平成20年12月定例会 第8回岩手県議会定例会会議録

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〇38番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
 認定第1号、第14号に反対の討論を行います。
 認定第1号は、2007年度岩手県立病院等事業会計決算であります。
 県立病院は、医師、看護師等県立病院の職員の献身的取り組みによって、県民の生命と健康を守るかけがえのない役割を果たしていることを高く評価するものであります。しかしながら、国の医療費削減、地域医療切り捨て政策のもとで、かけがえのない地域の病院を診療所化するなど、県民の立場から見て、解決すべき問題も少なくありません。
 反対する第1の問題は、昨年度、地域住民の強い反対を押し切って、県立大迫病院と県立伊保内病院が有床の診療所化されたことであります。県立紫波病院、県立花泉病院の診療所化に続くもので、地域医療の縮小、切り捨てであります。必要な医師が確保されず、入院患者は大迫で半分に、九戸でも大幅に減少しました。今回示された新しい経営計画案では、さらに無床の診療所化とする方針が示されましたが、診療所化が地域医療の切り捨て以外の何物でもないことも示しているものであります。
 岩手の県立病院は、昭和5年、気仙郡矢作村で、住民みずからが組合診療所を開設したことを皮切りに、その運動が県下全域に広がり、戦後の昭和25年に県立病院として移管され、設立された経緯と歴史を持っています。だからこそ、県下にあまねく医療の均てんをという県立病院の崇高な創業の精神が打ち立てられたのであります。今、この創業の精神が守られるのか、それとも崩されていくのかが鋭く問われています。決して戦前の時代に逆戻りさせてはならない、地域医療を守り抜くべきであります。
 第2の問題は、医師が5人増員となった一方で、看護師は26人削減されました。全体では64人の職員の減少となっています。その結果、中央病院を初め大船渡や久慈、宮古、二戸など広域基幹病院でも2人夜勤体制となるなど、患者の安全な看護という点でも、看護師の労働条件という点でも、厳しい看護体制となっていることであります。中央病院の看護師は、重症患者が多く、毎日の入退院の患者の対応などで昼休みも30分程度しかとれず、日勤でも夜8時、9時まで終わらない状況であります。中央病院では今年度から7対1の看護体制が実施されましたが、本来、80人の看護師の増員が必要にもかかわらず、40人しか増員されませんでした。その結果、外来から看護師を引き揚げる。それでも足りずに、紫波診療センターや沼宮内病院から看護師をかりてくる状況であります。それでも中央病院の看護師は休暇も自由にとれない状況となっているのであります。看護師不足が重大な社会問題になっている中で、必要な看護師確保に真剣に取り組むべきであります。
 第3の問題は、医師不足と10億8、000万円余の赤字、県立病院の経営危機の背景に国の医療費削減政策があるということであります。診療報酬の引き下げによる減収は約18億7、000万円余、医師不足による減収は、宮古、大船渡病院の循環器科だけで12億円と見込まれています。国の医療切り捨て政策のもとで、30億円を超える減収を10億8、000万円にとどめたというのが県立病院の実態であります。また、消費税の実質負担額は9億3、000万円余で、累積は156億円余となっています。国の悪政が県立病院の経営危機の最大の原因であります。医師の増員については、来年度、過去最高の定員増となり、政策転換が図られました。社会保障費の年間2、200億円の削減、7年間で1兆6、000億円の削減も直ちに中止し、復元すべきであります。世界にも例を見ない医療費削減、医療切り捨て政策の転換をかち取ることにこそ、県立病院と地域医療を守り、発展させていく道があるのであります。国の悪政に追随して、その犠牲を県民に押しつけるのではなく、医療政策の転換を求めて、県立病院の創業の精神を守るべきであります。
 第4の問題は、深刻な医師不足にどう対応するかであります。まず取り組むべきは、医師を支える体制を最大限とることであります。今年度から実施して効果が明らかな医療クラークを数倍の規模で増員し、医師の負担軽減を図るべきであります。医師を支える看護師、臨床検査技師などの増員を行うべきであります。さらに、開業医、地元医師会との連携を強め、初期救急や夜間救急の体制の確保、宮古市で実施しようとしている広域基幹病院への診療応援など、あらゆる努力と取り組みを行うべきであります。岩手医科大学の支援はもとより、県内の医師会、開業医の協力体制を強化して、地域医療を守り抜くべきであります。
 第5の問題は、無駄と浪費になりかねない一方的な24時間保育の導入を中止すべきだということであります。女性医師の確保の名目で、医療局は24時間保育を一方的に胆沢病院に導入しました。しかし、全く実態に合わない無駄遣いになりかねません。今年度、胆沢病院で実施されましたが、小学館に対する委託費は、それまでの10倍近い3、990万円で、保育士は8人、1年雇用の契約社員で一時金なし、月額約17万円。利用者はふえたといっても8人程度、年2回、準夜程度の保育がありましたが、終夜保育はありませんでした。久慈病院、江刺病院の実情を聞きましたが、女性医師を含めて24時間保育の要請はないとのことでありました。院内保育所では、ベテラン保育士のもとで認可保育所にも負けない保育が行われています。女性医師の願いも、子供を夜預けて働くことではなく、子育てしながら働ける職場の実現であります。経営危機のもとで、実態に合わない無駄遣い、24時間保育の一方的な強行は中止し、見直すべきであります。
 最後に、県立病院の新しい経営計画の策定に当たっては、医師の意見を幅広く聞くことはもとより、創業の精神に基づく地域医療の確保と拡充を求める県民の意見をよく聞いて、見直すべきは見直すべきであります。6市町村の地域住民の請願に示された切実な願いにこたえて、無床化は撤回すべきであります。
 認定第14号は、2007年度岩手県港湾整備事業特別会計決算であります。これは、ことし2月に提出された包括外部監査結果報告書で、海上貨物量の予測は大幅に増加するはずであったが、現実には大幅に減少してしまった。しかし、当初の見込みが大きく外れたにもかかわらず、見直し作業が行われずに開発が進められており、このままではうやむやのうちに開発が完了してしまう見込みがあると厳しく指摘されたのであります。港湾整備事業を含めて抜本的に見直すべき事業であります。
 以上申し上げ、私の討論といたします。御清聴ありがとうございました。
〇議長(渡辺幸貫君) 以上で通告による討論は終わりました。
 これをもって討論を終結いたします。
 これより、認定第4号及び認定第13号を一括して採決いたします。
 各決算の委員長報告は、認定をしないとするものでありますので、原案について採決をいたします。
 各決算は、原案のとおり認定することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔起立なし〕
〇議長(渡辺幸貫君) 起立者がありません。よって、認定第4号及び認定第13号は、認定しないことに決定いたしました。
 次に、認定第1号及び認定第14号を一括して採決いたします。
 各決算は、委員長の報告のとおり認定することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(渡辺幸貫君) 起立多数であります。よって、認定第1号及び認定第14号は、委員長の報告のとおり認定することに決定いたしました。
 次に、認定第2号、認定第3号及び認定第5号から認定第12号までを一括して採決いたします。
 各決算は、委員長の報告のとおり認定することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(渡辺幸貫君) 起立全員であります。よって、認定第2号、認定第3号及び認定第5号から認定第12号までは、委員長の報告のとおり認定することに決定いたしました。
   日程第15 議案第1号平成20年度岩手県一般会計補正予算(第3号)から日程第71 請願陳情まで
〇議長(渡辺幸貫君) 次に、日程第15、議案第1号から日程第71、請願陳情までを一括議題といたします。
 各案件に関し、委員長の報告を求めます。工藤総務委員長。
   〔総務委員長工藤大輔君登壇〕

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