平成20年2月定例会 予算特別委員会会議録

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平成20年3月10日(月)
1開会  午前10時4分
1出席委員  別紙出席簿のとおり
1事務局職員
  事務局長  藤 原 健 一
  議事調査課長 切 金   精
  議事担当課長 保 原 良 和
  主任主査  菊 池 達 也
  主査  鈴 木 文 彦
  主査  石木田 浩 美
  主査  佐々木 ユ カ
  主査  菊 池 芳 彦
  主査  渡 辺 謙 一
1説明員
  知事    達 増 拓 也
  副知事    宮 舘 壽 喜
  企画理事    酒 井 俊 巳
  総合政策室長   勝 部   修
  首席政策監    千 葉 茂 樹
  政策調査監    木 村 卓 也
  政策推進課
  総括課長    小田島 智 弥
  政策担当課長   岩 間   隆
  経営評価課
  総括課長    高 橋 嘉 行
  政策評価担当課長 保   和 衛

  地域振興部長   藤 尾 善 一
  地域企画室長   望 月 正 彦
  地域振興支援室長 鈴 木 健 夫
  市町村課総括課長 浦 上 哲 朗

  総務部長    川 窪 俊 広
  総務室長    瀬 川   純
  人事課総括課長  高 橋   信
  予算調製課
  総括課長    中 村 一 郎
  税務課総括課長  佐 藤 文 男
〇藤原議会事務局長 御承知のとおり、委員長が互選されるまでの間、委員会条例第7条第2項の規定により、年長の委員が委員長の職務を行うこととなっております。
 出席委員中、菊池勲委員が年長の委員でありますので、御紹介申し上げます。
 菊池勲委員、どうぞ委員長席に御着席をお願いいたします。
   〔年長委員菊池勲君委員長席に着く〕
〇菊池勲年長委員 ただいま御紹介いただきました菊池勲でございます。よろしく御協力をお願い申し上げます。
 それでは、ただいまから予算特別委員会を開会し、直ちに本日の会議を開きます。
 これより委員長の互選を行います。委員会条例第7条第2項の規定により、委員長互選の職務を行います。
 お諮りいたします。委員長互選の方法につきましては、指名推選の方法によりたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇菊池勲年長委員 御異議なしと認めます。よって、互選の方法は指名推選に決定いたしました。
 お諮りいたします。指名推選の方法につきましては、当職において指名することにいたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇菊池勲年長委員 御異議なしと認めます。よって、当職において指名することに決定いたしました。
 予算特別委員長に千葉康一郎君を指名いたします。
 お諮りいたします。ただいま当職において指名いたしました千葉康一郎君を予算特別委員長の当選人と定めることに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇菊池勲年長委員 御異議なしと認めます。よって、ただいま指名いたしました千葉康一郎君が予算特別委員長に当選されました。
 ただいま当選されました千葉康一郎君が委員会室におられますので、本席から当選の告知をいたします。
 千葉委員長、委員長席にお着きを願います。
   〔予算特別委員長千葉康一郎君委員長席に着く〕
〇千葉康一郎委員長 一言ごあいさつを申し上げます。
 ただいま皆様方から御推挙をいただき、予算特別委員長に選任されました千葉康一郎でございます。
 平成20年度予算を審議するに当たりましては、県民の福祉向上のために、委員各位から終始御熱心な御議論をいただくことになると思いますけれども、議事の運営につきましては円滑に進みますよう努力をいたし、職責を全うしてまいりたいと考えております。
 議員各位の特段の御指導、御協力を賜りますよう、よろしくお願いを申し上げ、ごあいさつといたします。どうぞよろしくお願い申し上げます。(拍手)
 引き続いて副委員長の互選を行いたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇千葉康一郎委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。
 これより副委員長の互選を行います。
 お諮りいたします。副委員長互選の方法につきましては、指名推選の方法によりたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇千葉康一郎委員長 御異議なしと認めます。よって、互選の方法は指名推選によることに決定いたしました。
 お諮りいたします。指名推選の方法につきましては、当職において指名することにいたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇千葉康一郎委員長 御異議なしと認めます。よって、当職において指名することに決定いたしました。
 予算特別副委員長に飯澤匡君を指名いたします。
 お諮りいたします。ただいま当職において指名いたしました飯澤匡君を予算特別副委員長の当選人と定めることに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇千葉康一郎委員長 御異議なしと認めます。よって、ただいま指名いたしました飯澤匡君が予算特別副委員長に当選されました。
 ただいま当選されました飯澤匡君が委員会室におられますので、本席から当選の告知をいたします。
 飯澤副委員長、ごあいさつをお願いいたします。
〇飯澤匡副委員長 ただいま御推挙をいただきまして、予算特別副委員長という大役を仰せつかることになりました。ひたすら委員長を支えて、委員会の円滑な運営に頑張りたいと思いますので、よろしく委員各位の御協力をお願いいたします。
 ありがとうございました。(拍手)
〇千葉康一郎委員長 お諮りいたします。当予算特別委員会に付託されました議案32件についての審査の方法でありますが、お手元に配付してあります日程案のとおり、本日から14日まで及び17日から19日の8日間は、関係部局長の説明を求め、質疑を行うこととし、議案32件に対する意見の取りまとめと採決につきましては、19日の企業局関係の質疑が終わった後、各会派の意見調整を経た上で行いたいと思います。
 なお、7日目の農林水産部の審査については、世話人会の申し合わせに基づき、第1部を農業関係、第2部を林業、水産関係とし、それぞれ区分して審査することとしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇千葉康一郎委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。
 これより議事に入ります。
 議案第1号から議案第21号まで、議案第31号、議案第33号から議案第37号まで、議案第39号から議案第42号まで及び議案第47号の以上32件を一括議題といたします。
 総務部長に総括説明を求めます。
〇川窪総務部長 それでは、平成20年度当初予算の概要等につきまして、総括的な御説明を申し上げます。
 この予算の編成に当たりましては、極めて厳しい財政環境のもと、すべての事務事業について総点検を実施し、要求段階から十分精査を行いますとともに、県民福祉の向上のため、創意工夫を凝らしながら徹底した歳入歳出の見直しを行い、いわて希望創造プランの着実な推進を図るため、限られた財源の効率的な活用に努めたところでございます。
 それでは、予算の概要につきまして御説明申し上げたいと存じます。
 お手元の議案その1の冊子の1ページをお願い申し上げます。議案第1号平成20年度岩手県一般会計予算でございます。第1条は歳入歳出の総額を6、583億5、150万円余と定めるものでありますが、これは、前年度当初予算に比べ5.5%の減となるものであります。昨年度の当初予算が知事選を控えた骨格予算でございましたことから、肉づけを行った6月補正後予算と比較いたしますと9.4%の減となってございますけれども、平成20年度の予算額は、公債管理特別会計を設置いたしまして、借換債644億9、400万円の経理を当該特別会計において経理することとし、一般会計から切り離したことから減額幅が大きく見えているものでございますが、前年度におきましても公債管理特別会計が存在したものと仮定をいたしまして、借換債相当額を除いた額同士で比較をいたしますと、当初予算に比較して0.5%の増、6月補正後予算と比較いたしまして4.0%の減となっているものでございます。第2条は債務負担行為の限度額等を、第3条は地方債の限度額等をそれぞれ定めるものであり、第4条は一時借入金の最高額を1、000億円とするものでございます。第5条は職員給与について、同一款内での予算流用を定めるものでございます。
 次に、歳入について御説明申し上げます。
 便宜、予算に関する説明書の1ページをお開き願います。一般会計歳入歳出予算事項別明細書の1総括の歳入でございますが、自主財源は、1県税、2地方消費税清算金、7分担金及び負担金、8使用料及び手数料、さらに10財産収入から14諸収入までとなってございますが、その自主財源の総額は2、552億3、480万円余でございまして、前年度当初予算と比べ1.8%の減となっております。これは、繰入金の減などによるものでございます。
 一方、依存財源でございますが、依存財源は、3地方譲与税、4地方特例交付金、5地方交付税、6交通安全対策特別交付金、9国庫支出金、15県債になっておりまして、その総額は4、031億1、670万円余で、前年度当初予算対比で7.7%の減となっておりますが、これは、主に地方交付税の減や県債の減などによるものでございます。
 この結果、歳入に占める自主財源の割合は38.8%と、前年度当初予算の37.3%から1.5ポイント上昇し、一方、依存財源の割合は61.2%となったところでございます。
 次に、これら歳入の内容につきまして御説明申し上げます。
 同じ説明書の冊子の4ページをお願い申し上げます。まず、1款県税1項県民税は419億6、800万円で、前年度当初予算対比5.5%の増となっておりますが、これは、1目の個人県民税が16億8、400万円の増となっていることなどによるものであります。
 2項事業税は309億9、800万円で2.2%の増となっておりますが、これは、IT関連や自動車関連の製造業等を中心に堅調に推移し、これらの業績見通しを踏まえた見込みでございます。
 次に、6ページの3項地方消費税でございますが、地方消費税は地方財政計画等をもとに106億1、000万円でございまして12.1%の減となっております。
 4項不動産取得税は30億7、200万円で3.2%の減となっております。
 次に、8ページをお願いいたします。5項県たばこ税は25億7、900万円で4.2%の減、6項のゴルフ場利用税は3億5、000万円で5.9%の減となっております。
 次に、10ページをお願いいたします。7項自動車税は192億2、700万円で3.6%の減を見込んでおります。
 8項鉱区税は、最近の課税実績等を勘案し1、800万円を計上したものでございます。
 次に、12ページの9項自動車取得税は35億3、800万円で8.6%の減となっております。
 10項の軽油引取税は171億3、100万円で、前年度とほぼ同額を見込んでいるところでございます。
 次に、14ページをお願いいたします。11項狩猟税は、狩猟者登録見込み数により5、000万円を、また、12項産業廃棄物税は、最終処分場の年間埋立量等を勘案して8、000万円を見込んでおります。
 16ページをお願い申し上げます。16ページの13項は旧法による税でございます。
 以上、県税の合計額は1、296億2、200万円で、前年度当初予算に比べ1億9、800万円、0.2%の増となるものでございます。
 次に、17ページの2款地方消費税清算金は252億6、800万円で4.3%の減となっております。
 次に、18ページでございます。3款地方譲与税1項地方道路譲与税は40億7、413万円余、2項石油ガス譲与税は3億734万円、次に20ページに参りまして、3項航空機燃料譲与税は1、486万円余をそれぞれ見込んでいるものでございます。
 次に、21ページをお願いいたします。4款地方特例交付金の1項地方特例交付金は、児童手当特例交付金及び平成18年度の税制改正により、住宅ローン減税の既適用者について所得税の税源移譲により、所得税で控除し切れない税額控除額を住民税から控除することとなったことに伴いまして生ずる減収額を補てんするための減収補てん特例交付金、これらを新たに加えた9億3、400万円を見込んでいるものでございます。
 22ページでございますが、2項特別交付金につきましては、恒久的減税による減収を補てんする制度であった減税補てん特例交付金が、平成18年度をもって廃止されたことに伴い経過措置として設けられたものでございまして、3億4、148万円余を見込んでいるものでございます。
 次に、23ページの5款地方交付税でございますが2、300億7、510万円余で、前年度当初予算対比で2.6%の減で計上しているものであります。
 次に、24ページの6款交通安全対策特別交付金は5億6、600万円と見込んだものでございます。
 次に、25ページの7款分担金及び負担金でございますが、1項分担金は、そのほとんどが農業農村整備事業等に係るものでございまして、26ページから27ページまでにかけましての2項負担金のほうにつきましては、民生、衛生、農林水産業、土木及び教育に係る受益者負担金、市町村負担金等を計上しているものでございます。
 次に、28ページの8款使用料及び手数料でございますが、1項使用料の主なものを申し上げますと、1目総務使用料では、いわて県民情報センター使用料、それから次の29ページから30ページにかけての5目農林水産業使用料では、漁港施設使用料など、また、7目土木使用料では、道路及び河川の占用料や県営住宅使用料など、次の31ページの9目教育使用料の中では、高等学校の授業料などが含まれているものでございます。これら使用料の総額は、32ページの最下段になりますが63億9、601万円余で、前年度に比べ2.5%の減となっているところでございます。
 次に、33ページの2項手数料につきまして主なものは、3目の衛生手数料の中に食品営業許可や屠畜検査に係る手数料など、また、36ページの7目土木手数料の中には、建設業者の許可や建築確認に係る手数料など、また、8目の警察手数料の中に運転免許更新等に係る手数料などがございまして、それらの合計は、37ページになりますが22億3、910万円余となっており、前年度比6.0%の減となっているところでございます。
 次に、38ページの9款国庫支出金でございますが、1項国庫負担金の主なものを申し上げますと、1目民生費負担金では、7節の児童保護委託で19億6、332万円余、また、10節の生活保護で29億1、199万円余、39ページの4目土木費負担金の中では、基幹河川改修事業、砂防事業などがございまして、次の5目教育費負担金におきましては、義務教育人件費に係るものなどがございます。また、40ページの6目の災害復旧費負担金におきましては、4節の河川等災害復旧事業などがその主なものになっているところでございます。これらの国庫負担金の総額は334億8、573万円余となっておりまして、前年度より3.5%の減となっております。
 次に、41ページの2項国庫補助金でございますが、国庫補助金の総額は51ページでございますが448億9、319万円余となっておりまして、5.2%の増となっているところでございます。
 次に、52ページから54ページにかけましては3項委託金でございますけれども、この総額は、54ページに記載しておりますとおり11億3、534万円余で43.8%の減となっております。この大幅な減は、参議院議員選挙費の減などに伴うものでございます。
 次に、55ページの10款財産収入でございますが、1項財産運用収入につきましては4億4、873万円余を見込んでおり、次の56ページの2項財産売払収入は、県有未利用地の売り払いなどで6億8、643万円余を計上しているところでございます。
 次に、58ページの11款寄附金につきましては2、000万円を見込んでおります。
 次に、59ページの12款繰入金でございますが、1項特別会計繰入金につきましては、電気事業会計からの借り入れを行うことなどにより17億9、351万円となっております。
 次の60ページでございますが、2項基金繰入金につきましては、財政調整基金、県債管理基金、公共施設等整備基金の主要3基金のほか、自治振興基金等のいわゆる特定目的基金の資金の活用など85億7、755万円余を計上したところでございまして、前年度に比較して102億6、846万円余の減となっております。
 なお、平成20年度末の主要3基金の残高につきましては、そのページに記載しているものではございませんけれども、そのページのような繰入金の予算計上を行った結果といたしまして、20年度末の主要3基金残高は、財政調整基金が74億9、500万円、県債管理基金が55億3、000万円、公共施設等整備基金が28億5、100万円余、合計で158億7、600万円と見込んでいるところでございます。
 では、次に61ページでございます。13款繰越金でございますが、これは整理科目といたしているものでございます。
 62ページに参りまして、14款諸収入の1項延滞金、加算金及び過料等は2億3、875万円余を計上しておりまして、2項預金利子につきましては、金利動向等から1億1、367万円余を見込んでおります。
 64ページの3項公営企業貸付金元利収入は134億6、100万円でございまして、県立病院等事業会計への貸付金元金が主なものでございます。
 4項の貸付金元利収入は、総務や農林水産業において、さらに66ページの商工関係の貸付金元利収入などがございまして、各行政部門における貸付金に係る元利収入につきましての合計額は、66ページの記載のとおり507億508万円余となっているところでございます。
 次に、67ページの5項受託事業収入は、次の68ページに総額がございますが16億1、652万円余となっているところでございます。
 次に、6項の収益事業収入についてでございますが、これは、宝くじ収入36億円余を計上しております。
 それから、70ページの7項でございますが、利子割精算金の収入についてでございます。これは、298万円余を見込んでいるところでございます。
 次に、8項雑入でございますが、その総額については、74ページの記載のとおり58億50万円余と見込んでおります。
 次に、15款県債についてでございますけれども、この総額は77ページに記載してございますように872億8、950万円となっておりまして、前年度に比較して280億3、750万円、24.3%の減となっております。これは、公債管理特別会計を設置いたしまして、借換債の経理を当該特別会計において経理することとして、一般会計から分離したこと等による減額が主なものでございます。
 この結果、県債の現在高見込みについてでございますが、ここで一たん同じ冊子の283ページまで進んでいただきまして、前年度末現在高見込額、これが平成19年度末におきましての数字でございまして、当該年度末現在高見込額、これが20年度末の残高をあらわしている表になるわけでございますけれども、この20年度末残高見込額が284ページの計の欄の右端になります1兆4、108億5、171万円余と見込んでいるものでございます。
 なお、284ページの計欄の下のところに、新たに県債管理基金積立金及び当該基金積立金分を調整いたしました後の実質的な県債の現在高見込額というものをお示しするような表にいたしたところでございます。これは、満期一括償還地方債の元金償還に充てるために、その一定額をあらかじめ積立金として積み立て、満期一括償還の際の償還財源を確保するということが必要になってまいりましたので、そこの償還財源を確保するとともに、当該積立金について明確に区分経理をして、その旨をこの資料でもお知らせしようとするものでございます。
 以上で歳入についての説明を終わらせていただきます。
 それでは、次に歳出についてでございます。
 主要な事業につきましては、それぞれ所管部局の審査の際に当該担当部局長から詳しく御説明を申し上げることとしてございますので、款別歳出につきましては本日は説明を省略させていただきまして、私からは、性質別の主なものにつきまして御説明申し上げたいと存じます。
 それでは、予算に関する資料という冊子の方でございますが、この予算に関する資料の3ページをお願い申し上げたいと存じます。
 平成20年度一般会計歳出性質別内訳表という表がございます。まず、人件費でございますが、表の右端の前年度当初予算からの増減率の欄をごらんいただきますと、人件費については2.9%の減となっております。これは、職員数の縮減などを初めといたしまして、総人件費の抑制に努めていることによるものでございます。また、物件費につきましては、各種管理運営経費等の見直しなどを進めまして3.3%の減、また、維持補修費につきましては、土木施設の維持修繕費の増などによりまして5.5%の増となっているところでございます。次の4ページの扶助費につきましては5.2%の増となっております。また、補助費等につきましては1.3%の減でございますが、これは、参議院議員選挙執行費や県議会議員選挙執行費の減などによるものでございます。次の普通建設事業費は、学校建設の増額などによりまして14.0%の増となっているところでございます。次の5ページの災害復旧事業費は13.3%の減となっているところでございます。それから、公債費につきましては31.6%の減となっております。次の積立金でございますが、これは1.8%の減、また、出資金につきましては、地方公営企業等金融機構出資金1億700万円などがございまして、89.8%の増となっているところでございます。貸付金につきましては、中小企業向け制度融資の貸付原資預託の増などによりまして8.6%の増、繰出金は、港湾整備事業特別会計への繰出金の減額などによりまして18.3%の減となっているところでございます。
 以上、性質別についての御説明を申し上げました。
 平成20年度岩手県一般会計予算の概要につきましては、以上申し上げましたとおりでございます。
 なお、特別会計につきましては、それぞれ所管部局において御説明を申し上げますので、本日の私のほうからの説明は省略をさせていただきたいと存じます。
 以上で説明を終わりますので、よろしくお願いを申し上げたいと存じます。
〇千葉康一郎委員長 それでは、ただいまから総括質疑に入るわけでありますが、議会運営委員会の決定に基づき、総括質疑は、各会派及び会派に所属しない議員に質疑時間を配分して行うこととなっております。
 質疑時間につきましては、まず、民主・県民会議が45分、次に、自由民主クラブが38分、次に、政和・社民クラブが28分、次に、会派に所属しない議員は、日本共産党斉藤信委員、公明党小野寺好委員、無所属阿部富雄委員、無所属及川あつし委員の順に、それぞれ7分となっております。
 各会派は、配分された時間の範囲内で複数の議員が質疑をすることができること、この場合におきましては、会派として続けて行うこととされておりますので、御了承願います。
 なお、総括質疑は、あす遅くとも午後2時までに終了することを目途とすることになっておりますので、御協力をお願いいたします。
 これより総括質疑に入ります。佐々木博委員。
   〔佐々木博委員質問者席に着く〕
〇佐々木博委員 質問に先立ちまして、県職員が2名、八幡平で雪崩に遭って逝去されました。まことに痛ましい事故であり、心から哀悼の意を表したいと思います。
 それでは、民主・県民会議を代表いたしまして、平成20年度予算並びに今後の財政運営等を中心に総括的に質疑を行いますので、知事、副知事並びに関係部局長の明快な答弁をお願いいたします。
 最初に、平成20年度予算について何点か伺います。
 平成20年度予算について、知事は記者会見で、みずから100%の予算と評価されたと伺っておりますが、それは、あくまでも限られた財源の中で満足する編成ができたということでありまして、事業の選択と集中で大変苦労されただろうと思うわけであります。
 そこで、選択と集中の具体的な内容についてまずお伺いをしたい。
 また、知事として、財源の制約があるがためにやむを得ず削減せざるを得ない事業もあったと思うわけでありますが、具体的にそれは何なのか、それもお示しをいただきたいと思います。
〇達増知事 質問に先立ちまして、雪崩で遭難した県職員2名への哀悼の意を表していただきましたこと、私から御礼を申し上げます。ありがとうございました。
 さて、平成20年度予算、選択と集中ということで臨んだわけでございますけれども、まずはいわて希望創造プランにも盛り込みました四つの重点目標、県民の所得と雇用、雇用環境の改善、人口転出への歯どめ、地域医療の確保、これを予算編成に当たっても重点目標としたところでございます。そして、具体的に重点化した内容といたしましては、自動車や半導体関連産業のより一層の集積促進に向けての重点的支援、平泉世界遺産登録を契機とした観光産業の振興、農林水産物の販路拡大などによる農林水産業の振興、県北・沿岸地域の産業や雇用の創出、公正な雇用の確保、若年者や障害者の就業促進、若い世代が安心して暮らすことのできるセーフティネットの充実、医師確保のための奨学金の充実や医師の招聘、女性医師の就業支援などに積極的に取り組むための予算を措置したところでございます。
 一方、財源の制約により縮小した予算についてでありますが、人件費総額の抑制として、やむを得ず給与の特例減額を実施することとしたほか、さまざまな分野の事務事業について、社会経済情勢の変化等への対応の観点も含めて、できる限り地域振興や県民生活に影響を生じないよう配慮しつつ、見直しや予算額の抑制を図っているところでございます。
〇佐々木博委員 いずれ、大変財源が厳しい中で、御苦労された跡が予算書を見てもよく見えるわけでありますけれども、予算の規模で言いますと、借換債を除外しまして今年度の6月現計予算と比較しまして対前年比271億4、800万円の減、4%のマイナスなわけでありますが、これは平成14年度から7年連続マイナスになっているわけであります。
 そこで伺いたいわけですが、いわて希望創造プランを着実に推進していくためには、予算の適正規模はどのぐらいが妥当と考えていらっしゃるか。前の増田知事は、7、000億円程度という答弁をされたこともあるわけですが、どの程度と考えておられるか伺いたい。
 また、義務的経費の割合がだんだん高くなってきているわけでありますけれども、義務的経費と政策的経費の望ましい割合というのはどの程度と考えているか、そのことについてお伺いをしたいと思います。
〇達増知事 予算の適正規模についてでありますが、財源が潤沢にあるのであれば、その財源を活用してより多くの事業を展開したいという思いもございますが、現実的な見通しとしては、今般お示しした財政の中期見通しにおける財源をいかに効果的に活用していくかが重要と考えております。したがいまして、中期見通しでお示ししている予算規模を想定しつつ、知恵と工夫を凝らして、いわて希望創造プランを着実に推進していきたいと思います。一方で、地方財源の確保についての国への働きかけについては、さらに力を入れて取り組んでまいりたいと思います。
 義務的経費、政策的経費の望ましい割合についてでありますが、基本的には、できる限り政策的経費の割合を高めることが望ましいと考えており、少しずつでもその方向に動かしていきたいと思いますが、義務的経費と言っても、公債費は政策的に建設事業を実施したことに伴う経費でありますし、教員や警察官の人件費は行政サービスそのものとも言えるものでありますことから、義務的、政策的の金額の割合よりも、義務的経費も含めて、それぞれの予算がどれだけの効果を上げているかが重要と考えておりまして、こうした観点から、県民にとって最も効果の高い予算の組み立てと執行に取り組んでまいりたいと思います。
〇佐々木博委員 義務的とか政策的とかの割合ではなくて、総額でどれだけ効果が上がっているかというとらえ方、これは私も基本的には賛成であります。ぜひ、そういった観点で、これからも進めていただきたいと思います。
 ところで、今度の議会に補正予算でありますけれども、交付税41億6、000万円ほど減額補正が出されております。このことにつきましては、本会議でも若干のやりとりがあったわけでありますが、ここで改めて、この要因は何なのか、お伺いしたいと思います。
 過去に、このような多額の減額補正があったことがあったでしょうか。実は平成20年度の予算で交付税、確実に確保できるのかどうか。こういった減額補正がありますと不安を感じるわけでありますが、20年度の交付税の見積もりがどのようになされたのか、お伺いをしたいと思います。
 それから、あわせて、地方交付税の総額を見ますと、平成12年度21兆4、107億円、これがピークだったんですね。これが平成19年度、今年度ですけれども15兆2、027億円まで、7年間で、全体で6兆2、080億円削減されております。この間、本県においてはどれほどの削減額になるのか、お知らせをいただきたい。
 また、20年度の地方交付税は、地財計画では前年度より2、000億円ふえているわけでありますが、本県では、この当初予算では60億円の前年度マイナスになっております。率にしてマイナス2.6%。この理由は何なのか、あわせてお示しをいただきたいと思います。
〇川窪総務部長 まず、19年度の減額補正関係でございます。交付税に係る予算につきましては、7月に算定されます交付税額を当初予算の段階で見込むという形で計上いたしますので、一定の変動はやむを得ない面がございまして、具体的には、毎年度12月の地方財政対策で示されます交付税総額でありますとか、その翌月、1月に開催されます全国の財政課長会議で示される伸び率などを用いまして試算しておりますが、19年度につきましては、それに加えまして、18年度までの所得譲与税が、税源移譲により初めて地方税に置きかわるというような変動影響も勘案して推計をしたところでございますけれども、結果として、交付決定額が予算計上額を下回ったところでございます。
 本県におきましては、過去にこのような多額の減額補正をした例はございませんけれども、交付税の推計につきましては、全国的に地方税収が変動をするような年度には、各団体での正確な推計が難しいという傾向がございます。また、地方の財政難の中で、当初予算時点では、余裕を持っていわゆる低目に見積もっておくということが、各地方団体とも難しくなってきているという状況もございます。そういった中で、なるべく予見ができて正確な見積もりができるよう、交付税の予見可能性の向上についても国に働きかけをしているところでございます。
 20年度の交付税につきましては、昨年度と同様に、12月の地方財政対策で示された総額などを使って試算をしているわけではございますけれども、19年度の減額補正になったという点も踏まえまして、20年度分についてはより慎重な推計作業を行っており、また、全国ベースでの地方税収が大きく変動しない見込みになっているというようなことから、余り大きな変動が生じないようにというつもりで作業を進めたものでございます。
 次の点の2点目についてでございますが、御指摘いただいた平成12年度とそれから19年度の本県の交付税額を比較しますと、マイナス568億円程度となっております。臨時財政対策債という赤字地方債に振り変わっている面もございますので、それを含めて実質的交付税で見ますと、マイナスで339億円程度というのが実情でございます。
 それから、20年度の交付税額の全国の動きとの違いという点についてでございますけれども、まず前提といたしまして、19年度が結果において減額補正になっておりますので、19年度実績との比較という面で見ますと、20年度の地方交付税、本県分はマイナス2.9%という率で見込んで予算に今計上しているところでございます。
 この原因につきましては、20年度の地方財政対策におきまして、いわゆる4、000億円の特別枠、地方再生対策費というものが設けられましたが、その財源を都道府県分においては臨時財政対策債で発行するという形にいたしまして、県分と市町村分の扱いが異なっているということから、都道府県分においては、全国総額で見ても、地方交付税がマイナス方向に動くという格好になっておりまして、その影響に加えまして、本県の場合、盛岡市の中核市移行に伴う交付税の盛岡市へのいわばシフトという部分があるということを加味いたしまして、現在のような予算計上額にしているものでございます。
〇佐々木博委員 全体で、12年度から19年度まで568億円程度ですか、地方交付税のマイナスは。私が思っていたよりは案外少ないですね。もっともっと削減されていると思っておりました。
 それから、今、いわゆる地方再生枠の交付税の関係がありましたけれども、これは都道府県枠が1、500億円、市町村枠が2、500億円ですね。すべての都道府県、都は関係ないか、都以外の道府県で。要するに、臨時財政対策債で対応しろと。そして臨財債で措置をして、そして都道府県が市町村にそのうちから2、500億円交付しろと、こういうシステムになっているんじゃないですか、違いますか。そこのところはいかがですか。
〇川窪総務部長 正確に申し上げますと、4、000億円につきましては、全国枠としての財源確保上は4、000億円全体を臨時財政対策債という赤字地方債の発行ということになっておりまして、その4、000億円が基本的に全額都道府県分の臨時財政対策債という形を増額する格好になっております。それに対しまして、配分ベースにおきましては1、500億円を、市町村に対してはこれは交付税を増額する形に……(「2、500億円じゃないの、市町村は」と呼ぶ者あり)失礼しました。2、500億円を、交付税を増額する形になっておりまして、都道府県分についても1、500億円を、交付税を増額する形になっているんですけれども、その他の交付税全体のところが、4、000億円臨時財政対策債に都道府県分は振り変わっているというような格好の前後関係になっておりまして、結果的に、市町村のほうはいわば交付税だけが2、500億円ふえる格好ですが、都道府県のほうは1、500億円交付税が増えますが、4、000億円振り変わる影響がございますので、結果的に2、500億円程度交付税が減って、臨時財政対策債に振り変わっている効果が起きていると御理解いただければと存じます。
〇佐々木博委員 今、総務部長がおっしゃるとおりでして、県と市町村の間で水平調整が二重にやられているような感じなんですよね。そういった点では、どうも地方財政対策債というのはちょっと不可解なところがあって、私個人は余りすっきりした制度ではないと思っております。
 いずれ、今、交付税の減額の原因として個人住民税の話が出ました。これは、三位一体の改革で所得税から個人住民税に3兆円税源移譲されて、その関係でこの問題が生じてきたんだろうと思いますけれども、この税源移譲で移った個人住民税というのは、20年度予算ではどれほど見込まれているのでしょうか。
 それからもう一つは、これが住民税になったことによって、県で徴収しなければいけません。それで、以前、市町村と一緒に共同で、岩手県地方税特別滞納整理機構でしたか、設置して、住民税の徴収に当たろうと、滞納をなるべく少なくしようということで当たっているはずでありますけれども、今この徴収率がどのようになっているのか、そのことについてもあわせてお伺いします。
〇川窪総務部長 まず、税源移譲の額についてでございますが、平成19年度は個人県民税、いわゆる個人住民税の県分でございますが、これ327億3、700万円でありますが、このうち、税源移譲による増収分が132億6、400万円余となる見込みでございます。
 それから、20年度予算におきましては税源移譲の影響が平年度化いたしますので、もう少しふえることになりまして、税源移譲による増収分が150億8、400万円余と見込んでおります。20年度は個人県民税の当初予算額345億5、900万円計上しておりますが、そのうちの今申し上げた150億8、400万円余が、三位一体改革に伴う税源移譲として、県民税がふえている額と御理解いただければと存じます。
 これに伴う収入未済滞納等についてでございますけれども、個人県民税につきましては、こういう形で税収規模がふえておりますので収入未済額も増加しておりまして、18年度決算額においては11億4、000万円余であった個人県民税の収入未済額が、19年度におきましては、まだ年度終わっておりませんけれども、直近の数字で5億9、100万円の増となって、トータル17億3、100万円余になる見通しとなっております。
 このことから、個人県民税の徴収対策が重要であると考えておりまして、個人県民税は、市町村のほうで市町村民税と合わせて徴収をしていただく仕組みとなっておりますので、御指摘いただきました市町村と一緒に徴収に回ります地方税特別滞納整理機構などもフルに活用いたしまして、悪質な事案については差し押さえ、公売処分等を推進するなど、また、市町村の職員の皆さんの技術向上についてしっかり支援を行いながら、地方税全体の税収確保に努めていきたいと考えております。
〇佐々木博委員 いずれ、税源が移譲されて個人住民税の金額が大きくなったわけでありますけれども、滞納の率が上がると、金額が大きいだけに絶対額に影響してくるわけであります。せっかく税源移譲だということで、頑張って、しかしながら、今までは国から満額来ていたものが、今度は滞納によって税の徴収の不足が生じるということになりますと、税というのはもともと公平でなければいけないわけでありますし、いろいろな面で支障が出てくると思います。そういった点では、徴収率の向上対策に一層、力を入れていただきたいと要望したいと思います。
 次に、予算は、当然前年度までの決算の評価が生かされる必要があると考えておりますけれども、20年度予算においてはどのように活用されたのか。また、議会も議会改革の一環として、決算審査を翌年度の予算に反映させようということで早めておりますけれども、議会の決算特別委員会でもいろいろな意見が出たわけでありますが、そういったものが今度の本予算にどのように生かされているのかについて、まずお伺いをしたいと思います。
〇達増知事 昨年10月の決算特別委員会において、詳しい審査をいただいて、そして附帯意見を取りまとめてちょうだいをいたしました。この附帯意見での御指摘について、20年度予算における対応状況でございますが、まず、地方税財政制度の改革を国に強く働きかけることについては、地域格差問題を是正するための国への提言活動を積極的に行い、結果としては、地方再生対策費4、000億円が措置されるなど、一定の成果が上がったところでございます。
 第2に、歳入確保に全力を傾けることについては、県税の収納率向上への取り組みや県有資産の積極的な活用に努め、歳入確保策を強化しているところでございます。
 第3に、中期の財政見通しのもと、新たな行財政改革プログラムを早期に策定することについては、先般、集中改革プログラムを策定するとともに、平成22年度までの収支均衡を見込んだ中期財政見通しを策定したところでございます。
 第4、すべての事務事業をゼロベースから見直すことについては事務事業の総点検を行い、予算要求の段階からの見直しを徹底して実施したところでございます。
 第5に、プライマリーバランスの均衡を基本としながら、中長期的に県債残高の縮小に努めることについては、向こう3年間の中期見通しの中でプライマリーバランスの均衡を実現することとし、中長期的に県債残高を縮小していく方針のもとで予算編成を行ったところでございます。
 第6、岩手県競馬組合の経営健全化に全力で取り組むことについては、関係者の協力のもと、数次にわたるコスト調整を行い、19年度の黒字達成が確実になるとともに、収支が均衡する形での20年度の事業計画を策定し、さきの競馬組合議会で20年度の組合予算を承認していただいたところでございます。
 このように、18年度の予算の執行状況や決算に対する議会の御指摘を踏まえ、必要な取り組みを行いながら20年度予算を編成したところでございます。
〇佐々木博委員 最近、多額の不用残が出たり、あるいは2月の補正でも多額の減額補正が出るわけでありますけれども、財源が不足していると言いながら不用残が出たり、あるいは多額の減額補正ということになりますと、やはり執行状況についても、そういった結果を生かした予算編成でなければいけないのではないかと思うわけでありますが、具体的にどうなっているのか、生かされたのか、この辺についてもお伺いしたいと思います。
〇川窪総務部長 いわゆる不用残、2月補正における減額に関してでございますが、予算の中には、例えば社会保障の制度の県費負担部分のように、見積もっておいて実績に基づいて支払っていくというようなものにつきましては、見積もりを市町村からデータをとり、また、万一の不足がないようにという形で予算を計上する必要があるタイプの予算もございます。また、制度融資の融資枠予算のように、ある程度余裕を持って枠をとっておいて、できるだけ活用していただきたいという性格で予算計上するような予算もございます。しかし、御指摘をいただいておりますように、執行状況の結果といたしまして、残額を生じてしまっているような部分につきましては、平成19年度におきましては、厳しい財政状況を踏まえまして、予算を執行するに当たり、特に事務的経費などにつきましては、予算の計上額の一部を執行保留して節減に努めていただくというようなことをやってまいりまして、今般の20年度当初予算におきましては事務事業の総点検等も行いましたし、また、こうした事務的経費につきましては、あらかじめ予算計上段階で、従前までの年度に比べて一定額を圧縮して予算計上するというような取り組みも行っております。こうしたことを積み重ねながら、御指摘いただいたような前年度までの執行状況というものをしっかり翌年度以降の予算編成に反映させられますように、今後もさらに努めてまいりたいと考えております。
〇佐々木博委員 今の点につきましては、よろしくお願いをしたいと思います。
 それでは、次に財政運営上の課題と対応について何点かお伺いしたいと思います。
 最初に、これ本県だけではない、他県もそのようでありますけれども、岩手県の集中改革プログラムの中に、基本方針の一つとして、持続可能な行財政構造の構築ということが挙げられております。実は、わかったようなわからないような、具体的にどういうことをいうんだということになりますと、はっきりしません。そこで、どういう状態になればそうだと言い切れるのか、まずこのことについてお伺いしたいと思います。
〇達増知事 持続可能な行財政構造の構築でございますけれども、これは、自主財源の大宗を占める県税などの財源を安定的に確保しまして、基金の取り崩しなどに頼らず、プライマリーバランスの均衡を維持する財政運営を行いながら、将来にわたって安定的な行政サービスを提供できるような態勢を築くことと考えておりまして、岩手県集中改革プログラムにおいて、行財政改革の一つの視点として盛り込んだところでございます。
 具体的な数字で申し上げることは難しく、また、にわかに実現することも難しいのでありますけれども、イメージといたしましては、必要な予算を抑制せずに計上しつつ、基金の取り崩しのような臨時的な財源対策がゼロとなり、同時に、一定の基金残高を持ち、公債費等の将来負担にも対応できる財源見通しが立っているといった状態が望ましい姿だと思っております。
〇佐々木博委員 そうしますと、集中改革プログラムの中にこれをうたっているわけでありますが、なかなか期間内に達成するのというのは難しいのではないですか、いかがでしょうか。
〇達増知事 この持続可能な行財政構造の構築の方向に進めていくためには、歳入確保の強化と徹底した歳出の見直しを進めるとともに、政策の選択と集中や簡素で効率的な組織の構築など、行財政の徹底した簡素・効率化を図ることが必要であり、今後も、地域経済の浮揚による税収の確保を図りながら、また、同時に、国に対しても本格的な制度改善を強く働きかけて、安定的かつ十分な税財源のもとで、質の高い行政サービスが提供できるように努めてまいりたいと考えます。
〇佐々木博委員 私は、歳出を抑制することだけが持続可能な財政構造の改革につながるというようなものではないと基本的に思っております。例えば、公共施設なんかにつきましては、維持管理を随時適切に行えば長寿化が図られるということを伺っております。例えば橋梁ですか、平均は60年だと聞いておりますけれども、しかし、適切にメンテナンスをすれば約100年に延命できるとか、そういったいろいろな更新時期をおくらせることで費用の時期的な分散を図ったりして、そして、その財政の構造改革を推進することも取り組みとしては非常に有効な手だてではないかと思っているわけでありますが、このことについて県の取り組みはどうなのかお伺いしたいと思います。
〇宮舘副知事 橋梁の長寿命化についてでございますが、本県におきましても、今後、橋梁の高齢化の進展に伴いまして修繕あるいは更新の費用がふえていくものと予想されますことから、これまでの損傷が深刻化して初めて大規模な修繕を実施する、いわゆる事後保全的な対応から、定期的な点検を行いまして損傷が深刻化する前に修繕を実施するという予防保全に切りかえることによりまして、計画的・効率的な維持管理に優先的に取り組む必要があるものと考えております。
 このため、学識経験者など外部有識者から成る岩手県橋梁長寿命化検討委員会を組織いたしまして、今年度、橋長15メートル以上の橋梁226橋の長寿命化修繕計画を策定したところであります。平成21年度までの3カ年で合計1、106橋の計画策定を行うこととしております。
 今後におきましては、地域の道路網の安全性・信頼性を確保するため、この修繕計画に基づきまして、適時適切な維持管理に努め、橋梁の長寿命化と修繕及び更新費用の平準化を図ってまいりたいと考えております。
〇佐々木博委員 今のこの費用の時期的な分散を図るということは、私は、非常に有効な手だてだと考えておりますので、よろしく取り組みをお願いしたいと思います。
 あわせて、公共工事についてですが、必要な事業量を確保して真に必要な社会資本を整備推進するためということで、平成9年度からだったでしょうか、コスト縮減に取り組んできているわけでありますが、これまでの成果と平成20年度の取り組みについてお伺いしたいと思います。
〇宮舘副知事 公共工事のコスト縮減対策についてでありますが、これまでの成果につきましては、平成9年度に公共工事コスト縮減対策岩手県行動計画を策定するとともに、平成11年度における縮減の目標を6%として、工事の設計内容の見直しなどによる工事コストの低減に取り組んだ結果、県全体の縮減率は7.3%と目標を達成したところであります。
 平成13年度には第2次の行動計画を策定いたしまして、設計内容の見直しなどに加えて、再生資材の活用や歩車道境界ブロックと側溝ふたが一体となった製品の使用などの技術開発によるコスト縮減にも取り組みまして、平成17年度における縮減目標を10%と設定いたしましたが、実際には11.1%と目標を達成したところでございます。
 また、平成18年度からは1.5車線的道路整備のように、地域の実情に応じまして計画・規格を見直しするローカルスタンダードの適用などを重点項目といたしまして、第3次の行動計画を策定の上、平成22年度におけるコスト縮減の目標を15%として現在取り組んでおりまして、平成18年度の、いわゆる初年度の実績では9.1%となっているところでございます。
 平成20年度の取り組みにつきましては、従来からの直接的なコスト低減に加えまして、事業の重点化による効果の早期発現などの時間的コストの低減や施設の耐久性向上などのライフサイクルコストの低減など、第3次行動計画に定めましたコスト縮減対策にしっかりと取り組んでいきたいと考えております。
〇佐々木博委員 平成20年度の予算の作成に当たって、私は、一つの特筆すべきことというのは、プライマリーバランスについて、20年度は赤字となるけれども22年度までには黒字転換するという見通しを立てた、いわば単年度主義の予算じゃなくて、複数年度にわたって財政の健全化に取り組むことにした、このことについては高く評価できると思っております。
 ただ、県財政に影響を与える国の地財計画、これは毎年毎年の単年度の計画なわけでありまして、このいかんによっては見通しが食い違うおそれもあるのではないかと思っています。今回もそうですけれども、地方再生対策費の財源を臨時財政対策債で措置する、例えばそういったことになりますと、国の都合で起債せざるを得ない場合も出てくるわけでありますが、そういったおそれがないのかどうか。この3年間のプライマリーバランスの見通しで、その辺を含めてのことなのかどうか、このことについてお伺いしたいと思います。
〇川窪総務部長 御指摘のように、本県の財政構造は、国の政策判断の影響を大きく受けやすいという構造になっておりますので、今後の国の政策によりましては、例えばですが、国債や地方債を活用して資金手当てを行いつつ経済対策を実施しなければならなくなったような場合など、全く想定できなくはないわけでございますが、そういった場合には、やはり各年度のプライマリーバランスに必要以上にこだわって無理に事業費を抑制するというようなことが必ずしも適当でないという場合も、それはやはりあり得るのだろうと思っております。
 ただ、今回の中期見通しにおきましては、現時点で国のほうから示されている制度改革の内容が、都道府県分において地方税、そして地方譲与税の世界で偏在是正が行われるという仕組みをベースにして、だから都道府県分に臨時財政対策債を当面つなぎで充てるというような、内容的にセットされている部分がございます。そういった、今現在まで決定されている内容を踏まえて試算をし、中期見通しをつくっているということでございますので、現時点での見込みとしては、中期見通しは根拠のある内容にしていると考えておりますが、先ほど申し上げましたような今後のさまざまな事情というのは、またその時々、いろいろな事情に対応しつつ、そうは考えながらも、中期的にプライマリーバランスの均衡を保って県債残高を適切に管理していくということを基本に据えながら、財政運営を図り、健全化を図っていきたいと考えております。
〇佐々木博委員 公債費の現状と今後の見通しについてお伺いします。
 知事は本会議で、大体底を打ったのではないかという答弁があったわけでありますが、私は、まだ底は打っていないと考えております。今後の県債発行と公債費の推移を見ますと、公債費のピークは平成26年度で2、307億円、借換債を除いて実質ベースで見ますと、平成27年度の1、392億円が償還のピークと見込まれる、こういったことになっております。そうしますと、平成20年度と比較しても償還費は約350億円上回ることになるわけでありまして、財政に与える影響というのは非常に大きいのではないかと思うわけです。そういった観点で、私はまだ底を打っていないと考えているわけであります。
 そこで伺いたいわけでありますが、過去の景気対策のために発行した県債や臨時財政対策債、これは、国が交付税で償還を約束しているわけでありますけれども、この交付税措置分を除いたベースでどうなるのか、まずそのことをお伺いしたい。
 あわせて、それ以外の分も含めた交付税措置分を除いたベースではどうなのか、今後の見通しを示していただきたいと思います。
〇川窪総務部長 地方債の元利償還に対する交付税措置につきましては、地方債の発行額に対する理論上の交付税算入率という形で示されておりまして、各年度における交付税措置額につきましては、不確定要素もございまして、将来の部分を現時点で正確に見込むことは難しい面がございます。
 ただ、現時点、平成19年度末の残高についての措置割合という形で見ますと、県債残高に対する交付税措置の割合が50から51%程度と計算しておりまして、今後の各年度における交付税措置の額につきましても、この割合をベースに推移していくものと予想されるところでございます。
 したがいまして、県債償還がピークを迎えると見込んでおります平成二十六、七年度あたりに向けましては、確かに公債費負担が現在よりも重くなっていく方向というものが予想されますので、地方財源の充実確保に向けた取り組みを強化しつつ、県財政運営におきましても慎重かつ適切な対応を心がけ、こういったピークに対応してまいりたいと考えております。
〇佐々木博委員 結局は、やはり平成26年、27年ごろ、そのころが、償還もピークになりますし、県財政としては一番厳しい時期になるのではないかというような見通しでよいということですね。確認します。
〇川窪総務部長 この公債費についての実額という目で見ますと、やはり二十六、七年度あたりがいわばピークになるであろうと見込んでいるところでございますが、県財政全体の苦しさという面では、その他の歳入歳出との関係もございますので、そのときが必ず一番悪いかどうかということについては、現時点では何ともまだ、3年間の収支見通しを今は立てているぐらいでございまして、はっきりしたことを申し上げられません。
 それから、もう1点、御指摘の地方交付税措置といいますのは、個別の県ごとの変動を正確に追いかける交付税措置という意味での交付税措置でございまして、全国総額での地方債償還がこれだけ必要だという部分については、これは、全国総額としては、やはりきちんと地方財政計画に算入して措置していくという物の考え方がございますので、岩手県が他県に比べて突出して公債費が多いという状況でなければ、そこはまた、全国の地方財政計画や交付税総額を適切に維持できれば、その措置によって、また財源が手当てできるという部分も一方にはございます。そういった意味での国全体の財源手当てについての働きかけや、また、それを実現させる努力というようなことも含めまして、平成二十六、七年度ごろの公債費のピークにうまく対応できるような財政運営を図っていきたいと考えているところであります。
〇佐々木博委員 それでは、地方再生対策費について伺いたいと思います。
 国は、東京都や愛知県など財源のあるところから法人事業税の一部を国税として徴収して、地方再生対策費4、000億円を創設したわけであります。地方税の偏在是正による財源と言っておりますけれども、地方財源で地方の税収格差を埋めようとするものでありますから、いわば国からの垂直的財源移転による格差是正ではなくて、地方分権改革に反するものではないかと私は考えるのでありますが、知事の御所見を伺いたいと思います。
 また、2009年度から地方法人特別税を原資に、都道府県に対し地方法人特別譲与税を譲与することとなっておりますが、このことについてはどのように評価されているでしょうか。
 そしてまた、第2次地方分権改革において、知事は、財源対策として国に何を主張されようとしているのか伺いたいと思います。
 実は、地財計画の規模を調べてみましたところ、平成13年度は89兆3、071億円、これが平成19年度には83兆1、261億円まで減っておりまして、6年連続減で6兆1、810億円減っています。来年度は若干上がりますけれども、今まで6年減で6兆1、810億円減って、ピーク時より約7%減っているんですね。
 ところが、国の一般会計を見ますと、同じ平成13年から19年度ですよ、82兆6、524億円から82兆9、088億円、2、564億円国の一般会計はふえているんですね。ですから、この間の財政というのは、本当に私は、地方の縮減、縮減、それで国は余り努力をしてこなかった、それが明確に言えるのではないかと思うわけでありますが、あわせて知事の御所見を伺えればと思います。
〇達増知事 近年、地方税の地域間格差が拡大しておりますことから、地方税の偏在是正を行うことは必要なものと考えておりますが、これが単なる地域間での地方税収の移転にとどまらずに、地方税を中心とする地方財源全体の充実につながる措置として地方税の偏在是正を実現することが、分権を進める上でも重要と考えます。
 今回の偏在是正対策は、法人事業税のおおむね半分、2.6兆円を地方法人特別譲与税として再配分する内容となっておりますが、確かに偏在是正効果はございますけれども、暫定的とはいえ、地方が反対していた地方税の国税譲与税化による再配分の方法でもありますことから、問題も残るやり方であると感じております。
 地方財政における地域間格差の問題は、委員御指摘のとおり、過去数年における地方交付税の大幅な削減が最大の原因であったと考えますので、今回、地方再生対策費という4、000億円の地方交付税の特別枠が創設されたことについては一定の評価もできますけれども、これまでの削減額に比べれば小額にとどまっておりますので、本格的な地方交付税の復元・増額を中心として、地方の安定的な税財源が充実確保されるよう、さらに強く国に主張していくことが必要と考えております。
 特にも、日本経済の地盤沈下というのが指摘される中、日本の経済構造改革の本当の目的は内需拡大型の経済構造への転換ということで、やはり地方の経済の活性化、地方が豊かになっていくことが改革の本当のあるべき姿と改めて考えておりまして、そういう点からも、国から地方に対する税財源の充実確保ということを強く求めていかなければならないと考えております。
〇佐々木博委員 私も、この地方の法人事業税を地方法人特別税という国税に移して、そして交付をして偏在を是正するというやり方は、基本的には長続きしないと思っています。地方財政対策費についても、平成20年度と21年度はできるでしょうけれども、その先、果たして続くかどうか、これも私はあやふやじゃないかと思っているんですね。
 私は大分前になりますけれども、豊田市にお邪魔したことがあります。自動車のトヨタの城下町でありますけれども、大変財源は豊かでありますが、やはりトヨタの業績によって非常に税収の変動が激しいわけであります。法人事業税というのは、基本的には、景気がよくて利益が出ているときはそれなりの税収が確保できますけれども、しかし、景気が悪くなれば一気に税収が確保できなくなる。そういった点では非常に不安定な財源でありまして、そういったものをさらに国税にして、さらにそれをまた地方に交付するというやり方というのは、やはり真っ当なやり方ではないと私自身は思っております。
 ですから、やはりそういったものじゃなくて、もっともっと財源として安定しているものであり、そして、基本的には垂直的な移転を伴うやり方でやるべきだと思っておりますので、そういった点では、知事に対して、今後、国に対して大いにそういった働きかけを強めていただきたい、これは要望したいと思います。
 さて、財政健全化法が施行されて平成20年度決算から適用されるわけでありますけれども、この将来負担比率というものが出てまいりました。これは、公営企業や公社あるいは出資法人に対する債務保証や損失補償も算定の対象となるわけであります。
 そこで、県の出資法人に対する債務保証や損失補償がどの程度なのかお示しいただきたい。
 また、財源の偏在を是正しないままでこの早期健全化や再生の基準を画一的に引くとなると、特色ある自治体運営ができなくなるだけではなくて、歳出の厳しい抑制を余儀なくされて、これまで以上に行政サービスの格差を拡大することになるのではないか、こういった危惧があるのではないかと思うわけでありますが、県財政への見通しと影響についてお伺いしたいと思います。
〇勝部総合政策室長 前半部分を私から、後半は総務部長からお答えします。
 県の出資法人に対する損失補償についてでございますが、県出資法人に対しましては、県が行っている損失補償の本年度末の見込み額は、5法人に対して、限度額94億8、000万円余でございます。
 その主なものといたしましては、財団法人いわて産業振興センターが行う小規模企業者等設備貸与事業に対する損失補償52億9、000万円余、それから、社団法人岩手県農業公社が行う担い手支援農地保有合理化促進事業に対する損失補償が14億2、000万円余、それから、財団法人クリーンいわて事業団のいわてクリーンセンターの第2期最終処分場整備事業に対する損失補償が20億9、000万円余でございます。
 また、債務保証については、行ってございません。
〇川窪総務部長 新しい地方財政健全化法のそれぞれの財政指標に関しましては、本会議でも御答弁申し上げましたように、岩手県の場合、にわかに早期健全化基準等に該当するというような状況にはないと思っておりますが、今、御指摘いただきました自治体運営に対して枠がはまるおそれがないかという点につきましては、この早期健全化基準、それから再生基準という2段階の基準という形でこの法律がつくられておりまして、できるだけこの早期健全化段階で、いわば、みずからの計画やみずからの努力をすることによって、またその基準該当から復活するといいますか、健全化していくというようなことをやっていくことを前提にした仕組みになっております。
 それから、早期健全化基準そのものにつきましても、ある程度余裕を持ったといいますか、ここまで来るといわゆる黄信号だというレベルに設定するというような形になっておりますので、この制度そのものが、にわかに地方の財政運営の画一化というようなことにつながるとは思っておりませんけれども、やはりこういう仕組みができていることを各団体それぞれしっかり把握し、また理解し、中期的な見通しを持ちながら、あくまでも自力による、自分たちの計画と地域住民の判断による財政運営というものができるように、そういう意味でもこの法律を活用していけたらいいなと考えているところでございます。
〇佐々木博委員 債務保証はないけれども損失補償はそれなりにあるわけでありますが、いわゆる出資法人の経営状態がおかしくなりますと、それが非常に心配の材料の一つになるわけでありますので、経営状態の監視に、やはり今まで以上に特段の留意をいただかなければいけないと思っております。
 それから、地裁のレベルだったと思いますけれども、川崎市ですか、損失補償自体が実は違法だという判例も出されておりまして、そういった点では、これから損失補償についても、私は、やはり慎重な見きわめが必要ではないかと思っております。
 加えまして、実は、例えば岩手競馬のような、全く別な法人でありますから、この将来負担比率の対象にはなりませんけれども、現実には、何か問題が生じた場合、損失補償どころか、出資比率に応じて直接負担が来る、そういった公法人もあるわけでありますので、そういったところも含めまして、やはりこれからの県の財政運営というものは慎重に対処していく必要があるのではないかと思っております。
 それでは、次に、次期総合計画についてお伺いしたいと思います。
 今の総合計画の後期実施計画と位置づける、いわて希望創造プラン、これは平成22年度で終了することとなりますから、来年度、平成20年度から次期総合計画の策定に着手するということを言明されているわけであります。一般質問でもこのことについて質問があったわけでありますが、計画期間等については未定である、まだ決まっていないという御答弁でありました。
 今の時代、非常に時代の変化が激しくて、例えば、今も財政問題でいろいろ質疑を交わしましたけれども、国が今後、交付税の問題を含めてどうなるか長期的な見通しがなかなかつかない、そういった中にあって、今までのように10年間の長期計画の策定というのは、私は非常に難しいのではないかと思っております。民間企業も今、経営計画をつくりますけれども、10年なんてつくるところはまずありません。
 そういった中で、知事は、特にも2期8年を公約としているわけでありますから、であるならば、私は、一つの方法としては、やはり平成26年度までの計画を策定すべきではないかと考えるのですが、いかがでしょうか。
 それからまた、今の総合計画は2万5、000人を超える県民あるいは733の企業・団体の参加を得て策定されたわけでありますけれども、計画自体が非常に大部ですね、何分冊にもわたっている。ああいった計画はもう必要ないのではないかと思っておりますけれども、いかがでしょうか、御所見を伺いたいと思います。
〇達増知事 次期総合計画のあり方についてでありますけれども、地域経済や県民生活を取り巻く環境の変化が目まぐるしいということ、また、いわゆるマニフェスト型選挙が主流になりつつあるといった時代背景などから考えますと、少なくとも、実施計画の計画期間は4年程度とすることが適当ではないかと考えております。
 一方、実施計画の上位計画である基本構想や基本計画についてでありますけれども、おおむね10年程度の長期を見通しつつ、地域の目指す将来像などを県民挙げて考え、話し合っていくことは、それは一つ大きな意味があるのではないかとも考えているんですけれども、一方、委員御指摘のように、将来を見通すことの難しさなどから、今、平成26年度までの計画でどうかということだったと思いますが、そういった期間で策定することがいいのではないかという考え方もあるということも承知してございます。
 したがいまして、まずは、計画期間を含めて、どのような総合計画のあり方が最も合理的であるかといったことについて、総合計画審議会などの場において早急に議論を深めていく必要があると考えております。
 また、次期総合計画の策定に当たっては、私は、暮らしや仕事の現場の声をしっかりと受けとめることが重要と考えておりまして、こうした県民の皆様の声を伺う機会を最大限に確保することは必要と考えておりますけれども、一方では、前回のようなそういう策定方法や取りまとめ方法が適切かどうかについては、今後十分に検討を重ねてまいりたいと思います。
〇佐々木博委員 10年の長期計画も考慮の中にあるということでありますけれども、結局、前の計画で言うと、ローリング、見直しがなかった、そうするとどんどん現実と乖離していくわけですね。そうするとなかなかもう、その計画の理想はあっても修正がきかないような状態になってしまう。やはりそこが問題だと私は思うんです。ですから、余り長期で乖離してしまうような計画は、現実と離れてしまうような計画であるならば、私はやらないほうがいいのではないかという所見を持っております。
 次に、県民所得の向上について伺います。この問題は、今度の本会議の一般質問でも多数の議員が取り上げた問題でありますけれども、ちょっと観点を変えてお聞きしたいと思います。
 私は、いわて希望創造プランで県民所得を平成12年度の所得水準である260万円台まで引き上げることを目指すとしたことについては、高く評価したいと思っています。また、所得の向上は、今、人口転出が本県の非常に大きな問題になっておりますけれども、これを防ぐ最大の手だてでもあると思っています。今、非常に高速交通化が進んで、条件がよければすぐにでも労働者が移動できるような、そういった状態になっておりますので、やはりそういった点では、本県も所得向上をさせなければいけない、そういった点では、本当に人口転出を防ぐ手だてとしても大変有効だと思っております。
 しかし、260万円と言われましてもちょっと漠然としていまして、どの分野をどの程度やればいいのかというやはり具体的な目標が必要だと思うんですね。それで、平成18年度に産業成長戦略を策定したときに、たしか0.4から1.2%ぐらいの成長率で見て、プラス産業戦略で0.6%上乗せさせるというような計画で最大で1.8%ぐらいを見た、そういった数値になっていたと思いますけれども、いわゆる今度つくられましたいわて希望創造プラン、例えば、ものづくりの出荷額は1兆7、000億円だとか、食産業は3、350億円だとか、各分野ごとに平成22年度の目標数値が設定されていますよね。
 ですから、この各分野での目標値が達成できれば260万円が実現できる、逆説的な話ですが、そう考えていいのかどうか、そこをちょっとお伺いしたいと思います。
〇達増知事 御指摘のとおり、このいわて希望創造プランに掲げたものづくり産業や食産業など、産業分野の目標値、これらを達成することによりまして、経済成長率の0.6%の上乗せが実現できるものと考えておりまして、結果として1人当たり県民所得の260万円台の達成が可能になるという格好になってございます。
 もちろん、この県民所得の目標達成については、昨今の経済情勢をかんがみますと予断を許すものではないと考えておりまして、新たな半導体工場の進出などを背景とした、自動車や半導体関連産業を中心とするものづくり産業の一層の集積促進や食の安全・安心へのニーズに対応した県産農林水産物の市場での評価の高まりなど、本県経済のさらなる成長要因として期待できる動きを踏まえつつ、そうした中で、好材料、得意分野を生かして、そこはできるだけ前進させながら、予断を許さない状態にも対応してまいりたいと思います。
〇佐々木博委員 今おっしゃるとおり、目標は立てても、現実の経済情勢の動きというものに非常に左右されてくるだろうと思います。平成20年度は、私は、日本の景気全体が大変厳しくなるのではないかと思っております。御承知のとおり、サブプライムローンの関係で大分円高が進んできておりまして、今、外需頼りの日本経済でありますから、そういった点では大変厳しいのではないか。
 本県も、やはり自動車だとか半導体というのは、基本的に輸出の比重が高いですから、そういった点で言うと、なかなかスタートの時点の経済情勢としては非常に厳しいものがあると思っております。しかし、何とかみんなでこの260万円台というのは達成していかなければいけない目標だと思っておりますので、ぜひ、本当に関係者の皆様方の一層の御努力をお願いしたいと思います。
 次に、雇用に結びつく人材の育成について伺いたいと思います。
 今回、東芝の新工場の建設が北上市に決定しました。自動車関連とともに半導体関連産業の集積が進んで、本県にとっては、ものづくり産業の基盤が固まるということは大変喜ばしいことだと思っております。そしてまた、何がメリットかと言えば、やはり本県にとって一番のメリットというのは、雇用が確保されることだろうと思っております。
 そして、今後これがさらに拡大していくためには、やはり企業が期待するような優秀な人材をずっと供給していける、そういったことがやはり非常に望ましいわけですし、さらなるものづくり産業の集積も、そういったことによって期待できると思うわけでありますが、そのためには、どのようにして人材の育成強化に今後取り組んでいくか、そのことが非常に問われると思います。
 そこで、これに対する取り組みを具体的にお示しいただきたいと思います。
〇達増知事 現在、県では、産学官が一体となりまして産業界のニーズに対応した優秀な人材を育成するための仕組みとして、地域ものづくりネットワークの立ち上げを進めるとともに、このネットワークを中心として、工業高校における企業現場実習や企業講師の派遣による実践的な技術・技能の習得支援、黒沢尻工業高校及び産業技術短期大学校への専攻科設置による将来のものづくりのスペシャリストの育成、そして、岩手大学や一関高専における地域企業の要請や課題等に対応した実践的な高度技術者の育成支援など、こういった取り組みを進めているところであります。
 今後も、このような産学官の緊密な連携による取り組みを強化・拡大しながら、雇用され得る能力を持った優秀な人材を継続的に育成・輩出できるような体制の構築に努めてまいりたいと思います。
〇佐々木博委員 本県に進出した企業の方々の話を聞くと、残念ながら、人材に満足していないという声も聞きます。そういった点では、なお一層、人材の供給に努めていただくようにお願いしたいと思います。
 次に、平泉文化の県民理解について伺いたいと思います。
 平泉の世界遺産登録が審査される世界遺産委員会は7月の開催なわけでありますが、それに先立ってイコモスの勧告が5月下旬と想定されております。非常に期待は高まってきているわけでありますけれども、ただ、現実には採択率が年々下がっているんですね。今、50%ぐらいじゃないかとも聞いております。
 そこで、先日、ユネスコの日本政府代表部の近藤大使が現地視察に訪れたわけでありますけれども、どのような感触だったのか、まず、そこをちょっとお伺いいたしたいと思います。
 それから、平泉の遺産登録を前提に平成20年度予算で関連事業がたくさん盛られておりますけれども、県民に平泉の価値を理解してもらうという視点での取り組みが足りないのではないか。県外だとか国外への発信は随分あるわけでありますが、県内での平泉の価値を理解しようという取り組みについては、若干足りないのではないかというような感触を持っておりますけれども、いかがでしょうか。その点についてもお伺いしたいと思います。
〇達増知事 まず、ユネスコ日本代表部の近藤大使の現地視察の感触でありますけれども、3月2日、3日に近藤大使が平泉を訪れた際に、大使から、平泉は、世界平和を願うユネスコの目的にも合致する浄土思想を基盤にしており、すばらしい遺産であるとの評価をいただきました。また、現地で本物を見て、きちんと勉強して、平泉の価値を世界遺産委員会の委員国にみずから説明していくといった、登録に向けた大使の強い意気込みが感じられたところであります。
 一方、世界遺産登録については、委員御指摘のとおり、近年、新規登録を抑制する傾向にありますことから、平泉についても予断を許さないと見ておかなければならないという認識を大使も示されたところであります。
 したがいまして、イコモスの勧告に向けて引き続き十分に対応していくとともに、世界遺産委員会の委員国21カ国に対するアピールについても重要になると考えておりまして、今後、県としても、近藤大使を中心とした外務省、また文化庁等とのより一層緊密な連携を進めながら、世界遺産登録を確実なものにしてまいりたいと思います。
 次に、平泉文化の県民理解についてでありますが、平泉の世界遺産登録を契機に、登録後1年間をいわて平泉年と位置づけて、平泉の価値を国内外に積極的に発信するとともに、県民の皆さんと改めてその平泉の価値を十分に共有していきたいと考えております。
 やはり、平泉文化の世界遺産登録をめぐって一番重要なのは、それを本当に県民のものにするということ、それは、県民がその価値をきちんとわかるということだと思っております。そこで、平泉が自立した地方主権を確立して、平和と環境という共生の理念を追求していたこと、これを21世紀の今日に、我々岩手県民が改めて認識して、その精神を引き継いでいく誓いなどを盛り込んだいわて平泉宣言─仮称でございますが─というようなものを国内外に向けてというより、むしろ県民に向けても積極的に発信して、理解が深まるようにしていきたいと考えております。
 このほかに、平成20年度、県民向けの世界遺産フォーラムや平泉文化と環境に関するシンポジウム、平泉文化を実感するための遺跡の発掘体験事業などを実施しますほか、映像や音響、模型などを活用して、よりわかりやすく平泉を理解してもらうためのガイダンス施設を平泉町と連携して整備することとしております。
 また、県内の児童生徒の理解を深めるため、小・中学校、高等学校の授業や遠足、修学旅行などでも平泉を取り上げてもらうよう県内すべての学校に要請しているところでありまして、私も学校にみずから出向いて、平泉授業などを実施してまいりたいと考えております。
 さらには、史跡をめぐりながら平泉の魅力を発見する歴史の道ウオーキングなど、関係市町の事業との連携にも取り組んで、県民理解を促進してまいりたいと思います。
〇佐々木博委員 実は、私は平泉生まれなんですよ。ですけれども、余り平泉のことがよくわからないんですね。それで思うんですけれども、案外地元のことってみんなわからなくて、先日、話は違いますけれども、藪川に参りました。そうしたら、東京の調布市の中学校の方々が、修学旅行で藪川に来て、みんなそば打ちをやっていくんですね。それで、それのお礼状だとか写真がたくさん張ってありました。
 岩手県も、盛岡もそばが名産だと言っていますけれども、多分、盛岡の子供たち、中学生でそば打ちなんか経験した子供たちは余りないのではないかと思いまして、やはり地元のことをもっともっといろいろ体験をさせなければいけない、あるいはもっともっと教えなければいけないと思っております。
 ましてや、平泉、本当に世界遺産を目前としているわけでありますけれども、本当に郷土の誇るべき歴史、資産、文化、こういったものについては、やはり県民ひとしくもっともっとよく理解できるということが大切だろうなと思っておりまして、そういった意味でも、各学校で教えるだとか、今の取り組みをぜひとも続けていただきたい、そのように思うわけであります。
 それでは次に、職員の削減と、それから給与の削減について伺いたいと思います。
 いわて希望創造プラン改革編によりますと、徹底した職員体制のスリム化などによって総人件費を抑制することとし、公営企業を除く職員数を平成19年度2万1、250人を平成23年度に1万9、960人程度に削減、特にも知事部局では、同じく4、462人から4、000人弱まで削減するとしております。知事部局に限ってみても、実は平成15年度には5、013人だったものが、19年度までで551人既に削減されておりまして、今後さらに470人程度削減しようとするものでありますが、平成15年度を基準とすると2割以上の削減ということになるわけであります。大変な削減だと思うわけであります。
 そこで伺いますが、事務事業の見直し、業務プロセスの改善などによる事務の簡素化、効率化を推進するとは言っておりますけれども、こんなに2割も、平成15年度からですと2割にもなるわけですが、こんなにも削減して円滑な業務遂行というものは可能なのでしょうか。まず、そのことについてお伺いしたいと思います。
〇川窪総務部長 職員の削減についてでございますが、極めて厳しい財政状況や市町村への権限移譲の流れなどを踏まえまして、県全体としては、引き続き徹底した職員体制のスリム化を図っていくことが必要と考えております。
 盛岡市の中核市への移行など市町村への権限移譲の進展に伴います県と市町村との役割分担の変化などを踏まえまして、不断の事務事業の見直しや業務プロセスの改善等にも取り組みまして、全体として業務量を削減し、こうした定数で円滑に業務が進めていけるように努力しているところでございます。
 また、県として迅速・効率的な対応をしていくための体制の整備、そして最適な組織体制の構築というものを進めていくためには、一方で、職員の育成でありますとか、また研修のあり方についても工夫・改善していかなければならないと考えておりまして、職員の皆さんの知識・経験を積極的に活用しながら、こうした体制で円滑な業務執行ができるよう、一部、外注できるものは外注にというようなことも含めて努めてまいりたいと考えております。そういった円滑な仕事ぶりを今後も進めてまいりたいと存じます。
〇佐々木博委員 平成20年4月から23年3月までですか、3年間、職員給与の特例減額を実施して財源をつくるということになっているわけでありますけれども、今までも給与はずっと抑制されてきたわけでありまして、職員のモチベーションが下がる心配というものはないのか。
 それから、知事は、経営者協会長に対して民間企業が追従して給与を下げないように要望されたとのことでありますが、県内企業は県職員の給与を参考にするところが多くて、やはり結局のところ消費を減退させて、そして景気回復をおくらせることになりはしないか、その懸念はないのかと思うわけであります。本当であれば、人事院勧告というのは、民間企業のデータを挙げて、それを反映させようというシステムでありますが、残念ながら、本県の企業の場合は、むしろ県職員の給与ができてから、それを参考にして給与を決めているところが多いと私は実感しておりまして、そこが非常に心配なわけでありますけれども、その辺についての御所見を伺いたいと思います。
 それから、もう一つは、本条例で知事の給与は月額99万2、000円となるわけであります。盛岡市長よりも安い給与ですね。給与は、私は、ある面では職責の重さへの対価だと思っておりまして、100万円を切るというのは、実は、いかがなものかなと思うわけであります。加えて知事は、就任早々、退職金廃止条例を既に成立させているわけでありますけれども、これも、1期で4、000万円、5、000万円という退職金はもちろん論外で、県民の理解はとても得られないと思いますが、しかしながら、私は、ある程度の相当な金額であれば、実は理解は得られたのではないかと今でも思っております。こういったことにつきまして、退職金のことも含めて、給与の減額のこととあわせて知事の御所見を伺いたいと思います。
〇達増知事 まず、職員の給与の特例減額についてでありますけれども、今回の措置は、やむを得ざる措置として実施することとしたもので、去る1月31日に庁内放送などを通じまして、私から職員に直接御理解をお願いしたところであります。
 職員の皆さんには、高い使命感を持って、県民から期待される県の役割を今後ともしっかりと果たせるよう職務に精励していただきたいと考えておりますが、職員のモチベーションの維持・向上のためには、職場風土の改善や職員の業績を適正に評価することが重要と考えております。
 今後、これまで以上に職員がやりがいを持って働いていけるよう、職員の声を聞きながら、対話のある風通しのよい職場環境を整え、職員育成や研修のあり方についても検討し、その改善を図ってまいりたいと考えております。
 次に、民間給与との関係についてでありますが、御心配のような影響が生じないように、先般、私みずから県経営者協会に要請を行ったところでありまして、この点については、民間企業が県に追従して給与を下げることのないようにということについては、ぜひ民間の経営者の皆様に御理解をお願いしたいと考えております。
 なお、この県職員の給与の減額相当分については、いわて希望創造プランに基づく各般の産業振興施策に重点的に振り向け、県民所得の向上や雇用環境の改善を図っていこうとするものでもございますので、県内企業におかれても、地域経済の活性化や消費の拡大を図る方向で御尽力いただきたいと期待しております。
 次に、知事の給料、退職金についてでありますけれども、まず、条例本則上の知事の給料月額については、特別職報酬等審議会で御検討いただいた上で、その答申に基づき条例で適切に決定してきたものであり、しっかりと決めていただいていると思います。
 一方、御指摘の削減後の月額金額については、財政状況に対応するための特例減額の結果としての平成20年度以降の支給額でございますけれども、これは、一般職の減額内容等との関係なども踏まえた額として、これが適当と判断して、そのための関係条例改正案を御提案申し上げているところでございます。
 そして、知事の退職手当についてでありますけれども、私は、衆議院議員時代に、議員には退職手当が支給されない一方で、同様に選挙で選ばれる知事には、高額な退職手当が支給されることに疑問を感じておりまして、そうしたこともあって、知事選挙におけるマニフェストで県民にお示しした方針に従って、去年の6月定例会で条例改正をお願いして、私については退職手当を支給しないとしたものでございます。
〇佐々木博委員 今の日本の不景気というのは、いろいろ原因はありますけれども、一つは、やはり消費不況なわけですね。なぜかというと、企業利益が伸びている割には従業員の所得が伸びていない、それがやはり一つの大きな原因でありまして、福田総理も、経団連の会長に給与を上げるように要請したという新聞記事も載っておりますけれども、なかなかことしのこれからの経済の見通しを見ますと、それが果たして本当に実行されるかどうか非常に怪しいところがある。
 本県も、先ほども私、申し上げましたとおり、これから先行きの見通しは決して楽観できるような見通しではないと思っておりまして、そういった点では、本当に各民間企業の皆さんが、追従しないで頑張っていただければ大変ありがたいなとは思っているところでございます。
 それでは次に、電子県庁についての行政監査について伺いたいと思います。
 さきに公表されました電子県庁の取り組み状況の監査によりますと、電子県庁の構築には、職員一人一人に配備されるパソコンの購入費用に加えて、構築される各システムの開発費用や運営費用が必要で、県はこれまで1人1台のパソコンの整備をした上で、電子申請・届出システム及び行政文書管理システムの構築に1億8、700万円程度の費用を要したほか、毎年度7、000万円程度の維持運営費用を支出していた。しかしながら、電子申請・届出システムの利用割合は0.63%であり、また、行政文書管理システムは試行を停止するに至っており、投入した費用に見合う効果は極めて乏しい、このように指摘されているわけであります。
 そこで伺いますが、まず第1に、なぜこのような事態を招いたのか。その原因はどこにあるのか。また、今後どう対処するのか。このことについて伺いたいと思います。
〇藤尾地域振興部長 まず、2月15日の行政監査の指摘を重く受けとめまして、率直に反省いたしまして、今後、その利用率の向上に向けて真摯に対応してまいりたいということをまず申し上げておきたいと存じます。
 県といたしましては、行政監査の報告を受けて、即刻、3日後に各部局の間で確認いたしまして、その利用率の向上を図ることといたしましたし、また、庁議2回にわたって、各部局の今後そういった利用の向上に向けた取り組みを進めていくということを確認いたしております。3月の末には、高度情報化いわて推進本部会議などで、その取り組み状況の中間報告をさせまして、さらには、4月23日には、外部の識者等から成るいわて情報通信基盤整備戦略会議というものを立ち上げまして、その中でも利用率の向上に向けた取り組みを鋭意進めていきたいと考えてございます。
 これまで何でそういうことになったのかというお尋ねでございました。これは、県民の御理解をいただくことが何よりも重要でございますので、これまでの取り組みの経緯を申し上げたいと存じます。
 これは、平成13年3月に国のe-Japan重点計画というものがございまして、当時、平成15年度までに電子情報を紙情報と同等に扱う行政を実現するという目標のもとで、国も地方公共団体も一斉にこの電子申請システムの構築に取り組んだところでございます。
 本県も、これは地方自治の原則を待つまでもなく、最少の費用で最大の効果を上げようといったようなことで取り組んできたところでございますが、これには当然、情報通信基盤、ブロードバンドとかそういった基盤が必要になるわけでございまして、そのためには民間通信事業者の投資というのが不可欠です。条件不利地域を多く抱える本県の場合は、そういった民間の通信事業者の投資意欲を誘発する必要があるということで、県みずからがインターネットのヘビーユーザー─大口需要家として、こういった電子システム等の開発に積極的に取り組んできたということでございました。
 具体的には、平成13年度から申請様式のダウンロードシステム、あるいはまた平成14年度から研修申し込みなどの簡易申請システムなんかを稼働させてきたところでございましたし、それから、電子申請手続につきまして、既存の300件以上の事務手続につきましては、22年度までに95%にするといったようなこともやって、これについては平成18年度までに実現したところでございましたが、いずれこの電子申請システム、本県では全国で40番目、東北では3番目の稼働開始でございました。
 その利用率の向上のためには、我々が一生懸命頑張るということのほかに、本県のインターネットの人口普及率を上げる、あるいはブロードバンド世帯加入可能率を上げていくといった課題に対する対策が必要でございます。それからまた、住基カード等のいわゆる本人確認のための制度普及、こういったようなものも当然必要になってまいります。そういったことを今後総合的に、効果的に取り組んでまいりたい、そのように存じておるところでございます。
〇佐々木博委員 さきの一般質問でも出ましたけれども、住基カード、国が威信をかけて導入した住基カードですが、これも発行開始4年半で、全国では1.5%、本県でも1.5%の普及率ということのようでありますが、これ、住基カードも391億円ぐらい国費を導入してやっているんですね。それで、ともに、やはり今おっしゃるように、住民ニーズの把握の甘さがあったのではないかと私は思います。電子県庁も同じではないかと。それから、加えて、やはりブロードバンド環境の問題もあっただろうと思うんですね。
 私も行政監査の報告書を詳しく読ませていただきましたけれども、やはり普及率の想定は、ブロードバンド環境を考えると、ちょっと無理だったのではないか、そもそもその数値目標が高過ぎたのではないかと思っているんですが、その辺についての御所見をお聞かせいただきたいと思います。
〇藤尾地域振興部長 この電子県庁への取り組みというのは二つ目的がございまして、行政事務の効率化と住民の方々の利便性・サービスの向上という目的なわけでございますが、先ほど御答弁申し上げましたように、ハード面での整備と、それからソフト面での行政主導のいろいろなPR、普及、そういったようなものが必要であろうかと思いますが、この把握に甘さがあったのではないかという御指摘につきましては、開発当時の平成15年度のころは、いろいろなデータがある中で、責任を転嫁するわけではございませんが、当時、全国的にオーソライズされておりました国の実証実験結果、そういったようなものをもとにしまして、おおむねこの程度の水準までといったような目標を立てまして、それで取り組んできた経緯がございます。
 しかしながら、実態は、委員御指摘のとおりのような状況でございますが、方向性としては、これは、国際的にもこういった情報化というのはおくれをとってはならないわけでございますので、いずれハード面の整備と、それからソフト面での対策、これを車の両輪といたしまして、先ほど申し上げましたように、最少の費用で最大の効果を上げるべく努力してまいりたい、そのように存じますので、何とぞ御理解と御協力をお願いしたいと思います。
〇千葉康一郎委員長 佐々木委員の質疑の途中でありますが、世話人会の申し合わせにより、この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
 佐々木委員、御了承願います。
   午後0時 休 憩
午後1時2分 再 開
〇千葉康一郎委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇佐々木博委員 それでは、引き続き質疑を続行させていただきます。
 IGRいわて銀河鉄道についてお伺いをします。
 東北新幹線の青森延伸に伴う新指令システムの整備事業についてでありますが、JR貨物との負担割合について、調整金制度の見直しの関係でいまだ流動的であると認識しておりますけれども、そのような考えでよろしいでしょうか。
 また、平成20年度にJR貨物が負担することになっている5億円、これは調整金制度がまだ流動的だとするとどういう趣旨の金なのか、そのことについても伺いたいと思います。
 それから、青函トンネルの夜間工事の関係で、寝台特急が減便になります。2008年度から、年間1億2、000万円、減便に伴って減益になると伺っておりますが、こうなりますと、IGRの経営、赤字が避けられなくなるわけでありますが、県はどのように支援していくお考えなのか、この2点についてお伺いします。
〇藤尾地域振興部長 東北新幹線青森開業に伴う指令システム構築につきましては、JR貨物、それと国土交通省に対しまして、応分の経費負担を求めてきたところでございましたが、それぞれの主張に大きな隔たりがございました。しかし、そのJR貨物との協議の中で、貨物列車走行に伴う経費の増加分につきましては、IGRが負担すべきものではないとの認識で一致いたしました。このような中、昨年12月に、政府・与党整備新幹線検討委員会が開催されまして、整備新幹線の着工問題とあわせて、並行在来線の諸課題について検討を開始し、今年度末までに財源確保のめどをつけた上で結論を得るべく、全力を傾注するという旨の合意がなされたところでございました。
 本県におきましては、青森開業にあわせた形で指令システムを構築するためには、遅くとも平成20年度からの事業に着手する必要があったことから、この際、構築経費の負担につきましては、調整金制度の決着にゆだねることが合理的であると考えまして、その決着までの間は、差し当たり、両者が折半で資金調達すべきとの提案をいたしたところでございます。
 本県としては、あくまでも受益者負担を原則としまして、県民の方々あるいは沿線市町村が納得できるものであるということを基本に協議を重ねた結果、20年度構築経費約10億円ほどを必要としたわけでございますが、その約半額、5億円相当をJR貨物が拠出するということで、本年1月に合意に達したところでございます。
 いずれにしろ、最終的な経費負担割合等はその調整金の見直しを待たなければならないというものでありますことから、先月、政府・与党の関係者に対しまして、早期にかつ適正な見直しがなされるよう、知事を初めといたしまして、沿線市町村による合同の要請を行ったところでございまして、今後も精力的に働きかけてまいりたいと考えてございます。
 それからもう一点、寝台特急の減便関係の御質問でございました。
 この寝台特急の走行につきましては、並行在来線の開業に当たりまして、当時、本県が要求した線路使用料の額を国が一方的に削減し、その代償措置として国のあっせんにより走行させることになったものでございます。今回のダイヤ改正によって、寝台特急の運行が5本から3本に減便されることに伴いまして、旅客収入ベースで約2億3、000万円減収、それから、最終損益で約1億2、000万円の減益となると見込まれるところでございまして、IGRの経営上、非常に深刻な問題であると認識いたしております。
 IGRにおきましては、この問題に対処するために、輸送・営業コストの縮減、ダイヤの見直しなどの経費縮減はもちろんでございますが、定期客への利便性拡大、定期外客の新規需要開拓あるいは関連事業収入の拡大などの増収対策、会社を挙げて一丸となって取り組むこととしております。
 いずれにしろ、先ほど申し上げたような経緯がありますので、県としては、寝台特急の減便を機に、本来のあるべき適切な線路使用料が確保されることが必要であるという認識に立ちまして、先月、2度にわたって政府・与党の関係者等に対して要請を行ったところです。
 この問題につきましては、青森県も全く同様の状況にございます。したがいまして、青森県との連携を深めますとともに、IGRの経営問題について、関係者が英知を結集してこの問題に当たるために、県、沿線市町村、IGR3者による寝台特急減便対策会議(仮称)を立ち上げることといたしておりまして、早急に所要の対策を講じていきたいと考えておるところでございます。
〇佐々木博委員 調整金制度の見直しについてですが、今年度末までに結論が出る見通しなんでしょうか。
 それから、また、見直し拡充がもしなされなかったとした場合、このJR貨物が拠出することになっている5億円、それから来年度だけじゃなくて、21年度以降も引き続きあるわけでありますけれども、そういったものがどうなるのか。例えば、早い話、調整金制度で見直しがなされなかった場合、20年度に拠出すると言っている5億円を返還しろというような話になるのかどうか、この点について確認をさせていただきたいと思いますが、いかがですか。
〇藤尾地域振興部長 見直しの時期については、いずれ、現段階で今年度末を目途に結論を得るべく全力を挙げるといったようなことでございまして、我々としてはあくまでもそういった時期を目途にいたしまして、必要ないろいろな働きかけをしてまいりたいと、そのように考えてございます。
 それから、調整金の中で、受益者負担の原則に基づいて、本来貨物が負担すべきものがすべてカバーされるかどうかといった見通しでございますけれども、これにつきましては、いずれにしろ、先ほど我々が県としてよって立つべき基本とする考え方、いわゆる線路の使用実態に見合った割り勘分を、当然JR貨物が負担するというのは基本であるわけでございますから、これは、調整金の財源のかげんで値切られるとか値切られないとか、そういうレベルの問題ではないと思います。したがって、これは、いずれ青森県とかあるいは関係道県と連携をとりながら、あるいはまた、議会の皆様方にもいろいろ御協力いただいておりますので、強力に関係機関に働きかけて、何とか実現できるように頑張ってまいりたいと思っております。
〇佐々木博委員 この調整金の見直しについては、本県議会でも、昨年の12月議会でも意見書を提案したところでもございますけれども、考えてみますと、この並行在来線という制度は、私は非常に格差を生んでいると思うんですね。
 大体、経営のいいところ、すなわち、都会に近いところは新幹線の整備がとうの昔に済んでいて、そして今新幹線の整備が進んでいるところというのは、基本的にはおくれていると言われているところであります。そして、在来線が走っていて、新幹線をとる以上、それは地方負担でやれと。そうしますと、ただでさえ大変な地域なわけでありますけれども、これが第三セクター化されることによって、例えば運賃だってJRで走っていたときより高くなりますし、それから、基本的には非常に人口密度の少ないところでありますから運営だって大変だと、そういった格差を押しつけているのが、私はこの並行在来線の制度だと思っております。そういった意味では、本当に見直しが必要でありますし、例えば今九州新幹線、長崎ですね、あれなんかやっぱりこの在来線の問題で非常に議論があるわけでありますけれども、私はそういう議論が出てくるのが当然だと思っております。
 そういった点では、この現行の調整金制度というのは本当に、JR貨物の負担対象経費というのは、一部例外を除いて維持修繕費のみとされていて、大変私は公平ではない制度だと思っておりますけれども、これの解消に向けて知事の御所見を伺いたいと思います。決意を伺いたいと思います。
〇達増知事 東北本線盛岡以北につきましては、東海道新幹線や東北新幹線盛岡以南の整備と同様に、地元負担を求めることなく、すべて国の責任において整備が図られるべきであったと考えますけれども、当時の政府・与党申し合わせに基づき、JRからの経営分離についての沿線地方公共団体の同意が整備新幹線の着工の条件とされたことから、当時、県は沿線市町村と協議の上、苦渋の選択として受け入れた経緯があります。
 こうした政府の方針により、岩手県におきましては、新幹線の建設費用の地元負担分として約960億円の負担を強いられたほか、並行在来線のJRからの経営分離に伴う費用として約120億円を負担し、さらにIGRの経営支援の費用として、開業以来、これまで約20億円もの財政負担を余儀なくされるなど、財政基盤が脆弱な本県や沿線市町村にとって、極めて重い負担となっております。
 先行して整備された東海道新幹線などは地元負担が一切なく、国の財源により整備されたのに対して、本県のような条件不利地域がなぜにここまで負担を強いられなければならないのか、国の運輸政策に大いに矛盾を感じるところであります。
 このような中にありまして、JR貨物の線路使用料は、線路使用の実態に応じた適正な対価すら認められておらずに、地方に負担を強いる仕組みとなっております。したがいまして、このたびの線路使用料問題のような理不尽な負担を一方的に強いるような政策は、格差を拡大させ、地方をますます衰退させるものでありますから、県議会や沿線市町村と連携、協力しながら、国に対して強く是正を求めてまいりたいと思います。
〇佐々木博委員 よろしくお願いします。
 次に、森のトレーについて伺います。
 補助金を返還することにより、延滞金の発生を免れたことについては評価をしたいと思います。
 そこで、いよいよあとは回収ということになるわけでありますけれども、まず、訴訟の進捗状況についてお知らせいただきたいと思います。
〇宮舘副知事 森のトレーに係る訴訟についてでございますが、平成16年3月の提訴後、これまでに2回の口頭弁論が行われ、その後、裁判所の訴訟指揮のもとで、争点及び証拠の整理をするための弁論準備手続が行われているところでございます。次回は、5月9日に、16回目の弁論準備手続が予定されております。
〇佐々木博委員 口頭弁論、2回だけ開かれておりまして、その後ずっと開かれていないで争点整理なわけですね。争点整理に随分時間がかかっているということは、それだけ食い違いがあるからだと思いますが、結審の見通しについてはいかがでしょうか。
〇宮舘副知事 平成16年5月、7月と2回、口頭弁論が行われたわけでございますけれども、その後、先ほど申し上げましたように15回、弁論準備手続が行われているという状況でございまして、裁判の現状からしますと、まだまだ争点整理に時間がかかるのではないかと考えております。
〇佐々木博委員 今まで県は、この訴訟で回収するの一点張りの答弁であります。引退されました佐藤正春議員が何遍も当局に迫ったわけでありますが、県民に負担をかけるということは、一切答弁ありませんでした。とにかく、訴訟で回収するの一点張りなわけでありますが、しかしながら、今回立てかえとはいえ、国に補助金を返還する。一時的にしろ、県民負担が生じるわけであります。そして、それが本当に訴訟で全額回収できれば、それは県が今まで主張していたとおりでありますけれども、現実の問題として、私は全額負担なんてとても不可能だと思います。
 9月の一般質問でも行いましたけれども、トリニティに対する請求金額というのは25億数千万円の請求ですよ。トリニティと機械の売買をやったのは10億円ですからね。トリニティと売買をやった損額全額以上に、土地を買ったり建物を建てたり、そのほか全部トリニティが原因でだめになったという訴訟でありますが、一般的に考えて、この訴訟はなかなか通るとは思えない。したがって、私は県民負担がいずれ必ず生じるんだと思いますけれども、そのことについては御認識はいかがでしょうか。
〇達増知事 今般、林野庁との協議を踏まえて、返還金の残額を3カ年で返還することとしているわけでありますが、返還金については、訴訟で回収するという基本スキームはこれまでと何ら変わるものではなく、引き続き、県民負担を最小限にするため、トレー組合の訴訟を支援し、勝訴によって返還金を回収できるよう、全力で取り組んでまいりたいと考えております。
 当該事案に係る責任については、委員御指摘のとおり、平成16年3月に、事業の実施に当たり、適正を欠いた事務執行に対する責任として、減給処分2名を含め関係職員10名が処分されたところであり、また、行政執行に対する引責措置として、前知事及び当時の副知事、出納長について、給与の減額が行われているところであります。
 このように、国庫補助金の返還命令を受ける原因となったトレー組合への指導監督等が不十分だったことについては、既に関係者の処分等が行われているものであります。また、今回の国庫補助金の3分の2部分の国への返還は3年分割払いとしつつ、その間も含めた延滞金のリスクを解消することを確実にするための対応であり、今回の対応は、過去の関係者の新たな責任問題を生じるような性格のものではないと考えているところであります。
〇佐々木博委員 処分については、私が質問する前に今知事からお話があったわけでありますけれども、前回の処分、知事は4カ月の給与35%減額、副知事、出納長が3カ月で10%の減額という処分だったんですが、これ対象事案が森のトレーだけじゃなくて、競馬組合の経営問題だとかふれあいランドの用地問題だとか、それらを含めての処分だったわけでありますが、これの処分の前提というのは、県民に負担をかけないということが前提ですよ。もし、県民に負担がかかることになったとすれば、前提が壊れるわけでありますから、私は、もしそうなれば、このときの処分というのは不適正なものだと考えます。しかしながら、既に対象者はいないわけですから、追加で云々ということはできません。結局、こういった補助金だけにかかわりませんけれども、行政の場合継続していますが、だんだん対象者がいなくなって、後で追加して何かしたいと思っても、あるいは県民がそういうような気持ちになっても、既に何もできない。そこにやはり県民としての一つの不満といいますか、憤りというか、そういった感情が出てくるんだと思いますけれども、いかがでしょうか。
〇達増知事 現在、訴訟が行われ争点及び証拠の整理をするための弁論準備手続が行われているということで、非公開なわけでありますけれども、だんだんに当時のさまざまな事実関係等について明らかにされていくと思いますので、そちらの推移を見守りたいと思います。
〇佐々木博委員 森のトレーについてはそれぐらいにしまして、岩手競馬について伺いたいと思います。
 手元に今年度の収支の見通し等をいただいているわけでありますけれども、不思議なのは、普通、計画比というのは、一番最初の当初計画と対比して幾らだと示して、それを修正してこうなったと示すのが通常じゃないかと思うんですが、一番最後に修正した計画との対比だけ来ているんですね。この点についてはいかがでしょうか。もともとの当初計画と比較すべきではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
〇達増知事 競馬組合の事業運営に当たっては、年度を通じての収支均衡が事業継続の条件となっておりますので、売り上げ実績を踏まえた上で収支均衡が達成できるよう、収入、支出を見直した計画に対しての達成状況を常に評価し、仮に計画を下回るような場合にはさらにコスト調整を行うなど、適切な対応を図る必要があることから見直し後の計画と対比しているものでありますけれども、委員御指摘のとおり、当初計画の対比も、当初見込んだ売り上げの達成状況を評価する意味で重要と考えます。
〇佐々木博委員 全国的には地方競馬、底打ちしたんじゃないかと言われているところもあるようでありますけれども、残念ながら、本県は売り上げは前年度対比83.9%ですよ。まだまだ低下傾向にあって、底打ちと言えるような状態ではないと思います。しかるに、20年度の売り上げを今年度と同程度に見ているわけでありますけれども、この根拠は何なんでしょうか。
 知事は、今年度の売り上げ予想は当初から過大だったと、そのようにおっしゃっておりますが、来年度のこの数字は達成可能だと見通しておられるのか、伺います。
〇達増知事 20年度の発売額を見通すに際しましては、馬インフルエンザの発生に伴う発売不調日なども含めた19年度の自場発売の1日当たり平均発売額の実績を基本にしつつ、過去4年間の発売動向を踏まえた曜日ごとの発売額の補正を行うなど、発売額を慎重に見込んでおりますが、一方で、開催日数が4日増加し131日となること、グレード競争の日程がJRAの開催日程と重複せず、首都圏等での発売額の増加が見込めることなども考慮して、来年度の発売額を今年度の最終見込み額と同程度と見込んでいるところであります。
 このように、売り上げ見通しは、19年度の実績等を踏まえて慎重に見込んでいることや、他主催者との広域発売の調整も既に開始していることに加え、競走体系の見直し等による魅力あるレースの提供やイベント開催等を通じた楽しさ、にぎわいの創出などの発売促進にも積極的に取り組むこととしており、20年度の売り上げ計画の達成は可能と考えております。
〇佐々木博委員 私も平成20年度の岩手県競馬組合事業計画案、よく読ませていただきましたけれども、私はちょっと知事とは見解が違いまして、まだ低下傾向にあるんじゃないかと、達成はちょっと厳しいんじゃないかと考えております。
 その一つの理由は、さっきもちょっと申し上げましたけれども、今年度の景気の見通しですよね。やっぱりサブプライムローンの関係で、アメリカがちょっとおかしくなっていますから、今まで外需主導でやってきた日本の景気が、私はことしはかなり厳しいんじゃないかと実は心配しています。政府の見通しも下がってきていますし、民間の経済見通しも下がってきている実態にあります。競馬個別の問題ではなくて、私はマクロで県民経済がどうかということが、非常に売り上げに一番影響があるだろうと思っておりまして、そこのマクロの部分が心配だということが、売り上げが果たして達成できるか、非常に心配なところにつながるわけであります。
 それで、若干細かいことを実は伺いたいんですが、当初の年間収支計画では1億6、400万円の特別損失というのがあったんですね。それがいつの間にか消えているんですが、この特別損失は何であって、どうしてこれが途中でなくなっているのか、そのことについてお知らせをいただきたいと思います。
 それから、あわせまして、東北映像との合意文書の効力についてですけれども、知事が記者会見でいろいろやりとりされたのを拝見させていただきました。
 私は、東北映像とこの競馬組合が交わした合意文書、基本的にはそれぞれの権限のある方が結んだ合意でありますから、有効だと考えています。ただ、その後330億円の融資問題が出てきて、そして売り上げにあわせて運営をしていくことになった。したがって、恐らくこの後年度負担ということは実行不可能、今では実行できないだろうと思いますが、いずれ合意自体は有効なわけでありますから、それを踏まえた再交渉が必要なのではないか。
 それから、あわせて債務負担、借り入れについての負担についてですが、私はこれはもし保証だとしても─大いに保証に読めるわけでありますが、しかしながら、競馬組合の議決を経ていませんから、これは少なくとも競馬組合に対しては効力を生じない、無効なものだと。当事者に責任追及いくかどうかわかりませんよ。いずれ、競馬組合には私は効力が生じないものだと考えていますが、この私の考えについての所見を伺いたいと思います。
〇達増知事 特別損失については、見込んでおりました退職金を18年度予算で支払ったことにより、なくなったものでございます。
 次に、東北映像との合意文書の効力についてでありますが、合意書は平成17年2月に策定した改訂実行計画に基づく売り上げ拡大を前提として18年3月に締結したものでありますが、現時点では、18年11月に策定した新計画の枠組みの中で、競馬事業の存続を前提として、必要に応じた関係者によるコスト調整によって収支均衡を図るという新しいルールで運営をしておりまして、今後とも、そのように対応することとしております。
 このようなことから、相手方とは、新計画のルールを踏まえて19年度事業のコスト削減を実施しましたほか、年度途中のコスト削減も実現してきておりまして、今後の相手方との協議に当たっても、岩手競馬の状況を十分に理解いただきながら、新計画のルールにのっとり進めるのが基本と考えております。したがいまして、御指摘の合意書で21年度以降負担するとしていることについては、債務負担行為として競馬組合議会の議決を得て独立した具体的な債務となっているものではなく、また、合意書では、別途の協議の上と明記されていることから、岩手競馬の経営状況を踏まえながら、新計画のルールに沿って、支払いが可能な範囲で毎年度契約していくこととしているところであります。
 また、合意書の責めがあることを認識しているとの文言は、施設所有者が金融機関に確実に借り入れを返済することができるよう、組合としては、施設所有者との賃貸借を継続するため最善を尽くすことが必要であるという、信義則上の責務があるとの認識を示しておりますが、この合意書は、あくまで相手方の債務を保証するものではなく、競馬組合がこれにより具体的な債務を負うものではないと考えております。
〇佐々木博委員 若干認識の相違はありますけれども、問題は、相手方がそれで理解していただけるかどうかということ、そこが一番の問題だと思いますので、しっかりと相互理解を図っていただきたいと思います。
 さて、民間委託拡大ということで3社の申し込みがあったということを報道で拝見しておりますけれども、差し支えなければ、その3社というのは地元のところも入っているのか、本店所在地だけで結構ですからお知らせいただきたい。
〇達増知事 具体的な社名については公開しないことにしているんですが、少々お待ちください。
 やはり非公開ということで、勘弁をお願いしたいと思います。
〇佐々木博委員 先日、行財政構造改革等調査特別委員会で、平成18年度から包括的な民間委託をした小倉の競輪を視察してまいりました。民間委託によっていろいろ広告宣伝等の手法も変わったようでありますが、残念ながら、売り上げはふえなかった。しかし、経費の削減効果は絶大で、見事に黒字化したとのことであります。民間委託拡大によるメリット、デメリット、いろいろあると思いますけれども、どのように評価しているか、御所見を伺いたいと思います。
〇達増知事 民間委託の拡大によるメリットでございますが、民間企業のノウハウを活用したファンサービスと収益性の向上や経営基盤の強化、そして事業運営の安定性の向上などが考えられます。また、課題としては、公正な競馬の確保、契約の中途解除による事業の中断の回避といったものが考えられますが、これらについては、競走の実施に関する業務は委託しないことや、契約解除に当たっては、一定期間前の事前申し出とすることなどにより、対応が可能と考えられるところであります。
 いずれにいたしましても、民間企業からの企画提案の内容を十分検討して、現行の運営方法と比較考量した上で、将来にわたって持続可能な岩手競馬の構築という観点から、すぐれた提案であれば、民間委託の拡大を具体的に検討してまいりたいと思います。
〇佐々木博委員 時間となりましたけれども、最後に、知事に就任されてから、非常にいろんな会合に以前よりますます出席されることが多くなったわけでありますが、ちょっと気になりますのは、役所でメッセージをつくるものですから、それを読み上げることが随分多いなと思っております。衆議院議員のころは、だれもメッセージなんか書いてくれませんから、いつも自分であいさつをしていたわけでありますが、県知事になったということでメッセージを読み上げることが多い。しかしながら、やはり御本人が出席する会合では、生で、自分の声で県民に語りかけていただきたい。そのほうが、むしろいろいろな理解も進むと思いますし、一体感が生じるのではないかと思います。
 ぜひとも御検討いただくことを祈念いたしまして、総括質疑を終わります。(拍手)
〇千葉康一郎委員長 次に、千葉伝委員。
   〔千葉伝委員質問者席に着く〕
〇千葉伝委員 自由民主クラブ会派を代表し、本年度1年の経過を踏まえ、そしてまた、来年度以降を見据えて、本県の抱える課題について総括的に質問いたします。
 本議会一般質問あるいは先ほどの佐々木委員の質問とも多少重なる部分もあろうかと思いますが、よろしく御答弁願います。
 まず、知事の政治姿勢についてお伺いいたします。
 達増知事、あなたは昨年の春、初めての知事選を勝ち抜き、本県のトップリーダーとなったところであり、前増田知事にかわる新しい知事として、県民がより幸せを感じる岩手になるよう、尽力することを期待するものであります。
 ところで、知事、あなたは、衆議院議員時代から知事就任後の今日まで政党に属しておられます。昨年6月の私の代表質問に対し、今後も政治家の信念に基づき行動してまいりたいとし、知事は行政の長として、公正中立、不偏不党でなければならないと答弁されており、このことを繰り返しておられますが、それは、政党に向いた顔と県民に向いた顔を使い分けるということであり、果たしてそれが本当に可能なものとお考えなのかを改めてお伺いいたします。
〇達増知事 まず、私は政党関係の政治活動をする場合でも国民あるいは県民のほうを向いて活動しようと努めておりまして、そういう意味では、同じ県民のほうあるいは国民のほうを向いて何かするときに、行政の執行として中立的にきちんと公平にやるのか、それとも、それ以外の活動として自由にやるのかということだと思っておりまして、要は、行政の執行を公平中立にやるんだということをきちんと法令条規に基づいてやることができればいいんだと思っております。
 政党について距離を置く、そういう政治的立場の首長さんの場合でも、大きな後援会を持っていたりあるいは密接なブレーンがいたり、そういうところに向いての、そういうところとの関係の活動と中立な行政というのは区別してやられていると思うので、そういうことは可能と考えております。
〇千葉伝委員 二つの顔を使い分けるということについてきょうも一貫して言っておられますが、二つの顔を持つということは、例えて言うなら、政党人のときは普通の顔で対応して、県民を向くときの知事は、何か仮面をかぶって対応するようにもとられかねないと思うところであります。行政の長としての知事のとき、あなたは本当に公正中立、不偏不党を貫けるのかと思うわけであります。どんな言い方をしても、私には詭弁としか映らない思いをしております。
 そういったことから、選挙で選ばれたからと言って、使い分けを誤り一政党に偏することになった場合、県民に対し、一方的な考え方を強いる結果とならないか危惧するところであり、国政上の現在の与党と反する立場で今後とも貫くとすれば、県民すべからく、あなたと同じ立場、考え方となっているなら別であるが、あなたの属する政党以外を支持する県民も多いと思われることから、知事は、多くの市町村長と同様に、過去の経歴は経歴として、県民にわかりやすく中立的立場、いわゆる県民党的立場で県民をリードしていくことが県民の幸せにつながるものと思うが、どうでしょうか。
 知事、あなたはこの際、そうするつもりはありませんか。
〇達増知事 たとえ政党とのかかわりで中立的立場を貫いていても、選挙で応援してくれなかった人には仕事はやらないとか、あるいは、いろんな地域の活動で不便を与えるといったことが日本の中では起きていて、そういったことで不祥事で辞職に至った知事も実際にありますが、そういうことをしてはいけないということがそれぞれの首長に課せられているんだと思います。そうした中で、きちんと法令条規に従って行政の執行をきちっとやっていくということが重要でありまして、それ以外の部分で、それぞれが世の中はこういうふうになった方がいいとか、あるいは今の世の中はこういうところは問題だとか、そういう言いたいことを自由に言うということについては、それは認められていいのではないかと考えます。
〇千葉伝委員 そのお考えはそういうことでありますけれども、この使っている言葉の中で、公正中立あるいは不偏不党と、この言葉の使い方です。
 日本のトップである最高学府を出ておられる知事には、おこがましい言い方でありますけれども、公正中立という、私も広辞苑というのを見てみました。公正というのは、明白で正しいことであり、中立とはいずれにも偏らずに中正の立場をとること、いずれにも見方せず、いずれにも敵対しないこと。これが公正中立の意味でありますし、一方、不偏不党と、こういう言葉には、いずれの主義、党派などにもくみしないことと、こういう意味であります。これは私が調べた中身ということでありますので、知事にはこの中身、本当にしっかりとわきまえた上でのその対応を願いたいと思うところであります。
 続きまして、平成20年度の当初予算についてお伺いいたします。
 昨年春、知事に就任以来、前知事の推進してきた施策を継承、あるいは、種々、議会、県民を巻き込んで議論された競馬問題、森のトレー問題、県債残高の増嵩に対し、現在の厳しい財政状況下にあって、鋭意取り組んでいただいていることに対しては敬意を表したいと思います。
 そうした中にあって、県の新年度予算案には一般会計6、583億円余が計上されたところであり、知事就任後、肉づけされた補正を含む前年度予算に比較し271億円余り、4%のマイナスとなっており、7年連続の緊縮型予算となっている。歳出を抑制しても、なお基金取り崩しを余儀なくされ、基礎的収支のバランス、すなわち、プライマリーバランスは来年度マイナスになると見込んでいるとのことであります。
 知事が、県民に約束したいわゆるマニフェストとしてのいわて希望創造プランは、県民所得の向上、雇用環境の改善、人口転出の歯どめ、地域医療の確保を重点目標に据えたところでありますが、この県予算に対し、2月12日の記者会見で、自己評価100点としたようであります。私からすれば、何点満点の100点なのかと疑うものでありますけれども、08年度末、県債残高が1兆3、976億円、県債依存度13.3%、投資的経費は前年度比48億5、000万円余りの3.8%の減、義務的経費の歳出に占める割合は47%であり、ますます財政の硬直化が見られる中で、政策的経費、すなわち、マニフェスト計画が果たして十分反映されたと言えるのか、改めてお伺いしたい。
〇達増知事 私は、マスコミなどから自己採点を求められた場合、知事になって以降は、0点か100点かのどっちかで答えるようにしておりまして、まだ結果が全然出ていない場合などについては0点と答え、やるべきことをやった場合には100点と答えるようにしておりまして、今回、いわて希望創造プランの内容をそのまま平成20年度当初予算に盛り込むことができましたので、100点と言っているところでございます。
 重点目標として、いわて希望創造プランで掲げている県民所得の向上については、産業振興の戦略的な展開、地域医療の確保については、医師確保対策の展開などについて積極的に予算化したところでございます。
 また、今回の予算編成に当たり、私自身、すべての政策的経費に目を通したほか、職員の理解と協力のもと、特例措置として職員給与を減額し、政策的経費を確保したことなどによりまして、いわて希望創造プランの内容を十分に反映できたものと考えております。
〇千葉伝委員 この問題で2月29日の一般質問、我が会派の高橋雪文議員の質疑において、知事は、今後3年間の合計額では、プライマリーバランスの均衡を保つと答弁されております。そもそも、プライマリーバランスは、県債をこれ以上増加させないということだけでなく、県財政の硬直化や後世にツケを残さないためにも、単年度ごとに収支均衡を図るべきものと考えるけれども、再度、知事のマニフェストの関連でお伺いしたいと思います。
〇達増知事 平成20年度予算におけるプライマリーバランス、赤字の最大の要因は、国の制度改正によって、臨時財政対策債が前年度よりも49.8億円増大することでございますので、その49.8億円分を、県が実施する他の事業の予算規模の縮小によって穴埋めするような形で、無理にプライマリーバランスの均衡を守るということは、かえって好ましくない形の予算になってしまうと判断したものであります。
 プライマリーバランスは、県債残高の増減を管理していく上での目標として中長期的観点で適切に管理していくことが重要と考えておりまして、私がマニフェストやこれまでの県政運営の方針の中でお示ししてきましたプライマリーバランスの均衡という考え方に沿った対応であると御理解いただきたいと思います。
〇千葉伝委員 評価という部分については、私はプライマリーバランスは当然単年度ごとと、こういうことでやるべきだということからすれば、問題ありと思うところであります。
 関連して、この事業の関係で、見直しを行うとした中でゼロ予算事業を取り入れたと、こういうことであります。ほかでも取り入れているとかの答弁もあったところでありますけれども、予算がないものを事業として、これは幾らでも並べられるのではないかということが言われたわけであります。予算執行しなくてもよいということであれば、責任の所在あるいは実績評価、特に問題ないと思われるところがいっぱい出てくると、それも問題じゃないかと、こういうことでありますので、少なくとも多少の額を計上すべきではないか。このゼロ予算について、改めて御答弁をお願いします。
〇達増知事 いわゆるゼロ予算事業の取り組みは、特段の政策的な経費を予算措置しなくても、共通的な人件費として計上している管理運営費や既存施設の運営費など、有効かつ戦略的に活用しようとするものでありまして、責任の所在という点においては、もとより県にその責任がございます。
 一方、従来、予算事業の評価については、さまざまな評価手法が発達してきているわけでありますが、ゼロ予算事業の評価については、そうした予算事業と同等の評価の取り組みが可能かどうかの技術的問題も含め、今後、研究してみたいと考えております。
 今後におきましても、計上しているあらゆる予算を有効に活用するとともに、ゼロから有を生み出すような創意工夫に努め、県の経済や県民生活の向上に最大の効果を上げていくような取り組みを積極的に進めていきたいと考えております。
〇千葉伝委員 次に、財政運営についてであります。
 国の地方交付税制度の改正についてでありますけれども、地方の再生とか地域活性化のための地方交付税の特別枠、地方再生対策費が創設されたということでありますけれども、平成16年のいわゆる交付税ショック以来、本県を初めとする地方は大幅な交付税削減により危機的財政状況に陥り、悲鳴さえ聞こえる状況にある中、この流れに一定の歯どめがかかったという理解もあるわけでありますけれども、県としてはこれをどのように評価しているのか、また、今後も国に対しさらなる増額、拡充等の働きかけを行っていく必要があると考えているのか、お伺いいたします。
〇川窪総務部長 平成20年度の地方財政対策におきましては、地方一般財源総額が前年度以上に確保されますとともに、交付税と臨時財政対策債を合わせました実質的な意味での交付税総額につきましても、5年ぶりに前年度を上回る額が確保されまして、交付団体─不交付団体以外の地方部の団体の一般財源総額も、前年度より増額になるという形で決着しているところでございます。
 今回、交付税の特別枠が創設されまして、ここ数年削減が続いておりました交付税が実質的に増額確保された─全国総額でございますけれども、そういう点につきましては一定の評価ができると考えております。ただ、これまだ第一歩ということでございまして、これまでに大幅な交付税の削減等がございまして、地方財政大変厳しい状況になっておりますので、引き続き交付税総額のさらなる増額、復元につきましては、国に強く働きかけていくことが必要だと考えておるところであります。
〇千葉伝委員 次に、集中改革プログラムの中から、事務事業の総点検の結果についてお伺いいたします。
 県では、今年度、現下の行財政状況に対応しながらも、質の高い行政サービスを提供するため、岩手県集中改革プログラムの一環として事務事業の総点検を実施し、その必要性等をゼロベースから見直したとのことでありますが、その結果をどのように分析・検証し予算に反映したのか。さらに、今後においては、この結果をどのようにフォローしていくお考えなのかをお伺いいたします。
〇勝部総合政策室長 事務事業の総点検の結果についてでございますが、本年度実施した事務事業の総点検は、行財政改革の一環として、予算事業に限定せずに内部管理事務も対象に含めて、業務の執行に携わる標準的な人件費を含めたトータルコストでの事務事業の必要性等について、ゼロベースから点検を実施したものでございます。
 具体的には、平成19年6月現計予算の総事務事業数1、727事業を対象といたしまして、平成22年度までに取り組む改革の方向性を検討したものでございます。その結果、平成20年度当初予算の編成においては、103事業を廃止または終了、3事業を外部委託化、139事業を統合あるいは再編、147事業の簡素・効率化など、合計404事業の見直しに取り組み、およそ60億円程度の経費の縮減を図ったところであり、より緊急性、必要性の高い政策への行財政資源の集中を進めたところでございます。
 この点検結果のフォローにつきましては、今後、集中改革プログラムに基づく改革を一層推進するために、平成21年度以降の取り組みについて、いわゆるローリング方式というものでございますが、点検結果のフォローアップに努めるとともに、事務事業評価と連動させながら、各年度における予算編成作業等に生かしていく考えでございます。
〇千葉伝委員 次に、さきの一般質問等でいろいろ問題になりました道路特定財源についてお伺いいたしたいと思います。
 今、まさに国家を二分する形で議論されている道路特定財源でありますが、岩手県、広い県土を有するということから、人と人との結びつき、物流など地域の産業振興の観点からもまだまだその整備が必要であり、この財源は、国家的施策として確保されなければならないと考えております。とりわけ、暫定税率分、これは真に必要な道路整備のために必要不可欠な地方の貴重な財源となっていることで、その維持に向けて声を大にして訴えていかなければならないと考えております。
 そこで、3月3日の一般質問、我が会派の小野寺有一議員の質疑において、暫定税率を廃止し、道路特定財源をやめて一般財源に改めると、この検討内容について、暫定税率の廃止は景気対策として有効と考えるとともに、適切な代替措置が講じられれば、地域格差を縮める効果もあると答弁しております。確かに、ガソリン代が安くなればそれなりの効果はあると思うが、問題は、適切な代替措置が講じられればというものであります。改めて、その代替措置の内容をお伺いしますし、たら、ればとの表現は他力本願の形であって、その根拠とか実効性ということについては乏しいと、こういうことではないかと考えておりますが、改めて知事のお考えをお伺いいたします。
〇達増知事 適切な代替措置ということでありますけれども、これは、真に必要な道路整備のための財源が確保されるような措置という意味でございまして、地方経済が疲弊している現下の状況にかんがみれば、国が思い切った経済政策を多様な施策の組み合わせによって講じることも一つの考え方ではないかと思い、一般論として発言したものでありまして、いろいろなやり方が考えられるのだと思っております。
 道路特定財源の見直しについては、昨年12月の政府・与党合意の中でも、今後の抜本的な税制改革にあわせて、道路の整備状況、環境に与える影響、厳しい財政状況等を踏まえつつ、暫定税率を含め、そのあり方を総合的に検討すると明記されているところであります。今、まさに国民的議論のもと、国会においても議論がなされているところで、この週末には、与党の側からも修正の可能性について示唆されたところでありますので、その中で決定されていくものと考えておりまして、見守ってまいりたいと思います。
〇千葉伝委員 一般質問の答弁では、無駄を省くあるいは国債と、こういう言葉で知事は答えておられる。そういった部分で、今まさに本当にそれが可能かどうか、こういったことも私は考える必要があったのかなと、こういう部分での質問でありました。ただ、今のお話で、今後の部分は政府・与党、あるいは野党ともに国民のための財源確保と、こういう観点からのことをやると、こういうことで私も注視しているところでありますが、岩手県のためにと、こういうことからすれば、知事はしっかりとした信念あるいは考えを持って本当に必要性を訴えていくと、これはあなたが言っている公正中立の立場で物を言うことではないのかなと、こう思うところでありますので、ぜひそういった思いも国に伝えるように頑張っていただきたいと思います。
 次に、農業振興について伺います。
 かなり、前段、長く私は書いておりますので、少しはしょりながら質問させていただきます。
 知事は、政策の6本柱の一つとして、食料供給基地岩手の確立をなすと、農業振興に私は期待をしていると、こういうことであります。
 一つは、担い手対策であります。この問題については、水田の経営所得安定対策、品目横断の経営安定対策、こういったことが本格実施されているということから、その問題も指摘されているということであります。そういうことを含めれば、この制度の認定農業者というものが大変大きな位置づけをなすということでありますので、その農業者の加入状況はどうなっているのか。また、加入促進のための方策について、どう取り組んでいるのか。そしてまた、大きな政策の転換に直面しているということから、農家に対する評価はどのようにして、そしてまた、今後どのように取り組んでいこうとしているのか、まずお伺いしたいと思います。
〇宮舘副知事 農業の担い手対策についてでありますが、本年度の水田経営所得安定対策への加入状況は、認定農業者が1、852経営体、集落営農組織が326経営体となっておりまして、その加入面積は、米については1万9、019ヘクタール、麦は3、360ヘクタール、大豆は2、286ヘクタールとなっております。初年度の加入目標はほぼ達成したところでございます。しかしながら、対策への加入促進活動を通じて、県内の農家からはいろんな課題が出ておりまして、一つは、面積要件等の設定により加入経営体が限定されること、そしてまた、加入手続が煩雑である、そしてまた、収入補てんが米価の大幅な下落に対応できていないという意見が出ております。国では、本県初め全国各地からのこうした意見、要望等を踏まえまして、本対策の見直しを行ったところでございます。
 県といたしましては、今回の対策の見直しを受けまして、集落座談会などを通じて農業者への周知を図るとともに、現在進めております集落水田農業ビジョンの点検・見直しとあわせまして、水田経営所得安定対策への加入を促進してまいりたいと考えております。また、既に加入した経営体に対しましては、ワンストップ相談窓口による経営改善指導や税理士と連携した経理、税務の指導などを強化いたしまして、本県農業をリードする担い手や集落営農の育成に努めてまいる考えであります。
〇千葉伝委員 農業の中で品目ごとからすれば、まず米の問題が出てくると思います。現在は、米価の下落という問題で大変稲作農家は困っている状況であります。生産費の調査等からの試算によれば、60キロ当たり1万4、109円が今後の再生産に可能な米価水準じゃないかということであります。そういった意味において、これからの米の価格競争に打ち勝つということについて、私は産地力をもっともっと強化することが必要であろうと思っておりますが、そのためにどのような対策強化を、あるいは指導をしていこうとしているのか、お伺いをいたします。
〇宮舘副知事 米価の下落とその対応についてでありますが、本県農業が持続的に発展していくためには、その基幹をなす米の産地力を強化していくことが極めて重要であると考えております。このため、生産面におきましては、経営規模の拡大等による生産性の向上や、安全・安心な農産物を求める消費者ニーズ等への的確な対応を図るとともに、販売面におきましては、ブランドとしての知名度と評価を高めるための差別化を図ることが重要な課題であると考えております。
 このようなことから、県といたしましては、これまで、農地利用集積や集落営農の組織化等による経営規模の拡大を促進するとともに、徹底した土づくりによる食味の向上、あるいは安全・安心ニーズに対応した特別栽培米の拡大などに取り組んできたところであります。
 今後は、こうしたことに加えまして、労働時間の大幅な短縮が可能な直播技術の導入や東北初となる県版生産工程管理、いわゆるGAPの導入等による岩手らしい安全・安心な供給体制の確立、さらには、近年急速に伸びております外食等の業務用需要への対応などに取り組むこととしております。
 また、昨年10月には、学識経験者や流通、販売の専門家等で構成いたしますいわて純情米戦略検討委員会を設置いたしまして、今月中にコスト削減目標の設定とその実践策や県産米の知名度向上に向けた広報宣伝方策、さらには、安全安心・環境共生に対応した産地づくり対策などの具体的な戦略を取りまとめることとしております。
 今後は、この戦略を踏まえまして、農業関係団体等と連携を図りながら、生産から流通、販売に至るきめ細やかな対策を実施し、厳しい産地間競争の中でも勝ち残ることができるような米の産地を確立してまいりたいと考えております。
〇千葉伝委員 次に、畜産の振興あるいは配合飼料価格の高騰問題についてお伺いしたいと思います。
 昨年秋以降、世界各地のさまざまな影響、干ばつもあり、あるいは原油高、あるいは経済的な状況、そういったことから飼料原料が高騰している、あるいは原油価格が高どまりしている、運賃が高くなっている、さまざまなことから配合飼料の価格が上昇しております。現在の状況と過去を比較しただけでも、一昨年の10月から考えれば、7、700円も上昇していると報じられております。こういった原油高あるいは価格高騰に対して、規模縮小、廃業等、畜産経営者の影響が深刻となっておりますが、この状況を県はどのように把握して分析しているのか、その影響額を含めてお伺いしたいと思いますし、この対策について県はどのような指導・支援を行っていくのか、お伺いしたいと思います。
〇宮舘副知事 配合飼料価格の高騰による畜産経営の影響についてでありますが、配合飼料価格は、価格安定制度により価格補てん後におきましても、値上がり前の平成17年度に比べまして約2割上昇しております。この結果、県内全体では、64億円程度の負担増になっているものと試算しております。また、こうした配合飼料価格の上昇によりまして、生産コストが大家畜では4%程度、生産費に占める配合飼料費の割合が高い中小家畜では約1割増加するなど、県内の畜産経営は大変厳しい状況にございます。特に、設備投資額が大きい酪農経営におきましては、廃業するケースもあると聞いているところでございます。このため、県といたしましては、飼料価格の高騰による影響を緩和するため、国の畜産経営安定対策や家畜飼料特別支援資金等の活用を促進するとともに、自給飼料の生産拡大や分娩間隔の短縮、事故率の低減等の飼養管理技術の向上に取り組んでいるほか、先月、国に対しまして、配合飼料価格安定対策の充実強化などを提案したところでございます。
 今後は、先般決定されました畜産経営の収益補てん等を内容といたします国の畜産・酪農支援緊急対策を積極的に活用するとともに、県といたしましても、水田を活用したホールクロップサイレージや飼料用米の生産拡大など、本県の地域特性を生かした対策を推進いたしまして、畜産経営の安定化に努めてまいりたいと考えております。
〇千葉伝委員 食の安全・安心という観点も含めて、まだまだ本県の、畜産岩手ということでこれまでも頑張ってきている、こういうことからすれば、ぜひ、県独自でやるというのは、かなりこれも限度があるかと思います。やはり国の制度、そういったところからもあわせた対策がぜひ必要だと私も思っております。国のほうの今の状況については、今、副知事からお話を伺いました。
 なお、国のほうは、ことしの5月あたりをめどに、また新たな対策を検討する、こういうお話も伺っておりますので、ぜひ、それに呼応した形で県のほうの対策もお考えいただきたいと思います。
 続きまして、全体的な農業の話になりますと、また、園芸の分野についてもお伺いしたいと思います。
 園芸は、県の農業の中でも戦略部門として位置づけられていると思っているところであります。ただ、昨今は、輸入野菜の増加等によって価格の低迷とか産地間競争の激化、あるいは消費者の安全・安心対策ニーズの高まり、こういうことから、私は、改めて園芸産地づくりということが必要ではないかと思うところであります。とりわけ全国一の産地となっているリンドウ、あるいは高原野菜としてはレタス、キャベツ、これが第2、第3と続くものと期待しているところであります。
 そこでお伺いしますが、園芸振興についての、この産地づくりと安定供給を基本と考えているわけでありますが、県では、この確立に向けてどのように取り組んでいるのかお伺いします。
〇宮舘副知事 園芸振興についてのお尋ねでございます。
 園芸の産地力を強化するためには、産地をリードする担い手の育成と安全・安心で高品質な農産物を安定的に供給できる産地づくりが重要であると考えております。
 このため、これまで農地の利用集積等によるレタスやキャベツなど、お話のありましたこういった作目について、大規模経営体の育成やベテラン農家が指南役となりまして小規模農家をきめ細やかに指導する体制を整備するとともに、土づくりと農薬・化学肥料の低減に取り組みますエコファーマーの育成などに努めてきたところでございます。
 今後は、こうした取り組みに加えまして、市町村や農協等との連携のもとに、先ほどお話し申し上げましたGAPや減農薬・減化学肥料栽培の普及など、環境に優しい産地づくりを推進するほか、平成20年度から新たに実施いたします、これは県単の事業でございますけれども、いわて希望農業担い手応援事業による機械・施設等の導入支援、さらには有利販売と安定供給を実現する契約取引の拡大などに取り組みまして、岩手らしい生産性・市場性の高い園芸産地の確立に努めてまいりたいと考えております。
〇千葉伝委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 そこで農業、先ほどそれぞれの品目についてお伺いしたんですが、農業問題の大きなくくりとして、農業産出額、ここの観点からお伺いしたいと思います。
 本県農業の平成18年度の産出額というのは2、544億円であり、前年に比べてわずかではありますが3億円の増加があった、こういうことであります。
 しかしながら、平成10年度と比較すれば、当時は3、000億円のあたりから少しずつ減ってきた、それが、最近はどんどん減ってきているという落ち込みが見られるところであります。特に米の産出額の落ち込みが激しいと見受けられます。米については、昭和60年の1、454億円の生産額から、メーンとしての作目でありますけれども、そのほかの畜産とか、園芸とか、そういったものの底上げを図りながら、本県の農業産出額あるいは農家所得の向上ということで頑張っていただいているということでありますが、これから食料供給基地岩手としての考え方、これを確立していくという観点から、県としてどのように考えているのか。
 そしてまた、知事は、県民所得の向上ということで数値を260万円ということで掲げている、それはそれとして、全体的な県民所得を上げていくということからすれば、私は、農業所得、ここの部分にもしっかりとした考え方を持っていく必要があるのではないかと。そういう意味からすれば、具体的な数値目標についても、農業の中に、農業所得についてそれぞれの分野ごとに取り組みを行うべきじゃないのかなと思うところでありますので、そこの考え方についても、あるいは規模といった観点もあわせてお伺いできればと思います。
〇宮舘副知事 本県の農業産出額についてでございますけれども、米の生産につきましては、水田が耕地面積の約6割と土地利用面での大きなウエートを占めております。加えて生産面でも、全農家の約6割が稲作に携わっているという現状がございます。農業産出額では4分の1を米が占めております。そういうことで、本県農業にとりまして、米は、園芸・畜産と並びまして重要な作目であると認識しております。
 また、国際的な食料需給が不安定になっていると見込まれる中で、主食である米を安定的に供給することが、日本の食を守る食料供給基地岩手の役割として、ますます重要になってきているものと考えているところでございます。
 このようなことから、今後とも、効率的・安定的な経営を展開する担い手の育成を図るとともに、安全・安心、そして環境共生を基本といたしまして、消費者に信頼される米の産地づくりを推進してまいりたいと思います。
 また、農業所得の目標についてでございますが、いわて希望創造プランにおきましては、農業の担い手につきまして、他産業従事者と同等の所得を上げる経営体を育成することを目標に掲げておりまして、その具体的な目標は、平成18年3月に策定いたしました農業担い手育成ビジョンでの1戸当たり年間550万円としておりまして、その実現に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
 年間550万円の所得を確保できる経営モデルの例ということで、例えば、県南の平地でありますと、水稲と小麦、大豆で20ヘクタール程度の規模、あるいは県北の畑作地帯でありますと、キャベツと大根で8ヘクタール程度というのが一つの目安かと考えております。
〇千葉伝委員 ぜひ、目標という部分を達成できるような地域に対しての農業施策あるいは指導をお願いしたいと思うわけであります。
 加えて、最近は農家の努力だけでは、なかなかこれは解決できないというか、対応し切れない状況が見られます。今、私は県のほうの対応をお聞きしたんですが、やはりこれは、地域の農業団体あるいはJA等々、いろいろなところとの、地域の特性を生かした農業の展開ということからすれば、しっかりと国の施策との連動はもちろんでありますけれども、農業団体、農業者一体となった推進体制の構築をぜひ頑張っていただきたい。とりわけ、農業団体は大きな合併に向けて動き出しているということでありますので、そこへの指導あるいは県の積極的なそういったものの指導力、こういう部分もお願いしたいと思います。これはお願いであります。
 次の部分は、ちょっと私が一つ飛んだものがありまして、大事なところです。東北新幹線の青森開業に伴う並行在来線対策であります。
 先ほど佐々木委員から話があって、実は、私はしょっちゅうこれを利用している県民の一人、こういう立場もありますので、少し重複するかもしれませんが、改めてお伺いしたいと思います。
 平成22年度に見込まれている東北新幹線新青森の開業に伴う新しい指令システムの構築、あるいはJR貨物や国の負担とか、こういうことでの先ほどの質疑は質疑としてあったわけであります。そういった中で、先般の新聞報道によると、その構築経費については、県とJR貨物が互いに費用を支出することで合意した、それは先ほどお聞きしました。これまでは県とJR貨物の主張というものに隔たりがあったということでありますけれども、今回の合意によって、さらにその整備が本格化する、こういう思いをしたところであります。
 しかしということで、先ほど、佐々木委員の調整金制度の見直し、ここの部分についても答弁があったところでありますので、そこの分については、国に今後検討の状況とか、今後の見通しとか、そういったあたりについては、県はしっかりと対応していただきたい、こういう思いをしております。そこの分について、改めて答弁できるものがあればお願いしたいと思います。
 さらに、先般、青森県がJR貨物に対して青い森鉄道への出資を求めている、こういうふうに伺っているんですが、現在協議中というその報道の中で、出資の形で資金を拠出させることについて、IGRにおいても検討する価値があるのではないかと考えているところであります。JR貨物からの出資について県としての認識をお伺いしたいと思います。
〇達増知事 まず、調整金制度の見直しについてでありますが、昨年12月14日、政府・与党整備新幹線検討委員会において、今年度末までに安定的な財源を確保する方策のめどをつけた上で、結論を得るべく全力を傾注するとの合意がなされたところであります。
 これを受けて、政府・与党ワーキンググループが設置されて具体の検討が進められているところでありますが、整備新幹線の財源確保の検討に時間を要しており、並行在来線の問題については、まだ検討に至っていない状況でございます。
 私は、調整金制度の早期見直しを実現するため、先月、県議会議長やIGR沿線の市町村長及び議会議長とともに、総務大臣、県選出国会議員、政府・与党整備新幹線検討委員会やワーキンググループのメンバーなどの関係者に対して、指令システム構築経費、災害復旧経費等について調整金の中に盛り込むことを求めて要請を行ってまいりました。
 こうした中、並行在来線問題について近々検討を開始するとの情報が伝えられたところでありまして、この機会を最大限に生かすため、さらに関係者への働きかけを強めているところであります。
 今後とも、この問題が決着に至るまで、さまざまな機会をとらえ、本県の考えを粘り強く主張してまいりたいと思います。
 次に、JR貨物からの出資についてでありますけれども、青森県において、JR貨物から出資の話があったということは承知しております。本県においても、JR貨物との負担交渉過程において出資の申し出がありましたけれども、指令システムの構築問題について最終的な解決に至っていないことから、出資についての具体的な協議までは踏み込まなかったところでございます。
 将来、線路使用料等の諸問題が解決して、JR貨物との安定的関係が築かれた場合には、貨物鉄道輸送は、モーダルシフトの推進による地球環境保護の面や自動車産業の集積に伴う本県の産業振興の観点からも、今後、本県の重要なパートナーとなり得ることも期待できますので、出資の受け入れについて検討する余地があるものと考えております。
〇千葉伝委員 いずれ、JR貨物との協議、こういうものが一番の課題でありますし、青森県とだけそういうことで出資の話が進むということになれば、岩手県は何でと、こういう話になりかねない。こういうことから、やはり私は、主張するべきところ、あるいはお願いするところ、これはやる必要があるのではないかと思っております。
 私ども、政府・与党に対してはもちろん、知事同様、一緒に岩手県のため、こういうことで頑張ってまいりたいと思っているところであります。御答弁ありがとうございました。
 次の質問に入ります。地域医療の分です。これについては、もう一般質問を含め、あるいはいろいろな立場から話があります。かいつまんで申し上げますと、本県の医師数、全国の下から数えて早い37位、こういう水準にある、あるいは県北・沿岸の医師不足、地域の偏在、あるいは産科とか小児科の特定診療科における医師不足が深刻な状況になっている、これは御案内のとおりであります。
 国においては、平成18年の厚生労働省、総務省、文部科学省あるいは財務省の4省において、新医師確保総合対策が取りまとめられて、都道府県における取り組みの支援、都道府県のみでは対応困難な地域に対する緊急対策、人材の有効活用、救急医療等の推進を内容としたところを示しているということでありますが、これも医師不足解消にまでは至っていないという認識でおります。
 このような状況の中で、岩手医大の医学部入学定員が10名増加したとか、あるいは県財政厳しい折でありますけれども、奨学金制度を充実、拡大ということで鋭意取り組んでいただいている、こういうことで、私からすれば、ぜひ医師不足解消につながっていけばと思っているところであります。
 そこで、この奨学金制度について、どのような見直しを行って、どのような効果を期待しているのか、あるいはどの程度の医師不足解消につながるのか、また、改めて小児科等の特定診療科の医師確保についても伺うところであります。
 ただ、医師頼みばかりとも言っていられない現実もあるということでありますので、並行しての対策が必要と考えております。こういった小児医療の確保についてはどのように進めていくのかお伺いしたいと思います。
〇達増知事 まず、奨学金制度の見直しについてでありますが、これまで実施してきた奨学金制度の年度ごとの募集枠について、県と市町村が共同で実施する市町村医師養成事業で現行の10名を15名に、また、医療局が実施する医療局医師奨学資金貸付事業で現行の10名を20名にそれぞれ拡大するほか、岩手医科大学が新たに設定した10名分の地域枠に対応した岩手県医師修学資金貸付事業を新たに創設することにより、募集枠の合計を全部で25名から45名に拡大しようとするものであります。
 県では、これらの奨学金制度を活用した医師が、いわゆる義務履行として、県立病院や市町村立病院・診療所などの公的医療機関に勤務することにより、医師の絶対数が増加することを期待しております。
 その後の県内への定着により、医師の地域的な偏在、診療科偏在の解消につながるものと考えており、新たな奨学金制度の活用に積極的に取り組んでまいりたいと思います。
 次に、小児医療の確保についてでありますが、小児科医師数が簡単にはふえない現状にある中で、小児医療を確保していくためには、特にも勤務医の業務過重の要因の一つと指摘されている小児救急医療の取り組みを進めることが重要と考えております。
 このため、県では、県医師会などと連携しながら、開業医等が小児救急医療の一翼を担っていただけるよう研修会を開催しているほか、看護師が夜間、適切な対処方法についてアドバイスする小児救急医療電話相談事業を実施しているところであります。
 また、小児救急医療を確保するため、盛岡地区の4病院が病院群輪番制を実施し、盛岡地区以外からも入院の必要な小児救急患者を受け入れているほか、岩手医科大学と各医療圏の小児救急医療を行う中核的な病院をネットワークで結び、小児科の専門医から指導・助言が受けられる小児救急医療遠隔支援システムを運営しているところであります。
 県では、引き続き小児科医を含む医師の確保に努めながら、これまでの取り組みを通じて小児医療の確保に努めてまいりたいと考えます。
〇千葉伝委員 今、御答弁のとおり、小児科等の特定の診療科あるいは医師確保という部分について、本県はまだまだ頑張らなければならない、こういうことでありますので、ぜひ、より一層の推進をお願いしたいと思うところでございます。
 続いて、産業振興に係る社会資本整備という観点でお伺いしたいと思います。
 今、厳しい財政状況下にあっても、産業経済の発展を支え、県民福祉の向上あるいは安全で安心して暮らせる社会を築くために、真に必要な社会資本の整備は、まだまだ本県では必要であり、また、それを計画的に推進する必要があると思っているところであります。これまで構築した社会資本、これについても、将来的には適正な維持管理が必要だ、こういう状況と思うわけであります。
 そういうことからして、本県産業の大きな柱としてこれまで尽力してきている建設業界が、今、未曾有の厳しい危機的な状況に置かれていることは、私から申すまでもないところであり、一般質問等でも質疑されたところであります。
 その状況については、相次ぐ公共工事の縮減とたび重なる入札契約制度の改定によって価格競争の激化を招き、落札率が赤字を招くほど下落し続けるとともに、企業収益が激減し、平成17年度完成工事高経常利益率は0.36%まで落ち込み、総資本経常利益率はマイナス0.12%まで下降しているという報告があるわけであります。
 賃金においても、屋外労働者である普通作業員の公共工事設計労務者単価、いわゆる賃金日額は、ピーク時の2万1、600円から、平成19年度は1万3、100円、8、500円、39%も減少している。建設産業界を取り巻く環境は大変厳しい状況に置かれている。その結果、ダンピング受注の横行等、さまざまな問題が発生し、結果、倒産、廃業が相次ぎ、思い悩んでみずから命を絶つなど悲惨な結果を招いている、こういう疲労こんぱい、満身創痍の憂慮される状況にあると思うところであります。
 このような状態で、あるいはこれ以上さらに厳しい状態が続くことを考慮した場合に、来年度予算執行に当たり、工事品質への影響、下請企業、末端労務者へのしわ寄せ、さらには、安全管理上、事故の誘発等さまざまな問題が起こる可能性を秘めていると思うわけであります。
 現状をどうとらえ、それに対しこれまでどう対処してきたのか、あるいは今後どう対応していくのかをお伺いいたします。
〇達増知事 建設業の現状についてでありますが、企業収益が大きく低下し、企業倒産も高い水準で推移するなど、委員御指摘のとおり、極めて厳しい状況にあるものと認識しております。背景には、建設投資の縮小などによる受注機会の減や価格競争の激化があるものと考えられます。
 県としては、建設産業の重要性にかんがみ、建設企業がみずから行う経営基盤の強化や技術力の向上、経営多角化など経営革新に向けた取り組みを支援してきたところであります。
 一方で、厳しい受注競争を背景として、工事の品質や安全の確保、下請業者へのしわ寄せが懸念されますことから、総合評価落札方式の拡大、低入札工事を対象とする工事監督体制の強化、元請下請関係の適正化の観点からの立入調査指導などの対策を講じてきたところであります。
 今後とも、建設業が地域経済を支える重要な産業として将来にわたりその役割を果たしていくために、経営革新に向けた企業の取り組みを積極的に支援していくとともに、技術と経営にすぐれた企業が成長できる環境の整備に努めてまいりたいと思います。
〇千葉伝委員 業界の状況は、知事御認識のとおり、大変厳しい、こういうところであります。
 そこで、今度は公共工事に係る入札制度についてお伺いしたいと思います。
 公共工事の品質確保や技術と経営にすぐれた建設企業の持続的発展を図るためにも、現在大きな問題となっているダンピング受注の防止策について、一つとして、企業の積算能力の向上を阻害している予定価格の事前公表の廃止を検討すること、さらに、東北建設業協会連合会が算出した損益分岐点比率86.2%を考慮して、低入札価格調査基準価格を見直し、数値的失格基準価格を予定価格の85%以上とすることにより、低入札による種々の弊害が取り除かれるのではないかと考えるところであります。
 これらについて、県民所得の向上、産業の振興、地域の活性化、雇用対策に積極的な知事のお考えをお伺いしたいと思います。
〇達増知事 予定価格の事前公表についてでありますけれども、これは、予定価格の漏えい等による不正行為の防止のほか、受発注者双方の入札手続の簡素化や入札手続の透明性の向上等の観点から、本県を初め、大半の都道府県で実施しているところであります。
 予定価格の事前公表に伴い、入札参加者の見積もり努力が不十分になる傾向はないかという点についてでありますが、本県においては、すべての入札参加者に対し、入札金額に係る数量、単価及び金額を明らかにした詳細な工事費内訳書の作成を義務づけておりまして、全入札参加者に主要項目を掲載した総括表の提出を求めるとともに、落札候補者に対しては、詳細な工事費内訳書の提出を求め内容を確認することとしておりまして、入札参加者は、必要な積算を行った上で入札に参加しているものと考えております。
 低入札についてでありますが、本県では、低入札調査においては、工事費内訳書の費目の計上金額によって、一定基準に該当すると失格となる数値的判断基準による失格制度や詳細調査による失格の仕組みをとっており、さらに、今年度から新たな自動失格基準も導入してダンピング対策の強化を図っているところであります。
 また、着工後の追跡調査や履行保証割合の引き上げ、前払い金の引き下げなどを行っているほか、失格となった者への注意や警告を行い、低入札による失格の再発を防止するよう努めているところであります。
 これらについては、まずは、現在の制度を適正に運用することに尽力したいと考えておりますが、低入札と工事品質との関係については、並行して、低入札で落札した工事の品質等についてフォローアップ調査を実施していくこととしているところであります。
〇千葉伝委員 いずれ、本県の建設業界が抱える部分、あるいは本県の業者が、やはり地元の工事とかそういったものに積極的に参加できて、生き延びていくような、そのことが県民所得の向上につながる、こういうことだと思っています。
 ちなみに、ダンピング対策見直しの動きで、最低価格の引き上げを予定している都道府県ということで、東北では秋田、宮城、福島、あるいは長野、鳥取、宮崎、長崎、これらの県で最低制限価格の算出方法とか設定上限等を見直して最低制限価格の引き上げを実施、こういう動きがある。あるいは、予定価格の事前公表を事後公表に変更、これは試行を含むということでありますが、これは山形、福島、佐賀、こういったあたりで予定価格の事前公表を事後公表に変更する動きがあるということをお聞きしておりますので、県においては、関係者との協議をするということで、この間、一般質問でも知事にお答えいただいております。ぜひ、そういったことを進めながら、本県の建設業をしっかりとやっていくようなことを御検討願いたいと思います。
 続いて伺います。県境産業廃棄物不法投棄事案についてであります。
 この問題については、私は過去、一般質問では、平成16年、18年、19年、あるいは予算特別委員会でも数度質問してきております。それは、とりもなおさず、本県で発見された膨大な産業廃棄物の処理に当たって、当時たまたま本県選出の鈴木俊一国会議員が環境大臣だったということで、平成24年までの10年間で全量撤去、それから原状回復する、こういうことで予算化されて、現在実施されているということで、やはり年度年度の状況をしっかりと踏まえながら、適切に平成22年度までの全量撤去あるいは24年までの原状回復がしっかりと行われるということで、私は質問させていただいております。
 そこで、昨年の6月定例会でも一般質問でお聞きしました。平成18年度末の進捗率は33%だということで、おおむね順調に進んでいるとそのときは伺っております。しからば平成19年度の状況はどうなっているでしょうか。あるいは、その処理に当たって特に問題は生じていないのか。そしてまた、来年、平成20年度はどのように進めるのか。そして、22年度までの全量撤去、24年度までの原状回復は計画どおり完了するのかをお伺いしたいと思います。
〇宮舘副知事 平成19年度の廃棄物撤去の状況でございますが、2月末現在の撤去量は4万2、300トンになっておりまして、19年度目標であります4万2、000トンを達成しております。3月分を含めますと約4万5、000トンを撤去できるものと見込んでおりまして、進捗率は50.4%になるものと推計しているところでございます。
 次に、処理に当たっての問題点についてでありますが、廃棄物を撤去した後の汚染された土壌処理の具体的な方法が課題となっておりましたが、専門家による技術的検討を重ねまして、現場に最適な浄化方法を決定するに至りました。今月中に入札を執行する予定でございます。
 また、廃棄物処理を委託しております県内のセメント工場では処理が困難な塩分の高い廃棄物の処理の委託先として、新たな受け入れ先を確保いたしましたので、10月から搬送を開始しているところでございます。
 平成20年度の進め方につきましては、廃棄物の撤去については、今年度の実績見込みと同じ4万5、000トンを予定しておりまして、新たに汚染土壌対策工事に着手することとしているところでございます。
 今後の見込みでございますけれども、これらの取り組みによりまして、現段階では、計画どおりのスケジュールで進んでおりますので、平成22年度の全量撤去、そして24年度までに汚染土壌処理を終えて原状回復を完了するというスケジュールは、十分達成できるものと考えております。
〇千葉伝委員 ほぼ予定どおり進んでいるということであります。私ども自由民主クラブ会派で、本年1月18日に、冬の間の処理の状況について視察してまいっております。そういった折にも、今進めている中身、それから今後の状況、そういった部分も、当時の振興局も含めてお伺いしたところでありますので、しっかりとその予定どおり進むようにまた進めていただければありがたいと思うところであります。
 次に、岩手競馬についてお伺いしたいと思いますが、これも佐々木委員のほうからかなり突っ込んだ部分も含めてお話がありました。私のほうからは、前段を飛ばしまして、平成20年度の岩手競馬の運営に当たって、管理者である知事はどのような決意で臨もうとしているのか、まずお伺いしたいと思います。
〇達増知事 平成20年度、来年度は、岩手競馬再生の2年目として、これまで岩手競馬に寄せられた多くの競馬ファンや全国の競馬関係者からの熱い声援にこたえ、また、本年度、競馬関係者の一丸となった努力で達成が確実となった収支均衡を継続し、再生に向けた道筋をさらに確かなものにするためにも、大変重要な年であると考えております。
 このようなことから、平成20年度は、楽しさ・にぎわいの創出と魅力あるレースの提供、そして安定的な事業運営の継続を岩手競馬の運営の基本方針としたところであります。
 私は、この1年間を通じて培われた岩手競馬再生に向けた強い決意があれば、必ずや明るい未来を切り開くことができるものと考えておりまして、私が先頭に立ち、すべての競馬関係者が一丸となって、収支均衡を実現し、ファンの期待と県民の信頼にこたえ、持続可能で安定的な岩手競馬を構築できるよう全力で取り組んでまいりたいと思います。
〇千葉伝委員 私も、知事の今の意気込みをお聞きしてかなり安心した部分もあります。平成20年度は岩手競馬再生の2年目ということで、意味するところは、大変厳しい中でしっかりとしたやり方を進める、こういうことでは、県民というか、ファンも含めかなり注視しているところだと思っています。そういうようなことで、大変重要な年であるということでの運営に当たっては、途中の変更等々、これまでのいろいろなことがあったわけでありますが、しっかりと県民がわかりやすい格好で進めていただければありがたいと思います。
 4月5日から平成20年度の岩手競馬が開幕すると伺っておりますが、準備のほうも含めてしっかりやっているのかな、こういうことでちょっとお伺いしたいと思います。
〇達増知事 平成20年度の開幕に向けましては、まず、3月20日からの特別競馬や3月30日の年度代表馬を表彰する岩手競馬グランプリ表彰式などの機会を生かした開催告知の徹底などによるファンの来場促進、新たな芝短距離特別競走の創設や競走馬生産団体等の協賛によるスタリオンシリーズの継続開催などによる魅力あるレースの提供、番組格付区分の組みかえなどによる出走馬の安定確保、他主催者との委託発売や受託発売の調整などに取り組んでいるところであります。
 また、平成20年度のレースが開始される4月5日には、水沢競馬場で私も岩手競馬の開幕を宣言することとしておりまして、年間を通して多くのファンが来場し競馬に参加いただくための最高のスタートを切ることができるよう、関係者と一丸となって開幕準備に取り組んでまいりたいと思います。
〇千葉伝委員 ぜひしっかりと対応していただきたいと思います。
 続いて、森のトレー事案についてであります。これも佐々木委員と大分重複するということで、先ほどの質疑の中で裁判の今後の見通し等についても副知事のほうから話が出ました。
 私がお聞きしたいという部分は、この問題は、これまでの県議会で幾度となく、いろいろな観点から、あるいは問題点もある、そしてまた県も、先ほどのお話のとおり、責任という部分も行われている、こういう中であります。
 私は、この補助金制度の大きな考え方の中で、時代の流れの中で、例えば景気の拡大とか、いろいろなその時代の活性化のためとか、地方の活性化のため、そういった中で行われたことでありますけれども、やはり国の事業を県、県が今度は市、そしてまた、それを進めた実施主体、そしてまたそれに関連したトリニティ、こういうことでの流れの中で、私が思うは、やはりそれぞれのところに結果的に責任があるだろう、こう思ったこれまでの中身でありますが、そういった中で裁判にかかっているということであります。
 本当は、副知事に、久慈を経験したことからお聞きしたかったんですが、先ほど答弁いただきましたので、それは割愛させていただきますが、いずれ今回の補助金を全額返還する、こういう方針になった。これは、これまで説明したものと大きく転換する中身になったのではないか。そういうことからすれば、私ども県議会と県民からすれば、しっかりとその中身を明確に示す必要があるのではないかという観点で改めてお伺いしたいと思います。
〇達増知事 この森のトレー事案については、平成15年11月の林野庁長官と本県知事との協議を踏まえ、返還命令額の3分の1相当額を先行返還するとともに、残額を含めた返還金については訴訟で回収することとしてきたところでありますが、昨年12月、林野庁から、岩手県が返還金の残額全額について可及的速やかな予算計上により返還することを明確にした場合、延滞金の免除が可能と見込まれる旨の提案がありました。
 この提案は、返還金回収のための裁判が当初の見込みを超えて長期化し、早期全額返還の見込みが立たないことや、昨年10月の国会において、会計検査院指摘案件に係る未返還補助金について、総理大臣が早期に返還されるよう努めていると答弁するなど、政府として未返還補助金の回収を早急に具体化する必要があったことといった状況を踏まえた林野庁の提案でありますが、県としても、こうした一定の情勢の変化があったことを踏まえて、県議会等から指摘されていた延滞金のリスクを解消できることから、訴訟により回収される賠償金が未返還金の額に満たない場合の補助金返還免除の扱いを含めて、昨年12月から林野庁との協議を重ねてきたところであります。
 この結果、補助金返還金本体の免除は、会計検査院から県の指導監督上の問題を指摘されたことに伴う補助金返還命令であったこと等から、その免除は認められませんでしたが、補助金の分割返還、そしてその間の延滞金の免除も措置される見込みとなったこと等から、県民に将来の新たな負担やリスクが生じないための総合的判断として、林野庁と協議の上で、平成20年度から3年分割で未返還金全額を返還することとし、必要な予算措置について県議会に提案したところであります。
 今回の判断は、県民に将来の新たな負担等を生じさせないための合理的なものと考えておりまして、県議会や県民の皆様に御理解いただきたいと考えております。
 なお、最終的には訴訟で返還金を回収するという基本スキームはこれまでと変わりがなく、引き続き久慈市と連携を図りながら、訴訟を支援し、返還金の回収に一層努めてまいりたいと思います。
〇千葉伝委員 これまでの県のほうの答弁、先ほどの質疑でもありました。延滞金というリスク、これは解消されるということで、少しは前進したという見方もできるわけでありますけれども、いずれにしても、県民にその負担をできるだけというか、かけない、こういう方針で来ているわけでありますので、その裁判が何十年続くかわからない、こういうことからすれば、県議会の私どもにとっても、いつそれが県民に示せるのか、こういうこともありますので、これで、はい、そうですかと言うわけにもいかない部分を抱えながら、これから私も注視してまいりたいと思っております。
 最後にお聞きしたいと思います。県政のPRについてであります。
 宮崎県の東国原知事を見習えとは申しませんが、知事は、県民の先頭に立って、県内外のより多くの人たちと懇談、会合を通じて、それがパフォーマンスであっても、本県をPRするという観点からすれば頑張っていただきたいと思っているんですが、それぞれ市町村とか団体、民間人、産業代表者等との懇談を承知しているけれども、何かそこの中身が余り聞こえてこない、こういうふうに感じております。
 もっと岩手のPRあるいは誘致企業への働きかけにも力を注ぐ必要があると思うんですが、県外における本県のPRあるいは県内もあるかもしれません、いわゆる売り込みについて、どのような心構えで臨んでいるのか、知事にお伺いします。
〇達増知事 私は、岩手ソフトパワー戦略の考え方にも基づいて、岩手のイメージアップと岩手ブランドの構築に向け、岩手が持つ各分野の価値を首都圏を中心とした県外に向け発信するため、パブリシティーを最大限に活用した広報展開を積極的に進めているところであります。
 具体的には、歴史や文化、農林水産物、伝統工芸など、県全体の豊かさと信頼を「黄金の國、いわて。」と表現し、これをイメージコピーとして、1月に東京でマスコミ関係者を招いた岩手の夕べを開催し、私みずから岩手の魅力についてアピールしたほか、首都圏の地下鉄への中づり広告の掲載や県外向け広報誌の配布等を行ったところであります。
 この黄金をイメージした広告展開は、日経デザイン3月号の勝負色でライバルに差をつけるという特集の中で、有名企業にまじり、唯一自治体として紹介されたのを初め、雑誌、テレビ、ウエブサイト等、14社の媒体で取り上げられるなどしたところであり、大きな効果をもたらしているものと考えております。
 また、先般、成果があらわれた企業誘致活動を初め、観光、物産などの各分野においても、首都圏を初め、関西、中京あるいはマレーシアなど海外に向けて、これまでも、私も先頭に立って売り込みを行ってきたところであります。
 今後とも、「黄金の國、いわて。」を前面に打ち出した情報発信などを積極的に進め、買うなら岩手のもの、雇うなら岩手の人、行くなら岩手県という評価や信頼の獲得につなげていきたいと考えております。
〇千葉伝委員 知事の考えているPRの手段・手法はさまざまあると思います。その一つとして新聞広告をされております。ここにあります、かなり大きな顔をした面でありますが、ここの部分に、私のほうにも県民から、これ、何のための宣伝か、知事は自分の宣伝してるのではないのかとか、いろいろと話がありました。そして、これは地元紙ですが、何で1社のみに3回も載せているのか、経費は幾らぐらいかかっているのか、あるいはテレビにも出ているようですが、そういったPR費というのはどの程度かかっているのか、こういう質問がありますので、ちょっとお答え願いたいと思います。
〇達増知事 これは、まさに行政の執行として行った広報活動でありまして、個人の活動として行ったものではございません。
 新聞広報については、1月から2月にかけテーマ別に3回実施したものでありますけれども、これは、テレビ放映の翌日に、番組の概要を掲載した新聞広報を行うことによる相乗効果によって、より一層の理解を深めていただくことをねらいとしたところであります。
 また、このテレビ放映とあわせて新聞広報でありますけれども、従来のいわゆるお知らせ広報とは異なる目に見えるコミュニケーション型広報が必要と考えていたところであり、民間の広報専門家からの提案も踏まえて、こうした広報展開を採用したものであります。
 経費についてでありますが、6月補正予算に計上した新計画に係る県政広報事業費に基づく委託契約に含まれるものであり、この委託契約には、ほかにも、リーフレットでありますとか他の媒体によるものもありますので、この新聞、テレビの部分だけの金額を切り離してお示しすることは難しいのでありますが、おおむねの試算では、新聞広報については3回で540万円程度、テレビ広報については3回で510万円程度となっているものと考えております。
〇千葉伝委員 何で1社のみかというのを聞いておりませんけれども、百歩譲って、知事の考え方を、県民に示す、これは必要なこととは思います。ただ、せっかくやるのであれば、県産品を愛用しましょうとか、そういった部分の経費も考えれば、あなたが両手に、これは岩手県産品ですよ、農産物ですよ、安全なものですよ、そういったPRをどんどんやるべきではないかと思っております。
 いずれにしても、あの中身は、総合計画の後期計画実施計画という位置づけが書いていないですよ。県議会に、あれは必要ではない、こういう話をしていて、県民には、新しい計画みたいなことで宣伝しているのではないかと見られかねない中身になっているので、そこは、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
〇達増知事 広報につきましては、複数の広告代理店のコンペによる中で選ばれた者に委託契約をいたしまして、また、それも丸投げに終わるのではなくて、県の広報担当部局中心に、執行部といろいろ協議を重ねながら、まさに行政の執行として組織的な決定過程を経て打った広告でございました。
 また、いわて希望創造プランについては、詳細な全文についてはホームページで検索することもでき、また、いろいろな紙の形で配布もしているんですけれども、そういったところに対する、まず関心を持ってもらい、興味があれば、さらにいろいろ調べてもらう、そういう入り口のドアを大きくあけるために、一般県民に対してわかりやすくということを特に念頭に置いて作成した広報でございました。
〇千葉伝委員 ありがとうございました。(拍手)
〇千葉康一郎委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
   午後2時50分 休 憩
午後3時8分 再 開
〇千葉康一郎委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。飯澤匡委員。
   〔飯澤匡委員質問者席に着く〕
〇飯澤匡委員 質問に入ります前に、不幸にして事故でお亡くなりになった2人の県職員に対し、心から御冥福をお祈りしたいと思います。
 それでは質問させていただきます。
 政和・社民クラブの飯澤匡でございます。会派を代表して、平成20年度の予算に関して総括質疑をさせていただきます。
 達増知事とは、今日まで直に話をする機会は全くありませんでしたので、実質、やりとりをするのは今回が初めてであります。したがって、今回の総括質疑は、知事御本人に対して、政策に関する知事の認識を問うというもの、そして、マニフェストと今回のいわて希望創造プランを照らし合わせたものが多く含まれていることに、御容赦を願いたいと思います。
 いわて希望創造プランを政策に落とし込んだ初年度に当たり、今回の質疑で議論を深め、今後の県政運営でしっかりと互いに共通認識が図れることを目的とする質疑応答の機会としたいと思いますので、よろしくお願いします。
 知事は、某民放放送局で兄貴と呼ばれているのを聞いております。自分は若干年上なので、兄貴とは呼べませんけれども、博学な知識からいろいろと教えていただきたいと思います。
 私がこれまで知事を大きく評価している点が二つ、一つは、岩手県競馬組合の取り組み姿勢、岩手の競馬を守ることは岩手の文化を守ること、すばらしい発言で感動した次第であります。もう一つは、地域コミュニティの強化を打ち出したこと。これは、市町村合併が進み、おのおのの自治体が地域内分権の仕方を模索中である中、自治会等を有効活用する道が最短と気づき始めました。県が地域コミュニティまで入り込んで助力すれば、かなりの厚みが出る可能性があります。今後の政策の効果に大いに期待をしたいと思います。
 さて、今年度の予算編成については、知事初め職員の皆様には大変な御苦労をされたと思います。図らずも、綱渡りの上で鬼剣舞を舞うという知事答弁がありましたが、まさに国の地財計画では新型交付税などの導入があり、今後の歳入の予測には不確定要素が多過ぎて予断を許さないものです。また、実質的な地方分権の動きも遅々として進まない状況、さらに、人類がかつてない、直面したことのない人口減社会の到来、世界経済の急速な変化にも、我が国が翻弄されているのが状況ではないかと思います。
 これは、予算に関する質問ではありませんけれども、知事の認識を問うために、1問、質問させていただきたいと思います。
 先ほど申し上げましたように、21世紀に入って世界経済の潮流は大きく変わりつつあります。20世紀は、米国が大国を目指し、全世界から安価な労働力をかき集め、軍需産業、資金開発で世界を制しました。経済の世界のリーダー国となり、パックスアメリカーナとも呼ばれております。しかし、近年、中国や豊富な資源を抱える中東国の台頭や、世界が金余りの現象になるなど、世界経済が大きく変容をしております。
 知事は、今までの経験の中から、21世紀の世界の牽引役はどこの国になると考えておりますか、お伺いをいたします。
〇達増知事 冒頭、県職員に対するお悔やみの言葉、ありがとうございました。
 さて、21世紀における世界の牽引役についてでありますけれども、これは、行政機関としての知事の答弁というより、政治家としての知事個人の意見という側面が強くなるかと思いますけれども、あえて答弁をいたしますと、私は、21世紀における世界において牽引役となる国は、日本ではないかと考えております。なぜならば、日本国民は、平和と環境という21世紀の世界にとって最も大切な理念を大事にしており、そして、国民にとって真に大切なことを優先していく社会を築いていく。例えば食の安全・安心など、そうしたことを最優先していく社会を築いていく国民であると考えておりまして、そのような日本こそ、必ずや21世紀を牽引していくものと考えております。そして、その日本のよさというものを最も体現できるのが、まさしくこの岩手であると考えております。
〇飯澤匡委員 予想外の御回答で、次の質問が続かなくなりましたが、あえて聞きます。
 新興国のお金の流れというのはドルからユーロに変わって、大変─全く関係のない観点になりましたけれども─これは、米国商法から今度はオイルマネーへと、アラブ商法へと飛び立つと聞いております。
 これもちょっと蛇足の質問かもしれませんが、これら経済の環境はエネルギー問題、金融問題、我が国にとっては不確定要素が大きくなり、なかんずく、地方自治体の財政にとっても大きな影響となると考えています。
 そこで、岩手競馬について。これは大変飛躍した質問です。
 オイルマネーが大変今世界の注目を浴びているわけですが、ドバイにシェイク・モハメド殿下という、大変競馬好きの方がいらっしゃいまして、これはゴドルフィンというレースチームを組んで世界でやっているわけです。日本にもダーレー・ジャパンファームというのを北海道につくって、このたび馬主登録をしたんですが、これ取りやめましてまた新たな展開をしているんですが、これはオイルマネーだと150億円ぐらい大したことないんですよね。150億円というのは、盛岡競馬場の大体負債価値、今の価値なんですが、知事があらゆる外交ルートを通じてこれらを一発回答して買っていただくという、そういう新しいことも考えてはいかがかと思うんですが、無理な質問ですが、どうぞ。
〇達増知事 今の世界はお金はあるところにはある、むしろダブついて余っているがゆえに、それが投機的に原油に流れて原油高になったり、さまざまなゆがみももたらしているわけでありますので、そうしたあるところにはあるお金を、いろんな民間的な手法も用いて岩手競馬に引っ張り込もうという発想から、民間委託の拡大という門戸を開いたところであります。
 そのドバイのお金持ちの件につきましても、これはきちっとしたルールに基づきながら、岩手競馬の役に立つようなことがあれば、決して門戸は閉ざすことはないと思いますので、どんどんチャンスが広がればいいと考えております。
〇飯澤匡委員 それでは、今までのさまざまな経験を生かして、これがトップリーダーのできる唯一のことだと思うんですよね。よろしくお願いします。
 本年1月18日に閣議決定された日本の経済の進路と戦略に関して、知事の所感を聞きたいと思います。特に、地方の自立と再生に向けてについて、本県の抱える諸問題に照らして知事はどのように考察するか、お伺いします。
 あわせて、地域力再生機構の創設に関して知事の御感想。これは通告していませんでしたけれども、感想をよろしくお願いします。
〇達増知事 日本経済の進路と戦略については、現状認識や目指す経済社会の姿などの記述に、希望と安心、あるいは自立と共生といった、これまで岩手県政においても使われてきたフレーズが使われるなど、生活者や国民といった視点での記述を盛り込んだことは評価してもいいと考えておりますが、経済財政政策の基本的考え方のところで、外生的ショックでの経済危機に直面した場合には、大胆かつ柔軟な政策対応を行うとしていながらも、現在の経済情勢に対応した財政政策や金融政策など具体的な道筋は示されておらず、また、地方の自立と再生に向けての記述についても、一方では、地方再生の支援の柱を、生活者の暮らしの確保、地域の産業振興、地域内外との交流という、岩手の問題とも一致する点を指摘しているところについては評価できますけれども、個別の施策を見ると、省庁横断の一体的施策の展開といった程度の記述にとどまっており、具体性が乏しいかなと感じております。
 地域力再生機構につきましては、やはりどういう具体的な成果を上げていくかということだと思いまして、0点か100点かと言われればまだ0点、これからなんだと思います。
〇飯澤匡委員 それでは、ただいま国会でも議論になっている道路特定財源の問題について、これは知事の考える道路財源確保のための税のあり方について知事はどのようにお考えでしょうか、お考えを聞きたいと思います。
〇達増知事 岩手の道路は、東北横断自動車道釜石秋田線や三陸縦貫自動車道などの高規格幹線道路網の整備を初め、身近な道路整備などがおくれているため、県民から道路整備を望む多くの要望が寄せられているところであります。この道路整備については、これまで道路特定財源のほかに、相当の一般財源も充てて整備してきたところでありますが、県民からの要望の実現には、今後も相当の費用を要する状況にあると考えます。
 県としては、地方の道路整備を計画的かつ着実に進めるためには、地方が必要とする道路財源が引き続き安定的に確保されることが重要と考えておりますが、その財源のあり方としては、これはいろいろ考えられるところだと思います。
〇飯澤匡委員 今までの答弁、かなり慎重な発言だと思います。
 私の考えをちょっと披瀝させていただきますが、かつて暫定税率がこれほど議論の対象となったことはありませんでした。そういう意味で、私は大歓迎をしたいと思います。しかしながら、この石油関連税というのは問題が複雑多岐にわたっている。というのは、例えば軽油引取税の上にさらに消費税がかかっているというような、これは消費者に対しても大変問題な事案だと思います。逆に、道路をよく使う運輸業から道路財源確保または諸税に関して考察しますと、道路行政というのは新たに環境問題、そしてまた交通安全対策、これだけ税金を納めている運輸業というのはほかにないんですね、道路行政に関して。私は、常に、これだけ納めているんだから、交通安全対策のために専用レーンというのもつくってしかるべきだという考えがございます。しかし、運輸業界は社会的責任を求められていますが、先ほど申し上げましたように、生活道路と混在した中に、交通安全の目標を達成するのは大変困難な現状であります。したがって、私は、単に無駄な道路を排除するという単純な論理は無理があると考えます。今後も、地方経済の発展には道路特定財源の本税分も担保することは、新たな課題を解決する意味で大いに有効と私は考察します。
 大事なことは、こういう大事な問題を時間をかけて議論すること、地方経済に活性化を促す道路整備計画と、また、納税者が理解できる税体系の構築をされることを私は期待をするものでございますが、これについて知事の所感があればお伝え願いたいと思います。
〇達増知事 委員御指摘のとおり、今回の暫定税率をめぐる議論の中から、今の制度の問題点についても多く指摘されるところがありますし、その中で、さまざまな改革の方向というものがあり得るんだと思いますので、そういう中で、特に消費者の視点、また、地方の視点、そうしたところを特に反映しながら議論が進んでいくことを期待したいと思います。
〇飯澤匡委員 次に、県財政に関してお伺いします。
 一般質問等でもプライマリーバランスについて議論があったところでございますが、私は、知事の基本的な今回の予算編成において、地方経済の活性化を促すには投資的経費の効果を最大限生かしたいと、これがベースになっているんではないかと思います。それによって、本県全体のキャッシュフローをふやすことにより経済の活性化を促すこと、これがいわゆる所得をふやす、内需拡大という意味だろうと思います。
 先ほど千葉伝委員の質問にもありましたように、先ほどの答弁の中でもありましたが、単年度のプライマリーバランスは、今回、結果として達成することができなかったと。経営者であれば、向こう3年間の設備投資の投資幅というのを考えるのは当然のことです。
 質問の第1は、向こう3年間の投資的経費というのは、知事の現在のざっくりとした腹づもりでは、維持するというふうに考えてよろしいか。そして、これは仮にという前提ですが、さまざまな要因により中期財政見通しに狂いが生じ、3年目で投資的経費が極端に圧縮された場合、これは投資的効果の意味は私は失われるだろうと思いますが、いかがでしょうか。
 また、3年間でプライマリーバランスが結果として保てなかった場合の知事の責任はどのように考えていますか、お知らせ願いたいと思います。
〇達増知事 さきに作成した中期財政見通しでは、投資的経費の大宗を占める公共の事業費については、20年度当初予算と同規模を見込んだ収支見通しを今後3年間続けるとなっているところであります。公共事業以外の投資的経費は、個別の事業計画の見通しをベースに試算しておりますので、投資的経費全体では若干の減がございますけれども、21年度以降も一定の水準で推移することを想定しており、投資的経費の割合についても、20年度と同様な水準を維持することを見込んでいると言っていいと思います。
 プライマリーバランスが今後の3年間の合計で均衡できなかった場合についてでありますが、プライマリーバランスは、中長期的視点での適切な管理が重要と考えておりまして、それで、今回の中期見通しでは3年間の合計額でのプライマリーバランスの均衡を保つ方針としているところでありますが、一方、プライマリーバランスというものは、投資的経費の必要な事業規模を考慮せずに、社会資本の整備や更新を犠牲にしさえすれば、どの年度においても必ず黒字化することは可能でありまして、そういう意味では、予算の内容にかかわらず、プライマリーバランスの均衡だけを目指せばいいというものではないと考えております。
 3年間のプライマリーバランスの均衡が保てないというケースは想定しておりませんけれども、その期間を通じた私の財政運営の適否については、プライマリーバランスの均衡の問題も含め、その間に行った事業の内容や成果などとあわせて、県民の皆さんが判断されるものと考えます。
〇飯澤匡委員 知事の言うことは大変ごもっともだと思います。ただ、マニフェストで、これは守っていくということをさらりと書いてあったわけですが、今回そのような状況で、3年というスパンを設けてやったわけですよね。確かに事業の評価というのは県民がされるものですけれども、そこの責任というのも常に持っていかなければならないと思うんです。この点は今後しっかりと注視をしてまいりたいと思います。
 さて、次に知事がマニフェストで掲げた2大戦略と、そしてまた、今回予算に落とし込んだいわて希望創造プランに関して伺います。
 私は、かねてから気になっている言葉があります。知事は、マニフェストで、危機を希望に変える、岩手が直面する危機、危機を乗り越えるなど、岩手の直面する課題を危機という言葉を多用しております。来年度予算においても、県民所得の向上、雇用環境の改善、人口流出の歯どめ、地域医療の確保を重点目標としてそれぞれ岩手の直面する危機としており、最近はこの四つに加え、財政問題も危機の仲間入りをして、5大危機と言われているようであります。この危機という言葉はどういう意味で使っているのでしょうか。言葉というものはいろんな深さ、幅があります。例えば深刻な事態とどこが違うんでしょうか、お知らせ願います
〇達増知事 この危機という言葉の使い方でありますけれども、ほうっておけない、また、そのままにしておけない差し迫った状態という意味で使っておりまして、例えば家に火がついたような状態は、ほうっておくとそのまま家が火事になってしまう。一方、深刻な事態という言葉については、我慢しようとすれば我慢できるような場合にも、深刻な事態ということは用いられることが多いかと思いますけれども、私が危機という場合には、それは我慢の対象にすべきではないという意味合いが含まれておりまして、すぐに対応し変えていかなければならないということで、危機という言葉を使っております。一方、それは変えなきゃならないということでありますので、ある意味チャンスでもあると思っておりまして、今までやってこなかったことをみんなでやろうという、その気になるチャンスでもありますので、それをやることで危機を乗り越え、そして希望につなげていけるということで、危機を希望にというセットで掲げているところであります。
〇飯澤匡委員 説明がないとちょっとわからないですね。皆さんも、そうだという人が多いと思います。
 これは4大危機については岩手だけの問題ではありません。構造的に発生している問題もあります。人口の流出というのは、これは大分前からもありました。また、社会が成熟化して発生した問題もあります。おのおのの問題は、すべからく深刻な事態の深刻の深度が異なります。これは、耐え得る問題とか耐えられない問題では私はないと。私は、印象として、危機という単語は、一般的にこれらの問題を無理に問題の原点をがけっ縁まで一律に並べ立てて、少しでも改善したら、これだけはよくなりましたという政治的な意図を感じます。危機という言葉で不安をあおっている印象もあります。果たして本当に適切な言葉なのか、私は違和感をぬぐえない。
 ところで、お伺いしますが、危機という表現は、県庁内ではどのように共通認識がされているのか、総合政策室長に伺います。
〇勝部総合政策室長 危機と深刻な事態という言葉が今出てまいりまして、深刻な事態というのは、切実で重大なことがわが身に差し迫っている状態と理解しております。これに対して、危機というのは、まさに危険な状態、瀬戸際の状態を言うものだと思っておりまして、今、何か手を打たないと大変なことになると感じる状態を言うものだと理解しております。そこで、何とかしなければならない、何とかしようという意識が高まってくるものと思っておりまして、その危機というのは、まさに新しいプランの中で、先ほど重点的な課題として挙げました、ああいうものはまさに今岩手が危機に直面していると理解しているところでございます。
 知事が本会議の答弁で、なんじょにがすんべと言ったのも、まさにそういう意味が込められているものだと理解しております。
〇飯澤匡委員 もう一回総合政策室長に聞きますけれども、では、振興局とか他の県の出先機関、県庁内、それらも同じ認識の中で動いているということでよろしいですか。
〇勝部総合政策室長 岩手県庁全体、それから振興局も含めての共通認識ということでございますけれども、これまで知事は各振興局のほうにも赴きまして、職員との意見交換等の場も持っておりますし、それから、県民と接する最前線のところで働いている農業改良普及員の方々とか、あるいは徴税の担当者の方々とか、用地買収の方々とか、最先端の職員とも意見交換の場を持っておりまして、知事のこういう考え方というのは浸透していると理解しております。これは、今までやってきたことをこれからますます継続してやっていくことによって、さらに共通認識の幅を広げていければと思っております。
〇飯澤匡委員 ちょっとかみ合わないんですけれども、私は、危機という言葉で一面的にとらえられはしないかと。やはり問題の深度だと思うんですね。重大な課題を一つ一つ解決の道を探っていく。これは県民にもわかってもらわなければ、その深さですね、そういうことを真摯に県民に向き合う姿勢を見せる、これが行政の私は役目だと思います。
 野球のピンチでも、イニング、7回ワンアウトでもピンチかもしれない。そして9回ツーアウト満塁、これは大変なピンチです。これは同じピンチじゃないわけですよね。したがって、この四つの問題は、一面的に危機というとらえ方ではなくて、これはもちろん皆さん方よくその深度については御理解をしていただけると思うんですが、この危機の言葉で、一面だけでとらえられるその危険性を私は感じているわけです。これからの行政運営に当たって、恐らくこういう危機、そして対局として希望という言葉が出てくると思うんですが、そこを懸念しているわけです。私のそういう考えでありますけれども、知事、もう一回、同じ答弁でもいいですが、お考えを示していただきたいと思います。
〇達増知事 岩手の県民所得が7.数%も落ち込んだというのは戦後初めての経験でありますし、それがその後、六、七年続いているというのも戦後初めての経験で、これをそのままにはしておけないという民意はかなり広く岩手に広がっていると思っております。こういう景気の低迷の中で、まじめに一生懸命やっている会社が破綻をしてしまったり、本当に昔からある岩手の老舗が破綻をしてしまったり、その関係で会社の社長さんが町内会の役をおりる、跡取りの息子が地域の活動に参加しなくなる、経済のトラブルは地域社会、コミュニティにも及んでいて、そして人口の流出についても、所得が落ち込む直前には年間の人口流出が1、000人、2、000人とかという単位だったのが、今6、000人とか6、800人になっている。これをこのままほうっておいてもっとふえていくということは、もう、これは岩手が岩手じゃなくなってしまうんじゃないかというくらいの危機感というものはかなり共有されているんではないかと思います。一方、医療についても、医師不足問題を放置しておいたのでは、やはりもう大変なことになってしまうという危機感は共有されていると思います。
 そういう今のままほうっておけない、みんなで力を合わせて何かしなければならないという意識については、まず県民の中で広く共有されており、そして、そこに向かって行政としてきちっとやっていこうということは、県職員の間でも共有されていると考えております。
〇飯澤匡委員 後日またやりましょう、これね。
 次に、新地域主義について伺います。
 知事は、マニフェストで岩手四分の計を打ち出して、4大広域振興圏を将来の自治体と打ち出しております。知事のマニフェストと、それから今度の地域計画を対比しますと、知事のマニフェストには、産業振興という言葉が一つも出ていないわけです。いわゆる自治体でのさまざまな協力の仕方であるとか、そういうことに言及をされている。そういう印象がありましたので、この総合計画の議決対象となるかどうかというような議論がされた理由は、私はそこにありました。
 そもそも、この四つの広域振興圏設定の主たる目的というのは、産業振興でありました。産業振興であったから、私もすとーんと理解できた。
 将来の自治体までと発展させた考え方、これは私が6月の代表質問でも申し上げましたが、これは自治体の再編までも促す印象があります。ところが、今回の地域計画の中にも、将来の自治体という言葉は使われておりません。知事の考えている広域圏の姿というのは、一体これはマニフェストと今回のいわて希望創造プランの中を見ますと、ちょっとよくわかりませんのでお知らせを願いたい。
 あわせて、知事がよく使うフロンティアと、この意味するものは何なのであるのか、お知らせを願いたいと思います。
〇達増知事 今、県の行政として取り組んでいる広域振興圏についてでありますけれども、これは、いわて希望創造プランの中でも位置づけられておりますけれども、一つには、県の地域振興や産業振興の施策のための一つの枠組みであり、もう一つは、広域振興局という観点から見ると、それは県の行財政改革の一つの形としての県の機構のあり方としてのものでありまして、それぞれ基本的には、あくまで県行政を進めるに当たっての枠組みであり、また機構であります。その背景に、私個人としての日本を300に分ける、あるいは岩手であれば四つに分けるくらいのそういう大規模な基礎自治体がつくられると、これは非常に強力ではないかという考え方が背景にはございますけれども、今、県が進めているのは、そういう基礎自治体としての広域を一足飛びに目指そうというものではございません。
 次に、フロンティアについてですけれども、開拓地とか最先端とか新分野とかいう意味があるんですけれども、このもともとの意味どおり、開拓地という意味でフロンティアという言葉は使っておりまして、すぐれた地域資源を有し、大いなる希望の可能性を秘めた地ということで、特に国、都道府県、市町村というピラミッド状の構造の中で、産業分野別、縦割りで旧来型の行政が行われてきたことに対して、広域の広がりの中で今までやってこなかったようなことをやる、今まで挑戦しなかったようなことに挑戦するという、そういう新しい資源の掘り起こし、開拓の余地がたくさんある場所という意味で、フロンティアという言葉を使っております。
〇飯澤匡委員 ただいまの説明ですと、知事が掲げた将来の自治体というのとちょっと意味が、今回の地域計画プランは違うわけですよね。ということは、知事、将来の自治体というのは当面、マニフェストで書いたのは封印するんでしょうか。そういうことになりますか。
〇達増知事 市町村のあり方については、市町村、住民が決めるのが基本だと考えておりまして、県として必ずこういう形に合併せよという強制はしないつもりであります。
〇飯澤匡委員 そうすると、マニフェスト、違うということでいいんですね。確認します。
〇達増知事 私のマニフェストと、基本的な方向は一致していると思います。
〇飯澤匡委員 将来の自治体というのは、そこに自治があって、県の出先機関の広域で仕掛ける部分とは全然違うわけでしょう。将来の自治体と岩手が県の機構の中でそこに当てはめてやるというの、全然違うじゃないですか。もう一回、答弁お願いします。
〇達増知事 地方自治は、住民自治と団体自治が相まって進んでいかなければなりませんので、一つの市町村の枠、団体を決めさえすればいいということではなく、それを住民がきちんと使いこなしていけるというセットでなければなりません。そういう意味で、今の段階で岩手を四つの基礎自治体に分けるということは、少なくとも、この4年間の間には着手することが適当とは考えておりません。
〇飯澤匡委員 これは大きなポイントですよ。私は産業振興だから、例の4大広域振興圏についても納得したわけです、これは増田知事のときでしたけれども。これはそのまま継続して達増県政でもやるということなんですが、どうも、知事がマニフェストで掲げている部分と今回の部分は、かなりの隔たりがあると思います。
 企画理事に問いますが、ここまで県南広域振興局で先行的にやってきたわけですが、知事は、平成22年の4月に残りの広域振興局の開設を目指してやると言っていますけれども、企画理事の経験から、そういう行政の部分にまで広域的な部分もあわせて今度の地域計画の中でそういうのは可能だと考えていますか、どうですか。
〇酒井企画理事 県南広域振興局を平成18年4月から預からせていただきました。県南広域振興局は、いわゆる通常の地方振興局もこれは共通でございますけれども、現場への密着性といいますか、そういった一つ大きな組織特性を持っております。あとは、広域振興局ならではの組織特性ということで、業務の所管エリアが広いと、広域だというところがございまして、ここはまさに知事の掲げた、先ほどもお話ありました、新地域主義というものを実践する上で、この広域振興局の枠組みというのはいい枠組みじゃないかと思っております。
 それから、もう一つ大きな組織特性というのが、職員、マンパワーが集約をしたというところでございまして、こういった組織特性を十分に生かした広域振興局の運営をすることによりまして、先ほど知事のお話にありました、広域振興圏は産業振興の枠組みとして適当なサイズということが一つありました。それから、県行政を進める上での新たな枠組みであるということでございまして、私としては、県南広域振興局長の2年弱の経験の中で、こういった広域振興圏、そしてそれぞれに一広域振興局をつくっていくという方向については、望ましい方向にあるのではないかと考えております。
〇飯澤匡委員 企画理事に問うほうが間違っていますけれどもね。
 ただ、やはり産業振興なんですよ、これは。私は将来の自治体というのは─だからこの計画を見ると、非常に大変によくできているんだけれども、自立という言葉を使っているけれども、将来の自治体というのは使っていないんですよ。知事の考えを幾らかでも反映しようという、これは総合政策室の職員の涙ぐましい努力が出ているわけです。ただ、これは大事な視点ですので今後とも注視していきますが、これは県北・沿岸またそれぞれ地域事情が違うわけで、これからは慎重にさまざまな点、首長さん、さまざまな団体の意見を聞きながらやっていただきたいと思います。
 次に、地域コミュニティ強化についてお伺いします。
 私が住む中山間地は、高齢者が地域を守っているのが現状であり、若手リーダーの確保、地域リーダーの育成は大事な視点であります。地域コミュニティを強化する対象の人的資本は、実際のところ、経済活動に優先をされて、現実的にはコミュニティを維持する余力がないのが現状でありますが、この問題の認識と解決策を示していただきたいと思います。
〇達増知事 今年度実施しました集落状況調査によりますと、集落が直面している課題として、住民の高齢化、集落活動の若手後継者不足、集落活動への参加率の低下が回答の上位を占めております。委員御指摘の点を含め、少子・高齢化や過疎化の進行、産業構造の変化、価値観の多様化等の要因により、地域コミュニティの維持が困難になっているところがあると認識しております。
 地域コミュニティの維持・再生には、住民が安心して暮らせる経済基盤が必要でありますことから、いわて希望創造プランに基づき、地域の資源を生かした産業の振興や、企業誘致等による雇用機会の確保に取り組んでまいります。加えて、それぞれの地域にある固有の文化や自然を生かした域外との交流を図ることによって交流人口を増加させ、地域の活性化につなげてまいる所存であります。
 また、草の根コミュニティ大学開催による地域リーダーの養成や、地域活性化のためのノウハウを有するNPOや大学、団塊の世代等の人材を、今後設置する地域支援希望ファンド人材版へ登録し、地域コミュニティとマッチングさせるなど、協働による活性化を図ってまいります。
 なお、本県には、昔からの結いの精神を大切に守り、それぞれの特性を生かした活動を現在も行っている地域もありますので、こうした事例を私もみずから勉強し、コミュニティの維持・再生のモデルとして、県内外に紹介しているところであります。
 今後とも、地域コミュニティの維持・再生に向け、市町村と連携しながら支援してまいります。
〇飯澤匡委員 どこの学者がつけたか、限界集落という言葉がありますが、これは岩手では使わないほうがよろしいと思うんですが、知事、いかがですか。
〇達増知事 限界集落という言葉があるとか、他の文章を引用する形では使うことがあるかもしれませんけれども、県としては、本当に三千数百のコミュニティ一つ一つに目を向けていかなければならないと思っておりますので、限界集落というくくり方は、県としては適当でないと考えております。
〇飯澤匡委員 知事はマニフェストで、県際に位置する地域には広域間交流地点として特段の措置を講ずるとしております。宮城県との連携の新機軸は何でしょうか。そして、今まで北東北3県で人事交流も含めた連携は今後どのようにいたしますか、お伺いします。
〇達増知事 宮城県との連携につきましては、これまで自動車関連産業の集積に向けた共同での取り組みや、中国大連事務所の開設、また、宮城県沖地震に備えた津波防災対策のほか、県際地域におけるさまざまな分野での連携を進めてきたところであります。
 私は、歴史的にも経済的にもつながりの強い両県の連携は重要と考えておりまして、これまでの取り組みに加え、平泉の世界遺産登録を契機とした観光分野での連携や、両県の産業基盤を活用した連携など、効果的な連携方策について幅広く検討してまいりたいと考えております。また、こうした連携を強化する第一歩として、来年度から、政策部門での職員の人事交流を始めることとしております。こうした取り組みを通じて、宮城県との連携について発展を図りたいと考えております。
 北東北との連携については、青森県、秋田県との連携については、北東北3県の合同アンテナショップの設置や産業廃棄物税に関する条例の制定など、平成9年度から毎年開催している知事サミットの合意事項を中心に、全国に先駆けたさまざまな連携事業を実施してきたところであります。行政のみならず、民間を含めて、連携を着実に積み重ねてきた北東北としてのまとまりは貴重な財産であり、今後もさまざまな分野における広域連携を、一層進めていくことが必要と考えております。
〇飯澤匡委員 そろそろ新たな方向性をやったほうがいいと思います。せっかくいい材料が宮城県との県境の中でできましたので、ぜひそちらのほうにかなりの注力をしていただきたい、これは要望です。
 宮城県のお話が出ましたので、岩手ソフトパワー戦略に関連してお尋ねいたします。
 平泉世界遺産登録に向けての取り組み、これを全県挙げての取り組みと位置づけたことに私は高い評価をいたします。
 昨年、知事が仙台市で開催された岩手県南・宮城県北議員連盟の席上で、平泉世界遺産登録に関して、宮城県のしたたかな姿勢には、恐らく気づいたはずだと思います。
 質問の第1は、宮城県との観光戦略の競合はどのように整理をしますでしょうか。宮城県はもう既に、松島を軸とした観光ルート、平泉を取り込んでという考えもしているようです。したがって、これらの競合の整理と本県の経済効果をどのように引き出すのか、そのお考えをお聞きしたいと思います。
〇達増知事 昨年東北観光推進機構が設立されましたが、そこでも平泉の文化遺産を核として、岩手、宮城両県をまたがる広域観光ルートが設定されているところであります。平泉の文化遺産を有する一関市や平泉町などの県境地域は、岩手、宮城両県の観光地との連携を進めており、こうした取り組みは、県境地域の観光地としての魅力の向上、さらには、本県の観光ブランド全体の底上げにもつながるものと考えております。
 本県としては、世界遺産エリアを訪れた観光客の皆さんが、県内各地の観光地にしっかりと足を運び、豊かな自然や食、体験などを楽しむことができるよう、情報発信の強化や受け入れ態勢の整備に取り組み、経済的な波及効果を高めてまいりたいと思います。
〇飯澤匡委員 伊達衆というのは甘くないんですよね。人のふんどしで相撲を取るんですよ。実に─気をつけてやっていただきたいと思います。
 知事は、黄金を岩手のイメージとして展開されていますが、黄金の心とは一体何でしょうか、お知らせ願います。
〇達増知事 平泉文化は、命あるものすべてを大切に思う平和の思想や、人と自然との共生という環境の理念に加え、ほぼ100年もの間、中央から自立し、地方主権を確立するなど、これからの地域づくりの基本となる自立そして共生の理念を実現した、世界に誇るべき貴重な文化だと考えております。
 この自立と共生でございますが、これは平泉のはるか以前、縄文時代から、岩手の地に脈々と生きていたもので、それが平泉文化にもつながり、こうしたことを県民が共通認識として持ち続け、我々の心の中でいつまでも光り輝くものとしていくことが大事だと考えております。そのような意味で、自立と共生の理念を黄金の心と呼んでおりまして、平泉の世界遺産登録を契機に、岩手県民も平泉の文化遺産とともに、自立と共生という平泉の黄金の心を継承し、守り続けていければいいなと考えております。
〇飯澤匡委員 意地悪するわけじゃないんですが、金というのは伊達政宗が戦略的に使った道具です。都の貴族であるとか、奥州産の最高の貢ぎ物とされてきた。一方、金は奢侈なイメージが強く、岩手の心を─ただ単に黄金という言葉だけからすると、これはなかなか、ただいま知事からも説明いただいたように端的にはわかりにくい。したがって、黄金という岩手のイメージというのをもっと具現化をしていく、極めて崇高な理念に沿った黄金の心というのは、私は30%ぐらいしかわからないんだけれども、きちっとイメージとしてとらえるような戦略をとっていただきたいと思います。
 知事は、買うなら岩手のものという宣伝をすると言っていますが、現在まで岩手ナチュラル百貨店というのを使っていますけれども、新しい岩手県産品のフレーズは、知事自身は何か想定をしておりますか。
〇達増知事 「こちら、岩手ナチュラル百貨店。」というフレーズは、県内外のお客様にかなり認知され、広がっているのではないかと考えておりまして、この岩手の自然やその素材を生かした食文化、また、人情味あふれるところなどを巧みに表現しており、私が言う岩手ソフトパワー戦略を展開する上でも効果的だと考えておりますので、今後もこの「こちら、岩手ナチュラル百貨店。」を特産品の販売や観光PRにおいて使用してまいりたいと考えます。
〇飯澤匡委員 この項目の最後ですが、北海道の決断で、シンガポール事務所は来年度から閉鎖となると聞いております。知事は、マレーシア・クアラルンプールに行って、直に岩手の一次産品をアピールしてきたわけでありますが、それでは、今後の東南アジアにおけるマーケット開拓の拠点地はどこにするんでしょうか。また、あわせて、他県との合同事務所、大連であるとかソウルであるとか、どのような戦略を、これは概略でいいですので教えていただきたいと思います。
〇達増知事 シンガポール事務所の今までの成果もございまして、まず、マレーシアのフェアを契機に、アセアン地域への県産品販売ということで、マレーシアに対して継続輸出される見通しとなっておりまして、また、岩手・東北に向けてのアセアン地域からの観光商品の造成も始まるなど、シンガポールを拠点にアセアン地域でいろいろ動きが出てきておりますことから、平成20年度においては、秋田県と共同でシンガポールにコーディネーターを委託して、アセアン地域の市場情報を収集するとともに、既に形成された現地バイヤーとのネットワークを活用し、県産品の販売に努めることとしております。これまで、海外事務所を設置している地域を中心に商談会などを開催しており、その結果、水産品を中心に、東アジア地域への県産品の輸出は増加しております。
 今後も、既に輸出を開始している民間の販路拡大を支援するとともに、東アジアの現地日系デパートやスーパーへの販売を重点的に推進してまいります。
 なお、今後の海外事務所の設置については、単県での設置は困難と考えておりまして、中国大連経済事務所やソウルの北海道、北東北三県共同事務所と同様、他県との連携により、重点市場への設置を検討してまいりたいと思います。
〇飯澤匡委員 時間が経過していますので、コメントしたいことがあるんですけれども、また別の機会にします。
 政策の6本の柱について代表的な事例から抜き出して質問します。まとめて質問します。
 まず、自動車関連産業の育成について。
 知事自身のトヨタ自動車の生産戦略の将来の可能性について認識をお伺いします。
 そして、先般、一般質問で課題とされた、これは知事自身の考えで、戦略の中で結構ですが、プレス系、そして駆動系の工場誘致についての具体的な戦略を示していただきたい。
 そして、第3の質問は、自動車生産拠点のすそ野を広く厚みを増すには、私はトヨタ以外の別のメーカーの誘致も有効と考えます。北九州は、日産、ダイハツ、他のメーカーも取り込んだ自動車生産拠点を既に形成しております。そのように考えますが、知事の考えは、そしてまた、その戦略についてはどのように今の時点でお考えか、お尋ねします。
〇達増知事 今般のセントラル自動車の立地決定によりまして、東北での自動車生産台数50万台が現実のものとなり、今後、東北は中部、九州に次ぐ第3の自動車生産拠点として期待されることになると思います。
 今後とも、トヨタの生産・物流戦略の中で、東北地方が重要な役割を担えるよう、とうほく自動車産業集積連携会議の活動などを通じて、自動車関連企業の誘致や地場企業の技術力向上、取引拡大に取り組んでまいりたいと思います。
 プレスやトランスミッションなどの駆動系部品メーカーについては、他の自動車関連部品メーカーに比べて、より現地での生産になじむものでありますので、関東自動車工業やセントラル自動車との近接性などの強みを生かして、本県の優秀な人材や企業ニーズを踏まえたものづくり人材育成の取り組みなどアピールしながら、誘致活動に取り組んでいるところでございます。
 トヨタ系以外のメーカーに対する誘致活動については、本県の立地環境や人材育成の取り組みなどについて紹介し、誘致折衝を行っているところであります。
〇飯澤匡委員 次に、畜産振興について、ここでは酪農振興に絞ってお伺いします。
 先ほど深刻な原油高騰などの救済策については御答弁がありましたので、これについては省いて結構です。
 岩手県は小岩井農場などの牧場など、これは岩手の象徴的なイメージで、酪農というのはかなり岩手のイメージアップになると私は考えております。
 今日まで、昨年は産出額が228億円でだんだん生産量が落ちてきているわけですが、落ちてきた上に原油の高騰という、かなりの経営には厳しい局面に追い込まれております。ただ、肉用牛と比べ、生産者のほうに言わせると、毎月一定の収入が計算できるという意味においては、組み合わせによって大変経営状況がよくなるという利点もあります。来年からは生産調整も解除され、これからという矢先のこういう出来事でありましたが、今後の知事の酪農振興策に対する思いというものをお聞かせ願いたい。
〇達増知事 本県の酪農経営は、生乳の生産調整や平成15年以降の乳価低迷により販売額が減少する中で、最近の配合飼料価格の高騰などから生産費が上昇し、1戸当たり平均所得が約2割減少するなど、厳しい状況にあるものと考えております。こうしたことから、県といたしましては、先般決定された酪農経営の収益補てん等を内容とする国の酪農支援緊急対策等を積極的に活用し、飼料価格の上昇による経営への影響を緩和するとともに、本年5月に予定される配合飼料価格安定対策の見直しに向け、本県の畜産経営の現状を踏まえ、さらなる制度の充実が図られるよう提案してまいります。
 また、これまでも、飼養管理技術の改善による生産性の向上や自給飼料基盤の活用などを積極的に支援してきたところでありますが、来年度は、新たに酪農家の所得向上を図るため、農協等との連携のもとで、受精卵移植技術の普及を推進する事業を実施することとしております。
 こうした施策を総合的に講じることにより、本県の豊富な飼料基盤に立脚した体質の強い酪農経営の確立に努めてまいりたいと考えております。
〇飯澤匡委員 生産の自給モデルによりますと、飼料価格が50%上昇すると、乳価が上昇しなかった場合、2年のうちに約17%生産量が減少するというような統計もあります。私は、乳価の値上げに対する消費者の理解醸成活動というのは、これは知事みずから消費者に対しても必要かと思うんですが、知事、それはいかがですか。
〇達増知事 牛乳の小売価格については、最近上昇させるメーカーや小売店もあり、消費者との関係の中で適切な価格設定が模索されているところかと思います。
 あと、私、機会あるごとに、岩手は酪農王国であって、岩手の乳製品、あるいは乳製品を使ったチーズケーキなどのお菓子は全国有数であるということを各地でしゃべっておりまして、そういう高くても売れるというところを伸ばしていくことが重要ではないかと考えております。
〇飯澤匡委員 次に、県立病院の経営改革についてお伺いします。
 12月21日、総務省は、経営の効率化、再編・ネットワーク化、経営形態の見直しという点でガイドラインを示しておりますが、私は常々、医療局の経営主体の抜本改革が必要になってくると思います。まさに、いいタイミングで国のほうも考えていただいていると思っておりますが、知事は、将来の医療局のあり方をどのように考えていますか、お知らせを願いたいと思います。
〇達増知事 県立病院では、平成16年度から5カ年計画で経営改革に取り組んでいるところでありますが、依然として、経営を取り巻く環境は厳しい状況でございます。こうした中で、県立病院の将来のあり方を検討するに当たっては、まずもって、県全体の医療提供体制の中で果たすべき県立病院の役割と、その役割に応じた機能を明確にした上で必要な診療体制を整え、良質な医療を持続的に提供していくための経営基盤を確立することが喫緊の課題であり、その解決に向けて、県立病院と民間医療機関や市町村立病院を初めとする公的医療機関との役割分担と連携について議論していくことが必要と考えておりまして、あわせて、あるべき経営形態についても、議論を深めていく必要があると考えております。
〇飯澤匡委員 10月11日、県立病院経営委員会の中で、本田市長が、医療局だけではなくて、オール岩手で地域医療を守っていくというやり方を考えてほしいということをおっしゃっていまして、これは地域の経営計画にも入っていないと、そういうことを求められて、極めて重要で大切な発言だと思っています。
 知事はある講演で、地域の力で、県民の力で医療体制を守っていくという意識を草の根レベルから、県民一人一人に持ってもらうこと、知事自身がきちんとやらなければならないと発言されていますが、この県民総参加型の医療体制づくり、これについてどのように構築なさっていくのか、本田市長の発言とあわせて答弁をいただきたいと思います。
〇達増知事 国の医療改革の方向性の中で、市場原理をできるだけ取り入れて医療の効率化、なかんずく、医療費を総額抑制していこうという、そういうことが進んできたと思うんですけれども、やはり医療というものは、サービスを提供する側とそれを消費する側が完全に分かれて市場の中で相対するという形では、少なくとも、地域においては成り立たないところがあると考えておりまして、やはり地域で地域の医療体制をつくっていく、県民一人一人がまずは健康は自分で守るという認識を持ち、健康管理に努めることから始まって、そしてまずかかりつけ医を持ち、そういう開業医のお医者さんから指示を受けつつ、症状に応じた必要な医療を受け、地域の医療提供体制というものをきちんと整備して、そこからの情報を得ながら、症状や医療機関の役割分担に応じた適切な受診を行うということが望ましいと考えておりまして、これは先ほども申し上げた県立病院と、民間医療機関や市町村立病院等の公的医療機関の協力という体制づくりではありますけれども、県民の側から見ると、県民を中心とした県民本位の医療体制づくりでもあると考えておりまして、こうしたことが、県民総参加型の医療体制づくりということで県として進めていかなければならないと考えております。
〇飯澤匡委員 本田市長のものはどうですか。オール岩手で、市町村も入れてやってもいいという言い方をしているんですが、これは後で提言があると思うんですけれども、それについてお考えを述べていただきたい。
〇達増知事 遠野市をめぐるさまざまな医療情勢の中でも、既に県と市との協力はさまざまあるところでありますし、そうした県民総参加型の医療体制づくりの中において、県と市町村の協力というのは重要な一要素だと考えます。
〇飯澤匡委員 最後に伺います。知事は2月21日の定例記者会見で、これは政治家としての発言だと思うんですが、二大政党で政権交代みたいな流れがある中で、中立・中間的な非政党的なものが巨大化する─いわゆるこれは「せんたく」について質問された場面であります─と、日本の政党政治の成熟をおくらせる可能性があるという発言をしておりますが、その真意を問いたいと思います。
〇達増知事 あの「せんたく」については、マニフェストなど、各党のものを比較する、そういう審判役を務めると私聞いておりましたものですから、みんなが審判になってしまうと、選手がいなくなってしまうのではないかというようなことを心配して申し上げたところでございます。
〇飯澤匡委員 一方、知事は、私の6月定例会の代表質問で、地方こそ政党政治を打ち立てなければ政治の分権はなく、地方分権はあり得ないと答弁しております。言いかえれば、これは、分権社会の発展を阻害するのは非政党的なグループの存在、そのような位置づけでよろしいんでしょうか。
〇達増知事 私は、非政党的なグループというもの─既存の政党と一定の距離を保つ地域政党的なグループということかと思いますけれども、そういうものの存在については否定しておりませんし、むしろ、いろいろ大きな役に貢献する場合もあり得ると考えております。
 政党政治を地方政治においても育てていかなければならないというのは、政党というのが本来、同じ理念、政策を支持する者が集まり、それを実現することを目指すという本来の政党のあり方の延長に発展していくことが望ましいという意味で言っているのでありますけれども、国際化・情報化の世の中で、地域の課題もさまざまな専門性・技術性、課題解決のためにいろいろな政策の組み合わせが必要になってくる中、政策議論もより高度なものになっていかなければならないと思いますし、また、その政策の組み合わせを決める基準である理念ということについても、より深められていく必要があるのではないかと考えておりまして、そういう意味で、地方政治における政党政治の成熟が重要だということを申し上げております。
〇飯澤匡委員 最後に、この間一般質問で、450人ぐらいの職員ともお話し合いをしていると、大変結構なことだと思うんですが、特に若手職員のモチベーションを高める、特に知事は、そういう人たちをこれからよく理解をして使っていかなければならない立場にありますので、知事自身の考えで結構です、若手職員のそういうこれから県行政に携わる者としてのモチベーションを上げるためのやり方、考え方、それを示していただきたいと思います。
〇達増知事 岩手県職員のモチベーションは、もともと非常に高いものがあると見ておりまして、知事が変なことをしない限り高いままでいるのではないかと思うんですけれども、一方、職員の業績を適正に評価することや業務を通じたやりがいや達成感の醸成を図っていくこと、そのため、上司が職員と十分な対話を行って職員の業務推進を支援する、昨年度からスタートした職員の業績を昇給や手当に反映させる制度を適切に運用する、そうしたことで職員の意欲向上に努めていく。また、若手職員については、若手職員育成プログラムや複数分野を経験させるジョブローテーションなどによって、意欲や適性に応じておのおのの職員を計画的に育成するといったような、そういう職場環境の整備や、また、教育・研修の充実などを行っていきたいと考えております。
〇飯澤匡委員 そういう答弁じゃなくて、要するにこれらの地域計画なり、今度の新しいいわて創造プランというのは、知事が人を動かしていかなきゃだめなんですよ。知事がよく、道義的信頼だけじゃなくて、情熱だとかさまざまな部分で、やはり、県は仕掛け役です。仕掛け役のコマがどれだけいるかどうかというのが問題だと思うので、これは戦略的な計画だけじゃなくて、マヌーバーしなければならないと知事もおっしゃっていますから、その点についてこれからどのようなメッセージを送っていくのか、そういう考えについて最後にお伺いして、終わります。
〇達増知事 県職員の筆頭に立つのが知事でありますから、やはり知事本人が県職員の一人として県民のためにきちんと仕事をしていくんだという自覚を持って、そして、県民のほうを向いて、県民本位の仕事をしていくという姿を示すことが第一だと考えます。
〇飯澤匡委員 終わりました。ありがとうございました。(拍手)
〇千葉康一郎委員長 次に、斉藤信委員。
   〔斉藤信委員質問者席に着く〕
〇斉藤信委員 それでは、最初に雇用対策についてお聞きいたします。
 事業所統計による事業所、従業員の推移はどうなっているでしょうか。どの分野で減少し、また増加しているでしょうか。
〇達増知事 事業所統計による事業所、従業員の推移についてでありますが、平成18年事業所・企業統計調査によると、平成13年の前回調査に比較し、本県の事業所数は6万8、767事業所で5.1%の減少、従業者数は60万29人で4.7%の減少となっております。
 産業別に見ますと、事業所数は、卸売・小売業が12.0%減、製造業が9.9%減、医療、福祉が21.6%増、従業者数は、建設業が22.2%減少、医療、福祉が15.7%増、サービス業が7.0%増といった特徴がございます。
〇斉藤信委員 実際に減った従業員の数でいいですから、従業員の数を示してください。
〇達増知事 平成13年から18年への減少数は2万9、421人です。
〇斉藤信委員 じゃ、減少した理由、ふえているところのふえた理由、何でしょうか。
〇達増知事 建設業の従業者数の減少が大きいところでありますが、この要因は、公共事業が減少したことによる影響と思われます。また、医療、福祉の事業所数、従業者数が大幅に増加したのは、介護保険制度の定着化により介護事業者が増加したことが大きいと思われます。
〇斉藤信委員 岩手県の雇用対策、これは雇用の危機といって県政の重要課題だと。しかし、計画は、正社員5、000人ふやすですよ。この5年間で2万9、421人減って、正社員だけれども、5、000人ふやすということで今の雇用の対策になるんでしょうか。
〇達増知事 今後の雇用対策の方向における雇用創出目標は1年に1、250人ということで、4年間に約5、000人となっております。
〇斉藤信委員 私の質問に答えていないんですよ。いいですか、この5年間で2万9、421人従業員が減った。そのときに5、000人の雇用増の計画でいいのですか、これで雇用の危機が打開できるのですかと私は聞いているんですよ。
〇達増知事 正規雇用創出の概算見込みということで、この4年間で5、000人ということで数字を出しておりますので、この非正規雇用を合わせた場合、5、000人でいいとは思っておりません。しかし、同時に、非正規で働きたい人が非正規で働く分にはいいんですけれども、正規雇用で働きたい人が非正規で働くということについては、それはなるべく正規になったほうがいいということで、そこへの対応については、個々の企業に対する働きかけも行いながら進めていく形となるわけでありますが、結果として、岩手の雇用が、希望する人が岩手県内で就職できるという形になっていくことを目指してまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 建設業も1万6、000人減っているけれども、製造業も1万1、300人減っているんですよ。自動車産業頑張ったと言っていて、製造業が何で1万1、000人も減ったんですか。
〇達増知事 製造業については、今世紀初頭のいわゆるITバブルの崩壊による電気関係の企業の撤退等の影響があると考えております。
〇斉藤信委員 余り説得力ないけれども、雇用者報酬はこの間どう推移しているでしょうか。減少しているとすれば、その理由は何でしょうか。
〇達増知事 雇用者報酬は県民経済計算での平成8年度以降の推移を見ますと、平成12年度の2兆5、622億円をピークに減少傾向となったところでありますが、平成18年度はわずかであるが増加に転じております。これを雇用者1人当たりの雇用者報酬の推移で見ますと、平成12年度の428万1、000円をピークに、以後減少を続け、平成17年度が386万4、000円と平成12年度の90.3%の水準に落ち込んでおります。(斉藤信委員「委員長、答弁漏れだよ。要因も聞いたんだけどね」と呼ぶ)失礼しました。
 雇用者報酬減少の要因についてでありますが、公共事業縮小や平成13年のIT関連需要の冷え込みなどによる本県経済の低迷、その後の景気回復のテンポが緩やかであること、また非正規雇用者の増大などが、その主たる要因と考えます。
〇斉藤信委員 雇用対策が県政の重点課題だ、格差と貧困を拡大する根本問題だ、こう位置づけるなら、私は、前増田県政以上に、この雇用対策を重視して、全部局を挙げて雇用対策に取り組む、そういう体制が必要だと思いますが、いかがですか。
〇達増知事 今後の雇用対策の推進に当たっては、県や産業団体、労働団体等がメンバーとなって立ち上げた岩手県雇用対策推進会議が中核となり、メンバー自身の主体的な取り組みも含めて、実効ある雇用対策を広く展開してまいります。
 公正な雇用の確保に向けた取り組みとしては、県が産業関係団体への要請活動やシンポジウムの開催などを通じた事業所への働きかけ、国に対する要請等を行っているほか、福祉分野においては、社会福祉法人岩手県社会福祉協議会が、広報誌も用いて、県内の社会福祉施設等への啓発活動に取り組んでいます。
 今後も、県の取り組みについては、庁内に設置した連絡会議の場で、方針の共有や施策の推進、結果の検証等を行いながら、商工労働観光部を中心に庁内各部が連携して取り組んでまいりたいと思います。
〇斉藤信委員 庁内各部が連携する程度で、私は、この県政の重大課題は行かないと思いますよ。保健福祉部とか農林水産部とか、雇用対策の目標を持っているんですか。
〇達増知事 かつて総合雇用対策局を設置していたわけでありますけれども、当時は、厳しくなっていた雇用情勢を反映して、緊急的な雇用対策として、量的充実に主眼を置いた各種の雇用対策を実施いたしました。その結果、3万6、000人という雇用創出目標を達成したのですけれども、派遣、請負、パート労働者といういわゆる非正規雇用が増大し、県においても、そうした短期の雇用確保のための予算措置などをしておりまして、平成19年度からは、商工労働観光部内に8人で構成する雇用対策担当チームを設置して、産業振興と一体となった雇用の創出や正規雇用の増加などの質的な改善に取り組んでいくこととしたところであります。
 そうした中で、この商工労働観光部を中心に、庁内においての連絡会議の場で、他の各部とも連携しながら取り組んでいるところでございます。(斉藤信委員「私の質問に答えていない。委員長。保健福祉部や農林水産部は目標を持っているんですかと聞いたんだ」と呼ぶ)
 庁内の連絡会議での取り組みを中心にいたしまして、各部局においても事業計画を策定し、その中で雇用の対策に取り組んでいるものでございますが、その事業計画の内容について、今、手元に資料がございませんので、ちょっと具体的な数字については答弁できないということで、御勘弁をお願いしたいと思います。
〇斉藤信委員 じゃ、後で部局別の雇用対策目標を示してください。
 それで、3万6、000人ふやしたというけれども、跡も形もなくて、結果は3万人の従業員が減ったというのが結論ですよ。この反省に立って、雇用対策が実のある対策にならなければだめだというので私は聞いているのですよ。だから、そういう意味で、本当に全部局総力挙げて、知事が、私が聞いたら何でも答えるという状況じゃなければだめですよ。ぜひそういうことをやっていただきたい。
〇達増知事 雇用の問題は、岩手が直面する重要課題の一つでありますので、しっかり取り組んでまいりたいと思います。
〇斉藤信委員 じゃ、次に、セーフティネットとしての社会保障、福祉の問題についてお聞きします。
 政府は02年度以降、毎年社会保障費の自然増分を2、200億円削減して、既に1兆4、000億円の削減になっています。県の場合はこれはどうなっているでしょうか。
〇達増知事 御指摘の1兆4、000億円という削減額は、経済財政運営と構造改革に関する基本方針、いわゆる骨太の方針を踏まえた国の社会保障費削減目標額と理解しておりますが、この中で削減項目として挙げられているのは、医療費、介護費用、年金、雇用保険、生活保護等でありますが、このうち県財政に関連する生活保護費、介護給付費、国保・老人等の医療費については、制度改正の内容等を踏まえながら、必要な予算計上を行っているところであります。
 民生費、衛生費の一般会計決算額では、平成14年度が約793億円に対し、平成20年度当初予算額が約841億円、県全体の生活保護費総額については、平成14年度実績で約136億円が平成20年度に約170億円、県全体の介護給付費については、平成14年度、約601億円に対し、平成20年度、約850億円となっております。
〇斉藤信委員 もっと正確に答えてほしいんです。私は、自然増分がどう削減されたかと聞いているので、総額が減ったかふえたかと聞いているのではないんですよ。ちょっと答えになっていないけれども、次に進みます。
 国保税の滞納者、滞納額、その率、そして保険証取り上げ、資格証明書、短期保険証の発行状況はどうなっているでしょうか。
〇達増知事 県内市町村における国保税の滞納者は、平成18年6月1日現在で3万6、057世帯となっています。
 また、国保税の滞納額は平成18年度末で118億円余であり、滞納率は22.9%であります。
 資格証明書及び短期被保険者証の発行状況についてでありますが、平成20年2月1日現在では、資格証明書は1、756世帯、短期被保険者証は1万6、414世帯にそれぞれ交付されております。
〇斉藤信委員 保険証が取られたら病院にかかれない。私は、払えなくて払っていない方が多いと思うんだけれども、国保加入者の職業別実態、平均所得と国保税額、社会保険と比べるとどのぐらい高くなっていますか。
〇達増知事 本県の市町村国保加入者の実態についてでありますが、国保加入者の職業は、厚生労働省の平成19年度国民健康保険実態調査によりますと、無職51%、農林水産業13%、サービス業7%等となっております。
 また、基礎控除を含む所得の状況は、200万円以上が19%、100万円以上200万円未満が25%、100万円未満56%となっています。
 なお、所得なしの方が27%となっています。
 次に、市町村国保加入者の基礎控除を含む平均所得は119万円となっており、平均国保税額は13万8、000円となっています。
 社会保険については、県別のデータがございませんので、国保との比較は困難であります。
〇斉藤信委員 平均所得で119万円で13万8、000円、これ、同じ社会保険と比べたら2倍、3倍ですよ。だから払えないのですよね。資格証明書の発行1、756世帯、これは、恐らく4、000人ぐらいになります。
 資格証明書が発行された方の受診率、受診できずに病状が悪化したり死亡した例というのは把握しているでしょうか。
〇達増知事 平成15年度の県内市町村の状況について、平成16年12月に調査した結果がございます。それによりますと、被保険者資格証明書を交付された1、781人の受診回数の平均は、1人当たり年間約0.5回となっています。
 また、被保険者資格証明書を交付された方が、医療機関での受診のおくれから病状が悪化したり死亡したような例について、これは平成19年10月に市町村に確認いたしましたが、該当する事例はないという報告を受けております。
〇斉藤信委員 1人当たり年間0.5回、これは一般の方と比べるとどう違いますか。
〇達増知事 老人医療受給対象者を除く国民健康保険加入者約54万人の受診回数の平均は、1人当たり年間約8.5回であります。
〇斉藤信委員 本当にこれは、保険証を取られたら病院にかかれないという実態を示していますね。
 それで、市町村に聞いたってわからないのです。救急医療機関に聞かなければだめなのですよ。NHKのクローズアップ現代で1月21日にやりました。三重県など5県、これはNHKが500施設の緊急アンケートをやったら、年間で41人が病状悪化で死亡していたという衝撃的な例が出たんですね。私は、こういう資格証明書の発行というのは、特別な事情がない場合となっているけれども、特別な事情というのは何ですか。
〇達増知事 被保険者資格証明書は、国民健康保険法施行令で定める、災害その他の特別な事情がないにもかかわらず、1年間国保税を滞納している世帯主に対して交付することとされておりますが、施行令では、病気や負傷についても特別の事情の一つとして定められており、市町村では、このことにより納税できないと認められた場合には、資格証明書を交付しないこととされていると承知しております。
〇斉藤信委員 病気や負傷の場合、特別な事由に当たると。だとすれば、保険証を取り上げるときに、これをチェックしなければだめだ。そういうことが1、756件にされているのでしょうか。
〇達増知事 県としましては、市町村に対しまして、被保険者資格証明書の交付に当たっては、一律に交付するのではなく、生活実態など、その置かれた状況をきめ細かく把握し、病気や負傷などにより医療機関を受診する必要があるなどの特別の事情のある方に対しては、被保険者資格証明書の交付を行わないよう指導しているところでございます。
〇斉藤信委員 特に盛岡市、各市町村、滞納者が市役所に相談に来ないから資格証明書を発行している、これが多数ですよ。私は、特別の事情に当たるかどうかというのを、命にかかわる問題ですから、きちんと精査してやるべきなんだと。本来、取り上げてはだめなものなんですよ。知事、これはきっちり徹底すべきだし、私は、県として把握すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
〇達増知事 基本的には、この被保険者資格証明書は市町村が発行するものでありますけれども、やはり、場合によっては命にかかわる大変重要なことでありますので、県としては、引き続き、病気や負傷などにより、その他特別の事情がある方に対しては、被保険者資格証明書の交付を行わないよう市町村に指導してまいりたいと思います。
〇斉藤信委員 格差と貧困が広がって、先ほどの答弁にもありましたけれども、国保の場合は、無職が50.8%、そして所得なしが27%、100万円未満が56%なんですよ。まさにもう払えない国保料を払って、そして払えない方々にはこういう無慈悲な保険証取り上げというのは、私はもう厳密にこれはやられるべきだと。
 今、指導すると知事の答弁がありましたから、次に進みます。市町村合併問題についてお聞きいたします。
 合併協議会設置の知事の勧告に対する市町村首長の考え方はどうなっていますか。
〇達増知事 市町村合併推進審議会が調査したところによりますと、合併推進構想の対象となっている市町村、29市町村と、対象となっていないが合併していない市町村、これは金ケ崎町でありますが、合わせて30団体の市町村長のうち、この合併協議会設置の知事の勧告について、勧告すべきは2団体、どちらかと言えば勧告すべきが1団体、勧告すべきではないが20団体、どちらかと言えば勧告すべきではないが3団体、どちらとも言えないが4団体となっています。
〇斉藤信委員 私は、知事が合併推進審議会に諮問までしてこの勧告の是非をやったけれども、圧倒的に市町村は、そんなのやるべきでないと。県と市町村の対等な関係という点でも、住民の意向という点でも、これはやるべきでないという、いわば勧告すべきでないという理由も明記されているけれども、知事は、この結果をどういうふうに受けとめていますか。
〇達増知事 合併協議会設置の勧告については、まさに市町村合併推進審議会に諮問しているところでありまして、その審議会から3月中に答申をいただくことになっておりますので、私としては、まず答申を待ちたいと考えております。
〇斉藤信委員 答申についてどう受けとめるか、後で聞きますよ。私が言っているのは、こういう首長のアンケート結果が出たわけでしょう。このアンケート結果は、数だけじゃないんですよ。そのように考える理由が詳しく書かれているんですよ。例えば紫波町は、市町村合併に際しては、結婚と同様、それぞれの市町村の選ぶ権利、選ばれる権利が最大限尊重されるべきであると。知事による勧告という手法を用いることになれば、県と町の信頼関係に重大な影響を及ぼすことが懸念される。こういう、みんなそれぞれ理由をつけて答えているのですよ。それについての所感はどうですか。
〇達増知事 まさに人生で言えば結婚のような大事な問題だと思いますので、一方また、━━━━━━━━━━━━━━━もございますが、そういう込められた思いのきめ細かいところまできちんと読み込んだ上で、適切な判断をしてまいらなければならないと考えております。
〇斉藤信委員 今の答弁は撤回すべきですよ。首長が本当に心を込めて答えているときに、━━━━━━━━━━なんて、あなた、その発言、取り消したほうがいい。とんでもない。首長はみんな反発しますよ。
〇達増知事 自治体のあり方と結婚というのは、これはもう全く法律上、無関係なことなんでありますけれども、あえてそこに結婚という比喩を持ち込んだその意図ということをやはり深く理解するように努めていかなければならないと思います。そういう意味で、安易に━━━━━━━━━━━━━━━を用いたのは、誤解を招く表現だと思いますので、撤回したいと思います。
〇斉藤信委員 合併推進審議会で勧告ができる条件というのはどういうふうに示されていますか。
〇達増知事 岩手県市町村合併推進審議会の中で議論されている合併協議会設置の勧告のあり方に係る答申の、その議論されている内容についてでございますけれども、合併協議会設置の勧告は有効に機能する場合に活用されるべきものであり、例えばとして、構想対象市町村において、首長は合併協議会設置に消極的であるが、議会が合併協議を進めるため合併協議会設置を望んでおり、合併推進の決議がすべての議会において行われるなど、その意思を確認できる場合。住民が合併新法第4条の手続に基づき、有権者の50分の1以上の署名を集めて合併協議会設置の請求を行ったが、合併対象市町村の長が合併協議会設置を議会に付議しなかった場合で、合併請求市町村及び合併対象市町村の議会が合併協議会設置を望んでいると確認できる場合。合併協議会が設置されて合併協議が進んだが、何らかの理由で合併協議会が解消された場合で、合併関係市町村の議会は引き続き協議の継続を望んでいると確認できる場合の三つが例として挙げられると承知しております。
〇斉藤信委員 この素案では、平成20年秋ごろまでが目安だと。今、そういう議会は全く一つもありませんよ。勧告する条件はないのではないですか。
〇達増知事 平成20年の秋ごろまでを目安ということが素案の中に出てきているということでありますけれども、十分な理由がある考え方かとも思います。
〇斉藤信委員 合併効果の検証についても、周辺地域の状況の検証も何もないし、こういう検証をしっかりやるべきじゃないですか。そして、知事の言う完全自治体というのは、私は住民自治に反するものだと思いますが、いかがですか。
〇達増知事 私が完全自治体という言葉を使っておりますのは、これは、政府の地方分権推進会議が、あるべき自治体の姿として、さきの中間取りまとめの中で使っているものをそのまま使っているのでありますけれども、自治行政権、自治立法権、自治財政権を有する地方政府としてできている完全自治体ということなわけでありますが、そのためには、市町村の行財政基盤を強化する必要があり、市町村合併というものは、その最も有力な手段の一つであると考えております。(斉藤信委員「一つ答弁漏れ。周辺地域の検証」と呼ぶ)
 合併後の市町にあっては、県として、合併効果の検証のために行ったわけではありませんが、昨年8月から11月にかけて集落の状況に関する書面調査を実施したところでありまして、多くのコミュニティで相互扶助等の多面的な機能を果たしている一方、厳しい経済社会情勢のもとで、コミュニティの活動を担う後継者不足などの課題を抱える地域も多いということが判明しております。
 ただ、こうしたコミュニティの維持・再生の問題は、市町村合併に関係なく、すべての市町村が直面する共通のものであると考えておりまして、むしろ合併した市町にあっては、旧町村部の過疎化や中心部との経済面での課題について、解消に向けてのさまざまな対策を新市町建設計画等に盛り込んで展開していると考えます。
 行政への住民参加の活発化につながるコミュニティの維持・再生については、強化された行財政基盤を生かし、効率的な行財政運営を行いながら、さまざまな取り組みを進めているところでありまして、県としても支援してまいりたいと思います。
〇斉藤信委員 首長の意見の中には、規模、あり方を含めて多様な市町村を認めてほしい、こういう強い意見がありました。これで最後、聞きます。いかがですか、知事。
〇達増知事 住民自治と団体自治が車の両輪となって地方自治が実現していくと考えておりまして、それは、団体が形になっていさえすれば、それで自立しているということではなく、あくまでその中できちんとした住民自治が行われるということが必要と考えます。そのあり方については、まさに住民が創意工夫でつくっていくべきものと考えます。
〇千葉康一郎委員長 御苦労さまでした。
 執行部に申し上げます。
 先ほどの斉藤信委員の質疑のうち、部局ごとの雇用創出の目標については、あすの総括質疑終了までに答弁してください。
 お諮りいたします。時間もおおむね5時になりますので、続く総括質疑は、あす行うこととしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇千葉康一郎委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
 あす以降は、毎日、午前10時から開会いたしますので、よろしくお願いいたします。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後4時50分 散 会

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