平成20年9月定例会 決算特別委員会会議録

前へ 次へ

平成20年10月14日(火)
1開会  午前10時4分
1出席委員  別紙出席簿のとおり
1事務局職員
  事務局長    大 矢 正 昭
  議事調査課長   浅 田 和 夫
  議事担当課長   保 原 良 和
  主任主査    菊 池 達 也
  主任主査    石木田 浩 美
  主査    鈴 木 文 彦
  主査    菊 池 芳 彦
  主査    齋 藤 貴 弘
  主査    藤 原 由喜江
1説明員
  知事    達 増 拓 也
  副知事    宮 舘 壽 喜
  企画理事    勝 部   修
  会計管理者    古 内 保 之
  総合政策部長   菊 池 秀 一
  総合政策部副部長
  兼首席政策監   中 村 一 郎
  政策推進課
  総括課長    木 村 卓 也
  経営評価課
  総括課長    八重樫 幸 治
  政策評価担当課長 高 橋   勉

  地域振興部長   藤 尾 善 一
  地域振興部副部長
  兼地域企画室長  千 田   永
  市町村課総括課長 浦 上 哲 朗
  地域振興支援室長 鈴 木 健 夫

  総務部長    川 窪 俊 広
  総務部副部長
  兼総務室長    菊 池 俊 夫
  参事兼予算調製課
  総括課長    高 橋   信

  監査委員    菊 池 武 利
  監査委員    谷 地 信 子
  監査委員事務局長 小 川 明 彦
  総括監査監    奈須川 博 司
〇大矢議会事務局長 御承知のとおり、委員長が互選されるまでの間、委員会条例第7条第2項の規定により、年長の委員が委員長の職務を行うこととなっておりますので、年長の委員を御紹介申し上げます。
 出席委員中、菊池勲委員が年長の委員でありますので、御紹介申し上げます。
 菊池勲委員、どうぞ委員長席に御着席をお願いいたします。
   〔年長委員菊池勲君委員長席に着く〕
〇菊池勲年長委員 ただいま紹介されました菊池勲であります。何とぞよろしくお願い申し上げます。
 それでは、ただいまから決算特別委員会を開会し、直ちに本日の会議を開きます。
 これより委員長の互選を行います。委員会条例第7条第2項の規定により、委員長互選の職務を行います。
 お諮りいたします。委員長の互選の方法につきましては、指名推選の方法によりたいと思いますが、これに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇菊池勲年長委員 御異議なしと認めます。よって、互選の方法は指名推選によることに決定いたしました。
 お諮りいたします。指名の方法につきましては、当職において指名することにいたしたいと思いますが、これに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇菊池勲年長委員 御異議なしと認めます。よって、当職において指名することに決定いたしました。
 決算特別委員長に大宮惇幸君を指名いたします。
 お諮りいたします。ただいま当職において指名した大宮惇幸君を決算特別委員長の当選人と定めることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇菊池勲年長委員 御異議なしと認めます。よって、ただいま指名いたしました大宮惇幸君が決算特別委員長に当選されました。
 ただいま当選されました大宮惇幸君が委員会室におられますので、本席から当選の告知をいたします。
 大宮委員長、委員長席にお着き願います。
   〔決算特別委員長大宮惇幸君委員長席に着く〕
〇大宮惇幸委員長 ただいま、委員各位の御推挙をいただきまして決算特別委員長に御指名いただきました大宮惇幸です。
 大変光栄に存じておりますけれども、もとより馬齢だけを重ねてまいりましたが、能力のない者でありまして、委員各位の御協力をいただきまして職責を全うしたい、このように思います。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)
 引き続いて、副委員長の互選を行いたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇大宮惇幸委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
 これより副委員長の互選を行います。
 お諮りいたします。副委員長の互選の方法につきましては、指名推選の方法によりたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇大宮惇幸委員長 御異議なしと認めます。よって、互選の方法は指名推選によることと決定いたしました。
 お諮りいたします。指名推選の方法につきましては、当職において指名することにいたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇大宮惇幸委員長 御異議なしと認めます。よって、当職において指名することに決定いたしました。
 決算特別副委員長に高橋博之君を指名いたします。
 お諮りいたします。ただいま当職において指名した高橋博之君を決算特別副委員長の当選人と定めることに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇大宮惇幸委員長 御異議なしと認めます。よって、ただいま指名いたしました高橋博之君が決算特別副委員長に当選されました。
 ただいま当選されました高橋博之君が委員会室におられますので、本席から当選の告知をいたします。
 高橋副委員長、ごあいさつを願います。
〇高橋博之副委員長 ただいまは、委員各位の御推挙によりまして決算特別副委員長に御指名いただきました。
 若輩者でありますが、委員長を補佐し、委員会を円滑に運営できるよう、皆様方の御協力をお願い申し上げまして、ごあいさつとさせていただきます。
 よろしくお願いします。(拍手)
〇大宮惇幸委員長 お諮りいたします。当決算特別委員会に付託されました決算14件についての審査の方法でありますが、お手元に配付してあります日程案のとおり、本日から17日まで、20日から22日までの7日間は、会計管理者及び関係部局長の説明を求め、質疑を行うこととし、決算14件に対する意見の取りまとめと採決につきましては、10月22日の企業局関係の質疑が終わった後、各会派の意見調整を経た上で行いたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇大宮惇幸委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
 これより議事に入ります。
 認定第1号平成19年度岩手県立病院等事業会計決算から認定第14号平成19年度岩手県港湾整備事業特別会計歳入歳出決算までの14件を一括議題といたします。
 これより、会計管理者に決算の総括説明を求めます。
〇古内会計管理者 それでは、平成19年度歳入歳出決算の概要について御説明申し上げます。
 お手元に歳入歳出決算書、歳入歳出決算事項別明細書、実質収支に関する調書など8件の法定書類のほか、決算調製資料を補完するための説明資料として歳入歳出決算説明書をお配りいたしております。
 まず、決算の概況について、便宜、歳入歳出決算説明書等に基づき御説明させていただきます。
 それでは、歳入歳出決算説明書の1ページをお開き願います。
 岩手県総合計画に掲げる施策の基本方向に基づいて編成されました平成19年度一般会計歳入歳出予算は、義務的経費を中心とした骨格的予算として、当初予算が6、965億3、377万円で、前年度の当初予算に比べまして433億2、852万円、5.9%の減となりました。また、6月補正予算以降におきまして、危機を希望に変える二つの基本戦略と強化する6本の政策を進めるため、産業振興や安全・安心な暮らしなどにつながる事業の追加など新規事業や政策的経費が措置され、213億784万円の増額補正が行われました。これに前年度からの繰越額269億9、665万円を加えた結果、予算現額は7、448億3、826万円となり、前年度に比べますと526億5、821万円、6.6%の減となったものであります。
 次に、歳入についてでありますが、恐れ入りますが、38ページ及び39ページをお開き願います。まず、収入済額は7、310億9、973万円余で、前年度と比べますと455億2、982万円余、5.9%減少し、予算現額に対して98.2%、調定額に対して98.6%となりました。
 なお、収入未済額は98億9、771万円余で、前年度に比べまして26億3、076万円余増加いたしましたが、この収入未済額の主なものは諸収入であります。
 次に、歳出についてでございますが、恐れ入ります、46ページ、47ページをお開き願います。支出済額は7、212億2、584万円余で、前年度に比べますと462億4、319万円余、6.0%減少し、予算現額に対する支出済額の割合は96.8%となりました。また、翌年度繰越額は207億4、749万円余で、前年度に比べまして62億4、916万円余減少いたしましたが、この繰越額の主なものは、土木費、農林水産業費及び災害復旧費であります。
 なお、不用額は28億6、491万円余で、前年度に比べまして1億6、585万円余減少いたしました。
 次に、実質収支の状況についてでありますが、少し戻っていただきまして、36ページ及び37ページをお開き願います。第1表一般会計及び特別会計決算状況の表中、一般会計の欄に記載のとおり、一般会計の歳入総額は7、310億9、973万円余、歳出総額は7、212億2、584万円余であり、歳入歳出差引額は98億7、388万円余となったものであります。また、歳入歳出差引額から翌年度へ繰り越すべき財源70億6、953万円余を差し引いた実質収支額は28億434万円余の黒字となりました。
 次に、一般会計の決算の特色についてでございますが、恐れ入りますが、歳入歳出決算説明書の1ページを再度お開き願います。
 一般会計の決算の特色といたしましては、第1には、決算の規模が前年度を下回ったことであります。決算規模は、歳入におきましては、繰入金、地方譲与税、諸収入などの減少により、前年度を455億2、983万円、5.9%下回り、歳出におきましては、農林水産業費、土木費、公債費などの減少によりまして、前年度を462億4、319万円、6.0%下回ったものであります。
 第2には、実質収支が黒字となったことであります。厳しい財政環境のもと、歳入の確保、歳出のより効率的な執行に努めた結果、実質収支は28億435万円の黒字となっております。
 第3には、自主財源、依存財源ともに減少したことであります。基金繰入金等の減により、繰入金が前年度に比べまして288億3、724万円、62.4%減少したことなどから、自主財源が前年度に比べ270億8、778万円、9.2%減少しております。また、国と地方に関する三位一体の改革に係る税源移譲のための暫定措置でございました所得譲与税の廃止によりまして、地方譲与税が前年度に比べ224億6、658万円、83.1%減少したことなどから、依存財源は、前年度に比べまして184億4、205万円、3.8%減少しております。
 第4には、県税収入が増加したことであります。県税は、所得税から個人県民税への税源移譲や定率減税の廃止などによりまして、前年度に比べ147億7、154万円、12.9%増加しております。
 第5には、義務的経費、投資的経費がともに減少したことであります。義務的経費は、人件費、公債費が減少したことなどによりまして、前年度に比べ81億9、584万円、2.2%減少しております。また、投資的経費は、緊急地方道路整備事業等の減少に伴いまして普通建設事業費が減少したことなどにより、前年度に比べ135億9万円、9.4%減少しております。
 なお、その他の経費も、基金等への繰出金が減少したことなどから、前年度に比べ245億4、726万円、9.6%減少しております。
 以上、一般会計の特色を申し上げました。
 次に、母子寡婦福祉資金特別会計など10会計の決算について御説明申し上げます。歳入歳出決算書の20ページをお開き願います。特別会計歳入歳出決算総括表により御説明申し上げます。
 母子寡婦福祉資金特別会計など10会計の歳入合計額は、少し飛んでいただきまして、23ページに記載されておりますとおり314億3、020万円余であり、収入未済額は17億4、872万円余となりましたが、その主なものは、中小企業振興資金特別会計における中小企業高度化資金の償還金などであります。
 また、歳出合計額は、ちょっと飛んで、26ページに記載されておりますとおり274億5、428万円余であり、実質収支は、各会計とも黒字となりました。
 以上で決算の概要説明を終わります。
 なお、決算内容の詳細につきましては、審査日程に従いまして、それぞれ担当の部局長から御説明申し上げることとなっております。また、監査委員から御意見のありました事項につきましては、各関係部局において所要の措置を講じているところでありますけれども、会計事務の適正な執行につきましては、今後とも、各部局への指導や適切な出納審査を行うなど、万全を期してまいりたいと考えております。
 どうぞよろしく御審議の上、御認定くださいますようお願い申し上げまして、説明を終わらせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
〇大宮惇幸委員長 ただいまから総括質疑に入るわけでありますが、議会運営委員会の決定に基づき、総括質疑は、各会派及び会派に所属しない議員に質疑時間を配分して行うことになっております。
 質疑時間につきましては、まず、民主・県民会議が35分、次に、自由民主クラブが29分、次に、政和・社民クラブが22分、次に、会派に所属しない議員は、日本共産党斉藤信委員、公明党小野寺好委員、無所属阿部富雄委員、無所属及川あつし委員の順に、それぞれ6分となっております。
 各会派は、配分された時間の範囲内で複数の委員が質疑をすることができること。この場合におきましては、会派として続けて行うこととなっておりますので、御了承願います。
 これより総括質疑に入ります。小田島峰雄委員。
   〔小田島峰雄委員質問者席に着く〕
〇小田島峰雄委員 民主・県民会議の小田島峰雄でございます。
 初めて総括質疑に立たせていただきました。ここに立たせていただいてわかったのでありますけれども、余りにも知事席との間が近接いたしている関係上、相当のプレッシャーを感じております。よろしくお願い申し上げたいと存じます。
 質問に入ります前に、平成19年度決算につきましては、ただいま御説明があったところでございますが、厳しい財政環境下におきましても、一般会計を初め、各特別会計、いずれも黒字決算となっております。財政運営には相当苦慮されたことと存じますが、改めて、達増知事を初め、職員の皆様方の御労苦に対しまして心から敬意を表する次第であります。
 さて、それでは、質問に入らせていただきたいと存じます。
 まず、最初に、本県の財政状況に関する幾つかの点についてお伺いいたします。
 近年における社会経済情勢の変化とともに、本県財政も年々厳しさを増してきていることは、御案内のとおりであります。予算規模も平成13年度をピークとして減少を続け、現在は、おおむね平成3年度並みの規模にまで落ち込んできております。
 そのような中、平成19年度末の県債残高が1兆4、000億円弱に上っていることや、主要3基金の残高が約180億円と減少していることを初め、せんだっていただきました中期財政見通しを見ても、県税収入や地方交付税の伸びは期待できず、本県財政は極めて厳しい状況にあると認識いたしております。
 このような将来予測が極めて困難な中ではございますけれども、中長期の本県の姿を県民に示していくことも知事の大きな役目であろうと、こう思う次第であります。
 そこでお伺いいたしますが、まず、第1に、このような財政状況の中、知事は、まさに危機を希望に変えるいわて希望創造プランを策定し、鋭意、県勢発展に取り組んできていると思ってございますけれども、知事は、今後どのような方針で財政運営に取り組んでいかれるのか、その基本的なお考えをお聞きしたいと存じます。
〇達増知事 今後の財政運営方針についてでありますが、いわて希望創造プランに基づく各政策項目の取り組みを着実に推進するため、各年度の予算編成に当たりましては、県民の皆様の声や政策評価結果などを踏まえ、地域の総力を結集して、希望に向けて力強く歩んでいけるよう、目標達成や課題解決のために、より効果的な施策を厳選し、予算化に努めていくこととしております。
 これらの施策の積極的な展開のためにも、集中改革プログラムに基づいて、厳しい財政環境に的確に対処し、中期的な見通しを持ちながら、安定的に持続できる財政運営を行っていきたいと考えております。
〇小田島峰雄委員 今、知事から、これからの財政運営に係る基本的な方針が述べられたわけであります。
 次に、ただいまの方針に基づきまして財政運営を進めていく上での現状認識などについてお伺いしたいと思います。
 平成19年度決算の歳入のうち、県税が1、293億円余、地方交付税が2、370億円余となっている一方で、性質別歳出における義務的経費は3、603億円余となっておりまして、中でも、その公債費の増加は非常に深刻になっております。県債償還のピークは平成26年で2、336億円と見込んでおられるようでございますけれども、その時点での財政構造は、かなり窮屈なものになっているのではないかと心配いたしております。
 そこでお伺いいたすわけでありますけれども、今後、いわゆる政策的経費は、現在の水準と比較してどの程度確保できる見通しなのか、まず第1にお伺いいたしたいと思います。
 また、今後の財源確保というのは非常に重要になってくるものと思いますけれども、どのような対策を講じていかれるおつもりか、お答えいただきたいと思います。
〇川窪総務部長 まず、今後の政策的経費の見通しについてでございますが、ことしの2月に公表いたしました中期財政見通しにおきましては、本年度、平成20年度と同規模の水準が22年度まで継続するという前提での試算をさせていただいております。現時点では、来年度の地方交付税が減少するといったような国の試算もございまして、まだ財源の確保について見通しがはっきりしない状況でございますけれども、国への働きかけを含めまして、できる限りの財源確保を図り、本県の中期見通しで想定した事業規模での予算編成ができますように努めてまいりたいと考えております。
 その財源確保につきましては、まず、県としてできることには全力を挙げるというスタンスで、県税等の滞納の縮小に取り組みますほか、未利用資産の売却や収入につながるような活用策の実施などに、これまで以上に力を入れたいと考えておりますし、また、一般財源収入の過半を占めております地方交付税の確保が最大の課題ということもございますので、これから年末の地方財政対策に向けて、国への働きかけを強めてまいりたいと考えております。
〇小田島峰雄委員 冒頭の説明にもございましたけれども、主要3基金は、今後も財源対策に充てる計画のようでございます。しかしながら、これからの推移を見ますと、平成22年度末見込みで約50億円ほどに減少していく見通しとなっております。災害など不測の事態への対応を考慮した上でのことのようでございますけれども、極めて深刻な事態と言わなければならないのではないかと思います。
 六千数百億円の予算規模に対して、この主要3基金、特にも財政調整基金等が幾らあればいいかという基準はないようでございますけれども、いずれにしても、この基金残高というのは非常に心配されるわけであります。今後、積み増しなどということはなかなか期待できませんけれども、基金残高の減少を少しでも食いとめるためにも、財源確保のためのより踏み込んだ対策が必要と考えております。
 ただいまも説明がございました県税の滞納の問題が今、お答えの中にあったわけでありますけれども、そこで、税収及び税外収入における収入未済額は平成19年度末でどうなっているのか。また、その解消のためにどのような対策を講じているのか。組織体制面も含めてお答えいただきたいと存じます。
〇川窪総務部長 平成19年度決算におけます税と税外収入の収入未済額の数字でございますが、その総額で121億9、855万円となっておりまして、内訳としては、県税が27億2、359万円、税外債権が94億7、496万円となっております。
 まず、県税につきましては、収入未済額は、市町村において賦課徴収していただいております個人県民税が、先ほどの27億円余のうちの16億2、549万円、59.7%を占める状況となっております。
 各振興局におきまして、目標数値を設定して滞納整理の管理を徹底いたしますほか、効果的・効率的な滞納整理を進め、さらには、公売処分を推進する上で、インターネット公売を活用する等の工夫をしているところであります。
 また、市町村が実務処理を行っております個人県民税の収入未済対策といたしまして、各振興局におきましても、市町村と連絡協調を図りまして、徴収対策会議等を通じた指導助言を行いますほか、共同での臨戸などの徴収応援など、さまざまな手段を講じております。
 さらに、平成18年10月に設置いたしました特別滞納整理機構によりまして、市町村税の大口特殊滞納事案等の整理、また、市町村の徴収技術向上を図っているところでございます。
 それから、税外債権のほうにつきましては、先ほど申し上げました94億円余のうちで、県境不法投棄現場の環境再生事業求償金が48億円余を占めておりますほか、森のトレーに関します補助金返還を請求している債権が14億円余ございまして、実質的に、収入未済額解消ということで取り組んでいくべき当面の債権として、31億円余を頑張っていく必要があると考えております。
 この観点から、ことしの1月に策定いたしました集中改革プログラムの中でも、この収入未済の縮減を歳入確保対策のポイントの一つとして位置づけまして取り組んでいるところでございます。
 具体的には、ことしの5月からでございますが、主要な税外債権を有する室課で構成いたしております滞納債権対策関係室課連絡会議というものがございまして、ここを中心に、税外債権の整理と徴収の対策をしっかり進めていくことにつきまして、全庁的な連携のもとで検討を行っているところでございます。
 こういった取り組みを通じまして、今後とも、収入未済額の縮減に取り組んでまいりたいと存じます。
〇小田島峰雄委員 ただいまのお答え、税収あるいは税外収入の収入未済額、総額で121億円余、こういうことのようでございます。六千数百億円の予算規模に対して121億円余、決して少なくない財源でございまして、すべて一般財源なわけでございます。今、組織体制もお答えいただきましたが、この連絡会議等を設置されておるようでありますけれども、しっかりと取り組んでいただきたいと期待いたす次第でございます。
 次に移らせていただきます。出資法人等の決算状況等についてお伺いいたします。
 行財政の簡素・効率化の観点から、県出資法人等の見直しにつきましては、県も積極的にこれまでお取り組みいただいてきたものと承知いたしております。
 まず、この県出資法人の平成19年度の決算状況と整理統廃合の取り組み状況についてお尋ねいたします。
〇菊池総合政策部長 まず、平成19年度の決算の状況でございますが、19、20年度で解散または解散予定の法人を除きます43法人のうち、単年度収支がマイナスとなりました法人が11法人、繰越損益がマイナスとなった法人が4法人、繰越損益が18年度のマイナスからプラスに転じた法人が1法人となっております。
 また、繰越欠損金の合計額は8億8、000万円余で、前年度と比べ5、200万円の増加でございますが、これは、岩手県漁業信用基金協会の欠損金計上によるものでございまして、他の法人は、繰越欠損額は前年度に比べて減少しております。
 次に、整理統廃合の取り組み状況でございますが、県出資等法人の統廃合につきましては、平成19年度から22年度までの4カ年の新岩手県出資等法人改革推進プランを策定いたしまして、これに基づき取り組んでおります。
 平成19年度は、林業公社と八幡平観光が解散、20年度は、鉱工業海洋生物利用技術研究センターと岩手県国民年金福祉協会が解散したところでございまして、また、今年度中に、冷水性高級魚養殖技術研究所、岩手県住宅供給公社の解散が予定されております。
 今後とも、県民への説明責任を果たすため、情報公開をさらに推進するとともに、引き続き、外部委員による運営評価などにより指導監督を行い、健全な経営が行われるよう対応していく考えでございます。
〇小田島峰雄委員 欠損はあるものの、おおむね計画に沿って順調に整理統廃合に向かっている、こういうふうに理解いたしました。いずれの組織もそうでありますけれども、役割を終えたものについては、しっかりとその時点、その時点で見直しを進めていっていただきたいと思う次第であります。
 大きな2番目の項目に移ります。地方自治の推進について、数点お伺いいたしたいと存じます。
 地方分権改革推進委員会の第1次勧告が出たところでありますけれども、その中で、国と地方の役割分担、あるいは基礎自治体への権限移譲と自由度の拡大などがうたわれておりますけれども、私には、にわかに信じがたい思いがいたします。これまで幾度となく裏切られてきた歴史がございます。古くは1980年代、地方の時代ともてはやされて、いよいよ地方が自立した市町村経営ができるのかと、こういう思いをいたしたところでございますけれども、なかなかそうはいきませんでした。また、近くは、さきの三位一体改革に見るように、極めていびつな形の改革がなされてきた、こういうふうに私は思っているのであります。地方には、今度こそはだまされまいという思いがあるものと思っております。
 そこで、地方分権推進に関する現在の議論の状況を知事はどう見ておられるのか、御所見をお伺いいたしたいと存じます。
〇達増知事 地方分権改革については、具体的な指針を政府に勧告する地方分権改革推進委員会が昨年4月に設置され、地方が主役の国づくりという基本方向を掲げ、現在まで61回に及ぶ精力的な審議を重ねてきており、委員会の努力には敬意を表しております。
 しかしながら、これまでの議論を見ますと、委員会が提案した地方への権限移譲や国の出先機関の見直し、法令による義務づけ等の廃止などに対する各省庁の見解は極めて消極的であるとともに、権限移譲に当たって、財源や人員等の必要な措置が明確に示されていないことは、まことに遺憾でありまして、改革の先行きに懸念を抱かざるを得ません。
 私は、地方分権改革は、国と地方との役割分担を明確にし、地方のみならず、国にとっても重要な政治改革でありますので、各省庁の抵抗を抑え地方の立場に立った分権を推進していくためには、何より政治のリーダーシップが重要であり、内閣を挙げて強力に取り組まなければならないと考えます。
 また、地方としても一丸となって取り組んでいくことが重要であり、三位一体改革のときと同じ轍を踏むことなく、地方の立場に立った真の分権改革が推進されるよう、全国知事会と連携しながら、国等に対し提言・要請を行うなど、積極的に取り組んでまいりたいと思います。
〇小田島峰雄委員 基本的にはそのような認識を私も持っておりますし、ただいまの知事のお答え、同感でございます。次に道州制をお伺いするのでありますけれども、道州制についても全く同様であります。
 道州制に係る国における昨今の議論に対しまして、地方においては、一種冷やかなものを感じます。知事がせんだっての一般質問でお答えになられましたように、権限や税財源の移譲が担保されなければ、この道州制の導入は無意味である、私はそう思うのでありますけれども、このことについて知事の御所見を改めてお伺いいたしたいと存じます。
 また、道州制に係る知事会を初めとする地方6団体の議論を見ますと、微妙に温度差を感じるところでありますけれども、その違いに対しての御所見もあわせてお伺いしたいと存じます。
〇達増知事 道州制に対する考え方についてですが、地方が閉塞感を感じている現在において、中央集権体制から地方分権型の地方自治への転換や広域的課題を解決するための視点で道州制が議論されることは、意義があると考えております。
 一方、道州を地方自治体として考えた場合に、住民が広大なエリアを把握した上で意思決定することが可能かどうか、地域の一体感が醸成できるかなど、住民自治の面で懸念を感じております。
 私は、まず、十分な権限、財源が地方に移譲され、地域の責任で地域の特性を生かした施策が可能になる地方分権改革を先に進めることが必要と考えております。
 また、地方6団体については、団体により温度差があることは承知しております。これは、それぞれの自治体の置かれた地理的・社会的条件の違い、住民意思の反映や地域の一体感の醸成の容易性などの観点から生じているもので、やむを得ないものと考えております。
 いずれにいたしましても、道州制の議論を進めるに当たっては、導入によるメリット、デメリットなどの情報をしっかりと住民にも提供しながら、住民サイドから地方自治のあり方として議論が進められていくことが必要と考えております。
〇小田島峰雄委員 大変ありがとうございました。これからも、ぜひ、知事会の中で先導的な役割を果たしていただきまして、本当の意味で地方分権につながるような、そういった議論をこれからも続けていただきたいと念願いたすところであります。
 次に、市町村合併関係につきましてお伺いしてまいりたいと思います。
 合併新法の期限を見据えて、ことしに入って特に県内市町村の合併に向けた動きが出てきたように感じますが、合併協議会の設置に向けた動き、また、合併協設置に至らずとも、研究会、勉強会の設置やアンケートの実施状況など、最近の動向についてお伺いいたします。
〇藤尾地域振興部長 市町村合併の動きについてでありますが、まず、合併協議会につきましては、二つございまして、宮古市と川井村が、本年7月に、合併新法下では県内第1号となる法定の合併協議会を設置し、新法期限内の合併を目指してこれまで3回の協議を行ったところであります。
 もう一つは、陸前高田市におきまして、本年7月に大船渡市との合併協議会設置を求める住民直接請求が行われまして、両市において、今月下旬をめどに合併協議会設置に係る議案が議会に付議される見込みであります。
 次に、研究会、勉強会でございます。これは三つあります。一つは、釜石市と大槌町が、釜石地方振興局と共同しまして、4月に釜石・大槌地域広域行財政等調査研究会を立ち上げまして、7月までに報告書をまとめますとともに、8月に両市町において住民意向調査を行った結果、両市町とも、合併推進の必要ありが必要なしを上回ったことから、合併協議会の設置に向けた準備を始めたところでございます。
 二つ目には、岩泉町が、8月に田野畑村と普代村に対して合併を視野に入れた地域振興に関する研究会の立ち上げを申し入れいたしたところ、今月初め、両村から、合併については協議しないとの前提で参加する旨の回答がなされたところであります。
 三つ目は、奥州市が、庁内組織の広域合併研究会で本年3月にまとめた合併構想に基づき、8月に平泉町に、9月に金ケ崎町に対し、合併に関する事務レベル研究会の設置を申し入れたところでございますが、現在のところ、両町からの回答はなされておりません。
 最後に、住民アンケート関係でございますけれども、8月に、先ほど申し上げました釜石市、大槌町、ここが住民意向調査をやっておるわけでございますが、幾つかの町村におきましては、合併に関する項目を含んだ住民意識調査が行われたと伺っております。
 平成22年3月末の合併新法の期限も踏まえれば、各地域において合併協議会などを設置して、合併推進構想をもとに、将来のまちづくりや合併の是非等について、住民本位の議論がもっと盛んに行われるべきものと考えております。
〇小田島峰雄委員 ただいまのお答えにありましたとおり、県内のさまざまな合併に向けた動きがございますけれども、それぞれ非常に議論はまちまちであります。かつて知事は、市町村における合併の議論の積み重ねと推移を重視していくんだ、こういうお話をされておられますけれども、私は、基本的にこのスタンスに同感でございます。やはり市町村の住民の自主的な、自発的な議論というものを大切にしなければならないと思いますし、これからもそういう姿勢で臨んでいただきたいと思うのであります。
 せんだって、平成の大合併を総括して全国町村会の研究会が発表した報告書がございます。平成の大合併、自主性尊重されずという見出しで書かれてございます。全国町村会の研究会は、平成の大合併について、国と府県の強い指導と地方交付税削減や合併自治体を支援する特例債の発行許可などによる強引な合併誘導策が目立ち、市町村の自主性が尊重されたとは言いがたいという内容でございますし、また、合併推進策の問題点としては、財政措置を使った誘導策は、分権時代の流れに逆行し、将来に禍根を残す。また、合併後に、行政に守れられているという安心感が後退、役場から離れた地区が衰退し、過疎地の中の過疎が生じているなどなどというものでございます。
 私は、合併については、いいことづくめの合併などないと思っているところでございまして、先ほどの知事のお答えのとおり、これからもじっくりとこの市町村の議論をしっかりと見定めて対応していただきたい、こういうふうに思う次第でございます。
 ところで、合併を望みながら果たせずにいる市町村につきましては、話が別でございます。県は、より積極的に、さまざま障害がありましょうけれども、その障害を取り除く努力をすべきと考えますが、県の方針についてお伺いしたいと思います。
〇藤尾地域振興部長 市町村合併への取り組み方針についてのお尋ねでございますが、合併を望みながら果たせずにいる市町村につきましては、まずは、合併の障害となっているのは何かを明らかにし、その障害をクリアするために、県、市町村、地域住民、その他の関係者が、それぞれの役割をどう果たしていけばいいのかということを整理した上で、一つ一つ解決していくことが必要であると考えております。
 昨年、総務省の未合併要因に関する調査というのが行われましたけれども、それによりますと、県内の市町村におきまして、合併を望みながらも合併に至らなかった理由として、一つには、合併相手が、合併せずに単独で運営しようと考えたこと。二つには、合併相手が、当団体を含まない他の組み合わせでの合併を考えたこと。あるいは、当団体に財政状況等での課題があるため、合併相手が当団体との合併を考えなかったことなどが挙げられております。
 県としては、これまでも、市町村が基礎自治体として将来にわたって自立していけるよう、市町村議会の議員や職員への説明会を通じての自主的な合併の議論の働きかけ、あるいは県と市町村とで共同して研究会を設置し、住民への説明資料を作成、それから、財政面での課題解決に向けた取り組みに対する支援や助言などの支援を行ってきたところでございますけれども、今後とも、合併を望む市町村の取り組みに対しての情報提供や助言、関係市町村への働きかけなどの支援も積極的に行ってまいりたいと考えております。
〇小田島峰雄委員 そのように願いたいものであります。
 次に、市町村財政のこれからの運営にとりまして非常に大きなウエートになる地方交付税の議論をさせていただきたいと思います。
 市町村財政の平成20年度の地方交付税算定結果を見ますと、全市町村とも久しぶりにプラスに転じたところであります。そのような中、過日、市町村財政の状況が報道されたわけでありますけれども、合併・非合併自治体とも、財政的には非常に苦慮されている様子でございましたが、合併、非合併の別で際立った差異は認められない、私はそう感じました。
 しかしながら、問題は、この地方交付税の今後の動向でございましょう。合併によりまして、市町村への地方交付税の配分にはプラス、マイナス、さまざまあろうと思いますけれども、どのような影響が出てくるのかお伺いいたしたいと思います。
 また、当面自立を志向する町村の財政見通しは、今後、合併について検討していく上で非常に重要なポイントとなりますので、その見通しについてあわせてお示しいただきたいと思います。
〇藤尾地域振興部長 まず、市町村の地方交付税算定への影響についてでございますけれども、御承知のとおり、普通交付税の算定におきましては、合併いたしますと、市町村の人口、面積など規模の拡大に伴って、スケールメリットによる経費が割安になる傾向を反映する仕組み、いわゆる段階補正になっているわけでございますが、合併後当分の間は、合併がなかったものと仮定しての、いわゆる合併算定がえが行われますので、合併に伴う普通交付税の減額はございません。
 さらには、合併算定がえの期間内に合併市町村が行革に取り組めば、より多くの政策的な経費に一般財源を確保することができるということで、例えば、宮古市では、算定がえによって得られた一般財源を産業振興や子育て支援に充当していると聞いてございます。
 それから、基本構想の策定・改定など、合併後の行政の一体化に要する経費に対する合併補正による普通交付税での措置、あるいは公債費負担の旧市町村間の平準化といいますか格差是正に対応した特別交付税措置がなされます。
 あとは、まちづくり等に活用される合併特例債、あるいは合併推進債の後年度元利償還金の一部に対して普通交付税が措置されるということでございまして、こういった措置は、平成19年度合併市町村全体で見ますと約175億円となっております。
 それから、当面自立を志向する町村の財政見通しでございますけれども、これは、合併市町について、多くの合併が行われた平成17年度直前の平成16年度と19年度の普通会計の決算で比較いたしてみますと、地域住民の日常生活を支え、地域経済の発展を牽引する道路等の社会資本整備に係る普通建設事業費、これは、合併市町村がプラス0.9%とやや伸びているのに対しまして、非合併市町村はマイナス11.7%と大幅に削減されております。
 それから、維持補修費で見ますと、合併市町がマイナス1.6%に対しまして、非合併市町村はマイナス12.6%と大幅に削減されておりまして、道路、橋梁や学校施設、社会福祉施設を初めとした、いわゆる公共施設のメンテナンスの適期を失することによって、せっかく整備した施設設備の短命化を招来することにならないか危惧しております。
 さらに、非合併市町村では、人件費の大幅な削減や、基金の取り崩しに頼らざるを得ない厳しい財政運営を行っているものと認識いたしております。
 当面自立を志向する非合併市町村の財政見通しにつきましては、今後とも、地方交付税の増額が厳しい中で、先ごろ公表した財政健全化判断比率等の財政指標の基準はクリアしたとしても、いわゆる少子・高齢化が進んで生産年齢人口が大きく減少する中で、医療、福祉、教育、産業振興など、多様な地域住民のニーズへ適切に対応する力を失い、つまり収入面では担税力が減退していく、一方では、少子・高齢化に伴って扶助費等の社会保障費等の財政需要が増加していく中で、財政がますます縮小均衡していくのではないかと見込まれております。
 いずれ、こうした厳しい見通しの中で単独を選択するということは相当な覚悟が必要ではないかと考えられますが、まずは、市町村は、住民に対してこのような状況を的確に示して、将来に向けて持続的で安定的な行政サービスをいかに維持していくのか、合併の是非を含めた議論を早急に行う必要があると認識いたしておりますけれども、委員も御承知のとおり、市町村合併は、財政の問題だけではございませんので、地方分権に対応した行政体制の整備や、広域になった住民の生活圏に対応した行政区域の実現などに対応するために行うものと考えておりますので、いずれ、今後どのようなまちづくりをしていくのか、将来の地域ビジョンをしっかりと練り上げ、ぜひ未来を担う子供たち、あるいは将来世代のために、将来志向の前向きな議論を期待しているところであります。
〇小田島峰雄委員 ただいまのお答えにありますとおり、非合併町村の財政見通しは非常に厳しい、数値上でもそのように結果があらわれている、これは事実ではございましょうけれども、いずれ、この非合併町村も相当困難な財政健全化の努力をされておられます。そういう中で、ただしゃにむに合併に追い込むのではなくて、しっかりとサポートすることも一方では必要なのではないかと思います。これは答弁は要りません。
 時間の配分がわかりませんので、だんだん時間がなくなってまいりました。進めさせていただきます。
 次に、農業関係をちょっとお聞きしたいと思います。
 平成19年度決算におきましても、県は、農業の振興に向けて、農業基盤整備を初め、積極的に施策を推進してきていると評価いたしております。また、これまでも長年にわたり農林水産業費に多額の投資を行ってきたことも承知いたしているところであります。
 しかしながら、数値で見る限り、農業所得は若干増加傾向にはありますものの、いかんせん絶対額が少ない。また、朝から晩まで手足を真っ黒にして働いても、生計を維持することが困難な農家数もふえてきております。その結果、農家数は減少してきておりまして、農業離れも進んでいるのは、御承知のとおりであります。反対に、耕作放棄地が増大して、集落の機能を維持することが困難な地域もふえてきております。
 そのような状況で、農家の高齢化や担い手不足などを解消していく解決策は、私は、何よりも農家所得の向上策だと、こういうふうに思うわけであります。非常に厳しい農家経営の現実を見るにつけて、施策の方向、視点、仕組みなどを抜本的に見直さない限り、どれだけ投資をいたしましても問題解決にはつながらないものと思っております。
 この背景にはさまざま原因が考えられます。社会経済情勢の急激な変化でありますとか、あるいは目まぐるしく変わる農政でありますとか、あるいは農家の意識の問題とか、さまざまあるかとは存じますけれども、この現状どう認識され、農業所得を向上させていくおつもりか、農業の危機を希望に変える重大な危機に差しかかっていると言っても過言ではございません。
 これからの農政施策が問われていると考えますが、知事の農業振興についての基本的なお考えをお聞きしたいと思います。
〇達増知事 本県農業は、地域の経済・社会を支える基幹産業であるとともに、その生産活動を通じて、水資源の涵養や快適な農村空間の形成など多面的な機能も発揮しており、安全・安心で潤いのある県民生活の実現に大きな役割を果たしています。
 しかしながら、輸入農産物の増加と産地間競争の激化等による農産物価格の低迷や生産資材価格の高騰による生産コストの上昇などから、所得が減少するとともに、担い手の減少と高齢化の進行による生産構造の脆弱化等のさまざまな危機に直面し、本県の農業生産が減少してきているところです。
 一方、国際的な食料の需給事情が不透明さを増す中で、食料自給率の向上が求められるとともに、消費者の食に対する信頼を揺るがす事件が相次ぎ、食の安全・安心に対するニーズが高まっており、こうした変化に的確に対応した食料供給基地岩手の確立が求められていると思います。
 私は、こうした変化を、本県農業が抱えるさまざまな危機を希望に変える好機ととらえ、本年1月に策定したいわて希望創造プランに基づいて、第1に、本県農業をリードする経営体の育成、第2に、生産性・市場性の高い産地づくり、第3に、消費者ニーズに対応した販路拡大、これらに重点的に取り組むことにより、本県農業の体質強化と農業所得の向上を図り、日本の食を守る食料供給基地岩手の確立を目指してまいります。
〇小田島峰雄委員 時間がないので進めさせていただきます。
 次に、農業所得の向上を進めていく視点に立って、具体的な施策の状況についてお伺いしたいと思います。
 まず、昨年からスタートした品目横断的経営安定対策、これが水田・畑作経営所得安定対策と名称を変えて、内容的にも相当の要件緩和が図られているところではございますけれども、花巻の例を申し上げます。
 集落営農組織の経営についての例でございますけれども、3割は収支が悪化していると。辛うじて農作業労賃の引き下げなどで対応しているんだと。こういう現状から、将来の規模拡大にも消極的である、こんなふうに聞いているところでございます。また、法人化に至っていない35組織のうち、12組織につきましてはこれからの法人化のめどさえ立たない、こういう結果が出ておりまして、集落営農の困難さが改めて浮き彫りになったものと認識いたしております。
 県におきましても、この制度を推進する以上、集落営農組織を育成する上での問題点、課題を検証し、今後の育成方策など、次なる施策に生かすべきと思いますが、御見解をお伺いしたいと思います。
〇宮舘副知事 水田・畑作経営所得安定対策についてでありますが、平成19年度にこの対策に加入した集落営農組織は県全体で377組織ありまして、それらの経営状況を把握するため、本年6月に99組織を対象にサンプル調査を実施いたしました。この結果、全体の8割の組織は機械を個別に所有し、機械の共同利用や農地利用集積などによる組織化の効果が得られていないほか、経理面でも収入と支出の記帳にとどまっているなど、経営管理が不十分な状況にございます。
 また、残りの約2割の組織は機械を共有し、財務諸表を作成しており、そのうちの約8割は黒字決算となっております。ただ、赤字の組織については、国の収入減少影響緩和交付金を加えてやっと黒字になっているという状況でございまして、交付金に依存している経営体質を改善していかなければならないと考えております。
 このように、集落営農組織の抱える課題は経営の発展段階によって異なることが明らかとなったところでありまして、年内に県内全組織を対象としたアンケート調査を実施し、集落営農組織の発展段階に応じた分類を行った上で、構成員が個別に機械を所有している組織に対しましては、過剰な機械の整理合理化に向けた合意形成や作業受委託の促進、それから、機械を共有し、担い手への農地集積が始まっている組織に対しましては、作業の効率化によって生み出された労働力を活用した新規作目の導入を図ること、それから法人化された組織に対しましては、経営診断の実施や所得確保に向けたアグリビジネスへの進出など、集落営農組織の発展段階に応じたきめ細やかな支援を行ってまいりたいと考えております。
〇小田島峰雄委員 ただいまお答えをいただきましたように、後に続く組織のためにもしっかりとした支援体制を組んでいただきたいと思う次第であります。
 次に、本県食用米の市場競争力の強化、ブランド化が今後の所得向上に非常に重要な意味を持つものと思っております。
 県南のひとめぼれは非常に高評価を受けている一方で、販路、単価に結びついていないなどの問題もあると聞いております。そのような中、後継品種の開発というのは非常に急務となっていると思うのでありますけれども、いわてっこ、あるいはどんぴしゃり、かけはしなどの現在の作付状況、そしてまた、その評価についてお伺いいたします。
〇宮舘副知事 県産オリジナル品種の作付状況と評価についてでありますが、本県では平成2年からオリジナル品種の開発に取り組んでおりまして、これまでうるち米4品種、モチ米1品種、酒米2品種など合計12品種を開発し、平成20年産の作付面積は全水稲作付面積の約1割、約5、900ヘクタールとなっております。
 その主な品種の作付状況と評価についてでありますが、まず、冷害の克服を目指し平成5年に開発いたしましたかけはしは、沿岸北部等を中心として約700ヘクタールの作付となっておりまして、主に自家消費に仕向けられております。また、県北部向けに平成13年に開発いたしましたいわてっこは約3、300ヘクタール作付されておりまして、食味、外観がすぐれ、値ごろ感があることから、主に外食向けの供給が増加してきております。さらに、平成17年に開発いたしましたどんぴしゃりは、耐病性が強く、多収性で低コスト生産に取り組みやすい品種でありまして、盛岡以南の北上川流域を中心に作付が順調に拡大しております。本年は約1、400ヘクタールの作付となっておりまして、価格と品質のバランスがとれた品種として外食向けを中心に需要が増加してきております。
 なお、ひとめぼれの後継品種の開発状況についてでありますが、現在、ひとめぼれ以上の食味でいもち病に強い品種の開発に取り組んでおりまして、本年度は花巻など県内の5カ所で特に有望な1系統の試験栽培を実施しているところであります。
 今後は、今年度の試験栽培の結果にもよりますが、早ければ平成22年産からの本格的な作付を目指して取り組んでまいりたいと考えております。
〇小田島峰雄委員 先日、北海道に行ってまいりましていろいろ勉強させていただいたのでありますけれども、現在、北海道米は非常に注目を浴びておりまして、新品種にかける熱意も感じてきたところでございまして、しっかりとお取り組みをいただきたいと思います。
 次に、米離れによる消費量の低下や生産過剰による米価の低迷に加えて、原油価格の高騰や生産資材の急激な上昇等により、農家は以前にも増して苦しい経営を強いられております。その結果、生産意欲をなくす農家も少なくない状況となってきておることはこれまで述べたとおりであります。
 農家からは、区画が小さかったり、水はけが悪く大型機械が入れないようなところでは採算が合わず、耕作を放棄せざるを得ないという切実な声も聞こえてまいります。こうした中において、地域の基幹産業である農業を守り、元気な農村を取り戻していくためには、まず、その基礎となる生産基盤の整備、中でも水田の整備がまだまだ必要と考えておりますけれども、県では、この厳しい財政状況のもとで、今後どのように取り組んでいこうとされるのかお伺いいたしたいと思います。
〇宮舘副知事 農業生産基盤の整備についてでありますが、農業経営が厳しさを増す中、本県農業の振興を図るためには、担い手の確保・育成に努めるとともに、経営規模の拡大や営農の効率化による生産性の向上を図ることが重要であると認識しております。とりわけ水田農業の生産性の向上を図るためには、水田の大区画化など圃場条件の整備と担い手への農地利用集積を一体的に進める圃場整備事業が極めて重要であることから、重点的に推進してきたところであります。
 今後におきましては、整備水準の見直しによる建設コストの一層の縮減に努め、限られた予算を有効に活用するとともに、収益性の高い転作作物の導入に向けたきめ細やかな暗渠排水の整備など、地形や土壌条件を勘案した圃場の整備を重点的に推進してまいりたいと考えております。
〇小田島峰雄委員 あと大きな項目で四つございまして、急がせていただきます。
 いわて花巻空港についてお伺いいたします。
 危機的な本県財政状況下にありまして、凍結されておりました空港施設整備がいよいよ再始動する方向となったわけであります。本県の経済、観光戦略を考える上で不可欠な事業と私は理解いたしておりまして、県民の期待も極めて大きいものと感じております。本年は平行誘導路の事業評価もクリアされ、いよいよ空港機能が完備されることとなる日が近づいてまいりました。
 そこでお伺いいたします。供用開始が間近に迫っている中、空港ターミナルビルを初めとする空港施設のこれまでの整備状況と進捗率、残事業費及び今後の供用開始に向けたスケジュールについてお伺いいたします。
〇宮舘副知事 県が進めております空港施設の整備状況についてでありますが、現時点での全体事業費は321億円となっておりまして、平成20年度末見込みの進捗率は、事業費ベースでは92%、残事業費は26億円となっております。
 これまで、滑走路の2、500メートル延長につきましては平成17年3月に供用を開始しておりますし、ターミナル地域につきましては、道路及び駐車場の舗装などを本年度中に完成予定でございまして、来年の春には供用を開始する予定となっております。
 また、平行誘導路につきましては平成16年度から5年間休止しておりまして、これまでの進捗率は、事業費ベースで87%、残事業費は、舗装工事など18億円となっております。
 一方、岩手県空港ターミナルビル株式会社が整備を進めております空港ターミナルビルの整備状況は、総事業費が22億円となっておりまして、平成19年1月に着工し、現在、順調に工事が進んでおります。9月末までの工事の進捗率は65%となっております。年内に工事が完了する予定でございまして、計画どおり来年の春には供用開始できる見込みでございます。
〇小田島峰雄委員 次に、平行誘導路の整備についてでございますが、今後の大型機の就航などに向け、延長済みの2、500メートル滑走路、来春供用開始予定の新ターミナルビルとともに不離一体の施設でございます。今回の大規模事業評価専門委員会での事業継続が妥当との見解が示されたことは非常に喜ばしいと思っております。
 ついては、委員会でどのような検討がなされたのか、その内容と、それを踏まえての県としての今後の整備の考え方、今後の予定事業費及び供用開始予定年度についてお聞きいたします。
〇宮舘副知事 いわて花巻空港の平行誘導路の整備につきましては、5月16日の大規模事業評価専門委員会に事業継続について諮問いたしまして、現地調査を含めこれまで5回の審議が行われております。平行誘導路の必要性や再開の妥当性、整備後の利用促進方策、そして周辺環境への対策、この四つの論点で検討がなされたところでございます。
 専門委員会では、平行誘導路の整備について、これまでの整備と相まって、大型機での国際チャーター便の就航を可能とするなど十分な効果が期待できることのほか、平行誘導路の幅を30メートルから23メートルに縮小することや、滑走路と平行誘導路をつなぐ取りつけ誘導路を6カ所から4カ所に見直したことなどによりまして4億円程度の事業費を縮減可能であることについて評価できるとして、現在、事業継続は妥当とする方向で御審議をいただいているところでございます。
 なお、あわせまして、中長期的な観光振興戦略や、それを踏まえた花巻空港の活用施策を積極的に展開し、花巻空港の利用促進に取り組むべきなどの御指摘もいただいているところでございます。
 整備に要する期間につきましてはおおむね2カ年程度と見込まれておりますが、県といたしましては、専門委員会の答申を受けた後に整備方針等について具体的に検討してまいりたいと考えております。
〇小田島峰雄委員 順調に各施設の整備が進んでいくということは大変喜ばしいことと思っておりますが、一つ懸念材料は、今後の利用客の見込みでございます。関空線と那覇線が来年2月から運休される、こういう予定になっておりますけれども、この利用客への影響が懸念されております。
 ここ数年の利用客の推移とあわせて、利用客への影響をどう見ているかお伺いいたしたいと思います。また、利用客増加対策としてどのような対策を講じようとしているのか、あわせてお伺いいたします。
〇宮舘副知事 ここ数年の利用客数の推移についてでございますが、利用客数は、ピークの平成9年度は55万2、000人でございましたが、その後、年々減少傾向にありまして、平成19年度は40万1、000人となっております。
 それから、関空線、那覇線の運休による利用客への影響についてでございますが、今回、運休とされました関空線の利用者数は、平成19年度は5万6、000人、また、伊丹線を加えた大阪線全体では16万6、000人となっておりまして、関空線の運休により、繁忙期において大阪方面への座席がとれないなどの著しい支障が出ることが懸念されているところでございます。また、今回の運休によりまして、関空を利用しての福岡への乗り継ぎができなくなるという影響もございます。那覇線につきましては、3月に2週間程度の季節運航をしておりますが、利用者数は3、000人前後で推移しております。その利用者の大部分は本県の県民でありまして、沖縄観光等への利便性の低下が懸念されるところでございます。
 今後の利用客増加対策についてでありますが、国内線については、花巻空港を組み込んだ旅行商品造成に係る旅行代理店への支援や、二次交通であります乗り合いタクシーの運行支援のほか、本年4月に花巻空港発着の全路線に導入されました事前購入割引運賃先得の普及や、来年春に供用開始予定の新空港ターミナルのPRなどに取り組んでいきたいと考えております。
 また、株式会社日本航空に対しまして、大阪線の輸送力の増強や伊丹空港における福岡への乗り継ぎ利便性の向上、名古屋線、札幌線のダイヤ改善などを要望いたしまして利用者の利便性の向上に努めてまいりたいと考えております。
 さらに国際線につきましては、近年、台湾を中心にチャーター便がふえておりまして、今後とも国際チャーター便の誘致、拡大に取り組んでまいりたいと考えております。
〇小田島峰雄委員 しっかりと今後の利用客の増加対策を進めていただきたいと思います。
 次に、羽田線の復活に関する質問に移らせていただきます。
 いろいろ申し上げません。羽田線復活への取り組み、その実現の可能性についてお聞きいたしたいと思います。
〇宮舘副知事 羽田線復活の可能性についてでございますが、東北新幹線との競合がポイントになると考えられますが、東北新幹線のほうが運行頻度や運行水準では優位と考えられておりまして、さらに、平成23年春の東北新幹線新青森駅延伸を契機として高速化が予定されておりまして、競合環境はより厳しくなることが予想されます。また、国土交通省では、平成22年秋の羽田空港の再拡張により増加する発着枠に関し、航空会社ごとの配分など具体的な配分のあり方について、年内にも有識者による懇談会を設置し、議論することとなっているようでございます。
 このため、羽田線の復活については、東北新幹線との競合環境の変化や羽田空港の発着枠の配分方法についての議論の動向等を見きわめつつ、その可能性を探る必要があると考えております。
 羽田線の復活に向けた取り組みについてでございますが、花巻市が中心となって昨年8月に設立されました羽田便実現会議におきまして、県内の企業2、591社に対し、昨年度、実施いたしました羽田線に対する需要調査の結果や今年度に行う予定の追加調査の結果の分析等をもとに、県といたしましては、同会議と連携し、航空会社に対して具体的な提案を行うことなどを検討しているところでございます。
〇小田島峰雄委員 ただいまのお答えにありましたとおり、さまざまな課題や問題点があることが明らかになったわけでありますけれども、最近、県内にも、この空港は、なに花巻の空港だべと、こういう誤った御認識を持っている方がたくさんおられます。これは花巻の空港ではなくて岩手県唯一の空港である、こういうふうに思うわけでありますけれども、この岩手県唯一の空港であるということを踏まえて、空港を核にした本県振興の展望等について、最後に知事にお考えをお伺いしたいと思います。
〇達増知事 いわて花巻空港でございますが、本県唯一の空の玄関として、本県内外を結ぶ人や物の交流を支えている空港であり、産業振興、地域間交流などにおいて極めて重要な役割を担っていると認識しております。こうした認識のもと、新空港ターミナルの整備を初めとした空港機能の充実に引き続き努めていくとともに、ダイヤ改善や廃止路線の復活などに向けて、関係者が一体となっていわて花巻空港の利便性の向上に努めてまいりたいと考えております。
 また、いわて花巻空港の立地を生かし、平泉の文化遺産を初め、本県の持つ豊かな自然、食、歴史や暮らしなどのさまざまな地域資源を活用した国内外からの観光客誘致や企業誘致の推進等による産業集積などを進めることにより、本県全体の振興につなげていきたいと考えております。
〇小田島峰雄委員 次の問題に移らせていただきます。
 建設業の振興についてでございます。
 建設業を取り巻く状況につきましては、今さら申し上げるまでもなく大変厳しい状況であります。本来、適正な利潤を得ながら本県経済の活性化を牽引し、雇用を維持し、そして社会資本整備に貢献すべき建設業者が窮地に陥っている現状を何とか打開する方策はないかと考えるわけでございますけれども、まず、県内建設業を概観して、その経営状況などの実態と建設労働者に係る労働移動の円滑な推進策についてお伺いいたします。
〇宮舘副知事 県内建設業の実態についてでございますが、建設投資の急速かつ大幅な縮小や価格競争の激化に加えまして、資材や燃料価格の急激な高騰が企業収益を圧迫し、企業経営者の方々の改善努力にもかかわらず、多くの建設企業においては赤字経営を余儀なくされ、倒産件数も高い水準で推移するなど、かつてない極めて厳しい経営状況にあるものと認識しております。
 このため、本年度におきましては、これまでの取り組みに加え、受注戦略や経営のコストダウンに関する講座の開催、工期短縮に資する設計・施工技術検討会やワンデーレスポンスの実施、県発注工事における単品スライド条項の適用とその拡大など、本業における収益向上につながる対策に力を入れて取り組んでいるところでございます。
 建設労働者に係る労働移動の円滑な推進策についてでございますが、これまで、主として企業の経営多角化などによる雇用の確保に向けて支援を行ってきたところでございます。
 具体的には、各振興局に設置いたしました総合相談センターにおきまして企業からの相談への対応や情報提供を行うとともに、建設業協会の経営支援センターと密接な連携を図りながら、経営指導コーディネーターによる訪問指導、企業のニーズに対応したアドバイザーの派遣、研究開発や販路拡大の取り組みに対する新分野進出等補助金による助成などの支援を実施しているところでございます。
 こうした支援策によりまして、平成19年度末までに91社が農業分野やリサイクル事業あるいは高齢者福祉事業などの新分野、新事業に取り組んでおります。引き続きこうした企業の取り組みをフォローアップし、成長段階に応じたきめ細かい支援に取り組んでまいりたいと考えております。
〇小田島峰雄委員 現状認識についてはそのとおりであろうと存じます。しっかりと対策をとっていただきたいと思います。
 次に、二つ一遍にお聞きいたします。
 総合評価落札方式の試行結果とその評価、あるいは現在もやっております条件付一般競争入札、これについてもさまざまな課題があるやに聞いておりますけれども、その対応方針等についてお聞きいたしたいと思います。
〇川窪総務部長 総合評価落札方式の試行結果と評価についてでございますが、総合評価落札方式による県営建設工事の競争入札は、県土整備部と農林水産部が所管する工事の一部におきまして平成18年度から試行してございます。平成19年度の試行件数は131件でございます。
 その結果を見ますと、技術提案は適切に履行され、また、工事成績も高い水準となっておりまして、この方式の趣旨がおおむね生かされた結果が出ていると認識しております。
 また、課題といたしましては、落札結果が価格評価に偏る傾向にあることなどから、平成20年度からは総合評価点の算定式を技術評価がより反映しやすい加算方式に一本化いたしますとともに、技術評価点の割合を引き上げることなどによりまして、建設業者の技術力、提案力がより生かされるよう制度を見直したところでございます。また、災害の救援活動や地域貢献活動の実績を評価項目といたしますなど、地元での活動状況に一層配慮しているところでございます。こうした見直しを加えつつ、対象となる工事の下限額を2、500万円以上から1、000万円以上に引き下げ、試行件数をふやしているところであります。
 次の条件付一般競争入札の課題と対応についてでございますが、1者入札が最近ございまして、これらにつきましては、競争性をどのように確保していくかという課題も出てきております。それらのほか、県営建設工事の入札に関しましては、総合評価落札方式の一層の活用でありますとか、それを電子入札に取り込んでいくこと、また、ダンピング防止対策などの課題がございまして、こうした課題に的確に対応しながら制度の円滑な運用を図りまして、安定的で、入札参加者や県民の皆様から信頼される入札を進めていきたいと考えているところでございます。
〇小田島峰雄委員 最後の質問にさせていただきたいと思います。
 せんだっての事故米あるいは残留農薬の問題等を通じまして学校給食会がクローズアップされたわけでありますけれども、この学校給食会について最後にお聞きしたいと思います。
 昭和33年に公益法人となって今日に至っているわけでございますが、最初に、学校給食会がこれまで果たしてまいりました役割というのは非常に大きなものがあったと私は認識しております。しかしながら、御存じのとおり、各市町村におきましては、安全・安心な地元産食材の使用割合を高めて地産地消に懸命に努めているところでもありまして、そろそろ学校給食会の果たしてきた役割も終えているのではないかと思いますけれども、知事はどのようにお考えでございましょうか。
〇達増知事 岩手県学校給食会は、学校給食を通じて児童生徒の心身の健全な発達に寄与するとともに、食育の推進など、公益法人としてその役割を果たしており、また、良質・安全な物資を低廉な価格で年間を通して安定的に供給し、特に全国の学校給食会と連携しながら、県内の条件不利地域等にも同一規格、同一価格で物資を提供するなど、今なお役目を担っていると理解しております。
 学校給食における食材は、競争性、公平性を確保しながら調達することが求められており、岩手県学校給食会には、各市町村における地産地消の取り組みを尊重しつつ、地元の農協や産直施設などに配慮しながら、県内の各給食施設における多様なニーズへの対応に努めるように要請していきたいと思います。
〇小田島峰雄委員 終始丁寧な御答弁をちょうだいいたしました。大変ありがとうございます。
 私の質問はこれで終わらせていただきますけれども、冒頭申し上げましたとおり、本県財政は極めて厳しい状況にございます。そういう意味で、最悪の状態で引き継がれた達増知事の御苦労も察するに余りあるものがございますが、いずれこの現状を打開しない限り展望も見えてこないわけでございます。県民の多くの皆さん方の圧倒的な支持をいただきまして就任された達増知事でございます。どうかこれからも大いに果敢に県政運営に立ち向かっていただきますようお願いを申し上げまして私の質問を終わります。大変ありがとうございました。
 残余の質問につきましては菅原一敏委員が行いますので、よろしくお願い申し上げます。
〇大宮惇幸委員長 次に、菅原一敏委員。
   〔菅原一敏委員質問者席に着く〕
〇菅原一敏委員 民主・県民会議の菅原一敏でございます。
 小田島委員の残りの時間を使わせていただきまして、引き続き私から質問をさせていただきたいと思います。
 もちろん私も生まれて初めての総括質疑でございます。小田島委員以上に緊張しておりますけれども、1期生の私がここに立たせていただいておりますことに感謝を申し上げながら質問をさせていただきますので、よろしくお願い申し上げます。
 最初に、職員の退職勧奨についてお伺いいたします。
 公務員の定年につきましては、国家公務員については国家公務員法によって、そしてまた、地方公務員につきましては地方公務員法に基づく各地方公共団体の条例によって60歳を定年とする規定が設けられておりますことは御承知のとおりでございます。
 こうした前提の上に立ちまして、それぞれの地方公共団体におきましては定年前の退職の勧奨が制度化され、職員の新陳代謝や人事の若返り、さらには総人件費の抑制を主たる目的として実施されているわけでございますが、本県における平成19年度の知事部局の退職勧奨がどのように行われたのか、その実施方法と実績についてまずお伺いいたします。
〇川窪総務部長 定年制のもとにおけます退職勧奨は、職員の新陳代謝を促進し、もって組織の活性化を図るという観点を踏まえつつ、県政課題への適切な対応や職員個々の意向にも十分配慮いたしながら、一律的にではなく個別に行っております。
 勧奨退職の実績につきましては、平成19年度末の知事部局における全退職者158名のうち43名が勧奨による退職となっているところでございます。
〇菅原一敏委員 退職前の勧奨制度には、一般的な勧奨制度、これは50歳以上59歳以下の方を対象に行われていると思いますし、あわせまして、特定の職にある職員に対して、例えば部長級であるとか、あるいは室長級でありますとか、そういう方々に対する特定の勧奨のあり方、やり方、これもあるというふうにお聞きしておるわけでございますが、これらの内容についてもう少し詳しく御説明をいただきたいと思います。
〇川窪総務部長 おおむね御質問いただいたような状況でございまして、総括課長級以下の職員も含めまして、全職員に対しまして、いわば勧奨退職に応じていただければ、その分の退職金の割り増しが適用になるというような仕組みがございます。
 それから、部長級の職員は58歳で、また室長級の職員は59歳を一つの目安といたしながら、そして、先ほど申し上げました県政課題への適切な対応や個々の職員の意向にも配慮するという観点のもとで、個別に勧奨の制度に基づく勧奨退職に応じていただける職員の方に勧奨を行って退職をしていただいているというのが実情であります。
〇菅原一敏委員 今、御説明ありましたけれども、一般的には50歳以上59歳以下の職員が対象、そして運用として、部長級が58歳、あるいは室長級が59歳、こういうような運用も行われているようでございますが、このことと、県出資法人、あるいは県と深くかかわりのある団体等への再就職、いわゆる天下りというふうにも言われておりますけれども、これとはどのように連動しているのか、あるいは何かしらの関連性はあるのかお尋ねいたしたいと思います。
〇川窪総務部長 勧奨退職者、これは定年退職者も含めてでございますが、その再就職を支援する仕組みといたしまして人材バンクという仕組みを設けておるところでございます。このバンクに対しましては、今、御指摘ございました県出資法人などのほか、民間企業の方々からも求人をいただいて再就職というものが行われている状況にございます。
 御指摘いただきました天下りに関しましては、一般的に天下りといいますのは、定年退職年齢よりも相当早期に退職をした上で、国の場合でいえば省庁側があっせんして関係団体等に再就職をし、そして再就職先で高額な報酬でありますとか、また、退職金を得ながら法人を渡り歩いていくという再就職の仕方を指す形で認識されていると考えておりますが、本県における先ほど申し上げました再就職につきましては、県としてのかかわり方は、人材バンクの登録者の情報を求人企業等に提供するという情報提供にとどめていることでありますとか、また、県出資法人等に再就職をする際には県に在職していたときよりも低い報酬とし、その再就職先での退職金も支給しないという扱いになっておりますことから、世の中で言われておりますような天下りという形での問題を生じることなく運用しているものと考えているところでございます。
〇菅原一敏委員 国の場合と違いまして、本県におきましては、人材バンクの活用をすることによりまして一定の制限を設けながら情報公開をする、あるいは透明性と公平性を確保しながら適正に行われているものというふうに私も認識いたしますけれども、今後におきましても適正な運用に努められるようにお願いをしておきたいと思います。
 次にお伺いいたしますが、この制度について、高齢社会を今、迎えているわけでございますけれども、当然、今後、公務員の定年延長というお話も出てくるかと思いますが、この制度について、特に幹部職員の勧奨年齢の引き上げなど、今後の運用を見直していくお考えはないかお伺いいたしたいと思います。
〇川窪総務部長 今後のことについてでありますが、年金の支給開始年齢が段階的に引き上げられていることなどから、国家公務員につきましては、本年6月に制定されました国家公務員制度改革基本法におきまして、雇用と年金の接続の重要性に留意いたしまして、定年を段階的に65歳に引き上げることについて検討するということが盛り込まれております。基本方針として規定されているということでございます。また、これと並行いたしまして、人事院におきましても、公務員の高齢期の雇用問題に関する研究会におきまして、段階的な定年の延長等について検討を進めていくことになっていると承知しております。
 地方公務員におきましても同様な課題がございますので、県としても、これらの国における検討状況を注視しつつ、既存の再任用制度や勧奨退職の運用の点も含めまして、高齢層の職員の人事管理のあり方全般につきまして検討を進めていきたいと考えているところでございます。
〇菅原一敏委員 いずれ、今後とも情報公開に努めながら、県民から疑惑等を持たれることのないような適正な運用をお願いしたいというふうに思うわけでございます。
 次に、市町村合併についてお尋ねいたします。
 小田島委員からもお話がありましたので、私からは、気仙地区での取り組みについてお伺いさせていただきたいと思います。
 気仙地区におきましては、住民発議による合併協議会の設置を求める直接請求が行われ、このことを契機に、今、合併に向けての動きが具体化してきているところでございます。しかしながら、さまざまな事情があったとはいえ、今の動きは住田町を除く陸前高田市と大船渡市の2市の先行合併という形であり、県が示した合併推進構想の描く形とは、最も大事な組み合わせという点で異なっているものであります。
 そこでお伺いいたしますが、県では、この気仙地区での動きについてどのように受けとめ、そしてどう考えているのかお尋ねいたしたいと思います。
 そしてまた、両市とも今月下旬をめどに、先ほどお話がありましたが議会提案がなされる予定となっておりますけれども、そこで合併協議会が設置されるかどうかは予断を許さない状況にあるというふうに地元では言われているところでございますが、その結果次第では県としてどのような対応を考えておられるのか、あわせてお伺いいたします。
〇藤尾地域振興部長 気仙地区の合併に係る直接請求は陸前高田市と大船渡市の2市の合併協議会設置を求めるものでございまして、この2市に住田町を加えた県の合併推進構想の組み合わせとは異なっておりますが、そもそもこの構想は議論のたたき台でございますので、気仙地域の将来像や、そこに向かう道筋につきましては住民本意で議論を深めていただきたいと考えているところでございます。
 いずれにしましても、気仙地域においては、このように、住民の自発的で積極的な行動によって合併の議論が行われていることについて評価したいと存じます。
 また、今後、両市議会におきまして、委員御案内のあったとおり合併協議会設置について議論されることになるわけでございますが、合併協議会は、将来のまちづくりや合併の是非も含め検討するオープンな場でございます。こうした議論の場を求めて直接請求をした住民の思いと行動を尊重していただきまして、合併協議会設置に向けて議会の賢明な判断がなされるべきであると考えております。
 そもそも合併に反対の立場であっても、当面自立を主張するのであれば、合併した場合と比較してどうなのかという点について住民に対して明らかにすべきでございまして、そのことを合併協議会において議論、検証する必要があると考えております。議会におきましては、そのような観点に立って議論され、適切な結論を導き出していただくことを期待いたしているところでございます。
 両議会の議決後におきましては、地域における議論を見守りつつ、結論に至るまでの経過等を踏まえ、適切な対応をしてまいりたいと考えております。
〇菅原一敏委員 続けてお伺いしますが、合併新法の期限後の対応についてお尋ねしたいと思います。
 議論はしたけれども合併にまでは至らずに残ってしまった、そのような場合に、県としてはどのように指導し、どう対処されるのか。そしてまた、合併新法の期限が切れた後に県の合併推進構想は推進をされるのかなくなってしまうのか、支援は継続されるのか、こういう点についてお伺いいたしたいと思います。
〇藤尾地域振興部長 合併を望んでも結果として合併に至らなかった、あるいはまた、新法の期限後の県としての対応、その二つの点についてのお尋ねかと存じますけれども、いずれにしろこの市町村合併は、行財政基盤を強化して持続可能な安定的な行政を将来ともに担保する、そういったことを目指した取り組みであると考えておりますので、その法律の期限が切れた後といえども、県としては、そういった将来の行財政基盤の強化に向けた取り組みに対しては支援をしていきたいと考えてございます。
 なお、さまざまな合併新法における財政上の特例措置あるいは財政支援等があるわけでございますけれども、国におきましては、法律上のそういった支援についての動きは現在のところないようでございます。したがって、合併新法期限後に市町村が合併を望んだとしても、これまでのような支援を期待するといったようなことは難しいのではないかと考えてございます。いずれにしろ、今の合併新法をとにかく活用して、新法期限内に合併を実現することが望ましいというふうに考えてございます。
 県としては、市町村はこの推進構想をたたき台として、いずれ各地域において合併協議会などを設置して、将来のまちづくり、合併の是非についてオープンな議論を行うことを強く期待いたしておるところでございます。
〇菅原一敏委員 いずれ合併は、国や県からの押しつけあるいは強制などによって決められるものではなく、地域住民が自主的に判断すべきであるということについては全くそのとおりでありますけれども、議論をする場としての合併協議会の設置に向けての県としての今後の積極的なお取り組みに御期待申し上げ、次に移らせていただきます。
 防災対策についてお伺いいたします。
 本県においては、これまで、水害や地震、津波などの大きな災害に何度も見舞われているところでありますし、また、今回も2度の地震に襲われ、改めて次に来る災害、今後30年以内に99%の確率で発生するとされております宮城県沖地震への対応、特にも想定される震度6弱の揺れに伴って必ず襲ってくるであろう大津波への備えが果たして大丈夫なのか、大変憂慮されるところでございます。
 そこでお伺いいたしますが、今回の2度の大地震の発生直後からの対応や、その後の復旧・復興対策まで含めて陣頭で指揮に当たられた知事として、今後想定される津波災害への対応について、危機管理体制のあり方を含めましてどうあるべきと考えておられるのか御所見をお聞かせいただきたいと思います。
〇達増知事 津波災害では、防潮堤や避難路の整備、避難施設の耐震化等とあわせて、地域住民の迅速な避難が被害の軽減化につながると認識しておりますので、自主防災組織の育成、小・中学生向けの津波防災学習教材や津波浸水予測図の作成・配布など、防災意識の醸成に努めているところであります。
 また、今回の2度の地震では、改めて平時からの危機管理体制の充実強化の重要性を認識したところであり、特に情報の共有化やヘリコプターの現場統制など、消防、警察、自衛隊等の関係機関との連携の強化が重要であると認識しております。
 今後、今回の2度の地震災害の教訓を生かしながら、より実践的な訓練の実施などにより地域全体の対応力の向上を図ってまいります。
〇菅原一敏委員 時間との勝負になってきましたけれども、津波対策あるいは災害対策についてはこの後5項目ほど予定しておりましたが、割愛せざるを得ないという状況になりました。いずれ、今後においても、津波、沿岸住民は大変心配をしているわけでございますから、県との連携に配慮していただきながら、必要な対策をぜひとっていただくようにお願いをして次に進みます。
 最後の項目になりますけれども、県北・沿岸振興についてお尋ねいたしたいと思います。
 いろいろ県北・沿岸振興につきましては御配慮いただいていることに感謝を申し上げますが、平成19年度予算を振り返って、知事はどのように県北・沿岸地域の振興が図られてきていると認識されているのか、予算を振り返っての県北・沿岸振興に対する御認識をお伺いして終わりたいと思います。
〇達増知事 私は、産業基盤が脆弱で、他圏域以上に人口減少と高齢化が進行している県北・沿岸圏域においてこそ危機を希望に変える取り組みが求められていると知事就任前から強く考えておりました。このため、知事に就任し、初めて編成した平成19年度6月補正予算においても、県北・沿岸圏域の産業振興に資する事業に重点的に配慮したところであります。その結果、新たな企業立地や既立地企業の増設とともに、食産業、観光産業、農林水産業においても一定の成果や新たな動きが出てきていると認識しております。
 例えばものづくり産業においては、新たな企業立地や企業増設に加え、中小企業振興特別資金の融資や産業支援機能の強化により、設備投資や新商品の開発が活発化しました。食産業では、地域の中核的事業者への密着支援により首都圏の大手量販店との取引が拡大されるとともに、地域が一体となった取り組みにより雑穀の生産量が大幅に拡大しました。観光の面では、仙人峠道路や早坂トンネルの開通などにより観光客入り込み数が4.3%増加するとともに、地域資源を活用した体験型観光や教育旅行の受け入れが大幅に増加しました。農業では、異業種間の連携による大規模な遊休農地を活用した食品原料の生産など、新たな農業ビジネスモデルの育成が進んでいます。水産業では、地域営漁計画の策定により、担い手の経営規模拡大や漁場の効率的利用のための養殖施設整備の活発化が見られます。さらに、北里大学の海洋バイオテクノロジー釜石研究所の進出や海洋関係研究機関のネットワーク構築などの新たな動きも出ているところです。
 今後とも、いわて希望創造プランに掲げる施策を着実に進めるとともに、移動県庁等の成果も踏まえ、地域の皆様とともに、希望を持って、将来とも安心・安全に住み続けることができる地域社会の形成を目指して、なお一層県北・沿岸地域の振興に尽くしてまいります。
〇菅原一敏委員 ふなれな質問でございましたけれども、丁寧に御答弁いただきましてありがとうございました。
 以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。
〇大宮惇幸委員長 この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
   午前11時53分 休憩
午後1時15分 再開
〇大宮惇幸委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 高橋雪文委員。
   〔高橋雪文委員質問者席に着く〕
〇高橋雪文委員 自由民主クラブの高橋雪文でございます。会派を代表いたしまして質問させていただきます。
 まず、平成19年度予算の骨子は、前増田知事県政下において策定されたものでございます。その後、夢県土いわての総合計画を踏襲しながら今日を迎えているわけでございますが、まずは、前知事が主な予算編成をした平成19年度にかかわる所見をお聞かせいただきたいと思います。
 また、平成19年度において、達増知事の独自性がどのように反映されたのか、主な項目と財政規模、さらには、その御所見をお聞かせいただきたいと思います。
〇達増知事 冒頭、委員会室への到着がおくれまして、委員会の開会をおくれさせたことにつきまして、おわび申し上げます。申しわけありませんでした。
 平成19年度にかかわる所見についてでございますが、これまで課題とされていました競馬事業の存続問題、IGRの新指令システムの構築、森のトレー償還金問題などについて、今後の道筋を示すとともに、今後4年間の県政運営の指針となるいわて希望創造プランを策定いたしました。
 また、危機的な財政状況の中で、給与の特例減額なども盛り込みながら平成22年度までの中期財政見通しをまとめることにより、プランを具体的に推進するための第一歩となる平成20年度の当初予算を編成することができたと考えます。
 平成19年度予算における独自性についてでありますが、マニフェストに掲げた二つの戦略を進めながら、県民が直面する所得や雇用、医師不足などの課題解決に向け、県民が安心して暮らせる環境の整備に配慮して6月補正予算を編成いたしました。
 具体的には、新地域主義戦略として、四つの広域振興圏の確立に向け、地域資源を生かした産業振興の取り組み、特にも県北・沿岸については、重点的な取り組みを盛り込むとともに、ソフトパワー戦略として、平泉の世界遺産登録関係の条件整備などの取り組みを措置いたしました。
 また、中小企業の新事業展開等を支援する取り組みや、岩手医科大学の定員増に対応した教育環境整備に要する経費などを措置するとともに、公共事業費についても、プライマリーバランスの黒字を守りながら、可能な限り事業規模を確保いたしました。
 こうした取り組み等が、例えば県北・沿岸への新たな企業立地による雇用の場の創出のほか、ものづくり産業の集積促進、即戦力医師の招聘などの成果となり、県民の仕事や暮らしの向上につながったものと考えております。
〇高橋雪文委員 プライマリーバランスの均衡を守りながらということでございますけれども、その件について、後でまた質問させていただきたいと思います。
 続けさせていただきます。
 平成15年度には約8、485億円規模であった歳入規模も、平成19年度は約7、311億円規模と縮小し、この5年間で1、174億円の減収となりました。また、歳出も、平成15年度の約8、315億円規模に対し、平成19年度には7、212億円規模と縮小し、実に1、103億円の減少であり、その分、県民へのサービスが低下していると言わざるを得ないのではないでしょうか。
 知事は、公正と自立と共生をキーワードに県政推進をされておりますが、この自立の視点で財政規模の縮小をどのように考えておられるのか質問いたします。県民へのサービスの低下をどのように考えておられるのでしょうか。さらには、典型的な3割自治体と言われる本県において、歳入の確保をどのように図っていかれるのかをお聞きいたしたいと思います。
〇達増知事 地方交付税総額が平成16年度から平成18年度にかけて約5.1兆円削減された影響などにより、本県の予算規模は、近年、圧縮を余儀なくされてきております。
 その内容を見ますと、歳出規模の縮小の大部分は投資的経費となっており、また、そうした厳しい財政状況の中にあっても、県民サービスの低下を極力招かないように、事業の厳選に努めてきたことなどを踏まえますと、歳出規模と県民サービスの水準が直接連動しているものとは考えておりませんが、いずれにいたしましても、財政状況が厳しさを増す中で、必要な事務事業をしっかり進めていくために、一層の選択と集中の徹底や、交付税の確保、増額に向けた国への働きかけなどに、さらに力を入れてまいりたいと思います。
〇高橋雪文委員 それでは、達増知事が目指す理想の岩手県政を築くためには、どれぐらいの財政規模が適正であるとお考えでしょうか。
〇達増知事 適正な財政規模についてでありますが、財源が潤沢にあるのであれば、その財源を活用して、より多くの事業を展開したいという思いもございますが、今後の財政運営の現実的な見通しとしては、本年2月に公表した中期財政見通しで試算した財政規模を目安に、最大限の効果が発揮できるような予算の組み立てを工夫していくことが重要と考えております。
 同時に、災害への対応や経済対策など、状況の変化に即応するために必要なものについては、国の財源措置状況等を踏まえた適切な財政運営が必要と考えておりまして、そうした面も含めて、財源の見通しを立てながら、いわて希望創造プランを着実に推進していけるよう、各年度の予算編成において最善の選択を行ってまいりたいと思います。
〇高橋雪文委員 確認しますが、2月に出された中期財政見通し、これが基本になるということでよろしいんでしょうか。
〇達増知事 はい、そのとおりです。
〇高橋雪文委員 歳入の県民税の項目が、所得税から個人県民税への税源移譲などにより大幅に増加しました。しかしながら、本県の人口は、減少に歯どめがかからず136万人を割っている現状でございます。その中で、前回の計算方式では個人県民税は増加しているのでしょうか。また、法人県民税は増加しているのでしょうか。また、事業税は、県内の県民の景気の実感にかかわらず順調に推移しているところでございます。この理由はどこにあるのか。さらに、今後の見込みについてどう認識しておられるのか、お示しいただきたいと思います。
 また、そのほかの税目では、概して収入減少の傾向が見られ、自主財源でも前年度比9.2%減になっておりますが、今後の収入についての御認識をお知らせいただきたいと思います。
 また、自主財源部分の増収の方法について、先ほど小田島委員からもありましたが、頑張るとか最大限考慮するというのは答えになっておりませんので、具体的な対応について、方向性だけでもしっかりお聞かせいただきたいと思います。
〇川窪総務部長 まず、個人県民税でございますが、個人県民税は、平成19年度は、税源移譲の影響によりまして、税額については前年度を142億8、600万円上回っております。
 一方、これを課税標準額、すなわち課税対象の個人の県民の皆さんの所得額の総額で見てみますと、前年度に比べまして0.6%の減となっておりますので、この課税標準額の0.6%減という比率に基づきまして粗く考えますと、従前の制度のままであった場合の税額ベースで考えれば、平成18年度に比べ1億円程度の減少に相当するような状況であると理解しております。
 また、法人県民税の平成19年度決算額は63億9、800万円余で6.2%の増、金額では3億7、400万円の増でございました。
 事業税についてでございますが、事業税は、平成19年度決算では18年度よりも税額が増加しておりますけれども、この背景といたしましては、申告及び納税の時期の関係で、事業税は、平成18年度の企業収益が19年度の税収に反映される仕組みであるということが考えられます。したがいまして、平成18年度の企業収益の動向が19年度の税収の増加に反映されているものと考えております。実際、平成20年度、今年度におきましては、事業税は前年度の税収を下回る見込みとなっている方向でございます。
 次に、その他の税目でありますが、自動車税や軽油引取税は、近年、税収の減少傾向が続いておりまして、県内経済の活性化を通じて税収の充実を図っていくといたしましても、今後の県税を大きく増加していくためには、税源移譲を初めとするさらなる税制改正が必要と認識しているところであります。
 御指摘いただきました自主財源の平成19年度決算における大幅な減少でありますが、これは、平成18年度には、年度末に競馬組合への融資のために基金造成を行う財源として主要3基金から繰り入れを行っておりますが、この主要3基金からの繰り入れ、いわば取り崩しでありますが、それが決算の集計上、自主財源収入としてカウントされているという影響で、それが平成19年度にはなくなっているということが一番大きな影響であると理解しております。
 また、収入全体につきましては、本県の場合、地方交付税の動向が最大のポイントとなりますことから、その復元・増額に向けて国に働きかけていくことが重要と認識しております。
 最後に、自主財源の部分の増収策というお尋ねでございますが、分権時代にふさわしい自立的な財政運営が行えますよう、できるだけ自主財源を中心とした財政構造を構築していくことが望ましいと考えておりますので、人口減少に歯どめをかけていくことや、県民所得の向上を図ること、また、企業立地の拡大を進めることなどを通じまして、できるだけ県税が増加するように取り組むとともに、制度面での国への働きかけや、また、未済額の縮減に取り組んでいきたいと考えております。
〇高橋雪文委員 歳出決算の目的別歳出では、農林水産費で前年度に比べ372億4、355万円、36.5%減、土木費では、同じく135億8、674万円、15%減と大きく予算執行が減少しております。その理由と減少に伴う問題点をどのように把握しておられるのか、この減少に伴い、県内経済に対する影響をどのように試算されているのかお知らせください。
〇川窪総務部長 農林水産業費の減少理由でございますが、減少の主なものは、岩手競馬の基金繰出金がマイナス275億円、それから岩手競馬の経営改善資金貸付金、それまでの年度にやっていた融資のほうでございますが、それがなくなったのが27億円のマイナス、それから、農業共済団体等事務費補助が16億円強のマイナス、岩手県林業公社事業資金貸付金が9億円余のマイナスなどでございまして、競馬組合にかかわりますものを除きますと、単年度事業の終了や交付方法が国から事業者への直接補助に切りかわったものなどが中心となって、前年度比較で額が大きく減少しているものでございます。
 次に、土木費の減少理由等でございますが、こちらは、緊急地方道路整備事業費が31億円余のマイナス、鷹生ダム建設事業費が23億円余のマイナス、河川激甚災害対策特別緊急事業費が11億円余のマイナス、地方特定道路整備事業費が9億円余のマイナスなどでございまして、選択と集中による公共事業の重点化などによりまして、前年度に比較し、投資規模の縮減がされているものでございます。
 これらの問題点及び影響ということでございますけれども、問題点につきましては、やはり事業規模の縮小を余儀なくされる中で、できる限り選択と集中を徹底し、事業規模を維持しながらということでございますが、やはり財源の制約ということから、一定の制約のもとでの財政運営を余儀なくされているというところが最大のポイントかと思っております。
 また、県内経済への影響につきましては、農林水産業費のほうにつきましては、先ほど申し上げましたような事情でございますので、土木費の減少額136億円から用地費を除きました直接の効果額130億円の事業規模の減少に関しまして、産業連関表を用いた試算を行いますと、間接波及効果が56億円程度のマイナスと見込まれ、さらには、雇用者所得減に伴う家計消費支出の減などを通じまして間接波及効果が32億円程度の減もあると見込まれまして、これらを合わせますと、土木費の減少、先ほどの136億円の産業連関表を用いた効果額といたしましては218億円程度のマイナスの波及効果が予想されるものでございます。
〇高橋雪文委員 また、性質別歳出において、財政規模の縮小の中で義務的経費部分を50%としたことは、厳しい財政事情からも可とするものでありますが、投資的経費の普通建設事業費が227億5、468万円で、前年度比16.5%減と急激に削減されている点、たまたま災害復旧費が前年度比228%増加したため、全体としての投資的経費の削減は抑えられたものと言えますが、そこで、今後、義務的経費は予算額のどれぐらいの規模にすることが適正なのか、投資的経費は、どれぐらいの割合でどれぐらいの投資規模が適正と考えていけばよろしいのでしょうか。
 また、普通建設事業費、災害復旧事業費のうち、単独事業費はそれぞれ前年比を大きく下回っている状況下にあります。これは、県の独自性と自主性が失われていると思われますが、どのように考えておられるのでしょうか。
〇川窪総務部長 まず、義務的経費の予算額につきましてでありますが、基本的には、できる限り投資的経費も含めました政策的経費のほうの割合を高め、義務的経費の割合につきましては、少ない状況を保つことが望ましい方向であると考えております。
 ただ、義務的経費といいましても、その中の公債費につきましては、政策的な意味での建設事業を実施したことに伴う後年度経費でありますし、また、人件費の一定額につきましては、教職員や警察官の給与でございまして、これは、行政サービスそのものとも考えられることでございまして、義務的経費・政策的経費の割合を目標として予算を計上するという観点だけではなく、義務的経費も含めまして、それぞれの予算がより高い効果・成果を生み出すことができるような予算編成に取り組み、結果として、県民生活の向上に最も効果の高い予算となるよう努めたいと考えております。
 適正な投資規模につきましては、プライマリーバランスを重視しつつ、義務的経費の将来の増加を抑制しながら、投資的経費についての財源確保を図りまして、平成22年度までの財政環境のもとにありましては、ことし2月に公表いたしました中期財政見通しで見込んでいる規模を目安に考えていきたいと思っております。
 次に、普通建設事業費や災害復旧事業費の中で単独事業費が減額になっている点でございますけれども、当初予算編成時点において、選択と集中による公共事業の重点化を図っていく観点から、補助事業で採択可能な事業については、積極的に補助事業費を計上したということ。また、加えまして、年度当初、県単独事業での実施を想定していたものにつきましても、補助制度を導入できるものについては、積極的に振りかえて調整していくということを行いました結果といたしまして、単独事業費が減っている部分もございますので、少ない財源でより多くのインフラ整備等を実施するための工夫もあらわれた結果だと思っておりますが、やはり単独事業につきましては、県の工夫と判断でやっていける事業ということでございますので、単独事業の事業規模の確保につきまして、今後とも配慮してまいりたいと考えております。
〇高橋雪文委員 単独事業について削減していることが明らかになったわけでございますけれども、要は、先ほど総務部長がおっしゃられましたように、地方交付税が最大の歳入部分なんだと、こういうところから、しっかりとした国との連携が必要だと思いますが、その点、知事はいかがお考えでしょうか。
〇達増知事 昨年、知事に就任して以来、地方交付税の、全国知事会では復元という言葉を使っておりますけれども、その方向に向けまして、これはもう全国知事会と政府との間でそうした会談を重ねておりますとともに、県単独でも、関係の大臣への要望を随時行っているところでありますので、今後とも、その姿勢で臨んでまいりたいと思います。
〇高橋雪文委員 それでは、その実績というのは、具体的にどういうところがあったんでしょうか。
〇達増知事 昨年、それまで下がり続けておりました地方交付税の総額が上昇に転じたところでございまして、そのときの方針を今年度さらに進めてという方向で、今、働きかけているところであります。
〇高橋雪文委員 先ほど言ったように、税源の改革によって所得税の交付金が上がったということが最大の根拠でありまして、じゃ、達増知事が、やはり具体的にどういう項目をお願いして、どの項目で予算を獲得したか、それを明らかにしていただきたいと思います。
〇達増知事 予算の獲得というお話でありましたけれども、予算については、憲法に書いてありますように、内閣の責任で、内閣が作成し、それを国会が議決するものと考えておりますので、私のせいでこの予算がついたということは、基本的にないものと考えております。
〇高橋雪文委員 それでは、次に行きたいと思います。
 厳しい財政環境のもとに、実質収支は黒字になり、単年度の運営は可とするものでありますが、いわゆるプライマリーバランスの均衡という視点に立つならば、均衡すら保たれなかったということは、まことに残念と言えます。
 春の予算審査特別委員会では、知事マニフェストにプライマリーバランスの均衡を図りますと強く掲げていたのにもかかわらず、中長期の均衡を図れるとして、初めての御自身の予算編成で簡単にプライマリーバランスの赤字の予算を提示したところでございます。
 一方で、知事は、累積債務を減らすためにはプライマリーバランスを堅持することが減らす方法だと話しておりますが、累積債務の削減をどのように考えておられるのでしょうか。マニフェストへの責務はどうなっておられるでしょうか。
 また、今年度2度の災害に見舞われ、多額の災害復旧費が見込まれている本県でございますが、収支の見通しは今後どのようになっているのかお示しください。
 また、今後の県債発行額は、平成22年一たん減少し、見かけ上、減少するものの、次年度の平成23年度からは1、500億円を超え、平成26年度にピークを迎えると中期財政見通しで試算されているところでございます。これでは、知事在籍の期間中での均衡を目指す努力は感じられるところでございますが、その後の均衡は考えないという非常に無責任なものだと感じますが、いかがでしょうか。財政規模、自主財源比率などから、責任ある中長期のビジョンを御説明いただきたいと思います。
〇達増知事 本県の財政運営に当たっては、将来の財政負担を抑えて、安定的に持続できる財政運営を行っていく観点から、県債残高の規模を現状以上に増加させないことが、特に重要であると考えております。
 現在の国や地方の財政状況を考えますと、この県債残高を急速に縮小していくことは難しいと考えておりますが、現在の1兆4、000億円の水準程度の範囲内に県債残高をとめるという意味で、プライマリーバランスを重視した財政運営を行いつつ、中長期的には残高の減少が実現できるよう取り組んでいきたいと考えております。
 なお、プライマリーバランスについては、災害復旧のための県債の増発や国の地方財政対策の結果としての赤字地方債の増加などの影響により、悪化する年度が生じる可能性も否定できないのですけれども、1兆4、000億円程度という県債残高の規模を増大させずに推移させることができれば、マニフェストに沿った財政運営を行っていると県民の皆様に理解していただけるのではないかと考えております。
〇川窪総務部長 災害復旧関係での今後の収支の見通し等についてでございますが、まず、今年度の地震災害に係る対応といたしましては、6月補正におきまして約170億円の補正予算を編成させていただき、また、このたびの9月補正におきましても、地震災害対応の関係といたしまして、約9億8、000万円の予算をその中に盛り込んでいるところでございます。
 これらの予算につきましては、後年度の交付税の措置率の高い災害復旧事業債を活用することを初めといたしまして、活用可能な県債を活用するほか、国庫補助制度のあるものについては、国庫補助を最大限に活用することなどをやっておりまして、極めて厳しい財政環境の中ではございますけれども、今年度の地震災害に関する予算につきましては、この後、特別交付税の増額についても要請し、また実現していきたいと考えておりますが、これまでのところ歳入のほうに、今申し上げました交付税も含めまして地方債、国庫補助金、交付税、それから前年度の繰越金も一部歳入に計上してございますが、これらによりまして、既存の基金の取り崩しを計上することなく予算計上することが、今の段階ではできてございます。
 今年度、この後の財源の状況を確認しながらやっていく必要がございますけれども、現時点では、今年度の収支につきましては、この災害対応という観点から見ますと、何とか対応できるのではないかと考えているところでございます。
 次に、累積債務の関係でございますけれども、県債残高の規模を現状以上に増加させないという方針のもとで対応しようとする場合、県債残高の増加につながってまいりますのは、いわゆる新発債分、借りかえではなく、新たに発行するほうの地方債分でございますことから、今後とも、中期的な見通しのもとで、将来的な負担を抑制する観点から、新発債分の動向に配慮しつつ、県債発行額について、毎年度の予算編成の中で適切に決定していきたいと思っております。
 平成23年度以降の県債発行の見込みについてでございますけれども、これは、国の制度改正の影響や災害の有無等にもよりますので、確たることは申し上げられませんが、現在のような財政状況のもとでのプライマリーバランスを重視した財政運営をやっていくとすれば、今回の中期財政見通し期間において想定しております各年度の県債の新規発行規模と同程度の規模を目安としながら発行していくということを考えて、財政運営していくことになるものと考えております。
 本県のように、国の地方財政対策の影響を大きく受ける地方にとりましては、確たる形で長期的なビジョンを見通すことが難しいという事情がございますけれども、今後の少子・高齢化への対応や地域活性化等のために必要な施策展開が可能となるような財政規模を維持していけるように、また、その中にあっても、地方税を中心とした自主財源の比率を順次高めていくことができるように、そのためにも、県内産業の振興や県民所得の向上、そして地方税財政制度改革の実現に向けて努力していくことが必要だと認識しております。
〇高橋雪文委員 知事はこれまで、財政のうまくいかない点を国の交付税の削減ということを最も大きいということで非難をされているところでございますけれども、やはり自主財源、いわゆる減収、こういうものが一つ大きなポイントになると。自立ということを考えるならば、なおさらそこに力を入れていかなければならないと思いますが、中期財政見通し、この減収の見込みをしっかり立てているのか、それを1点。
 あと、先ほど知事答弁の中で、プライマリーバランスの均衡を平成19年度は目指して努力をしてきたということでございますけれども、プライマリーバランスの視点からすると、実質累積債務は高くなっているわけでございますが、その点について訂正はしなくてよろしいのか、お聞かせいただきたいと思います。
〇達増知事 昨年の統一地方選挙を通じまして、それ以前、県の債務残高がどんどんふえ、1兆円を突破し、1兆4、000億円という水準、さらにどこまで行くのかという不安を多くの県民が持っていらっしゃいました。そして、一方で財源不足ということで、その年度の必要な事業をきちんとすることができるのかという、財源不足問題についても大きな不安が去年の統一地方選挙の一つのテーマだったと思います。
 そういう中で、このどんどんふえていく借金を、そうした形ではもうふやしていかない、今の段階で均衡を保つということをお約束し、そして、その中で必要なやりくりをして事業をしていくということで中期見通しを明らかにし、平成19年度、20年度と予算を策定しているところでございまして、基本的に、マニフェストに沿った財政運営を行っていると理解いただけるのではないかと思っております。
〇川窪総務部長 今後の、特に税収を中心に減収が見込まれる部分を見通しているかという部分でありますけれども、中期財政見通しの策定の中におきましては、昨年度の地方税財政制度改革で行われました、いわゆる税収の偏在是正措置に伴います税収の増加見込みについては入れておりますが、一方で、先ほども御説明申し上げました平成20年度においては、法人関係税収が下方に転じる見込みであるというような部分につきましては、平成20年度当初予算を計上し、または中期見通しをつくった時点では見通し切れていなかった部分もございますので、税収の動向といたしましては、法人関係税を中心に、この中期見通しで見通しを立てた時点よりも、次の予算編成時点以降においては、若干下方に修正しなければならない可能性もあるかと思っております。
 その他の税目につきましては、自動車税や軽油引取税のように、安定的ではあるけれども、過去数年少しずつ減少が続いているという税目もございまして、そういう税目は、減少傾向が続くという前提で中期見通しをつくっております。したがいまして、国全体でも同じ動きがあると思いますが、そうした税収の変動、特に下方にぶれそうな税目があったときには、その分をいわば地方交付税で確保できるように本来なるはずでありますが、そこのところの確保に向けた取り組みが、当面はポイントになるのかなと考えております。
〇高橋雪文委員 人口減少が著しい本県において、自主財源の税収確保というのは非常に難しくなっている。その点を最大限考慮するべきだと思いますが、いかがでしょうか。
〇川窪総務部長 御指摘のとおり、税収を確保していく、特に、今よりも規模をふやしながらバランスよくふやしていくということにつきましては、人口減少がかなりのスピードで続くとすれば、また相当難しくなってくるというのは、御指摘のとおりかと思っております。
 そういった意味でも、人口減少に歯どめをかけていくという点とか、また、県内産業の活性化を通じて県民所得の水準を上げていく取り組みですとか、そういう取り組みをやっていくことが、結果において税収の規模の維持にもつながっていくと考えておりますので、そちらの産業振興、また人口減少の歯どめ対策につきましても、しっかり取り組んでいかなければいけないと認識しているところであります。
〇高橋雪文委員 次に移ります。
 厚生労働省によると、大卒の退職金が前回調査03年から約400万円下がったなどとする08年の就労条件総合調査結果を公表しました。
 そこで質問しますが、県内の従業員100名以上の会社の退職金平均、県内の従業員30人以上、さらには県職員の退職金平均をお示しいただきたいと思います。
 県内で退職金を支払っていない企業はどれだけの割合があるのかをお示しいただきたいと思います。
 また、退職債が有利な起債として発行されておりますが、人件費を起債で賄うのはおかしいという意見がございます。県としてはどのように考えておられるのか、また、退職金の見直しについて知事はどのようにお考えなのか、お示しいただきたいと思います。
〇達増知事 退職金の見直しに関する考えについて、まず答弁いたしますが、地方公務員の退職手当については、法に定める均衡の原則にのっとり、国家公務員の制度に準じて措置することが適当とされております。
 国家公務員の退職手当については、民間における退職金制度との均衡を基本とし、民間企業の実態調査を踏まえて制度設計がなされているところであり、国の制度に準じることにより、地方公務員の退職手当制度は、民間の制度が反映されたものとなっていると考えております。
 最近においては、長期勤続者に対する支給水準の引き下げを主な内容とする平成15年度の見直しや、支給率カーブのフラット化を主な内容とする平成18年度の見直しを国に準じて行っているところでありますが、今後においても、国の動向を注視しつつ、適切な退職手当制度を構築してまいる考えであります。
〇川窪総務部長 最初に、県職員の退職手当の支給状況から申し上げますが、公営企業を含む平成19年度末退職者全体の平均値で1、897万円余でございまして、そのうち、定年退職者に限定いたしますと2、778万円余となっているところであります。
 次に、県内の民間企業における退職金支給状況についてということでございますが、申しわけございませんが、お尋ねいただきました100人、30人といったような従業員規模別のデータが県内調査としてございませんので、今現在確認できている統計調査で把握できている限りで申し上げますけれども、平成17年度労働時間・退職金制度調査によりますと、この調査は、県が行っている調査でありますが、すべての従業員規模の事業所を対象としておりまして、また、実際に支払われた退職金の平均データということではなく、モデルケースによる照会結果ということではございますが、その調査結果によりますと、定年退職時の平均値といたしましては、大学卒で1、188万円、高校卒で1、056万円という数字が出ております。
 それから、もう一点、退職金制度を定めていない事業所の県内における割合は11.3%という調査結果がございます。
 もう一つ、退職手当債についての御質問をいただいてございます。
 退職手当債につきましては、退職手当の増加に対処しつつ、将来の人件費の削減に取り組む地方公共団体を対象として認められるという仕組みでございまして、全国的に、各地方公共団体で活用されている状況にございます。
 御指摘のとおり、退職手当につきましては、できる限り起債を発行せずに予算措置することが望ましいわけでございますけれども、本県を初め、各地方公共団体におきまして、総人件費抑制の努力、また、その他の行財政改革努力に取り組んでいながらも、なお非常に厳しい財政状況で財源が確保できないというような状況になっていることを踏まえまして、認められる仕組みが設けられているものでございます。
 また、その発行する規模につきましては、後年度負担を増加させませんように、行財政改革努力により、定数や人件費の適正化を行っていくことを条件に認められておりまして、本県におきましても、定数削減に伴う人件費縮減効果額の範囲内において、退職手当に地方債が認められるという仕組みのもとで発行してきておりまして、財政を大きく圧迫しないように考えながら対応してきているものでございます。
〇高橋雪文委員 退職金でございますけれども、人件費については国に準拠する、これはいつも言うことでございますが、大概、国も、国の中央のほうと照らし合わせて決めていると。地方の一般職員の給与と比較してつくるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
〇川窪総務部長 退職金の仕組みにつきましては、先ほどの答弁で申し上げましたように、国家公務員の制度に準じてということが基本となっておりますが、その後、平成18年度のいわゆる給与構造改革が行われてきておりまして、各地方公共団体ごとに、その地域の給与を調査し、それに基づいて本俸のほうを決めていくという仕組みになってきておりますので、退職金につきましても、いわゆる割合等は、いわば全国横並びというようなところがございますけれども、ベースとなる本俸のほうにつきましては、各地域の実情がそれなりに反映されてきているものと考えているところであります。
〇高橋雪文委員 新しい項目に移りたいと思います。
 達増県政は、地域経営を推進する上で、県政四つの重点項目を掲げて危機を希望に変えると取り組んでいるところでございます。この四つの目標に関連して、以下、質問をさせていただきます。
 知事は、県民所得の向上を掲げ、平成17年度、230万円台から260万円という明確な目標を掲げて取り組んでいるところでございますが、平成19年度の実態はどうなっているでしょうか。
 また、議員各位から示されるように、県民所得は一般に思われる内容とは異なり、企業所得などの合算で示され、県民所得向上と言ってもその実感がわきません。やはり雇用者報酬の指標に力点を置かれるべきと考えますが、その点はどう考えておられるのでしょうか。
〇菊池総合政策部長 平成19年度の1人当たりの県民所得でございますが、まだ、推計に必要な統計データが出そろっておりませんので、これは来年2月ごろの県民経済計算速報の中で公表する予定でございます。
 現時点でデータが判明している経済活動の生産面での統計から見ますと、製造業は、工業統計調査速報の粗付加価値額が増加しており、一方、建設業は、建設総合統計の出来高ベースの建設工事額が減少しているということで、プラスに働くもの、マイナスに働くものがありまして、まだ実態を把握できる段階にございませんので、引き続き、統計データの把握に努めてまいりたいと考えております。
 次に、雇用者報酬の関係でございますが、雇用者の賃金や雇い主の社会保険料などの勤労収入をあらわすものとして、雇用者統計は、家計が得る収入に近いものでございますので、委員御指摘のとおり、有効な指標であると考えております。
 県といたしましては、産業振興により確かな経済産業基盤を築いていくため、あらゆる産業分野において、生産性の向上等を図って県内総生産を高めていくことによりまして、雇用者の報酬のみならず、農林漁業者や商店主などの自営業者の収入も含めた事業者、企業の所得も増加させていきたいという考えから、指標といたしましては、県経済全体の所得水準をあらわす県民所得を設定しているものでございます。
〇高橋雪文委員 県政課題として非常に重要項目だというのに、平成19年度の、昨年度ですよ、昨年度の統計がまだ出ないと。そういうことで今後の政策が打てるんですか。
〇菊池総合政策部長 これは、本県だけが計算ができないということではございませんで、全国的に同じような状況でございます。2月に速報という形で示し、そして、9月ごろに確定値ということで出していくというやり方をしておりまして、先月、県の県民経済統計を公表いたしましたけれども、これも他県に比べれば早く計算をして出しているという状況にございます。
〇高橋雪文委員 企業所得の中には農林水産業の個人所得も入っているということでございますけれども、この個人所得と雇用者報酬、こういうものをやはり一つくくって、新しい独自の指標を県民に示すべきだと思いますが、いかがでしょうか。これは知事にお聞きしたいと思います。
〇達増知事 過去との比較や他県との比較、あるいは外国等との比較等を考えますと、既にある程度確立した指標を使うことにも意義があるかと考えております。
〇高橋雪文委員 県民実態、実感にそぐわない指標を使っても、それは無駄なことだと思いますが、いかがでしょうか。
〇達増知事 実感部分につきましては、私自身、県民と直接触れ合う機会を多く持ち、数字にあらわれていない生活の困難でありますとか仕事上のさまざまな課題について、私だけではなく、県職員みんなが知事になったつもりで、目や耳や、また、こうした議会での質問の場というものも非常に重要なことだと考えておりますので、県民の実態というものを把握するためには、あらゆる手段を用いていきたいと思います。
〇高橋雪文委員 次に、雇用環境の改善として求人不足数の縮小を図ることが掲げられているところでございます。平成18年度の本県の有効求人倍率は0.78倍でございますが、現在は0.56倍と減少しております。この分析をどのように考えておられるのかお示しいただきたいと思います。
 増田県政下では、雇用対策に対応して雇用対策局を県内の雇用政策のシンボルとして取り組んでまいりました。しかし、部局で同様な仕事ができるとして、今日では、局などもつくらず対応しているところでございます。本県のように雇用が低下している今こそ、横断的に県政課題、特に雇用に力点を置いた庁内編成が必要と感じますが、その必要性と緊急性についてお示しいただきたいと思います。
〇宮舘副知事 まず、雇用環境改善に向けた体制整備についてでありますが、有効求人倍率の低下については、県内企業の新規求人の減少による影響が大きく、本年8月の新規求人数を平成18年8月の数値と比較いたしますと、県全体で1万164人から6、849人と32.6%減少している状況でございます。
 これを産業別に見ますと、製造業やサービス業、建設業などの減少が大きく、消費の低迷や建設投資の減少、資材価格や燃料費等の諸経費の高騰などが、採用意欲の減退につながっているものと考えております。
 県では、お話のありましたように、平成15年6月に総合雇用対策局を設置いたしまして、新規雇用創出や若年者の就業支援に取り組んだところでございます。当面の目標としていました平成18年度末の段階で、一定の成果を上げたということから、総合雇用対策局を廃止して、その事務を商工労働観光部に移管し、引き続き雇用対策に取り組んでいるところでございます。
 現在は、実効ある雇用対策を総合的に展開するため、庁内各部局で構成いたします岩手県雇用対策連絡会議を設置いたしまして、方針の共有や施策の推進、効果の検証等に連携して取り組んでおります。
 県内の雇用環境は厳しさを増す状況にあるということは十分認識しておりまして、雇用対策連絡会議を通じまして、今後も一層各部が緊密に連携して、全庁一丸となって雇用対策に取り組んでまいりたいと考えております。
〇高橋雪文委員 国の予算がついているから雇用対策局をつくる、それがついていないからつくらないというのは、全くおかしなことであって、やっぱり我々が緊急的に求めているというのならば、県政もそれにしっかりと対応しているんだという姿勢が必要だと思いますが、PRとしては今の体制はまだまだ不足ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
〇宮舘副知事 今お話し申しましたように、庁内で岩手県雇用対策連絡会議を設置して、各部連携して取り組んでおりますし、また、産業団体とか労働団体等で構成いたします岩手県雇用対策推進会議という民間組織も入れた組織もございます。こういった外部の方々とも協力しながら取り組みを進めていきたいと思っております。
〇高橋雪文委員 いずれ、シンボルとなるような、そういう部局をしっかりと明示していただきたいと思います。
 次に、人口転出の歯どめについての問題提言でございますけれども、このことは、議会ごとに私からも提言しているところでございます。
 そこで、現在の県内人口の推移はどうなっているのか、お示しいただきたいと思います。減少が続いている理由をどのように考えているのか、改めてお聞きしたいと思います。
〇菊池総合政策部長 県内人口の推移でございますが、ことしの9月1日現在の毎月人口推計による人口は135万2、858人となっておりまして、平成13年以降減少が続いておりますが、年々減少幅が拡大し、平成17年以降は毎年約1万人減少している状況にございます。
 人口の推移を自然動態と社会動態から見ますと、自然動態は平成11年から減少に転じ、その後減少幅は年々拡大し、19年は4、194人の減少となっております。また、社会動態は、統計数値のある昭和31年以降一貫して減少で推移してきましたが、減少幅は拡大傾向にありまして、平成17年には5、000人を超え、平成19年は6、881人の減少となっております。
 その理由でございますが、自然動態では、少子・高齢化の進行によりまして、出生数が減少傾向であるのに対し、高齢者の増加に伴う死亡数が増加傾向にあるため、出生数を死亡数が大幅に上回っていることによるもの、また、社会動態につきましては、県外への転出がほぼ横ばいで推移する中、県外からの転入の減少が続いていることによりまして、減少幅は拡大傾向にあります。特に、二十歳から24歳までの若年層では、転出も拡大してきておりまして、社会減の要因となっております。このことは、進学、就職等により首都圏などへ転出した若者が、県内に雇用の場が十分に確保されていないために県内に戻ってこないといった経済的な要因が影響していると考えられます。
〇高橋雪文委員 知事にお聞きしたいと思います。危機を希望に変える政策の推進でこの1年半取り組んでこられたわけでございますけれども、雇用は、やはり改善しておらない、また、人口の減少にも歯どめがかかっていない、これらについての御所見をお聞きしたいと思います。
〇達増知事 総合政策部長の答弁にもありましたように、県内に雇用の場が十分に確保されていないという経済的な要因が大きく影響していると考えられる。もし、もっと県内の景気がよければ、雇用の場があれば、県内で働きたいという若い人たちが、その自由な意思に反して岩手県外に出て働かなければならないというのは、本当に断腸の思いと申しますか、何とかして一人でも、岩手の中で働きたい人が岩手の中で働けるようにということを進めていかなければならないと思っております。
〇高橋雪文委員 次に、地域医療の確保として、医師確保などに努力されていると思います。医師確保対策費の実績と効果をお示しいただきたいと思います。
 また、緊急医療対策費の内容をお知らせいただきたいと思います。
 地域医療を考えたとき、県民のだれもが、平等に、公平に医療や福祉が受けられることが、県の責務だと思います。しかしながら、広大な県土を有する本県において、医師の偏在も重要な課題でございます。目標数値が向上したからといって、地域実態には果たしてどうなのか、お聞きいたします。
 また、医師を配置できない地域でも、救急に対応できる制度が求められておるところでございます。一つは、盛岡市医師会が進める小児救急相談制度は、本県の問題も補う上で重要な政策と思いますが、いかがでしょうか。
 また、ドクターヘリの導入は、国の助成制度が確立した中で有効な事業だと思います。現在の進捗状況をお知らせください。
 また、IT技術を利用した医療相談などの取り組みも試行されておりますが、その現状と問題点についてもお知らせいただきたいと思います。
〇宮舘副知事 まとめて御質問いただきましたので、まとめてお答えさせていただきたいと思います。
 まず、医師確保対策費の実績と効果についてでございますが、これまで、県内の医師の絶対数を確保するため、岩手県医師確保対策アクションプラン等に基づく施策を展開してきたところでございます。
 平成19年度に初期臨床研修を修了した医師74名のうち62名が、引き続き県内において病院での勤務や大学院等に進学いたしまして、これまで奨学金を活用していた医学生18名が、平成20年4月から県内で初期臨床研修を開始したほか、女性医師への就業支援によりまして5名が職場に復帰している状況でございます。
 また、医師確保対策室による即戦力医師の招聘活動によりまして、平成19年度は8名の医師を招聘することができました。
 平成20年度からの岩手医科大学医学部定員増に伴い必要となる医学教育環境整備を支援いたしまして、地域枠で本県出身者が10名入学いたしました。
 こうした取り組みは、本県の医師の絶対数の確保に着実につながっておりまして、引き続き地域医療の確保に向けて充実を図っていきたいと考えております。
 それから、救急医療対策費の内容についてでございますが、主なものは、二次救急医療を担う病院、いわゆる病院群輪番制病院41病院のうち、県立の16病院の運営費等に対する補助でございます。
 それから、三次救急医療を担う岩手医大の高度救命救急センター並びに大船渡及び久慈病院の救命救急センターの運営費等に対する補助がございます。
 それから、小児科の救急医療体制の確保を図るため、全県からも小児の二次救急患者の受け入れを行っている盛岡地区の小児二次救急病院群輪番制の4病院の運営費に対する補助、並びに小児救急医療電話相談事業等の実施に要する経費などでございます。
 次に、地域実態に対する基本認識についてでございますが、医師確保事業アクションプランに基づく取り組み等が一定の成果につながり、県内の医師数が平成16年の2、499人から平成18年には2、569人と70人増加しておりまして、人口10万人当たりの医師数の達成度に前進を見たところでございますが、一方において、県央部以外の地域においては、十分に改善されていないところもありまして、本県の地域医療の現状は、依然として厳しい状況にあるものと認識しているところでございます。
 このため、引き続き希望創造プランに基づく取り組みをより強力に推し進め、臨床研修医の受け入れ拡大と定着、即戦力医師の招聘、岩手医科大学医学部の定員増に対応した地域枠の拡大などの取り組みにより、医師の絶対数をふやすとともに、医療計画に基づき、各疾病に対応した医療機関の機能分担とネットワーク化を進め、地域医療体制の確保に努めてまいりたいと考えております。
 次に、小児救急相談制度についてでございますが、小児救急医療電話相談事業は、県内全域を対象といたしまして、夜間、保護者からの相談を看護師が受け付け、適切な対処方法についてアドバイスするものでございまして、県が平成16年10月から岩手県医師会に委託して実施しているものでございます。
 平成19年度は、発熱や嘔吐など約2、700件の相談に応じまして、保護者の不安解消に努めているところでございます。
 利用者のアンケート調査では、8割近い方々から、翌日に医療機関を受診したとか、様子を見るだけで受診は不要だったなどの回答が得られておりまして、保護者の不安軽減もさることながら、地域の救急病院の夜間における医師の業務負担軽減に一定の効果を果たしているものと考えております。
 さらに、ドクターヘリの導入についてのお尋ねがございました。
 ドクターヘリの導入については、今年度は、これまでの内部検討をもとに、さらに本県への導入可能性を精査するため、まず、先進地調査を行いまして、患者搬送先として、救急現場近隣の二次・三次救急医療機関との連携体制が重要であることや、山間部などで、舗装されたヘリポートが地元市町村によって整備されており、ドクターヘリの機動的・効率的な運行に極めて有効であることなど、有用な情報を収集できたところであります。
 また、防災ヘリを用いまして模擬飛行調査を実施し、救急現場での治療開始までの時間、現地から救急医療機関への搬送時間の短縮効果を確認したところであり、今後さらに、消防機関の救急搬送情報も得まして、時間短縮効果を検証していきたいと思っております。
 今後、これまで課題とされてまいりましたヘリポートの整備や専任スタッフの確保なども含め、さまざまなケースを想定しながら、ドクターヘリの導入可能性の調査に引き続き取り組んでまいりたいと考えております。
 それから、最後に、IT技術を利用した医療相談についてでございますが、本県では、県内の17の病院をテレビ会議システムで結びまして、小児救急患者の診療を行う病院の当直医等が、検査画像等を交えながら岩手医大等の小児科医療専門医からアドバイス等を受けられる小児救急医療遠隔支援システムを平成16年9月から運用しております。
 平成19年度は37件の相談がございました。運用開始当初は、救急患者を診療する際の利用が多かったわけでございますが、最近では、新生児の先天性心疾患等の、より専門性の高い診断支援の利用例が増加するなど、小児救急一般から、より専門的な診療支援へと運用が変化してきているところでございます。
 県といたしましては、こうした現状も踏まえまして、診療現場の医師の声を伺いながら、このシステムがより効果的に利用されるように努めてまいりたいと考えております。
〇高橋雪文委員 次の項目に移りたいと思います。
 6月、7月に起こった県内の地震は、さまざまな影響を与えているところであります。知事が、ブラジル移民50周年記念事業に参加された途中で、いち早く帰国、陣頭指揮をとったことは、評価に値すべき行動であったと思います。
 しかしながら、先日の一般質問で阿部富雄議員から、岩手・宮城内陸地震災害及び岩手県沿岸北部を震源とする地震災害の復旧・復興についての緊急質問が提案され、議会運営委員会でその緊急性が認められたように、この問題は解決しておらず、遅々として対応が進んでいないことが明らかになってまいりました。
 まず、緊急性があるこの問題に対応するために、このような時期にこそ基金などの活用の必要があるのではないかと感じますが、なぜ災害時に運用しないのかお知らせください。
 さらには、県は、さきに述べたように財政が硬直化し、単独事業で対応が十分できないようになっているようでございます。国と連携を深めていくべきだと感じますが、いかがでしょうか。知事の災害に対する認識もお聞かせいただきたいと思います。
〇達増知事 まず、基金の活用についてでありますが、地震等の災害時にあっては、応急対策や復旧に必要となる一般財源の手当ての手法としましては、まず、地方交付税の増額や前年度からの繰越金の活用などが見込める場合には、それらを財源として必要な予算を計上いたしますが、なお不足する場合には、委員御指摘のとおり、基金の活用が必要となるケースも想定されます。
 本年度の災害においては、現時点では基金の取り崩しが必要な状況には至っておりませんけれども、今後の大きな災害の際には基金の活用が必要となることも考えられますので、そのためにも基金はできるだけ残しておけるように工夫したいと考えております。
 今回の地震災害に当たりましては、発災直後から速やかに国に対して直轄事業による事業実施や各種の財政支援を要望したところであり、国のほうでもそれにこたえ、さまざまな支援をいただいているところであります。今後とも国との連携を深め、被災地における復旧・復興が速やかに進むよう全力を尽くしてまいりたいと思います。
 災害につきましては、国、県、市町村、そして関係機関が連携を図り、日ごろから災害予防に取り組むとともに、災害が生じた際には、迅速かつ的確な応急対策と、そして住民の立場に立った復旧・復興に総力を挙げて取り組むことが重要と再認識したところであります。
〇高橋雪文委員 もう少し認識をお聞きしたいと思いますが、阿部富雄議員が緊急質問をする、これは本当に喫緊の課題だと。喫緊の課題に対して対応できないいということはどうしてなんでしょうか。
〇達増知事 例えば、祭畤大橋にかわる橋の再建にはやはり何年かかかるわけでございますし、また、今、道路の通行どめ等によりまして、被災した家屋のところに自由に行き来できないといったところの道路の復旧工事もやはり段階がございますので、なかなか短時間のうちに一気に完全に直すということは、ただ、その方向で努力はしてまいりますけれども。そういう中で、現在、被害を受けた公共施設がまだもとのように戻っていないのは事実でございますし、避難を余儀なくされている方がいるというのは、やはり一日も早く解消されなければならないことと考えます。
〇高橋雪文委員 そういうものの対応のために基金があると思いますが、いかがでしょうか。
〇達増知事 先ほど申し上げましたように、交付税の増額や、また、繰越金での対応等を進めておりまして、詳しい費目等については部局別審査の中で御質問いただければと思いますけれども、基金をできるだけ残しておきたいという要請と、今、対応できる財源についてはそれを使うというバランスの中で、現在、基金には手をつけていないということでございます。
〇高橋雪文委員 ちょっとわかりませんけれども、次に進みたいと思います。
 現在、国会では補正予算が審議され、国では4、408億円の災害復旧費を計上しているところでございます。ところが、こういう時期にありまして、知事は10月16日、東京で予定されている岩手・宮城内陸地震災害復旧の要望には副知事を派遣させ、御自身は一関で行われる財団法人フォーリン・プレスセンターによる取材、懇親会に出席されることを優先されております。県民の代表としての立場、緊急性が求められることから、地震災害復旧にかかわる公務を優先するべきだと思いますが、知事の御見解をお知らせいただきたいと思います。
 あわせて、取材内容と懇談会の内容の詳細をお示しいただきたいと思います。
〇達増知事 今回の災害復旧要望は、9月に副知事が国土交通省に災害復旧要望を行った際、国土交通省のほうから財務省にも要望してほしい旨の要請を受けたために副知事が要請を行うこととしたものでございます。なお、私自身、地震災害の復旧・復興対策は県政の重要課題と考えており、6月と7月の2回にわたり、財務省を含め九つの関係省庁への要望を実施しているところでございます。
 一方、私が出張を予定している財団法人フォーリン・プレスセンター関連の当日の日程は、日本に駐在する外国特派員が、世界遺産登録を目指す平泉を終日にわたって視察した後、平泉町長同席のもと知事が記者会見を行い、あわせて懇談会に出席し平泉をPRするもので、フォーリン・プレスセンターと平泉町が主催するものであります。
 私といたしましては、日本に駐在する外国特派員の平泉視察への対応は、本県を海外にアピールする絶好の機会であり、また、3年後の平泉の世界遺産登録を実現するためにも、県のトップである私自身が対応すべきものと考えているところでございます。
〇高橋雪文委員 副知事にお聞きしますが、財務省には何時に入られるのでしょうか。
〇宮舘副知事 今ちょっと手元に具体的な日程、時間割を持っていなかったので詳しくはお答えできませんが、財務省ほか、あちこちさまざまなところに要望やら企業訪問等を行うことにしてございます。
   (発言する者あり)
〇宮舘副知事 今、調べてお答え申し上げます。
〇高橋雪文委員 それでは、時間については後ほど聞きたいと思います。
 私は、やはりこういう緊急性、重要性を考えるならば、要望は知事みずから行ってもらいたい。特に予算が4、408億円ついている─反対もあるようでございますけれども─、やっぱりそういうときにはしっかりと知事に先陣を切ってやっていただきたいと思います。
 後ほど次の質問とあわせて聞きたいと思いますが、実は全国からこの岩手の災害に対して善意の募金や寄附が寄せられておるところでございます。私も2団体から要請を受けまして、ぜひとも知事に直接この要望、思いを渡したいということでお願いしたところでございます。しかし知事の対応は、両団体とも、忙しいということで部長対応でございました。今回、30日に行われるものがあるんですけれども、こちらの団体の寄附は実は震災に遭った新潟県からの寄附でありまして、私は、そういう全国の支援や善意に対して知事に直接お渡ししたいということに対して、部長でいいのかと。忙しいからということでありますけれども、本当にそのようなお考えでよろしいのか、そして、5分も会う時間がないのか、その点についてお知らせいただきたいと思います。
〇達増知事 義援金につきましては、できれば本当にすべて直接いただき直接御礼を差し上げたいところではございますが、実際にはかなりの部分が担当の、団体であれば当該団体所管の部長が対応したり、あるいは東京であれば東京事務所長が対応したりということになっております。また、幾つかその上部団体を経て間接的にいただいているケースもございまして、本当であれば、例えばいろいろなお店の店先や、また団体の受付のところに置いてある箱にお金を入れたものもその人自身に直接お礼を言いたいところですけれども、万を超える皆さんに今回の地震では貴重な善意をいただいておりまして、本当にお礼の言葉をどんなに重ねても足りないところでございます。
 そういった対応について、満足できない対応に終始しているとすれば、それはもう私の段取りの悪さでございまして、不徳のいたすところでございますので、反省したいと思います。
〇宮舘副知事 要望の時間でございますけれども、16日の1時過ぎから財務省のほうに要望することとしているものでございます。
〇高橋雪文委員 まず、要望の時間で1時ということでございますけれども、一関のプレスは6時からということでございます。私は、知事が行っても、当然帰ってこられる時間帯だろうというふうに思います。もう一度再考していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 次に、先ほど言いました予定を合わせていただけるということなので、ぜひそういう形で、知事にその団体に対して直接会っていただいて言葉をかけていただきたい、かように思いますので、私のほうからもお願いをしたいと思います。
〇達増知事 今回の災害に係る要請・要望活動は、栗駒山系を中心に多発した河道閉塞、いわゆる天然ダムの緊急対策の推進、そして、その河道閉塞─天然ダムや、また、不安定土砂の流出防止について直轄緊急砂防事業の創設による短期集中的な抜本対策を求めるものでありますけれども、これらについては、私は、それぞれ財務大臣あるいは国土交通大臣に既に直接お願いしているところでありまして、その流れの中で、先般、副知事が財務省の局長、次長級に会って要請を行い、いわば事務レベルでの専門的、技術的な調整も含めた段階に既に入っていると考えております。先般の国土交通省要望が局長、部長クラス、そして今回の財務省要望が局長、次長クラスということで、県としての中央省庁に対する要請、そして連携としては自然な段取りではないかというふうに考えております。
 また、義援金の受け付けに関しましては、それぞれ担当部局、また秘書課のほうですり合わせた上で対応を決めておりますので、同様の対応とさせていただければと思います。
〇高橋雪文委員 それでは、次に進めさせていただきたいと思います。
 知事は、御自身のマニフェストに岩手公共サービス憲章を策定して県職員のあるべき姿を明らかにし、士気を高め、不祥事や失敗を防ぎますと高らかにうたっておるところでございます。しかしながら、就任以来、教職員の飲酒などの問題や職員の問題行動など、公務員としてのコンプライアンス遵守がむしろ低下しているようにさえ感じるところでございます。また、先日の監査委員の指摘による放課後児童クラブへの補助金未払い問題、盛岡地方振興局の入札業務における職員による不適切な対応による入札の取り消しなど、業務の上での誤りも目立つようになったところでございます。
 これらの職員の問題について知事はどう考えておられるのでしょうか。また、特に入札業務などは、業者に強い指導をし、少しでも誤りがあれば入札参加機会を与えないなどの指導もあるにもかかわらず、今回、入札業務では、非がなかった業者に対して簡単な謝罪で終わるなど、他人に厳しく身内には甘い対応が見てとれます。知事は、職員の不祥事に対し、どのような姿勢で臨もうとしておられるのか質問いたします。
 また、御自身のマニフェストに掲げてある職員憲章について、いつまでに作成するつもりなのか明らかにしていただきたいと思います。
〇達増知事 職員の問題についてでありますが、まず、県民の皆様の信頼を損ねるような職員の問題行動や事務処理上のミスが発生したことについては大変重く受けとめているところであります。特に、職員の問題行動に起因する不祥事については従来から厳正に対処してきているところでありまして、今後においても同様の姿勢で臨む考えであります。
 次に、入札執行などの事務処理上のミスについてでありますが、組織的なチェック体制や制度面の理解が必ずしも十分でなかった場合などさまざまな要因がありますことから、その責任については、個々の事案の発生に至った事実関係を見きわめ、その内容に沿った処分を適正に行ってきており、今後もしっかり対応してまいります。
 いずれにいたしましても、不祥事の再発防止については、管理職員と各職員とのコミュニケーションの向上やコンプライアンスの遵守などが重要と考えておりまして、各職場におけるこうした取り組みをこれまで以上に着実に実行してまいりたいと思います。
 次に、いわゆる職員憲章についてでありますが、私は、本県が分権型社会に対応した地域経営を推進していくためには、質の高い行政サービスを提供していく仕組みをつくり上げていくことが必要と考えておりまして、知事と職員が心を一つにして公共サービスのあるべき姿を描いていく公共サービス憲章の策定をマニフェストに掲げたものでございます。
 私は、知事就任以来、同じ意識を持って行政運営に当たるよう職員との対話を行ってきたところでありますが、その対話を通じて、公共サービスの基本的なあり方について職員との共有が進んできているものと考えております。また、いわて希望創造プランと連動した形で策定しました岩手県集中改革プログラムにおきまして、より質の高い県民本意のサービス提供を改革の視点として掲げておりまして、こうした取り組みを踏まえ、今年度内にその職員憲章のようなものを作成する予定でございます。
〇高橋雪文委員 次に、入札制度について質問いたします。
 低入札防止や公正性を目的として条件付一般競争入札の実施が始まりました。始まったばかりですが、現状をどのように評価されているのでしょうか。
 今回、実施して土木関係で重大なミスが発覚し、先ほども触れましたが、入札を一たん決めたものの、入札そのものを取り消すという事件が起きました。その中で指摘されているのは、土木などの専門性が問われる入札業務において、専門的な業務に余り理解をされていない入札担当者が単に基準に合わせて制度を行使し、結果として混乱を招いていることが指摘されております。特に、同じような項目の入札でも地方振興局によってはその判断がばらばらであり、さらに入札方式もばらばらであることも指摘され始めているところであります。専門性の高い入札の場合は、総務所管の入札をもとに戻し、所管の部署で行うことを求める声もあると聞きますが、その実態と見解はいかがでしょうか。
〇川窪総務部長 条件付一般競争入札の評価についてでございますが、入札のうち建設工事につきましては、昨年7月に条件付一般競争入札の拡大と電子入札の全面運用等を始めておりまして、公正性、透明性、競争性の確保を図りつつ入札参加機会を拡充いたしますとともに、県内企業の育成や入札参加者の負担軽減、価格と品質にすぐれた調達を目指すといった観点に立って進めてきております。これまでのところ、関係者の皆様方の協力をいただきまして、おおむね順調に実施されているものと認識しております。
 一方、測量、設計などの建設関連業務につきましては、公正性、透明性、競争性をさらに高めるため、本年7月に従来の指名競争入札に加えまして対象業務や対象金額を限定した条件付一般競争入札を開始しているところでございまして、こちらのほうは、これまでの実績が16件と少ないことから評価をするのはまだ難しい段階でございますけれども、入札参加者数の増加が見られるなど、導入の目的に沿った入札が実施されているものと認識しております。
 ただ、その過程で先ほど御指摘いただきましたようなミスも発生してございまして、ミスが発生したことにつきましては大変申しわけないことでございます。
 この発生しましたミスの事案についてでありますが、これは、建設関連業務についてのものでございます。本庁と振興局との間での事務処理の詳細部分についての不徹底によって生じたものでございまして、総務部が入札事務を担当していることと直接の因果関係があるとは思っておりませんけれども、いずれにしても、こうしたミスを繰り返さないように再発防止を徹底したいと考えております。また、地方振興局間での入札の取り扱いにつきましても統一した形で進めるよう、ばらばらにならないよう再度徹底してまいりたいと考えております。
 入札事務の担当部局につきましては、発注部局と分離し、よい意味での相互牽制のもとに円滑に執行していくという観点から総務部で担当しておりまして、今後とも発注部局と必要な連携をしっかりとりながら適切な事務の執行に当たってまいりたいと考えております。
〇高橋雪文委員 次に、公正取引委員会から独占禁止法違反で排除勧告された県内建設業91社に対する問題で、その結論が近々出されるのではないかとされているところでございます。この判決によって県も対応していかなければなりませんが、その対応はどのような段取りで、どのように進められるのでしょうか、お示しいただきたいと思います。
 この中に入札のペナルティーの規定がございます。この規定の運用によって仮に有罪と判決された場合、かなりの県内建設関連業者が経営できない可能性があると指摘されているところでございます。岩手の経済がこれほど疲弊し、雇用も十分ふえない状況の中で、これらの産業分野の会社倒産につながる動きはできるだけ回避したほうがよいと思いますが、対応次第によっては県内の経済に大きな課題が残るのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
〇川窪総務部長 いわゆる91社問題についてでございますが、これまで15回の審判が開かれておりまして、次回はこの11月7日に16回目の審判が開かれる予定と聞いております。その後の審判の動向につきましてはなお不確定でございまして、現時点では、最終的な審決の時期やその結果、内容を予測することは難しい状況でございます。
 したがいまして、現時点では、県としてどのような対応を行うことになるかにつきまして、まだはっきりしない、不明であると申し上げるしかないわけでございますけれども、今後の審判手続の動向を注視いたしまして、その動向に応じまして迅速に検討してまいりたいと考えております。
〇高橋雪文委員 増田県政下でペナルティーの規定を非常に強化されたということがございます。その強化がいい、悪い、談合については悪いということで進んでいるわけでございますけれども、そのペナルティーが非常に足かせになっているということもございます。そういった意味で、県内の経済動向を勘案しながら、少し検討の余地もあると思いますが、いかがでしょうか。
〇川窪総務部長 談合が行われた場合のペナルティーにつきましては、現在まで、あるいは現在進行形で、その生じた談合の内容に応じましてそれぞれの措置を講じてきているところでございますので、現在講じられている措置がやはり基本にならなければ、今現在そういう措置を受けている企業の皆さん方との公平ということもございます。そこのところは基本を踏まえつつ、具体的な結論がどのようなものになるかを確認しながら対応を考えてまいりたいと存じます。
〇高橋雪文委員 これについては、もう少し後で議論を深めていきたいというふうに思うところでございます。
 談合防止の研究もさまざま取り組まれているようでございます。その中で、通常の一般競争入札によらない発注方法の採用について、民間業者の提案をもとに発注者を決める方式が幾つかあるようでございます。その中で、発注者の補助・代行をするCM─コンストラクションマネジャーと呼ばれる者が発注者の側に立って、設計、発注、施工の各段階において工程管理、品質管理、コスト管理などの各種マネジメント業務を一元的に行う方式が海外などで導入されているようでございます。一括して元請業者に発注するのと違い作業は煩雑になりますが、CMを通じて地元の施工業者へ直接的な発注ができ、価格保証や技術の確保など有益性があると言われている手法でございます。県では、このCM方式についてどのように考えておられるのかお聞きいたします。
〇宮舘副知事 CM方式につきましては、発注者側の立場に立って監督や技術の補助を行わせることにより、品質の確保や円滑な施工監理を期待するものでございます。CM方式には、御指摘の発注者がCMR、いわゆる工事を統括する企業に一体的に発注するアットリスク型CM方式と、発注者が専門会社に個別に発注し、CMRが施工監理等を行うピュア型CM方式があると聞いております。
 CM方式を導入する場合には、コスト縮減や新技術導入など、その効果を発現させるため、一定規模以上の事業に導入することが望ましいと言われております。国内においては国土交通省などで大規模工事で試行しておりますが、まだ十分な実績があるとは言えず、発注者、受注者双方に十分なノウハウが蓄積されていない状況でありますので、今後、各種先進事例等を参考としながら導入の可能性を検討してまいりたいと考えております。
〇高橋雪文委員 次に移りたいと思います。
 県の男女共同参画調整委員は、県立学校で使われている児童生徒名簿が男女の別を設けない男女混合名簿にするかどうかを議論するよう県教育委員会に勧告をいたしました。男女別名簿は形式的な男女差別である、改善してほしいという内容を受けているものであり、その趣旨も疑うところであります。
 そこでお聞きしますが、その主な経緯、並びに男女共同参画と混合名簿がどのような関連があるのかお聞きいたします。
 また、そもそも学校側に勧告ができる組織であるのか質問をさせていただきたいと思います。
〇宮舘副知事 勧告の経緯についてでございますが、岩手県男女共同参画推進条例第16条第2項の規定に基づきまして、県民から男女別名簿の使用について調査し、外見的男女差別を改善するようにとの苦情の申し出があったことから、教育委員会に対する2回の調査、委員による6回の会議、教育委員会との意見交換を行った上で勧告されたものでございます。
 男女共同参画と男女混合名簿の関連についてでございますが、男女別名簿につきましてはさまざまな議論があり、性別によって役割分担を固定的にとらえる意識に基づいた社会における慣行に結びつくものという見方もあることから、今回の勧告におきましては、これまでの制度、慣行の見直しの一つとして、各学校において男女混合名簿の使用について男女共同参画の視点に立った議論がなされるように促すことが望ましいこと、また、各学校に対し、男女混合名簿の使用について議論し、主体的に判断するための資料を情報提供することとされたものでございます。
 勧告の対象でございますが、男女共同参画調整委員制度は、男女共同参画に関する県民または事業者からの苦情、相談について、独立した専門的立場から判断し、必要に応じて県の機関に対し、助言、指導、勧告を行うものでありまして、県の機関である教育委員会に対して勧告したものでございます。
〇高橋雪文委員 私の質問の中で、男女混合名簿が男女共同参画社会の形成とどのようなかかわりがあるかというのを聞いたところでございます。これについてはっきりとお答えいただきたいと思います。
〇宮舘副知事 この男女共同参画と混合名簿の関係でございますけれども、男女別の名簿については、性別によって役割分担を固定的にとらえる意識に基づいた社会における慣行に結びつくものという見方もあるということから、今回、勧告となったものでございます。
〇高橋雪文委員 そういう疑いもあるという内容で勧告という言葉で強く指導していいものかということをお聞きしたいと思います。
 これはまだまだ議論の余地がある問題でありまして、やっぱり学校現場では、男女の性差、こういうものをしっかりと認識した上で、その互いのよさを認め合いながら、支え合いながらその社会参画を目指していかなければならない、こういう考え方が普通の、普通のと言うとまた語弊がありますけれども、一般的な解釈として今まで慣習のもとにあったんだと思います。そういった意味からして、今回の勧告というのは余りにも唐突で、少し無理があると思いますが、いかがでしょうか。
〇宮舘副知事 先ほど申し上げましたとおり、さまざまな議論があるということは十分承知しておりますし、それから、各学校において男女混合名簿の使用について議論がなされるようにということで教育委員会のほうにそういう勧告をしたものでございまして、具体的には学校現場のほうでいろいろ議論していただくということになろうかと思います。
〇高橋雪文委員 これは、男女共同参画課の中でやっぱりしっかりとした議論が行われていないということのあらわれだと私は思うんです。私は、もう少し本庁を挙げてこの男女共同参画のあり方について議論して、本当に男女混合名簿が共同参画につながるのか、それとも、男女の役割をしっかり認識した上で互いに支え合う社会が男女共同参画なのか、そういうことをもんでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
〇宮舘副知事 お話がありましたことも踏まえて十分これから検討してまいりたいと思います。
〇高橋雪文委員 最後に、競馬事業についてお聞きしたいと思います。
 知事は、さきの一般質問の吉田洋治議員の質問に対し、民主的なプロセスの中で判断していけば競馬事業は大きな問題ではないと話されました。また、競馬議会では、私の質問のやりとりの中で、現行方式で継続可能との趣旨を話されたところであります。
 再度知事の御認識をお聞きしたいと思いますが、岩手競馬の継続は現行方式で継続が可能だとお考えなのでしょうか。大きな問題ではないとの御発言は、将来にわたって競馬事業が継続でき、330億円の融資の返済のめどもついているということなのでしょうか。それが大した問題ではないということなのでしょうか。議会や県民が競馬事業の存続や廃止によってもたらされる社会的な影響を心配していることに対して、心配は要らないとのことなのでしょうか、知事の御認識を確認させていただきたいと思います。
〇達増知事 まず、現行方式での岩手競馬の継続の可能性についてでありますけれども、今、岩手競馬は、競馬組合議会の議決や各構成団体議会での融資予算可決を経て決定された、いわゆる新計画のルールに沿って、競馬関係者等と発売状況などの情報を常に共有し、理解と協力をいただきながら、必要な場合にはコスト調整を行うことで収支均衡を実現することが基本となっておりまして、平成21年度以降においてもこのような現行の方式により競馬事業を存続させていくことは可能と考えておりますが、他方、中長期視点に立った抜本的な改革を検討し、より確実に存続できる方向に持っていければなおよいというのが私の方針であります。
 今年度については、第1期の発売実績を踏まえ6月に見直した収支計画をこれまでのところ達成しておりまして、このまま推移すれば今年度の収支計画の達成は可能と考えております。
 仮に平成21年度からの民間委託拡大を実施しない場合は現行方式による事業運営を継続することとなるわけでありますが、その場合、来年度も引き続き厳しい経営環境となることが見込まれますので、そのような状況について、競馬関係者や取引先企業と十分に認識を共有しながら収入の拡大に向けてあらゆる方策を講じるとともに、支出面でも関係者の理解と協力をいただいて、経費の見直しや業務の効率化を徹底することで収支均衡を実現したいと考えているところでありまして、民間委託拡大の成否にかかわらず、このような取り組みを全力で進めて、関係者一丸となって競馬事業の継続をより確かなものにしてまいりたいと考えております。
 大きな問題ではないとの発言についてでありますが、発言の趣旨は、岩手競馬は岩手県民の問題であって、責任を持ってしっかりと取り組んでいかなければならないという認識のもと、岩手競馬は、岩手県民の手に負えないほど大きな問題だから外部に助けを求めなければならないというようなものではなく、競馬組合や構成団体が県民、市民の理解を得ながら主体的に解決していかなければならない問題であるということを申し上げたものであります。
 私は、岩手競馬の問題は、民間委託拡大の可能性も含めて、さまざまな工夫と努力を重ねながらよりよい経営のあり方を追求し、民主的に正しい判断を行っていくことがこの問題の本質であると考えておりまして、岩手競馬は、県議会を二分するような激しい議論を経て、構成団体から330億円の融資を受けて事業継続が認められたものでありますし、また、廃止された場合には、新たな財政負担や地域経済への影響、関係者の雇用問題など多くの問題を抱えることにもなりますので、収支均衡のもとで競馬事業を存続させることが県民から与えられた命題であり、また、県政にとって重要な問題と考えております。
 今後とも、知事であり競馬組合の管理者である私が先頭に立ちまして、岩手県民の知恵と力を結集して取り組み、持続可能で安定的な岩手競馬を構築してまいりたいと考えております。
〇高橋雪文委員 県のほうでは財政が厳しい中で中期財政見通しをつくられていると。競馬組合は中期財政見通しをつくらないんですか。
〇達増知事 県が中期財政見通しをつくるかどうかということについては、それも私は必ずやらなければならないというよりは、その都度の予算に関して理解をいただくためにつくるものと考えておりまして、競馬についての中期見通しについては今のところ考えておりません。
〇高橋雪文委員 毎年売り上げが10%以上削減している、そういう段階の中で、我々は継続するのは非常に難しい、こういう中から議論しているわけでありまして、やはりその心配を解くためにも中期的な見通しをしっかり示していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
〇達増知事 急に質問をいただいたので、慌てて不完全な答弁で恐縮でございましたが、むしろ同じ年度内でほぼ四半期ごとに4回、5回見直しをしながら、とにかく赤字を出さないということが命題でございますので、その点、県の財政とは違っておりますので、むしろ同じ年度内できちんと細かく見直していくことが今、重要な局面と考えております。
〇高橋雪文委員 ありがとうございました。あとは競馬組合でまた議論を重ねていきたいと思います。
〇大宮惇幸委員長 この際、世話人会の申し合わせにより、10分間ほど休憩いたします。
   午後2時53分 休憩
午後3時13分 再開
〇大宮惇幸委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 亀卦川富夫委員。
   〔亀卦川富夫委員質問者席に着く〕
〇亀卦川富夫委員 政和・社民クラブの亀卦川でございます。よろしくお願いいたします。
 まず、社会経済情勢についてお伺いします。
 我が国は、少子・高齢化社会における問題の顕在化、また、世界的には、環境、エネルギー、食料問題など、まさにパラダイムシフトと言われる状況にあります。
 このような状況のもと、岩手県政の方向性と政策推進もまた岐路にあると思います。そこで、現下の地球的な状況を俯瞰し、我が国の向かうべき社会のあり方についてお伺いいたします。
 一方、地方政府という表現に代表される地方分権時代を踏まえた社会のあり方が問われております。あわせて達増知事の御認識をお伺いします。
 また、その認識の上に立って、平成19年度決算、施策評価を検証したときに、これまで進めてきた政策と急激なパラダイムの転換に対し、とるべき今日的な政策のずれとでも言いましょうか、あるいは重要度の食い違いというものがあろうかと思いますが、その御認識を冒頭にお伺いいたします。
 さらに、ただいまアメリカのサブプライム問題発生から、世界の経済は大不況の様相を呈してまいりました。金融システムなど、大きな地殻変動が起きております。世界的な金融政策の取り組みはもちろん、我が国の景気対策など、喫緊の大きな政治問題が生じております。達増知事の御認識とあわせて、県内経済及び岩手県政に対する影響についてお伺いいたします。
〇達増知事 グローバル化が進展してまいりまして、その中で、ともすれば市場原理万能主義的な経済社会のあり方が広まり、そうした矛盾が大きくあらわれたのが、最近の世界的な金融不安の問題ではないかと思っております。
 我が国においても、グローバル化への対応の中で、やはりともすれば市場原理万能主義的な経済財政政策がとられ、日本社会は公正さが失われ、さまざまな分野で格差が拡大している状況にあると考えます。
 今後、我が国は、市場原理万能主義的な社会からの転換を図り、社会保障、雇用、産業面などで、日本型のセーフティネットをつくり、そして、安心して思い切って新しいことに挑戦することができるような活力ある国づくりが必要であり、その中で、特に、地方が元気で安心・安全であるという社会が目指されるべきと考えております。
 地方分権についてでありますけれども、地方分権時代の社会というものは、自然、歴史、文化、産業など、地域に根差したさまざまな資源や特性を生かして、それぞれの地域が個性を発揮し、魅力にあふれ活力に満ちた地域づくりが行われている社会と考えます。
 こうした社会をつくっていくためには、地域の自立と、そして地域住民の共生が不可欠であり、住民の方々や地域コミュニティ、NPOなど、多様な主体と行政とが手を携えて、みずからの判断と責任のもとに地域を経営していくことができるような真の地方分権を実現していくことが必要と考えます。
 本県におきましては、グローバル化の進展や、また、最近のさまざまな変化に対応したいわて希望創造プランを策定し、これに基づく政策を進めているところでありまして、ある意味、最近のこの世界的な金融不安の問題のようなことをも先取りした県政を進めているところと考えておりまして、世界的な金融不安による経済の低迷は、予断を許さない状況ではございますけれども、プランの考え方や方向性に沿った施策を、より一層力強く進めていきたいと考えております。
 そして、この今のサブプライム問題を端緒とする世界金融不安でございますけれども、今週に入って、きょうの状況はフォローしていないので、この辺についてはちょっとはっきり言えないのでありますが、いずれ予断を許さない状況にあると思います。
 県内経済への影響について先行きを判断することは難しいのでありますけれども、もし株価の低迷と円高ということがさらにどんどん進んだ場合には、大きなマイナス要因になると考えておりまして、また、県財政にとっても税収減などの影響が懸念されます。
 県においては、G7、世銀、IMF等の動き、また日本の国の金融経済対策の動向も踏まえながら、県民の仕事や暮らしの向上につながる施策の推進に全力を傾けていきたいと考えております。
〇亀卦川富夫委員 次に、本県の財政事情に対する認識についてお伺いいたします。
 地方自治体健全化法の施行により、これまでの予算至上のあり方から決算の重要性が重視されるようになってまいりました。財政健全化法の数値による判断は、財政が健全に管理運営されたことを検証するためには重要なことであります。一方、財政出動の必要性が大きくとも、健全性を保つために我慢せざるを得ないとすれば、不満も生じます。
 自治体は、本来、不採算部門や民間では実施困難な部門でも、地域に必要なことを行うのが役割でありますから、指標の数値を下げることだけに目をやるのではなく、本当に必要な事業やサービスは何かを考えることも大切な視点であります。
 財政再建路線を維持しながら、経済政策や医療・福祉政策などに配慮する極めて難しい、絶妙のバランスが要求されるのであります。厳しい財政状況の中、どのような事業を選択し、集中的に行い、効果を上げていくかということは、まさに知事の政策的判断にかかっているものと思います。
 そこでお伺いしますが、決算を踏まえ、もっと財政投入をすべきだった、さらに切り込めばよかった、またその逆もあろうかと思いますが、平成19年度の事業選択に対する思いはいかがでしょうか。
 また、決算の結果に対し、達増知事御自身の評価、みずから何点をつけられるのか、自己採点をお伺いしたいと思います。
〇達増知事 平成19年度については、私は、6月補正予算を編成したわけでありますが、そこでは、私のマニフェストをベースとした二つの戦略と6本の政策の柱に沿って、厳しい財政環境の中にあっても、必要性・緊急性の高い事業を積極的に予算計上いたしました。
 例えば、医師不足対策や雇用問題、広域振興対策、県北・沿岸圏域振興、産業振興施策など、県民が直面しているさまざまな課題の解決に向けて予算措置を行いましたし、県民生活、医療や福祉などが向上し、安心して暮らせるような環境の整備にも特に配慮して、積極的な事業化を図ったところであります。
 また、公共事業等についても、地域経済の状況が極めて厳しい状況にあることを踏まえまして、産業振興や安全・安心な暮らしにつながるような事業を積極的に進めることといたしまして、可能な限り補正予算に計上したところでございます。
 このように極めて困難な財政状況の中ではありましたが、私の政策を速やかに実行に移していくため、必要な事業については、最大限予算化したとの実感を持ったところでございます。
 そして、評価についてでございますけれども、平成19年度では、これまで課題とされていた競馬事業存続問題やIGR新指令システム構築問題、森のトレー問題などについて、一定の道筋をつけることができたと考えております。
 また、危機を希望に変える喫緊の課題である県民所得の向上や地域医療の確保など四つの目標を掲げた、いわて希望創造プランを策定したところでございます。
 今後4年間の県政方針となるいわて希望創造プランは、ことし1月からのスタートということでございまして、その1年目となる平成19年度決算の結果を踏まえた私自身の評価については、プランに基づく今後の取り組みの実績と成果を含め、県民の皆様に御判断いただくべきものと考えております。
〇亀卦川富夫委員 ただいまお伺いした評価の結果、先ほどお答えいただきましたパラダイムの転換期にある世界の動向や分権時代における岩手県政の今後のあり方を踏まえ、来年度予算編成はどのようなことに重点を置き行おうとされているのか。特に意を用いなければならない点と方針をお伺いしたいと思います。
〇達増知事 来年度予算についてでございますが、基本的には、所得や雇用、医師不足など、そういった危機から、県民の仕事や暮らしの現場を守っていくことを目標として策定いたしました、いわて希望創造プランを着実に推進するという方針のもとに、予算編成を行っていきたいと思います。
 また、地震による風評被害対策を初めといたします地震災害からの復旧・復興、そして、原油・原材料高騰対策、安全・安心な食の提供などの緊急的な課題にも的確に対応してまいりたいと思います。
 具体的な内容につきましては、昨今の急激な経済情勢の変化なども踏まえ、予算編成の中で十分に検討してまいりたいと思います。
〇亀卦川富夫委員 決算の結果についてでありますが、健全化法の基準について、本県はクリアしております。それでは、全国的な位置づけはどうでしょうか。地方分権は、地方の競い合いでもあり、財政力は、公共サービスなどにあらわれ、その結果、人口動態などにも影響があると思います。県のみならず、県下市町村の状況もまた大切です。財政力から見た岩手県の現状について、率直な現状認識をお伺いいたします。
〇川窪総務部長 まず、県分につきましてでございますが、全国的位置づけという意味では、本県の実質公債費比率は15.3%、将来負担比率が307.7%でありましたが、それぞれ全国の平均値は13.5%と222.3%でありましたので、いずれも全国平均を上回っている、よしあしで言うと、悪いほうに全国平均よりも振れているという状況にございます。
 本県におきましては、県債残高が多いということがこれらの比率を大きくしている要因でありますので、プライマリーバランスに留意いたしまして、県債残高の規模を現状以上に増加させないようにしていくということを基本的方針としながら、今後の財政運営を進めていきたいと考えております。
 地域間競争という観点からは、住民サービスを手厚くしたり、また企業誘致に直結する投資を拡大したりするということが期待されるわけでありますが、それは、一方で財政負担を伴いますので、結果として財政指標の悪化や将来の県民負担の増加にもつながるという面がございます。したがいまして、それらのバランスに配慮しつつ、限られた財源で最大限の効果が出るように工夫していくというのが、財政運営の当面の基本的なスタンスになるかと考えているところであります。
〇藤尾地域振興部長 本県市町村分の健全化判断比率等の全国的な位置づけについてでありますが、御案内のとおり、本県では、早期健全化基準を上回った市町村はありませんでしたが、さきに国から公表されました平成19年度決算に基づく健全化判断比率の速報値により、各都道府県の市区町村の平均値との比較で見ますと、実質公債費比率につきましては、全国の市区町村の平均値は14.4%に対しまして、本県の平均値は17.4%であります。それから、将来負担比率につきましては、全国の市区町村の平均値が106.6%に対し、本県の平均値は144.7%と、いずれも全国平均を上回り、都道府県順では、いずれも比率の高いほうから8番目の数値となっておりまして、決して良好とは言えない状況でございます。
 今後、少子・高齢化が一層進展する中で、多様化・高度化する住民ニーズに適切に対応していく必要がありますことから、早期健全化基準を下回ったことに安心することなく、中長期的な財政見通しをもって財政の見える化を一層推進し、より質の高い公共サービスを提供できるよう、効率的で持続可能な行財政運営に取り組んでいくべきものと認識いたしております。
〇亀卦川富夫委員 大変厳しい財政状況下、歳入をいかに図るか、これは腐心するところであります。しかし、財源の主なる原資は税金であります。消費税のあり方が問われておりますが、達増知事の考えをお伺いします。
〇達増知事 国、地方を通じた危機的な財政状況や今後の社会保障財源のあり方と関連し、今後の消費税の扱いが議論となっておりますけれども、昨今の経済状況にも配慮しつつ、国、地方を通じた税体系の抜本改革のあり方の一環として、慎重に、かつ十分に議論を尽くすべき問題と考えております。
〇亀卦川富夫委員 それでは、政策評価と新しい長期計画についてお伺いします。
 まず、政策評価についてであります。
 これまで県民の所得向上、雇用環境の向上、人口転出の歯どめ、地域医療の確保の4重点目標を掲げ、政策を推進、また、いわて希望創造プラン6本の柱と基盤整備は31の政策項目を設定して推進しております。
 その成果が発表されました。知事は、この結果をどのようにとらえておりますか。
〇達増知事 平成19年度主要施策の成果に関する説明書に基づき、いわて希望創造プランに掲げる各種指標等の実績について、目指す姿指標から見ますと、全体の68指標中、未確定指標等を除く52指標で達成、おおむね達成となっているものが33指標、全体の63.5%となっておりまして、プラン推進の初年度であることなどを考慮しますと、一定の成果を上げ始めているものと考えております。
 おくれている指標につきましては、達成度が上がるよう、その要因、課題の分析などを行いながら取り組みを進めるなど、いわて希望創造プランの着実な推進を図っていく考えであります。
〇亀卦川富夫委員 ただいま政策評価をお伺いいたしましたが、一方、今後10年間を展望した新しい長期計画策定を打ち出されました。先般の一般質問に対する答弁では、本県の将来像を県民の皆様とともに描いていくとした上で、いわて希望創造プランをアクションプランと位置づける旨の、言ってみれば新しい長期計画は理念、希望創造プランは実施計画という二階建てのような感じを受けましたが、改めて新しい長期計画の内容、組み立て方について、知事の考え方をお伺いいたします。
〇達増知事 新しい長期計画については、おおむね10年を計画期間とする長期ビジョン、そして、4年間のマニフェスト・サイクルと連動したアクションプランによる構成にしたいと考えております。
 具体的には、長期ビジョンは、本県の現状と課題を踏まえながら、10年後を見据えた本県の将来像やその実現のために重視する視点、施策の基本的方向などで構成することとし、できるだけ簡素でわかりやすいものにしていきたいと考えております。
 また、アクションプランは、長期ビジョンの実現に向けた具体的な取り組みを示す実施計画に当たるものと考えておりまして、次期アクションプランについては、今のいわて希望創造プランを見直しながら策定していく考えであります。
〇亀卦川富夫委員 次に、地方分権についてお伺いいたします。
 地方分権を進めるに当たっては、権限移譲を大幅に進めていくことが非常に大切であると思います。まず、国よりの権限移譲です。ただいま地方分権改革推進委員会では、国の出先機関の大幅な廃止・統合に向けた審議を行っております。中でも、大型公共事業を主導してきた国土交通省の地方整備局や農林水産省の地方農政局は改革の中心をなすものでありますが、知事は、現状をどのように考えておられますか。また、そのため知事はどのようにみずから積極的に行動しようとしているのか、お伺いいたします。
〇達増知事 地方分権改革推進委員会では、国の出先機関を抜本的に改革するとの基本的な考え方に立って、現在、国の出先機関が所管する事務・権限について、廃止、地方への移譲、本省への移管などの区分を示し、関係省庁からの回答をもとに審議を進めています。
 現段階では、地方整備局や地方農政局の組織改革についての具体的な議論までに至っていないところでありますが、私は、事務・権限の面から見ますと、まず、全国的なネットワークを形成するような道路など国が本来担うべきものについては、国が責任を持って今後とも整備や管理を行うこと。大規模災害への対応については、国の支援の仕組み等について地方の意見を踏まえて検討すること。地方への移譲に当たっては、財源や人員等の措置が十分に担保されること。こうした点を見きわめるなど、個別のケースごとに地方の自立を高めることに結びつくものであるかどうかを十分に検討しながら判断していく必要があると考えております。
 こうした考えのもと、今後、全国知事会議などさまざまな機会をとらえ、国等に対して提言、要請を行うなど、取り組みを進めてまいります。
〇亀卦川富夫委員 次に、市町村合併により基礎自治体に権限移譲が進んでおります。権限移譲については、増田県政における評価の一つに、権限移譲とともに人と金を出す方策がありましたが、現状はどうでしょうか。
 また、市町村への権限移譲が進めば、結果として、道府県等の存在が薄くなり、当然、県の仕事の内容が変わってまいります。例えば、医療保険や年金など、重く大きな事業を特化して県がやるべきものとしていくべきではないか、こういう流れになるのではないかと思いますが、県行政が今後担うべき役割について、御所見をお伺いいたします。
〇藤尾地域振興部長 権限、財源及び職員を一括して移譲する一括移譲方式につきましては、平成14年度からおおむね5年間の試行として実施してきたところでございます。
 現在、一関市、旧大東町の県道改築工事及び一級河川工事を対象に実施しておりまして、平成14年度以降、延べ32名の県職員を派遣してきたところでございます。
 この試行の結果、除雪に対する国庫補助事業の対象外となったことに伴う県負担の発生などというデメリットもございましたが、地域の事情を反映した事業執行が図られたこと、それから、派遣職員による技術指導や市町村職員のレベルアップが図られたこと、あるいはまた、窓口の一元化による住民対応のスピード化が図られたことなどのメリットが挙げられます。
 今後におきましては、該当する県単工事のあり、なし、県の財政状況、それから道路法において市のみに認められている道路維持管理権限の町村への拡大などの改正の動向などを踏まえ検討していきたい、このように考えてございます。
 なお、平成19年度からは、事務の専門性、業務量に応じて職員を派遣する、いわゆるポイント式一括移譲制度を創設いたしておりまして、人的支援を行っておるわけでございますが、平成20年度は、9市町に20名の職員を派遣いたしております。
 それから、平成12年4月のいわゆる地方分権一括法の施行により改正された地方自治法におきまして、県行政が担うべき役割についてでございますけれども、県の役割といたしましては、市町村を超える広域事務、国や市町村との間の連絡調整事務、市町村に対する補完事務を担うことが明記されたところでございます。
 これに基づきまして、県の役割に属する事務以外のものにつきましては、市町村優先の行政システムの確立の考え方のもとで、市町村への権限移譲に積極的に取り組んできたところでございまして、その結果、延べ1万件を超える事務・権限が移譲されたところでございます。
 その一方で、県の新しい事務として、現在進められている第2期地方分権改革におきましては、道路、河川の管理など、国の出先機関の事務・権限を中心として都道府県への移譲が検討されているところでございまして、当面、県の果たすべき役割が、必ずしも総体として縮小する方向にあるとは言いがたいものと認識いたしております。
 なお、御指摘の医療保険や年金も県が担うということにつきましては、例えば、現在、市町村が行っている国民健康保険につきましては、本年5月の地方分権改革推進委員会の第1次勧告では、都道府県単位の広域化の推進について検討することとされておりますけれども、年金や公的医療保険制度全般につきましては、長期かつ安定的に維持される必要があるということから、むしろ国に制度・財政運営を一元化することなども含めて検討していくことが適当ではないか、そのように考えております。
〇亀卦川富夫委員 次に、広域圏についてお伺いいたします。
 達増知事は、岩手四分の計を掲げ、新たな広域圏確立を目指しておりますが、その場合、それぞれの特色を発揮することが大切です。県北・沿岸では、どのような特色、メリットを考えているのかお示し願います。
〇藤尾地域振興部長 県北・沿岸圏域での特色、メリットについてでございますけれども、この地域は、産業振興の強化というのが喫緊の課題になってございます。
 したがって、広域局体制の構築に当たりましては、組織力を最大限に発揮できるように、各振興局に分散している人的資源を集約し、重点化すべき分野に再配分するとともに、県北・沿岸圏域の産業構造などの地域特性に対応したものとすべきと考えてございますが、これまでパブリックコメントあるいは県民の方々との意見交換等を踏まえて検討いたした結果から、大体4点ほどに集約されるのではないかと考えております。
 県央・県南圏域と比較して、産業集積を一層推進すべき地域であるということを考慮し、産業振興機能についても効果的な体制を工夫すること。さらには、例えば重点化すべき食産業の分野におきまして、地域資源を活用した農林水産物の生産の振興はもとより、加工、流通、観光・外食産業までの2次、3次産業の連携を推進する組織の整備など体制の充実強化。それから土木・農林水産部門においても、災害対応や農業改良普及など現地でのきめ細やかな対応を維持しつつ、現在の複数地方振興局の企画調整機能を一部統合するなど、力を結集して地域の諸課題に対応できる体制を強化する。それから、権限強化の面におきましては、予算を初め、県の重要な政策決定過程に広域振興局長が参画するなど、県北・沿岸圏域の地域の意向をより予算や政策に反映できるよう、今後、そういう方向で具体的に検討してまいることといたしております。
〇亀卦川富夫委員 広域圏の今後の進め方についてお尋ねいたします。
 広域圏の確立に当たっては、先行した県南広域振興局の検証が肝要であります。これまでの検証では、総務・企画部門は広域化によるメリットが大きいが、土木、農林の事業部門でははっきりしたメリットが示されておりませんが、勝部企画理事の現状分析と今後の進め方について、参考となる意見をお聞かせ願います。
〇勝部企画理事 県南広域振興局として、これまで他の地域に先行する形で取り組んできた成果、すなわち、ものづくり産業でありますとか観光産業など、広域ネットワークの構築によって新たなビジネスチャンスが生まれていること、それから、権限移譲件数が、全県の約半数に及ぶ移譲が進んでいるということ、これらが挙げられるところでございますが、今後とも、広域圏としての取り組みのメリットが生かせるように、さらに充実強化して取り組んでいくこととしております。
 また、ただいま御指摘のありました農林関係あるいは土木関係における、いわゆる公共事業が中心の分野においては、広域化のメリットが必ずしも十分に発揮できているとは言えない状況にあることは事実でございます。これは、この分野における仕事の流れの多くが、垂直型とでも言うものでありますか、いわゆる国から県、本庁、それからそれぞれの振興局の担当部署という流れになっております。国庫補助事業などの占める割合が多い分野ほど、この傾向が強いと考えております。振興局の立場から見ますと、この分野は本庁の統制が強く出る分野であるということが言えると考えております。このため、広域振興局としての裁量の範囲は、他の分野と比較すれば少ないものと言えるかと思っております。
 このような状況の中で、県南広域局としてのこれまでの2年半の取り組みがあるわけでございますが、例えば、ものづくり産業分野における広域ネットワーク化による取り組みの事例などが、他の圏域における農業を初めとする事業部門における施策展開の参考になるものと考えております。
 例えば、県南広域局における農業分野の取り組みといたしまして、広域的な食産業クラスターの形成を目指したネットワークが設立されておりまして、食品産業と農業団体との連携が深まって、農産物の取引支援や地域食材を生かした加工品開発の支援に結びつくなど、生産、加工、販売などの面で効果的、効率的な食産業振興の施策展開が行われているところでございます。
 この広域エリアでのネットワーク構築による施策展開は、県北・沿岸地域にも大いに参考になるものと考えておりまして、県北・沿岸地域にこれを波及させていくために情報発信していくことも、県南広域局としての役割の一つであると考えているところでございます。
〇亀卦川富夫委員 次に、ただいま国では、定住自立圏構想を進めております。この定住自立圏構想は、東京圏への人口流出を防ぎ、地方へ人の流れをつくることを目的としたものです。この構想についての考えはどうでしょうか。
 このモデル事業に岩手からは手が上がりませんでしたが、岩手四分の計による広域圏の推進について、この構想を研究、検討し並行して進める方策もあるのではないかと思います。特に、今後の市町村合併推進上も大切な視点と思うが、いかがでしょうか、お伺いいたします。
〇藤尾地域振興部長 定住自立圏構想についてでありますけれども、この構想は、選択と集中、集約とネットワークという考え方のもとで、中心市の機能強化と中心市と圏域内の市町村との結びつきの強化を図ることによって、東京圏への人口流出を食いとめ、地方圏への人の流れを創出しようとするものでございますが、これは、本県のいわて希望創造プランにおいても、人口の社会減を四つの危機の一つととらえて取り組みを進めておりまして、問題意識は共通するものと考えているところでございます。
 定住自立圏構想につきましては、現在、モデル地域の選定作業が行われ、あわせて特別交付税措置などの具体的な支援策の検討が行われていると伺っているところでございますけれども、制度の詳細につきましては、引き続き情報収集が必要と考えております。
 いずれにせよ、少子化、高齢化や人口減少、人口流出などの課題に対応して、基礎自治体である市町村が中心となって、分権型社会にふさわしい自立かつ安定した社会空間を形成していく必要がありますけれども、本構想を念頭に置いた場合であっても、県南広域振興圏以外の地域におきましては、定住自立圏構想における中心市の役割を担えるほどの行財政基盤を備えた市はわずかでありますことから、まずは、市町村の行財政基盤の強化を図るべく、新法期限内の自主的な市町村合併を推進してまいりたい、そのように考えております。
〇亀卦川富夫委員 次に、道州制についてお伺いいたします。
 先ほども道州制についての議論はさまざまありました。適否はともかく、基本的な内容については理解しておくことが大切なことと存じます。改めて達増知事の御所見をお伺いいたします。
 一つ目は、道州制の理念、目的についてでございます。
 二つ目は、道州制の適否を判断する際のメリット、デメリットでございます。
 三つ目は、道州制に移行した場合、国、道州、基礎自治体のそれぞれの役割についてでございます。
 四つ目は、道州制における税財政のあり方についてであります。
 五つ目は、道州制の区割りについてであります。この区割りについては、東北6県と北東北3県のくくり方が論議の俎上に上っておりますが、知事はどういう方向性でとらえておられますか、お尋ねいたします。
〇達増知事 道州制の理念、目的については、現在、政府や全国知事会などで議論されている主なものは、中央集権体制から地方分権型の地方自治への転換、国の役割の重点化や地方への関与の縮小、現行の都道府県の範囲を超えた広域的な経済圏の形成などであり、私は、そうした考え方で国や地方がどうあるべきかという観点から議論することは、意義があると考えております。
 そういった議論の中で、メリットとしましては、地方分権改革の推進、広域的課題への総合的な取り組みが可能となることなどが挙げられており、デメリットとしては、住民の一体感、アイデンティティーの喪失、道州政府が住民から遠くなることによる自治の形骸化などが言われていると思いますけれども、私としましては、住民の一体感、住民がエリア全体を見て意思決定できるかといった住民自治の観点から、懸念を抱いているところであります。
 国、道州、基礎自治体の役割については、道州制にかかわらず、行政サービスの提供は、近接・補完性の原理に従い、住民の日常生活に関するサービスの提供は基礎自治体が担い、基礎自治体でなし得ない広域的な見地に立った産業振興や基盤整備などを広域自治体が行い、外交、社会保障など国家や人権にかかわる部分を国が担うべきと考えております。
 税財政についてでありますが、地域の責任で地域の特性を生かした施策が可能となるよう、国から地方に十分な権限と財源が移譲されることが重要と考えております。
 区割りについてでありますが、東北6県とするか北東北3県とするかといったようなことがございますけれども、これは、国レベルで上から議論する前に、真の地方分権が確立された中で、そこに暮らす住民が、地方自治のあり方として、住民自治を行うのにふさわしいエリアをどのような範囲にするべきかについて議論が行われることが、まずもって必要と考えております。
〇亀卦川富夫委員 次に、人口減少と人材育成についてお伺いいたします。
 我が国は、超少子化、そして世界トップ水準の長寿社会になりました。総人口の減少は、労働供給の制約など、経済社会のあり方・制度に大きな影響を与えます。
 我が県の人口も減少が続いております。本県においては、特に学卒者の流出が大きな問題です。一方、労働力確保は、企業にとって最も大切な戦略の一つであり、人材育成は、企業立地などの決め手になると思います。
 岩手県の現状と今後とるべき県政の戦略をお伺いいたします。
〇達増知事 人口減少についてでありますが、近年の本県の人口移動を見ますと、特に20歳から24歳までの年齢層において社会減が拡大する傾向にあり、これは、主に県内経済の低迷によって、県内に十分な雇用の場が確保されていないことが原因と考えております。
 このため、いわて希望創造プランにおいては、人口転出への歯どめを四つの重点目標のうちの一つと位置づけて、ものづくり産業の集積促進、観光産業・農林水産業の振興などによる雇用の場の創出・確保、女性の就業環境や子育て環境の整備など若い世代が安心して暮らすことのできるセーフティネットの充実、こうした取り組みを進めることとしております。
 人材育成についてでありますが、労働力の確保を図り、本県ものづくり産業をさらに成長させていくためには、人材の育成・確保は最も重要な基盤でありまして、このため、産学官連携ネットワークによるものづくり人材の育成、ものづくりに関するキャリア教育の充実、実践的教育によるものづくりの専門家の育成などに積極的に取り組むこととしております。
 こうした取り組みを通じて、雇うなら岩手の人という本県の評価を確立していきたいと考えております。
〇亀卦川富夫委員 先日、日本世論調査会というものがありますが、この調査会が実施した家族に関する全国面接世論調査の結果が報道されました。それによれば、祖父母や父母、子供たちなどと同居する大家族で暮らしたい人が60%、夫婦2人と子供が26.6%に上り、結婚や地縁に関係なく気の合う人と暮らしたい2.4%を大きく引き離しているとの結果が出ております。
 しかし、現実には、家族崩壊、コミュニティ崩壊が目立ってきております。これは世論調査から見える多くの人々が望んでいる暮らし方、人生観と全く違う現象であります。ここに県政が着目すべきものがあると思います。
 人材育成とともに、岩手は、家族が安心して暮らすことができる、その希望をかなえることができる風土であることを政策的に強く打ち出すことが大切ではないでしょうか、御所見をお伺いいたします。
〇達増知事 岩手の風土は、森や川、海辺、田園など、四季折々の変化に富んだ自然と心安らぐ風景に恵まれており、その土や水、風や光の中から多くの恵みがもたらされ、豊かな文化や精神をはぐくんできたと思います。
 また、岩手には、これまで1、000を超える神楽などの民俗芸能が継承されるなど、地域文化が豊富であり、心豊かな人づくりに向けての環境も整っていると思います。
 さらには、結いの精神やもてなしの心など、安心して暮らせる精神的な土壌も有しているところであり、こうした風土は、家族が安心して暮らすことができる環境として、誇るべき普遍的価値であると考えます。
 こうした普遍的な価値により、委員御指摘ような、家族が安心して暮らしたいという多くの人々にとって、本県は、極めて魅力的な地域として認知されるものと考えます。
 したがいまして、今後とも、定住・移住キャンペーンなどの県外向けの情報発信においては、この価値について、特に重点的に強く打ち出してまいりたいと思います。
〇亀卦川富夫委員 人口定着のためには、産業振興が大切であります。この観点から、産業振興による地域経済の活性化の推進についてお伺いいたします。
 かつて先人が使った言葉や政策に殖産興業という表現があります。産業を興し、産業を盛んにする、この殖産興業という言葉に政策推進の強い意思を感ずるのでありますが、今日の岩手にとって必要な感覚ではないでしょうか。知事のイメージをお伺いいたします。
 また、産業振興をうたうなら、そのような強いメッセージをもっと発してよいのではないかと思いますが、御所見をお伺いいたします。
〇達増知事 殖産興業という言葉は、西欧列強に対抗し、経済・産業面で追いつくため、富国強兵をスローガンに、軍需や官営工業、鉄道などの交通網整備などについて、明治政府が主導的に産業振興を進めたことを指す用語であり、また、当時のスローガンと認識しております。
 今日のグローバル化の進展は、地方が世界と直接結びつき、また、世界と直接渡り合うことができ、県産品の輸出や外国人観光客の増加などを通じて地域経済の活性化を図っていく好機でありますことから、岩手県の高いクオリティーを持つ農林水産物や集積が進むものづくり産業、世界遺産登録を目指す平泉の文化遺産など、本県が世界に誇る可能性を生かした産業振興を強力に進めていきたいと考えます。
 こうした観点から、力強い産業経済基盤の構築を主要課題の一つに掲げ、産業振興などを政策の柱に据えた、いわて希望創造プランを策定したところでありまして、私は、この希望創造という言葉に、政策推進にかける強い意思をメッセージとして込めていきたいと思います。
〇亀卦川富夫委員 この産業振興にはインフラ整備が欠かせません。広域的な物流の観点から言えば、道路、橋梁、港湾整備などでありますが、構想があっても、実現には現状では時間がかかり過ぎます。インフラ整備の工程表が必要ですが、今後の取り組みについてお伺いいたします。
 もう一つお伺いいたします。もう一つ、インフラ整備の今後の大きな課題に老朽化対策があります。あわせて対策の進め方を示していただきたいと思います。
〇宮舘副知事 インフラ整備の今後の取り組みについてでありますが、県といたしましては、厳しい財政環境の中にあっても、今後も社会資本整備は着実に推進することとしておりまして、特に、骨格となる社会資本整備については、いわて希望創造プランの重点目標の達成に向けまして、重点的に取り組んでまいります。
 インフラ整備の工程表につきましては、その工程表を明らかにし、企業誘致や地域の活性化につなげることは効果的であると認識しておりますが、経済状況が目まぐるしく変化する中、長期的な財源の見通しが困難であることなどから、未整備箇所を含めた工程表の公表は難しいものと考えております。
 しかしながら、産業振興を図るため、道路整備などの継続箇所は早期完成を目指すとともに、未着手箇所につきましても、必要性や効果などについて、公共事業評価をしっかり行い、優先度の高い箇所から整備を進めてまいりたいと考えております。
 なお、東北横断自動車道などの直轄事業につきましては、事業中区間の早期完成と未着手区間の早期着工を国に強く働きかけてまいります。
 それから、老朽化対策についてでありますが、高度経済成長期に整備されました橋梁などの道路施設は、今後、高齢化を迎えることから、本県では、損傷が深刻化してから大規模な修繕を実施するこれまでの事後保全型から、定期的な点検を行い、損傷が深刻化する前に修繕を実施する予防保全型に切りかえ、計画的な維持管理により、修繕及び更新費用の平準化を図っていく必要があると考えております。
 この予防保全型の維持管理につきましては、まず、橋梁及び道路の舗装から取り組みを始めておりまして、その他の道路施設についても順次、点検を行い、その結果を踏まえ、今後の対応方針を検討することとしております。
 また、港湾施設につきましても、これまで行ってきた点検結果に基づく維持修繕に加え、長寿命化の維持管理計画の策定を今年度から進めることとしておりまして、この計画に基づいて、重要性、緊急性の高い箇所から適切な対応に努めてまいりたいと思います。
 今後とも、産業振興や地域の活性化に資する道路や港湾施設の安全性、信頼性を確保するため、適時適切な維持管理を図ってまいる考えであります。
〇亀卦川富夫委員 このインフラ整備に関して、情報通信網についてお伺いいたします。
 ブロードバンドの整備は、産業振興上、岩手にとって、本来全国水準を上回る整備が必要でありますが、まだ追いついていないのが現状と思います。今後の対策をお伺いいたします。
〇藤尾地域振興部長 情報通信インフラの環境というものは、企業活動におきまして今や必須のものと認識いたしておりまして、産業振興上、不可欠な基盤でございます。
 平成18年度に策定いたしました産業成長戦略におきましても、産業成長を促進するための、いわゆる情報通信基盤の整備の促進をうたっているところでございます。
 本県のブロードバンドの整備状況というお尋ねでございますけれども、総務省公表のブロードバンドサービスエリア加入可能世帯率、これは平成19年3月末のデータでございますが、全国平均が95.2%に対しまして本県は81.5%で全国47位、20年3月では90.7%、全国45位、全国平均が98.3%でございますから、平成19年3月から20年3月にかけまして全国がプラス3.1ポイント、本県はプラス9.2ポイント上昇しているところでございます。
 全国比較して、本県の場合には、地理的条件、世帯の人口集積などから、なかなか民間投資による整備というのは、はかがいかないと言いますか困難な地域が多いということでございます。
 そこで、本県では、平成18年11月に設置した市町村情報化サポートセンターによる人的な支援、あるいは市町村総合補助金による財政的支援などによりまして、市町村と連携しながら確実に整備を進めてきております。例えば、住田町における公設民営方式、市町村がいろいろな財源制度を利用いたしまして光ファイバー網を整備し、それを民間に貸し出す、いわゆる貸し賃で管理していくといったようなやり方などを推進いたしております。
 昨年12月にサポートセンターがいろいろと市町村を回りまして、市町村と協働して市町村別の整備工程表を作成いたしたところでございます。これは、整備の時期あるいは財源等の計画から成るものでございます。
 いずれ、こういったプログラムを策定いたしたところでございますので、今後、その整備の加速化を図っていく必要があるということで、ことしの4月には産学官民連携による、いわて情報通信基盤整備戦略会議といったようなものを策定いたしまして、その加速化を図っているところでございます。
 そこでの議論などを踏まえまして、国に対しては、条件不利地域における早期基盤整備のための特別支援制度の創設など、あらゆる機会をとらえて強く求めていくことといたしております。
 なお、産業振興にかかわるところで重要なのは工業団地でございますけれども、これら本県の工業団地におきましては、いずれの地区におきましても、光ファイバーによる専用線サービスが可能な状態になってございます。したがって、進出企業があったような場合には、県が仲介の労をとって、企業の高度情報通信網の利用しやすい環境の整備に向けて積極的に取り組むことといたしております。
 いずれ、今後とも、関係市町村等と連携しながら、立地企業の意向なども踏まえつつ、情報通信環境の充実に向けて情報通信事業者への働きかけなどを進めてまいりたい、そのように考えております。
〇亀卦川富夫委員 この新しい産業が進む一方、既存の岩手の中小零細企業育成はどうなっておりますでしょうか。いわゆる老舗ブランドなど、岩手を担ってきた企業が消えている実情をどう認識されておられますか。
 特に、流通を担う商店の疲弊は深刻であります。中心市街地はシャッター通り化し、市街地には、子供の存在はおろか空き家が目立つようになっています。これに対する政策対応を国の中心市街地活性化策に任せてよいものでしょうか、甚だ疑問であります。
 まちづくり思想の中心をなすコンパクトシティー構想の真髄は、まちなか居住であります。例えば、通学に便利な市街地における空き家を子育て世代の県営あるいは市営の住宅や雇用促進住宅、また高齢者用住宅に活用するなど、当該する行政、すなわち県あるいは市や町が積極的にモデルになるケースをつくるなどの政策を推進すべきではないでしょうか、お伺いいたします。
〇宮舘副知事 既存の岩手の中小零細企業育成についてでございますが、これまで、中小零細企業者の経営の安定と向上を図るため、商工会議所・商工会の経営指導員による各種経営相談や中小企業支援機関による専門家を派遣した専門的な経営指導、技術指導を実施するとともに、中小企業向けの制度貸し付けや各種助成金を活用するなど、その育成・支援に努めてきたところでございます。
 また、県内で古くから営業を行い県内外によく知られております老舗と呼ばれる企業が、経済を取り巻く環境が変化する中で名前が消えていくのは、大変残念なことだと思っております。一方、時代の変化に的確に対応し、不断の努力を惜しまず、新分野の開拓や経営革新に取り組み成果を上げている企業もあることから、県といたしましては、引き続きこのような企業を支援してまいる考えであります。
 中心市街地の活性化についてでございますが、コンパクトシティーの実現は、これからの都市づくりにとって重要でありまして、この実現のためには、公共公益施設や大規模集客施設の郊外立地の抑制や都心へのアクセス性の向上等を図るとともに、さまざまな都市機能を町なかに集積させることによりまして、利便性や魅力を高め、まちなか居住の推進を図っていくことが欠かせない視点であります。このため、県では昨年11月に、岩手におけるコンパクトな都市づくりの基本方針や大規模集客施設の立地に係る広域調整の判断基準を策定したところであります。
 県といたしましては、具体的なまちづくりの主体は基本的に市町村が担うべきものと考えておりまして、都市機能の集積を図ろうとしている、例えば盛岡バスセンター周辺地域の再開発や奥州市メイプルの空きビル再生事業等の中心市街地再生に向けた取り組みに対しまして、積極的に支援をしているところであります。
 また、まちなか居住の推進方策として、委員御指摘のような中心市街地の空き家の公的住宅への活用に当たって、市町村の借り上げ公営住宅の整備など、具体的な相談があれば、必要な支援を行ってまいりたいと考えております。
〇亀卦川富夫委員 産業振興に関連しまして、農業についてお伺いいたします。
 最近の農業を取り巻く環境は、配合飼料、化学肥料などの価格が大幅に上昇するなど、見通しのつけにくい状況にあります。これは、原油と同様、新興国の旺盛な需要など世界的な大きな流れ、冒頭お伺いしましたパラダイムシフトが起きているとの認識で臨んでいかなければならないものと思います。
 一方、農業の現状は、担い手の高齢化の進行や集約の進まない農地、また資材の高騰が販売価格に転嫁されないなど、厳しい環境にもあります。
 岩手県では、平成19年度に有機農業など環境保全型農業を推進し、岩手の農産物のブランド化を図ろうとする岩手県環境と共生する産地づくり基本計画を策定しましたが、有機農業、特別栽培農産物の取り組み成果はどうなっているでしょうか、お尋ねいたします。
〇達増知事 有機農業などの取り組み成果についてでありますが、本県では、本年1月、人と環境にやさしい純情産地いわてを確立するため、環境と共生する産地づくり基本計画を策定して、まず、農業研究センターに設置したプロジェクトチームが、特別栽培や有機栽培等の技術開発に取り組むとともに、農業改良普及センターに相談窓口を設置し、きめ細かな技術指導を行い、有機農業や特別栽培などの環境保全型農業の推進に取り組んでいるところでございます。
 こうした取り組みによりまして、土づくりと農薬や化学肥料の低減を一体的に取り組むエコファーマーは全国第3位となりまして、また、化学肥料などの使用量を通常の半分以下に抑える特別栽培農産物の面積は東北で第2位となりました。また、農産物の安全性の確保に有効な県版の生産工程管理手法─県版GAPを東北で初めて26産地に導入したほか、農産物のトレーサビリティーシステムも18産地に拡大したところであります。
 今後とも、この計画に基づいて、環境保全型農業に取り組む農業者を支援するとともに、技術体系の確立や普及指導体制の整備、消費者の理解の増進などに努め、岩手らしい環境と共生する産地を目指してまいります。
〇亀卦川富夫委員 農業を取り巻くパラダイムが変革する中で、岩手県環境と共生する産地づくりの概念をさらに進め、海外からの飼料・肥料に頼らない米づくりと畜産が連動した地域循環型の足腰の強い産地づくりなどを進めるなど、言ってみれば、これは農業発展のチャンス到来と思います。その場合の課題と取り組みの方向性をお示し願いたいと思います。
〇達増知事 地域循環型産地づくりということで、最近の飼料や肥料価格の高騰など、厳しい経営環境のもとでも、本県農業の振興を図るために、本県の畜産由来の豊富な有機物資源を活用した土づくりなど、耕種と畜産の連携による地域循環型農業の推進と自給飼料の生産拡大を図ることが重要であると考えております。
 このため、県としては、関係団体との連携のもと、発酵鶏ふんなど堆肥の肥料成分で化学肥料を代替する技術の開発と普及、たい肥お役立ちガイドなど、耕種農家への堆肥生産情報の提供による畜産農家とのマッチングの支援、さらには、本県が独自に開発した播種作業を大幅に省力化する技術を活用した飼料用トウモロコシや、既存草地の簡易更新等による自給飼料の生産拡大などに取り組んでいるところであり、今後とも、こうした本県の強みを生かした積極的な取り組みにより、岩手らしい地域循環型産地づくりを推進してまいります。
〇亀卦川富夫委員 農業につきましては、補助金のあり方についてお伺いいたします。
 農業育成と補助のあり方については、全戸補償とか、あるいは規模拡大を目指す専業農家に対象を絞った直接払いなど、政党間でのスタンス、政策などの違いが見られますが、補助金のあり方について、パラダイム転換時代の農業振興、特にも岩手型農業を振興させていく点について、知事の考え方をお伺いしたいと思います。
 ちなみに、岩手の農家の平均水稲作付面積は東北で最下位、土地の生産性も、残念ながら主業農業所得で全国平均の約80%にとどまっております。こういった観点から、特に中山間の多い岩手について、この補助金のあり方についてお考えをお伺いしたいと思います。
〇達増知事 補助金のあり方についてでありますが、国際的な食料の需給事情が不透明な中で、本県が安全で安心な食料を安定的に供給し、食料供給基地としての役割を果たしていくためには、担い手の育成と生産性・市場性の高い産地づくりが重要と考えます。
 このため、主業型農家はもとより、小規模・兼業農家も、将来にわたって希望を持って農業生産に取り組むことができる環境の整備が重要と考えており、再生産可能な所得を補償する農業者戸別所得補償制度などの創設を国に期待するとともに、本県の地域特性を生かした特色ある産地づくりを進めるための取り組みを支援する助成制度の充実が必要と考えております。
 こうしたことから、県といたしましては、国に対して、水田経営所得安定対策や産地づくり交付金などの見直しを提案するとともに、新たに、いわて希望農業担い手応援事業を創設し、地域の特性を生かした産地づくりを支援しているところです。
 今後とも、日本の食を守る食料供給基地岩手を確立するために、引き続き、担い手の育成と産地づくりに積極的に取り組むとともに、国に対して農業者の経営安定のための新たな制度の創設と、地域の実情を踏まえた岩手らしい産地づくりを進めるための税源移譲や助成制度の見直しを提言していきたいと思います。
〇亀卦川富夫委員 ただいま御答弁に担い手ということで、非常に担い手に重点を置いたお話もいただいたと思います。
 そこで、農業の担い手の育成は、やはり最も大切な視点だと思います。我が県には優秀な伝統ある県立農業高校あるいは岩手県立農業大学校、これは金ケ崎にありますが、これまでの成果と今後の展望、またとるべき施策についてお尋ねいたします。
 また、かつて、というよりも現在でも名声高いわけでありますが、かつての盛岡高等農林、現在の岩手大学農学部の存在があります。農業のあらゆる分野での連携が大切だと思いますが、この連携についての現状と今後の方向についてお伺いいたします。
〇達増知事 農業大学校は、実学・実践を重視したカリキュラムにより本県農業の担い手を養成したところであり、昭和56年の開校以来、約2、100名余の卒業生の約8割が出身地域に戻り、その多くが地域農業の中心的な役割を担っています。また、農業高校は、農業の基礎的知識・技術の習得とあわせて、アツモリソウの増殖や盛農パンの商品化に見られるような特色ある教育により地域農業の担い手の育成に取り組んできたところです。
 この結果、平成19年度の新規学卒就農者のうち約15%が農業高校の卒業生、約6割が農業大学校の卒業生で占められ、今後の本県農業の担い手育成において重要な役割を担っています。
 今後は、農業大学校では、学生ニーズを踏まえたカリキュラムの見直しなどさらに魅力のある学校づくりを進めるとともに、農業高校については、教育委員会と連携を図りながら、就農の動機づけや農業大学校への進学促進に向けた実践教育カリキュラムの策定を進め、農大生や高校生に農業を魅力ある職業として選択してもらえるような取り組みを強化していきたいと思います。
 岩手大学との連携については、県といたしましては、これまで研究開発の分野では積雪寒冷地における冬春野菜の安定化生産技術などの共同開発など本県農業振興に資する技術開発や、南いわて食産業クラスターの形成など地域課題の解決のための研究活動に対する協力、さらには農政施策推進の面でも集落営農の推進に向けた助言をいただくとともに、農政審議会等においても適時適切な助言を得ているところです。
 また、人材育成の面では、本県農業者の経営能力向上に向けた実践講座としていわてアグリフロンティアスクールなどを平成15年度から開催し、これまでに226名の修了生を輩出し、国際化時代にも対応できる経営力とビジネス感覚を備えた農業者を育成してきたところです。
 今後におきましては、実学としての地域のための農学を建学の精神として掲げている岩手大学農学部との連携を一層強化し、日本の食を守る食料供給基地岩手を確立するための本県農業をリードする人材育成と先端技術の開発などに積極的に取り組んでまいります。
〇亀卦川富夫委員 農業につきましては、チャンスだと思いますので、ひとつしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 関連いたしますが、バイオ資源についてお伺いいたします。
 石油の代替エネルギーとしてのバイオ燃料に対する関心は高いものがあります。原油価格の高騰は、さまざまな省エネ、環境対応技術の商業化を可能にしており、バイオエタノールなど、日本の農林漁業にとって新たなビジネスチャンスの到来と言えます。国産の農産物を原料としてエタノールの利用機会の創出や高いバイオマスの量を保有する農作物の開発、あるいは木質系からのエタノール生産技術開発が求められていると思います。
 しかし、食料との競合問題、あるいは食料をこういう資源に使っていいものかどうか、そういった論議もまた一方にあります。農業そのものへの影響も指摘されております。
 このバイオ資源について、岩手県としての取り組み方をお伺いしたいと思います。
〇達増知事 バイオ資源の活用等についてでありますが、バイオマスの利活用は、地球温暖化防止や環境循環型社会の形成という視点に加え、従来の食料生産の枠を超えて耕作放棄地の活用にも資するなど、本県農林水産業の新しい領域を開拓するものと期待しています。
 このため、県では本年3月、いわてバイオエネルギー利活用構想を策定し、食料や飼料と競合しない、いわゆる第二世代のバイオマス活用を基本に本県独自の先端技術開発の加速を図り、地域循環を基本としたエネルギーの地産地消を進めることとしております。
 この構想の実現に向けて、今年度は、岩手生物工学研究センターにおいて食料と競合しない稲わら等からバイオエタノールを効率的に生産する本県オリジナルの技術開発を推進するとともに、同センターが有する遺伝子解析技術を活用した水稲多収品種の開発、奥州市及び金ケ崎町等と連携した多収栽培の現地実証、さらには、東京農業大学と連携したバイオエタノールの実用化テストなどに取り組んでおります。
 今後とも、産学官の連携を一層強化しながら、本県に豊富にあるバイオマス資源を活用した岩手らしい循環型社会の形成に努めてまいります。
〇亀卦川富夫委員 岩手県の環境ということに対するエネルギーの問題についてでありますが、これまで岩手県では、このエネルギーというのは、企業局に代表されるように水力発電というものを主体に行ってきております。地熱の可能性も求めてまいりました。しかし、火力発電であるとか、あるいは原子力発電、こういったものについては岩手県はございません。専ら水力発電及び地熱の可能性でございました。
 ただいまバイオ資源ということでの考え方をお伺いいたしましたが、我が県では、バイオ資源のみならず、太陽光発電あるいは風力など、いわゆる新エネルギーでございますが、広い県土の中でこの新エネルギーの一大生産地として社会に貢献する可能性を岩手の政策に織り込むことが環境王国いわてにとってとるべき道ではないか、このように思います。これまでも一定の新エネルギー政策を進めてきたのではありますが、新しい時代を切り開く決意で、この新エネルギー、バイオ、そういったものを十分活用する決意で臨むべきではないか、このように思いますが、いかがでしょうか。
〇達増知事 本県では、これまで新エネルギーの導入の促進に関する条例を制定し、新エネルギービジョンに沿って施策を展開してまいりました。エネルギーの地産地消を図っていくことは、環境王国いわてを築いていく上でも極めて重要でありますので、本年1月に策定したいわて希望創造プランにおいても、政策の6本の柱の一つ、世界に誇れる岩手の環境の実現の中の政策項目として、バイオマスなど新エネルギーの利活用の促進を掲げ、環境負荷の小さいバイオマスエネルギー、太陽エネルギーなど、地域に賦存する新エネルギーの利活用を促進しているところであります。
 本県が持続可能な地域社会を築いていく上で、環境負荷の小さいエネルギーを積極的に導入し、その割合を向上させていくことは極めて重要でありまして、本年9月に設置した有識者による環境と共生する地域社会を考える懇談会においても、中長期的な課題としてエネルギーの地産地消が大きなテーマとなっています。また、本年8月に開催された北海道・北東北知事サミットでは、再生可能エネルギー導入先進地域の形成に向けた取り組みの推進が合意事項となっており、今後、4道県で連携して新エネルギーの利活用促進に向けた検討を行っていくこととしています。
 これらの検討結果も踏まえながら、県としても新エネルギーの率先導入に努め、県民や事業者の皆様への普及啓発や支援を通じて、新エネルギーの導入が積極的に図られるよう取り組んでまいりたいと思います。
〇亀卦川富夫委員 それでは、知事の大きな政策の柱でありますソフトパワー戦略についてお尋ねしていきたいと思います。
 岩手ソフトパワー戦略は、岩手県の文化的魅力、道義的信頼を高めていくものとし、昨年6月の知事演述では、岩手県民のまじめさ、勤勉さをベースに、岩手ブランドをさらに発展させるとしております。これまでのブランド戦略は、ともすれば物に着目した施策展開でありましたが、県民性に着目した岩手ソフトパワー戦略は、新たな視点の先駆的取り組み方と評価いたします。
 しかし、一方、わかりにくいとの指摘があることも事実であります。新地域主義戦略とソフトパワー戦略の2大戦略は、戦略がどのように展開されているのかなかなか見えにくいということが原因ではないでしょうか。岩手ソフトパワー戦略は、県政運営の基本戦略に位置づけられているのでありますから、従来のブランド戦略とは異なる取り組みがあるのではと考えます。具体的にはこれまでどのような差別化が図られ、どのような成果があったのかお示し願いたいと思います。
〇達増知事 本県のブランド戦略としては、従来から農林水産物や伝統工芸品、観光といった分野において、岩手の恵まれた資源や卓越した技術を生かした質の高い県産品などのそれぞれのよさを生かしたロゴマークやキャッチコピーを用いて情報発信を進めてまいりました。一方、岩手ソフトパワー戦略は、例えば、こうした信頼に裏づけられた個々の県産品が高い評価を得ることによりまして、岩手のものであれば信頼できるという岩手全体のイメージをつくり出すという戦略であり、岩手全体の歴史や文化の掘り起こしと関連づけながら、岩手そのものをブランドとして確立していこうという取り組みであります。
 こうした考えのもと、具体的には、本県の統一的イメージコピーに「黄金の國、いわて。」を掲げ、例えば農林水産物にありましてはいわて純情黄金米や純情りんご黄金シリーズといった黄金という言葉にあらわされる豊かさと信頼を表現することにより、農林水産物を通じて岩手全体のブランドの確立にもつなげるという取り組みなどを始めたところであります。
 こうした取り組みにより岩手の価値を高め、買うなら岩手のもの、見るなら岩手の自然・歴史、雇うなら岩手の人といった評価が得られるよう、幅広い分野での取り組みを積み重ねながら岩手ブランドの確立に取り組んでいきたいと考えております。
〇亀卦川富夫委員 ただいまのは対外的な、これはある意味ではソフトパワー戦略の発揮するところではないかと思うのであります。一方、岩手ソフトパワー戦略というものは、県民のまじめさ、ただいまお話ありましたまじめさ、勤勉さを訴えるのであれば、対外的な岩手ブランド戦略とは別に、県民が岩手や自分たちの県民性に誇りを持つことを訴え、県民が主役であることを明確にしていくような県民向けの施策を立てていくということも一方必要ではないかと思いますが、そういった認識と取り組み状況をお尋ねいたします。
〇達増知事 岩手の豊かな自然、歴史、文化遺産といった地域資源や高いクオリティーを持つ本県の県産品の魅力などを県内外に発信していくためには、県民一人一人がそのよさについて、また、魅力について気づき、愛情と誇りを持って接していくことが重要でありまして、そのことが岩手のものに対する価値と信頼性を高めることにつながると考えます。
 こうした考えのもとに、文化芸術振興基本条例に基づく地域に根差した文化芸術の振興、平泉の世界遺産登録に向けた地域における歴史的・文化的価値を再認識する取り組み、豊かな自然や水などの良好な環境を守り育てていく取り組み、岩手の安全・安心な農林水産物のよさを再認識する地産地消の取り組み、こうしたことを進めているところでありまして、今後とも、県民が岩手に生まれ育ったことに誇りと自信を持ち、また、今、岩手で生活し、働いていることに喜びを持ち、さまざまな分野で活動することを通じて岩手の評価が高まっていくような取り組みを進めてまいりたいと思います。
〇亀卦川富夫委員 岩手県には、ただいまお話しのとおり、他に誇る多くの資源があると思います。平泉の能楽、早池峰の神楽、あるいは未来に目を転ずれば、奥州の宇宙を研究するすぐれた知的資源など、たくさんあります。これらの資源を効果的に活用し、岩手ソフトパワー戦略を進めていただきますよう期待して質問を終わらせていただきます。
 御丁寧な御答弁、ありがとうございました。
〇大宮惇幸委員長 次に、斉藤信委員。
   〔斉藤信委員質問者席に着く〕
〇斉藤信委員 貧困と格差拡大の根本にある働く貧困層の問題について絞って質問します。
 年収200万円以下の働く貧困層は全国で1、032万人となっていますが、県内ではどうなっているでしょうか。
 非正規労働者の実態と推移はどうでしょうか、年代別を含めて示していただきたい。
〇達増知事 国の平成19年就業構造基本調査によりますと、本県における年収200万円未満の有業者数は29万800人で、有業者に占める割合は41.4%となっております。
 また、同調査によると、平成19年における本県の非正規雇用者数は18万2、300人で、雇用者に占める割合は33.5%となっており、平成14年から人数で2万7、600人、割合で4.5ポイント増加しております。
 非正規雇用者を59歳以下の年代別に見ますと、人数では大きな差はございませんが、割合では、15歳から19歳が40.4%、20歳から24歳が39.9%、55歳から59歳が33.6%などとなっております。
〇斉藤信委員 大変深刻なデータであります。200万円以下が41.4%、非正規が18万2、300人と。青年の場合は、約4割が非正規だと。
 働く貧困層、非正規労働者が急増した要因は何でしょうか。
〇達増知事 国の平成20年版労働経済の分析によりますと、1999年代半ば以降、長期の経済停滞のもとで、企業が労務コストの削減や即戦力の人材の確保のため、正規以外の従業員をふやしたとされています。また、平成11年以降の労働者派遣法の改正により、派遣対象業務が拡大されたことによる影響もあるとする意見もございます。
〇斉藤信委員 確かにこれは財界の労働政策、そしてそれを具体化した1999年の労働者派遣法、原則自由化した、このことによって急速に派遣、非正規が急増したと。この労働者派遣法の改悪、だれが賛成したかわかりますか。
〇達増知事 当時、国会で過半数で決定をされたということでありますけれども、そこは決して全会一致ではなかったというふうに記憶しております。
〇斉藤信委員 共産党だけです、反対したのは。自民、公明、民主、社民も賛成したと。この責任は極めて重大だと。
 それで、使い捨て労働の象徴である派遣労働について、県内の実態はどうなっているでしょうか。
 日雇い派遣、登録派遣の実態、派遣料金、派遣労働者の賃金、ピンはね率はどうなっているか示していただきたい。
〇達増知事 本県における派遣労働者の実態についてでありますが、岩手労働局の労働者派遣事業報告書集計結果によりますと、平成18年度の県内の派遣労働者数は1万2、982人であり、そのうち、主に登録型の労働者を派遣する一般労働者派遣事業における登録者数は8、400人となっています。前年度と比較しますと、派遣労働者数については62.5%増、一般労働者派遣事業における登録者数についても48.3%増となっています。
 なお、岩手労働局によると、県内における日雇い派遣の実態については把握していないとのことであります。
 派遣料金についてでありますが、1日当たりの平均は、一般労働者派遣事業においては1万2、096円、特定労働者派遣事業においては2万2、355円でありました。
 また、賃金については、1日当たりの平均は、一般労働者派遣事業においては8、313円、特定労働者派遣事業においては1万1、630円でありました。
 なお、1日当たりの平均派遣料金に占める平均賃金の割合は、一般労働者派遣事業においては68.7%、特定労働者派遣事業においては52.0%となっています。
〇斉藤信委員 派遣労働者が急増しているその中で、私は派遣賃金を聞きました。ピンはね率が一般の派遣労働者で31.3%、特定派遣は48%のピンはねですよ。これは人貸し業で、労働基準法では本来禁止されたものです。
 私は、3月の一般質問でも知事に対して質問して、派遣労働者の実態を把握、調査してほしいと。県としても状況を把握しておくことが必要だ、しっかり把握してまいりたいと答弁していましたが、どのように調査、把握したのでしょうか。
〇達増知事 本年度から各地方振興局等に配置した就業支援員が各企業を訪問し、正規雇用の拡大を要請しているところでありますが、その際、派遣の状況の把握にも努めているとともに、ジョブカフェを利用する方々を通じて情報の収集を行っているところでもございます。
 なお、国においては、東京と大阪労働局管内で派遣労働者の実態の調査を実施しておりますので、地方の実態についても調査をするよう、本年3月、岩手労働局を通じて国に要請しているところであります。
〇斉藤信委員 私は、知事に直接、派遣労働者の深刻な実態を聞いてほしいと、こういうふうにお願いしたんですよ。私も直接聞いてきたし、岩手労連が年間500件の労働相談に当たっていますけれども、その約100人は派遣労働者からの相談です。
 例えば、2カ月の派遣で働いて2カ月で首を切られたと。これは盛岡から北上に通ってですよ。今、待機中と。もう一つは、これはトヨタ自動車傘下の関東自動車グループの岩手工場です。大手の日研総業から派遣されて、訓練や講習もないままオイルタンクを製造するベルトコンベヤーの作業に従事した。手を機械に挟まれて1週間のけがを負った。そうしたら首切りですよ。社会保険もなし、上司の国保で対応したと驚くべき事態。
 2カ月とか3カ月で首を切られる、こういうことで青年の生活が守られるか、人生設計ができるか、どうですか、知事。
〇達増知事 派遣労働の実態については、問題事例がかなりあると思いますので、そういったことには的確に対応していかなければならないと思いますし、また、そういったことが放置されないよう県としても努めてまいりたいと思います。
〇斉藤信委員 知事は、全国知事会で蟹工船について触れられました。蟹工船が50万部も今、普及されていますけれども、どういう気持ちでこの蟹工船について触れたんですか。
〇達増知事 蟹工船がはやるというのは、やはり世も末だというふうに思っておりまして、蟹工船の内容というのは、非常に地獄のような状況が描かれているわけでありまして、総合雑誌には、もう戦争でも起きてくれないと若い人たちの希望は得られないというような、そういう論調が真剣に書かれたり読まれたもしておりますし、かなり今の日本の社会経済というものが異常な状況にあるということだと思います。
〇斉藤信委員 蟹工船が今、多くの青年に読まれているのは、戦前の奴隷労働が、今、現代の派遣労働と同じじゃないかと。あの奴隷労働者が戦前でもストライキで立ち上がった、ここに感動しているんですね。
 それで私は、現代のそういう派遣労働、非正規について、特に産業振興と雇用対策についてお聞きしたい。
 自動車関連産業成長戦略になぜ雇用対策が盛り込まれないのか。自動車関連産業での労働者数、正規雇用、非正規、派遣、請負の実態は把握しているでしょうか。
〇達増知事 岩手県自動車関連産業成長戦略は、自動車関連産業の集積のためのアクションプランや目標とすべき数字を掲げたものでありまして、同様に半導体関連産業も含めたものづくり産業の集積促進など、産業振興を図るための取り組みをいわて希望創造プランの中に雇用創出目標とともに明記して進めているところでございます。
 自動車関連企業のうち、関東自動車工業株式会社及びその関連企業等は約30社ありまして、その従業員数は約5、000名ということでありますけれども、正規雇用、非正規雇用等の内訳の詳細については把握していないところであります。
〇斉藤信委員 県は、雇用対策というと産業振興と言うんですよ。しかし、産業振興の中に雇用対策が位置づけられていないし、実態もわかっていない。これじゃ雇用対策にならないじゃないですか。どうですか、知事。
〇達増知事 この岩手県自動車関連産業成長戦略のほうは、県内のものづくり地場企業を対象として、その研究開発でありますとか、また、大手メーカーに対する営業活動でありますとか、そういった経営関係の戦略でございますのでそこに雇用対策ということは入っていないのでありますけれども、別途、雇用対策についてはいわて希望創造プランの中で位置づけて取り組んでいるところでございます。
〇斉藤信委員 私は具体的にお聞きしますが、関東自動車での従業員数、期間工、派遣の実態と推移、期間工から正規への採用、新規採用はどうなっているでしょうか。
〇達増知事 関東自動車工業株式会社岩手工場の従業員の実態についてでありますが、岩手工場からの聞き取りでは、従業員数は、平成20年9月末現在で約2、800名、うち正規社員は約1、600名、期間工は約1、150名、派遣社員は約50名であり、正規雇用の比率は57%となっているとのことです。
 また、同社はこれまでも期間工から正規社員への登用を行っており、平成18年度には46名、平成19年度には71名、平成20年度は上半期で56名を正規社員に登用しており、今後も正規社員への登用を進めると聞いております。また、平成20年度の新採用は50名と聞いております。
〇斉藤信委員 一定の改善がされているということは評価をしたい。
 ただ、期間社員はいまだに1、150人、2年11カ月で首を切られるのですよ。だから、ことしは56人正採用となったとしても、圧倒的には2年11カ月で首を切られる。人生設計が断ち切られる。私は、岩手県最大の誘致企業がこういう使い捨て労働でいいのかと。抜本的に私は改善を求めるべきだと思いますが、いかがですか。
〇達増知事 関東自動車工業株式会社岩手工場に対しては、これまでも県のほうから期間社員の正規社員への登用を強力に要請してきたところでありまして、今後とも機会あるごとに要請してまいりたいと思います。
〇斉藤信委員 今の世界的な恐慌、危機で、トヨタは2、000人の期間工の首を切っているんですよ。私は、関東自動車でこういうことがないように強く知事に求めておきたい。
 次に、県庁での派遣労働の導入についてお聞きします。
 総務事務センターへの派遣労働の目的、実態、派遣料金の推移はどうなっているでしょうか。官製ワーキングプアを拡大していいのでしょうか。直接雇用を進めるべきだと思いますが、いかがですか。
〇達増知事 総務事務センターへの派遣労働導入の目的は、県の行財政機構改革を進める観点から定数縮減を進める中で、正規職員はできるだけ県民サービスに直結する部門にシフトし、内部管理事務を合理化するための方策の一環として平成16年度から導入したものであります。
 派遣人数の実態は、月当たりの平均人数としては、平成16年度及び平成17年度は5人、平成18年度13.3人、平成19年度16人、平成20年度11人となっています。
 派遣料金は、時間当たりの単価として契約をしており、平成16年度は1、078円、平成17年度1、449円、平成18年度1、026円、平成19年度941円、平成20年度918円となっています。
 直接雇用にすべきとの御指摘でありますが、本県の総務事務センターにおける派遣職員の活用は、労働者派遣法の規定に従って所定の手続を経て契約を行っているものであり、また、行財政改革推進の観点からの必要性に基づくものであり、業務も円滑に進んできていることから、これまでの対応については特に問題があるとは考えていないところであります。
 なお、現在の契約期間終了後の総務事務センターの業務の体制については、センター発足から約5年間の効果や課題の検証を踏まえ、この派遣職員の活用のあり方も含め総合的に検討を行い、円滑で効率的な事務執行ができるように考えていきたいと思います。
〇斉藤信委員 派遣会社が去年とことしで違いました。働いている労働者も違ったんですか。
〇達増知事 採用の中身については、部局審査のほうで質問いただければと思います。
   〔斉藤信委員「総務部長、わかっているんなら答えて」と呼ぶ〕
〇川窪総務部長 過去5年間のうち、平成16、17年度、18、19年度とそれぞれ2年ずつ別の業者が派遣の契約相手となっておりまして、平成19年度と20年度で会社がかわっておりまして、その際、やはり派遣に来られている人も基本的にはかわっているということでございます。
〇斉藤信委員 1年ごとにくるくるかわったら、仕事を覚えることもできない、こんな不合理なことでいいんですか。
 それで、派遣料金918円、3割ピンはねしたら642円ですよ。ワーキングプアを拡大するようなこんな派遣労働の先頭に県庁が立っていいんですか、知事。
〇達増知事 この5年間の効果や課題などを検証いたしまして、総合的に検討を行って、この派遣職員の活用のあり方について考えていきたいと思います。
〇斉藤信委員 こういう無法な使い捨ての派遣労働を県庁がやっちゃだめですよ。そんなことをしたら、この問題の解決に取り組めないじゃないですか。
 最後に、民主からも自民からも期せずして雇用対策局をつくって本気で雇用対策に取り組めとありました。本当に私は、増田知事が設置したとき以上の雇用情勢、質、量ともに深刻な状況だと思うけれども、どうですか、知事。
〇達増知事 総合雇用対策局を設置した際には、国のほうの政策もあり、いわば県が直接人を雇う、そういう県の直接の雇用の体制として設置され、また、そうしたそれぞれの部局ごとの雇用のあり方の調整などからあのような部局から独立したような形の総合雇用対策局が設けられたと理解しておりますが、現在、必要とされ、また、県として進めようとしておりますのは、民間経済にやはり雇用の場をつくり、人を雇ってもらうということで、また、その場合にもできるだけ正規雇用で雇ってもらうということで、そうした経済産業界を直接担当している商工労働観光部が雇用対策を所管する形をとっておりまして、一方、他部局との連携については、ほぼ庁内全部局で構成する岩手県雇用対策連絡会議を設置して総合的な施策展開にも対応するようにしているところであります。
〇斉藤信委員 今年度の県民意識調査、満足度が低い項目の第1位は就職、ニーズの高い項目も就職です。県民の要求にこたえて、部長級が責任を持って取り組むべきじゃないですか。改めてこれを1点聞いて終わります。
〇達増知事 雇用については、いわて希望創造プランのもとでは県組織全体を挙げて取り組むべき最重要課題の一つと位置づけてありますので、そうした全県体制で臨んでまいりたいと思います。
〇大宮惇幸委員長 次に、小野寺好委員。
   〔小野寺好委員質問者席に着く〕
〇小野寺好委員 公明党、小野寺好であります。
 最初に、県財政関係について伺います。
 少子・高齢化の進展に伴い歳出がかさんできているにもかかわらず、県の財政規模は縮小傾向にあります。そのため、自主財源にさほどの展望がない以上、徹底した歳出削減に取り組まざるを得ませんが、平成19年度一般会計決算においてはどのように無駄の削減を図ってきたかお尋ねいたします。
 身近には、用途廃止になって更地状態のままの県有地や余り利用されていない県有施設とか、他県との職員交流派遣、利用客がふえる要素のない空港利用促進協議会負担金とか、まだまだ無駄をそぎ落とす余地があり、財源の有効活用を図るべきと思いますが、いかがでしょうか。
〇川窪総務部長 県財政につきまして、平成19年度でございますが、厳しい財政環境の中、歳入に合った歳出規模となるよう不断の行財政改革に取り組み、より一層の重点化、効率化を図る努力をしたところでございます。
 特に、歳出削減の取り組みにおきましては、総人件費の抑制の観点から、給与の特別調整額等の減額や組織・職員体制のスリム化に伴う職員数の縮減などに取り組みまして、人件費におきまして、前年度に比較し27億円余の縮減となっております。また、投資的経費につきましては、公共事業の選択と集中による重点化を図り、普通建設事業費におきまして前年度に比較し227億円余の縮減となっているものであります。また、公共事業以外の事務事業につきましても、必要性や有効性、効率性などの観点から事業の見直しを進め、97の事業について廃止、縮小の見直しを行い、事業費ベースで65億円余の見直しを行ったところでございます。
 こうした努力を重ねておりまして、それ以外にもさまざま御指摘をいただいておりますが、可能なもの、可能でないもの、それぞれの事情がございますけれども、見直せる部分については今後ともしっかり見直しを進めていきたいと考えております。
〇小野寺好委員 県競馬組合からの返済について伺います。
 平成19年3月の臨時県議会で、県は、岩手競馬再生推進基金277億5、000万円を創設することとなり、構成団体から競馬組合への330億円の融資で競馬事業は継続しております。しかしながら、平成19年度は当初の目標発売金額271億円に対し233億円にとどまり、3度のコストカットで辛うじて赤字を免れたとされています。
 融資を受けた競馬組合から構成団体への返済、県に立てかえてもらった奥州市、盛岡市から県への0.3%の金利を含んだ元利返済はいかがであったか。
 平成20年度は239億円の売り上げを見込んでいますが、おとといまでの83日間で142億9、000万円、前年比マイナス18億円、12.24%減の売り上げにとどまっております。これでは目標に届かないと危惧しますが、極限までやった節減の次は再びの借り入れかと思いますが、今後の収支見込みはいかがでしょうか。
〇達増知事 競馬組合から構成団体への元金返済は行われておりませんが、組合が構成団体に支払った利息額は約9、900万円であり、その内訳は、県に5、400万円、奥州市に2、500万円、盛岡市に2、000万円となっています。
 また、330億円融資の際、県から両市に貸し付けた融資については、平成19年度に元金については奥州市、盛岡市からそれぞれ2億2、500万円、合わせて4億5、000万円が県に返済されており、利息については、奥州市からは1、700万円、盛岡市からは1、200万円、合わせて2、900万円が県に支払われています。
 今後の収支見込みについてでありますが、委員御指摘のとおり、きのうまでの岩手競馬発売額は前年度を下回っておりますが、第1期の発売実績を踏まえて、260億円の売り上げ規模を240億円に下方修正した収支計画をこれまでのところ達成しておりまして、また、前年度に対する下げ幅も徐々に小さくなってきておりますことから、今年度は240億円という売り上げ規模の達成は可能と考えております。
 こうした現状を踏まえますと、来年度も200億円規模まで減少するとは考えておりませんが、厳しい経営環境となることが見込まれますことから、少しでも多くの留保資金を持って平成21年度を迎えられるように、この10月19日に予定の2歳馬全国重賞シリーズ若駒賞の積極的なPRなど、今年度の発売収入額の増加に向けたさまざまな方策を講じるとともに、引き続き経費の見直しや業務の効率化を徹底してまいりたいと考えております。
 こうした努力を尽くして来年度においても収支均衡を達成する考えでありまして、新計画のルールとして、各年度において新たな赤字は許されないという条件でありますので、ある年度に赤字が生じて、その赤字に相当する借り入れを行いながら次の年度に入っていくということは認められないと考えております。
〇小野寺好委員 県境産廃について伺います。
 平成15年6月に制定された産業廃棄物特別措置法により撤去事業が進められておりますが、平成19年度末までの本県分の撤去状況は当初計画どおり進捗しているかどうか、処理及び搬出に係る地元理解はいかがであるか伺います。
 この特措法は平成24年までの時限立法で、事業費の上限を1、000億円と想定していたようですが、その後、全国各地で大規模不法投棄事件が発覚し、国及び地方の厳しい財政事情のもとで、撤去費用、国庫補助金への影響が心配されますが、見通しはいかがでしょうか。
 また、さらに337本の有害物質入り廃ドラム缶が最近掘り出されたようですが、これは事業費にどれだけ影響するのか伺います。
〇達増知事 平成19年度末までの産業廃棄物の撤去量は約12万9、600トンであります。これは、現在推計している投棄量25万6、800トンに対して約50%の進捗率となります。この推計投棄量は最終的に確定したものではなく、今後の撤去状況によってはさらに精査が必要になることも考えられますが、いずれにいたしましても、特定産業廃棄物に起因する支障の除去等に関する特別措置法の期限内に廃棄物の全量撤去ができるよう最大限の努力を傾注してまいります。
 地元の理解については、事業の推進に当たって、関係自治体や地元住民及び環境NPOなどで構成している原状回復対策協議会を2カ月に1回公開で開催しておりますほか、二戸地方振興局で毎月、県境産廃いわてだよりを発行し、進捗状況等の情報提供を行うなど、地元の理解を得るよう努めています。
 今後とも、地元の皆様や関係者との十分な情報共有を図り、事業の円滑な推進に努めてまいります。
 また、新たに発見、掘り出されたドラム缶でございますが、揮発性有機化合物─VOCなどの溶剤や焼却灰等が入っていまして、現在、特殊なドラム缶に入れて安全に保管しています。今後さらに詳細な化学分析を行った上で適正に処理することとしております。
 その処分費についてですが、内容物に応じて今後積算していくことになりますけれども、全体事業費の中で処理できるものと考えております。
〇小野寺好委員 次に、商店街等について伺います。
 郊外型大型店が消費者を引きつけるため、かつての商店街はシャッターをおろすようになりました。誘客のためセットバックしてきれいな歩道にしたり、アーケード街にしたりと高度化資金を活用して活性化を図った商店街が、売り上げが伸びず、返済に苦慮しております。また、1軒の閉店は他にも影響し、さらに幾つものお店が閉めた場合、商店街全体がダメージを受けます。高度化資金の返済についてどのように支援するか伺います。
 卸商団地も同様で、移転や倒産で空洞が出た場合、卸商協同組合役員は自分の会社を経営するのが精いっぱいで、卸商団地全体の責任を負えない状況にあります。行政は、投入した交付金の回収に厳しく当たっていると聞きますが、元も子もなくなることを心配しますが、今後の対応をお伺いします。
〇宮舘副知事 商店街の振興や卸商団地などの整備を図るために、中小企業者で構成いたします組合等に対しまして、中小企業高度化資金を通じた融資や中心市街地商店街施設整備事業などの各種補助事業等により支援を行ってまいりました。
 中小企業高度化資金貸し付けの場合の支援策でございますが、組合等の事業運営に支障が生じないよう、市町村、商工会、商工会議所、岩手県中小企業団体中央会等と一体となりまして中小企業診断士等による経営指導などを実施することにより、事業継続を前提とした償還金の支払い猶予や、空きスペースとなった施設の有効利用の促進などを図ってまいりました。
 また、資金繰りの改善が必要となった組合等に対しましては、岩手県中小企業再生支援協議会と連携いたしまして、組合等の財務の改善を支援しているところであります。
 行政の回収に係る今後の対応ということでございますが、県といたしましては、収入確保のため、組合等において有効な打開策が図られない場合は、資産売却、役員からの借り入れ、増資や賦課金の増額等を促し、可能な限り資金回収に努めることを原則としておりますが、実態といたしましては、組合等の事業の継続を前提にしながら、貸付対象施設の当初の貸付目的に沿った効率的稼働を促す方策の助言・指導などの支援に努めてまいる考えであります。
 今後におきましては、商店街や卸商団地の自助努力を基本としながら、当該組合が引き続き地域の中で存続できるように、関係団体と一体となって必要な支援を行ってまいる考えでございます。
〇小野寺好委員 耕作放棄地について伺います。
 耕作条件の不利な中山間地等だけでなしに、身近な農地にも雑草だらけになった状態が散見されるようになりました。減反や高齢化で耕作されなくなったものでしょうが、農地は貴重な資源であり、また、景観や環境保全等の観点からも何とか活用してほしいものです。
 県内で耕作されなくなる田畑は毎年どれだけふえて、現在どれほどになっているか、周囲にどのような影響を及ぼすと考えられるかお伺いいたします。
 農水省は、流動化を促す新制度を考えていると聞きますが、農地の場合さまざまな制約があって譲渡や賃貸借による集約は容易ではありませんが、県のこれまでの取り組みと今後の方針をお尋ねいたします。
〇宮舘副知事 耕作放棄地の状況と周囲への影響についてでありますが、本県の耕作放棄地は、高齢化等による労働力不足や農地の受け手の減少などによりまして年々増加しております。平成17年には本県農地面積の9.7%に当たる1万2、574ヘクタールとなっているところであります。これは5年前に比べまして約1、300ヘクタール増加しておりまして、年間では約260ヘクタールの増加となっているものであります。
 また、耕作放棄地は、病害虫や鳥獣被害の発生原因となるとともに、担い手への農地の面的利用集積を妨げ、効率的な農地の利用に支障が生じるなど、周辺の農業生産への悪影響が懸念されるほか、農村景観の悪化など、地域住民の生活環境にも影響を及ぼすおそれがあるものと考えております。
 次に、耕作放棄地の管理等への支援についてでありますが、農業委員会が農地パトロールなどを通じまして農地の有効利用の啓発などを行っているところでありまして、県といたしましても、市町村や関係団体と連携し、中山間地域等直接支払交付金や農地・水・環境保全向上対策を活用いたしまして、草刈り等による保全管理や害虫駆除など、耕作放棄の未然防止等の取り組みを支援しているところであります。
 さらに、現在、市町村及び農業委員会におきまして耕作放棄地の実態調査を行っておりまして、この結果を踏まえて、年度内に市町村協議会を設置し、耕作放棄地の活用の方向性を定めた計画を市町村ごとに策定することとしております。
 今後は、この計画に基づきまして、市町村協議会が土地所有者の理解を得ながら、地域内での土地利用調整活動や再利用のための整備等に取り組むこととしております。
 県といたしましては、この協議会に参画いたしまして、市町村の範囲を超えた広域的な利用調整や農外からの参入も含めた多様な担い手の掘り起こしなどにより耕作放棄地を解消する担い手の確保を図るとともに、中山間地域等直接支払交付金や、新たに国が来年度から実施を検討しております耕作放棄地の再生利用のための交付金などを活用して耕作放棄地の発生防止や解消の取り組みを支援していきたいと考えております。
〇小野寺好委員 最後に、交通指導員に対する補助金支出の根拠と額について伺います。
 児童生徒の登下校時の交通安全と高齢者の社会参加という観点で交通指導員の役割はとても重要でありますが、一方で、制服、その他の装備品の用意、みずからが交通事故の被害者になりかねない立場にあることなど、問題もあります。交通指導員は、特別職非常勤公務員ということで、報酬、公務災害補償の定めがあったりもします。県は補助金を出すようにしていますが、市町村によって内容がまちまちであるため、研修や表彰等も含め、より確かな身分の定めができないものか調べてみましたが、法律では少し無理があり、県条例でこれを規定するのが妥当ではないかと思いましたが、知事の所見を伺います。
〇達増知事 補助金の支出根拠については、これまで、交通事故の防止を図る観点から、市町村に対し交通指導員を設置するよう要請するとともに、交通指導員設置事業補助金交付要綱に基づき補助金を支出しております。最近3カ年の決算額については、平成19年度4、995万4、000円余、18年度5、122万円余、17年度5、266万3、000円余となっております。
 身分の明確化や統一性を図るための条例制定についてでありますが、本県におきましては、交通指導員は市町村長の任命する特別職の非常勤職員ということで、待遇等は各市町村の条例等により規定されております。県としては、交通指導員の身分が法律上必ずしも明確になっていないことなどから、これまで国に対してその身分の法的明確化などを要望してまいりました。
 市町村の非常勤職員である交通指導員について、県として条例でその身分や待遇を規定することについては慎重に考えているところでありますが、交通指導員の設置については今後とも可能な限り支援をしてまいりたいと思います。
〇小野寺好委員 交通指導員について、警察との連携、協議みたいなものがもし何かあったら教えていただければと思います。
〇川窪総務部長 先ほど知事の答弁にありましたような予算を県としては計上し、それを市町村に補助しているというところまでは私も存じておりますが、具体的な個々の業務内容について、警察との連絡調整、協議等がどのように行われているか等については、ちょっと手元で把握できておりませんのでお答えしかねます。申しわけございません。
〇小野寺好委員 終わります。ありがとうございました。
〇大宮惇幸委員長 次に、阿部富雄委員。
   〔阿部富雄委員質問者席に着く〕
〇阿部富雄委員 岩手競馬の民間委託拡大について、企画提案選定委員会が最優秀企画として選定した日本ユニシスの企画提案について、賞典費の大幅削減、初年度となる平成21年度の売り上げ規模、競馬組合への収益保証の割合など、具体的内容を求め協議、調整に取り組み、現行と比べてよりよい方法かどうか判断することとし、民間委託を拡大するかしないか、いずれの選択もあり得る状況で、10月を目途に判断するという知事の強い意向が示されています。
 岩手競馬について、就労の場の確保、地域経済への影響から存続を支持してきましたが、今日の状況を踏まえ、岩手競馬を存続させる理由は何か、民間委託の拡大が必要なのか、基本的な考えをお聞きします。
〇達増知事 岩手競馬は、県議会を二分するような激しい議論を経て、収支均衡を条件に、融資であればぎりぎり認めることができるという民意のもとで、構成団体から330億円の融資を受け、事業継続が認められたものと理解しております。
 このような背景のもとで、岩手競馬を存続させる理由についてでありますが、第1に、競馬関係者の雇用を確保するとともに、地域経済に今後とも貢献していくこと。第2に、収益の確保を図り、時間はかかるにせよ構成団体に元金を返済していくこと。そして第3に、廃止となった場合における構成団体、ひいては県民、市民の負担を回避すること。これらが存続の理由と考えており、そのことは昨年の事業継続が決まったときから今日においても変わりがないものと考えております。
 また、岩手競馬の事業運営については、厳しさを増す岩手競馬の経営環境を踏まえますと、岩手競馬の将来にとってどのような経営のあり方が望ましいのか、中長期的視点に立った抜本的な改革の検討が必要であり、民間委託の拡大というものは、民間のノウハウや資金力を生かしたファンサービスと収益性の向上や経営基盤の強化、事業の安定性の向上など、より持続可能で安定的な事業運営の可能性もあることから、現行の運営方法と比べ、岩手競馬の存続にとってよりよいものとなるような新しい事業運営方法を探るという観点から、その可能性を検討しているものでございます。
〇阿部富雄委員 新しい組合改革計画で存廃基準を設定した際、岩手競馬の廃止による雇用への影響は、組合・公社で77名、従業員913名、馬主695名、調教師41名、騎手31名、厩務員218名、関係会社360名、食堂業者134名、計約2、500名としておりましたけれども、現時点ではどのような状況になっているのでしょうか。
 そして、地域経済への影響については、従業員分が7億円、賞典費33億円、このうち馬主関係は29億円とされていました。その他開催経費44億円、来場者飲食等が13億円、計約100億円の影響額としておりましたけれども、現状はどのようになってるのかお聞きします。
〇達増知事 本年4月時点での関係者の数でありますが、組合・公社の職員と従事員が714人、馬主や厩舎関係者が749人、関係会社・団体が440人、合わせて約1、900人となっています。
 廃止による雇用への影響については、馬主を除く約1、400人が影響を受けると考えられ、これを新計画策定前の関係者数から馬主を除いた約1、800人と比較しますと、従業員や食堂関係者等の減により、約2割程度減少しているところです。
 地域経済への影響についてでありますが、本年度の第1期の収支計画見直し後の数字で、従事員賃金等が約7億円、賞典費が約22億円、その他開催経費が約24億円となっているほか、来場者の飲食等が約13億円と試算されておりまして、合計で約70億円程度。これは、新計画策定前の数字約100億円と比べますと、賞典費や開催経費等の縮小などにより約3割程度の減少が見込まれているところです。
〇阿部富雄委員 そこで、雇用者の関係についていいますと、当初の影響額から見ると約2割減だということです。雇用者減、雇用者の待遇の切り下げというのが続いているわけでありますけれども、存続目的からして、雇用者の削減というのはどこまでが限界だというふうにとらえていらっしゃるのかお聞きします。
〇達増知事 基本的な考え方としましては、岩手競馬で生計を立てている方々すべての雇用を守ることができれば、それが望ましいことと考えておりますが、民間委託方式、現行方式いずれの場合でありましても、岩手競馬を存続させていくためには、関係者の理解と協力のもと、経費の見直しや業務の効率化、組織の簡素化をさらに徹底していかなければならない状況でございまして、その結果、存続をするために必要な範囲内で、雇用される従業員が減少するということは、ある程度やむを得ないと考えております。
 今後とも、現在の雇用をできる限り確保することを基本的に考えて取り組んでいく方針であり、仮に雇用者数が減少するとしても、一定の水準までは人数を減らせる、あるいは減らしてもよいという意味での限界についても、また、ここまで人数が減った場合は競馬事業が継続できなくなるという意味での限界についても、特に一定の数字を考えているものではなく、できる限り雇用を守ることを基本的に考えながら取り組んでいきたいと思っております。
〇阿部富雄委員 そこで、日本ユニシスの企画提案の中身だとか報道されている内容を見ますと、日本ユニシスの運営の基本理念というのは、徹底した業務の効率化と組織体系の簡素化だと、言うなれば減量経営をやるんですよ、こういうことで、身の丈に合った競馬をやるということで、こういう言い方をしているわけです。馬の頭数も厩舎の数も要らない。簡単に言えば、少数精鋭でやっていこうということ、あるいは他の競馬場から馬を持ってくる、こういうふうな考え方が含まれているのかもしれません。こういう言い方がされております。
 それから、組合職員については、これは要らないと。組合職員については、競馬法上規定されている競技関係だけでいいんだと。競技関係についても、常勤は要らない、非常勤で大丈夫できますよ、こういう言い方をしていますし、それから、公社職員については、これはもう、一回解雇すると。もし必要であれば、新たな会社をつくって雇用する、いわゆるベイアウトと言うんだそうでありますけれども、こういう形で対応していきますよと、このような考え方が示されているわけであります。
 こうしますと、言うなれば競馬事業の根幹である馬主、調教師、騎手、厩務員、それから公社職員、これらについてはほとんど必要なくなってくるというような書き方をされているわけです。知事は、必要最小限の人数は必要だと、こういうふうな言い方をしていますけれども、どの部分の雇用がこれで守れると理解されているのかお聞きします。
〇達増知事 先ほどの答弁にありましたように、新計画策定後、平成19年度、20年度と、単年度の黒字の確保という目的のため、売り上げの減少に応じた従事員や食堂関係者等の減により、約2割の雇用の減少をしているところでありまして、ある意味で、売り上げに見合ったコスト削減というのは、現行方式の基本的な考えでもございます。
 ただ、このやり方は、ファンサービスでありますとか売り上げをふやしていくための積極的なアクションに対してはマイナスの要因にもなることから、関係者間でよく話し合って、そのコスト調整を行っていくというやり方で、売り上げの向上も目指しながら、また赤字を出さないコスト調整を行うということが、現行方式の核となっております。
 そうしたやり方が、基本的には黒字を達成するために必要な労働力を確保しながら、かといって労働力過剰で黒字が達成できないということもないようなバランスになっておりまして、ユニシス案については、まだ正式には聞いておりませんので、今のやり方を上回るやり方かどうかということについては、ぜひ早く比較できるよう情報提供してもらいたいと思っております。
〇阿部富雄委員 それでは、入厩馬数の関係ですけれども、馬資源の流出というのは、魅力あるレースづくりができないんだということをずっと言われているわけでありますが、新しい計画策定時に比較して、入厩馬数というのはどういう状況になっているんでしょうか。
 それから、岩手競馬は馬主の県外依存度が高いんだと、こういうふうに言われているわけでありますけれども、その県外依存度というのはどの程度になっているのか。
 それから、レースに支障が出てくると思われる入厩馬数の数というのは、どの辺が分岐点だとお考えになっているか、お聞きいたします。
〇達増知事 現在入厩している競走馬の頭数は、10月7日現在で788頭、新計画策定時の866頭と比較して78頭の減です。
 馬資源の県外依存度については、現在、入厩している頭数を県内と県外の馬主数の割合で案分するなどして推計いたしますと、馬資源の約7割が県外の馬主の所有馬と見込まれます。
 レースに支障が出てくる入厩頭数の分岐点については、年間レース数、開催日程等の競走計画によって変動するので、一律に設定することは困難なんですけれども、仮に本年度の岩手競馬の競走計画である1開催6日、1日11レース、1レース平均出走頭数9.5頭を基本に試算しますと、650頭程度が必要頭数、いわば分岐点になると考えられます。ただし、例えば1開催に2回出走する馬の増加等によっては、この水準に達しない場合でも、一定のレース数の確保は可能となるものであります。
〇阿部富雄委員 そこで、日本ユニシスから企画提案されている中身については、まだまだ納得できない部分があるということでありますけれども、そうであれば、それを上回る再生プランというものをつくっていく必要があるんだろうと私は思います。
 当面、大きな課題というのは、東北映像との間で交わされている合意書、これをどうするかという問題、これはテレトラック施設の賃料減額、それから東北映像が金融機関から借り入れた借入金についてのいわゆる責めがあることの認識、この部分については、今どのように進められているのでしょうか。
 それから、もう一つは、販売額の見通しですね。ユニシスが企画したときはこういう社会情勢ではなかったわけでありますが、今まさにこうした金融危機が来ていまして、最終的に個人消費の落ち込みということも十分考えられるわけであります。そうしますと、売り上げの200億円というのも、まさに現実的な金額だと私は思うわけでありますけれども、これについてはどのようにとらえているでしょうか。
〇達増知事 今、競馬組合でやっていることは、先ほども申し上げましたように、去年の統一地方選前後に示された民意と、また、今、競馬に携わる関係者のたび重なる協議を通じての意向というものをすり合わせた中での最善の方法で進めていると考えておりまして、これよりいいものがあれば、これはかつて記者会見の中で私も述べたんですけれども、例えば、民間企業であれば、最初1年、2年いろいろ設備投資をして、その会社自身には赤字になったとしても、競馬組合には赤字が出ないように最初の1年、2年やり、そのかわり、3年目、4年目、5年目のところで売り上げが伸びて初期投資が回収できればいいというような、民間企業ならではの柔軟な対応ができるところが参画してくるケースでありますとか、あるいは他に、例えば全国的なインターネット事業でありますとか、全国的な情報サービスでありますとか、そういったことの売り上げを伸ばす一種の宣伝材料として岩手競馬の経営ということがプラスに働くのであれば、その当該民間企業にとって、岩手競馬で黒字を確保できない、もうからなかったとしても、他の自分のやっている事業にプラスの影響を与え、会社全体としてはもうかるというのであれば、非常に柔軟な対応が岩手競馬として可能になるなどなど、民間企業のいろいろな可能性や柔軟性を考えれば、今最善と思っているこのやり方よりもいいやり方というのはあり得ないことはないと思っているし、そういうやり方があればどんどん取り入れるべきだと思っております。
 ただ、具体的にそういう案がないのであれば、今のやり方が最善だと思っておりますので、大幅民間委託ができないからといって今のやり方をやめなければならない、逆に言うと、今のやり方がだめだから大幅民間委託を考えているわけではなく、今のやり方は、基本的には、岩手の県民の民意を結集した最善のやり方だと思っているんですけれども、それ以上のやり方も民間の関与の仕方によってはあるだろうということで可能性を模索しているということでありますので、そういう民間の何か新しいアイデア、よりいい何か別なアイデアを今、競馬組合として考えなければならないという局面ではないと考えております。
 そして、2番目の質問ですけれども、東北映像の合意書の取り扱いについてでありますが、これは、もう今、新計画の枠組みの中で競馬事業の存続を前提にコスト調整による収支均衡というルールで運営しておりまして、平成21年度以降も、競馬経営状況を踏まえながら、支払いが可能な範囲で、売り上げに見合った範囲内で毎年度契約していくものでありまして、合意書の存在によって、そうした今のやり方が変わるものではないと考えております。
 そして、もう一つ、200億円に売り上げが落ちるのではないかということについては、先ほど他の委員の質問に答弁いたしましたように、260億円の見通しから240億円に20億円調整し、何とか今年度もちそうな状況であり、また、去年からことしにかけて売り上げの下落に下げどまり傾向も見られることから、来年直ちに200億円に売り上げが落ちてしまうという合理的な理由については、現在はないと考えております。
〇阿部富雄委員 では、業務委託についてお聞きしますけれども、平成19年は23億2、000万円かけております。売上原価とか賞典費を除く事業運営費の54.9%に及んでいるわけでありますが、この委託業務を見直す必要があると思いますけれども、現在の委託数、委託金額、それから組合の直営でできるものは組合でやる。委託は随契ではなくて競争入札にかけるべきと思いますが、どのように取り組まれていくのかお聞きします。
〇達増知事 平成19年度における委託業務の件数は78件で、金額は32億1、400万円です。委託業務の内容や委託金額の見直しをこれまで進めてきた結果、ピーク時である平成14年度の46億7、800万円に比較すると、委託金額は約3割減っているところです。
 委託している業務のうち、レース映像の撮影や加工等の映像業務、あるいは発売・払い戻しシステムの運用等の情報処理業務などは、極めて専門性が高く、また、必要な機材や設備を所有して、その操作・運用ができる企業というのが限定されておりまして、今は、競争入札ではなく随意契約としているところであります。
 業務内容から見て、随意契約でやらざるを得ないものは引き続き随意契約によりますが、厳しい経営環境を踏まえ、収支均衡が達成できる水準の契約金額とさせていただくことなどについては、十分協議をしつつ、理解をいただきながら、適切に対応してまいりたいと思います。
〇阿部富雄委員 最後になります。インターネット活用についてですが、楽天競馬で導入しているわけでありますけれども、その成果はどういうふうになっているのでしょうか。
 それから、インターネットを活用すべきことや、楽天にさらなる施設の充実を求める必要があるのではないかと思います。例えば、岩手競馬の場合は、ネットに占める販売割合というのは約8%、全国は25%であります。岩手競馬というのは地方競馬の優等生と言われた時期がありますけれども、果たしてこれでいいのかということがございますし、それから、重勝式を活用したインターネットによる販売等も検討すべきと思いますが、いかがでしょうか。
〇達増知事 ITの活用についてでありますけれども、10月13日までの岩手競馬のインターネット発売額は12億4、500万円、前年度比142.8%と好調に推移しています。楽天系列である競馬モールの発売額は1億3、200万円で、前年度比476%と大きく上昇しており、岩手競馬の発売額の確保に結びついているところです。競馬モールにより岩手競馬を購入するお客様の90%が県外のお客様でありますので、岩手競馬の商圏の拡大にも寄与していると思います。
 こうしたインターネット発売のさらなる拡大を図るため、岩手競馬ファンの相互交流等を目的としたファンサイトの設置や、インターネットによる競走馬の出走スケジュールや調教状況等の情報発信、岩手競馬のお客様に対するポイント付与サービス、インターネット事業者の協賛による企画競走の実施など、発売向上に取り組んでいるところです。
 なお、競馬モールは、決済を行うことができる銀行が限定されていることから、より多くのお客様の利用が可能となるよう、他の競馬主催者と連携し、競馬モールに対して決済銀行の拡充について働きかけていきたいと思います。
 重勝式、好きな人は好きなんだと思います。ですから、それの導入によって、どのくらい売り上げが伸びるのか見きわめながら、導入についても検討していけばいいと思います。
〇大宮惇幸委員長 先ほどの小野寺好委員の質疑において、答弁漏れがありましたので、改めて答弁を求めます。
〇達増知事 県境産廃について、他県での大規模不法投棄事件の発覚や本県での廃棄物の増加など、特措法制定当時と状況が変化しているけれども、事業費に対する国庫補助金に影響はないかという御質問に対して、答弁漏れでしたので、今お答えいたします。
 環境省によりますと、特措法に基づく措置として、平成19年度末までに青森・岩手県境事案を含め10事案について自治体に支援をしているということであります。
 全国で支援対象の事案が増加しておりまして、国からは経費の削減に努めるよう再三の要請がありますが、その都度、本県の実情について説明し、理解を得るように努めています。
 今後とも、国庫補助削減について具体的な動きがある場合には、国に対し必要な予算の確保について強く求め、事業の推進に支障のないよう努めてまいります。
〇大宮惇幸委員長 次に、及川あつし委員。
   〔及川あつし委員質問者席に着く〕
〇及川あつし委員 知事には、お疲れのところ恐縮ですが、最後でありますので、よろしくお願い申し上げます。
 歳出における情報通信分野の現状について伺いたいと思います。
 平成19年度の情報通信分野の総支出額はどうなっておりますか。支出額の増減の経過もあわせて、まずお示しいただきたいと思います。
〇藤尾地域振興部長 平成19年度の知事部局における情報通信分野の総支出額は74件、15億6、200万円余となっており、前年度対比3億1、400万円余の減で、率にして16.8%の減となっております。
〇及川あつし委員 いろいろ決算書をいただいておりますが、性質別の歳出で普通建設事業というのが見られますけれども、通信というくくりではなかなか見れないのかなと思っておりますが、いずれ平成19年度ベースでも15億円余、これは知事部局だけということでありますので、恐らく医療局、企業局を含めると相当な額になるんだろうなと私自身も理解しているところでございます。
 そこで、個々の契約の前に全体の契約状況をちょっと見てみたいわけですが、県の高度情報化アクションプラン2010に掲載されている事業について、私自身、契約状況について調査いたしましたが、異常な割合で随意契約が目立っております。平成19年度の随意契約の件数、契約状況の詳細をお示し願います。
〇藤尾地域振興部長 平成19年度のいわゆる随意契約の状況は66件、13億5、700万円余となっております。
〇及川あつし委員 今、件数も聞いたんですが。
〇藤尾地域振興部長 66件でございます。
〇及川あつし委員 全体の契約件数が何件で、そのうち何件が随意契約なんでしょうか。額と、その割合もわかれば、ちょっとお示しいただきたいです。
〇藤尾地域振興部長 知事部局における契約状況は、先ほど答弁いたしましたとおり、74件、15億6、200万円余となっており、うち随意契約の状況は66件、13億5、700万円余となっております。これを全体の契約に占める随意契約の割合、件数で見ますと89.2%、契約額ベースでは86.9%という状況になってございます。
〇及川あつし委員 たびたびの御答弁申しわけございませんでした。いずれ、私も調べましたけれども、相当な割合だなと思いましたが、89とか86%とか、そういう状況なんだなと思っております。
 じゃ、ちょっと個々の分野別に伺ってみたいわけですが、私自身いろいろ調べますと、具体の契約で言うと、NTT東日本、あとはアイシーエスという会社が突出して目立っておりまして、この件については、これまでもこの議会でたびたび議論になってまいりました。議事録を調べたら、平成16年の平議員の質疑以来かなと思っておりまして、あえて取り上げさせていただきました。
 個別の分野でお聞きしますが、ソフトウエア開発、保守管理料等の委託料、あわせて情報機器調達の平成19年度の契約額と第1位の受注率企業名及びその割合をお示しいただきたいと思います。
〇藤尾地域振興部長 平成19年度の知事部局におけるソフトウエア開発の契約状況は3件、9、400万円余、それから保守管理における契約状況は70件、14億4、800万円余となっております。
 また、ソフトウエア開発、保守管理ともに、第1位の受注企業は株式会社アイシーエスとなっております。ソフトウエア開発における件数の割合では66.7%、それから契約額ベースでは90.6%となっておりますし、また、保守管理におきましては、件数ベースでは57.1%、契約額ベースでは84.1%となってございます。
 それから、平成19年度の知事部局におけるパソコン等の情報機器調達についてでございますけれども、100件以上の大口調達を調べましたところ、契約ベースでは1、965万円余ということでございまして、1件ございまして、これは地元企業である太平工業株式会社が受注いたしております。
〇及川あつし委員 今、ソフトウエア開発、保守管理、あと情報機器の調達については、伝票を起こすのが大変だと思いましたので大口調達ということでありましたが、平成16年の質疑を見ておりますと、その当時ですと、機器の調達で80%余りだったと思いますし、開発では40%強ということの答弁があったやに記憶しておりますが、今、改めて御答弁を聞くと、ソフトウエア開発部門においては、また受注率の割合が高まってきているんだなということを感じさせていただきました。
 次に、県土整備部所管で、これまたいろいろ基盤整備の事業があるようなんですが、積雪センサー設置工事などの通信基盤整備の同じく平成19年度の契約額と第1位の受注率企業名及びその割合をお示しいただきます。
〇宮舘副知事 平成19年度の契約総数につきましては、契約件数が27件、契約金額が7億6、900万円余となっておりまして、そのうち受注率が第1位の企業につきましては、企業名が株式会社有電社、契約件数が5件で、割合は18.5%となっております。
〇及川あつし委員 くくり方がどうも違ったようで答弁がきちんと出てきませんでしたけれども、部局でまたやりたいと思いますが、いずれ指名競争入札、一般競争入札になっても、最終的に辞退が事実上たくさんある関係で随意契約になっているという部分もありますので、後でこれ、知事とか副知事におかれては、きちんと精査をぜひお願いしたいと思っております。
 これ、問題意識の根本にありますのは、そもそも情報ハイウェイの整備については、私も初当選させていただいた平成11年のときから、情報の森づくりプロジェクトということでスタートしたと理解しております。当時、基幹整備を請け負ったのがNTT東日本でありまして、それはそれでよかったと思うんですが、その後派生してくる事業につきましても、NTTが各種の情報設備の整備についても非常に独占的な立場で受注しているというのが見られますし、あわせてアイシーエスという会社も一緒になって独占的な受注をしている状況にあるということ、これは間違いのない事実であろうと思っておりますし、その受注形態が、先ほど御答弁あったように随意契約がほとんどだということであります。
 これにつきましては、非常に県の中のいろいろな産業分野にいびつな形をもたらしているなと思っておりまして、私は進出企業からもヒアリングしましたけれども、企業名は出せませんが、ある企業は、せっかく岩手に来たのに、岩手は非常に特殊であるな、こんな声も伺っているところでございます。
 そこで一気に伺いますが、これまでの契約の方法について問題がないのか、知事の御所見を伺いたいと思います。他県においては、新しい公開見積競争のやり方とか、いろいろな制度の導入もありますが、今後の改善に向けた取り組み姿勢もあわせて伺いたいと存じます。
〇達増知事 情報通信などのコンピューター関連調達に当たっても、競争性、公正性及び透明性の確保が重要であります。
 そこで、地方公共団体の物品等又は特定役務の調達手続の特例を定める政令に沿って、コンピューター関連調達に関するガイドラインを策定し、また、地方自治法施行令に基づく情報システム開発業務の委託契約に係る競争入札参加者の資格及び指名に関する規程を定めているところであり、基本は競争入札と考えております。地方自治法施行令に定める事例に該当する場合に限り、随意契約を行うということだと思います。
 現在、競争入札における参加資格については、ソフトウエア開発やインターネット関連業務等、情報システム開発業務に必要な技術者を有していることなど一定の条件を設定しておりますけれども、この条件を満たせば地元企業や誘致企業、そういった企業の種類を問わず参加できることとなっておりますので、特に地元企業または若い方々にも、どんどん挑戦してほしいと思っているところであります。
 地元企業や人材の育成については、県内の情報関連企業等から成る岩手情報サービス産業協会との意見交換などをもとに、県として、地元のIT関係企業や人材の育成について、支援できることは積極的に取り組んでいきたいと思います。
 今後の契約方法の改善に向けた取り組みについてでありますが、県では、ことしの4月から、予算の執行過程における透明性を確保するため、各種の業務委託などについて、契約情報の公表に関する要綱を定めて、行政情報センター等で入札調書などが閲覧できる体制や県のホームページでの公表など、情報の公開に向けた新たな取り組みを開始したところであります。
 また、平成18年12月、全国知事会が取りまとめた都道府県の公共調達改革に関する指針においても、一層の競争性、公正性、透明性を図る取り組みが求められておりますので、今後とも、県営建設工事入札契約適正化委員会での調査審議や出納局による委託事業に係る事前審査の実施などを通じて、情報公開の徹底による透明性確保の観点も踏まえ、公共調達のさらなる適正化に取り組んでまいりたいと思います。
〇及川あつし委員 御答弁ありがとうございました。いずれ、知事、副知事におかれましては、もう一度御精査をお願いしたいと思いますし、今、今後のあり方について、ことしから要綱対応しているということですが、条例化も含めてぜひ御検討をお願いしたいと思っているところでございます。
 いずれ、情報通信分野について随意契約の中身を見ていきましたけれども、非常に強引な随契理由が正直言って見られるものでありますので、その点についても、再度御確認いただきたい旨をお願い申し上げ、所感を最後に聞いて、質問を終わりたいと思います。
〇達増知事 IT分野については、これは、例えば徳島県のジャストシステムという会社が一太郎というワープロソフトで、徳島県内のみならず全国を相手にビジネスを展開しているというように、そういう意味では、県境を超えたビジネスモデルという性格が強いものだと思いますけれども、そうであっても、岩手に根差して、岩手の中で育っていくIT企業、現にたくさんの若い人たちが、ホームページ作成みたいな簡単なことから始まって、どんどん新しいことに挑戦しているというのは大変すばらしいことだと思っていますので、県としても、そういう人たちがどんどん伸びていくようなITビジネス環境の醸成に努めていきたいと思います。
〇及川あつし委員 ありがとうございました。
〇大宮惇幸委員長 これをもって総括質疑を終わります。
 以上で本日の日程は全部終了いたしました。
 あす以降は、毎日午前10時から開会いたしますので、よろしくお願いいたします。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後5時48分 散会

前へ 次へ