平成20年2月定例会 第5回岩手県議会定例会会議録

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〇18番(関根敏伸君) 民主・県民会議の関根敏伸でございます。
 今定例会に質問の機会をいただきましたことに感謝申し上げ、順次質問をいたします。
 初めに、いわて希望創造プランについて伺います。
 このプランは、達増知事が昨年就任以来、岩手の厳しい現実に目をそらすことなく、問題点を直視し、危機を希望に変えていくために定められたものであります。今般、新年度予算の編成に当たっては、このプランを推進する第一歩、希望創造予算として、事務事業の総点検を実施しながら、部局予算枠を廃止、全庁的視野でつくられたものと理解しております。
 3年間の中期的財政見通しを立てるための徹底した歳出削減の中で、ゼロ予算事業の積極的導入や職員の方々の大きな理解と協力のもと、県政の課題克服と希望の芽を育てるための、まさに選択と集中型予算の組み立てに腐心された知事並びに関係者の御労苦に、心から敬意を表します。
 さて、そこで、この希望創造プランの中の地域経営視点について伺います。
 地域経営の考え方は、地域社会の構成主体の総力を結集して地域の価値を高めていくこととされております。これまでも、県民参加のもと、官民協働でさまざまな取り組み・施策を実行してきましたが、今回、新たな官民ネットワークとして、いわて未来づくり機構の設立が示されております。この中には、達増知事が呼びかけ人の一人として名を連ねておりますが、この未来づくり機構の設立の経緯とその目的、ラウンドテーブルメンバーの人選等についてお知らせください。
 また、この機構が県行政の中でどのように位置づけられるのか、また、希望創造プランの具体的推進や施策の形成過程にどのようなかかわりを持ってくるのかについてお聞かせ願います。
 次に、県民所得向上策について伺います。
 私は、昨年の決算特別委員会におきまして、この点について質問をさせていただきました。その際には、国の経済財政政策や地域の産業政策などの外的要因の影響が大きく、具体的目標値は今後の課題とされたところでしたが、今回、さまざまな検討の中で具体的数値として示されたわけであります。
 この数値は、いわて希望創造プランの象徴的でメッセージ性の強いものであると私は考えますが、具体的数値を示した意味と、それが平成12年度並みの260万円台とされた根拠を改めてお聞かせください。
 平成18年度の県民経済計算の速報によりますと、県内総生産額は実質で対前年の1.4%増、県民所得も対前年1.9%増の240万8、000円となり、ようやく上昇傾向が見えてまいりました。県は、所得目標を達成する前提条件として、県内総生産額の基礎となる経済成長見込みを立てておりますが、岩手県の経済成長の現状認識と県の産業成長戦略に示された経済成長率の上乗せ0.6%の実現性についての認識をお聞かせください。
 県民所得は、所得の分配で決定されるものであります。これは、まさに国の経済財政政策に左右される部分でありますが、雇用者報酬と企業所得、財産所得の向上に向けて、県としてでき得ることもあると思いますが、お考えをお示しください。
 続いて、岩手ソフトパワー戦略について伺います。
 岩手の豊かな自然や人間性、歴史、文化などを普遍的な価値あるものとしてとらえ、県のこれからの発展に結びつけていこうという考えには、大きな共感を覚えます。キーワードは、岩手の心、岩手の人、岩手の人間性を統一的な岩手ブランドの柱として、守り育て、その価値を高めていこうという部分であります。
 まず、知事は、岩手の人間性、県民性に対する県内外の評価をどのような方法によって得、どのようなものと認識をされているのでしょうか。また、その評価に対する認識についてもお聞かせください。
 新年度以降、県は、戦略的な広報の実施による岩手のイメージアップと岩手ブランド確立に向けた事業展開を予定しておりますが、具体的内容をお示しください。そして、岩手ブランドをどのようなものとして発信しようとしているのかをあわせてお聞かせ願います。
 文化芸術振興基本条例についてお尋ねいたします。
 この条例は、岩手ソフトパワー戦略の一環で制定を目指すものと思いますが、条例制定の目的についてお伺いいたします。
 条例の中には、文学、美術、音楽といった芸術・芸能の振興、伝統芸能、年中行事といった伝統文化の振興とともに、方言や衣食住を含めた生活文化の振興についても定められておりますが、その具体的取り組み方策、県民の伝統文化の系譜・由来などに関する理解を深めるための方法などについてもお聞かせください。
 また、条例の制定目的とも関連いたしますが、この条例の担当部署を地域振興部とした理由についても、あわせてお知らせ願います。
 他県においては、国や郷土の歴史、文化、伝統を知ることが、今後の国際社会を生き抜く上での大きな視点ととらえ、日本史や県が独自につくる郷土史を高校の必履修にしようという動きがあるようであります。また、伝統文化を学ぶ独自の科目設定を模索している県もあると聞いております。
 岩手の心、県民性、自立・共生の精神などをしっかりと守り育て、地域の道義的信頼を高めていくために、教育課程に地域を学ぶための独自性を検討すべきと考えるものでありますが、教育長の御見解をお聞かせください。
 続いて、新地域主義戦略に関連し、市町村合併についてお伺いいたします。
 新地域主義戦略は、広域圏の自立性を高めると同時に、住民自治の原点である地域コミュニティを維持させていこうというものであります。そして、その前提となりますのが、基礎的自治体である市町村の自立、行財政基盤の充実強化ということになり、その方向性の中に現在の合併議論があると理解しております。
 昨年秋に自治体の財政的な状態を示すための五つの指標が国から示され、自治体の一般会計だけではなく、公営企業会計や第三セクターなども含めた将来にまでわたる財政状況が、早期にチェックできる仕組みとなっております。
 詳細な基準数値はまだ明確ではないと聞いておりますが、これらの指標の方向性が示された中で、平成18年度の県内市町村の決算を踏まえた県の認識をお聞かせください。
 現在、県は、市町村合併推進審議会に対し、合併市町村における合併効果の検証と合併協議会設置の勧告のあり方について諮問を行っております。その審議会が昨年12月に取りまとめ、ことし1月に行われた市町村トップセミナーなどで示された市町村合併の効果についての資料の中で、合併市町村、非合併市町村の客観的な検証が多岐にわたり示されております。
 そこでお伺いいたしますが、県は、現状の中で合併のプラス面とマイナス面をどのように把握され、整理しているのでしょうか。また、合併市町村の住民満足度などの意向をどのようにとらえておるのでしょうか、お聞かせください。
 また、合併推進協議会の最終的答申は3月末の見込みと聞いておりますが、現状での答申の方向性についてお聞かせ願います。
 市町村合併は、当然、自治体の自主的・主体的判断においてなされるべきものと考えます。そして、その自主的・主体的判断は、多くの住民の自由活発で十分な時間をかけた中で導き出されるべきものと思います。
 地元紙による合併への県民意識調査によりますと、合併新法期限にこだわらずを含めた合併推進派は全体の28%と、決して高くない数値となっております。しかし、積極的合併反対を示している人は14%であり、44%の多数の県民が、合併には慎重であるが議論が必要であると答えております。そして、注意して見なければならないことは、自分たちが住む自治体の経営状況・財政状況をよく知らないと答えた人が72%に上ることです。
 同じく年初に発表された全国世論調査による地元自治体への住民意識では、63%の人が市町村の将来に不安を覚えるとしており、多くの理由が自治体の財政状況の厳しさによるものとされております。
 これらの結果から考えたとき、地域住民は、我々が思う以上に、自治体の財政基盤と内容に高い関心を持っているということです。しかしながら、客観的に判断を下し得るための行政側からの資料等の情報提供が十分ではなく、自分たちの市町村の将来を含めた議論を喚起しづらい環境にあるとも思えます。
 そこでお伺いいたしますが、県は、現在の県内の合併に向けた議論の現状をどのように認識しているのでしょうか。首長主導の議論の中で合併論議が袋小路に入っているかの印象を私は受けますが、いかがでしょうか。
 今後、県民が望む議論の高まりを実現するためには、市町村議会や経済団体、NPO等民間団体などへの積極的情報提供や議論の場の設定など、県がその役割を今まで以上に果たしていくべきと思いますが、具体的考え方をお示しください。
 殊にも、今後は予算の議決や決算の認定を通じて、自治体の行財政基盤の充実に今まで以上に大きな責任を負うことになる議会の動きが大事であると考えるものであります。
 続いて、県の道路整備と道路特定財源、暫定税率についてお伺いいたします。
 県議会では、過去数度にわたり、県の道路整備を推進する観点から、道路整備予算の確保に関する意見書を決議しております。岩手を含め、都市部と比較し地方の道路整備がおくれていることは紛れもない事実であり、必要な道路は整備をしていかなければならないことは当然であります。しかし、今回の議論は、道路整備の必要性とともに、さまざまな角度から、国と地方のあり方の根本を考える上でぜひともしていかなければならないものと考え、質問をいたします。
 まず、知事にお伺いいたします。
 道路特定財源の一般財源化について、知事は、道路整備財源確保の立場から消極的なお考えをお持ちと理解しております。それはまた、岩手県のトップとして当然のこととも考えます。しかし、現在の国と地方の硬直化した厳しい財政環境の中で、50年以上もの間聖域化されてきた道路だけを、今後さらに10年もの間延長するということをどのように認識されているのでしょうか。
 また、この議論は、国が道路整備の財源と道路整備の箇所づけ、補助の是非の判断、道路整備の基準など、多岐にわたる権限を押さえているという中央集権的な道路整備のあり方を見直し、地方分権を進めていくという観点もあると考えます。
 全国知事会を含む地方6団体は、地方分権推進の立場から、地方への税源移譲、国庫補助負担金制度の廃止などを求めてきた経緯があります。道路特定財源の維持は、これらの提言や地方分権の流れに逆行しかねないものと考えますが、知事のお考えはいかがでしょうか。
 続いて伺います。暫定税率が廃止された場合は、国税で1兆7、000億円、地方税で9、000億円の合計2兆6、000億円程度の減収が見込まれるとされております。暫定税率が維持されるということは、逆から見ますと、今後さらに10年間、国民に増税を強いるということであり、暫定税率の廃止は2兆6、000億円の減税を実施することにもなると考えます。このようなことから、暫定税率という名目で三十数年維持されてきた税率を廃止することは、地域格差に苦しむ地方やそこに住む住民にとって大きな恩恵となるとともに、原油高騰のあおりの中で苦しんでいる農林水産業の方々、中小企業の方々の経営改善の後押しとなり、地方経済の活性化にも大きな効果があると考えますが、いかがでしょうか。
 県の試算によりますと、暫定税率が廃止された場合の岩手県への影響は、平成18年度決算ベースで、県分、市町村分を合わせ163億円とされております。これは、県内の道路特定財源総額358億円の46%に当たり、大変大きなものであります。また、地方道路整備臨時交付金80億円と特定財源を財源とする国庫補助金69億円にも大きな影響が出、合計183億円以上の財源不足が生じる見込みとされております。
 しかし、これは廃止に伴う別の制度設計が全く行われないとの前提での試算であります。民主党の試案では、これらにかわる財源として、地方6団体の大きな要望でもある国直轄事業負担金の廃止による方法を検討しております。さらに、税制改革により、臨時交付金の財源となっている揮発油税の地方配分率の増加と新たな制度による地方補助金分の財源を確保するとしております。
 このように、地方道路整備予算の総額が確保され、かつ、それが一括交付金化した場合、地方の道路整備は、地方の政策判断のもとで、より効率的に、優先的になされていくことになると思いますが、いかがでしょうか。知事のお考えをお聞かせください。
 県の道路整備の状況を見ますと、直轄事業、補助事業、県単事業別の道路整備コストには大きな差が見られます。平成18年度の事業費別の道路整備延長数から見ますと、事業平均での1キロ当たり道路整備費は12億6、000万円ですが、直轄事業は1キロ当たり22億3、000万円、補助事業は9億1、600万円、県単事業は6億600万円となっております。年度ごとに若干の変化はありますが、数年間の傾向はほぼ同様であります。
 そこで伺いますが、このコスト差の要因はどのような理由によるものなのでしょうか、お聞かせください。
 県では、地方の実情に合った道路整備を目的として、ローカルスタンダードによる道路整備を試行しております。これは、道路整備の基準となる道路構造令を緩やかに応用しながらつくる手法を利用し、地方裁量の中での道路整備を目指すものであります。
 また、緑資源機構により進められてきた県内の幹線林道整備が、機構の廃止により県に移管されることとなり、継続での林道整備の方向性が先ごろ示されました。それによりますと、道路幅などの見直しによる地域の実情に応じた整備基準に改め、135億円の事業費を102億円に圧縮するとされております。
 このように、国一律の整備基準である道路構造令などによる整備を、地方分権の中で、緩やかな地方裁量による整備方向に改めていくことが、効率的な地方道路整備に結びつくものと考えますが、それを全国に先駆けて先進的に進めてまいりました県の御見解をお聞かせください。
 続いて、医師及び地域医療確保策について伺います。
 県政に対する県民意識調査によれば、地域医療の充実を求める声が大きな割合を占め、地域医療を担う柱である医師確保は、県政課題の中でも喫緊の対策が求められるものであります。
 県では、平成17年3月に医師確保対策アクションプランを策定し、また、庁内に医師確保対策室を設置。奨学金制度による医師養成事業や臨床研修医を受け入れるための事業、即戦力医師を県外から招聘するドクターバンク事業、女性医師の就業支援事業など、総合的な医師確保策に努めてまいりました。
 そこでまず、3年間にわたるこの取り組みに対する評価をお伺いいたします。
 この間、県内医師の絶対数は緩やかに増加しておりますが、地域偏在や診療科ごとの偏在という問題にどのように取り組まれたのかも、あわせてお聞かせください。
 岩手県内の医師の養成と地域医療のために大きな役割を果たしてきている岩手医科大学の入学定員が、新年度から10名ふえることになりました。この定員増に伴い、県内の来年度の奨学金制度が大幅に拡充される見通しとなっております。新制度によりますと、現在三つの制度による定員数が25名から45名となり、医療局職員奨学金貸付制度事業では、貸付額の増額も予定されております。これらの制度は、他県と比較しても、質・量とも最も充実したものと拝見され、県の地域医療と医師確保に向けた大きな決意のあらわれと評価するものであります。
 そこでお伺いいたしますが、県が目標としております平成22年度の人口10万人当たりの医師数191.2名の根拠、並びに平成22年度医師確保目標40名の内訳と、その達成に向けた総合的な対策並びに達成見通しについてお示しください。
 また、これらの奨学金事業の義務履行年限が終了した場合の医師の県内への定着対策も必要と考えます。現状の奨学金を利用した医師の義務履行の状況と、その後の県内定着の現状を踏まえ、さらなる向上策についてのお考えをお聞かせください。
 教育長にお聞きいたします。
 教育委員会では、平成18年度より、県政の重点課題解決に向けた県政課題貢献人材育成事業として、県内の高校からの医学部への進学者数をふやすための学力向上対策事業を行ってまいりましたが、この事業実施以降の県内の高校生の医学部進学状況はどのようになっているのでしょうか。昨年の事業の総合的評価を含めお聞かせください。
 また、来年度はこれらの事業は統合され、新たにいわて進学支援ネットワーク事業として実施される予定となっておりますが、新事業の概要とこの事業による医学部進学生の目標などをどのように考えているのかお聞かせいただきます。
 広い岩手県内の地域医療を確保する上で、自治体病院等の担うべき役割は大変大きなものがあります。一方、公立病院での医療を支えるべき勤務医を取り巻く状況は厳しい環境にあります。
 県立病院の常勤医師は、平成16年度の527名から変化はありませんが、医師の中途退職者はここ数年30名前後で推移しており、年々開業を理由とした退職者の割合がふえ、最近は40%台を超えております。同様に県内12カ所の自治体病院でも、自己都合退職者がふえ、12自治体病院の医師の総数は、平成14年度の111名から、平成18年度は87名と大きく減少しております。
 そこで、まず、勤務医の退職の現状認識とその対策について、県のお考えをお聞かせください。
 また、今年度、一部の県立病院で試行的に実施してきた医師の事務補助職員─いわゆる医療クラーク制度について、県では来年度、全県立病院に配置する予定と聞いておりますが、その詳細と医師の勤務環境改善への期待される効果、病院への配置基準などがありましたらお示しください。
 公立病院の経営状況を見てみますと、県立病院では、平成17年度を除き、ここ数年、経常損益の赤字が続き、累積欠損額が127億円余となっており、同じく県内の自治体病院の合計経常損益も数年10億円以上の赤字決算が続いております。医師の数と病院経営との関連性は大きなものがあると考えますが、県の公立病院での勤務医数と経営内容をどのように認識しているのかお聞かせください。
 総務省は、さきに公立病院改革のためのガイドラインを示し、具体的な経営改善への抜本的見直しを求める方向性にあると報道されております。その指針には、数値目標の基準として病床利用率70%が目安とされ、それを下回る場合は、病院の統廃合を含めた強い指導が打ち出される可能性が強くなっております。地域によっては、県立や自治体の公立病院が唯一の医療提供機関であるという地域も存在し、公立病院の統廃合が、即地域医療の崩壊に結びつきかねない状況にあるとも言えます。
 そこでお伺いいたしますが、県立病院並びに県内自治体病院の病床利用の状況を県はどのように把握しておりますでしょうか。また、その病床利用改善に向けて、県としてなすべきことは何なのかお聞かせください。
 さらに、医師確保に苦慮している県内自治体病院への医師派遣支援対策の内容と現状についてお聞かせ願います。
 最後に、地域に根差した産業の育成についてお聞きいたします。
 このたびの東芝の北上市への新工場建設の決定につきましては、大きな喜びであると同時に、知事初め、県の関係者の皆様の数年にわたる取り組みの成果のたまものと、感謝申し上げます。新年度に向かって、いわて希望創造プランの発進に際し、絶好のタイミングでの決定発表であったと思います。
 知事自身、この誘致に向け、地元市長とも連携しながらトップセールスを展開してきたとお聞きしておりますが、改めて、強力なライバル自治体との競争に勝利した要因をどうとらえているのかお伺いいたします。
 新工場建設の詳細につきましては徐々に明らかになってくるものと思いますが、その投資額見込みにつきましては8、000億円を超えるのではないかと推察されております。工場の性質上、投資の大部分は設備装置などに対するものと予測されておりますが、当初の直接投資に対して、県内への経済波及効果をどのように見込み、またそれを最大限大きくしていくための県の方策、果たすべき役割に対する認識をお聞かせください。
 半導体業種は、自動車などの多品種の関連部品などを伴うものではなく、原料納入後は、工場クリーンルーム内で作業が完結し、県内企業が取引に参入できる余地は少ないのではないかと予想されますが、工場が稼働した後の県内関連業種や取引への新規参入の可能性をどう見込んでおりますでしょうか。
 3月には、半導体の関連業種の産学官ネットワークの設立が予定されておりますが、その枠組みと本格稼働に照準を合わせた取り組みのねらいなどをどのように考えているのかお聞かせください。
 雇用と経済波及効果については、それを限定的ととらえる冷静な考え方もあると聞いておりますが、県内の厳しい雇用情勢の中で、予定される300名とも1、000名とも言われる新規求人による雇用環境改善への期待が寄せられるところであります。ライバル県との比較の中で、岩手と北上周辺での人材確保への見通しがその決定の大きな要因となっているとも聞いております。であれば、企業側に期待される雇用の安定確保を果たすことが受け入れ側の大きな責任ともなり、また、それを余裕ある形で実現することが、今後のさらなる新企業進出に結びつくものと考えます。
 そこで、本格稼働に照準を合わせた雇用への対応と、県や市の受け入れ体制に対する認識をお示しください。
 最後に知事にお聞きいたします。
 今回のニュースに前後して、宮城県とセントラル自動車が立地協定を結び、いよいよ圏域での自動車生産の50万台体制が現実味を帯びてまいりました。最新の報道では、国内最大の自動車部品メーカーが、東北シフト対応の中で南東北への新工場建設を計画し、年内にも方針決定がなされる見込みとされております。今後、エンジン部品を含めた自動車関連企業の進出をにらみ、県としてハード面でのインフラ整備にどのように取り組んでいかれるお考えでしょうか。
 殊にも、部品メーカーの集積による物流の増大は十二分に予測できることであります。北上操車場跡地の利用による物流拠点の整備につきましては、コスト面と環境の両面からも大きな意味を持つものと考えます。当初は物流量の絶対数の不足から、この計画実現に対する進展が困難な状況にあったわけでありますが、大きな変化が確実の中、この拠点設置に向けた知事のお考えをお聞かせください。
 さらに、県の目指す半導体と自動車の連峰型の産業集積が、いよいよはっきりと輪郭をあらわしてきた今を千載一遇のチャンスととらえ、県の基幹産業である農林水産業や観光やサービス産業などを中心とした3次産業への波及可能性を徹底して探るべきと考えるものでありますが、知事のお考えをお聞かせ願います。
 知事におかれましては、新年度に向け、いわて希望創造プランの実行により、県民の希望の芽を大きく育てていただけますことを強く御期待申し上げ、質問を終わらせていただきます。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 関根敏伸議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、いわて未来づくり機構についてでありますが、私は、本県においては、首都圏などとの経済や雇用の格差などが大きな課題と認識しており、これらの課題解決のためには、官民が一体となった新たな仕組みが必要と考えておりました。岩手大学平山学長、岩手経済同友会永野代表幹事も以前から同様の認識を持たれていたことから、昨年7月に3者で会談を行い、新たな官民ネットワーク構築について合意し、設立発起人として賛同いただける方々の参加を呼びかけたところであります。今月5日には、賛同いただいた方々を加えた7名により機構設立のための準備会議を開催し、この4月に、いわて未来づくり機構を設立することとしたものであります。この機構は、本県の産学官など多様な組織が手を携え、産業振興などに関し岩手の将来的な発展方向を共有し、知恵と行動力を結集することを目的としております。
 具体的には、ラウンドテーブルにおいて骨太の議論をし提言を行うほか、機構みずからが提言を具体化する活動を行うことなどにより、本県の明るい未来づくりの推進の役割を担うことが期待されております。
 機構の活動は、オール岩手の組織の連携と協働が基軸となりますことから、私が進めようとする地域経営の視点に立った県政運営とも方向性を同じくしており、いわて希望創造プランの推進に当たっても協力がいただけるものと期待しております。
 次に、県民所得向上策についてでありますが、県民所得の数値目標を示した意味と平成12年度並みの260万円台とした根拠についてでありますが、重点目標に掲げた県民所得の向上に数値目標を掲げるべきといった御意見を多数いただいたことなどを踏まえ、私としても、県民の皆さんと明確な目標を共有し、総力を結集して、危機を希望に変えるための取り組みを展開していくことが何よりも大事との考えから、県民所得の数値目標を260万円台と設定したところであります。この目標は、国が示している今後の物価上昇率や人口推計を前提とした上で、平成18年度に策定した産業成長戦略において見込んだ本県の経済成長率をもとに設定したものであります。
 次に、本県経済成長の現状認識と経済成長率の上乗せ0.6%の実現性についてでありますが、本県経済は、実質で5年連続でプラス成長となるなど底堅く推移しており、その潜在力は非常に高いものがあると考えております。こうした中、経済成長率0.6%の上乗せ分については、この戦略に掲げた政策を着実に推進していくことで達成が可能になると考えており、具体的には、新たな半導体工場の進出などを背景として、自動車関連及び半導体関連を中心とした連峰型のものづくり産業の集積が加速すること、平泉の世界遺産登録を契機とした観光客が増加すること、食の安全・安心へのニーズに対応して県産農林水産物の市場での評価が高まることなどが、本県経済へのさらなる成長要因として期待されるところであります。
 次に、雇用者報酬、企業所得、財産所得の向上に向けた県の考えについては、雇用者報酬や企業所得などの県民所得の分配を高めていくためには産業全体の底上げを図り、県内総生産を引き上げていくことが必要でありますことから、いわて希望創造プランの着実な推進により、ものづくり産業や食産業、観光産業、農林水産業などの産業振興の取り組みを重点的に進めていく考えであります。
 次に、岩手ブランドの確立に向けた情報発信についてでありますが、高村光太郎はその詩の中で、岩手の県民性について、沈深牛の如し、ついにその成すべきを成すと例えました。私は、岩手の県民性はこの詩で表現されているように、まじめで誠実、粘り強いという特徴があるものと認識しております。このことは、誘致企業の経営者の方々と懇談した際においてもよく耳にするところでございまして、こうした県民性は、平泉の文化あるいは多くの偉人を生んだ縄文以来の歴史・風土の中ではぐくまれ、受け継がれてきたものと認識しております。
 こうした人材を初め、歴史や文化、農林水産物、伝統工芸など、岩手の各分野にわたる豊かさと信頼を「黄金の國、いわて。」と表現し、岩手ブランドの構築に向け、これまでも私が先頭に立って、首都圏を初め関西、中京あるいはマレーシアなど海外に向けて情報発信してきたところであります。今後も、「黄金の國、いわて。」を前面に打ち出した情報発信を積極的に進め、買うなら岩手のもの、雇うなら岩手の人、行くなら岩手県といった評価や信頼の獲得につなげていきたいと考えているところであります。
 次に、道路特定財源の期間延長と地方6団体の提言についてでありますが、政府が国会に提案している暫定税率の延長期間は、国の中期計画の期間に合わせ10年間としたものと思いますが、昨年12月の政府・与党合意で、中期計画は5年後をめどに必要に応じて見直すこととされております。また、自動車関係諸税については、税制の簡素化が必要との指摘もあり、今後の抜本的な税制改革に合わせ、道路の整備状況、環境に与える影響、厳しい財政状況等も踏まえつつ、暫定税率を含め、そのあり方を総合的に検討することとされております。よって、道路特定財源の期間は中期計画の見直しや税制改革に合わせ、今後の社会経済情勢の変化や財政事情等を勘案しつつ、適切に見直されるべきものと認識しております。
 また、地方6団体の提言についてでありますが、全国知事会においては、昨年7月の第2期地方分権改革への提言の中で、税源移譲や直轄事業負担金の廃止などが盛り込まれており、地方分権型社会への転換を目指し検討が続けられているところであります。
 一方、地方6団体では、去る2月に、道路特定財源については、地方分権も踏まえ十分議論を行っていくべきであるが、地方自治体の新年度予算編成等への混乱を回避する意味からも、まずは現行暫定税率を維持した上で、年度内に関連法案を成立させることを強く求めると国へ提言したところであります。私といたしましては、この道路特定財源に関する地方6団体の提言は、第2期地方分権改革の提言に矛盾する趣旨のものではないと考えておりまして、第2期地方分権改革の提言に盛り込まれた地方分権に向けた内容については、実現を目指していかなければならないと考えております。
 次に、暫定税率の廃止に伴う減収と減税への認識についてでありますが、道路特定財源の暫定税率が廃止された場合には、国民経済においては、ガソリン税を初めとする自動車関係の幾つかの税が合計で2兆円を超える規模で減税となり、また、こうした自動車関係の税を相対的に多く納税している地域に、大きな減税効果が生じることとなります。
 一方で、暫定税率が廃止される場合には、これにかわる適切な財源措置が講じられない場合には地方の道路関係予算が大幅に減少するほか、他の分野への影響も想定され、地方の財政や地域経済に大きな打撃となってしまうことから、地方における経済運営の観点からも、道路を初めとする地方に必要な事業の財源が損なわれることなく、適切に確保されるような形での結論を国において責任を持って出していただきたいと考えております。
 次に、地方道路整備予算の一括交付金化についてでありますが、これまで国庫補助事業では、全体事業費の制限などの採択基準や国道と地方道でそれぞれ事業の予算枠があったため、道路ネットワークの形成におくれが生じる場合がありました。効率的な道路ネットワークを形成するためには、国の直轄事業による全国的な高規格幹線道路網から、一般国道や県道、市町村道までの整備が体系的に進められることが極めて重要であります。このことから、直轄事業を含む道路整備財源がどうなるか、また、一括交付金化した場合、本県への配分額がどの程度になるかなど、制度設計のあり方について留意する必要がありますが、仮に予算の総額が確保された上で地方が主体性を発揮できるような制度に見直されるならば、県管理国道から県道、市町村道までのネットワークについては、より地域の実情に合った整備が可能となり、地方の道路整備にとっては望ましいものと認識しております。
 次に、東芝の新工場の建設決定についてでありますが、今般の北上市への進出決定により、今後、半導体関連産業が自動車関連産業とともに、本県の基幹産業として一層の飛躍を期待できる環境が整ったこととなり、本県の産業振興や経済活性化にとって非常に喜ばしいことと考えております。
 東芝の誘致に当たっては、これまで北上市及び東北電力と連携しながら、それぞれの立場でベストを尽くし、工業用水、電力などのインフラ整備から、人材供給などのソフト面に至る総合的かつ誠実な提案を行ってきたところであります。こうした中、他の自治体との競争において本県に決定していただいた最大の要因は、これまで、本県は産学官が一体となって企業ニーズに対応した質の高い産業人材の育成に取り組んできたところであり、この人材に対する高い評価にあると認識しております。
 次に、自動車関連企業の進出をにらんだインフラ整備についてでありますが、自動車関連企業の県内への立地促進に当たっては、今後、完成車物流と部品物流の両面における拠点整備が重要と考えております。完成車物流については、釜石港からの積み出し台数の増加に向けて既に公共埠頭や岸壁の整備を行ったところであり、現在、その利用促進を図るため、私みずからが自動車メーカーに対してポートセールスを積極的に行っているところであります。また、釜石港と内陸部を結ぶ東北横断自動車道については、当面、東和?遠野間の早期整備の促進を国に対し強力に働きかけているところであり、これにアクセスする関連道路についても、整備を積極的に進めてまいる考えであります。
 一方、部品物流については、物流拠点の整備が今後自動車部品メーカーの本県への立地促進に対する大きなインセンティブとなるものと認識しており、特にも北上地域における新貨物駅の設置については、自動車関連企業や秋田港などとの連携を含め、東北地域全体における重要な物流拠点となり得るものと考えられますことから、現在、JR貨物に対し、新駅設置について強力に働きかけているところであります。
 次に、ものづくり産業の集積を契機とする他産業への波及可能性についてでありますが、今後、本県にものづくり産業の集積が進んでいくことによって、企業関係者を中心として交流人口の増大、定住人口の増加へとつながるものと期待されるところであります。このことは、本県のすぐれた農林水産品やこれらを生かした食産業、さらには飲食・宿泊施設を初めとするサービス業や観光産業等への需要拡大が期待できるほか、来県者に対するPRを通じて、全国に広く情報発信をする好機でもあると認識しております。県としても、そうした観点から、関係市町村とも連携しながら、企業へのフォローアップ活動等を通じて、県産食材の活用や県産品の利用を働きかけるなど、また、本県の観光資源をPRするなど、さまざまな取り組みを進めてまいりたいと思います。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部局長から答弁させますので御了承をお願いいたします。
   〔地域振興部長藤尾善一君登壇〕
〇地域振興部長(藤尾善一君) 文化芸術振興基本条例の目的等についてでありますが、条例制定の目的は、本県の文化芸術のすばらしさを再認識し、県内外に積極的に発信することにより、本県の地域的価値を高めていくことが、地域社会の活性化にもつながるという考え方のもと、振興のための基本理念と基本方策を定め、県民に向けて振興を宣言することであります。
 具体的な方策につきましては、県民の御意見をいただきながら、来年度策定する文化芸術振興指針において定めることになりますが、2点についてお尋ねがございました。
 そのうちの1点目、生活文化の振興につきましては、本県ならではの雑穀、もちなどの郷土料理、染物、漆、わら細工などの生活用具や方言など、各地域の歴史・風土に根差し、はぐくまれてきた暮らしの知恵や生活様式に光を当て、将来に向け守り伝えていく取り組みなどを考えております。
 2点目の伝統文化の系譜等に関して広く県民の理解を深めていくということにつきましては、地域の歴史等に関するテキストの作成や先進的取り組み事例の紹介を通じた学習活動への支援、ホームページの活用による県内外への情報発信などを考えております。
 当該条例の所管につきましては、文化芸術の振興によって地域社会の活性化を目指すものでありますことから、教育委員会との連携のもと、地域振興部が担うこととしたものでございます。
 次に、平成18年度決算を踏まえた県内市町村行財政に対する認識についてでありますが、まず、職員数は平成19年4月現在で1万4、413人、10年前と比べますと14%の削減、全国では11.7%の削減でございます。平成22年度までにはさらに4.5%縮減することが、各市町村で策定した集中改革プランにおいて予定されております。特に、小規模な市町村では深刻な人材不足に陥っており、行政サービスを維持・向上させ地方分権の担い手となるには、人的な面で非常に脆弱になっているのではないかと考えております。
 次に、18年度普通会計決算は、実質収支は全団体で黒字となったものの、基金取り崩し額等を控除した実質単年度収支では3年連続の赤字となり、平成18年度末の基金残高は740億円と、10年前─平成8年度でございますけれども、その当時の3分の2の水準にまで落ち込むなど、依然として基金の取り崩しに頼る厳しい財政運営が続いているものと認識いたしております。
 また、18年度公営企業会計決算におきましても、公営企業189事業のうち173事業、およそ9割が黒字となっている一方で、総収支では35億3、100万円余の赤字となっているところであり、特に宅地造成事業、病院事業、下水道事業において多額の赤字を計上しているところでございます。
 来年度から施行される地方公共団体財政健全化法に基づく議員御案内の五つの指標につきましては、その具体的な算定方法が今後の総務省告示で示される予定になってございますことから、現段階では、平成18年度決算数値を用いて個々の市町村の比率をお示しすることはできないところでございますけれども、今後、市町村において、公営企業や一部事務組合、第三セクター等を含めた総合的な財政状況を連結ベースで算定、公表されることによりまして、透明性の向上が一層図られるものと考えております。
 次に、市町村合併の効果についてでありますが、県市町村合併推進審議会が昨年12月に取りまとめた合併市町村における合併効果などによりますと、合併した市町は合併により行財政基盤が強化され、地方分権社会にふさわしい体制が整えられており、数字としてもその効果がはっきり出ている一方、非合併市町村は、人的・財政的に脆弱で、地方分権社会にふさわしい行財政基盤を備えているとは言いがたい状況になっております。また、合併市町においては、合併により強化された行財政基盤のもと、行政区域が広がる中で、住民が主体的に参画をし、活力あるコミュニティを維持・再生する仕組みをいかに再構築するかが課題であると考えております。既に県内の合併市町は、この課題克服のためにさまざまな取り組みを進めているところであります。
 合併した市町の住民満足度等については県としては把握してございませんが、今後、各市町において把握し、その上で合併の効果や課題について行政と住民がともに理解を深めながら、新しいまちづくりが進むことを期待いたしておるところでございます。
 次に、市町村合併推進審議会の答申の方向性についてでございますが、答申につきましては年度内になされるものと聞いておりますが、その答申の内容につきましては審議会にゆだねているところでございまして、県のほうから具体的な方向性を示すようなことは差し控えたいと考えておりますが、審議会におきましては、将来を展望した大局的な視点で答申をまとめていただきたいと考えております。
 なお、審議会の調査結果や審議の内容につきましては、県のホームページで公開しており、地域においてこれを材料として広く議論していただくことを期待いたしております。
 次に、県内の合併議論の状況と県の役割についてでありますが、合併推進構想で組み合わせを示している八つの地域の中では、気仙地区3市町による広域行政等研究会が昨年報告書をまとめ概要版を全戸配布し、11月にはシンポジウムを開催し、また、宮古市と川井村が合併に関する検討会を設置して、川井村が住民説明会を開催いたしておりますし、また、釜石市と大槌町が、先般、今後の市町村のあり方に関する職員勉強会を開催したところであり、これ以外でも市町村議会において合併に関する議論が活発化するなど、合併推進審議会における審議の進展に合わせて、真剣に議論が始まりつつあるものと認識いたしております。
 さきの市町村合併推進審議会で示された勧告のあり方についての答申の論旨案におきましては、平成22年3月末の合併新法の期限を考えれば、当面自立は問題の先送りであり、当面自立を掲げる市町村は、合併か単独かを覚悟を持って決める時期に来ている。そのためには、市町村は住民に対し、将来のまちづくりをどう考えるのかや、合併した場合と単独の場合との比較を示すなど、住民が的確に判断できる材料を積極的に提供して、オープンな場での議論を自主的に進めていただきたいと指摘されております。
 県といたしましては、審議会のこうした指摘を踏まえ、2月から合併効果等の地域説明会を開催してきておりますけれども、これを通して、市町村に対しても住民への積極的な情報提供を促すとともに、3月に予定される審議会の答申を踏まえ、特にも平成20年度前半におきましては、市町村議会議員はもちろん、経済団体や民間団体等へも情報提供や助言を精力的に行うことで、地域における議論を強力に促してまいりたいと考えております。
   〔県土整備部長西畑雅司君登壇〕
〇県土整備部長(西畑雅司君) 道路整備のコストについてのお尋ねがございました。
 道路の幅員やカーブの大きさなどの構造は、高速道路か一般道路かの別や、交通量、地形によって定まる設計速度ごとに道路構造令に基づいて計画しているものであります。道路構造は、一般的に申しますと、県単事業箇所より補助事業箇所が、補助事業箇所よりも直轄事業箇所の方が幅員が広く、カーブは緩く、いわゆる構造規格が高くなっております。この規格の違いや、トンネルや橋などの構造物の有無が道路整備コストの差の主な原因になっているものと考えてございます。
 次に、ローカルスタンダードについてでございますが、県では、平成14年に地域の実情に応じた効率的な道路整備について、高知県、和歌山県など14道県とともに国への提言を行うなど先進的に取り組んでまいりました。このような取り組みの結果、平成15年度には、道路構造令の弾力的な運用としていわゆる1.5車線的道路整備の考え方が示され、交付金事業の対象となるなど、地方分権の中で、地方の裁量による効率的な道路整備を行うことが可能となっております。
 1.5車線的道路整備につきましては、平成18年度に一関市大中斉地区が完了し、今年度は宮古市末前地区ほか2地区で完了予定であります。いずれの地区でも、事業着手から3年程度で見通しが改善されたり、待避所の設置によりすれ違いがスムーズになるなど、地域の方々からも評価されておりますことから、交通量の少ない路線においては地域の合意形成に努め、今後とも、地域の実情や利用実態に応じた効率的な道路整備を進めてまいりたいと考えております。
   〔保健福祉部長赤羽卓朗君登壇〕
〇保健福祉部長(赤羽卓朗君) 医師確保対策アクションプラン及び医師確保対策室の取り組みの成果についてでございますが、アクションプランでは、研修医の受け入れあるいは女性医師の就労支援などの多面的な取り組みを進めておりますが、まず臨床医につきましては、初期臨床研修が必修化されました平成16年度以降、255名の研修医を受け入れておりまして、このうち、臨床研修を終えた8割以上の医師が、引き続き県内において病院での勤務や大学院に進学しているところでございます。また、女性医師への就業支援により5名が職場復帰されております。さらに、医師確保対策室による即戦力医師の招聘活動によりまして10名の医師を招聘するなど、こうした取り組みが徐々に医師確保につながっているものと考えております。
 医師の地域や診療科の偏在への取り組みについてでございますが、厚生労働省の医師・歯科医師・薬剤師調査で、本県の医師数は、平成16年の2、499人から直近の平成18年調査で2、569人と、70人増加しております。しかしながら、御指摘のように、地域偏在や診療科の偏在は解消できていないというところでございます。こうした偏在につきましては、まずもって、医師の絶対数の確保が必要と考えておりまして、今後もアクションプランに基づく取り組みや医師確保対策室による即戦力医師の確保に努めるとともに、医師の偏在は岩手のみならず国全体の問題であると考えておりまして、国に対しても地域の実情を踏まえた有効な医師の偏在対策を講じるよう、引き続き求めてまいりたいと考えております。
 次に、いわて希望創造プランにおける目標とした医師数の設定の根拠と医師確保目標の内訳についてでございますが、まず、平成22年度における医師数の目標値につきましては、これまで拡大傾向にございました全国平均と本県の値との乖離の状況を、これ以上拡大しないといった考え方で設定したものでございます。また、医師確保目標─これは平成22年度で40名というものでございますが、この内訳につきましては、現在、本県の奨学金制度を活用している医学生及び自治医科大学在学者のほか、医師確保対策室による即戦力医師の招聘、女性医師の就業支援による職場復帰を見込んだものでございます。
 目標達成に向けた総合的な対策、達成実現見通しにつきましては、平成18年度の人口10万人当たりの本県医師数は186.8人でございまして、平成16年の179.1人から7.7ポイント増加しております。アクションプランに基づく取り組みの成果が徐々に出てきていると考えておりまして、今後も引き続き力を入れて取り組み、目標が実現するよう努めてまいりたいと考えております。
 奨学金を利用した医師の義務履行の状況と義務履行後の県内への定着向上策についてでございますが、これまで貸し付けの終了者が実際にございます医療局奨学生制度について、平成9年度以降の状況を見てみますと、貸付終了者49名のうち、義務履行せずに貸付金を返還した方は4名、8.2%となっております。また、義務履行を終了したのは4名となっておりますが、このうち2名が引き続き県立病院に勤務しているところでございます。
 県としては、義務履行を終えた医師が本県地域医療に引き続き従事するよう、医師の専門性や総合力の確保・向上など、キャリア形成にこたえる取り組みを進め、医師の県内定着の向上を図ってまいりたいと考えております。
 次に、勤務医の退職の現状認識とその対策についてでございますが、県立病院の退職の状況は、いわゆる医局人事を除きまして毎年30名余りが退職しており、開業、民間病院への異動のほか、家庭の御事情などにより退職していると伺っております。
 開業等による退職の理由といたしましては、病院での勤務環境が厳しいことや仕事と生活のバランスを確保したいといった考え方が、その主な要因と伺っております。
 市町村立の病院につきましても、厳しい経営状況の中にあって、同様の状況にあるものと推察されるところでございます。
 県としては、やはり医師不足、特にも勤務医の不足がこうした状況につながっているものと考えておりまして、医師確保対策アクションプランに基づくさまざまな対策を着実に実施し、医師の絶対数の確保に努めてまいりたいと考えております。
 また、各経営主体におきましても、医師の業務負担の軽減や増加している女性医師の就業支援など、医師の勤務環境の改善にきめ細かく取り組んでいただく必要があると考えております。
 公立病院における医師数と病院経営との関連についてでございますが、公立病院は、僻地医療や救急医療、高度・先進的な医療など、採算性の面から民間医療機関では提供が難しい医療部門を担っているということもございまして、単に医師数との関係で病院経営を評価することは困難であると考えております。しかしながら、病院経営の基本となるのは、医師や医師を中心とした医療チームでありまして、勤務医の不足が病院の経営に与える影響は相当程度大きく、小規模な病院などでは、病院そのものの存続にかかわる影響も想定されるところでございます。
 なお、病院経営には、勤務医の数のほか、診療報酬の改定や患者数、病床利用率など多くの事項が複雑に関係していると考えておりまして、病院の規模や経営内容により影響の度合いは異なると考えております。
 病床利用率とその改善に向けた取り組みについてでございますが、平成18年度の病床利用率は、県立で81%、市町村立で、統合や診療所化を予定しておりました3病院を除いた場合でございますが68.9%でございます。先般、総務省が提示した公立病院改革ガイドラインで病床数削減等の見直しが適当とされている基準に該当する病院は、県立で3病院、市町村立で3病院と把握しております。
 病床利用率の改善等につきましては、今後、ガイドラインに基づき、各病院設置者が策定する公立病院改革プランの中で検討されるものと考えておりますが、県は、県立病院設置者としてのプラン策定のほか、県内の公立病院等のあり方について、構想等の策定等を含めた参画が求められているところでございまして、地域医療を確保するという基本的な視点に立ち、各市町村とも共同しながら対応について検討してまいりたいと考えております。
 次に、県内自治体病院への医師派遣支援対策の内容と現状についてでございますが、市町村立病院あるいは診療所の医師の確保に向けて、県では、自治医科大学卒業医師の計画的な配置を行っているところでございまして、平成18年度には2名、今年度は4名を配置しているところでございます。
 また、県立病院による診療応援につきましては、平成18年度実績で、センター病院であります県立中央病院のほか、広域基幹病院を中心に六つの県立病院から八つの市町村立医療機関に対し636人日の診療応援を行っているところでございます。
   〔医療局長法貴敬君登壇〕
〇医療局長(法貴敬君) 勤務医の勤務環境改善に向けたクラーク制度の内容と取り組みについてでありますが、医師の勤務環境の改善を目的に、医師の事務作業を補助する職員、いわゆる医療クラークを平成19年10月から遠野病院及び千厩病院に、11月からは大船渡病院に、それぞれ2名を配置し、試行を実施してきております。
 試行の結果、医師からは、事務的業務の負担が軽減されたとの高い評価を得ていることから、勤務医の労働過重を軽減するため、平成20年度からは本格的に導入することとしております。
 その配置に当たっては、病床数や医師数、また診療報酬で新設される医師事務作業補助体制加算なども勘案して、63人程度配置する予定にしております。
 担当業務は、当面、各病院ごとに、医師の指導のもとで行うこととしていることから確定的な業務内容となっておりませんが、平成19年12月に国から医師と事務職員との役割分担の推進に関するガイドラインが示されておりますので、これを参考にしながら、現場の意見を聴取し、業務内容を定めていくこととしております。
   〔商工労働観光部長阿部健君登壇〕
〇商工労働観光部長(阿部健君) まず、東芝の新工場誘致の県内への経済波及効果についてでありますが、今般の東芝工場建設につきましては、正式な規模や投資額が示されていないものの、多額の投資が期待されることから、工場の建設工事、機械設備の導入などの直接効果に加え、雇用増、税収の増加、関連企業の進出など広範な波及効果があるものと考えております。
 また、このような半導体製造工場は、投資額全体に占める機械設備に係る割合が高いことから、県内の半導体製造装置メーカーとの取引を通じて、県内の関連企業にもその効果が波及するよう働きかけてまいるとともに、工場棟に係る建設工事につきましても、できる限り県内企業の参入について要請してまいりたいと考えております。
 次に、東芝新工場の稼働後の取り組み等についてでありますが、工場稼働後の新規参入の可能性につきましては、製造装置やソフトウエアのメンテナンス、チップの組み立て・仕上げ工程、金型や表面処理などの面で、県内企業が参入できるものと期待しているところであります。
 また、産学官ネットワークにつきましては、来月、いわて半導体関連産業集積促進協議会─仮称でございますが─を設立することとしており、県内の半導体関連企業を中心に、教育機関、行政など、当面100の会員の加入を目指しているところであります。
 本協議会は、必ずしも東芝新工場への対応のみに照準を合わせたものではありませんが、今回の好機を最大限に生かす意味からも、2010年と言われる新工場稼働も念頭に、企業間交流の促進、地場企業の技術力の向上、専門人材の育成などの取り組みを積極的に進めながら、地場企業の取引拡大や関連企業の進出など、より一層の集積を促進してまいりたいと考えております。
 次に、東芝の新工場稼働後の雇用確保対策についてであります。
 東芝の新工場の立ち上げに当たりましては、隣接している岩手東芝エレクトロニクス及び四日市市における東芝の工場の従業員が中心になるものと見られ、また、フラッシュメモリーの市況を見ながら、新規採用の従業員を加え、段階的に雇用人員を増加させ工場を運営していくものと見られることから、北上及び周辺地域の労働市場におきましては、十分な人材供給が可能と見ているところであります。
 このようなことから、今後は、北上市、ハローワークなど関係機関や東芝と十分な連携を図りながら、新工場の稼働状況に応じて、企業の求める人材が安定的に確保できるよう最大限の協力を行ってまいる考えであります。
   〔教育長相澤徹君登壇〕
〇教育長(相澤徹君) まず、地元学への取り組みについてでありますが、児童生徒が地域の歴史や伝統文化を学習し継承していくことは、大切なことと考えております。小学校では、社会科副読本を活用し、地域の産業等についての学習を行っており、中学校では、身近な歴史を調べる学習などに取り組んでおります。高等学校においては、地歴・公民科目に加えて、総合的な学習の時間で郷土学習を行っており、また、学校設定科目として独自の取り組みを行っている学校もあります。
 現在、岩手県全体の教育課程編成のガイドラインとなる学校教育指導指針を抜本的に見直す作業を始めております。その中で、義務教育におきましては、地域に根差した郷土芸能など地域を学ぶ学習を道徳、特別活動、総合的な学習の時間に位置づけるなど、地域に愛着を持つ豊かな人間の育成に向けた取り組みを一つの柱にしたいと考えております。
 地方分権の時代において、地域を学ぶ学習を教育の土台に据えていかなければならないと考えております。
 次に、医学部の進学についてでございます。
 県政課題貢献人材育成事業実施後の医学部への進学状況についてでありますが、この事業は平成18年度から始めておるものであります。この年の医学部医学科の現役合格者数は33名で、前年度の合格者より13名増加しております。この事業によって、生徒間で切磋琢磨ができたことなどが、意識啓発にもいい影響を及ぼし、学力の向上の点で効果があったものと考えております。
 また、来年度から行われるいわて進学支援ネットワーク事業は、この県政課題貢献人材育成事業など三つの進学関係事業を統合したものでありますが、各学校で行う講演会や課外授業など学校独自の授業のほか、高校間の垣根を越えた進学のための合同課外授業等を充実させ、進路希望に応じて幅広く各講座を選択できるようにしたものであり、医学部進学対策についても、これまで以上に充実させてまいります。
 医学部進学に関する目標については、生徒の進路希望の達成を第一と考え、学力向上面から支援をして、一人でも多くの生徒の志望を達成させたいと考えております。同時に、医師が人の命を預かる大切でやりがいのある仕事であることを生徒たちに伝え、医学部進学の動機づけを行ってまいります。
〇18番(関根敏伸君) お疲れのところ申しわけございませんが、数点、再質問をさせていただきます。
 まず、丁寧な御答弁をいただきましてありがとうございます。
 まず、合併のことについてでありますが、部長からは、残る期限に向けて県としての強い方向性が示された、そういう御答弁であったと聞いております。あくまで前提として、私も、当然これは自治体が、そこの住民が、自主的に、主体的に判断をすべきものであることは全く言うまでもないわけですが、質問でも触れておりますとおり、残念ながら、首長主導の議論の中でにっちもさっちもいかない状況になっているのかなと私は見ております。
 そんな中で、行財政基盤をきっちりとして継続的に行政を運営していく、行政サービスを落とさないというふうな大局的な観点から立って見たときに、やはりもっともっと情報提供をして、住民に自治体の現実を知らしめる中で、議論を残された時間でしっかりしていかなければならないのかな、そんなふうに思っております。
 せんだって私、福島県の矢祭町に行ってまいりました。有名な合併しない宣言で全国的に脚光を浴びて視察団が大挙して押し寄せているところでありまして、新しい町長さん、あるいは合併当時の実務を担当した課長さんからお話を聞いてまいりまして、あそこは本当に、ある意味、議会、住民もしっかりと自立を全員で共有した中で、自立の道を選んで、今、行政運営をしているわけです。そういう意味で、本当にすばらしい運営であります。フレックスタイムで窓口が年じゅう無休とか、税金滞納整理を全職員でやるとか、出張役場を設けるとか、そういった取り組みもされておりますし、財政的な基金も年々ふえてきているというお話を聞きまして、ある意味、自立を選択した理想的な自治体のモデルかなと思って見ておりました。
 ただ、やはり相当な努力をされていらっしゃるということが現実でありまして、人口7、000人に対して職員の方は65名と伺っていました。将来は50名、遠くない将来50名まで持っていくというお話を聞いておりまして、議会も、現在、議員が10名ということです。大体同じような県内の市町村を見ますと、7、000人から8、000人規模の自治体ですと、少ないところで80名、ほとんどは大体100名から、多いところは190名、これが今、県内の自治体の職員数です。議員数は大体14名から16名ということですから、比較すればわかると思います。
 やはり自立を選ぶということは、ある意味、そういった身を削った中で、職員と住民が協働して行政サービスを維持するという強い決意がないと成り立たないものなのかなと思っておりますし、職員の高齢化とか、議会の思い切った日当化などを見て、将来的に行政を維持するという決意のあらわれとは思うのですが、そういったことが全自治体まねできるかどうかと、若干私はクエスチョンマークがついて、すばらしい取り組みとは思いながら、これがまねできるのかという意味では、クエスチョンマークがついて帰ってきたところです。
 そんな意味で、先ごろ大船渡の地方振興局も、いわゆる交付税の算定がえの適用による気仙3市町村の具体的なメリットなどなど、さまざまな数値を示されて後押しをしているということは、大きな県の認識、決意のあらわれと聞いておるわけですが、そういった流れの中で、期限がちょうど2年となるというところになります。今後、合併の議論を住民を巻き込んでやる、その後、議会の手続であるとかさまざまな行政手続を経て期限に間に合わせるということになったときには、相当にスケジュール的にもうタイトになってきているのかなと思っております。
 そんな中で、今後、審議会から答申が示されるというふうには聞いておりましたが、その中に勧告のあり方ということが一つ示されるわけであります。私といたしましては、知事勧告というと大変強いイメージを持たれるのは当然だとは思いますが、あくまで勧告は協議会を設置しなさいという意味の勧告であります。協議会の設置は、合併をしなさいという意味ではなくて、合併協議をスタートさせなさいという意味からとらえていくと、残された時間で住民を巻き込んで協議をするということを考えたときに、やはり勧告のあり方ということは、広い視点で県内の自治体のために将来どうなのか、県の判断、知事の判断をある意味、しっかりとしていくことにもなるのではないか、そのように考えるわけでありまして、この合併協議会設置に向けた勧告のあり方を県としてどのように考えられているのか、もう一度お聞かせいただきたいと思います。
 それから、2点目は、地域医療の確保という面で、自治体病院の状況でございます。
 自治体病院は、市町村立病院のことでありますが、これは、病院設置者の市町村、あるいは当然、その病院が経営的な内容において責任を負うべきものと考えておりますが、今のこの合併議論とも当然関連してくるわけでありますが、自治体病院の経営状況は、即、病院設置者の自治体の経営状況とリンクする、このような流れになっているわけであります。
 そのような中で、総務省からさまざまなガイドラインが示される。自治体のガイドラインと病院のガイドラインが示されるという中で、この病院の存続が危ぶまれるということになりますと、自治体の存続とともに、地域医療の存続が大変乏しい状況になってくるということが考えられます。
 そういった中で、市町村立病院のいわゆる経営に対して、県がどういう関与の仕方をしていくべきかということでございます。ある意味、市町村の一つの機関であるというとらえ方をすれば、地域振興部がさまざま指導・助言の立場になるのかもしれません。全体の保健医療というかかわりからすると保健福祉部になるのかもしれません。また、病院経営のさまざまなノウハウを持っているということであれば医療局であるかもしれませんが、やはり総合的にこの自治体病院の経営ということを、地域医療の維持と自治体の行政サービスの将来にわたる維持という観点から、県がトータル的にこれをしっかりとサポートしていく、見ていく、こういった機関の設置も必要ではないかと考えるわけでありますが、現状、この市町村立病院に対しての県の関与の仕方、将来に対する県の考え方、これについてお聞かせいただきたいと思います。
 それから、最後に、東芝に関連して何点かお尋ねいたします。
 今議会でもほとんどの議員の方々が東芝の問題について触れられております。それほど県民の期待も大変高いわけでありますし、さまざまな意味で、これを契機として大きな希望の芽が膨らんでいくのかな、このように思って聞いておりますし、県としても、さまざまな意味でバックアップをしていただきたいと思っております。
 そういった中、東芝の進出の大きな要因の一つに、地域経済の活性化に貢献したい、このような大変ありがたいお言葉をいただいているわけであります。そういった意味において、今の御答弁の中でも、そういった意味で強く東芝にさまざまな初期投資の段階から御協力を求めていく、このようなお立場の表明があったわけであります。ぜひとも、民間団体、地元の商工会議所、さまざまな団体と連携する形で、県としても果たすべき役割をきっちりと果たしていっていただきたい。これは要望でございますが、それをお願いしたいと思います。
 そんな中で、この地元の取引の参入という可能性についてでありますが、せんだってちょっと東芝の関係の方にお話を伺っておりました。今現在、北上で操業している岩手東芝は、合計で400社の取引があるそうであります。その中で、いわゆる地元の企業はその中の100社であるというお話を聞きました。ただ、100社の内訳は、大体、東京方面に本社のある営業所であったり支店であるということで、実際的な地元業者との取引は、残念ながら3社か4社。具体的には、後工程を担っている二、三社、あるいはこの装置設備を納入している1社、こういう現状であるというお話を聞きました。
 さまざまこれから取引の可能性を協議会等を通じながら県としても広げていくのではないかと思っているわけでありますが、やはり今後、県としてこの400社の取引があるという実態の中で、より詳細に、自動車で言えば、部品の地元調達率ではないわけでありますが、具体的な半導体としての地元の参入の目標率みたいなものを定めながら、より詳細な方向性で動いていただけないものかなと考えているわけでありますし、また、その認識についてもお伺いしたいと思います。
 また、あわせて、半導体と自動車の違うところは、自動車は関連部品メーカーをいわゆる工場の近くに張りつけておくということが、部品調達をジャスト・イン・タイムで行うためにどうしても必要だと聞いておりますが、逆に半導体は、点での取引が可能である。逆に言えば、海外であっても、県外であっても、沿岸であっても、県北であっても、技術とか人材さえいれば取引の参入が可能である。そういう意味では、沿岸・県北にとっては大きな参入のチャンスになるのではないかと考えておりまして、そういった部分について、より詳細なお取り組みをぜひお願いしたいと思いますし、そのお考えについて、ぜひ最後に御答弁をいただきたいと思います。
 もう1点だけ、それから人材の問題です。
 今、県では、ものづくり産業人材の育成とキャリア教育という形で、広い意味での両面からの人材育成をしておりますが、現状、こういった半導体の場合は、正味の技術者というものはそんなに多くはなくて、実際にこの工程に当たられる方々のほとんどが、いわゆる普通高校の出身であったり、商業高校の出身であったりというお話を聞いております。そういう意味では、いわゆる勤労観、コミュニケーション能力、こういった普通の能力を高めていく人材をもっともっと供給してほしいというお話があったわけであります。
 現在、盛岡市内の県立の専門高校同士で、いろいろなそういった意味の連携が進んでいるという報道をこの間拝見したわけでありますが、今後、ものづくりをさらに促進して県内の雇用環境の改善をしていこうという観点から考えたときに、こういった人材供給のあり方、ものづくり人材とともに勤労観を持ったキャリア教育のあり方、この推進についてのより一層突っ込んだ方向性についてお伺いさせていただきたいと思います。
〇地域振興部長(藤尾善一君) 合併協議会設置の知事勧告についてのお尋ねがございました。
 地方自治法に根拠を置きまして、知事が、合併協議会を設けるべきことを勧告できるということでございまして、議員仰せのとおり、これは合併ありきのスタートではないということでございますが、この勧告の効果と懸念といったようなことが審議会の議論の中でも整理されまして、効果としては、勧告をきっかけに、いわゆる住民の議論の盛り上がりが期待できるといったようなことが一つございますし、また、首長が反対して合併協議が進まないような場合でも、議会の賛成、あるいはまた住民投票での住民の賛成の意思があれば、協議会、議論、そういったようなものが進むといったようなことがございますし、また、期間の短縮が図られる、そういう効果がございます。
 一方で、いわゆる住民説明が不十分なままに勧告をいたしますと、住民に対しての県による合併の強制といったような受け取られ方をするということと、また、首長の意思に反して勧告を行うような場合でございますと、信頼関係にマイナスの影響を与えるといったようなことがございます。
 そういうことを踏まえて、審議会の議論の中でも、地域の議論のきっかけにするために積極的に勧告すべきではないかという意見があった一方で、市町村の自主性を尊重して勧告は慎重に、そういう意見もございました。
 これまでのそういった議論を踏まえた論旨の案によりますと、勧告は有効に機能する場合に活用されるべきではないかということになってございまして、例えば、首長が消極的だけれども議会が合併協議会の設置を望んでいるような場合、あるいは住民発議によって協議会設置の請求を行ったけれども請求相手の首長が設置を議会に付議しなかったような場合、合併協議会が一度解消されたけれども関係市町村の議会が協議の継続を望むような場合、そういう場合が例示されておるところでございます。
 いずれにしろ、先ほど御答弁申し上げましたように、答申が3月末に予定されておりますので、まずは答申を待ちたいと存じておりますけれども、県としては、こういった審議会における議論なども尊重しつつ、今後の勧告の可能性について検討してまいりたい、そのように考えております。
〇保健福祉部長(赤羽卓朗君) 基本的には、まずは、それぞれの設置者がしっかりと考えていただくということは非常に大事ではないかと思っておりますが、ただ、病院というのは、もう個々の病院だけで成り立つという状況ではなくなってきていると考えておりまして、この公立病院の改革のガイドラインにおいても、ネットワークといったような視点が非常に大事だということが色濃く出ているわけでございます。
 公立病院の個々の役割をどうするのか、地域のネットワークの中で他の病院とどういった連携をしていくのかといった視点から考えていく、その中で地域医療を医療圏ごとに確保していくという視点が非常に大事だと思っております。そうなってくると、ガイドラインにも示されているわけですけれども、都道府県が医療計画との整合性を図りながら、一定の役割を果たしていかなければならないと考えているところでございます。
 県の内部的には、どこの部が主体をとるということよりは、むしろ地域振興部あるいは総務部、保健福祉部、医療局なりがしっかりと連携しながら取り組んでいかなければならないと考えておりますし、医療制度改革推進本部というものを設置しておりますので、そうした場で議論していくということも大事ではないかと考えております。
 さはさりながら、やはり医療計画の整合性とか地域医療の確保という側面がありますので、来年度から保健福祉部の保健福祉企画室内に3名の担当を配置いたしまして、その3名の者を中心として、市町村ともよく議論をしたり検討しながら対応していきたいと思っております。
〇商工労働観光部長(阿部健君) 東芝の関連で、いわゆる半導体関連産業の地元の参入の関係のお尋ねがございました。
 ここの部分につきましては、基本は、地元の企業の技術力をいかに高めるのか、それがまずベースにあると思います。まず、そこのところをどういうふうに高めるかということで、これは自動車産業の関係とも重なるような形になりますが、来月、協議会を立ち上げるわけでございますが、今は準備会のような形で中で話しているわけですが、やはり協議会を通じて、そこに地元の企業や誘致企業の東芝も入りますが、装置産業の半導体装置の企業、半導体のそれぞれのチップの工場とかいろいろ入るわけでございますけれども、そこの中で、生産工程の改善をどういうふうにやっていくのか、あるいは技術関係を大手と下請がどういうふうに技術交流をやっていくのか、そういう話し合いを今、準備会の中でも進めております。したがいまして、ここのところは、協議会を通じましてしっかりとやっていくということだろうと思います。
 今、議員のほうからお話がありましたとおり、現在、後工程のパッケージの部分とか、メンテの部分とか、いろいろ地場の関係でも参入しているところもありますし、これから参入できる企業もございます。そういったところをしっかりとフォローするような形で進めていきたいと考えております。
 それから、目標率の関係でございますが、これは、今、自動車の関連は関東自工、一つのメーカーを42から60%にするという目標があるわけでございますが、東芝の部分につきましては、今後、協議会等も通じまして、この一つの企業がどういう目標になるか、その辺につきましては、企業のほうにいろいろ話をしながら進めてまいりたいと思っております。
 それから、人材の関係でございますが、ここは、やはり職業観を持ったものづくり人材、そこをどういうふうに育てていくのかということだろうと思いますし、また、その部分が今回評価されたわけでございます。やはりここは、今、ものづくりネットワークでやっておりますように、北上、それから沿岸部、平成20年度は県北部でも行いますが、学校と企業との行き来を盛んにしながら、技術的な面もそうでありますけれども、まさに職業観、ものづくりに対する興味を醸成しながら育てていくということが非常に大事だろうと思っておりまして、この点を岩手県の非常に誇れるものとして強化していきたい、進めていきたいと考えております。
   日程第2 議案第57号平成19年度岩手県一般会計補正予算(第6号)から日程第24 議案第79号財産の処分に関し議決を求めることについてまで
〇議長(渡辺幸貫君) 次に、日程第2、議案第57号から日程第24、議案第79号までを一括議題といたします。
 提出者の説明を求めます。川窪総務部長。
   〔総務部長川窪俊広君登壇〕
〇総務部長(川窪俊広君) ただいま議題とされました各案件について御説明いたします。
 議案第57号は、平成19年度岩手県一般会計補正予算(第6号)であります。
 これは、国の補正等に対応して、公共事業の追加補正を行うとともに灯油高騰対策に要する経費等を新たに計上するほか、事業費の確定等に伴う所要の整理を行い、総額109億42万4、000円を減額補正しようとするものであります。
 増額補正の主なものは、岩手県国民体育大会運営基金積立金1億円、灯油高騰対策緊急特別支援事業費補助1億2、424万円余、道路改築事業費1億9、090万円余、直轄道路事業費負担金2億8、367万円余等であります。
 また、減額補正の主なものは、中小企業経営安定資金貸付金14億8、405万円、企業立地促進資金貸付金14億5、266万円余等であります。
 次に、繰越明許費は、道路改築事業等93事業に係る予算を翌年度に繰り越して使用しようとするものであります。
 次に、債務負担行為の補正は、広域漁港整備事業等13件を新たに追加するとともに、1件について限度額等の変更を行おうとするものであります。
 また、地方債の補正は、いわてリハビリテーションセンター設備整備等2件を新たに追加するとともに、22件について起債の限度額を変更しようとするものであります。
 議案第58号から議案第70号までは、平成19年度岩手県母子寡婦福祉資金特別会計等10特別会計及び3企業会計の各補正予算でありますが、これらは、それぞれの事業計画等に基づいて所要額を補正しようとするものであります。
 議案第71号から議案第76号までの6件は、建設事業に要する経費の一部負担及びその変更に関し議決を求めようとするものであります。
 議案77号は、岩手県国民体育大会運営基金条例でありますが、これは、第71回国民体育大会の円滑な運営に資するため、新たに基金を設置しようとするものであります。
 議案第78号は、工事の請負契約の締結に関し議決を求めようとするものであります。
 議案第79号は、財産の処分に関し議決を求めようとするものであります。
 以上のとおりでありますので、よろしく御審議の上、原案に御賛成くださるようお願いいたします。
〇議長(渡辺幸貫君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後6時17分 散 会

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