平成20年12月定例会 第8回岩手県議会定例会会議録

前へ 次へ

〇10番(菅原一敏君) 民主・県民会議の菅原一敏でございます。
 このたび2度目の一般質問の機会をいただきましたことに感謝を申し上げます。
 通告に従いまして順次質問をさせていただきますが、一般質問3日目、最後の最後の登壇になりました。これまでの質問と項目が重なっておる場合が多々ございますけれども、御了承をお願いいたします。
 最初に、新年度予算編成についてお伺いいたします。
 知事は、前任の知事によって骨格予算として編成されていた平成19年度当初予算に対する6月補正による肉づけ、そして平成20年度の当初予算と、これまで2度の予算編成をされ、いよいよこれから、ことし1月に岩手県総合計画の後期実施計画として策定したいわて希望創造プランに掲げた各政策目標の着実な達成に努めるための、知事として3回目となる平成21年度の予算を編成する時期を迎えているところであります。
 しかしながら、本県の財政状況は、景気の低迷による県税収入の減少と、近年の地方交付税の大幅な削減に伴う一般財源の減少や、国のたび重なる経済対策に伴い発行した県債残高が1兆4、000億円を超える巨額となっていること、また、主要3基金の残高が大きく減少していることなどから、今後一層厳しさを増していくものと見込まれておりますが、このような厳しい財政上の制約がある中、平成21年度の当初予算をどのような基本的方針で編成しようとしているのか、知事のお考えをお伺いします。
   〔副議長退席、議長着席〕
 平成18年1月に、副知事を本部長とする県北・沿岸振興本部が設置され、同年11月に策定された県北・沿岸圏域における産業振興の基本的方向においては、地域産業を支える農林水産業の振興を土台にしながら、食産業、ものづくり産業及び総合産業としての観光振興に重点的に取り組むこととされており、また、いわて希望創造プランにおいては、県北・沿岸圏域の振興を今後の主要課題として位置づけ、医療や教育などの地域課題にも取り組むこととされております。
 こうしたことを踏まえると、県北・沿岸振興については、優先度の高い施策として取り組むべきものであり、必要な施策について最大限予算化されるよう配慮されなければならないものと考えますが、平成21年度においては、県北・沿岸圏域の振興を図るための予算をどのように重点化し、確保されるお考えか、県北・沿岸振興本部長としての副知事のお考えをお伺いします。
 次に、中期財政見通しについてお伺いします。
 本年2月に公表された平成20年度から平成22年度までの中期財政見通しにおいては、事務事業の総点検や歳出削減、職員給与の特例減額などに加え、基金の活用等の財源対策や国の偏在是正策による効果を見込んで、平成22年度までの収支均衡のめどが立ったとしております。
 しかしながら、この見通しには、策定後に発生するさまざまな課題解決に向けた政策的な経費を見込んでいないことも明らかになっているわけですが、この中期財政見通しを踏まえた集中改革プログラムによる今後3年間の予算の進行管理は予定通りに進めることができるのか、また、産業振興や企業誘致などの低迷する県民所得の向上を図るための施策や、地域医療の確保、社会資本の整備、災害対策など主要政策課題に対応できるのか、御認識をお伺いします。
 昨年、制定、公布された地方公共団体の財政の健全化に関する法律に基づいて、地方自治体の財政健全化判断比率が平成19年度決算から公表が義務化され、また、平成20年度決算から、基準を超える団体は早期健全化計画等を策定し、早急に改善に取り組まなければならないことになります。公表が義務づけられた四つの指標のうち、一つでも基準を超えると、健全化計画の策定や外部監査を義務づける早期健全化団体に移行することになりますし、さらに悪化すると再生団体となり、事実上、国の管理下に置かれることになります。
 先般公表された平成19年度決算における本県の数値は、実質公債費比率が15.3%、将来負担比率が307.7%となっており、現時点での差し迫った状況には至っていないわけでありますが、この現状をどのように認識しておられるのか。あわせて、将来に向けての見通しについてお伺いします。
 また、平成19年度決算では、知事部局分だけで13億7、000万円の退職手当債が発行されておりますし、定員管理計画によれば、平成19年度末からの4カ年で、知事部局だけでも約580人の団塊世代の大量退職が見込まれており、退職手当債が県債残高に与える影響が懸念されるところであります。今後の退職手当債の発行見込みと、その発行額がピークとなるのはいつか、また、償還財源の確保は可能なのか、お伺いします。
 次に、広域振興局体制の整備についてお伺いします。
 平成17年12月、県内四つの広域振興圏の設定と広域振興局の設置が県議会において議決、決定され、これを受けて、平成18年度から県南広域振興局が先行的に奥州市に設置されました。そして、この県南広域振興局の成果を検証しながら、今後、平成22年4月をめどに、残りの3圏域についても1圏域1広域振興局体制に移行することとして、その作業が進められており、去る6月には、広域振興局体制の整備の基本的考え方の素案が示されました。
 素案として示されたその内容は、県南圏域において課題とされていた3層構造を見直しし、総合支局を廃止することを前提に、全県を四つの広域振興局に再編し、そして、産業振興などの企画部門は本局に集約、行政センターは住民に身近な業務を行うというものであり、パブリックコメントや地域説明会、市町村長等との意見交換などを行いながら、来年2月をめどに成案を公表する予定とのことでありますが、このパブリックコメントに寄せられた内容や、市町村長等からの主な意見の内容はどのようなものだったのか、そしてまた、それらから新たに浮かび上がってきた課題は何か、その課題にどのように対処されるお考えか、お伺いします。
 また、四つの圏域にはそれぞれの特色があり、それぞれ異なった地域特性や発展の可能性を有しているわけですが、広域振興局の本局の設置場所を選定するに当たっては、これら地域特性をどう評価し、どのような基準を設けて決定するお考えか、お伺いします。
 先行した県南広域振興局においては企画理事が配置され、本庁で統括する部長よりも上位のポストとなっておりますが、今後整備される他圏域の広域振興局にも企画理事が配置されるのであれば、組織としてのあり方において、指揮命令系統上からも、また、決裁権限上からも、さまざまな不都合が生じてくることが想定されますが、このことについてどのように認識されているのか、お伺いします。
 続けてお伺いしますが、素案において行政センターの業務として想定されている消費生活や労働についての相談業務、母子寡婦福祉資金の貸し付け等の窓口業務など、主に個人に対するサービス業務については、同種の事務を市町村でも行っていることでもあり、県民から見た二重行政を回避するためにも、この際、市町村に権限移譲を行ってはどうか、御所見をお伺いします。
 いずれにしても、今後の最大の課題は、広域振興局の本局の設置場所であります。設置されない地域への配慮が大切であり、単なる行政センターの設置でよしとするのではなく、必要な地域に、必要な権限を持った産業別、目的別の機能を持つ事務所を設置するなど、地域ごとの機能分担をしながら適正配置を進めることが必要であると思いますが、御所見をお伺いします。
 また、今回の広域振興局体制の整備は、いわて希望創造プランの重点目標への対応、市町村優先の行政システム確立に向けた支援強化のほか、行財政改革の取り組み等といった課題を踏まえながら行われるものと承知していますが、行財政改革の推進、簡素で効率的な体制の整備等の取り組みは、広域振興局のみならず本庁の組織機構においても行われるべきものと思います。職員定数削減に伴い、限られてきている人材を集約することによって、より機動的、効果的な体制とするためには、例えば総合政策部、地域振興部、総務部の3部体制となっている企画総務部門を整理再編することや、地域振興支援室の充実強化を図ることなど、本庁の組織機構についても、広域振興局体制の整備に合わせた見直しを行うべきものと思いますが、知事のお考えをお伺いします。
 次に、水産業の振興についてお伺いします。
 本県の漁業は、リアス式海岸など自然の地形を生かしたワカメ、カキ、ホタテなどの養殖業や、サケ、アワビ、ウニなどの栽培漁業を柱とする、つくり育てる漁業の積極的な推進により進められてきたところであり、この結果、日本一のワカメとアワビの生産、北海道に続くサケの漁業生産など、大きな成果をおさめているところです。しかしながら、近年の漁業を取り巻く環境は、高齢化の進行と担い手の減少などにより漁村社会の活力が年々低下している状況にあり、このままでは、これまで努力して築いてきた本県の水産資源を将来に向け維持発展させることが難しいのではと危惧しております。
 現在、各漁協では、意欲ある若い担い手が夢を持って取り組むことができるような魅力ある漁業を目指して、養殖業を核とした地域営漁計画に取り組んでいるところであり、この実行により、各浜のつくり育てる漁業の体制をしっかりとしたものにしていくことが重要と考えております。さらには、新たな漁業の展開などにより生産現場に新風を吹き込み、活性化させることも必要と考えております。広田湾漁協では、漁業者グループの15名ほどが、新たな養殖対象種としてエゾイシカゲガイという貝の養殖に取り組んでおり、築地市場ではアカガイにもまさるという評価を得るなど、生産拡大に向けて精力的に取り組んでいるところであります。県では、新たな栽培漁業の対象種としてナマコの種苗生産に取り組んでおりますが、これには沿岸の漁業者の期待も非常に大きいものがあります。
 そこでお伺いいたしますが、現在県が取り組んでいるナマコの種苗生産の成果と、今後どのように展開していくこととしているのか、お伺いします。
 平成18年の統計によると、本県の海面漁業生産額は436億円、水産加工業の生産額は712億円と全国でも上位に位置し、水産業は本県沿岸地域にとって非常に重要な産業であります。
 しかしながら、沿岸市町村は12市町村あるにもかかわらず、水産業普及指導員は、現在、大船渡、釜石、宮古、久慈の地方振興局に13名、水産技術センターに1名と少なく、これでは各市町村に1名ずつしか配属されていないことになります。また、漁業や水産加工業の振興には、漁場の調査や本県独自の研究開発が不可欠であります。水産技術センターでは、主要魚種である秋サケの増殖に関する研究や、高品質なワカメの生産に関する研究などに取り組んでおり、これらを支えている研究員は現在29名配属されておりますが、その担当範囲は、漁業資源、利用加工、増養殖、漁場保全等多岐にわたっており、この広い分野をカバーする研究員の数は、これでは少ないのではないかと感じております。
 県は、平成22年度から、産業振興を柱とする4広域振興局体制を整備することとしておりますが、県北・沿岸圏域では1次産業、特にも水産業の振興が非常に重要と考えております。私は、このような状況の中で、水産振興の現場を支える水産業普及指導員及び水産技術センターの研究員を増員して水産業の振興を図るべきと思いますが、県の御所見をお伺いします。
 次に、岩手県と宮城県との漁業の操業区域問題についてお伺いします。
 この問題は、長年にわたって両県の懸案事項になっているもので、宮城県では漁業許可に、岩手県と宮城県の県界真東の線を引いており、これは、県境から広田半島を真東に横切る不合理なものであります。これに対して本県では、対抗措置として、平成5年に漁業許可の南限として、いわゆる南東線を引き、その後も協議してきたところでありますが、進展のない状況が続いてきたと認識をしています。
 このような中、平成18年に入って、県の働きかけにより、ようやく両県漁業者の話し合いが持たれ、両県が主張する線は合理的ではなく消去すべきであるという考えで一致したことから一気に課題が解決するのかと期待されたのですが、具体的調整をめぐって両県漁業者の意見が分かれ、結果として、従前どおりの状況にとどまっていると聞いております。
 漁業の操業区域は、磯は地つき、沖は入会という昔からの言い伝えもあるところで、近接する広田の漁業者と唐桑の漁業者は、互いに協調しながら操業を続けてきたものであり、私はまず、近隣の漁業者間でもう一度協力体制をつくり、これを両県全体の協調関係の構築にまで拡大していくことが極めて重要であると考えております。
 そこでお伺いしますが、宮城県側との調整はどのようになっているのか、その調整の状況と今後の対応についてお伺いします。
 次に、交通ネットワークの構築についてお伺いします。
 道路は、住民の日常生活の利便性の向上に資することはもちろんでありますが、地域の産業振興にとっても欠かすことのできない最も基本的な社会資本であることは、御案内のとおりであります。
 県内においては、東北縦貫自動車道や東北新幹線等の整備が進んだ内陸部と比べて、沿岸地域においては、高速交通網の整備が大きく立ちおくれております。そしてこのことが、今、県政において大きな課題となっている所得や雇用、医療、教育など、あらゆる面での県内格差を生じさせている要因ともなっているものであります。
 こうしたことを踏まえて、以下、お尋ねいたします。
 三陸縦貫自動車道は、宮城県仙台市と本県宮古市を結ぶ計画延長224キロメートルに及ぶ高規格幹線道路として整備が進められており、東北の中心都市である仙台市と三陸沿岸地域を結ぶことで、地域間交流の促進、防災ネットワークの形成、救急医療における地域間連携など、三陸沿岸地域全体の発展に大きく寄与するものとして期待されております。
 本県においては、南から順に、高田道路、吉浜道路、釜石山田道路、宮古道路の4区間が事業中でありますが、現在の全体としての進捗状況と、道路特定財源の一般財源化の流れの中での今後の整備の見通しについてお伺いいたします。
 また、高田道路と宮城県側で工事中の唐桑道路とを結ぶ県際ルートの決定がおくれておりますが、三陸縦貫自動車道の早期全線開通を図るために急がなければならない宮城・岩手県際ルートの整備計画区間決定と早期の事業化について、県としてどのような見通しを持っているのか、また、そのために宮城県側との連携を具体的にどのように進めようとしているのか、お伺いいたします。
 現行の岩手県総合計画は、平成11年度から22年度までを計画期間として策定され、これまで、前期実施計画や誇れるいわて40の政策などに基づいて、さまざまな取り組みが展開されてきました。
 この基本構想に掲げるプロジェクトの一つに夢県土創造プロジェクトがあり、さまざまな壁を乗り越える課題対応プロジェクトとして時間距離の短縮プロジェクトが計画されておりましたが、県内90分交通ネットワーク整備プログラムと高速交通拠点60分アクセスプログラムの現在までの整備実績と今後の進め方についてお伺いいたします。
 次に、地域課題として住民の関心の高い道路整備についてお伺いいたします。
 国道340号は、陸前高田市を起点とし、急峻な北上高地を縦走しながら青森県八戸市に至る総延長252キロメートルの広域的な幹線道路であり、また、沿岸南部から遠野地域に直結し、接続する国道107号を経由して沿岸南部地域と盛岡、花巻、北上地域とを結ぶ唯一の幹線道路でもあります。
 この路線の改良整備については、これまで各工区において逐次整備が進められてきておりますが、特にも、三陸縦貫自動車道へのアクセス道路ともなる高田バイパス工区については、本年度をもって延長3、620メートル、全体事業費約46億円に及ぶ事業が完了する見込みであり、県当局に感謝を申し上げます。
 しかしながら、まだまだ未改良部分も多く、特にも、センターラインがなく車同士のすれ違いも困難な区間や、歩道がなく通学等に危険な区間については、引き続きの整備促進が待たれるところでありますし、生活道路として、また森林資源を活用する木工団地への物流路線としても早期の改良整備が望まれますが、今後の見通しについてお伺いいたします。
 国道343号は、陸中海岸国立公園と古都平泉を最短距離で結ぶ観光路線として、また、国道397号の代替道路としても重要な路線であり、これまで国、県の御尽力により逐次整備が推進され、沿岸と内陸部とを結ぶ産業、経済、観光の基幹道路として、地域の活性化に果たす役割は飛躍的に拡大しているところであります。
 陸前高田市と一関市大東町との境界に位置するループ橋は、笹野田峠越えという最大の難所解消を目指した一大プロジェクトでありましたが、開通後の難点は、冬期間の積雪や路面凍結に伴って事故が多発し、非常に危険な道路となっていることであり、この区間に新たなトンネルを開削することによる時間短縮と安全確保が強く望まれております。
 かつては、平泉と三陸沿岸地域とを北緯39度の最短距離で結ぶ自動車専用道路として整備促進を期した経緯もありますが、今は、国道284号の関係団体とも連携をとりながら、ループ橋にかわる新たなトンネルの事業化に向けての検討が関係市町村によって行われている段階でありますが、現状での交通量の推移にのみとらわれることなく、沿岸と内陸部との交流促進、平泉と三陸海岸を結ぶ広域観光ルートの構築などによる新たな需要の創出という観点も大切だと思います。
 これらも踏まえながら、今後の整備促進に向けての県としての御認識をお伺いいたします。
 次に、岩手県立病院等の新しい経営計画案についてお伺いいたします。
 県医療局は、このほど、平成21年度から紫波、花泉、大迫、九戸、住田の五つの地域診療センターを無床化、22年度からは沼宮内病院を無床診療所化することなどを盛り込んだ、県立病院等の新しい経営計画案を公表しました。
 県立病院の経営は、診療報酬のマイナス改定や患者数の減少などによって、県立病院運営に係る累積赤字が平成19年度末時点で過去最大の138億円余となるなど、非常に厳しい状態に陥っており、さらに、平成15年度に535人を数えた常勤医師は、19年度には460人にまで減少し、この5年間での減少数75人は、大船渡と宮古、二つの病院に匹敵する医師数であり、医師確保の難しさも一層増しているのではないかと認識しているところであります。
 このような状況を踏まえれば、新しい計画案による取り組みの必要性は必ずしも理解できないものでもありませんが、大きな問題は、無床化の対象となった地域の住民の理解を得られるのか、入院施設がなくなってしまう地域への対応をどうするのか、また、これまでの説明を覆したことによって生じた県医療局に対する不信感をどう払拭するのかにあると思いますが、県医療局は、今後この無床化をどのような手順で進めようとしているのか、その基本的な考えをお伺いします。
 また、新聞報道等にもあるように、無床化の対象となった市町村においては、連携しながらこれを阻止しようとする動きが既に表面化しているわけですが、医療局としては、この動きをどう認識されているのかお伺いいたします。
 住田町の場合は、この4月に、それまでの病院が診療所化され、ベッド数を65床から19床に減らしたばかりであり、しかも、診療所化するに当たっては、地元説明会において、医療局みずからが、病院当時の診療体制を維持するという約束をしているものであり、約束が1年もたたないうちにほごにされてしまったことに対する反発の声が町民の間に高まってきています。
 県医療局は、この地域の住民に対して、いつごろ、どのような形で説明会を持とうとしているのか、そしてまた、その場で理解が得られると考えているのか、お伺いいたします。
 公表後の動きを見れば、今後、パブリックコメントなどを通じて県民から多くの反対意見が寄せられるものと見込まれますが、そのことをどのように受けとめ、今後の計画推進にどのように反映させるお考えか、お伺いいたします。
 気仙地区においては、住田診療センターの無床化のほかにも、大船渡病院と高田病院で43床を減らし、住田分を合わせると一気に62床の減少となります。県内で最も高齢化率の高い住田町においては、このまま無床化が予定どおり実施されると、町内には入院施設がなくなり、町民の不安や不便ははかり知れないものがあります。
 このような地域の理解を得るためには、そのための時間も必要であると思います。この際、一定期間計画実施を先送りしながら、空き病床の活用も含めて、地域医療体制のあり方についての検討を地元とともに行っていく必要があると思いますが、このことについての医療局の御見解をお伺いします。
 以上で私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 菅原一敏議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、新年度予算編成についてでありますが、本県を取り巻く経済環境は、世界的な金融不安の高まり等により非常に厳しい情勢であり、県税収入へも一定の影響が及ぶことが懸念されるなど、難しい予算編成作業が予想されています。
 こうした厳しい経済財政環境においても、本県における住民生活の安定や地域経済の活性化のために必要な財源が確保できるよう、県税の減収に対しては、地方交付税の増額、確保がなされるよう国に強く働きかけていくとともに、県としての歳入確保策にもさらに力を入れてまいります。
 また、歳出面においては、いわて希望創造プランを力強く推進するため、限られた財源を最大限に活用できるよう、政策の優先度や事業の効果、将来見通しについて十分な検討を加え、選択と集中をより徹底し、目標達成や課題解決のためのより効果的な事業を厳選していく考えです。
 これら歳入歳出両面について、あらゆる取り組みを進め、困難な財政環境においても、最近の経済情勢への対応を含めた県内経済の活性化、医療・福祉分野など安全・安心の確保、将来を担う人づくり、県北・沿岸の振興など、県民の期待にこたえられる予算をつくり上げたいと考えております。
 次に、中期財政見通しについてでありますが、本年2月に中期財政見通しを公表した後、本県においては、2度の大規模な地震災害に見舞われるとともに、アメリカ大手証券会社の経営破綻に端を発する世界的な金融不安の高まりなど、本県の財政運営にも大きな影響を及ぼしかねない新たな事態が生じています。
 災害復旧や地域経済の活性化など、社会経済情勢の変化に迅速に対応していくためにも、新たな政策や事業を構築し実施していく必要がありますが、一方で、中期的な見通しのもとに、持続可能な財政運営を行うことも必要であり、予算全体の規模などについては、財源確保を図りつつ、中期財政見通しで想定していた程度の予算を組むことができるよう努力したいと考えておりまして、結果として、政策課題への対応と規律ある財政運営の両立を図ることが可能な予算編成を進めてまいりたいと思います。
 なお、中期財政見通しについては、今後の予算編成作業と並行して、いわて希望創造プランを強力に推進するための歳出の内容や規模を検討するとともに、平成21年度予算をベースとした歳入の見込みを検討し、必要な見直しを反映した形に改定することを考えております。
 次に、財政の健全化についてでありますが、本県の実質公債費比率及び将来負担比率は、財政健全化計画の策定を要することとなる早期健全化基準には達しておりませんが、県債残高が多いことが主因となって全国平均を上回る状況となっており、本県の厳しい財政状況があらわれております。
 これらの指標の将来見通しについては、将来負担比率、実質公債費比率いずれについても標準財政規模が分母の基礎となっておりますが、これは、おおむね県税と交付税を中心とした一般財源の歳入規模をあらわしておりまして、その今後の動向が不確定でありますことから、具体的な見通しを立てることは困難な面がありますが、県債残高を増加させないことが、これらの指標の悪化を防ぐ上で重要であることを踏まえまして、中期的視点に立った慎重な財政運営に努めてまいりたいと思います。
 次に、退職手当債についてでありますが、退職手当債の発行は、将来の人件費の削減によって償還財源が確保される範囲内で認められるものであり、中期財政見通しにおいては、今後、教育委員会や県警本部も含めて、平成21年度におよそ40億円、平成22年度におよそ50億円程度の発行を想定しているところです。
 その後は、退職者の見込みから見れば60億円から70億円程度へと発行可能枠は増大していく傾向になると予想されますが、具体的な発行額については、その他の県債の発行見通しや収支のバランスなどを勘案しながら、適切な規模での発行を検討していく必要があると考えております。
 償還財源については、退職手当債の発行に連動する形での交付税措置等の特別な財源手当が行われるものではありませんので、定数削減等による将来の人件費の削減効果額をいわば財源と考えながら発行が認められる地方債であることを踏まえ、定数削減を計画的に実行していくとともに、県の財源全体でこの退職手当債の償還も含めた歳出全体を賄うことができ、財政収支を保てるように、各年度の予算編成を行ってまいります。
 次に、本庁組織の見直しについてでありますが、県の行政組織のあり方については、市町村への権限移譲など地方分権の流れや厳しい財政状況などを踏まえ、効率的な組織、職員体制を構築し、県政課題への適切な対応を図るため、組織の新設、統廃合を含めた体制の整備に努めてきており、現行の部局体制において、本庁各部局は、適切な分担のもと、それぞれが担うべき役割を果たしつつ、円滑な業務遂行を推進してきたものと認識しております。
 一方、県においては、現在、新しい長期計画の策定とあわせ、4広域振興局体制への移行に向けた具体の姿を検討しているところでありまして、これらの実効性をより高めていくためには、本庁組織のあり方の見直しも必要という視点からの検討も重要と認識しており、本庁と広域振興局との役割分担の再構築にも留意しながら、望ましい本庁組織の体制はいかにあるべきかという観点から十分に検討してまいります。
 次に、三陸縦貫自動車道の進捗状況と今後の見通しについてでありますが、県内の進捗状況は、全体延長103キロメートルのうち、約24%の25キロメートルが供用されており、また、用地買収や工事に着手しているなど、事業が進められている区間は約38%の39キロメートルとなっております。そのうち、今年度末には、高田道路の一部3.4キロメートルについて供用すると聞いております。
 整備の見通しでありますが、国では、平成22年度までに供用延長を38キロメートルまで延ばすことを公表しているところであります。
 県としては、三陸縦貫自動車道は、豊富な資源を有する三陸沿岸地域の産業の振興や救急医療のための幹線道路として極めて重要な路線でありますことから、国に対して、より一層の整備促進を働きかけてまいります。
 次に、三陸縦貫自動車道の宮城・岩手県際ルートについてですが、国では、今後、高規格幹線道路について、新たな交通需要推計や評価手法の見直しを行って、整備の必要性や費用対効果などを評価して、現在計画されている道路構造を点検すると伺っております。
 県際交流は、地域の活性化にとって非常に重要であると認識しておりまして、三陸縦貫自動車道の県際ルートが整備され、ネットワークとしてつながることによって、より一層の効果が発揮されるものと考えておりますので、県としては、現在、国が進めている点検の動向を注視していくとともに、早期の整備計画の策定と事業化を積極的に国に働きかけてまいりたいと考えております。
 また、宮城県との連携についてでありますが、北海道東北地方知事会による提言や、青森県も含めた沿線市町村が開催する官民一体となった総決起大会の支援など、県境を越えた取り組みを行い、道路整備に対する地元の熱い思いが実現されるよう、粘り強い運動を引き続き展開してまいります。
 その他のお尋ねにつきましては、副知事及び関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔副知事宮舘壽喜君登壇〕
〇副知事(宮舘壽喜君) 県北・沿岸振興についてでありますが、いわて希望創造プランにおきましては、県北・沿岸振興を主要課題の一つと位置づけ、各般の産業振興施策を積極的に展開してきているところであり、本年度は、特に、知事が県北・沿岸圏域にみずから出向き移動県庁を実施したところでありますが、私も、県北・沿岸振興本部長として、できる限り現地を訪問し、地域の方々や産業関係団体、市町村から生の声をお伺いし、また、県の施策の共有を図るなど、県北・沿岸圏域の振興に努めてまいりました。
 この結果、例えば、食産業の振興のための安全・安心で品質の高い農林水産物を活用した1次産業から3次産業までのさらなる連携強化、また、圏域や県境を越えたこれまで以上の広域的な観光や、農山漁村の資源を生かした体験型観光の積極的な展開、北上川流域のものづくり産業の集積効果の県北・沿岸圏域へのさらなる波及、産業の振興を支援する道路、港湾施設の整備と港湾利用の一層の促進などについて、特に重点的に取り組む必要性を肌で感じたところであります。
 平成21年度の予算編成におきましては、本県の財政状況は一層厳しさを増してきている中ではありますが、県北・沿岸振興の重要性にかんがみ、平成22年度の広域振興局体制への移行もにらみつつ、これらの地域の実情に応じた取り組みを、優先度の高い施策として最大限予算化できるよう努めてまいる考えであります。
   〔地域振興部長藤尾善一君登壇〕
〇地域振興部長(藤尾善一君) 広域振興局体制の整備に係る新たな課題とその対処についてでありますが、パブリックコメントや市町村長などから寄せられた主な意見でありますけれども、広域振興局体制移行後における県北・沿岸振興については、重点的な予算配分や人員配置を行うべきとの御提案もいただく一方、行政センター化された場合、住民サービスが低下しないようにすべき、地域で果たす役割が大きい保健所や農業改良普及センターは維持すべきといった広域振興局の行政サービスの面での利便性の維持、確保の要望のほか、行政センター化した場合の地域経済への影響などの懸念があったと認識しているところであります。
 このようなことから、行政サービスの面では、サービスの受け手に近いところで実施することが効果的な業務、例えば窓口対応や相談受け付け、災害、危機管理の拠点対応、農林水産業の普及指導などは、行政センターで実施する方向で検討しているところであります。
 また、業務の本局集約などに伴い、県民や事業者の方々の利便性が一部低下するのではないかという懸念もございますことから、広域振興局全体の業務運営の中で、どのような対応が可能か、その利便性の維持、確保に向けた具体的な対応策について検討してまいりたいと存じます。
 さらに、行政センター化した場合の地域経済への影響につきましては、できるだけ最小限にとどめるよう、広域振興圏が一体となった地域振興施策を積極的に展開していく中で対処してまいりたいと考えております。
 次に、広域振興局の本局の設置基準についてでありますが、地域特性としては、圏域における各種産業別の生産額や就業者数などの産業構造の連続性や類似性、隣県との経済的な関係などが挙げられますが、これらは、各広域振興局の産業振興を担う部門の組織体制を決める場合に考慮されるべき重要な条件としてとらえておりますが、本局設置を検討するに当たっては、これによらず、各広域振興圏において、より圏域の中心に位置する地方振興局への設置を基本とすることとしたものであります。
 また、これによりがたい場合には、県や国の行政機関の配置状況などの各圏域の地域特性を踏まえ、地域経済上の均衡にも配慮して決定する方向で考えているものであり、これ以外の考え方があるのかどうか、現在、最終的に精査しているところであります。
 次に、企画理事についてでありますが、平成18年度の地方振興局の再編に当たり、地域の実情やニーズを全県の政策により反映させる地域経営型の行政運営を展開するため、広域振興局長が、県行政の政策決定過程に直接参画できるものとしたところであります。
 このことに伴い、本庁部局長の指揮命令を受けない三役に次ぐ職として企画理事を新たに設置し、県南広域振興局長を兼任させることとしたものであります。
 その後2年半以上が経過したところでありますが、企画理事として県行政の政策をリードするとともに、副知事に準ずる責任者として、数々の対外的な重要業務に当たるなど、一定の成果を上げてきたところであります。
 なお、議員御指摘の指揮命令系統や決裁権限において、特段問題は生じていないものと認識しておりますが、4広域振興局体制移行後においても、すべての広域振興局長が企画理事でなければならないかどうかは、今後検討してまいりたいと存じます。
 次に、市町村への権限移譲についてでありますが、広域振興局体制への移行に伴い設置する行政センターにおきましては、窓口対応や相談受け付けなど、県として行わなければならない主に個人に対するサービス、また、福祉や農林水産等の各部門において、サービスの受け手に近いところで実施することが効果的な事務などを中心に担うことを想定しているところであります。
 これら事務のうち、例えば、議員御指摘の消費生活や労働に関する相談は、現在、県と市町村のいずれでも実施されている例がございますが、これらの事務はもちろんのこと、県のみが実施している行政サービスであっても、住民に身近なものにつきましては、法の規定を待つまでもなく、住民へのより良質なサービス提供を確保する上では、市町村が総合的に担ったほうが効果的であることや、事務処理の効率性も考慮すれば、むしろ市町村で実施することが望ましいものと考えられるところであります。
 さらにはまた、広域局が本来果たすべき広域的、専門的な行政サービスの提供に特化できることにもつながりますので、移譲を希望する市町村に対しては、積極的に移譲していくことはもちろんでありますが、新たに設置する広域振興局・市町村政策調整会議(仮称)におきましても、円滑な移譲に向けて検討してまいる考えであります。
 次に、本局が設置されない地域への配慮についてでありますが、本局に移行しない地方振興局の各部門は、原則として保健福祉環境、農林、水産、土木などの目的別の機能を有する行政センターとして配置し、産業振興を担う部門につきましては、地域の意見等を踏まえながら、産業構造などの地域特性に応じたものにしたいと考えております。
 また、行政センターは、県民に身近な行政機関でありますことから、より効果的なサービスの提供や業務の効率性を図るため、可能な限り業務が完結できるよう、必要な権限を付与する方向で検討しているところであります。
   〔農林水産部長高前田寿幸君登壇〕
〇農林水産部長(高前田寿幸君) 水産業の振興のお尋ねについてでございます。
 まず、ナマコの種苗生産の成果と今後の展開についてでございますが、ナマコの種苗生産につきましては、平成19年度より、種苗の量産技術の開発や放流効果の実証試験などに取り組んでいるところでございまして、これまでに、種苗生産目標の10万個を上回る23万個の生産を達成し、量産化技術の開発に一定のめどがついたところでございます。また、本年5月からは、これらの種苗を県内8カ所のモデル漁場に放流し、漁協の協力のもと、成育調査を実施しております。今後につきましては、種苗生産の初期の過程で歩どまりが低いことから、引き続き、歩どまり向上のための技術開発に取り組むとともに、放流漁場において漁獲サイズまで成育させ、平成22年度には回収率等を調査し、その放流効果を明らかにすることとしており、こうした成果を踏まえ、平成23年度からの本格的な増産体制の構築を目指して取り組んでまいります。
 次に、水産業普及指導員及び水産技術センターの研究員についてでございますが、水産業の振興を図るためには、担い手の育成や産地づくりが重要な課題となっており、こうした課題解決に向けて、普及指導員や水産技術センターの研究員が、これまで以上に地域に密着して普及指導や技術開発を推進することが求められております。このため、県といたしましては、厳しい行財政環境の中にあっても、多様な漁業者のニーズにこたえられる普及指導員や研究員の確保に努めるとともに、技術レベルに応じた専門研修による普及指導員の指導力の向上と、国、大学等との共同研究等を通じた研究員の資質向上を図っているところでございます。今後とも、普及指導員と研究員の確保を含め、地域課題に的確かつきめ細やかな対応ができる普及指導や技術開発の体制整備に努め、水産業の振興に取り組んでまいります。
 次に、本県と宮城県との漁業の操業区域の調整問題についてでございますが、宮城県側とは、平成6年度に両県の漁業の入会が途絶えて以来、入会の再開に向けて継続的に協議を続けているところでございますが、本年8月に、両県事務レベルにおきまして、第1に、両県県境に近接する漁業者が話し合う場を設定すること、第2に、イサダ漁業の操業条件について両県漁業者が話し合う場を設定すること、第3に、漁業許可証から両県が主張する境界線の表示を削除することの3項目について取り組む方針を確認したところでございまして、県といたしましては、その実現に向けて、現在、県内の関係漁業者との調整を進めているところでございます。
 このうち、広田湾地区の漁業者と宮城県唐桑地区の漁業者との話し合いにつきましては、今月中旬に漁業者交流会を開催することといたしておりまして、今後は、こうした場を活用して両県漁業者の相互理解を深めるとともに協調的関係を再構築し、宮城県との県境周辺漁場における操業ルールの確立に努めてまいります。
   〔県土整備部長佐藤文夫君登壇〕
〇県土整備部長(佐藤文夫君) 時間距離の短縮プロジェクトについてでありますが、まず、県内90分交通ネットワーク整備プログラムは、盛岡市を中心とした県都圏と県内各都市を90分で結ぶ交通ネットワークを構築しようとするものであります。平成19年度末の県都圏までの到達時間は、久慈ルートが99分、宮古ルートが104分、釜石ルートが110分、大船渡ルートが108分となっております。また、高速交通拠点60分アクセスプログラムは、高速交通ネットワークの整備効果を全県に波及させるため、県内各地から高速道路のインターチェンジへ60分でアクセスすることを目指しているものであります。達成度は、平成17年時点の市町村、58市町村の役場から最寄りのインターチェンジまでの時間で評価していますが、平成19年度末では約8割の46市町村で達成しておりますが、沿岸地域の12市町村では達成されていない現状です。これらの二つのプログラムは長期的な構想であり、その実現にはなお時間を要するものと考えております。しかしながら、時間距離をできるだけ短縮していくことは、地域間連携による地域経済の活性化や、一分一秒を争う救急医療などを支えることにもつながることから、今後とも、国の事業と連携を図るなど、計画的に事業を進めてまいりたいと考えております。
 次に、国道340号の道路整備についてでありますが、本路線は、緊急時の国道45号の代替道路としまして、また、北上高地を縦断し、地域間交流や産業振興を支える重要な路線であると考えております。当路線には多くの未改良区間が残っており、現在、高田バイパスを初め遠野市の土淵バイパスや宮古市和井内地区などで順次整備を進めてきております。
 御質問の木工団地のある住田町の世田米地区は幅員が狭く、比較的交通量も多いことから、整備が必要と考えておりますが、当該地区は、気仙川と急峻な山地に挟まれた厳しい地形でありまして、抜本的な整備には多額の事業費が見込まれるため、今後、交通量の推移や公共事業予算の動向などを見きわめながら道路計画を検討していくこととしております。なお、一部拡幅が可能な区間、延長にしまして約100メートルでございますが、今年度、大型車がより円滑にすれ違えるように整備する予定であります。
 次に、国道343号の道路整備についてでありますが、本路線は、議員御指摘のとおり、沿岸南部と内陸部を結ぶ、観光産業や農林水産業などの振興を支える幹線道路として極めて重要な路線であり、これまで2車線の幅員を確保するべく、整備を行ってきたところであります。
 笹野田峠の新たなトンネル化につきましては、多額の事業費を要すること、また、厳しい財政状況にありますことから、中長期的な課題の一つとしてとらえております。
   〔医療局長田村均次君登壇〕
〇医療局長(田村均次君) 新しい経営計画案についてでありますが、今後の進め方については、現在、12月19日までの期間でパブリックコメントを実施し、広く県民の皆様から御意見を募集しておりますが、無床診療所へ移行する地域においては、地域で説明する機会を設けるなど、県立病院の現状や計画案の内容について御理解いただくよう努めてまいります。
 また、12月3日に、関係6市町村の市町村長及び議会議長から、無床化を行わないよう提言を受けたところでもあり、無床化の対象となった市町村では、住民の方々に、無床診療所化に反対する御意見があることは承知しておりますが、地域への説明などを通じて御理解をいただくよう説明を尽くしていきたいと考えております。
 次に、無床診療所化の対象地域となる住民の方々への説明についてでありますが、地元市町村と相談しながら、1月下旬までに地域で説明を行う機会を設けるほか、リーフレットを作成、配布し、御理解いただくよう努めてまいりたいと考えております。勤務医の勤務環境など県立病院の置かれている状況や、交通アクセスの確保等の対応策についても説明した上で、御理解いただくよう尽くしてまいる考えであります。
 次に、今後の計画推進についてでありますが、現在行っているパブリックコメントなどにより寄せられた意見については、その内容を検討の上、計画に反映できるものについては反映させながら、経営計画を作成してまいりたいと考えております。
 次に、地域医療体制のあり方についてでありますが、新しい経営計画案における無床診療所への移行については、できる限り早く実施したいと考えておりますが、地域の医療・福祉の確保という観点から、民間の医療・福祉関係の方々から、医療・福祉施設などとして活用したいという御提案があった場合は、地元市町村の意向が重要であることから、市町村と十分に話し合いながら、医療局としても前向きに検討してまいりたいと考えております。
〇議長(渡辺幸貫君) 以上をもって一般質問を終結いたします。
   日程第2 議案第1号平成20年度岩手県一般会計補正予算(第3号)から日程第56 議案第55号岩手県文化芸術振興指針の策定に関し議決を求めることについてまで
〇議長(渡辺幸貫君) この際、日程第2、議案第1号から日程第56、議案第55号までを一括議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑の通告がありますので、発言を許します。斉藤信君。

前へ 次へ