平成21年2月定例会 第10回岩手県議会定例会 会議録 |
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〇26番(田村誠君) 関連をさせていただきたいと思います。
まず、本定例会においての代表質問や、ただいまの工藤勝博議員の県立病院経営計画に関し、知事初め当局の依然として一方的な、計画案を出ない答弁をお聞きいたしまして、大変残念であります。 まず、昨年末に県立病院の経営計画が明らかになって以来、県内各地で医療に関しての議論がなされ、現下の医療体制にかかわるさまざまな課題が明らかになってきております。地域医療のあるべき方向について県民世論がさまざまな形であらわれ、また、多くの県民が関心を持ち、地域の医療を守っていく方向性を県民がともに議論する絶好の機会が訪れていると言っても過言ではございません。いまだ不十分ではありますが、一つ、医療現場での疲弊感が如実にあらわれ、その改善には一刻の猶予もないことに理解が進んできていること、二つ、経営改革を進めるに当たっては、県立病院と民間、県と市町村とのさらなる連携が必要であること、三つ、コンビニ受診などの県民一人一人が医療の確保について意識改革が必要であることなどが課題として挙げられてきております。 県当局では、経営改革の大きな柱である医師確保について、医師の労働環境の過酷さを掲げ、4月実施でなければ医師の失望感が増し、医師の退職が増加するとの理由で経営改革の4月実施は避けられないとしておりますが、議論の過程で明らかになってきているとおり、医師が現場を去る理由は、必ずしも労働環境のみならず複合的に絡み合い一様でないことから、その打開策を多方面から検討する必要があると思います。このまま経営改革を推し進め、4月実施では、無床化される診療センターを抱える地域の医療事情は、休日、夜間の無医地区化や、みとり医療の場がないことへの不安を到底払拭し切れず、県政への県民の不信を募らせる大きな要因にもなりかねないこと、今後の県政推進にとってマイナス要因となることが懸念されます。したがいまして、私は、ここで一度立ちどまり、医療現場に対して、県民すべてが真摯な検討をすることを現場の先生方の理解を得て約束し、議論を煮詰め、これからの課題を克服し、それを確実に実践していくことが求められているのではないかと考えますが、いかがでしょうか。 知事は、議論の場を継続して持つとの答弁をなされております。しかし、無床化を強行している中で冷静な議論は期待できるでしょうか。私は、そのような環境で建設的な議論は困難であると考えます。我が会派がかねてから主張してまいりましたが、かかりつけ医の積極的な普及によるプライマリーケアの確保を初めとする全県的な医療と福祉、介護の連携、切れ目のない医療の確保のあり方や、医療をそれぞれの役割分担のもとでネットワークで確保することについて、公立病院改革ガイドラインでも示されております。県は、殊さら二次医療圏での医療の完結を言うのであれば、保健福祉部を前面に出して、このことについて各地で早急に議論を進め、県民合意のプロセスを踏んでいくことが何よりも重要であると思います。 私どもは、今日の県立病院が抱えている実態について、決してこのままでいいとは思っておりませんし、改革は必要との立場で、タウンミーティングの開催や多くの関係者の御意見を聞きながら、真剣に議論を交わしてまいりました。しかし、今回の提案は、余りにも関係地域の県民の不安にこたえていない一方的な進め方で、到底承服できるものではありません。 そこで、我が会派から、本計画を、現行の体制を維持することを前提に、次の御提案を申し上げたいと思います。 県立病院が議論の場として設置しようとしている地域協議会を、二次医療圏ごとに、現在の県立病院経営にかかわる問題意識を共有し、県立病院施設を核とする地域医療体制のあるべき姿、目標を定めることを目的として早急に協議機関を設置し、特定地域の議論ではなくて、県民全体の議論を通じて、今日の県立病院の危機的状況の実態を共通認識の上で早急に結論を出すべきであります。その会議のメンバーは、県保健福祉部、医療局、そして市町村、県立病院機関及び医師代表、医師会、福祉関係の代表、住民代表などで構成し、計画発表以来、現実に多くの不安を抱き、議会の議論の成り行きを見守る方々が一日も早く安心できるよう、多くの県民が参加した、将来の地域医療に不安のない継続できる計画をつくるべきだと思いますが、今回の計画の進め方に対する知事の御所見と、我が会派の提案に対する、県立病院開設者である知事の御所見をお伺いいたします。 〇知事(達増拓也君) 県立病院の新しい経営計画に関する進め方について、また御提案についてでありますが、まず、地域診療センター等の無床化に関しましては、地域の皆様に不安や御心配をおかけしていることに率直に改めておわびを申し上げたいと思います。地域の皆様にとって入院施設がなくなることは大変なことであり、私としても苦渋の決断であることを御理解いただきたいと思います。 県立病院の平成21年度の常勤医師数については、平成15年度に比べて86人の減少となる見込みでありますが、病院の当直体制を組むには通常8人の常勤医師が必要であるのに対して、この4月からは新たに3病院で医師が減少し、常勤2人体制となる見込みであり、病院としての機能を維持していくことが難しく、これらの病院を支えていくためには、基幹病院からの診療応援をさらにふやさなければならない状況となっております。 先ほど医療局長から、基幹病院等からの各種応援の状況について、市町村立病院に対する応援も含め、説明があったと思いますけれども、中央病院や基幹病院でも医師数が減少しておりますことから、地域病院などを支えながら、4月以降、地域診療センターに対して当直等の診療応援を行うことは極めて難しく、さらには、有床診療所維持のままでは、花巻、北上の新しい中部病院などで看護体制の強化のための看護師の確保ができず、4月から予定している体制の実現が難しくなると考えております。4月以降は現状よりさらに常勤医が少ない状態で診療体制を組まねばならないという状況に直面しており、県立病院全体として診療体制を現状維持で運営することは、そもそも不可能な状況にあるところであります。 議論となっている地域診療センターを現行の体制のままとしつつ、一定の期間をかけて議論すべきとの御意見については、残念ながらおこたえすることは難しいことを御理解いただきたいと考えておりますが、他方、今回の計画では、一たん病床は休止としつつ、地域の皆様の意向を踏まえ、民間の医療、福祉関係者や市町村が病床を活用する道を残しているところでございまして、県としては、このような取り組みに対して最大限の支援を行うこととしており、また、使用料の減免措置でありますとか、介護保険事業への利用に対する支援措置でありますとか、そういった措置を講ずることとしたところであります。 地域診療センターにおける病床の休止は4月から実施することとしつつ、御提案の趣旨が生かされるような地域との話し合いを続けていきたいと考えておりますので、ぜひ御理解をいただきたいと考えております。 〇26番(田村誠君) そうですか。どうして、これまでこの現状というものを説明しないで、切羽詰った現時点になって、できないから医療の不利的な地域だけを切り捨てるのか。これはやっぱり大きな不満であり、不安であろうと思うんです。こうした方々に、先ほど協議をする機会、あるいはさまざまなものを検討しながらこたえていきたいという話をしておりますが、これは一日も早くぜひやって、期待にこたえていただきたいと思いますし、やっぱりここまで不安を与えたこれまでの医療局の対応というものに私は十分反省をしていただきたいし、なぜここまでやらなかったのか、理解を得られなかったのか、改めてもう一度、医療局のお答えをお聞かせいただきたいと思います。 そして、もう一つ残念なのは、これまで地域格差の解消は県政の重点課題だと言われてきていました。しかし、今回、改めて今度は医療格差が拡大していくわけであります。岩手県全体の医療というもののあり方を知事は検討すると言っておりますから、私は、ぜひそれをやっていただきたいと思いますが、今までやってきたのは、地域のこういう医療に対して不利的な、そして無床化という提案をされた地域だけの議論で終始してきているのだと私は思います。これをいち早く岩手県全体でやっぱり考えていただきたい。まだまだ認識の違いというのはありますから、何でああした、それでなくても困っている地域だけを切り捨てるのかという不満、これに私はぜひ早くこたえていただきたいと思います。県政の最大の課題は、県民の生命、財産を守ること、これに尽きるのだろうと私は思います。国の制度や政策、こうしたものによる医療崩壊にもつながっている要因もあります。こうしたことを早く、岩手の実態というものを訴えながら、ぜひ強化していただきたいと思いますが、ただ、私は、残念なのは、一方的に無床化を提案された地域の方々はますます不安を抱いていること、このことに今の一連の答弁ではこたえていない。きょうもこのように多くの皆さんが、どうなるんだ、あしたから我々はどこに行けばいいんだという不安を抱いて、時間をかけて、連日こうして傍聴しているんです。こうした方々に今後どうこたえていくのか、知事の、ここで一たん立ち止まって、皆さんの理解と、そして盛り上がりを生かした医療計画をつくるお考えはないか、もう一度御回答をお願いします。 〇知事(達増拓也君) 地域診療センター等の無床化に関して、地域の皆様に御心配、御不安をおかけしたことについては、重ねて申しわけないということを申し上げさせていただきたいと思います。 それから、議員御指摘の岩手県全体の医療について議論すべき、まさにそのとおりであると思います。今回の、去年11月に公表されました県立病院の新しい経営計画も、実は、岩手県全体の医療に関する新しい経営計画でございまして、そういった観点からの議論をいただきたいということで11月に公表いたしましたし、また、それが狭い医療局の経営の問題ということだけではなく、岩手全体の県民の命と健康の問題、県民みんなで地域医療を守っていく、そういう議論も同時にしていかなければならないということで、県民みんなで支える岩手の地域医療推進会議も設立し、そうした議論の場も県として設けさせていただいたところでございます。 宮古の重茂に住んでいる皆さんは、入院可能な病院まで車を30分走らせても到着しない、また、盛岡市であっても、薮川ですとか根田茂、砂子沢ですとか、やはり車を30分走らせても入院可能な病院に到達しない、そういう皆さんが岩手にはたくさんいらっしゃいます。 そうした人たちも含めて、岩手県民すべての命と健康を今の限られた医療資源でどうやって守っていけばいいか、その知恵を絞って、そして、診療所の近くの住民の皆様の御意見も踏まえて、8項目の修正を加えてできたものが、今の新経営計画でございますので、ぜひ岩手県民を守るための体制の立て直しということをまずさせていただいて、そして、政和・社民クラブ会派でも、このコンビニ診療を初めとする県民の意識改革が大事と主張されていると改めて今伺いましたが、そうした県民の意識改革と行動、勤務医を守り、病院を守る、そのことで県民一人一人の命と健康を守っていく、そうした県民の運動が次に必要と考えます。そして、第3に─というよりも、これが最初なわけでありますけれども、国の医療政策を変えさせる。この三つをやっていかなければ岩手の県民を守ることができない。しかし、この三つをきちんとやっていけば、岩手の県民の健康を守る、命を守ることは、必ずできると考えております。 ぜひ、議員の皆様には、この体制の立て直し、県民運動の盛り上げ、そして国の政策を変えさせる、この3点について御理解、御協力をいただきたいと思います。 〇医療局長(田村均次君) こういう現状をなぜ説明しなかったのかということでございますけれども、今まで必ずしも十分説明してこなかったということがあるとすれば、それについては、率直に申しわけないと思っております。ただ、今回、計画の中で非常に感じましたのは、この減少のスピードが尋常でないスピードで減ってきたということがあると思います。ゆっくりとしていれば、いろいろお話をしながらということがあったと思うんですけれども、再三申し上げていますが、平成18年、19年の2カ年で、それぞれ中核病院一つ分ぐらいのお医者さんがいなくなってしまっているという現状が、しかもここ二、三年、非常なピッチで進んでいるというようなことで、そういうような現状を受けて、今度、新しい経営計画をつくっているということでございます。 前回も、お医者さんが満足にいたということはなかったわけですけれども、5年前のときには、少なくとも常勤医師は過去数年横ばいのような状態の中で計画づくりを進めていたと思いますが、今回については、平成18、19年の2年間だけで60人近いドクターが常勤医師として減っている、そういう状況の中で今回出てきたということもあって、非常に急激な変化の中でこういう新しい経営計画をつくっているということで、御理解いただきたいと思います。 〇議長(渡辺幸貫君) この際、暫時休憩いたします。 午後2時40分 休 憩 出席議員(46名) 1 番 木 村 幸 弘 君 2 番 久 保 孝 喜 君 3 番 小 西 和 子 君 4 番 工 藤 勝 博 君 5 番 岩 渕 誠 君 6 番 郷右近 浩 君 7 番 高 橋 元 君 8 番 喜 多 正 敏 君 9 番 高 橋 昌 造 君 10 番 菅 原 一 敏 君 11 番 小野寺 有 一 君 12 番 熊 谷 泉 君 14 番 高 橋 博 之 君 15 番 亀卦川 富 夫 君 16 番 中 平 均 君 17 番 五日市 王 君 18 番 関 根 敏 伸 君 19 番 三 浦 陽 子 君 20 番 小田島 峰 雄 君 21 番 高 橋 比奈子 君 22 番 高 橋 雪 文 君 23 番 嵯 峨 壱 朗 君 24 番 及 川 あつし 君 25 番 飯 澤 匡 君 26 番 田 村 誠 君 27 番 大 宮 惇 幸 君 28 番 千 葉 康一郎 君 29 番 新居田 弘 文 君 30 番 工 藤 大 輔 君 31 番 佐々木 順 一 君 32 番 佐々木 博 君 33 番 工 藤 勝 子 君 34 番 平 沼 健 君 35 番 樋 下 正 信 君 36 番 柳 村 岩 見 君 37 番 阿 部 富 雄 君 38 番 斉 藤 信 君 39 番 吉 田 洋 治 君 40 番 及 川 幸 子 君 41 番 佐々木 一 榮 君 42 番 伊 藤 勢 至 君 44 番 小野寺 研 一 君 45 番 千 葉 伝 君 46 番 佐々木 大 和 君 47 番 菊 池 勲 君 48 番 小野寺 好 君 欠席議員(1名) 43 番 渡 辺 幸 貫 君 説明のため出席した者 休憩前に同じ 職務のため議場に出席した事務局職員 休憩前に同じ 午後2時58分 再開 〇副議長(佐々木大和君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 日程第1、一般質問を継続いたします。斉藤信君。 〔38番斉藤信君登壇〕(拍手) |
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