平成17年9月定例会 第15回岩手県議会定例会会議録

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〇5番(木戸口英司君) 民主・県民会議の木戸口英司でございます。
 登壇の機会をいただきましたことに感謝申し上げ、早速、質問を進めさせていただきます。
 本年7月、全国知事会を初めとする地方6団体は、2006年度の国庫補助負担金等に関する改革案を政府に提出しています。昨年の分権改革第1ラウンドは、知事も半歩前進としながら、厳しく評価したとおりの内容であり、さきに示された骨太の方針2005を見ても、いわゆる三位一体改革実現への政府の熱意が冷めぎみではないかとの懸念が言われ、いよいよ逼迫する地方財政にあって、これからの第2ラウンドは、まさに地方の存亡をかけた霞が関との厳しい闘いと言えます。
 現状は、地方分権改革のあり方、地方自治の基本原則や理念、国と地方の役割分担等本質の議論は置き去られ、まず、地方と中央の財源の争奪戦との感がいたしております。
 一方、衆参両院の憲法調査会から本年4月にそれぞれ調査報告書が出され、また、各政党でも改正案の取りまとめが進められるなど、憲法改正論議が活発となってきております。当然、第8章、地方自治についても課題検討がなされているところであり、全国知事会では5月、地方自治に関する憲法見直しの基本的な考え方を整理する場として、憲法問題特別委員会を発足させています。
 地方自治のあり方を、理念、原則から議論を積み上げていくこと、制度論を憲法論まで高めていくとすれば国民的議論が必要なこと、国民、地方から議論の盛り上がりを起こしていくこと、結果、思うような進捗が見られない分権改革の達成が早まるものと確信いたします。現在の地方自治をめぐる憲法改正論議について、また、今後のあり方について知事の所見を伺います。
 憲法の地方自治の規定をどのように見直すか、主な論点として挙げられているのが、一つ目、地方自治の基本原則、基本理念について、現行憲法に定める地方自治の本旨は抽象的であるとして、例えば住民自治、団体自治としてわかりやすく規定すべきとする意見、さらに、真の地方分権国家へ転換を図るため、憲法前文に、国家のあり方として書き込むべきとする意見等が言われております。
 二つ目、財政に関する規定について、地方財政に自立性、自主性を持たせることを憲法上保障すべき、課税自主権、財源保障、財政調整制度について規定すべきとの意見もあります。
 三つ目、条例制定権の拡大について、分権国家のもと、地方の決定権限を向上させるため、条例制定権の拡大を明記すべきとの意見であり、地方自治体に専属的あるいは優先的な立法権限を与えることを憲法で保障すべきとする意見があるのに対し、あくまで、条例制定は法律の範囲内でとする考え方もあるようです。
 四つ目、重要かつ優先的な課題論点として、国と地方の役割分担があります。基礎自治体、広域自治体、国の役割分担を明記すべきとの意見、それは、基礎自治体を優先する考え方、ヨーロッパ地方自治憲章に示されて以来、地方自治の保障の基本的な概念として主流をなす補完性の原理に基づき進められるべきとの意見が多く挙げられているようです。これら論点について、それぞれ知事の所見を伺います。また、このほかにも重要な論点があるとすれば何か、お伺いいたします。
 県民的議論を喚起するという観点で、岐阜県や滋賀県のように、県独自で地域自治確立のため、憲法改正試案をまとめ発表しているところもありますが、どう評価し、本県として取り組む考えはないか、お尋ねいたします。
 国と自治体の役割分担の問題は、補完性の原理に基づいてとしながら、国から自治体、広域自治体から基礎自治体への事務権限の移譲の問題という側面で語られることが多いのではないでしょうか。これは実質、事務の執行権限の移譲でしかなく、事務の執行基準、手続において、法令等の規律密度が高い現状では、自治体は事務の執行方法の自由な選択ができないこととなります。
 今、県においても、市町村広域合併の進展に合わせ、分権型社会システムへの転換に備えるため、全国に先駆け、県から市町村へ事務移譲が進められようとしております。市町村からは、この移譲で、果たして自立した市町村の確立、市町村の権限強化につながるものかと疑問の声が少なくありません。補完性の原理をしっかり踏まえ、国と広域自治体、そして基礎自治体の役割分担について、市町村や県民と本質的な議論をしていくことなしには、事務移譲のみならず、広域合併か単独自立かの問題も、広域圏や地方振興局のあり方の問題も、県民から理解を得て進めていくことは難しいと考えますが、いかがでしょうか。
 次に、平成15年10月に策定・公表された行財政構造改革プログラムは、18年度までの4年間、重点的に取り組む40の政策を下支えし、平成22年までの岩手県総合計画達成へしっかりとした行財政基盤を築くことを目的に進められ、来年度、最終年を迎えます。
 当初、4年間で見込まれた約1、750億円の財源不足を150億円まで圧縮する計画は、国の平成16年度予算で、地方財政計画の規模抑制が前倒しで行われ、地方交付税総額は前年対比6.5%減、17年度においても実質的に交付税総額が削減され、さらに厳しい行財政改革への取り組みを余儀なくされております。総人件費の抑制、事務事業の見直し、事業の選択と集中など、県民に戸惑いと痛みをもたらしたプログラムは、国の財政再建の波に翻弄されるまま見直され、本年2月、その内容が示されました。知事は、当プログラムの進捗状況についてどのように評価されていますでしょうか、お伺いいたします。
 来年度予算の編成が始まります。2月に示された平成18年度財政見通しによると、歳入7、500億円、歳出7、721億円、目標としていたプライマリーバランスの達成も図られるとしております。当プログラムによる改革は、単なる歳出削減や収支の均衡を図るだけでなく、将来を見据え、県民が心の豊かさやゆとりを実感し、安心して暮らせる地域社会を実現するための取り組みであり、行政システムの進化を図るためとしています。
 一方、8月、経済財政諮問会議が発表した平成18年度予算の全体像によると、歳出のフレームとして三位一体改革の確実な実現とともに、地財計画、地方交付税について引き続き抑制努力を継続するとしております。このような状況の中、改革の当初の趣旨を踏まえ、プログラム最終年に当たる来年度予算編成はどのような考え方に基づき取り組むのか、お伺いいたします。
 また、平成19年度以降の予算規模は、地方交付税等が現状の水準で維持されることを前提としても、7、200億円程度が望ましいとの知事の発言が報道されております。厳しいという言葉だけではあらわし切れない額であり、これまでの歳出カットの手法では、当然限界と言えます。なぜ、この予算規模が妥当なのか、お伺いいたします。
 さらに、新たな工程表として、行財政構造改革プログラム第2弾の検討状況について、岩手県総合計画との関係、県民生活への影響等、それはいつごろ発表される予定か、お尋ねいたします。
 また、現プログラムについて、当初の目的の達成度、県民生活、経済への影響等を検証し総括することが重要と考えますが、いかがでしょうか。
 次に、昨年8月、三位一体改革の補助金削減リストをまとめた全国知事会において最大の議論となったテーマは、義務教育費国庫負担金制度の存廃でありました。教育のありようについて、財政論だけで解決することは困難であるのは当然で、義務教育を担うのは国か地方か、中教審を初め国、地方においても、いまだ議論が分かれているところであります。
 文部科学省は昨年3月、地方分権時代における教育委員会のあり方についてとして、教育委員会制度の抜本的な見直しに向け中教審に諮問しており、本年1月、教育制度分科会地方教育行政部会が部会まとめを発表いたしております。中央集権的で民意が反映されていないと言われる教育行政にあって、教育委員会制度を分権改革の視点で見直していくことこそ、将来を見据えた教育改革の根幹といえ、見直し検討の進展に期待を寄せております。
 教育委員会制度の意義と役割、首長と教育委員会、市町村委員会と都道府県委員会、学校と教育委員会の関係等が検討されましたが、教育委員会への現状批判をとらえながらも、制度の弾力的運用や市町村と学校現場への多少の権限移譲を進めるなどの見直し内容は、地方の自由度を高めるという抜本的な改革とは、まだ少し遠いというのが率直な印象です。
 知事は、教育委員会制度の現状をどのように認識し、中教審で進められている検討内容について、どのような所見をお持ちか、お尋ねいたします。
 部会まとめによると、教育委員会制度は今日においても必要としながら、教育委員会を置かないことを認めてもよいとの意見について、今後引き続き検討するとしています。教育委員会の必置規制を見直し、首長部局に教育行政の権限移管を進めていくべきとする意見は、地域のニーズに合わせた制度設計、教育政策の責任の明確化、迅速な意思決定を図ることへの要請から、特に改革派と言われる首長から多く出されてきております。知事の所見を伺います。
 また、教育行政における地方分権が必要であるとするならば、その実現に向け、どのような取り組みが必要と考えているのか、お伺いいたします。
 教育先進県を標榜する本県にあって、教育委員会制度の見直しは今後の検討としながらも、現状の問題をしっかりととらえ、部会まとめでも取り上げられている制度の改善点について、教育委員会が地域により開かれ、地域の要望に的確にこたえていく組織としてあるために、改革に率先して取り組むべきと思いますが、教育長の所見を伺います。
 次に、2年後から約700万人と言われている団塊の世代が定年退職の時期を迎えようとしております。大きな社会変化が起こる懸念が言われ、2007年問題と言われています。民間企業では、団塊の世代大量退職を、その熟練技術やノウハウの継承が困難となることや、退職金支給等の問題として指摘する一方、絶好のビジネスチャンスととらえ、新たな商品、サービス開発に乗り出しているところも出てきております。また、国、自治体においても、2007年問題の対応は大きなテーマとなってきており検討が始まっている自治体、基本計画に盛り込む等力を入れて取り組む方針を表明している自治体、既に団塊世代大量退職に的を絞った施策を展開している自治体もあるようです。
 その施策の内容を見ると、団塊世代の知識、経験を活用する地域活動促進策、第二の人生を我が自治体でというU・I・Jターンによる移住促進策、退職後の雇用・生きがい対策の充実などが挙げられます。本県では、団塊の世代大量退職時代を迎えるに当たり、プラス面、マイナス面をどのように分析し、今後いかに施策への位置づけを考えていくのか、お尋ねいたします。
 団塊の世代のU・I・Jターンによる移住促進策については、北海道の北の大地への移住促進策に代表され、道内の市町村の中にも施策展開が始まっており、相談窓口の設置や情報提供システムの構築を検討する県も出てきていると聞きます。人口減少時代に早くから突入している本県においても、人材の誘致という観点、社会、地域、経済活動の担い手として、団塊の世代の移住促進策は有効な方策であり、他県におくれることなく取り組むべきと考えますが、いかがでしょうか。
 また、国土交通省が、2地域居住という新しい暮らし方を提案する報告書を発表しております。都市住民が移住、定住ではなく、年間のうち一定の期間、農山漁村などの1地域に滞在することを指し、都市住民の暮らし方の選択肢を広げる一方で、人口減と高齢化で地域社会の維持に窮している農山漁村にとっても、地域活性化の一助となり得る概念として注目をいたしております。同省は、交通費の負担軽減策や新規定住者に対する所得支援策などの環境整備について、今後検討していくとしています。独自に取り組みを始めた自治体もある中で、本県としても検討し、団塊の世代にとり、第二の人生を過ごす地として、魅力の高い岩手の構築とその発信に力を入れていくべきと考えますが、いかがでしょうか。
 次に、障害者自立支援法がさきの国会で衆議院解散により廃案となりました。同法案は、これまでの応能負担から、サービス料に応じて原則1割負担とする定率負担に変え、障害者の世帯所得に応じた負担とする等、サービス利用の抑制、サービス水準の低下が懸念され、結果、自立を阻害しかねず、施設運営にも支障を来たす可能性が指摘されております。
 また、同法案は、抽象的な規定が多く、具体的な内容は政省令によるところが大きいことに、障害者、関係施設、窓口となる市町村からも戸惑いの声が寄せられてきました。同法案の廃案により、法案成立を前提に組まれた国の負担金が使えず、支援費制度で本年度190億円の財源不足が生じ、不足分は市町村の負担となるものとされております。この影響について、県はどのような認識をお待ちでしょうか。
 同法案は、今国会に再提出されますが、その問題点、不明点について、十分に議論を尽くしていくことを強く要望するものであります。
 本県では、県立社会福祉施設改革プランが検討されております。先般、やさわの園、中山の園、都南の園を視察してまいりました。
 まず、都南の園につきまして、県内唯一の肢体不自由児(者)の福祉施設、医療法による施設であること等から、施設のあり方について別途検討中としていますが、現在の検討状況についてお知らせください。
 やさわの園は、知的障害児施設から知的障害者の施設に変わり、重度の障害者が多い中で、施設の老朽化、狭隘化が大きな問題となっております。
 中山の園は、大規模コロニー型の施設として知的障害者施設の中核を担ってきましたが、今後のあり方を検討していくべき時期に来ていると考えます。プランでは、それぞれ来年度、社会福祉事業団に移管するとされております。施設建設から年月がたち、国の施策も変わる中で施設に対する考え方も変わり、しかし、社会の受け入れ態勢、就労などがなかなか進まず、将来の方向性が見えないこの時期に、施設を事業団に移管することに対し、障害者やその家族から不安の声が寄せられております。
 事業団に移管する入所型施設について、現状の問題点、移管することの利点、移管後の県の支援体制、人的配置や利用者サービスの維持向上、施設整備のあり方等についてお伺いいたします。
 いずれ、施設経営の観点だけの改革ではなく、大切なのは、本県における障害者福祉のこれからを議論し、確立していくことであります。施設入所かあるいは地域生活への移行か、利用者がみずからの意思で地域生活を選択できるような福祉サービス基盤の整備が進まなければ、真の自立支援とはなり得ません。障害者自立支援法成立後、それに基づく障害福祉計画の策定が始まるものと考えますが、大型施設のあり方、県立・民間施設の役割、地域生活支援の方向性等、本県の障害者施策の理念を打ち立て、体系的、中長期的なプログラムを策定していくことこそ、急務、重要であると考えますが、県の考えをお伺いいたします。
 さらに、障害者が地域生活を進める上で、障害者差別を禁止する法律が我が国ではいまだ整っておらず、宮城県では、差別を救済する条例を本年度2月議会で制定することを目指し、障害者団体との協議も重ね、鋭意検討が進められています。この条例案制定の動きについて、県の所感とこれに取り組む考えはないか、お伺いいたします。
 次に、食料・農業・農村基本計画は、平成11年に制定された新基本法に沿って、具体的に施策展開を図るプログラムとしておおむね5年ごとに変更することとし、本年3月、新たな基本計画が策定されております。この約10年で主業農家は半減し、農業就業人口に占める65歳以上の割合は約6割と倍増、耕作放棄地も1.5倍となるなど、日本農業の構造改革は進むどころか対処療法に終始し、抜本的な手を打ててこなかった農政の結果、危機的状況はきわまったと言えます。
 昨年度からスタートした米政策改革により、農業者や農業団体は煩雑かつ性急な作業に忙殺されました。
新基本計画と現在進められている米政策改革との整合性はどうか、担い手の育成・確保と施策の集中化、重点化を進め、担い手を対象とする日本型直接支払い制導入は、所得の安定向上につながるか、持続的な農村社会形成につながるか。その背景には、来月から農業交渉が再開されるWTO、また、FTA交渉の進展に伴う農産物の一層の市場開放圧力があり、この秋には、新計画に示された品目横断的な経営安定対策の詳細決定発表、直接支払いの額とその支給条件、つまり、担い手の定義等が明らかにされることになっており、農業者、農業団体とも、不安な面持ちで待っているのが現状だと思います。
 この大転換とも言える新対策について、詳細は不明なところはありますが、県としての評価、また、県農業への影響、県として現時点で想定される今後の対応についてお伺いいたします。
 現在の国の総農家数が293万戸、うち、主業農家が43万戸。10年後の展望では、総農家数210から50万戸、うち、他産業並みの所得が得られる効率的、安定的な家族農業経営が33から7万戸、集落営農経営2から4万戸、法人経営1万戸とあります。10年でその数字に誘導していくことは、現段階で新たな経営所得安定対策の対象者をかなり絞り込んでくる可能性があるのではないでしょうか。いずれ、現在、米政策改革で推進している認定農業者の育成、集落営農化を一層加速していかなければならないのは明白です。特に集落営農への誘導について、県の人的、財政的支援の役割は大きいと考えますが、これまでの状況と今後の取り組みについてお伺いいたします。
 また、支援体制の拡充を図るための県の組織のあり方、農業改良普及センターのあり方についてお伺いいたします。
 集落営農組織は、農業生産法人を目指すことを要件としていますが、急速な法人化への不安が言われる中で、安定した法人を立ち上げるため移行期間の種々の支援が必要と考えますが、いかがでしょうか。
 集落営農の要件の中で困難な点は、一元的な経理の確立であり、税務申告支援へ専門的な税理士の確保が急務でありますが、その対策を伺います。
 国の集落営農の育成・確保支援策として、本年度予算、来年度予算概算要求に組まれておりますが、県はこれら支援策の情報を地域と共有し、有効に活用していくことが重要と考えますが、いかがでしょうか。
 これまでの集落営農組織は転作が中心でしたが、新計画を展開する上で、基幹である水稲を含んだ組織化が必要と考えますが、県としての考えとその支援策について伺います。
 次に、公共工事の品質確保の促進に関する法律が、本年4月1日より施行されました。先般、8月26日、この施策を総合的に推進するための基本的な方針について閣議決定がなされております。公共投資の急激な減少の中で、低価格入札が急増、予定価格等の公表で、企業能力に基づかないくじ引きによる受注者決定の増加、技術より価格重視により不良工事発生の懸念、専門技術者のいない市町村等、発注者の技術力不足を支援する体制整備の必要性の高まりなど、法制定に至った背景が挙げられます。同法では、公共工事の品質確保に関する基本理念及び発注者の責務の明確化、価格競争から価格と品質で総合的にすぐれた調達への転換、発注者をサポートする仕組みの明確化がうたわれております。
 本県では、公正取引委員会の排除勧告が県営建設工事請負資格者91社に対してあったこと、それに伴い、入札制度の改善として、指名競争入札における競争性向上のため指名者数の拡大、予定価格の事前公表対象範囲の拡大、電子入札の対象範囲の拡大等が図られる中で、地域事情を十分に踏まえた公共工事の品質確保の促進を図る施策に早急に取り組むべきと考えますが、現状認識と今後の対応についてお伺いいたします。
 県は発注者として、また、県は市町村を支援する立場として、技術的能力の審査の実施について、技術提案の審査・評価の実施について、中立かつ公正な総合評価方式の実施について、同法の理念に基づき、県内公共工事の品質確保に向けどのように取り組んでいくのか、そのスケジュールにつきましてお伺いいたします。
 次に、いわて花巻空港を発着する定期航空便の平成16年度旅客総数は46万7、000人で、前年度対比1.8%減少、平成14年度に回復した50万人の大台を2年連続で割り込みました。その中で、チャーター便は国内外をあわせると112便、特に国際便の伸びは平成15年度の47便、7、199人から、平成16年度90便、1万3、903人と大きく健闘しており、今年度も既に8、986人と堅調に推移しています。
 3月から滑走路が2、500メートルに延長され、国際チャーター便の一層の利用拡大に期待が寄せられている一方で、チャーター便を就航させている航空会社が機材を大型化する戦略を今後進める中で、現在の空港ターミナル機能では駐機場が狭くとめられない、タラップ車等地上支援車がないなどハード面で対応できず、いわて花巻空港への発着が難しくなる可能性があると聞きました。
 また、空港ターミナルビルの処理能力を見ると、出発ロビーや待合室が狭隘なこと、手荷物の荷さばき、受け取り施設が一つしかないなど、チャーター便利用客に不便を来たすことから、チャーター便受け入れの便数、時間が制約されています。実際、今秋予定されたチャーター便の中で、運航日時の重複により、航空会社からの運航の申し出を断った事例、航空会社から運航をちゅうちょしたり敬遠したりした事例が数例あると聞きます。これら課題についての対応をお伺いいたします。
 いずれ、新ターミナルビルの建設が待たれるところでありますが、来年度から2年間で整備することで、4月より、現在、県政策評価委員会の大規模事業評価専門委員会で検討されておりますが、これからのスケジュールについて、また、ターミナル施設は、本県の玄関口としてふさわしい岩手らしさ、空港利用者以外も集えるアメニティー性が大切であると考えますが、どのようなコンセプト、考え方に基づき実施計画が立てられているのか、お伺いいたします。
 やはり、利用促進策が肝要であります。県土整備部としてこれまで進めてきた定期便、チャーター便の利用促進策について、これからの新たな取り組みがあればお伺いいたします。
 以上で質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕

〇知事(増田寛也君) 木戸口英司議員の御質問にお答え申し上げます。
 日本国憲法の公布から半世紀以上が経過いたしまして、衆参両院の憲法調査会を初め、各政党などにおきまして、地方自治のあり方も含めた憲法改正についての論議が活発になされていると承知しております。地方自治の基本原則として憲法第92条に地方自治の本旨というものが規定されておりますが、この理念は、自治体が住民の期待にこたえて住民参加のもとで十分な仕事をしていく際に、財源も含めて、国の指図を受けなくても我々自治体が住民に対して責任を負うという、いわば当然のことを述べているもの、このように理解しているわけでございます。
 しかし、この憲法の理念が生かされずに、地方自治の本旨と異なる仕組みがいまだ存在しておりまして、自治体による完全な自治が成立していないということが例えば現在の三位一体改革をめぐる論議として顕在化しているもの、このように考えております。したがいまして、国民的な議論を起こして、憲法の理念について国民の理解と支持を得られるように私どもが努力していくことが必要と考えております。
 地方自治の基本原則、基本理念について、この92条に地方自治の本旨が定められておりますが、実は、この規定が余りに漠然とした規定となっておりまして、そのために、少なくとも地方自治の必要かつ十分条件でございます住民自治と団体自治について明記するとともに、補完性の原理についてもこの条文に何らかの形で導入すべきもの、このように考えております。また、財政に関する規定につきましては、自治体の財政的な権利を明確なものとするために、そして、地方の自主的かつ自立的な財政運営を可能とするため、固有財源の保障、そして課税自主権、地方自治体間の財政格差を調整するための必要な措置の規定が必要である、このように考えております。
 条例制定権については、真の地方分権を実現するために、地方が地域の具体的事情を踏まえて自主的、自立的な行政運営が求められておりますので、この制定権限を拡大すべきもの、このように考えます。
 国と地方の機能分担についてでありますが、これは、国と地方、これは国と言っていますが中央政府と言いかえてもいいと思いますが、中央政府と地方政府、また、広域的自治体と基礎的自治体の役割分担や事務分担の考え方について明記すべきものと考えておりまして、この役割分担の明記によりまして、国と地方の、あるいは中央と地方の権限や財源のあるべき姿もおのずから明確になるものと考えております。
 このほかの論点としては、国の立法過程への地方自治体の参画などがあると思いますので、こうした問題についても議論すべき事項があるもの、このように考えております。
 こうした憲法の地方自治についての改正試案を岐阜県や滋賀県で独自に取りまとめ、公表しております。これは、先導的な取り組みとして高く評価すべきもの、このように考えておりますが、今議員からお話ありましたとおり、本年度に入りまして全国知事会の中でも特別委員会が設置されて、そこで今、論点整理も含めて議論されております。ことしの秋に中間報告を取りまとめる予定でありますし、私もこうした憲法の議論に参加していく考えでございます。
 憲法についてのお尋ねの最後の論点として、補完性の原理をしっかり踏まえて本質的な議論を市町村や県民とすべしというお話でございますが、この地方分権改革のために、補完性の原理に基づいてこうした役割分担を改革することが最も基本的なことでございますし、また、大変重要なことと考えております。今回の広域生活圏と地方振興局の見直し、この案を作成して提示しているわけでございますが、これも補完性の原理に基づいて県と市町村との役割分担の改革を進めようと、そのためにその原理に基づいた見直し案を作成して提示したものでございます。このように、県としての考え方を提示し、議論していくことによって市町村や県民の皆さんの理解が深まっていくもの、このように考えております。
 地域みずからの実践的な取り組みというものも数多く県内でございますが、そうしたものも通じまして具体的な分権改革への道筋をつけていくことが重要と考えているわけでございまして、今回の見直し案もそうした具体的な取り組みの一つというふうにも考えております。
 市町村長との意見交換会などをこの問題について開いておりますし、県内各地、関係団体の方との意見交換会も行っております。それから、地方分権を考えるシンポジウムなども開催したところでございまして、こうしたさまざまな場をとらえて、この役割分担についての考え方を具体的に提示する、そして、補完性の原理についての理解を深めていくといったようなことを通じて地方分権全体についての市町村や県民の皆さん方の理解も深めていくように今後も取り組んでいきたいと考えております。
 2点目が行財政構造改革プログラムの関係でございます。
 平成15年10月にこのプログラムを策定して、その後、この実施に取り組んでまいりました。職員数の削減、給料の減額、公共事業などの投資的経費の見直し、事務事業の廃止・縮小ということで、スリム化に取り組んでまいりました。職員数も、県全体では4.1%の削減、うち、知事部局も4.8%の削減といったようなことで、具体的な成果も上がってきております。一方で、平成16年度は地方交付税が大幅な削減をなされました。いわゆる交付税ショックと言われているものでございます。そこで、財源の関係では、プログラムで想定していた以上の財源不足となりましたので、取り組みを前倒しで進めました。平成15年度当初予算では8、308億円でございました県の予算規模も今年度当初予算では7、672億円と、600億円を超える歳出削減に取り組んできたところでございます。こうしたことから、プログラム全体としては当初計画を上回る取り組みを進めてきた、このように考えているわけでございまして、今後もこの取り組みをさらに一層加速させていきたい、このように考えております。
 予算規模の7、200億円ということについてのお尋ねがございました。この考え方について申し上げますと、今申し上げましたように、行革プログラムで各種の歳出削減に取り組んできておりまして、ほぼ行革プログラム策定時に想定していた実力ベースの歳入に近い段階まで予算規模が圧縮されております。すなわち、それが7、600億円ということでございます。しかし、先ほど申し上げましたように、平成16年度の交付税ショックがございまして、これに対応するために、公債費負担の平準化のための借換債の発行、それから各種のそのほかの財源対策、いわゆるやりくりでこれを吸収するということを行いましたので、歳入の減少額を自然体で吸収できるまでの歳出構造にはなっていないというのが今の現状でございます。また、こうした財源対策、これはやりくりでございますが、これも既に限界に達していると認識しておりまして、現在の歳入規模からこれらの行ってまいりましたやりくり分を除きますと、自然体の歳入は約7、200億円台になるものでございます。このため、平成18年度の財源不足の解消対策とともに、19年度以降の持続可能な行財政構造の構築に向けて、やりくりによらない実力ベースの歳入規模に見合った歳出構造となるように予算規模の見直しに取り組もうとする、そういうことであのようなことを申し上げたものでございます。
 次に、行革プログラムの第2弾の検討状況と公表時期についてのお話でございますが、この第2弾の策定のためにはいわゆる中期の財政見通しが必要でございますが、これにつきましては、三位一体改革の影響で地方財政対策が毎年かなり大幅に見直しされているといったことがあって、国が作成するとされております中期地方財政ビジョンが示されていないということで、実はこの平成19年度以降の財政見通しを正確に見通すことは大変困難な状況にございます。しかし、現時点での状況をもとに、年内にも平成19年度以降22年度までの財政見通しについて粗い試算を行って、それをベースに見直しを進めて、平成18年度中、すなわち来年度中に次の行革プログラムの策定作業に着手したい、このように考えております。
 そして、現在の行財政構造改革プログラムの当初の目的の達成度、それから県民生活、経済への影響などについてもあわせて検証を行いまして、策定作業を進めた上で、公表の時期は、平成19年度の政策的な経費を盛り込む6月補正予算を踏まえて公表することが適当である、このように考えております。
 最後に、教育委員会制度の見直しについてのお尋ねでございます。
 この教育委員会制度ですが、これは、御案内のとおり、教育の政治的な中立と教育行政の安定性を確保するための制度でございますが、現状は、合議制のために責任の所在がともすると不明確になるということ、また、住民や保護者などのニーズに迅速に対応しがたい面があるといったような課題があると思っております。また、制度面におきましても、小・中学校の教職員は市町村職員、その服務監督権は市町村教育委員会にあるわけですが、任命権の方は都道府県の教育委員会にあるといった二元的な構造になっておりまして、どうしても地域や保護者の声が十分に、かつ迅速に反映されがたい面がある、こういった課題がございます。現在、中教審の場で議論されていますけれども、その場で、地方の視点で今後十分な議論がなされることを期待しております。
 この見直しについてでございますが、これは、教育の機会均等と教育水準を維持しつつ、地域のニーズがさまざまございますが、そういったものを踏まえて、地方自治体の裁量と責任において独自に創意工夫を凝らして自主的、自立的な教育を実施することができるような制度、こうしたものが樹立されることが必要と考えています。そのためには、教育委員会の設置や委員の数、そして、その委員の任期、さらには委員の選任方法などを地方の実情に応じて地方自治体が選択できるような弾力的な制度の検討がなされるべきではないか、このように考えております。
 こうした教育行政の地方分権ですけれども、地方の自由度をより一層高める改革を進める必要があると今申し上げたわけでございますが、特に義務教育については、義務教育の根幹にかかわる部分や基本的事項については国が定めて、その方向性、目標を示す。その具体的実施の内容や方法については、地方がその裁量と責任において定めて地域に根ざした教育を展開できるようにすべき、こうした考え方でおります。そのために、義務教育費国庫負担金の一般財源化や市町村立学校職員の人事権、これを都道府県から市町村へ移譲することの検討など、現場への一層の権限移譲を進めることによって、地域の実情やニーズに応じて特色ある教育を実施できるように、これは国に対して働きかけていきたい、このように考えております。
 その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁させますので、御了承お願いします。
   〔総務部長時澤忠君登壇〕

〇総務部長(時澤忠君) 平成18年度の予算編成についてでございます。
 これにつきましては、今後の国の予算編成や地方財政対策の動向を見きわめながら編成を進めていくこととなるわけでございますが、現時点での状況を申し上げますと、歳入面では、税収が現下の地方の厳しい経済情勢から考えまして大幅な増収は見込めません。また、地方交付税や国庫支出金につきましても、今年度に引き続きまして国庫補助負担金の廃止・縮減、地方交付税の抑制が予想されますので、これも厳しい状況にあると考えております。一方、歳出面で見てみますと、公債費が今年度よりも120億円ほど増加の見込みがあります。また、県境不法投棄現場環境再生事業や県立高校の学校再編等に伴います学校整備事業などの事業費が現時点におきまして約27億円程度の増が見込まれております。
 このような財政環境のもと、基金の取り崩しや借換債の発行など中期財政見通しで見込んでいるものも含めまして、こうした特別な財源確保対策、要するにやりくりを全く行わないとした場合には、現段階におきまして500億円を超える財源不足が見込まれる状況になっております。
 したがいまして、平成18年度の予算編成に当たりましては、15年度に策定いたしました行財政構造改革プログラムに基づきまして、自立と構造改革の仕上げの予算ということを基本としつつ、平成19年度以降、財源確保、いわゆるやりくりによらない持続可能な財政構造に向けた第一歩ともなるように配慮いたしまして予算編成を行っていきたいと考えているところでございます。
   〔総合政策室長相澤徹君登壇〕

〇総合政策室長(相澤徹君) 団塊の世代の大量退職という問題への対策についてお答え申し上げます。
 いわゆる団塊の世代、全国で約700万人、本県で約6万9、000人ございますけれども、平成19年から21年にかけて順次60歳を迎えることで大量の定年退職者の発生が予測されております。このことが我が国の社会経済に大きな変化をもたらすものと考えております。
 この団塊の世代の大量退職のマイナス面の影響としましては、労働力人口の減少、技術・技能の継承への懸念、企業年金の負担増などがある一方、雇用過剰感の解消、企業等における人件費の軽減、旅行や趣味関連の消費支出の拡大など、プラス面の影響も挙げられると考えております。
 このようなことを踏まえ、本県においても、現在、団塊の世代の大量退職が本県の地域経済社会に及ぼす影響、さらには知識や技能などを地域の産業に生かしていく方策など、さまざまな観点から部局横断的に分析・検討を行っているところでございます。
 こういった団塊の世代は、高い技術や技能、知識などを持つほか、NPOやボランティア活動などに対する参加意識も高いなどの特徴があり、また、高い消費意欲や社会への参加意欲も持っているところでございます。こういった世代が移り住むといったことにより、消費需要や住宅需要の発生あるいはコミュニティー活動や地域文化活動などの担い手の増加などが期待できる、こういったことから、その移住や滞在型の交流を促進する、そういった環境を整えていくことは大変有意義なものと考えております。
 県として、これまで真の豊かさを求めるスローライフの考え方を提唱してきたところであり、団塊の世代に限らず、広くU・J・Iターンやいわゆる2地域居住を促進していくためにも、岩手で暮らしたい、岩手を訪れたいと思われるような岩手ならではの歴史や風土、伝統文化、自然などの魅力を生かした地域づくりの成果を積極的に情報発信をしてまいりたいと考えております。こういった観点から、市町村とも連携をしながら、いわて銀河プラザ等におけるU・J・Iターン相談、その登録業務、豊かな農村生活を送るためのアドバイス機能などを充実するとともに、さまざまな広報媒体を通じた本県の魅力や優位性のPRなどの積極的な情報発信など多面的な取り組みを進めてまいりたい、このように考えております。
   〔保健福祉部長赤羽卓朗君登壇〕

〇保健福祉部長(赤羽卓朗君) 障害者の自立支援策と県立施設のあり方についてでございますが、まず、障害者自立支援法案廃案の影響についてでございますが、県内の市町村におきましては、国の予算補助であります居宅生活支援費補助金の2カ月分の2分の1、国庫補助額ベースで1億2、000万円の財源不足が見込まれております。財政が厳しい状況下にありまして、各市町村にとっては大きな影響が出るものと認識しております。
 次に、都南の園のあり方の検討についてでございますが、県立都南の園を含めた障害児療育のあり方を検討するため、昨年8月に医師や学識経験者等から成る岩手県障害児療育のあり方検討会を設置したところでございます。これまで、県立都南の園のあり方を中心に6回にわたり検討を重ねていただきまして、去る8月25日に中間報告が取りまとめられたところでございます。その内容といたしましては、新たに療育センターとして再編してはどうかといった方向性が示されたこと、こうした療育センターには、現在の県立都南の園の肢体不自由児施設機能を維持しながら、相談・判定機能でありますとか地域療育支援機能などを備える必要があるとされたことなどでございます。
 今後、この中間報告をもとに、県立都南の園利用者など関係者の御意見も伺いながら、年内に委員会として最終報告を取りまとめていただく予定となっております。
 次に、事業団に移管する入所型施設のあり方の検討についてでございますが、現状の問題点というお尋ねでございますが、県立施設につきましては、民間による施設整備の進展や官から民への流れといったもの、さらには、指定管理者制度の導入が求められている中で、運営経費への多額の県費上乗せや委託方式による運営上の制約などの問題でありますとか課題が指摘されてきたところでございます。こうしたこともございまして、この3月に県が策定しました県立社会福祉施設改革プランにおきましては、やさわの園を初め、障害者関連7施設を事業団に移管することとしたところでございます。
 移管することの利点についてでございますが、事業団への移管によりまして、従来の受託運営の枠を超えまして自主的、自律的な運営が可能になるとともに、これまで蓄積されてきたノウハウを生かしていただきながら、職員一人一人の創意工夫によって、利用者や地域のニーズにより一層柔軟かつ迅速に対応していただくことができるものと期待しております。
 移管後の県の支援体制についてでございますが、現在、事業団内部におきまして、自立的な経営を目指して、職員給与の見直しなど経営改善に向けた検討を進めているところでございます。しかしながら、この経営改善を事業団が進めていったといたしましても、自立するためにはおおむね10年程度の期間が見込まれることや、何よりも利用者の処遇水準を維持するといったことから一定の支援を行ってまいりたいと考えております。また、老朽化等による大規模な改修等につきましても支援が必要と考えているところでございます。
 次に、本県の障害者施策の体系的、中長期的プログラムの策定でございますが、県では、障害者基本法で都道府県に策定が義務づけられております障害者施策の基本計画でございます岩手県障害者プランを平成13年3月に策定したところでございますが、この障害者プランにつきまして、平成18年度中に見直すこととしております。この見直しにおきまして、障害者御本人でありますとか御家族あるいは県民の御意見を幅広く伺いながら、地域生活の支援方策でありますとか障害者施設のあり方も含めまして中長期的な施策推進について検討してまいりたいと考えております。
 次に、障害者差別を禁止する条例についてでございますが、障害者の差別を禁止することにつきましては障害者基本法第3条第3項に規定されているわけでございますが、理念的な規定にとどまっているということから、宮城県等において条例制定に向けた動きがあるということは承知いたしております。本年1月に開催いたしました岩手県障害者施策推進協議会におきましても、日常のあらゆる場面で差別を感じるので、条例制定などに向けた取り組みも必要ではとの意見も一部にはあったところでございます。
 いずれにいたしましても、障害者基本法にも定められておりますとおり、障害者に対して、障害を理由として、差別その他権利利益を侵害する行為が発生しないようにすることが必要であり、そのための方策については、平成16年5月の参議院内閣委員会において障害者基本法の改正が可決されました際に、障害者に対する障害を理由とする差別や権利利益侵害が行われた場合の迅速かつ効果的な救済のために必要な措置を検討することなどの附帯決議が付されていることもあり、こうした国の動向も踏まえながら、今後とも関係者の御意見を伺ってまいりたいと考えております。
   〔農林水産部長今泉敏朗君登壇〕

〇農林水産部長(今泉敏朗君) 食料・農業・農村基本計画の見直しの対応について何点かお尋ねでございますが、まず、基本計画の経営安定対策についての評価及び今後の対応についてでありますが、農業産出額を高めていくためには意欲と能力のある担い手の確保が不可欠であり、認定農業者への誘導の促進、兼業農家、専業農家などが、それぞれの役割分担のもとに地域が一体となって行う岩手型の集落営農の積極的な展開を進めているところであります。担い手を明確化し、国内農業の生産構造の強化を図る国の新たな対策はそうした本県の方向性とも一致しており、大筋で評価されるものと考えております。しかしながら、今後示される新しい基本計画の中で、経営面積や対象作物の品目の内容いかんによりましては、本県の農業振興を図る上で支障を来すことも懸念されます。当面は、基本計画の対応に欠かすことのできない認定農業者への誘導の加速化や集落営農の育成や法人化の促進にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、集落営農への支援及び今後の取り組みについてでありますが、集落営農を促進するため、平成16年度から集落型経営体支援センターを12地域に設置するとともに、要請に応じて集落型経営体指導アドバイザーとして税理士などの専門家を派遣するなどの人的支援体制を整備してきたところであります。今後におきましても、集落ビジョンの実践への誘導、法人化に向けた経営や税務管理などへの指導についての支援体制を充実させてまいります。
 次に、支援体制のあり方についてであります。認定農業者や集落営農の誘導を含む担い手対策に関する業務は、現在、本庁の複数の課にまたがっておりますが、これを1カ所に集中し、そこが地域におきまして集落営農への誘導あるいは法人化に向けての取り組みの支援に当たっております農業改良センターなどとこれまで以上に一体となって取り組む体制に改め、担い手対策をさらに加速化させていくこととしております。
 次に、農業生産法人化への支援についてでありますが、安定した法人を立ち上げるには、発展段階に応じたきめ細かい支援が不可欠であります。このため、集落内の話し合い活動に対する支援、さらには、集落営農のリーダー育成に対する支援などを行ってきております。さらに、任意組合を立ち上げる段階の一元的な経理の確立に当たりましては、集落営農に詳しい税理士や社会保険労務士などを集落型経営体指導アドバイザーとして確保し、個別具体的な指導を行っております。
 なお、法人設立後の税理士等に要する経理・経営コンサル経費などの資金につきまして融資を受けた際の利子補給制度を創設し、財政面における支援体制もあわせて整備しているところであります。
 次に、国の集落営農の育成・確保支援策の情報を共有すべきではないかという御提言でございますが、国の平成18年度予算概算要求には、集落営農の組織化、法人化の推進上の課題への対策として、発展段階に応じた話し合い活動、税務顧問確保、会計処理支援などを行うことができる集落営農育成・確保緊急支援事業などが盛り込まれております。今後、市町村、農協と情報を共有し、新年度、即座に対応できるように、今から準備してまいりたいと考えております。
 次に、水稲を含んだ集落営農の組織化についてでありますが、新しい基本計画の政策対象となるためには、転作を中心とした集落営農組織を、稲作を中心に地域振興作物を取り込んだ複合的経営を行う農業生産法人へ組織化することが不可欠であります。そのためには、農業生産法人となる計画を有していること、集落の相当以上の農地を集積する目標を有していることなどの要件を満たすことが必要でありますが、県といたしましては、こうした集落営農経営の確立に向けた取り組みを、集落型経営体支援センターを初め、関係機関・団体と一体となって支援しているところであります。
   〔県土整備部長橋本義春君登壇〕

〇県土整備部長(橋本義春君) 公共工事の品質確保の促進に関する法律、いわゆる品確法への対応についてでございますが、まず、品確法に係る現状認識と今後の対応でございますが、公共工事の発注に当たりましては、全国的に、議員御指摘のとおり、工事の品質低下や市町村等発注者の技術力不足を懸念する動きがありまして、その対応として、今回の法制定に至ったものと認識しているところであります。
 本県の現状としましては、低入札価格調査に該当する入札件数は年間20件程度でありますが、これらの工事において、品質に係る問題等は今のところ発生していないと聞いているところであります。しかしながら、今後、競争のさらなる激化等によりまして、全国と同様な案件の発生も危惧されますことから、法の趣旨に沿った対応を進める必要があると考えております。
 本県の取り組みのスケジュールでございますが、国の基本方針が示されたところでありまして、今後さらに、運用に係るガイドライン等も情報提供される予定と聞いておりますことから、これらを参考にしながら、本県の実情を十分考慮した上で法に基づく対応方針を定め、その後、技術力評価の充実、総合評価落札方式の導入や、市町村に対する支援等に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、いわて花巻空港の整備と利用促進策についてでありますが、現在のいわて花巻空港の空港ターミナルの機能に係る課題への対応についてでありますが、県は、多くの皆様に空港を利用していただくため、定期便に加えましてチャーター便の運航を誘致しておりますが、チャーター便の実績が最も多い台湾の航空会社が機材の大型化を計画しておりまして、そうなりますと、現在のターミナルエリアでは対応が困難となるために、来年度以降の運航が危ぶまれているところであります。
 また、機能面から、複数のチャーター便が、それぞれ利用を希望する時間帯が重なり受け入れることができずに、チャーター便の一部が目的地を変更したり、計画を断念する事例が発生しております。そのため、現在、従前の機材での運航の継続や他の航空会社への就航を働きかけるなど、代替策を講じているところでございます。こうした問題の抜本的解決には、新ターミナル地域の整備が必要だというふうに考えております。
 新ターミナルビルの建設についてでありますが、ビルは空港ビル会社が建設することになりますが、県からの融資や補助を予定しておりますことから、本年4月から、大規模事業評価専門委員会において、規模及び費用の妥当性の観点から、事業実施について御審議をいただいているところでありまして、答申をいただいた後、県として最終決定することとしております。
 現ターミナルビルの課題を解決するためには、出発ロビーや待合室、手荷物受取場を拡充・増設しまして、利便性や快適性を向上する必要があり、ユニバーサルデザインや省エネルギーに対応した、コンパクトで機能的かつ経済的にすぐれたものとなるように計画したところでございます。
 次に、定期便、チャーター便の利用促進策についてでありますが、定期便につきましては、旅行会社の商品造成を引き続き支援いたしますほか、今年度は日本航空のホームページを通じまして、いわて花巻空港の愛称の普及や我が県の魅力と旅行商品の情報を提供するほか、チャーター便については、台湾の航空会社等と連携した広告を実施することなど、利用促進策に新たに取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
   〔教育長照井崇君登壇〕

〇教育長(照井崇君) 教育委員会の改革の取り組みについてですが、教育委員会がより地域に開かれ、地域の要望に的確にこたえていくためには、常に児童生徒や保護者、地域住民の目線に立って考え施策を推進するとともに、情報の積極的公開や提供に努め、また、学校現場や市町村教育委員会、地域産業界などとの対話を通じて相互理解を深め合い、さらには知事部局とも密接に連携して、諸課題に積極的に取り組んでいくことが重要であると考えております。
 このため、これまで、重要課題につきましては、教育委員が事前に協議会を開催して検討する仕組みを取り入れるなど、教育委員会議の運営の活性化を図るとともに、学校においては、学校評議員の設置や学校評価の導入とその結果の公表などの開かれた学校づくりの取り組み、また、ものづくり人材育成を図るための知事部局との連携など、教育委員会の活性化や、より住民の視点に立った取り組みを進めているところでございます。
 今後とも、なお一層、地域に根差し、地域に開かれ、地域から信頼・支持されるよう努めてまいります。

〇5番(木戸口英司君) それでは、知事に再質問をさせていただきます。
 地方振興局の再編については、今回の一般質問で随分取り上げられたところでございます。私も質問の中で若干触れたところでありますが、昨年の私の一般質問、6月議会で、地方振興局の再編について知事にお伺いしたところでございます。そのときの答弁書がここにあるんですが、知事の答弁であります。
 今回の再編では、まず、順番としては国、県、市町村の役割分担やその望ましいあり方などについて、将来をしっかり見据えて十分議論を行って、その上で、今度は県の中で本庁と地方振興局がどうあればいいのかということを検討すると。
 それから、今年度1年間かけて市町村などの御意見も伺いながら、県の中で再編成のさまざまな検討をしていきたい。これを公表して、県民の皆さんと議論を十分に深めながら再編を進めていきたいということがあります。
 それで、我が会派で、各市町村に、地方振興局再編案についてのアンケート調査を行ったところでございます。大変多くの意見が寄せられたところでありまして、ただ、総じて見ますと、もっと時間をかけて議論すべきと。将来の姿が見えないことへの不満ということが多く語られております。また、私も触れましたこの地方振興局の再編とあわせて聞いた内容で、市町村への権限移譲についても、ある市からこういう意見が寄せられております。
 地方分権を進める中、県から市町村への権限移譲は当然必要である。しかし、市町村が実質的関与する例えば農地転用、農業振興地域の解除、都市計画決定と、それぞれの市町村の発展につながる権限移譲を望む。現段階では、余り中身のない権限移譲に見受けられると。大変辛らつな、こういう意見が寄せられている。
 それで、私が申し上げたいのは、今回、制度論の議論が必要じゃないかということを質問で取り上げたわけでありますが、果たして、知事が昨年おっしゃられたような議論が、今回十分であるのかということであります。それで、私もこの地方分権改革に資する地方振興局再編案ということで、もっとダイナミックな、ドラスチックな案が出てくるものと実は考えておりました。それに対して賛成するかどうか別でありますけれども、県の機構上、そういう劇的な再編が難しいことは理解するんでありますが、いずれ市町村のこういう反応を見ても、やはりもっと制度論的なもの、これを議論していくということ。これは別に重箱の隅をつつくようなことではなくて、そこから実は問題意識が共有されて、新しい改革に踏み出す強いメッセージが打ち出されてくるのではないかと、そういうことを考えるわけなんです。
 これは地方分権改革のあり方だけではなくて、今回質問で取り上げました教育委員会制度の見直しやら、障害者福祉のこれからやら、農業についてもそのとおりだと思いますが、こういったこと、本当に市町村、県民一人一人というわけにはいかないわけですけれども、もっと制度論を踏み込んで理解を深めながら、そして、それをもとに岩手県としてどうあるべきかという改革の柱といいますか、強いメッセージ、そして、本県の取り組みでどうしても難しいということについては、県民運動的に国に制度改正を要望していくと、こういう姿が私はこの憲法論、制度論から、そういうことを知事に期待をするところでありますし、こういうところから知事が言う、自立ということが県民にも根づいてくるんじゃないかと思うんです。
 ただ、どうしても、現状お聞きしますと、この地方振興局の問題についても、国の地方分権改革の方向性を見定めてとか、国の教育委員会制度の見直しを待ってとか、障害者自立支援法の詳細を見てとか、食料・農業・農村基本計画の詳細を検討してと。これも仕組み上わかるんですけれども、やはり本県の改革の方向性というのは見えてこないことに、この市町村のアンケート、詳細を見ていきますと感じるわけなんです。
 首長が改革への強いメッセージを発している。例えば憲法改正試案もそうだと思いますし、教育委員会制度を首長部局にもっと責任を持たせろという首長、ふえてきています。それから障害者福祉、先ほど宮城県の例も取り上げましたが、例えば知的障害者施設解体宣言なども行って、本当にわかりやすくやられておる、そういう県がたくさんできているわけですね。ですから、そういう中で、私、このマニフェスト型選挙というもの、これも非常にいい方向だと思うんですが、その中でもっとそこの議論を深めて、しかも、県民にもう少しわかりやすく改革の方向性というものを強いメッセージとして出していく必要があるんではないかと。それでこそ、今度の地方分権改革、振興局再編の問題も、県民と、例えば市町村との一つの対立の構図ではなくて、一緒に向かっていける、そういう議論がやれるんじゃないかということを感じるわけなんです。わかりやすさということで、ワンフレーズポリテクスみたいな、今度の衆議院選挙でその危険性を私ら学んだわけでありますが、ただ、メッセージの強さ、わかりやすさということの重要性も感じたわけであります。ですから、知事にこの点、先ほどの地方振興局再編の議論が十分でないという市町村からの御意見を紹介しながら、それだけじゃない、さまざまな改革について、知事がこれから政治姿勢としてどのように取り組んでいくのか、もう一度御意見をお聞きしたいと思うんです。
 知事に対しては以上でございます。
 それから、農林水産部長にお伺いいたします。
 米政策改革、岩手県では、岩手県水田農業改革大綱というのをいち早く出してその取り組みを始めたと、これは大変評価されておりますし、評価するところでございます。ただ、先ほど部長の御答弁で、種々今それぞれ私の指摘した問題点について支援をしているということでありますが、現場の農業団体、農業者の意見を聞きながら私この質問をつくったんですが、やはり大綱、最初につくったその姿勢はよかったけれども、実際の支援体制は、大変不満があるということの声を実は聞いたわけであります。県の方の努力は評価するけれども、実際、これほど急激に制度改正になって認定農業者、集落営農化を進めるということに対して大変地域が戸惑う中で、県の支援体制がもう一つ強力であってほしいという要望の声でありました。
 そういう中で、先ほど組織のことをお聞きしましたが、担い手の育成について課を集中してやっていくと、これは大変いいお話を聞きましたが、そういう中で、農業改良普及センター、それもそこの課というか係が一元的に見ていくと。これ、今、再編案が出てきているわけでありますが、私も組織の集中化をしていくということは何も反対はいたしません。むしろ、それによって機能強化が図られるのであれば、そして末端の苦労している農業団体、農業者の皆さんのこれからの集落化、これの支援体制がしっかりと拡充していくものであれば大変すばらしいことだと思いますが、この点の取り組みについてもう一度確認をさせてください。
 それから、県土整備部長にお伺いいたします。
 この品確法について、これからの取り組みということでありますので、お答えになれるかどうかということもあるんですが、本県の地域の実情を踏まえた施策策定をするという、先ほど御答弁がありました。これは大変重要なところだと思うんですが、本県の実情というところをどのようにとらえて、そしてこの法の精神に基づく中で、これをどういう形で盛り込んでいけるのか。これ、岩手県にとって大変重要な部分だと思いますので、ここを確認させてください。
 それからもう一点、いわて花巻空港についてでありますが、台湾便機材の大型化への対応が今非常に難しくなって、来年度から、今までこれだけ順調に推移してきたチャーター便が、隣の県の空港に行ってしまうかもしれないという可能性なんだと思います。それで、大型化への即対応ということが今難しいということ、そのことをちょっと先ほどの答弁ではっきり聞き取れなかったものですから、難しいのか、何か対応策はないのか。この点、新ターミナルビル完成後、いわて花巻空港にまた戻ってきてもらえるかどうかということ、これ、なかなか厳しいものがあるんじゃないか。それは選ぶ権利は向こう側にあるわけでありますので、そういう意味で今の大型化への対応についてどうなのか。それから、もし、そうでなければ例えば中型機なのか。先ほど航空会社を変えるというようなお話もありましたけれども、そこをもう少し具体的に確認をさせてください。

〇知事(増田寛也君) 何点か私の方にお尋ねございましたので申し上げます。
 まず、広域圏とそれから振興局の見直しについてのお話がございました。今回の見直しにつきましては、案の考え方は何度か申し上げておりますが、いわゆる補完性の原理にのっとった案ということにしております。補完性の原理の考え方に基づいてつくった案でございまして、実は市町村とのいろいろなやりとり、意見交換でございますけれども、そういうことを通じて、ああいう振興局の役割、機能、補完性の原理に基づいた県の考え方の案の具体的な提示に基づいて、市町村あるいは県民の皆さん方と、しからば今後、県がどのような役割を果たしていくのか、市町村がその中でどういう役割を果たしていくのかという、そういう地方自治にかかわる基本的な、今議員がお話しになった役割分担の具体的な議論ができるものと、こういうふうに期待をしておりました。必ずしも、市町村側からそういう我々の案に対しての具体的な、また、対応の考え方が十分出てきているわけではございませんけれども、例えば市町村と県との一番基本的な役割というのは、こういう振興局を具体的に見直す案をつくる中で一番議論されるものでありまして、別途、抽象的に議論されるものでありませんので、私はこういうことをきちっと提示していく中で、実は我々もそのことを大いに期待をしているところでございます。
 案の提示が随分唐突だとかいろいろお話しされましたけれども、恐らく今までのやり方ですと、非公式に市町村にいろいろお話をお伺いして、そしてその上で、例えば三つの広域圏を四つにいろいろと変更した上で案を世の中にお示しするということが多かったと思うんですが、今回はそうではなくて、基本的な県の考え方とそれから市町村側のそうした具体的な考えというのはやっぱりオープン、県民の皆さんにもわかっていただきたいということで、あえてそういうこともわかるような過程で提示しておりますので、私は今議員がお話しになった考え方というのは、かなりの部分、私なりと同じ方向を目指したお話ではないかというふうに受け取っております。
 それからもう一つ、大変市町村側の指摘で大事だと思いますのは、権限移譲のことを今お話しされました。大きく権限移譲、県の方でも、ことしの4月とそれからそれ以前のときと2回、市町村に権限移譲の提示をしたんですけれども、市町村側の方から、特に土地利用についての権限がなかなか市町村におりてこないという御不満が、今お話しされましたがそれが出ています。これは前からお話ししていますが、法律上の制約でできない部分が多いのと、逆に、今の都市計画法はほとんど市町村が策定主体になっていまして、余りにも市町村に行き過ぎたがために、例の大型店の問題など対応できない問題があって、逆に今度、県の方で、そこの権限をもう一度県の方にしようかという話があります。ですから、私はそうしたことを考えると、権限移譲についての問題なども、市町村の皆さん方にも、そういった内容についても、県の方にそういった実態を踏まえた意見をいろいろ出していただきたいなというふうに思っています。
 それから、あと教育委員会の話もされたんですけれども、これは例ですけれども、私、実は今お話しの中で、メッセージの危険性ということを議員の方もお話しになりましたけれども、極端に教育委員会不要というようなお話も出ているんですが、私は政治的な中立性から言っても、そこまで極端に走っていいのかという非常に危険性を感じています。教育委員会というのは、やはり政治的にも中立な立場でなければいけないんで、もっと教育委員の任命などを通じて教育委員会の活性化ができるんではないかと。ですから、こういった教育の問題については制度の手直しも必要だと思います。それから運用で多く解決できる問題もあると思いますので、もっとその部分を真剣に自治体も考えるべきではないかというふうに思いますので、今、総じて御指摘については、よく我々も考えていかなければならない大変貴重な御指摘だと思っていますが、大きな今御指摘いただいたようなことも踏まえて、広域圏なり振興局の見直しなども私どもで市町村といろいろ議論して、それを通じて県民の皆さん方に御理解をいただくべく努力をしていると、この点を御理解いただければなと思います。

〇農林水産部長(今泉敏朗君) 集落ビジョンの策定は確かに全国に先駆けた取り組みだったわけでありますが、その後、それの実践ということになるとなかなか熟度が高まらないと、高まっていないというのが現状でございまして、それに関連して、現地でのいろいろな声ということも私に届いているところであります。
 今般、本庁の各課にまたがっている担い手対策に関する業務を集中化するということは、そういったことへの対応策の一つというふうにとらえております。こういった組織再編というか組織対応に当たりましては、集中化できるものは集中化し、現地対応に任せた方がよいものは現地に任せるという、こういった基本的な考えのもとで行っておりますので、今回の集中化に当たっても、当然そうした基本的な考え方に沿ったものであります。これによって、担い手対策というものが今以上に私は加速化できるし、また、ぜひ加速化したいというふうに考えております。

〇県土整備部長(橋本義春君) 品確法についてのお尋ねでございますけれども、先ほど答弁申し上げましたように、まだ国のガイドラインが出ていないということもございますので、もちろん、それらを拝見させていただいてからになりますが、私が申し上げましたのは、国から示されたそういうガイドラインそのままではなくて、例えば本県では、そういう品質の悪いものが現在発生していないということや、それから企業の技術力といいますか、中小の企業であっても、そういう提案ができるようなシステムにしなければ効果が出ないということなどもございますので、そういうことも踏まえて考えていきたいということや、それから、市町村の状況も全国と比較して本県がどうであるというような、詳細に把握していないところもございます。そういうところも調査しながら対応していきたいという意味で、本県の実情を踏まえてというふうに申し上げました。
 また、今申し上げましたほかに、実際にガイドラインが出てからの確認になりますけれども、さまざまな方向で本県の状況を判断しながら取り組んでいきたいということでございます。
 それから、花巻空港でございますけれども、大型化につきましては、現在のエプロンでは、そのままボーディングブリッジを使っておりる機材ではないということで、正規の場所には駐機できない。辛うじてやるとすれば、それ以外の方法で、ほかの機材がいないときに、斜めにとめて移動式のタラップを準備するとか、そういうことをすれば利用が可能なこともあろうかと思いますが、そこら辺は私どもとしてはぜひそうしてもらいたいですし、また、これまで使った機材を継続して運航してほしいということも相手側には申し入れております。しかし、そういうサービスの点で、向こうの航空会社の方でまた改めて判断することになると思いますが、私どもとしては、ぜひ引き続き就航してもらうようにということで、これからも営業してまいりたいというふうに考えているところございます。

〇議長(伊藤勢至君) 次に、平澄芳君。
   〔11番平澄芳君登壇〕(拍手)


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