平成20年2月定例会 第5回岩手県議会定例会会議録

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〇4番(工藤勝博君) 政和・社民クラブ工藤勝博でございます。
 昨年4月の県議会議員選挙におきまして、八幡平選挙区から初めての議席をいただきました。先輩議員、同僚議員の御配慮により初めての一般質問の機会をいただいたことに、厚く感謝を申し上げます。
 質問に入る前に、昨年9月の豪雨災害に遭いました八幡平地区が、関係機関の御努力により激甚災害の指定を受け、早期の復旧の運びになりましたことに敬意を表します。また、年末には、長年の懸案でありました国道282号西根バイパスの半分が開通いたしました。あわせて、地区民ともども喜んでいるところでございます。
 それでは、通告に従い質問させていただきます。
 達増知事が就任され、間もなく1年が経過いたしますが、これまでの県政運営を振り返って何点かお伺いいたします。
 達増知事は、昨年の知事選において、県民の圧倒的な支持を受け誕生されました。希望王国岩手の創造に、県民は期待しているものと思います。
 そこでお伺いしますが、危機を希望に変える2大戦略、新地域主義戦略と岩手ソフトパワー戦略は、県民にどのように理解され浸透したのでしょうか、お伺いいたします。
 次に、宮崎県の東国原知事は、宮崎をどげんかせんといかんと言って、知事選に勝利しました。達増知事は、県政の基本理念として、本当の改革を行えば危機が希望に変わると述べております。県民の生の声は、知事の基本理念に期待を込めて、なんじょにがしてけろという思いが強いと思います。岩手の改革として、知事はどのような改革を目指されるのか、お伺いいたします。
 次に、岩手と一村一品運動の里・大分県とは、民間放送局間の交流を媒介に物品の交流が盛んでありますが、今、話題豊富な宮崎県との交流促進を考えてみてはいかがでしょうか。東国原知事のトップセールスのもと、宮崎地鶏、マンゴー、宮崎牛がブレークしております。また、宮崎県は1次産業と観光が大きな産業で、岩手県とは共通する基盤が数多くあります。
 そこで、官民挙げての交流促進を図ってはいかがでしょうか、お伺いいたします。
 次に、農林水産業の振興について何点かお伺いいたします。
 まず1点目は、戦後、農地改革以来と言われた品目横断的経営安定対策、米政策改革推進対策が、米の過剰作付により需給調整の失敗、米価の暴落などを背景として大幅な見直しが行われました。面積要件の原則や特例などに該当しない場合でも、水田農業ビジョンに位置づけられた認定農業者や、集落営農組織が市町村特認制度を活用し加入が可能になったことや、集落営農組織の法人化等の指導の弾力化があります。これは、昨年の参議院選挙の民意のあらわれでもあったように思います。とりわけ、地方にとっては、農政の示す方向に敏感に反応した結果ではないでしょうか。
 そこで、このように対策が1年を経ずに見直されたことに対する知事の御所見と、見直しに対する対応状況についてお伺いいたします。
 2点目に、農林水産業における原油、飼料価格の高騰対策についてお伺いいたします。
 農業・農村を取り巻く状況は、生産者の減少、高齢化などによる生産構造の変化やグローバル化による価格低迷が続き、食料を安定的に供給していくためには、農業の体質強化が待ったなしの課題だと思います。さらに、ここ数年来上昇している原油高が、農家経営を圧迫しております。燃料費の高騰はもとより、生産資材の値上がりで、経営維持すら困難だという声を多く耳にします。
 そこで、食料供給基地岩手を確立するためにも、また、担い手、後継者の夢と希望を砕かないためにも、県として最大限の支援が必要と思われますが、いかがでしょうか、お伺いいたします。
 3点目に、生産性や市場性の高い産地づくりに向けた具体策及び飼料用米の生産振興についてお伺いいたします。
 今、農林水産業は疲弊し切っております。市場原理のもとで農林水産物価格は低迷し、原油高、生産資材の高騰により、所得減少が続いているのが実態です。県内の販売農家戸数も減少の一途で、2005年で6万7、330戸、2000年から11.3%減少しました。農業従事者は高齢化が進み、65歳以上の割合が58.2%に上りました。現在、この数字はもっと高くなっているはずです。このような厳しい状況の中で、2006年の農業生産額が2、544億円、前年比0.1%増の3億円増とほぼ前年並みですが、これは前年に続き全国都道府県別で見ますと11位、東北では青森県に続いて第2位であります。また、2005年の沿岸漁業生産額は289億円、林業算出額は188億円となっております。今、小売・加工・外食産業では輸入農産物に対する不信感から、安心・安全な国内産にシフトする傾向にあり、岩手の農林水産業にとってはまさに追い風、チャンスです。
 そこで、生産性や市場性の高い産地づくりに向けた具体策についてお示し願います。
 また、近年、耕作放棄地が増加の一途をたどっております。農地の有効利用、所得の確保、環境保全を含めた災害防止のためにも、飼料用米の生産振興を岩手の農政の目玉として取り組んではいかがでしょうか、お伺いいたします。
 4点目に、企業による森づくりについてお伺いいたします。
 岩手県は県土の8割が森林で占められ、国内2番目の森林面積を有し、豊富な森林が県民の生活に多くの恩恵を与えているのは御承知のとおりです。しかしながら、森林の果たす公益的機能の維持・増進には大きな課題があります。その一つに、木材価格の長期低迷による林業経営の悪化、経営意欲が低下していることが挙げられます。また、間伐材の多くが放置され、伐採跡地の荒廃も散見されます。これらの対策として、作業路等の基盤整備、間伐材の利用拡大や伐採跡地の再造林が重要な課題となっています。このような状況の中で、今注目されている企業の力を借りての森づくりに対して、県ではどのようなお考えなのか、お伺いいたします。
 5点目に、いわての森林づくり県民税を活用した事業の見直しについてお伺いいたします。
 いわての森林づくり県民税は、平成18年度から導入され2年が経過しました。県民税導入の趣旨も理解され、それぞれの主要事業が順調に実施されていることは、大いに評価されるべきと思います。しかしながら、いわての森林づくり県民税事業評価委員会からの提言などでは、さらなる施策の充実が求められております。
 そこで、新年度に向けての見直し等についてお伺いいたします。
 6点目に、生産性、市場性の高い農産物の産地づくりのための技術開発についてお伺いいたします。
 本県農業の振興にとって、消費者等のニーズにこたえた農産物を生産し、それらを安定的に供給できる生産性、市場性の高い産地づくりを進めていくことが、極めて重要であると考えております。そのような産地は一朝一夕で形成されるものではなく、生産者を初め、関係者の不断の研究と努力の積み重ねが実って、初めて花を咲かせることができるものであります。このために、特に産地間競争に打ち勝ち産地として生き残るためには、独自品種の開発を初め、消費者等のニーズにこたえる生産技術や飛躍的に生産性を向上させる技術など、県独自の技術開発を行っている県農業研究センターの役割は極めて重要であります。
 そこで、農業研究センターにおける技術開発の方向についてお伺いいたします。
 私はイチゴを栽培しておりますが、その親株は栃木県などで育種された品種であります。苗は高い許諾料を支払って購入している状況ですが、いわて希望創造プランの中では、優良品種の迅速な開発を促進するため、民間育種家等との協働による品種開発体制を構築するとあります。これは、今日まで、県独自で開発に取り組んできた品種開発の後退との印象を受けるのですが、いかがでしょうか、あわせてお伺いいたします。
 次に、環境とエネルギーについてお伺いいたします。
 第1に、排出量取引についてお伺いいたします。
 今日、日本を取り巻く状況の中で、環境、エネルギーの問題がこれほど注視される時代があったでしょうか。
 先進国首脳会議─洞爺湖サミットでは、主要議題として地球温暖化対策が討議されます。京都議定書において、日本が目標とした温室効果ガス6%削減より、岩手県はさらに厳しい二酸化炭素排出量の8%削減の目標達成に向けて努力しているわけですが、現実には、平成16年における二酸化炭素排出量は、対平成2年比で、全体比0.1%増です。その中で、民生部門は、家庭・業務部門ともに20%から28%の増、また、運輸部門が12.5%増となっております。産業部門では7.7%減ですが、全体排出量の割合で見ますと34.4%、3分の1の排出量です。この数字から見ましても、さらに取り組みの強化が必要であります。岩手県は、北海道に次ぐ広大な森林面積を有しており、吸収源としての森林を守り育てることが重要と思います。
 現在、我が国では、国内排出量取引について議論されておりますが、岩手県立大学の教授によりますと、国内での排出取引をすべきと提言されております。地方にいる我々には、豊かな自然が財産です。この自然を守り育てるためにも、吸収源を絡めた排出量取引について検討されるべきではないでしょうか、お伺いいたします。
 次に、エコショップについてお伺いいたします。
 ある外食産業では、環境には迷惑をかけない店を目指して、店舗から出る生ごみの再処理機を独自で開発し、循環型のエコショップを展開しております。このようなごみの減量と資源化に取り組んでいるエコショップ認定店数は、平成18年度で85店です。県では、平成22年度には4倍の350店にまで拡大する目標を立てていますが、その方策とエコショップに対する評価についてお伺いいたします。
 次に、エネルギーの町、葛巻町の取り組みについてお伺いいたします。
 原油の高騰、争奪、環境破壊、そして資源の枯渇が地球規模で進行する中で、脱石油の取り組みは今日の大きな課題となっています。県内のエネルギー消費量は、原油換算で平成22年387万キロリットルを想定し、そのうち、新エネルギーの導入割合を10.3%に設定されていますが、私は少な過ぎると思います。本県の電力自給率は直近で25%であり、新エネルギーの導入の余地がまだまだあるのではないでしょうか。
 ちなみに、クリーンエネルギーの先進地葛巻町の状況を見ますと、電力の自給率が185%で、ガス、灯油、ガソリンなど、電力以外のエネルギーを含めますと町のエネルギー自給率は78%あり、特筆すべきものとなっております。このことは、ないものねだりではなく、地域資源を最大限に有効活用するという考えで取り組んできた成果だと思いますし、来年度から県が進めようとしているバイオエネルギー利活用の促進の参考となるものと思います。
 そこで、まさに風をつかんだ町、株式会社くずまきの取り組みと、その評価についてお伺いいたします。
 次に、次世代の究極のエネルギーとして、各分野の活用が期待されるものに水素があります。
 先般、県外調査でトヨタ自動車、大同工業大学、三重県燃料電池研究センターで、燃料電池の開発状況を見聞してまいりました。試作車にも乗車し、乗り心地のよさに満足し、早期の実用化を期待したところでありますが、燃料電池が発電する際に水が発生することから、寒冷地での凍結が課題とのことでありました。
 そこで知事にお伺いいたします。トヨタ系列の生産工場がある本県の地の利を生かし、寒冷地仕様の燃料電池車を岩手で生産し、世界に送り出すため、三重県が行っております燃料電池車開発プロジェクトに参入してはいかがでしょうか、お伺いいたします。
 次に、人づくり、人材育成についてお伺いいたします。
 初めに、岩手らしさを生かした食育の推進についてお伺いいたします。
 地域に根差した学校給食を通じ、各地で取り組みが進んでいる食育は、学校、家庭、地域による連携がより一層求められております。児童生徒の健全な心身の発達は、正しい食により形成されるものと確信いたします。わがままに好きな物だけ食べていると、元気な体力も自制心も育ちません。規則正しい食事と生産者への感謝の気持ちなどをはぐくむことにより、心豊かな人間を育成することができるものと考えます。
 ある小学校の食に関する調査では、肥満度30%以上の子供が9.9%、朝食を食べない子が7.4%いるという結果が出ております。食に関する指導も、さらに推進する必要があると考えます。ちなみに、食という字は人に良と書きます。
 そこで、早寝、早起き、朝ごはんの運動はもちろんのこと、作物を育て命をはぐくむことの苦労や、収穫の喜びを分かち合う農業体験学習など、岩手らしさを生かした食育を一層推進する必要があると思いますが、いかがでしょうか、お伺いいたします。
 次に、職業学科の再編と教育環境の充実についてお伺いいたします。
 県立高校においては、少子化による生徒減少に対応した学科編成を行っていますが、果たしてこのような対処を続けてよいものでしょうか。特に、職業学科の生徒は、目的意識を持って進路選択をして勉学に励んでいるわけであります。岩手の次代を担う人材を育てる教育環境として、職業学科特有の専門性を考慮しながら、少数精鋭、少人数学級など、柔軟な学科設置や定員配置があってもよいと思うのですが、いかがでしょうか、お伺いいたします。
 盛岡農業高等学校では、食品科学科パン研究班のアイデアによるヤマブドウを使用したパンが、大手コンビニエンスストアから近々商品化されると伺っております。仕入れ担当者は、地産地消や生産者への貢献という大きな目標を掲げ、真剣に取り組むパン研究班の生徒や指導教員の熱心な姿に触れ、商品化に向け自信を深めたと言われます。しかしながら、全国コンクールにおいて何度も入賞し、その活躍ぶりには明るい希望が持てる一方、取り組みを支える現場の実習施設には時代おくれの設備が多々見受けられます。
 そこで、日進月歩に進化している現実に合わせ、さらに一歩前を行く技術習得ができる環境整備を図るべきだと思いますが、お伺いいたします。
 次に、農業高生特別枠の導入のための岩手大学との連携についてお伺いいたします。
 ここ数年、本県の農業高生の大学進学はふえておりますが、地元大学の門は狭く、専門校枠のある他県の大学を選ぶ生徒もおります。専門科目が教科の半分を占める農業高生は、普通校に比べ入試対策に充てる時間が少なく、多くの生徒はセンター試験を課さない推薦入試や、専門校特別枠を設置している大学を選択しております。地域農業を支える課題解決の能力を身につけた人材育成がぜひとも必要です。
 そこで、農業高生特別枠の導入のための岩手大学との連携はどのように進んでいるのか、お伺いいたします。
 次に、平成28年国民体育大会とスポーツ振興についてお伺いいたします。
 私は昭和45年以来、2巡目の岩手国体の開催に心から喜んでいる一人であります。8年後の国体の成功に向け、何点かお伺いいたします。
 まず1点目に、スーパーキッズ発掘・育成事業の事業成果と今後の検証についてであります。
 国体の成功には、地元選手の活躍がぜひとも必要であります。県では、昨年から身体能力のすぐれた児童を早期に発掘し、系統的な能力開発の実施・育成に努めているところであり、また、具体的な指標として、本県出身の国際大会日本代表者数を現在の23人から70人へ引き上げることが示され、競技スポーツの向上に取り組まれようとしております。
 そこで、ことしからスーパーキッズの能力に磨きがかかると思いますが、これまでの事業成果をどのように把握し、今後の事業展開の評価についてどのようになされるのか、お伺いいたします。
 2点目に、実施競技と開催地の選定についてお伺いいたします。
 正式競技は37、公開競技は高校野球、デモンストレーションとしてスポーツ行事があり、昨年の秋田国体では21の行事が行われ、スポーツに対する関心の喚起と取り組みの強化促進に寄与しておりますことから、競技種目と会場地の早期選定は、これまた国体の成否にかかわるものと思います。さらに、会場地となったことによる効果の一例ですが、岩手町は国体のホッケー会場となり、以来、地域ぐるみの取り組みにより、小・中・高と一貫したホッケー人口の拡大に努め、日本代表選手も多数輩出するなど、ホッケーの町として全国に名をはせております。このことからしても、会場地の取り組み、盛り上がりが何より大事であります。
 そこで、会場地の選定は平成22年度までの予定でありますが、できるだけ早期に決定し、開催地の受け入れ体制を整えるべきと思いますが、いかがでしょうか、お伺いいたします。
 3点目に、田山スキー場ジャンプ台の防護壁整備の支援についてお伺いいたします。
 雪国岩手には、スキー、スケート、バイアスロン等の冬季スポーツが長い歴史と伝統を誇り、輝かしい実績を残し、オリンピックの金メダリストも輩出しております。今後、冬季スポーツの振興を図るためにも、すばらしい技術と実績を持った指導者の確保とともに、十分なトレーニングを積むことができる環境整備が重要であります。特にも、冬季スポーツのうち、ジャンプ競技は危険を伴う競技であることから、何よりも安全確保が優先される競技であります。県内で唯一ジャンプ競技が可能な施設は八幡平市田山スキー場のみでありますが、安全確保のための必置の施設として防護壁の整備が急務となっております。
 そこで、田山スキー場ジャンプ台の防護壁整備の支援についてお伺いいたします。
 次に、県立自然公園の指定についてお伺いいたします。
 本年は、平泉の文化遺産が間違いなく世界遺産に登録され、県民に大きな喜びと感動をもたらすものと確信しております。ところで、平泉と深いかかわりのある七時雨山ろくには県内有数の貴重な自然があり、また、奈良時代から平安時代にかけて創建された古寺や仏堂が数多くあります。七時雨山は、日本神代秘史にも神の山として記載されているほど、神秘的で伝承も多い山であります。
 また、今から1、100年ほど前に、坂上好蔭が秋田の蝦夷征伐のために、七時雨山ろくに道を開いたのが流霞道の始まりと言われ、街道には、今なお当時の一里塚を初めとする貴重な史跡が残されております。このような価値を持つ七時雨山周辺と鹿角街道は、過去から未来への贈り物としてその魅力を公開し、地域の活力に結びつけていくためにも、保護、保存に取り組む必要があります。平泉の文化遺産登録を機に、七時雨山周辺を自然や歴史に触れ合う場、そして命の安らぎの場として広く県民に愛される県立自然公園に指定するべきと思います。知事のソフトパワー戦略とも一致すると思いますが、御所見をお伺いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
 答弁の内容によりましては再質問させていただきます。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 工藤勝博議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、2大戦略の県民への浸透についてでありますが、新地域主義戦略と岩手ソフトパワー戦略の二つの戦略については、今般策定した、いわて希望創造プランにおいて、県民所得の向上を初めとする四つの重点目標の達成に向けた基本戦略に位置づけ、その策定過程で実施した地域説明会などを通じ、広く県民の皆様への周知を図ってきたものであります。
 こうした中、これらの戦略の考え方がわかりにくいといった御意見もちょうだいしましたことから、あわせて、テレビや新聞を初めとしたさまざまな広報媒体や各種講演会などを通じ、私から直接、わかりやすく御説明申し上げる機会の確保に努めてきたところでありまして、この結果、県民の皆様にその考えがより浸透しつつあると考えております。
 もとより、この戦略は、私がマニフェストに掲げたものであり、知事就任後、直ちにこれらの戦略に基づく取り組みを6月補正予算として盛り込み、新地域主義戦略に基づく4広域振興圏を基本とした広域的な視点による産業振興に向けた取り組みや岩手ソフトパワー戦略に基づく安全・安心な農林水産物を初めとした岩手ブランドの積極的な海外展開などの取り組みを推進してきたところであり、その成果も着実に芽生えつつあると認識しております。
 今後、こうした取り組みの成果をより大きなものとすることで、危機を希望に変える2大戦略をさらに多くの県民の皆様と共有し、県民の総力を結集した県土づくりを進めてまいりたいと思います。
 次に、私が目指す改革についてでありますが、私は、県民が確かな希望を抱く岩手を実現していくためには、地域経営の考え方を基本に、自立と共生による地域主権型の地域づくりを進めていくことが重要と考えております。
 この自立と共生による地域づくりに当たっては、まず、私を含め県民一人一人が、岩手が直面するさまざまな危機をなんじょにかすんべという意識を持ち、これまでの発想や価値観にとらわれることなく、社会的な仕組みや制度等を変えていくよう取り組んでいかなければならないと考えているところであります。
 このため、自立と共生の理念をすべての県民が共有し、自立した地域づくりに向け、ものづくり産業や食産業、観光産業、農林水産業などの産業振興を進め、その優位性を世界に発進していくことにより、グローバル化に適応した力強い産業構造へ変革していくこと、共生の理念による地域づくりに向け、安心して暮らしていくことができるよう、少子・高齢社会における医療・福祉、教育など、県民生活の基本となるサービスを地域で主体的かつ良質に提供できる仕組みへ変革していくことが重要であると考えております。
 また、県民生活の原点であり、まさに自立と共生の理念の象徴である草の根地域コミュニティを元気にすることにより、地域全体の活力が高まっていくよう、その維持・再生に力を入れていくほか、こうした改革を進めることとあわせ、地方分権改革や市町村の行財政基盤の強化、県の行財政改革を着実に進めていくところでございます。
 次に、宮崎県との交流についてでありますが、現在、本県における他県との連携は、北東北3県による包括的な広域連携を初め、東北全体における自動車関連産業や観光分野での広域連携を核としながら進めているところであります。
 また、民間においても、北東北3県の企業や試験研究機関の連携による新たな銘柄のワインの製造・販売や金融機関による合同ビジネス商談会の開催といった取り組みが行われております。
 こうした近隣道県との連携を着実に進める一方で、北海道、東北を超えた地域とも、共通する課題や必要性に応じてさまざまな連携を進めていきたいと考えておりまして、平成5年の大冷害を契機とした沖縄県との交流が行われている例もありますことから、御提案のあった宮崎県を初め、連携・交流により相互に成果が期待できるものについて、幅広くその可能性を探ってまいりたいと思います。
 次に、品目横断的経営安定対策、米政策改革推進対策の見直しに対する所見と対応状況についてでありますが、まず、経営安定対策は、面積要件等の設定により加入経営体が限定されたことや、米政策については、生産調整のメリットの措置が不十分であり、過剰作付により米価が大幅に下落したことなど、地域農業の実態を十分反映した内容となっていなかったことに対して、本県を初め、全国各地から意見・要望が出され、今回の見直しに至ったものと考えております。
 県としては、この見直し内容を受けて、集落座談会などを通じて農業者への周知を図っているところでありますが、今後は、現在進めている集落水田農業ビジョンの点検・見直しとあわせた経営安定対策への加入促進、市町村や農業団体と連携した生産調整の円滑な実施、そして、本県の実情を踏まえた国に対するさらなる制度改善の提案、こうしたことにより、これらの対策が農業者の所得向上につながっていくよう取り組んでまいりたいと思います。
 次に、三重県における燃料電池車開発プロジェクトへの参入についてでありますが、三重県では、四日市コンビナートで副産物として発生する水素に着目し、数年前から企業、大学、公設試験研究機関等が連携して実証実験を展開しているところであります。
 燃料電池の実用化に向けては、耐久性や安全性、高コストなどの多くの課題があるほか、発生する水の寒冷地での凍結も問題となっており、燃料電池車の寒冷地対策については、各自動車メーカーの本社開発部門が北海道において実証試験を行っているところであります。
 一方、県内におきましては、燃料電池や燃料電池車に関する研究ポテンシャルが十分ではないものの、本県としては、自動車関連産業の集積を目指す立場から、自動車メーカーや三重県の燃料電池開発プロジェクトに関する情報の収集に努め、その動向を注視してまいりたいと思います。
 次に、県立自然公園の指定についてでありますが、県立自然公園は、自然公園法に基づき、傑出した自然の風景地について、その保護と利用を目的として指定する制度であります。
 指定に当たっては、特筆すべき自然の資質についての文献調査や現地調査を行う必要がありますが、その前提として、当該地域の保護や利活用に関する地元市町村との調整、指定により土地利用を制限されることとなる土地所有者の理解、公園の管理や利用促進に対する地元の協力体制などの条件が整う必要があると考えております。
 御提言の七時雨山周辺における歴史的・文化的な面での価値については、私も、平泉の自然との共生の価値に通じるものとして評価するものでありますが、指定の判断は、制度にのっとり、自然の資質に着目して行われなければならないので、ただいま申し上げました諸条件について、地元と協議を進めながら、その適否を含め検討してまいりたいと思います。
 その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁させますので、御了承お願いします。
   〔農林水産部長高前田寿幸君登壇〕
〇農林水産部長(高前田寿幸君) まず、農業における原油・飼料価格高騰対策についてでございますが、県といたしましては、本年1月に、関係機関・団体と連携した対策会議を設置し、相談窓口を開設するとともに、家畜の飼養管理技術等の指導強化や、補助事業等を活用した省エネ施設の導入などを支援しているところでございます。
 また、本年2月には、国に対し、本県の農業経営の現状を踏まえ、飼料及び原油価格高騰対策の充実強化等を提案したところでございます。
 今後におきましては、先般決定されました国の畜産・酪農支援緊急対策を積極的に活用するとともに、県といたしましても、来年度新たに実施する県単事業を活用した省エネ施設等の整備、木質バイオマスの利活用やホールクロップサイレージの普及促進など、本県の地域特性を生かした対策を推進し、農業者が安定的に経営を継続できるよう支援してまいりたいと考えております。
 次に、農林水産物の生産性や市場性の高い産地づくりについてでございますが、食をめぐる不安が増大する中で、消費者や市場ニーズに対応し、安全・安心で高品質な農林水産物が消費者等に安定的に提供できる産地づくりが求められております。
 このようなことから、今般策定いたしました、いわて希望創造プランに基づき、県版農業生産工程管理の普及、産地魚市場の衛生管理基準への適合化の促進やトレーサビリティーシステムの導入拡大などにより、岩手らしい安全・安心な農林水産物の供給体制を確立するとともに、農業では、環境負荷低減や収益性の向上に向けた高度な生産技術の開発・普及と冬春野菜などの導入促進、林業では、市場ニーズに対応したシイタケ等特用林産物の生産技術の普及促進、水産業では、サケやアワビの増殖効率の向上やナマコ増殖技術等の開発などに取り組み、生産性・市場性の高い産地の形成を促進してまいります。
 次に、飼料用米の生産振興についてでございますが、飼料用米は、排水不良田等の有効活用が図られ、また、既存の機械・施設が利用でき、栄養価がトウモロコシとほぼ同等であるなどのメリットがありまして、県内におきましても、既に一関市や軽米町において、産地づくり交付金を活用し、養豚業者と提携した生産が行われており、また、来年度からは、八幡平市や花巻市などでも新たに取り組まれることとなっております。
 しかしながら、飼料用米は、主食用米に比べて取引価格が約6分の1と安いことや安定的な供給先の確保が必要であることなどの課題もありますことから、今後は、飼料用米が国の耕畜連携対策の助成対象となるよう、引き続き国に提案するとともに、多収品種や直播栽培など、低コスト生産技術の普及や県内外の飼料メーカーに対する産地情報の発信などにより、本県の地域特性を生かした飼料用米の生産振興に努めてまいりたいと考えております。
 次に、企業による森づくりに対する県の考え方についてでございますが、企業による森づくりは、企業の人材と資金による森林整備の促進、森林整備を社会全体で支えていくという機運の醸成、さらには、地域の活性化や都市と山村の交流といった面で大きな効果が期待されるところであり、本県におきましても、こうした企業の森づくり活動が促進されるよう、その環境を整えることが重要な課題であると考えているところでございます。
 このため、県といたしましては、現在、企業のニーズを把握するためのアンケート調査や、企業に提供可能なフィールドについての森林所有者からの情報収集を行っているところであり、今後は、これらの調査結果等を踏まえ、企業と森林所有者とのコーディネートなど企業の取り組みを促進するための方策を検討し、市町村や関係団体などの協力を得ながら、企業による森づくりを積極的に促進してまいりたいと考えております。
 次に、いわての森林づくり県民税を活用した事業の見直しについてでございますが、この県民税を活用した事業につきましては、県民の皆様や県議会などから多くの意見をいただいており、これらの意見を踏まえ、外部有識者等で構成する事業評価委員会で検討いただいた結果、地域に精通した市町村等の参画を促進すべき、森林環境学習を支援すべき、それから、森林・林業について県民の理解をさらに醸成すべきといった提言をいただいたところでございます。
 県といたしましては、こうした提言を踏まえまして、新年度から、管理が不十分な森林を広域的機能の高い針広混交林に誘導する、いわて環境の森整備事業の事業主体として市町村等を加えること、地域住民による森づくり活動を支援する県民参加の森林づくり促進事業の支援対象に、森林環境学習活動や炭焼き体験などを追加すること、さらには、広く県民の皆様に森林・林業を学ぶ機会を提供する、いわて森のゼミナール推進事業を創設することなどを内容とする施策の充実を図ってまいりたいと考えているところでございます。
 次に、農業研究センターにおける技術開発の方向についてでございますが、農業研究センターでは、本県農政の推進方向や農業者等のニーズを踏まえ、農業の競争力強化や担い手の育成などに資する新品種や先進的な栽培技術の開発などに取り組んできたところでございます。
 今後におきましても、今般策定いたしました、いわて希望創造プランに掲げる日本の食を守る食料供給基地岩手の確立を目指し、良食味で農薬使用を大幅に削減できる米の新品種や新盆向けのリンドウの新品種の開発、さらには優良種雄牛の作出に取り組むほか、無農薬栽培技術など環境負荷低減に向けた栽培技術や、水稲の直播栽培など低コスト化、収益性向上を図るための技術を開発し、生産性・市場性の高い農産物の産地形成や農業をリードする経営体の育成に資する技術開発に積極的に取り組んでまいります。
 次に、品種開発についてでございますが、近年、米など各県のオリジナル品種による産地間競争が激化していることや、リンゴの育成品種の供給を県内に限定する他県の方針が示されていることなどから、産地づくりをリードする品種を効果的・効率的に開発するためには、国等との連携のもとに、米、リンゴ、リンドウなどの戦略品目に一層の重点化を図るとともに、近年急速にレベルアップしております民間育種家と連携した品種開発に取り組むことが重要となっております。
 このため、来年度から、新たに県や関係団体・民間育種家等で構成する研究組織を設置し、育種技術の交流や情報交換、遺伝資源の相互利用等に取り組み、民間と一体となったオリジナル品種の開発体制を構築し、他県産地に打ち勝つ力強い園芸産地づくりを推進してまいりたいと考えております。
 次に、農業体験学習などを通じた食育の推進についてでございますが、食べ物を大切にする心の欠如や生産者と消費者の距離の拡大等、食をめぐるさまざまな問題が指摘されている中で、児童生徒が農林水産業を体験し、学習することは、食や農林水産業への理解を増進する観点から、重要な取り組みと認識いたしております。
 このようなことから、県といたしましては、各地方振興局に体験学習の相談窓口を設置するとともに、生産者等の食育パートナーによる出前授業や、教職員を対象とした農業研修などを実施してきたところでございます。
 今後は、新たに、小学生が農山漁村で宿泊体験活動を行う国の子ども農山漁村交流プロジェクトなども活用しながら、豊かな自然にはぐくまれた豊富な食材の生産現場が身近にあるという本県の特徴を最大限に生かして、学校や生産者等と連携を図り、岩手らしい食育を促進してまいりたいと考えております。
   〔環境生活部長菊池秀一君登壇〕
〇環境生活部長(菊池秀一君) まず、排出量取引についてでありますが、この制度の国内での導入について検討した国の審議会におきましては、賛否両論があり、この2月の最終報告では、その効果、産業活動や国民経済に与える影響などを総合的に検討していくべき課題とされたところであり、また、排出量取引の対象として、御提言の森林吸収量は含まれていない状況であります。
 しかしながら、本県のような広大な森林を有する県は、森林吸収を通じてCO2の削減に大きく貢献していることから、吸収源を含めた排出量取引の導入は大きなメリットがあると考えております。
 こうした考えのもと、本県も参加した全国知事会の専門部会で検討し、昨年11月に国に対し、森林吸収量の算定を含めた排出量取引制度の創設についての検討や、吸収源対策の強化に向けた国と地方の連携方法等について要望を行ったところであります。
 今後とも、国の動向を注視しながら、県としての対応について検討していく考えであります。
 次に、エコショップについてでありますが、エコショップいわて認定制度は、簡易包装の実践、マイバッグの促進など、ごみの減量化やリサイクルに積極的に取り組む店を県、市町村、NPOが認定する制度であり、現在、スーパー等の104店舗を認定しております。これを拡大するため、今年度から新たに、認定のメリットとして、認定事業者も活用できる生ごみ処理機等の導入補助金を設けたところであり、今後におきましては、認定店との共催イベントの開催、報道機関を活用したPR、広報による周知などの取り組みを通じて拡大につなげていきたいと考えております。
 また、エコショップ認定店は、店舗ごとに毎年度目標を定め、ごみの減量化、容器の回収などに取り組んでおりますが、各店舗ともおおむね目標を達成していることから、県全体の廃棄物の排出抑制や再生利用につながっているものと評価しているところであり、こうした効果をさらに拡大するためにも、一層の普及に努めていく考えであります。
 次に、葛巻町の取り組みについてでありますが、葛巻町では、地域資源の有効活用によるエネルギー自給率100%を目標に掲げ、風力や太陽光による発電、畜産や木質バイオマスによる発電と熱利用を進めるとともに、子供たちを対象とした環境講座など、環境学習にも積極的に取り組んでおります。
 こうした取り組みが、まちおこしと地域に根差した新エネルギーを結びつけ、地域の産業振興と活性化につなげた事例として全国的に高く評価され、環境大臣賞や資源エネルギー庁長官賞などを受賞しているところであり、県としても、自然環境や地域特性を生かしたエネルギーの地産地消の優良事例として高く評価するところであります。
 このような取り組みを県内に波及させるため、葛巻町の取り組みに加え、雫石町内のバイオマス発電など、県内各地での新エネルギーの導入事例を取りまとめ、さまざまな機会を通じて紹介するなど、普及啓発に努めていく考えであります。
   〔総合政策室長勝部修君登壇〕
〇総合政策室長(勝部修君) 国民体育大会の会場地の選定についてでございますが、国体の会場地につきましては、今月末に開催を予定しております国体準備委員会の常任委員会で設置されます総務企画専門委員会での検討をもとに、準備委員会常任委員会において十分審議されて決定されるものと考えております。
 これまでに国体を開催した他県の例を見ますと、競技施設につきましては、国体会場地市町村選定基本方針に基づいて、当該市町村や競技団体の意向調査、さらには現地調査などを行って段階的に選定されており、おおむね開催年の6年前に行われる中央競技団体の正規視察を目途に決定する、そのようなスケジュールで会場地が決まる例が大半でございます。
 本県におきましても、これと同様の日程で会場地の選定作業が進められますと、開催年の6年前の平成22年度に決定ということになりますが、いずれにいたしましても、会場地となる市町村の受け入れ準備や県民の盛り上がりなどを考慮いたしまして、できるだけ早期に決定できるよう努力してまいりたいと考えております。
   〔教育長相澤徹君登壇〕
〇教育長(相澤徹君) まず、職業学科の再編についてでありますが、地域の産業を担う有為な人材を育成するためには、職業学科高校の充実が重要であると考えております。
 現在、平成22年度以降の高校再編も含めた今後の高等学校教育のあり方全般について、特にも岩手の産業を担う人材育成の視点を踏まえながら、教育委員会内部で検討を行っており、来年度には、有識者による検討委員会も立ち上げる予定としております。
 その中で、御指摘のあった学科の設置や定員配置も含めた職業学科高校のあり方についても十分に検討を行い、方向性をまとめていきたいと考えております。
 次に、農業高校の施設整備については、全般に老朽化が進んでいる実情にありますが、更新をしなければならない施設整備については何とか賄ってきております。例えば、最近では、盛岡農業高校にパン焼き用のオーブン、イオン分析システム、大型コンバイン、大型トラクターなどを導入してきており、今後も計画的に取り組んでいきたいと考えております。
 一方、財政環境が厳しいことから、さまざまな工夫をしなければならないと考えており、例えば、農業大学校や農業研究センターの施設設備を借りて生徒の実習を行うなど、関係機関と連携した教育のあり方についても、現在、話し合いを始めているところであります。
 次に、岩手大学農学部の農業高校生特別枠についてでありますが、本県の農業高校においては、さらに専門性を身につけるために大学へ進学したいという志向が高まっており、本県の将来の農業界のリーダーを育成する観点から、昨年12月に岩手大学農学部に農業高校生特別枠を設置するよう、教育委員会として、岩手県高校教育研究会農業部会との連名で申し入れを行いましたが、今後の検討課題となっているところであります。
 今後、大学での勉学に必要な学力を身につけさせるため、弾力的な教育課程や課外授業による農業高校生の学力向上に取り組むと同時に、大学への働きかけをさらに強め、何とか前進させたいと考えております。
 次に、いわてスーパーキッズ発掘・育成事業についてでありますが、子供たちを発掘・育成し、生かしていくという事業全体の第1段階を終えたところでありますが、素質ある子供たちを早期に発掘し、運動神経が発達する時期を逃さず育成する仕組みの道筋をつくることができたと考えております。
 また、県内各地での能力測定会の実施や育成プログラムの公開によって、多くの子供たちの体力・運動能力の向上に波及していくことが期待できるものと考えております。
 今後については、測定会のあり方、あるいは育成プログラムの実施方法や内容等、より質の高い事業となるよう工夫していくため、第三者の立場からこの事業を評価いただく外部評価委員会を設置して検証を行っていく方針であります。
 次に、八幡平市営のジャンプ台の防護壁整備への支援についてでありますが、田山スキー場は、本県で開催された冬季国体を初めとした各種の全国的なジャンプ競技の会場となるなど、国内においても数少ない大切な施設であると考えております。
 お尋ねのありましたジャンプ台の防護壁の整備について、教育委員会としては、直接的な支援を行うことは難しい状況でありますが、関係部局と連携をとり、円滑な整備が進むように支援をしてまいりたいと考えております。
〇4番(工藤勝博君) 大変丁寧な答弁ありがとうございます。何点か、知事初め、部局長に再質問させていただきますが、先ほど冒頭に方言を使わせてもらいましたけれども、特にも高齢者の皆さんと接する機会があると、本当になんじょにかしてけろという言葉をよく耳にします。知事におかれましても、岩手らしさのある盛岡弁でいろいろな形でメッセージを発信していただけないものかと思って使わせていただきました。その辺、知事のお考えもお聞きしたいと思います。
 また、先ほど、岩手ブランドのソフトパワー戦略にもありますけれども、去年は、海外戦略として大連あるいはマレーシア等に行って農畜産物の販売もなされたわけですが、この取り組みは今後とも継続していきますのか、それとも一時的なものであるのか、お伺いいたしたいと思います。
 それから、先ほど農業研究センターの役割ということで、大変重要な位置を占めているわけですけれども、今、それぞれの各県で取り組んでいる研究センターでは、自県で研究開発したものはよそには出さないよ、そういう知的財産を使った戦略が大変行われております。育成権者あるいは商標権、特許権というものを使った知的財産というものをそれぞれの県で守っているということで、それが逆にいろんな形で経済効果を発揮しているのが現実なわけですけれども、県としても、それらを含めた研究開発に結びつけて、有利な販売なりあるいはまたそういう発信ができればいいのかなと思いますし、それらが逆に、特にも新品種においては有利販売ができれば、ロイヤルティーをいただきながらでも開発に力を注いでもらいたいなと思います。
 また、温暖化によるいろんな環境の変化によって、農畜産物でも、いろんな障害とかあるいはまた生育ができないとかという要素が出てきております。それらも含めた研究開発が、今後のためにも必要ではないかなと思っております。その辺も含めてお尋ねをいたします。
 もう一つ、最後に知事にも御答弁いただきましたけれども、七時雨山の県立自然公園の指定ということでしたけれども、岩手県は、全国でも県の面積当たりにすると最下位のほうということです。実際、東京都でさえも三十何%、北海道でも、面積によって10%の自然公園が指定されております。それらも含めて、岩手県、この自然豊かな岩手県がわずか5%しかない、2万ちょっとの面積しかないということは本当に残念なことですので、それらも含めて、県としても主体的に取り組む方向はないものかなと、重ねてお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) 県内、県外に対して方言でメッセージを出していくのがよいということにつきましては、私も先ほど議員の、なじょにがしてけろという指摘に対して、なじょにがすんべというふうにお答えしたところでございますけれども、こうしたことはいいことだと思いますので、まんずなんぼが、ぺっこずづでも語っていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 岩手ブランドの展開については、これは岩手そのものの魅力、信頼を高めていくということは、これはもうずっとやっていかなければならないことだと思っております。これは、道義的に人の道としてそれが当然というところもあるんですけれども、21世紀、情報化・国際化の世の中になりまして、そういう文化的魅力や道義的信頼というものが、経済力やその他さまざまな地域の力によりつながっていくという指摘が、さまざまな有識者からされているところでもありますので、特に力を入れていきたいと考えております。
 七時雨山に関連して、岩手の県立自然公園また国立、国定も含めたこの自然公園の面積が狭いという御指摘をいただきましたけれども、確かに、県の面積全体に占めるこの国立・国定・県立自然公園の面積は、岩手は約5%、全国平均が15%でありまして、全国29位であるほか、東北では一番少ない比率でございます。
 一方、岩手県は、人間活動の影響を受けていない自然の割合が東北で一番少ない10.9%でございまして、一方、2次林や植林地を含めた人の手が入った自然を加えるとこれが77.5%となり、東北で一番高い比率になります。すなわち、岩手では、北上高地を中心に、古くから炭焼きでありますとか牛馬の放牧あるいは造林など、産業活動が自然と一体となって営まれてきたためであり、こうした特性を踏まえ、各種行為を規制する自然公園の指定については、岩手においては自然度の高い地域を中心に限定的に行われてきたものと考えております。
 今後におきましても、こうした考えを基本としながら、自然公園として指定することがふさわしいかどうかについて、その時々に判断してまいりたいと思います。
〇農林水産部長(高前田寿幸君) 私のほうから何点かお答えをさせていただきますが、まず、知的財産権の活用の関係でございます。
 議員御指摘のとおり、特に最近の傾向といたしましては、競合する他産地において、開発した品種をみずからの県だけに囲い込むといったような戦略がとられ始めておりまして、私どもとしても、そういった意味でも、品種開発にさらに力を入ていくということが、重要な課題というふうに認識しております。
 特に、この知的財産権の関係につきましては、本県の農林水産物のブランド化といったようなことを考えましたときに、非常に有力な手段であるというふうに認識をいたしております。既に県内におきましても、全農県本部が純情産地いわてといったような商標を登録しているほか、県内農協におきましても、商標登録を活用したブランド化の取り組みが始まっております。また、最近では、いわて短角牛それから江刺りんごなどについても、地域団体商標の登録が行われているところでございまして、さらに県においては、農業研究センターで、これまで水稲、果樹、花卉といったような部門で品種を開発した48品種、これについて種苗法に基づく品種登録を行っているところでございます。
 県といたしましては、平成16年度に岩手県農林水産知的財産センターを設置いたしまして、県内農家や団体等に対して、知的所有権の普及啓発に努めてきたところでございますが、今後とも、商標や特許の登録を支援するとともに、最近増加をいたしております民間育種家による開発品種、これについては県が窓口となりまして、知的所有権の取得や活用を促進してまいりたいというふうに考えているところでございます。
 それからもう一点、地球温暖化の関係、温暖化に対する研究開発ということでございます。
 最近の国のいろんな報告を見ますと、非常に地球温暖化が加速的に進行しているということで、農業生産にも深刻な影響を及ぼすと予測されているところでございます。
 具体的に申し上げますと、7月から9月といったような期間に限ってみますと、この100年間に平均気温が西日本で1.2度、北日本で0.5度上昇いたしておりまして、西日本では既に農作物への影響も出ている状況でございます。北日本では、温暖化による農作物への顕著な影響は今のところ出ておりませんが、今後地球温暖化が進めば、議員御指摘のとおりさまざまな影響が出てくるということで、例えば水稲の白未熟粒の発生であるとか、野菜の病害虫の多発化といったようなことが懸念されているところでございます。
 農業研究センターにおきましては、このようなことを踏まえまして、例えばリンドウやリンゴの高温による品質低下を抑制する技術の開発、それから、温暖化を逆手にとった直播栽培の導入などの栽培体系の見直しといったようなことなど、いわゆる地球温暖化適応策の研究も進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
〇議長(渡辺幸貫君) 次に、斉藤信君。
   〔38番斉藤信君登壇〕(拍手)

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