平成21年2月定例会 第10回岩手県議会定例会 会議録

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〇1番(木村幸弘君) 政和・社民クラブの木村幸弘です。
 議案第77号平成20年度岩手県一般会計補正予算(第7号)並びに議案第78号平成20年度岩手県立病院等事業会計補正予算(第3号)について、委員長報告に賛成の立場で討論いたします。
 この補正予算は、去る3月6日の本会議において、修正案として可決された交通アクセスの確保に関する事業経費として、マイクロバス5台分の購入に充てる補正予算2、300万円を削除したことについて、知事は再議を行使し、改めて議案を分割した上で提案されたものであります。
 この問題を審査する前提となっていた新年度予算の特別委員会での審査において、私どもは、保健福祉部、医療局の予算案について、新しい経営計画の4月実施を一たん凍結し、当該地域との協議を担保し、地域医療体制のあり方を一定期間において十分に協議を行う必要性を求めてまいりました。しかし、一方では、年度末を迎えて、人事の発令を初めとする新年度体制への既成事実が着々と積み重ねられる状況のもと、新年度予算の今日の厳しい経済、雇用情勢への早急な対策や県政全般の運営に対し、新年度をまたいで切れ目のない取り組みが求められているとの大局的な見地に立ち、厳しい判断を迫られる中、組み替え動議を提出し、極めて選択肢の限られる終盤局面において、苦渋の決断として、実施時期については依然として納得ができないものではありますけれども、動議の一部が受け入れられ、地域における早期の休床解消に向けた地域医療体制の協議が推進されることをもって了といたしました。
 そこで、この補正予算の審議については、3月5日の委員会連合審査会において、当初提案された時期と提出の説明不足などの問題とともに、審査の過程において、バス購入による具体の運行計画や考え方についても具体的な需要動向が調査されていないことや、他の交通機関利用との負担割合の根拠についても見積もりをとるなどの検討が行われていないこと、当該自治体の地域交通政策との連携や協議の必要性、他の医療機関との差別化とならないのかなど多くの問題点を指摘し、明らかにしてまいりました。今回の審査において、改めて知事の拒否権発動とも言える再議の手続を踏んで、異例の原案撤回と議案分割による再提出という手段をもってしてまで今予算を成立させたいということであれば、指摘された問題点に対する改善策や検討の努力が示されるべきではなかったでしょうか。
 さらに、この間、医療局からは、各診療センターの入院患者の転院先などの資料も提示されましたが、転院先が圏域内や圏域外を含めて多くの医療・保健・福祉施設に及んでいる実態の中で、具体のバス運行において入院転院先の対応が複雑で、かえって非効率で便宜性を欠くものになりかねず、結果的に他の交通手段も含めて検討せざるを得なくなることが容易に想定されるものであります。
 結果的には、前回も指摘したとおり、具体的な運行に当たる問題点が十分に検討されないまま、とにかく国の交付金活用ありきという発想から措置したとの姿勢が大前提にあって計上されたものであり、今日、公金をめぐる厳しい世論の指摘がある中で、実施する中で協議し、対応していくというような説明では、到底納得できるものではありません。したがって、私どもは、現実的に4月から休床化されることについて、患者及びその家族の利便性を確保するための移動手段の必要性については否定をしているものではなく、これまで指摘してきた問題点を踏まえたときに、他の交通手段も含めて、当事者の意向を踏まえ検討することが必要であると指摘をし、しっかりと委員会の中で議論をしてきた上で、マイクロバスの整備については、その妥当性を判断することができないとしたものであります。
 終わりに、知事に申し上げます。これまで、この経営計画をめぐる議論を行う中で、知事自身も、当初提案された時期から今日に至るまでの間に、世論を二分するような重大な問題になるとどこまで認識されていたのでしょうか。唐突な提案と手続の不備を指摘した当初、知事は、ベストな案だと豪語した時点から、この問題の議論の方向性を極めて狭く、限定的なものにしてしまったのではないでしょうか。岩手の医療の危機は、本来、無床化を示された該当医療機関と地域だけの問題ではなく、知事のおっしゃるオール岩手の問題として、各二次保健医療圏ごとの地域医療をどう維持し、確立していくのかという議論こそ、先にしっかりと行うべきではなかったでしょうか。
 二元代表制のもとにおける知事の予算提案権と執行権は絶大なものであり、その権力を行使するについては、今回の対応について反省すべきは反省し、今後の県政運営においても礼を尽くすという態度をとるのであれば、より慎重な審議を行い、適切な手続による判断を強く求めるものであります。
 私どもは、今回、異例な提案がなされ、限られた時間の中で議会としてとり得る最大限の努力を傾注し、議論を行ってまいりました。結果として、掘り下げた議論を通じて問題点を浮き彫りにし、不十分ではあったと思いますけれども、当該地域、住民の思いの一端を県民の前に明らかにすることにより、医療に対する県民意識への関心を高めることができたと思っています。
 今後は、予算化された事業の検証を当然のこととして、県や市町村との間における不信感の解消や危機意識を県民と共有する中で、地域医療の確保と充実を一層推し進める決意を申し上げ、討論といたします。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
〇議長(渡辺幸貫君) 次に、小野寺好君。
   〔48番小野寺好君登壇〕

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