尻工業高校と産業技術短期大学に専攻科を設置いたしまして、すぐれた技能を有する有為な人材の育成を進めておりまして、卒業生の受け入れ企業からの評価は非常に高うございます。こうしたことが成果として挙げられます。
 本県の取り組みは全国知事会から優秀政策として表彰されるなど一定の評価をいただいておりますが、社会経済情勢の変化に的確に対応できるよう常に取り組みのPDCAを実践いたしまして、きちんとフォローアップしていくことが肝要であると考えております。
 さらに、このため、今年度、5年ぶりにいわて産業人材育成会議を立ち上げまして、取り組みの検証など議論をしているところでございまして、その中で、第1に、今後の企業における技術革新を担っていける人材の育成、第2に、各地域のものづくりネットワーク間の連携による県全体の底上げ、こうしたことが課題として挙がっております。人材育成会議を定期的に開催しながら、これらの課題の解決に向けて今後とも取り組んでまいります。
〇亀卦川富夫委員 ただいまの人材育成の具体の一つで、先ほども答弁で触れられましたが、黒沢尻工業高校専攻科を設置されたところであります。さらに、水沢工業高校に自動車工学コースを設置しているところでありますが、重層的な人材育成というのでしょうか、いろんな立場立場で力を発揮できる、そういう意味の人材育成の観点からのこういったコースあるいは専攻科、こういった検証結果についてお伺いいたしたいと思います。
 さらに、人材育成会議ということでありますが、教育と人材育成に対する県の認識について、明確な役割の認識をお伺いして、終わりたいと思います。
〇上野副知事 まず、専攻科などの設置についてでございますが、黒沢尻工業高校の専攻科及び水沢工業高校の自動車工学コースは平成19年度に設置され、これまで、旋盤を初めとする技能検定等の資格を多く取得しているところであります。また、卒業生の多くが県内の企業に就職されておりまして、特に黒沢尻工業高校の専攻科につきましては、これまでの卒業生全員が県内企業に就職されております。今後とも、御指摘のありましたような幅広いいろんな企業ニーズに対応できるようなすぐれた技能、技術を承継し、ものづくり産業を支えるスペシャリストとして活躍していかれるものと期待をいたしております。
 次に、ものづくり産業人材育成における県の役割についてでございますが、ものづくり人材の育成は、時代や企業のニーズに常に的確に対応していく必要がございまして、県は、教育機関や産業界、市町村などのさまざまな関係者がそれぞれの役割分担のもとで事業を実践される中にありまして、取り組みの検証や、その結果を再び現場に還元させるなど、人材育成全体のコーディネートに努めることが重要と考えております。現在、先ほど申し上げましたいわて産業人材育成会議によりましてこれまでの取り組みの検証を行っているところでございますが、この会議での検討結果を今後の人材育成に反映させてまいりたいと考えております。
〇亀卦川富夫委員 岩手県の産業振興の進展を願って、質問を終わります。ありがとうございました。
〇五日市王委員長 次に、久保孝喜委員。
   〔久保孝喜委員質問者席に着く〕
〇久保孝喜委員 社民党の久保孝喜でございます。
 簡潔にお尋ねをいたします。
 まず最初の質問は、達増県政4年間の評価についていろいろ議論が交わされてきたところでありますが、四つの危機認識に基づいて県政運営を果敢に行ってきたということなんですが、現在も、この危機と言われたそれぞれの課題については、数値上、かなり困難な局面にあると思っておりますが、現在、知事は、この危機認識に基づく県政運営ということについて、この4年間を振り返ってどういうふうに考えておったのか、その観点というのは今後も変わらないのかという点をまず最初にお聞きしたいと思います。
 まとめてお聞きします。
 さらに知事は、これまでの一般質問などで、みずからのマニフェストについては計画に落とし込み、かつ、それを具体の施策として展開してきたということで、個別の政策評価については、まさにその政策評価結果を読んでいただきたいという発言もあったわけですが、この政策評価結果について、所感として知事はどのようにお考えなのかお示しをいただきたいと思います。
〇達増知事 まず、危機認識と県政運営についてでありますが、知事就任以来、県民所得、雇用環境、地域医療、人口の四つの危機に対応してそれぞれ目標を設定して、課題解決に向けた方向性を明らかにしながら、さまざまな施策を推進してまいりました。こうした取り組みの結果、国民所得と県民所得の格差が縮小し、本県人口の社会減に歯どめがかかっていることについては一定の成果と認識しております。
 しかしながら、本県の経済、雇用や地域医療を取り巻く環境は、なお厳しい状況にあると認識しております。これらの喫緊の課題に対応するためには、引き続き、国際競争力の高いものづくり産業の集積や地域資源を生かした産業の振興など、本県経済の活性化、雇用の創出や、若年者、離職者への就業支援、医療を担う人材の養成、確保を初めとした質の高い医療体制の整備、そして人口の自然減への対応など総合的な人口減少対策、こういったことを進める必要があると考えております。
 なお、今後のことについてでありますが、今後の県政運営のあり方ということであれば、これは次の選挙で選ばれる知事のもとで検討されるものと考えます。
 政策評価の結果についてでありますが、ことしの2月に、いわて県民計画アクションプランを構成する42の政策項目について評価を行った結果、食産業の振興や安全・安心なまちづくりの推進など、半数の21項目がおおむね順調となりました。
 一方、児童生徒の学力向上や地球温暖化対策の推進など、半数の21項目が遅れ、またはやや遅れとなっており、全体としましてはおおむね着実に進んでいるものの、おくれが見られるものについては、さらなる取り組みが必要であると考えております。引き続き、政策評価の結果に基づき、取り組みがおくれている要因の分析や課題の抽出などを的確に行って、政策の質を高めながら、いわて県民計画の着実な推進を図っていく必要があるというのが、現職というか、今の岩手県知事としてのお答えであります。
〇久保孝喜委員 危機認識に基づくそれぞれの数値がかなり厳しいということは、もう既に、我々議員も含めて承知をしているところなわけですが、その事実と、県民の今ある感覚といいますか、そこの乖離があるのではないかという問題意識を私は持っているものですから、お聞きをしているわけです。さまざまな媒体を通じて4年間の検証ということがされておりますけれども、先ほど質問のあった某新聞の連載記事なども大変興味深く読ませていただきました。自画自賛というタイトルは悪意に満ちたものだというお話でしたが、私は秀逸なものだったなと思っているんですが、いろんな局面で知事が発する評価という問題は、どうもしっくりこない原因の一つに、今お聞きした政策評価との乖離という問題があるんだと私は思うんです。例えば七つの政策、42の政策項目の結果が出ていますが、その県の取り組み状況、つまり事業をどれだけ進めているかという評価は68%が順調、やや順調という評価です。しかし、目指す姿からの評価という点では、順調はゼロ、おおむね順調が50%という話です。これをトータルすると、私の受けとめ方は、計画に沿った仕事は大体できてはいるけれども、成果と言えるのはやっと半分だということなんだと思うんです。それを知事がいろいろな場面で、成果が出ている、希望に変わった、そういうたぐいの話をすればするほど、受けとめ方としては非常に乖離が生じているという気がするわけです。
 例えば、政策評価書の中にもありますが、県民の重要だと思われる政策、満足度の問題を比較して県民ニーズ度というのを出していますよね。その県民ニーズ度最大のものは産業・雇用の分野なんですが、その評価は七つある政策項目の中で最低なんです。ところが、実際、知事演述の中で、この産業・雇用の問題では何一つマイナスの部分を提示していない。こういうところが足りないというよりも、こうやりますということだけしかお話をされていないということなどを含めて、受けとめ方としては、成果を強調しているだけだということに受け取られていると私は思うんです。
 そこで、内向きに褒めて仕事をしていただくとか、あるいはだめ出しをしないでやる気を引き出すということはあるかもしれませんが、しかし、県民に向かっては、私は、その同じ手法はとってはいけないのではないかと。謙虚に足らざる点を示して、なおかつ県民の意欲や希望を引き出すようなメッセージをトップリーダーとしては出していかなきゃならないのじゃないかと思うんですが、その点はいかがでしょうか。
〇達増知事 さまざま論点を指摘いただいたと思いますけれども、まず、県民所得、雇用の状況、地域医療、人口、これもそれぞれの生数字は常に新しいものを県民の皆さんにお示しして、その中で、いまだにリーマンショック以前のところまでには戻っていないことでありますとか、相対的によくなったところはあるけれども、日本全体が悪化している中で岩手も悪化しているといったことはまさに包み隠さず、そこは県民の皆さんにお示ししているところであります。
 そういう中で、これはまさに戦略というか、あるいはリーダーシップと言ってもいいのでありましょうけれども、ここをこういうふうにやっていけばよくなるというところについて明らかにして、そこに県民の力、知恵あるいは県の資源を集中させて、そして状況を改善させていくということに力を入れていくやり方というのは、行政とか経営とかの場合には極めて基本的な手法ではないかと思っております。
 それから、危機認識のギャップでありますけれども、これは認識の問題なので、そういう観点からお話をさせていただきますが、どうしていいかわからないとき、これはもう危機。このまま放っておいたのでは、そのシステムが壊れてしまう。そして、どうしていいかわからないので、もうこのままではシステムは壊れてしまうという絶望につながるようなのが危機であり、こういうふうにしていけば問題は解決するという、その解決に向けての段取りがわかれば、それは、いかに深刻な状態であろうとも、そこから回復させていくやり方がわかりさえすれば、それはもう危機ではなくて課題であって、それは克服していく対象であり、そしてそこには希望が出てくると私は考えております。
 特に、政権交代が起きて、国も格差拡大型から脱格差拡大型へ、そして地方切り捨てから地方重視へとなったときに、私は、もう危機という言葉は使わなくていいんじゃないかとも思いました。課題という言葉であとはやっていけばいいんじゃないかと思ったんですけれども、ここに来て、国の政策がそうでもないようになってきて、私は、社民党が連立政権の中にいれば、もう危機という言葉は使わなくていいと思っていましたよ。ただ、社民切りというのは、明らかにあれは格差拡大型、地方切り捨て型への転換の一歩でありますから、私もまだちょっと危機意識を持っていなきゃならないのかなと思っているところであります。
〇久保孝喜委員 エールを送っていただいて、ありがとうございます。
 ただ、危機認識のギャップは、私は、依然として今のお話でもなかなか払拭できないなという思いをしたところです。政策の責任者、トップとしての姿勢が県民にどう伝わっていくのかということは当然お考えでしょうけれども、残念ながら、今の現状の中では、そのトップの熱というものがどうも県民には伝わっていないという気がしてならないわけです。
 その危機の一つである財政の問題で、もう一点お尋ねいたします。
 昨年のこの予算特別委員会の場でもお尋ねしましたが、県債償還にかかわる県民に対する説明責任ということがあるのだろうと思うんですが、この点についてはどのようにお考えでしょうか。
〇菅野総務部長 県債償還の説明責任についてでございますが、これまでも、本県の今後の収支見通しをお示しする際には、県債の発行額や残高の見込み、今後の返済のための公債費が高い水準で続くことを御説明してきたところでございます。また、公債費が増加するとともに社会保障関係経費の増などによりまして、何らの制度的手当を講じず、また、特段の財源対策を行わなかった場合については、数百億円規模の収支ギャップが生じるという見通しについてもお示ししてきたところでございます。
 国の予算編成の状況によりまして地方交付税等一般財源の額がどうしても左右される本県の財政構造にありましては、公債費がこのようにふえる一方で、何とか義務的経費以外の政策的経費を確保していくために、一方で県民の将来負担を増加させないという観点から、毎年度、ぎりぎりの予算編成を行ってきたところでございます。これは今後とも続くだろうと思ってございます。したがいまして、県民の皆様に、限られた財源の中で、真に必要な事業やサービスを選択していくことについて御理解をいただく必要があろうと考えてございまして、次期アクションプランの策定に当たりましては、県債の状況などを含めました中期的な財政見通しについて御説明を申し上げる必要があるのではないかと考えているところでございます。
〇久保孝喜委員 あらゆる予算に関する報道で、真っ先に取り上げられるのは県債残高の問題なわけです。それだけ県民も関心を持っているということだし、不安も感じているということだと思います。
 さらにこの問題で言うと、将来負担比率の問題がどうしても浮かび上がってくるわけですが、岩手県は305.9%という平成21年度の数値で、これは全国で3番目です。東北ではもちろんトップであります。兵庫県、北海道に次ぐ3番目ということです。しかも、その300%を超えるのは全国では3道県だけということでもあるわけです。早期健全化基準とはまだ差があるという知事の答弁が本会議でありましたけれども、それだけでは、どうもこの数値と県民の思いとはやっぱりすれ違うということがあろうかと思います。
 知事にお尋ねしますが、岩手のような財政規模類似団体の中でも、多分、この300%超えというのは断然トップなんだと思うんですが、そういう数字が出るたびに不安を感じる県民に対しては、これからどのようにお話をされていくおつもりなんでしょうか。
〇達増知事 お金を使わないようにするのがいいのか、それとも県民が直面する課題に対してさまざまな事業を展開していくのがいいのかという選択の問題でありまして、そこは、県は、今後も厳しい財政の状況の中で、県職員の給料特例減額というような措置もいたしましたし、そういう財政の状況などをきちんと県民にもお示ししつつ、また、一方で、雇用の現状でありますとか、所得の現状でありますとか、そういった事業の必要性なども示しながら、県民とともに判断をしていくという姿勢を貫くことかと思います。
〇久保孝喜委員 次の問題に入ります。北上川清流化事業についてお尋ねをいたします。
 これは、長年の間、まさに24時間365日、その事業に取り組んでいるわけなんですが、危機管理の問題として、まだ解決できない課題として存在しております。この現状の危機管理上の課題について、まずはお示しいただきたいと思います。
〇宮舘副知事 北上川清流化事業についてでありますが、まず、危機管理上の課題といたしましては大きく3点あると考えております。第1点は新中和処理施設の耐震化でございます。第2点は四十四田ダムの堆砂対策、第3点は3メートル坑の安全対策でございます。
 新中和処理施設の耐震化につきましては、これまで擁壁、原水受槽、中和槽等の耐震補強工事を順次進めてきておりまして、平成28年度に完了する予定となっております。また、地震等の災害に備えまして、定期的に、河川管理者であります国土交通省などと連携しながら、災害対応訓練を実施しております。
 第2点の四十四田ダムの堆砂対策についてでありますが、平成21年2月に取りまとめられました四十四田ダム貯水池堆砂対策委員会の対策の提言に基づきまして、国土交通省において貯砂ダムの設置などに着手したと聞いております。
 3点目の、3メートル坑は鉱山の最下部にある坑道でありまして、国が行政代執行で設置いたしました坑内水の密閉プラグがありますが、この安全対策については、平成21年5月に公表されました経済産業省の調査報告書によりますと、密閉プラグは安定しているものの、坑道は特定の箇所で毎年数ミリ程度変位しておりまして、坑道が直ちに崩壊するとは考えられないが、長期的には坑内水がしみ出す可能性を否定できないとされております。
 県といたしましては、国の責任で対策を講じるよう国に要望しているところでありまして、引き続き働きかけてまいります。
〇久保孝喜委員 この課題は今まで何回か取り上げさせていただきましたし、毎年、国に対する予算提言ですか─要望ではなくて提言ということでも取り上げております。去年とことしの分がここにあるんですが、毎年ほとんど変わらない内容なんですけれども、したがって、5省庁の連絡会議なるものも毎年1回開かれているということなんですが、残念ながら一向に国の責任が、一体どこの省庁が責任を持ってこれに取り組むのかということすらまだわかっていない。もう既に29年ぐらいになるんでしょうか、中和処理施設ができてから28年になるわけですが、相も変わらずこの問題を取り上げなきゃならない原因は何だというふうにお考えでしょうか。
〇宮舘副知事 今お話がありましたように、毎年、国の施策に対する提言等を行っておりまして、北上川の清流化については、現行の国庫補助制度では法的根拠がない予算補助となっておりまして、国の財政事情に左右されない恒久的で安定した財政制度を確立するということを要望しているところでございますが、なかなかこれが実現しないということでございます。
 それから、また、補助率4分の3を維持して必要な予算を確保するとともに、県の負担に係る特別交付税措置も維持していただくように要望しております。これについては、この予算で措置されているところでございます。
〇久保孝喜委員 結局、この30年近い月日の中でも、一向に国の姿勢が変わらないというのは省庁間のなすり合いだとずっと言われてきたわけです。政権交代後、こうしたある意味政治的利害が及ばなくて、なおかつ国民、県民に対するまさに危機が迫る課題については、民主党政権が言う政治主導で本来はいち早く解決しなきゃならない課題だったと私は思うんですけれども、こういうにっちもさっちもいかない状況で足踏みをしている課題について、知事は、政権交代後の中ではどのような感触を持っておられるのでしょうか。
〇達増知事 まさに社民党に連立の中に残っていただけていればなと思うところでありますけれども、IGR問題で政務三役に直接いろいろ説明したりするのに大分時間がかかり、私も、この問題についてはまだ直接政務三役に話をするというところまで行っておりません。私は、衆議院議員時代も経済産業委員会に長くいたので、経済産業省への事情の確認とか、そういったことはずっとやっておりましたけれども、政治主導もさることながら、やはり専門的なその関係省庁の認識をきちっと固めるところも大事かなとも思っておりまして、それぞれ働きかけるべきところにしっかり働きかけていくことが必要と思います。
〇久保孝喜委員 今、いみじくも触れていただいたJR貨物の調整金問題なんかと課題が似ているんだと私は思うんです。同じような鉱毒水処理の課題を抱えている道県もあるんだと思うので、連絡調整をしながら、一緒に行動するというようなことをぜひ考えていただきたいんですが、と同時に、この北上川が非常に危うい状況の中で、しかし清流化が維持されているということの県民に対する周知というのはやっぱりまだまだ足りない。そういう危機感を醸成化することで県の動きをフォローしていただくということも一つの方向だろうと私は思いますが、その県民に対する説明責任についてのお考えをお聞きします。
〇宮舘副知事 県民に対する説明責任についてでありますが、北上川清流化は本県にとって重要な課題でありまして、流域の県民生活や産業活動に多大な影響を与えるものであることから、中和処理の状況や危機管理の対応については、パンフレットへの掲載、配布、ホームページでの情報発信、災害対応訓練の報道発表などにより情報提供に努めているところでございます。
 また、北上川の水質は定期的にモニタリングを行っておりまして、その結果を公表しており、これまで環境基準を達成し、良好な状態であることを確認しております。さらに、北上川清流化の取り組みについて、小学5年生を対象とした環境副読本や─これは1万4、000部ほど作成しておりますが─環境王国展などを通じて紹介しているほか、新中和処理施設において年間1、000人を超える見学者の受け入れ、また、NPOとの協働による鉱山跡地への植樹活動によりまして幅広く周知を図っており、県民の理解を得るように今後とも努めてまいりたいと思います。
〇久保孝喜委員 この清流化の問題は、四十四田ダムの堆砂問題を含めて非常に大きな課題であり、かつ流域はまさに岩手県にとどまらず宮城県にも当然及ぶわけですので、県境を越えた連携というのも当然必要な課題だろうと思います。ぜひ積極的に取り組んでいただきたいと思います。
 最後の課題は高校再編計画についてでございます。担当は教育委員会ですが、トップリーダーとしてのこの計画にかかわる思いということを中心にお尋ねをしたいと思います。
 まず最初に、これまで1年かけてさまざまなチャンネルで県民の意識あるいは関係自治体や関係者の方々の意見を聞くということをやってきましたけれども、それらの成果についてどのように受けとめていらっしゃるのかお聞きしたいと思います。
〇達増知事 成果ということでありますが、教育委員会では、今年度、県内9ブロックにおいて、それぞれブロックごとに地域検討会議を3回、一般県民の方々を対象とした地域別懇談会を2回開催し、また、各地の要望に応じて出前懇談会を十数回開催しております。
 各地域からは、いわゆる小規模校のあり方など、地域の実情と将来等を見据えた多くの貴重な御意見をいただいたと聞いておりまして、教育委員会においては、そのいただいた御意見を参考とし、十分議論を尽くしてもらいたいと考えております。
〇久保孝喜委員 この問題もこれまでたびたび議論をされてまいりました。新年度において具体の整備計画がつくられるということですが、私どもも主張してきたように、これは、単に学校の統廃合とかという話にとどまらず、地域主権としての理念のもとで、地域の教育、学校をどう考えるかというかなり本質的な話だろうと思っています。そういう点では、知事は、年頭訓示の中でも、岩手は国の地域主権改革に先んじてやってきたんだというお話をされていますので、ぜひ、この高校再編の問題でも地域主権の理念に沿った岩手ならではの考え方というのを示していただきたいと私は思っているんですが、これまでの経過の中での知事の所感があれば、最後にお尋ねして、終わりたいと思います。
〇達増知事 教育委員会においては、先ほど申し上げた地域での議論のほかに、県庁内においても関係部局との意見交換を重ねながら検討を進めてきており、さまざまな視点からの議論が深まっていると考えております。
 次期計画案の具体的内容については、平成23年度の入試結果等も踏まえて、今後、教育委員会において鋭意検討が進められていくものと考えますけれども、これから社会人になっていく岩手の子供たち、その生徒本意に検討が進められるべきものと考えております。
〇久保孝喜委員 生徒本位、そのことが大事だろうとも思います。人口密度の低い岩手県が、全国一律の学校標準法なるものをありがたく、ただただつき従うということだけはぜひやめてほしいということを申し上げて、質問を終わります。
〇五日市王委員長 お諮りいたします。予定の5時までにはまだ若干時間がありますが、区切りの関係から、続く総括質疑はあす行うこととしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇五日市王委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
 あす以降は毎日午前10時から開会いたしますので、よろしくお願いいたします。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後4時16分 散 会

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