平成17年9月定例会 第15回岩手県議会定例会会議録

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〇2番(三浦陽子君) 私は、さきの盛岡選挙区補欠選挙におきまして初当選することができました民主・県民会議の三浦陽子でございます。
 商工文教常任委員会と子育て支援・少子化対策特別委員会の所属となり、8月の臨時議会から、県議会議員として、先輩議員の御指導をいただきながら活動させていただいているところでございます。皆様の御配慮をいただき、このたびの9月の定例会一般質問におきまして登壇の機会を得ましたことは、大変光栄であると同時に、責任の重さを改めて感じているところでございます。
 私は、盛岡で4人の子供を育てた経験と歯科医師として地域医療に携わってきた経験を生かして、少しでも県民の皆様にとって安心して暮らせる元気な社会となるよう、一生懸命取り組んでいく所存でございます。何とぞよろしくお願い申し上げます。
 それでは、通告に従いまして順次お尋ねいたしますので、知事初め関係部局長には、誠意ある御答弁をお願い申し上げます。
 まず初めに、県民の暮らしにとって極めて重要な医療問題についてお尋ねします。
 21世紀に入り、我が国はますます少子化に歯どめがきかず、高齢化社会の中で、大人も子供も先行き不安な毎日を送っております。また、IT化が進み、多くの情報があふれ、便利な反面、悪質な犯罪が毎日のように多発し、心身ともに疲弊した社会になってしまったのではないかと危惧するものであります。この先に夢と希望を見出し、みんなが安心して暮らせる社会にするためには、まず、命の保障をしっかり整えることが重要なのではないでしょうか。少なくとも、命はみんなに平等に与えられたものであり、医療福祉にしっかりと力を注ぐことが肝要であります。心身ともに健康な生涯を送ることはひとしく県民が願うところであり、医療提供体制の整備充実は、県民が健やかな生活を送るための欠くべからざる基盤であります。県は、県民だれもが地域社会の中で、安心してみずからの希望に応じた保健・医療・福祉サービスが受けられるよう、これまでも各般の施策、特にも、医療提供体制の整備に取り組んでおられるものと承知しております。しかしながら、本県はもとより、東北各県なども医師確保に苦しんできた歴史があり、さらに、平成16年度から始まった医師の臨床研修の義務化によって、特に大学からの医師の派遣や応援が極端に厳しくなるなど、地域医療に暗い影を投げかけております。
 一方、近年における高齢化の急速な進行や、生活習慣病や慢性疾患への疾病構造の変化などに伴い、県民の健康に対する意識も高まり、そのニーズも一層多様化しております。このような中で、増田知事が会長を務める全国自治体病院開設者協議会ほかの自治体病院関係3団体においては、先般、関係各省庁に対し、自治体病院の医師確保対策を要望したと伺っておりますが、その具体的内容はどのようなものかお伺いいたします。
 また、本県においては、北上川流域と沿岸・県北地域とでは依然として医師数に格差があり、さらに小児科、産婦人科にあっては、都市部においてさえ、その不足が顕在化しております。今後、医師確保対策がますます重要になると思われますが、県と岩手医科大学との協力により行われようとしている中国からの研修医の招聘、本県出身医学生の県内医療機関への定着対策など、考慮すべき対策は多いと考えられますが、特にも、着実に増加している女性医師が働きやすい環境づくりについては、県として具体的にどのような取り組みをしていかれるのか。また、子育てなどで現場に出られない女性医師の復帰援助についてどのように取り組んでいかれるのか、知事のお考えをお伺いします。
 健康保険の自己負担率がアップしたことにより、病気になっても治療費を心配する余り、重症化してから受診する方が多くなってきていると言われております。歯科の領域におきましても、痛いところだけとか、気になるところだけの治療希望もふえ、最終的に抜歯を余儀なくされることとなり、その後の治療に時間と経費がかかってしまうことになります。しかるに、今まさに、健康プランいわて21の基本理念である疾病や障害の発生を予防する1次予防に重点を置くべきであると考えられるところであります。もちろん、個人レベルでの努力が大前提ではありますが、医療現場における予防への積極的な指導体制が必要ではないでしょうか。しかし、現場では日常的に診療に追われ、なかなか予防に力を注げないのが現実です。
 近年、口腔ケアの重要性が叫ばれています。歯周病を治療することにより、糖尿病や循環器障害などの慢性疾患の改善が見られるということが明らかになってまいりました。また、高齢者介護の問題にもかかわることですが、ブラシングや口腔清掃、義歯の清掃・取り扱いの指導などは、寝たきりの高齢者の誤嚥性肺炎の予防にもつながると言われており、呼吸器科の先生方や介護に携わっている医療スタッフの方々も、口腔ケアの重要性を認識してくださるようになってまいりました。すなわち、医科と歯科の連携により、さまざまな病気の予防や改善が可能となるのであり、今後、この分野においては、関係機関がしっかりタイアップして取り組みを進めるべきと考えられます。
 歯科医師や歯科衛生士が、介護現場で、家族や介護者に対する的確な口腔ケアを指導したり、本人の手や腕のリハビリを兼ねてブラシングなどを指導することにより、全身的な免疫力の向上と脳の活性化を促し、精神的な改善が図られ、高齢者の生活の質の向上も期待できます。また、幸いなことに、本県には二戸保健所、二戸歯科医師会、県立二戸病院、地元施設の4者が連携して、高齢者の口腔ケアに取り組んでいる先駆的事例もあります。今後、さらなる高齢化の時代を迎えるに当たり、医科、歯科を通じた岩手県における医療提供体制の改革を進めていく必要があるのではないでしょうか。
 日常生活圏内にプライマリーケアを保障し、医科、歯科が保健、介護、福祉の分野と連携してネットワークを構築することが必要であると思われますが、県の御見解をお伺いします。
 また、そのために必要とされる歯科衛生士のさらなる養成を図ることが急務ではないかと思われますが、県のお考えはいかがでしょうか。
 次に、教育問題及び青少年問題についてお伺いします。
 豊かな自然や文化、歴史にはぐくまれ、温かく実直な地域の方々の中で、私は子供たちとともにお世話になってまいりました。また、PTAの活動を通してたくさんのすてきな出会いがあり、子育ての楽しさと重要性を実感することができました。
 その子育ての原点と言われる幼稚園教育の現場において、今、まさに県立こまくさ幼稚園が廃園の危機に瀕しているのであります。常に岩手の幼児教育の模範となって研究発表やジョイントスクールなどのモデル事業に取り組み、実績を築いてきた幼稚園が、県教育委員会から、この三、四カ月の間に廃園を言い渡された件についてお伺いします。
 まず、県として、幼児教育の重要性をどこまで認識されているのでしょうか。そして、子供たちや保護者の気持ちを理解し、行き届いた説明を行い、納得してもらったと理解した上で廃園を言い渡されたのでしょうか。在園している子供や親の不安や憤りを強く感じるのですが、本当に早急に結論を出す必要があったのでしょうか。例えば、廃園を先送りにして県以外の経営者を募る、あるいは総合施設化の検討などの手だては考えられないものでしょうか。この際、納得のいく御答弁をお願いします。
 先日公表された誇れるいわて40の政策マニフェストレポート2005によりますと、七つの重要施策の一つ、新しい次代を担う教育先進県の施策に関する総合評価は、ややおくれているという評価結果になっております。特に、その中の政策項目、少人数指導の充実や学校不適応対策の強化などで学校生活の充実を図るが、ややおくれていると評価されておりますが、岩手のあすを担う子供たちに、よりよい教育を受けさせたいと願う気持ちは、私たち親にとって共通の切なる願いであります。県は、この評価結果をどのようにとらえているのでしょうか。そして、今後どのように対処されようとしているのか、お伺いいたします。
   〔副議長退席、議長着席〕
 これからの岩手の教育を考える懇話会についてお伺いします。
 教育を取り巻く環境は、昨年10月に、OECDによる国際学力調査の結果が発表されて以来、従来のゆとり教育に関する賛否や、子供の学力低下に関する論争が盛んになるなど、日本の教育に関する方向性が大きく揺れ動いている状況にあります。このような状況の中にあって、我が国の代表的な教育関係者に大所高所から御意見をいただくことにより、今後の岩手県の教育施策の立案・推進の参考とし、また、参加者の意識改革や行動変革の契機とすべく、これからの岩手の教育を考える懇話会が設置されたと伺っており、まさに時宜を得た取り組みであると考えております。
 そこでお伺いいたしますが、この懇話会のこれまでの成果と展望、そして、その成果を今後どのように生かそうとしているのかお伺いします。
 私学の振興についてお伺いします。
 現在、我が国は急速な少子・高齢化を迎えておりますが、一方で、戦後60年を迎えた今日、社会の価値観の大きな変化を踏まえながら、教育のあり方や理念をめぐり、さまざまな議論が展開されております。そうした中にあって、私学教育の重要性と存在意義が改めて問われているのではないかと思うものであります。
 本県には、それぞれの個性や特色を持った私学が設置されており、例えば公立学校に適応できずに、私立学校に入学して元気になった子供たちがたくさんいることからわかるように、私立学校はさまざまな個性や能力を受け皿として、独自の教育理念に基づき、多彩な教育活動を展開しておりますが、現在の少子・高齢化の中にあって、懸命の経営努力にもかかわらず、大幅な生徒の減少により、学校運営に苦慮している私学が決して少なくないのは全国的な傾向であり、本県においても、各般の振興施策が行われているものの、現実には私学の経営は一段と厳しさを増しており、一層の支援が必要ではないかと思われます。
 そこでお伺いしますが、今後、私学の振興に対しどのように取り組んでいくつもりなのか、その具体的な方向性についてお伺いします。
 また、私学であれ、県立学校であれ、あすの岩手を担う人材を育成するというその使命においては、ひとしく重要であると確信するものでありますが、県としての私学に対する期待のほどを改めてお聞かせいただきたいと思います。
 次に、引きこもり対策についてお伺いします。
 近年、青少年の引きこもりの増加が大きな社会問題となっており、その発生予防や相談、指導を含めた各般の対策の必要性が叫ばれております。
 社会的ひきこもりの著者で精神科医の斉藤環氏によりますと、現在、日本には数十万から100万人以上の引きこもりの人がいるとしています。ちなみに、厚生労働省の調査によれば、1999年に全国の保健所などに寄せられた相談は年間6、000件以上に上り、20代以上が全体の6割近くを占めていると言われています。きっかけは人それぞれであるにせよ、原因やその症状は専門家でもまだわからないといいます。
 文部科学省によると、2001年度の小中学校の不登校児童数は13万4、000人を超え、さらにふえつづけており、その7割が引きこもりのきっかけになっているという調査もあります。家族だけでは解決が困難な社会的問題であり、社会復帰には相当の時間を要する場合が多いようでありますが、残念ながら、現在の我が国は、それを可能にするような社会環境が十分整っているとは言えない状況にあるのではないでしょうか。それゆえ、引きこもりの当事者やその家族に対する支援が必要であります。中には、当事者のグループや親の会などを組織し、関係機関との連携を図るなど、この問題に積極的に取り組んでいる県や地域もあれば、専門的知識のないままに、とりあえず相談窓口だけ開いているところもあるとのことです。いわゆる引きこもりの問題は、最後まで希望を捨てずに、本人も家族も焦らず、ゆっくり、じっくり取り組むことが大切です。
 県においては、地域ネットワークの形成や相談活動など、保健所単位での取り組みを考えているようですが、現在、NPO法人として子供たちの居場所づくりや相談体制を整えて成果を上げている市民団体もあり、県としての支援がぜひ必要と思われます。引きこもりの当事者や家族に対する県としての支援も含めて、御見解をお伺いします。
 次に、子育て支援対策についてお伺いします。
 我が国の出生率が下降し始めたのは1970年代でありますが、出生率が減少に転じてから既に30年以上がたち、2003年の合計特殊出生率は1.29となっております。また、人口推計についても、厚生労働省の平成14年推計の日本の将来人口推計によれば、2100年の我が国人口の超長期推計は、現在の半分の6、400万人余りになるとされております。
 人口の減少は、高齢化とも相まって、社会としての機能の持続も危ぶまれるような事態を引き起こすものと考えられておりますが、IMFが昨年9月に公表した世界経済見通しによると、このまま少子・高齢化が進んだ場合、日本は経済成長が鈍化し、いずれ経常赤字国に転落すると予測されており、長期的に国の制度の抜本的改革を通じて、出生率を引き上げる政策に取り組むべきことが提言されております。
 国においては、早くから少子化に直面したEU諸国の調査を通じて、仕事と子育ての両立のための環境整備の大切さを提唱しておりますが、平成15年7月に、少子化社会対策基本法を議員立法により制定するとともに、少子化に対処する施策の大綱として、若者の自立とたくましい子どもの育ち、仕事と家庭の両立支援と働き方の見直しなど、四つの項目を重点課題とする少子化社会対策大綱を策定し、今後5年程度で出生率を上昇に転換させるとしており、さらに、支援対策の拡充をうたった次世代育成支援対策法を制定しております。また、県においては、この法律に基づき、平成17年3月にいわて子どもプランを見直し、地域行動計画として新たなプランを策定したと伺っているところであります。
 私は、常々国や県、市町村といった行政での少子化対策や子育て支援も重要ですが、県民挙げての取り組みにならなければ、いま一つ効果が上がらないのではないかと考えております。子育てを終わった先輩たちが、子育てに不安を持っている若いお母さんたちと子育ての仕方を一緒になって考えたり、アドバイスなどを行うNPOやボランティアなどの市民団体がありますが、このような方々をもっともっとふやしていく必要があるのではないでしょうか。
 そこでお伺いいたしますが、自主的な団体の自主的な活動とはいえ、県民を挙げての子育て支援体制を構築していくためには、県としてこのような団体に支援を行う必要があると思いますが、いかがでしょうか。
 少子化が進行し、子供を生まない理由として、経済的な負担を挙げる方々も多いと聞きます。中でも、出産や小児医療にかかる負担は大きいものがあるのではないでしょうか。例えば、県として分娩費や妊産婦健診などの費用を支援したり、不妊治療の助成に対する拡充を行う考えはないものでしょうか、御所見をお伺いします。
 また、働きたくても保育所に子供を預けられない待機者が相当数いると聞き及んでおりますが、このような状況をどのように改善していこうとしているのか、お伺いします。
 あわせて、保育所に看護師を常駐させて、軽度の病気や回復期にある子供を保育できる体制をつくる必要があると思われますが、このようなシステムづくりを進めていくお考えがあるのか、お伺いします。
 次に、農業問題についてお伺いします。
 まず、新規就農者支援対策についてお伺いします。
 本県は、全国的に見ても高齢化の進行が著しく、極めて深刻な状況でありますが、特に農村部にあっては、これまで農業生産を中心的に担ってきた昭和1けた台の方々が、農業からリタイアする時期に差しかかっており、本県農業の持続的な発展はもとより、農業・農村の持つ多面的機能の維持・増進のためにも、次代の農業を担う新たな農業者の育成・確保は喫緊の課題であります。新規就農者を確保するためには、農業者の所得を向上させ、若い人が魅力を感じるような産業に育て上げることも必要であり、それと同時に、農業をやってみたいと考える方々が、農業を体験でき、生産技術を身につけられるような機会を提供していくといった支援を、継続的に実施していくことが重要であると考えます。
 一口に新規就農希望者と言っても、単なるあこがれとして就農を希望する方々から、ビジョンを持って本格的に取り組もうとしている方々まで千差万別であり、技術のレベルもさまざまと考えられるところから、それぞれの段階に応じたきめ細やかな支援が必要と考えますし、近年は農家子弟であっても、農作業の手伝いをしたことのない子供が多いと聞いており、こうした子供たちの技術習得のための支援も必要と考えます。特にも、新規就農者の育成は会社へ就職することとは異なり、個人経営者を育てることであるところから、経営的な能力の向上、資金計画や就農後の営農の姿をも見据えたトータルな支援が必要と考えますが、県では、これまでにどのような支援策を講じてきたのか、そしてその結果はどうか、また、今後どのような対応をしていくお考えかをお伺いします。
 地産地消についてお伺いします。
 本県では、平成13年度から県民運動として地産地消推進運動が展開されてきておりますが、最近では、県内各地に産地直売施設が多く見られるようになってきております。これらの産直施設では、野菜や果物、さらには加工品や花卉など、生産者が手塩にかけた品物が販売され、私の住んでいる都南地域でも、元気な生産者の顔も見ることができるようになったことは、運動の大きな成果であろうと思います。
 また、小中学校においては、児童生徒の農作業体験などとあわせて、地域ごとに地元産の農産物を学校給食へ供給する取り組みが県内各地で実施され、県産農産物の利用率は、平成14年度の47.6%から平成16年度には52.1%へと向上しており、国の自給率40%(カロリーベース)と比較しても、高い水準にあると言えます。
 本県は、全国に先駆け地産地消に取り組んだいわば地産地消の先進地でもありますので、これまでの取り組みを一層強化することにより、地元産の農産物などの生産から消費までの仕組みが確立され、本県の恵みを生産者と消費者が真に享受できるような実践を通じて全国をリードしていただきたいと考えますが、県として、今後地産地消をどのように進めようとしているのか、お伺いします。
 次に、環境汚染問題についてお伺いします。
 青森県六ヶ所村の使用済み核燃料再処理工場の問題につきましては昨日質問されておりますが、県民の安全と健康にとって極めて重大な問題でありますので、私からもあえて質問させていただきます。
 この問題につきましては、2月定例会の一般質問でも取り上げられ、知事の答弁では、様子を見守っていきたいとの御答弁でありました。しかし、ことしの1月に、高レベル放射性廃棄物であるガラス固体関連の建物の設計ミスが発覚し、12月から予定されていた使用済み核燃料を使用するアクティブ試験が延期となったと聞きましたが、それまで、本県の市民団体が海洋の安全確認に関する公開質問状を日本原燃に申し入れたにもかかわらず、納得のいく回答は得られなかったようであります。今回の設計ミスの発覚により、この12月から放射性廃液を海洋に流す稼動試験を延期することになったのは、大変幸いであったと思います。放射能汚染物質を垂れ流しにすることは、平成8年に我が国も締結している海洋汚染防止条約により禁止されていることは、御承知のとおりであります。
 イギリスのセラフィールドの再処理工場周辺の子供たちに小児白血病が多発しているという報告や、イギリス全土の子供の抜歯した歯からプルトニウムが検出されていることからも、放射能の影響は大変大きいと懸念されるものであります。
 北東大西洋の汚染が余りにもひどく、海域周辺の15カ国と欧州連合が北東大西洋の環境保護に関する条約を締結して、再処理停止と使用済み燃料の乾式貯蔵を求める決議を採択し、そのまま地中に保管している状況を見ても、放射能の垂れ流しは決して容認できません。
 この問題は、青森県だけの問題にとどまらず、海流が南下する我が岩手県の三陸のすばらしい漁場を守るためにも、そして、次の世代を担う子供たちのかけがえのない命を守るためにも、ひいては、地球環境を保全するためにも、私たちの責任において、安全が確認されるまで廃液処理の操業の凍結を求めるよう、県当局から国と日本原燃に対し強く要請していくべきだと思いますが、知事の御見解をお伺いいたします。
 以上で、私の質問を終わらせていただきます。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕

〇知事(増田寛也君) 三浦陽子議員の御質問お答え申し上げます。
 医師の確保は、本県の最重要課題の一つでございます。今お尋ねの自治体病院における医師確保対策につきましては、医師の不足、そして偏在、これが地域の適切な医療確保に著しい困難を招いている、こういう認識のもとで、ことし6月9日に、全国自治体病院開設者協議会、これが今議員からお話ございまして私が会長になっているものでございまして、そのほか、全国自治体病院経営都市議会協議会、これは小樽市議会議長が会長です。そしてもう一つ、全国自治体病院協議会、これは、さきの県立中央病院の院長の小山田先生が会長でございますが、この3団体が、国などにおいて実効性ある施策を展開するように決議をいたしました。この決議をもとに、ことしの7月の末ですが、自治体病院の議員連盟、これは国会議員の集まりでございまして片山虎之助氏が会長でございますが、これを年数回今まで開いて3省の関係者も呼んで勉強会を開いてきたわけですが、この臨時の役員会を開いていただきまして、そこでまたさらに3省に支援を要請したわけでございます。内容は、医師の不足、偏在を是正して、自治体病院を含む地域の病院が地域や診療科ごとに適正な医療提供体制を確保できるように、緊急対策ということで要望いたしました。さらに具体的に申し上げますと、医師数の確保として、大学医学部入学定員の削減方針をもう一度見直しをするように、それから、各大学の医学部の入学定員における地域枠の設定と、さらにその拡大、それから小児科、産婦人科の集約化の推進と国の支援、自治体病院の再編、ネットワーク化に当たっての財政支援、そのほかにもございますが、これが主なところでございまして、こういったものを緊急対策として要望いたしました。今、ボールは3省の方にございますので、向こうの方でまたいろいろ検討していると思いますし、また、年内にもこの議員連盟の役員会を開いていただいて、その答えを持ち寄ってきてもらうことにしておりますが、今後、国に対する働きかけを県としてもさらに行いまして地域医療の確保に取り組んでいきたい、このように考えております。
 それから、女性医師が働きやすい環境づくり対策ということでございますが、今、女性の方のお医者さん、年々増加しております。したがいまして、仕事と子育てを両立できる環境整備によりまして離職防止を図るということがこうした中で重要な課題になってきております。このことから、県の地域医療対策協議会で、ことし3月に医師確保対策アクションプランというものを策定いたしましたが、そこでは、女性医師の確保と離職防止対策を講ずるということで、これまで具体的に子育て中の女性医師の皆さん方にお集まりいただいて座談会を開いていろいろ御意見をお伺いしたり、それから、県医師会の女性医部会と意見交換等を行って、この環境づくりについて検討してきております。また、聞きますと、県医師会の女性医部会の方でもこの問題について問題意識を持っていたということでございまして、先般、県医師会においても県と連携して取り組んでいくことが決定された、このように伺っております。
 国では、同じような観点から、女性医師バンクの創設、女性医師の再就業支援講習会の開催が検討されておりますが、今後、県としては、女性医師の仕事と子育ての両立のための育児支援ですとか、離職した女性医師のための職場復帰研修などの支援方策を、これは先般決定していただきました県医師会と連携しながらさらに具体的に検討していきたい、このように考えております。
 次に、六ヶ所村に建設中の核燃料再処理施設の関係でございます。
 これにつきまして昨日も御答弁を申し上げましたが、廃液処理の操業の凍結を求める、こういう議員のお話がございました。原子力施設の安全の確保につきましては、第一義的には、事業者が責任を持って取り組むとともに、これは法令に基づいて一元的に安全規制を行っている国がその役割を果たすことが基本でございまして、国、事業者とも安全性の確保を最優先して、スケジュールを優先するのではなくて、安全性の確保を最優先して事業を実施することが必要でございます。
 この六ヶ所村の再処理施設ですが、昭和59年7月以来、国と青森県、それから六ヶ所村、事業者である日本原燃株式会社、この間で協議を行って、お互いに合意を重ねながら実施してきた事業と聞いておりますが、今後もこのような手続を踏みながら進めるべきもの、このように考えております。
 さらなる安全確保を図るために、地元である青森県、そして六ヶ所村、さらに事業者――日本原燃ですが――との間で安全協定を締結しておりますので、県では、青森県に対して安全性に関する定期的な情報提供を求め、その確認を行っていくこととしております。
 本県でも、平成15年度から種市町の沖の海域で海水を採取して放射能レベルを測定しているところでございますが、今後においても、こうした海水の調査を継続いたしますとともに、海底土などを調査対象に加えるように文部科学省に働きかけるなど、この核燃料の再処理工場による環境への影響を監視していく、このような考え方でございます。
 その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁させますので、御了承お願いします。

〇議長(伊藤勢至君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
   〔保健福祉部長赤羽卓朗君登壇〕

〇保健福祉部長(赤羽卓朗君) 医療問題に関しまして、ネットワークの構築でありますとか歯科衛生士の養成についてでございますけれども、口腔ケアにつきましては、特に高齢者にとって肺炎の予防等の効果があると言われておりまして、このため、医科、歯科、介護職員等の連携による適切なケアの提供が重要であると認識しております。議員御指摘のとおり、県内でも一部地域におきまして、介護施設等の従事者研修等を通じ、口腔ケア技術の向上の取り組みが行われているところでございます。また、いわてリハビリテーションセンターを中心といたしまして、医師、歯科医師、看護師、歯科衛生士、理学療法士等の参加による口腔ケアとリハビリテーション技術の研究が進められるなど、高齢者等の生活の質の向上に向けた取り組みが行われているところでございます。
 一方、平成18年度からは、改正介護保険制度におきまして、新予防給付として口腔機能の向上がメニューとして新たに盛り込まれることとなっておりまして、歯科衛生士、看護師、言語聴覚士による連携が一層重要とされてきております。こうした新予防給付が地域において適切に展開されるためにも、地域包括支援センターが中心となりまして、かかりつけ医、かかりつけ歯科医、ケアマネジャー、機能訓練指導員等による医療と介護のネットワークがしっかり形成される必要があると考えているところでございまして、新予防給付の実施体制の一環として、市町村におけるこうしたネットワークの形成について支援してまいりたいと考えております。
 また、このような中で歯科衛生士の役割も重要となっておりまして、その養成につきましては、平成16年度より県立衛生学院歯科衛生学科を学校法人岩手医科大学に移管するに当たりまして、定員を増員したところでございますし、あわせまして、カリキュラムにつきましても2年課程から3年課程へ変更いたしまして、その充実を図ったところでございます。
 次に、引きこもり対策でございますが、県におきましては、平成16年2月のひきこもり対策検討会議による引きこもり支援のあり方についての提言を踏まえまして、相談窓口の整備と相談対応者の資質向上、個別相談や家族教室の開催などの家族支援、電話相談や状況に応じて家庭訪問を行うなどの本人支援、関係機関のネットワーク、社会的な理解の促進などの取り組みを進めてきているところでございます。具体的な対応といたしましては、平成16年度におきましては、ひきこもり地域ケアネットワーク推進事業を県精神保健福祉センター及び県内の3モデル保健所で実施したところでございまして、平成17年度の取り組みといたしまして、このひきこもり地域ケアネットワーク推進事業実施保健所を3カ所から8カ所に拡大しております。そして、保健所におきます相談窓口の整備や当事者及び家族への支援等に努めてきているところでございます。
 次に、NPO等への支援でございますが、県では、こうした取り組みの中で、地域において引きこもり支援活動を展開しているNPO法人あるいは地域の活動団体とは先ほど申し上げました地域ケアネットワークの中で協働して活動していただいているところでございますが、こうしたネットワークにおける情報交換でありますとか、個別支援における連携、さらには研修会の開催などを通じて今後とも支援をしてまいりたいと考えております。
 次に、子育て支援対策に関係して、市民団体に対する支援策についてでございますが、本県の場合には、こうした市民団体に対する支援につきましては、団体づくりを支援する、あるいは既存の団体への支援といった二つの面から取り組みを進めていく必要があるのではないかと考えておりまして、県では、平成12年度から各地方振興局ごとに子育てボランティアを養成してきたところでございます。今年度から、この養成ボランティアをさらに活用するとともに、子育て支援に意欲をお持ちになっている高齢者でありますとか在宅の助産師さんとか看護師さんなどの地域の人材を子育て支援に生かしていこうということで、親子交流会の開催やイベントの際の託児などを行う、地域住民による活動団体である地域子育て応援団の育成に取り組んでいくこととしております。
 また、既存の団体への育成支援といたしましては、県内の56カ所に設置されております地域子育て支援センターを通じまして支援をしているほか、来年度、西口複合ビルでありますアイーナ内に設置を予定しております子育てサポートセンターも一つの核としながら、先ほど申し上げました地域子育て支援センターとも連携しつつ、県内各地の子育てサークルのネットワーク化とか、あるいは子育て支援団体への情報提供やワークショップの開催等により各団体の活動を支援してまいりたいと考えております。
 次に、子育てに係る経済的負担の軽減策についてでございますが、出産費用などに係る費用の軽減を初めとする子育てに対する経済的負担の軽減につきましては、幾つかの県では子育て支援策の一環として実施されているところでございますが、その多くは奨励的なものであり、効果も限定的なものであると伺っているところでございます。また、県独自の取り組みのみではおのずから限界もあるのではないかと考えております。こうした中で、国においては、少子化の急速な進行の中で、社会保障給付費のあり方についても子育て支援という観点から検討課題とされているところでございまして、こうした動きを見守ってまいりたいと考えております。
 特定不妊治療の助成につきましては、国において、平成18年度から、これまでの2年間だった助成期間を5年間に延長することを検討していると伺っておりまして、県としても、こうした国の動きを十分注視しながら対応してまいりたいと考えております。
 次に、保育所待機児童の改善策と軽度の病気や回復期にある子供の保育体制についてでございますが、保育所の待機児童は、盛岡市など特定の市部を中心に、本年7月現在、8市町村で102人となっております。県では、こうした待機児のいる市町村に対しましては解消計画の提出を求め、施設整備や定員の見直し、分園の設置などの具体的な取り組みについて協議し、支援しているところでありまして、今後におきましてもこうした取り組みを継続してまいりたいと思います。
 また、現在、国において検討されております保育所と幼稚園の機能をあわせ持つ総合施設について、定員に余裕のある幼稚園とも連携しながらその取り組みを検討してまいりたいと考えております。
 軽度の病気や回復期にある子供の保育体制につきましてですが、いわて子どもプランにおきまして、平成21年度までに22カ所のいわゆる病後児保育の実施を目標として掲げております。現在は4市村で5カ所の実施となっておりまして、いずれも医療機関併設型となっております。ただ、この事業は、利用児童数の見込みが立てにくいことなど、事業の取り組みに非常に難しい面がありまして、県としては、市町村が地域行動計画に従い、着実に事業実施していただくよう支援してまいりたいと考えております。
 また、国におきましては、この事業の難しさということも勘案いたしまして、平成18年度から、保育所においても病児の保育を可能とできないか、あるいは看護師などが自宅で病児を預かるモデル事業の実施ができないかといったことについても検討中と伺っておりまして、こうした動向も踏まえながら、市町村の実情に応じた取り組みの促進を支援してまいりたいと考えております。
   〔総務部長時澤忠君登壇〕

〇総務部長(時澤忠君) 私学振興についてであります。県内の学校教育に果たす私学教育の役割は極めて重要でございます。このため、私立学校の教育条件の維持・向上、父母の経済的負担の軽減、そして学校経営の健全化、このような観点から、私立学校運営費補助を初めといたしまして、施設整備費補助、授業料減免事業費の補助、こういった各種取り組みに対する助成を行ってきたところでございます。
 少子化の影響もありまして、県内私立学校におきます児童生徒数が減少の一途をたどっている中、各学校におきましては、厳しい経営環境のもとで、経営基盤の強化や生徒一人一人の能力、適性に応じた教育への取り組みが求められております。県財政は引き続き厳しい状況にございますが、新しい時代に対応いたしました特色ある教育や教育改革を推進するための経費に対する補助、こういったものにつきましては、私立学校運営費補助金を中心といたしまして、可能な限り効果的な助成や支援に努めてまいりたいと考えております。
 私立学校に対する期待でございますが、私立学校と公立学校がそれぞれの役割を果たしながらお互いに切磋琢磨をいたしまして、あすの岩手を担う人材を育成していくことが本県におけます教育の向上につながっていくものと考えております。
 県といたしましては、各学校の自主性を尊重しながら、建学の精神に根ざした特色ある学校づくりが推進され、私立学校が個性的で魅力のある教育の場として本県公教育の一翼を担い、県が目指しております心豊かで個性と創造性に富み、実行力のある人づくりに貢献されることを期待しているものでございます。
   〔農林水産部長今泉敏朗君登壇〕

〇農林水産部長(今泉敏朗君) 農業振興についてのお尋ねのうち、新規就農者対策についてでありますが、県では、ホームページによる情報発信のほか、県内外での就農相談会の開催、さらに、本年7月からは月2回、ジョブカフェいわてでの就農相談を通じまして、広く岩手県への就農を呼びかけているところであります。そして、このような呼びかけに応じて来た方々には、日帰りの農家見学や農業の基礎を学ぶ農業入門塾などの初期段階の研修から、就農を前提とした短期研修、さらには農家での長期実践研修まで、希望者の個別のニーズに対応できるよう多彩な研修コースを用意してございます。
 また、本格的な就農開始に当たりましては、農業改良普及センターが就農計画の策定を指導するとともに、就農した後においても、経営管理、専門技術指導など経営の自立に向けたトータルな支援を行っているところであります。
 このような取り組みの結果、新規就農者数は平成13年以降100名を超えて推移しており、昨年度は123名が新規に就農しているところでございます。今後さらにその数をふやしていく必要があると考えており、そのためには、まずもって就農相談者数をふやすことが先決でありますことから、ジョブカフェいわてやいわて銀河プラザに設置してございます県のUターンセンターとも連携しながら情報発信を充実させていくとともに、相談のありましたものに対しましては、継続的に就農情報を提供するなどの取り組みを進めてまいりたいと考えております。
 あわせまして、就農先の農地、居住地の情報提供など、就農した後も安心して農業が行えるように充実したアフターケア体制を整備し、新規就農者数の増加につなげてまいりたいと考えております。
 次に、地産地消についてでございますが、消費者と生産者とをつなぐ地産地消の取り組みは、県民の中に着実に浸透してまいりました。今後も、学校給食における県産食材の供給、さらには、病院や福祉施設への県産食材供給の仕組みづくりなどといったことに引き続き取り組んでまいりたいと考えております。
 一方、農政の重要課題の一つに食料自給率の向上がありますが、この取り組みは、消費者と生産者とがそれぞれの立場でそれぞれの取り組みを進めていくことが大切であると考えております。例えば、消費者の皆様には、地産地消にしっかりと取り組んでいただく。生産者は、消費者のニーズに合った品質のよい商品を食品産業などと連携しながら提供していくということでありますが、今後におきましては、地産地消を推進することで食料自給率の向上を図る、このような取り組みを進めてまいりたいと考えておるところであります。
   〔教育長照井崇君登壇〕

〇教育長(照井崇君) まず、幼児教育に対する認識でございますが、幼児教育は、子供の基本的な生活習慣や態度を育て、想像力を豊かにするなど、小学校以降における生きる力の基礎や生涯にわたる人間形成の基礎を培う大変重要な役割を担っているものと認識しております。このため、県では昨年度、いわて幼児教育振興プログラムを策定し、市町村や幼稚園、保育所、家庭、地域と連携しながら、幼稚園など施設における幼児教育の充実と、家庭及び地域社会への支援の充実の二つの側面から幼児教育の振興に努めているところでございます。
 次に、県立こまくさ幼稚園についてでございますが、県立こまくさ幼稚園は、昭和44年、幼稚園教諭を目指す県立盛岡短期大学の学生の実習施設として開園し、これまで多くの幼稚園教諭の養成に寄与してきたところですが、県立大学の開学に伴いまして平成11年に保育学科が廃止されたことにより、所期の役割は終えたところでございます。その後も幼児教育の研究成果を県内の各幼稚園に普及する役割を担ってまいりましたが、平成6年度以降定員割れが続いており、少子化の進展や幼稚園から保育所へのニーズの変化により、今後入園する幼児はますます少なくなることが予想されます。また、周辺の私立幼稚園も軒並み定員割れしている状況の中にあって、県が今後とも直接幼稚園を運営する必要性も含め、そのあり方について見直す必要があるものと考えております。
 そこで、平成15年度からこまくさ幼稚園のあり方につきまして検討を進めてきたところですが、その検討に当たりましては、保護者の皆様方に幼稚園の現状について説明の上、御意見をいただくことが大事であると考えまして、今年度に入って、検討の節目節目に保護者全員を対象とした説明会を開催してきたほか、随時、保護者の代表の方々との意見交換を行ってまいりました。
 4月24日に保護者や地域の代表の方々に見直しに至った経緯や理由などにつきまして説明したところ、見直しに際しては、現状維持、盛岡市や私立幼稚園への移管、幼保一体化施設への移行なども選択肢として検討してほしいとの要望をいただきました。これを受け、5月15日に保護者全員を対象とした説明会を開催し、改めて見直しに至った経緯や理由、今後の検討における選択肢などを説明し、御意見をいただきました。その際、県の幼児教育振興に関する基本的な考え方を説明してほしいという要望をいただきました。
 そこで、6月19日に第2回目の保護者全員を対象とした説明会を開催し、いわて幼児教育振興プログラムについて説明したほか、第1回に引き続き検討の選択肢について御意見を伺いました。その際、今後の本県における幼児教育の展開やこまくさ幼稚園のあり方について検討するに至った経緯などについての資料を求められ、その資料を7月20日に全保護者に提供したところでございます。この資料について直接保護者の方々に説明するため、保護者の代表の方々と日程について調整したところ、夏休み明けに実施してほしいこと、また、その際には一定の検討結果を示してほしいとの要請を受けました。
 そこで、こまくさ幼稚園の今後の方向性について、さらに具体的な検討を進めました。盛岡市や私立幼稚園への移管については、どちらもその同意をいただけず、また、現在地での保育所の併置につきましては、敷地狭隘による保育所の建設場所の確保が困難なこと、多額の施設整備費が見込まれること、新たに保育士の配置が必要となることなど解決すべき課題が多い上に、総合施設化に準じた取り組みについては、市町村や学校法人の方が進んでいるという現状にあって、県がモデル的な施設を運営する意義が見出せないことから、いずれの選択肢も困難と判断し、閉園せざるを得ないという検討結果に至ったところでございます。
 8月23日に保護者代表の方々にこの検討結果を説明し、意見交換を行いました。そして、8月27日に第3回目の説明会を開催し、この検討結果をお示しして、現在、在園している園児が卒園する平成20年3月に閉園したいこと、平成18年度の園児募集については4歳児のみとしたいことなどを説明しました。保護者からは、結論を出すまでの期間が短く、慎重な検討をしてほしいこと、来年度は通常どおりの園児募集をしてほしいこと、今後も話し合いを継続してほしいことなどの要望がございました。そこで、例年園児募集を行っている10月までの間にさらに話し合いを続けたいとお答えし、その後、保護者の代表の方々とその持ち方について調整を続けてきたところでございます。
 県教育委員会といたしましては、このようにこまくさ幼稚園の存続の道も模索いたしましたが、いずれの選択肢も困難と判断し、現在、在園している園児が卒園する平成20年3月に閉園いたしたいと考えているところでございます。しかし、これまでこまくさ幼稚園が担ってきた機能や役割にかんがみ、今後は、県内各幼稚園との連携を図りながら、総合教育センターの幼児教育に関する研究や研修機能を一層充実するとともに、私立幼稚園や保育所を担当する部局との連携を一層深め、幼児教育の充実に努めてまいりたいと考えております。
 次に、教育施策の評価についてですが、40の政策のうちの少人数指導の充実や学校不適応対策の強化などで学校生活の充実を図ることについてはややおくれているとの評価結果でしたが、これは、この政策に掲げた目標のうち、少人数指導の充実により、不登校や登校渋り、多動性児童の改善率は目標を上回ったものの、学校適応相談員を配置している中学校における不登校生徒の数が目標を下回ったことによるものでございます。
 その原因といたしましては、児童生徒を取り巻く環境の変化に伴い、不登校の原因や態様が一層複雑化、多様化し、改善に長時間を要するケースが多いことや、問題を抱える生徒への予防的な対応も、必ずしも十分とは言えないことなどが考えられます。そこで、今後、不登校生徒数の低減に向けて、予防的な面を一層強化した取り組みを図ることが必要であると考えております。
 こうした観点から、これまでの不登校生徒の家庭訪問を中心に、登校を働きかける学校適応相談員の役割について、学校内における生徒からの相談にも、これまで以上に対応するように見直すとともに、その配置の拡充に努めるほか、不登校を初めとする学校不適応の問題に対し、小中学校の連携を強化して、新入生に対するきめ細かい指導を徹底するなど、全校を挙げて組織的に対応できるよう努めてまいります。
 次に、これからの岩手の教育を考える懇話会についてですが、これまで3回開催し、毎回、初めにゲストとしてお招きした講師からテーマに沿ったお話をいただき、その後、懇話会のメンバーや会場の参加者も交え、ゲストとの意見交換を行っております。
 第1回は、慶應義塾大学大学院の金子郁容教授から、これからの新しい学校の姿について、第2回は、国際日本文化研究会センターの川勝平太教授から、岩手におけるこれからの人材育成の方向について、第3回は、東京大学大学院の市川伸一教授から、学力向上についてそれぞれお話をいただき、コミュニティースクールなどの地域住民と学校との新しい関係のあり方、地域の特性を生かした環境学やイーハトーブ学などによる人材育成のあり方、学習意欲が低下している子供たちの学力向上のあり方など、今後の教育施策を考える上でのヒントをいただいたところでございます。
 また、これまでのゲストのお話や意見交換を通じて、懇話会メンバーはもとより、参加された方々は、こうした教育を取り巻く諸課題について、共通認識が図られたものと考えております。今後は、参加された方々が、それぞれの立場から、本県教育の振興に向けて一層取り組んでいただくことを期待いたしてございます。
 本年度は、あと2回の開催を予定いたしておりますが、この懇話会でいただいた御意見や御提言につきましては、今後の教育施策にできるだけ反映させていきたいと考えており、政策形成プロジェクトなどを通じて生かしていきたいと存じます。
   〔「関連」と呼ぶ者あり〕


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