平成21年2月定例会 第10回岩手県議会定例会 会議録

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〇29番(新居田弘文君) 民主・県民会議の新居田弘文でございます。
 このたび、先輩、同僚各位の御配慮によりまして代表質問の機会をいただきました。感謝しつつ、当面の県政課題と平成21年度当初予算編成に対する考え方を中心に順次質問いたしますので、明快な御答弁をお願いいたします。
 今、アメリカ発の金融不安は全世界を駆けめぐり、洋の東西を問わず深刻な経済不況に陥っております。日本でも、自動車、電気、半導体関係などを初めとして、今ではあらゆる分野にわたって影響を受け、企業経営の悪化が急速に進み、工場閉鎖、操業短縮による従業員の配置転換など、雇いどめや従業員の雇用に深刻な状況が加速しております。このことは、アメリカが進めてきた一極支配体制と金融資本主義の崩壊を意味するもので、国内的には、経済のグローバル化が急速に進む中で、外需に依存してきたことに加え、内需拡大対策の欠如によるものだと厳しく指摘されております。2月16日、内閣府が発表した2008年10月から12月期の国内総生産速報値によると、実質GDPは前年比3.3%減、年率換算では12.7%減で、震源地のアメリカやEC諸国の落ち込みを大きく上回る状態であります。岩手県内でも約6、000人に及ぶ県民が仕事を奪われ、有効求人倍率も0.44まで低下するなど、先行きが見えない状況下にあると言わざるを得ません。まずもって、これらの現状に対する知事の認識と、何がこのような状況を生み出したのか、冒頭お伺いいたします。
 知事は、岩手を守る逆風立ち向かい予算と名づけ、8年ぶりの増額となる総額6、588億円余の予算案を編成しました。財源的には、不況の中で県税収入が約20%も落ち込み、また、地方交付税も8%余も減少し、その不足分は臨時財政対策債を含めた県債と3基金等からの繰入金となっております。歳出面では、今、県民が求めている最大の課題は雇用対策と経済対策であるとし、集中的に取り組む内容となっており、まさにこの危機的状態から脱出し、県民に希望の光を与えるものだと思っております。知事のリーダーシップと県民の協働の力によって、この難局を切り開いていくことが重要と考えております。
 そこでお伺いします。この当初予算案の意義と、込められた知事の思い、県民へのメッセージをお伺いいたします。また、知事は、19日の知事演述において、いわて希望創造プランを着実に推進していくことが、現在の危機を脱し、希望へと転換させることができるとのお考えを述べられておりますが、当初予算では具体的にどういった点に重点化したのか、いわて希望創造プランに掲げる政策の6本の柱ごとにお示し願います。
 第3の柱である共に生きる岩手の実現については、地域医療の確保と県立病院等のあり方について議論が行われておりますので、後ほど詳しくお伺いします。
 次に、県が策定作業を進めています新しい長期計画についてお尋ねいたします。
 現在、県は、達増知事誕生後、岩手県総合計画の後期実施計画に相当する平成19年度から平成20年度までのいわて希望創造プランを策定し、取り組んでいるところであります。今回は、向こう10カ年を目標期間とする新しい長期計画の策定作業に着手し、来年度中に取りまとめたいとしております。今、世界も日本も大きく変わろうとしている中、地域の個性や多様性を前面に出した計画づくりが求められていると思います。新計画では、岩手のあるべき姿を現時点でどのように考えているのでしょうか。また、国内外において、岩手の位置づけをどのように描いて県政を進めようとしているのか、御所見をお伺いします。知事が掲げるいわて希望創造プランで示した四つの重点目標、県民所得の向上、雇用環境の改善、人口転出への歯どめ、地域医療の確保は新計画にどう反映されるのか、今日時点でのお考えをお伺いします。
 次に、新たな広域振興局体制と、その本局のあり方についてですが、県は、平成18年度にスタートした県南広域振興局に引き続き他の3広域振興圏でも、来年4月に新たな広域振興局体制をスタートすることを内容とした広域振興局体制の整備の基本的考え方案を中間報告として公表しました。平成17年12月議会において、県南広域振興局以外の広域振興局についても、可能な限り早期に設置すべきとの議会からの附帯意見があった経緯もあり、今回の計画公表はそれに沿ったものと理解するとともに、財政が厳しい中で、県組織の見直しや職員の効率的適正配置は避けて通れないものと思っております。中間報告では、広域振興局の本局の位置についても示され、その評価については賛否両論があるところであります。
 そこでお伺いしますが、先行した県南広域振興局の県政執行上のメリット、デメリットをどのように評価されておりますか。県北及び沿岸の広域振興局の本局の設置場所を久慈地区及び釜石地区としたことの根拠や、その考え方をお示し願います。3広域振興局において、地域特性を生かした組織体制をどのようにつくっていくのか、あわせてお伺いいたします。
 次に、中期財政見通しについてお尋ねいたします。
 御承知のとおり少子高齢化が進み、岩手県を含め地方の人口減少は加速度的に進んでおります。平成19年5月に国立社会保障・人口問題研究所の推定値によりますと、岩手県は、平成17年の138万5、000人が、平成47年の30年後には104万人と推計され、25%の減少となります。特にも、生産人口である15歳から64歳の人口は、平成17年の85万3、000人が、平成47年には54万8、000人となり、構成比でも現状の61%から53%となり、将来、生産人口1人が年少者や老人1人を支える時代がやってきます。
 一方、雇用や経済の現況から、今後、県民所得の維持、向上は一段と厳しく、結果として税収の伸びも期待できないことから、財政運営についても一段と工夫と節約が求められます。
 今回、当面の財政運営の方向性を中期財政の見直しとして示したところであります。それによりますと、県税収入の大幅な落ち込みと地方交付税の減額、その減額分は臨時財政対策債を含む県債や基金の繰入金にその財源を求めています。この結果、前回の中期財政見通しで見込んだプライマリーバランスの達成は不可能となりました。私は、当面の緊急課題である雇用の維持・創出や経済対策に軸足を置きつつ、県民との約束であるいわて希望創造プランの実現を目指しての財政運営をとるべきものと思っていますが、一方では、過去の景気対策や地方交付税の減額等に対応してふえ続けた県債残高が約1兆4、482億円に達し、次世代への負担はさらに増大することになりました。県は、中長期的な県債の縮減計画も示す必要があります。また、そのためには、事業の見直しや人件費を含めた管理経費の抜本的な改革が求められていると思いますが、御所見をお伺いします。
 また、県は、職員の退職に伴う退職金の支給のため、その財源として退職手当債を活用しており、平成21年度予算でも43億円を計上しております。民間であれば、毎年度、退職金支払いのための引当金を内部留保し、支払い財源に充当しております。しかし、県を含め自治体は、退職金総額の一部とはいえ、退職後の県民、市民にその負担を求める仕組みになっております。私は、退職金の財源はあらかじめ確保する仕組みを考えるべきと思います。具体的には、(仮称)退職金支払い基金的な制度を創設すべきと考えます。もちろん、今、立ち上げたとしても、即刻機能は果たしませんが、将来に向かって取り組む価値はあると認識しますが、御所見をお伺いします。
 このたびの世界的経済不況による影響はさらに拡大し、実体経済や労働環境に深刻な影響を与えています。日本生産技術労務協会、日本製造アウトソーシング協会が公表したものによると、3月末での製造業で働く派遣、業務請負労働者の失業が40万人に達する見通しであり、政府見通しである8万5、000人の4.7倍に相当し、政府見通しの甘さを指摘した格好となっています。また、政府はこの間、十分なセーフティネットを準備しないまま、経営者側の要望に沿う形で、昭和60年に労働者派遣法の制定以来、順次規制を緩和し、平成15年度には労働者派遣を製造業に解禁し、今日的問題を抱えた原因となっております。
 さて、このような中で、岩手の対策についてでありますが、県は、昨年12月10日、岩手県緊急雇用対策本部を立ち上げ、その後、全庁的取り組みとしての本部連絡会議や雇用対策・労働室の設置などを通して緊急雇用対策の展開を推進するとともに、2度にわたって中小企業に対する金融面からの支援を図るため、融資枠の拡大や公共事業の前倒しのための補正措置を実施したところであります。また、今議会でも、国の経済対策関連を含めた平成20年度の補正予算が提案されると承知しております。
 そこで伺いますが、県内での解雇や雇いどめなど一層厳しいものと思われますが、地域や業種別の現状や新規学卒者の就職内定の取り消し等の現状をどのように受けとめているのか。また、県として今後の雇用対策の取り組みをどのように進められるのか、お伺いします。
 国の第2次補正予算におけるふるさと雇用再生特別交付金と緊急雇用創出事業臨時特例交付金の活用による岩手の雇用対策の推進の具体的取り組みについてお伺いいたします。
 県は、雇用対策の一環として、本県の農林水産業及び関連産業における雇用対策を含めた就業促進アクションプランを策定したと聞いております。その具体策についてお示し願います。
 これまで、第1次産業の中核をなす農業は、経済のグローバル化という名のもとに、農産品の輸入拡大によって国内食料自給率は40%まで低下しました。そして、輸入した一部食材については、国の食の安全・安心を脅かし、消費者からの信用を根底から覆す事案も多発しました。また、気候変動による減収やバイオエタノール燃料の利用拡大などにより国際流通量は減少の一途をたどり、国内消費は国内生産で賄うべきとの機運は共通の認識になろうとしております。かつて、日本の農業者は、米を中心に一定の所得が確保され、後継者の心配も少なく、地域経済も支えられ、商店街も活気に満ちあふれていました。今、マスコミで言われるような限界集落など想像した人はいませんでした。まさに長年の農政の失敗が今日的課題を生んだものと言わざるを得ません。農林水産省は、1月27日、食料・農業・農村政策審議会に対し、今後10年の農政の基本方針を定める食料・農業・農村基本計画の見直しについて諮問しました。米の生産調整、減反の見直しや食料自給率向上など農政の根本的な課題を議論し、新たな基本計画を農林水産大臣に答申の上、2010年3月をめどに閣議決定する予定であります。
 先般、この審議会の会長代理を務める東京大学大学院農学国際専攻教授の講演を多くの議員とともに拝聴する機会がありました。講演内容の一部を要約すると、次のようでありました。
 一つ、我が国の農産物にかかる関税は高いというのは誤りであること、二つ、我が国の農業者への国内補助金が多いというのは誤りであること、三つ、我が国は世界で最も農産物輸出における保護が少ないこと、四つ、我が国の食料自給率の低さは国からの支援水準の低い証左であること、その結果、国産食料の重要性にもかかわらず、農業、農村の疲弊が急速に進んでいることなど、具体的数字を示して指摘されるとともに、食料の確保は、軍事、エネルギーと並んで国家存立の重要な3本柱の一つであり、このまま日豪FPA交渉やWTО交渉で相手国家が求める関税率の引き下げや撤廃を受け入れると、日本の食料自給率は12%まで下がってしまうとのショッキングなお話をされました。そして、その解決のためには、農業の多面的機能を評価の上、農家への直接支払制度を導入し、農村や地方の活力を引き出すべきであると結んでおりました。
 そこで伺います。このたび、農林水産省が審議会に対し諮問した食料・農業・農村基本計画の見直しに当たり検討項目が示されましたが、これにつきまして、評価も含め、知事のお考えをお聞きいたします。また、審議会委員や財界筋から、農家への所得補償方式を検討してはとの意見もあると報道されましたが、御感想をお聞かせください。
 今さら申すまでもなく、この岩手は四国4県に匹敵する大きな県土を有し、農産物の生産地として消費者からも大きな評価を受け、食料基地として地位を確保しつつあると思いますが、今後の農業振興に対する決意と具体的方策をお示しいただきたいと思います。食の安全・安心への消費者からの関心は今後一層高まってきます。県では、平成21年度中に食の安全・安心に関する条例を策定したいとし、準備を進めており、時宜を得た取り組みと評価しますが、その考え方についてお伺いいたします。
 次に、水産業の振興につきましても極めて重要な課題でありますので、お尋ねいたします。
 本県の沿岸漁業経営体は小規模な経営体が多く、沿岸漁業の振興を図るためには、経営体の規模拡大、省力化機器の導入やグループ生産などによる効率的な生産体制を構築していく必要があると考えます。このため、県は、水産業普及指導員が中心となって漁協の地域営漁計画の取り組みを支援し、効率的な漁場利用や担い手対策を促進しております。水産業普及指導員は、このほかに現場に密着して、マツモやムールガイなどの新規養殖技術の普及やサケやアワビの放流指導など、さまざまな普及指導活動に取り組んでおります。しかし、平成20年度における水産業普及指導員は14名しか配置されておらず、沿岸の27の漁協に対して各1名の配置もかなわない状況とのことであり、余りにも少ないと言わざるを得ません。水産業普及指導員の増員については県漁連等の漁業団体からも要望があると聞いておりますが、水産業普及指導員の増員についての御所見をお伺いします。
 次に、公立病院改革推進指針と岩手県立病院等の新しい経営計画についてお伺いします。
 最初に、公立病院改革推進指針についてでありますが、今、全国の自治体病院はおおよそ2兆円の累積赤字を抱える中で、常勤医師の激減による患者数の減少、そして医業収入の激減などによって公立病院が存廃の危機に追い込まれております。政府が社会保障費抑制の一環として実施してきた医療政策のもとで、医師の削減とたび重なる診療報酬のマイナス改定、加えて、平成16年度からは新医師臨床研修制度が導入されました。一連の制度改悪により医師の絶対数の削減、偏在が加速し、地方ほど医師の確保が困難な状況となっております。この結果、病院経営自体が厳しい局面となり、まさに命のセーフティネットが危機にさらされております。2005年の統計によると、日本の医師数は人口1、000人当たり2.0人で、OECD加盟国の平均は3.0人となっており、国際的に比較すると大きな格差があります。政府もこの実態に目を覆うことができず、平成18年に、新医師確保総合対策に基づき、医師不足に悩んでいる岩手県を含む10県に所在する大学医学部と自治医科大学において、毎年10人ずつ10年間だけ入学定員を増加させたほか、さらに、平成19年の緊急医師確保対策及び昨年の経済財政改革の基本方針、いわゆる骨太の方針2008に基づいて、全国の大学医学部の入学定員を過去最大の8、486人まで増加させたところであります。また、最近、新卒医師に2年間義務づけられている臨床研修制度についても見直しの動きがあるなど、みずからの医療行政の失敗を露呈した形となっております。
 一方、公立病院維持のため一般会計からの繰り入れによって支えてきましたが、本会計が厳しい中での繰入金の維持増額は困難な状況であります。このような状況の中で、自治体の所管官庁である総務省は、平成19年12月に公立病院改革ガイドラインを決定し、病院を設置する地方公共団体に対し、平成20年度内に公立病院改革プランの策定を求めたものであります。
 そこで、今まで国が進めてきた医療行政について、その評価と御所見をお伺いします。県が策定した公立病院改革推進指針について、県内公立病院の設置者との協議や今後の連携、機能分担のあり方について、どのように進められるのでしょうか、お伺いします。
 次に、岩手県立病院の新しい経営計画についてお伺いします。この計画の策定も、総務省が示した公立病院改革ガイドラインに定める公立病院改革プランの県立病院版であると理解しております。県はこれまで一般会計から約3、600億円の繰り出しをし、県立病院事業を通じて、設立の精神、県下にあまねく良質な医療の均てんを具現し、県民の命と健康を守ってきました。しかし、前段指摘しました国の医療行政の結果、医師不足や医業収入の減収によって138億円余の累積赤字を抱えております。平成16年2月、県医療局は、県民に良質な医療を持続的に提供していくためには新たに県立病院の改革が必要であるとし、病床数の削減等を含む県立病院改革プランを策定し、今日に至っております。今回、医師不足や患者数の激減など医療現場を取り巻く環境の変化に即して、今後も良質な医療を持続的に提供するため、新しい経営計画を決定したとのことであります。県立病院での定年や大学の人事を除く退職者は、過酷な勤務実態も要因の一つとして、2004~2008年で165人となり、その結果、県内公的中核病院で望ましい医療を提供するために必要な医師数に対して、その不足数は191人に達したとの発表がありました。そして、絶対的医師不足の中で医療崩壊を防ぐためには一定の集約は避けられず、早急に対応しなければならないとも指摘しております。医療現場では超過勤務が常態化し、中には厚生労働省の過労死認定基準である100時間を超える勤務を強いられる医師や、宿直に引き続き翌日勤務、いわゆる36時間勤務をせざるを得ない状況になっているなど、医師にとって劣悪な勤務状況が続いている実態と伺っております。このまま対策を講じなければ、さらに退職医師の増加が懸念され、医療崩壊につながりかねないとの危機感から、現場責任者である病院長との数回にわたる協議検討を重ね、新計画が策定されたものと伺っております。
 そこで、順次お尋ねいたします。
 最初に、県立病院における医師の勤務実態についてお聞きします。毎年退職者がふえておりますが、医師の勤務実態と、退職される主な原因をお伺いします。また、今年度末での動向についてもあわせてお伺いします。
 計画の目的では、良質な医療を持続的に提供するためとしておりますが、その結果、5地域診療センターが4月から、沼宮内病院が来年4月から入院ベッドが無床化されることになります。平成16年度から取り組んでいる県立病院改革プランの実施状況も踏まえ、あえて計画どおり進めなければならない理由をお伺いします。
 経営計画の取りまとめに当たって、説明会や懇談会、郵便等で多くの意見、要望が寄せられましたが、それを受けて計画にどのように反映されたのか、お伺いします。
 医療現場では医師が医療業務以外の業務に時間が割かれ、医師本来の業に専念できる体制の構築が求められております。その具体的対策についてお伺いします。
 医師の勤務環境の改善を図るには、県民一体となった取り組みが重要であると思います。平成20年11月28日に設立したみんなで支える岩手の地域医療推進会議での取り組みは、今後どのように進められるのでしょうか、お伺いします。
 最後に、国体主会場についてお伺いします。
 2016年、平成28年、岩手県として昭和45年に次ぐ2回目の国民体育大会が実施されます。今、その主会場がどこに決定するのか、関心が高まっております。前回は盛岡市の県営運動公園陸上競技場を主会場として実施されましたが、日本陸連の第1種公認基準が変わり、現在のままでは第1種公認は不可能で大規模な改修工事が必要とされ、伝えられるところによりますと、財政的な面も配慮して、県と県教委は第1種公認見送りの方針を決定したとされております。
 それでは、インターハイの主会場となった北上市の北上総合運動公園陸上競技場に決定かとの期待と憶測もあり、さらには第3の候補地がないかとの声もあると思います。
 国体開催までには時間的、財政的な準備が必要でありますので、早期に主会場を決定すべきものと思いますが、知事の御所見をお伺いします。
 以上で私の代表質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 新居田弘文議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、内外情勢の認識と問題点についてでありますが、現在の我が国の経済状況は、19日に内閣府から公表された月例経済報告において、急速な悪化が続いており、厳しい状況にあると、5カ月連続で下方修正されるなど、与謝野経済財政政策担当大臣が、戦後最大の経済危機と述べたように、急速に悪化している状況であると認識しております。
 また、本県経済も、鉱工業生産指数が10カ月連続で前年を下回り、雇用情勢もITバブル不況時に匹敵するような状況にあるなど、輸出関連企業が多くを占める製造業を中心に、非常に厳しさが増していると認識しております。
 これは、我が国が、地方が主役になる内需拡大型の真の構造改革を行わず、セーフティネットを十分に構築しないまま市場原理優先型の政策を行ってきたために、今、世界を襲っている経済危機が我が国に影響を及ぼし、それが本県を初めとする地方の実体経済にも及んできていることによるものと考えております。
 次に、当初予算案の意義と私の思いについてでありますが、本県は、極めて厳しい経済状況や雇用情勢の中で、ともすればひっくり返ってしまいかねない大変な逆風にさらされています。このため、平成21年度当初予算を、岩手を守る逆風立ち向かい予算と名づけ、喫緊の課題である雇用の維持・創出や地域経済の活性化に迅速かつ的確に対応するよう、平成20年度補正予算と一体的に、切れ目なく取り組んでいくこととしました。
 また、震災被災からの復旧・復興を全力で進めるとともに、医療・福祉、教育など、県民生活に身近な分野にも十分配慮しながら、いわて希望創造プランを着実に推進していく考えであります。
 こうしたことを通じて、現在、厳しい状況にある県民を、そして岩手を守っていくため、厳しい財政環境ではありますが、予算総額を平成13年度以来8年ぶりに増額した予算案としたところであります。
 本県に大きな影響を及ぼしている世界的な経済危機は、今後も厳しさを増していくことが予想されていますが、私は、県民一人一人が、この逆風に吹き飛ばされることなく、みんなが力を合わせて頑張っていくことができるよう、県民の皆様とともに手を携えながら、今やるべきことにしっかりと取り組んでいきたいと考えております。
 次に、予算の重点化の内容についてでありますが、まず、第1の柱、産業の育成については、中長期的には、今後も成長が見込まれるものづくり産業の基盤強化に向け、地場企業の技術力向上等を進めるほか、食産業、観光産業における農商工連携等の取り組みを支援してまいります。
 第2の柱、食料供給基地岩手の確立については、高品質で安全・安心な農林水産物の安定的な供給に向け、担い手の育成や生産性、市場性の高い産地づくり、消費者ニーズ等に対応した販路拡大を進めてまいります。
 第3の柱、共に生きる岩手の実現については、最重点課題である地域医療の確保に向け、地域医療を担う人材の養成・確保に全力を挙げて取り組むとともに、質の高い医療提供体制の整備を進めてまいります。
 第4の柱、防災対策と危機管理の徹底については、地域防災力の強化に向け、実践的な防災訓練の実施や自主防災組織の育成、木造住宅の耐震改修等への支援、橋梁の耐震補強を進めてまいります。
 第5の柱、人材の育成については、人が育つ岩手、人を育てる岩手の実現に向け、家庭、地域と連携した学校経営改革やキャリア教育の推進、学力授業力の向上、私立学校の特色ある教育への支援のほか、平成28年国体に向けた競技力の向上を進めてまいります。
 第6の柱、岩手の環境の実現については、環境王国の実現に向け、地球温暖化対策の推進や新エネルギーの導入促進、自然環境や大気、水環境の保全に取り組むほか、新しい環境基本計画の策定に着手してまいります。
 このような取り組みを通じて、平成21年度は、経済危機に総力を結集して取り組む1年、いわて希望創造プランに基づき必要な施策を着実に実施する1年にしていく考えであります。
 次に、新しい長期計画における岩手のあるべき姿についてでありますが、私は、基本的には、県民一人一人が生き生きと働き、地域社会の中でともに支え合い、ふるさと岩手で心豊かに安心して暮らしていける喜びを感じることができる社会、また、県民一人一人が主役となって、みずからの希望の実現に向かって未来を切り開いていくことのできる社会を目指していくのが、基本的方向ではないかと考えております。
 国内外における岩手の位置づけについてでありますが、世界的に食への不安が広がっている中で、岩手の高品質で安全・安心な農林水産物への注目、評価が高まっていることを初め、本県には、全国はもとより、広く世界に通用する多くの資源があります。
 急速にグローバル化が進み、世界の中で各地域の存在が直接問われている今だからこそ、平泉の自立と共生の理念に代表される岩手が持つ価値観や、まじめで粘り強い県民性、豊かな自然環境、伝統文化、ものづくりのわざなどの本県のすぐれた資源に光を当て、さらに磨きをかけて国内外に発信していくことで、岩手の位置づけをさらに高めていくことができると考えております。
 次に、いわて希望創造プランの重点目標の反映方法についてでありますが、県民の仕事や暮らしを取り巻く環境がさらに厳しさを増す今日にあって、いわて希望創造プランに掲げた県民所得の向上、雇用環境の改善、人口転出への歯どめ、そして地域医療の確保の四つの重点目標は、策定時以上にその重要性が増していると考えております。したがいまして、この四つの重点目標の達成に向けた取り組みは、当面、しっかりと推進していく必要があると考えております。
 また、新しい長期計画における目標については、より長期的な視点に立ったものとすることを基本とした上で、四つの重点目標の反映を含め、総合計画審議会などの場を通じて、幅広く検討を進めていきたいと考えております。
 次に、県南広域振興局のメリット、デメリットについてでありますが、まず、メリットとしては、地方振興局体制の場合よりも、効果的、効率的な産業振興施策の展開が可能となったことであります。特にも、食産業やものづくりなどの産業振興部門を集約することにより、地域ニーズに応じた広域的、専門的な支援機能を強化し、その結果、例えば、飲食店、宿泊施設等で構成する一関・平泉もち街道により、地域の食文化などの情報を積極的に発信し、食産業の活性化を図ることができたところであります。
 また、産業振興の重要なかぎとなる人材育成の面では、北上川流域ものづくりネットワークによる体験学習や実技講習会などを活発に実施することができたほか、圏域内の観光資源をつなぐインターネットサイトゆいたびを開設し、情報発信力を強化したことにより、誘客活動に寄与することができたものと考えるところであります。
 一方、デメリットとしては、移行当初、利便性や業務執行上の効率性の低下や、本局、総合支局、行政センターの役割分担が不明確であるとの御指摘があったところでございます。
 利便性等の低下につきましては、随時改善に努めてきたところであり、役割分担の明確化につきましては、今後、総合支局を廃止し、行政センター化することなどにより対応する方向で検討しているところであります。
 次に、県北及び沿岸の広域振興局の本局の設置場所についてでありますが、本局の位置を選定するに当たっては、圏域内の各市町村の庁舎からの距離及び所要移動時間の平均を比較し、最も近く、より圏域の中心に位置する地区合同庁舎に設置することを基本とし、選定することとしたところであります。これは、県南広域振興局の本局を選定した場合と同様であり、圏域内の施設や事業等を効果的、効率的に実施できることが重要であると考えたからであります。
 これによって、沿岸広域振興圏におきましては、釜石地区合同庁舎に設置する方向としたところであります。
 また、県北広域振興圏におきましては、久慈地区合同庁舎が、より圏域の中心に位置しており、それに加えて、県の他の行政機関や国の行政機関の配置状況など地域経済上の均衡にも配慮して、久慈地区合同庁舎に設置する方向としたところであります。
 次に、3広域振興局の組織体制についてでありますが、基本的には、いわて希望創造プランに掲げる重点目標に対応するため、産業振興を中心として、広域的、専門的な観点から、効率的かつ効果的に施策展開できる体制を目指すこととし、各圏域の産業構造などの地域特性に対応した組織を構築したいと考えているところであります。
 なお、これまで寄せられたパブリックコメント等での御意見に加え、今後、最終案や実施案を示す中でも、広く各方面から御意見をいただきながら、また、市町村等との意見交換結果なども踏まえ、検討してまいる考えであります。
 次に、中長期的な県債の縮減計画等についてでありますが、厳しい経済情勢の中、平成21年度の地方財政対策では、臨時財政対策債を大幅に増加させる形で地方の財源不足の補てん措置が講じられたところであります。
 この臨時財政対策債は、地方交付税の振りかえとして発行するもので、その償還に当たっては後年度に地方交付税措置がなされるものでありますが、近年、このように国の施策の選択に伴い発行を余儀なくされる地方債が多額となっていることから、地方の立場から地方債の発行総額等を計画的にコントロールすることが、事実上困難な状況となっております。
 したがいまして、中長期的な県債の発行見通しを具体的な数値をもってお示しすることは難しい面がありますが、地方の財源を十分に確保できるような税財政制度改革を国に強く求めていくとともに、引き続き、県として主体的に管理可能な通常の地方債については、財政状況や経済情勢を考慮しながら、発行規模を適切に管理していく考えであります。
 同時に、今後しばらく県債償還の増加が見込まれる中で、財政運営に支障が生じることのないよう、お話のありました事務事業や管理経費の見直しを含め、より一層の行財政改革を推進し、持続可能な財政構造を構築していきたいと考えております。
 次に、退職金の財源確保に向けた御提言をいただきましたが、現在の地方財政計画が、国、地方を通じた巨額の財源不足を背景に退職手当債を発行することを織り込んだものとなっていることや、危機的な財政状況の中で、各種の基金を取り崩しながら毎年度の財政運営を行っていることを踏まえれば、本県の場合、当面の収支不足対策として、退職手当債を含めた財源対策を講じざるを得ない状況であります。
 また、基金については、災害に対応するための最低限の基金の確保や国体基金の積み立ては行っていく方針ですが、職員の退職金を初め、その他のさまざまな将来の財政需要に対する備えについては、現状では基金を積み立てられる状況にはなく、今後、財政収支の改善状況に応じて検討していきたいと考えております。
 次に、雇用情勢の現状認識と今後の対策についてでありますが、製造業の集積が進んでいる県南広域振興圏を中心に、派遣社員の雇いどめなどが多く発生し、高校新卒者等の就職内定が取り消されるなど、雇用情勢は急速に悪化しており、県民の仕事や暮らしに大きな影響を及ぼしているものと認識しております。
 このため、県では、県営住宅の提供などの生活支援や中小企業経営安定資金の融資枠拡大などの雇用維持に向けた取り組みを実施してきたところであります。
 こうした緊急の取り組みに加え、今後は、新たな基金の活用や地域の特性を生かした産業の振興等、中長期的な視点で安定的な雇用の創出に取り組むほか、職業訓練機会の増設や求職者総合支援センターの設置等により就業支援を行うなど、より一層強力に雇用対策を推進してまいります。
 次に、基金を活用した雇用対策の具体的取り組みについてでありますが、平成21年度当初予算におきましては、緊急雇用創出事業臨時特例基金を活用し、県事業として6億2、100万円の予算を計上し、安全安心なまちづくり推進事業などにより420人余の雇用を創出するとともに、市町村に対して12億3、200万円を助成して900人の雇用を創出し、合わせて1、300人余の臨時的な就業の機会を緊急に提供してまいります。
 また、ふるさと雇用再生特別基金を活用し、県事業として、いわて6次産業チャレンジ支援事業などにより165人の雇用を創出するとともに、市町村に対して14億6、000万円を助成して350人の雇用を創出し、合わせて500人余の安定的な雇用を創出してまいります。
 次に、農林水産業及び関連産業における具体的な雇用対策についてでありますが、今般、策定いたしましたアクションプランに基づき、まずは、雇用の受け皿となる農林水産業の振興を図るため、いわて希望創造プランに掲げる経営体の育成や産地づくり等を重点的に推進するとともに、農林水産業の6次産業化や農商工連携による食品産業や木材産業の振興等により、雇用の創出に努めてまいります。
 また、厳しい労働条件など、就業する際の課題解決に向けて、機械化等による省力化や、冬春野菜の導入による生産の周年化等の戦略的な取り組みを推進し、農林水産業への就業を促進してまいります。
 さらに、就業希望者のニーズや生産技術等の習得レベルに合わせた生産現場での研修等のキャリアアップを積極的に支援し、就業者が早期に担い手として自立できるよう、関係機関、団体と一丸となって取り組んでまいります。
 次に、食料・農業・農村基本計画の見直しと農家への所得補償方式についてでありますが、今般、農林水産省から示されている基本計画の検討項目の中には、元気な農業経営の育成・確保や水田フル活用による食料自給率の向上など、本県が目指す食料供給基地岩手の確立に向けて必要な施策が含まれており、本県農業の実情が国の政策に反映されるよう、今後とも積極的に提案してまいりたいと考えております。
 また、今般の基本政策の見直しでは、農業経営への総合的な支援策も検討項目とされておりますが、私は、所得補償方式による経営支援は、農産物価格の長期低迷など、厳しい経営環境のもとでも再生産可能な所得を補償するものであり、農業経営の持続的な発展が期待されるとともに、我が国の食料自給率の向上に寄与するものと考えており、国民的な議論のもとで新たな制度として実現することを期待しております。
 次に、農業振興についての決意と具体的方策についてでありますが、本県農業を取り巻く環境は、農産物価格の低迷等、厳しい状況にありますが、一方で、食の安全・安心に対する消費者ニーズが高まるなど、本県農業への追い風も吹いてきております。加えて、雇用情勢が急速に悪化する中で、地域経済を支え、また、雇用の受け皿となる産業として、県民の期待が高まってきております。
 私は、こうした変化を本県農業が直面する危機を希望に変える契機ととらえ、いわて希望創造プランに基づき、第1に、本県農業をリードする経営体の育成、第2に、生産性、市場性の高い産地づくり、そして第3に、消費者ニーズに対応した販路拡大、これらに重点的に取り組み、本県農業の体質強化と所得の向上を図り、日本の食を守る食料供給基地岩手を確立してまいります。
 次に、食の安全・安心に関する条例の考え方についてでありますが、全国的に食品の偽装表示などが相次ぎ、食に対する県民の不安が高まっていることを踏まえ、食の安全・安心に関する施策の実効性を高め、本県の食に対する信頼の確保、向上を図るため、条例を制定することとしたものです。
 条例の内容は、今後、食の安全安心委員会や県民の皆様の御意見を伺いながら検討してまいりますが、基本的な方向としては、消費者の視点を重視するとともに、食料供給県である本県の特性を生かしながら、安全・安心な食品の供給、環境との調和、県民の健康への悪影響の未然防止、県民総参加の取り組みなどを推進する内容にしたいと考えております。
 次に、水産業普及指導員についてでありますが、本県の水産業の振興を図るためには、地域に密着した経営や生産技術指導の強化が重要な課題となっております。
 このため、県といたしましては、厳しい行財政環境の中にあっても、青森県等と同水準の普及指導員を確保するとともに、平成18年度からは、新たに普及指導員及び振興局水産部の職員がプロジェクトチームを組織して、地域営漁計画の実行支援に取り組んでおります。
 現在、平成22年度からの広域振興局体制の検討を進めておりますが、この中で、普及指導員の増員も含め、市町村や漁協と連携した地域協働による普及指導体制の強化について総合的に検討し、地域の漁業者のニーズに的確かつきめ細やかに対応できる体制整備に努めてまいります。
 次に、国が進めてきた医療行政についてでありますが、現在、本県の地域医療は、深刻な医師不足などにより危機的な状況にありますが、その主な要因は、これまで国が進めてきた医師養成及び医療費の抑制策などにあると認識しております。
 国においては、昨年、ようやく医師養成数を大幅に拡大したところでありますが、医師として地域医療に従事するためには長い期間を要することから、県としては、引き続き、実効性のある医師不足解消策を講ずるよう国に強く求めるとともに、当面、限られた医療資源のもとで地域に必要な医療を確保するため、公立病院の再編・ネットワーク化や医師の養成・確保などに全力を挙げて取り組んでいく考えであります。
 次に、公立病院改革推進指針についてでありますが、この指針は、二次保健医療圏を基本単位とした効率的なネットワークを形成できるよう、各公立病院の改革の方向性を示すものでありますが、検討の段階から、随時、病院設置者に提示し意見交換を行ったほか、外部の有識者から専門的な意見を伺いながら策定したものであり、各公立病院においては、これを踏まえて改革プランの策定が進められるよう期待しているところです。
 また、現在、二次保健医療圏ごとに医療機関の役割分担と連携を進めるための医療連携推進プランの策定を進めているところであり、今後、これに基づく取り組みを進めることによって、県民の皆様に、症状等に応じた医療を切れ目なく提供することができるものと考えております。
 次に、県立病院の医師の勤務実態等についてでありますが、県立病院の医師は、救急患者の増加や医療安全対策、医療技術の進歩、高度化への対応のほか、事務的な仕事量の増加などにより、超過勤務は月平均で約54時間に及び、過酷な勤務状況にあります。
 さらには、宿直勤務に引き続く、いわゆる36時間勤務など、睡眠時間が十分にとれない状況となっております。
 また、医師の退職理由については、子弟の教育上の問題など個人的な事情によるものもありますが、勤務環境の悪化から、比較的勤務の緩やかな民間病院への異動や開業などが主な要因となっているものと考えております。
 なお、既に昨年12月末までに25人の医師が退職し、さらに今後十数人の退職が予定され、平成21年度当初の常勤医師数は449人と、平成15年度末に比べ86人減少するものと聞いております。
 次に、無床診療所化を計画どおり進める必要性についてでありますが、平成16年度から現在の県立病院改革プランに取り組み、二次保健医療圏ごとの病院群の一体的運営や、有床診療所化を含む病床規模の適正化などを計画的に実施してまいりましたが、県立病院を取り巻く環境は、プラン策定当時に比べて大きく変化し、特に医師不足については、常勤医師が平成15年度に比べ平成21年度には86人も減少する見込みとなっているなど、まさに危機的な状況にあり、限られた医療資源の有効な活用と医師の業務負担の軽減は、喫緊の課題であります。
 今回の計画は、病院長を初め、病院現場の医師の意見を踏まえ、議論を重ねて策定したものであり、早急に実施しなければ、医師の過酷な勤務環境の改善を先送りすることとなり、医師に失望感を与え、勤務意欲の低下や退職者の増加が懸念されるほか、医師確保への影響、臨床研修医の減少、ひいては診療体制などにも影響が出ることが予想されることから、計画は、本年4月から実施する必要があると考えております。
 次に、寄せられた意見の計画への反映についてでありますが、計画の撤回や実施の延期といった意見については、医師不足が極めて深刻な状況にある中、本県の地域医療がまさに崩壊の危機に瀕しており、計画の実施がおくれればおくれるほど事態が悪化することから、計画に反映させることができなかったものであります。
 しかしながら、住民の皆様から指摘された個別具体の課題については、入院患者の受け入れ先や交通アクセスを確保すること、当面、病床を休止扱いとすること、当分の間、夜間・休日に看護師を当直させることなど8項目について、対応策を計画に盛り込んだところであります。
 次に、医師が本来の業務に専念できる体制の構築についてでありますが、これまでも、超音波検査の臨床検査技師による実施や、医師の事務作業を補助する医療クラークの導入、がん化学療法などで医師をサポートする認定看護師等の養成、研究や治療のためのデータを管理できる診療情報管理士の育成などにより、医師の業務負担の軽減を図り、医師が本来の業務に専念できる体制づくりを進めてきたところであります。
 今後とも、特に要望が強い医療クラークの配置拡大や認定看護師等専門資格職員の育成などを推進するとともに、24時間保育の実施や育児のための短時間勤務制度の活用などを通じて、女性医師が働きやすい職場環境の整備にも努めてまいります。
 次に、県民みんなで支える岩手の地域医療推進会議の今後の取り組みについてでありますが、推進会議では、みんなの力を医療の力にを運動スローガンに掲げ、今年度は1、000人を超える参加者を得ての地域医療シンポジウムの開催や各種広報により、医師の勤務環境を改善し、地域医療を守っていくためには、かかりつけ医を持つことや症状や医療機関の役割分担に応じた適切な受診が必要であることなどについて、県民の皆様の理解を深めるための取り組みを行ったところであります。今後は、これに加えて二次保健医療圏ごとのシンポジウムや出前講座の開催、また、地域医療を支えるための住民活動への支援を行うなど、84の構成団体が一丸となって県民運動を展開してまいりたいと考えております。
 岩手県立病院等の新しい経営計画についての答弁のところで、答弁を漏らしたところがございましたので、さかのぼって答弁をさせていただきますが、この計画、特に地域診療センター等の無床診療所化に関しましては、地域の皆様にさまざまな不安や御心配をおかけしていることにつきまして、率直におわび申し上げたいと思っております。県民の皆様に御理解いただきたいと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。
 次に、岩手国体についてでありますが、開・閉会式会場、陸上競技会場等の決定については、競技会場の調整、選定や競技役員の養成等に影響を及ぼすため、十分な準備期間を確保する観点から、できるだけ早期に行われることが望ましいと考えております。開・閉会式会場については、現在、第71回国民体育大会岩手県準備委員会において、県営運動公園及び北上総合運動公園の施設状況、式典運営、選手団の輸送、交通、宿泊等の観点から調査、検討しているところであります。今後は、準備委員会において、県営運動公園陸上競技場の県の整備方針も踏まえながら総合的に検討し、決定していくこととしております。
〇議長(渡辺幸貫君) それでは、傍聴者への配慮から、少々時間をいただきます。
〇議長(渡辺幸貫君) 次に、千葉伝君。
   〔45番千葉伝君登壇〕(拍手)

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