平成20年6月定例会 第6回岩手県議会定例会会議録

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〇39番(吉田洋治君) 政和・社民クラブの吉田洋治であります。
 質問に先立ち、去る6月14日に発生した岩手・宮城内陸地震により亡くなられた方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された皆様方に対し、衷心よりお見舞いを申し上げます。
 今回発生した地震は、本県において初めて発生した震度6強の地震であり、我々の想像を絶する状況が広がる中、家屋、道路、橋梁の損壊や農林業施設の被害など、県民生活や県内産業に重大な影響を与えております。このような中、県においては、国や関係市町、近隣県などと緊密な連携を図りながら、県の組織を挙げて迅速な対応をされ、また、達増知事におかれましては、南米出張中にもかかわらず、急遽日程を変更し、陣頭指揮に当たられていることに対し敬意を表するとともに、今後とも社会資本の復旧や県民生活の安定に向けて御尽力いただきたいと思います。
 そこで、今回の災害に関してお伺いします。
 知事は、村井宮城県知事とともに、国に対し、激甚災害への早期指定や特別交付税での災害対策経費の十分な算定など、緊急要望を行いました。現地の状況にかんがみれば、被災者の生活再建や地域産業の復興のためには、土砂等でふさがれた道路や崩落した橋梁の復旧が重要な課題と考えますが、その見通しはいかがでしょうか、知事の復旧にかける決意とともにお伺いします。
 また、崩落土砂等による河川閉塞が今回の地震災害の特徴の一つとされていますが、今後、どのように対応していく予定か、お答えください。
 さらに、学校施設の耐震化の現状はどうなっているのでしょうか。中国・四川省大地震で多くの学校が倒壊し、学校で学ぶ子供たちの痛ましい報道がなされております。国においても、耐震化の重要性を認識し、その促進について要請がなされております。本県においても、老朽化の著しい諸学校の耐震化について、しっかり対応すべきと考えますが、いかがでしょうか。
 次に、知事の政治姿勢についてお伺いします。
 外交官を辞しての32歳の決断、新進党公認・岩手1区達増拓也。平成8年執行、衆議院小選挙区候補者用の選挙ビラには、日本のあすのために、達増拓也はすべてをかけますとの公約のもと、たっそでいこう、21世紀、盛岡から世界へ、未来へのスローガンを掲げ、県民の熱い支持を得て激戦を制した政治家達増拓也衆議院議員の誕生でございました。達増議員誕生の1年前、平成7年4月の統一地方選挙で、新進党推薦の増田寛也岩手県知事が誕生しました。増田氏も当時の建設省官僚を辞職しての出馬で、43歳と全国一若い知事の誕生で、国内外から注目されたのであります。時は流れ、3期12年、岩手県知事を務めた増田氏にかわり、昨年4月、達増知事が誕生しました。宮舘副知事の登用を初め人事の刷新を手がけ、いわて希望創造プランの実践など、達増カラーが随所に発信されてきていると思うのであります。
 そこでお伺いします。達増知事が就任して1年2カ月。3期12年の夢県土いわて、増田県政の評価について率直な御所見をお伺いします。
 増田総務大臣と知事は、私が前述したとおり、兄弟のような関係で結ばれてきたと思うのであります。あくまで県政の主人公は県民であり、過去の検証や国政の動向等について十二分に連携をとってほしいと思います。
 また、知事は民主党の党籍をお持ちと承知しており、国政選挙等で政党色を打ち出すことは独自の信念に基づいた行動であり、私は特に問題とすべきではないと思います。県政運営については、あくまでも是々非々で対処していると思っておりますし、知事の基本的なお考えをお伺いいたします。
 次に、平泉文化遺産の世界遺産登録についてであります。達増知事が知事室の一角で平泉文化遺産の世界遺産登録を祈願していると聞いておりますが、私たち県議会も同じ強い思いで平泉世界文化遺産推進調査特別委員会を設置するなど、さまざまな取り組みを推進してきたところであります。
 国際記念物遺跡会議―イコモスから、去る5月23日、記載延期の勧告がなされました。平泉―浄土思想を基調とする文化的景観については、世界遺産一覧表に記載されている資産が有すべき顕著な普遍的価値の証明等との関係でさまざまな指摘を受けたものであり、極めて残念な厳しい勧告であります。しかし、知事は、記者会見におきまして、平泉には世界が必要としている平和や環境についての理念があり、平泉の価値そのものが否定されているわけではないと語り、7月2日からカナダのケベックで開かれるユネスコ世界遺産委員会に向け、全力を挙げる方針を改めて示しましたが、何としてもこの危機を乗り越えなければなりません。県民の逆転登録を目指そうとする支援の広がりもさらに大きなものになっております。6月21日には、杜陵くらぶ平泉世界遺産盛岡フォーラム実行委員会が主催しまして、岩手から発信する世界平和の願いをタイトルに、みんなで考えよう、平泉文化のこころと題して、中尊寺供養願文を読むとしての基調講演、藤原清衡、宮澤賢治、新渡戸稲造が登場するパネルディスカッションが開催されました。約250人が集まって、岩手から発信する世界平和の願いが届いたものと確信いたします。
 県議会は、6月定例会初日の6月24日、平泉の文化遺産の世界遺産登録を求めることについての岩手県民の総意を示す意見を込めて意見書を全会一致で採択し、衆参両院議長、内閣総理大臣を初め各関係大臣に要請書を提出したところであります。
 そこで、達増知事にお伺いします。知事は、逆転登録を目指し、世界遺産委員会を構成するユネスコ委員国の大使館にみずから直接訪問し、協力要請をし、登録支持を求めてまいりましたが、外交官出身の知事として、感触はいかがであったでしょうか。知事は、あらゆる努力を傾注してきました。ここは、乾坤一てき、逆転登録への決意をお示し願いたいと思います。
 次に、広域振興局体制の整備についてお伺いします。
 今月11日に、盛岡地方振興局主催で、広域振興局体制の整備に関する基本的な考え方素案の地域説明会が開催され、私も同僚議員と出席し、振興局より本庁機能を強化するべきではないかと発言してまいりました。また、5月に開催された盛岡地区行政連絡協議会においては、広域圏の8市町村長からは、県央広域振興局の不要論を含む厳しい意見が出され、特にも盛岡市からは、4月に中核市となって、1、950件もの権限が移譲されたこともあり、事務の効率性からも窓口以外の総合事務所機能は本庁に一体化せざるを得ないのではないかと縮小を求めたと聞いております。県南広域振興局での成果として、広域的なネットワークの形成などによる産学官連携の地域経営が推進されたなど、一定の成果があったことは認めますが、県北地域や沿岸地域まで広域化するのはいかがかと思うのであります。御承知のとおり、内陸地域とは違って、地域間の交通網が整備されていないことからも、本局と支局の連絡が難しい。また、この先、広域振興局をどこに置くかで収拾がつかなくなるのではないかと私は危惧するものであります。それを考えますと、現在の振興局体制を維持すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 今まで取り組んできた県土の均衡ある発展、県北・沿岸振興を最重点課題として推進していくためにも、現状がいいと考えるものであります。広域振興局となった市はいいといたしましても、センター化になった市は地域の衰退につながりかねません。ぜひ、振興局の広域化を見直していただきたいと思います。
 さらには、本庁機能の強化も必要と思いますが、いかがでしょうか。現在、広域振興局体制の移行のために業務の仕分けを行っていると聞いておりますが、どうも、県庁の権限を振興局に移すことを前提に進められているのではないかと思うのであります。ここはぜひ、業務の本質を見きわめ、むしろ本庁に権限を戻すことも考えながら、本庁機能を強化して、知事と県議会が両輪となり、これからの難しい県政運営を担っていくことが必要であると思いますが、御所見をお伺いいたします。
 次に、県北・沿岸振興についてお伺いします。
 本年5月に達増知事の任期が2年目に入りましたが、県議会におきましては、多くの先輩議員が県土の均衡ある発展を合い言葉に取り組んできましたし、県北・沿岸振興の成功なくして達増県政の成功なしとの言葉に、私は、達増知事の県北・沿岸振興に向けた並々ならぬ思いを感じ取っております。本年1月に策定したいわて希望創造プランにおいて、力強い産業経済基盤の構築、安心な暮らしを支えるセーフティネットの充実とあわせて、今後の主要課題の一つとして県北・沿岸圏域の振興を位置づけ、その基本的姿勢を明確にし、地域編において、それぞれ具体的取り組み内容を明らかにしたところであります。
 県においては、これまで、副知事を本部長とする県北・沿岸振興本部を設置し、圏域における産業振興に取り組んでいるところでありますが、本年5月には、県北・沿岸移動県庁と称して、知事みずから集中的に圏域を回り、地域の方々との意見交換などを通じて、厳しい現状、特にも人口の流出や空洞化した漁村の姿などを肌で感じたのではないかと考えております。今後、いわて希望創造プランに掲げる県北・沿岸振興が絵にかいたもちにならないよう、県北・沿岸振興本部を統括する宮舘副知事におかれましても、これまで以上に圏域に出向き、地域の実情を踏まえ、取り組んでいく必要があると思いますが、副知事のお考えをお示しください。
 次に、岩手競馬の再生についてお伺いします。
 平成20年度岩手競馬が、4月5日、水沢競馬場を皮切りに開幕しました。待ち望んでいた多くのファンや、管理者である達増知事を初め関係者が岩手競馬の再生を願っての新たなスタートであり、そして、5月31日には舞台をオーロパーク盛岡競馬場に移し、各種イベントを開催するなど、売り上げ向上の経営努力が続けられております。5月の県競馬組合議会で、平成19年度収支が黒字になったと報告があったものの、4月の開幕から5月26日までの第1期終了時点の発売実績は39億7、400万円で、対前年比84%、入場者数は34万1、500人で、92.1%と極めて厳しい滑り出しとなっており、先週26日には、今年度、第1回のコスト調整も行われましたが、現状は、岩手競馬再生の打開策を見出すため、待ったなしの決断と対応が求められていると思うのであります。
 県競馬組合は、5月28日、正副管理者会議を開き、民間委託拡大に関する企画提案募集で最優秀企画提案になった日本ユニシス株式会社と具体的交渉に入ることを決定した旨、競馬組合議会に報告があったと県議会にもその報告があり、昨年10月の競馬組合議会の勧告にこたえ、一歩前進したものと評価します。今後は、委託条件や契約内容の事前調整、関係団体・企業と必要な協議を経て、10月を目途に、岩手競馬の今後の事業運営方法として適当か否かを最終判断することとしておりますが、以下、質問いたします。
 第1に、現行の再建運営、歳入に合わせた歳出の一律カット方式では、来年度以降も現状維持となれば、自力再建は極めて困難と思われ、速やかな民間委託導入が必要であると思いますが、いかがでしょうか。
 第2に、最優秀企画提案した日本ユニシスとの合意形成に、10月の最終判断と言わず積極的に協議し、競馬組合のよきパートナーとして岩手競馬持続に努めるべきですが、いかがでしょうか。
 第3に、日本ユニシスと基本協定を結び、官民プロジェクトを立ち上げ、明確な再建計画を策定し、10月には来年度開催に向けてスタートすべきと考えますが、いかがでしょうか。
 次に、第71回国民体育大会についてお伺いします。
 2巡目岩手国体が、平成28年、46年ぶりの本県開催が内定し、準備委員会の設立総会が開催され、着々と諸準備が進められている中、ビッグニュースが飛び込んできました。夏季五輪北京大会まであと39日、日本選手団の活躍が大いに期待され、全世界の青少年に夢と希望と勇気を与える大会になってほしいと念願するものであります。その中にあって、岩手町出身の小沢みさきさんの北京大会の女子ホッケー出場が決まり、地元岩手町を初め関係者の喜びもひとしおで、県民挙げて大声援を送り、岩手のスポーツ界振興発展のため頑張りを期待し、小沢みさきさんに対し、達増知事の力強い激励のメッセージをお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
 さて、岩手国体は、昭和45年に、みんなの国体、のびゆく岩手をテーマに、誠実・明朗・躍進のスローガンのもとに第25回大会を開催し、県民総参加による大会運営は今日でも記憶に新しく、県勢発展の基礎を築き上げたと思うのであります。選手強化本部長に就任した達増知事は、今後、開催の機運はますます盛り上がりを見せていくと思うが、開催年に向かう本県選手の活躍が推進力であり、あすの岩手を築く活力となる、本日から熱意あふれる関係者の英知とエネルギーを結集して、本県選手の強化について着実な歩みを進めていきたいと抱負を述べ、県内スポーツ関係者が一丸となったチーム岩手の体制確立を目指すとしております。
 そこで、質問の第1は、選手強化推進に重要な競技施設についてであります。県営運動公園陸上競技場は、県営の施設として、岩手国体後40年、全国規模の大会を含め県民から親しまれ、本県選手が活躍した競技場として歴史を積み重ねてきました。これからも、30年、50年先を展望し、早期に第1種公認陸上競技場として規定資格に合致させ、国体主会場、Jリーグ、ラグビーなど国際大会開催ができる施設として整備を図るべきと考えますが、いかがでしょうか。
 第2は、選手の強化には財政基盤の確立が極めて重要であります。県財政が極めて厳しい中での大イベントであり、当然、県が主体となりますが、民間の協力体制についてどのようにお考えでしょうか。また、選手育成のための民間人材の登用を含めた指導体制、スーパーキッズの発掘、そして育成事業についてもあわせてお伺いします。
 次に、県立病院の採血用医療器具の使い回しについてお伺いします。
 採血用医療器具の使い回しが全国的に問題になっている中で、本県においても、県立病院、宮古市を初めとした市町村、また、北上済生会病院やリハビリテーションセンター、日赤岩手県支部などが不適正使用の実態を公表し、陳謝したなどの報道がなされているところであります。また、6月17日には、新たに8県立病院で、複数の患者への使用が禁止されている採血用医療器具を使い回したといたしまして発表がありました。県立病院は、良質な医療サービスを提供し、県民医療の確保を図ることを使命としております。その県立病院で、平成18年3月の注意喚起通知以降も不適切に使用していたことが判明したことは、本当に残念でなりません。ついては、使用した患者への対応を万全にしていただきたいと思いますが、どのようにするおつもりでしょうか。また、再発防止をどのように徹底するか、お考えをお示し願います。
 次に、高校再編についてお伺いします。
 私は、県立釜石商業高校の昭和37年第26回の卒業生であります。昭和8年に創立した母校は、高校再編により75年の歴史に幕を閉じ、来年4月、新生県立釜石商工高校として新たな船出を期す予定となっております。商才士魂を校是とし、商業高校として歩んできましたが、盛岡地区では、専門高校の授業連携として、昨年度から、盛岡商業高校の生徒が盛岡工業高校に出向いて、製図や工業技術の授業を受ける取り組みをしていると聞いております。自動車関連産業など製造業の求人数がふえていることを踏まえ、従来の商業の課程に加えて、製造業の現場で必要な技能を身につけることで、企業側が求める人材を育成するということであります。盛岡工業高校や盛岡農業高校の生徒との連携も実施するとしており、学校の枠にとらわれない教育のあり方として注目しております。
 そこで、私は、母校ということもあり、統合予定の釜石商工高校に焦点を当ててお伺いします。
 第1に、商業と工業という異なる専門高校同士の統合で、それぞれの専門教育はどのようになるのか。現在の計画策定時に独立した商業高校の存続を強く要望した経緯もあり、再度、専門高校同士の統合の意義、基本的な考え方についてお伺いをします。
 第2に、部活動については、現在の生徒たちは、今までどおり続けたいという気持ちを持っております。統合により、どうなるのかという不安があると思います。特に、釜石商工高校は、新校舎建設等により、数年は釜商の施設を活用して活動しなければなりません。県として、その間の施設間移動手段の確保、移動時の安全確保等についてお伺いいたします。
 第3に、通学についてでありますが、新しい釜石商工高校の生徒は、JR釜石駅から徒歩や自転車で通学する生徒がおり、商業高校との統合で女子の通学もふえることが考えられますが、街灯がありません。このような世の中になり、通学時、生徒の安全対策も大変重要であります。統合に伴い、通学路の街灯設置をしっかりと対応すべきですが、いかがでしょうか。
 以上をもちまして私の一般質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 吉田洋治議員の質問にお答え申し上げます。
 まず、平成20年岩手・宮城内陸地震でお亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りいたしますとともに、負傷された方々、避難生活を余儀なくされている皆様を初め、被災者の皆様に心からお見舞いを申し上げます。また、県民の皆様や県内外からさまざまな御支援をいただいており、改めて心から感謝を申し上げます。
 お尋ねの地震による道路及び橋梁の復旧の見通しについてでありますが、県及び市町管理の道路及び橋梁の被害は、一関市や奥州市など6市町の一般国道4号から西側の中山間地域を中心に、大規模かつ広範囲に及んでおります。被災箇所のうち、土砂崩落などにより通行どめとなった道路については、土砂の撤去や迂回路の整備などの応急対策を急いでいるところです。しかしながら、一般国道342号の一関市厳美町から須川温泉までの区間については、震源に近い祭畤大橋が落橋するなど甚大な被害を受けましたことから、復旧に当たっては、詳細な地質調査や高度な技術検討が必要な箇所が多く、復旧には数年を要するものと見込まれます。今後は、地震で被災された方々がもとの生活に戻ることが災害復旧の目標であることを念頭に、関係機関と連携を図りながら、被災地の生活や地域産業を支える一般国道342号及び397号を初めとする道路、橋梁について早期に復旧できるよう、全力を挙げて取り組んでいく決意であります。
 次に、増田県政の評価についてでありますが、増田県政3期12年間のうち、前半は、安全で快適な県民生活の実現と産業振興のための基盤づくりを視野に入れ、全国と比較して立ちおくれていた社会資本の整備を重点的に進めるとともに、後半は、こうした社会資本を活用しながら、自動車関連産業の集積を初めとした地域産業の強化や地域力を生かした福祉分野の取り組みなど、民間活力や地域の潜在力を引き出すことに力を注いだものと認識しております。また、地方分権改革や県民の県政への参画推進など厳しい財政環境の中、いわゆる改革派知事として高い手腕を発揮されたと評価しております。
 次に、県政運営の基本的な考え方について、私の政治姿勢を踏まえてお尋ねがありましたが、私は、知事としてやらなければならないことは県民福祉の向上、つまり、県民の暮らしや仕事の向上にほかならないと考えております。知事就任以来、私は、このことを胸に知事の仕事に取り組んできたところであり、政治活動等においても、同様な考えに立ち行動してきたところであります。
 また、真の地方分権を実現していくためには、県民が主権者として自覚して行動していくことが不可欠であると考えており、それを促していくためには、私も地方における政治家として、その役割を果たしていくことが大事であると考えているところであります。
 次に、平泉文化遺産の世界遺産登録についてでありますが、5月23日にイコモスの勧告がなされた後、6月には、私と副知事で、世界遺産委員会の委員国21カ国中17カ国の大使館等を訪問し、地域と地域の交流の枠組みの中で平泉の現状や地元の思いなどを伝え、心通わせることに努めてまいりました。各国の大使等には、平泉に対する理解を示していただき、また、説明のあった内容は本国に伝えると言われたところであり、いずれも好意的な反応が得られたと感じているところであります。また、私は、平泉には世界が必要としている平和や環境の理念があると確信しており、平泉の価値そのものが否定されているわけではないと考えております。
 現在、ユネスコ日本政府代表部の近藤大使が、平泉の価値について委員国の理解が得られるよう説明を行っているところでありますが、地元が平泉に関する詳しい情報をサポートすることは世界遺産委員会前の最大の貢献と考えておりますので、岩手県としても、逆転登録に向けて最大限の努力をしてまいりたいと思います。
 次に、広域振興局体制の整備についてでありますが、現在の地方振興局体制から移行することとしたのは、まず、いわて希望創造プランに掲げる重点目標である県民所得の向上、雇用環境の改善、人口流出の歯どめなどの喫緊の課題に対応するため、より広域的な観点からの取り組みが必要であること。特にも、県央・県南圏域との格差拡大が懸念される県北・沿岸圏域においては、地域の特性に応じ、これまで以上の効果的、効率的な産業施策を展開することが急務であること。また、住民に身近な基礎自治体としての市町村が、将来とも持続的に行政サービスを提供できるように、市町村優先の行政システムの確立に向けた支援を強化する必要があること。さらには、極めて厳しい財政状況の中、限られた経営資源を生かす視点で組織力を最大限に発揮できる、簡素にして効率的な組織体制を整備する必要があることなどによるものでありますが、今後とも、市町村長や県民の皆様の御意見をいただきながら、望ましい体制を検討してまいりたいと思います。
 なお、広域振興局体制への移行に伴う地方振興局が所在する地域への影響については、広域振興圏全体の地域振興策を展開する中で対処してまいりたいと考えます。
 次に、本庁機能の強化についてでありますが、本庁と広域振興局それぞれの機能については、まず、本庁は、全県的または県域を越える政策や海外を対象とする政策の立案・調整等の業務、集約による専門性等の確保が必要な業務などを担い、広域振興局は、地域の多様な構成主体とのネットワークのもとに、現場主義に立った部局横断的な総合力・機動力を生かした県民サービス業務などを担うことを基本とし、限られた行財政資源の分散と集中の戦略的な組み合わせによる最適な分担を目指したいと考えています。その上で、広域振興局体制への移行に当たっては、広域振興局と本庁が一体的かつ効果的な施策を展開できる視点で、本庁の機能についても一層の強化を図ってまいります。そのため、広域振興局においては、企画部門の集約などによる強化を図るとともに、本庁においては、専門性の高い業務などで本庁で処理するほうが適切なものを振興局から集約するなど、その機能を一層発揮できる体制を構築してまいります。
 次に、岩手競馬の再生についてでありますが、まず、速やかに民間委託を導入すべきとの御指摘については、岩手競馬については、競馬組合議会や構成団体議会での大きな議論を経て、競馬事業から得られる収入ですべての支出を賄い、競馬組合が年度を通じての収支均衡を達成していくことが事業存続の条件とされているものであり、この点は今後とも基本になるものであります。現在、協議・交渉を行っている民間委託の拡大は、この基本ルールのもとでの経営の改善や安定化を図る手法の一つとして、その導入の可能性を検討しています。
 今後の交渉を通じて、現在の運営方法に比べて、岩手競馬の存続・再建にとって、よりよい運営方法となることが確実であると競馬組合及び構成団体として確認できた場合には、早ければ、平成21年度から民間委託拡大を実施することを考えているものであります。
 次に、民間委託拡大の最終判断の時期についてでありますが、民間委託拡大を行うとした場合、その実施時期については、現在の委託先企業との契約期間が来年3月まであることや、民間委託拡大による新たな運営方法は、年度を単位として、年度途中の売り上げ変動を委託料で調整する仕組みを基本としたものでありますことなどから、早くて来年の4月からの実施となるものであります。
 また、民間委託拡大については、賞典費のあり方や既存の施設設備等の取り扱いなどを初め、多岐にわたる論点についての協議・交渉や双方にとってさまざまな準備も必要となりますことから、民間委託拡大を実施するかどうかを判断するためには、どうしても一定の時間は必要になるものであり、現時点では、その判断を行う時期は10月ごろを想定しているところであります。
 なお、交渉先の企業からも、10月までに細部を調整することは日程的にタイトであるとの話も伺っており、今後の協議・交渉に当たっては、相手方企業と意思疎通をよくして、積極的かつスピーディーに作業を進めてまいりたいと思います。
 次に、官民プロジェクトによる再建計画の策定等についてでありますが、民間委託拡大を行うとした場合には、安定的な事業経営を確保する観点から複数年度の包括的な委託契約を想定しており、交渉の中で契約期間全体にわたる収支見通しや委託料の算定ルールなどについて協議し、合意に至った場合に民間委託拡大がスタートすることになるものであります。したがいまして、その場合には、実質的に合意された契約内容自体が、それから数年間の岩手競馬の再建計画に相当するものになると考えられますため、現在進めている交渉以外に、別途、再建計画を策定する作業を行うことは想定しておりませんが、実態としては、交渉の中で岩手競馬の数年間の経営計画を協議していくことになると認識しております。いずれにしても、今後の交渉を通じて、現行の運営方法に比べてよりよいものであると県民が納得できるような内容で合意できるかどうかがポイントとなりますので、競馬関係者とも十分調整を行いながら、精力的に交渉を進めてまいりたいと思います。
 次に、岩手町出身小沢みさきさんの活躍についてでありますが、小沢選手には、昨年9月、第6回女子アジアカップホッケー競技の優勝報告に知事室御訪問をいただき、直接お会いする機会がありましたが、世界で活躍するトップアスリートとしての輝きを感じ、とても頼もしく思いました。このたび、小沢選手が北京オリンピック日本代表に決定したことは、私たち岩手県民が待ち望んでいたことであり、まさに岩手の誇りであります。その活躍する姿は、県民に大きな感動と活力を与え、とりわけ、次代を担う本県の子供たちに大きな励みとなります。ぜひともメダルを獲得できるよう、岩手から県民の皆様とともに応援していきたいと思います。
 その他のお尋ねにつきましては、副知事及び関係部局長から答弁させますので御了承をお願いいたします。
   〔副知事宮舘壽喜君登壇〕
〇副知事(宮舘壽喜君) 県北・沿岸振興についてでありますが、私は副知事に就任後、県北・沿岸振興本部の本部長として、圏域の市町村長や産業関係者を訪問し、県北・沿岸振興にかける私の決意を伝えてまいりました。
 また、去る5月に実施いたしました県北・沿岸移動県庁では、県北・沿岸圏域における人口減少や高齢化の進行、雇用情勢など、県内陸部に比べて厳しい状況にあることを改めて痛感したところであります。
 一方で、我が国を代表する海岸美などすぐれた景観や、安全・安心で品質の高い農林水産物など、それぞれの地域が有するすぐれた地域資源を再認識するとともに、それらを活用した地域振興の方向性について、地域の方々と共有することができたものと考えております。その実現に向けて、これらの地域資源を最大限に活用し、例えば、三陸沿岸の海洋資源を生かした関連産業の集積等による産業振興や、県境を越えた広域観光など八戸圏域等との一層の交流・連携の推進など、それぞれの地域の実情を踏まえた上での県北・沿岸振興に取り組むこととしております。
 私は、今後とも、できる限り現地に足を運び、地域の方々や産業関係団体、市町村との対話を重ねながら、産業振興による所得の向上、雇用の確保に努めるなど、いわて希望創造プランに掲げた目標の達成に向けて地域の総力を結集し、全力で取り組んでまいる考えであります。
   〔県土整備部長佐藤文夫君登壇〕
〇県土整備部長(佐藤文夫君) 崩落土砂等による河川閉塞に対する今後の対応についてでありますが、国では、磐井川上流域の市野々原地区及び産女川上流部等で、緊急的な対策の一つとしまして、ワイヤーセンサー、地盤の挙動を観測する伸縮計、監視カメラ等の観測機器を設置したところであります。また、県では、衣川上流部の北股川などにワイヤーセンサーを設置したところであります。現在、本県は梅雨期に入っておりまして、さらにはこれから台風シーズンを迎えますことから、これらの観測機器を活用しながら、国及び一関市、奥州市と連携を図り監視を継続するとともに、降雨の状況等によっては警戒避難体制をとり、二次災害防止に努めていくこととしております。
 さらには、ハード面の対策としまして、崩落の土砂流出防止のため、緊急を要する河川への砂防ダムの設置等について検討を進めているところであります。また、宮城県と合同で、学識経験者、国、研究機関等からなる岩手・宮城内陸地震に係る土砂災害対策技術検討委員会を28日に設けたところであり、その中で中長期的な対策についても検討をすることとしております。
   〔医療局長田村均次君登壇〕
〇医療局長(田村均次君) 不適切な採血用穿刺器具を使用した患者さんへの対応についてでありますが、今般、多数の県立病院で、厚生労働省から採血器具の取り扱いに係る注意喚起の通知があったにもかかわらず、多くの患者さんに不適切な使用をしていたことについて、大変申しわけなく、心からおわびを申し上げます。
 平成18年の厚生労働省通知以後、針の周辺部分がディスポーザブルタイプ―使い捨てタイプでない採血用穿刺器具を複数の患者に使用していた県立病院等は16施設であり、現時点において対象者は4、250人となっております。それぞれ相談窓口を設置するとともに、対象者に対しおわびと肝炎等の検査を実施する旨の文書を発送しているところであり、連絡がつき次第、検査を行うこととしております。
 次に、再発防止対策についてでありますが、今回の事例は、厚生労働省の注意喚起通知が職員一人一人に十分に周知徹底されなかったことが大きな原因と考えられますことから、医療安全に関する重要な通知等の周知の仕方を見直すことや、通知後にその趣旨が徹底されているかどうかの確認をすること、さらには、院内感染対策マニュアルの徹底及び院内巡視による器具、材料等の使用状況の点検に取り組むなど、医療安全管理の徹底に努めてまいります。
 なお、厚生労働省からは、平成20年6月13日付で、同種の製品が販売されました平成3年1月までさかのぼって調査をするよう指示があり、その結果、江刺病院、大迫地域診療センターを除く25施設において不適切な取り扱いをしていたことが判明いたしましたことから、関係機関と協議しながら、適切に対応してまいりたいと考えております。
   〔教育長法貴敬君登壇〕
〇教育長(法貴敬君) まず、公立学校施設の耐震化の現状についてでありますが、公立学校施設は、児童生徒が一日の大半を過ごす活動の場であるとともに、災害発生時においては地域住民の応急避難場所になるなど、地域の防災拠点としても大事な役割を担っており、その安全性の確保は極めて重要であり、早期に耐震化を図ることが必要であると考えています。
 耐震化の現状は、さきに文部科学省が公表した公立学校施設の耐震改修状況調査結果によれば、本年4月1日現在の県内公立学校施設の耐震化率は、小・中学校62.8%、高等学校66.7%、特別支援学校96.6%、幼稚園68.8%となっております。今後、国からは、昭和56年以前の基準により建設された建物で、大規模な地震により倒壊等の危険性の高い建物について耐震化を強く求められていることから、市町村と連携しながら耐震化をこれまで以上に促進する一方、国に対しては、市町村の事業執行が円滑に推進できるよう、財政措置について要望してまいります。
 次に、県営運動公園陸上競技場についてでありますが、本県スポーツ振興のシンボルとして多くの県民に利用されてきている県営運動公園陸上競技場は、建設以来40年以上経過し老朽化が進んでおります。第1種公認陸上競技場として維持するにはおよそ17億円が必要であるなどから、今後、国体の主会場の選定動向などを踏まえつつ、現下の厳しい財政状況のもとで、施設のあり方がどうあればいいかについて、引き続き検討してまいりたいと考えております。
 次に、第71回国民体育大会に向けた選手の強化についてでありますが、国体の開催は半世紀に1度の大きなスポーツイベントであり、第71回国民体育大会開催方針では、県民の総力を結集して、夢と感動を与えるスポーツの国民的祭典にふさわしい大会として開催するとしております。本県においても、国体開催に当たり、選手強化に係る経費、優秀な選手の雇用促進などが大きな課題となっており、民間の協力が不可欠と考えております。そのため、民間を主体とした社会人スポーツなどの強化の支援組織の設置に向けた検討を始めていただく予定としており、準備会を年度内に立ち上げるように検討しているところであります。
 選手育成のための民間人材の登用については、民間指導者の方々は仕事を持ちながらの協力であり、長期間に及ぶ大会や強化練習会等への参加には制約や課題が多く、簡単には登用が拡大できない状況にあり、この課題についても経済産業界の意見を十分に伺いながら、どのように進めていけるかを検討してまいりたいと考えています。
 また、スーパーキッズ発掘・育成事業についてでありますが、昨年度認定の77名のスーパーキッズに対して、現在、スポーツ医科学の専門家により、どの競技種目にも共通する基礎的な運動能力の開発や論理的な思考力、コミュニケーションスキルなど知的能力の開発、また、スポーツ栄養などの指導を行っているところでありますが、同時に、各種トレーニングを通じてデータの集積と分析を行っており、今後、スーパーキッズ個々に対して適性競技種目に関する情報を随時提供しながら、本人の競技種目の選択を支援していくこととしております。一方、専門的な強化の主体となる競技団体には、スーパーキッズの受け入れ態勢の整備と、その才能を継続的に伸ばしていく仕組みの構築を進めていただいております。
 2期生となる今年度の認定については、7月から10月までを応募期間とし、その後、県内10カ所における選考会、盛岡における最終選考会を経て、3月に5年生40名程度、6年生若干名を決定する予定としております。スーパーキッズを適切に育成し、本県の競技力向上の一翼を担うように努めてまいります。
 次に、高校再編における専門高校同士の統合の考え方についてでありますが、平成17年7月に策定した県立高等学校新整備計画後期計画においては、専門高校同士が統合する総合的な専門高校については、各専門高校における専門教育の専門性を確保するとともに、今後の複合化する産業の動向にも対応できるよう、関連する他の専門分野の教科・科目の学習も可能とすることにより、製造、生産から流通、販売、消費までの一連の過程を総合的に学ぶことができる高校として位置づけているところであり、統合においても、専門教科を維持し発展できるものと考えております。
 次に、統合後の釜石商工高校の部活動についてでありますが、釜石商工高校は、現在、釜石工業高校の敷地内に新校舎を建設中であり、少なくとも平成23年3月までの新しい施設が整備されるまでの間、釜石商業高校の施設も活用しながら部活動を行うこととしております。その間の施設間移動については、今後、バスなどの公共交通機関の利用などについて検討し、極力、部活動に支障を来さないよう、移動手段の確保と安全対策に努めてまいります。
 次に、通学路の安全対策についてでありますが、議員御指摘のとおり、現在の釜石工業高校とJR釜石駅の通学路については街灯が設置されていない状況にあります。見通しの悪い箇所や歩道の狭い箇所なども見受けられるところであります。現在、釜石工業高校において、各関係機関に対して街灯の設置や歩道の拡幅、自転車通行帯の設置など安全対策を働きかけているところであり、教育委員会としても学校と連携しながら、引き続き生徒の安全対策についての取り組みを進めてまいりたいと考えております。
〇議長(渡辺幸貫君) この際、暫時休憩いたします。
   午後2時4分 休憩
出席議員(46名)
1  番 木 村 幸 弘 君
2  番 久 保 孝 喜 君
3  番 小 西 和 子 君
4  番 工 藤 勝 博 君
5  番 岩 渕   誠 君
6  番 郷右近   浩 君
7  番 高 橋   元 君
8  番 喜 多 正 敏 君
9  番 高 橋 昌 造 君
10  番 菅 原 一 敏 君
11  番 小野寺 有 一 君
12  番 熊 谷   泉 君
14  番 高 橋 博 之 君
15  番 亀卦川 富 夫 君
16  番 中 平   均 君
17  番 五日市   王 君
18  番 関 根 敏 伸 君
19  番 三 浦 陽 子 君
20  番 小田島 峰 雄 君
21  番 高 橋 比奈子 君
22  番 高 橋 雪 文 君
23  番 嵯 峨 壱 朗 君
24  番 及 川 あつし 君
25  番 飯 澤   匡 君
26  番 田 村   誠 君
27  番 大 宮 惇 幸 君
28  番 千 葉 康一郎 君
29  番 新居田 弘 文 君
30  番 工 藤 大 輔 君
31  番 佐々木 順 一 君
32  番 佐々木   博 君
33  番 工 藤 勝 子 君
34  番 平 沼   健 君
35  番 樋 下 正 信 君
36  番 柳 村 岩 見 君
37  番 阿 部 富 雄 君
38  番 斉 藤   信 君
39  番 吉 田 洋 治 君
40  番 及 川 幸 子 君
41  番 佐々木 一 榮 君
42  番 伊 藤 勢 至 君
44  番 小野寺 研 一 君
45  番 千 葉   伝 君
46  番 佐々木 大 和 君
47  番 菊 池   勲 君
48  番 小野寺   好 君
欠席議員(1名)
43  番 渡 辺 幸 貫 君
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後2時19分 再開
〇副議長(佐々木大和君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。千葉康一郎君。
   〔28番千葉康一郎君登壇〕(拍手)

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