平成21年2月定例会 第10回岩手県議会定例会 会議録

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〇20番(小田島峰雄君) 民主・県民会議の小田島峰雄でございます。
 御配慮をいただきまして、久しぶりに登壇をいたしました。通告に従い順次質問をさせていただきますが、どうか、県民の皆様方に勇気と希望を与えるお答えを、ぜひともお願い申し上げます。
 最初に、本県行財政の現状と将来見通しについてお伺いいたします。
 達増知事におかれましては、このほど県政1期目の折り返しとなる21年度予算を編成されました。逆風立ち向かい予算と名づけたように、最悪とも言える経済状況、雇用危機、ミゾウユウの、もとへ、未曾有の危機的状況にある県財政の中での予算編成は殊のほか苦慮されたものと、心からお察し申し上げる次第であります。
 施政方針で述べられましたように、いわて希望創造プランを着実に推進するため、新地域主義戦略、いわてソフトパワー戦略の二つの基本戦略で臨むとの知事の強い姿勢は、必ずや成果をもたらすものと確信するものでありますが、改めて、残り2年の任期で、どのようなことに主眼を置き県政運営を行っていくお考えか、お示しいただきたいと思います。
 次に、本県財政の再建についてのお考えをお聞きいたします。
 当初予算を見ますと、県税収入、地方交付税の大幅な減収などの外的要因により厳しい財政環境のもと、雇用対策を喫緊の課題ととらえ、あえて財政出動を決断された知事の胸中は察して余りあるものがあります。結果として、県債発行に依存せざるを得ず、プライマリーバランスを均衡させるとしたさきの中期財政見通しも、見直さざるを得なくなったところであります。
 100年に一度とも言われる世界的な大不況下にあって、緊急かつ適切な財政出動を決断された知事の姿勢は、当然、是認されてしかるべきと私は思うのでありますが、累増する県債残高や、今後、頼りとすべき主要3基金残高がほぼ枯渇状態である今、本県財政をどう立て直していくかということも、同時に求められているのであります。再建についての知事のお考えをお示しいただきたいと思います。
 次に、地方財政基盤確立の観点からお尋ねいたします。
 平成21年度地方財政計画の中の地方交付税は、麻生首相の指示による緊急対策として1兆円増額されておりますが、これはあくまで緊急の短期的措置であり、恒久的な財源対策になっておりません。今後の交付税改革の行方は、県、市町村とも最大の関心事の一つでありますが、今後、交付税の総額確保とともに、財源調整機能や補償機能がどう変わっていくのか、知事会の中でも議論されているようでありますが、その概要についてお聞かせ願いたいと思います。
 次に、国直轄事業負担金について知事の御所見をお伺いいたします。
 過日の新聞報道に、県は国に対し、制度の見直しを求めていくとの記事が掲載されておりましたが、地方分権の観点からも大賛成であります。聞くところによると、県の平成21年度当初予算案の公共事業費に占める国直轄事業負担金の割合は、実に24.2%、225億円とのことであります。県財政が逼迫している今、裁量の余地がないこの負担金の問題は大きな足かせになっており、義務づけの根拠となっている地方財政法の改正に向けて、今こそ大きな声を上げるべきと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。
 次に、市町村の問題に移ります。
 最初に、合併市町村支援についてお尋ねいたします。
 県は、21年度において、合併市町村地域力向上支援交付金の創設を目指して、当初予算に4、000万円を盛り込んだとのことであります。合併旧法のもとで合併した市町の中で、依然として、中心部だけが栄え周辺部が寂れたとの指摘がある中で、合併後の衰退が懸念される地域の活性化に特化したこの交付金の創設は、評価すべきであると思います。
 そこでお伺いいたしますが、改めて交付金の対象事業、交付基準等についてお答え願います。
 また、現行の合併市町村自立支援交付金と比べて交付額が5分の1の規模とのことでありますが、果たして十分なものなのか、お尋ねいたします。
 さらに、合併新法の期限がもうすぐ到来いたしますが、最近における合併をめぐる議論の状況についてもお聞かせ願いたいと思います。
 次に、定額給付金について知事の率直な御見解をお伺いいたします。
 このことにつきましては、給付金の使途、性格が二転三転し、政策の効果についても国民の多数が疑問視する中、先月、国会において第2次補正予算が可決、成立したところであります。関連法案の審議中ではありますが、補正予算の可決を受けて、市町村の現場は大混乱の状況であります。実施本部などの組織を立ち上げ、対策チームや専従職員を配置する自治体がある一方、それでなくても、少ない職員をやりくり対応しようとする自治体もあり、年度末を控え、通常事務に及ぼす影響は甚大であります。交付事務にあっても、対象者の捕捉、転出入に伴う住所の確認などの困難が予想され、正直、煩雑な事務作業にため息をついている職員も少なくありません。政策とも呼べない政策に翻弄される市町村の実態を、知事はどうごらんになっておられるのか、定額給付金そのものに対する御見解とあわせお答え願います。
 次に、本県の過疎対策についてお伺いいたします。
 我が国の過疎対策は、昭和30年代からの高度経済成長を背景に、地方から都市への急激な人口流出によって生じた、いわゆる過疎問題への緊急対策として、昭和45年に、最初の時限立法である過疎地域対策緊急措置法によって、人口の過度の減少、地域社会の崩壊の防止のため、財政、行政、税制上の特別措置が講じられたのが始まりであります。その後、10年ごとに法律名や内容を変えながらも、ほぼ40年にわたって、同様の対策が講じられてきたところであります。
 本県の過疎対策を見ますと、これらの法律のさまざまな支援制度を活用して投じられた事業費は、県分で8、227億円、市町村分で実に1兆1、054億円にも上るとのことであります。過疎債の総額も1、945億円余りとのことであり、これまでの過疎法が公共施設等の社会基盤の整備、生活・産業基盤の整備に果たしてきた役割は、極めて大きいものがあったと思うのであります。しかしながら、一面では、これだけの資本投下を行っても、依然として人口の減少がとまらず、若年層の流出や高齢化の進行等により、むしろ、以前よりも地域活力の低下が著しく、年々脆弱化する財政基盤とあわせ、過疎地域は深刻な状況に直面していると言っても過言ではありません。
 そこでお伺いいたします。この40年間の長きにわたって進められてきた本県の過疎対策について、改めて評価を行い、成果と課題を明らかにしていただきたいのであります。
 次に、現行過疎法は明年3月末をもって失効するわけでありますが、本県は、新たな過疎法の制定に向けて、一体どのような対策を講じてこられたのか。他県等に比べ、本県の動きがいささか鈍いとの指摘もあることから、お答え願いたいと存じます。
 聞くところによれば、北海道や長野県など過疎地域を多く抱える道県にあっては、大分以前から新たな法整備に向けて、積極的な活動を展開しているとのことであります。本県過疎地域には、他県に誇り得るすばらしい自然があり、かけがえのない文化遺産があり、安心・安全な農畜産物があります。さまざまな交流やユニークな活動を通じて、積極果敢にみずからの農山村文化を発信し続けている人たちがいます。むしろ、他県に先駆け、岩手ならではの発想を新法に盛り込むべく、強力に要請されてはいかがでしょうか。御所見があればお伺いしたいと思います。さらに、新法制定に向けた国の動きなどについても、この際、お聞きしたいと思います。
 次に、犯罪被害者支援対策についてお伺いいたします。
 犯罪被害者支援と言えば、山口県光市で発生した母子殺害事件被害者の遺族、本村洋氏が思い浮かびます。この本村氏の勇気ある闘いが、司法制度にも大きな変革をもたらし、犯罪被害者支援に光を当てたと言っても過言ではありません。本人の書かれた本が出版されておりますが、私はこの著書から、なぜ被害者遺族がこれほどまでに苦しまなければらないのか、その実情に大きな衝撃を受けたのであります。いつ、どこで、だれが、犯罪被害者になるかわからない現代社会において、被害者支援は県民にとって身近な問題であり、しっかりした支援体制を整備しなければならないと認識させられた次第であります。
 聞くところによりますと、本県におきましても、耐えがたい苦しみの中であえいでいる犯罪被害者や御遺族がおられるとのことであります。そのような中、本年1月、犯罪被害者、県が支援窓口設置へという記事が報道され、大きな期待を持って読んだのでありますが、残念ながら、そこからは、犯罪被害者や御遺族のために県として何をしたいのか、具体的なものが見えてこなかったのであります。
 国は、平成16年12月に、犯罪被害者等基本法を制定、閣議決定された犯罪被害者等基本計画においては、犯罪被害者支援が自治体の責務として明示されたところであります。この流れから、県におきましても、昨年12月に岩手県犯罪被害者等支援指針を策定し、一つには、犯罪被害者等の日常生活の支援、二つには、犯罪被害者等を支える社会づくり、三つには、関係機関・団体の連携を3本柱として示したのでありますが、やはりここからも、だれが、何を、どのように行うのか、具体的な施策は見えてまいりません。
 そこでお尋ねいたしたいのでありますが、県が被害者支援のイニシアチブをとっていくことで、これまで警察や被害者支援センターが行ってきた従来の被害者支援からどのように変わっていくのか、その具体の施策についてお示しいただきたいのであります。また、1月に開設した支援窓口は、実際に利用されているのか、あわせてお答え願います。
 次に、警察本部長にお尋ねいたします。
 昨年7月に法人として設立された社団法人いわて被害者支援センターについては、警察本部が監督官庁と伺っておりますが、この被害者支援センターの財務状況を含めた事業内容、具体的な活動実績、警察本部との連携実態、さらには、今後の課題等についてもお答えいただきたいと思います。
 次に、雇用確保対策についてお尋ねいたします。
 県におきましては、雇用の確保を喫緊の課題として、昨年12月、岩手県緊急雇用対策本部を設置、他県に先駆け異例の1月臨時議会での補正予算の提案、2月補正予算、そして平成21年度当初予算など、一連の雇用対策を推進してきたところであります。迅速かつ適切な知事の対応に心から敬意を表し、感謝申し上げる次第であります。各市町村におきましても、県に呼応し、積極的に対応していると承知いたしておりますが、県、市町村を通じた雇用対策について順次お聞きしてまいります。
 第1に、これまで進められてきた雇用対策のうち、本年度に係る県と市町村の雇用実績についてお尋ねいたします。
 応募状況と採用の状況はどうであったのか。聞くところによると、雇用のミスマッチも少なからずあったといいますが、どのようなものであったか、お答えいただきます。
 また、財源についてもお尋ねいたします。
 特にも、本年度は市町村も一般財源対応とのことでありますが、国との約束どおり、特別交付税で完全にカバーされるのか伺います。
 12月交付と違い、3月交付は算入実額がわからず、交付税総額を増額しないままの算入に、市町村財政担当は不安視しているのが実態であります。
 第2に、新年度はどのような計画となっているのか。県、市町村合わせてどれだけの雇用が予定されているのか、短期雇用、常用雇用の別についても伺います。
 第3に、緊急雇用創出事業臨時特例交付金及びふるさと雇用再生特例交付金についてお尋ねいたします。
 2月補正予算で創設される両交付金の基金は、緊急雇用創出臨時特例基金が23億9、000万円、ふるさと雇用再生特例基金が64億9、000万円とのことでありますが、充当箇所は各部局にまたがっております。それぞれの部局ごとの充当額について伺います。また、市町村交付分は幾らか、かつ、交付基準についてもお示し願います。
 第4に、介護事業についてお尋ねいたします。
 介護労働者の就労環境は厳しいものがあると思いますが、実態はどうなっているのかお聞かせ願います。
 恐らく、政府が低賃金、過重労働につながる低い介護報酬を定めたことと関連があろうと思いますが、介護事業の分野における雇用を確保するためにも、国に対し、積極的に介護報酬のさらなる引き上げを働きかけるお考えがあるか、あわせて伺います。
 次に、農業振興についてお尋ねいたします。
 最初に、米の生産調整、減反政策について、本県の基本的な考え方をお聞きいたします。
 御承知のとおり、食料・農業・農村政策審議会において、農政基本計画の5年に一度の見直し論議が始まり、米の生産調整の見直しを行うこととされたところであります。この見直しの内容として、減反に加わるかどうかを農家に任せる減反の選択制という案も一部で取りざたされています。この案では、減反に加わる農家には生産量に上限を課すかわりに、新設する交付金を支払い、一定の補償をするとのことであります。生産調整制度が始まって約40年、確かにこの制度は一時、米価の維持に貢献した時期もあったと思うのでありますが、制度に参加してもしなくても、米価が下落している昨今、もはや限界、見直しが避けられないとの指摘もそのとおりであり、農業の最前線で働く農家の皆様には不安と動揺が広がっております。特にも、本県は、中産間地のいわゆる条件不利地域を多く抱える県の一つであります。早ければ、21年度中に成案化するとの観測もありますが、この減反の選択制という案に対する評価と今後の生産調整、減反に係る本県の基本的考え方についてお答え願います。
 次に、耕作放棄地対策についてお尋ねいたします。
 農地は農業生産にとって最も基礎的な資源であり、食料の安定供給にとっても重要な基盤であるばかりでなく、国土の保全、水源の涵養等、多面的機能を有していることは申し上げるまでもありません。その重要な農地が、年々粗放化し耕作放棄地と化している現状は、農業県岩手にとりまして極めて重大問題であります。
 平成17年農林業センサスにおいて、全国の耕作放棄地面積は38万6、000ヘクタール、本県においても1万2、500ヘクタール余り、実に5年前と比べ、1、000ヘクタール以上も増加しているとのことであります。国においては、このような現状に着目し、本年度と来年度、耕作放棄地の再生・利用に向けた取り組みを行う予定とのことであります。具体の施策は、耕作放棄地対策の円滑かつ迅速な実施の確保のため、耕作放棄地の再生・利用に向けた体制整備や障害物除去等の再生実証実験、実施計画策定等を支援とあるだけで、肝心の、一体だれがそれを担うのかという視点が欠けております。あるのは、地域協議会を設置し、そこが主体となるということだけであります。
 そもそも、耕作放棄地の発生要因の主なものは、高齢化による労働力不足であり、生産性が低い、農地の受け手がいない中山間地は、はなから担う人がいないのであります。このことは、今後の本県の施策を考える上で大いに参考とすべきでありますが、この際、これまでの施策と今後の進め方についての方針についてお答え願います。
 次に、農林水産業の6次産業化についてお尋ねいたします。
 県は、来年度の新規施策として、農林水産業で、生産にとどまらず、加工から流通、販売までを支援し、経営強化と雇用創出を図る事業に着手するとのことであります。雇用創出効果などが期待されるモデル事業を選定し、経営体に実施を委託する考えとのことですが、施策の詳細についてお答え願いたいと思います。
 私は、農林水産業が元気を取り戻さない限り、まちの活性化などないと考える一人であり、その意味からも、1次産業の活性化と就業支援をねらいとするこの事業が、成果あらんことを願うものであります。
 最近、農林水産業の現場に飛び込んでくる若者が、数は少ないながらも、着実にふえてきているように思うのであります。農地取得面積の問題や水産業にあっては、漁業権の問題など多少の制約があるものの、第1次産業には所得の低さを補って余りあるすばらしさがあります。この際、農林水産業の固定化したイメージを払拭し、若者を呼び込む絶好のチャンスであると思うのでありますが、このことについての御所見もあわせて伺います。
 次に、農業用水利施設の整備についてお尋ねいたします。
 農業生産に欠くことのできない農業用水を、水田や畑地などの末端の圃場に導くためには、ダムや頭首工、ポンプ場などの取水施設から、幹線用水路を経て小用水路を経由し、農地に至る一連の施設が必要となります。これまで、国や県、土地改良区などが受益農家と力をあわせ、それぞれ分担しながら整備してきたこれらの施設も、建設以来、既に30年から40年以上経過し、本県の厳しい気象条件などとも相まって、老朽化が著しく進んでおります。鉄管の継ぎ目からは漏水し、コンクリートの水路は劣化が進み、目的の農地に必要な水を届けられない場所も出てきております。こうした中、国や県がかつて建設した施設については、国営かんがい排水事業や基幹水利施設ストックマネジメント事業等により、整備・改修が進められております。
 一方、それよりも規模の小さい施設はそれ以上に傷みがひどく、日常の管理を行う土地改良区や地域では、農家戸数が年々減少するとともに、高齢化が進行し、さらに経営にも明るい兆しが見えない中、春から秋まで漏水箇所をイタチごっこのごとく追いかけながら修繕しているのが実態であります。水利施設は、取り入れ口から圃場に届くまでの一連の水系が万全の状態であればこそ、必要な用水を供給するという役割を果たすことができると思うのであります。そこで、このような小用水路の整備を県ではこれからどう進めていかれるお考えか、お伺いいたします。
 また、これらの維持管理に重要な役割を担っている土地改良区は、現在、賦課金の滞納や職員の削減などにより、かつてない状況に追い込まれております。土地改良区の運営が破綻する前に適切な支援を行うべきと考えますが、あわせて県の御所見をお伺いいたします。
 次に、建設業対策についてお尋ねいたします。
 建設業を取り巻く環境につきましては今さら申し上げるまでもなく、ここ数年、長引く経済の低迷や公共事業費の激減などによって、極めて厳しい状況に置かれていることは御案内のとおりであります。
 最近の建設業に係る倒産件数を見ましても、この五、六年、全国では4、000社から5、000社が倒産しており、県内でも30社から40社、平成20年度は45社の倒産を数えております。県内には、平成18年度現在、建設業事業所数が6、500社、そこで働く従業者数も5万6、000人余りとのことでありますが、建設業の衰退が県内経済や雇用に及ぼす影響は甚大であると言わざるを得ません。相応の対策を講ずるべきとの観点から、以下、数点お尋ねいたします。
 初めに、入札制度改革についてお伺いいたします。
 本県におきましては、平成19年7月、それまでの指名競争入札を原則廃止し、条件付一般競争入札を導入以来、総合評価落札方式の試行、予定価格の事前公表、低入札価格調査制度、電子入札システムの導入など、一連の改革が進められてきたところであります。数度の見直しや改善を加え、制度の万全を期してきた県の姿勢は評価するものでありますが、依然として採算を度外視した低入札や、少なくない1社入札の問題などもあるやにお聞きしております。もはや、制度の微調整では、いかんともしがたい状況にあるのではないかと思われるのであります。そこで、これら一連の入札制度改革に当たっての問題点、課題等についてお伺いいたします。
 また、最近、入札予定価格の事前公表を実施していた43都道府県のうち、15道県が事後公表するか事後公表を試行しているとの報道がありましたが、本県ではどのようにお考えか、あわせて伺います。
 国土交通省が昨年3月、都道府県知事と政令市町あてに、予定価格を事後公表に切りかえるよう求めたとのことであります。国が地方自治体の行政に介入するかのような要請は論外ではありますが、この問題は予定価格の事前公表で、落札下限となる最低制限価格の予想が容易になり、低入札が常態化するとの意見がある反面、入札の透明性に逆行する、官製談合を防止する上からも事前公表を続けるべきとの指摘もあり、改めて本県の方針についてお尋ねするものであります。
 次に、いわゆる91社問題についてお尋ねいたします。
 県発注工事で談合したとして独占禁止法に基づく排除勧告を受けた県内建設業91社の審判がこのほど結審したことは、既に御承知のとおりであります。業者側は、指摘された談合が存在しないと全面否定しており、今後の審決がどのようになるか不明ではありますが、違反行為ありとなれば、受注業者は課徴金支払いの可能性があり、本県におきましても相応の処分を行わなければならないとのことであります。91社は県内でもいわゆる大手と言われる業者であり、現行の指名停止基準12カ月が適用されることによって、少なからぬ業者が廃業に追い込まれる可能性もあり、県内雇用や経済に影響すること必至であります。指名停止期間に係る沖縄県の例もありますが、本県におきましてはどのように対応されるお考えか、お尋ねいたします。
 以上で私の質問を終わります。答弁によっては再質問させていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 小田島峰雄議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、残り2年の任期における県政運営についてでありますが、私は、草の根の地域の活力こそふるさと岩手を支える基盤であり、こうした地域で暮らす人々の豊かな生活を実現していくことが、私に課せられた責務であると考えております。
 こうした中で、金融危機に伴う世界規模での経済の減速によって、県民生活を取り巻く状況が厳しさを増し、いわて希望創造プランに掲げた県民所得の向上や地域医療の確保などの重点課題の克服は、ますます重要になっております。私は、いわて希望創造プランは、今、日本や世界が取り組もうとしている対策を地方の立場から先取りしたものと考えておりまして、私の任期後半においても、喫緊の課題である雇用の維持・創出や地域経済の活性化、地震災害の復旧・復興に向けた取り組みはもとより、プランに基づく取り組みを県民の皆様とともに着実に推進することにより、直面する危機を希望に変えていくことができると考えております。
 また、急激な変化を遂げる時代の中にあって、しっかりと将来を見据えたビジョンを県民の皆様と共有していくために、平成21年度内に新しい長期計画を策定して、県民の皆様一人一人が主役となって、みずからの希望に向かって未来を切り開いていくことができる岩手づくりを進めていきたいと考えております。
 次に、本県財政の再建についてでありますが、本県財政を取り巻く厳しい環境下にあって、財政の健全化を進めるために地方税財政制度改革を引き続き国に強く働きかけていくとともに、収入未済額の縮減や県有資産の有効活用など、あらゆる角度から歳入確保の取り組みを進めるほか、県債につきましては、県債残高の規模を中長期的に抑制していくことを目指して発行規模を適切に管理していく考えであります。
 また、歳出面では、事務事業の見直しや行政の簡素・効率化もあわせて進めながら、雇用の維持・創出、地域経済の活性化といった喫緊の課題に適切に対応するため、これまで以上に政策の選択と集中を徹底するとともに、歳入歳出全般にわたる行財政改革の取り組みを進めつつ、持続可能な行財政構造の構築に努めてまいります。
 次に、今後の地方交付税改革の行方についてでありますが、全国知事会におきましては、地方交付税を含む地方税財源に関する全体的な考え方として、まず、自立的な地方財政の確立に向けて、国と地方の税源配分を5対5とすることを目指し、税源の偏在性が少なく、税収の安定性を備えた地方税体系を構築することを提唱しております。
 また、地方交付税につきましては、交付税率の引き上げを含めて安定的な総額の復元・増額を実現し、地方交付税が有する財源調整機能や財源保障機能が十分に発揮できるような仕組みに改革することを求めておりまして、具体的には、地方財政計画や基準財政需要額における地方の財政需要の適切な積み上げを行うこと、地方交付税の原資となる国税の法定率分を交付税特別会計の歳入として分離し、地方の固有の財源としての性格を明確化することなどについて国への働きかけを行っているところであります。こうした改革の実現に向け、地方の関係者の力を合わせて取り組んでいきたいと考えております。
 次に、国直轄事業負担金についてでありますが、国の直轄事業は、全国的視野のもとに国家的施策として実施されるもので、本来、国がその経費負担に責任を持つべきものであるにもかかわらず、自治体にとって直轄事業負担金の財政負担が重くなっている状況にありますほか、各年度の直轄事業の実施内容等にかかわる判断に際し、地方の意見が必ずしも十分に反映されないケースもあるなどかねてから問題も指摘されており、本県においても全国知事会等を通じ、国に見直しを求めてきたところであります。
 また、本県では、極めて厳しい財政状況のもと、公共事業費を抑制せざるを得ない中で、議員御指摘のとおり、国直轄事業負担金の負担が相対的に重くなってきているところであります。
 本県において進行中のおのおのの直轄事業については、本県の産業経済や県民生活を支える基盤の整備として事業の着実な推進を求めていく考えでありますが、その負担金については、地元の財政負担の軽減につながるよう、直轄事業の一層のコスト縮減や制度の改善について、全国知事会等を通じて、他の都道府県とも連携しながら国に働きかけてまいりたいと思います。
 次に、定額給付金についてでありますが、国の平成20年度第2次補正予算の成立を受けて、各市町村においては給付に向けた事前の準備が進められているところであります。既にすべての市町村で担当部署を決定し、そのうち10市町村では新たに専担組織を設置済みか、あるいは設置することとしております。さらには給付にあわせて商品券を販売するなど、地元消費拡大に向けた取り組みを検討している市町村もあると伺っております。
 一方で、市町村からは実施方法等について数多くの照会が県に寄せられるなど、準備期間が短い中での困難な作業を余儀なくされているほか、自治事務でありながらも市町村に決定権や裁量権もなく、実施が事実上義務づけられているという点でも地方分権改革を進める中にあって問題がある事業であると考えておりますが、県としては、市町村の事務が円滑に進むよう助言に努めてまいります。
 その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁をさせますので、御了承をお願いします。
   〔地域振興部長藤尾善一君登壇〕
〇地域振興部長(藤尾善一君) まず、合併市町村への支援等についてでありますが、合併市町村地域力向上支援交付金は、合併に向けた町村部の住民の懸念の払拭という合併の障害の除去と、合併後の地域づくりを円滑に進め、特に旧町村部における住民自治を促進することにより自主的な合併を支援しようとするものであります。
 本交付金の交付対象団体は合併新法下で合併した市町村であり、交付対象事業は合併市町村内のコミュニティの形成や活動支援に資する事業であります。また、交付限度額は、2市町村による合併の場合1億円とし、構成市町村がふえるごとに2、000万円ずつ追加するものとし、交付期間は、合併した年度及びこれに続く5年度間以内とすることを予定いたしております。
 また、交付額についてでありますが、地域力向上支援交付金の交付対象事業は、現行の自立支援交付金とは異なり、合併後の旧町村部における住民自治を促進するために最も大切な地域コミュニティの支援に関連する事業に特化し、交付限度額は、現行の自立支援交付金におけるコミュニティ支援関連事業のこれまでの実績を踏まえて算定いたしておりますことから、交付金の趣旨を達成するのに十分な額と考えております。
 次に、最近の合併をめぐる議論の状況についてでありますが、合併推進構想で組み合わせを示している八つの地域の中では、宮古市と川井村が昨年7月に法定協議会を設置し、今月までに8回の協議を行って合併期日を平成22年1月1日と確認したところであり、釜石市と大槌町では、昨年11月に大槌町議会で合併協議会設置議案が否決されましたが、今月中旬、大槌町の住民有志が両市町の合併協議会設置を求めて直接請求を行ったところであります。また、合併推進構想の組み合わせ以外でも、奥州市が昨年、平泉町と金ケ崎町に対し合併に関する事務レベルの研究会の設置を申し入れているところであります。
 県としては、合併新法期限内の合併を目指す市町村に対しては、新岩手県市町村合併支援プランに基づく人的支援や市町村総合補助金などの財政的支援を行い、合併に向けた取り組みを強力に支援してまいりたいと考えております。
 次に、本県の過疎対策の成果と課題についてでありますが、これまで本県におきましては、過疎計画の策定に基づき、過疎債等の財政支援制度や県代行制度の活用による道路や上下水道の整備のほか、県として自治振興基金の活用や県土整備に係る市町村負担金の免除などにより総合的な過疎対策事業を展開してきたところであり、この結果、全国との差はなお存在するものの、交通通信基盤や産業基盤、上下水道などの生活環境の整備が進むなど、一定の成果を上げたところであります。
 しかしながら、依然として本県の過疎地域は人口減少、若年層の流出、高齢化の進行などにより地域活力の低下が見られるなど、いまだ地域社会が自立していくためにはさまざまな課題があるものと考えております。
 次に、新たな過疎法の制定に向けた対策でありますが、県としては、昨年7月、知事による国への県単独要望を行ったほか、北海道・東北知事会や全国知事会を通じて要望を行うとともに、全国知事会の過疎対策特別委員会に参画し、新たに盛り込むべき内容等について協議するなど積極的に取り組んできたところであります。また、岩手県市長会、町村会、過疎地域自立促進協議会と合同で県選出国会議員への要望を同じく7月と11月の2度にわたって行ってきたところであり、引き続き県としても過疎市町村等と一体となって、新たな過疎法の制定に向け、全力を挙げて取り組んでまいります。
 なお、新たな過疎対策におきましては、議員御指摘のとおり、本県の過疎地域が有している豊かな自然、多様な伝統文化、安全・安心な食料などの国家的価値を国民全体の理解のもとに保全していく視点が重要でありますことから、県といたしましては、道路、上下水道などのハード整備に向けた従来の支援に加え、新たに都市との交流や農林水産物の販路拡大などによるコミュニティ対策など、ソフト事業への支援を新法に盛り込むよう国等へ働きかけているところであります。
 また、新法制定に向けた国の動きにつきましては、有識者による総務省過疎問題懇談会が平成17年度に設置されておりまして、昨年4月の懇談会の中間的整理の中で、今後の支援のあり方として、集落の維持、活性化対策、U・J・Iターン対策などの支援や人材確保、人材育成への支援などが必要であると提言されたところでございます。
 今後、新たな過疎法につきましては、議員立法による法案の提出に向け、早ければ平成21年度の前半にも骨格が明らかになる見込みであると伺っておりまして、これに向けて、県としても過疎市町村等と連携を図りながら要望活動に取り組んでまいる考えであります。 
〇議長(渡辺幸貫君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
   〔環境生活部長瀬川純君登壇〕
〇環境生活部長(瀬川純君) 犯罪被害者等支援の具体的な施策等についてでありますが、これまで犯罪被害を受けた方等への支援は、警察やいわて被害者支援センターが中心となって取り組んでいましたが、支援は精神的・身体的被害の回復や生活基盤に係るものなど多様な分野にわたり、また長期にわたることから、昨年末、犯罪被害者等支援指針を策定し、県の各部局や関係機関・団体が緊密に連携し、犯罪被害者等が必要とする情報の提供や支援を途切れることなく受けることができるようにしていくこととしたところであります。
 この指針に基づき、1月に環境生活企画室に総合案内窓口を設けましたが、今後は、関係機関・団体と連携しながら、犯罪被害者等に対する支援情報の提供や精神面のケア、生活面の支援等を充実させるほか、職員に対する研修や県民に対する啓発活動などにも取り組んでまいります。また、住民に身近な市町村についても相談窓口の設置を働きかけ、こうした窓口について周知を図りながら被害者の相談にきめ細かく対応してまいります。
 県に設置した総合案内窓口の利用状況は、これまで電話及び面接により11件の相談があり、その内容は多岐にわたるものですが、相談内容をよくお聞きし適切な支援を行うよう努めており、専門の機関への橋渡しを含め、少しでも相談者のお力になることができるよう取り組んでいるところであります。
   〔商工労働観光部長廣田淳君登壇〕
〇商工労働観光部長(廣田淳君) まず、本年度の県と市町村の雇用実績等についてでありますが、県では緊急雇用対策として、本年1月から3月まで知事部局及び企業局において計155人の期限付臨時職員を雇用することとしており、2月20日現在では329人の応募者に対し、採用済みが150人、採用内定済みが5人となっております。市町村につきましては、19市町村で408人の臨時職員の募集に対しまして、2月24日現在で256人が採用済みとなっております。
 応募状況につきましては、県も市町村も定員以上の応募があったところがある一方で、期限までに定員に達しないところもあるなどばらつきが見られ、その要因としましては、雇用期間が年度末までの短期間であることなどから応募が少なかったことも推察されております。
 また、財源についてでありますが、昨年末の総務省の通知によりまして、地方公共団体が緊急・臨時的に実施する離職者等の緊急雇用、居住確保のために必要と認められる対策等に要する経費に対し財政力に応じて5割から8割の特別交付税を措置することとされたところであり、平成20年度3月算定分において所要額が適切に算定されるものと見込んでおります。
 次に、新年度の県と市町村の雇用計画についてでありますが、県全体では常用雇用で2、740人の雇用創出を計画しております。その内訳は、産業振興施策によりまして904人、基金事業によりまして1、836人であり、基金事業の内訳は、緊急雇用創出事業で1、321人、ふるさと雇用再生特別基金事業で515人となっております。
 市町村における雇用創出につきましては、基金を活用した市町村補助事業によって創出される分として緊急雇用創出事業で900人、ふるさと雇用再生特別基金事業で350人の常用雇用が創出されるものと見込んでおります。
 また、雇用期間が4カ月に満たない短期雇用につきましては、先ほどの2、740人とは別に、現在把握しております限りでは緊急雇用創出事業によりまして201人の創出を見込んでおります。
 次に、緊急雇用創出事業臨時特例交付金及びふるさと雇用再生特例交付金についてでありますが、平成21年度における県事業の部局ごとの事業費は、緊急雇用創出事業につきましては、総合政策部1事業約200万円、商工労働観光部2事業1億9、700万円、農林水産部7事業5、300万円、県土整備部7事業2億2、200万円、総務部1事業100万円、教育委員会8事業1億700万円、警察本部2事業7、500万円、県南広域振興局1事業200万円、計28事業6億2、146万円となっております。また、ふるさと雇用再生特別基金事業につきましては、商工労働観光部2事業約5億4、900万円、農林水産部1事業6、000万円、県土整備部1事業4、300万円、計4事業6億5、161万円余となっております。
 また、市町村補助事業の事業費は、緊急雇用創出事業12億3、200万円、ふるさと雇用再生特別基金事業14億6、000万円となっております。両事業ともに県事業と市町村事業の割合は1対2とし、市町村事業の割合を高めており、各市町村への配分については、緊急雇用創出事業にありましては有効求職者数と雇用調整人数に応じて、ふるさと雇用再生特別基金事業にありましては有効求職者数に応じて採択枠を配分することとしているところであります。
   〔保健福祉部長岩渕良昭君登壇〕
〇保健福祉部長(岩渕良昭君) 介護労働者の就労実態等についてでありますが、国の調査によりますと、本県の介護労働者は、仕事内容の割に賃金が低い、休暇がとりにくい、また業務に対する社会的評価が低いなどの悩み、不満等を抱えているとの結果が報告されております。
 また、本県の労働者の賃金は、全産業平均が25万7、000円であるのに対し介護労働者は20万5、000円と著しく低い状況にありますので、県といたしましては、介護労働者の待遇改善は喫緊の課題であると考えております。
 そのため、昨年5月、国に対し介護サービス事業従事者の待遇改善に確実に反映されるような介護報酬の改善を強く要望したところであり、平成21年度から介護報酬が3%引き上げられることとなったところであります。
 県といたしましては、今回の介護報酬の引き上げが賃金に確実に反映されるかどうかを検証しつつ、さらなる報酬の改善を国に働きかけてまいりたいと考えております。
   〔農林水産部長高前田寿幸君登壇〕
〇農林水産部長(高前田寿幸君) まず、米の生産調整についてでございますが、減反の選択制につきましては、現段階では施策内容が明らかにされていないことからその評価を具体的に申し上げることは困難でありますが、一般的には、選択制の導入により生産調整参加農家と不参加農家の不公平感の是正や農家経営の自由度が高まることなどが期待される一方で、生産調整の実施状況いかんによりましては米が過剰に生産され、その結果、生産調整参加農家への米価下落に伴う所得補償のための十分な財源の確保や過剰米の処理経費の増大などが懸念されるところでございます。
 また、今後の生産調整のあり方につきましては、現行制度で問題とされております生産調整に参加していただいた方々の不公平感が払拭され、農業者が将来に希望を持って水田農業に取り組めることが重要であると考えておりますことから、生産調整の参加者に対する十分なメリット措置や、農業経営を安心して継続できるような所得補償などのセーフティネットの充実が不可欠であると存じております。
 いずれにいたしましても、今後、食料・農業・農村政策審議会等における議論の動向を注視し、本県農業の実情を踏まえ、将来展望のある水田農業が確立されますよう、国に対し必要な施策を提案してまいりたいと考えております。
 次に、耕作放棄地対策についてでございますが、これまで市町村や農業委員会が農地パトロールなどを通じた農地の有効利用を啓発・指導してきたところであり、今年度からは、新たに耕作放棄地の有効活用を目的とした地域協議会を設置し、耕作放棄地の実態調査を実施するとともに、その解消計画を策定しているところでございます。また、県におきましても、市町村や関係団体と連携し、中山間地域等直接支払交付金などの活用による農地の保全活動を支援してきたところでございます。
 今後は、地域協議会で今年度策定いたします耕作放棄地の解消計画に基づき、地域内の多様な利用主体の掘り起こしと利用調整を行うとともに、来年度から新たに創設される国の交付金を活用した土壌改良などによる農地の再生利用を促進することとしております。
 県といたしましても、こうした協議会に参画し、その活動を支援するとともに、規模拡大を志向する生産者と耕作放棄地との市町村を越えた広域的なマッチングや農外からの企業参入も含めた多様な利用主体の掘り起しなどに取り組み、耕作放棄地の有効活用を促進してまいります。
 次に、6次産業化の新規施策についてでございますが、お尋ねのいわて6次産業チャレンジ支援事業は、安全・安心で高品質な県産農林水産物を生かし、単なる素材生産から、より付加価値の高い加工品の生産・販売や農産物、木材等の地産地消など農林水産業の6次産業化を支援し、経営の高度化を図るとともに、新たな雇用を創出しようとするものでございます。
 この事業は、農業生産法人等が新たな雇用によって展開しようとする6次産業化の取り組みを公募し、雇用創出効果や事業効果の高いモデル事業を県が選定いたしまして事業実施を委託するものでございます。また、事業実施に際しましては、民間アドバイザー等によります商品開発や販路開拓指導を一体的に実施するとともに、あわせて商談機会も提供し、農林水産業の6次産業化の促進と雇用の創出を図ってまいります。
 次に、農林水産業への就業促進についてでございますが、県といたしましては、多様な担い手の確保・育成対策と雇用対策を一体的に推進するため、今般、農林水産業及び関連産業への就業促進アクションプランを策定いたしたところでございます。
 今後は、このプランに基づき、雇用の受け皿となる農林水産業の振興を図るとともに、農林水産業の6次産業化の推進や、厳しい労働環境など、就業する際の課題解決のための戦略的な取り組みの推進、さらには、生産現場での研修等によるキャリアアップを積極的に支援することとしております。
 また、こうした取り組みとあわせまして、農林水産業をやるなら岩手という評価が得られるよう、これまでの就業相談会はもとより、首都圏での本県への定住交流促進イベントなど、あらゆる機会を通じて本県農林水産業の魅力や本県独自の雇用対策の取り組みを発信し、県内外からの就業を促進してまいります。
 次に、小用水路の整備についてでございますが、農業水利施設は食料を安定的に供給するための重要な基盤でございますが、これまで建設された施設の多くが老朽化し、その計画的な更新が喫緊の課題となっているところでございます。
 議員御指摘の小用水路の更新に対する支援は、これまで農地・水・環境保全向上対策などを活用した地域住民の協働活動による応急的な補修にとどまっておりまして、必ずしも地域の要請に十分こたえることができなかったところでございます。こうした中で、今般、国の2次補正予算及び来年度当初予算案に新たに土地改良区等が造成した小用水路などの施設の更新を内容とする事業制度が盛り込まれたところでございまして、今後は、こうした事業を活用し、農業用水の安定確保と農家負担の軽減に向けて、施設の劣化状況を勘案した、よりきめ細やかな対策が講じられるよう支援をしてまいります。
 次に、土地改良区に対する支援でございますが、土地改良区の運営は、賦課金の滞納による収入の減少や施設の老朽化による維持管理費の増嵩などにより厳しさを増してきておりますことから、県では、これまで合併の促進による組織体制の強化や農業水利施設の補修に対する助成などに努めてきたところでございます。
 今後とも、市町村や土地改良事業団体連合会との連携を図りながら、未収賦課金の解消に向けた個別指導の強化や新たな事業制度の活用も含めた施設の更新等への助成、さらには平成18年度に策定いたしました第8次統合整備基本計画に基づく合併の促進などにより土地改良区の財政運営基盤の強化を支援してまいります。
   〔総務部長川窪俊広君登壇〕
〇総務部長(川窪俊広君) 入札制度改革についてでありますが、現在の入札制度は、条件付一般競争入札の拡大、電子入札の全面運用等により、公正性、透明性、競争性の確保を図りつつ入札参加機会を拡充するとともに、県内企業の育成、入札参加者の負担軽減、価格と品質にすぐれた調達を目指すといった観点に立って導入したものであり、これまでのところ、関係者の協力をいただいておおむね円滑に実施されているところであります。
 また、近年の公共工事の減少の中で低入札事例が増加し、予定価格の3分の2を下回る低価格での落札も見られるといった事態に対応するため、低入札対策の一層の強化を図り、調査基準価格及び失格基準価格の算定式や数値的判断基準に用いる割合の値をそれぞれ見直し、本年2月から実施したところであります。
 一方、一部の工事において、入札参加者が少ない状況、中には1者での入札という事例も出てきており、そうした工事における競争性の確保をどう進めるかといった課題や品質確保に向けた取り組みとしての総合評価落札方式の一層の活用といった課題があると認識しております。
 次に、予定価格の事前公表は、予定価格の漏えい等による不正行為の防止のほか、受発注者双方の入札手続の簡素化や入札手続の透明性の向上等のメリットがありますことから、本県を初め多くの都道府県で実施しているところであります。
 また、指摘されている事前公表の問題点については、本県では、工事費内訳書の提出により適切な見積もりを求め、条件付一般競争入札の全面的な実施により予定価格を目安とした談合を防止し、変動型失格基準制度を用いることにより最低制限価格の予測を防止するなど、それぞれ必要な対応策を講じておりますことから、事前公表の仕組みを継続することが適当と考えているところであります。
 なお、国からの通知は、地方公共団体に対して、予定価格の事前公表を取りやめるか、あるいは事前公表を行う場合には理由を公表するようにという要請をしているものであり、本県としては、この国の通知も参考としながら、本県の実情に即した透明性、公正性、競争性を備えた入札制度を運用していく考えでございます。
 次に、いわゆる91社問題についてございますが、本年1月に審判が結審したところであり、今後、公正取引委員会による審決案の作成、被審人に対する審決案の送達と異議申し立て等の手続を経た上で審決がなされますが、これまでの例では、審判手続終結後、審決までに半年から1年程度を要するものと見込まれます。現時点では審決の結果が不明であり、具体的な対応については審決の結果を踏まえて決定することになるものと考えております。
 雇用対策や経済対策は重要な政策課題であり、県全体で取り組んでいるところでございますが、入札制度に関する指名停止措置につきましては、沖縄県の例も同様であったと聞いておりますけれども、定められているルールに従って公平・公正に対処することが求められるものと理解しているところでございます。
   〔警察本部長保住正保君登壇〕
〇警察本部長(保住正保君) 社団法人いわて被害者支援センターに関する御質問にお答えいたします。
 センターの事業内容及び活動についてでありますが、平成21年1月末時点において、犯罪等の被害に遭われた方々あるいはその御家族、御遺族の方々を対象に電話相談及び面接相談が99件、裁判への付き添い支援が2件、交通事故被害者による自助グループ活動への支援が6回、被害者支援フォーラムの開催、街頭キャンペーンを初めとする広報啓発などの活動を行っているところであります。
 次に、財務状況についてであります。
 平成20年度の所要経費として約1、000万円を計上しております。歳入面につきましては、県からの補助金、市町村や民間の団体、個人の方々からの賛助金、寄附金で賄われておりますが、財政基盤の安定強化が求められているものと承知しております。
 警察との連携についてでございますが、県警察では、被害者の方々に対してその多様なニーズにきめ細かく対応できるという点においてセンターを紹介するとともに、センターの相談員に対して被害者支援に必要な知識や技能の指導を行うなどの連携を図っているところであります。
 今後のセンターの課題といたしましては、被害者の方々の同意のもと、警察からセンターに対して情報が提供され、犯罪発生直後からきめ細やかな支援が可能となるよう、犯罪被害者等早期支援団体として公安委員会により指定されることが重要と考えております。このため、県警察といたしましては、センターの財政基盤の確立を初めとして、引き続きセンターに対する指導・監督を行ってまいりたいと考えております。
〇20番(小田島峰雄君) 知事を初め、各部長の丁寧なお答えをちょうだいいたしました。大変ありがとうございます。
 中でも、達増知事からは今後の県政運営に向けての並々ならぬ決意が述べられたところでございますが、今、県政に横たわっている課題が極めて大きい問題であるだけに、今後さまざまな曲折があるのかと思います。しかしながら、140万県民の先頭に立ってこの県政の難局を乗り越えていけるのは、達増知事、あなたをおいていらっしゃらないのであります。ぜひとも何がこれからも一番県民にとって大事かを念頭に置きながら、堂々と県政運営に立ち向かっていただきたいと思いますが、さらなる御所見があればお伺いいたします。
 次に、環境生活部長にお尋ねいたします。
 冒頭、丁寧なお答えをいただいたとは申しましたけれども、丁寧ではありましたが、なかなかわかりづらいお答えだったかと存じます。
 そこで、県が被害者支援のイニシアチブをとっていくことで、これまで警察や被害者支援センターが行ってきた従来の被害者支援がどのように変わっていくのかという質問に対するお答えが、恐らく私が聞き漏らしたことだとは思いますけれども、改めてもう一度お答えをいただきたいと思います。
 それから、これからさまざまな相談に際しまして、その問題が他の部局にまたがるものもたくさん出てこようと思います。そこで懸念されることは、いわゆるお役所でよく言われるたらい回しすることによって御遺族や被害者に二重、三重の苦しみや悲しみを与えてはならない、こういうことなのであります。そういうことに対する備えがあるのかどうか、これについてもお答えをいただきます。
 このお答えをいただきまして私の質問を終わりたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 今、岩手が直面している危機的状況というものは非常に深刻なものでありますけれども、岩手県民の持っている力というものもかつてなく高まっているものと考えております。
 昨年の岩手・宮城内陸地震発生直後における県民の力、そしてその風評被害から夏の原油高騰による観光の伸び悩み等に立ち向かおうとする関係者、そしてまた県民の力。今、岩手に何が起きているのか、それをしっかりと把握して、そしてまた、世界と日本がどういう方向に向かおうとしているのか、これを県と県民が一体になってしっかり前を向いて行く限り、岩手は必ず危機を克服していくことができると考えております。
 さらに努めて頑張ってまいりたいと思います。
〇環境生活部長(瀬川純君) 犯罪被害者への対応についてでございますが、従来は警察あるいはセンターで対応いただいておりましたが、今回、指針をつくるに当たりまして、犯罪被害者等の方を支援するためにどんな業務があるのかということを全庁的に洗い出しいたしました。約80項目ございます。これは警察本部あるいは教育委員会も含めてでございます。
 こういった、例えば経済的な支援ですとか、あるいは医療面の支援、あるいは精神的な支援、住宅の問題、あるいはさまざまな分野がございます。そういったようなことをどこの部署がどういった業務を担当するかというのを体系をつくりまして、これをまず各庁内あるいは関係機関で情報共有を行っております。
 これまでですと被害を受けられた方は警察、センターのほうの御相談ということでございますが、今後は県のほうの総合相談窓口に来られてもいいですし、あるいはそういったことを伏せた上で一般的な各部門に行かれてもいいということで、どこを基点としても県全体で犯罪被害者の方にきちんと相談に乗れるように、そういったようなことで県庁全体で情報共有したということでございます。
 ただ、議員御指摘のように、こういった対応につきましては十分な配慮が必要と考えております。総合案内窓口に来られた場合につきましては、別室のほうでよくお話を伺うようにしております。そして必要な支援内容を把握し、必要に応じて担当の部署の職員にも同席してもらう。あるいは専門の機関に橋渡しを行う場合には、もう一度改めて被害の内容とかを説明するようなことのないように、窓口の職員が被害情報につきましても確実にこちらのほうからお伝えするように努めております。
 こうした対応上の留意事項ですとか、関係機関の所掌、連絡先等をまとめた手引あるいは支援ハンドブックを作成しておりまして、庁内や関係機関・団体で共有することにしております。
 今後とも、犯罪被害者等の方々の個人情報の保護には十分留意した上で、相談に来られた方が新たに精神的な負担等を感じることのないように十分配慮してまいりたいと考えております。
   日程第2 議案第46号平成20年度岩手県一般会計補正予算(第5号)から日程第30 議案第74号岩手県公安委員会の管理に属する事務手数料条例の一部を改正する条例まで
〇議長(渡辺幸貫君) 次に、日程第2、議案第46号から日程第30、議案第74号までを一括議題といたします。
 提出者の説明を求めます。川窪総務部長。
   〔総務部長川窪俊広君登壇〕
〇総務部長(川窪俊広君) ただいま議題とされました各案件について御説明いたします。
 議案第46号は、平成20年度岩手県一般会計補正予算(第5号)であります。
 これは、国の補正に伴い、国からの交付金を活用して基金を造成するとともに、雇用の維持・創出や地域の活性化等に要する経費を計上するほか、事業費の確定等に伴い整理を要する予算について、所要の調整を行おうとするものであります。
 また、この補正予算には、会計検査院の指摘に基づく国庫補助金の国への返還を行うための歳出の補正を計上しております。
 これらの結果として、総額15億244万円余を減額補正するものであります。
 増額補正の主なものは、岩手県国民体育大会運営基金積立金4億48万円余、子育て支援対策臨時特例基金積立金10億3、114万円余、障害者自立支援対策臨時特例基金積立金18億4、141万円余、ふるさと雇用再生特別基金積立金64億9、150万円余、緊急雇用創出事業臨時特例基金積立金23億9、000万円等であります。
 また、減額補正の主なものは、企業立地促進資金貸付金16億5、383万円余、河川等災害復旧事業費94億2、511万円余等であります。
 次に、繰越明許費は、道路改築事業等165事業に係る予算を翌年度に繰り越して使用しようとするものであります。
 次に、債務負担行為の補正は、治山事業等10件を新たに追加するとともに、7件について限度額の変更を行おうとするものであります。
 また、地方債の補正は、減収補てん債(特例分)を新たに追加するとともに、11件について起債の限度額を変更しようとするものであります。
 議案第47号から議案第60号までは、平成20年度岩手県母子寡婦福祉資金特別会計等11特別会計及び3企業会計の各補正予算でありますが、これらは、それぞれの事業計画等に基づいて所要額を補正しようとするものであります。
 議案第61号から議案第64号までの4件は、建設事業に要する経費の一部負担及びその変更に関し議決を求めようとするものであります。
 議案第65号から議案第70号までの6件は条例議案でございますが、これは、消費者行政活性化基金条例、子育て支援対策臨時特例基金条例、妊婦健康診査臨時特例基金条例、緊急雇用創出事業臨時特例基金条例及びふるさと雇用再生特別基金条例を新たに制定するとともに、障害者自立支援対策臨時特例基金条例の一部を改正しようとするものであります。
 議案第71号から議案第73号までの3件は、公の施設の指定管理者を指定することに関しそれぞれ議決を求めようとするものであります。
 議案第74号は、岩手県公安委員会の管理に属する事務手数料条例の一部を改正しようとするものであります。
 以上のとおりでありますので、よろしく御審議の上、原案に御賛成くださるようお願いいたします。
〇議長(渡辺幸貫君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後5時19分 散 会

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