平成22年6月定例会 第16回岩手県議会定例会 会議録

前へ 次へ

〇33番(工藤勝子君) 自由民主クラブの工藤勝子でございます。
 本定例会におきまして、先輩、同僚議員の御配慮により登壇する機会をいただきましたことに感謝を申し上げ、通告に従い、順次質問をしてまいりますので、当局の積極的な御答弁をお願いいたします。
 初めに、達増知事が就任して3年が経過し、今年度、任期最終年を迎えるに当たり、県政運営にかける知事の熱い思いと、重点的な取り組みについてお伺いいたします。
 増田前知事が目指した夢県土いわてづくりから引き継がれました達増知事は、岩手県の置かれた現状を危機的現状ととらえ、危機を希望に変える政策としていわて希望創造プランを策定し、豊かで安心して暮らしていける社会の実現に取り組む姿勢を表明されました。県民の実態から、長期にわたる県民所得の低迷、特にも、ものづくり産業が集積する県南地域と、1次産業中心の県北・沿岸地域の所得格差、若者を中心とする人口流出による人口減少と、それに伴う少子高齢化問題、そして経済の低迷による雇用問題、医師不足による地域医療問題などを取り組むべき課題として挙げられました。
 また、県財政の面をとらえてみても、県債発行残高は1兆4、000億円を超えており、このまま景気の低迷が続けば、個人所得の大幅な減少や企業収益の悪化による自主財源である地方税の収入の減少、さらには、依存財源の国からの交付金の不透明な現状を考えれば、県財政も危機的な現状と考えられます。
 国においては、環境・エネルギー、医療・介護・健康、科学技術、雇用などに重点を置く新成長戦略が示されておりますが、県の希望郷いわてとするために、今後の重点的な推進事業を具体的にお示しください。
 知事は、草の根という言葉で地域コミュニティを大事にされており、草の根地域訪問、こんにちは知事ですも開催されてきました。県民との対話の中から県政運営に生かされた提言もあったと思いますが、現実として県民の意見が県政にどう反映されているのかお伺いいたします。
 また、希望を抱くことのできるふるさと岩手の実現には、企業やNPO、民間団体、住民組織、そして県民一人一人の結集した力と行動力が不可欠と言われますが、厳しい現実の中で県民の意識が高揚してきているのか、また、希望郷いわてに向かって、県は、企業を初め団体組織、さらには市町村に対してどうリーダーシップをとっていこうとしているのかお伺いいたします。
 次に、人材の育成についてお伺いいたします。
 県における今後の産業経済の発展、地域の活性化、文化芸術の継承、環境、科学技術研究などにおいて、岩手の大地に根を張って活躍する人材をいかに育成するかが、今後の岩手の発展につながる大きな課題だと思っております。人材育成には、時間、財源、そして指導者となる人が求められると思います。しかし、厳しい財政の中にあっても、今、ここで各分野における人材育成に力を入れるべきと考えます。
 県は、いわて県民計画で、岩手の未来をつくる七つの政策の中で、国際競争力の高いものづくり産業の振興をトップに掲げております。特にも、ものづくり産業は、雇用の面で大きな役割を果たすことが期待されております。また、産学官連携による北上川流域ものづくりネットワークや各地域における人材育成ネットワークもありますが、実際に企業のニーズにこたえられる人材育成は進んでいるのでしょうか。
 また、人材は育成されても、働く場や活躍できる場がないために、貴重な人材が県外に流出してしまっていることも懸念されます。その防止対策としては、企業誘致を進めるに当たって企業の求める人材を的確に把握し、それに見合った人材を中長期的に育成し、そして企業に対し岩手の人材を売り込むことが重要であると考えますが、県の企業誘致を推進するための人材育成と、岩手の人材のPRについてどう取り組んでいるのかお伺いいたします。
 岩手の恵まれた多様な自然条件と広大な面積を生かし、人が生きていく上で一番の糧となる食料の生産に情熱を持ち、近代的な経営能力を持って取り組める担い手の育成にかける県の政策に期待をしながら質問をしてまいります。
 平成21年度の県の新規就農者数は251人、前年度比19人の増となり、明るい兆しが見え始めていると思っておりますが、本当に農業で生計を立てられるのか、家族と生活をしていけるのか、不安を持っての就農かと推察されるところです。
 農業集落においては、農業の活性化への期待、地域コミュニティ活動、郷土芸能の保存や防災活動への参加など担い手に期待する部分が多い中で、県としての担い手となる人材育成にかける技術指導や新規就農総合対策事業費の活用等について、県としてどう取り組もうとしているのかお伺いをいたします。
 次に、岩手の新しい農業を推進する中で、他の農業県と競争できる品種の改良による岩手ブランドの確立が求められております。水稲を初め、果物、花卉、野菜など、品種改良は日進月歩で進んでおります。県の農業研究センターにおいても研究が行われていると思いますが、研究者の人材育成の考え方についてお伺いいたします。
 また、新規就農者を初め、農山漁村におけるリーダーの育成や技術指導、経営戦略等の指導に当たられる農業改良普及センターの農業普及員の配置の現状と今後の見通しについてお伺いをいたします。
 次に、農林業の施策についてお伺いいたします。
 今日の農業、農村が弱体化している原因に、高齢化、後継者不足、農産物価格の低迷による所得の減少が挙げられます。農業就業者の高齢化は急速に進行しており、65歳以上の割合は60%を超え、世代交代が進まず、平成20年の農業産出額も前年比15億円減の2、445億円となり、昭和60年の3、595億円のピークと比較すると1、150億円も減少している現状にあります。
 本県は、日本の食料供給県を標榜する中で、農業産出額の全国順位は第12位であり、今後も食料供給県と胸を張って言えるのか疑問でありますが、知事の食料供給県岩手の現状をどうとらえ、今後どう推進していくのかお伺いをいたします。
 政府は、大規模農業者に支援する農政から大転換をし、2020年、食料自給率50%を目標に、食と地域農業で自給率向上事業と米のモデル事業をセットとし、農家戸別所得補償モデル対策事業がスタートすることになりました。この制度は、規模の大小に関係なく、生産調整に応じた販売農家に対して、主食用米の作付10アール当たり1万5、000円の定額交付が受けられ、また、米価が過去3年間の平均額を下回ったときも追加交付が受けられることになります。また、水田転作として米粉用米、えさ用米など、食料自給率の向上に取り組めば10アール当たり8万円が交付され、農家においても大きなメリットがあり期待をしているところでもあります。しかし、国の財源確保の見通しが不透明であるほか、米粉やえさ米については、農家みずから販売先を確保することが交付の条件とされているなどの流通体系上の課題が残されておりますが、今年度のこの制度導入に当たっての県の具体的な支援策はあるのでしょうか。次年度以降の本格的な戸別所得補償制度の導入に伴う岩手農業の方向性をどのようにとらえているのかお伺いいたします。
 次に、口蹄疫対策についてお伺いいたします。
 宮崎県の口蹄疫被害は、発生から懸命の防疫措置が行われているにもかかわらず、宮崎県の広範囲に拡大し大きな被害となっております。私は、少頭数ではありますが、同じ畜産農家として家族と同じ思いで飼っている牛を見るたびに、宮崎県の畜産農家の人たちの悲しみ、苦しみは痛いほどわかり、罪のない牛や豚の悲鳴が聞こえる思いがしてまいりました。県内においても、1戸当たりで飼育する頭数は増加していると思います。多頭化はウイルス感染とは関係ないかもしれませんが、一たん伝染病が発生すると無条件で殺処分となり、被害が甚大となります。
 本県の平成20年度の農業算出額を見ると、米を中心とする耕種は47.6%、畜産は鶏を中心として52.4%となっております。畜産の割合が50%を超えているのは、全国の中で鹿児島県、宮崎県と本県だけであり、本県はまさに畜産県であります。
 今回の口蹄疫への対策として、県、市町村、JAが一体となって畜産農家に対して消毒薬を配布したほか、対策会議も行われております。口蹄疫の原因が判明せず、国内外を問わず観光客の移動やビジネス交流が活発な中で、いつ、どこで発生するかわからないウイルス感染に対し、防疫マニュアルの作成、畜産農家への情報伝達、さらには県種牛の分散管理の課題に対する県の対策をお伺いいたします。また、宮崎県への支援策についてもあわせてお伺いをいたします。
 次に、林業振興についてお伺いいたします。
 県の森林面積は118万ヘクタールであり、県土全体の8割を占めております。四季折々に変化する中で、たくさんの資源を送り出してくれる豊かな山々に囲まれた森林県でもあります。天然林と人工林の比率は約半々と言われ、針葉樹は杉、カラマツ、アカマツの3種が主体となっております。木材価格の下落によって、人工林の間伐や手入れが行われないまま放棄状態となっております。さらに、エネルギーとしての木材利用が化石燃料にかわり、森林の多面的な価値が見過ごされてきたほか、林業者の高齢化もあり、県全体の貴重な資源となる森林も危機的な状況となっていると思います。
 平成18年度から平成22年度、今年度までの5年間を期間として、いわての森林づくり県民税として県民からの負担と理解のもと、混交林を目指しながらの整備が進められてきました。5カ年で7、500ヘクタールを目標とし、これまで4年間で5、494ヘクタールが実施され73.3%の達成率となっておりますが、今年度はさらに約2、000ヘクタールの実施が予定され、岩手の森林が生き返り、動植物が戻る健康な森がよみがえり、多様な生物環境の保全とともに、いろいろな効果があらわれてくることが期待されております。
 そこで、今年度を最終年度としている森林づくり県民税の期間を延長してさらに整備を進めるべきと考えますが、今後の森林づくり県民税について県のお考えをお伺いいたします。
 また、県民の森林に対する理解や意識の高揚にもこの県民税が生かされていると思いますが、これまでどのような効果があったのか、あわせてお伺いいたします。
 次に、林業振興の課題についてお伺いいたします。
 林業振興は、素材生産から加工、販売、製造まで、まさに川上から川下までの一貫した流れが求められております。しかし、長期にわたる経済の低迷や建築確認の厳格化の影響などにより、民間の建築需要は落ち込み、販売、製造の動きも鈍く、木材業界、建設業界は厳しい経営状態になっていると思われます。国においては、公共建築物木材利用促進法が制定されたことにより、今後、公共事業に木材が活用される条件が整備されたと思いますが、学校、体育施設、福祉施設など県の公共事業における県産材の活用について、知事の御所見をお伺いいたします。
 あわせて、国体、国際試合などで活躍する選手強化に力を入れる拠点として、スポーツ医・科学理論に基づいてのトレーニングができるドーム型の多目的屋内練習施設を県営運動公園内に整備するに当たっては、県産材を活用した全国にも誇れるモデル的な、また、岩手のシンボルとなるような施設にするべきと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。
 次に、伝統文化の継承についてお伺いいたします。
 遠野市は、遠野物語発刊100周年の記念すべき年を迎えました。明治43年6月14日、柳田國男先生によって発刊され、100年の長い月日の中で遠野の人たちに愛され続け、民俗学を研究する人たちなど、全国の多くの人たちを魅了してきました。
 四方を深い山々に囲まれた厳しい自然環境の中で、曲がり家に住み、馬や動物たちとの共生、自然に対する畏敬の念から119話の物語となり、100年をたった今も色あせることなく語り継がれ、永遠の宝となりました。昔話を初め農作業、暮らしの中の衣食住から、これから100年後の世界に伝承するための遠野1000人語り部認定プロジェクトによる活動も始まりました。
 岩手県内には、遠野物語だけでなく、数多くの残していかなければならない貴重な文化、技術、遺産、郷土芸能などがあり、それらは永遠の岩手の宝でもあります。しかしながら、今、このままにしておくと、消えてなくなるものが多いと危惧されるところです。県は岩手県文化芸術振興基本条例を制定しておりますが、今後、伝統文化の保存、継承を一層推進するに当たり、市町村、NPO、民間、団体組織との連携も含め、県としてどうリードをしていくお考えなのかお伺いをいたします。
 次に、観光振興についてお伺いいたします。
 県では、ひろげようおもてなしの郷いわてを副題として、みちのく岩手観光立県基本計画を策定したところです。観光産業の振興は、地域に大きな経済効果と交流人口の拡大をもたらすなど、地域の活性化に大いに貢献するものです。近年、観光スタイルが団体旅行から個人、あるいは小グループ旅行へと変化しているほか、観光ニーズについても、美しい自然環境やふるさとの原風景、地域の伝統文化や歴史、物語、さらには、その地域に住み続けている人たちとの触れ合いや地元の食材にこだわる本物志向、体験活動など、多様化している中で観光ボランティアなどの人材の育成も求められているところです。
 本県の観光客入り込み数が横ばいであり、宿泊者数が減少傾向となっている中で、平泉の世界遺産登録が来年度に期待されているところですが、この効果をどのように全県に波及させ観光振興を図ろうとしているのかお伺いをいたします。
 また、岩手の宝を丸ごと売り込むための効果的な情報発信と地域にある観光資源の新たな掘り起こし対策、そして、観光に携わる人材の育成について県のお考えをお伺いいたします。
 秋田県では、県内の食品業、農業、観光業者などで構成する秋田県食・農・観連携ネットワーク会議を設置し、農業との連携の中で、自然や食文化の資源を付加価値とした新たな魅力の情報発信に取り組もうとしておりますが、岩手県として、観光と農業の連携をどのように推進していこうとしているのかお伺いをいたします。
 次に、一般国道340号立丸峠のトンネル化の整備促進についてお伺いをいたします。
 ことしの1月、川井村が宮古市に合併されまして、立丸峠の境界は遠野市と宮古市となりました。今後は川井地区とともに宮古市全域の皆様方に対し、立丸峠のトンネル化に向けての御協力と御支援をお願いしたいと思います。
 北上高地の中心を陸前高田市から八戸市に至るまで南北に走る一般国道340号の中の立丸峠は、標高も高く、急勾配、急カーブの連続で、幅員も狭く交通の難所であります。県の御配慮と御理解のもと、一部改良と待避所の工事を行ってくださっていることには敬意と感謝を申し上げます。この道路は、産業、経済、観光、人的交流などの地域振興に果たす役割は大きく、特にも、三陸沿岸の災害時における代替道路となる命の道でもあります。宮城県沖地震災害時における三陸沿岸への遠野市後方支援中継基地構想にあっても、救援物資の搬送や救急医療への対応など、立丸峠のトンネル化は最重要課題であると思いますが、調査費の予算計上など、今後の課題と見通しについてお伺いをいたします。
 次に、災害に対する取り組みについてお伺いいたします。
 一昨年に発生しました岩手・宮城内陸地震により甚大な被害を受けた一般国道342号須川─真湯間が、先月、5月30日に開通いたしました。地震発生から2年をたたずに通行どめが解除となりましたことは、災害当初から迅速かつ的確な対応をしていただいたことによるものと感謝申し上げます。しかしながら、今後発生の確率が高いと言われております宮城県沖地震を初め、全国で頻発している局地的豪雨などによる自然災害も予想されます。このような自然災害による災害復旧について、岩手・宮城内陸地震の経験等を踏まえどのように対応しようとしているのかお伺いをいたします。
 次に、むら・もり・うみ女性ビジョンの推進についてお伺いいたします。
 県は、平成11年度に、平成22年度までの12カ年計画として、むら・もり・うみ女性ビジョンを策定したところです。このビジョンは、農山漁村の中で、主体性を持ってはつらつと生きる女性を目標に掲げ、男性も女性も地域の中でともに輝きながら、持っている能力を十分に発揮し、男女共同参画社会の形成を促進する大きな指針となってきたものと考えます。女性が農業就業人口の6割を占め、担い手としての役割が期待される中で、このビジョンにおいて、1人の女性が将来生きる上で、個人としての生き方、家庭人としての生き方、職業人としての生き方、社会人としての生き方についてそれぞれの目指す姿を示し、農家の経営改善や地域社会の変革を進める原動力となった女性ビジョンであったと思います。
 平成11年からこのビジョンを推進した結果、平成21年度末時点で、家族経営協定締結農家数では、目標の1、300戸に対し1、313戸と、既に目標を超え東北1位の実績となっているほか、女性起業数では、個人、団体で197経営体から411経営体と大幅に増加いたしました。また、JAの経営に参画する女性理事は、ゼロから四つのJAで計9名が理事に就任しているほか、農業委員においては6名から71名と大きく増加して、順位では平成20年度において東北で第1位、全国でも第3位と誇れる実績であります。これらの成果は、むら・もり・うみ女性ビジョンにおいて数値目標を掲げ、精力的に取り組んだ県を初めとして、各関係機関の御尽力があってのことと認識しております。
 県では、今後、このビジョンの見直しを進めると聞いておりますが、今のビジョンの策定から約10年が経過した今、女性が生き生きと大地を耕し、食料生産に誇りを持って、一歩一歩男女共同参画社会をより着実に推進していくためには、今の若い女性後継者の生き方やニーズ、意識を十分に配慮したビジョンの取り組みが必要であると考えますが、このビジョンの見直しに当たっての県の具体的な考え方と、農山漁村における男女共同参画の推進に向けての今後の取り組みについて、あわせてお伺いをいたします。
 以上で私の一般質問は終わりますが、達増知事におかれましては、今後の農山漁村の活性化に向けて、男性と女性がともに働き、子育てをしながら地域の課題にも目を向け、あらゆる分野において女性が生き生きと活動し、社会参画をし、地域を変えそして市町村を変え、県を変える、そういう基盤をつくっていくように、女性に対しての今後の推進を願いながら、私の一般質問を終わらせていただきます。
 答弁によっては再質問をさせていただきます。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 工藤勝子議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、就任4年目にかける重点的取り組みについてでありますが、昨年度策定しましたいわて県民計画のアクションプランでは、雇用環境、県民所得、地域医療、人口等についてそれぞれ政策推進目標を掲げ、重点的に推進することとしています。この目標の実現に向けて、雇用環境については依然として厳しい状況が続いていますことから、緊急かつ最重要課題として取り組んでいく考えであり、具体的には、雇用対策基金等を活用した新たな雇用の創出や新規高卒未就職者等への支援などを進めてまいります。
 県民所得については、本県の産業基盤をより強固なものとして、産業創造県いわてを実現するために、今後成長が見込まれる医療機器関連産業における製品開発支援や次世代型グリーンデバイス開発推進などに取り組んでまいります。
 地域医療については、医師の地域偏在や、産科、小児科など特定診療科の医師不足など深刻な状況が続いていますことから、医師や看護師などの医療人材確保に引き続き全力を挙げるとともに、救命救急医療の高度化に向けたドクターヘリの導入促進や、総合周産期母子医療センターへの高度医療機器の整備などを進めてまいります。
 人口については、社会減に歯どめをかけるため、地域の活力を高める産業振興施策に加えて、安心して子供を産み育てられる仕組みづくりや、県内への定住と交流の促進に向けた体験居住機会の提供などに取り組むこととしております。
 次に、県民の意識についてでありますが、これまで2度にわたる大きな地震被害や、世界的な経済危機に端を発した経済、雇用情勢の悪化に直面したところでありますが、こうした危機に立ち向かう中で、がんばろう!岩手運動や買うなら岩手のもの運動、地域医療を支える県民運動のほか、元気なコミュニティ100選のような地域で自主的に取り組む活動など、県民力を結集した取り組みが進んでいるものと認識しております。
 次に、県のリーダーシップについてでありますが、希望郷いわて実現のためには、地域社会を構成するあらゆる主体がともに支え合いながら総力を結集する、いわゆる地域経営の考え方に基づく取り組みを推進することが重要と考えております。この考え方をもとに、いわて県民計画では、県内各地での説明会の実施や広報媒体の活用など、あらゆる機会を通じて浸透を図ることにより、県民の参画や協働意識の共有に努めているところであります。
 また、昨年11月からは、県民の皆さんやさまざまな組織と県が問題意識や地域課題などを共有し、課題解決のためともに活動する取り組みである岩手県I援隊運動を開始したところであり、今後も引き続き、県が率先して、企業、市町村等をパートナーとした連携活動を行ってまいります。
 次に、食料供給県いわての現状についてでありますが、本県農業は、農業所得の減少や生産構造の脆弱化など多くの課題を抱えている一方で、食料自給率は全国の41%を大きく上回る106%となっており、食料の安定供給に貢献していますほか、内需拡大型経済の振興基盤として大きな役割を担っていくことが期待されています。また、私自身、県内各地域を訪ねてみて、農商工連携のもとで、岩手の農業の未来を切り開く創造性あふれる取り組みが展開されつつあると実感しています。
 こうした認識のもと、関係機関や団体と連携しながら、意欲と能力にあふれた人材の育成や、生産性、市場性の高い産地づくり、さらには、6次産業化等による経営の高度化や、ブランドの確立による販路の拡大などの取り組みを推進し、我が国の食料供給基地としての役割を果たしてまいります。
 次に、公共事業における県産材の活用についてでありますが、公共建築物木材利用促進法の制定により、公共施設や公共工事などでの木材利用が促進されることはもとより、民間の木材利用にも波及することが期待され、全国第2位の森林資源を誇る本県の林業、木材産業にとって強い追い風になるものと認識しております。県では、これまでも公共施設・公共工事木材利用推進行動計画を策定し、平庭高原の体験学習館や駐在所などの木造化のほか、県立学校の内装木質化に取り組んできたところでありますが、これを機にさらなる県産材の利用に努めていきますとともに、市町村に対しても県産材を積極的に利用するよう働きかけてまいります。
 次に、県産材を活用した多目的屋内練習施設の整備についてでありますが、多目的屋内練習施設の整備に当たっては、岩手県公共施設・公共工事木材利用推進行動計画の方針に基づいて、工事期間や建設に要する経費などを十分に考慮しながら、可能な限り県産材を活用した施設にしたいと考えております。現在、教育委員会で実施している設計プロポーザルにおいても、各設計候補者に提出課題として、県産材の活用についての考え方の提案を求めていると聞いているところであります。
 その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔秘書広報室長廣田淳君登壇〕
〇秘書広報室長(廣田淳君) 草の根地域訪問におけます県民の意見の県政への反映状況についてでありますが、この訪問は、平成19年度から平成21年度までの3カ年において計29回実施し、その際いただいた意見、提言の約7割が、措置したものないしは実現に向けて努力しているものとなっております。この中で、県の施策に具体的に反映させた例としましては、観光ボランティアガイドの方々から、自分たちが案内している遺跡公園も県でPRしてほしいという要望に対し、新たにいわてグラフで紹介いたしましたし、また、林業関係者の方々から、県の林業のあるべき姿や地元のコミュニティを守るためのビジョンを示してほしいという要望に対し、岩手県産材振興ビジョン、岩手県特用林産振興ビジョンを策定し、対応したところであります。今後とも、知事が県民の皆様の暮らしや仕事の現場を訪問し、県民の皆様の生の声に耳を傾ける機会の確保に努めていきたいと考えております。
   〔商工労働観光部長齋藤淳夫君登壇〕
〇商工労働観光部長(齋藤淳夫君) まず、ものづくり産業における人材育成についてでありますが、本県では、産業界などの意見を聞きながら、黒沢尻工業高校と産業短期大学校に専攻科を設置し、高度な技能を有し、生産現場で中核となる人材を育成しております。また、高度開発技術者の育成を図るため、いわてデジタルエンジニア育成センターや岩手大学ものづくり大学院の設置を促し、設計、開発などの分野で活躍できる人材を育成しております。高校の段階におきましては、工業高校と地域のものづくりネットワークが連携したインターンシップや工場見学、企業の技術者を講師とする資格取得講習会などにより技能資格取得者が増加するなど、より実践的な教育活動に取り組んでいるところであります。
 次に、企業誘致のための人材育成についてでありますが、経済産業省が実施した調査では、本県の企業立地支援に対する満足度が非常に高く、特に人材あっせん、育成に対する支援の満足度が全国第1位となっております。また、誘致企業の方々からは、勤勉、まじめ、粘り強いなど高い評価をいただいていることから、本県の強みは人材であると認識しており、本県の人材育成の取り組みも含め、企業へのプレゼンテーションなど、さまざまな機会を通じて広くお伝えしているところであります。今後も、産業界などの意見を常に酌み取りながら、地域に貢献できるものづくり人材の育成に積極的に取り組んでまいります。
 次に、全県的な観光振興についてでありますが、世界遺産登録効果を全県に波及させるためには、県内各地において魅力ある旅行商品を造成することが最も大切であると認識しており、県といたしましては、北三陸サンライズレール観光振興会議や釜石線沿線活性化委員会などと連携しながら、魅力的な旅行商品づくりや観光ルートの構築等に取り組んでいるところであり、これらを効果的に情報発信し、全県への誘客につなげてまいります。
 次に、情報発信については、沿岸部観光素材集の作成、首都圏の旅行商品販売窓口担当者を対象とした内陸部と沿岸部を回遊するモニターツアーの実施、首都圏、名古屋、大阪でのトップセールスなどを通じて旅行会社に商品造成を強く働きかけるとともに、7月からのいわて・平泉観光キャンペーンやホームページ等によって、県外等に向けまして強力に情報を発信してまいることとしております。
 次に、観光資源の掘り起こしにつきましては、着地型観光へのニーズの高まりを踏まえまして、三陸鉄道に中核コーディネーターを配置しており、地域固有の観光資源の掘り起こしと磨き上げによる着地型旅行商品の企画造成を支援しているほか、今年度、立教大学や旅行会社との協働により、現地での調査研究と観光資源などの抽出を行い、首都圏在住の20歳代をターゲットとした旅行商品の造成を行うこととしております。
 次に、観光人材の育成については、県立大学などと連携してマネジメントセミナーを開催し、地域の牽引役となる人材の育成を図るとともに、各地のボランティアガイドの会と連携し、研修会の開催によるガイドの資質の向上や観光施設等の職員に必要な研修を実施し、いわて観光おもてなしマイスターとして育成してまいります。
 最後に、観光と農業の連携についてでありますが、県ではこれまで、観光関係者と農山漁村地域が連携し、地域独自の自然、文化等を活用したグリーン・ツーリズムの推進に取り組んでいるところであり、遠野市では自然体験プログラムを組み込んだ教育旅行の推進などにより、遠野ふるさと村などの総合交流施設の平成20年度の利用者数が21万5、000人と、5年前に比べ24%の増となっております。最近では、西和賀町におけるワラビ農園を活用した体験型観光など、地域の魅力を生かした取り組みが進められております。
 また、県内各地で地域の食文化に基づく特色ある料理を提供する農家レストランは、県が把握しているところでは現在47店舗と、平成16年度に比べまして38%増となっており、地域の観光の魅力向上につながっていると考えているところであります。今後におきましても、観光と農業の連携を図りながら、本県の豊かな自然や特色ある食文化、安全・安心な食を本県への誘客につなげてまいります。
   〔農林水産部長小田島智弥君登壇〕
〇農林水産部長(小田島智弥君) まず、新規就農対策についてでありますが、円滑な就農を促進するためには、技術習得や資金調達などについて、就農者の個別ニーズに応じて指導、支援することが重要であると考えております。このため、まずは農業大学校における経営計画の策定や課題解決のための研修、先進農家等における実践的な技術研修などにより、就農に必要な技術、経営ノウハウの習得を支援しているところであります。さらに、経営計画の達成に向け、農業改良普及センターによる技術、経営指導や機械、施設導入への助成、無利子資金の融通などを行うとともに、今年度は民間企業等と連携したマーケティング研修を計画しており、こうした各種支援策により、新規就農者の安定した農業所得の確保に努めているところであります。今後とも、市町村や農業団体と連携し、農業に意欲を持って取り組む新規就農者の育成に努めてまいります。
 次に、研究者の人材育成の考え方についてでありますが、農業研究センターが技術開発拠点としての機能を十分発揮していくためには、本県農業の発展に貢献する意欲を持って試験研究に取り組む人材を、経験年数などに応じて育成していくことが重要と考えております。このため、県では、若手から研究リーダーまでの段階的育成目標と育成方策等を内容とする研究員育成プログラムを策定しております。現在、このプログラムに即して、国の研究機関等への派遣や大学、民間企業との共同研究、学会発表や学位取得などにより、研究員として必要な知識、技術の習得や、想像力、発想力の向上を図っております。また、生産者等とのコミュニケーションにより現場ニーズを的確に把握し、課題化する能力の向上に努めており、今後におきましても、このプログラムに基づき試験研究に意欲的に取り組む研究員の育成に努めてまいります。
 次に、農業普及員の配置の現状と今後の見込みについてでありますが、農業普及員は、農業者の経営改善や集落営農の推進、6次産業化などの農業者の育成のため重要な課題の解決に取り組んでおり、現在、9普及センター及び4サブセンターに211名が配置されております。この配置に当たっては、地域の農業特性と普及員の専門分野等を総合的に考慮するとともに、継続的、組織的な普及活動を展開するため、作目ごとの複数人員の配置を基本としております。今後におきましても、必要な農業普及員の確保に努めるとともに、技術レベルに応じた専門研修や現場活動を通じた研さんにより、農業普及員の指導力の向上に努めてまいります。
 次に、戸別所得補償制度導入に当たっての県の支援策についてでありますが、米粉用米や飼料用米の生産拡大に当たっては、栽培の省力化、低コスト化による生産性の向上に加え、安定的な需要の確保や実需者への安定供給の仕組みづくりなど、流通面での取り組みが不可欠であると考えております。このため、県といたしましては、省力、低コスト生産のため、団地的な取り組みに加え実証展示による直播栽培技術の普及、定着や県オリジナル多収品種の作付拡大を図るとともに、需要確保のため、製パン業者との連携による商品開発や、畜産農家、飼料メーカーによる利用の拡大、さらには、安定供給のため、カントリーエレベーターを活用した効率的な乾燥調製や保管の仕組みづくりなど、生産から流通にわたる総合的な取り組みを支援してまいります。
 次に、制度導入に伴う岩手農業の方向性についてでありますが、この制度は農家手取りの岩盤補償を行うものであり、県としては、本制度を活用し、農業経営の安定化を図るとともに、地域振興作物の産地化や集落営農による団地化等の取り組みをさらに促進していきたいと考えているところであります。このため、いわて希望農業政策懇談会の意見等を踏まえ、地域の特色ある産地づくりに対する支援措置や、意欲ある農業者の経営努力等の取り組みに対する加算措置などについて、国等に提案していくこととしております。今後におきましては、所得補償によるセーフティネットの下支えのもと、高い所得を安定的に確保できる経営体の育成や、市場性、生産性の高い産地づくりなどを推進し、地域経済社会を支え、持続的に発展できる農業を確立してまいります。
 次に、口蹄疫への対策についてであります。
 まず、家畜防疫マニュアルについてでありますが、本県では、国の防疫指針に基づき平成16年度に策定いたしておりましたが、今回の宮崎県での発生を受け、市町村や団体の実務者を対象とした演習の結果や新たな国の口蹄疫防疫マニュアルを踏まえ、初動防疫が確実に行えるよう見直し、充実を図ったところであり、これに基づき適切な防疫対策に取り組むこととしております。
 また、畜産農家の方々に対しては、家畜保健衛生所と県畜産課に相談窓口を設置するとともに、パンフレットの配布や座談会などの機会を通じ、口蹄疫の症状や消毒の徹底などについて周知しております。
 次に、畜産研究所種山研究室で一元管理している県有種雄牛につきましては、宮崎県以外に拡大した場合には、県有種雄牛の一部を他の施設に分散して管理が行えるよう体制を整えているところであります。
 また、宮崎県への支援策についてでありますが、県では、4月29日から継続して県職員獣医師を宮崎県に派遣し、現地の防疫活動を支援しているとともに防疫資材を提供しているところであり、今後とも、できる限り宮崎県の要請にこたえ、支援してまいります。
 次に、いわての森林づくり県民税についてでありますが、本年3月の事業評価委員会において、平成23年度以降も緊急に整備すべき森林があることから、当該制度を継続することが必要との提言をいただいたところであります。今後、この提言を踏まえ、平成23年度以降の県民税のあり方についての素案を作成し、パブリックコメントや県内各地での地域説明会などを行いながら、本年中には最終案を取りまとめることとしております。
 また、県民の森林に対する理解、意識の高揚につきましては、地域住民の森林づくり活動への支援により、県民の主体的な森林環境保全の取り組みが広がっているほか、昨年実施した県民アンケート調査で、回答者の7割が、水源の涵養や地球温暖化防止の働きに期待をしており、公益的機能に対する県民の理解が進んでいると考えているところであります。今後とも、生活に欠かせない木材の供給機能はもとより、森林が持つさまざまな公益的機能に対し県民の理解が一層深まるよう、引き続き普及啓発に努めてまいります。
 最後に、むら・もり・うみ女性ビジョンの推進についてであります。平成11年度のビジョン策定以降、食の安全・安心や都市農村交流などのニーズが高まっている中で、農山漁村女性が行う食育や加工販売、グリーン・ツーリズム等の起業活動への期待が高まっております。また、農林水産業の従事者の高齢化が進行する中で、若い女性の積極的な参画を求める声も出てきているところであります。このため、ビジョンの見直しに当たっては、こうした女性活動に対する一層の期待の高まりや、若い女性の意識を踏まえた参画の促進といった課題に対応していくことが必要と考えており、現在策定を進めている新しいいわて男女共同参画プランにおいて、関係分野と一体的に推進することを検討しているところであります。また、こうした考え方を踏まえ、今後は、主体的な経営参画や起業活動への支援に加え、若い女性後継者等が豊かな感性を生かして活躍できるよう、若い女性のネットワークづくりや食文化の継承、起業ノウハウの習得などを積極的に支援してまいります。
   〔政策地域部長加藤主税君登壇〕
〇政策地域部長(加藤主税君) 伝統文化の継承についてでございますが、遠野物語を初め岩手の自然や風土との触れ合いの中から生まれた民話や郷土芸能などの伝統文化は、地域の宝、誇りとも言うべきものでございまして、しっかりと継承していかなければならないものと考えております。伝統文化の保存、継承のためには、文化財や民俗芸能が十分に住民に理解され、地域全体のものとして位置づけられるとともに、学校、団体、企業、行政等がこれらの活動を理解し、その支援や参加への配慮が行われることが必要でございます。このため、県では、芸術文化協会や伝統芸能団体、NPO、商工観光団体や市町村などに呼びかけまして、広域圏ごとに人的ネットワークを順次立ち上げまして、地域の総合力で支援していく仕組みを構築しようと努めているところでございます。県といたしましては、この人的ネットワークを中心、核といたしまして、県民、団体、企業、関係機関・施設、市町村などと一体となりまして、伝統文化の保存、継承に取り組んでまいりたいと考えております。
   〔県土整備部長平井節生君登壇〕
〇県土整備部長(平井節生君) まず、一般国道340号立丸峠のトンネル化についてでございますが、立丸峠付近につきましては、幅員が狭く、急カーブが連続する未改良区間であることから、交通の安全確保を図っていく必要があると認識しているところでございます。こうしたことから、立丸峠のトンネル化につきましては、これまでに航空測量、地質調査などの調査を行ってきておりますが、地形条件から大規模な事業になるものと見込まれているところでございます。今年度は、過年度の成果をもとに、ルートや事業費などの精度を高める調査とともに、本県の道路ネットワークにおける本区間のあり方など、さまざまな角度から総合的に検討してまいります。また、一部改良と待避所の設置につきましては33カ所について計画しておりますが、これまでに7カ所完了し、本年度も6カ所について整備を推進してまいります。
 次に、災害に対する取り組みについてでございますが、一昨年の岩手・宮城内陸地震では、道路が寸断されたほか有効な通信手段の確保ができなかったことにより、被害状況の確認が難しい中、河川の閉塞に迅速に対応しなければならなかったことなど、さまざまな困難に直面しました。これらに対しましては、諸機関のヘリコプターによる上空からの調査、地元建設業者による仮設道路の設置、国による応急対策などの協力をいただいたことにより、乗り切ることができたと考えております。
 こうした経験を踏まえ、また、今後発生が予想される大規模災害を念頭に置き、速やかな状況把握のための応援体制の仕組みづくりや衛星電話の導入等、対応策を講じたところでございます。今後とも、公共土木施設の災害復旧に当たりましては、関係各機関の御協力を得ながら、職員一丸となって早期復旧に向け取り組んでまいります。
〇33番(工藤勝子君) 御答弁ありがとうございました。
 知事に人材育成についてお伺いいたします。
 地域に人住まずして地域の活性化はないと言われております。結局、いろんな形の中で、県は、ただいま、工業高校並びに技術短期大学等で人材が育成されているという御答弁もございました。そういう中において、しかし、雇用を求める人たちが多いわけであります。なかなか就職できないという悲鳴を上げている人たちもたくさんいらっしゃるわけであります。では、こういう人たちの技術というものをどのように育成しながら企業に紹介していくかというようなことも非常に大事な要素になってくるのではないかと。それは、高校なり大学等で学べるそれぞれの人はよろしいでしょうけれども、そこから外れてしまっているという人たちの人材の育成に当たって、もう少し県は取り組んで、そういう人たちにも技術を提供する場を設けるべきではないかと私は思っているところでもあります。
 今までの企業というのは、例えばそれぞれの県や市町村が補助金を出すとか、それから、固定資産税を減免するとかというような形で企業を誘致してきた経緯があるだろうと思っております。しかし、知事は、今、企業の、産業界のニーズというものをどのようにとらえているのかというようなところをお聞きしてみたいと思っております。
 今、産業界は、いろんな形の中で、結局コストの軽減を考えた取り組みをされて、さらに地方に企業が来て、それでもまだコストを下げたくて中国や韓国、そちらのほうに事業をシフトしていった経緯があるわけであります。しかし、今、産業界では、やはりその産業、その会社に役立つと申しましょうか、自分たちの会社を振興できる人材を求めているという話も聞こえてきているわけであります。そういう中で、そういう指導者もあるでしょうし、いろんな財政の面もあるでしょうけれども、今後、そういう分野において人材育成を進める上で知事の御所見をお伺いしたいと思います。
 それから、もう一点、一般国道340号─再質問はしたことがありませんけれども、私がこの場にいる限りは、この件は必ず質問させていただきますと宣言いたしている関係から、今回もさせていただきました。
 そういうことで、これは宮古市、遠野市の長年の夢であるわけであります。しかし、願いであり、夢でありますけれども、やはり夢は実現していかなければなりませんので、ぜひ御理解をいただきたいと思っております。総合的な検討に入っているという御答弁もありまして、非常に心強く感じたわけでありますけれども、国土交通省の白書が発表になりました。その中で、高度成長期に集中的に整備された社会資本というものは、今後急速に老朽化が進むとされております。現在のままの国、地方の公共事業費が約8兆3、000億円あるわけでございますけれども、それが15年後の平成37年になってきますと、維持管理、そういう更新費によって新規事業というものはゼロになるのではないかと発表されたこの国土交通省の白書であります。だとすれば、立丸峠とはまさに大規模な新規事業になってくるわけであります。平庭もあります。土坂もあります。トンネルだけでも、そういう状況にあります。
 岩手県は、三陸縦貫道を初めとしてまだまだ整備しなければならない新規事業をいっぱい抱えているわけであります。そういう中において、こういう白書が発表されたのを踏まえて、岩手県は、整備が必要な箇所というものの残されている現状をどう認識し、今後、国に対してもどう対処しながら働きかけていき、県でも事業を推進しようとしているのか、その点をお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) 人材の育成に関して非常に幅広く、また、現在の世界経済危機に端を発する経済、雇用の危機に地方は直面している中での地域あるいは個別企業のさまざまな戦略も視野に入れた御質問をいただいたかと思います。
 県としましては、今、働きたい人がきちんと岩手で働けるようにということで、国の機関と、また市町村と、さまざまな社会福祉関係団体とも連携をしながら取り組んでいるところでありますし、同時に、いわて県民計画という長期的な視野のもとに立っても、人材育成ということが、21世紀グローバル時代における地域振興、また、人間の幸福のかなめであるという、そういった背景の中で、人材育成についてはあらゆる分野で取り組んでいくということを、いわて県民計画の中でも盛り込んでいるところでございます。
〇県土整備部長(平井節生君) 今後の社会資本整備についてのお尋ねでございますが、本県におきましては、県民の利便性の向上を図る、また、安全で安心な暮らしを支える、地域経済を支えるといった意味で、道路を初めとする社会資本にまだ整備を必要とする箇所が数多く残っていると認識しております。
 一方で、本県においては、高度経済成長期以降に社会資本の整備が急速に進んだことなどから、今後、社会資本の高齢化への対応が極めて重要になると考えてございます。このため、維持管理計画に基づく予防保全型の適切な維持管理の推進により、将来の維持管理、更新費の増加をできるだけ抑えつつ、必要な社会資本整備につきましては、地域の実情を踏まえながら着実に進めてまいりたいと考えてございます。
〇議長(佐々木一榮君) 次に、菅原一敏君。
   〔8番菅原一敏君登壇〕(拍手)

前へ 次へ