平成21年5月臨時会 第11回岩手県議会臨時会 会議録

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〇38番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
 議案第3号、第4号の反対討論を行います。
 議案第3号、第4号は、県の人事委員会の勧告に基づいて、特別職と一般職の職員の夏季の期末・勤勉手当を引き下げようとするものであります。
 反対する第1の理由は、県人事委員会の勧告が、従来の県職員の給与を決めるルールを無視した異例のやり方で、県独自の調査も行わず行われたことであります。
 国の人事院の勧告が、与党の国家公務員の給与の検討に関するプロジェクトチームの選挙目当ての政治的な動きに追随する異常なものでありました。また、人事院が実施した4月の特別調査は、対象事業所数が従来の5分の1の2、700社で、回答が2、017社、そのうち、夏季一時金を決定しているのが340社で13.5%、従業員数でも19.7%にとどまるなど、極めて不十分なものでありました。こうした中で、全国11県が給与改定の勧告を見送っているのであります。その主な理由は、未定事業所が多いこと、既に給与減額措置を実施していることなどであります。ところが、県人事委員会は、県独自の調査も実施することなく、県内でも未定事業所が圧倒的に多い中で、さきに結論ありきで、国の人事院の勧告に追随する勧告を行ったのであります。これは、労働基本権を制約した代償機関としての役割と県内の民間事業所の実態に基づいて行うべき県人事委員会の役割を二重に放棄する重大なものであります。
 第2の理由は、今回の夏季期末・勤勉手当の0.2カ月の削減は、県職員はもとより、連動して影響を受ける多くの労働者にとって、極めて大きな経済的打撃となることであります。
 県職員は既に10年連続で給与が引き下げられており、その総額は、県職員1人当たり平均約103万円の減額であります。給与費総額の減額は185億3、900万円となっています。こうした上に、今回の削減は県職員1人当たり7万8、000円、給与費削減の総額は、医療局、県立大学等を合わせ約20億円となるものであります。
 反対する第3の理由は、県は既に年間21億5、000万円の特例の減額を実施していることであります。
 この特例減額は、県職員1人当たり平均で年間8万8、000円であり、今回の夏季期末・勤勉手当削減の7万8、000円を超えるものであります。合計すると、年間16万6、000円の減額となります。特例減額を考慮しなかった県人事委員会の勧告はこの点でも不当であり、県も二重の減額を行うべきではありません。
 反対する第4の理由は、県人事委員会の勧告とそれに基づく県職員の夏季期末・勤勉手当の削減が、県職員のみならず、1万4、000人余の市町村職員や病院、学校、福祉施設職員などに連動し、大きな影響を与えることであります。また、これから給与やボーナスを決めようとしている県内中小企業に賃金引き下げの影響を与え、賃金引き下げの悪循環を引き起こすことになりかねないということであります。
 反対する第5の理由は、県職員と市町村職員や影響を受ける労働者の夏季期末・勤勉手当の削減は、疲弊している県内地域経済に大きな打撃となるということであります。
 県職員のボーナスカットと特例減額分の削減額の合計は約45億5、000万円分でありますが、それは69億円余のマイナスの経済波及効果をもたらすものであります。昨年までの10年間の削減額185億円余の影響額は、約280億円の経済波及効果であります。
 1月から3月期の日本のGDP―国民総生産が年率で15.2%の落ち込みとなりました。日本経済の、世界でも異常な落ち込みの最大の原因は、内需の落ち込みであります。雇用者報酬、賃金引き下げこそ、その最大の要因であります。県職員、公務員の賃金の引き下げは民間の賃金引き下げの要因ともなり、さらに内需を落ち込ませ、経済危機を深刻化させるものと言わなければなりません。直面する経済危機を打開するためにも、賃金引き下げの悪循環を断ち切る必要があります。
 反対する第6の理由は、民間企業の賃金引き下げの最大の要因は、大企業による利益第一主義の横暴にあるということであります。
 この10年間、日本の大企業は史上空前の利益を上げてきました。大企業の経常利益は211%で2倍以上にふえ、企業の株主配当は303%、3倍にふえたものの、従業員の給与は90.7%と引き下がったのであります。中小企業への下請単価も引き下げられ、中小企業の役員報酬は86%に引き下がっています。
 今、トヨタやソニーなど大企業は、これまでため込んだ内部留保には手をつけず、派遣や期間社員などを物のように切り捨て、工場閉鎖や正社員の賃金カットを行い、一方で、株主には赤字でも配当をふやしているところまであります。こうした大企業だけが利益を上げ、労働者や中小企業を犠牲にするEUなどには見られない大企業の横暴を根本から正すことが、内需を拡大し経済危機を打開する緊急の課題となっているのであります。
 労働者の賃金を引き上げることは、本来、経済危機の打開にとっても県民の暮らしを守る上でも社会的な大義を持つ課題だと、このことを強調して私の討論といたします。
 御清聴ありがとうございました。
〇議長(渡辺幸貫君) 以上で通告による討論は終わりました。
 これをもって討論を終結いたします。
 これより、議案第3号及び議案第4号を一括して採決いたします。
 各案件は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(渡辺幸貫君) 起立多数であります。よって、議案第3号及び議案第4号は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
 次に、議案第1号及び議案第2号を一括して採決いたします。
 各案件は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(渡辺幸貫君) 起立全員であります。よって、議案第1号及び議案第2号は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
   閉 会
〇議長(渡辺幸貫君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 これをもって本日の会議を閉じ、第11回県議会臨時会を閉会いたします。
   午後4時18分 閉 会

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