平成22年6月定例会 第16回岩手県議会定例会 会議録

前へ 次へ

〇15番(亀卦川富夫君) 地域政党いわての亀卦川富夫でございます。
 去る4月16日、私どもは県議会議員5名、市議会議員1名による地域政党いわてを結党いたしました。それに伴い、県議会において新しい会派としての地域政党いわてを結成したところでございます。まことに小さな地域政党の船出でありますが、理想は大きく掲げました。何とぞよろしくお願い申し上げます。
 結党の目的は、住民主権に基づく地方の政治のあり方を確立したいということであります。本県先人の後藤新平は、人のお世話にならぬよう、人のお世話をするよう、そして報いを求めぬようと、自律の精神から自治三訣を提唱いたしました。地域政党いわては、この自治三訣を信念に、地方の自立を実現する時代の先頭に立ち、新しい地方政治のモデルを全国に発信していきたいと考えております。
 目指すものは、国民主権による中央政府に例えれば、住民主権による地方政府とも言うべき政治のあり方であります。ただし、地方政府は、住民によって選ばれた首長と地方議員によるいわゆる二元代表制であることが国の政治と決定的に異なる点であります。したがって、地方における議員のあり方が地域主権を考える上で大切な視点であります。国会議員、県議会議員、市町村議員とつながるピラミッド型が従来の中央主権展開にとって望ましい姿であったとしたならば、この形を水平、平等にし得るかがまさに地方主権の要諦と考え、地域政党を立ち上げたものであります。
 知事は去る4月19日の記者会見において、地域政党いわての結党について次のような感想、すなわち、政党ということに関しては、私もかねてから県議会での質問に答弁する中で、地方においても政党政治の成熟、政党に基づく民主政治というものが発展することが重要と述べてきましたとした上で、理念、基本政策を見てみたいと指摘されております。さらに、本当の意味で現在の日本には政党要件を定めている法律はなく、政党基本法的なものをつくったほうがよいとも述べられております。
 そこで、地域政党いわての地域主権改革の基本政策について知事の御所見をお伺いいたします。
 1点目は、県内における分権の徹底であります。この内容は、地域主権の帰着である市町村の行政力を高めるため、権限、財源、人の3点セットの市町村への移譲を一層進め、県職員の身分移管も検討するという内容でありますが、どうでしょうか。
 ちなみに国においては、今日の行き詰まった行財政の状況を打破するために、出先機関の見直しや国家公務員の身分移管などに踏み込まざるを得ないとの認識も出ていると聞いております。
 2点目は、地域内の分権の促進であります。例えば、花巻市のコミュニティ会議のような市町村の予算編成に参画する住民組織が求める地域課題解決を県が応援する仕組みをつくることで市町村に地域分権を促すという内容であります。
 3点目は、行政サービスと税負担が連動する仕組みの構築であります。政策によって税負担が変わることを県民に示し、行政の簡素化を図って捻出した財源を県民の暮らし向上に充てることで県民の県行政に対する関心を高めるという内容であります。
 4点目は、政党助成法の改正であります。政党要件を見直し、地方自治体が直接地方の政治団体に政党助成金を交付することで地方議員の政治活動に対する住民のチェック機能を働かせ、民主主義を機能させるという内容であります。
 以上4点について知事の御見解をお伺いいたします。
 さて、地域主権について、菅総理大臣は所信表明の中で地域主権確立の推進をうたっておりますが、鳩山前首相が改革の一丁目一番地と位置づけてきた国と地方の協議の場設置法案などの地域主権改革関連3法案は、さきの国会においては与党の国会運営の都合により時間切れで継続審議となりました。国会閉会後に地域主権戦略大綱をつくったものの、具体策に乏しく、当初より後退したものではないでしょうか。
 そこで、達増知事の国に対して今後の働きかけや全国知事会としての取り組み方についてもお伺いいたします。
 また、知事の地域主権、また住民主権に基づく地方政府についての考え方を改めてお伺いするとともに、県政運営に当たり、その考えをどのように反映されておられるのかお伺いいたします。
 次に、地域主権に関連して、平成22年度に実質スタートした4広域振興圏のあり方についてお尋ねします。
 達増知事は広域圏に関し、将来的には県内4広域振興圏により多くの権限を委譲し行政の完結性を高めるとともに、それぞれの広域振興圏が地域の実情に応じた政策を実行できるようにしてまいりたいと述べておりますが、市町村などからは屋上屋との批判もありました。既に先行している県南広域振興局ではそのような反省を踏まえ、本年度は市町村との意見交換や政策面のすり合わせを行うなど、地域主権に資する一定の取り組みがなされているものと思われますが、企画理事に、県南広域振興局の現状と今後どのように進めていかれるつもりなのかお伺いします。
 あわせて政策地域部長に、ことしからスタートした県南以外の3広域振興局について、単なる県の行財政の合理化あるいは効率化にとどまっていないでしょうか。地域主権推進の観点からその取り組み状況をお伺いいたします。
 次に、産業振興についてお伺いいたします。
 私たちの生活や社会の維持発展にとって経済の安定は極めて大切な根幹であり、所得や雇用の維持拡大に産業振興は最重要な課題であります。しかしながら、我が県の経済状況は極めて厳しい状況であり、産業振興にさらなる積極的な対策をとるべきと思いますが、知事に、岩手県における現状認識ととるべき方策について、また、政策を遂行する上での決意をお伺いいたします。
 その上で、企業誘致について質問いたします。
 県の資料によれば、平成17年度から平成21年度までの過去5年間に86件の企業誘致実績がありますが、平成19年度までの間は1年におおむね20件程度あったものが、平成20年度が13件、昨年度は11件と伸び悩んでおります。また、直接の企業誘致実績ではないのですが、東北経済産業局が調査している工場立地動向調査においても同様の傾向が見られ、特に平成21年の本県の状況は、立地件数、雇用予定ともに宮城県や秋田県と比較して厳しい結果となっております。
 また、本調査では、南東北と北東北を比較すると、中央に近いという地理的要件からか、工場等の立地動向に明らかに開きが見えます。本県も新幹線、高速道路網等の整備も進み、南東北に十分伍している地域であると考えています。
 本県の企業誘致活動については、既に立地した企業の満足度は高いと聞いているところでありますが、それだけに近年の誘致実績の伸び悩みについて危惧しております。
 アメリカのリーマンショックに端を発した世界同時不況の影響が指摘されておりますが、これは全国的にも同様であろうかと思います。本県における企業誘致の停滞の要因をどのように分析しているのでしょうかお伺いいたします。
 企業誘致に関するトップセールスについてお伺いいたします。
 企業誘致は、岩手の産業界や関係市町村との緊密な連携も欠かせないものであります。その連携を図りながらの知事のトップセールスの重要性が指摘されておりますが、知事は、この3年間に取り組んできた誘致活動を振り返って、どのような所感を持っているのかお伺いいたします。
 次に、産業振興について提案を交えながらお伺いいたします。
 昨年、県議会に設置された地球温暖化対策特別委員会の調査において、長年、風力発電施設の普及活動や畜産バイオマスのガス化発電装置の研究、普及活動に携わられた名古屋産業大学清水幸丸教授から、岩手のバイオマスエネルギーなどの活用による雇用の拡大の可能性、いわゆる岩手でグリーン・ニューディール政策に取り組むことの有益性について講演をいただきました。多大な示唆があり、感銘を受けたところであります。
 地球温暖化対策としては温室効果ガスの排出削減と吸収がありますが、削減のためには、化石燃料使用を減らすために新エネルギーの技術開発が必要ですし、吸収には森林の力が大切です。どちらも国の施策とともに、岩手ならではの独自の取り組みが必要だと思います。
 岩手県には豊富なバイオマス資源や森林資源があります。また、県内企業には熱効率80%に達する生チップボイラーを開発した高い技術力を持つところもあり、木質バイオマスエネルギーの活用を促進することにより、チップ化のためのチッパーやチップボイラーの製造、チップの輸送などの雇用も発生し、まさに地球環境の保全と経済成長を両立する岩手の資源力を発揮した取り組みになるのではないでしょうか。
 さらに、豊かな森林資源を育てながら地球環境の保全と経済成長が両立する低炭素社会を実現するためには、植林、育成という森林整備と、木の切り出し、製品供給という木材産業につながるサイクルがきちんとできるような整備や支援も県として取り組んでいく必要があると思います。
 このたび政府が閣議決定した新成長戦略では、その大きな柱としてグリーン・イノベーションによる環境・エネルギー大国戦略を打ち出しております。
 そこでお伺いいたします。低炭素社会の構築のため、県内に豊富に存在している木質を含むバイオマスエネルギーなどの再生可能エネルギー資源を活用し、岩手発のグリーン・ニューディール政策を策定し、積極的に進めるべきと考えますが、今後、具体的な取り組みをどのように進めようとされているのでしょうかお伺いいたします。
 次に、農業政策についてお伺いいたします。
 宮城大学副学長の大泉一貫氏によれば、農産物の顧客は隣人から世界市場まで多様にあるとの視点からの顧客志向、需要創造、流通革命に見合ったビジネスモデルの構築や、ITなど知識集約産業との連携、生産性を高める仕組みが求められている。また一方で、農業にはさまざまなスタイルがあり、地域ごとにそれぞれの人々のライフスタイルに合った農業があってしかるべきであり、これまでのような政、官、業の一部の人々が考えてきた型にはまった発想ではなく、多様なイノベーションの方向が現場から模索されてもいいのではないか。農業にこそ地方分権が必要ではないかと指摘しています。
 そこで伺いますが、地域政党いわてでは、農業を産業政策の中心に据え、地域の気候風土に適した品種を開発し、優秀な農業の担い手を育成する教育システムの構築を基本政策に掲げていますが、岩手オリジナルの地域農政の確立に結びつく本県の農業の将来の姿をどのように考えているのでしょうか。
 次に、経済産業研究所の山下一仁氏の著作、農業ビッグバンの経済学では、政権が交代し農業政策も変わったが、兼業農家重視の農政に変わりがない。保護の形を変えたにすぎないのではないか。日本農業は減反を段階的に廃止し、一定規模以上の農家の所得減少を直接支払いで補償する制度に移行していくべき。EU─欧州連合の制度を見習って、生産者を守るための割高な生産者支持価格を引き下げ、国際市場に耐え得る国内価格を実現し、農業保護は直接支払いに切りかえることが必要ではないか等の指摘がなされています。
 山下氏が言うように、新しい制度である戸別所得補償制度では農地の集積が進まず、これまで経営規模を拡大しようとひたむきに頑張ってきた生産者の意欲をかき立てる制度設計が不十分ではないかと考えられるのですが、県の見解をお聞きいたします。
 一方、農業を地域産業の中心に据えた地域農業を確立していくためには、地域で農業を担っていくんだという強い意志を持った担い手を育成するという教育システムも重要だと思います。既に農業を行っている方々も含め、マーケティングや経営学といった実践学的な指導支援などに加え、強い志を持った担い手を育成していく仕組みが必要となっているのではないかと考えますが、これからの担い手の育成方向についてお伺いいたします。
 県では、6次産業化や農商工連携などで農家の所得向上に懸命に取り組んでいるところでありますが、実際に6次産業化などの取り組みに踏み出す農家は多くなく、さらに成果を上げるところまでとなるとかなり難しいのではないでしょうか。農家の所得向上のためには、規模拡大やコストの低減に加えて生産物の付加価値を高めていくことが重要でありますが、またもう一つ、安定した計画的生産体制が大切であります。
 そのために、いわゆる地産地消とは逆の発想、地消地産という考え方であります。これは、マーケットインよりはもっと地域に近い取り組みとして、消費者があらかじめ地元の農家と契約して農産物を購入する、地域に密着した農業システムとしての地消地産に取り組むことにより、安定した計画的な生産と地域での消費が結びつくものであります。契約による計画的生産により、農家の意識改革や地域での農家の連携が進むのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
 次に、口蹄疫対策について伺います。
 口蹄疫の発生により、国家的危機とも言われる大きな被害に見舞われました宮崎県の畜産農家の皆様を初め、関係の皆様に心からお見舞い申し上げますとともに、一日も早い終息と生活再建をこの壇上からお祈りいたします。
 宮崎県では、口蹄疫が4月20日に我が国で10年ぶりに確認され、その後、現地の懸命な防疫活動にもかかわらず5市6町まで拡大し、農家がこれまで愛情をかけて育ててきた家畜約31万頭を殺処分しなければならないなど、畜産産地が丸ごと消滅してしまうほどの国家的危機とも言える極めて深刻な事態となっています。
 また、口蹄疫は、ことしになっても隣国の中国、台湾、さらには韓国と発生が続いており、目に見えないウイルスが、こうした国々からいつ、どこから侵入してくるかもしれず、岩手から遠い宮崎県の口蹄疫を対岸の火事として見ているわけにはいかないと思います。
 お伺いする1点目は、宮崎県では、これほど被害を拡大した要因として初動対応のおくれが指摘されています。また、感染が発生した際には、早急な対策として殺処分と焼却や埋却が肝要ですが、宮崎県の場合は埋却するための用地確保がすぐにできなかったことや、人手の不足から口蹄疫感染のペースに埋却などの対策が追いつかず、感染拡大につながったとの指摘もあります。畜産王国を目指す本県としても他山の石として即刻初動対応の体制整備に万全を尽くすべきであると考えますが、県の対応をお伺いいたします。
 初動対応を万全に進める前提として、生産者からの情報収集の仕組みも確立されている必要があると思いますが、どのようになっているのでしょうか。
 さらに、万一感染が拡大した場合には、県、市町村のみならず、関係する組織の取り組みが必要となってくると思いますが、どのような想定になっているのでしょうか。
 お伺いする2点目は、口蹄疫への対応については県ではこれまで鋭意取り組んでいると思いますが、場合によっては、広域的に対策を実施するため東北6県の連携した取り組みが大事ではないかと思いますが、どのように考えますかお伺いいたします。
 3点目として、シカなど本県に多く生息する偶蹄類の野生動物も口蹄疫に感染すると聞いていますが、岩手の畜産を守るとの考えからその対策をお伺いいたします。
 次に、県民医療についてお伺いいたします。
 昨年から本年にかけ、岩手の医療、特に県立病院の無床化、民間移管、また、にせ医者騒動など、医療局の運営をめぐり大きな問題が続きました。そこで、無床化後の今日までの経過と状況及び民間移管後の今日の状況についてお伺いいたします。
 また、過日は宮古において、にせ医師問題が発生しましたが、医療現場における医師確保が喫緊の課題であります。医師確保に向けた県と医療局の取り組み状況についてお伺いいたします。
 次に、病院の役割分担と地域医療についてお尋ねいたします。
 昨年、県立病院の無床化問題から二次医療圏ごとに地域医療に関する懇談会が発足し、各地域の問題点を抽出し、二次医療圏の確立を目指すことになりました。この点を評価いたします。今後さらによりよいものにするための取り組みが望まれます。県の果たすべき役割と見通しについてお伺いいたします。
 次に、NPOについて伺います。
 NPOの役割は、社会の維持発展に欠かすことができないものになっております。その活動を支援することは重要であります。一面、NPOは、ややもすれば行政のコスト削減、行政の下請としての存在としてとらえられ、そこに行政からの委託料、また補助金の受け皿として、行政の補完としての役割の側面が強くあらわれているように思います。さきに発生したいわてNPOセンターの不祥事は、改めてNPOの存在、支援のあり方などが問われるところであります。
 そこで、いわてNPOセンターの事件を総括し、県の責任をどのように考え、NPO本来のあり方をどうしていくつもりなのか、その方策についてお示しください。
 次に、平泉の文化遺産の世界遺産登録についてお伺いいたします。
 前回は県民の大きな期待のもと臨んだところでありますが、残念な結果となりました。再挑戦に向け鋭意準備中のことと思いますが、前回の反省点に立った取り組み状況と見通しについてお伺いいたします。
 2点目は、再挑戦に向け、関係者の皆様はもとより、県民の盛り上がりも大切なことと思いますが、取り組み状況をお知らせください。
 その一つとして、私は平成20年予算特別委員会で、自動車のいわゆる御当地ナンバー、平泉ナンバー創設をただしました。当時の藤尾地域振興部長には、思い切って前向きに取り組んでいく、スピードアップも含め、全県的に課題意識を共有していきたいと応じていただきました。世界遺産登録に改めて取り組んでいると考えますが、今日どのような進め方をされているのか、見通しも含めお示しください。
 次に、国際リニアコライダーについてお伺いいたします。
 去る6月13日、小惑星探査機はやぶさが幾多の困難を乗り越え、約7年間の宇宙の旅を終え、再び地球に帰還するという偉業を成し遂げました。この快挙は多くの国民の感動を呼び、我が国の科学技術力が世界に誇るべきものであると改めて認識した次第であります。
 基礎科学分野のビッグプロジェクトである国際リニアコライダー計画についても、この計画を我が国で実現することが、日本が世界に貢献するとともに、国民に夢と希望を与え、自信と誇りを取り戻すことにつながるものであると考えるものであります。
 この計画の普及啓発を図る東北加速器基礎科学研究会が、東北大学井上総長と東北経済連合会幕田会長の共同代表のもと、岩手県、宮城県など関係31団体が参加し、設立されて1年を経過いたしました。この計画の実現には、限られた地域の取り組みではなく東北一丸となった取り組みが欠かせないことから、東北全体を対象とし、講演会や視察会などを開催し、広く理解促進を図っていることについては時宜を得たものと評価するものであります。
 一方、去る4月に行われた研究会総会において講演された高エネルギー加速器研究機構の鈴木機構長は、我が国での実現のためには、世界の研究者が日本で暮らし、研究できる環境が重要であるとも指摘されたと伺っております。また、東北経済連合会が昨年、外国出身の東北の大学に勤める研究者を対象に行った生活環境のアンケート調査でも、国際的な研究者の受け皿としては不十分だとの結果も出ているようであります。
 そこでお伺いいたしますが、宇宙創成の謎の解明を目指す本計画は、若者の挑戦意欲をかき立てるとともに、子供たちの理科離れの現状に対しても大いなる効果が期待されるものであることから、若者にも広く周知していただくことが重要と考えます。また、鈴木機構長が指摘するように、多数の外国人研究者が居住する国際学術機関の受け入れに向けた取り組みも重要と考えます。そこで、どのように対応されていかれるのか、知事の所見をお伺いいたします。
 あわせて、本県の北上高地も有力な候補地の一つとして期待が大きいところでありますが、今後の取り組み方をお示しください。
 次に、国際リニアコライダーに関連し、科学的センスの涵養や理科教育についてお伺いいたします。
 文部科学省の理数系教育重点校スーパーサイエンスハイスクール、略してSSHの指定を受けている岩手県立水沢高等学校では、去る5月14日、東京大学素粒子物理国際研究センターの山下了先生を講師に招き、全校生徒を対象に特別授業として講演会を開催いたしました。講演後に質問が相次ぎ、山下先生は生徒のレベルの高さを高く評価しておられました。講演会終了後にも数名の生徒が山下先生を囲み、先生の御厚意で熱心に勉強されました。この様子は県教委にも届いていると思いますが、どのように受けとめられておりますか。
 また、その上で、県では科学的センスの涵養や理科教育を今後どのように取り組まれるのかお示し願います。
 さらに、水沢高校のSSHは本年度で一応終了となりますが、水沢高校におけるこの取り組みの成果についてお示しください。
 県教委が本年4月、本県の高校1年及び2年生を対象に実施した基礎力確認調査の結果によれば、2年生の平均正答率の落ち込みは大きく、非常に憂慮される状況であると思います。対策も考えておられると存じます。
 私は、入学試験対応に偏り過ぎた指導ではなく、国際リニアコライダーのような、国の発展にもつながる科学に興味を持つような岩手の風土醸成が、ひいては学力向上に結びつくのではないかと思いますが、御所見をお聞かせください。
 以上で登壇しての質問を終わりたいと思います。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 亀卦川富夫議員の御質問にお答えいたします。
 まず、県内分権の徹底についてでありますが、本県においては、県と市町村が適切に役割分担しつつ、市町村が地域において、自主的かつ総合的に行政サービスを提供できるように、市町村と協議、合意の上で権限移譲に取り組んでいるところであります。
 その際、県では、市町村が権限移譲された事務を将来にわたって適切に担うことができるように、事務引き継ぎや適時の研修、事務処理交付金の交付、職員の派遣等により支援してきたところであります。
 現在、国では、先般策定された地域主権戦略大綱に基づいて、基礎自治体への権限移譲を推進することとしており、これらの動向を踏まえつつ、引き続き必要な支援を行いながら権限移譲を推進してまいります。
 そうした中で、県職員の身分移管については、市町村の意向なども踏まえ、必要に応じ検討していきたいと考えております。
 次に、地域内分権の促進についてでありますが、市町村は、住民に最も身近な基礎自治体として、さまざまな地域課題に対し、みずからの判断と責任によって解決を図りながら、地域の実情に合った住民本位の行政サービスの提供が求められています。
 市町村が、地域課題の解決や施策の決定に当たって、地域住民の主体的な参画を促し、意見を反映していくことは、住民自治の充実につながり、地域をみずからの責任でつくっていく地域主権の実現に向け、望ましいことと考えます。
 県といたしましては、こうした考え方に立ちまして、県と市町村との役割分担を踏まえた上で、必要な情報提供や適切な助言を行っていきたいと考えております。
 次に、行政サービスと税負担が連動する仕組みの構築についてでありますが、本来、行政サービスとの見合いで適正な税負担を求めていくべきとの考え方については、理解できるところであります。
 一方、実際には、県の仕事が多様であり、歳入についても、かなりの部分を国庫支出金や県債に依存するなど、多岐にわたっていますことから、そのような対応関係が住民にわかりにくくなっている面は否めません。
 このため、県民視点に立ち、予算をわかりやすく広報するなど、県行政に対する住民の関心が高まるよう努めているところでございます。
 次に、政党助成法の改正についてでありますが、政党及び政治活動のあり方は、民主主義社会の基盤にかかわることであり、そもそも法律で定められていますことから、制度のあり方について、活発な議論が行われることが必要と考えます。
 このことは、地方議員の政治活動のあり方にもかかわることでありますので、議会の中においても、議論が深まることを期待したいと思います。
 次に、地域主権確立の推進についてでありますが、地域主権改革関連3法案については、全国知事会及び地方六団体としても、再三にわたってその早期成立を要請してきたところであります。
 今後とも、全国知事会や地方六団体の枠組みでの働きかけはもちろん、総務省顧問という立場や総務省に設置された地方行財政検討会議の場を通じ、地域主権の確立に向けて必要な働きかけを強めていきたいと思います。
 真の地域主権改革とは、地域のことは地域に住む住民が責任を持って決め、活気に満ちた地域をみずからの手で構築していくことが可能となる社会を確立することと考えております。
 こうした考えに立ちまして、県政運営に当たっては、単に地域主権にかかわる制度改革を待つことなく、できるところから地域主権的な取り組みを進めることが重要と考え、中国の自治体や民間企業との連携による上海万博への出展や、東北各県はもちろんですが、啄木と龍馬というソフトパワーにはぐくまれた高知県交流など、それぞれの地域資源を生かした地域連携の促進、県内外のさまざまな主体と問題意識や地域課題などを共有できるネットワークを築き、その課題解決に取り組んでいこうという岩手県I援隊運動など、地域主権の観点に立った取り組みを推進しているところであります。
 次に、県内の経済状況についてでありますが、最近の本県の経済状況は、自動車関連産業など製造業を中心に持ち直しているものの、雇用情勢は、依然として厳しい状況が続いていると認識しております。
 こうしたことから、現在、緊急雇用対策の基金を集中的に投じ、雇用の場の確保、創出に全力を挙げているところであります。
 また、あわせて、中長期的視点に立ち、生産活動の回復の動きを雇用の拡大や経済の活性化に結びつけるため、ものづくり産業においては、成長分野での製品開発、技術開発への取り組み、食産業では、重点的企業の支援によるビジネスモデル構築への取り組み、観光産業では、平成23年の平泉文化遺産の世界遺産登録や平成24年のデスティネーションキャンペーンに向けた新たな観光ルートや受け入れ態勢の整備などを進めるとともに、こうした産業を支える人材の育成にも努め、本県経済が持続的に成長していくための基礎を固めるべく、積極的に取り組んでいるところであります。
 このように短期及び中長期的な施策を重層的に展開することによって、県内経済に好循環を生み出して、県民所得の増加や人口減少の歯どめにも効果が期待できるものと考えておりまして、今後とも、いわて県民計画に掲げる産業創造県いわての実現を目指し、全力を尽くしてまいりたいと思います。
 次に、誘致活動に関する所感についてでありますが、平成19年4月知事就任以来、県内外を問わず、数多くの企業のトップに直接面談をし、誘致やフォローアップに努めてまいりました。
 こうした取り組みの成果として、自動車組み込みソフトのアイシン・コムクルーズを皮切りに、東芝のフラッシュメモリー工場が決定したほか、県北・沿岸地域に日本一フードの立地が実現するなど、大きな成果を上げることができたところであります。
 知事自身が直接訪問し、トップにお会いすることで、信頼関係の強化や新規立地の実現に大きな効果があると実感しております。
 今年度においては、今のところ、自動車関連産業を中心に7件の立地決定に至るなど、企業誘致は順調に推移しており、今後とも、積極的にトップセールスを行ってまいりたいと思います。
 次に、国際リニアコライダー計画の若者への周知についてでありますが、国際リニアコライダー計画を推進することは、世界トップレベルの人材育成につながるとともに、中高生等の理科離れの歯どめにも大きな効果があるものと認識しております。
 このため、今年度は、水沢高校でこの計画に関する講演会を実施しましたほか、平成基礎科学財団が主催する高校生、大学生を対象とした、楽しむ科学教室を本県で開催することとしております。
 今後においても、関係機関と連携し、一般県民のみならず、高校生等若者への国際リニアコライダー計画を初めとする基礎科学の普及啓発を図ってまいります。
 次に、国際学術機関の受け入れに向けた取り組みについてでありますが、国際リニアコライダーなどの国際学術機関が東北に立地するためには、外国人研究者の居住環境や子弟の教育など、生活インフラについての課題が多いと認識しております。
 今年度、東北加速器基礎科学研究会内に国際学術機関の受け入れを検討する分科会が設置されますことから、本県としても積極的にかかわっていくこととしております。
 また、いわて県民計画の未来を切り拓く構想の中に、国際学術支援エリア形成計画の策定を盛り込んでおりまして、現在、その具体的な取り組み方向について検討を行っているところであります。
 今後も、東北大学や宮城県などとも連携を深めながら、東北地域が一体となった活動を展開するとともに、国内外の研究者に必要な情報を提供するなど、国際リニアコライダーを受け入れるための環境整備に努めてまいります。
 その他のお尋ねにつきましては、企画理事及び関係部局長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔企画理事藤尾善一君登壇〕
〇企画理事(藤尾善一君) 県南広域振興局における地域主権に資する取り組みの現状と今後の進め方についてでありますが、県南広域振興局では、住民に身近な行政である市町村が、自主的かつ総合的に地域の諸課題に取り組むという地域主権の理念に基づき、市町村優先の行政システムの確立を局の重点取り組み方針に掲げているところでございます。
 これまで、当該方針に基づき、管内市町とも緊密な連携のもと、市町の課題への助言、相互の施策のすり合わせなどを協議する管内市町との意見交換会の実施、あるいは住民に身近な行政サービスを総合的に提供するための市町への権限移譲の推進、移譲事務の定着支援と職員の資質向上のための職員相互交流の実施などに取り組んできたところでございます。
 また、限られた行財政資源の効率、効果的な活用を図るため、昨年度、全県に先駆け、県南広域振興局・奥州市・金ケ崎町政策調整会議を設置し、延べ3、600事業の事務事業を対象に棚卸しを行い、二重行政の実態を初めて明らかにしたところでございます。
 今後、これまでの成果と実績を踏まえ、国の地域主権戦略大綱に基づく具体的措置を踏まえながら、市町村が行政の自主的かつ総合的な実施の役割を担えるよう支援していきたいと考えております。
 次に、県民の盛り上がりと平泉ナンバーの導入についてでありますが、県民の盛り上がりにつきましては、平泉町民による世界遺産登録祈願参拝の会の開催、ライス・アート in ひらいずみの取り組み、あるいは一関市民の方々等によるミュージカル平泉の上演、そして、平泉をテーマとした工芸家によるコラボ作品など、23もの新商品を開発するなど、住民を主体とする活動が活発になってきているものと考えております。
 さらなる機運醸成を図るためには、全県的な取り組みが不可欠でございまして、例えば、教育委員会主催によるシンポジウムやフォーラムの開催、県北・沿岸部を重点に、三陸鉄道やIGRの駅での巡回展の開催、テレビ、ラジオ、新聞など各種媒体を活用したメディアミックス型の世界遺産登録応援キャンペーンなどを展開することといたしております。
 また、県民参加型の機運醸成に向けた取り組みとして、県北・沿岸地域の方々も参加しやすいような平泉体感ツアーの開催、市町村、民間団体などが開催する各種イベントへの職員派遣による平泉の理解、魅力の発信支援、パネルなどのPRグッズの無料レンタルによる企業や住民団体などの情報発信支援、高知県のアマチュア天文家関勉さんが発見した小惑星平泉の命名を記念した、関係機関、団体が連携したイベントの開催、読み聞かせボランティアと協力した紙芝居、みんななかよしひらいずみの上演などを企画、実施、支援していく予定でございます。
 次に、平泉ナンバーの導入についてでありますが、平泉ナンバーの導入につきましては、これまで、平成19年から21年にかけて5回、地元市町長との連絡調整会議の場で検討し、その後、事務レベルでの研究会を平成21年3月に立ち上げ、昨年3回開催し、先進地域の情報収集等に努めてきたところでございます。
 また、本年4月から5月にかけましては、関係市町長や商工団体の長等と意見交換を行い、いずれの首長等からも、平泉の世界遺産登録に向けた機運醸成の一環として、御当地ナンバー導入に向けた取り組みを進めることに前向きな御意見もいただいているところでございます。
 国におきましては、今後のさらなる地域の拡大等については、既に導入された御当地ナンバーの効果、影響等を見きわめ、関係者の意見等も聞きながら検討していく予定と聞いておりますが、県内における平泉ナンバーの運動の進捗に合わせ、さらに、情報収集や国等への働きかけについても検討していくこととしております。
 御当地ナンバーの導入に当たっては、何よりも地域での機運の盛り上がりと広がりが平泉の世界遺産登録を後押しするという共通認識が重要だと考えております。
 今後とも、関係市町や地域の関係団体と連携し、地域が主体となった運動が展開していけるよう積極的に支援していきたいと考えております。
   〔政策地域部長加藤主税君登壇〕
〇政策地域部長(加藤主税君) まず、県南以外の3広域振興局の取り組み状況についてであります。
 これまでも市町村との意見交換や有識者、地域の方々で構成する懇談会を広域振興圏単位で開催するなどしてきたところでございます。
 4月以降、広域振興局長が直接現地へ出向いて市町村長と意見交換を行うとともに、事務レベルでの意見交換の場を設定するなど、これまで以上に地域に入って意見を伺い、拡充した地域振興推進費の充当など、施策展開に生かしているところでございます。
 今後も、先行して設置いたしました県南広域振興局の取り組みを参考としながら、県民、市町村の皆さんと地域のビジョンを共有しつつ、地域資源を最大限生かし、さまざまな主体との協働による地域経営にしっかりと取り組んでまいります。
 次に、NPOについてでございますが、いわてNPOセンターによる一連の不祥事を踏まえ、県の関係部が連携して包括的に調査を行いましたが、その結果、旧体制におきましては、前理事長の独断により非民主的な運営が行われており、不正な事務処理や経理処理に対する自浄作用が働かず、情報公開も十分でなかったことが判明いたしました。
 県といたしましては、同法人におけるコンプライアンスの欠如や、不健全な運営等を見抜けなかったという反省もございますし、結果として、指導、助言、監督も後手に回ったということでございまして、その責任を痛感しております。
 このような事件や反省はありましたものの、新しい公共の理念が注目され、NPOが地域で果たす役割がますます重要になっていますことから、健全な活動を行っているほかのNPOには、これからも、みずからの使命の実現に向けて大いに頑張っていただきたいと考えております。
 県といたしましては、NPOの支援のあり方、NPOへの指導、関与のあり方、NPOによる情報開示のあり方等につきまして、改めて考え方を整理する必要があると考えておりまして、庁内でのNPOへの業務委託のあり方等の検討を始めているほか、今後、社会貢献活動支援審議会の場などを中心に、関係者の意見も伺いながら検討を進めていきたいと考えております。
   〔商工労働観光部長齋藤淳夫君登壇〕
〇商工労働観光部長(齋藤淳夫君) 企業誘致が伸び悩んだ要因についてでありますが、最近の5年間を振り返りますと、リーマンショック以前の平成17年度から19年度の3年間においては62件の実績があり、このうち自動車関連産業が13件となっております。
 平成20年度から21年度においては24件の実績がございまして、うち自動車関連では1件にとどまるなど、議員御指摘のとおり、輸出型の業種を中心といたしまして、多くの企業がリーマンショック後の世界同時不況の影響をまともに受け、新規投資の計画を取りやめたことが、誘致実績の伸び悩みの要因と考えております。
 なお、今年度に入りましては、先ほど知事から申し上げましたとおり、順調に推移してきているところでございます。
   〔環境生活部長松川求君登壇〕
〇環境生活部長(松川求君) 岩手発のグリーン・ニューディール政策についてでありますが、いわて県民計画の環境共生いわて構想において、木質バイオマス、太陽光等の再生可能エネルギーの利用拡大を図るなど、低炭素社会への転換を推進するとともに、地域資源を生かした新たな環境産業の展開などに取り組むことといたしております。
 木質バイオマスにつきましては、木質ボイラー等の施設整備に係る支援などを行っているほか、本年秋には、未利用間伐材等を燃料とした発電施設が、県の支援などにより釜石地域で稼働する予定となっております。
 今後も、未利用間伐材を活用する取り組みを進めるなど、林業分野などの雇用の拡大につなげてまいりたいと考えております。
 また、本年度、国の緑の分権改革推進事業により、県と五つの市町が、太陽光や小水力、バイオマスなどの再生可能エネルギー資源の賦存量や活用策等について調査を行っております。
 今年度の調査結果をもとに、来年度以降、地域の資源を活用した再生可能エネルギーの利用拡大を図り、関連産業の雇用の拡大など、地域の活性化に結びつけてまいりたいと考えております。
   〔農林水産部長小田島智弥君登壇〕
〇農林水産部長(小田島智弥君) 農業政策についてのお尋ねでございます。
 まず、本県の農業の将来の姿についてでありますが、本県は、広大な農地などの豊かな農業資源を有し、また、地域ぐるみでの営農活動が行われており、こうした特徴を最大限に生かしながら、岩手ならではの特色ある農業を確立していくことが重要であると考えております。
 このような考えのもと、認定農業者など、本県農業を牽引する担い手の育成と、こうした担い手と小規模、兼業農家が共存するいわて型集落営農の確立により、生産者が、意欲的に農業経営を展開し、適地適作を基本とした全国トップレベルの安全・安心な農産物を供給する産地が形成され、県産農産物がブランドとして確立しているといった将来の姿を描いているところでございます。
 こうした姿の実現に向け、いわて県民計画に基づき、農業の未来を拓く経営体の育成、消費者から信頼される食料供給基地の確立、農産物の高付加価値化と販路の拡大などに取り組み、持続的に発展し、生き生きと躍動する本県農業の形成に努めてまいります。
 次に、戸別所得補償制度についてでありますが、この制度は、全国一律の交付単価を基本に所得補償されますことから、規模の拡大や生産コストの削減などに取り組むことによって、さらなる所得向上に結びつく仕組みとして、農業者にとっては、効率的な経営を行う意欲が高まるものと期待されております。
 しかし、この制度は、小規模、兼業農家も含め、すべての販売農業者を支援するものであり、一部地域においては、これまで進めてきた認定農業者や集落営農組織等の担い手の育成が、後退するのではないかとの声も聞かれるところでございます。
 このため、制度の本格的な導入に向けて、本年4月、いわて希望農業政策懇談会を設置し、本県農業、農村の実情に即した戸別所得補償制度のあり方について検討を重ねているところであり、そこでの議論を踏まえ、転作作物の団地化による農地の効率的、合理的な利用や、農地集積による経営規模の拡大などに対する加算措置を設けるなど、担い手の意欲向上に資する措置を盛り込んだ制度となるよう、国等に対して働きかけてまいります。
 次に、担い手の育成方法についてでありますが、本県の農業が将来にわたって維持発展していくためには、地域の核となる認定農業者や集落営農のリーダーなど、地域の農業を牽引していく人材の確保、育成と実践支援が重要であると認識しております。
 このため、県では、岩手大学等と連携して、いわてアグリフロンティアスクールを開設し、意欲的な農業リーダーの育成に努めるとともに、幅広い視点に立った経営に向け、2次、3次産業など他産業との交流を促進しております。
 また、集落営農に対しましては、組織の自立や経営の合理化、法人化に向けた課題解決のため、普及センターが中心となって、合意形成や農地、機械等の効率的活用、経営診断、アグリビジネスなどの実践活動を支援しております。
 こうした取り組みにより、県内各地で生産から流通、販売までを行う先進的経営体や、いわて型集落営農の実践の中核となるリーダーが育成されてきているところでございます。
 今後においても、さまざまな担い手育成支援施策を通じて、みずからの創意工夫と努力を重ねながら、経営高度化を図り、地域の農業を力強く導く担い手の育成に引き続き努めてまいります。
 次に、地消地産の取り組みについてでありますが、地元の農家と消費者を結びつける取り組みとして、これまで、地域に根差した農産物宅配システムの構築や産直の活性化を支援するとともに、事業所給食で県産農林水産物の利用を促進する制度を創設し、生産者とのマッチングに取り組むほか、学校給食等への食材供給体制の構築についても支援してきたところでございます。
 今後とも、こうした地域密着型の農業システムを積極的に育成するとともに、供給先の一層の拡大を図るため、地元の食品製造業者のニーズにも対応し、加工業務用野菜を生産する地域の農業者のネットワークづくりや学校給食向け冷凍野菜の安定供給体制の確立など、地域で日常的に消費される農産物については地域の生産者から供給されるような結びつきが、より強固になる取り組みをきめ細やかに支援してまいります。
 次に、口蹄疫対策に係るお尋ねについてでございます。
 まず、口蹄疫の初動対応についてでありますが、現在、宮崎県で発生している口蹄疫が、他県に拡大することになれば危機警戒本部を、さらに、本県隣県で発生するなど、その危機管理レベルが上がった場合は、知事を本部長とする対策本部を設置し、関係者、関係機関が連携し対応することとなっております。
 こうした場合に備え、現在、県では、岩手県口蹄疫防疫マニュアルを用い、市町村、団体の実務者を対象とした初動防疫シミュレーションを実施し、それぞれの役割分担を確認するとともに、殺処分した家畜等の埋却場所の事前確保やマニュアルの充実など初動防疫の準備を行っているところであります。
 また、こうした初動防疫を十分に機能させるため、家畜保健衛生所が中心となり、生産者の方々に対し、家畜の毎日の観察と異常時の速やかな連絡について、座談会などの機会を通じ周知の徹底を図っているところであります。
 万一、本県で発生した場合には、国や市町村、団体と連携し、防疫対策に必要な人員を直ちに確保するとともに、初動対応によって終息しない場合は、他都道府県や自衛隊に対しても派遣を要請するなど、万全な体制の確保に努めてまいります。
 次に、東北6県の連携した取り組みについてでありますが、口蹄疫の防疫対策は、岩手県口蹄疫防疫マニュアルに基づき、県や市町村、関係団体により対応することが基本でありますが、県境での車両消毒や消毒薬等の防疫資材の融通などの防疫活動につきましては、広域的な連携が効果的と考えており、現在、東北各県と対応について協議しているところでございます。
 次に、野生動物への感染の対策についてでありますが、農場で口蹄疫が発生した場合、シカなどの野生動物に感染する可能性がありますことから、県の防疫マニュアルに基づき、野生動物と家畜が接触しないよう、監視の強化や、必要に応じて防護さくの設置、畜舎周辺への忌避剤である消石灰の散布など、対策を講じてまいります。
   〔医療局長田村均次君登壇〕
〇医療局長(田村均次君) 地域診療センターの病床休止後の経過と状況についてでありますが、まず、診療体制についてでありますが、紫波につきましては、本年4月から常勤医が1名ふえ3名体制に、住田については、本年1月に常勤医が1名着任、4月に1名が転入し3名体制となったほか、大迫、九戸につきましては従前どおり常勤医2名体制を維持しているところであり、引き続き診療体制の確保に努めていく考えであります。
 また、地域診療センターの患者が入院を必要とする場合の患者とその家族の交通手段につきましては、当初、タクシーによる無料送迎を行っていたところでありますが、その後、利用状況や各市町村からの意見を踏まえ、路線バスの無料チケットを配付する方法を、住田及び九戸につきましては昨年の10月13日から、紫波につきましては11月16日から導入し、利便性の向上に努めているところであります。
 空きスペースの活用につきましては、地元市町村が中心となり懇談会等を開催するなど議論が進められているところであり、医療局としても、こうした話し合いの状況をその都度伺いながら今後の進め方について相談しているところであります。
 次に、花泉地域診療センターの民間移管後の状況についてでありますが、ことし4月から民間事業者が特別養護老人ホームと有床診療所を開設したところであります。特別養護老人ホームにつきましては6月23日現在で入所者が26名であり、7月初めには満床になる予定と聞いています。
 診療所の外来につきましては、患者数は4月が682人、1日平均34.1人、5月が801名、1日平均44.5人となっておりますが、入院につきましては、入院患者の受け入れがいまだにない状況であり、医療局としては、施設の賃貸借に当たり有床診療所の運営を前提として事業者を決定していることから、常勤医師の確保などによる入院患者の受け入れ体制の整備を引き続き強く要請するとともに、その運営状況を注視していく考えであります。
   〔保健福祉部長千葉茂樹君登壇〕
〇保健福祉部長(千葉茂樹君) まず、医師確保に向けた取り組み状況についてでありますが、県におきましては、平成18年9月に、県内の公立病院等に勤務する医師を招聘することを目的といたしまして知事部局と医療局の共管組織として医師確保対策室を設置し、また、平成21年4月には医師支援推進室に改組し、医師招聘とあわせ定着支援業務を行っているところであります。
 医師招聘につきましては、これまで延べ1、200名余りの医師等と面談し、本年度に入ってからも国保葛巻病院や衣川診療所に医師が着任するなど、これまでに31人の医師招聘を実現したところであります。
 また、各臨床研修病院の研修プログラム責任者を中心といたしましたいわてイーハトーヴ臨床研修病院群ワーキンググループと協議しつつ、医学生のリクルート活動、指導体制の充実強化等を図り、定着促進に取り組んでいるところであります。
 なお、医療局では現在、医師の派遣元であります大学に対し派遣を強く要請するとともに、各県立病院におきましても、さまざまな方法、ネットワークを活用し医師招聘に努めているところであり、加えて医師の定着支援の取り組みの一環として、県立病院医師との意見交換を踏まえてプロジェクトチームを組織し、魅力ある勤務環境に向け検討、改善を進めていると承知しているところであります。
 次に、二次医療圏の確立と県の果たすべき役割についてでありますが、県におきましては、地域医療に関する懇談会でまとめられました提言の具体化に向けまして、地域住民への普及啓発等に引き続き努めますとともに、新たに平成22年度当初予算にヘリポートの整備や中核病院に対する診療応援を支援するための予算を盛り込んだところであります。
 また、昨年度開催した地域医療に関する懇談会につきましては、今年度も引き続き保健所が中心となり、圏域連携会議等の場におきまして、地域住民代表者の方にも御参画いただきながら各構成団体の取り組みにつきましての意見交換や進捗状況等の検証を行うこととしており、こうした取り組みを通じて、地域住民、関係団体、市町村と一丸となりまして、地域医療を支えるための取り組みをさらに推進したいと考えております。
 具体的には、地域における関係団体が連携した新たな取り組みや、地域住民の活動団体が圏域を越えて相互に交流する取り組みなどさまざまな動きが始まっておりますことから、こうした取り組みが県内各地域に波及いたしますよう促進してまいりたいと考えているところでございます。
   〔教育長法貴敬君登壇〕
〇教育長(法貴敬君) 平泉の文化遺産の世界遺産登録に向けた取り組み状況と見通しについてでありますが、前回の推薦書に対しては、世界遺産委員会やイコモス─国際記念物遺跡会議から、顕著な普遍的価値の証明が不十分であること、中国、韓国の事例を含め、特に庭園のさらなる比較研究を提示することなどが指摘されたところであります。
 そのような指摘を踏まえ、今回の推薦書の改定に当たっては、8回にわたる推薦書作成委員会の開催に加え、海外の専門家による現地調査や意見聴取を行い、主題及び顕著な普遍的価値の再検討、構成資産の絞り込み、庭園の比較研究に関する国際会議への対応など、丁寧に取り組みを進めてきているところであります。
 推薦書は、ことしの1月に完成し、政府からユネスコに提出され、現在、イコモスによる審査が行われておりますが、登録審査は年々厳しさを増しており、その見通しは決して楽観できないところであります。
 当面は、審査の一環として、ことし実施される予定のイコモスによる現地調査に対して、文化庁、関係市町、関係者の方々と十分に連携し、気を引き締めて万全の対応を行ってまいります。
 次に、県立水沢高等学校のスーパーサイエンスハイスクール、いわゆるSSHの取り組みの成果などについてでありますが、水沢高校は、この8年間の取り組みにより、科学への興味、関心の向上、科学的な研究態度と効果的なプレゼンテーション能力の育成などの成果が得られております。特に、対外的な発表の場やこのたびの外部講師とのやりとりなど、学習活動が豊富であるために科学分野での高いコミュニケーション能力が育成され、また、担当教員の指導力も向上していると認識しております。
 次に、科学に興味を持つような岩手の理科教育についてでありますが、議員御案内のように、国レベルの科学プロジェクトなどに高い興味や関心を持ち、外部の講師とのやりとりができるような科学的センスの高い生徒を育成することが、将来の科学技術や地域社会の発展につながると考えております。
 そのため、理科の授業では生徒の興味、関心を高めることがまずもって不可欠であり、観察、実験など体験を重視した指導、日常生活や社会との関連を図った指導が重要であると考えており、このような指導を通じて生徒に強い学習動機を与えるとともに、学力向上を図りながら理科教育の充実に努めてまいります。
〇15番(亀卦川富夫君) いろいろ御答弁、大変ありがとうございました。
 何点か再質問させていただきます。
 まず、知事に地域主権ということでいろいろお話を伺いました。その中でもあるように、例えば国からの交付金のあり方などがわかりにくいということ等がございます。そういった意味で、非常に岩手県で4広域圏の展開、そういったことを含めていろいろ実践をやっているわけでありますが、そういったものに根差したいろいろな考え方があろうかと思いますが、そういったものを政府あるいは与党に、知事のほうで、しっかりそういった制度確立といいますか、そういうやりとりがしばらくの間地域主権というのでは大切なことではないかと思います。国の動きに合わせるというよりも、地方のほうからさまざま話を出していく、そういうことが大変大切ではないかと思いますが、そういう考え方をお伺いしたいと思います。
 それに根差すものは、何といっても私は住民だろうと思います。広域振興圏などもいろいろやっているのでありますが、肝心の地方分権の本質である住民の政治参画、こういうのがなかなか見えてこないのではないかと思いますが、知事はこの住民の政治参画機会拡大ということについてどのようにお考えなのかお伺いしたいと思います。これが2点目です。
 それから3点目に、幸福度というのが今非常にいろいろなところで使われておりますが、例えば地域主権ということでも、所得という観点からいくと岩手は低い。しかし、高いところよりもここに住んでいる幸福度というのが高いんだと、こういうことを住民が持つことがいわば地域力の向上につながるのではないかと思いますが、こういったことが、例えば企業誘致なんかへの取り組み、定住といいますか、岩手に住みたいとか、そういうものにつながっていくのではないかと思いますが、そういう所感と、とるべき方策等についてあればお示し願いたいと思います。
 それから、政策地域部長にお尋ねというよりもお話しいたしますが、3広域振興局が今立ち上がって、確かに先行している県南広域振興局を一つのモデルにしながら、あるいはそういったものを踏まえていろいろ進めているようでありますが、いずれ県と市町村の役割分担をしっかりすること、そして本局と行政センターの役割というものを明確にしていく、そういったもので地域振興の計画策定、あるいはその実施に当たっての権限委譲、責任が、しっかりした議論の組み立て方によって相当これは展開度が違ってくるのではないかと思いますが、今は取りかかったところでありますからそういうものに根差していると思いますが、ぜひそういうもので進めていきたいと私は願うものでありますが、その考え方について所感があればお伺いしたいと思います。
 企業誘致であります。
 先ほど幸福度というようなお話も申し上げましたが、明らかにリーマンショックで全国的に経済は低迷しておりますから、当然、企業の進出等にもブレーキはかかるのでありますが、特段この間、宮城県と比較するということになれば、これはトヨタということでの特殊なものもあろうかと思いますが、いずれ非常に我が県はそういう中でも低迷している。御答弁では日が差してきたと申しますか、明るいものが見えてきたということで大変これはよかったなと思いますが、ぜひこの企業誘致というものの内容、どういう迫り方をしていくかというときに、やはり県民度といいますか、非常に岩手県の場合はそれが高いわけです。進出した企業は岩手県を高く評価しているわけですが、やはりそれをもっと深化させて、幸福度ナンバーワンの岩手にぜひ来てくれというような展開、あるいは農産物を、そういった進出企業に対して米を提供するとか、そういうふうなことをいろいろ予算要望でもやった記憶がございますが、何か岩手県というものをもっと出しながら、トップセールスというような形でそれを乗り込んでやっていく、そういうパンチが必要ではないかというような気がしますが、いかがでしょうか。
 それから、岩手発のグリーン・ニューディール、わざわざ岩手発と名をつけたのは、岩手県にある資源の本当に十分な活用でございますが、先ほどは環境生活部長から御答弁をいただきました。しかしこれは、例えば間伐材等に関すれば路網の整備などは当然必要になってくるわけでありますし、それから、最終的に木材産業ということになれば県土整備部になるんでしょうか、あるいは流通というようなことを含めれば商工労働観光部ということになろうかと思いますが、いずれ多部局にわたる大きな連携組織が必要であります。
 したがって、本当に岩手発のグリーン・ニューディール政策にするならば、この辺の工夫が必要ではないか。部局横断的な何かを設置してここは強力に進めていく。これは恐らく建設業などにもいい影響が最終的には出てくるんだろうと思いますが、そういった点での進める方向性についてもう一度お伺いしたいと思います。
 それから、県民の医療でございます。私は、昨年さまざまな問題があったということを前提にしてお聞きした中で、二次医療圏について、地域医療に関する懇談会、これは評価しているんです。こういったものは今までなかったというところに実は医療局の悩み等も包含されてしまったと私は思うんです。
 あくまで医療局、これは海軍に例えますと、いざ大きな作戦を練るときには、いろいろな戦艦とか巡洋艦、駆逐艦があるわけですが、そういったものを連合艦隊としてまとめて出撃する。その場合、一番中心になる旗艦、ここに連合司令長官が乗り込むわけであります。私は、この旗艦の艦長は県立病院の院長でいいんだろうと、それであるべきだろうと思います。岩手県は何しろ県立病院が全国に比して非常にしっかりした数もあるわけですから、ここが中心になるというのは当たり前だと思いますが、そこの連合艦隊の司令長官は、これは保健所の所長になるんでしょうか。いずれ岩手県の保健福祉部だろうと、このように思うわけです。そこが作戦を立案し展開する。その中で県立病院を中心としたその地域の医療機関、そういったものがもろもろ協力し合いながらやっていく、そういったシステムがようやく見えてきたなというような気がします。
 幸い、地域医療に関する懇談会は今後も続けるということですが、この会議に終わらず、さっきも具体的なものをいろいろ考えているようでありますが、こういったものをより住民にわかりやすい、住民が非常にそうだなと思うようなものにまで高めていただければと、このように思うわけでありますが、進め方について何かあればお伺いしたいと思います。
 それから、教育長でございます。確かに感覚的なものについて一定の所感を申し述べていただきました。
 先ほど、この前の調査で、1年生になって、1年生の回答率は大体予想したとおりだったと。しかし、2年生になった途端に予想よりも10%も上回る落ち込みがあったと。こういうところに私は、入試に偏重したと言うと語弊があるかもしれませんが、いわゆる点取り知識だけの試験に終わるのではないかなと。これではいい人材が育っていかない。したがって、もう少しこの辺を、確かに学力を上げるという意味ではさまざまな工夫も必要でしょうが、入試に偏重したようなものになってはいけない。人材教育という面でしっかり取り組んでいただきたいと思うのですが、その辺の答弁がなかったと思いますので、よろしく御答弁を願いたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 地域主権を実現するための政府や与党に対する姿勢でありますが、これまでも地域医療や雇用対策など、岩手の実情に即した必要な改革が行われるよう提言を行ってきているところであります。今後も、県民の声に耳を傾けながら、本県の実情を強く訴えていきたいと思います。
 住民参画機会の拡大についてでありますが、地域経営の推進という観点からも、あらゆる分野で住民参画の機会を拡大しながら取り組みを推進していくことが重要と考えます。いわて県民計画においては、こうした地域主権の考え方に立ち、県民と一緒になった取り組みを進めていくこととしておりまして、あらゆる機会を通じて計画の浸透を図りながら、県民協働型事業、県民協働型評価の実施など、県民参画の拡大に努めているところでございます。
 幸福度という観点から、所得以外のさまざまな岩手のよさを企業誘致や定住交流等に生かしていくというのはそのとおりでありまして、今までも個々の誘致企業への説明、あるいは定住交流のブログ等々、さまざまな岩手のよさを多角的、多面的に訴えているところでありますが、今後もそうしたことを続けていきたいと思います。
 広域振興局の取り組みについてでありますが、4広域振興局体制の移行に当たりましては、累次にわたり地域説明会やパブリックコメントの実施等により、圏域の将来像や広域振興局の組織体制等について、市町村や地域住民の意見を十分に伺いながら必要な対応を行ってまいりました。
 圏域が一体となって組織力、地域力を最大限に発揮できるよう4広域振興局体制に移行したことを踏まえ、例えば県央では、秋田県と連携した十和田八幡平広域観光の推進、県南では、自動車、半導体産業などものづくり基盤の構築、沿岸では、三陸沿岸のすぐれた海の資源や研究機関等の集積を生かした海洋産業の振興、県北では、食、温泉、いやしなど特色ある地域資源を生かした交流人口の拡大などの取り組みを既に進めているところであります。今後も、圏域ごとに工夫を加えつつ、重要なパートナーである市町村と地域経営の視点を共有しながらしっかりと連携して取り組んでまいります。
 自動車産業の関係についてでありますけれども、トヨタは東北地区を国内第3の生産拠点とし、関東自動車工業岩手工場をマザー工場として位置づけ、昨年は新たに開発部門も設置されたところであります。間もなく完成車の組み立て工場が東北に2カ所となることで東北全体に新たな企業立地の動きが出ておりますが、岩手県知事として、とうほく自動車産業集積連携会議の代表幹事も務めておりますので、こうした動きは大いに歓迎すべきものと考えており、東北全体の発展、そして岩手の発展につながるものと考えております。
 以上でございます。
〇環境生活部長(松川求君) グリーン・ニューディール政策の部局横断の取り組みについてでございますが、地域資源を生かした環境産業の振興などについて部局横断で検討するため、平成20年度、庁内に関係部局によるワーキンググループを設置いたしております。
 本年度は、この関係部局連携のワーキンググループにおいて、いわて県民計画に掲げる環境共生いわて構想の具体化に向けた検討を行っているところでありまして、こうした検討をベースに政策の具体化を図ってまいりたいと考えております。
〇保健福祉部長(千葉茂樹君) 二次医療圏の体制についてでありますが、医師不足等の現状の中、地域において必要な医療提供体制を確保するためには、議員御指摘のとおり、全体のコーディネート役として、当保健福祉部及び保健所の果たすべき役割が極めて重いものであると認識しているところでございます。
 これまでも医師会と県立病院が連携した救急医療体制の確保などの取り組みを推進してきたところではございますが、昨年度の懇談会の提言を受けまして、例えば宮古保健医療圏におきましては、保健所がコーディネート役となり、県立宮古病院と宮古市歯科医師会が連携した口腔ケア対策の取り組みなどが新たにスタートしたところでもございます。
 今後、各地域におきましてこのような新たな取り組みの動きが出てくるものと考えておりまして、戦略的には、当部が積極的に支援してまいり、一時の取り組みに終わらず仕組みとして定着し、かつ蓄積していくというような方向を目指していきたいと考えているところでございます。
 具体的な戦術的には、地域によりまして医療、介護、福祉等の資源の状況が大きく異なっておりますので、地域の実情を承知しております保健所、保健所長が中心となりまして、各団体と一緒になって取り組んでいきたいと考えているところでございます。
〇教育長(法貴敬君) 学力向上という言葉を使うとどうも入試の偏重だみたいな形になるわけですけれども、この間から私はよく言っているんですけれども、児童生徒一人一人の基礎的な能力というのをやはり全員に定着させてやりたいというのがまず一つの考え方ですので、さまざまなデータをとりますとやはり、各学年それぞれ別々ですけれども、小学校は4、5年でつまずいたのが中学校でもつまずいて高校でもつまずくみたいな形の実例がどこかに出てきていますので、そういうところを少し小・中・高連携して基礎力をきっちりとつけさせてあげたほうがいいのではないかということでただいま取り組みを進めているところです。
 高校の卒業後は、さまざま進学する者もあれば就職する者もありますけれども、どこに行っても社会に有為に、そして自立して生活していくためには、やはり学力というよりは知、徳、体みたいな三つのバランスのよい生徒を育てていきたいというふうに考えていますので、それにつけても、最低限でも定着すべき基礎、基本は個々人にぜひとも定着させてあげたいというふうな気持ちで取り組みを進めているところでございます。
〇15番(亀卦川富夫君) ありがとうございました。
 今回の質問は、地域主権、自立した地方のあるべき姿というような観点、あるいはそれを支える、ただいま御答弁いただきましたが、人材の育成と、こういうことでいろいろお聞きいたしたわけであります。
 私、冒頭に後藤新平の自治三訣を申し述べましたが、これは、ボーイスカウトに与えた言葉でありまして、次の世代を担う青少年に、人のお世話にならぬよう、人のお世話をするように、そして報いを求めぬようと、こういうことで述べたものでありますが、もう一つ、晩年、後藤新平は政治の倫理化に取り組んだわけでありますが、その最後に、最晩年に、その人物評として、人物は、金を残して死ぬ者は下だ、仕事を残して死ぬ者は中だ、人を残して死ぬ者が上だ、こう言い残しているわけであります。
 これをどう受けとめるかはそれぞれでありましょうが、岩手県の進むべき道として、あるいは政治の要諦にあるべき人にとっては、けだし、私は箴言であると思います。
 そういった意味で、人材ということで、最後に教育長から御答弁いただきましたが、こういった今の後藤新平さんの人物評を御紹介いたしまして私の質問を終わります。ありがとうございました。

前へ 次へ