平成21年2月定例会 第10回岩手県議会定例会 会議録

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〇38番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
 議案第1号、第13号に反対の討論を行います。
 議案第1号は2009年度岩手県一般会計予算であります。
 反対する第1の理由は、最も切実で緊急な課題である雇用対策について、極めて不十分な取り組みとなっていることであります。県の調査でも、3月末までに6、222人が雇いどめ、解雇されると把握されているにもかかわらず、県の来年度の雇用確保の計画は2、700人にとどまっています。これでは3、500人を超える失業者は路頭に迷ってしまいます。一人たりとも路頭に迷わせない対策が必要であります。また、非正規労働者の雇いどめ、解雇の多くは違法、無法なものであります。契約期間中の派遣労働者の雇いどめは違法であります。3年以上働いている派遣労働者は、派遣先が直接雇用を申し出る義務のある労働者であります。解雇どころか、直接雇用しなければならない労働者であります。現行法のもとでも雇用を守る対策は可能でありますが、県の対応は岩手労働局任せで、全く不十分にとどまっています。
 誘致企業の雇いどめ、解雇は6、222人中5、403人で、86.8%を占めています。関東自動車は昨年3月末で1、024億円の内部留保をため込んでいました。この4年間で210億円もふやしています。12億円あれば400人の期間工の雇用が守られます。ふやした内部留保に手をつけずに、県内で390人も雇いどめ、解雇を行うことは合理的な理由がないと言わなければなりません。体力を持っている大企業、誘致企業に雇用を守る社会的な責任を果たさせることが特別に必要であります。
 県の離職者対策資金の貸し付けはわずか2件、国の就職安定資金も12件にとどまっています。雇用促進住宅への入戸も、空き室戸数320戸に対し、入居が64戸、県営住宅にはわずか5人の入戸、市町村住宅には9人にとどまっています。生活と住居を守る対策を抜本的に改善すべきであります。
 反対する第2の理由は、国の社会保障費削減、医療費削減政策に追随して医療・介護・福祉を切り捨てる政策を進めていることであります。国の年間2、200億円の社会保障費削減政策、医療費削減政策は深刻な医師不足と医療崩壊を招くとともに、保険あって介護なしと言うべき介護保険、厚生労働大臣自身がうば捨て山医療と認めた後期高齢者医療制度、高過ぎる国保税で滞納者が急増し、保険証取り上げで金の切れ目が命の切れ目となっている実態など、完全に行き詰まり、破綻しています。
 国の公立病院改革ガイドラインは、医療費削減を目標に、公立病院の再編、リストラと地域医療の切り捨てで病院と病床を一層削減しようとするものであります。ところが、達増県政が作成した県の公立病院改革推進指針は、破綻している国のガイドラインに追随し、さらに輪をかけて、かけがえのない地域の病院の診療所化と、県立病院、診療所の無床化を目指すものでありました。岩手県には、全国に先駆けて老人医療費の無料化を実施するとともに、全国で初めて乳幼児死亡率ゼロを実現させた旧沢内村の生命尊重行政の輝かしい実績と伝統があります。全国の地域医療のモデルとされる藤沢町民病院の地域包括医療の取り組みもあります。県立東和病院の取り組みも重要です。こうした実績と伝統を県内に広げることそこ、岩手県が果たすべき役割ではないでしょうか。
 達増知事は、危機を希望にとスローガンを掲げていますが、実態は、危機から地域医療の切り捨て、危機から我慢の押しつけとなっているのではないでしょうか。
 反対する第3の理由は、無駄と浪費の大型開発によって県財政の危機的状況をつくるとともに、いまだに無駄というべき大型開発にしがみついていることであります。321億円の花巻空港整備事業は、90万人の利用客を見込んでジャンボ機も就航できることを目指したものでした。今年度の利用客は30万人台にとどまっています。1、354億円もの港湾整備事業も、過大な貨物取扱量の計画に対し、実績は下がり続けるという実態です。その結果は、1兆4、000億円を超える県の借金をふやしたのであります。しかし、事業だけは計画どおりに続けられるという異常な状況となっています。これは過去の問題ではありません。今でも必要もない530億円の簗川ダム、河川改修より70億円も過大な津付ダム建設事業を進めようとしているのであります。岩手河川国道事務所の建設費まで負担させられていた、県土整備部分だけで150億円を超える国の直轄負担金についても、根本的に見直しを求めるべきであります。
 反対する第4の理由は、農林漁業、中小企業対策など地場産業、地域産業の対策が貧困なことであります。農家は、低米価、飼料・肥料高騰で営農の危機に直面しています。輸出、外需頼みで内需を犠牲にしてきた結果、岩手の地域経済は深刻な景気の後退に苦しんでいます。食料供給基地を標榜するなら、再生産を保障する価格補償、所得補償の対策を講じるべきであります。企業の99.8%、従業員数の87.1%を占める中小企業対策予算が、融資を除くとわずか35億4、000万円余、一般会計予算の0.5%にとどまっていることは問題であります。
 議案第13号は、2009年度岩手県立病院等事業会計予算であります。
 県立病院の医師や看護師等職員が地域医療の確保のために献身的に取り組んでいることに敬意を表するものであります。しかし、地域住民の願いに背を向けた予算になっていることは重大であります。
 反対する第1の理由は、五つの診療センターの無床化を強行する予算となっていることであります。県立病院の新しい経営計画は11月17日に示されましたが、県立沼宮内病院と九戸、紫波、大迫、住田、花泉の5診療センターの無床化を進めるものでありました。地域住民と自治体にとっては全く寝耳に水の内容で、5診療センターについては4月から無床化を実施するという有無を言わせぬ異常なものでありました。
 医療の問題は、住民の命にかかわる最も重大な問題であり、当該自治体にとっても最大の課題であります。無床化を強行するという地域医療のあり方にかかわる問題で、住民の声も、自治体の声も聞こうとしない知事と医療局の態度は一層住民の反発を広げました。県議会が2度にわたって修正案を可決し、予算委員会では動議を可決したことは、知事と医療局に対する県議会の意思を示すものでありました。
 反対する第2の理由は、診療センターの無床化の強行が、地域が築いてきた保健・医療・介護の連携を崩しかねないことであります。岩手町の全国に誇るがん検診の先駆的取り組み、紫波、住田、大迫などでの訪問診療、介護との連携など、まともな協議もなく切り捨てられようとしていることは重大であります。
 第3に、新しい経営計画では、県立病院の役割として、広域で実施する必要のある医療を提供すること、その機能を中心とすると規定しています。これは、県下にあまねく医療の均てんをという県立病院の創業の精神を事実上変質させるものであります。地域の住民がみずからの運動と資材を提供してつくり上げた県立病院の歴史と伝統を踏まえ、不採算の地域であっても、県立でこそ医療は守り抜くべきであります。
 第4に、高齢化社会を迎え、地域医療は高齢者の命と生活を支える医療であり、これからますます重要となってくるということであります。専門的高度医療だけではなく、高齢者の命と生活を支える地域包括医療に県は正面から取り組むべきであります。
 第5に、地域医療は医師と住民がつくる文化であります。医師と住民との協働、開業医との協働をつくることこそ必要であります。住民の声にも、開業医の声にも耳を傾けない、自治体の声も、県議会の声も聞かない達増県政の態度は、まさに地域医療の構築に背を向けた許せないものであります。
 議案第12号は、2009年度岩手県港湾整備事業特別会計であります。既に述べたように、計画は過大に、実績は過小に、事業は過大なまま進められるという無駄と浪費の事業となっており、見直しを求めて反対するものであります。
 議案第16号から21号は、県の公共事業について、関係市町村に経費の一部を負担させるものであります。負担の是非を含めて検討すべき課題であり、反対するものであります。
 以上で私の討論といたします。御清聴ありがとうございました。
〇議長(渡辺幸貫君) 以上で通告による討論は終わりました。
 これをもって討論を終結いたします。
 これより、議案第1号、議案第12号、議案第13号、議案第16号から議案第21号までを一括して採決いたします。
 各案件は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(渡辺幸貫君) 起立多数であります。よって、議案第1号、議案第12号、議案第13号、議案第16号から議案第21号までは、委員長の報告のとおり決定いたしました。
 次に、議案第2号から議案第11号まで、議案第14号、議案第15号、議案第22号、議案第26号、議案第27号、議案第31号から議案第35号まで、議案第37号、議案第39号、議案第40号及び議案第74号を一括して採決いたします。
 各案件は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(渡辺幸貫君) 起立全員であります。よって、議案第2号から議案第11号まで、議案第14号、議案第15号、議案第22号、議案第26号、議案第27号、議案第31号から議案第35号まで、議案第37号、議案第39号、議案第40号及び議案第74号は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
   日程第35 議案第23号岩手県の事務を市町村が処理することとする事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例から日程第53 請願陳情まで
〇議長(渡辺幸貫君) 次に、日程第35、議案第23号から日程第53、請願陳情までを一括議題といたします。
 各案件に関し、委員長の報告を求めます。工藤総務委員長。
   〔総務委員長工藤大輔君登壇〕

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