平成20年2月定例会 第5回岩手県議会定例会会議録

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〇知事(達増拓也君) 本日、ここに第5回県議会定例会が開会されるに当たり、今後の県政運営について、私の所信の一端を申し述べます。
 ことし、私は、岩手県知事として初めての新年を迎え、その責任の重大さを改めて強く感じました。
 知事として2年目となる本年におきましても、県民一人一人が希望を抱くことができる県土づくりに邁進してまいりたいと思っております。
 私は、昨年4月に岩手県知事に就任しましてから、県内各地を回る機会を得ましたが、岩手の置かれた現状は容易ならざるものであるとの思いを新たにしました。
 長期にわたる県民所得の低迷、回復がおくれている雇用情勢、若者を中心とする人口流出、そして地域の医師不足が、県民の暮らしや仕事の現場を圧迫しています。一方、行政面では、景気停滞による税収の低迷と地方交付税の大幅削減により、財源不足が深刻化しています。
 日本が必要とする改革は、本来、各地方が豊かになり、住民が生き生きと生活できるようにするための内需拡大型の構造改革や地方分権改革であったはずです。しかし、21世紀になっても真の地方分権改革は進まず、国の政策に翻弄された地方は著しく疲弊し、結果として地方経済は停滞し、地方財政も逼迫し、地域の命を守るべき医療までが崩壊の危機に直面しています。
 こうした地方の窮状に、国はようやく重い腰を上げ、地方再生対策費を創設するなど、地方の切り捨てにブレーキをかけました。しかし、方向転換するまでには至っておりません。地方税財政制度の抜本的改正は先送りされており、地方の窮状が回復する条件は、いまだ整っておりません。
 そうした中、米国のサブプライム住宅ローン問題の影響などによる金融市場の動揺や米国経済の景気減速懸念から、世界経済にも不透明感が増しています。また、日本においても、原油、穀物など原材料価格の上昇、住宅着工の落ち込み、年初来の株価下落など、景気後退への懸念が広がりつつあります。
 先月の通常国会における経済演説においても、大田内閣府特命担当大臣は、もはや日本は経済は一流と呼ばれるような状況ではないと述べています。こうした状況を踏まえると、国は、既に米国が決断しているように、早急に緊急経済対策を検討すべきではないでしょうか。
 日本経済の地盤沈下が進み、日本社会の混迷が深まる中で、岩手を守っていくことは容易ならざることです。しかし一方、岩手には、この危機的状況を乗り越えるための多くの可能性があるということを私は強調したいと思います。
 その第1が、高いクオリティーを持つ農林水産物です。
 私は、これまで東京都の大田市場など国内はもとより、中国大連市やマレーシアといった海外でもトップセールスを行ってまいりました。市場における本県農林水産物の食味のよさや安全・安心に対する評価は非常に高く、岩手の農林水産物は、世界に通用するという確信を得てまいりました。食味や食の安全・安心に対するニーズが高まっていく中、本県の農林水産物は、今後とも大きな評価を得ていくものと考えています。
 第2に、集積が進むものづくり産業です。
 本県は、自動車関連企業や電子部品関連企業などを中心としたものづくり産業の集積が図られ、多くの企業の立地が進んでいます。
 今般、北上市に半導体工場の進出を決定いただいたところであり、自動車関連産業とともに飛躍を期待できる環境が整いました。また、県北・沿岸においても、産業集積への新たな動きが見られるなど、今後の関連メーカーの進出、地場企業の参入・取引拡大が期待されます。
 同時に、ものづくり人材の育成も軌道に乗ってきており、本県のものづくり産業の優位性は高まりつつあります。
 第3に、観光産業です。
 観光産業は、今後、最も成長が見込まれる産業とも言われています。
 国内観光を見ると、目的性の高い旅、体験や交流といった滞在型の旅へのニーズが高まり、一方、外国人観光客も東アジアを中心として年々増加しています。幸いなことに、本県には、平泉を中心とした歴史的遺産、三陸海岸や八幡平などの豊かな自然、日本の原風景である農村景観、数多くの伝統芸能など、豊富な観光資源があります。そうした地域資源を活用し、おもてなしの心で接することで、観光産業のさらなる成長が期待できます。
 第4に、地域づくり、コミュニティづくりの力です。
 県では、今年度から地域づくりやコミュニティ活動を積極的に行っている地域コミュニティを、元気なコミュニティ100選として情報発信しています。そういった活動をされている方々と話をしますと、地域への誇りや地域を守るという気概を持ち、そして、楽しんで活動されていると感じます。
 また、本県は数多くの郷土芸能が伝承されており、まさに宝庫です。
 そうした地域に根づいた活動や文化は、昔から受け継がれてきた結いの強さを示すものであり、岩手の持つコミュニティの力として期待できるものです。
 危機的状況ではあるが、希望を抱くことはできる。これが今の岩手の姿です。現在の危機的な状況から目をそらすことなく、課題解決のために的確に対応し、県民、企業、NPO、民間団体、行政といった地域の総力を結集して、希望の芽を守り育て、大きな花を咲かせたいと思います。
 県民所得や人口など、現在の岩手の状況が、岩手県総合計画の策定時に描かれた平成22年の岩手の姿に遠く及ばないことは、非常に残念なことです。例えば、1人当たり県民所得を見ると、総合計画における平成22年度の見通しは331万円ですが、平成18年度速報値では241万円と大きな差が生じています。
 総合計画が目指す五つの社会、自然と共生し、循環を基調とする社会、快適に安心して暮らせる社会、創造性あふれ、活力みなぎる産業が展開する社会、ネットワークが広がり、交流・連携が活発に行われる社会、個性が生かされ、共に歩む社会、これらは、140万県民の知恵と力を結集して描いた夢であり、決して間違った夢ではなかったと思います。
 私は、平成20年度からの3年間に、この夢に向かう希望を確かなものとするため、先般、総合計画の後期実施計画として、いわて希望創造プランを策定しました。
 このプランの推進を通じ、現在の厳しい状況を乗り越え、新しい領域にも挑む3年間としてまいります。
 同時に、次期総合計画についても、県民の皆様とともにつくっていきたいと考えます。
 なお、早急な対応が迫られる保健・医療の分野については、平成20年度を初年度とする新しい医療計画などにより、次期総合計画期間も見据えた中期的なビジョンをいち早く示しながら、県民の健康と安心を支えるセーフティネットの構築に努めてまいります。
 希望を抱いて夢に向かい、岩手の未来をつくっていくのは、県民一人一人です。この岩手には、自立と共生を形にした平泉という地域主権の手本があります。
 平泉は、人と人、人と自然が一体となってともに生きる、すなわち平和と環境という理念のもとに、共生の国づくりを進めていました。
 また、京都中心の中央集権の時代でありながらも、独自の政治理念を持ち、白河から外ケ浜までの独自の国づくりを進める、自立を実現していました。
 私は、自立と共生こそ、地方自治の本旨であると考えます。自立と共生なくして地域主権の確立はあり得ません。
 これからの県政は、個人、企業、NPO、民間団体などと行政が、ともに手を携え、力を合わせる、地域経営の考え方を基本に行うべきであり、岩手県民が岩手における主権者として、自立と共生の道を進んでいくことこそ、地域主権の確立であると考えています。
 平成20年度は、この岩手において、あるべき地方自治を実現する第一歩としたいと思います。
 平成20年度の当初予算編成は、私にとって初めての当初予算編成であるとともに、いわて希望創造プランを具体的に推進していくための第一歩でもあります。
 とりわけ、現在の厳しい財政状況にあっても、より質の高い県民サービスを提供し、持続可能な行財政基盤を構築するため、いわて希望創造プランの改革編である岩手県集中改革プログラムに基づく行財政改革を着実に進めてまいります。
 こうしたことを踏まえ、今回の当初予算の編成においても、これまでの編成方式を見直すとともに、あらゆる角度から歳入の確保に努めたほか、歳出については、事業の徹底した見直しと、選択と集中により、優先的に取り組むべき施策について予算配分したところです。
 また、競馬事業の存続問題、いわて銀河鉄道の新指令システムの費用分担、森のトレー問題に係る延滞金リスク、緑資源機構の林道事業の継承など、私が引き継いだ県政課題に一定の道筋をつけ、新たな希望に向けた施策に積極的に取り組める環境を整備したところであります。
 平成20年度においては、県民所得の向上、雇用環境の改善、人口転出への歯どめ、地域医療の確保という重点目標の実現に向けて、新地域主義戦略、岩手ソフトパワー戦略という二つの基本戦略と政策の6本の柱によって、希望に向けた取り組みを実践してまいります。
 以下、主要な施策について、その概要を御説明申し上げます。
 第1の基本戦略である新地域主義戦略についてでありますが、この戦略は、広域振興圏の振興と地域コミュニティの強化をその内容としています。
 まず、広域振興圏の振興に関しては、県内の4圏域を産業振興や地域振興の可能性を秘めたフロンティアととらえ、各圏域の市町村とNPO、企業等と適切な連携・協働関係のもと、地域の経済基盤の確立に向けたさまざまな取り組みを進めてまいります。特にも、厳しい経済環境にある県北・沿岸圏域の振興については、引き続き重点的に取り組んでまいります。
 あわせて、市町村が行財政的に、より自立性の高い行政体となることを目指して、自主的な市町村合併への支援や市町村への権限移譲を推進します。
 さらに、地域特性に応じた県民サービスを提供し、広域圏の産業振興を進めるため、広域振興局体制への移行について、県民の皆様や市町村の御意見も伺いながら検討してまいります。
 地域コミュニティの強化については、昨年実施した集落状況調査において、若手後継者の確保など多くの課題を抱えていることがわかりました。また、地域コミュニティは、地域文化の継承や創造、まちづくり、災害時における助け合いなど、多くの役割を担っており、そのコミュニティが元気であることは地域の力の維持にとって決定的に重要です。
 このため、県においては、地域リーダーの育成や県民の意識醸成のためのセミナー開催、元気なコミュニティの情報の発信など、市町村と協力しながら、その維持・再生に取り組んでまいります。
 第2の基本戦略である岩手ソフトパワー戦略についてでありますが、この戦略は、岩手の文化的魅力や道義的信頼により岩手全体の対外的評価を高め、産業振興や地域振興に生かしていくというものであります。
 特に、7月には、平泉が世界遺産に登録されることが見込まれていることから、私は、この機会を千載一遇の好機ととらえています。
 そこで、平泉の世界遺産登録後の1年間をいわて平泉年として、平泉の文化遺産が持つ価値を内外に広く発信してまいります。
 そうした情報発信とあわせ、登録後のイベントやキャンペーン、観光客の全県への誘客など、世界遺産登録に関連した事業をいわて平泉年プロジェクトとして全県的に展開します。
 また、今議会で提案しております岩手県文化芸術振興基本条例をよりどころとして、芸術、芸能、伝統文化、生活文化といった多分野における文化芸術の振興を図り、岩手の文化芸術の普遍的価値を県民が認識し、はぐくみ、創造し、次世代に継承していくことができるように取り組んでいきます。
 そのほか、安全・安心で高品質ないわての農林水産物、キャリア教育やものづくり人材の育成による、働いてもらうなら岩手の人など、岩手ブランドを確立し、昨今の偽装社会と言われる中で、国内外に岩手の信頼を高める取り組みを進めてまいります。
 次に、政策の6本の柱における主要事業について御説明いたします。
 第1の柱である、地域に根ざし世界に挑む産業の育成についてであります。
 まず、ものづくり産業でありますが、本県においては、これまでの取り組みにより北上川流域を中心に産業集積が進み、これからは、世界と向き合うことを一層意識しながら、国内有数の集積地形成を目指す時期に来ています。
 そうした中で、自動車関連産業については、新たな参入や取引拡大を目指す企業の育成支援など、東北地域における自動車関連産業集積の中核を担うために必要な取り組みを積極的に展開します。
 また、自動車関連産業とともに本県ものづくり産業の主力となる半導体関連産業については、来月設立予定の全県的な産学官による協議会組織を基盤として、技術高度化に向けた企業の育成支援などを進めながら集積を促進します。
 さらに、市場が急成長する中で全国的に人材不足となっている組み込みソフトウエア分野については、産学官が連携し、技術力の向上や人材育成など競争力を強化することにより、IT産業の育成を図ってまいります。
 そうした主力となる産業に加え、浄法寺漆のブランド化など伝統産業を初めとした地場産業の育成も進めてまいります。
 これらものづくりの基盤となる人材育成のため、産学官が一体となって展開してきた地域ものづくりネットワークを県北地域に拡大するほか、地域の企業と教育機関との連携によるキャリア教育や実践教育を充実します。
 本県の特色ある安全・安心な食を核とした食産業については、専門家や県内外の有力企業等のネットワークを強化し、マーケットとのマッチングや販売活動の支援を通じながら、地域の中核的な企業の重点的な育成や食産業のクラスター集積を図ってまいります。
 また、農林水産物などの戦略的な輸出を促進するため、輸出コーディネーターの活用により、東アジアを中心とした海外でのマーケティング活動を積極的に行い、岩手ブランドの確立と販路拡大に努めます。
 観光産業については、平泉の世界遺産登録後は、平泉を中心に多くの観光客が来県することが予想されます。そうした観光客に世界遺産エリアはもちろん、県内全域に足を運んでいただけるよう、広域観光ルートや旅行商品の開発、体験型の観光や教育旅行の受け入れ体制の充実など、岩手に行きたいと思っていただけるような観光力の強化を図ってまいります。
 雇用環境の改善については、県北・沿岸圏域を中心とした雇用の場の創出に向けた取り組みや若年者の早期離職防止対策などの就業支援を行ってまいります。
 こうした本県における優位性や特色を生かした産業振興は、県民所得の向上や雇用を守ることに直結するものであり、平成20年度に私が取り組むべき最重要項目の一つと考えています。
 特に、県北・沿岸圏域における産業振興については、引き続き積極的に取り組んでまいります。
 次に、第2の柱である、日本の食を守る食料供給基地岩手の確立についてであります。
 本県の農林水産業は、地域の経済を支える重要な産業であるとともに、その生産活動を通じてはぐくまれた地域の文化や伝統などが、農山漁村の活性化に重要な役割を果たしてきました。
 しかし、農林水産業の従事者の減少や高齢化により、地域経済の低迷や農山漁村の活力低下が懸念されるほか、国内外の産地との競争激化や原油・飼料の価格高騰など、農林水産業を取り巻く環境は厳しいものがあります。
 そうした中で、世界的な食料需要の増大やバイオエタノールの生産拡大などによる穀物需給の逼迫から、国際的な食料需給が将来的に不安定になると見込まれており、日本の食を守るための本県の役割は大きくなっています。
 こうしたことから、本県では、効率的かつ安定的な経営体を育成するため、意欲と能力のある経営体の機械・施設の整備などを支援し、経営の高度化・多角化を実現するほか、担い手農家を中心としながら小規模・兼業農家も参加するいわて型の集落営農の確立、地域の森林経営を担う地域牽引型経営体や中核的な養殖漁業経営体の育成などに取り組んでまいります。
 食の安全に対する消費者の関心が高まる中で、安全・安心な農林水産物を安定的に提供できる生産性・市場性の高い産地を形成するため、有機農業の推進や県版農業生産工程管理の普及・定着などに取り組んでまいります。
 また、リンドウ等のオリジナル品種の開発、シイタケ等特用林産物の産地力強化、ナマコの増殖技術の開発など、本県の特色を生かした産地形成を促進します。
 同時に、農林水産物の販路と安定的な取引の拡大に向け、食のプロフェッショナルチームなどの民間ノウハウを活用したマーケティングの展開や、農林漁業関係団体等と連携したPR活動の推進による岩手ブランドの確立を目指します。
 さらに、生産者と加工業者とのマッチング支援などによる農林水産物の高付加価値化を促進します。
 こうした取り組みにより、本県農林水産業の成長の可能性を開花させ、地域経済社会の発展を支える産業として確立することにより、農林水産業者の所得の向上、さらには、農山漁村の活性化が可能になるものと考えています。
 次に、第3の柱である、共に生きる岩手の実現についてであります。
 県民が地域で安心して医療を受けることができる体制を速やかにつくり上げていく上で、本県における医師の絶対数の不足、地域偏在、診療科偏在の解消は喫緊の課題です。
 この課題に対処するため、これまでも医師確保対策アクションプランの推進や即戦力医師の招聘など、医師の養成・確保に重点的に取り組んできました。
 しかしながら、人口10万人当たりの医師数は、依然として全国水準と大きな格差が見られることから、これまでの取り組みに加え、岩手医科大学の定員増に対応した新たな奨学金制度を創設するなど、引き続き最重点課題として取り組んでいきます。
 また、ITを活用した周産期医療ネットワークや、がん診療連携拠点病院を整備しながら、医療機関相互の機能分担と連携を進め、質の高い医療を効率的に提供する体制を整備します。
 あわせて、広い県土をカバーする良質かつ適切な救急医療体制の確保に向け、ドクターヘリ導入の可能性について調査を実施します。
 さらに、県民一人一人が心身の健康づくりに主体的に取り組むことによって、生涯を通じ健康で生き生きとした生活を送ることができるよう、メタボリックシンドロームに着目した生活習慣病予防の取り組みや自殺対策などを進めてまいります。
 高齢社会を迎え、介護や障害の程度にかかわらず、だれもが地域で自立し、その人らしく生活できる環境の整備が急務となっています。
 このため、高齢者や障害者の相談支援体制の整備や活動の場の充実などを進めるとともに、地域住民やNPOなどが参画、協働し、高齢者や障害者を支える仕組みの構築を支援してまいります。
 日本の総人口がピークを超え、人口減少社会の到来と言われる中、少子化の流れを変え、出生率を低下から上昇に反転させることは、社会の活力を維持、向上する観点から重要なことと考えています。
 このため、従来から進めている保育サービスや育児支援の取り組みを強化しつつ、子育てと仕事の両立に向けた雇用環境の整備や男性の育児参加の促進、地域力を生かした子育て支援など、社会全体で子育てを支える仕組みづくりを推進します。
 このように、県民がひとしく健康で安心して暮らしていけるように、保健、医療、福祉が相互に連携しながら、地域全体で住民の暮らしを支えるセーフティネットを確立し、ともに生きることを実感できる社会を実現したいと考えています。
 次に、第4の柱である、総合的な防災対策と危機管理の徹底についてであります。
 本県では、これまで、地震、津波、台風、洪水、土砂災害など、多くの自然災害をこうむり、県民のとうとい人命や財産が失われてまいりました。また、近い将来に宮城県沖地震の発生が予測されることなどから、防災対策を着実に行うことは重要な課題です。
 そのため、本県では、地域防災力強化プロジェクトに取り組んでおり、自助・共助・公助のそれぞれの分野に応じた施策を着実に推進してまいります。
 あわせて、災害時に優先的に確保する緊急輸送道路の安全性を高めるための橋梁補修を行います。
 また、木造住宅の耐震化を促進するため、これまで実施してきた耐震診断への支援に加え、平成20年度から耐震改修への支援を行ってまいります。
 最近は、犯罪の悪質・凶悪化や交通事故の多発など、県民生活の安全が危惧される状況にあることから、防犯に関する意識啓発や地域活動の支援のほか、高齢者や児童を対象とした交通安全対策の推進、多重債務者の弁護士相談機会の拡充など、安全で安心な地域社会の実現に努めます。
 こうした、地域の人々が思いやりを持って人と接することができるまちづくりは、安全・安心を実感できる岩手の実現につながると考えています。
 次に、第5の柱である、ふるさとづくりを担う人材の育成についてであります。
 現在の学校教育を取り巻く環境は、生徒の学習意欲の低下を初め、学力や体力の低下、いじめ・不登校問題の深刻化、家庭の教育力の低下など、さまざまな問題を抱え、厳しさを増してきています。
 そうした中で、県として将来の地域社会を担う子供たちをどうはぐくんでいくかということは重要な課題であり、学校と家庭・地域がより連携を密にし、地域全体で子供たちの成長を支えていかなければならないと考えています。
 そのため、それぞれの学校が、達成目標を明確に掲げ、家庭や地域と連携して学校経営を行う、いわて型コミュニティ・スクールの取り組みや私立学校における特色ある学校づくりの支援を行ってまいります。
 このような取り組みにより、児童生徒一人一人への基礎・基本の確実な定着など、学力の向上を図ると同時に、児童生徒が豊かな人間性をはぐくみながら、生き生きとした学校生活を送ることができるよう、心の教育の充実や、いじめ・不登校などの学校不適応対策も推進します。
 また、障害のある児童生徒が、身近な地域の学校で障害のない児童生徒とともに学ぶ場の拡充と、学習・生活を支える体制の強化を図るとともに、企業等と連携した就業支援に取り組んでまいります。
 さらに、平成28年に予定されている国民体育大会の本県開催に向けた選手育成などにも取り組んでまいります。
 豊かでゆとりのある地域をつくっていくためには、地域のコミュニティ活動や青少年の健全育成、男女共同参画の推進など多様な市民活動が、県民の幅広い参加と協働のもとで行われていることが必要です。
 このため、活動を牽引するリーダーの育成や活動内容の情報提供など、県民の皆様が市民活動に積極的に参画できるような環境づくりを進めてまいります。
 また、岩手ファンをふやすことを通じて、本県への定住・交流を拡大するため、首都圏における移住促進イベントや体験ツアーを実施します。
 本県のまじめで粘り強い県民性は、岩手の道義的信頼を高めるために重要な要素であり、岩手県民の持つよさを伸ばし、県外の住民との交流を通じて、新しいふるさとづくりができるものと考えています。
 次に、第6の柱である、世界に誇れる岩手の環境の実現についてであります。
 本県のすばらしい自然や環境を将来の世代にしっかりと引き継いでいくとともに、地球温暖化の進行や廃棄物の増大などのさまざまな問題に対して、県民の皆様とともに積極的に取り組んでいくことが重要です。
 本年は、京都議定書の約束期間が始まる年であり、7月には、環境を重要テーマとした洞爺湖サミットが開催されます。
 本県としても、地球温暖化対策に地域から貢献するという立場から、家庭や事業者における省エネ、エコドライブなどの普及啓発、県内各地における環境学習などの取り組みを強化してまいります。
 また、11月に開催する環境王国展などを通じて、リデュース、リユース、リサイクルという3Rの普及啓発を行い、廃棄物の発生を抑制するための取り組みを推進します。
 さらに、本県の環境保健研究センターが開発した環境分析技術による東アジア地域への環境負荷低減対策の支援、バイオマスなどの地域資源を活用したエネルギーの地産地消を図る取り組みなども進めてまいります。
 本県の豊かな自然の象徴であるイヌワシなどの希少な野生動植物の保護に取り組むほか、森・川・海とつながる流域の保全活動の促進や森林学習、森林ボランティア育成など、水と緑を守る取り組みも進めてまいります。
 本県には、平泉を初めとした歴史的遺産や伝統芸能などの伝統文化が伝承されており、郷土への愛着と誇りをもたらすものとなっています。その歴史的遺産や伝統文化の価値をすべての県民が正しく認識し、岩手らしさとして国内外に発信するとともに、後世に伝えていくことが重要となります。
 そのため、伝統芸能の伝承活動や文化財等の保護活動を積極的に推進するほか、学校での郷土の歴史・文化に関する教育などに取り組んでまいります。特に、世界遺産登録が見込まれている平泉の文化遺産の歴史や価値について、この機会に積極的に伝えていきたいと考えております。
 現在のこの豊かな自然環境と多くの伝統文化を守り、継承していくことにより、近い将来、人と自然が共生する岩手の環境として世界に誇れるものになると考えています。
 ここまで、政策の6本の柱について申し上げてまいりましたが、これらの政策を支える基盤となる、内陸部の工業団地等と港湾を結ぶアクセス道路の整備、いわて銀河鉄道の新指令システム構築への支援、ブロードバンド環境の整備など、生活や産業を支える社会基盤については、重点化を図りながら着実に整備します。
 また、既に整備した社会資本についても、更新に多大な費用が必要となることから、長寿命化を含め計画的かつ効率的な維持管理に努めます。
 以上、今後の県政運営について述べてまいりました。
 ことしの正月、私は、平泉の中尊寺と毛越寺に初もうでに行き、平泉の世界遺産登録、そして県民生活の向上を祈願してまいりました。中尊寺と毛越寺には多くの家族連れがお参りに来ており、その一人一人が、それぞれ自分の胸に秘めた願い事や夢、さらには感謝の祈りを丁寧にささげていました。
 私は、その真摯で敬けんな祈りの姿の中に、岩手の未来への希望をはっきりと感じることができました。
 仕事の現場や暮らしの現場で、私たちの岩手の心をしっかり込めて対処していけば、私たちは、必ず危機を希望に変えていくことができるはずです。
 岩手の宝、黄金は、私たちの仕事の現場に、私たちの暮らしの現場に、そして私たちの心の中に眠っています。みんなで力を合わせ、その黄金を掘り起こし、この岩手に光り輝く新たな黄金の時代を築いてまいりましょう。
 本年が大きな前進の年となるよう、ここにおられる議員の皆様、並びに県民の皆様の御理解、御協力を心からお願い申し上げ、私の所信表明を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   教育委員会委員長の演述
〇議長(渡辺幸貫君) この際、教育委員会委員長から発言を求められておりますので、発言を許します。箱崎教育委員会委員長。
   〔教育委員会委員長箱崎安弘君登壇〕
〇教育委員会委員長(箱崎安弘君) 第5回県議会定例会が開催されるに当たりまして、平成20年度の教育行政推進の基本的な考え方と施策の大要について申し上げます。
 社会の諸情勢が大きく、複雑に変化している中で、県民一人一人が充実した心豊かな生活を送り、地域社会を支え発展させていくため、教育の役割はますます重要になってきておりますが、県民総参加の教育立県を基本理念として、自立する岩手を担う人材育成のために全力を尽くしてまいる所存であります。
 まず、次世代の岩手を担う子供たちをはぐくむ最も重要な基盤である学校教育について申し上げます。
 我が国におきましては、戦後の復興期・高度成長期を経て、今日、経済大国としての地位を固め、豊かな社会を実現してまいりました。しかしながら、一方では、国民の価値観の多様化が進む中で、家庭や地域の教育力の低下、社会の規範意識の希薄化などが指摘されるようになりました。
 このような社会の大きな変化は、子供たちに大きな影響を与えており、子供たちの人間関係を取り結ぶ能力や忍耐力、継続力の低下、自己中心的な傾向といった心身の変容をもたらし、その結果として、いじめ、不登校などの学校不適応の増加を初め、学習意欲の低下や学力のばらつきの拡大などが顕在化してきております。
 私は、このような社会の大きな変化の中での子供たちの心身の変容が、今日の学校教育の困難さの根本的な原因であると認識しております。
 本県におきましても、同じような課題に直面しておりますが、私は、子供たちの確かな成長を支え、よりよい社会を形成し得る有為な人材、地域社会の活性化に寄与し得る人材としてはぐくんでいくことこそが、教育に課せられた使命であると考えております。
 そのためには、社会の変化がどう進もうとも、子供たち一人一人を、社会を担っていくことができる人間として育てる、人間形成という教育目的の実現に全力を尽くさねばなりません。
 このために、私は、次の四つの基本的な方針のもとに、本県の学校教育を進めてまいりたいと考えております。
 第1に、岩手の教育の目的は、子供たちの知・徳・体を総合的にはぐくむ人間形成そのものであるということを、教師を初め、すべての教育関係者が再認識することであります。
 第2に、この人間形成という教育の大前提を踏まえた上での学力の向上であります。
 読み・書き・計算といった基礎知識の徹底した習得から、知識を活用する力、思考能力やコミュニケーション能力など、社会で生きていくために求められる基礎・基本を、すべての子供たち一人一人に確実に定着させることであります。
 第3に、子供たちに社会の一員としての役割を果たしていくことの大切さや喜びなどを十分に伝え、社会人になるということの意義を教えることであります。
 第4に、人間形成という教育目的の実現には、家庭や地域の教育力を再構築していくことが必要不可欠であり、そのためには、学校と家庭・地域との連携を強化していくことであります。
 私は、今日の学校教育の困難な状況を克服していくためには、この四つの基本方針をすべての教育関係者と共有するとともに、学校や教師の自由度を高め、子供たちをはぐくむ現場である学校の役割を強化し、教師の創意・工夫が最大限発揮される仕組みをつくることが何よりも大切であると考えております。
 このような考え方のもとに、次のとおり学校経営の改革、児童生徒の学力向上を初めとした学校教育の充実のための諸施策の実現に取り組んでまいります。
 まず、学校経営の改革についてであります。
 人間形成という教育目的の実現のためには、各学校が、それぞれの現状や課題に応じた明確な達成目標を持ち、いわゆるプラン・ドゥ・シーという経営サイクルに基づく学校経営を行っていくことが重要であります。
 また、このような経営サイクルの中に、家庭や地域との連携を位置づけることにより、家庭・地域の教育力も向上し、同時に家庭・地域の力によって学校を支える仕組みが形づくられていくものと考えております。
 私は、このような家庭・地域と連携した学校づくりを岩手の義務教育の土台と位置づけ、いわて型コミュニティ・スクール構想として力強く推進してまいります。
 次に、児童生徒の学力の向上についてでありますが、小・中学校においては、児童生徒一人一人の基礎・基本の定着に向け、学力の状況のきめ細かな分析や課題の把握を行うとともに、授業力の強化、少人数教育などによる理解や習熟に応じた指導、まなびフェストによる家庭との連携などを強化し、体系的に推進してまいります。
 また、児童生徒が社会の一員となっていくという自覚を持ち、学びの意欲を確立できるよう、発達段階に応じたキャリア教育を、地域の産業などとの連携のもとに推進してまいります。
 特に、教師の授業力については、各学校の校内授業研究の一層の充実などにより、高等学校も含めてその向上を図ってまいります。
 次に、豊かな心をはぐくむ教育の推進についてでありますが、多様な個性を持つ児童生徒一人一人を受け入れ、それぞれの自己実現を支援していく学校づくりを進めるとともに、さまざまな体験活動や読書活動などにより、豊かな感性や情操をはぐくむ教育を推進してまいります。
 また、いじめや不登校などの学校不適応対策については、生徒指導に関するノウハウの若手教師への伝授などによる教師の指導力の向上や、地域や関係機関と連携した取り組みを充実し、未然防止、早期発見・解消に取り組んでまいります。
 次に、児童の体力向上についてでありますが、子供たちが、運動の楽しさを知り、みずから進んで実践する意識を醸成していくために、小学校においては、まなびフェストの取り組みなどにより、運動する機会の拡大や習慣化を図るための岩手っ子体力アップ運動を推進するとともに、規則正しい生活習慣の確立や食育の推進など、学校と家庭が連携した取り組みを推進してまいります。
 次に、特別支援教育の充実についてでありますが、学校教育の段階から障害のある子供と障害のない子供が、地域の学校、学級でともに学び、育ち合うというインクルーシブ教育を推進していくため、特別支援学校の分教室の設置など、障害のある児童生徒を受け入れる教育の場の拡充を図るほか、支援員の充実や教師の研修など、教育ニーズに応じたきめ細かい特別支援教育体制の確立を図ってまいります。
 また、関係機関や企業と協力した就業支援や職場実習の受け入れ促進など、生徒の自立と社会参加の支援も充実してまいります。
 次に、競技スポーツを初めとしたスポーツの振興について申し上げます。
 現在、私たちは、地域におけるスポーツ・レクリエーション活動へ参加をしたり、国内外で催されるスポーツイベントを観戦したりする機会の増加など、さまざまな形でスポーツに親しむ機会を得ることができるようになってきております。
 しかしながら、一方では、精神的なストレスの増大や日常における体を動かす機会の減少などにより心身両面での問題も指摘されております。
 私は、地域社会の活力の維持・向上という観点からも、県民が心身ともに健全な生活を営むことは大切であり、年齢・性別を問わずスポーツに関心を持ち、親しむ環境づくりを、より一層進めていくことが重要であると考えております。
 特に、国際大会や全国レベルの大会での本県出身選手や本県チームの活躍は、県民に夢と感動を与えると同時に、スポーツに対する関心を広く喚起するものであることから、関係団体などと連携しながら、積極的に競技スポーツの強化を図ってまいりたいと考えております。
 平成28年には第71回国民体育大会の本県開催が予定されているところでもあり、中長期的な視点に立ち、素質あるジュニア選手の早期発掘と育成、指導体制の確立などにより競技力の一層の向上を図ってまいります。
 次に、歴史遺産の継承や伝統文化を初めとした文化芸術の振興について申し上げます。
 本県の豊かな自然の恵みの中で、地域の風土に培われて築き上げてきた自然との共生の文化は、平泉の文化遺産など、多くの歴史遺産や各地に伝承される伝統芸能、そして文学を初めとした多様な文化芸術へと受け継がれてまいりました。
 このような歴史や文化にはぐくまれた精神風土こそ、本県の豊かな地域社会を形成し、多くの偉大な先人を輩出してきた土壌であり、今日の社会の大きな変化の中においても、岩手の文化、岩手の心として継承し、広く発信していかなければならないものと考えております。
 特に、平泉の文化遺産の世界遺産への登録は、本県が誇る歴史や文化が世界に認められ、県民の大きな自信と誇りとなるものであることから、その実現に向け全力で取り組んでまいります。
 同時に、その価値を国内外に広くアピールするとともに、保存管理に関する意識の醸成を図るため、全国巡回展の開催やガイダンス施設の整備に対する支援などを行ってまいります。
 このほか、本県の各地に伝わる伝統芸能の発表機会の充実を図るとともに、このような本県の歴史・文化、伝統芸能などを学校教育の中においてもさらに取り入れ、その理解と継承に努めてまいります。
 本県の教育は、県民総ぐるみでの教育振興運動を展開するなど、地域を担う人間の育成を追求してきた歴史であったと私は認識しております。
 そして、多くの先人の熱意とたゆまぬ努力の積み重ねにより、本県の教育の基盤が培われ、地域社会を支え、また、さまざまな分野で活躍する多くの人材をはぐくんできたところであります。
 経済格差の拡大や人間関係の希薄化、家庭・地域の教育力の低下が叫ばれる今こそ、私たちは、このような岩手の教育の原点、使命を再認識すべきであると考えております。
 私は、このすばらしい本県の歴史を引き継ぎ、いわて型コミュニティ・スクール構想の推進など、今日の教育をめぐる課題に的確かつ柔軟に対応し、岩手の将来を担う人づくりのために全力を尽くしてまいりたいと考えておりますので、議員の皆様、並びに県民の皆様の御理解と御協力を心からお願い申し上げます。
 ありがとうございました。(拍手)
   日程第4 議案第1号平成20年度岩手県一般会計予算から日程第59 報告第1号職員による自動車事故に係る損害賠償事件に関する専決処分の報告についてまで
〇議長(渡辺幸貫君) 次に、日程第4、議案第1号から日程第59、報告第1号までを一括議題といたします。
 提出者の説明を求めます。川窪総務部長。
   〔総務部長川窪俊広君登壇〕
〇総務部長(川窪俊広君) 本日提案いたしました各案件について御説明いたします。
 議案第1号は、平成20年度岩手県一般会計予算であります。
 この予算の編成に当たりましては、極めて厳しい財政環境下にあることから、すべての事務事業について総点検を実施し、要求段階から十分に精査を行うとともに、政策評価結果や集中改革プログラムに基づき、県民福祉の向上のため、創意工夫を凝らしながら、徹底した歳入・歳出の見直しを行い、いわて希望創造プランの着実な推進を図るため、限られた財源の効率的な活用に努め、真に必要な事業について重点的に予算化したところであります。
 以下、この当初予算の概要について御説明いたします。
 第1条は、歳入歳出予算の総額を、それぞれ6、583億5、150万8、000円と定めるものであります。
 これを前年度当初予算と比較しますと5.5%の減、6月補正後の前年度予算に比較しますと9.4%の減となっております。
 平成20年度の予算額は、公債管理特別会計を設置し、借換債644億9、400万円の経理を当該特別会計において経理することとし、一般会計から切り離したことから、減額幅が大きく見えますが、前年度、すなわち平成19年度においても公債管理特別会計が存在したものと仮定し、借換債相当額を除いた額同士で比較しますと、当初予算に比較して0.5%の増、6月補正後予算に比較して4.0%の減となっております。
 次に、歳入の主なものについて御説明いたします。
 第1款県税につきましては1、296億2、200万円を計上しており、前年度当初予算と比較しますと1億9、800万円の増となっております。
 第5款地方交付税につきましては2、300億7、510万円余を計上しており、前年度に比較して60億8、907万円の減となっております。
 第9款国庫支出金につきましては795億1、427万円余を計上しており、前年度に比較して1億2、391万円余の増となっております。
 第12款繰入金は103億7、106万円余を計上しておりますが、これは、自治振興基金、財政調整基金、県債管理基金等から繰り入れを行うものであり、前年度に比較して101億7、274万円余の減となっております。
 第15款県債につきましては872億8、950万円を計上しておりますが、前年度に比較して280億3、750万円の減となっております。これは、公債管理特別会計を設置し、借換債の経理を当該特別会計において経理することとして一般会計から分離したこと等により減額となるものであります。
 次に、歳出の主なものについて御説明いたします。
 第2款総務費につきましては301億616万円余を計上しておりますが、その主なものは、合併市町村自立支援交付金13億3、000万円、市町村総合補助金6億円等であります。
 第3款民生費につきましては679億4、831万円余を計上しておりますが、その主なものは、介護給付費等負担金126億1、198万円余、後期高齢者医療療養給付費負担金92億423万円余、国民健康保険事業安定化推進費98億5、218万円余等であります。
 第6款農林水産業費につきましては644億8、759万円余を計上しておりますが、その主なものは、中山間地域等直接支払事業費40億5、911万円余、畜産基盤再編総合整備事業費10億8、341万円余、経営体育成基盤整備事業費79億6、818万円余、治山事業費24億5、316万円余、広域漁港整備事業費23億285万円余等であります。
 第8款土木費につきましては695億7、204万円余を計上しておりますが、その主なものは、道路改築事業費55億640万円余、緊急地方道路整備事業費64億2、600万円、基幹河川改修事業費9億9、000万円、港湾改修事業費4億7、950万円等であります。
 第10款教育費につきましては1、563億1、167万円を計上しておりますが、その主なものは、すこやかサポート推進事業費2億6、270万円余、校舎建設事業費55億4、223万円余、公立大学法人岩手県立大学運営費交付金43億7、143万円余、私立学校運営費補助48億1、368万円余等であります。
 第12款公債費につきましては1、034億9、753万円余を計上しております。
 第13款諸支出金につきましては580億2、222万円余を計上しておりますが、その主な内容は、公営企業負担金177億6、855万円余、地方消費税交付金126億8、789万円余等であります。
 第2条債務負担行為は、岩手県火災共済協同組合が行う火災共済契約の履行に関する損失補償ほか43件について、債務を負担しようとするものであります。
 第3条地方債は、道路新設改良事業ほか49件について、限度額、起債の方法、利率及び償還の方法を定めようとするものであります。
 第4条一時借入金及び第5条歳出予算の流用は、それぞれ所要の措置を講じようとするものであります。
 議案第2号から議案第12号までは、平成20年度岩手県母子寡婦福祉資金特別会計予算ほか10件の特別会計予算でありますが、これらは、それぞれの事業計画等に基づき、その所要額を計上したものであります。
 議案第13号から議案第15号までは、平成20年度岩手県立病院等事業会計予算ほか2件の公営企業会計予算でありますが、これらは、それぞれの事業計画に基づき、収益的収支及び資本的収支の所要額を計上したものであります。
 議案第16号から議案第21号までの6件は、建設事業等に要する経費の一部を受益市町村に負担させることに関し、それぞれ議決を求めようとするものであります。
 議案第22号から議案第51号までの30件は条例議案でありますが、これは、岩手県公益認定等審議会条例、岩手県公債管理特別会計条例、医師修学資金貸付条例、岩手県文化芸術振興基本条例等を新たに制定するとともに、岩手県部局等設置条例、岩手県の事務を市町村が処理することとする事務処理の特例に関する条例等の一部を改正しようとするものであります。
 議案第52号は、財産の交換に関し議決を求めようとするものであります。
 議案第53号は、包括外部監査契約の締結に関し議決を求めようとするものであります。
 議案第54号は、岩手県競馬組合規約の一部を変更することの協議に関し議決を求めようとするものであります。
 議案第55号は、岩手県保健福祉計画の変更に関し議決を求めようとするものであります。
 報告第1号は、職員による自動車事故に係る損害賠償事件に関する専決処分について報告するものであります。
 以上のとおりでありますので、よろしく御審議の上、原案に御賛成くださるようお願いいたします。
   日程第60 議案第56号副知事の選任に関し同意を求めることについて
〇議長(渡辺幸貫君) 次に、日程第60、議案第56号副知事の選任に関し同意を求めることについてを議題といたします。
 提出者の説明を求めます。達増知事。
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) ただいま議題とされました人事案件について御説明いたします。
 議案第56号は、副知事竹内重徳氏の任期が、去る2月18日をもって任期満了となっておりますので、新たに副知事として、宮舘壽喜氏を選任するため、議会の同意を得ようとするものであります。
 よろしく御審議の上、原案に御同意くださるよう、お願いいたします。
〇議長(渡辺幸貫君) お諮りいたします。ただいま議題となっております議案は、人事案件でありますので、会議規則第34条第3項の規定及び先例により、議事の順序を省略し、直ちに採決いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(渡辺幸貫君) 御異議なしと認めます。よって、これより議案第56号副知事の選任に関し同意を求めることについてを採決いたします。
 ただいま議題となっております議案第56号副知事の選任に関し同意を求めることについては、これに同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(渡辺幸貫君) 起立全員であります。よって、議案第56号副知事の選任に関し同意を求めることについては、これに同意することに決定いたしました。
〇議長(渡辺幸貫君) この際、暫時休憩いたします。
   午後2時15分 休 憩
出席議員(47名)
1番  木 村 幸 弘 君
2番  久 保 孝 喜 君
3番  小 西 和 子 君
4番  工 藤 勝 博 君
5番  岩 渕   誠 君
6番  郷右近   浩 君
7番  高 橋   元 君
8番  喜 多 正 敏 君
9番  高 橋 昌 造 君
10番  菅 原 一 敏 君
11番  小野寺 有 一 君
12番  熊 谷   泉 君
14番  高 橋 博 之 君
15番  亀卦川 富 夫 君
16番  中 平   均 君
17番  五日市   王 君
18番  関 根 敏 伸 君
19番  三 浦 陽 子 君
20番  小田島 峰 雄 君
21番  高 橋 比奈子 君
22番  高 橋 雪 文 君
23番  嵯 峨 壱 朗 君
24番  及 川 あつし 君
25番  飯 澤   匡 君
26番  田 村   誠 君
27番  大 宮 惇 幸 君
28番  千 葉 康一郎 君
29番  新居田 弘 文 君
30番  工 藤 大 輔 君
31番  佐々木 順 一 君
32番  佐々木   博 君
33番  工 藤 勝 子 君
34番  平 沼   健 君
35番  樋 下 正 信 君
36番  柳 村 岩 見 君
37番  阿 部 富 雄 君
38番  斉 藤   信 君
39番  吉 田 洋 治 君
40番  及 川 幸 子 君
41番  佐々木 一 榮 君
42番  伊 藤 勢 至 君
43番  渡 辺 幸 貫 君
44番  小野寺 研 一 君
45番  千 葉   伝 君
46番  佐々木 大 和 君
47番  菊 池   勲 君
48番  小野寺   好 君
欠席議員(なし)
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後2時17分 再開
〇議長(渡辺幸貫君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
   新任者の紹介
〇議長(渡辺幸貫君) この際、宮舘副知事を御紹介いたします。
   〔副知事宮舘壽喜君登壇〕
〇副知事(宮舘壽喜君) ただいま県議会の御同意を賜りまして副知事に選任されました宮舘でございます。
 もとより浅学非才の身ではありますが、県勢発展と県民福祉の向上のため、誠心誠意努めてまいる所存でございます。皆様の御指導、御支援をよろしくお願いいたします。(拍手)
〇議長(渡辺幸貫君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後2時18分 散 会

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