平成20年12月定例会 第8回岩手県議会定例会会議録

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〇4番(工藤勝博君) 政和・社民クラブの工藤勝博でございます。
 ただいま上程されました農地取得の規制緩和に反対し、優良農地の確保と有効利用を求める意見書について、会派を代表いたしまして提案理由を説明いたします。
 農地は、国民の共有財産であり、食料自給率の向上や食料の安定供給に欠かせない国家資源であり、地域の環境資源、農家の経営基盤として大きな役割を果たしております。
 国はこれまで、農業生産法人の要件緩和や特定法人貸付事業によるリース事業の全国展開などの規制緩和を進め、株式会社の農業参入の道を拡大し、農地法改正の準備を進めております。耕作放棄地の解消や優良農地の確保は喫緊の課題であるものの、所有から利用への転換は、そもそもの目的を逸脱した方向へ導くものとして危惧される政策であります。
 これまでの規制緩和ですら、都道府県段階での違反転用や仮登記による事実上の第三者転売、さらに、産業廃棄物の不法投棄など環境破壊の実例が明らかになっているにもかかわらず、農地法の規制を緩め土地利用が自由化されれば、農地は耕作者が所有するという理念は骨抜きとなり、農村自体の質的変化を助長し、生態系など環境資源としての農地の存在そのものも危機にさらされます。さらに、家族農業を中心とする地域社会の激変も懸念されます。日本農業の構造的変質をもたらすものとして、極めて危険な政策方向であります。
 経済界が要求し続けてきた所有と使用の分離論は、単なる政策的な選択ではなく、農業政策の本質論にほかなりません。よって、国の責任による農地の確保と耕作者の権利擁護の観点から、さらに多面的意義を発揮する農村再生ビジョンの構築が不可欠であり、安易な農地政策を選択することのないよう、次の処置を講ずるよう強く要望します。
 一つ、株式会社による農地の取得、長期貸借制度に関する規制緩和は認めず、生産法人による農業参入要件については厳しく監視し、これを維持するとともに、耕作放棄地解消のため、農地の集落利用・市町村管理システムを確立すること。
 二つ目、耕作目的外の農地の権利取得を排除するため、権利移動規制を引き続き堅持するとともに、農地転用許可制度や農業地域振興制度を厳格化し、転用許可事務について国の関与を高め、是正指導や罰則強化などの処置を講ずること。
 三つ目、農地の確保に関し、所有者・使用者の責務、国や地方自治体の役割・機能を明確に規定し、耕作放棄地の解消及び減反農地の有効利用に向け、総合的かつ具体的に支援策を提示するとともに、市民やNPO等の関与や農地の保全管理に関する支援策と予算措置を拡充すること。
 四つ目、農業委員会による農地の監視や利用調整活動など、その機能を堅持し、態勢強化のための措置を講ずること。
 五つ目、中山間地域直接支払制度は恒久化して予算拡大し、農地・水・環境保全向上政策を拡充し、将来的には環境支払いとしての制度創設を行うこと。
 六つ目、農地の相続税納税猶予制度は、自作地だけでなく、農地利用が続いている貸付地にも認めること。
 以上、提案理由を申し上げ説明といたします。議員各位におかれましては、何とぞ御理解と御賛同をいただけますようお願いいたします。(拍手)
〇議長(渡辺幸貫君) これより質疑に入るのでありますが、通告がありませんので、質疑なしと認め、質疑を終結いたします。
 お諮りいたします。ただいま議題となっております発議案第4号農地取得の規制緩和に反対し、優良農地の確保と有効利用を求める意見書は、会議規則第34条第3項の規定により、委員会の付託を省略いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(渡辺幸貫君) 御異議なしと認めます。よって、発議案第4号農地取得の規制緩和に反対し、優良農地の確保と有効利用を求める意見書は、委員会の付託を省略することに決定いたしました。
 これより討論に入るのでありますが、通告がありませんので、討論なしと認め、討論を終結いたします。
 これより、発議案第4号農地取得の規制緩和に反対し、優良農地の確保と有効利用を求める意見書を採決いたします。
 本案は原案のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(渡辺幸貫君) 起立多数であります。よって、発議案第4号農地取得の規制緩和に反対し、優良農地の確保と有効利用を求める意見書は、原案のとおり可決されました。
   日程第77 発議案第5号障害者自立支援法の抜本的な改正を求める意見書
〇議長(渡辺幸貫君) 次に、日程第77、発議案第5号障害者自立支援法の抜本的な改正を求める意見書を議題といたします。
 提出者の説明を求めます。小西和子さん。
   〔3番小西和子君登壇〕

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