平成17年9月定例会 第15回岩手県議会定例会会議録

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〇11番(平澄芳君) 自由民主クラブの平澄芳でございます。
 登壇の機会を与えていただきました同僚・先輩議員に感謝申し上げながら、一般質問をさせていただきます。
 議員とは、勝手なことを言うものだと思った一時期がありました。知事を大いに高く評価する自分がいる一方で、執行権がなく、特に財政難の折、地域の課題解決がままならない中で、知事に八つ当たりしながら勝手なことを言わざるを得ないもう一人の自分のやむにやまれぬ発言をお許しいただきたいのであります。
 最初に、行政執行のあり方についてでありますが、先般行われた、知事の出席しない、知事に対する市町村要望に同席をさせていただきました。冒頭、地方振興局長から、あらかじめ知事に伝え、県から回答を得てあるというあいさつがございました。要望内容は知事に届いており、事前に回答も用意されている。それならば、知事要望の場は要らないのではないでしょうか。市町村長の言葉の端々に込められた熱い思いや願いを、あるいは苦悩を要望書の行間から酌み取ることができるでしょうか。私はつい、知事御自身が直接要望を聞いても、財政難で色よい返事ができないから出席されないのだろうと要望の場で申し上げました。要望のすべてが実現しないとしても、市町村長は、知事に直接話したい、じっくり聞いてほしい、見てほしい、時にはお酒を酌み交わしながら、そんな思いでいるのではないでしょうか。逃げているとは思いませんが、県政に対する真摯な姿をアピールする意味でも、以前のように知事御自身現場に足を運び、御自身の目で、そして御自身の耳で現状を把握してはいかがでしょうか。
 あれもこれもから、あれかこれか、選択と集中、重要性や緊急性と何度も繰り返し言われます。財政危機の現状ではそれもやむを得ないのかもしれません。しかし、県北・沿岸地域に限らず、岩手県は生活基盤整備が立ちおくれております。市町村要望でも、大半はそうした生活基盤整備を求める内容であります。予算編成前には知事の考えを予算編成方針として各部局に示すのだろうとは思います。しかし、予算にシーリングをかければ、各部局は公共事業等の評価システムで評価された優先順に従って編成するのでしょうから、ルールを忠実に守れば、知事がいなくても自動的に編成されることになるのだろうと思います。
 予算査定のとき、知事のポケットに復活財源を入れてもらえないそうであります。もっとも、今の予算編成のやり方からすれば必要ないのかもしれません。この評価システムを取り入れた予算編成の手法は、知事の行政執行の融通性、柔軟性を縛っていると思われてなりません。現在の手法は、知事も悩みながら、あるいは試行錯誤を経て決めたのだろうと思いますが、この手法で知事の思いや県民の願いが反映されているとお思いでしょうか。また、柔軟な対応ができているとお思いでしょうか、伺います。この手法は最適な手法との認識なのか、見直す点はないのでしょうか、伺います。
 次に、地方振興局再編についてであります。
 素案にうたわれている質の高い行政サービス、県民生活の維持向上に異論はありません。市町村合併や少子・高齢化時代への対応のための産業振興施策展開の強化に向けた改革というならば、過去を検証した上でとも言いがたいし、素案は基本的視点についてはおおむね理解が得られたというならば、それもそうかもしれません。素案は、総合計画に沿いながら、しかし、広域振興圏みずからが組む、予算編成の自由度が高いというのですから悪くはないし、真正面から反対するものではありませんが、地方振興局はどうあるべきかを考えたとき、素案、すなわちたたき台だというのに、多くの意見を聞いたとしての見直し案は、三つの広域生活圏が四つの広域振興圏になっただけで、基本は何ら変わるところがありません。意見を聞いたと言いながら、当局の案が最適という思い込みが強過ぎるのではないかとも思われます。道州制への布石かと勘ぐりたくもなります。そもそも地方振興局再編を最初に言い出したのは知事でしょうか、総合政策室でしょうか、伺います。
 広域振興圏を四つにくくり直してもなお消えないくくり方への不満や疑問にどう答えるのでしょうか。
 広域振興局の位置についてでありますが、県南はなぜ水沢なのか、県北は二戸か久慈か、沿岸は宮古か釜石なのか大船渡なのか、その選定基準を示していただきたい。
 本庁の権限や組織はどうなるのでしょうか。
 振興局長を議会に出席させるなどという安易な発想はいただけない。予算議案などを広域振興圏ごとに提出してもらわないと、圏域の目指す姿や方向性が見えないだろうと思います。
 そこでお伺いいたします。広域振興圏に関する議会のかかわり方をどうするのでありましょうか。素案、見直し案からは将来の姿を読み取れません。さまざまな疑問に対する答えを示していただいて、もっと時間をかけて議論をすれば我々もあるいは納得するかもしれません。どのようにお考えでしょうか、伺います。
 事の本質は財政危機にある、県民に多少の不便、多少の行政サービス低下はあるけれども我慢してもらいたい、そういうスタンスならば非常にわかりやすいし、その視点からの議論をやり直せばいいというふうにも思います。執行者の立場からは言えないことなのかもしれませんが、県民生活や市町村行政にも大きくかかわる問題であります。首長など関係機関の意見をもっと取り入れながら、あるべき姿をじっくりと組み立てるのが民主的手法だと思うのですが、いかがでしょうか。
 県庁、広域振興局、総合支局、行政センター、市町村の多層構造ですし、広域行政事務組合も一つの層と定義するならば、さらに複雑になります。しゃれている場合ではないのでありますが、まさにフクソウであります。複数の市町村を集合し、共同の事務を行う広域行政事務組合と行政センターのかかわりについて検討がなされたのでしょうか。また、行政センターと広域行政事務組合の融合体は検討に値しないのでしょうか、伺います。
 効率的施策展開を目指すならば、組織を単純化して意思決定を迅速にすべきだと思うのですが、本庁と市町村、その中間に行政センターと最少層の組織にしてはいかがでしょうか。
 厳しいときにこそ強力なリーダーシップが必要だと思われますが、4広域振興局に予算編成権限を持つ局長がいるとなりますと、完全移行した10年後は知事の関与が薄くなったり、それぞれの振興局が勝手に歩き出して収拾がつかなくなるのではとも心配されるところであります。知事のリーダーシップと振興局単位の独自性のギャップをどう埋めるのでしょうか。
 船頭多くして船山に登る、辞書を調べたら、役人多くして事絶えずということもありました。市町村合併は県南地域が先行したという事情はわからなくはないのでありますが、新体制への移行期間中は組織も指揮・命令系統も複雑になります。1県2制度、ダブルスタンダードと言えないでしょうか。効率性、迅速性を考えればシンプルな組織が一番だと思われます。地方振興局再編は全県同時にと思うのですが、いかがでしょうか。
 次に、3点目であります。
 海外事務所の有用性についてであります。海外事務所は、ソウル、シンガポールを4道県共同で、また、大連を宮城県と共同で相次いで開設されました。その一つであります大連経済事務所についてでありますが、日中関係には、歴史認識の違いや教科書問題、靖国問題、領土問題など大きな溝があります。衣の下によろいがちらつき、外交で優位に立とうという思惑が見え隠れしているようにも見えます。ことしに入っての激しい反日デモは、日本の国連安保理入り反対の思惑から中国政府の主導かなどと報道されております。反日に名をかりたデモは、実は、拡大する経済格差や腐敗官僚への抗議であり、反政府運動にエスカレートすることをおそれて規制したなどとも報じられ、世界各国のマスコミは、おおむね中国を非難する論調が主流だとも言われました。そのような各種対中国外交課題と中国社会の事象に対する知事の見解を伺います。
 法治国家ではなく人治国家だと評されているように、共産党独裁政権が政権維持をしている間は対等な対話や外交交渉は不可能と思われます。かといって、中国の現政権を否定したり海外事務所不要論を申し上げるつもりはございません。私は、日本山西省友好協議会、通称日本山西会といいますが、その会員であります。これまで各種友好交流事業にかかわってまいりました。
   〔議長退席、副議長着席〕
 日中は隣国同士であり、将来にわたって友好協力が不可欠であります。政権がかわったとしても、友好協力の足跡が消えることはないと考えます。
 業務内容の第1に、対中ビジネスの支援とあります。中国の経済成長に牽引されて日本の景気は回復基調にある一方、中国の経済成長は実体が伴っていないとの指摘もあります。ジェトロが実施したアンケートによれば、中国に進出した日系製造企業の4分の3は営業損益は黒字と回答し、一方、上海市の統計によれば、04年中に設立された外資企業の3分の1強は撤退したとの報告がなされました。いずれ、なかなか実態がつかめないのも事実だろうと思います。法治国家ではない人治国家としての懸念や、土地、建物は使用期限後は無償返還しなければならないなどという共産国ならではの政治体制上の懸念もあります。文化や商習慣が違うことによるリスクは中国人スタッフの指導などで乗り越えられるだろうと思いますが、対中ビジネス支援の際、中国におけるカントリーリスク、いわゆるチャイナリスクについてでありますが、県があっせん、仲介した企業がこうむるかもしれないリスクをどのように想定し、そのリスクを回避するセーフティネットが構築されているのか、お伺いいたします。
 浅野知事は既に引退表明しました。小沢発言で、増田知事の去就も注目されます。これ以上は申し上げませんが、今後、事務所運営が次第に形骸化しないか懸念されるところであります。撤退を想定した宮城との話し合いや協定、撤退後の対中取引企業、進出企業に対するフォロー、ケアはと聞くのは気が早過ぎるのでしょうか。もしもお答えがあればお伺いいたします。
 二つ目のソウル事務所についてであります。先般、商工観光政策研究会の一員として訪韓の機会をいただき、ソウル事務所も視察してまいりました。ことしは日韓国交正常化40周年を祝う日韓友情交流の年であると同時に、独立60周年の年にも当たります。日中と同様に日韓関係も良好とは言えませんが、中国に比べ国情が安定しているように見受けられ、それほど心配ないと感じたところであります。現地で懇談した本県出身のジェトロソウルセンター所長によれば、韓国文化を理解すれば問題ない、もうけ第一主義だから、日韓の政治的摩擦はそれほど心配することはないとのことでありました。業務内容は、当面は観光振興、将来的には経済、文化交流と、大連事務所の業務内容とは異なっております。経済成長を遂げ、生活レベルが向上したことを考えますと観光に焦点を絞るのは正しい判断と思われますが、安定した国情を勘案するに、将来的にとは言わず、むしろ中国よりもビジネス支援を積極的に展開してもよいのではと感じました。現地スタッフの意欲も並々ならぬものがあります。間もなく3年を経過しようとしているソウル事務所開設の成果をお示し願います。
 また、ビジネス支援を目的の上位に格上げし、積極的業務展開のために組織を強化する考えはないでしょうか、伺います。
 ちなみに現地スタッフは、日本への留学経験及び日本企業や自治体での就業経験者とのことであります。韓国の同年代の人に比べ、給与水準が低いとのことでありました。意欲向上策としての現地スタッフの待遇改善をする考えはないでしょうか。
 4点目であります。
 県立高等学校新整備計画後期計画、すなわち高校再編については前回の一般質問でも取り上げ、教育的見地だけではなく、地域活性化など総合的に勘案すべきと申し上げました。2代にわたる教育長の努力で成案が得られたところであります。分校の位置づけではあっても、存続の道が開けたことを評価するものであります。
 しかし、教育長が理解が得られたという成案をもとに学級減を示したことに対し、伊保内、浄法寺、大迫、胆沢の首長さんと議長ほかの方々が知事初め関係部局へ陳情し、うち3校の関係者から募集定員を堅持するよう請願書が提出されました。なぜ今請願書なのか、理解が得られないから請願書の提出をしたのであります。再調整案、非常にややこしいので照井案と申し上げますが、照井案を地元に対して説明も意見聴取もやっていないのは、予算編成のスケジュール上間に合わなかったからなのでしょうか。
 照井案は、いわば玉虫色の表現、目くらましの表現であります。成案の中の、通学困難な地域を抱える1学年2学級校の取り扱いについての項に、なお、及び、原則として、ただしといった表現があります。このただし書きを県教委と地元では別々に解釈をする。それぞれ自分に有利な解釈をする。役人の常套手段と言われれば不覚をとったということになりますが、結局は後であつれきを生じさせることになりました。
 統合によって消滅するであろう高校に入学したいとは思いません。平成17年度の大幅定員割れは、生徒や父兄が統合問題に動揺したことにその理由があるのであります。したがって、募集定員に対して1学級相当程度の欠員を生じている場合には原則として翌年度に学級減を行うものとする。ただし、中学校予定者数に回復の見通しがあれば学級減を行わないことも検討する。そのスタートラインを今年度とするのではなくて、高校存続が決定されて初めて入学生を受け入れる平成18年度をスタートラインとすべきだと思うのでありますが、いかがでしょうか。
 5点目であります。
 県民所得の向上策についてであります。県北・沿岸地域の振興は、常に大きな県政課題であります。しかし、永遠のテーマであっては困るのであります。県北地域は1次産業の割合が高く、それに起因すると思いますが、県民所得は低位にあります。基幹産業である農林業が元気なら地域も元気が出るのでありますが、その農林業振興策も決定打になっていないのが現状です。もしくは、農業施策が有効に作用しているからかろうじて現状に踏みとどまっているというのかもしれません。いずれにしても、2次、3次産業より農家が、そして専業農家よりも1種兼業、2種兼業農家の割合が圧倒的に大きく、農業経営しながら建設業に従事して生計を立て農業や農村を維持してきたものの、その建設産業も公共事業費削減で働く場が奪われました。特にも、生活根拠を農業外収入に求める2種兼業農家にとっては、生活の根本を揺るがす大問題であります。後継者も育ちません。したがって、少子・高齢化もさることながら、過疎化も一段と深刻さを増しております。2次、3次産業の比率を高くしながら県民所得の底上げ、格差解消を図っていく必要があると思われます。そういう視点での県北地域における県民所得向上策をお示しください。
 6点目であります。
 企業誘致についてお伺いをいたします。県北・沿岸地域への誘致企業数は、内陸に比べ極端に少ないということであります。県北・沿岸地域への誘致企業数は、平成11年度から、途中ではありますが、今年度までで82社、そのうち県北、沿岸には16社と、わずか2割にすぎないとお聞きいたしました。そのような中で、久慈市への造船会社誘致は大変明るいニュースになりました。関係各位の努力に敬意を表し、感謝を申し上げます。この企業は、独自のノウハウを持ち、不景気知らずのようでありますが、一般的に見ても設備投資の意欲が増し、景気回復は顕著であり、いまだ沈滞している地方経済の今後が期待されるところであります。
 しかし、景気回復が地方に及ぶのを待っているのは岩手だけではありません。上昇気流に乗ろうと思っているのはどこも同じだろうと思います。そういう意味では、企業誘致も地域間競争にさらされております。盛岡経済圏に匹敵する30万人の八戸経済圏、ものづくり産業も集積しております。造船会社誘致の成功で、ものづくり産業進出が可能なことが証明されました。県北地域は、ものづくり産業の基盤が、あるいは集積が少ないといいますが、これを契機として少しずつでも集積していくことを願うものであります。企業誘致について、来年度の予算編成に県北県民の願いを込めて欲しいのでありますが、決意のほどをお聞かせいただきたい。第2クリーンセンターと絡めたものづくり企業の誘致セールスを考えておられるか、伺います。
 関連して、第2クリーンセンター整備の今後のスケジュールをお聞かせ願います。また、施設へのアクセス道路の改良や上水道布設を地元に求めているようでありますが、辺地債を別枠で認めるなどの支援をすべきと思うのですが、いかがでしょうか。
 最後でありますが、厳しい農業経営環境の中で、農業改良普及事業の果たす役割は非常に大きく、また、期待も寄せられております。平成10年に現在の普及事業の体制になってからそんなに時間がたっていないのでありますが、なぜ改革なのでしょうか。過去の検証を行った上での改革であるべきだと思うのですが、現状の何が問題であり、それをどのように改革しようとしているのでしょうか。今回の改革の目的はどこにあるのか、伺います。
 昨秋から今春にかけて、県内を2巡して関係者の意見を聞き、それを踏まえて成案をつくったとのことであります。成案を得た後の関係者への説明会における反応は、廃止対象の地域では、農業改良普及事業の果たす役割が大きく、農業指導体制の地域間格差を懸念し、普及所の存続を求める要望書を提出したとのことでありました。この要望にどうこたえるのでしょうか。純粋に農業指導の実を上げるための改革と思いたいのでございますが、聖域は設けないという財政再建の余波を受けての改革ではないのか、伺います。
 いつの世の中でも、時代の変遷に伴い、その変化に対応するためには、制度や組織などの改革を避けて通ることはできません。その一方で、改革への反対もまた世の常であります。知事は改革を唱え、私はその抵抗勢力になってしまった感があります。もとより改革に異を唱えるものではありませんが、県や、その組織のための改革であってはならない。真に県民のための改革でなければならないと思う心の発露であります。知事初め、執行部の皆様方には、改革の必要性を県民に理解してもらう一層の努力を望んで質問を終わらせていただきます。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕

〇知事(増田寛也君) 平澄芳議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、市町村要望についてでございます。私も、この市町村長さん方との意見交換は、大変貴重な機会でありますし、これからもそうした場を多く持ちましていろいろな意見交換をやっていきたい、こういうふうに考えております。昨年までの市町村要望については、かなり長い期間同じような形式でやってきたわけでございますが、予算がそのほとんどでございまして、各市町村ごとに時間を割り当てて、それでやっていたわけでございますが、必要なものを現地で見る、こういうやり方でやっておりましたけれども、実は、予算等が十分につかないといったようなこともございますが、ほとんどの内容が継続の要望になってしまいまして、なおかつ現地の方も市町村長さん方に御案内いただいたものが大変多くなってきた、こういうことがございました。市町村長さん方からも、予算以外の内容、その時々のテーマについていろいろ意見交換をするような場が必要であるといったような声もございましたので、ことしは、広域生活圏と地方振興局の見直しという大きなテーマがございましたので、そうした広域的な行政課題について、県内の各地で、会場で意見交換をする場を設けて、そこでいろいろ市町村長さん方との意見交換をしたということでございます。
 やはり、一方で予算を編成する上でそれぞれの市町村の方から要望書を出していただく必要性もございますので、これについては地方振興局長が対応ということでございます。そのほか、今申し上げましたような私と市町村長との意見交換会を各地域で開催、それからあと、県庁の方で市町村長さんと意見交換する場も昨年度から従来より多くやっております。それからあとは、随時県庁の方においでくださいということを市町村に申し上げて、そういった形で個別に、あるいは私がその地域に出かけていったときにお話を聞く、こういったような形で、従来よりはかなり柔軟な内容で、内容も予算以外のことも含めてやるようにしたところでございます。
 いずれにしても、御質問の御趣旨が、そうした場をいろいろ設けて、市町村長のいろいろな苦悩なり、文書であればその行間に込められた思いを酌み取れ、こういう御趣旨だと思いますので、今後もできるだけ私もそういった思いを酌み取るように、そして、そういう市町村長さん方の思いが伝わるような場を数多く設けて、そして実施していきたいと考えております。
 それから、行政執行のあり方として、公共事業評価システムを取り入れた予算編成の手法についてのお尋ねがございました。こうしたやり方にした趣旨でございますが、これは、財源が非常に厳しくなっている中で、公共事業の採択について、当然競争率が大変高くなってまいりますので、その際に透明性や客観性を高くすると、そして恣意的な採択にならないようにすると。非常に限られた、特に新規採択などについて、なぜそこが採択をされたのか、県民への説明責任をしっかり果たしたいと。そういうことで、この公共事業評価システムを制度化して、それに基づいて今実施をしているところでございます。すなわち、評価を五つの観点から評価をして、そのことによって透明性を高める。そして、中には採択されないところがあるわけですが、そこと採択されたところとの違いの説明がはっきりわかるようにすると、こういう趣旨でございます。もちろん、なかなか評価しづらい部分もございますが、熟度という項目の中で、要望の背景となっている課題はできるだけ取り入れているつもりでございます。
 こういう財政が非常に厳しい時期に、その中で新規採択をしていく必要性がございますので、こういったような透明性の高いやり方が今後も私は必要だというふうに考えておりますけれども、ただ、公共事業の評価手法につきましては、順次配点の工夫を行いましたり、地域修正などを行って見直しをしてきておりますので、この見直しについては、やはりそれも第三者の委員会の、専門の委員の皆さん方の御意見も聞きながら評価手法を見直すようにしておりますが、今後もこうした評価手法の改善には努力をしながら、しかし一方で、その採択などの透明性、客観性を高める上では、こうした公共事業評価システムに基づいて採択をしていきたいと、このように考えております。もちろん、採択をするかどうか、これは知事が最終的に判断をするということになるわけでございます。
 次に、地方振興局の再編の関係でございますが、知事のリーダーシップと、それから特に広域振興局の独自性についてのお尋ねでございます。
 広域振興局体制に移行した場合には、本庁が果たす役割は、本県の産業振興や社会資本の整備、環境保全、災害対策といった、県で行うべき役割の中の全体の目標設定や、その実現のための施策の大きな方向づけを行う、全県的な視野に立った企画や振興局間の調整、こういう役割になります。
 一方で、広域振興局では、圏域ごとに地域課題が異なりますので、それを踏まえて現場のニーズに基づく施策を立案して実行していくと、こういう役割に変わります。そういう大きな本庁と広域振興局の役割の上に立った上で、私が本庁と振興局の業務全般を統括して、最終的な本県全域の地域経営の責任を持っていくと、このように考えているところでございます。
 それから、再編の進め方で、全県同時に進めるべきではないかと、こういうお話がございました。
 県南広域振興圏について振興局の再編を先行させるということでございますが、もう一度この点について申し上げますと、これは、この地域が四つの10万人前後の都市が中心となって、住民に身近なサービスを総合的に提供できる基盤が整いつつあるということが1点、それから、電気・機械産業や自動車関連産業を中心として、産業の集積が大変進んでいると。農業においても同じような状況がございました。産地の形成が進められているというような状況がございます。
 一方で、県北、沿岸地域は、まだ今後市町村合併が必要な点がございまして、やはり行財政基盤の強化をより進めていくという、そういうことが必要であろうというふうに思いますので、産業の強化については、当然中長期的な観点から今後積み上げていくわけでございますが、県南とは状況が少し異なっていると、このように認識をしております。したがいまして、そうした異なる現状を踏まえて地方振興局の見直しを進めていくべきではないかと、こういうことでございます。
 当然、そうしたことで、県行政が複雑化することのないように、そこはしっかりとした体制を整えていきたいと、このように考えております。
 それから3点目、海外事務所の関係でございまして、特に大連経済事務所を設置いたしましたので、中国との関係についてのお尋ねがございました。
 我が国と中国との関係は、一言で政冷経熱ということが言われますけれども、政治は非常に冷めていて、そして経済は熱くホットになっていると言われておりますけれども、中央政府間では決して好ましい状況にあるとは言えないわけでございますが、経済界はもとより、地方政府同士の交流も経済交流を中心に年々深まっていると、このように考えております。
 中央政府間の問題は、過去において日中間で不幸な時代がございました。それらが教科書問題、靖国問題という形となってあらわれて、両国間の政治・経済面におけるさまざまな課題の解決を複雑なものとしていると、このように考えておりますが、いずれにせよ、一衣帯水の地である両国でございますので、特に両国の未来に向けて一層友好関係を発展させていこうと、こうした取り組みを積極的に進めることが重要であると、このように考えております。
 中国では、依然として高い経済成長が続いておりますけれども、そしてその市場も拡大しているわけでございますが、当然、今議員お話しになりましたように、中国との経済関係を進めていく上ではリスクが多々ございます。そうしたリスクを一方で回避をしながら、観光を含め、対中ビジネスを積極的に展開していくことは、本県の産業振興にとっても極めて重要であると、このように認識をしておりますので、こうした本県と遼寧省そして大連市との地域レベルでの経済交流の取り組みが、結果としては日中両国間の友好発展に大きく寄与していくものと、このように考えているところでございます。
 その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁をさせますので、御了承をお願いします。
   〔総合政策室長相澤徹君登壇〕

〇総合政策室長(相澤徹君) 地方振興局の再編についてのお尋ねについてでございますけれども、まず最初に、見直しに関する検討の着手ということでございますが、地方振興局の再編につきましては、平成11年の12月定例会におきまして、知事から、本庁と地方振興局の機能の見直し、地方振興局の所管区域の見直しについて検討する旨、答弁をしているところでございます。
 言い出したのが知事か総合政策室かということでございますけれども、どちらかということではなく、分権改革の進展などを踏まえて検討に着手することが必要ということになってきたものと理解をしているところでございます。
 次に、広域振興圏のくくり方についてでございますけれども、6月3日に素案を公表して以来、さまざまな御意見をいただいており、こうした意見を整理して検討を深めているところでございます。この中で、圏域の設定につきましては、県北を盛岡と久慈・二戸にくくり直しをする、あるいは圏域の名称についても変更する、あるいは保健・医療といった日常生活関連の圏域については、それぞれの実態に即して設定をしていくといった考え方、こういうものも見直し案の中には明確に盛り込んでいく。あるいは地域の振興に当たっては、県境は圏域を超えた連携も積極的に進めると、こういった考え方を見直し案の中に盛り込んでいきたいということでございます。
 県南圏域につきましては、気仙との結びつきといった御議論もございましたけれども、この圏域全体、産業の連続性、類似性、1次産業、2次産業も含めてでございますが、大変強いと。なおかつ、自動車産業も含めまして宮城県との連携も視野に入れて取り組んでいくと、こういう考え方について御理解をいただきたいというふうに思っております。
 いずれ、この圏域の考え方につきましては、見直し案を公表すると同時に、私どもの考え方も、いただいた御意見に対する考え方も公表してまいりたいと、このように考えております。
 次に、広域振興局の選定基準ということについてでございますけれども、県南広域振興圏につきましては、新花巻市、北上市、奥州市、新一関市と、それぞれ同程度の人口、あるいは工業出荷額等の規模も同じぐらいでございまして、こういったことを踏まえまして、圏域内の各市町村の庁舎からの時間・距離が最短と、こういったことを検討いたしまして、現在の水沢地方振興局に本局を置くと、こういうことを検討しているところでございます。
 県北・沿岸広域圏について、将来の設置場所についてでございますけれども、見直しの時点での産業の状況、あるいは市町村合併の動向、こういったものを踏まえて検討していくべきではないかと、このように考えているところでございます。
 本庁の権限と組織ということについてでございますけれども、本庁の権限につきましては、主なものを申し上げますと、県政の各分野についての全県的な視点に立った政策の方向づけ、こういったものを決めていく、あるいは各広域振興圏間の予算や職員定数など、いわば県の資源配分の調整をして決めていく、あるいは各広域振興局間の事業や施策の実施の優先度の判断をしていくと、こういった形で全県的な視点のものに限られてくるのではないかと、こういうふうに考えておるところであります。したがいまして、本庁組織につきましても、現時点で、具体的な組織の再編についてこういう形になりますということを言及するのはちょっと難しい面があるのでございますけれども、いずれ広域振興局への権限、業務の委譲に伴い、組織、人員とも相当程度スリム化をされてくると、こういうふうに考えているところでございます。
 次に、県議会とのかかわりについてでございますが、予算議案についてお答えをしたいと思いますけれども、広域振興圏ごとに予算議案を作成するとした場合には、現在の一般会計予算を分割することになり、地方自治法に定める財務規定の理論的基礎づけとなっている予算統一の原則、これの維持が困難になるとともに、具体的には、予算の全体構成における一貫した秩序が損なわれる等のおそれもあると、こういったことから慎重な検討を要するものと、こういうふうに考えております。しかしながら、参考資料として予算審議に御活用いただけるものをつくっていくと、作成していくということについては何らかの工夫をしてまいりたいと、このように考えているところでございます。
 次に、再編に係る議論についてでございますけれども、さまざまな疑問に対する答えを示すべき、あるいはもっと時間をかけて議論してはどうかということでございますが、6月に素案を公表後、いろいろ御意見をいただいてまいりました。意見総数、細かく数えますと372件といったところでございますけれども、これらの意見について可能な限りといいますか、検討を深めさせていただいて見直し案に反映をさせる、修正をする、あるいはしっかり補強する、こういったことで御意見を活用させていただいているところでございます。
 いただいた御意見につきましては、くくった形ではございますけれども、すべてについて県の答え、考え方はこういうことでございますといったことを近々公表してまいりたいと、こういうふうに考えております。さらに、今後見直し案を公表してまいりますが、各地域それから市町村、団体への説明会を行うなどパブリックコメントを実施し、さらに御意見をいただき、十分丁寧に進めた上で成案の取りまとめを行ってまいりたいと、このように考えているところでございます。
 次に、首長など関係機関の意見を反映させてはどうなのかということでございます。
 知事と市町村長との意見交換会、県内7会場でやってまいりました。町村会との意見交換会も2回ほどやっております。市長会との意見交換会あるいは市町村長への文書での御意見の照会、これは13市町村から御回答がございました。それから、町村議会議長会との意見交換、あるいは個別の御要望に応じまして、私どももそれぞれお伺いをして首長と御意見を交換したこともございます。そんな形で説明を行い、また御意見をいただいてきたと、こういう経過でございます。また、産業界との意見交換も進めているところでございまして、こういった御意見を踏まえて見直し案を検討してきたところでございます。修正すべきは修正をし、補強すべきことは補強してきたと、こういうふうに考えているところでございます。
 いずれ、今後とも、また見直し案を公表する中で十分な議論を行い、さらに御意見をいただいてまいりたいと、このように考えております。
 次に、広域行政事務組合と行政センターということでございます。
 行政センターにつきましては、本県が広大な面積を有すると、こういう条件がございますので、住民サービスをしっかり維持をしていくと、こういう視点で必要だと考えております。窓口対応、相談受付、広域災害、危機管理、あるいはその他の業務でも現地対応が必要なものがございます。こういった県の業務はしっかり行政センターで維持をしてまいりたいと。
 広域行政事務組合との関連で申し上げますと、県と市町村との役割分担の中で、それぞれが広域的な事務を行うというのが基本的な考え方でございます。現時点では、組織の融合体といったものは制度上ないわけでございますけれども、しかしながら、例えば広域的な地場産業振興や観光振興なども実施すると、そういうことができる組合も県内にはございます。こういった場合に、振興局との連携によって、より効果的な事業の実施が期待できるのではないかと、こういうふうに考えているところでございまして、こういったことをぜひ前向きに検討してまいりたいと、このように考えております。
 それから、効率的な施策展開ということで、本庁と市町村の間に行政センター、これでいいのではないかというお尋ねでございます。
 市町村への権限移譲が進んだ後にありましても、県として広域的な産業振興、雇用対策、そういった仕事をしっかり担っていくことが必要でございます。本県が広い県土を有していること、そして県北、沿岸、県南、県央といった形で産業の特性など地域課題も異なっていること、このことを踏まえた上で、現場に近いところで意思決定をして実践をしていく、現場の住民ニーズにタイムリーにこたえていく、こういう観点で振興局は必要なものと、こういうふうに考えているところでございます。
 今回の見直しによって業務の完結性を高め、振興局と市町村、それぞれの役割を十分に理解し合いながら、住民本位の仕事ができる、そういう体制を着実につくってまいりたいと、このように考えております。
   〔商工労働観光部長酒井俊巳君登壇〕

〇商工労働観光部長(酒井俊巳君) お尋ね6点についてお答えを申し上げます。
 まず、対中ビジネスに関するリスク回避のためのセーフティネットに関するお尋ねでございます。
 対中ビジネスにおけるリスクといたしましては、中国自体の政治、社会あるいは経済的な要因、そういったものから生ずるいわゆるカントリーリスクというもの、あるいは反日デモあるいはSARSといった突発的なリスク、これをセキュリティーリスクと言ってございますが、そうしたもの、それからオペレーションリスクと申しまして、中国での実際の事業運営において生ずる可能性のあるリスク、例えば代金回収が困難になるとか、模倣品があるとか、そういったものがあるわけでございますが、こうしたリスクを回避するため、現在、日本貿易振興機構(ジェトロ)あるいは在外公館、金融機関、こういったところと連携をしながら、企業に対する情報提供あるいはセミナーを開催するというようなことで、随時県内企業に対してリスクの内容、回避の方法等について説明をしているところでございます。さらに、大連事務所におきましては、企業の求めに応じまして個別取引に係る信用調査、こういったものも行ってございまして、実際こういったことによりまして、リスクが回避されたという事例も既にあるというところでございます。
 いずれ、大連経済事務所の存在あるいは日常の業務活動自体が、県内企業にとってのセーフティネットそのものになるようにしてまいりたいと考えております。
 次に、事務所の撤退を想定した対応をしているかというお尋ねでございますが、御案内のとおり、事務所は4月に開所したばかりでございまして、現時点で撤退を想定した作業は、余り手回しがよ過ぎるというふうに思っておりますので、現時点では特に行っておりません。
 最近の中国の対日貿易の状況、それから日本への観光客の状況、こういったものを見ますと、いずれの面におきましても規模は拡大し続けておりまして、その市場としての価値は高まっていると認識しているところでございます。
 また、来月17日に大連商談会というものを現地で開催をいたしますが、現時点で既に本県から15社の出展が見込まれております。県内中小企業の対中ビジネスの期待は高まりを見せているところでございます。
 こうした状況を踏まえまして、今後とも、大連経済事務所の機能を一層高めますとともに、宮城県との共同・連携によるさまざまな事業の展開を図りながら、中国での県内企業のビジネスチャンスの拡大を図り、大連事務所の有用性を一層高めてまいりたいというふうに考えております。
 次に、ソウル事務所に関するお尋ねでございます。
 ソウル事務所は、御案内のとおり平成14年に主に観光振興、観光客の誘致ということを目的に開設をいたしましたが、この間、韓国の旅行代理店を対象とした観光商談会、あるいは国際観光展への出展など、積極的に行ってまいりました。この結果、事務所設置後の韓国からの観光客の入り込み状況というのは年々増加をいたしております。また、県内の宿泊観光施設を対象といたしまして調査も行っているわけでございますが、その結果を見ましても、同様に年々かなりの割合で増加をしているというところでございます。
 このように、観光につきましては、着実に成果を上げていると認識してございますが、今後は、議員の御指摘のとおり、ビジネス支援というものも積極的に行いたいというふうに考えておりまして、ソウル事務所内に経済交流に関するマーケティング担当を設けておりますし、現地のジェトロソウルセンター等との連携によりまして、情報収集、ビジネスマッチングの機会提供などに努めているところでございます。
 また、ソウル事務所の運営は、県の観光協会が運営しているという形をとっているわけでございますが、物産面での取り組みを強化するということで、今年度新たに県職員2名を派遣し、抜本的な機能強化を図っております岩手県産業貿易振興協会によるサポート、こういうものをより一層充実させながら、県内企業のビジネス展開を積極的に支援していきたいというふうに考えております。
 次に、現地スタッフの待遇改善についてのお尋ねでございますが、これまでも、賃金につきましては、韓国内の賃金の上昇率を踏まえ処遇を決めてきておりますが、事務所を共同設置しております北海道・北東北3県等と協議しながら、今後とも現地職員の意欲が向上するよう、賃金面での改善を含めて待遇の改善を図ってまいりたいと考えております。
 次に、企業誘致に関するお尋ねでございますが、県北地域の企業誘致につきましては、今年度の実績は県全体で11件の立地件数でございますが、そのうち3件が県北地域でございます。県北地域は八戸経済圏との人的・経済交流が強い地域でございますので、八戸市は北東北随一の工業都市でございますし、こうした有利な条件を生かしまして、これまで八戸地域を中心とする企業立地アンケートを実施するなど、情報収集に努めてきたところでございますが、こうした活動の結果だと思っておりますが、ことし4月には、八戸に本社を持つ三八五流通が二戸の工業団地に立地してございます。また、9月には、議員のお話のとおり、八戸に本社を有する北日本造船が久慈に立地をすることになりました。
 この北日本造船の立地に至る経過といたしましては、先ほど申しましたアンケート調査を実施する中で、将来、工場増設に伴う設備投資の計画があると、そういった話が聞こえたことから、同社に対しましてたびたび訪問しながら、資金計画を初めとするさまざまな提案を積極的に行って、その成果が実を結んだものというふうに考えてございます。
 それから、これは八戸ではございませんが、6月には浄法寺に製薬機械の製造、自社装置を使用した健康食品の試作などを行う事業体も誘致をしているところでございます。
 いずれ、今後の県北地域の企業誘致につきましては、今申しました事例のとおり、八戸に本社を置く企業が立地していることを踏まえまして、八戸経済圏へのアプローチを一層強化いたしますとともに、県北地域の農産資源を生かしました機能性食品関係の企業など、的を絞りました企業誘致を展開して、1社でも多く県北地域に企業の立地がかなうよう努めてまいりたいというふうに考えております。
 最後に、第2クリーンセンターと絡めた企業誘致に関するお尋ねでございますが、企業誘致を進めるに当たりましては、土地の価格とか交通の利便性など一般的な立地条件のほか、特にも大量もしくは特別な産業廃棄物の処理が必要とされるような企業、産業分野におきましては、こうした第2クリーンセンターのような公的な処理施設が近接をしているということは、処理コストの低減、あるいは公的な施設における処理が行われるという信頼性が同時に確保できるというふうな大きなメリットもあると考えてございますので、企業誘致に当たって大きなインセンティブになるものだというふうに考えております。したがいまして、今後、同センターの規模、処理能力の具体化に合わせまして情報発信を行いつつ、特に立地の優位性を発揮できると思われる企業、産業分野を中心に、積極的な誘致活動を図ってまいりたいというふうに考えております。
   〔地域振興部長山口和彦君登壇〕

〇地域振興部長(山口和彦君) 県北地域における県民所得の向上策についてでございます。
 この地域は雨よけホウレンソウなど、特色ある農林水産業が展開されておりまして、その強みである地域特性を生かして、安全安心な農林水産物の生産拡大とそのブランド化による産地形成など、基幹産業である第1次産業を強化することがまず必要だと思います。最近では、地元の雑穀を利用しためんやあるいはみそなど、新商品の開発や畜産物のブランド化に積極的に取り組み、新たな市場開拓に動き出した事例も出てきております。
 今後におきましては、このような地域資源をベースに地域産業全体の一層の振興を図るため、生産から加工、販売までの産業間連携や企業間連携を促進し、付加価値の高い産業の創出や新たな事業展開に向けた取り組みを積極的に支援することとしております。
 また、東北新幹線の八戸までの開業を契機に、盛岡都市圏を初め八戸市などの青森県県南部、大館市などの秋田県の北東部との交流が活発化しておりまして、今後は、雑穀の食文化、ナニャドヤラなどの郷土芸能など、特色のある農山村文化や、漆器、こはくなどの地場産業を生かした観光の推進、山と海が連携した体験型観光など、点から線、線から面への展開により交流人口を拡大していくつもりでございます。
 この地域は、先ほど商工労働観光部長が話しましたように、非常に新たな企業進出の動きが見られます。関係機関と連携しまして引き続き戦略性を持った企業誘致に努めるとともに、産学官の連携を強化し、地域産業の育成を図ることによりまして就業の場を拡大することとしております。こうした県北地域の特性や地域資源を生かした各般にわたる産業振興施策を総合的に展開し、地域の経済力を高め、県民所得の向上を図ってまいりたいと考えております。
 次に、第2クリーンセンターの整備に関連しまして、辺地債についてのお尋ねでございます。
 市町村が辺地において事業を行う場合には、辺地対策事業債の活用による実施が有利であることから、県としましては、辺地債の要件に該当する範囲におきまして、できる限り市町村の要望に沿うように努めているところでございます。
 お尋ねのありました第2クリーンセンター関連事業についても、辺地対策債の要件に該当する範囲内におきまして市町村の要望に沿うよう対応してまいりたいと思っております。適債性を判断して地元の市町村の要望に沿うように対応してまいりたいと思っております。
 なお本年度、既に第2クリーンセンター関連の道路の整備について、地元自治体からの申請がございます。これに対しては国に対して要望しているところでございます。
   〔環境生活部長千葉弘君登壇〕

〇環境生活部長(千葉弘君) 第2クリーンセンターの整備についてでございますが、現在までに廃棄物処理のプラントメーカーなどで構成する二つの企業グループから企画提案への参加表明がございました。また、これまで数回にわたりまして、事業の概要あるいは地元の理解を得るために地元住民の皆様に説明会を実施してきております。現在は、事業予定地域の環境アセスメントに係る調査、これは大気、騒音、水質、動植物、景観など大きく9項目でございますが、この調査を行っておりまして、これは来年9月ごろまでかかる予定でございます。
 今後、先ほど申し上げました企業グループからの企画提案書を12月中旬までに提出を受けまして、整備検討委員会を2回程度開催して審査し、来年2月には優先交渉権者を決定いたしたいと思ってございます。その後、具体的な事業内容を当該予定者と詰めを行いまして、来年6月までにはPFI事業者と事業契約を締結いたしたいと考えてございます。来年度になりますが、九戸村と県、PFI事業者との運営協定の締結あるいは県による事業用地の取得などを経まして、事業者による施設整備を着工し、平成21年度の稼動を目指してまいりたいと考えてございます。
 今後、この事業を進めるに当たりましては、本県で初めて取り組むPFI事業でありますので、事業内容につきましてしっかりと精査を行いながら、また、地元住民の方々の十分な理解、それから御協力が不可欠でございますので、そういったことに十分配慮しまして事業を進めてまいりたいと考えてございます。
   〔農林水産部長今泉敏朗君登壇〕

〇農林水産部長(今泉敏朗君) 農業改良普及事業改革についてのお尋ねのうち、改革の目的についてでありますが、国では、新しい食料・農業・農村基本計画を策定するなど農業情勢は大きく変化してきており、こうした動きに対応して取り組んできました集落水田農業ビジョンの実践が喫緊の課題となっているということがございます。また、前回の見直し以降、農業改良普及センターへの評価につきましては、技術支援レベルが不足しているなどといった声が寄せられるようになってきております。さらに先般、農業改良助長法が改正になり、農業改良普及センターを地域の実情に応じて配置できることとされたことから担い手の育成確保に向けた支援を行うとともに、生産現場での多様なニーズなどに的確かつ効果的に対応できる体制に再構築するために改革に取り組むこととしたものであります。
 次に、存続を求めている地域の要望にどうこたえるかというお尋ねについてでありますが、今回の見直しに当たりましては、適地適作による産地形成と力強い担い手の育成を進めるために人的資源を集中する一方で、その人員を活用しながら、それぞれの地域内の多様な課題に対しても柔軟に対応できることが可能になっており、地域間によって指導体制の格差が生じないような仕組みは盛り込まれているものと考えております。
 次に、改革は財政再建の余波を受けての改革ではないのかというお尋ねについてでありますが、現在、農林水産部としても行財政構造改革プログラムに対応した見直しを行っているところでありますが、農業改良普及センターの新しい使命と役割を果たす上での機能の維持につきましては十分に配慮してまいりたいと考えているところであります。
   〔教育長照井崇君登壇〕

〇教育長(照井崇君) まず、高校再編の再調整案の地元に対する説明についてですが、今年度に入りまして、地域の皆様の御理解をいただいて後期計画を早期に策定するためには、地域に赴いて、保護者を初め、地域の皆様から改めて直接御意見を伺うことがまず何よりも第一と考え、積極的に各地に出向き、市町村長、市町村教育長、中学校、高校のPTAや同窓会などの関係者、さらには地元商工業者の方々などと率直な意見交換に努めたところでございます。
 その際に、地元の高校に入学したいので、地元の高校を存続してほしいという御意見がある一方で、地元以外の高校に進学したいので、募集定員を十分に維持してほしいという御意見もございました。これらのいずれのニーズをも満たすためには、小規模校を維持しつつも、定員を確実に充足する見込みの薄い学級数については、ブロック内の志願者の多い他校で有効に活用する方がブロック全体のニーズにこたえることになると説明いたしましたところ、特に異論はなかったところでございます。また、分校であっても学校を存続させてほしいという地元の御意見なども十分に踏まえながらこのたびの再調整案を取りまとめたところでございます。
 6月10日にこの再調整案を公表後、県民の皆様に御理解いただくため、あらゆる機会を通じてその周知に努めてまいりました。具体には、公表と同時に、県内すべての市町村長、市町村教育長、中学校・高等学校長の皆様などにこの再調整案をお届けいたしました。また、同時に記者発表を行い、報道機関を通じてその周知に努めました。九戸村、浄法寺町に関しては、6月13日に村長、町長を初め、両町村関係者の方々が学校の存続について御要望に見えられた際に、学級数の取り扱いについてもるる御説明を申し上げました。大迫町に関しては、再調整案公表前から何度もお互いに足を運び、意見交換を十分に行ってまいりました。また、再調整案公表後、地元紙が高校再編特集記事を組み、その中で大迫高校の来春の学級減について触れており、地域の関係者のコメントが掲載されております。さらに、公表後1カ月にわたってパブリックコメントを実施したところ、大迫町の方からの5件を含め、全体で13件のコメントが寄せられましたが、特に反対の意見はありませんでした。また、再調整案公表後、来年度の学級減が見込まれる地元の町村教育委員会から問い合わせがあり、既に1学級相当程度の定員割れを生じている小規模校の学級数の取り扱いについて御説明申し上げましたところ、特に異論はございませんでした。
 このように、再調整案公表後、小規模校の学級数の取り扱いにつきましては、地域の皆様方にしっかり説明を行ってきたところでございます。
 次に、学級減の時期についてですが、通学困難な地域を抱える1学年2学級校の学級数につきましては、1学級定員の半数を超える欠員を生じた場合でも、直ちに学級減を行うものではなく、2年間の実績を踏まえて判断することとしております。また、後期計画策定時及びそれ以後において、1学級相当程度の定員割れが生じており、翌年度も同程度の定員割れが続くと見込まれる学校につきましては、翌年度に学級減を行うこととしておりますが、そうすることによりまして、限られた教員の中で、その学級数をブロック内の志願者の多い学校で有効に活用する方がブロック全体のニーズにこたえることになるものと考えております。
 大迫高校、胆沢高校、浄法寺高校、伊保内高校の4校は、現在、1学級相当程度の定員割れを生じておりますが、来年度の地元の中学校卒業予定者数、これまでの高校進学者の志望動向などを見て、来年度における入学者も1学級相当程度になるものと見込まれております。そこで、この4校につきましては、平成18年度に学級減を行うこととし、去る8月3日に募集学級予定数を公表したところでございます。この方針に基づいて進めてまいりたいと考えております。

〇11番(平澄芳君) 御答弁ありがとうございました。
 少し再質問させていただきたいと思います。
 不勉強の質問に対して、もっと勉強してこいと知事はおっしゃるかと思っていたんですけれども、丁寧にお答えをいただきまして感謝を申し上げます。
 透明性の確保、これはわかるわけですけれども、透明性を求めるがゆえに柔軟性が失われている、そんな思いがしているのであります。決して透明性を追求することは悪いわけではないんですけれども、私は、県民とか首長さんとの意見交換の中で、例えば村長さんが地域経営を熱っぽく語っている、それに対して意気を感じた、何とかしてやりたいと。そんなときには、例えば点数が若干低くたって何とかしてやりたいというのが人情なんだろうと、そのようにも思うわけです。ですから、もっと泥臭く柔軟な対応をしていただきたい、そう思うわけであります。しかし、その部分は不透明なわけでありますから、これ以上は申し上げません。
 それから、教育長にお伺いしたいわけであります。
 今の御答弁では、十分に説明したんだという、そういうお話でした。おとといでしたか、工藤大輔議員も質問したわけでありますけれども、何かそのときの答弁とトーンが違うというか、スタンスが違うというのか、たしか私のメモだと、もっと時間をかけて丁寧に説明すればよかったかなといったようなお話、課題は今後検討したいというようなこともおっしゃったように記憶をしているんですが、今のお話では、この成案どおりにやりたい、計画どおりにやりたいというお話であります。
 十分に説明をした、反対はなかった、理解は得られたと考えたというんですけれども、調整案についてかなり異論があったものですから、そこで新教育長になられていろいろな地域に行って説明をし、意見を聞いたというのは、それは私も理解をしているわけであります。成案の手前ですけれども、その意見を聴取したことで再調整案をまとめられた。そのことを再度地元に行って説明はしていないですよね。そこにいろいろなずれがあるというか、確かに分校であれ存続ということに目が向いていたのは確かなんですけれども、ただし書きが邪魔したのかなあ、そんな思いがしていいように解釈をしてしまったのかもしれませんけれども、私は、決して地元が納得したというふうには思っていないわけであります。今また定数減が言われてこれだけクローズアップされているわけですから、そのことがまた来年の応募に響いてくるんだと、そのように思います。そうすると、来年をスタートラインということではなくて再来年をスタートラインというふうにしてもいいくらいな、そんな思いもあるわけであります。
 私は、地元進学率向上の努力期間をくれと言っているわけです。そういった期間を付与する考えはないか改めてお尋ねをしておきたい、そのように思います。

〇知事(増田寛也君) 公共事業評価について、人情というお話もございましたけれども、今は非常に採択の枠が厳しくなっているものですから、それで、採択されなかった地域の背後に随分大勢のやはりまた県民の皆さん方がいるものですから、そういうことを考えて、要は言わんとするところは、そのシステムの評価の手法ですね、そこを十分に考えて、今、地域のいろいろな御要望については熟度という項目と、それからもう一つ必要性という項目があるんですが、そこで両方でダブルで見るようにしておりますので、こういった形の、透明性が非常に高い、そして地域の熱意もその中に含まれるような仕組みで公共事業の採択などを運用していきたい、こういうことでございます。
 なお、その制度の内容については逐次改善を施していきたい、このように考えております。

〇教育長(照井崇君) このたびの各地の皆様から御意見を聞く場で、先ほど申し上げましたように、小規模校の学級数の取り扱いについてもるる御説明を申し上げました。しかし、その考え方に対する反対、異論等はございませんでした。ということで、地域の皆様の御意見もそのように受けとめておられるのかということで、今度の再調整案にそれを反映させたところでございます。
 調整案公表後、先ほど申し上げましたような、るるいろいろな場で地元の皆様方には御説明申し上げましたが、その場で、特にまたこの考え方に対する強い反対とか異論というようなことはございませんでした。したがって、私どもといたしましては、この再調整案についておおむね皆様方から御理解をいただけたものと判断し、成案としたところでございます。

〇11番(平澄芳君) ありがとうございました。
 それならば、なぜ請願なんでしょうかね。私は、やっぱり理解が得られなかったから陳情し、請願書を出してきたんだと、そのように思うわけであります。そういう面では、私は、説明がやっぱり不十分だったんじゃないかなと、そんな思いがしてなりません。
 最後の方よく聞き取れなかったんですけれども、努力期間を付与する考えはないというふうにおっしゃったわけですか。要するに、地元進学率向上の努力期間を付与する考えはないかというふうにお尋ねをしたわけですけれども、そういう気は全くないと、そういうお考えなのでしょうか。

〇教育長(照井崇君) 来年度、伊保内高校、浄法寺高校、大迫高校とも、地元市町村の中学校の卒業予定者数、そのうち、また、地元の高校に進学する生徒の割合、また、各ブロックごとの全体の中学校の卒業予定者数の状況などから見まして、仮に2学級募集にしたとしても、各校とも1学級をどうにか満たすか、あるいは1学級を割り込むものというふうに見込んでおります。このようなことから、限られた職員数の中で、小規模校を維持しつつも、ブロック内のそうした多くの生徒の希望に沿っていくためには、定員を確実に充足するただいまのような見込みの薄い学級数を配置することは困難でございます。

〇副議長(藤原泰次郎君) この際、暫時休憩いたします。
   午後3時57分 休 憩

出席議員(45名)
1  番 亀卦川 富 夫 君
2  番 三 浦 陽 子 君
3  番 中 平   均 君
4  番 ザ・グレート・サスケ 君
5  番 木戸口 英 司 君
6  番 関 根 敏 伸 君
7  番 野 田 武 則 君
8  番 高 橋 比奈子 君
9  番 高 橋 雪 文 君
10  番 嵯 峨 壱 朗 君
11  番 平   澄 芳 君
13  番 柳 村 典 秀 君
14  番 飯 澤   匡 君
15  番 田 村   誠 君
16  番 平 野 ユキ子 君
17  番 大 宮 惇 幸 君
18  番 千 葉 康一郎 君
19  番 新居田 弘 文 君
20  番 工 藤 大 輔 君
21  番 平 沼   健 君
22  番 樋 下 正 信 君
23  番 照 井 昭 二 君
24  番 柳 村 岩 見 君
25  番 阿 部 富 雄 君
26  番 斉 藤   信 君
27  番 川 村 農 夫 君
28  番 佐々木 順 一 君
29  番 佐々木   博 君
30  番 及 川 幸 子 君
31  番 阿 部 敏 雄 君
32  番 吉 田 昭 彦 君
33  番 小野寺 研 一 君
34  番 千 葉   伝 君
35  番 小野寺   好 君
37  番 伊 沢 昌 弘 君
38  番 小 原 宣 良 君
39  番 佐々木 一 榮 君
40  番 伊 藤 勢 至 君
41  番 渡 辺 幸 貫 君
42  番 高 橋 賢 輔 君
43  番 藤 原 良 信 君
44  番 佐々木 大 和 君
45  番 藤 原 泰次郎 君
46  番 菊 池   勲 君
47  番 工 藤   篤 君

欠席議員(3名)
12  番 工 藤 勝 子 君
50  番 佐 藤 正 春 君
51  番 佐々木 俊 夫 君

説明のため出席した者
休憩前に同じ

職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
   午後4時16分 再 開

〇副議長(藤原泰次郎君) 休憩前に引き続き会議を開きます。日程第1、一般質問を継続いたします。三浦陽子さん。
   〔「議事進行」と呼ぶ者あり〕


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