平成21年2月定例会 第10回岩手県議会定例会 会議録

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〇42番(伊藤勢至君) ただいまの岩渕誠議員の調査研究を進められ、提言を含めての質問は、大変立派だったと感服いたしたところであります。私も、この格を落とさないように、老婆心ながら二、三質問させていただきたいと思います。
 実は、私は12月の定例会にかかりました請願に賛成いたしました。それは、無床化反対の請願であったわけでありますが、私の反対の理由は、説明不足である、重大な問題でありながら県民に対する説明が不足だという思いから、実は反対をいたしました。
 その後、これは両者の意見を十分に聞く必要がある、そういう思いがいたしまして、病院の先生方の意見も自分なりに伺ってきたところであります。そうした中で、平成16年度以降の約5年間で165人のお医者さんが県立病院を離れてしまった、これは大変重大なことでありますが、その根っこの一つは、平成15年にも医療改革が若干ございまして、その際に、現場の医師の要求がうまく取り入れられなかったという点がまずあったようでありまして、その間、各病院の院長先生方が、自分の後輩らを中心に、何とか頑張って残ってくれ、残ってくれという思いが届かなかったという思いが、実はあったようにも伺ったところであります。
 院長先生からも伺いました。また、うちの会派にも院長先生においでいただいてレクチャーをいただきました。そういう中で、30代、40代の先生方がやめる大きな理由は、議場では待遇という話も出たようでありますけれども、そうではなくて、若い先生方は、特に、末は博士か大臣かという話がありますように、論文を出して博士号取得を目指している。しかし、その論文を書く時間さえとれない。36時間勤務、ろくに寝ない、食べない、半日休んで、また病院に来て診察をする。命を預かることでありますから神経も使う、大変だ、こういうことが一つのようであります。
 そしてもう一つは、お若い先生ですから、お子さんも小さいんだと思いますけれども、子供と遊ぶ時間、子供の顔を見る時間もほとんどない。子供は寝ているお父さんの顔を見るかもしれませんが、子供が遊んでもらえないというお母さんの思いが非常に強いようであります。何のためにそこまで命にやすりをかけて県立病院に勤めなければならないのか、こういうことになってやめていかれた各先生方の主な理由は、民間の病院に移る、あるいは大学病院に戻って研究機関につく、あるいは自分で開業する、主にこの三つのようでありますけれども、その根っこは、やはり過酷な勤務にある、こういうふうに思ったところであります。
 これは、まず出血をとめなければならない。しかる後に輸血をしていかなければ、幾ら輸血をしても、お医者さんがどんどん抜けていく状況では役に立たないと思うんですが、そこでちょっと医療局長に伺います。
 今年度4月1日から北上の岩手中部病院が開業する予定ですね。ここにも、それなりの中核病院でありますから、お医者さん、看護師を初め、相当のスタッフが必要だと思います。そのスタッフというのは、現有勢力の中から、ちょっと言葉が足りないかもしれませんが、間引きをして数をそろえるということになるんでしょう。どのくらいの人数を持っていくんでしょうか。そうした場合に、今、県内の病院の現有勢力がどのくらい減るのでしょうか。まず、そのことを医療局長にお伺いします。
 それから、続けて、保健福祉部長に伺いますが、今回の公立病院改革につきまして、総務省の自治財務局長からガイドライン、通知ということで、これが昨年12月24日に届いているようであります。その中を見ますと、地域において真に必要な公立病院の持続可能な経営を目指し、経営を効率化、そして地方公共団体は、平成20年度内に公立病院改革プランを策定せいと。そして、さらに、プランの云々くんぬんについては何年に1回公表せいとかなんか言って、最後に、財政支援措置のところで、公立病院に関する既存の地方財政措置についても見直しを検討。
 これは、私が読みますと、見直しを検討というのは、こっちが言うようにやらなければ予算を削るぞという、これはブラフなのではないかと私は思っているんです。そういう外的条件があった中で、当然、医療局と保健福祉部は共同して岩手県の改革プランをまとめたのだと思うんですが、これについては、まず保健福祉部長から伺います。
 それから、両者共通で伺いたいと思いますのは、県下にあまねく医療の均てんを、大変ヒューマニズムな立派なテーマのもとに県営医療がなされてきました。しかし、今日、60年たって、県立病院よりも立派だとも言える私立の、あるいは財団法人の、社団法人のいろいろな病院が出てきていますし、開業医もふえてきている、状況が変わっております。
 しかし、そういう中で、医療局、保健福祉部の関係において、保健福祉部は、お医者さんを見つけて医療局に預ければ、医療局はそれを配置して、それでお役目が終わり、そういう全く連携のない関係にあったのではないか、私にはそのように思われてなりません。しかも、県下にあまねく医療の均てんをという言葉が水戸黄門の印籠になりまして、どうも、お医者さん方を自分たちが使ってやる、お医者さんのほうが下だ、そういう思いがずっとあって、そんな思いもお医者さんには余りいい傾向として受け取られていないようであります。
 今後の、そういった点も含めて、交互に御返答をまず願いたいと思います。
〇医療局長(田村均次君) まず、中部病院の関係でございますけれども、中部病院は今、特に看護師に関しまして、花巻厚生病院と北上病院それぞれ10対1看護でやっているわけですが、でき得れば7対1の看護体制を組みたいという強い要望がございます。我々とすれば、今回の診療所の見直しに関連して出てくる看護師さんも含めて、そういったことに充てて、7対1というものをとりますと、看護の基本料ということで収入面でも大変な寄与がございますので、そういったものも含めて看護体制の強化に充てたいと考えております。
 それから、保健福祉部との連携というお話でございますけれども、今回、保健福祉部との共管で、医師確保対策室ではなくて医師支援推進室という組織をつくりました。共管の組織でございます。それで、今までは確保という部分を中心にやっていたわけですが、やはり医師を支援するためのさまざまな施策というものに連携して取り組むべきではないのかというような判断で、そういった組織をつくりまして、医師の支援を積極的に推進していきたいと考えております。
〇保健福祉部長(岩渕良昭君) 公立病院改革推進指針につきましては、総務省で示したガイドラインを踏まえましたけれども、特にも本県の公立病院は、県立病院を中心として本県医療の重要な部分を担っているという特殊性も勘案しながら、指針を策定したところでございます。
 具体的には、民間病院とか他の病院との機能重複を避けて、効率的なネットワークを形成できるように、機能調整、規模の適正化というようなものも入れまして、県全体として一定の方向性を示したわけです。
 その策定に当たりましては、医療制度改革推進本部会議を6回ほど開きまして、知事以下、関係部局長、当然この中には医療局長も入っておりまして、常に情報交換をしてまいりましたし、そして、この指針と医療局の新しい経営計画の整合性がとれるように、事務的にも随分やりとりをして、協調してつくり上げたと考えております。
 それから、保健福祉部と医療局の連携につきましては、いずれ、先ほど医療局長から申し上げました医師確保支援の共管のほかに、当然、この全県の医療行政の中の中核としての県立病院との連携をもっと深めたいと思っておりますし、それから、やはり介護・福祉との連携、これは非常に重要な事項でありますので、これについても、これまで以上に連携を深めてやっていきたいと考えております。
〇42番(伊藤勢至君) 医療局長、先ほど、中部圏医療の病院のお医者さんの確保は十分かということも伝わったかと思ったんですが、伝わっていなかったらもう一回答えていただきたい。
 それから、知事にお伺いいたします。
 今回のことで当該の地域の方々が一番不安に思っておられるのは、前回はベッドが19になった。今度はそのベッドがなくなる。恐らく次は病院廃止が来るのではないか。そこまで読んで、多分大きな不安をお持ちになっているんだと思います。
 そういう中で、昨日の工藤勝博議員の質問に関して、田村誠議員が関連質問をされ、その際に知事は、今回の計画では、一たん病床は休止としつつ、地域の皆様の意向を踏まえ、民間の医療、福祉関係者や市町村が病床を活用する道を残しているところでございまして、県としては、このような取り組みに対して最大限の支援を行うこととしておりと言いながら、なお、段が変わって、地域診療センターにおける病床の休止は4月から実施することとしつつ、御提案の趣旨が生かされるような地域との話し合いを続けていきたいと考えておりますのでと、こういうふうに発言をされております。したがいまして、20年、30年先はともかく、今、知事のお心は、とりあえず休床にして、そしてお医者さんを確保できた段階ではまた戻すという希望あるお答えをいただければ、ある程度当該地域の方々も少しは御納得をいただけるのかという思いがいたします。全くゼロにしてしまうということではなくて、ここで語っておられますように、まず休止をして、そして医師団の回復がなったら戻すということが大事かと思っています。私が2人ほどの院長先生から、今回の計画が通らない場合は、今まで何とか残ってくれと願ってきた若いお医者さんをとめれないというふうに言われました。したがいまして、平成16年度以降、約5年間の165人を超えたペースでお医者さんがやめることになりかねないという危惧を持っておりますので、その辺も御勘案をいただいて、特に当該地域の皆様にも、不安をぬぐい去るような御説明があればよろしいかと思いますが、御所見があれば伺います。
〇知事(達増拓也君) 伊藤議員から、出血をとめることがまず大事だと。そうでなければ、幾ら輸血をしてもどんどん出血が続くという例えがありましたけれども、私も同じように思っております。まず、勤務医が今のままではどんどん退職がさらに重なって、岩手全体の地域医療が大崩壊をしていく、もうその大崩壊が始まりつつある現状でありますので、まずはそれをとめさせていただく。そして、その出血をとめている状態の中で、せっかく設備があり、病床もあるわけですから、当該地域の市町村あるいは民間開業医の皆さんもいろいろ提案をしてくださっています。そういう中で、いろんな工夫をしながら、地域の皆さんがより安心をしながら、また、命や健康の確保ということをより確かなものにしていくためにしっかり協議ができる、そういう時間と場を確保していくということを経営計画の修正案に取り入れたというふうに思っておりますので、ぜひ県もその協議に参加し、また、さまざまな支援をしていく決意でありますので、ぜひ、地域の皆さんはそうしたことに積極的に参加をしていただいて、県と地域が一緒になって、県民一人一人の命と健康を守っていくということを実現させていきたいと思います。
〇議長(渡辺幸貫君) 私から申し上げたいんですが、答弁漏れだと思うんですが、今、知事は、1回目の質問に対して、かかわることについて、答弁漏れだと思ってお手を挙げられたんだと私は解釈をいたします。
 なお、岩渕保健福祉部長か医療局長かわかりませんが、国からの指導に対する財源等について、どういう影響があるかという質問についてお答えがなかったように思いますが。(「おかしいよ」と呼ぶ者あり)いや、質問者は2度しか発言ができませんので。答えをしましたか。国の指針に対しての財源の影響があるかどうかという質問がありましたね、さっき。
〇保健福祉部長(岩渕良昭君) 公立病院に関する既存の地方財政措置の見直しとか、あるいは政策経費等の御質問だと思いますけれども、基本的にこれは再編、ネットワーク化に伴ういわゆる割高経費とか割増し経費の地方財政措置を行うとか、あるいは過疎地の公的病院、日赤、済生会、厚生連にも財政措置を行うとか、今回新たに予算上出てきたのは、いわゆる特別交付税とか普通交付税によります増額をするということでございます。全体的にそういう改革をやりつつ財政的にも支援をしようという中身でございまして、基本的には今までの過疎対策とか、産科、小児科、救急医療の普通交付税措置を少しふやそうということでございますが、先般にも答弁いたしましたけれども、いずれ、公立病院全体の経営が直ちにずっとよくなるというものでもありませんので、いずれ、改革は進めなければならないと考えております。
〇医療局長(田村均次君) 北上中部病院のドクターの関係ですけれども、基本的には北上と花巻厚生のお医者さんたちを引き継ぎながらということなんですけれども、診療科によって多少その調整をしつつ、ただ、両病院合わせても足りない診療科も一部ございます。例えば麻酔とか、そういったものについては大学といろいろ協議しながら、確保しながら診療体制を整えてきているということでございます。
〇議長(渡辺幸貫君) この際、暫時休憩いたします。
   午後2時42分 休 憩
出席議員(46名)
1  番 木 村 幸 弘 君
2  番 久 保 孝 喜 君
3  番 小 西 和 子 君
4  番 工 藤 勝 博 君
5  番 岩 渕   誠 君
6  番 郷右近   浩 君
7  番 高 橋   元 君
8  番 喜 多 正 敏 君
9  番 高 橋 昌 造 君
10  番 菅 原 一 敏 君
11  番 小野寺 有 一 君
12  番 熊 谷   泉 君
14  番 高 橋 博 之 君
15  番 亀卦川 富 夫 君
16  番 中 平   均 君
17  番 五日市   王 君
18  番 関 根 敏 伸 君
19  番 三 浦 陽 子 君
20  番 小田島 峰 雄 君
21  番 高 橋 比奈子 君
22  番 高 橋 雪 文 君
23  番 嵯 峨 壱 朗 君
24  番 及 川 あつし 君
25  番 飯 澤   匡 君
26  番 田 村   誠 君
27  番 大 宮 惇 幸 君
28  番 千 葉 康一郎 君
29  番 新居田 弘 文 君
30  番 工 藤 大 輔 君
31  番 佐々木 順 一 君
32  番 佐々木   博 君
33  番 工 藤 勝 子 君
34  番 平 沼   健 君
35  番 樋 下 正 信 君
36  番 柳 村 岩 見 君
37  番 阿 部 富 雄 君
38  番 斉 藤   信 君
39  番 吉 田 洋 治 君
40  番 及 川 幸 子 君
41  番 佐々木 一 榮 君
42  番 伊 藤 勢 至 君
44  番 小野寺 研 一 君
45  番 千 葉   伝 君
46  番 佐々木 大 和 君
47  番 菊 池   勲 君
48  番 小野寺   好 君
欠席議員(1名)
43  番 渡 辺 幸 貫 君
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後3時0分 再開
〇副議長(佐々木大和君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。阿部富雄君。
   〔37番阿部富雄君登壇〕(拍手)

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