平成20年12月定例会 第8回岩手県議会定例会会議録

前へ 次へ

〇25番(飯澤匡君) 政和・社民クラブの飯澤匡でございます。
 今定例会に一般質問の機会を与えていただいた同僚議員各位に心から感謝を申し上げます。
 それでは、順次、通告に従い質問いたします。あらかじめ申し上げますが、さきの質問者の2人と重複する箇所があることを御容赦願います。しかし、答弁は決して略すことなく、真摯に対応されますようお願い申し上げます。
 1点目は、今後の景気動向と雇用対策についてであります。
 米国発のサブプライムローン問題に端を発した金融不安は世界を駆けめぐり、産業・経済に大きな不安と影を落としております。米国の金融安定化法が紆余曲折を経て成立しましたが、その後も金融資本市場の混乱は収束しておりません。金融システムの面では日本は健全な状況にあると言われておりますが、不良債権損失の増加や株式など保有有価証券に絡む損失も膨らみ、地銀27行が9月中間期決算で最終赤字となりました。中小企業はさまざまな指標で大企業との格差が拡大している中、今後、現実問題として金融機関からの貸し渋りや貸しはがしが起こり、原材料高騰も相まって業績は低迷し、いわて希望創造プランに掲げる県民所得の回復はおろか、中長期的に県内企業の経営不安が継続する可能性が高いと予測されます。
 県では、今回の世界的な景気減速に伴う県内経済への影響をどのように認識し、今後の県内景気の先行きをどのようにとらえているのでしょうか、知事の御所見を伺います。
 また、世界経済を牽引する自動車産業においては、米国のビッグスリーがこぞって経営難となり、金融安定化法で用意した7、000億ドル、67兆円の一部を使って250億ドルを3社に融資することを検討していますが、難航しているようであります。我が国においても、トヨタ自動車グループ各社、他社の大手自動車メーカーも減産体制に入り、2008年度の乗用車の国内生産は1、000万台を割り込むとの報道がありました。
 本県の関東自動車においても厳しい場面も想定されます。自動車産業にとどまらず、岩手東芝においても同様に人員調整や新工場着工延期の報道もあり、今後の県内の中小企業経営や雇用をめぐる情勢はかなり深刻な状況になることが予想されます。
 そこで伺いますが、この100年に一度とも言われる経済危機に対して、県内の中小企業等の経営安定に向けた支援をどのように進めようとしているのか、県のお考えをお示し願います。また、今後、このような経済環境にかんがみ、雇用確保のためいかなる方策を講じようとするのか、県の対応についてもお尋ねいたします。期間従業員や派遣社員などの全国的に急な削減が報ぜられている非正規雇用の県内の状況はどうなっているでしょうか、あわせてお知らせ願います。
 一方、9月末実績に発表された求人不足数は、いわて希望創造プランで示された平成20年度目標4、600人までに縮小に対し1万3、751人、目標との差9、151人となっております。特に県南圏域で目標との差が4、145人となっていることは、当初の目標設定が完全に狂いが生じたと言わざるを得ません。雇用試算の洗い直しを初め根本的な雇用対策の練り直しが必要ではないでしょうか。
 このような厳しい状況下において、私は、全庁的な雇用対策を講ずる必要があると考えます。一昨年、総合雇用対策局が廃止され、現在は商工労働観光部の労政能力開発課内に縮小した形で組織対応しておりますが、今のままの組織体制で大丈夫でしょうか。対策局の復活、部局としての明確な位置づけが必要と考えますが、知事の御見解をお伺いいたします。
 景気減速に関連して伺います。政府は、来年の経済成長率が事実上マイナスになるとの見解を示しました。大幅な税収減になると見込まれることから、来年度の地方財政計画にも大きな影響が出ることが予想されますが、来年度の予算編成についてどのような方針で臨むのか、お伺いいたします。また、県財政においても、税収減により中期財政見通しの見直しも余儀なくされると思いますが、いかがでしょうか、お尋ねいたします。
 2点目は、岩手・宮城内陸地震についてであります。
 県、国の懸命な復旧策により、おかげさまで、最大の課題であった落橋した祭畤大橋の仮橋が完成となり、11月30日には開通し、避難世帯も残すところ2世帯11人となる見込みと聞いております。地震発生以来、関係各位の御努力に敬意を表したいと思います。
 私も、議会調査を含め数回現地に入りましたが、特に県南広域振興局一関総合支局土木部と農林部関係の職員の皆様が、昼夜を分かたず作業された姿には頭が下がりました。災害対応は時間との戦いであります。地震発生に一番近い部署が迅速な対応を行い、今回、対応の成果を見たことは、県の出先機関のあり方に関しても検証すべきデータが確保できたものと考えます。
 さて、10月30日に、冬を控え、住民相談会が開かれ、今後は一関市管内では一関市が窓口となって対応する方針が示されましたが、私は、今後の現地の復興への長い道のりを考えると、被災直後だけでなく、地元一関市と県南広域振興局がなお一層連携して、ハード、ソフトの広範で息の長い取り組みを進めていくことが重要であると考えます。
 そこで伺いますが、今回の地震災害におけるこれまでの県と市の連携の状況と、地域振興を含めた今後の現地の再生について、県、特に被災が集中した県南広域振興局においては、市をどのように支援しようとしているのでしょうか、県の考え方を伺います。
 また、避難勧告が継続されている市野々原地区での災害関連治山事業及び一般国道342号における被害箇所の復旧スケジュールについてもあわせてお知らせ願います。地震のつめ跡は依然として厳然と住民の方々に現実に残存し、生活にもいまだに影響を与えております。今後とも県として最大限の御努力をお願いいたします。
 次に、人口減社会にどのように備え、攻めに転じるのか、県の対応についてお伺いいたします。
 我が国の人口は、2004年の後半の1億2、784万人をピークに減り始め、2006年、2007年にはやや回復したものの、今後は再び減少傾向に戻ると予想されています。21世紀に入って、発展途上国の多くの工業化による経済発展により、自動車や電気製品を売って、大量の食料、資源、エネルギーを購入するという我が国の構造自体が破綻するのではないかという状況と、今日まで国家を支えた生産年齢人口の急激な減少が、人口減問題に関して、世間では限界集落対策や少子化対策等の対処的な議論が大勢を占めております。
 しかし、歴史を振り返ると、中世末期のイギリスでは、粗放農業の限界化や疫病の蔓延で、14世紀半ばから15世紀の半ばまで人口が4割も減ったにもかかわらず、労働者階級の実質賃金が200%上昇した例や、江戸中期の日本でも、集約農業生産の限界化や飢饉の影響で、18世紀前半にピークに達した人口が減少の後に停滞しましたが、1人当たりの実質石高は20%も上昇した事実があります。
 青森大学の古田教授は、この二つの例を示し、労働力が減っても、農地、農具、生産技術などの生産資源が保存されていれば、生産性が急速に上がって生産力が維持される。それゆえ、今後の日本の進むべき道は、1億2、800万人に広げた人口の余力を、減っていく人口でもっと活用するというコンデンシング、濃縮化であると述べておりますが、私は、来る人口減社会問題に対して、このようにポジティブにとらえたいと思います。
 今日まで、この種の問題に関しては、ただ何となく都市の再生、農村の再生、再生という言葉の延長上に施策が講じられてきたような印象を受けます。地域コミュニティにおいても、危機感は共有しつつも問題を先送りしてきた感は否めず、行政も人口減という視点を明確にした上での施策展開まで踏み込んでいなかったと思うのであります。それは、経験則のない事例である理由、またはあえて現実的な数字を住民に明らかにする不安や恐怖が先に立ったのではないかと推測いたします。私は、人口減という厳しい現実を真っ正面から受けとめつつ、人口減が及ぼすマイナスのイメージよりもプラスの思考で施策展開する行政の方向性を明らかにすべきと考えます。
 本県で予測される2030年の人口指数は、2000年を100として、県央広域圏が99.7%、県南広域圏が88.6%、県北広域圏が73.4%、沿岸広域圏が66.0%となっております。この厳然たる地域格差の著しい数値に対して、本県としては従来とは全く立ち位置を変えた施策の展開が必要であり、特に産業振興にあっては、人口減社会を見通した中長期的な明確なビジョン策定が不可欠と考えます。
 それらを踏まえて、以下、質問いたします。
 質問の第1は、将来の人口減社会を想定して、知事は本県の将来の姿をどのように描いているのか、お伺いいたします。また、予定されている次期総合計画は、人口減社会に対してどのように向き合う姿勢であるのか、あわせて御見解をお示し願います。
 質問の第2は、産業振興の施策方向に関して伺います。激減が予想される県北・沿岸地区に関しては、県北・沿岸振興本部を立ち上げ、施策の展開を図っているところであります。ところが、厳密に精査すると、一見、人口減少が緩やかな県央、県南広域圏においても、中山間地に位置する旧自治体は、沿岸広域圏と同じレベルの60%後半から70%台に減少します。この数字が示すことは、現在、4広域振興圏ごとに目標設定している施策だけでなく、人口減が急と予想される条件不利な中山間地域などに対し、産業振興のための総合的な見地での産業振興策を講ずるべきと考えます。特に、食料生産基地を標榜する本県は、国からの一律的な農業振興策でなく、県独自の農林業振興施策のグレードアップを図り、持続的に農林業を維持できる体制づくりを推進すべきであります。これらに対する御認識と御所見をお示し願います。
 質問の第3は、県の出先機関のサポート体制についてであります。
 現在、県は、振興局の再編の策定に着手し、目下検討中でありますが、私は、県の出先機関は産業振興の戦略拠点と位置づけ、効果的な体制整備をすべきと考えます。先行して設置された県南広域振興局では、産業振興の効果的な体制整備のあり方についてどのように検証されているでしょうか。あわせて、広域振興局内の中山間地振興について、県の市町村との協力体制、サポートの方策に関しての現況と、中山間地振興に関して県の出先機関としてのあるべき姿について、企画理事に御見解を伺います。
 広域振興局体制の整備について、あえて知事の目指す潮流に反して、私の考えに対する評価を求めます。
 私は、かつて、増田知事時代に広域振興圏と振興局の再編問題が提起されたときに、二つの問題はあえて一緒に提起せずに、多様な地域の特性を生かすために県はどうあるべきか、県としてのサポート体制は弾力的かつ効果的に行う観点から、振興局の配置の再編には、基礎的自治体の規模も考慮に入れ、慎重を期してすべしと意見を申し上げました。今でもその考え方は変わっておりません。その当時と現在を比較しても、環境がさほど変わったとも思えません。知事は、広域振興局移行への緊急性に対して、圏域の格差是正と市町村優先の行政システムの確立に向けた支援の強化を理由にしましたが、説得力の迫力不足の感は否めません。市町村が住民自治の基本とするならば、県は、戦略的な地域振興のサポート役に徹するべきであります。市町村優先の行政システムを確立するためには、今、一律に広域振興局体制をしいて、本局をどこに置くかという不毛な綱引きのために市町村にエネルギーを費やさせるより、県と市町村の信頼関係を構築することに重きを置いたガバナンスを構築することを重視すべきと考えますが、いかがでしょうか。振興局は産業振興の戦略拠点として位置づけを明確にしたほうが、職員が目的意識を持って働けるのではないでしょうか。現在策定中の広域振興局の再編計画の状況を含め、御見解を伺います。
 また、合併した自治体において、地域内分権のあり方について各地で問題提起されていますが、県はこの状況をどのように把握しているのでしょうか。あわせて、振興局が地域内分権にどのようにかかわるのか、お考えをお示し願います。
 次に、飼料用米について伺います。
 飼料用米をめぐる動きについては、家畜飼料の高騰や平成19年産米の価格下落に伴い、急激に国における農業政策上の脚光を浴びることになりました。稲作農家側にとっては、新たな設備投資を必要としない既存の機械・施設が利用できる大きなメリット等がありますが、何よりも農業を持続的に営農できる意味において、国土保全の観点から耕作放棄地の解消策に最も有効であることが見逃せません。旧大東町において、産学官連携のもと、平成15年から飼料用米を豚に給与し、豚のふん尿を飼料米栽培水田に還元するという、飼料用米を核にした資源循環型地域農業システムを構築することを目標に研究がされましたが、傾聴に値するものと思います。その研究を生かして、その後も一関市大東町、千厩町で積極的な取り組みがされておりますが、徐々に課題も整理されてきました。
 以下、それらについて伺います。
 1、多収品種の開発の見通しについて、2、集出荷及び保管にJAの協力が不可欠であることから、貯蔵施設のハード面の協力体制について、3、宮城県では牛に給与してブランド化して付加価値をつけておりますが、本県のブランド化戦略について、4、国の支援制度である産地づくり交付金額が平成19年度から3年間固定されている中での生産拡大体制について、この4点について伺います。飼料用米は耕畜連携を発展させる重要なかぎでありますので、本県農業施策の柱に据えて、大いなる展開を期待するものであります。
 岩手県公立病院改革推進指針案と岩手県立病院等の新しい経営計画案についてお伺いいたします。
 現在、両計画が公表されて、パブリックコメントに付されております。前回、地域病院を診療所化する際、県議会は、急激な縮小化は当該地域に問題が大き過ぎるとして、最低限の19床の入院施設を担保することで診療所化を認めた経緯があります。今回の県立病院新経営計画の公表は、まだ本策定前とはいえ、無床診療所化とされた医療機関を抱える対象自治体にとってはまさに寝耳に水であります。今後、既に地域の医療機関の縮小というドラスティックな計画を唐突に突きつけられながら、県立病院の医師の過酷な勤務状況を理解して計画案に協力せよという手法だけで、果たして冷静な議論が関係者とできるのか、かなり心配な状況にあります。勤務医の労働環境をこれ以上悪化することによる負のスパイラルを一時的に改善するために、県病のダウンサイジング化はやむなしというのが今回の経営改革の方向と思われても仕方のないやり方と思います。
 一方、公立病院改革指針は、総務省が通知した公立病院改革ガイドラインに従って、公立病院の再編・ネットワーク化等の計画・構想の策定を強く要請されたのを受けて策定したものであります。総務省のガイドラインの下地には、夕張市の破綻から端を発した地方公共団体の財政の健全化に関する法律があって、基本的な理念としての地域医療の確保という観点は薄く、あくまで財政健全化を主体にした考え方が基本であります。ガイドラインの読み方を間違えると、本県の県立病院の存立自体が危ぶまれる可能性があり、まさに県立病院の存在意義をかけた正念場を迎えているといっても過言ではありません。
 そこで、両計画に関して、以下、県の見解をただします。
 第1に、今回の両計画を一度にほぼ同時にパブリックコメントに付した目的と、それにより、今後、県民の間でどのような議論が展開されることを期待しているのか、知事の認識を伺います。
 第2に、公立病院、特にも本県の場合、県立病院の役割は、経営の効率性だけでなく、過疎地などへの民間医療機関が困難な医療を提供することが必要とされているはずですが、政策医療の財政負担に関しての県の基本的な考え方をお示し願います。
 第3は、再編・ネットワーク化に関して伺います。県は、さきの県立病院改革で、二次医療圏を核として地域病院への医師の定期的な派遣により医療資源の確保を計画しましたが、その達成状況をお知らせ願います。現状では、基幹病院ですら医師の充足がされていないのが現実ではないでしょうか。ガイドラインにおいても、山形県で施行されたいわゆる置賜方式を基本にしたネットワーク化を推奨していますが、一層の効率化に対し、県はどのような基本的な認識を持っているのか、お示しください。
 第4は、ガイドラインによると、平成20年度内に公立病院改革プランを策定し、経営効率化は3年、再編・ネットワーク化、経営形態見直しは5年を標準としていますが、これに基づいた計画を策定しないと、各種補助金等の国からの支援は受けられないということになるのでしょうか。今行うべきネットワーク化の強化は、開業医や保健福祉施設との連携が先と思われますが、いかがでしょうか。
 第5は、県立病院の経営形態の検討について、現在行われている地方公営企業法の全部適用以外の検討がどのようになされたのか、お知らせ願います。
 岩手競馬について質問と御提案を申し上げます。
 全国の地方競馬は、南関東4場を除いて軒並み経営の苦境に陥っております。地方競馬救済のために民間一括委託が可能という競馬法改正がなされましたが、なかなか生かし切れていません。競馬法改正を生かした例は、廃止寸前であったばんえい競馬がソフトバンクの支援を得て、当然のことながら、守秘義務契約を交わした上で開催しているのが唯一の例であります。
 ここ数年来の全国の地方競馬の運営を管理する地方競馬全国協会は、地方競馬の開催日程等を調整し、地方競馬相互のネットワークづくりを主体的に行う機関として機能強化が期待されましたが、その機能が十分に発揮されていません。この先、地方競馬再生のために小手先の競馬法のさらなる改正よりも、一気に競馬界の再編、すなわち中央競馬と地方競馬の一元化にまで行き着くほうが先になる可能性も拭い切れないと私は思います。アメリカの競馬は、全米の競馬場のネットワーク化でよみがえりました。我が国の競馬はその判断に迫られているのではないでしょうか。この点について御見解をお示し願います。
 今回の民間委託に関しては、選定委員会で選定された日本ユニシスから収支見通しの提出がなかったことから見送りとなりました。結果はともかく、私は、今回の交渉過程を客観的に見て、交渉の出口をすぼめた形で終始したのではないか。現在の地方競馬の主催権の設定が法律で定められているので、やむを得ない部分もありますが、それにつけても、将来の岩手競馬の姿にまで深まった議論が相手側となされた跡がうかがえないのはまことに残念でありました。私は、将来の岩手競馬のために、競馬界の人的ネットワークを張る、また、今後の民間一括委託の交渉指南役として、諸外国の行政体に設置されているCEOやシティーマネジャーのような行政事務のプロの配置、競馬組合に置きかえると、競馬に精通したプロの人材を雇用すべきと考えますが、いかがでしょうか。
 管理者である知事には、以上述べた私の私見に対する御見解もしくは評価と、知事は岩手競馬の将来のありようをどのように想定しておられるのか、お尋ねいたします。民間委託に関しては、来年以降、必要に応じて取り入れる可能性はあるとのお考えでしたが、次回も今回と同様のプロセスを踏んで選定、交渉という形をとるのでしょうか。
 先日、政和・社民クラブ全員で水沢競馬場に出向き、厩務員の方々と意見交換をした際に、将来の展望を何より明確にしてほしいとの切実な意見をいただきました。毎日の売り上げに一喜なく一憂しつつも、岩手競馬に期待し、毎日現場で競走馬の世話をしている関係者の存在を決して忘れてはなりません。知事には、この際、明快なビジョンを示していただきたいと思います。
 最後に、国道343号の整備促進についてお伺いいたします。
 おかげさまをもちまして、長い間懸案であった一関市大東町大原地内、通称大原バイパスの1期工事分が、県事務の市町村への一括移譲制度で整備が進められ、来年3月ごろには供用開始の予定となり、また、残された全長1.1キロメートルの2期工事分も、今年度、事業着手されました。2期工事分の沿道には統合大原小学校の建設が控えていることから、一日も早い完成が地元住民から期待されております。
 さて、一関市の今後の国道343号の整備に関しては、大東町渋民地区での路線の切りかえが地元からの要望項目となっております。旧大東町時代に創設換地として既に用地が確保されており、早期の路線切りかえを望んでいるところであります。残された難所は笹野田峠であります。一関市と陸前高田市の境は笹野田トンネルとループ橋で結ばれておりますが、ループ橋は建設当時、その壮大な建築物が観光客を呼ぶとの当時の建設省の肝いりで建設をしていただいたと仄聞しておりますが、実際のところ、標高が高く、カーブがきついため、特に冬期間は凍結するとまことに危険きわまりなく、逆に交通の難所と化しているのが実態であります。観光客どころか、年々別の目的としての風評が強まる一方で、まことに評判が芳しくありません。交通の安全確保はもとより、気仙地方と内陸部との交流促進のために新トンネル建設に着手すべきときがついに来たと考えますが、いかがでありましょうか。国道343号の渋民地区の路線切りかえと笹野田峠の整備に関してのスケジュールをお示し願います。
 以上で壇上からの質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 飯澤匡議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、今後の景気動向と雇用対策についてでありますが、世界的な景気減速に伴う本県経済への影響等については、世界的な金融危機が深刻化する中、政府の11月の月例経済報告によりますと、我が国の景気基調は弱まっており、さらに世界経済が一段と減速し、下押し圧力が急速に高まっているとの判断が示されています。
 この影響を本県経済の動向から見ますと、最近の生産活動は、鉱工業生産指数、原指数が7カ月連続で前年水準を下回り、雇用面でも有効求人倍率が低い水準で推移するなど、輸出関連産業や個人消費などを中心に県内経済は停滞しているという数値が出ています。今後においては、原油価格等の下落による一定の効果は期待されるものの、我が国政府や主要国政府による有効な経済政策が発揮されず、世界的な金融危機の深刻化や世界景気の一層の下振れ、株式・為替市場の大幅な変動などが続いた場合には、輸出関連産業を中心に、生産規模の縮小、労働者の賃金の低下、雇用環境の悪化につながるなど、本県の企業や県民、行政等による努力を上回るマイナス要因となりかねないと考えております。
 次に、雇用対策に関する組織体制についてでありますが、総合雇用対策局は、臨時的・暫定的な組織として設置したものであり、雇用情勢に改善の兆しが見られたことや、所期の目的をほぼ達成したことから、平成18年度末に廃止したところです。
 本年10月の県内の有効求人倍率は0.49倍と低下し、非正規雇用の雇いどめが進むなど、県内の雇用情勢は急速に悪化しています。こうした事態に対応し、機動的な雇用対策を推進するため、緊急雇用対策本部を直ちに設置して庁内の連携を強化するとともに、職業能力開発を含めた雇用対策を一体的かつ強力に推進するための体制の整備について早急に検討を進めます。
 次に、人口減少社会に向けた県の対応ということでありますが、まず、将来の人口減社会を想定した本県の将来像ということでございますが、私は、県民の自由な意思と選択により、結果として人口が減少する場合にあっては、それを前提とした政策を展開すべきと考えますが、岩手に住みたい、岩手で子供を産み育てたいとの思いがあるにもかかわらず、社会的・経済的要因によって、それがかないがたいという実態であれば、まず、その障害を取り除くことによって、将来的に大きく人口が減少しない状態としていくことを目指すべきだと考えております。
 一方、現実として人口が社会的均衡を損なうほど減少していく社会を想定しますと、地域経済規模の縮小や社会保障面での負担の増加に加え、中山間地域を中心に、地域コミュニティの維持が困難になることなど、負の影響が懸念されます。地域の特性を生かした産業の振興や人材の育成等により生産性の向上を図るとともに、Uターン、Jターン、Iターンや若年層の本県への定着、女性や高齢者の活発な社会参加などにより、地域の活力を維持していくことが必要であると考えております。
 こうした考えに基づいて新しい長期計画の策定においては、県民一人一人が希望を持って岩手で暮らしていけるよう、その活動や多様な交流・連携の活性化を図るため、岩手の将来を担うひとづくりや人と人、人と地域の交流・連携を高めるつながりづくりなど、重要な視点として検討を進めていく考えであります。
 次に、中山間地域における農林業施策についてでありますが、県内の中山間地域では、多様な気象条件や変化に富んだ地形を活用した東磐井の小菊やシイタケの産地づくりを初め、観光と連携した遠野市や葛巻町のグリーンツーリズム、さらには、地域特産物や食文化を生かした産直や農家レストランの起業活動など、地域の自然環境や多彩な資源を活用した取り組みが展開されています。県としては、こうした地域の創意工夫に満ちた取り組みを支援するため、国の中山間地域等直接支払交付金を有効に活用した地域特産物の産地づくりを促進するとともに、県独自の取り組みとしてベテラン農家が指南役となり、新規栽培者等をきめ細やかに指導する技術指導体制の整備による園芸の産地づくりや、シイタケのほだ木造成への助成や、新規参入者等を対象とした技術研修会の開催等によるシイタケの産地づくりを支援するとともに、来年3月に組成予定のいわて農商工連携ファンドを活用した新商品の開発や販路拡大を促進し、地域に賦存する資源を最大限に活用した、岩手らしい中山間地域の農林業振興に努めてまいりたいと思います。
 次に、市町村との信頼関係の構築と広域振興局の再編についてでありますが、広域振興局体制において、県として、より広域的な観点から産業施策等を効果的・効率的に展開していく一方で、市町村が基礎自治体として、住民に身近な住民サービスを総合的に提供するという役割を将来ともに適切に果たしていくためには、その行財政基盤を強化していくことが必要です。そのため、広域振興局体制移行後においては、県と市町村が、これまで以上に地域経営という考え方のもとで、信頼関係を深めながら連携と協働を一層進めていくこととし、市町村合併や権限移譲等の取り組みをさらに効果的に支援できるための体制を整備するとともに、新たに広域振興局・市町村政策調整会議などを設置し、二重行政の解消にとどまらず、県、市町村の施策が相乗的に効果を発揮できるよう、総合的な協議・調整を進めていきたいと思います。
 また、現在検討している広域振興局体制についても市町村との連携が不可欠でありますから、できるだけ意見交換の機会を設けながら進めてまいります。
 次に、公立病院改革推進指針案と県立病院の新しい経営計画案が、ほぼ同時にパブリックコメントに付されたことについてでありますが、昨年12月に出された総務省の公立病院改革ガイドラインでは、病院事業を行う都道府県、市町村には公立病院改革プランを、そして各都道府県には、保健医療圏を基本とした公立病院の再編・ネットワーク化等に関する指針を、それぞれ平成20年度内に策定するよう求めていました。これを受け、県としては、岩手県公立病院改革推進指針と県立病院等の新しい経営計画の策定作業を並行して進めてきたところであり、この結果、これら指針案、計画案のパブリックコメントが同時期となったところであります。これら指針案、計画案を同時期に公表したことによりまして、医師不足や診療報酬のマイナス改定などを背景に、県立病院を初めとして、公立病院を取り巻く経営環境が極めて厳しい状況にある中、経営を安定化し、地域医療を将来にわたり確保していく最良の方策について、県民の皆様に議論を深めていただくことを期待しているところであります。
 次に、政策医療の財政負担についてでありますが、公立病院は、過疎地等の一般医療の提供のほか、高度・先進的な医療や救急、小児、周産期、災害医療など、採算性の面から、民間医療機関では困難な医療の提供が期待されており、その役割を果たすため、第1に、その性質上、経営に伴う収入をもって充てることが適当でない経費や、第2に、能率的な経営を行っても、なお、その経営に伴う収入のみをもって充てることが客観的に困難であると認められる経費については、地方公営企業法において、一般会計からの繰り出しを行うことが認められています。本県では、県立病院事業に対し一定のルールに従い、毎年度約180億円の繰り出しを行っているところであり、県の財政規模が縮小する中にあって、県財政全体に占める割合は増加しつつあります。
 こうした状況のもと、県立病院においても、公営企業として健全な経営ができるよう改革に取り組む必要がありますが、今後とも、県営医療に求められる役割を果たしていくため、当面、繰り出しのルールは堅持していきたいと考えております。
 次に、岩手競馬についてでありますが、まず、競馬界の再編についてであります。
 平成16年の競馬法の改正の際、農林水産大臣の私的諮問機関である我が国の競馬のあり方にかかわる有識者懇談会で、地方競馬の収支改善に対する中央競馬の役割について検討され、その中で、中央競馬と地方競馬は施行主体も異なることなどから、地方競馬の収支改善は、地方公共団体がみずからの責任で行うべきとする考え方が示され、その上で、両者の共存共栄が図られるよう交流競走の促進や相互発売の推進など、連携強化の必要性が提起されました。また、こうした考え方のもと、昨年の競馬法の改正では、地方競馬全体の活性化と持続的な発展を図るため、主催者間の連携・共同を柱として、地方競馬改革をさらに推進することとされたところであります。
 地方競馬主催者が主体となって運営する地方共同法人となった地方競馬全国協会では、平成24年度以降の目標として、平日開催と週末開催、昼間開催とナイター開催の有機的な連携の促進、全国を2から3のブロックに分け、ブロックの同時開催場数を1場から2場に集約するなど、地方競馬全体の改革に向けた検討を進めることとしています。したがって、今後は、こうした地方競馬全体の改革がまず優先的に進められるとともに、並行して中央競馬との共存共栄に向けた連携強化が図られていくことになると考えられ、その上で将来的な課題として、議員御指摘のように、中央と地方の競馬界の再編についても検討が進められていくものと認識しております。
 次に、競馬に精通したプロの人材の雇用についてでありますが、現在の厳しい経営環境の中で岩手競馬を安定的に運営していくためには、競馬についての専門知識やノウハウ、さらに民間における事業運営のノウハウを積極的に活用することが重要と考えています。このようなことから、岩手競馬の事業運営に当たっては、運営協議会の場などを通じて、馬主や騎手、調教師など、競馬関係者それぞれの専門の立場から御意見をいただくとともに、インターネット事業者と共同したプロモーション活動など、民間の有するさまざまなノウハウを活用しながら競馬事業の運営を進めてきています。
 また、地方競馬全国協会には、日ごろから、全国の地方競馬の状況を踏まえた岩手競馬の運営の改善方策についても助言をいただいており、こうした全国的見地に立った事業運営ノウハウを生かしていきたいと思います。
 また、日本中央競馬会の方々とも、交流競走や場外発売などの連携の取り組みを通じて、随時、協議や意見交換を行っておりまして、私も先日、理事長を初め幹部の方々と意見交換をさせていただいたところであります。
 一方、一人の専門家に経営判断を大きく任せるような外部からの人材登用は、雇用形態や報酬、人選、自治体の意思決定との関係など論点も多く、検討課題とさせていただきたいと考えますが、今後とも、できるだけ多くの競馬事業の専門家や民間のノウハウを有効に活用しながら、岩手競馬の再生に取り組んでまいりたいと思います。
 次に、岩手競馬の将来のありようについてでありますが、競馬事業を継続していくためには、まずは新計画のもとで、現実的な売り上げ見通しに対応したコスト管理を徹底して、単年度ごとに着実に黒字あるいは収支均衡を積み重ねていくことが基本であり、こうした取り組みの成果を踏まえて、さらに売り上げ拡大に必要な投資や構成団体への元金返済が可能となるような、より安定的な経営基盤を確立していくことが重要と考えています。したがって、来年度におきましても、まずは確実に収支均衡を達成するために、収入面では、JRAや他の地方競馬主催者との連携強化、インターネット発売の拡大などにより売り上げ向上を図っていくとともに、支出面では、委託料などの見直しによる固定費の削減や、場外発売所の運営見直しなどの業務効率化を進めていくほか、岩手競馬全体のイメージアップに努めるなどあらゆる方策を講じ、馬主や厩舎関係者はもとより、岩手競馬を支えている多くの競馬ファンや、さまざまな支援をいただいている全国の競馬関係事業者の方々などとも力を合わせ、まずは着実な改革・改善に全力で取り組んでまいりたいと考えています。
 また、こうした取り組みと並行して、岩手競馬の将来にとってどのような事業運営が望ましいのか、引き続き民間委託拡大も含め、中長期的視点に立って抜本的な改革を検討していくことも必要と考えております。
 民間委託拡大については、最近の経済情勢等を踏まえれば、民間企業がリスクを負いながら新たに競馬事業に参画することは、より一層厳しい状況であると考えられますことから、委託する業務の範囲や委託料の算定方法、委託先の選定方法などについて改めて検討を進めてまいりたいと思います。
 その他のお尋ねにつきましては、企画理事及び関係部局長から答弁させますので御了承をお願いします。
   〔企画理事勝部修君登壇〕
〇企画理事(勝部修君) 岩手・宮城内陸地震に係る現地再生に向けた県と一関市の連携状況と、それから地域振興も含めた今後の現地再生支援の取り組みについてでございますが、地震発生後、直ちに市災害対策本部に職員を派遣いたしまして被災状況の確認を行うとともに、連携を図りながら、相互に情報収集及び情報提供を行ってきたところでございます。
 また、被災した住民の不安を少しでも和らげるための方策といたしまして、地域における説明、相談会の開催や、かわら版等による災害情報の提供を行い、さらには、保健師等で構成する支援チームを被災した全64世帯に派遣いたしまして、生活状況の把握と健康管理等について助言を行うなど、一関市と連携を図りながら、被災住民への支援活動を行ってきたところでございます。
 現在、なお、避難を余儀なくされている住民の方々がおられることから、まずは、一日も早く自宅に戻り生活を再開できるよう、地元自治体と連携を図りながら、道路の復旧など対策を進めてまいります。
 また、地域の復興につきましては、被災された住民の方々の生活が被災前の状況よりも向上し、希望を持って生活していけるよう支援していくことが何よりも必要と考えておりまして、例えば被災により継続活用が困難となりました水田のより高収益作物への転換など農業の復興でありますとか、完全復興をアピールする観光振興の新たな取り組みを支援してまいりたいと考えております。
 次に、産業振興の効果的な体制整備と市町村に対するサポート体制についてでございます。まず、県南広域振興局の産業振興の体制の検証についてでございますが、県南広域振興局は、他の圏域に先駆けて平成18年度に広域振興局としてスタートし、産業振興の分野につきましては可能な限り本局にその機能を集約して、業務の専門性を高めて取り組んできたところでございます。その結果、従来の振興局のエリアを超えたスケールメリットを生かす形で、民間事業者や業界団体等を構成員とする全部で10の広域ネットワークが構築され、ものづくり人材の育成の分野では、高校生や技術系短大の学生の技術力の向上、あるいは資格取得の促進、製造業に対する理解の醸成などが進んでいるところでございます。
 また、食産業の分野では、例えばもちの食文化を活用した地域ブランドづくりなど、新たなビジネスチャンスが創出されてきていることなど成果が上がっていると考えており、このような県南広域振興局での取り組みは、今後、他の広域振興圏において、産業振興を図っていく際の先行事例としての意義を有するものと考えております。
 次に、県南広域振興圏の中山間地域振興に関して、その支援体制と出先機関としてのあるべき姿についてでございますが、県南広域振興局は、北上川流域地域と北上山系あるいは奥羽山系に広がる中山間地域で、交通事情あるいは自然、地理的な立地条件が異なり、特にも中山間地域におきましては、地域の特色ある資源を最大限活用しながら、地域の強みを生かした取り組みを、県と地元自治体が連携して進めることが重要であると認識しております。これまでも、それぞれの分野におきまして、高い付加価値が創出されるよう、管内各市町の主体的な取り組みを支援してきたところでございます。
 具体的には、西和賀6次産業の構築や両磐地域の定住・交流、地域ぐるみの観光の促進など、地域振興推進費を活用いたしまして、それぞれの地域課題の解決や特色ある地域づくりを支援してきました。
 千厩地域におきましては、県営の圃場整備事業の実施を契機といたしまして農事組合法人が設立され、大豆生産の団地化やみそ、豆腐の加工販売、あるいは小菊栽培の強化など、集落営農が促進されております。
 また、遠野地域におきましては、農業分野で、県と市、地元農協等関係団体が同じフロアで業務を行い、ワンストップサービス体制が構築されておりますし、土木分野では、県の合同庁舎に遠野市の関連部署が同居するワンフロア化が定着するなど、住民サービスの向上や業務の効率化に一定の評価をいただいているところでございます。
 今後とも、現場主義に立脚した地域振興を図るため、振興局の職員は積極的に現地に入り、生産者やその地域で暮らす人々のニーズを的確に把握するとともに、NPOを初め各種団体や自治体と連携を強化して、地域に密着した取り組みを住民起点で推進していくことが求められておりますので、今後、さらに強力に支援してまいりたいと考えております。
   〔商工労働観光部長廣田淳君登壇〕
〇商工労働観光部長(廣田淳君) まず、県内中小企業等の経営安定支援についてでありますが、県においては、10月31日から開始された国の原材料価格高騰対応等緊急保証制度を活用し、中小企業経営安定資金の中に別枠として原材料高対策枠を追加し、信用保証料につきましては、県と県信用保証協会の負担により、国の緊急保証制度の0.8%よりも0.2%の引き下げを行ったところです。
 なお、国におきましては、緊急保証制度の実施に当たり、11月14日から対象業種を618業種に拡大するとともに、現在6兆円規模の保証枠を確保しておりますが、今後、その枠を20兆円規模まで拡大する予定であると聞いております。
 県といたしましては、年末におきます中小企業金融対策として、原材料高対策の中小企業経営安定資金の利用促進を図るとともに、12月1日には、県庁経営支援課に年末商工金融110番を設置しましたほか、県内中小・小規模企業者の年末の資金繰りが円滑に進むよう、引き続き金融機関への働きかけを行ってまいります。
 また、来るこの24日には、東北財務局盛岡財務事務所、東北経済産業局と共催で中小企業金融連絡会議を開催し、金融機関、商工団体などの関係機関相互の情報交換と連携強化を図る予定であり、あらゆる機会を利用し、中小・小規模企業の支援に努めてまいります。
 次に、非正規雇用の県内状況についてでありますが、岩手労働局によりますと、10月から来年3月までに契約満了時期を迎える期間従業員や派遣労働者のうち、7事業所、356名が雇いどめになると見込まれておりますが、その後も新たな雇いどめが発生しており、今後さらに増加することを懸念しているところであります。
 今後の雇用対策についてでありますが、既に取り組んでおります内容に加えまして、雇用の維持確保、相談対応などのマッチング支援、そして新規雇用の創出などを中心に取り組んでいくこととしております。
 具体的には、雇用の維持確保対策として、産業団体、労働団体、行政機関等で構成いたします岩手県雇用対策推進会議が主体となって、非正規雇用の雇いどめの自粛や新卒採用の継続等に関する緊急アピールを行うとともに、県としても、同推進会議や国、市町村と連携して県内企業を個別に訪問し、雇用の維持確保について強く要請していきます。
 また、マッチング支援策としましては、国と共同で年度内に立ち上げを予定しております地域共同就職支援センターにおきまして、Uターン就職希望者や製造業におきます正規雇用希望者の相談窓口を設置し、情報提供や合同説明会の開催などの就職支援を行ってまいります。
 さらに、新規雇用の創出策としましては、国の第2次補正予算に盛り込まれる予定であります、求職者の安定的な雇用機会を創出することを目的としましたふるさと雇用再生特別交付金を、十二分に活用して取り組みを進めていきます。
   〔総務部長川窪俊広君登壇〕
〇総務部長(川窪俊広君) 来年度の予算編成についてでございますが、まず歳入面におきましては、現下の経済情勢のもとでは一定の税収減は避けられないと考えられますけれども、制度の趣旨のとおり、その分、地方交付税が増額されるなど、地方の財源が適切に確保されますよう、全国知事会を初め地方が一丸となって国に強く働きかけているところであり、今月下旬の来年度の地方財政対策の動向に注目しているところであります。
 一方、歳出面におきましては、限られた財源を最大限活用できるよう、政策の優先度や事業の効果などを十分に吟味し、選択と集中をより徹底した予算編成とすることを基本的な方針としながら、経済情勢への対応を含め、いわて希望創造プランが力強く推進されるような予算としたいと考えており、困難な経済財政環境の中でも、今後の予算編成を通じて、歳入歳出両面から、県民の期待にこたえられるような予算を取りまとめていきたいと考えております。
 また、中期財政見通しにつきましては、こうした来年度の予算編成作業とあわせて検討を進め、必要な見直しを反映した形に改定することを予定しているところでございます。
   〔農林水産部長高前田寿幸君登壇〕
〇農林水産部長(高前田寿幸君) まず、市野々原地区の治山事業についてでございますが、本地区の山腹崩壊により避難住民の家屋や国道に被害が及ばないよう、まずは治山ダムの建設を急ぐこととしており、この工事を10月上旬に発注し、このうち、特に人家への直接的な被害を防止するための治山ダムにつきましては、今年度内の完成を目指しているところでございます。
 また、崩落した斜面を安定させるための山腹工事もあわせて実施することといたしておりまして、具体的な工法を決定するためのボーリング調査を12月中に完了することとしておりますが、この山腹工事は、被害が山腹深層部まで及んでいると見込まれることや、現場が急峻で、かつ大量の不安定土砂が堆積していることなど、困難な条件下で行われるものでありますことから、完成までにはおおむね3年間を要するものと見込んでおります。
 県といたしましては、今後とも、避難住民の方々ができる限り早く帰宅できるよう、これら工事の早期完成に全力を尽くすとともに、地元一関市や関係者に対し、工事の進捗状況等を、随時、情報提供してまいります。
 次に、飼料用米についてのお尋ねでございます。
 まず、多収品種の開発の見通しについてでございますが、県では、10アール当たり800キログラムの収量が期待できる県南向けの岩南29号、県中北部向けの岩手85号を開発し、本年度、県内4カ所で種子の確保も兼ねて実証栽培を行うとともに、今月中には国に品種登録を申請し、来年度から県内での本格的な栽培に取り組むことといたしております。
 今後におきましては、生物工学研究センターの遺伝子解析技術の活用や東北農業研究センターとの連携の強化を図りながら、平成25年度をめどに、飼料用米の生産コストの低減に資する、さらに多収で直播適性を有し、耐病性のある品種の研究開発に取り組んでまいります。
 次に、農協における貯蔵施設等の協力体制についてでございますが、飼料用米の生産を拡大するためには、供給コスト全体の約2割を占める乾燥調製や流通保管経費の削減が重要な課題であると考えております。このため、今年度は、飼料用米の流通・調整等の経費を助成する国の飼料用米導入定着化緊急対策事業を県内6地区で導入し、農協所有のカントリーエレベーター等を活用して、年間を通じて飼料用工場へ安定的に供給するモデル的なシステムの実証に取り組んでいるところでございます。
 今後におきましても、今年度の実証成果を踏まえ、農協の協力のもと、生産者や飼料メーカーとの連携を強化し、既存の施設の有効活用による効率的な生産・流通体制が構築できるよう、支援してまいります。
 次に、ブランド化戦略についてでございますが、飼料用米を給与した畜産物のブランド化を図るためには、飼料用米の生産と利用を安定的かつ継続的に行える生産体制を構築するとともに、地域循環型の農業生産システムで生産された安全・安心な飼料用米を給与した畜産物であることをしっかりと情報発信し、消費者や実需者に評価していただくことが重要であると考えております。このため、生産面におきましては、耕畜連携による飼料用米の生産と需要の確保に向けたマッチングを促進し、安定的な供給体制の整備に努めているところであります。
 また、販売面におきましては、本県食材のPRフェアやいわて食財倶楽部などのホームページ等を活用し、安全・安心な飼料によるこだわりの畜産物を消費者に積極的に情報発信するとともに、商談会の開催等により、安全・安心な畜産物を評価していただける生協や量販店等への販路開拓を促進し、生産と販売の両面からブランド化を支援してまいります。
 次に、飼料用米の生産拡大についてでございますが、飼料用米は単位面積当たりの生産者手取り額が、産地づくり交付金等を含めても、主食用に比べて6割から7割と低いことや、安定的な需要の確保を図ることが課題となっているところでございます。このようなことから、飼料用米の生産拡大を図るため、本年7月、国に対し、産地づくり交付金の増額を要請したところであり、今後におきましては、国の平成21年度概算要求に盛り込まれております飼料用米の作付を支援する水田等有効活用促進交付金を積極的に活用し、生産者の手取り額の確保に努めてまいります。
 また、本年7月に農業団体と県で設置いたしました飼料用米プロジェクトチームが中心となって、畜産農家等と飼料用米生産者とのマッチングを促進するとともに、飼料メーカー等に対する産地情報の発信などにより、飼料用米の安定的な需要の確保に取り組んでいるところでございまして、今後とも、こうした生産から流通にわたる総合的な取り組みを積極的に支援し、飼料用米の生産拡大を図ってまいります。
   〔県土整備部長佐藤文夫君登壇〕
〇県土整備部長(佐藤文夫君) まず、一般国道342号の復旧スケジュールについてでありますが、落橋した祭畤大橋の仮橋を含む仮設道路が供用できましたことから、一関市側から真湯の冬期閉鎖ゲートまで通年の通行が確保されたところであります。この区間は、冬期の施工が可能でありますことから、舗装工事が必要な6カ所を除くすべての被災箇所、11カ所でございますが、年内に工事着手する予定であります。また、祭畤大橋の本橋は、現在、詳細設計とあわせ保安林解除などの手続を進めているところでありまして、年度内に工事着手できるよう取り組んでまいる予定であります。
 一方、真湯から須川温泉までの冬期通行どめ区間におきましては、斜面とともに路面が全面決壊した2カ所につきまして、工事車両が通行できるように応急復旧工事を終えたことから、来春の雪解け後から本格的な復旧工事に着手する予定であります。復旧を要する区間は、地形条件や気象条件が厳しい地域でありまして、順次工事に着手しながら、祭畤大橋を含め平成22年度までに供用できるよう取り組んでまいります。
 次に、国道343号の渋民地区への道路切りかえについてでありますが、本地域内の国道343号のルートは、大原から渋民地区の南を大きく迂回し、猿沢に至っておりますが、渋民地区では、一関市が市道大原渋民線の道路改良工事を、圃場整備事業と連携しながら平成17年度から実施中でございます。整備中の市道を国道343号に接続させるためには、この整備区間の起終点で新しい道路が必要となりまして、その区間には、トンネルや橋梁などの構造物を設けなければならないなど、多くの事業費を要するものと想定されます。県としましては、この渋民地区の道路が完成すれば既存の市道に接続されますので、現在より時間短縮が図られること、厳しい財政環境にあることなどから、路線の切りかえは中長期的な課題ではありますが、早期には難しい状況にあると考えております。
 また、笹野田峠の整備についてでありますが、笹野田峠は、急カーブ・急勾配の連続でありまして、交通の難所となっておりました。そういうことから、昭和58年度から平成元年度までに、延長約2、500メートルの区間につきまして、ループ橋やトンネル等の整備を行ったところでございます。笹野田峠のさらなる抜本的な道路整備には、地形条件から長大トンネルなどの大規模構造物が必要となり、多額の事業費を要すること、また、厳しい財政環境であることから、今後の交通量の推移等を見きわめながら検討してまいりたいと考えております。
 なお、冬期間の交通安全対策としまして、きめ細かな融雪剤散布や除雪など、より一層良好な道路維持管理に努めてまいります。
   〔地域振興部長藤尾善一君登壇〕
〇地域振興部長(藤尾善一君) 合併自治体における地域内分権のあり方と振興局のかかわり方についてでありますが、県内の合併市町におきましては、強化された行財政基盤を生かし、効率的な行財政運営を行いながら、地域内分権やコミュニティの自立を支援する仕組みづくりを既に始めているものと認識いたしております。その手法としては、地方自治法に基づく住民自治組織である地域自治区を設けているもののほか、例えば花巻市では、小学校区単位の市内26カ所に振興センター、いわゆる小さな市役所と、地域づくりの主体であるコミュニティ会議を設置し、職員と財源を配分し、域内分権の取り組みを進めておるところでございます。
 県といたしましては、地域内分権の推進は、市町村合併などにより行政の広域化が進む中においては、住民の主体的参画を図る仕組みとして重要であると認識いたしておりますけれども、一義的には市町村の自己決定、自己責任により取り組むべきものと考えております。
 そうした中で、県におきましては、各地方振興局等に配置しております新市町まちづくりサポートセンターのまちづくり支援士を通じて、県内はもとより全国の先進的な取り組みなども紹介しつつ、合併市町村自立支援交付金や市町村総合補助金を活用することにより、引き続き、新しい自治のあり方を模索している市町村の地域づくり・まちづくりを支援してまいる考えであります。
   〔医療局長田村均次君登壇〕
〇医療局長(田村均次君) 県立病院の再編・ネットワークについてでありますが、地域病院への医師派遣の状況については、医師の広域人事異動システムにより派遣した医師は、平成16年度から平成19年度までの4年間に、中央・宮古・胆沢・磐井病院から大東病院など九つの地域病院や地域診療センターに、1カ月から6カ月の期間、派遣してきたところであります。また、外来診療、手術、当直などの診療応援については、平成16年度は県立病院間が6、034件、市町村診療所等575件の合わせて6、609件、平成19年度では、県立病院間が5、729件、市町村診療所等820件、合わせて6、549件となっており、平成16年度と比べ60件、0.9%の減少となっております。これらの医師の派遣や診療応援が伸び悩んでいる要因としては、派遣元の広域基幹病院自体、医師が十分な配置となっていないことなどによるものと考えております。
 ネットワークの一層の効率化については、県立病院においては、これまで、二次保健医療圏ごとに、広域基幹病院を中心とした県立病院群の一体的な運営により、各病院間の役割分担と連携を図るなど、効率的な医療提供体制を構築してきたところであります。
 今般の計画案においては、限られた医療資源と厳しい経営環境の中で、これまでと同様の機能や規模を維持していくことが困難となっていることから、二次保健医療圏を基本とした各病院間の役割分担と連携をより一層進め、無床診療所化など機能と規模の見直しを行うこととしたものであり、二次保健医療圏全体で、二次救急医療の提供など必要な機能を堅持しながら、地域医療を確保してまいりたいと考えております。
 次に、県立病院の経営形態についてでありますが、県立病院は、スケールメリットを生かしながら、迅速性、弾力性、効率性を発揮するため、地方公営企業法の全部適用により運営を行っているところでありますが、県立病院を取り巻く環境は、医師の絶対数の不足や、地域別・診療科別の偏在、在院日数の短縮化や投薬日数の長期化などによる患者数の減少、診療報酬のマイナス改定など、依然として厳しい状況となっております。
 こうした中で、新しい経営計画案においては、各病院等の目指すべき方向性を定めるとともに病床規模の適正化を図るなど、機能や規模の見直しを進めることとしており、この計画案を実効あるものとしていくためには、当面、現在の経営形態のもとで運営を行うことが適切と考えております。
   〔保健福祉部長岩渕良昭君登壇〕
〇保健福祉部長(岩渕良昭君) まず、公立病院改革プランと国からの支援についてでありますが、公立病院改革ガイドラインでは、公立病院改革プランを策定した場合には、再編により必要となる医療機能の整備費、再編等に伴う清算経費などについて財政支援を行うとされておりますが、その他の既存補助金等につきましては、プランを策定しない場合にあっても、従来どおり交付されることとなっております。
 次に、開業医や保健福祉施設との連携についてでありますが、現在、保健医療圏ごとに、県立病院や市町村立病院を初めとして、民間病院、診療所、介護福祉関係者などを構成員とする圏域連携会議において、医療機関の役割分担と、その連携方策の検討を進めているところであり、今後、介護福祉施設との連携についても議論を深め、医療、福祉のネットワークの構築と、指針でお示しした公立病院の再編・ネットワーク化を一体的に進めてまいりたいと考えております。
〇25番(飯澤匡君) それでは、大きく3点について質問いたします。
 雇用対策について、これは突然ですけれども、質問させていただきます。知事が緊急雇用対策本部をすぐ設置すると言ったことについては高く評価するものでございます。しかし、先ほど商工労働観光部長からお話があったように、3月までの非正規雇用者、また、今の米国や日本の自動車産業の状況を見ると、米国のフォードやGMや、それからクライスラーの1社がこけると大変な不況が起きるのではないかと。来年度においても、その不況感というのは、これは展望がなかなか見出せない。さきに雇用対策局を設置したときよりも、私は、さらに状況は悪くなるんじゃないかという思いをしております。
 そこでお伺いいたしますが、知事は、佐々木一榮議員の質問の中でも、走り出しながら組織体制については考慮するというお話でありました。この間、さきに対策局という専門的な、組織的な位置づけをしながらやった経緯と、今回なぜ対策本部としたという、そういう庁議の中でどのような議論がされたのか、それについて明らかにしていただきたいと思います。
 それから、2点目は広域振興局の移行についてですが、ことしの3月の予算総括でも知事に対して質問いたしました。2010年をスタートと、私は、そこを基軸とした広域振興局の移行体制ではないかと思うんですが、さまざまな御答弁を聞いていると、どうもこのスタートの位置が随分、いろいろずれてきたのではないかという印象を受けます。しかしながら、私は、もう一回繰り返しますけれども、地域振興は地域の特色を生かすことが基本であろうと思います。県南地区は合併が進んで、基礎的自治体として権限移譲やさまざまな施策の展開への受け皿ができた。しかし、残念ながら、県北・沿岸地区においては、この自治の再編が、さまざまな事情によりなかなか進まない現実であります。沿岸では漁協自体も合併が困難という状況であります。例えば、単なる漁業という切り口だけで産業振興を単一に推進できるのかという疑問を私は持っております。あえて言うならば、やはり県は戦略的な仕掛けを、そういう組織づけをきちっと振興局に置いて、実動部隊の重点強化ということを強く打ち出すことが、県北・沿岸地域には、細部に拠点化することにより、より効果があると私は考えますが、その点について再度答弁を求めます。
 そして、知事が新地域主義を唱えて地域コミュニティを評価するという点については、私は評価を最初からいたしているわけですが、しかし、現在の状況を見ると、単なるスポットを当てているだけではないのかと。その間に、振興局が仲介となった当該自治体とのさまざまな中山間地の連携策であるとか、そういうてこ入れ策がなかなか見えてこない。ましてや、先ほど地域振興部長の答弁にあった地域内分権に関しては、私は、そこのところまで踏み込まないと、なかなか答えが出ないのではないかと思っております。今度の新合併については、周辺地区については、県は新たなそのような支援策も講ずるというさっきの答弁がありましたが、私の質問とはちょっと意味が違うんじゃないかと思いますので、地域振興部長に、新合併の場合の支援措置と、現在での地域内分権での考え方について、改めて考えをただしたいと思います。
 それから、3点目は岩手県公立病院改革推進指針と岩手県立病院等の新しい経営計画についてでありますが、私も、県立病院の将来について今までも何度となく提言してきました。特に県病の抜本的経営体系の見直しの考察、そしてまた、福祉、介護を含めた地域連携等の具体的施策であります。この間に、医師の確保対策は、加速的な医師の不足により現実的に追い詰められた。今回のガイドラインがさらにそれに拍車をかけて、今回のプランの策定の根拠になったのではないか。大変失礼な言い方ですが、地域医療の確保という確固たる政策的な基本軸がなかったのではないかと思います。
 そこで、知事にお伺いしますが、知事のコメントに関して、いろいろな情報媒体をして、また、きょうの答弁も聞いて、こういう内容です。集約化で医師の負担を減らさないと、このままでは県全体の医療体制がつぶれると、こういう内容のコメントがきょうもありましたし、マスコミ等の報道でもありました。県病の医師離れにスタンスを置いた発言が多い。まさに供給側の論理の中で、需要側の、患者側の論理が一体どこにあるんだろうと私は思っております。希望創造プランで掲げた地域医療の確保の目標というのは、これは一体どういうことだったんでしょうか、改めてお伺いします。知事の発言はこの希望創造プランの内容とは意を異にしているのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
 また、県民みんなで支える岩手の地域医療推進会議が発足しましたが、これは、平成19年12月に総務省のガイドラインが発表されて、ほぼ1年を経過するわけですが、私は、タイミングとして遅いのではないかと思います。したがって、これらの地域の方々の例えば意見を醸成するにしても、さまざまな形でこれからの未来の展望を図るという意味において、結果的にもう少し早くやっていればよかったのではないかと。知事のコメントを見ると、県民総参加はイコール現況について何とか我慢してくれというようなニュアンスにしか私にはちょっと聞こえないのであります。県民みんなでどういう地域医療をつくっていくのかという大きな絵柄の中で決めていきたいという考え方ですが、地域医療を考える、その確保と、それから代替の選択案も示さないのでは、私は、住民に対して極めてアンフェアではないかと。もっとひどい言い方をすると、失礼ですが、これは県民の中で地域医療確保を決めてくれというような言い方にも聞こえるんですが、その点についてどのような御見解であるのか、お伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) 緊急雇用対策本部の設置を中心とする今の県内の景気悪化に対応した庁内の新しい体制整備についてでありますけれども、景気悪化による県内の雇用悪化と企業倒産の増加、その実態について庁議メンバーで認識を共有し、そして、まず年内に緊急雇用対策本部を―いや、今週、来週中にも緊急雇用対策本部を設置する。そして、雇用対策室については、機構改革になりますので、年内というわけにはいきませんが、来年早々には雇用対策室を発足することについて合意を得たところであります。商工労働観光部からの提案でありましたけれども、県土整備部などからも、企業誘致については独自のスキームがあるので、そういったことも活用してほしいということで、県の総力を結集してこの雇用確保に当たっていこうということを庁議において確認しております。
 次に、広域振興局体制についてでありますが、広域振興局体制にありましては、現在の地方振興局よりも、ものづくり振興や異業種連携など産業支援機能を集約することで、地域のニーズに応じた広域的・専門的な支援機能を強化することができ、さらには本局への業務集約等により、確保した人的資源を重要施策の展開などに重点配置することができることとなります。このようにして、県北・沿岸圏域においても、県南広域振興局と同様に、すぐれた地域資源や多様な人材を有機的に結ぶ広域的なネットワークなどにより地域の総力が結集され、産業振興を初め福祉や環境、人材育成などの幅広い分野において効果的な地域振興が可能になっていくと考えております。県北においても、沿岸においても、今ある市町村が決して努力不足だとは考えません。今ある市町村の努力だけではできないような、市町村の枠を超えた広域のオール県北、オール沿岸、そうしたような産業振興、地域振興が今求められるという私の提案に対して、去年の知事選挙でも多くの有権者からの負託をいただいたと思っております。岩手四分の計はできるだけ早く実現しなければならないと考えておりまして、先ほど、同僚議員に対する答弁にもありましたように、来年になってから行う予定の案の提示についても、中間報告の形で前倒しして提案をしてまいりたいと思います。
 次に、地域コミュニティに係る自治体との連携について、御指摘のあった詳しいことについては担当部長より答弁をさせたいと思いますけれども、昨年、約三千数百ある県内の地域コミュニティに対し調査をいたしましたところ、やはり地域を牽引するリーダーの、担い手の不足、また、そのリーダー、後継者の育成に対する支援の必要性、そうしたことが特に挙げられたところであり、県として、草の根コミュニティ大学を開催して、そうした要望にこたえ、また、元気なコミュニティ100選により、先進的な地域活動を他の地域にも知ってもらうといった活動を通じて、そうした地域のニーズにこたえていっているところであります。あわせて、広域振興局等においては、地域振興推進費の活用により、市町村と連携してコミュニティの活性化支援策を実施しているところでありまして、今後においても、市町村と連携を密にしながら、地域コミュニティの活性化に取り組んで支援をしてまいりたいと思います。
 県民みんなで支える岩手の地域医療推進会議について、医師不足を唱え、供給側からだけ見ていて、患者の側から見ていないのではないかという御指摘でありましたが、去年の知事選挙を経験しまして、岩手県民の最大の関心、不安の一つが、この医師不足問題であると。私は常に患者の側からの視点も念頭に置いて取り組んでいるつもりであります。昨年、知事に当選してすぐ総務大臣に面会を求め、菅総務大臣に会っていただきましたけれども、衆議院議員の同期当選でそういうあいさつを交わした後、まず私から菅総務大臣に申し上げたのは、今、地方で一番大変なのは医師不足だと。総務大臣、その点をちゃんと認識してやってほしいということでありました。県民の目から、患者の側から、まずその思いを総務大臣に伝えたところであります。菅総務大臣はそれに対して、まさにそうだと。今ちょうど党でそういう関係の会議をやってきたところで、すぐ緊急医師派遣をやるからということで、昨年、全国で6病院7人の緊急医師派遣、うち2病院3医師が岩手に対して行われたところであります。
 そして、今、全国的にも医師不足問題の核心というのは、命にかかわる医療、これは出産・分娩の産婦人科に係るということもそうですし、あとは小児科の問題もそうですけれども、命にかかわるそういう診療を必要なときに受けられない、そういう不安というものが、今、全国的に高まっているのだと思います。産婦人科、小児科の不足の問題は岩手も極めて深刻であります。そして他県、特に都会においては、たらい回しによって、本来受けられるはずの命にかかわる診療・手術が受けられないという不安があるわけで、岩手においては、そこは不安として顕在化していないんですけれども、岩手において深刻なのは、基幹病院において診療科が閉鎖あるいは休診ということで、本来そこで受けられるはずの命にかかわる診療が、そこでできないんじゃないか、防災ヘリの緊急出動がないと連れていってもらえないんじゃないかと、そこの不安が患者の側から見て極めて深刻な状態になっていると考えます。県民の命を守るというのは、行政の立場からも最重要、優先でありますので、そのための岩手の医療体制を構築する。
 そしてもう一つ、県民みんなで支える岩手の地域医療推進会議発足の眼目の一つは、夜間救急診療あるいは救急車、そうしたものを安易に利用しないというきちんとした自覚を患者の側も持つべきということなんですが、都会のほうで起きているように、せっかく救急の病床があるのに、そこが埋まっていたのでは、たらい回しになって、命にかかわる診療が受けられない。実は、そういう県民一人一人の自覚というのが、まさに患者の側としての県民が最も抱いている不安、これを解決することに直結していくことであり、遠野市でありますとか宮古市でありますとか、既に住民への適正受診等の意識啓発の動きも出てきたところであります。私は、これを全県的に取り組んでいくことは、極めて時宜を得たことであると考えておりまして、県民の皆さんに対して、改めて協力、御理解を求めるものであります。
〇地域振興部長(藤尾善一君) 市町村合併などによって行政の広域化が進む中で、地域の特性、特色を生かした、それぞれの地域における自己決定、自己責任に基づく住民の主体的な参画の仕組みが必要であって、そのためには、域内の分権というものを積極的に進めなければならないものと考えており、したがって、先ほど申し上げたような、新市町まちづくりサポートセンターのまちづくり支援士などの支援を通じて、そういった住民の主体的参画を図る仕組みをどんどん活発化していくという取り組みを進めてまいるということでございまして、また、先ほど佐々木一榮議員に答弁をいたしました、この新しい合併市町村自立交付金につきましては、今後、これから合併する市町村において、いろいろ合併議論を重ねる中で、合併後に周辺部が寂れるのではないかという不安を感じる住民の声も多いわけでございます。そうした中で、実際、合併した後には、それぞれの市町村の自己決定、自己責任によっていろいろな域内分権を進めているところではございますし、そしてまた、合併を契機として、住民の意識というものは確実に高まってくるということではございますが、これを具体的な行動に移して、住民自治を活発化させて周辺部の活性化につなげていくというところには、一定の財政的な支援も必要ではないかということで、今、知事が申し上げた地域活性化推進費の活用に加え、新たなそういう自立交付金のようなものを、来年度予算編成に向けて検討しておるところであるということでございます。
〇25番(飯澤匡君) それでは、物理的に最後になります。県立病院について、最後にもう一回確認の意味で質問します。
 県立病院が現在の姿になったのは、我が郷土の先輩の佐藤公一氏の医療組合運動が基礎にあって、これが戦後、県立病院が岩手の受け皿となると、これが現在に至っているわけです。
 その佐藤公一氏が、なぜたたえられるかというのは、昭和初期においては、農村の疲弊は想像を絶するものがあって、無医村では、病気を治す医者も欲しいが、せめて死亡診断書が書ける医師が欲しいとの切実な願いを、農民の立場から医療組合運動としてこれを実現化したということであります。
 先ほど知事の地域医療にかける意気込みも拝聴いたしました。私は、需要側も現状維持という結論を求めるだけでは、根本的には解決策にはならないと思います。要は、今の県病、医療局体制では長期的なビジョンを描けない、そういう体制や仕組みに問題があるのではないか。
 あえて申しますけれども、やはり地域医療を守るためには、先ほど述べた、県が主たる医療を供給してきた歴史上、これは責任を回避できない立場にあると思います。やはり既得権益を今、無床化という形で奪い取られようとする側に対する代替案、または地域医療の確保に対するモデル、これらについても私は提示をした上で議論すべきと考えますが、この点について再度答弁を求めて終わります。
〇知事(達増拓也君) 医療局が出しました新しい経営計画案は、岩手にある医療資源、人的・物的資源を最大限活用し、岩手県としての医療力を最大化するものだと思いますので、代替案というより、むしろそれを上回る、いや、こういう組み合わせをすればより高い医療力を発揮することができる、あるいは県民が安心できる、命にかかわる診療をきちんと受けることができる、そういうよりよい案があれば、それは大いに参考にしたいと思っておりますので、パブリックコメントにかけられているところでもあり、また、先ほど岩渕議員からも新たな視点からの案が出されたことでもあり、そういったことにも大いに期待をしたいと思っております。
 国分謙吉知事が亡くなるときに中村直さんを枕元に呼んで、何を言われるのかと中村直さんが思ったときに、国分謙吉さんは、県立病院は大丈夫かということをおっしゃったそうです。中村直さんは、大丈夫です。きちんと守っていきますと。
 歴代知事において、やはり岩手の県立病院ネットワークをどう守っていくかということが、もう命をかけた最大の関心事であったという、そういう歴史と伝統を踏まえて、私も対処していかなければならないと思っております。
 もう一つ、ここで改めて申し上げておきたいんですけれども、戦争直後は、まさに議員おっしゃられたように、死亡診断書ですか、そういう書類をちゃんとつくれる人が地域の隅々にいてほしいということ。同様に、栄養の管理、また、衛生の管理、ちゃんと食べるものを食べているのかとか、また、衛生、ばい菌がついていないか、手を洗ったり物を洗ったりきちんとやっているのか、下水、いや、下水以前の衛生はちゃんとなっているのかということを地域の中に入っていって、きちんと手当てすることが県民の命を守ることだったと思いますけれども、今、県民の命を守るというのは、やはり県民の関心もそこにある、命にかかわるときに、命を助けてもらえるのかということをきちんと保障するところにあるんだと思います。そうした面で、医療局は医療局としてベストな案を出していると思いますので、それを上回る案があれば、ぜひ伺いたいと思います。
〇議長(渡辺幸貫君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後6時16分 散会

前へ 次へ