平成20年12月定例会 第8回岩手県議会定例会会議録

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〇41番(佐々木一榮君) 民主・県民会議の佐々木一榮であります。
 会派を代表いたしまして、ただいま提出されました発議案第15号知事の発言に関する決議について、反対の立場から討論をさせていただきます。
 12月5日の本会議での達増知事の答弁は、高橋雪文議員からの質問に答えたものでありますが、高橋雪文議員は、現状の危機とその認識、そして知事のリーダーシップに触れながら、この質問のまとめとしまして、今は県庁も県民も危機を十分認識していませんし、希望はいまだ遠くにあると感じますが、知事の御所見をお聞かせ願いますと述べられております。現下の大変厳しい雇用情勢、経済状況など、岩手を取り巻く環境を考えますとき、危機を県民が十分に認識していないとの見識は、我々議会人はもとより県民感情からしても到底受け入れられず、知事はやむにやまれず、県民と、その危機意識を守る立場から心境を最大限吐露したものと考えます。
 したがって、この発言は、県民が危機意識を十分認識していないとする考えに対して県民が抱くであろう思いを身を賭して述べたものと理解するものであります。それだけに、品位、品格に欠けるという発言の指摘には当たらないばかりか、形式主義とも指摘されることもある議会の質疑において、本音での議論のやりとりは、むしろ議論を活性化し、幅広く掘り下げた議論のきっかけとなるもので、この点については、質問の当事者である高橋雪文議員も、本会議におきまして、知事の答弁に対し、自分の言葉で語っていただいて、私は非常によかったと述べておられます。
 さて、ここで表現の自由について触れなければならないと考えます。
 日本国憲法第21条では、第1項で、集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障するとしており、続く第2項で、検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならないと規定しています。言うまでもありませんが、表現の自由を認めることは、民主主義国家を構築する上で不可欠な要素であり、それゆえに、我が国の最高法規である憲法で規定されているところであります。
 一方、議会は言論の府であり、まさにこの表現の自由を具現化する最高の機関であるはずであります。したがって、議会のルールも憲法のもとにあるということは言うまでもありません。発言に対する評価は、その賛否を問わず、発言者みずからがもっぱら背負うものであり、言いかえれば、発言に対する自由を保障するかわり、すべての責任を持っています。この観点から言えば、発言に対しての指摘や糾弾は、議会の議論においても当然ながら、言論機関である議会が公権力をもって発言の内容に踏み込み、発言の撤回や削除を求めることは、民主主義国家の我が国の地方議会としては、その代償が余りにも大きく、なじまないものと言わざるを得ません。だとするならば、岩手県議会がこうした発議案として知事の発言に関する決議を上げること自体が、県民の負託にこたえる歴史と伝統ある議会の品位と格式をおとしめるものになりはしないかと大いなる危惧を抱くものであります。
 以上、この二つの観点から、この発議案に反対をするものであります。議員各位におかれましては、意図するところをお酌み取りいただきまして、御賛同いただきますようお願いを申し上げます。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
〇議長(渡辺幸貫君) 次に、斉藤信君。
   〔38番斉藤信君登壇〕

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