平成20年2月定例会 第5回岩手県議会定例会会議録

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〇38番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
 議案第1号、第12号、第13号、第34号、第39号、第40号に反対の討論を行います。
 議案第1号は、2008年度岩手県一般会計予算であります。
 反対する第1の理由は、雇用対策を県政の重点課題としていながら、極めて不十分な対策となっていることであります。
 昨年11月に明らかになった06年事業所・企業統計調査によれば、5年間で事業所が3、688、従業者数で2万9、421人減少となっています。ところが、県の雇用対策の計画では、4年間で正規職員とはいえ5、000人の拡大計画であります。05年の国勢調査では、県内の完全失業者が4万5、662人、完全失業率は6.2%となっています。県の雇用対策の計画は、深刻な実態を打開するには余りにも低く、不十分なものであります。また、非正規雇用がついに33.5%、3人に1人以上と、史上最高を記録いたしました。青年の場合は、2人に1人であります。
 特に深刻な問題は、若者を物のように扱う派遣労働の急速な拡大であります。県内でも、派遣労働者は1万2、982人で、前年比1.6倍。仕事のあるときだけ雇用される登録派遣は8万4、000人で、1.5倍と急増しています。月額10万円程度の超低賃金で、社会保険も雇用保険もなく、3カ月程度で首を切られる、こうした登録派遣の禁止を含めた派遣労働の規制は、青年の現在と未来にかかわる問題であり、岩手と日本の将来にかかわる大問題であります。特に、こうした派遣労働が、自動車関連の企業や誘致企業の製造業に拡大していることは重大であります。
 県職員のサービス残業の根絶・解消と、官製ワーキングプアを広げる総務事務センターへの派遣労働の導入は中止すべきであります。
 県は、全部局を挙げた体制を確立し、岩手労働局や関係機関と連携を強め、雇用対策を抜本的に強化することを求めるものであります。
 反対する第2の理由は、国に追随した医療、介護、福祉切り捨ての県政となっていることであります。
 後期高齢者医療制度が4月から実施されようとしています。しかし、この制度は、75歳以上の高齢者に保険料の負担増と、滞納すれば保険証を取り上げ、差別医療を押しつける世界に例のない異常なものであります。既に全国530を超える地方議会が、中止・見直しを求める意見書を採択し、500万人もの署名も寄せられています。国会では、野党4党が後期高齢者医療制度の中止を求める法案を提出しています。県としても、抜本的な見直し・中止を求めるべきであります。
 医師不足と地域医療も危機的状況にあります。この原因は、国による社会保障費、医療費の削減にあることは明らかであります。しかし、県は、医療費削減を前提に、国の公立病院改革ガイドラインに基づいて、地域医療の縮小と公立病院の再編を目指す県のガイドラインを策定しようとしています。
 県は、地域医療の充実を県政の重要課題と位置づけており、県立病院はもとより、公立病院の縮小・再編となるような計画をつくるべきではありません。
 2月に示された岩手県地域ケア体制整備構想では、今年度末で3、367床ある療養病床を1、060床以上削減する計画を示しています。今でさえ、6、400人を超える高齢者が特養ホームの待機者となっていますが、これでは、療養難民が急増することは明らかであります。ところが、整備構想では、特養ホームは、2011年度には122床も削減されることになっているのであります。高齢者が増加する中で、一番切実な要望となっている療養病床や特養ホームを削減することは、まさに、高齢者、県民に背を向けた冷たい県政と言わなければなりません。
 県民の命と健康を守ることは、県政の最大の課題であります。医療、介護、福祉を守る県政への転換を強く求めるものであります。
 反対する第3の理由は、農業と農家を切り捨てる県政となっていることであります。
 米価の大暴落で、農家は33億円の減収となりました。米づくりをやめる農家が出ています。集落営農組織も初年度から赤字となるなど、国の農政、農家の選別を目指した品目横断的経営安定対策は完全に破綻いたしました。地域農業を支えてきた認定農家、酪農・畜産農家も、配合飼料の高騰で経営危機に直面をしています。ところが、こうした農家を支援するどころか、牛を処分する、離農、自殺に追い込む深刻な事態が引き起こされているのであります。
 世界の食料事情が逼迫する中で、今こそ、食料自給率を抜本的に高める対策が必要であります。1俵1万8、000円の米価を保障するなど、再生産を確保する価格保障、所得保障を充実させるべきであります。しかし、県の価格保障予算はわずか1億9、400万円余で、農業予算の0.5%にすぎません。一方で、農政関連の公共事業費は217億円で、55%を占めているのであります。
 県は、担い手農家を中心にしながら、小規模・兼業農家も参加する岩手型の集落営農の確立を打ち出しました。家族経営を基本に、営農を希望するすべての農家を担い手として支援し地域農業を守ることは、日本と岩手の農業の実態に沿うものであります。
 反対する第4の理由は、少人数学級の拡充には背を向け、子供たちを苦しめるテスト漬けの競争の教育を進めていることであります。
 昨年4月に、77億円もかけて全国学力テストが実施されました。その回答と結果は、半年以上が経過した10月にマル・バツ式で示されましたが、子供たちへの指導にとっては全く意味のないものでありました。さらに、学校では、県のテスト、市町村のテストがそれぞれ行われ、テスト漬けとなっているのが現状であります。
 今、子供と学校にとって最も求められていることは、一人一人の子供たちに行き届いた教育を進め、どの子もわかる喜びを実感できる教育と学校をつくることであります。そのためには、小学校2年生まで実施されている35人学級を拡充することであります。少人数学級の拡充は、教師の多忙化を改善する最も効果ある対策であります。
 県立一関一高への併設中学校の設置は、中高一貫校の設置が先にありきで、教育の理念も内容も全くあいまいで、小学校にまで受験競争を拡大させるだけのものになりかねません。
 反対する第5の理由は、深刻な財政の危機的状況のもとで、無駄と浪費の大型開発が温存、継続されていることであります。
 港湾整備事業は、包括外部監査によって厳しく、その採算性と計画と実績の大きな乖離が指摘されました。
 貨物取扱量は、昭和54年の1、290万トンから27年連続減少し、昨年度には592万トン、46%まで落ち込んでいます。大船渡港湾整備事業では、730万トンの計画に302万トンと、41%にとどまっています。にもかかわらず、港湾整備事業だけはそのまま実施され、工業団地は33億8、800万円で造成されようしています。しかし、売れる見込みもなく、売却したくても、造成単価を10億円も下回る販売予定価格となっている始末であります。
 津付ダム建設事業は、141億円のダムを建設しても、20年に1回の洪水にしか対応できず、30年洪水に対応するためには、164億円もかかる欠陥ダムであります。河川改修なら、県の試算でも94億円で済むのに、なぜ70億円もの無駄遣いを行うのか、全く理解に苦しみます。
 競馬事業も、発売額は前年比で約50億円も減少しました。競馬事業の再建を目指したルネッサンスプランは破綻したと言うべきものであります。
 反対する第6の理由は、市町村合併推進の異常な姿勢と根拠のない広域振興局再編であります。
 合併した市町村は、今、その調整と新市のまちづくりで手がいっぱいであり、周辺の過疎化など、新たな課題に直面をしています。ほとんどの市町村が求めていない合併を推進しようとするのが、達増県政の異常な姿であります。
 議案第13号は、2008年度岩手県立病院等事業会計予算であります。
 県立病院が県民の医療を守る重要な役割を果たしていることを、高く評価するものであります。来年度は、医療秘書63人の配置や、中央病院への7対1の看護体制の導入など、改善も見られます。しかし、来年度県立住田病院が診療所化されます。8日夜勤の労使合意事項を破棄しようとしていることも重大であります。来年度は、県立病院の新たな改革プランが策定される予定ですが、県立病院の充実こそ必要であります。
 議案第12号、2008年度岩手県港湾整備事業特別会計予算と議案第34号後期高齢者医療財政安定化基金条例については、既に述べたとおり反対するものであります。
 議案第39号と第40号は、使用料・手数料8、600万円余値上げをしようとするものであり、反対するものであります。
 以上申し上げ、反対討論といたします。
 御清聴ありがとうございました。
〇議長(渡辺幸貫君) 以上で通告による討論は終わりました。
 これをもって討論を終結いたします。
 これより、議案第34号後期高齢者医療財政安定化基金条例を採決いたします。
 本案は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(渡辺幸貫君) 起立多数であります。よって、議案第34号後期高齢者医療財政安定化基金条例は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
 次に、議案第1号、議案第12号、議案第13号、議案第39号及び議案第40号を一括して採決いたします。
 各案件は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(渡辺幸貫君) 起立多数であります。よって、議案第1号、議案第12号、議案第13号、議案第39号及び議案第40号は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
 次に、議案第2号から議案第11号まで、議案第14号から議案第21号まで、議案第31号、議案第33号、議案第35号から議案第37号まで、議案第41号、議案第42号及び議案第47号を一括して採決いたします。
 各案件は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(渡辺幸貫君) 起立全員であります。よって、議案第2号から議案第11号まで、議案第14号から議案第21号まで、議案第31号、議案第33号、議案第35号から議案第37号まで、議案第41号、議案第42号及び議案第47号は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
   日程第59 議案第80号教育委員会の委員の任命に関し同意を求めることについて
〇議長(渡辺幸貫君) 次に、日程第59、議案第80号教育委員会の委員の任命に関し同意を求めることについてを議題といたします。
 提出者の説明を求めます。宮舘副知事。
   〔副知事宮舘壽喜君登壇〕
〇副知事(宮舘壽喜君) ただいま議題とされました人事案件について御説明をいたします。
 議案第80号は、教育委員会の委員であります相澤徹氏の任期が3月31日で満了いたしますので、その後任として、新たに法貴敬氏を任命するため、議会の同意を求めようとするものであります。
 よろしく御審議の上、原案に御同意くださるようお願いいたします。
〇議長(渡辺幸貫君) お諮りいたします。ただいま議題となっております議案は人事案件でありますので、会議規則第34条第3項の規定及び先例により議事の順序を省略し、直ちに採決いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(渡辺幸貫君) 御異議なしと認めます。よって、これより議案第80号教育委員会の委員の任命に関し同意を求めることについてを採決いたします。
 ただいま議題となっております議案第80号教育委員会の委員の任命に関し同意を求めることについては、これに同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(渡辺幸貫君) 起立全員であります。よって、議案第80号教育委員会の委員の任命に関し同意を求めることについては、これに同意することに決定いたしました。
   日程第60 発議案第1号平泉世界文化遺産推進調査特別委員会の設置について
〇議長(渡辺幸貫君) 次に、日程第60、発議案第1号平泉世界文化遺産推進調査特別委員会の設置についてを議題といたします。
 お諮りいたします。ただいま議題となっております本案は、各会派の賛同を得た委員会提案でありますので、会議規則第34条第2項及び第3項の規定並びに先例により、議事の順序を省略し、直ちに採決いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(渡辺幸貫君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
 これより、発議案第1号平泉世界文化遺産推進調査特別委員会の設置についてを採決いたします。
 本案は、原案のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(渡辺幸貫君) 起立全員であります。よって、発議案第1号平泉世界文化遺産推進調査特別委員会の設置については、原案のとおり可決されました。
 お諮りいたします。ただいま設置されました平泉世界文化遺産推進調査特別委員会の委員の選任については、委員会条例第5条第1項の規定により、議長を除く全議員を指名いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(渡辺幸貫君) 御異議なしと認めます。よって、ただいま指名いたしましたとおり、議長を除く全議員を平泉世界文化遺産推進調査特別委員に選任することに決定いたしました。
 平泉世界文化遺産推進調査特別委員会は、委員長互選のため、本日、本会議終了後、特別委員会室にこれを招集いたします。改めて招集通知を差し上げませんので、御了承願います。
   日程第61 発議案第2号特別職の職員の給与並びに旅費及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例から日程第71 発議案第12号2016年オリンピック・パラリンピック競技大会の東京招致に関する決議まで
〇議長(渡辺幸貫君) 次に、日程第61、発議案第2号から日程第71、発議案第12号までを一括議題といたします。
 お諮りいたします。ただいま議題となっております各案件は、各会派の賛同を得た委員会提案でありますので、会議規則第34条第2項及び第3項の規定並びに先例により、議事の順序を省略し、直ちに採決いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(渡辺幸貫君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
 これより、発議案第12号2016年オリンピック・パラリンピック競技大会の東京招致に関する決議を採決いたします。
 本案は、原案のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(渡辺幸貫君) 起立多数であります。よって、発議案第12号2016年オリンピック・パラリンピック競技大会の東京招致に関する決議は、原案のとおり可決されました。
 次に、発議案第2号から発議案第11号までを一括して採決いたします。
 各案件は、原案のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(渡辺幸貫君) 起立全員であります。よって、発議案第2号から発議案第11号までは原案のとおり可決されました。
   日程第72 発議案第13号道路特定財源の一般財源化及び道路関係諸税の暫定税率廃止を求める意見書及び日程第73 発議案第14号道路関係諸税の暫定税率見直しと地方道路整備の財源確保に関して慎重且つ十分な国会審議を求める意見書
〇議長(渡辺幸貫君) 次に、日程第72、発議案第13号及び日程第73、発議案第14号を一括議題といたします。
 提出者の説明を求めます。関根敏伸君。
   〔18番関根敏伸君登壇〕

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