平成20年2月定例会 第5回岩手県議会定例会会議録

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〇16番(中平均君) 民主・県民会議の中平均です。
 2月定例会に臨み、達増カラーを込めた平成20年度予算の審議議会において一般質問の機会がめぐってきたことに対しまして、先輩・同僚議員に感謝を申し上げます。
 今回の一般質問は、危機の認識と希望の手法を主題として質問を行ってまいりますので、知事初め執行部におかれましては簡潔明瞭な答弁をお願いいたします。
 まず初めに、希望王国岩手の実現に向けた知事の取り組みについてお伺いいたします。
 知事が絶えず発言されている危機を希望に変える、その言葉に県民は大きな期待を寄せています。現在、岩手県が置かれている危機の実態、経済活動の低迷、雇用環境の悪化、三位一体改革という大義を掲げた地方切り捨てによる財政悪化、県北・沿岸地域と県央・県南地域の格差の拡大、意識変革が進展しない行政、全国ワーストに位置する自殺率、医師不足による医療体制の悪化などなど、こういったまさしく危機と言える現状を希望に変えていくために、今般、知事はいわて希望創造プランを作成されたことと思います。また、埋もれた資源を希望の種とするために、知事においては積極的にトップセールスを展開されてきました。海外においては大連、マレーシア、国内においても大田市場や東京食肉市場におけるいわて牛の共励会と多岐にわたりPRを行ってきた結果、食材に関してだけでも、生産者の努力と相まって価格の上昇につながっている実態も伺いました。特にも、キリングループとのプロジェクトでは全国平均の倍近い応募があり、牛肉についても、枝肉単価の上昇のみならずホテルでのフェア開催につながるなど、希望の種が芽吹いたとも言える2次展開も見られるようになってきたところと聞いております。もとより、これは知事一人の力ではなく、生産者を初めとする関係者の日常からの努力があってのことですが、トップセールスにより引き出された面も大きいと感じます。
 そこで、達増知事に伺うのは、希望創造プランの作成、そしてトップセールスに代表されるみずからの行動により、まさに希望への取り組みを実践しているのだと認識していますが、改めて知事の希望王国岩手実現への決意を伺います。
 また、知事就任以来、行政職と政治家としての区別に対してのさまざまな質問が今までにありましたが、知事と議会、県政の両輪としてどのような関係を構築し、岩手の発展を創造していかれるのか、伺います。
 次に、行財政改革について伺います。
 平成16年から始まったいわゆる三位一体の改革。三位とは、すなわち国庫補助金負担金の廃止・縮減、税財源の移譲、地方交付税の見直しの3点でありました。結局、当初の予想とは裏腹に、地方分権の名のもとに国の財政再建が行われ、そして結果として岩手県の財政運営は非常に厳しいものになりました。国庫補助負担金の廃止等による一般財源への影響額は、平成18年度は306億円、平成19年度は315億円、そして平成20年度の予想では301億円と、3年間で実に921億円の減額。一方、税源移譲されたものは個人県民税であり、平成20年度予想は154億円。平成20年度だけでもマイナス147億円であり、差額が財政を圧迫しているのは既に承知のとおりです。
 今般、国は地方財政計画では、暫定とはしながら、税制の偏在是正を行うこととしているほか、その財源を活用した地方再生対策費の予算を計上していますが、全国枠で4、000億円という、今まで減らされた額から見れば非常に微々たるものです。また、県税収入は増加していますが、その中には定率減税が廃止されたことによる22億円の増加も含まれています。言いかえれば、県民の可処分所得が減っているということであり、景気が緩やかにでも回復しているとはとても言えない状況にあります。知事演述にもあったとおり、国の政策はいまだ地方に厳しいということが言えます。この現実に、知事は国に対してどのような発言、行動をしていくのか。また、こうした現実は今の政権が続く限り是正される見込みはないと考えますが、この点についてはいかがでしょうか、お伺いいたします。
 先日、厳しい財政環境にある中での県職員の給与問題で、職員組合と合意に達したとのことでありました。知事、県庁職員もまさに苦渋の決断であったろうと察するところであります。両者の英断に敬意を表します。そのほかにも経費を削減するために、年間を通しての当座借入金を少しでも少なくする取り組み、県有の未利用資源の活用、税金を初めとした各種未収金の回収、一括契約等による事務経費の節減、冷暖房設定温度の設定がえや学校等の廊下の電気を消すといったまさに大きな事柄から小さなことまで、そういった不断の努力を続けていますが、それでも主要3基金は3年後の平成22年には残高51億円。また、プライマリーバランスを好転させるためには、どうしても義務的経費の増大と投資的経費の縮小という結果にならざるを得ないところと思います。しかし、必要な事業をするためには県債発行は不可避であるという、まさにアンビバレンツ、二律背反を抱えた中で、これからの財政規模はどのように推移していくのか、投資的経費はさらに抑制していかなければならないのかといった点を踏まえた今後の財政運営についての見通しを伺います。
 いわて希望創造プラン改革編、岩手県集中改革プログラムにおいて、県民本位の分権改革と行財政基盤の強化に向けた改革に取り組むとのことであり、関連して質問いたします。
 最初に、指定管理者制度について3点伺います。
 一つ目は、平成20年度は第2期の指定管理者を選定することとなっておりますが、第1期最終年度に当たり、成果をどのように認識し、評価を行っているのか。
 二つ目に、県の出資法人も指定管理者として参画している施設もありますが、制度導入前と比較して、開館時間や応対といった県民サービスがよくなったことに反比例するかのように、委託料は制度導入前より低価格となっていることに対して矛盾を感じる人間も少なくないですが、この点に関してどう考えているのか。
 そして三つ目、平成20年度に2期目の指定管理者を選定していくことになりますが、先ほど質問した1期目の成果等を踏まえ、どのように対応していく予定なのか、伺います。
 次に、県有資産の有効活用について伺います。
 今年度までに旧副知事公舎を約1億5、800万円で売却したのを初めトータルで21件、6億円の収入であり、ホームページでのバナー広告では平成19年度約300万円、エレベーターホールでは約34万円の収入を得たとの資料をいただきました。この点に関して、当初予定していた収入額に対しての見解を踏まえた評価を伺います。また、県有土地の売却は、既に売れる土地は売却済みであり、今後大きな収益が望めない状況であると考えます。一方で、平成20年度以降はネーミングライツ等を検討しているとのことですが、現在までの検討状況、さらには取り組む上での課題、今後の収入の見込みについてどのように考えているのか、伺います。
 資産活用の中で資産株の売却も行うことを計画していますが、過去の出資法人等改革調査特別委員会において、この点については議論がなされ、県当局に対して委員会から意見書を提出している経緯もありますが、売却に対してどのような方針で今回のプログラムに記載されたのかもあわせて伺います。
 また、義務的経費節減のため、県庁職員の定数を平成15年から平成19年にかけて551人削減しています。削減によって県民サービスに支障が生じないようにするのは当然のことであります。そして、県政の重点施策を展開するために必要な部局に対しては適正な配置をするべきでありますが、残念ながら、この点の考慮は今までなかったと言えます。今までの一律での削減が行われてきたことは間違いではなかったでしょうか。例えば県税収入確保のため、収入未済額を縮減するのは当然のことで、努力されているのは承知していますが、各振興局における税務職員は、平成15年の186人から平成19年の168人と18人削減されているのが実態です。税務部門に限らず、1次産業の振興を掲げながら、農林水の普及員も削減対象となり、地域においては、食料供給基地岩手を標榜する岩手県だが、結局は話だけではないかといった県の取り組み姿勢を疑うところも出始めている事実を真摯にとらえることが必要であります。
 代表的な例を二つ示しましたが、今後、どのような考えを持って総定数が少なくなる中での対処をしていくのか、伺います。
 出資等法人改革について伺います。個々の出資法人については、時間の関係もあり、この場においてあえて言及いたしません。
 さて、今回、新岩手県出資等法人改革プランが策定されました。プランの改革の基本的な考え方には、法人によっては県民のことを意識しつつも十分ではなかった点、そして、法人が安易に県からの支援に依存することがないように、また、財務の悪化が放置され、過大な県民負担を招くことのないように改革を積極的に進めるとあります。しかし、今回の改革プランは、はっきりした改革のイメージを持ち得ません。それは、前期改革プランと違い、廃止法人等がないからということではなく、改革の方向性が見えないことにあります。
 なぜなら、一つに、過大な県民負担を招くことがないようという表現がありますが、これはある意味、当たり前な話であって、県民負担が生じることが前提と受けとめられること。
 二つに、個々の法人の改革工程表には経営収支の状況の記載がないので、全く緊迫感が感じられないこと。
 三つ目に、改革工程表には法人の必要性、業務の正当性が記載されていますが、なぜ、県はその法人でなければだめなのか。また、法人の事業のあり方について、従来の観点からの説明にしかすぎず、改革検討の様子が見受けられないことの3点が理由であります。
 そこで質問ですが、この3点に関連し、県民負担に対する考え方、現在の出資法人の赤字額等の総計、新改革プランの今後の検証と新たな視点での修正の考え方について伺います。
 次に、県北・沿岸振興にかける思いについて、知事、副知事に伺います。
 達増知事は、2月22日に行われた久慈市内における講演で、県北・沿岸振興が成功しなければ岩手県の振興が成功したことにならないとの発言をされました。この言葉は、会場内のみならず県北・沿岸地域の県民にとって大きな支えであり、希望を与えるものであります。また、地域の課題は岩手県の課題の縮図であるとの趣旨の言葉もありました。
 そこで知事に、現在の県北・沿岸地域の課題、雇用環境、人口の社会減、所得の低迷、新規企業立地の低迷、より深刻化する医師不足等といったような、岩手県の平均よりさらに低い水準にある現実を解消していくための県北・沿岸振興についての決意を伺います。
 そして、宮舘副知事にお伺いします。
 県北・沿岸振興本部長に就任されたと伺いました。地域振興にかける思いは報道等で拝見していますが、改めて県北・沿岸振興にかける思いと決意を伺います。また、今回のいわて希望創造プラン、県北・沿岸振興の市町村別工程表の中で、目標年次までの実現が難しいのではないかと思われるものもあります。希望プランが計画だけで終わっては、危機を希望に変えることができません。本部長である副知事は、この点についてどのように認識しているでしょうか。また、計画の随時の検証と修正が必要になると考えますが、どのように行うのか、伺います。
 県北・沿岸振興について、最重要課題となっている1次産業関連についてお伺いします。
 食品偽装の問題や輸入食物の安全性の問題から、消費者の食の安全・安心志向が高まってきています。岩手県においては、BSEの全頭検査の継続や、県版農業生産工程管理の導入、トレーサビリティーシステムのさらなる拡大等で、消費者に対して、買うなら岩手のものというブランドをすり込んでいく計画であり、方針としては正しいと考えます。しかしながら、今まで安全管理にコストがかかりながら店頭価格には反映されないという実態がありました。このことは、過去視察に行った他県の各自治体においても同様の悩みを抱えていました。言いかえれば、多くの自治体がライバルとして存在しているわけであります。生産にかかる安全コストが価格に反映されない実態について、この原因をどのように分析し、打開策をどう考え、他県との差別化を図っていくのか、伺います。
 林業においても、外材より国産材が多く流通しておりますが、木材売却の金額が少しでも森林所有者に還元されるようにならなければ、林業の継続的な発展につながらないと考えますが、対策についてどのように考えているか、伺います。
 水産業の振興についても伺います。今回の県の予算、栽培漁業関係予算は前年度より約6、700万円減額となりました。市場性の高い水産物産地形成をうたい、主力品種であるサケ、アワビの増殖効率の向上を目指すとなっていますが、サケの回帰率の向上、アワビの回収率の向上について、取り組み実態と目標の達成状況、また、ナマコ増殖に係る将来展望について伺います。
 青森県では、八戸のサバについて成分分析を行い、販売促進に生かしていく方針と25日付の新聞で拝見したところです。岩手県においてもさまざまな分析調査を行っているところですが、そのデータが十分に生かされているとは言えない現状です。他地域との差別化を図り、単価を上げていくためにも必要なことではないかと考えます。他地域とは、県外というのみならず県内においても同様であります。例えて言えば、二戸と花巻の雑穀の違い、地域での衛生管理の違いなど、地域的特徴を一面からだけではなく多角的に把握し、アピールしていくことが、地域ブランドを確立していく上で必要と考えますが、いかがでしょうか。
 今までの質問にも関連してきますが、地域ブランドの確立についてもお伺いいたします。
 今回、新規事業で漆ブランド育成の予算が計上されています。全国に冠たるブランドでありながら、価格の低迷、それに伴う後継者の不足といった課題を克服するために、今回の予算においてどのような対策を講じていくのでしょうか。また、この問題は岩手県内に共通するものではないかと考えます。漆ブランドを再生させ、そのノウハウをもって県内の同様の状況に置かれているブランドを再生させ、地域産業の振興を図っていかなければなりません。今後の他ブランドへの展開もあわせてお伺いいたします。
 教育環境についてお伺いいたします。
 事前にいただいた普通科総合学科の県立高校の教員の年齢分布の資料を見ますと、予想されたとおり、県北・沿岸と県央・県南でははっきりとした傾向が見られました。すなわち20代、30代の教員が県北・沿岸に、40代が県央・県南に配置されているということであります。私は、若い先生がいけないと言っているのではありません。どの高校でも一所懸命授業に、生徒の指導に当たっていると聞いております。ただ、残念なことに経験が少なく、その上、相談すべき40代の主任クラスの教師が少ないといった現状は、生徒にとっても、教師にとっても不幸なことではないでしょうか。生活基盤に近い場所に働き場所が欲しい、これは当然なことであります。しかし、一方で経済的、地域的な理由で生徒の可能性が狭められることはあってはならないと考えますが、今後少しでも是正していく考えがあるのか、伺います。
 昨年からスクールカウンセラーを全県で5人配置しております。各高校では、今まで私費で賄っていたので非常にありがたいといった声があり、活用されている実態を伺いました。しかし、全県で5人とは余りにも少ない。高校によってはいまだ私費でカウンセラーをお願いしているところが27校あるとのことです。カウンセラーを私費で賄っている高校に対しても、費用の全額とは言いませんが、一部負担を考えていくことも必要ではないでしょうか。また、一部高校では行っていると聞いておりますが、教師もカウンセリングを受け、生徒への対応等の参考にしていくべきと考えておりますが、この点はいかがでしょうか。
 次に、いわてスーパーキッズについて伺います。
 昨年より始めたスーパーキッズ事業はことしも継続され、発掘と才能の強化を図ることになっています。将来に向けての構想についてどのように考えているのか、伺います。県内には体育科のある高校、またスポーツ分野によって有力な高校がありますが、才能を伸ばしていくために、進路という面からどのように考えているのでしょうか。将来設計があって、初めて今の事業の効果があると考えますが、現時点での構想をお聞かせください。
 地域医療のあり方について伺います。
 県立病院では医師不足が深刻化し、救急医療さえ成り立たないおそれがあります。その一方で、救急車で運ばれた人数の38%は軽症であるということを考えますと、限られた医療資源、すなわち医者に対する負担ということをもっと真剣に考えなければなりません。県においても啓蒙活動を行うべきでありますが、医療圏単位では行っていても、全県での対応はなされていないと見受けられます。民間病院との医療分業や、病院を使う側の県民意識の向上のための啓蒙活動の必要性をどのように認識しているのか。認識しているのであれば、県民にどのように知らしめていくのかをお伺いいたします。
 また、県立病院の医師は平成17年度には38人、平成18年度には30人、平成19年度は12月末現在で21人が退職しています。激務が原因の一つであるとの認識が先週の一般質問に対する答弁でありました。
 さて、平成16年4月から始まった研修医制度は間もなく4年経過します。この研修医を岩手に定着させていくのが直近の医師対策の課題であると考えております。研修医を受け入れている各病院を見ますと、診療科の縮減により研修医の人気が下がったところ、何とか前年実績を維持しているところ、片や指導できる医師の数が他病院と比較して充足していると見受けられるのに、研修医にとって魅力がないのか、極端に少ない病院等さまざまです。全体においては255名受け入れているとの答弁は先週伺っていますが、個々の病院により差が出ているのはなぜかを伺います。
 また、初期臨床研修修了の定着率は80%であり、全国的に見ても高い現状であるとのことですが、この理由をどのように分析し、その上で今後にどのように生かしていくか、伺います。
 また、産婦人科に代表される医療集約がなされていくことにより、診療科目は減り、研修医にも人気がなくなり、医師総数が減った分、残った医師の労働条件はさらに悪化し、結果、やめていってしまうという悪循環が懸念されます。また、地域にとっても、数字にのっとった画一的な集約は到底受け入れにくいものがあります。一体、いつの段階においてこの流れがとまるのか。医大の定数枠がふえましたが、その生徒たちが卒業し、医師として岩手で働くまで地域は我慢して待たなければならないということなのか、お伺いいたします。
 次に、自殺予防対策について伺います。
 全国ワーストに入る岩手県の自殺率の低下を図るため、平成18年度から本格的に予防事業を始めています。自殺についてはさまざまな要因が絡み合い、対策を講じたからといって、すぐに成果が出てくるものではありませんが、この2年間の取り組みの中で、モデル保健所管内では、久慈が6人、北上1人、一関6人減少しています。県全体を見ても、取り組み前の平成17年と比較すると3人の減少となっています。達増知事も公約に掲げた自殺予防。平成20年度も予算措置がなされ、啓発活動の充実は全県規模で行う予定と伺っていますが、うつスクリーニングは、先ほどの地域介入モデル実施保健所管内での実施と伺っているところです。これに対しても早急に全県で行っていく必要があると考えます。県内全域で行って、初めて自殺といった不幸な出来事の総数を減らしていくことができるからです。県においても、市町村に対して研修会等を開催し、全県的な取り組みを図るようではありますが、精神保健センターの現状の人員では、現在行っている作業で手いっぱいであるとも聞いていますが、その対応はどうするのでしょうか。また、全国的に見れば、静岡県ではコマーシャルを流すなどして県民に対して問題意識を共有することをしていると聞いております。岩手県においても、北東北3県合同事業でパンフレット作成などを行ってきましたが、より積極的に全県的な問題意識の共有を図る必要があると考えますが、いかがでしょうか。
 岩手県内においては、残念なことに、全県どの地区においても自殺死亡率の数値は全国平均より上回っています。そういった意味においても、実効性のある対策を、モデル地区先行ではなく、モデル地区のノウハウを全県に速やかに波及させていくことが求められているのであり、より県が主体性を発揮して取り組むべき事柄であると考えますが、この点についてもお伺いさせていただきます。
 観光力強化について伺います。
 平泉の世界遺産登録をことし7月に控え、その全県への波及効果について伺いたいところではありますが、後日として割愛させていただき、県北地域についての方策について伺います。
 県北地域においては、旧山形村において体験を中心とした教育旅行の人数が年々増加しているほか、平庭高原体験学習館や平庭高原自然交流館がことし4月以降オープンの運びとなりました。こうした県北における追い風を生かし、県として積極的な観光施策が必要だと考えますが、どのような施策を講じる予定なのか、お伺いいたします。
 また、新幹線の青森延伸が平成22年にも見込まれている中、八戸圏域との連携を含め広域的な取り組みを行うと希望プランにはありますが、どのような施策を講じるのでしょうか。また、時期的にも広域的な取り組みは余りにも遅過ぎたのではないかと考えますが、いかがでしょうか。さらに、1人当たりの観光消費金額も、久慈地域、二戸地域ともに4、000円台と通過型観光になっており、これを通過型から滞在型観光にすることが必要でありますが、この点についての施策もあわせて伺います。
 一般質問は以上で終わらせていただきますが、最後に、達増知事の掲げる希望王国岩手実現のため、危機を希望に変えるために、知事におかれましては、明快なビジョンと強いリーダーシップを今後も発揮されますことを期待いたします。また、執行部においては、スピード感を持ち、計画を机上の空論とすることなく着実に実施し、成果が積み上げられていくことが必要であるということを質問に申し添えて、一般質問を終わらせていただきます。答弁によっては再質問をさせていただきます。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 中平均議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、希望王国岩手の実現に向けた決意についてでありますが、私は知事就任後、さまざまな機会を通じて県内各地を巡る中で、地域経済の低迷や回復がおくれる雇用情勢、地域の医師不足の問題、さらには厳しい財政状況など、その問題の大きさや深刻さを改めて強く実感したところであります。
 一方で、いわゆる草の根の地域を訪問し、そこで積極的に活動されている方々や、国内外でPR活動を行う中で、県外の方々の本県への反応などにじかに接しまして、草の根の地域をつないできた結いの精神、勤勉ですぐれた能力を持つ多くの人的資源、安全・安心で質の高い農林水産物やすぐれた伝統工芸品、豊かな自然景観や伝統文化、こうした岩手の人や心、そしてわざなどは、まさに未来を切り開く力であると確信しているものでございます。
 今後、こうした地域資源を岩手の宝として最大限に活用しながら、今般、総合計画の後期実施計画として策定したいわて希望創造プランをすべての県民の総力を結集して推進することで、必ずや危機を希望に変え、自立と共生による地域主権型社会を確立してまいる所存でございます。
 次に、議会との関係構築についてでありますが、私は、議員のお一人お一人が全県民を代表する存在であり、敬意を持って誠実に対応したいと考えているところでございます。また、住民の直接の選挙によって選出された知事と議会は、民意を代表する二元代表として、適切な緊張関係を維持しつつ、県民の負託にこたえていくことが重要であると考えております。
 そうした考えに立ち、私と議会との関係におきましては、それぞれの果たすべき役割と責任のもと、厳しくも協調しながら、今後とも十分な政策論議を行い、お互いの知恵と工夫により、県民一人一人が希望を抱くことのできる県土の実現を目指してまいりたいと考えております。
 次に、三位一体改革の影響についてでありますが、議員御指摘のとおり、いわゆる三位一体の改革では、地方への税源移譲が実現されたものの、国庫補助負担金改革における国庫補助負担率の単なる引き下げに象徴されますように、国の財政再建が優先され、さらには地方交付税が大幅に削減されたこと等により、本県財政を含め、地方財政は極めて危機的な状況に陥っており、近年は自治体間の財政力格差も拡大しているものと認識しております。
 私は、このような地方財政の状況を解消するためには、地方交付税等による安定的な財源調整制度を前提にした上で、地方税の偏在是正など地方税財政制度そのものの抜本的な改革によって一気に税財源を地方に移すことが望ましいと考えております。
 税財政改革については、今後、地方分権改革推進委員会で集中的に議論することとなっており、全国知事会もこれに呼応し検討を進める予定でありますことから、私といたしましても、こうした機会を活用しながら、国に対し安定的な税財政基盤の構築を求めてまいりたいと思います。また、このような改革は、国会において多数が決断すればすぐにでも実現できるものでありますので、一日も早い実現を望んでおります。
 次に、今後の財政運営の見通しについてでありますが、平成20年度の予算編成におきましては、平成22年度までの収支を見据えて予算を編成し、平成22年度までの3年間における収支均衡についても一定の目途を立てることができたところであり、職員数の減少などに伴い予算総額は減少が見込まれつつも、公共事業費等についてはおおむね平成20年度予算と同規模を見込んだ収支見通しとなっているなど、各種事務事業に係る予算については、これまでの縮小が連続する傾向に歯どめがかけられたものと考えております。とはいえ、本県の財政状況は、今後の国政や経済の動向によって変動する可能性もあり、また、公債費がもうしばらく高水準で推移する見通しでありますことから、今後とも、総体としては厳しい環境が続くものと認識しております。
 このため、今後とも不断に行財政改革の取り組みを進めるとともに、地方財政対策等についての国への働きかけについてしっかりと取り組んでまいります。そして、何よりもいわて希望創造プランに基づいて、県内経済の活性化を確実にすることを通じて、持続可能な行財政基盤の構築に努めてまいりたいと考えております。
 次に、職員定数の削減についてでありますが、極めて厳しい財政状況や市町村への権限移譲の流れなどを踏まえ、県全体としては徹底した職員体制のスリム化を図っていくことが必要と認識しております。こうした制約のもとにおいても、県民生活に身近なところ、現場におけるサービスの提供に直結するような部門については効率的で質の高いサービスを提供できるよう必要な体制の確保に配慮してきており、例えば過去4年間の実績を見ますと、御指摘のあった振興局の税務職員については総務部全体の削減率に比べ小幅な削減率にとどまっているほか、農業改良普及センターの職員についても農林水産部全体よりも小幅な削減率となっております。
 今後も、こうした基本的な考え方に立ちながら、総体の職員数の削減を進めながらも、マンパワーが重要となる現場の組織の特性などに十分配慮して、めり張りのある定数配置を検討していきたいと考えております。
 次に、県北・沿岸振興に対する私の思いについてでありますが、私は、マニフェストに4大広域振興圏中、県北と沿岸の振興に特に力を入れますと明示したとおり、産業基盤が脆弱で、かつ他圏域以上に人口減少と高齢化が進行している県北・沿岸圏域においてこそ危機を希望に変える取り組みが求められていると知事就任前から強く認識していたところでございます。知事就任直後の市町村長との意見交換あるいは県政懇談会などの機会に現地を訪れまして、県北・沿岸圏域にはすぐれた景観や世界に通用するようなすぐれた食材が豊富にあり、地域産業を担う優秀な人材が存在することを改めて確認いたしました。そして、これらの地域資源を最大限に生かし、県北・沿岸圏域をフロンティアとして産業振興を図らねばならないとの思いを強くしているところでございます。
 したがいまして、いわて希望創造プランにおいては、県北・沿岸圏域の振興を今後の主要課題の一つとして掲げ、来年度は、今年度以上に私自身が地域で起きていることをこの目で見、この耳で聞きながら振興施策を推進したいと考えているところでございます。このため、例えば新年度できるだけ早い時期に県北・沿岸振興本部会議を現地で開催し、私も会議に参加して具体的な取り組みを協議するというような新たな試みも実施したいと考えているところでございます。
 その他のお尋ねにつきましては副知事及び関係部長から答弁させますので、御了承をお願いいたします。
   〔副知事宮舘壽喜君登壇〕
〇副知事(宮舘壽喜君) 私の、県北・沿岸振興本部長としての県北・沿岸振興にかける思いと決意についてでございますが、平成18年1月に県北・沿岸振興本部が設置された際、私は久慈地方振興局長としてまさに県北・沿岸振興の最前線におり、地域の方々と協働して取り組みを進め、また、本部員の一人として、県北・沿岸圏域における産業振興の基本方向の策定とその推進に携わったところであります。
 県北・沿岸圏域には、安全・安心で高品質の農林水産物を初めとするすばらしい地域資源があり、また、この地に生きる方々は勤勉で実直であり、今後大きく飛躍する潜在的な可能性を十分に備えているものと認識しております。
 しかし、すぐれた地域資源も、常に付加価値を高める努力を行うとともに域外に向かって魅力を発信していかなければ埋没してしまいますし、地域の力を結集して取り組まなければ現状を変えることはできないと考えております。このため、私自身これまでも、例えば新たに久慈地域食産業ネットワークという食にかかわるさまざまな業種から成るネットワークを構築し、連携して地域資源を生かした特産品開発や販路開拓を行い、積極的に外貨を獲得するための取り組みを行ってきたところであります。今後、こうした取り組みを県北・沿岸全域でより積極的に推進し、地域の雇用と所得を向上させ、いわて希望創造プランに掲げた圏域の将来像を実現できるよう、職員の先頭に立って県北・沿岸振興に取り組んでまいる決意であります。
 次に、計画の実現に係る認識とその修正についてのお尋ねでありますが、県北・沿岸圏域における産業振興の基本方向の取り組み工程表は市町村や地域の方々と意見交換を重ねて策定したものであり、昨年7月には、新知事のもとでの本格予算編成を踏まえて、分野別工程表の追加等、最初の見直しを行ったところであります。現在、これまでの進捗状況を踏まえまして、新年度に向けてさらに見直し作業を行っている最中であり、4月当初には、これまでの実績あるいは課題とあわせまして見直し後の工程表を県民の皆様に公表する予定としております。
 この工程表には県北・沿岸振興に係るさまざまな取り組みの指標と目標年次等を掲げ、地域産業戦略会議において議論を重ねながら取り組みを進めてきているところであり、今後とも地域の方々と協働し、いずれの指標についても達成できるように全力を尽くしてまいりたいと考えております。
   〔総務部長川窪俊広君登壇〕
〇総務部長(川窪俊広君) 指定管理者制度についてでございますが、指定管理者による公の施設の管理運営状況につきましては、各施設ごとに指定管理者との間で締結しております協定書に基づいた定期報告等を通じまして履行状況を確認しており、総じまして、それぞれの施設の特性に応じてサービスの向上が図られていると認識しております。今後、指定管理施設のモニタリングに関する基本的な指針を作成する予定でございまして、この指針に基づいて各施設のより詳しい評価を進めていきたいと考えております。
 指定管理としたことに伴う委託料の減少につきましては、競争原理や指定管理者の創意工夫による部分と、従来、県の収入としていた利用料金を指定管理者の収入とすることとした影響による部分があると考えておりますが、サービス面におきましては、その結果として定められた委託料によって従前よりも良質なサービスを提供するよう指定管理者に努力していただいているところでございます。こうした1期目の成果等をさらに検証しながら、2期目の指定管理者の選定に向けまして、さらに効率的で質の高いサービス提供が可能となるよう努めてまいりたいと存じます。
 次に、県有資産の有効活用についてでございますが、平成19年度においては、未利用資産売却について当初予算で約3億円の収入を見込んでおりましたが、本年1月末現在で約6億5、000万円の売却収入があったところでございます。また、ホームページでのバナー広告につきましては予定どおりの収入を確保できたところであり、県庁舎エレベーターホールでのポスター広告事業につきましては、年度の途中から企画し実施したものでありまして、早速初年度分としての収入が得られたところであります。このポスター広告につきましては、掲示枠8枠に対して22者から申し込みがあり、予想以上に高い関心が寄せられたものと感じております。これらの収入確保策につきましては、関係者の御理解をいただき、今年度は全体として順調に実績を上げることができたものと理解しております。
 次に、広告収入に係る検討状況につきましては、平成19年5月から管財業務を担当する課などで組織する管財業務連絡会議の下に新たに広告事業ワーキンググループを設置いたしまして、広告媒体対象財産の抽出や実施可能性等について鋭意検討を行っているところでございます。
 取り組む上での課題といたしましては、広告に活用できる財産をより多く洗い出すとともに、そこに広告を掲載するニーズを有しておられる広告主にいかに効果的、効率的にPRを行うことができるかという点でありますとか、さまざまな行政分野の職員に広告事業に取り組もうという意識をいかに高めてもらうかなどが挙げられるところであります。
 平成20年度の広告収入の見込みにつきましては、県庁舎エレベーターホールでのポスター広告事業などの収入といたしまして約470万円を見込んでおり、まだ資産売却にかわるような収入規模ではございませんけれども、今後ともワーキンググループを活用して、他の自治体での取り組み事例なども参考としながら、さらに全庁的な取り組みに広げることができるよう積極的に取り組んでまいりたいと存じます。
 次に、資産株の売却につきましては、極めて厳しい財政状況のもとで歳入確保策の一つとして想定される項目ではございますけれども、出資法人等改革調査特別委員会から、優良資産株は安易に財源確保対策のため処分せず、真の県民利益という観点から慎重に対応することとの提言もいただいておりますことから、今回の岩手県集中改革プログラムの工程表では、検討する対象という位置づけでの掲載項目にさせていただいているところでございます。
 なお、今後の資産株の取り扱いにつきましては、委員会からの御提言の趣旨を踏まえ、新たな財政需要への対応の必要性や株価の動向などにも十分留意しながら慎重に検討してまいりたいと存じます。
   〔総合政策室長勝部修君登壇〕
〇総合政策室長(勝部修君) 県の出資法人等改革についてでございますが、まず、県民負担に対する考え方についてでありますが、県出資等法人に対する県の出資は、その事業により社会的便益が広く県民にもたらされる場合や地域振興等の観点から出資等を行っているものでございまして、法人設立時の出資のほか、個々の法人によっては、県からの財政的支援あるいは人的支援など一定の県民負担が生じる場合もあるということであります。
 一方で、過去においては、県出資等法人の清算に当たり多大な県民負担を生じさせた事例もございまして、こうした事態に陥ることのないように、県からの出資等が県民の負担によるものであることを県と法人がともに強く意識を持って法人の整理合理化や経営改善などに取り組んでいくことが極めて重要と認識しているところでございます。
 次に、県出資等法人の赤字額の総計についてでございますが、指導監督の対象としている38法人─これは県の出資比率25%以上の法人でございますが─のうち、平成18年度決算におきまして繰越欠損金を計上した法人は6法人、繰越欠損金の合計額は約13億800万円余となってございまして、平成17年度決算における繰越欠損金が8法人で約17億4、000万円でありましたから、前年度と比べますと、2法人、4億3、000万円余の減少となっているところでございます。
 議員御指摘の法人の経営収支につきましては、個別法人ごとの運営評価の結果に基づきまして、財務を初めとした運営状況と課題、経営改善に向けた取り組みなどを取りまとめまして運営評価レポートの形で公表しているところでございますが、今後ともその内容の充実を図って、対外的に広く目に触れる形で県民の皆様に伝えていく考えでございます。
 次に、新改革推進プランの今後の検証等についてでございますが、新岩手県出資等法人改革推進プランの策定に当たりましては、旧プランにおいて、経営上の大きな問題を抱えた法人の改革、いわゆる外科的な手術はおおむね終了したものと認識してございます。今後、県といたしましては、運営評価制度に基づく綿密な診断を行いまして法人の経営体質を強化し、自律的な経営の確立に向けた、いわゆる内科的な処方により取り組んでいくこととしたものでございます。この内科的処方につきましては、外科的手術に比べまして外部からはなかなか見えにくい部分があるわけでございますが、であるからこそ今まで以上に強い改革の意識を持って臨まなければならない、こういうふうに認識しているところでございます。
 具体的には、法人ごとの運営評価を毎年度実施いたしまして、外部専門家などを活用した外部経営調査の実施や、財務状況が悪化している法人を経営改善法人に指定するなど、財務状況を含めた経営全般についてPDCAサイクルによる経営改善に継続的に取り組むこととしており、運営評価制度の充実を図りながら検証を進めていく考えでございます。
 また、官民協働の進展、NPO等のサービス提供主体の多様化、あるいは県施策の重点化など法人を取り巻く環境変化も踏まえまして、県と法人が共同して中期経営計画を策定することとしております。毎年度その内容を見直しながら、県出資等法人の改革を着実に推進していく考えでございます。
   〔農林水産部長高前田寿幸君登壇〕
〇農林水産部長(高前田寿幸君) まず、農産物の安全管理に要するコストが価格に反映されない原因についてでございますが、農産物は工業製品等に比べ一般的に差別化が難しく、かつそのほとんどが卸売市場の競り売りで価格が形成されること、また、産地間競争が激化する中で、食の安全・安心確保の取り組みが全国的に進展し、本県独自の取り組みが必ずしも評価向上につながりにくくなっていることなどが要因と考えております。
 このため、国の営農活動交付金を活用した特別栽培農産物の生産などの先進的な営農活動の支援、東北初の県版生産工程管理の導入促進やトレーサビリティーシステムの拡大などにより、他産地をリードする岩手ならではの安全・安心な農産物の供給体制を確立するとともに、戦略的な情報発信や契約取引の拡大、さらには生産者との交流を通じた消費者の理解醸成に努め、生産コストの上昇が価格に適切に反映されるような環境づくりを進めてまいります。
 次に、木材販売収入の森林所有者への還元についてでございますが、木材価格が低迷する中で、本県林業の収益性を向上させるためには、中小規模の森林所有者を取りまとめ、施業の集約化により低コストな森林経営を行う地域牽引型経営体を育成するとともに、本県の主力樹種でございますアカマツ等の商標登録によるブランド化や、現在策定しておりますアカマツ販売戦略に基づく有利販売の促進、さらにはアカマツを活用した新たな集成材など、産学官連携による新商品の開発に取り組むことといたしておりまして、こうした施策を通じて収益性を向上させ、本県林業の持続的な発展に努めてまいりたいと考えております。
 次に、水産業の振興についてでございますが、まず、サケ、アワビの増殖効率の向上につきましては、サケについては、健康な稚魚の生産や適期・適サイズ放流など、アワビにつきましては、回収率の高い漁場への集中放流などを指導しているところでございます。
 今後とも、漁協や関係団体と一体となってこれらの取り組みを推進し、平成22年度までにはサケの回帰率を2%から3%に、アワビの回収率を5%から10%に引き上げてまいりたいと考えております。
 次に、ナマコ増殖の将来展望についてでございますが、既に今年度、30ミリサイズの種苗10万個を生産できる技術のめどが立っており、今後、平成22年度までには種苗放流の効果を実証するとともに、その成果を踏まえ早期に本格的な増産体制を構築し、アワビ、ウニに次ぐ本県栽培漁業の中核魚種として育成してまいりたいと考えております。
 次に、農林水産物の地域ブランドの確立についてでございますが、本県におきましても、寒締めホウレンソウやみつ入りリンゴなど糖度に着目した他産地との差別化、南部赤松や真崎わかめなど登録商標を活用したブランド化の取り組み、水産物の産地市場での衛生管理の徹底による安全・安心な産地ブランドの確立など、県内各地で地域ブランドの確立に向けた取り組みが始まっているところでございます。
 県といたしましては、今後とも試験研究機関や大学等と連携した成分分析や商標登録制度を積極的に活用し商品の差別化を図るとともに、民間ノウハウを活用したマーケティングの展開や産学官が連携した新商品の開発の支援などを通じて地域の農林水産物のブランド化を促進してまいりたいと考えております。
   〔商工労働観光部長阿部健君登壇〕
〇商工労働観光部長(阿部健君) まず、地域ブランドの確立についてでありますが、いわて漆ブランド確立事業につきましては、日本一の生産量を誇り、国宝の修復にも使用されるほど品質が高い岩手の漆について、首都圏を主な対象とし、販売取扱店舗、バイヤー、マスコミ等に対しまして集中的な情報の提供や展示販売会の開催などにより認知度の向上を図ろうとするものであります。
 また、この取り組みと並行いたしまして、二戸市は後継者育成に、二戸地方振興局等は認証制度の創設というように、関係機関が体系的に施策を実施することにより岩手の漆の評価を高め、ブランドを確立するとともに、文化財修復や漆器製造業界における需要の拡大と、それに伴う価格向上等を目指すものであります。
 県内には、漆に限らず、ブランドになり得る実力を有していながら埋もれているものが多くあります。このため、県では、これらを発掘し育てていくため、昨年6月に施行された中小企業地域資源活用促進法に基づき、農林水産物、地場産品などを地域資源として特定し、本年1月に組成したいわて希望ファンドの運用益による支援事業等を活用し、そのブランド化を積極的に支援していくこととしております。
 次に、県北地域における観光力の強化についてでありますが、県では、昨年3月に県北地域観光産業アクションプランを策定し、県北地域における食産業や農業、地場産品など他産業との連携を強めながら特色ある観光の拠点形成を図り、さらには拠点同士の周遊化を目指すとしたところであり、特にも雑穀などの地域食材や漆、木工といった県北地域の誇れるものと観光との組み合わせを前面に出しながら、旅行会社に対する働きかけや情報の発信に力を入れているところであります。
 また、八戸圏域を含めた広域的な施策につきましては、これまで首都圏における八戸・久慈圏域合同観光キャンペーンなどに取り組んできたほか、本年7月から9月にJR東日本と共同で実施するいわて・平泉観光キャンペーンにおきましても八戸圏域をキャンペーンエリアとして位置づけ、一体的な取り組みを行うこととしており、今後とも県北地域と八戸圏域との広域連携を強めてまいります。
 さらに、県北地域における滞在型観光への展開につきましては、既に農家民泊やこはく採掘などを初めとする体験型観光などの取り組みが進められているところであり、今後は、これらの観光資源の質を高めるとともに、平庭地域のいわて体験交流施設などを生かした旅行商品も提案しながら、地元市町村や関係団体等と連携を図り、滞在型観光の推進に取り組んでまいりたいと考えております。
   〔保健福祉部長赤羽卓朗君登壇〕
〇保健福祉部長(赤羽卓朗君) 医師の負担軽減に関する啓蒙活動についてでございますが、全国的な傾向として、自分の都合のよい夜間などの診療時間以外の受診や、いわゆる大病院志向などが、勤務医の業務の過重あるいは医療機能の役割分担による効率的な医療提供が十分行われない要因の一つと指摘されているところでございまして、本県においても同様の傾向にあると考えております。このため、平成20年度からの新しい医療計画におきまして、救急医療などについて、医療機関の持つ機能に着目し、役割分担と連携を明確化していく。また、地域の医療を支える視点で、症状や医療機関の役割分担に応じた受診などの県民に求められる役割を、この計画の本文の中に盛り込むといったようなことをすることとしております。
 新しい医療計画の推進につきましては、地域の医療資源の状況や特性に応じた取り組みが必要でありますことから、来年度中に二次保健医療圏単位に医療連携推進プランを策定し、住民への啓発も含めて連携の取り組みを進めていくこととしておりまして、医療分業や受療に関する県民意識の向上等につきましては、新しい医療計画の考え方に沿って、県医師会や市町村など関係者との連携を図りながら取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、医師の定着に関して、まず臨床研修医の受け入れ状況に関してでございますが、初期臨床研修をどの病院で行うかは、医学生の希望と臨床研修病院のマッチングと呼んでおりますが、それにより受け入れ定員の範囲内で決定されるものでございます。医学生は、臨床研修病院を選ぶポイントとして、必要な症例や手技が経験できるかどうか、指導医の方が熱心で手厚い指導をしてくれるかどうか、他の医療技術職員との連携が十分かどうかなどといったことを挙げているところでございます。医学生のこうした観点での評価が、結果として臨床研修医受け入れ数に反映してくるものと考えております。
 臨床研修後の県内の定着についてでございますが、これまで医師確保対策アクションプランに基づき、指導医養成など臨床研修環境の整備に努めてきたところでございます。例えば臨床研修指導講習会でありますとかスキルアップセミナーを実施してきております。また、研修医を対象として、合同オリエンテーションを開催したり、OSCEと呼ばれる臨床能力試験を岩手県独自でやるといったような取り組みもしてきております。こうした研修環境の整備とか後期研修プログラムの充実に取り組んできた成果と考えております。今後もこうした取り組みをさらに進めるほか、医師の専門性や総合力の確保・向上などキャリア形成にこたえる取り組みを進め、医師の県内定着の向上を図ってまいりたいと考えております。
 次に、医師不足についてでございますが、これまで、医師確保対策アクションプランに基づく臨床研修医の受け入れと県内定着、女性医師への就業支援、医師確保対策室による即戦力医師の招聘活動などの取り組みを進めてきたところでございます。こうした取り組みが徐々に医師の確保につながっているものと考えておりますが、医師の地域偏在とかあるいは診療科偏在というのは依然として深刻な状況にあり、解消に至っていない現状にあります。今後も医師確保対策アクションプランなどの取り組みを着実に進め、医師数の増加を図っていくことにあわせ、不足している勤務医を確保するためにも、各経営主体における医師の業務負担の軽減や、増加している女性医師の就業支援など、医師の勤務環境の改善に向けた取り組みにより、医師の確保に努めてまいりたいと考えております。
 次に、自殺予防対策についてでございますが、精神保健福祉センターにつきましては、自殺予防業務等を強化するため、平成18年度に非常勤の自殺予防支援コーディネーターを配置したところでございまして、来年度において職員1名を新たに配置する予定としております。
 全県的な問題意識の共有についてでございますが、自殺対策を進めるためには、うつや自殺予防に関する理解の普及啓発が重要でありますことから、うつ啓発リーフレットの作成と全戸配布、研修会や県民フォーラムの開催、自殺予防ポスターやバスカードの作成─これにつきましては今年度末までに取り組むこととしておりますが、こうした取り組みを進めておりまして、地域においても、保健所が中心となって、パンフレットの配布や講演会等の実施により、自殺予防の普及啓発を進めているところでございます。こうした取り組みを今後とも推進し、粘り強く全県的な問題意識の共有を図ってまいりたいと考えております。
 それから、モデル保健所のノウハウの普及についてでございますが、平成18年度から4保健所を重点化し、モデル的な取り組みを行ってきているところでございます。平成12年ごろから対策に着手しております久慈保健所などモデル保健所の取り組みを他の保健所にも拡大すべく、全県で多様な事業を展開できるよう、各種研修や情報交換などを既に実施しているところでございます。また、全保健所に相談窓口を設置するとともに、地域の支援ネットワークの構築などにも取り組んでおりまして、さらに地域保健活動の中心となる市町村に対しましても、自殺防止キャラバンを通じ、取り組み強化を訴えているところでございます。今後とも、平成18年5月に設置しました岩手県自殺予防対策推進協議会の場を活用し、平成19年3月に策定した自殺対策アクションプランに基づき、多くの県民の参画をいただきながら、うつ対策なども含め、対策を進めてまいりたいと考えております。
   〔教育長相澤徹君登壇〕
〇教育長(相澤徹君) まず、県北、沿岸への教員配置についてお答えを申し上げます。
 県立学校教員の人事異動につきましては、おおむね同一校6年の基準を設け、東北本線沿い、沿岸、県北、その他の四つのブロックをすべて経験することを原則として異動させております。しかし、現状として、県北・沿岸地域は年齢が若い傾向にあり、教員配置の改善が必要と感じております。具体的には、人事異動基準を来年度中に見直し、県北、沿岸に40代の教員が配置されるよう厳格な運用を行うことを検討してまいります。また、教科指導や部活動指導等に特にすぐれた教員、いわゆるスーパーティーチャーを県北、沿岸に重点的に配置し、若い教員の育成を進めてまいります。このように、徐々にではありますが、改善を進めてまいりたいと考えております。
 次に、スクールカウンセラーについてでありますが、近年、高校生においてもスクールカウンセラーという心の専門家の支援が重要になってきておりますが、これまで学校では私費での配置を行ってまいりました。しかしながら、その重要性にかんがみ、県として、今年度から、県内を五つのブロックに分け、各ブロックの核となる高校にカウンセラーを配置し、そこからカウンセラーを各校に派遣する仕組みをつくっております。来年度は、現在の予算の範囲内で配置校を1校ふやし6校とする予定ですが、今後については、事業の活用状況をよく分析し、財政状況も踏まえながら検討してまいります。
 また、スクールカウンセラーには、教員への助言や保護者との相談活動に積極的に取り組んでもらうようにするとともに、学校としても、カウンセラーの助言に基づいて情報交換会を開き、生徒の指導方針を教員間で共有するなどの取り組みを進めてまいります。
 次に、いわてスーパーキッズについてでありますが、今年度認定の77名のスーパーキッズに対して、現在、スポーツ医・科学の専門家により、どの競技種目にも共通する基礎的な運動能力の開発や論理的な思考力、コミュニケーションスキルなどの知的能力の開発、また、スポーツ栄養等の指導を行っているところであります。今後については、現在の取り組みを継続するとともに、育成したスーパーキッズに対して適性競技種目に関する情報を提供するなど、本人の競技種目の選択を支援していくことを進めてまいりたいと考えております。その後は、競技技術の習得が重要な段階となり、専門的な指導が必要となることから、公立高等学校のスポーツ特別強化指定校制度や推薦入試制度との連動を図るとともに、競技団体ごとに優秀選手を定期的かつ集中的にトレーニングする仕組みを整備し、その才能を継続的に伸ばしていく考えであります。
〇16番(中平均君) 御答弁ありがとうございました。
 さまざま聞きたいところではありますが、2点のみ再質問させていただきます。
 まず、知事にお伺いいたします。確認という意味でもございますけれども、財政運営の見通しについて、平成22年度までの一定のめどができたということでもありました。先週からの一般質問への答弁でもございましたけれども、公共事業費も今年度より下がることはなく、このままこの先は推移していけるのではないかという御発言でございます。縮小傾向には歯どめがかかったということでございました。これは、先ほどの答弁にもあったとおり、もちろん、どうしても国から来る依存財源が多い岩手県でありますから、国から来る金額がこれ以上減らないという前提がもちろんあるのだと思います。そういった中で、知事に改めて確認でお聞きしたいのは、そういう意味では、要はここが底を打ったと。岩手県財政にしても、投資的経費の枠にしても、もちろん、国から来る金がこれ以上減らないということが前提ではあるけれども、ここが底を打ったという認識でいいのか、改めてお聞かせいただければと思います。
 あと、教育長から1点お伺いしたいんですが、スーパーキッズの件で、今聞いて、将来構想もきちんと考えているということで、大変に安心したところであります。ただ、さまざま御意見を聞いていると、いろんな人から、これは国体があるから、そのためにやっている事業じゃないかと。そうだと言われればそれまでかもしれませんけれども、せっかくこのスーパーキッズの事業をつくって、国体が終わって、そこで終わりではなく、これは県の施策としてもずっと続けていく必要性があるのだと思うんです。そうでなければ、前回の国体のときみたいに、終わればまたやらなくなってしまう。スポーツ関係も、話だけで何も進まないというようなことになっては、結局、一過性のもので終わってはいけないと考えているんですが、その点について、教育長はどのようにスーパーキッズの将来性、方向性─近い面ではなく、国体以降という面も含めての考え方をお聞かせいただきたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 平成22年度までの3年間の収支均衡についても一定のめどを立てることができたということでございますけれども、公共事業費等について、おおむね平成20年度予算と同規模を見込んだ収支見通しということで、そういう投資的経費あるいは政策的経費という部分については、国の地方に対する財政が今以上に悪化しない、財政政策が悪化しない、また経済情勢全般がさらに悪化しないという中においては、底をつくることができたと言っていいと考えております。
 近年、県のそうした予算も縮小が連続していたために、民間経済部門では回復が見られていたところがあったんですけれども、マクロ的に県の予算や市町村の予算が大きく減った結果、岩手を回るお金の量がプラマイゼロ、むしろマイナスというような県民所得に対して横ばい、あるいは落ち込むような効果となっていたわけでありますけれども、今後、県の予算について、そういう底をつくることができましたので、民間経済が頑張れば頑張るほど県民所得の上昇につながるという構造ができたと言っていいと考えております。
〇教育長(相澤徹君) スーパーキッズのお尋ねについてお答えを申し上げます。
 スーパーキッズ自体、大きく分けまして、一つはスポーツの競技力の強化ということを目指しておりまして、これは、当面、国体もございますので、今のスーパーキッズを育ててまいりますと、ちょうど少年の種目で大きな得点源になっていただきたい、活躍をしてほしいということも当然ございますが、当然、スポーツの競技力の強化ということで長期的な視点に立っていく必要があると思っています。同時に、子供たちのスポーツ全般に対する関心をしっかり支えていく、高めていくということもございますし、同時に、子供たちの体力向上にもつなげてまいりたいということでございます。こういうことを全体的に視野に入れまして、ぜひ、長期的な観点で着実にやっていくということを進めてまいりたいと思います。
〇副議長(佐々木大和君) この際、暫時休憩いたします。
   午後3時59分 休 憩
出席議員(47名)
1番  木 村 幸 弘 君
2番  久 保 孝 喜 君
3番  小 西 和 子 君
4番  工 藤 勝 博 君
5番  岩 渕   誠 君
6番  郷右近   浩 君
7番  高 橋   元 君
8番  喜 多 正 敏 君
9番  高 橋 昌 造 君
10番  菅 原 一 敏 君
11番  小野寺 有 一 君
12番  熊 谷   泉 君
14番  高 橋 博 之 君
15番  亀卦川 富 夫 君
16番  中 平   均 君
17番  五日市   王 君
18番  関 根 敏 伸 君
19番  三 浦 陽 子 君
20番  小田島 峰 雄 君
21番  高 橋 比奈子 君
22番  高 橋 雪 文 君
23番  嵯 峨 壱 朗 君
24番  及 川 あつし 君
25番  飯 澤   匡 君
26番  田 村   誠 君
27番  大 宮 惇 幸 君
28番  千 葉 康一郎 君
29番  新居田 弘 文 君
30番  工 藤 大 輔 君
31番  佐々木 順 一 君
32番  佐々木   博 君
33番  工 藤 勝 子 君
34番  平 沼   健 君
35番  樋 下 正 信 君
36番  柳 村 岩 見 君
37番  阿 部 富 雄 君
38番  斉 藤   信 君
39番  吉 田 洋 治 君
40番  及 川 幸 子 君
41番  佐々木 一 榮 君
42番  伊 藤 勢 至 君
43番  渡 辺 幸 貫 君
44番  小野寺 研 一 君
45番  千 葉   伝 君
46番  佐々木 大 和 君
47番  菊 池   勲 君
48番  小野寺   好 君
欠席議員(なし)
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後4時13分 再開
〇議長(渡辺幸貫君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。菅原一敏君。
   〔10番菅原一敏君登壇〕(拍手)

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