平成20年2月定例会 第5回岩手県議会定例会会議録

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〇38番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
 議案第57号2007年度岩手県一般会計補正予算(第6号)に反対の討論を行います。
 今回の補正予算の中には、灯油高騰対策緊急特別支援事業として、低所得者に対する灯油代の補助1億2、424万円、助成世帯6万5、400世帯、助成総額約4億5、000万円となる事業や農家に対する原油高騰対策2、924万円余など、県民の暮らしを守る事業も盛り込まれていることは評価するものであります。しかし、補正予算は全体として109億円余の減額補正であります。減額の一方で、増額となったのは土地区画整理事業費や河川等災害復旧事業費、直轄河川等災害復旧事業費負担金などで、公共事業偏重の補正予算となっています。
 反対する第1の理由は、地方交付税41億円余の見込み違い、繰入金38億円余の減額など、厳しい県財政のもとで、余りにもずさんな補正予算となっていることであります。特に繰入金については、県債管理基金から20億円、公共施設整備等基金から10億円の取り崩しをやめ、電気事業会計からも6億円の繰り入れをやめることになりました。これだけの財源が不要になるなら、福祉や医療、教育の充実を図り、県職員に対する年間21億5、000万円の賃金引き下げは必要がなくなるものであります。人事委員会の勧告は全面的に実施できたのであります。
 第2の理由は、歳出では、民生費が21億円余、教育費が18億円余と最も大幅な減額となっていることであります。事業費の確定や退職金の減額などが直接的理由となっていますが、本来、拡充こそすべき分野であります。
 第3の理由は、超過勤務手当が1億9、881万円余減額となったことであります。私は、本会議での一般質問でも取り上げましたが、知事部局の場合、県職員の労働時間が厚生労働省が示した基準どおりには確認されず、サービス残業が横行しています。
 厚生労働省の基準では、使用者、管理者は、労働者の労働時間を適正に管理するために始業時間と就業時間を確認し、記録することとしています。その方法としては、原則として、1、使用者がみずから現認することにより確認し、記録すること、2、タイムカード、ICカード等─これにはパソコン等も含みますが─客観的な記録を基礎として確認し、記録することとしています。
 県は、民間では当たり前のこうした労働時間の確認を、できるにもかかわらず行っていません。自己申告制をとっているとしていますが、これは例外的な措置で、三つの条件が必要であります。一つは、自己申告制の導入について、労働者に対して労働時間の実態を正しく記録し、適正に自己申告するよう十分な説明をしなければなりません。二つ目に、自己申告により把握した労働時間が実際の労働時間と合致しているか否かについて、必要に応じて実態調査をすることであります。三つ目に、労働時間の適正な申告を阻害する目的で時間外労働時間数の上限を設定するなどの措置を講じないこと、また、時間外労働時間の削減のための社内通達や時間外労働手当の定額払い等、労働時間に係る事業場の措置が労働者の労働時間の適正な申告を阻害する要因となっていないかについて確認するとともに、当該要因となっている場合においては改善のための措置を講ずることを求めています。
 ところが実際には、成果主義賃金の導入と相まって、超勤時間がふえると自分の評価に響くため、超勤を認めない上司がいる、サービス残業ばかりさせ、超勤予算を返している上司がいい評価を受けるのは全く納得がいかないなどの声が出されているのであります。超過勤務時間と超過勤務手当が全く同じなどという事実上超過勤務を認めない異常な事態となっているのであります。
 警察本部の場合は今回は超過勤務手当の減額補正はありませんでしたが、昨年度の超過勤務時間は平均343時間で、その58%しか超過勤務手当は支給されませんでした。140時間がサービス残業となっています。その額は、私の試算で、警察官の場合、平均約41万円のサービス残業、不払い労働であります。これは一刻も放置できない犯罪行為であります。
 県職員の給与がこの9年間で実に85万円も削減され、さらに賃下げが行われようとしているときに、超過勤務手当は、減額どころか、本来、実態に合わせて大幅に増加して完全支給すべきものであります。民間の模範となるべき県庁でこうした前近代的な無法状態でサービス残業が横行している事態は許されるものではありません。達増知事は、風通しのよい職場環境を目指すと言いましたが、実態は全くの逆であり、知事を先頭に改善を図ることを強く求めるものであります。
 また、総務省通知と厚生労働省による基準に基づき、県職員の労働時間が適切に確認されるよう管理監督するのは県人事委員会であります。県の御用機関となるのではなく、基準に基づき、サービス産業が横行する事態の根絶を目指して、県職員の労働時間が確認され、記録されるよう実態調査を行うなど、責任を果たすべきであります。
 最後に、私学の退職金制度に対する県の指導の問題であります。
 県は、私学振興会による退職金制度に対して補助をしています。今回の補正予算では390万円の減額補正となり、補正後の助成額は1億6、438万円余となります。しかし今、私学振興会による退職金給付事業の制度は改悪され、変質されようとしています。定年まで38年間勤続した小・中・高の職員の場合、掛金が2、058万円なのに、支払われる退職金は1、765万円となって290万円も掛金を下回る退職金となってしまいます。一方、幼稚園の管理者などは、掛金が1、282万円なのに退職金は2、059万円と1.6倍にもなるという詐欺的な制度に変えられようとしているのであります。
 こうした不合理な制度と進め方に対して、盛岡市内の学校法人は私学振興会に退会届を提出しています。私は、昨日の商工文教委員会で取り上げましたが、県は、県民の税金が1億6、000万円余支出されていることを踏まえ、こうした実態を調査し、適切に指導すべきであります。
 以上申し上げ、私の反対討論といたします。御清聴ありがとうございました。
〇議長(渡辺幸貫君) 以上で通告による討論は終わりました。
 これをもって討論を終結いたします。
 これより、議案第57号平成19年度岩手県一般会計補正予算(第6号)を採決いたします。
 本案は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(渡辺幸貫君) 起立多数であります。よって、議案第57号平成19年度岩手県一般会計補正予算(第6号)は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
 次に、議案第58号から議案第79号までを一括して採決いたします。
 各案件は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(渡辺幸貫君) 起立全員であります。よって、議案第58号から議案第79号までは、委員長の報告のとおり決定いたしました。
〇議長(渡辺幸貫君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後1時57分 散 会

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