平成17年9月定例会 第15回岩手県議会定例会会議録

前へ 次へ

〇26番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
 議案第27号と議案第28号に反対の討論を行います。
 議案第27号は、岩手県立学校設置条例の一部を改正する条例であります。
 この内容は、文部科学省の方針と県立高校新整備計画(前期計画)に基づいて、県立紫波総合高校、北上翔南高校、一関第二高校、久慈東高校の4校を総合学科高校として新たに設置したことに伴う学科の廃止と、生徒数の減少による学級減と学科改編を行おうとするものであります。
 そもそも総合学科高校の設置は、岩谷堂高校での総合学科高校の取り組みの検証も不十分で、地域の理解も十分得られないまま進められたものでありました。第3の学科として導入された総合学科高校は、高校間格差を拡大、固定化するとともに、県立高校の再編・統廃合の手段として活用されました。また、進学にも就職にも対応できる高校として導入されたものの、実際には、どちらも中途半端にならざるを得ず、岩手県の場合は限りなく普通科に近い学校として進めざるを得なくなっています。8月に県立北上翔南高校を視察しましたが、クラブ活動では大きな成果を上げていましたが、北上農業高校から引き継いだ広大な農業実習用の農地の管理と活用に困難を抱えていました。ほとんど定員に近い進学状況にもかかわらず、3段階での複雑な入試の選考など新たな問題も抱えています。秋田県などでは総合学科高校の拡大は見直ししていますが、総合学科高校の上からの押しつけは根本的に見直すべきであります。
 また、盛岡商業高校などの学科改編による学科の廃止と設置が盛り込まれています。場当たり的な学科の看板がえにとどまっており問題であります。特に専門高校では、基本的な専門学科を重視すべきであります。新たにつくっては数年後に廃止するこれまでの学科改編も根本的に見直すべきであります。学科の看板がえではなく、教科内容の改善・充実こそ求められていると考えるものであります。
 県立高校の再編計画は、後期計画の策定に当たって多くの県民と地域から強い反対と見直しの声が寄せられ、抜本的に見直されました。これは評価に値するものでした。しかし、県教委は、県民の声と要望にこたえた小規模校・分校の存続という方向を示し、機械的な専門高校の統廃合を見直したにもかかわらず、再編計画の初年度となる来年度の学科改編計画では、伊保内高校、浄法寺高校、大迫高校などの学級減を実施し、分校でしか存続できない驚くべき計画を示しました。撤回された昨年の再編計画案でも来年度からの学級減は提起されていず、見直された再編計画には、通学困難な地域については、高校教育を受ける機会を確保するという観点から、学級減を行わないことも検討しますと明記されていました。関係者の首長を先頭に突然の学級減に反対する声が寄せられ、県議会に異例の請願が提出されたことも当然でありました。地域の高校の存続と充実を求める要求と努力にこたえることこそ、県教委に求められることであります。
 県立高校の一方的な学級減というやり方は、県立こまくさ幼稚園の閉園計画の一方的な押しつけにもあらわれました。
 私は、改めて、県教育委員会が県立高校再編計画を見直した教訓、県民と地域の理解と納得を得て教育の論理で物事を進めるということ、地域と結びついた県立高校の充実を図るということを、真に全体のものにするように強く求めるものであります。
 県立こまくさ幼稚園の問題では、幼児教育の専門家や関係者を含めた第三者機関を設置し、これまでの県立こまくさ幼稚園の果たしてきた役割を正しく評価するとともに、どのようにこれからの幼児教育、幼稚園教育に生かしていくのかを明らかにすることと結んで検討されるように強く求めるものであります。
 議案第28号は、岩手県立図書館設置条例の全部を改正する条例であります。
 最大の問題は、県立図書館の管理運営業務に、十分な検討もなく、都道府県レベルでは全国に先駆けて指定管理者を導入しようとしていることであります。
 図書館条例では、第3条、図書館の運営については、図書館法第18条の規定によるほか、特定非営利活動促進法第2条第2項に規定する特定非営利活動法人を初めとする民間団体の能力の活用に努めるものとするとしています。
 県立図書館に指定管理者を導入すべきかどうかを検討する上で重要なことは、公的施設であり、教育機関でもある県立図書館に指定管理者制度を導入することが、県立図書館の機能、役割、使命から見て本当に必要なことかどうかを、専門家を含めて慎重に検討することであります。社団法人日本図書館協会は次のような重要な見解を明らかにしています。公立図書館への指定管理者制度の適用について、公立図書館の目的達成に有効とは言えず、基本的になじまないものと考えるというものであります。
 ところが、県教委は、県立図書館に指定管理者を導入することについて、内部だけの検討で済ませました。こうした重要な問題については、外部の専門家や県民の参加も含めて、県民に見える形で検討すべきであります。既に北海道や茨城県、鳥取県などでは道・県立図書館に指定管理者制度の導入をしないことを決めているのであります。岩手県のやり方は、まさに、先に指定管理者ありきの進め方と言わなければなりません。
 第2の問題は、県立図書館には、他の図書館との間の連携協力やネットワーク化が不可欠であり、競争関係に立つ民間業者には適しないことであります。また、図書館は無料の原則に基づき、事業収益が見込みにくいことからも、営利を目的とする団体が管理することは無理があるのであります。
 第3に、指定管理者に委託する業務の問題であります。図書選定などの資料収集なども含まれていますが、これはまさに、図書館業務の中核的仕事と言うべきものであります。わずか3年程度の委託の指定管理者に任せられるべき業務ではありません。また、図書館業務の専門性と継続性が保障されません。
 第4に、県教委は、開館日や開館時間を拡大することを指定管理者導入の理由としていますが、それは直営でも公務員でも工夫次第でできることであります。それができないとしたら、あらゆる場で公務員の仕事がなくなることになりかねないのであります。
 第5に、県立図書館への指定管理者が、いわて県民情報交流センター全体の指定管理者が担うことになっていることであります。個人情報も多く、公的機関・施設との連携も多い業務に他の施設も管理する民間の業者を導入することは二重に問題があります。
 最後に、いわて県民情報交流センターを8月に視察してきました。施設の内部は8階まで吹き抜け、空洞で合理性と効率性に欠けたものでありました。ガラス張りのバブルの時代の建物を想起させるものでありました。
 県財政の危機的状況のもとで、200億円以上もかけてなぜこのような施設が建設されるのか、そして肝心の県立図書館の管理運営については、なぜこんなに安上がりに安易に指定管理者の導入が決められるのか、逆立ちした県政の実態を見る思いであります。
 以上申し上げ、私の反対討論といたします。御清聴ありがとうございました。

〇議長(伊藤勢至君) 以上で通告による討論は終わりました。
 これをもって討論を終結いたします。
 これより議案第27号及び議案第28号を一括して採決いたします。
 各案件は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

〇議長(伊藤勢至君) 起立多数であります。よって、議案第27号及び議案第28号は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
 次に、議案第1号から議案第26号まで、議案第29号から議案第33号まで、発議案第1号及び請願陳情を一括して採決いたします。
 各案件は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

〇議長(伊藤勢至君) 起立全員であります。よって、議案第1号から議案第26号まで、議案第29号から議案第33号まで、発議案第1号及び請願陳情は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
   日程第36 委員会の閉会中の継続審査及び継続調査の件

〇議長(伊藤勢至君) 次に、日程第36、委員会の閉会中の継続審査及び継続調査の件を議題といたします。
〔参照〕
総務委員会
 岩手県国民保護計画(案)の概要について
環境福祉委員会
受理
番号
件 名
59岩手県立花泉病院の充実を求める請願
66岩手県立紫波病院の充実を求める請願

 児童虐待防止について
商工文教委員会
受理
番号
件 名
61教科書採択に関する請願

 盛岡市の中心市街地の活性化について
農林水産委員会
 新たな経営安定対策(品目横断的対策)に対する取り組みについて
 あわび等密漁防止対策について
県土整備委員会
 都市計画道路盛岡駅本宮線(仮称)中央大橋等について

〇議長(伊藤勢至君) お諮りいたします。委員会の閉会中の継続審査及び継続調査の件につきましては、先ほど各委員長から報告のとおり申し出がありましたが、委員長からの申し出のとおり、閉会中の継続審査及び継続調査に付することに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇議長(伊藤勢至君) 御異議なしと認めます。よって、本件は委員長からの申し出のとおり、閉会中の継続審査及び継続調査に付することに決定いたしました。
   日程第37 認定第1号平成16年度岩手県立病院等事業会計決算から日程第39 認定第3号平成16年度岩手県工業用水道事業会計決算まで

〇議長(伊藤勢至君) 次に、日程第37、認定第1号から日程第39、認定第3号までを一括議題といたします。
 これより質疑に入るのでありますが、通告がありませんので、質疑なしと認め、質疑を終結いたします。
 お諮りいたします。認定第1号から認定第3号まで、以上3件については、47人の委員をもって構成する決算特別委員会を設置し、これに付託の上、その審査終了まで閉会中の継続審査に付することにいたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇議長(伊藤勢至君) 御異議なしと認めます。よって、認定第1号から認定第3号まで、以上3件については、47人の委員をもって構成する決算特別委員会を設置し、これに付託の上、その審査終了まで閉会中の継続審査に付することに決定いたしました。
 お諮りいたします。ただいま設置されました決算特別委員会の委員の選任については、委員会条例第5条第1項の規定により、議長を除く全議員を指名したいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇議長(伊藤勢至君) 御異議なしと認めます。よって、ただいま指名いたしましたとおり、議長を除く全議員を決算特別委員に選任することに決定いたしました。
   日程第40 議案第34号教育委員会の委員の任命に関し同意を求めることについて

〇議長(伊藤勢至君) 次に、日程第40、議案第34号教育委員会の委員の任命に関し同意を求めることについてを議題といたします。
 提出者の説明を求めます。竹内副知事。
   〔副知事竹内重徳君登壇〕

〇副知事(竹内重徳君) 本日提案いたしました人事案件について御説明いたします。
 議案第34号は、教育委員会の委員であります船越昭治氏の任期が10月10日で満了になりますので、その後任として、新たに箱崎安弘氏を任命するため、議会の同意を求めようとするものであります。
 よろしく御審議の上、原案に御同意くださるよう、お願いいたします。

〇議長(伊藤勢至君) お諮りいたします。ただいま議題となっております議案は、人事案件でありますので、会議規則第34条第2項の規定及び先例により、議事の順序を省略し、直ちに採決いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇議長(伊藤勢至君) 御異議なしと認めます。よって、これより議案第34号教育委員会の委員の任命に関し同意を求めることについてを採決いたします。
 ただいま議題となっております議案第34号教育委員会の委員の任命に関し同意を求めることについては、これに同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

〇議長(伊藤勢至君) 起立多数であります。よって、議案第34号教育委員会の委員の任命に関し同意を求めることについては、これに同意することに決定いたしました。
   日程第41 発議案第2号道路特定財源の堅持と道路整備の推進を求める意見書から日程第45 発議案第6号軽油引取税について暫定税率増税分7円80銭の撤廃を求める意見書まで

〇議長(伊藤勢至君) 次に、日程第41、発議案第2号から日程第45、発議案第6号までを一括議題といたします。
 お諮りいたします。ただいま議題となっております各案件は、各会派共同提案でありますので、会議規則第34条第2項の規定及び先例により、議事の順序を省略し、直ちに採決いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇議長(伊藤勢至君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
 これより発議案第2号道路特定財源の堅持と道路整備の推進を求める意見書を採決いたします。
 本案は、原案のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

〇議長(伊藤勢至君) 起立多数であります。よって、発議案第2号道路特定財源の堅持と道路整備の推進を求める意見書は、原案のとおり可決されました。
 次に、発議案第3号から発議案第6号までを一括して採決いたします。
 各案件は、原案のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

〇議長(伊藤勢至君) 起立全員であります。よって、発議案第3号から発議案第6号までは、原案のとおり可決されました。
   日程第46 議員派遣の件

〇議長(伊藤勢至君) 次に、日程第46、議員派遣の件を議題といたします。
〔参照〕
 議事日程第5号中 日程第46 議員派遣の件の議員派遣一覧
派遣の目的派遣場所期 間派遣議員
海外における地方行政の諸問題の視察ドイツ連邦共和国、スウェーデン王国及び英国平成17年10月3日から平成17年10月13日まで藤原 良信 議員
高橋 賢輔 議員
渡辺 幸貫 議員
吉田 昭彦 議員
及川 幸子 議員
佐々木 博 議員
工藤 大輔 議員
平野ユキ子 議員
三浦 陽子 議員
第60回国民体育大会秋季大会岡山県岡山市平成17年10月21日から平成17年10月23日まで佐々木 博 議員
工藤 勝子 議員
飯澤  匡 議員
第5回都道府県議会議員研究交流大会東京都平成17年11月10日から平成17年11月11日まで渡辺 幸貫 議員
吉田 昭彦 議員
千葉康一郎 議員
木戸口英司 議員
藤原泰次郎 議員
小野寺研一 議員
平  澄芳 議員
高橋比奈子 議員
柳村 典秀 議員
小野寺 好 議員


〇議長(伊藤勢至君) お諮りいたします。本件は、お手元に配付いたしました3件についてでありますが、会議規則第114条の2第1項の規定により議員を派遣いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇議長(伊藤勢至君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
   閉 会

〇議長(伊藤勢至君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 これをもって本日の会議を閉じ、第15回県議会定例会を閉会いたします。(拍手)
   午後2時31分 閉 会


前へ 次へ