平成17年12月定例会 決算特別委員会会議録

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平成17年10月31日(月)
1開会 午前10時3分
1出席委員 別紙出席簿のとおり
1事務局職員
議事課長 駿 河   勉
議事課長補佐 千 田 利 之
主任主査 保 原 良 和
主査 小 船   進
主査 福 田 清 喜
主査 佐々木 ユ カ
主査 渡 辺 謙 一
主査 安 藤 知 行
1説明員
知事 増 田 寛 也
副知事 竹 内 重 徳
出納長 上 村 俊 一
総合政策室長 相 澤   徹
首席政策監 阿 部   健
政策推進課総括課長 千 葉 茂 樹
政策担当課長 深 澤 忠 雄
経営評価課総括課長 大 矢 正 昭
政策評価担当課長 菅 原 伸 夫
地域振興部長 山 口 和 彦
地域企画室長 佐 藤 博 己
市町村課総括課長 野 本 祐 二
総務部長 時 澤   忠
総務室長 古 澤 眞 作
予算調製課総括課長 菅 野 洋 樹
副出納長兼出納局長 千 葉 英 寛
総務課総括課長 平 澤 石 郎
出納課総括課長 大 森 芳 美
監査委員 一 戸 克 夫
監査委員 谷 地 信 子
監査委員事務局長 武 田 牧 雄
総務課長 渡 邉 和 男
監査課長 大 森 勝 雄
〇佐々木博委員長 これより本日の会議を開きます。
 これより議事に入ります。
 認定第1号平成16年度岩手県立病院等事業会計決算から認定第12号平成16年度岩手県県民ゴルフ場事業特別会計決算までの15件を一括議題といたします。
 これより出納長に決算の総括説明を求めます。
〇上村出納長 平成16年度歳入歳出決算の概要について御説明申し上げます。
 岩手県総合計画に掲げる施策の基本方向に基づいて編成された平成16年度一般会計歳入歳出予算は、当初予算が7、798億2、991万円余で、義務的経費を中心とした骨格的予算であった前年度の当初予算に比べまして371億9、769万円余、4.6%の減となりました。また、9月補正予算以降におきまして、給与費に係る年間過不足調整や中小企業向け融資制度に係る貸付金の減少などによりまして23億3、516万円余の減額補正が行われました。これに、前年度からの繰越額380億5、807万円余を加えた結果、予算現額は8、155億5、282万円余となり、前年度に比べますと562億2、422万円余、6.4%の減となったものであります。
 それでは、お手元に配付してあります歳入歳出決算書、2ページ及び3ページをお開き願います。まず、歳入についてでありますが、収入済額は7、986億7、029万円余で、前年度に比べますと497億9、650万円余、5.9%減少し、予算現額に対して97.9%、調定額に対して99.4%となりました。
 なお、収入未済額は44億129万円余で、前年度に比べまして1億3、305万円余増加いたしましたが、この収入未済額の主なものは県税であります。
 次に、4ページ及び5ページをお開き願います。4ページ及び5ページの歳出についてでありますけれども、支出済額は7、856億6、727万円余で、前年度に比べますと458億4、608万円余、5.5%減少し、予算現額に対する支出済額の割合は96.3%となりました。また、翌年度繰越額は271億9、780万円余で、前年度に比べまして108億6、026万円余減少いたしましたが、この繰越額の主なものは、土木費、農林水産業費及び災害復旧費であります。
 なお、不用額は26億8、774万円余で、前年度に比べまして4億8、213万円余増加いたしました。
 次に、歳入歳出決算事項別明細書・実質収支に関する調書の449ページをお開きください。実質収支に関する調書に記載のとおり、一般会計の歳入総額は7、986億7、029万円余、歳出総額は7、856億6、727万円余であり、歳入歳出差引額は130億302万円余となったものであります。また、歳入歳出差引額から翌年度へ繰り越すべき財源95億8、737万円余を差し引いた実質収支額は、34億1、564万円余の黒字となりました。
 次に、一般会計の決算の特色についてでございますが、恐れ入りますけれども、歳入歳出決算説明書の1ページの2をお開きください。
 一般会計の決算の特色といたしましては、第1には、決算の規模が前年度を下回ったことであります。決算規模は、歳入におきましては、国庫支出金、地方交付税、県債などの減少により、前年度を497億9、650万円余、5.9%下回り、歳出におきましては、農林水産業費、土木費、災害復旧費などの減少により、前年度を458億4、608万円余、5.5%下回ったものであります。
 第2に、実質収支が黒字となったことであります。厳しい財政環境のもと、歳入の確保、歳出のより効率的な執行に努めた結果、実質収支は34億1、564万円余の黒字となりました。
 なお、前年度の実質収支との差額である単年度収支は9億5、599万円余となりました。
 第3には、自主財源、依存財源とも減少したことであります。県債管理基金などからの繰入金が前年度に比べ61億6、688万円余、41.6%減少したことなどによりまして、自主財源が、前年度に比べ64億8、853万円余、2.4%減少いたしました。また、国庫補助負担金の廃止・縮減が行われたことなどによりまして、国庫支出金が、前年度に比べ188億618万円余、12.4%減少しております。この結果、依存財源が、前年度に比べ433億797万円余、7.5%減少しております。
 第4に、公債費が増加したことであります。公債費は、特定資金公共投資事業債の元金償還金や、国の経済対策などに対応するため発行した一般公共事業債の元利償還金の増加などによりまして、前年度に比べ113億7、156万円余、7.8%増加して1、568億7、663万円余となり、過去最高となったものであります。
 第5に、投資的経費が減少したことであります。校舎建設事業などの減少に伴い普通建設事業費が減少したことなどによりまして、投資的経費は、前年度に比べ445億932万円余、19.6%減少いたしました。
 なお、義務的経費は、人件費が減少したものの、公債費が増加したことなどによりまして、前年度に比べ58億8、014万円余、1.6%増加しております。
 以上、一般会計の特色を申し上げました。
 次に、母子寡婦福祉資金特別会計など11会計の決算内容について御説明申し上げます。
 特別会計歳入歳出決算総括表により御説明申し上げますので、歳入歳出決算書の20ページをごらんいただきたいと思います。
 母子寡婦福祉資金特別会計など11会計の歳入合計額は、25ページに記載されておりますとおり455億7、525万円余であり、収入未済額は16億8、583万円余となりましたが、その主なものは、中小企業振興資金特別会計における中小企業高度化資金の償還金などであります。また、歳出合計額は、28ページに記載されておりますが399億7、895万円余であり、各会計とも実質収支は黒字となりました。
 以上で、決算の概要説明を終わりますけれども、お手元に歳入歳出決算書、歳入歳出決算事項別明細書・実質収支に関する調書など8件の法定書類のほか、決算調製資料を補完するための説明書といたしまして歳入歳出決算説明書をお配りいたしておりますので、御参照いただきたいと思います。
 なお、決算の詳細につきましては、審査の日程に従いまして、それぞれの担当の部局長から御説明申し上げることとなっております。
 また、監査委員から御意見がありました事項につきましては、関係部局において所要の措置を講じているところでありますけれども、会計事務の適正な執行につきましては、今後とも各部局への指導や適切な出納審査などを行うことにより、万全を期してまいりたいと存じております。
 よろしく御審議の上、御認定くださいますようお願い申し上げまして説明を終わらせていただきます。よろしくお願いいたします。
〇佐々木博委員長 ただいまから総括質疑に入るわけでありますが、議会運営委員会の決定に基づき、総括質疑は、各会派及び会派に所属しない議員に質疑時間を配分して行うこととなっております。
 質疑時間につきましては、まず、民主・県民会議が35分、次に、自由民主クラブが35分、次に、政和・社民クラブ20分、次に、会派に所属しない議員は、日本共産党斉藤信委員、公明党小野寺好委員、無所属阿部富雄委員の順に、それぞれ7分となっております。
 各会派は、配分された時間の範囲内で複数の議員が質疑をすることができること、この場合におきましては、会派として続けて行うこととなっておりますので御了承願います。
 これより総括質疑に入ります。吉田昭彦委員。
   〔吉田昭彦委員質問者席に着く〕
〇吉田昭彦委員 民主・県民会議の吉田昭彦でございます。会派を代表し、平成16年度決算について総括的に質問いたします。
 なお、決算に関連して県政各般の動向についてもお伺いしたいと思いますので、あらかじめ御了承をお願いします。
 まず、平成16年度の県政についてお伺いします。
 県内経済は、自動車生産体制の増強が見込まれるなど、一部に明るい材料があるものの、依然として厳しい状況が続いており、地域に根差した産業経済基盤の強化に向けて、一層の取り組みが望まれるところであります。
 このような厳しい社会経済情勢の中で、県においては、誇れる40の政策についてこれまで以上に政策評価を徹底し、進行管理を行いながら、重点的・優先的に実施するなど、緊急課題や重点的事項にも配慮しながら、県民満足度の高い行政運営に積極的に取り組んでこられたと思います。
 そこでお尋ねいたしますが、平成16年度の県政全般を顧みて、どのように評価されているのかお伺いします。
 次に、知事就任10年間の総括と今後の対応についてお伺いいたします。
 ローカル・マニフェストを最初に実施・検証している増田知事は、ローカル・マニフェスト推進議員連盟代表世話人として活動されておるほか、地域自立戦略会議、地方分権研究会などを通じて改革派知事として名を上げ、全国知事会長に立候補されたことは御案内のとおりで、御活躍に敬意を表するものであります。
 増田県政10年について、知事は、10年の施策の成果をどのように総括されるか。また、本県が全国に誇れるものは何か。また、今後、自立に向けた発展を期すために解決しなければならない課題は何であると考えられ、本県が自立する戦略として、どういう方策、振興策が必要と考えておられるか、まずもってお示しください。
〇増田知事 まず、平成16年度の県政の評価につきましてお答えを申し上げます。
 平成16年度の本県の経済・雇用情勢を概観いたしますと、我が国経済全体では、企業部門の改善で民間需要中心の回復が見られたわけでありますが、本県では、個人消費の低迷、そして依然として低水準にございます有効求人倍率など、生産活動では若干持ち直しの動きが見られておりますが、総じて厳しい状況にあったと、このように認識しております。
 また、平成16年の年末に、スマトラ沖地震による未曾有の被害が発生をしたわけですが、国内でも、新潟県中越地震やたび重なる台風の襲来ということで、改めて自然災害に対しての備えを万全にしなければならない、こうした思いを強くいたしました。
 県内では、一方で自動車生産体制の増強の動きですとか、それから、大河ドラマ「義経」放映で、平泉文化遺産の世界遺産登録に向けた機運が醸成されたり、技能五輪での県内出身者の活躍など、光明も見られた1年であったというふうに思っております。
 この平成16年度には、40の政策で、とりわけ雇用対策、それから県境産廃対策といった二つの緊急課題のほか、産業の振興、人づくり、安全・安心の確保といったものに重点的に取り組んだわけでございまして、特に雇用対策では、ジョブカフェいわてで若年者雇用に強力に取り組むと。それから、産業振興では、自動車関連産業のみならず、例えば農業では、新たに担い手像を明確化して集落型経営体の育成に努めたり、それから、人づくりでは、学力向上に向けた取り組みとともに少人数指導を充実したり、それから、安全・安心につきましては、県産農林水産物へのトレーサビリティーの積極的な導入、そのほか、介護部門では、ご近所介護ステーションの設置と、こうしたものを進めまして、自立を進める4年間と、このように位置づけたうちのステップ・アップの重要な時期であった平成16年度でありますが、一定の成果を得ることができたと、このように考えております。
 それから、もう一点お尋ねの県政10年の成果についてということでありますが、この10年を振り返りますと、明治維新それから戦後改革に次ぐ第3の改革の波がちょうどこの10年に押し寄せてきたと、この地方分権改革というものをそのようにとらえているわけでございますが、そうした中で、地方がみずからの判断と責任で自主的・自立的な行財政運営ができるような、そういう体制の構築に真正面から取り組んできたところでございます。
 まず、県政への住民の参加が必要だろうということで、徹底した情報公開によって住民参加がしやすい機運づくりに努めると同時に、住民に身近な現場で、市町村で総合行政が展開できるようにということで市町村総合補助金、それから、合併の自立支援交付金の創設などによって、そうした体制づくりに努めてまいりました。
 一方で、行財政構造は中央に過度に依存するという、これまでの流れをなかなか断ち切ることができませんでしたので、そのためにも、体質の転換、行財政構造改革プログラムを策定して、そうしたものに取り組むと。さらには、地域力を生かしたご近所介護ステーションや、例えば木質バイオマス利用のための岩手型ペレットストーブの普及といったような、そういう取り組み、これはまさに全国に十分誇り得るものと、このように考えておるところでございます。
 今後、さらに自立した地域社会を形成していくために幾つか必要なことがございますが、それは住民に最も近い基礎自治体であり、市町村の創意工夫がより生かされるような仕組みづくりが必要だというのが第1点。それから二つ目は、そのためにも今後、県の役割とそれから市町村の役割をさらに見直しをしていく必要があるということ。それからもう一つは、互いに共通する地域特性を生かして、スケールメリットが発揮できるような他県との連携の促進と、こういう視野も必要だと思いますので、こうした点を基本に据えながら産業振興に尽力をして、そして自立の基盤となる地域経済基盤を確立していくことが重要であると、このように考えているところでございます。
〇吉田昭彦委員 市町村との役割分担、それから他県との連携、産業振興を中心にというお答えでございましたけれども、これについては後ほどまた詳しくお伺いしたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 次に、国と地方に関する三位一体の改革について伺います。
 この三位一体改革についても、平成16年度は改革へと大きく軸足を踏み出した1年ということが言えます。経済財政運営と構造改革に関する基本方針2004において、地方側に提出を要請された国庫補助負担金改革の具体案について、地方6団体の各会長の合意により、国庫補助負担金等に関する改革案として取りまとめ、小泉内閣総理大臣に提出されたところでありますが、しかし、予算案における改革の内容は、税源移譲の対象とならない、スリム化と称する補助金カットや国の配分権限と関与が残る交付金化がかなりあり、ともすれば、国の財政再建に軸足が置かれ、地方側の自由度や裁量を増すという地方分権推進の観点からは、極めて不十分なものであったところであります。
 そこでお伺いいたしますが、知事が考える三位一体改革のあるべき方向とはどのようなものとお考えでしょうか、その基本的な認識をお伺いいたします。
 また、昨年度先送りされた義務教育費国庫負担金の問題も含めて、不十分な内容の改革案を、真の地方分権推進につなげていくための手だてについてどのように考えておられるのか、あわせてお伺いします。
〇増田知事 三位一体改革についての御質問でございますが、この三位一体改革のあるべき方向については、まず、この改革が地方の自由度そして裁量の余地を大きく拡大をして、地域で責任ある行政を提供できる、そういう仕組みに改める、まさに地方分権改革のかなめとなる改革だと、このように認識をしております。
 また、そのことを通じて、国と地方の二重行政も解消して、国、地方を通じた簡素で効率的な行財政システムの構築にも資するものと、このようにとらえているところであります。
 この三位一体改革を真の地方分権推進につなげていくための手だてでございますが、これは、現在、国と地方の協議の場というものが設置をされております。年末までに何回か開催がなされると思いますけれども、そうした場で取りまとめられました地方案についてしっかりと説明をしていくということと、また、近々に政府主催の全国知事会議がございまして、直接総理あるいは全大臣と直接やりとりができる場がございますので、そうした場でも地方側の考え方をしっかりと説明をしていくと。そして、再三にわたりまして、政府の方あるいは総理の方から地方案の尊重ということが言われておりますので、そうした言葉が現実にそのとおり行われるようにしていきたいというふうに考えております。
 また、この改革を推進するに当たっては、やはり幅広い国民の理解と支持が必要でございますので、6団体として、来月の半ばに地方分権改革総決起大会が予定されております。そうした大会の開催などを通じて、マスコミの皆さんを初め、各政党にも積極的に説明をしていく必要があると思います。
 また、本県でも行いましたが、全国各地で今地方分権をテーマにしたシンポジウム等が開催をされています。そうしたことが国民のこの問題に対しての理解と支持の拡大につながると思いますので、今後、あらゆる機会をとらえて、この改革の実現に向けて取り組んでいく考えでございます。
〇吉田昭彦委員 ただいまの知事のお答えは、国に対して積極的にこれからも働きかけてまいるというふうに伺いましたが、今の国の動きを見ておりますと、どうも地方分権推進の趣旨から言うと、地方いじめになっているんではないか。国の財政改革は考えた上でやっておられるんだと思いますが、地方交付税のカットを初めとして、地方改悪、痛みを地方に起こしているというふうに考えざるを得ないわけでありますが、知事が国に折衝に当たっている中で、国の動向、対応についてどのように評価されておるか、もう一度お答えをお願いします。
〇増田知事 今の御質問でございますけれども、国の方は、今お話がございましたとおり、この改革の中途で大幅な交付税のカットなどが行われました。それから、今御質問の中でもお話がございましたように、スリム化と称して、実際の税源移譲につながらないような、そういう補助金の額の削減などを行っておりますので、こうした改革の本来の趣旨を十分に理解しない、各省がそれぞればらばらに省益を維持するような、そういう構造が出てきているというふうに思っております。こうしたことについては、昨年の末に特に見られましたので、ことし、そうした政府ばらばらの対応にならないような主張を、国、地方の協議の場で、6団体のそれぞれの代表の皆さんがかなり強調してお話をしておられます。それを受けて、ことしが三位一体改革の仕上げの年だということで、官房長官初め、その場に臨む各大臣からもそういう意見が出ておりますので、先ほど今後の対応については申し上げたところでございますが、そういう場で、一段と6団体で結束を密にした上で強力に実現を図っていくと、こういう形で今後の対応に臨んでいきたいと考えております。
〇吉田昭彦委員 基本的な地方分権改革の推進に向けての認識は知事も同じ考え方に立っているんだろうと思いますが、何といたしましても、地方分権改革の中で、地方にとっては地方交付税に依存する割合が高いわけですので、この地方交付税の趣旨から言って、きちっと担保されると、財源保障されるという形で地方団体としては主張していかなければならないと思いますので、このことについては知事も同様の考えでおられると思いますので、その考えを堅持して、そして国に対して要求していっていただきたいと、そのことをお願いしておきたいと思います。
 次に、行財政構造改革プログラムについてお伺いいたします。
 平成15年10月に策定・発表された県の行財政構造改革プログラムは、現下の厳しい財政状況にかんがみ、これまでの行政機構の簡素・効率化を中心としたいわゆる行革の取り組みに加えて、これまで以上に質の高い行政サービスを提供できる行政経営体に変えていこうとするものと理解しておるものであります。
 そこでお伺いしますが、平成15年度及び16年度の行財政構造改革プログラムの取組状況はどのようなものになっているでしょうか。当初予定した計画を上回るものとなったでありましょうか、その成果についてお伺いいたします。
 また、これまでの成果を踏まえて、今後、重点を置いて取り組む項目としてどのようなものを考えておられるのか、あわせてお伺いいたします。
〇増田知事 この行財政構造改革プログラムの成果でございますが、これまで職員の削減、給料の減額、公共事業などの投資的経費の見直し、事務事業の廃止・縮小などについて取り組んできておりまして、総体ではプログラム計画を上回る徹底したスリム化を進めてきたところでございます。
 今後でありますけれども、先般、議会の方にも御説明申し上げましたが、平成19年度以降、多額の財源不足が見込まれているという状況でございますので、現行のプログラムの最終年度は来年度、18年度ということになっておりますので、その18年度に向けて一層の職員・組織のスリム化、それから、そもそもの仕事のやり方の見直しに加えまして、さらに職員の意識改革も進め、指定管理者制度の効果的な導入や県出資等法人の改革に重点的に取り組んで、より質の高い行政サービス、それからスリムでかつ強い行政体への転換を図っていきたいと、このように考えております。
〇吉田昭彦委員 本県の経済は、他県に比べて公共事業への依存度が高いとされておりますが、平成15年度、16年度において、それぞれ前年対比15%削減をされて実施をされてまいったわけでありますが、それによる県内経済への影響は、県内総生産、雇用者数でどのくらいとなっておると見ておられるか、お伺いいたします。
〇竹内副知事 平成15年度、16年度の公共事業の減少に伴う本県経済への影響ですが、平成14年度の公共事業費から用地費を除いた2、109億円、これは決算額でございますが、これと平成16年度の公共事業費から用地費を引いた1、329億円との差額780億円になりますが、この影響について、平成12年岩手県産業連関表を用いて試算をいたしますと、建設工事の減少による直接効果のマイナス780億円に加えまして、建設用建設資材等への需要の減少を通じて、他産業の生産に及ぼす間接波及効果がマイナス355億円程度、さらに雇用者所得の減少に伴う家計消費支出の減少を通じて、各産業の生産に及ぼす間接波及効果がマイナス188億円程度と試算されるところでございます。これらを合計いたしますと、公共事業費の減少額780億円の1.69倍に相当するマイナス1、323億円程度の経済波及効果が見込まれまして、そのうち原材料等の中間投入経費を除いた付加価値分、いわゆる総生産額に当たる金額はマイナス684億円と試算されます。この試算額は、県民経済計算の平成15年度の県内総生産4兆5、508億円の1.5%に相当すると想定されるところでございます。
 それから、雇用者数への影響でございますが、これは、国や市町村の公共事業費も削減されておりますし、また、景気の低迷も長引いておりまして、民間の住宅建設等も厳しくなっておりますことから、県の公共事業費の削減による雇用者数への影響の実態を把握することはなかなか難しい状況にございますが、総務省の事業所・企業統計調査によりますと、本県の建設業従業者数全体の動向を平成13年度と16年度で比較をいたしておりますが、国等を含む全公共事業及び住宅建設等の民間建設投資関係の全従業者ベースで7万2、457人から6万2、555人、約9、900人の減少になっております。
 なお、公共事業費の削減による雇用環境の変化に対応するため、建設業協会が設置した建設経営支援センターへの支援や、県の農業参入企業相談センターを通じて、建設業の新分野への進出支援に取り組んできたところでございます。その結果、平成15年86件、16年が133件、17年の9月現在で97件の相談がございまして、農業分野、環境リサイクル等の新分野へ進出した企業は16社、19件となっております。今後、こうした取り組みをなお一層推し進めてまいりたいと考えております。
〇吉田昭彦委員 次に、行財政構造改革プログラムに関連しまして、県財政の中期収支見通しについてお伺いいたします。
 県は、今議会における県政調査会で、平成19年度以降の粗い収支について公表されました。その内容は、歳出が現行の水準で推移するとした場合、平成19年度から平成22年度までの4年間の財源不足額は2、354億円、単年度600億円弱の財源不足が見込まれるという説明でございました。
 そこでお伺いいたします。
 平成15年度から18年度までの4年間よりも、平成19年度から平成22年度までの財源不足が拡大する理由は何でありましょうか。平成19年度以降の単年度600億円弱の財源不足の内訳は何かについてお示しください。また、これだけの財源不足を解消し、本来あるべき予算規模にしていく見通しはあるのか、あわせてお伺いいたします。
〇増田知事 まず、財源不足の拡大の理由でありますけれども、平成19年度以降のあらあらの試算を先般お示しいたしましたけれども、それは特殊要因ででき上がっているものではございませんで、平成16年度以降、実は交付税等が御承知のとおり大幅に削減をされました。この交付税などの大幅削減により減少したいわば実力ベースの歳入規模に対して、歳出規模の抑制が追いついていないことによって、そのギャップが拡大をしたと考えております。単年度約600億円弱の財源が不足すると、こういうことになっているわけですが、そのおおよその内訳ですけれども、それは平成18年度の財源不足額、これが196億円ございます。これが一つ。それから、平成19年度以降、経常的な収入として期待できない、いわゆるやりくりで実施をしてきた分、それが336億円の減。このやりくりというのは、御承知のとおり借換債の発行や基金の取り崩しといったようなものでございますが、これで実施してきた分が約336億円。19年以降、交付税等がさらに減ることが予想されると。これは臨時財政対策債というものを緊急に発行して、その分の減少分を補っているわけですが、これが今後、どうも政府の動向を見ておりますと減る可能性がございます。それを51億円から92億円程度の減と、こういう形で見込んで、先般、単年度約600億円ほどの財源不足が生じるのではないかと、こういうふうに粗い試算でありますが御説明申し上げたところであります。
 こうした財源不足の解消の見込みでありますが、これについては、早期にポスト行財政構造改革プログラムの策定を行って、その中で具体的な対策について今後検討をしていきたいというふうに思っておりますが、特に県の組織それから職員体制については、またさらに厳しく検討し直す必要があるだろうというふうに思っておりまして、現在の行財政構造改革プログラムに基づいて、知事部局の職員数が定められての削減の計画が出ておりますが、それをかなり上回る形で削減を進めていかなければならないだろうと。今、この点については知事部局の職員数を平成15年度、約5、000人でございましたが、これを19年度当初に4、600人とすると、こういう今の行革プログラムがございます。19年度当初に4、600人ということで、今年度、今現在の職員数が4、774人という数字になっているわけですが、これについても、より大幅な削減をしていかなければならないと思っておりまして、将来的な予算規模、職員1人当たりの県民数などを勘案すると、この職員体制を4、000人程度まで落とす必要があるのではないか、4、000人程度とすることが適当と考えておりまして、引き続き事務事業の徹底した見直しを行いながら、県庁全体としてはスリムで効率的な体制を構築することで、総人件費の抑制に取り組んでいきたいと考えております。
 なお、具体的な歳出削減策の第一歩として、19年度以降の財政運営を見据えて、18年度当初予算編成でも、先般、各部局に作業の指示を出しましたけれども、公共事業費の縮減などの歳出削減に取り組んでいく考えでございます。
〇吉田昭彦委員 財源不足解消策として、今示されました県の組織、職員体制にかかわりまして、後ほど広域振興局の問題についてお伺いしたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 次に、平成16年度の財政運営についてお伺いいたします。
 平成16年度の当初予算は、国庫補助負担金の廃止・縮減や地方交付税総額の抑制が見込まれる一方で、多額の財源不足が見込まれる厳しい財政環境のもとでの予算編成を余儀なくされたというのは、これまでの御説明でもあったところでありますが、限られた財源の中で、さまざまな課題への積極的な対応も求められたところでありますが、平成16年度においては、どのような考え方に立って財政運営に当たってこられたのでしょうか。財政運営に当たっての基本姿勢について改めてお伺いいたします。
 あわせて、次に県税の決算状況についてお伺いいたします。
 平成16年度の県税の収入済額が1、092億7、300万円余で、平成15年度決算額に対しては5、000万円余の増と、ほぼ横ばいとなっており、依然として厳しい状況にあります。
 そこでお伺いいたしますが、主な税目ごとの決算額は、前年度あるいは最近の推移から見てどのような状況になっておられるか、増減の要因もあわせて御説明をいただきたいと思います。
 それから、本県の収納率及び収入未済額は前年度と比較してどのようになっておられるか、収入未済額の縮減にどのように対処しておられるのかも含めてお伺いいたします。
〇時澤総務部長 平成16年度の当初予算の編成に当たりましては、中期財政見通しのもとに、事業のより一層の選択と集中ということで、削減すべきは削減、重点化すべきものは重点的に配分するということを基本として編成をすることといたしたわけでございます。この中で、具体的には、県税等の収入に見合った財政支出となるように歳出規模の適正化を図る。それから、公債管理の適正化を図ることによりまして、18年度のプライマリーバランスの均衡を達成するということも予定をし、さらに、地域経済の活性化策の推進によります中長期的な税源の涵養に努めると、このようなことを基本といたしまして財政運営を行おうということで考えておりましたところが、先ほど来出ておりますように、交付税がかなり大幅に削減されたということで、想定していた以上に財源不足が拡大をいたしましたので、さらなる歳出削減に加えまして、さまざまなやりくりによる予算編成を強いられたところでございます。こういう大変な状況の中にありましたけれども、誇れるいわて40の政策を中心に、雇用対策、産業廃棄物不法投棄事案への取り組み、たくましい産業の振興、次代を担う人づくり、心から信頼できる安心・安全の確保、このような緊急課題、重点施策につきましては、厳しい状況の中でも最優先で予算措置をしたところでございます。
 税収についてのお尋ねがございました。
 平成16年度の県税決算額は1、092億7、300万円余、前年度に比べまして5、000万円余の増と、伸び率は0.0%ということでございます。変わっておりませんけれども、5、000万円余の増となっております。
 主な税目で申し上げますと、基幹税目であります法人二税が前年度より4.0%増、地方消費税が1.2%増となっておりますが、個人県民税は逆に3.8%の減、軽油引取税が4.4%の減というふうになっております。法人二税は前年度に引き続き堅調に伸びたところでありますが、軽油引取税は平成12年度以降、5年連続で前年度を下回る状況となったところでございます。
 この増減要因につきましては、法人二税は、一般機械、鉄鋼などを中心とした製造業の回復によりまして4.0%の増、地方消費税につきましては、消費の持ち直しから1.2%の増となったものの、個人県民税は、個人所得の落ち込みから3.8%の減、軽油引取税は、物流の低迷によります需要の落ち込みから4.4%の減となったものでございます。
 それから、収入未済額の状況でございます。
 県税決算におきます収入未済額は22億2、200万円でございます。前年度に比べまして2、600万円ほど減少しております。特に、市町村が賦課徴収しております個人県民税を除きました県税の収入未済額は、10億5、800万円で、前年度よりこれも2、900万円余の減ということで、歳入確保に向けました取り組みが、一定の効果が出ているのではないかと考えております。
 この収入未済額の縮減につきましては、現在の行財政構造改革プログラムの中でも、喫緊の課題として位置づけをしており、平成18年度、99%の目標収入率を設定して現在取り組んでいるところでございます。
 具体的には、収入未済額の半分を超えます個人県民税につきましては、市町村に対し共同での納入催告、共同での滞納者への訪問あるいは徴収引き継ぎによります県の直接徴収の実施等で徴収対策を講じておりまして、県と市町村の合同によります徴収事務のマネジメント研修、こういったものもあわせて行っているところでございます。
 また、収入未済額の約2割を占めます自動車税につきましては、迅速な滞納整理を行うための電算管理システムの導入を行いました。また、土曜日、日曜日におけます納入窓口の開設を初めとした取り組みを行ったところでございます。
 また、特に、納付に誠意のない滞納者に対しましては、厳正な態度で早期の差し押さえを執行することとしておりまして、特に滞納件数の多い盛岡地方振興局に徴収対策特命課長を配置いたしまして、執行体制の強化を図りながら、さらに収入確保に努めてまいりたいと考えているところでございます。
〇吉田昭彦委員 税収の確保は、地方分権の推進のためにもぜひとも自主財源の確保ということで大切なことだと思いますので、収入未済額の縮減についてはさらに御努力をいただきますようにお願いをして、次の質問に移りたいと思います。
 次に、県内市町村の決算状況についてお伺いいたします。
 現在、市町村財政は県財政と同様、長引く景気低迷による税収減や過去数次にわたる景気対策などによって、地方債の現在高が年々増嵩するなど財政の硬直化が進行し、極めて厳しい状況にあると思われます。その規模等により財政状況は異なると思いますが、県内市町村における平成16年度決算の状況はどのようなものであったか、お聞かせ願います。
 また、その決算状況などから見て、県内市町村における財政運営上の課題をどのようとらえ、今後、県としてどのように対応されていくつもりなのか、あわせてお伺いします。
 まとめてお伺いしたいと思いますので、次に、市町村総合補助金と地域活性化事業調整費についてお伺いいたします。
 これらは、地域重視の観点から創設されたと理解しておりますが、この両事業、これまで地域振興に果たした役割というのは大変大きいものだと私も認識しているところであります。そこで、この両事業の評価と今後どういう見通しをお持ちになっているのかについてお伺いしたいと思います。
〇山口地域振興部長 まず、県内市町村の平成16年度の決算状況でございます。
 歳入は、地方税の伸び悩み、それから地方交付税及び臨時財政対策債等の減少によりまして、対前年比で515億円、8.2%減の5、792億円となっております。一方、歳出でございますが、人件費、物件費等の経常経費の削減、それから建設事業の抑制に努めたことによりまして、対前年度比508億円、8.2%減の5、675億円となっております。また、地方債残高は、平成15年度とほぼ横ばいの8、114億円となっておりまして、依然として高い水準になっております。さらに、財政構造の弾力性を示す指標を見ますと、総体として高い数値を示しておりますが、例えば経常収支比率は、前年度を4.0ポイント上回る89.0%、それから公債費負担比率は、前年度を0.6ポイント上回ります21.1%となりますなど、市町村財政の硬直化が一層進んでおり、極めて厳しい財政状況となっております。
 今後、市町村におきましては、歳入では、三位一体改革に伴う地方交付税などの減、また、歳出では、公債費など将来の財政負担への対応が見込まれ、当面、財政運営は厳しい状況が継続するものと見込まれるところでございます。
 市町村に対しましては、徹底した行財政改革への取り組みと、将来の財政負担も十分見通した財源の重点的配分などによる効率的な財政運営への取り組みをより強力に推進するよう、引き続き助言してまいりたいと考えております。
 次に、市町村総合補助金及び地域活性化事業調整費の評価と今後の見通しについてでございます。
 まず、市町村総合補助金につきましては、委員の御指摘のとおり、市町村の創意工夫によりまして、その裁量的に活用できる補助制度でございます。平成12年度の創設以来、環境・ひと・情報の三つの視点に立った事業を、また、16年度からは、これに加えまして市町村の総合開発計画等の目標達成のため、あるいは行財政構造改革の推進のための事業を対象としまして、これまで全市町村で1、548事業、59億9、000万円余が活用されてきたところでございます。
 また、地域活性化事業調整費にあっては、昭和61年度から平成16年度までの19年間を通じまして5、958事業、約98億3、000万円余の事業を実施してきております。そのうち、市町村等に対する補助事業は、全体の約6割に当たります3、702事業、62億2、000万円余となっておりまして、市町村とともに地域の産業・文化の振興、あるいは情報化の推進、それから保健福祉の増進などを図ってきたところでございます。
 これらの評価としましては、地方振興局がいわゆる現場主義に基づきまして市町村等の主体的な地域づくりを支援する拠点として機能していく上で、重要かつ不可欠の制度であると考えております。市町村、地域からも高い評価をいただいていると受けとめているところでございます。したがいまして、今後におきましても、厳しい行財政運営が続く中でございますけれども、引き続き地域振興の重要な制度として堅持していきたいというふうに考えております。
〇吉田昭彦委員 これからも、両事業費については堅持をしたいという部長のお答えでありますが、市町村の財政厳しい中で、この両事業の果たす役割というのは大変大きいと思いますので、ぜひ、堅持だけではなく、増額も考えながら対処していただきたいということを要望しておきたいと思います。
 次に、県総合計画の取り組みについてお伺いいたします。
 平成11年8月に、自立・参画・創造を理念として策定された県総合計画につきましては、岩手の将来像としての五つの社会の実現に向け、実施計画において、平成11年度から平成17年度までの前期7カ年に実施すべき343の主要な事業を明らかにされておるところであります。平成16年度は、この前期実施計画終了の前年度に当たるわけでありますが、これら主要な事業についての県の取組状況と、その成果をどのように総括されておるかお伺いいたします。
 次に、総合計画に掲げられております主要指標の到達度について伺いますが、平成16年度の県予算は、先ほど来説明、お答えがあったように、一方的な地方交付税の大幅削減など、前年度対比6.1%減の超緊縮型、減少率も過去最大という予算でありました。昨年度の厳しい財政状況のもとで、この総合計画で掲げられております主要指標は、どの程度達成をされたのでありましょうか。
 また、今後の厳しい財政環境なども含めた上で、指標の達成についてどういう見通しを持っておられるのか、後期計画の目標達成に向けてどのような考え方で対処されるか、あわせてお伺いいたします。
〇相澤総合政策室長 前期の総合計画の実施状況につきまして、主な指標の到達度という視点から、総括も含めてお答えを申し上げたいというふうに思います。
 総合計画におきましては、228の主要な指標を掲げているところでございます。今年度新たに追加をしたと、こういった理由で測定ができなかった6指標を除きますと、222の指標の達成状況でございますけれども、到達度が中以上の、おおむね順調に進んでいる指標は132指標で、59%となっております。前年度に比べ、4ポイント上昇しているものでございます。
 到達度が低の、いわばおくれている指標が90指標でございまして、41%を占めているところでございます。到達度がおくれている指標につきましては、例えば卸・小売業販売額や汚水処理人口普及率など、いわば長引く景気の低迷やこれに伴う財政状況の悪化と、こういったものに起因しているものだというふうに思います。
 それから、伝統芸能学習に取り組む学校の割合、あるいは地球温暖化防止実行計画策定市町村割合など、県や市町村の取り組みが十分ではなかったもの、さらには育児休業取得率など、県民への意識啓発が不十分であったものなどに分類をし、現在、その要因を分析しているところでございます。
 今後、景気の低迷がさらに長引くなど、社会経済情勢から目標の達成が厳しい指標もあると考えておりますが、県や市町村の取り組みによって到達度の向上が期待できるものにつきましては、施策の選択と集中や、実効性の高い施策の展開を徹底して、達成状況をより目標値に近づけるように取り組みを強化してまいりたいと考えております。
 また、平成22年度総合計画の最終年度でございますけれども、そこにおいて目指すべき姿を視野に入れて後期実施計画の策定作業を取り進めてまいりたいと考えているところでございます。
〇吉田昭彦委員 6割が到達されているというただいまの総合政策室長のお答えでありますが、問題は、それぞれの広域生活圏単位でどのようになっているかということが、さらに重要な要素ではないかなと思うわけであります。
 そこで、次の質問に移りますが、岩手県県民生活指標の評価と政策への反映についてお伺いいたします。
 各種の地域振興施策の推進によって、国民的行政水準としてのナショナルミニマムの目標は、ある程度の充足が図られてきたことは各種の指標が示すところですが、圏域によって、依然として下水道整備や道路整備率など不十分な点が見られ、いわゆる圏域別に格差の是正が提起されるところであります。その地域によって行政需要や政策要望は違うと思いますが、生活圏別に生活環境、経済環境、保健、医療、福祉、教育など、各分野の現状を分析し、公共事業の優先順位の決定とか政策形成プロジェクトの決定に反映させることが必要と考えるわけでありますが、そこで伺います。
 県土の均衡ある発展のためには、地域間の格差解消が絶対条件であり、それぞれの地域の特徴ある発展の前提条件と考えるものであります。毎年度調査分析を行っております岩手県県民生活指標をどのように政策決定に活用され、広域生活圏単位での格差是正の施策にどのように生かされているのか、あわせてお伺いいたします。
〇相澤総合政策室長 県民生活指標についてでございますけれども、この指標につきましては、政策評価において、総合計画に掲げる分野ごとの達成状況を把握する際などに、他県との比較による本県の全国的なポジションの分析、あるいは御指摘にございましたような広域圏ごとの地域特性の分析などに活用しているところでございます。このような政策評価の結果を踏まえた上で、施策の立案、展開を行っているところでございます。
 具体的な事例で申し上げますと、労働分野についてでございますけれども、完全失業率を地域ごとに分析をし、失業率の高い地域からジョブカフェサテライトを設置し若年者の就業支援を行っているほか、健康・医療分野については、65歳未満死亡率などの地域間格差を分析することにより、健康課題の地域特性を明らかにし、その課題解決に向けた市町村の取り組みをバックアップしていくといった形で、いわば地域間の格差を考慮した施策を展開しているところでございます。
〇吉田昭彦委員 それぞれ広域生活圏単位でいろんな課題については政策決定に反映をされているという総合政策室長のお答えでありますので、そのことを信じたいと思うわけでありますが、それぞれの地域が特徴ある発展を図るためには、基礎的社会資本の整備を初めとして、健康、医療、福祉の社会保障体制や、教育に係る分野について一定の水準が確保されていることが必要と考えるものでありますので、これからもそういう地域間の格差是正、県土の均衡ある発展という観点で、そのような政策決定をされることを期待しまして、次の質問に移りたいと思います。
 次に、市町村合併と広域行政の推進に関連して、北東北3県連携の動向、道州制等についてお伺いいたします。
 財政支援の優遇措置がある現行の合併特例法期限内には、本県では11地域で市町村合併が進められておるところであります。人口減少や少子・高齢化社会の到来、財政問題、分権の加速などで市町村合併の成果が期待されるところでありますが、本県の取り組みの評価と今後の対応、いわゆる自立志向の市町村への支援、あるいは合併指導をされる町村への対処についてどのように考えておられるか、お伺いいたします。
 また、知事が主導しておる北東北3県の連携については、観光物産施設にかかわって、北海道、名古屋、福岡等を中心に展開し、海外ではシンガポール、ソウルでも海外事務所の設置による振興を図っておるところでありますが、その評価と今後の対応についてお伺いいたします。あわせて、先ごろ公表されましたグランドデザインの今後の対応についてお伺いいたします。あわせて、宮城県との連携による大連の商談会などが活発に行われておるわけでありますが、その評価についてもお伺いいたします。
 次に、道州制についてお伺いします。
 知事は、立命館大学での全国知事リレー講座において、市町村合併が進めば県の役割は一層小さくなる。県は経済のマーケットを中国に広げたり、大型店の進出にどう対応するかといった広域的な取り組みに特化するであろう。東北6県を一つのブロックとして仕事をするぐらいがいい。道州制は、国の権限を移すことや、国民と議論し浸透させること、行革的観点に取り入れることが必要だと知事は講義をされておるとの報道がなされております。
 そこでお伺いするわけでありますが、見直し案と道州制導入との関係をどのようにお考えになっておるか、お伺いいたします。
〇増田知事 まず、市町村合併についてでありますが、平成11年現在で県内59市町村数がございましたが、18年3月末で35の数になるというようなことでありますけれども、これは県内の各市町村が、より一層の行財政基盤の強化に向けて真剣に協議をしていただきまして、さまざまな課題を克服しながら、合併に向けて真摯に取り組まれた結果であると思います。まだ残されている地域がございますので、そうした地域に対しましては、市町村合併推進審議会の御意見をお聞きしながら、今年度内に自主的な市町村の合併の推進に関する構想というものを策定して、それに基づいて合併を支援していきたいと考えております。
 また、当面、自立を志向している市町村がございます。これはこれで意思を十分尊重しなければいけませんが、ぜひ、その市町村での行政改革の集中改革プランを策定して、一層の効率化などを目指していただきたいと思いますし、そうした地域の活力をいかに維持・強化していくかという観点からも、市町村合併についても広く議論を深めていただきたいと考えております。
 また、一方で合併を志向している市町村がございます。そうしたところに対しては早期に関係する市町村間で協議が進むように、必要な助言や情報を提供していきたいと考えております。
 北東北3県の連携についてですが、これはお互いがスケールメリットを発揮できるようにということで、合意事項を積み重ねて、今まで何年かかけて広域連携の実績を積み重ねてきております。こうしたことによって、北東北への関心や認知度が非常に高まってきていると思っておりますが、これから、こうした3県の連携の必要性は、例えば海外戦略を展開していくなどの場においてますます増大していくと思っておりますので、今までの連携実績を基本に据えながら、さらには東北の南側の方の県、宮城県なども含めた東北全体への大きな連携へつなげていくことが重要であると考えております。
 先般、北東北のグランドデザインをまとめましたけれども、これは共通の地域経営の方向性を示すいわばガイドラインのような位置づけのものでございまして、その前提のもとで幾つか具体的な連携項目に合意をしております。8項目ほどだったと思いますが、連携項目に合意しておりますので、こうした項目の実現に取り組むということで、今後、それぞれの県とよくお話し合いを進めていきたいと考えております。
 それから、道州制についてでございまして、国の方は地方制度調査会で今この議論を急ピッチで進められておりますし、全国知事会の中でも道州制を含む広域自治体のあり方について特別委員会を設置して検討を行ってきております。今後、基礎的自治体である市町村が合併などでより力をつけていくわけでございますので、そこと、それからいわゆる今の都道府県との役割分担の見直しということによって、地方分権の考え方に立脚した制度にこういった道州制が仕上がってくるということを前提に、この道州制というのは、将来の広域行政としてのあるべき有力な選択肢の一つとなるものと認識しております。それぞれの地方制度調査会、知事会でも議論をより深めていく必要があると思いしますし、また、そういう場だけでなくて、県民や国民の皆さん方にこの問題について御理解を深めていただくということが大変重要なことでございますので、本県では、民間有識者とつくっております北東北パートナーシップ岩手フォーラムというものがございますが、そうした場などで県民との議論を幅広く今後も行っていかなければならないと思っております。
 今回、広域振興圏の見直しを御提案しているわけですが、それとの関係でございますけれども、今回のそうした広域圏の見直しは、一つは、市町村との適切な役割分担で県の行政をよりいいものに変えていこうという観点がございますし、もう一つは、急激な人口減、少子・高齢化社会の到来する中で県民生活をどうやって維持・向上していくのか、こういう大きな二つの視点から行っているものでございますけれども、まさにこうした二つの視点、広域振興圏の見直しの視点というのは、今申し上げました道州制のような今後の大きな地方自治制度の変化にも対応できるものとして考えているところでございます。
〇竹内副知事 大連での商談会のお尋ねでございました。これは宮城県との連携で行っているものでございますが、平成16年度に第1回目を開催いたしまして、ことしの10月17日に第2回目を開催いたしております。これまで2回開催した商談会へ参加した日本側企業の数は延べ52社・団体、岩手県側から34、宮城県側から18参加しておりますが、商談会開催期間中の商談件数は延べ307件になっております。商談会開催直後に参加企業にアンケートを実施いたしておりますが、その中では岩手県側企業・団体の商談成約件数が4件、商談継続中のものが48件となっております。
 この商談会の評価についてでございますが、ことしの4月に宮城県との共同で大連経済事務所を設置いたしておりますので、その事務所機能を生かしまして、商談相手となる中国側企業の選定などの事前調整を図りました結果、商談件数が第1回目を上回りまして、密度の濃い商談会となったこと。それから、参加した企業からは、前回よりも当方のニーズに合致した中国側企業との商談ができた。対中ビジネスを行う上で、岩手県大連経済事務所が有効に機能しているといったような評価をいただいておりまして、今後、具体的な成果に結びついていくものと期待をしております。中国市場はなお高い成長が見込まれますことから、こうした商談会の開催を今後とも宮城県との連携強化を図りながら、大連経済事務所の機能を活用して、さらに充実させていくよう努めてまいりたいと考えております。
〇吉田昭彦委員 ただいまの副知事の大連での商談会については、その評価が高いと私も思うわけでありますが、北東北3県との連携とあわせて宮城県との連携については、この経済関係の連携とあわせて、例えば防災、それから三陸沿岸南部にとっては大変重要な高速交通体系であります三陸縦貫道との関係等も考慮した場合は、宮城県との連携を深めることが非常に大きいものがあるのではないかなと思いますので、ぜひ、経済面だけではなく、そういう防災、それから高速交通体系の整備等々においても宮城県との連携を深めて、基盤整備に当たっていただくように要望いたしまして、この質問を終わりたいと思います。
 次に、先ほど来、地方振興局の関係が出ておりますけれども、再編整備につきまして、県行政の中で最も住民に近いところで県民サービスの提供に関与しておる地方振興局のあり方について、現行の総合事務所としての成果、動向も踏まえまして、幾つか質問をさせていただきたいと思います。
 現行の地方振興局の設置における検討は、御案内のとおり、外部有識者で構成する行政改革懇話会の設置、あるいは財団法人地方自治協会に委託するなど、たしか60年度までと思いますが、単独事務所制のメリット、デメリットを分析、検討、評価した上で、総合事務所制に移行した場合における県民生活に及ぼす影響についても慎重に検討されたものと記憶しておるところであります。今回の再編整備は、6月に素案が公表され、12月議会において成案の審議を行うという日程になって進んでおられるようでありますが、県は、今回の見直しの背景、課題として、現行地方振興局での業務の完結性が十分でなかったこと、事業、施策の企画立案機能が県庁に集中していること、あるいは予算権限及び組織権限等が限定されておること等々を提起されているが、その検討対象が十分とは言えないのではないか。そういう意味では、拙速と言われても仕方ないような状況になっておるのではないかなと思うわけでありますが、知事は、このような中で、なぜ広域振興局の設置を急がれるのか、お伺いいたしたいと思います。
〇増田知事 まず、振興局の見直しの関係について御質問でございますので、この考え方について申し上げたいと思います。
 現在、地方自治を取り巻く中で、全体として地方分権という大きな流れがあるわけでございまして、その中で大変重要な要素である国と地方の行財政構造、これは三位一体改革というような形で協議が進められております。そうした国相手の協議を進めていくということだけでは不十分でございまして、やはり地域みずからが率先して分権型社会の実現に向けて、我々の努力で着実に道筋をつけていくということも、もう一方で重要なものではないかと考えております。こうした両方の動きというものが、まさに車の両輪のような形でかみ合うということが、分権型社会の構築、そして地域主権ということにつながっていく、このようにとらえているところでございます。
 この中で、県内の市町村は基礎的自治体として今後さらに行財政能力を高める必要があると思いますが、関係者の皆さん方の大変な御努力によりまして市町村合併が進められたわけでございまして、その形も整ってまいりました。県としては、こうした市町村に対してさらなる合併の支援に取り組むということがございますし、また、こうした市町村に対して本当に市町村中心の行政の確立に向けて、市町村側が必要としている権限移譲を大胆に進めていきたいと考えております。今、市町村の方にお話を申し上げておりますけれども、道路改良や維持など市町村の負担を伴わない権限、財源、専門的な人材を一括して移譲するような移譲の仕方、それから地域密着の介護サービスなどについては、現行法の制約がいろいろございますので、これは構造改革特区の提案などを県の方でも後押しをして、そういったものについても今後移譲していきたい。それから、市町村の方から大変御要望がございます都市計画法の開発行為許可権限ですとか農地転用許可権限、違反広告物の撤去など、実は市町村が本当に現に望む権限というものについては、今まで県がやはり腰が引けていたような部分がございますけれども、こうしたものこそ積極的に移していかなければなりませんので、今申し上げましたような大きく三つの類型のような権限について、今後、市町村の方に積極的に移していく、そういう市町村が強くなっていく後押しをしていきたいと考えておりまして、ただ、これについては、ある日突然、市町村の方にすべてをゆだねるのではなくて、今、御提案としておおむね10年程度の期間をかけて、無理のないような形で市町村の方に真に望む権限を移譲していく、このようなことを考えているところでございます。
 こうしたことによりまして、県の役割というものも今後大きく変わっていくものと思われるわけでございますが、一方で、既に人口減少、少子高齢化というものが着々と進行しておりまして、この問題も本県にとりましては極めて重要な問題でございます。特に、今後しばらくたちますと生産年齢人口が著しく減少してまいりますので、そのことが地域経済の縮小につながってまいりますと、県民の暮らしそのものに甚大な影響を与えかねない懸念がございます。こうしたこともございますので、今後、県の役割が大きく変化をしていく中で、とりわけ産業振興は、県として何よりも優先して取り組まなければならない、まさに最重要課題であると考えているわけでございます。この際には、やはり県内の全体の状況を見ますと、県北部それから沿岸部の地域の落ち込みといったものが目立ちますので、この際、県北・沿岸の産業振興には特に重点的に取り組む必要がございます。県南広域圏は本県ではかなり県内の産業をリードする地域でありますので、ここについては広域振興局に大幅に業務をゆだねて、本庁は地方振興局と連携して県北・沿岸振興に特に業務を重点化して、そして今後取り組んでいきたいということでございます。
 今、こうした考え方を市町村にもお話を申し上げまして、こうした考え方で振興局の見直しを行おうとしているものでございまして、特に市町村合併や産業振興の方向性が定まっております、環境の整いつつある県南地域からまずこの問題に着手をして、早期に成果を出していこうという考えに立っているものでございます。確かに、今、地方自治を取り巻く環境の変化というのは大変大きく、スピードが速いと考えるわけでございますが、そうしたスピードで進む環境の変化に我々行政も的確に対応していく必要がございますので、今、まさに変革期であり、それから過渡期でございますので、この振興局の見直しを直ちに進めたいと考えておりますが、ただ、進めるについては、やはり段階的な、なおかつ柔軟な取り組みが必要だということでございまして、地域を分け、あるいは期間もある程度とりながら、段階的かつ柔軟に取り組んでいきたい。そのことが岩手県にとって一番適当であるというのが私どもの考え方でございます。
〇吉田昭彦委員 確認の意味でお伺いしたわけでありますが、考え方を説明いただきました。段階的、柔軟に対処されていくという知事の今のお答えでありましたので、それをお伺いしておきたいと思います。
 そこで、関連してお伺いしますが、昭和61年のいわゆる現在の地方振興局制度ができたときに、単独事務所から総合事務所としての地方振興局体制に移行したわけでありますが、それによって人員体制はどのように変化されたか。また、現在はどのようになっているか。本庁と出先との人員体制の変化についてお伺いしたいと思います。
 あわせて、先ほど知事の御答弁にもありましたが、最近、町村会、市長会との懇談会で意見交換をされたようでありますが、市町村長から課題として示されたのがどういう内容で、また、それに対してどのような対処をされるお考えか、お伺いしたいと思います。
〇時澤総務部長 私の方から、地方振興局設置当時の人員体制についてお答え申し上げたいと思います。
 昭和61年に、それまでの県税事務所、福祉事務所、農林事務所などの分野別の単独事務所を統合いたしまして地方振興局を設置しております。地方振興局への統合の対象になりました各事務所の昭和60年度の職員数、統合の前年度ですが、1、210人でございます。統合いたしました昭和61年度の地方振興局設置時の職員数は1、294人でございます。現在、平成17年度の地方振興局の職員数は、昭和61年度の1.6倍に当たります2、078人となっております。一方、本庁は昭和61年に地方振興局設置時は1、464人でございまして、17年度現在では1、364人と若干減っているというような状況になっているものでございます。
〇増田知事 今回のこの見直しにつきましては、町村会、市長会それぞれと意見交換を今まで行ってまいりましたが、直近では、今、委員からお話がございましたとおり、10月26日に町村会と、28日に市長会と再度意見交換を行ったところでございます。その場におきまして、これまで権限移譲の具体的な内容や進め方、産業振興の具体策などがまだ不明確だといったような意見も寄せられてまいりましたので、私の方から、こういった点などについて再度御説明を申し上げたわけでございまして、先ほどの御質問で私が御答弁申し上げましたようなことも含めて、具体的に御説明をいたしました。特に権限移譲について市町村の方から本当に真に望むような権限移譲がなされるかどうかということで、再三にわたって御質問を今まで受けておりましたので、先ほど申し上げましたようなことについて、大きく三つの類型に分けて、必ずこうした権限移譲を県として進めていくということでお話を申し上げました。ただ、これは今、幾つかの市と研究会をつくっておりますので、そこでさらに議論を深めて、そして権限移譲について市町村の立場に立って移譲していく旨を説明いたしました。市町村の方からも、必ず市町村側が望むような都市計画法や農地転用許可権限など、本当に基幹的な業務を移すかどうかということ、あるいは逆の立場から、一挙に押しつけられてもかなわないという両方のお立場がございましたので、それぞれについて基幹的な業務も移譲するけれども、やり方についても十分に協議しながらやっていくというようなことで申し上げております。
 それから、産業振興につきましても、特に県北・沿岸振興について詳細に申し上げました。本庁が特にこういう地域に主体的にかかわっていくということで御説明申し上げましたが、そのほか、県南地域も、自動車以外に、ものづくり以外にやはり農業振興なども大変大事でございますし、県央地域も今後新たな産学官創造による産業振興というものが大事でございますので、そうしたそれぞれの地域の具体的な施策レベルの方向性について御説明申し上げたところでございます。
 こうした説明によりまして、総じて言いますと、市町村の皆さん方には安心をしていただいたと受けとめております。町村会、市長会ともおおむね理解をいただいたというところまで認識が深まったと考えているところでございまして、今後、その場でまた最後に御意見もございましたが、例えば県南の広域振興局の行政組織のあり方でございますが、こうしたものについてさらに具体的にすり合わせを行う必要もございますので、引き続き市町村とは適宜十分な意見交換を進めていく考えでございます。
〇吉田昭彦委員 ただいまの知事の御答弁は、市町村長の理解が深まったという御認識のようでありますが、それは知事の御認識でありますから、そのように評価したいと思いますが、地方分権推進の中で国と地方との関係の三位一体改革が、今、検討途上であると、私はそのように理解をするわけでありますが、そういう中で、県と市町村との役割分担、本庁と振興局との業務分担、これらについてもっと精査・検証し、今後のあり方について県と市町村との合意形成が必要ではないかなと、私はそう思うのであります。
 そこで、先ほどの総務部長の御答弁にありましたが、職員体制がいわゆる総合事務所としての地方振興局になる前と、なった後、それから現在ではかなり職員がふえている。本庁は100人ほど減っているという内容のお答えと聞きましたが、そういうことからすると、むしろ今の地方分権推進の中では、先ほど知事の答弁にもありましたけれども、県がやっているものをできるだけ市町村に移譲して、そして県はむしろスリム化をするという形の方が地方分権推進の趣旨に合うのではないかなと思うわけでありますが、これはここで議論する問題ではありませんので、この程度にさせていただきたいと思います。
 それから、ただいまの広域振興局に関連しまして、また、あと何点か、確認の意味でこれまでの成果を踏まえてお伺いしたいと思いますが、地方制度改革と広域生活圏及び地方振興局の見直しとの関係についてお伺いいたします。
 政府の地方制度調査会が11月に取りまとめる答申におきまして、権限を強化した新たな複数副知事制の創設などが盛り込まれる方向であります。早ければ平成19年度から施行される予定になっておると聞いておりますが、今回の広域振興圏の見直し案では、広域振興局長は本庁部長クラス以上とし、広域振興圏に係る全権限を付与する構想であります。
 そこでお尋ねしますが、複数副知事制など予定される地方自治制度の改正と広域振興局長への権限関係をどのように考えておるのか、お伺いいたします。
 次に、広域振興局体制への漸次移行と、地方自治法第10条第2項との関係についてお伺いいたしたいわけでありますが、見直し案では、広域振興局設置については、県南広域振興局を平成18年度からモデル的に先行させ、他地域についてはおおむね10年後を目安に、広域振興局体制による完結性の高い地域経営の実現を目指すとしております。
 そこで、県南広域振興局と他の3地域は、県民の受けるサービスや事務の取り扱いが異なるわけでありますが、これは地方自治法第10条第2項で保障されておる県民が有するサービスをひとしく受ける権利との調整はどのように考えておられるか、お伺いいたします。
〇増田知事 まず、今、地方制度調査会で進められております地方自治制度の改正の関係でございますが、ここで副知事や助役などいわゆる長を補佐する機関のあり方についても、自主性・自立性が拡大しているという観点から論議がされているものと考えております。今回、県で行いました振興局の見直しの考え方の提案でございますが、この提案も産業振興という観点も持っておりますが、分権型社会の構築を目指すという中で、補完性の原理に基づいて、できるだけそれぞれの自治体の役割というものを高くしていこう。その中でこれからの地域、現下の地方制度改革というものを進めていこうというようなものでございまして、これはまさに今、地方制度調査会の方で議論していただいている地方制度改革の方向と軌を一にすると考えております。地方制度調査会の制度改革は、まだ残された論点があるようでございますので、今後、もう少し時間をかけながら、制度改革が具体化していくだろうと思いますけれども、そうした暁には、必要に応じてそういう制度について取り入れ、本県での地方分権の実現に向けた取り組みを一段と加速させていきたいと考えているところでございます。
 それから、地方自治法第10条第2項との関係でございますけれども、今回のこの見直しの考え方というのは、やはり県と市町村の適切な役割分担というものを前提に、全体として行政サービスの質の向上を目指すという考え方に立っているわけですが、その全体的な行政サービスの質の向上と言いましたときに、広い県土を有している本県の場合には、常に今までも議論がなされてきたわけでございますけれども、市町村合併の進展状況ですとか、あるいは地域産業の状況というのも、全県的に見ますと一律でない。産業についても、それぞれ産業ごとの特性があるという状況がございましたので、やはり全体的な行政サービスの質の向上というこの目的を実現していくために、今回の振興局の見直しにおきましても、やはり合併の進展状況を十分踏まえる必要があるだろう。それから、産業の特性なども十分踏まえる必要があるだろうということで、そうした実情、特性に応じたいわば段階的な見直し、そして柔軟な見直しということを進めることが、一律で画一的に全体を進めるよりも適切ではないかと考えまして、今回のような御提案に結びついたものでございます。
〇吉田昭彦委員 それでは、これからも地方分権推進の中でいろんな検討をされるのだと思いますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。
 そこで、部局個別の問題でありますが、2点ほどお伺いさせていただきたいと思います。
 アスベスト問題への対応についてお伺いいたします。アスベストによる健康被害については、クボタが工場近隣の中皮腫を発症した住民に見舞金を支払うことを発表したことを契機に、問題が顕在化しておるわけであります。環境首都構想を標榜する本県としては、こうした環境汚染の問題には敏感であらねばならないのは当然であります。これまでも使用建築物の調査やその対策、県民への情報提供などに努めてこられたものと考えます。
 そこでお伺いしますが、本県のアスベスト被害への対応や具体的な対策はどのように行われてきたのでありましょうか。また、現在も公共施設、病院、保育所、特別養護老人ホームなどの社会福祉施設等の実態調査が行われておると聞いておりますが、その調査結果と、それに係る対策はどのようになっておられるでしょうか。民間の住宅における心配も広がっておるようでありますが、その支援対策、また市町村に対する指導はどのように取り組まれておるのでしょうか、あわせてお伺いいたします。
〇竹内副知事 県内のアスベスト被害の対応や具体的な対策についてでございますけれども、健康被害が一般住民に拡大しつつあるという実態を踏まえまして、県といたしましても各種対策を講じております。具体的には、庁内の関係課や労働局等関係機関で構成するアスベスト問題連絡会議を8月1日に設置いたしておりますほか、アスベスト使用施設の実態調査を実施しております。また、各地方振興局、保健所における健康相談への対応を行っているほか、アスベストの使用が判明した施設について、施設の利用実態や飛散の可能性に応じて、その対策を示したガイドラインの策定を行いまして、必要な指導を行っております。また、アスベスト製品製造事業所のあった場所での濃度測定、除去工事における労働基準監督署との合同立入検査や濃度測定を行いましたほか、被害者救済のための支援体制の確立を、全国知事会などを通じまして、去る10月27日に緊急提言として関係省庁等に要望したところでございます。
 次に、県内の公共施設の実態調査の結果と、その対策についてでございますが、病院や社会福祉施設におけるアスベストの使用状況につきましては現在調査中でございまして、9月末時点で中間的に取りまとめを行いました結果、192施設で調査が行われ、そのうち10施設でアスベストが使用されております。飛散のおそれのある施設が5施設ございまして、このうち二つの施設が除去等の措置がなされておりまして、残りの三つの施設についても今後措置を行う予定でございます。
 それから、民間住宅につきましては、危険度の高い吹きつけアスベストは、規模の小さい戸建て住宅では通常はほとんど見られないものでございますが、その意味では危険性が低いと考えられておりますけれども、建材等に含有されている場合もありますので、解体や修繕の際に飛散するおそれもございます。各地方振興局では、建材の検査や処理の方法について地域住民の相談に応じているほか、住宅金融公庫のリフォーム融資制度について情報提供を行っております。また、市町村においては公共施設を中心に独自に実態調査を行っております。県では、アスベスト使用施設への対策を示したガイドラインを示したところでございまして、今後とも飛散のおそれのある施設について立ち入りの制限やアスベストの除去等、適切に対処するよう助言等を行ってまいりたいと考えております。
〇吉田昭彦委員 わかりました。
 それでは、もう一点お伺いさせていただきたいと思います。高校再編についてであります。県立高等学校整備計画は平成16年1月にマスタープランが公表され、その後、本年7月に成案として策定、公表されたものであり、その中で、新しいタイプの学校である中等教育学校、併設型中高一貫教育校やコミュニティ・スクールについても継続して検討することとされております。県は、これまでの連携型中高一貫教育校設置に係る効果をどのように把握し、今後の対応をどうされるつもりなのか。併設型の中高一貫教育校や地域から要望が出ております住田高校の取り扱いも含めてお答えをいただきたいと思います。
 また、新しいタイプの学校運営のあり方について、コミュニティ・スクールの可能性や課題等についての検討も進んでおると思いますが、どのような形になっておるか。知事のマニフェストにおいては、地域の人たちが自分たちで運営の方向を決定できるような新しいタイプの学校を設置しますとし、具体的な内容として、校長への人事権や予算要求権の付与、住民参加による校長の選考、学校運営委員会の設置を挙げております。
 そこでお伺いいたしますが、県が考えるコミュニティ・スクールのイメージはどのようなものなのでしょうか。小・中学校のみならず幼稚園や高等学校を含めたものとして考えているものなのか、県の取り組み方針とあわせてお伺いいたします。
〇増田知事 高校再編についてでありますが、まず、連携型の中高一貫教育は軽米地域と葛巻地域で実施をしてきたわけでありますが、そこでの成果を見ますと、英語、数学などの授業を、高校の先生が中学校へ出かけて中高の教師が一緒に行うということで、生徒たちの学習に対する意欲が増しているといった成果がございますし、また、双方での交流会を通じて中学生と高校生の相互理解が深まる。そして生徒指導上の問題が減少するなど、学習面、生徒指導面の両面で成果が見られたと聞いております。この連携型についても、来年度以降にならないと高校の卒業生がまだ出てこないという、今、中途の段階でございますので、そういった高校卒業生が出る段階で、この6年間の成果と課題をしっかりと検証した上で、今後のあり方を考えていきたい。
 もう一つ、併設型の方でございますけれども、これについては岩手県新しいタイプの学校に関する検討委員会というものを発足させまして、これは9月に発足したものでございますが、ここで本県にとってどのようなタイプの学校がふさわしいかについて、今、議論をしているわけでございます。この検討委員会で住田町の提案についても検討されていると聞いております。また、これについては来年の3月までにこの検討委員会からの答申が予定されているとも聞いておりますので、その答申を受けて、来年度中にこの新しいタイプの学校についての設置方針を明らかにしていきたいと考えております。内容については、今後、そこで十分な検討がなされると考えておりますが、その設置方針を来年決めた後、2年間の準備を経て、21年度にこうした併設型の中高一貫教育校を開設、これが今の県のスケジュールでございます。
 コミュニティ・スクールでございますが、これは地域の声を学校運営に直接反映させて、保護者、地域、学校、そして教育委員会が一体となってよりよい学校をつくっていこうということを目指しているもので、これについては本年度から岩泉小学校と岩泉中学校で調査研究というものが行われております。2年間でこの成果というものを十分に評価したいと考えているわけでございますけれども、県は現在、学校評議員の設置や外部評価といったようなもので開かれた学校づくりを推進しておりますので、こういったことがコミュニティ・スクールの趣旨に沿った取り組みと考えているところでございます。このコミュニティ・スクールですけれども、小・中学校を初め幼稚園、高校などすべての公立学校に導入可能ということになっておりますが、とりわけ地域に密着している小・中学校が最もふさわしいのではないかと考えておりますので、今後、地域の実情、学校の実態などを十分踏まえて、各教育委員会で積極的に取り組んでいただきたいと考えておるところでございます。
〇吉田昭彦委員 丁寧な御答弁をいただきました知事以下、本当にありがとうございました。あとの残時間は同僚の千葉康一郎委員に譲りたいと思いますので、よろしくお願いします。ありがとうございました。
〇佐々木博委員長 次に、千葉康一郎委員。
   〔千葉康一郎委員質問者席に着く〕
〇千葉康一郎委員 民主・県民会議の千葉康一郎でございます。きょうは、先輩の吉田昭彦委員から少々時間をいただきましたので、引き続き質問をさせていただきます。
 それでは、まず最初に地方公共団体に対する国の過剰関与の問題について伺いたいと思います。平成16年度の予算委員会において、我が会派の佐々木一榮委員からの質問に対しまして、知事から、国の過剰な関与などをやめさせるために全国知事会の中に国の過剰関与等撤廃研究会を立ち上げ、国に対して撤廃運動を展開していきたいという旨の答弁がございました。私もこれまで国の地方自治体に対する過剰かつ不必要な関与などが数多く存在していると思っておりましたから、さまに当を得た取り組みだと感じたところでありました。過剰関与の一例を挙げますと、保育所には調理室の設置義務があったり、あるいは幼稚園の空き教室を保育室に利用することはできないといったようなことで、自治体の事情や工夫などといったことは一切取り入れられないようになっておりまして、憲法で保障した地方自治法の本旨である団体自治と住民自治の目的が阻害される要因ともなっているのであります。平成12年の地方分権一括法の施行により関係委任事務制度が廃止され、地方の主体性が高められたのでありますけれども、現状では法定受託事務、自治事務を問わず法律や政省令、さらに通達や通知などによって、地方公共団体の自主性・自立性を制約し、実質的に国が関与できるようになっているのであります。
 そこでお伺いしますが、知事はこの研究会のメンバーの一人として、昨年度の予算委員会の中で16年9月ごろまでには具体的な提言をまとめたいと答弁されておりますが、その後の経過や取りまとめられた提言の内容、そしてまた国に対しての運動の成果等についてをまずお伺いしたいと思います。
 また、あわせまして、本県においても県内市町村に対する県の関与はあるのでしょうか。ある場合は、その関与の改善をどう進めているのかをお伺いいたします。
〇増田知事 まず、国の過剰関与の関係でありますが、これについては、今、委員からお話がございましたとおり、16年2月に研究会を発足させて、7月の全国知事会で提言としてその取りまとめを報告したということでございます。その中では、大きく四つの提言を行い、具体的な24事例を示して取りまとめをしたわけですが、その提言の内容はさらに8月に地方六団体がまとめた国庫補助負担金等に関する改革案の中にも20項目ほどに整理をして盛り込んだところであります。しかし、その後、国との関係で言いますと、過剰関与の撤廃について、私どもで提言した内容については各省庁からゼロ回答のものが大変多かった、ほとんどゼロ回答に近いという状況でございます。したがって、現在、全国知事会の中で発足をいたしました地方分権推進特別委員会というものがございますが、この中に新たに国の過剰関与問題小委員会というものを設置して、そして国の過剰な関与、規制についてさらに詳細に調査を進めているという状況でございます。当然、市長会、町村会からもいろいろ協力をいただきながら、国の過剰関与問題について調査を進めておりまして、近々にまたこちらの方についても提言をまとめていく考えでございまして、さらにこれを再度また国に、政府各省庁にぶつけて、そしてこの撤廃に向けた取り組みを推進していく考えでございます。
 それから、県内の市町村との関係で県はどうかという御趣旨の質問でございまして、県と県内の市町村の間では、これは当然のことながら、過剰な関与にならないように十分な意思疎通を図る必要があるわけでございまして、市町村と県とは対等の関係だという地方分権改革の理念に基づいて一層良好な関係を維持していかなければならないと思っております。今、市町村からの要望などにおいて、県による過剰な関与の事例は特に把握はしておりませんけれども、しかし、こうしたことについて常に気をつけ、心がける必要がありますので、今後とも市町村と対等な関係、そして良好な関係の維持構築に努めていきたいと考えております。
〇千葉康一郎委員 地方自治体の主体性を高めるためにも、関与の撤廃等には一層努力をいただきたいと思います。
 次に、市町村の提言、要望に対する県の対応について伺います。
 毎年、県の予算編成時期になりますと、県町村会等から知事に対して県予算編成並びに施策に関する提言書といった要望書が提出されておるところであります。県政の発展は、ひとり県の施策だけではなく、市町村の施策と両々相まってこそなし得るものと考えます。県が実施している県民意識調査の結果におきましても、県の施策ばかりではなく市町村の施策いかんが満足度の結果にあらわれるものと思うのであります。
 そこで、住民に最も身近な市町村との意思疎通や連携を非常に大事にされておられる知事は、この提言や要望をどのように認識され、また、対応されておられるのかをお伺いいたします。
〇増田知事 先般も県の市長会、町村会の方から来年度予算の編成に向けて要望書、提言書をちょうだいいたしました。特に住民のニーズを的確に把握できる立場にある町村でございますので、そうした町村からの具体的な提言については、県と市町村との関係を一層強化する上でも大変重要なものと認識をしております。そうした提言書については、もちろん私も直接重点項目について御説明をお伺いしているわけでございますけれども、各部局長にも、その内容について詳細に検討するように指示をしているところでございます。これについては、県として、当然、提言における要望の趣旨に沿って事業化や制度化に向けた検討を行うなど、可能な限り県政に反映するように今後も努めていくもの、そういう提言書と理解をしているわけでございますが、県、市町村を通じた財政環境も大変厳しい状況でございます。また、この状態がここ当分続くということが考えられますので、やはり事業評価を行うことによって、いただいたものの中でも事業の優先度というものを的確につけながら、そして優先度を評価しながら、要望の実現に向けて取り組んでいきたいと考えております。
〇千葉康一郎委員 県内の市町村の発展が即県の発展ということになろうかと思いますけれども、先ほども吉田昭彦委員の方からも話がありました県内の格差の解消等々を進めていかなければ、県の均衡ある発展はないだろうと思っているところでございます。そういう意味で市町村の提言、要望というのは非常に大事なものだと思っておりますので、これらには十分こたえていかれるように知事にお願いを申し上げたいと思います。
 時間もなくなりましたので、最後にもう一点、本県の農業振興について伺います。
 知事はこれまで、第1次産業を21世紀の本県のリーディング産業として強固なものにしていくということを何回も答弁されておられますけれども、なかなかその成果が見えてこないようであります。成果が見えてこないというか、その内容が県民に伝わってきてないのであります。本県は全国に誇る総合食料供給基地としての農業県を標榜しておるわけでありますけれども、知事は現在の農業の実態をどう認識されておられるのでしょうか。また、本県農業の振興には何が一番重要だと考えておられるのか。そして、今後どのように進めていかれるお考えであるかをお伺いしたいと思います。
〇増田知事 農業についてでございますけれども、まず、農業を産業としてとらえた場合の認識でありますが、これは岩手らしさとか岩手の地域力を一番発揮できる有望な産業にしていかなければならない、それが農業であるととらえております。特に食料産業などの関連産業との連携によって、さらに高い経済波及効果や雇用の場としても有望な場でございますので、本県が経済的な自立を目指す上で基幹となるもの、産業の振興の大きな柱の一つと受けとめております。
 今後の農業振興の考え方ですが、これについては、一つは担い手育成、二つ目は適地適作を基本とした農産物の生産拡大に取り組む。3点目は、多様な流通チャンネルを開拓して、消費者に岩手のいい農産物を安定的に届ける仕組みづくり、この三つが一番の基本だと思いますが、とりわけその中でも一番初めに申し上げました担い手の育成に最も力を入れていくべきと考えております。これは経営体質を、今までの生産よりもむしろ経営という観点を重視した体質に改めるという上でも、やはり担い手の意識というものが大変大事でありますし、また担い手の経営感覚というものも大変大事でありますので、この担い手の育成に今後最も力を入れていきたい。今、県内各地域で集落ビジョンをつくったわけでございまして、その集落ビジョンで明確化された担い手像というものがございますので、この担い手を主業型の農家に育成していくということと、もう一つの柱としては、集落営農組織というものをその中で取り入れておりますので、こうした集落営農の組織化にも精力的に取り組んで、担い手の強力な育成策を今後進めていきたい、この点について一番力を入れていきたいと考えております。それ以外、今申し上げました生産拡大ですとか、多様な流通チャネルも大変大事でございますので、こちらについても、特に安全そして安定的にそうしたものを生産するような観点で、多様な仕組みづくりなども積極的に取り組んできたいと考えます。
〇菊池勲委員 委員長にお願いしたいんだけれども、民主・県民会議が決算のスタートで、今終わったところですよね。10時から始まって、ちょうど12時を過ぎた。与えられた時間は35分と聞いておったんだけれども、そして答弁がこれでちょうど2時間で、35分の質問が終わったということになる。少なくても質問する35分に対して5分や10分延びても結構なんだけれども、もう1時間半も使うような答弁では、これから決算は長丁場でありますから、余りにも時間がかかり過ぎるんじゃないかと思うんだけれども、これは当局に委員長の方から、もう少し答弁を短く、簡潔な答弁をするように御指導を賜りたい。お願い申し上げます。
〇佐々木博委員長 10時から開会したわけでありますが、一番最初に決算の内容の説明がありましたので、かっきり2時間かかったわけではありません。しかしながら、答弁が若干長いという印象を私も持っておりますので、答弁者の方にはもう少し手短に、簡潔に御答弁いただくように、午後からの審議ではよろしくお願いを申し上げる次第であります。
 それでは、この際、昼食のため午後1時まで休憩をいたします。
   午後0時3分 休 憩
 
   午後1時3分 再 開
〇佐々木博委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。小野寺研一委員。
   〔小野寺研一委員質問者席に着く〕
〇小野寺研一委員 自由民主クラブの小野寺研一でございます。
 6項目にわたって知事並びに副知事にお尋ねをしてまいりたいと、そのように思います。
 午前中の質疑を聞いておりましたが、重複するところたくさんございました。考えるところ、そんなに違わないなという感じでございますが、どうかひとつその辺を御理解いただいて、幅広く御質問したいと、こう思うので、恐らく目を通していただいて、そのことにはまた別な角度から回答がいただけるものかというふうなことでございますので、そのとおり通告に従って質問をしてまいります。
 まず、大きく1番でございますが、知事の県政運営についてということでお尋ねをしてまいります。
 増田知事就任3期目の平成15年の6月、岩手県行財政構造改革プログラムの骨子が発表され、従前どおりの財政運営を続けた場合、平成15年度から18年度までの4年間に1、750億円の財源不足が見込まれると、こういう発表がございました。プログラムでは、1、750億円の財源不足を解消して新たな政策推進枠200億円、いわゆる政策形成プロジェクト予算の仕組みを創設、単年度50億円の財源を投入することとしたということでございますが、さらには、従来の総務部主体の予算調製のやり方を見直し、原則として、すべての経費についてあらかじめ各部局に財源を配分し、各部局が自己決定、自己責任の考え方のもとに、主体的に予算調製を行う方法を取り入れたとのことでございました。
 こうした増田知事の意向が色濃く盛り込まれた行財政構造改革プログラムも、最終18年度を残すのみとなったところでございます。そこに、平成19年度以降22年度までのあらあらの収支見通しの結果が、前回を上回る2、354億円の歳入歳出ギャップという発表がされたところでございます。
 知事を先頭に、職員の方々、大変多くの努力を重ねてまいりました。また、県民に対しても痛みのあるお願いまでしながら、地域再生の取り組みを進めてきたところでございますが、このことに関しては相応の評価をするところでございますけれども、水が逃げ水といいますか、川が流れるごとくゴールにたどりつくことがなかなか、後を追ってはゴールが遠ざかっていく、あるいはゴールにたどりつかない、そういうふうな状況であると私は思っております。これでは、県民は不安あるいは不満そして我慢も限界ということになるのではないか、そんな心配をするところでありまして、今後、公共事業削減への対応、それから出資法人対策、岩手競馬の対応と決断など、数多くの課題を解決していかなければならないというふうな感じが強くするわけであります。
 そこで知事にお伺いをいたしますが、知事就任以来、平成16年度までの10年間の取り組みについての総括と、かかる事態の中で、残された任期で多くの課題にどう対処していくお考えなのか、ぜひともお伺いをいたしたいと思います。よろしくお願いいたします。
〇増田知事 これまで、地方分権の大きな流れの中で地域の自立性とか自主性を高めることを目指して、情報公開そして県政への住民参加といったようなことを進めてまいりました。また、市町村総合補助金の創設といった市町村の足腰を強化するような取り組みを進めてまいりまして、総じて、総合行政が推進できる仕組みづくりということに取り組みますとともに、各種の社会資本整備、県立大学を初め、新幹線など、各種の社会資本の整備も一方で進めてきたというところでございます。極めて危機的な財政状況に立ち至ったということもございますので、これを立て直すべく、県の行財政構造の抜本的な改革に今取り組んでいるわけでございまして、そうした上で、施策のより一層の選択と集中で、まず40の政策に掲げた目標を確実に達成していくと、そして地域経済の再生に向けた確かな戦略を打っていきたいと。自動車関連産業もそうですし、農林水産もそうですし、観光もそうです。とにかく、地域特性を生かした産業振興を進めていくことが、今後残された課題というふうに思っております。同時に、競馬の問題や出資法人の見直しといったようなこともございますので、こうしたものの解決に向けて確かな道筋をつけるということが大事でございまして、こうした現在の行革プログラムの達成に全力を挙げる決意でございます。
〇小野寺研一委員 いろいろ大変な御苦労をされてやっていかなければならないというようなことで重々認識をいたします。特にも、この間競馬議会が開かれまして、その内容がある程度紙面にも発表されたところでございますけれども、いろんな形で盛岡市あるいは水沢市あるいは首長、そのほかに議会も案外意思の疎通がされていない、情報の交換が、あるいはお願いがされていないというふうなこともお聞きもいたします。漏れ承ってまいりました。そういうふうなことも、一つのボタンのかけ違いがこれから大変なことになっていくというおそれもございますので、ひとつ知事におかれましては、その関係の皆さんによく説明をされて、そしてある程度の理解を得る、そういうことに全力を挙げていただきたいと思うところであります。
 それから、大きく2番でございます。
 平成16年度決算を踏まえた課題とその対応策について。
 それには小さく二つございまして、まず一つには、平成16年度歳入歳出決算説明書による決算規模の推移を見ますと、歳入決算は、平成12年度9、723億円余に比較し平成16年度決算は7、986億円余と1、737億円の減、率にしましてマイナス18%弱となっております。歳出決算で見ても、ピークであった平成13年度の9、449億円余から16年度は7、856億円余と1、593億円余の減、マイナス約17%弱となっております。この歳出決算額は、平成5年度の7、850億円とほぼ同額でございまして、10年ぐらい時計が逆戻りしたといいますか、知事がちょうど就任をしたその初年度と同じぐらいの感があるわけでございます。
 そこで、まず平成16年度決算を踏まえて、県財政が抱える課題とその対応の方向性についてひとつお示しをいただきたい、そのように思います。
〇増田知事 16年度決算ですけれども、これは実質収支が34億円の黒字決算と、こういうことでありますが、その内容は、基金の取り崩しそして借換債の発行など、いわゆるやりくりなどによって生み出した黒字でございます。もはや基金の取り崩しや、借換債の発行などの特別の財源対策といったものについては、ほぼ限界に近づいてきていると、このように認識をしておりますので、来年度当初予算の編成とあわせて、現時点でできる19年度以降のあらあらの収支見通しを行って、それに基づいてできるだけこのやりくりに頼らない、実力ベースの歳入規模に見合った歳出構造に切りかえていかなければならないと、こういう思いで先般19年度以降の収支見通しを出しました。その前提のもとで財政構造の抜本的な転換をなし遂げていきたいと、このように考えております。
 対応の方向ですけれども、まず、当面は来年度当初予算編成が大事でありますので、これを進めていくわけでございますが、現行の行財政構造改革プログラムに基づきまして、自立と構造改革の仕上げの予算と、こういうことでやっていきたいと思います。
 19年度以降は、さらにもっと抜本的な見直しが必要になりますので、先ほど別の御質問のときに申し上げましたが、県の組織や職員体制、この大幅な見直しが必要になってくるだろうと。それから、事務事業の徹底した見直しも必要になる。スリムで効率的な体制を構築して総人件費の抑制に努めるとともに、公共事業費などにつきましても、縮減などを図ることによって歳出削減に取り組んでいきたいと、このように考えております。
 早期に19年度以降の財源不足についてポスト行革プログラム、現在の行革プログラムの次のプログラムの策定作業に着手をして、その中でこうした財源不足の解消策に努めていきたいと、このように考えております。
〇小野寺研一委員 この間ある市町村の首長さんたちと会いました。あと5年間ぐらいで20億円ぐらいの財源不足を生じます、予算編成を組むのに大変でございますというのが、恐らくこれから自立していこうというときに、町村のそういうところには喫緊の課題ということになるだろうという感じを強くしたわけでございまして、そういうふうなことにもやはり思いをして、自立して人口がどんどん減っていくというのが見えた形でもなお自立していっていいのか、そういうこともひとつ知事部局、大いに検討されて、そしてこれからの御苦労をよろしくお願いを申し上げたいと、そのように思います。
 決算についての小さい2番でございます。
 県、市町村においても、財政は今申し上げましたとおり大変厳しいものがあるんです。出るを制して苦しみを共有し、少しでも健全財政に近づけようと懸命の努力がされているところでありまして、そのような中で今般、地方振興局の再編を行おうとしているわけでありますが、どうもなかなか私には思うようなイメージがわいてきません。財政健全化にどのような効果を、あるいはむだを省いてスリムになって、県庁をもう少し効率のいいものを何とかこしらえ上げていきたいということも恐らくあるんだろうと思いますが、果たしてこの改革、再編が県民の利益につながるものかどうか。これまでの地方振興局が果たしてきました実績を踏まえて、ぜひ御説明を願いたい。
〇増田知事 地方振興局ですけれども、できるだけ県民に身近なところで行政を行いたいという観点から、各種の出先機関がありましたが、あれを統合してそれで行政を出先で展開をしてきたと。その中で、振興局の武器として地域活性化事業調整費、それから市町村総合補助金といったようなものを武器にして、地域でそれぞれ個性ある地域づくりというものにこれまで取り組んで一定の成果を上げてきたと、そのようにとらえているわけですが、12の地方振興局という体制でこれまでずっと来ましたので、やはり本庁でその地方振興局間の調整を行うと、本庁による調整の比重が相当程度高くならざるを得ないと、そういうことがございまして、また、地方振興局の業務そこだけで完結できるような完結性とか予算権限の付与ということが十分でなかったということもございました。特に、総じて見ますと、産業振興などの今後特に県として主体的に取り組んでいかなければいけない、そういった広域的な視点での取り組みが十分でないといったような分析をしております。一方で、本県も少子・高齢化が予測以上に進行している結果、1人当たりの生産性を相当高めないと今後いけないと、県民生活への影響というのが懸念をされるわけでありますので、今後、県として、産業振興を強力に進めて全体として税収の確保をさらに図っていくと、そして、そのことを通じて、財政の健全化を実現していくことが大変重要だというふうに考えております。
 県体制自体も相当スリム化をするということで、知事部局全体で4、000人体制を目指すということですが、そういう、いわば人件費大幅削減のための努力も行っていきますが、一方で、こうした産業政策を強力に打つといったようなことで、総体としての財政の健全化にも寄与していきたいと考えております。
〇小野寺研一委員 各地方振興局それぞれがそれぞれの役割を果たしてまいったと、私もそのように思います。ですから、余り統合とか何とかじゃなく、これは市町村合併で一つの市を形成したところはまた別でございます。私はどっちかと言えば、九つなり八つなり、そういうふうなので十分存続をさせていいのじゃないかなと。余り統合して地域の要請といいますか要望といいますか、そういう政治課題あるいはいろんな課題が低下していくというふうなことがあってはならないと、そんな感じがしますので、その辺も十分御検討されて対応していただきますようにお願いを申し上げたいと、そのように思います。
 大きく3番でございます。
 国と一体となった財源確保の方策、こういうことについてでございますが、歳入決算のピークは平成12年度の9、723億円余でありましたが、内容を見ると、地方交付税が過去最高額の2、937億円余と全体の30.2%を占めていたところ、平成16年度は2、381億円、556億円の減となってまいりました。平成16年度当初予算編成時において、国の地方財政対策により大幅な交付税削減が示された、いわゆる交付税ショックと呼ばれるものがありました。平成19年度以降のあらあらの財政収支見通しの説明の際にも、この交付税ショックの影響を引き継いでいるとの説明があったところでありますが、一方、国庫支出金はといいますと、ピークの平成6年度が2、296億円余、歳入全体の27.8%を占めていたものが、16年度は1、334億円余、16.7%と962億円の減。三位一体改革で補助負担金を削減して地方に税源移譲というが、国庫支出金だけで1、000億円近く減少しており、平成17年度9月現計予算で見ますと1、184億円と、ほぼ半額であるような感じでございます。
 本県は、まだまだ社会資本の整備や地域活力の維持・向上を図るための投資が必要であると思われますし、しかも、安全で安心な食料を生産し首都圏などの消費者へ届けていること、また、首都圏の企業などにも実直で優秀な労働力を数多く供給もしております。
 今後も、本県が安全・安心な食料の供給基地としての役割や優秀な労働力を供給していくためには、生産基盤の整備、低コスト化を進めていくための条件整備、そして担い手の育成確保や教育環境の維持などが必要であると思われます。そのためには、地方交付税や国庫支出金は欠かせない財源であると思います。普段、知事が言う、国に頼らないあるいは地方の自立という観点だけでは、こうした財源はなかなか確保するのは難しいのではないかということも考えられます。
 日本全体の中で、地方が果たす役割をきちんと評価してもらう必要があり、意見、提言、国に対しての要望、いろんなことが考えられますが、例えばブロイラー生産が実質日本一の本県において、鳥インフルエンザが万が一、生産者が集中する県北地区で発生した場合、この防疫対策に万全を期すことや、安全な生産体制の整備は欠かせないものである。そして、結果として、ひとしく国民のためになるものであると考えます。これ以外にも、もっと重要な役割を担っているものが数多くあるに違いないと、そのように思うわけであります。単に、財政面から見た持続可能性や経済効率追求のみに基づく歳出削減では、地方が一方的に切り捨てられるおそれがありますので、国の財政再建の観点から、一方的な歳出削減が進められ地方の切り捨てとならないよう、国との一体感あるいは車の両輪論を確立して、所要財源の確保がなされるようにぜひ努めていただきたいと考えておりますが、知事の考え方をお尋ねいたしたいと思います。
〇増田知事 財源確保の考え方ですけれども、まず、国と地方の間を見ますと、最終の支出ベースですと、国と地方、国が2に対して地方が3支出をしていると。一方で、税収の方の比率を見るとちょうど逆転して3対2で、国の方が税収が3、地方が2と。まさにこの間、この大きな乖離、ギャップを補助金や交付税などで補てんをしているわけですけれども、補助金などという形でなくて本来地方に税源移譲をして、それで地方の裁量のもとで行政が展開できるようにしていくべきだと、そういうことで、今、三位一体改革などに取り組んでいるわけです。しかし、全部を地方に税源移譲すればいいというものではなくて、今委員からお話がございました、例えば鳥インフルエンザなどのような問題、都道府県の区域を越えて国全体で対策を講じなければいけない問題などというものについては、当然国と施策の遂行を協力する必要がありますし、必要な財源についても、国でしっかり確保するように働きかけていく必要がございます。また、自治体間で財政力の格差もありますので、それを調整するという今の地方交付税制度、それもその根幹をしっかりと維持して財源確保を図っていかなければならないというふうに思います。これについても、今後、必要な努力をしていきたいと思います。
 とりわけ、総じて都市部の課題対応ということに全体として政府が偏重するということになりますと、これはまた国全体のそれぞれの地域の機能が維持できなくなる、特に地方の機能の維持が非常に困難になるということになりまして、これまたいびつな形になりますので、特に今委員が最後にお話しされたような問題、地方の課題解決、これに政府全体として積極的に取り組むように働きかけていきたいと、このように考えております。
〇小野寺研一委員 それでは大きく4番にまいります。
 自立した地域社会の形成ということについて、小さく3点ぐらいで御質問をしてまいります。
 まず、第1点の重点配分の成果と今後の重点化の方向性、これについてでございますが、平成16年度は自立アンド構造改革元年予算ということで重点分野を絞り込み、40の政策推進として県民ニーズが高い、まず一つ、地域産業活性化策の大幅な強化による新たな産業と雇用の創出、二つ、次代を担う人づくりの教育の充実、三つ、県民の暮らしに一層の安心・安全を、四つ、青森県境事案など産業廃棄物対策の着実な推進とクリーンエネルギーの利用拡大の4項目に予算が重点配分をされたというふうに認識をします。これに対し、政策評価レポート2005は、評価項目総括表を見ると、平成18年度の今後特に注目すべき分野とこれら四つの重点分野がほぼ一致し、なおかつ、平成17年度当初予算もほぼ同様の重点化措置が図られているというふうに見受けられます。見ようによっては、16年度の重点化措置は期待したほどの成果が出なかったのではないかと。それとも、今後も引き続き重点化措置の分野として、これらの分野を推進していこうとするものなのか、私は整理が必要だというふうに考えます。厳しい財政状況が見込まれる中、事業の成果が早期に発現するよう、戦略的な施策の推進及び事業立案が望まれるところであります。また、政策形成プロジェクト予算や各部局調整事業の内容精査がより詳しく行われる必要があると考えます。
 そこで、平成16年度のこれら4分野への重点化措置の実績と成果、今後の重点化の方向性、政策形成プロジェクト予算の編成の考えなど、限られた財源をいかに戦略的に配分していくのか、これについての知事の所見をお伺いしたいと、このように思います。
〇増田知事 16年度当初予算で今お話のとおり、四つの重点分野を特に重点的に取り組んだわけでありますが、それぞれ一定の成果がその中で得られたというふうに私ども分析をしておりますけれども、これが17年度予算でもそのまま継続されているものがございます。人材育成など、すぐに効果が発現しない、すぐに効果があらわれるものではなくて、やはり中長期の取り組みが必要なものもございますし、また、県民ニーズの大変高い分野というものが引き続き重点化をする必要があるだろうといったような判断で、また、人材育成といったものにも、あるいは災害への万全な備えといったようなものもそのまま17年度の重点分野としたものでございまして、そうした事業の効果それからニーズといったものを多様にとらえて、それぞれ年度ごとに重点分野を設定していくということでございます。
 18年度は40の政策の最終年度でございますので、ここに掲げた目標の確実な達成ということを考えなければいけないと思っておりますので、今後の予算編成作業の中で、そうした意識で重点分野を設定していきたというふうに考えておりますが、特に政策形成プロジェクト予算というものがございますが、この編成に当たりましては、現在の本県の取り巻く状況というものを踏まえて、特に人口減少、少子・高齢化時代に対しての数々の諸問題が生じておりますので、これへの対応、それから広域振興圏ごとの産業振興といったものに特に重点的に取り組むことで今考えております。詳細はまたこの予算の編成作業の中で特に検討を深めて、そして重点目標を明確に設定していきたいと、このように考えております。
〇小野寺研一委員 小さく二つでございます。
 公共事業に依存しない地域経済への変革と公共事業の重点化についてということでございますが、16年度の公共事業は前年度に引き続き同率15%の削減、行革プログラムの目標であった30%が達成をされたところであります。これは、ハードからソフトへの転換を図っていく、県民ニーズの高い分野へ重点的に財源を配分していくためのものであり、平成4年度から国の景気対策に呼応して、前倒し実施をいたした約1兆円の投資により整備された社会資本を活用して、本県の持つ技術や人材、それから地域の創造、工夫を生かした新たな産業の育成・創造により、公共事業に依存しない地域経済への変革を進めるものであったと理解をしております。
 そこで、公共事業に依存しない地域経済への変革を進めていくためにどのような課題があるのか、また、課題解決に向けての方向性はどのようになっているのか、お伺いをいたしたいと思います。
 また、今後、公共事業が縮減されていく中で、前倒し1兆円の成果を踏まえ、事業の効果的な導入をどのように進めていくのか、重点化の視点でお願いを申し上げます。
〇増田知事 今後の産業政策の方向でありますけれども、本県の基幹産業であります製造業と農林水産業、それから経済波及効果の大きい観光産業それぞれにこれを強化して、いわゆる県外からの外貨を獲得できる産業、持続的・安定的に外貨を獲得できる産業に育成をしていきたいと、このように考えております。
 製造業の振興策としては、自動車を中心としたものづくり産業を集積させていきたいということと、それから、産学官連携でさまざまな新技術開発に今取り組んでおりますので、こうしたものを製造業に積極的に取り入れていくような方向。
 農林水産業については、担い手像を明確化するとともに、農林水産物のブランド力を強化していきたいと、そして食産業として育成をしていきたいと。
 観光につきましては、一つは、平泉を中心に世界遺産登録による観光産業を育成したいということと、あとは、広く県内各地域でグリーンツーリズムなど地域資源の有効活用、それから関係者の連携強化と、こういったことを進めていきたいと考えております。
 こうした産業振興を推進する上では、どうしてもそれを担う産業人材の育成ということも不可欠ですので、これについては、またそちらの面で人材の育成に努めていきたいと思います。
 公共事業の重点化ですけれども、これは平成4年から14年まで、大体10年ぐらいの間にかなりの前倒し事業執行を行ってまいりました。全体としては1兆170億円ほど前倒しで事業執行をいたしましたので、整備率も相当程度大幅にアップをしております。こうした整備されたものの維持管理、それを適切に行うということによりまして、既存ストックの有効活用を一方で図るということと、それから、今年度予算からは部局を超えた公共事業の重点化ということに取り組んでまいりました。選択と集中のその一環であるわけですけれども、その公共事業分野を大きく、快適それから安全、農林水産基盤、高速交通、地域交通、大くくりで5分野に分類をして、その中で県民ニーズなどを踏まえて安全分野などを重点化したところであります。
 平成18年度も、今委員お話しのとおり、全体的には選択と集中をより一層強めていかなければならないと思っておりますので、今、中でいろいろ各分野ごとの動向を検討しておりますけれども、そういう分野間の重点化ということにもより取り組んで、一層効果が早期に出現するように努めていきたいと、このように考えております。
〇小野寺研一委員 30%を2年にわたって削減がされてまいりましたが、業界は悲鳴を上げていると、実質50%も削減されたような気分でいるというふうなことで、非常に元気をなくしているところであると、私は感じました。そういうことも含めて、業界あるいは関係の皆さんの意見あるいは提言など、よくひとつお聞きをいただいて、いいアドバイスをしながらこのことへの対応をぜひお願いをしたいと、そのように思うところであります。
 それから小さい三つでございますが、中山間対策ということについてであります。
 公共事業の縮減や国庫補助金の半減については先ほど述べたとおりでありますが、今後も一層厳しい状況が予想されます。こうした状況の中で、国あるいは県の施策の進め方について、もっと効果的なやり方があるのではないかと私は思うのであります。
 例えば、本県の中山間地域は県土の約8割を占めて、県民の約半数がこの地域で生活をしています。農業面では、農家数、農業従事者数及び耕地面積のそれぞれが全県の約6割、農業産出額は約7割となっているところでございまして、まさに県民の暮らしと命を支えているものと、私はそのように認識をいたしております。この中山間地域の農業生産活動などが継続的に行われ、洪水の防止、水源の涵養、自然環境の維持などの多面的機能が確保されるよう、国で平成12年度に中山間地域等直接支払制度が始まり、平成16年までの5年間に、約150億円余が県内市町村を通じて交付をされたところであります。単年度当たりにしますと、約30億円となっているところであります。
 公共事業の縮減や国庫補助金の削減が一層進む状況が見込まれる中にあって、まさに自立した地域社会の形成を目指すための貴重な財源となるものであり、これらを活用して、ハードからソフトへの転換をいかに効果的に結びつけ、成果につなげていくかが問われるもので、単に交付金を地域に流すだけというものではないはずであります。一方、中山間地域の農業者、地元市町村だけでは成果に結びつける取り組みを実施するには、おのずと限界があるものと思われます。そこで、国、県の各種補助制度等と効果的に組み合わせることで、より高い成果が生まれるのではないかと考えます。
 そこでお伺いしますが、平成12年度からスタートした中山間地域等直接支払制度によるこれまでの取り組みの成果についてお示しを願いたいと思います。
 また、県は、中山間対策について、県総合計画に中山間地域活性化プロジェクトを掲げて取り組んできましたが、この交付金の活用を通じて、本県の中山間地域の活性化を図る、効果的に進めていく必要があると考えるが、いかがでしょうか。
 それとあわせて、緑資源機構による農林一体の整備を進める特定中山間保全整備事業は、森林整備が50%、農用地等整備が55%の補助が導入できるものであります。県北の2市1町が、この制度を活用して地域活性化を図ろうとしているわけでありますが、こういうことに、県は財源の活用策についても積極的に検討を行い国へ要望していく、あるいは国への調査へ許可を与えるというふうなことを考えていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
〇竹内副知事 中山間対策でございますが、直接支払制度は、平成16年度まで県内56市町村において取り組んでおりまして、農業生産活動に取り組んだ協定数1、450協定、参加農家数2万5、004人、協定締結面積1万8、358ヘクタール、16年度の交付金額は30億8、000万円強となっております。その結果、協定集落では130ヘクタールの耕作放棄地の復旧を行いますとともに、農作業受託面積、農用地の利用権設定の面積が協定前に比して1、505ヘクタールふえて、担い手農家への農地集積が加速化され、集落営農化が進んでいるというふうに認識いたしております。また、野菜、花卉などの高収益作物の導入が70ヘクタールに及んでおりまして、直接支払制度の運用によって地域農業所得の向上が図られております。さらには、農業体験を通じた都市農村交流、景観整備・保全活動に加え、大豆や野菜、雑穀等の地域特産物の高付加価値化に向けた新たな農産加工、産地直売の起業化に向けた取り組みが活発化してきております。これらは、いずれも直接支払制度に誘発された住民参加による集落活動の成果と受けとめております。
 総合計画における中山間対策についてでございますが、計画の中に位置づけてあります中山間地域活性化プロジェクトは、中山間地域のさまざまな不利な条件のもとになっている地域の壁を乗り越えて、みんなで支え合うという視点に立って、豊かなふるさとづくり、活気に満ちた地域産業づくり、都市と農山漁村との多様な交流、公益的機能の維持・増進の取り組み、こういったことを進めることとしたものでございます。
 一方、これを実現するための手法の一つとして取り組んでいるのが、この中山間地域直接支払制度でございまして、何よりも集落の将来についての話し合いの中から新しい取り組みを生み出し、地域の潜在力を引き出して地域営農活動の活発化を誘導してきたもので、総合計画の施策を実現化する上で、大変大きな効果を発揮してきたというふうに認識しております。したがいまして、今後におきましても、中山間地域等直接支払制度を活用して、地域の活性化を図ってまいりたいと考えております。
 それから、特定中山間保全整備事業についてでございますが、昨今の厳しい財政環境の中にあって、地元負担の少ない、緑資源機構等の直轄の事業導入を図ることも財政上の一つの視点であるというふうに認識しております。
 委員御指摘の、県北地区において構想されている特定中山間保全整備事業につきましては、農地利用集積や畑地化など、地域の農林業ビジョンを地元自治体が地域の方々の合意の上に策定することが大切でございまして、今後、そうしたことに対する支援を含め、必要な調査について国に要請していくよう、状況を整えてまいりたいと考えております。
〇小野寺研一委員 大きな5番として市町村合併、通告をいたしておりましたが、時間の関係もありまして、さっき吉田委員の説明に詳しく話が聞けましたので、それを割愛させていただきたいと思います。
 最後に、政治家増田知事の所感について一言御回答、所見をお伺いしたいと、そのように思います。
 平成16年度決算を見て感ずるに、出資法人改革、岩手競馬など、他にも山積する多くの課題に対し解決を先送りしてきたというふうな、そんな感じが否めません。今般の財政危機と相まって一気に噴き出したと、そのように思うわけであります。平成16年度2月補正予算において、岩手県競馬組合に対する県貸付金の予算措置などは、端的にこれを物語っているというふうに認識をします。
 このように多くの課題を抱える中、知事は、宮城県知事選挙の特定候補者の応援を行ったと、こういう事実が新聞紙上で判明をいたしました。改革派知事としての行動をともにしてきた宮城県の浅野知事が、任期満了でその職を辞して、後継指名した候補者の応援ということと認識をします。要するに、政党間で激しく争われたあるいは国政与野党で激しく争われたという、そういうふうな特定候補への応援は、岩手県及び岩手県民にどのような影響を与えるのかをお考えになっての行動であろうと思いますが、ぜひひとつ知事の御見解をお聞きして終わりにしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
〇増田知事 去る10月23日だったと思いますが、投票されました宮城県知事選挙での応援についての御質問でございます。
 私、ある候補者の応援に仙台の方に参りましたけれども、これは、その候補者を以前から十分知っておりまして、大変すぐれた能力や資質を有した人材であって、そうした本人の資質なりそれから能力を大きな舞台でさらに展開してもらえればと、こういう思いで応援をいたしました。その相手方の候補の方が勝ったわけでございますけれども、これは恐らく大変な自力もあったんだろうと思いますし、大変力強い選挙を展開されたんだろうと思います。相手方の候補者の方、見事勝利をおさめたわけでございまして、そういう結果になったわけでございますが、この応援は、まさに私の政治家個人としての政治活動の判断の中で行われたものでございまして、こうした政治の舞台に登場したいという熱い思いに、私も大いにその候補者に共感する点がございましたので応援をしたということでございます。県政の執行ということを超えて、政治家としても行動しなければいけない部分というのはあるわけでございますので、そうした高度な判断の上で応援を展開したと、このように御理解いただきたいと思います。
〇小野寺研一委員 あとの残時間、同僚議員にお願いをすることになります。どうかひとつよろしくお願いを申し上げます。
 終わります。ありがとうございました。
〇佐々木博委員長 佐藤正春委員。
   〔佐藤正春委員質問者席に着く〕
〇佐藤正春委員 先ほど来同僚委員の質疑を聞いておりまして、どうも、すとんとするような、納得するような答弁がないんだね。これ、どうですか、知事。知事の中では、自立とか行財政改革ということの答弁があったんですが、これは政策じゃないですよ。あなたの政策というのは、夢県土いわてですよ。どうなったんですか。夢ですか。夢と消えたんですか。これからどうするんですか。だから民主党なんかも、次はだめだと言っているんだ。おらほの自民党だって考えなくちゃならない、今度。
 そこで、具体的に4点について伺います。
 1点目、去る8月8日、森のトレー関連の裁判費用の返還を求める監査請求に対して、本件訴訟に係る事態に当たっては、費用負担協定に基づき、県、久慈市及び組合責任分担を明確にして取り組まれるよう望むものであるという監査意見が出た。これ、知事はどのように受けとめておりますか。
 2点、増田後援会知事側近のエロ幹事長、高塚猛に対して10月6日、卑劣な行為と弾劾し有罪判決が出ました。知事の責任はどうなっていますか。
 3点、日韓問題はいろいろきしみがあるようでございますが、これは国だけの問題ではございません。本県でも韓国人、朝鮮人1、100人が在住し、経済的、社会的に貢献しております。知事はこういう問題をどのように思っておりますか、見解を伺っておきます。
 4点、去る10月24日、一関市の浅井市長は、県内初めてで、月給61万円、常勤、自治区長6人に辞令を交付いたしました。最終的には1人の市長に7人の助役とは、これは全国でも珍しい。この人事について市民の間からも批判が多く、経費節減の合併の大義に反するのではないかという意見も多ございます。知事は、合併に対してどのように指導してきたのですか。特例法とはいえ、好ましいことですか、好ましくないですか。御見解を承っておきます。
〇増田知事 まず、森のトレーの関係であります。(佐藤正春委員「その前もある」と呼ぶ)まず、森のトレーからお答えいたします。また後ほど、その点についてはお答えします。
 森のトレーについてですけれども、訴訟費用について今お尋ねございました。これについては、今お話がございましたとおり、県と久慈市で訴訟費用を分担して負担をすると。その割合については別途協議と、こういう基本的な合意で支出をしているわけでございますが、先般の住民監査請求に対する監査結果で意見を付されました。意見を付されましたけれども、訴訟費用負担協定に基づいて県が負担したことについては、妥当で適切に執行されていると、こうした御判断をいただきましたので、そこで付されました監査委員の意見、それを踏まえて、できるだけ早期に負担割合が明確化されるように、引き続き協議を進めてまいりたいと、このように考えております。
 それから2点目でございますが、後援会の側近とお話ございました元幹事長に対して別途事件がございまして、有罪判決が出たわけでございます。この後援会の元幹事長の方が逮捕されたということは、まことに遺憾なことでございますし、会社の再建などに手腕を発揮されてこられた方だというふうに思っておりましたけれども、遺憾でありますし大変残念なことというふうに思っております。本人には、そうした事件を起こしたということを重く受けとめて、罪に服して、早く更生の道を歩んでいただきたいと、このように思っておりますし、私もこのような事実を重く受けとめたいと思いますが、その上で厳正な県政の執行に努めていきたいと考えております。
 それから3点目で、日韓問題についてでございます。この日韓問題ですけれども、国の間の問題もいろいろございますけれども、本県でも昨年の12月末現在で、いわゆる在住外国人数というのが過去最高で6、600人余ございますけれども、そのうち韓国人、朝鮮人の方が1、144名と、こういう数字になっております。県内のそれぞれの地域で、県民とともに経済、文化を初めさまざまな分野で地域の発展に寄与、貢献をしていただいていると、このように考えております。
 県は、これまで特に韓国との間でさまざまな交流活動を幅広く展開をしておりますし、事務所も現地の方に設けておりますので、今後とも一層の日韓友好親善、交流拡大に努めていきたいと考えております。
 それから、一関市の合併がなされた後の、今地域自治区の区長の問題について御質問がございました。これはそれぞれの地域の合併協議の中で、合併する自治体の御判断で設置が可能ということになっているものでございますけれども、この点については、実は合併協議の中で、私ども建設計画ですとか財政計画などについては過大な見積もりがないかとか、県事業はどのように扱われているかとか、いろいろ合併する市、町村とも協議を重ねてきておりますけれども、いわばこうした特別職については、これはまさにそれぞれの自治体の自治の根幹に当たる部分でございますので、こうした問題については、市町村の判断が優先されるであろうということでございまして、そういった地域自治区あるいは区長の設置についての制度について情報提供は行っておりますけれども、この制度を使うかどうか、あるいはその給与等がどういうふうになるか等について、県としては特段の指導は行っていないところでございまして、これは地域の住民の皆さん方ないしそうした議会などで十分に御審議をいただく事項ではないかと、このように考えてございます。
〇佐藤正春委員 議事進行について。
 一番先に私が質問した、お聞きのとおり、知事と、今までの同僚委員の質疑を聞いていると、さっぱり何やっているかわからないと、これからどうするのやと、どういう政策をするんだと、答弁がないんで、そのことを委員長の方から催促してください。
〇佐々木博委員長 いかがですか、答弁は。
〇増田知事 失礼しました。ちょっと質問と思っておりませんで、勘違いしました。
 総論で、今総じてお話がございました県の政策として県の総合計画があり、それから40の政策というものを策定して、その総合計画の中で、特に40の政策に重点を置いて事業を執行するということでございますので、そうした県の大きな方針のもとで、県民生活が豊かに安定して営めるように今後も引き続き努力をしていきたいと、このように考えております。
〇佐藤正春委員 しっかりしてもらわないとね、自民党は次に推薦しませんよ。おれがやるんじゃないんだけれども。
 監査委員指摘のとおり、予算の執行については地方自治法第220条第1項に、普通地方公共団体の長は、政令で定める基準に従って予算の執行に関する手続を定め、これに従って予算を執行しなければならないと、このように規定されておりますね。したがって、負担割合が確定してから本来支出するべきものと考えるが、未定のまま執行されるということは、これは違法ですよ。今の御答弁ではまだはっきり決まっていない。違法ですよ。この点についてどうなんですか、最高責任者として。
 それから、昨年来の日韓首脳会談による戦時中の強制連行者の遺骨を調査していますが、本県では調査しているんですか。どうですか。私たち民間団体では、ことし9月現在、141体の遺骨を調査。滝沢の追悼の碑に埋納いたしました。これは朝鮮半島からの強制連行の人たちのお墓でございまして、同僚の小原委員には大変お世話になっているわけでございます。ことしで10年になります。知事は1回も来てない。あなたは朝鮮半島出身者、朝鮮人、韓国人に差別感を持っているんじゃないですか。どうですか。その点についてお伺いいたします。
〇増田知事 まず、森のトレーの関係でございますが、特定の事業に対しての県の負担ですけれども、これはやはりあらかじめ負担割合を確定させて、それに基づいて支出をするのが通例のことだろうと思いますが、その中で目的実現を優先しなければならないなどのやむを得ない事情がある場合には、そういった通例にのらずに負担をするという基本の合意を事前に取り交わしておいて、後日、負担割合を決めるということもまれにございまして、そうしたことも許されていると思っておりますし、また、本件がまさにそうした場合に該当するものと考えております。監査結果でも、県としてやむを得ない措置ということでいただいているわけでございまして、この点については、先ほど申し上げましたように、今後も久慈市と協議を進めていきたいと思っております。
 それから、日韓の問題でございますが、遺骨の調査の関係でございましたけれども、この遺骨の調査については、ことしの6月に国の方から調査依頼がございました。民間徴用者の遺骨についての調査依頼がございまして、県の方でも資料等ほとんどないわけでございますけれども、関係のところに照会をして、いろいろ調査結果を取りまとめて国の方に回答しているところでございます。国の方で、今、そうした各県から寄せられた調査結果を今後どうしていくか検討していると聞いているところでございまして、今後またその調査結果については国の方で統一的な方針が示されるものと考えております。
 それから、私が滝沢のアピオのところにございますあの碑のところに行ってないのではないかということで、今までそういう決められたときの行事にまだ参加してございません。ぜひ次は日程調整して参加したいと思っておりますが、あれにつきましては、議員の方あるいは議員連盟の方からいろいろ御依頼がございましたので、私も碑を建てるについていろいろと御協力申し上げた経緯がございますが、私的に私もそういった経緯もございましたので、現地の方に行ったときに、どういう形になっているかというのは拝見をしてございますけれども、まだ公式の行事のときには顔を出しておりませんので、また今後そうした場合にいろいろ日程調整して参加させていただきたいと思います。
〇佐藤正春委員 答弁漏れあり。知事に、あなたは朝鮮人や韓国人に差別感を持っているんですか。どうですかということを聞いている。
〇増田知事 全くそのような感じは持ってございません。
〇佐藤正春委員 森のトレーについては、かつて、今の議長の伊藤勢至議員も予算委員会で、こんなことじゃ県民に対して申しわけないと言っているんです。あの人は本当に正義の塊だから、怒り出したら何を言うかわかりませんよ。
 そこで、組合が現在破産状態にあって、岡野氏に負担能力はございません。久慈市で反対後、いまだ決定を見てない。知事は、ただいまの答弁のとおり、緊急やむを得ないときには執行できると、こう言っているんですね。ただ、このままの状況が長引くようになると、法令違反となります。とすると、来年度予算にはこの裁判費用が計上できないんじゃないですか。どうですか。それから、監査委員、どうですか。この点についてあわせてお答え願います。
〇増田知事 基本的な合意がなされていますので、その上で費用負担をしつつ、裁判はぜひ係属をして勝訴にもっていきたいと考えておりますが、一方の負担割合については、できるだけこうした負担割合が早期に明確化されるように、引き続き協議を進めていきたいと考えております。
〇一戸監査委員 答弁の前にちょっとお諮りしたいんですけれども、総括質疑ということでございますけれども、本日は知事を中心におやりになるというような議会のルールがおありではないかなと思うんですけれども、それについて委員長の御許可をいただければ答弁いたします。
〇佐藤正春委員 いい、あしたやるから。この人はかたい人だからよ。応用がきかないから。いいから、あしたやるから。
〇一戸監査委員 委員長のお許しが得られれば答弁したいと思いますけれども、やっぱりルールを尊重するのが監査委員の立場でございますので、かたいということではございません。
〇佐々木博委員長 それでは、一戸監査委員、答弁をお願いいたします。
〇一戸監査委員 いわて森のトレーの訴訟費用のことにつきましては佐藤委員から監査請求が2回ほどございますけれども、この訴訟費用の出費につきましては、違法または不当とは認められなかったものでありますけれども、先ほどの御質問にありましたように、費用負担協定において県と久慈市の負担については両者が協議して別に定めるとされております。協議中であると先ほどから御答弁がありましたけれども、この協定というのは平成16年2月26日に協定書が結ばれておりますので、監査委員としては、やはりこういうあたりを明確にして訴訟に臨んだ方が望ましいという判断のもとに、4人の監査委員、議員の先生もお2人いらっしゃいますけれども、合議のもとでこういう意見を提出したものでございます。
〇佐藤正春委員 知事、御答弁のとおり、三者の割合が決まらないで長引くと、来年度予算案が組めませんよ。そうでしょう。組めないときはどうするんですか。
〇増田知事 訴訟でそれぞれの責任を明確化していく。その中で県民の負担も最小限にしていくということが必要でございますので、裁判を勝利に導くためにも、この訴訟費用というものは必ず必要になってくるものでございます。したがって、訴訟費用の負担についてぜひ御理解をいただけるように、今後も努力をしていきたいと思いますし、その中で久慈市との協議も鋭意進めていきたいと考えております。
〇佐藤正春委員 今、勝利したいと。では、勝てますか。負けたときはどうするんですか。負けたときは払うんですか。だれが払うんですか。県民が払うんですか。お答えください。
〇増田知事 敗訴になりますと、それが確定すれば、当然また県としての対応、あるいは久慈市、組合、それぞれの立場で対応が必要になってくるわけでございまして、これはことしの予算委員会などの場でもいろいろ御指摘をいただいたところでございます。したがいまして、ぜひこの裁判については勝訴によって返還金が回収できるように全力で取り組んでいく必要があると思っておりますので、訴訟関係者のみならず組合、久慈市、県、それぞれの立場でこの訴訟についてはでき得ることに全力を挙げていきたいと考えております。
〇佐藤正春委員 知事、勝てませんよ。あなたは今、勝つと言うが、勝てませんよ。私は毎回言っているんです。勝てないときにどうするんですか。逃げるんですか。食い逃げするんですか。
 それから、先ほどの日韓の問題でございますが、韓国人の地方参政権には賛成しますか。反対しますか。どちらですか。
〇増田知事 裁判については、今の段階ではやはり勝訴に向けて全力を挙げるということでのお答えになってしまうわけでありますが、そのために全力を尽くしていきたいと考えます。
 日韓、それから永住外国人の地方参政権ですが、これは私は地方参政権を認めてしかるべしと考えております。地域にいろいろ貢献して、また税もきちっと納税をしていただいている皆さん方でありますので、私は、地方参政権をそういう方には認めるべきというような立場に立っているものでございます。
〇佐藤正春委員 知事、何回も言うようだけれども、この裁判は勝てないんですよ。和解しても3分の1取れるか取れないですよ。残った分はだれが払うんですか。県民ですか。あなたですか。お答えください。
〇増田知事 裁判で最終的に敗訴した場合には、その段階でまた負担をどうするか、議会の方にいろいろ御理解いただかなければならないと思います。税金で処理をするというのが裁判の場合には当然必要になってくるかと思いますけれども、これはまだ今後の話でございますので、今のこの段階は、やはり勝訴に向けてそれぞれ法定上の、訴訟技術の問題もございますけれども、まず我々の方でしっかりとした相手方との攻撃・防御ができるように、それに向けての準備をしっかりと整えていきたいと考えております。
〇佐藤正春委員 あなたは負けたときを言うなら、それじゃ、知事、この次も出なきゃだめでしょう。責任があるでしょう。いなかったら責任をとれないじゃないですか。出るんですか。出ないんですか。
〇増田知事 大変際どい御質問をいただいておりますが、これは少し形式的な答弁になりますけれども、知事という職で行っているものと、それから私個人が出馬するかどうかというのはまた別のことでございまして、県として、最高責任者の知事としていろいろな立場、関係に立っておりますけれども、それをそのときどういう個人がふさわしい人間としてそれを担っていくか、これはまた別途冷静に、県民の皆さん方の選挙を通じて判断されるべきものでございますので、私自身も、私のその問題とは別に、今、県の仕事として訴訟を遂行してございますので、それが勝利に導かれるように全力を尽くしていきたいと考えております。
〇佐藤正春委員 委員長、どうもありがとうございました。以上で終わります。
〇佐々木博委員長 次に、亀卦川富夫委員。
   〔亀卦川富夫委員質問者席に着く〕
〇亀卦川富夫委員 政和・社民クラブの亀卦川富夫でございます。よろしくお願い申し上げます。
 私はおおよそ三つの分野に絞って質問したいと思います。
 そのまず第一でございますが、人口減少社会への対応ということでお伺いいたします。増田知事の16年度演述ではこのように触れられております。これからは自立した自治体がそれぞれその経営手腕を競う時代であります。今後深刻化する少子・高齢化や急激な人口減、国・地方を通じた厳しい財政状況を考えたとき、私たちは住民サービスの提供をすべて行政に求めるやり方や自治体の量的な拡大を前提とする財政運営など、今のような行財政運営のシステムが将来にわたっても持続していくことはもはやできないということに思いをいたすべきであります。そういうときこそ地域の資源をもう一度よく見直して、いわば自治体の身の丈に見合ったより的確なサービスを提供できるような経営を行っていくことが求められてくると考えております、このように述べられております。
 そこで、この迫り来る人口減少社会を見つめたものでありますが、16年度決算及びその成果の上で知事の方針が実現に向かっているのか。また、今後、18年度予算編成に当たって、さらにどのように展開される御所存であるのか、以下、お伺いいたします。
 まずもって、人口減少社会についての知事の御見解をお尋ねいたします。我が国は2007年から人口減少社会へ移行すると言われておりましたが、本年前半の半年間に約3万人の減少が見られ、昨年末が我が国の人口の頂点と見て差し支えないとの指摘があります。出生数の落ち込みに加え、国際化による海外に住む人の増加などの社会減などもあると言われております。さらに、総人口の減少に加えて団塊の世代と言われる昭和22年から24年にかけて生まれた人たちが60歳定年を迎えるいわゆる2007年問題があります。団塊世代の人数は約680万人、総人口の5.3%、就業者数約500万人でございます。ちなみに団塊の前の3年の出生数は約460万人、団塊の後の3年間は約590万人でありますから、団塊世代の人口がいかに多く、その影響の大きさがうかがわれるところであります。この団塊世代の人たちが2007年から60歳定年を迎えます。総人口の減少に加えて、人数が多いこの団塊世代の退職、労働人口が急速に減少いたします。人口の変動が経済や社会の動きを大きく左右することが確実であります。このような人口減少の中で、我が国、我が地域社会の前途はどのようなものでありましょうか。人口減少社会に対する見方は、一つはこの労働力減少、市場規模の縮小、高齢化による社会保障費の増加、財政逼迫など非常に不安感、悲観論が多いのでありますが、一方、人口減少による社会全体としての負担の軽減、例えば育児、教育やインフラの整備・拡充といったものの軽減、量の経済から質の経済への変化、余暇時間の増大や新しい価値観による新しい文化・文明によって立つ日本になるといういわば楽観論もありますが、増田知事は人口減少社会に対してどのように考えておられるのか。対応、対策についてはまた後ほどお伺いいたしますが、まず御認識をお伺いしたいと思います。
〇増田知事 既に今、我が国は人口減少局面に突入したと言われているわけでありますが、そうした中で、確かにそういう社会になると住環境に多少のゆとりが出てくるとか、環境負荷が軽減するとか、あるいは女性、高齢者の雇用拡大が図られるだろうといった楽観論もどうも一方であるようですけれども、私はそうではなくて、やはり総じた労働力人口の減少で経済規模が縮小してしまうのではないか。高齢化に伴って社会保障面での負担が著しく増加するのではないか。やはりこの負の影響を深刻にもっととらえていかなければならない、この負の影響の懸念をもっと深刻に考えなければいけないと考えております。今の国を初めとする日本全体の社会経済システムというものが、やはり人口増というものを前提として構築されてきているわけでありますけれども、そうした人口増という前提を取っ払って、そして仕組み、システムやさらには価値観や発想も根っこから切りかえていかなければならないと思うわけでございまして、そのために、幾つか言いますと、やはり量から質をよく見ていく。それから画一から多様なとらえ方、集団から個人、中央から地方へ、こういった方向で社会の大きな仕組みを変革していかなければならないと思います。今、具体的にはそうした中で産業の高度化とか労働生産性の向上、一人一人の労働生産性をぐっと向上させて、そして生活レベルを維持・向上させていくということと、それからやはり長期的にはそういう長期的な視点に立って、女性の就業環境や子育て支援といった出生率の向上に向けた取り組みというものをもっと強化する必要があるだろう。そういう大きな二つの方向でこれから社会全体で取り組んでいかなければならないと認識をしております。
〇亀卦川富夫委員 そこで、岩手の人口についてお尋ねいたします。国交省はさきに2030年時点における全国85カ所のいわゆる都市圏の人口予測をまとめましたが、それによりますと、2000年に比べると約9割に当たる74都市圏で人口が減少、人口を維持できるのは85のうち11の都市圏とされております。ここにこの盛岡都市圏が入っているわけでございます。人口減少の中でも東京都や神奈川、千葉、埼玉などの東京圏域は1.1%の増加が見られる。我が県では盛岡圏域が、仙台、札幌の都市圏などと人口維持の見込みでありますが、その他の東北、北海道、九州は減少が非常に目立つとされております。本県の場合、盛岡都市圏以外は、程度の差はあるとしても、おそらく減少傾向が見られると思いますが、岩手県における人口減少、トレンドをどう把握されておられるでしょうか。この予測では、過疎地を含む非都市圏では現在既に人口は減少に向かっているわけですが、2030年では、この非都市圏では2000年に比べ363万人、26%減少と見ております。岩手での広域生活圏ごとのこういったものの予測があるとすれば、お伺いしたい。その上でどのような地域社会を目指していくのか、この点をお伺いしたいと思います。
〇増田知事 本県の人口ですけれども、2000年段階では141万6、000人という数字でございました。その数字が2030年には123万2、000人まで減るのではないかと見込まれております。これは国立社会保障・人口問題研究所の将来推計人口でございますけれども、減少率が全国を上回る数値ということでございます。
 広域圏ごとの人口ですけれども、1995年から2000年にかけては、盛岡と岩手中部、胆江の3広域圏では人口が増加してございますけれども、そうした3広域圏も含めて2030年までの、先ほどの123万2、000人という数字では、県内すべての広域生活圏で2000年の人口を下回るということでございます。具体的に申し上げますと、盛岡広域生活圏が2000年の数字が49万1、000人ですが、2030年が48万9、000人、指数で言いますと99.7です。岩手中部が20万7、000人から20万4、000人、これは指数で言うと98.7、胆江は14万9、000人から13万3、000人、これは89.2、以下、両磐広域生活圏が15万人から11万7、000人で78.3、気仙が7万8、000人から5万6、000人で71.8、釜石が9万7、000人から6万1、000人で62.6、宮古が10万6、000人から7万人で66.1、久慈が6万9、000人から5万2、000人で74.8、二戸が6万9、000人から5万人で72.0という形で、すべての広域圏で人口が減っていくということです。やはり地域地域には固有の資源がいっぱいございますし、また、地域力といったものが、岩手県にはまだまだ顔の見える関係の中で色濃く残っているわけですから、そうしたものを最大限に発揮した取り組みが必要である。また、さらに地域の垣根や既存の枠組み等を越えたお互いの連携や相互補完という考え方も取り入れて、そしてそれぞれの生活圏を独立した地域としてうまく維持しながら、やはりお互いの連携、相互補完をより強化することによって、岩手県全体を持続可能な発展地域にしていきたいと考えております。
〇亀卦川富夫委員 今の数値をお伺いいたしまして、人口減少というのは厳しくとらえていきたいという先ほどの知事のお話であります。
 そこで、人口減少にどう対応していくかをお伺いいたします。対応としては、少子化対策と、いわゆる定住人口の確保があると思います。まず、少子化対策でありますが、少子化についてはかなり以前から大きな問題として知られておりました。しかし、少子化の問題は意識されていても、具体的問題、影響、それに対する政策がなかなか見えにくく、効果が薄いのが現状であります。この間、県行政の中で多くの施策を講じたところでありますが、16年度決算を検証して、どのような評価をなされておりますか、お尋ねいたします。
〇増田知事 16年度の少子化問題についての取り組みでございますけれども、これは13年につくりましたいわて子どもプランというものがベースになっておりまして、そこで保育所利用定員をふやしたり、延長保育実施保育所数を増加させたり、放課後児童クラブの数をふやしたり、地域子育て支援センターも増加させるといったことを取り組んでまいりましたし、新たな取り組みとしては、不妊治療についての助成やつどいの広場の設置費の補助、それから各種シンポジウムの開催といったようなことを行ってまいりました。16年度もこういう新たな取り組みをさらに充実をさせて取り組んでまいりましたが、出生率自体は、国全体もそうですが、当岩手県でも低下をしてきているということでございまして、やはり県民意識調査を見ましても、この面での施策の充実を望む声が大きくなっております。
 そこで、ことしの3月に、このいわて子どもプランをもう一度改訂いたしまして、そこで、社会の視点や親の視点、子供の視点と三つの柱があるのですが、特に男性を含めた働き方の見直しで、男性も含めて子育てをしやすい雇用環境の整備、こうしたことを重点に取り上げておりまして、これなどを重点に関係団体と連携をして、今後施策を推進していきたいと考えております。
〇亀卦川富夫委員 次に、この人口減少に対するものとして定住人口確保の対策が必要であります。少子化対策が劇的な効果を上げても、労働人口として社会を形成するには長い年月がかかります。そのために今日的な課題として定住者の確保があります。特に定住のためには働く場の確保が必要であります。しかし、岩手県の現状は、過日、岩手日報の報道では、本県は仕事がないために1年に5、000人が他県へ流出、人口減少の最大の要因になり、働き手がいなくなるため、10年後の県民所得も2000年比で平均7.4%減の見通しで、高齢化社会を支えることは難しい、このようになっております。自動車産業などの明るい兆しもありますが、農業を初め本県の産業の育成、振興は殊のほか大切であります。この点、16年度岩手県総合計画の実施状況では厳しいとの評価でありますが、知事の御見解はいかがでしょうか。
 また、定住人口の維持、増加のためには、経済のみでなく安心して暮らすための医療・福祉や教育などが、さらには治安・防災、そして環境、また文化など地域力とでも申しましょうか、住んでみたいという魅力、住んでよかったと実感できる地域社会を築くことが大切であります。もちろん行政のみでなく住民の力も大切であります。総合的な産学官民一体となった取り組みが必要であります。16年度決算の結果、主要施策の成果を検証して、知事の御見解をお伺いいたします。その上で団塊世代の定年による2007年問題への対応、こういったことを18年度予算編成に向けて取り組む考え方についてお尋ねいたします。
〇増田知事 定住促進については、一つは地域産業を振興させるということ。それによって雇用の場の創出を図っていくということ。もう一つは、そうした雇用の場を確実に、特に若年労働者にきめ細かく伝えていく、それから若年労働者のキャリアアップを図るということで、両面のことが必要であると思います。後者の方の雇用についてはジョブカフェを中心にして、今、県内各地で取り組んでおりますし、前半の方の地域産業の振興によって働く場を新たにつくり出していくということについては、やはり地域によっても若干の強弱はありますが、県南を中心にして自動車関連産業を中心に、その集積を図って雇用の場をつくっていったり、それから観光、農林水産業、さらには木質バイオマスなどの普及への取り組み、これは岩手型のペレットストーブなどをつくることによって、そのことが新たな雇用の場にもつながっていきますので、こうしたことで産学官も含めてお互いに積極的に協力し合って産業振興に取り組んでいくこととしております。
 そうした産業振興や雇用の場の確保ということだけではなくて、やはり今委員からお話がありましたように、保健・医療や福祉などの広範な分野での取り組みがないとなかなか定住ということにつながりませんので、そうした広い意味での都市基盤の整備をしたり、地域の文化の醸成といったようなことが今後さらに積極的になされなければいけないと思います。また、そのことについて取り組んでいきたいと思っております。庁内で、こうした人口減少や少子・高齢化時代での地域社会のあり方ということで、今、ワーキンググループをつくって、鋭意それぞれの対策と総合的な施策について検討しておりますので、それをできるだけ早期にまとめて、また施策の展開を図っていきたいと思いますが、その中では、今、委員のお話にございましたように、2007年問題で大量の団塊の世代の人たちの定年ということがございますので、この皆さん方はまだまだ十分に社会でいろいろ活躍できるような皆さん方でありますし、そういういわゆる団塊世代をもっと岩手に、全国に散らばっている人たちを呼び込む政策ですとか、それから県内から他の都会、都市部などに行っている人たちがまたふるさとに大きく回帰して戻ってくるような取り組みなどもあります。そうしたこともこのワーキンググループの中で今議論してございますので、そういう2007年問題なども意識しながら、この人口減少の問題に総合的に対策を講じていきたいと考えております。
〇亀卦川富夫委員 今のお話の全国におられる方々を呼ぶと。こういう中で、これは島根県の例なんですが、島根県の全国にいる出身者に、定年退職を控えた団塊世代を中心に、ふるさとへ戻ってこいと呼びかけるラブレターを、これは前知事の名前で送ったということになっているようでありますが、こういう取り組みはやはり積極的におやりになっていく必要があるのだろうと思います。そういった中に、一つは交流人口の大切さがあるわけですが、観光に訪れる、特にグリーンツーリズムで訪れるような方々が岩手のよさに引かれて定住してくる、こういうことも大切だろうと思います。私の身近にも、グリーンツーリズムではないのですが、これは御夫婦で赴任してこられたんですが、全く岩手に理解のない方で、ところが岩手に来てみましたら、ゴルフ場、スキー場、温泉が、全くの身近にある。こういったところで、海、渓流の釣り場、あるいは地産地消の食、こういったものが身近にあるというのは大変すばらしいということであるようであります。したがいまして、先ほど各ワーキンググループというようなお話もありましたが、かなりこれは横断的に、総合的に、人口減少社会というものを見据えた何か組織的な動きというものが庁内において必要ではないかと思いますが、この御見解をお伺いしたいと思います。
〇増田知事 今、庁内横断的に職員を集めてワーキンググループをつくって、こうした問題の検討を加えております。また、その成果を見ながら、今後それを実施する上でどういう体制がいいのか、よく検討させていただきたいと考えております。
〇亀卦川富夫委員 次に、中心市街地の再生についてお伺いいたします。岩手県のみならず地方の中小都市においては郊外大型店の出店攻勢、あるいは公共施設などの郊外設置により、商店街初め市街地の衰退が顕著であります。また、かつて中心市街地に進出した大型店は、売り上げ減少が明らかになった途端撤退。その結果、シャッター通りとまで言われる商店街にさらに大きなダメージを与え、衰退に拍車をかけているのが現状であります。私は、先ほどお尋ねいたしました人口減少社会において、中心市街地の果たす役割としてやはりこれはあると思うんです。魅力ある地域社会を形成する大きな要素であると思います。このようなその地域の顔とでも言う中心市街地の岩手県における衰退の実情について、知事はどのような御認識をお持ちなのか、お伺いいたします。
〇増田知事 県内の中心市街地の状況ですけれども、例えばこの盛岡では、肴町の商店街ではアーケード街を活用して、若手の商業者の皆さん方がさまざまな自主事業を行っていますし、あと、沿岸の方では宮古で大型店舗が閉鎖になりましたけれども、その後、床を買い取って地元の皆さん方が入りまして、キャトル宮古として行っている再生を図った事例、なかなか健闘している事例も地域によっては幾つか見られますけれども、ただ、全体的には厳しい状況でございまして、平成15年の商店街実態調査というものを見ますと、97.6%の商店街が衰退・停滞といったような結果になってございまして、商業統計を見ても、大型店を除く中小小売業の商店数、従業者数、年間販売額が減少ということですから、経済活動や景況感の低迷がこうしたところにあらわれて続いているものと認識をしております。
〇亀卦川富夫委員 16年度の主要施策の成果では順調としながらも、評価では、TMO重点支援地区を設定し、商店街活性化につながる調査の実施など支援策を講じたものの、具体的な事業展開に結びつかなかったとし、各商店街の財政的、人的、体制的課題などを把握しながら、より効果的な施策を講じていく必要があるとしております。現在、この評価にあったTMOについてでありますが、岩手県は北海道を除く46都道府県の中では最もTMOの設立の数が多いのであります。これは、県当局あるいは市町村、商工会議所、商工会、こういった指導のたまものであると同時に、地元商業者の危機感と団結力に起因している、このように私は評価しているのです。宮古や水沢における例等は、ただいま知事のお話にあったとおりでありますが、さらに今後これは推進していかなければならない、このように思います。
 そこで、中心市街地では、商業のみならず地方小都市の大きな課題として市街地の空洞化がありますが、これは国交省の調査では、中心市街地の衰退は商業だけの問題でなく都市構造の問題であったというようなことで、今後、郊外への大規模集客施設、これらは商業だけでなく病院、その他公的な施設も含むわけでありますが、立地を規制する方針であります。これはブレーキの役目を果たすわけでありますが、この点では、今日、福島県が条例などをつくっております。逆にアクセルの役目としては、明年に向けての都市計画法の改正の中で、中心商業地の活性化を図るためのゾーニングの一種として賑わい地区というものを設定して支援していきたい。この内容は、空き地や空き店舗の活用を義務づけ、利用が進まない場合、自治体が勧告・裁定できる仕組みで、来年の通常国会に提出予定と私は聞いておりますが、あるいはこの資金面でも、今年度には街中居住再生ファンドなどによる支援策といったものもあります。こういったブレーキとアクセルの両輪で、コンパクトシティ、コンパクトなまちづくりといったものは県としても既に打ち出しておりますが、これらを県において、また積極的に市町村を支援するという施策が必要と私は思うのでありますが、福島県の例などを見ながら、知事の御見解をお伺いいたします。
〇増田知事 まず、TMOの設立ですけれども、これは、今、委員からお話がございましたとおり、数として数多くのものができ上がってまいりました。そういった一つの受け皿、素地はでき上がってきたと考えております。16年度からこのTMOの重点支援地区というものを具体的に定めまして、宮古市と東和町で優先的な支援に取り組みました。そういった支援などによって得られた結果として、このTMOを中心としたまちづくりについては、生活者との連携がより必要である。そこをもっと深めていかなければならない課題がある、こういうことが浮き彫りになってまいりました。そこで、17年度は従来の支援施策に加えまして、消費者に支持・選択される商店街づくり、それから生活者と商店街の協働の仕組みづくり、こういうものを視点にした商店街自律再生支援事業というものを組みまして、それで、今、水沢と一関の重点支援地区でこれを実施してございます。また、これも事業の効果などをよく検証していきたいと考えておりますが、今後、まちづくり三法などの改正も検討されているようでございますので、その中でおそらく国の方でもさまざまな中心市街地の活性化の具体策が出てくると思いますので、その動向もよく見据えながら、本県で取り入れられるべきものは取り入れていきたいと考えているわけでございます。
 それから、今申し上げました国の動向の中で、今、委員からお話がございましたとおり、アクセルとブレーキのような形で、大型店を含めたこういう店舗の立地規制、これはブレーキを踏むような形の立地規制、一方で中心市街地の再生のためにアクセルを踏むような施策、こういったことが検討されておりますが、いずれにしても、こうした問題については市町村を越える広域的な影響が出てくるものばかりでありますので、やはり県の果たしていくべき役割が大変大事ではないかと私どもも思っております。広域的な視点から市町村間を越える問題について調整をしていかなければならないと思いますし、そのために、今、まちづくり交付金事業などもございますけれども、そういったものをより有効に使うということも大事でございますので、そうした県としてのこの問題についての立場を明確化した上で、今後、国の動向ですとか、地域の方での御意向、そうしたものが明らかになった時点で、さらに次の具体的な対応を考えていきたいと考えております。
〇亀卦川富夫委員 次に、急速に進む情報社会における岩手県の情報化についてお尋ねいたします。
 岩手県総合計画は、ネットワークが広がり、交流・連携が活発に行われる社会の実現を目指し、新たな社会をつくるネットワークの構築を施策目標に掲げております。夢県土いわての重要なキーワードの一つであります。しかし、一般的には何となく大事そうだがよくわからない、あるいは地方行政の優先順位において比較的後回し的にされがちであることから、夢県土のキーワードとして県が誘導的に情報を掲げた先導性を私は高く評価いたします。また、それに基づく情報化促進事業は一定の評価をいたしますが、しかし、急速に進展する情報化社会にあって、岩手県が情報の分野において後進県になる危険性はないのか。国の情報化政策の方針に照らして県の方向性はどうなっているのか、16年度決算を検証しての評価をお尋ねいたします。
 岩手の現状に対し情報インフラ整備はおくれているとの厳しい声もあります。その要因としては、情報化の促進は基盤整備に多額の投資を伴い、県土の広さ、あるいは県民所得水準に見られる経済力から、民間主導では進展のスピードが上がらないとの指摘があります。情報インフラ整備のおくれは、いわゆる得べかりし利益を失うという逸失利益、このようにも言われる可能性もあります。そのツケを次世代に残してしまうことになるのではと案じるのでありますが、もっとも、この基盤整備は県はやらない、民間にすべてゆだねたということであれば別でありますが、それではこの夢県土いわてに掲げた志が台なしになります。投資や支援、指導などの配慮を欠くことによって地域社会の将来に残すダメージ、あるいは地域発展の芽を摘んでいたことが、後になって初めて気づくものの代表的なものではないかと私は思います。夢県土で掲げた地域社会に向かって、次世代のために今何をしなければならないのか、その志が問われる課題の大きな一つであると存じます。
 一方、国は本年度、2005年までの実現を目指したe-Japan政策において、一部地域を除いて情報インフラ整備は完了との見解を示しております。岩手県のブロードバンド基盤整備や目標を達しているのでしょうか。また、そのために県はどのような施策を行ったのでしょうか。検証の結果を率直な答弁で御見解をお示しいただきたいと思います。
〇増田知事 まず、情報化施策の推進についてでありますが、総合計画の中ではこれを17年度、今年度を中間年次として、このブロードバンド世帯普及率42%という目標を掲げております。ことしの情報通信白書によりますと、ブロードバンド世帯普及率でありますが、16年度末で24.7%、大体4分の1程度ということでございますので、17年度の目標に対して到達度が60%弱とややおくれているという状況でございます。情報の森づくりプロジェクトというものを15年度から取り組んでいますけれども、そこで増加率はかなり出てきているのですが、まだ全体のすそ野が広がってないということでございますので、今後も、こうした県土の中で今のまま推移していきますと、いわゆるデジタル・ディバイドがさらに広がってしまうような懸念が想定されますので、そういった情報格差、デジタル・ディバイドを是正することが大変重要であると思っておりまして、そのためにも今後は、今のブロードバンド環境が線という形で伸びてきていますが、それを横に面に広げていくための方策、あと、利用可能性で産業振興や医療、福祉、教育といったような分野において、県民や企業、行政相互のコミュニケーションの質が向上するような取り組みがより進められるように進めていかなければならないと考えております。この点について、また、今後よく検討をしていく必要がございます。今、国の方もe-Japanからu-Japanというふうに施策の内容がちょうど切りかわってきたところでございますので、このために県の方でも研究会をつくって、今、県の対応をいろいろ考えているところでございますので、特にその研究会から提言をいただいた事項などを踏まえて、再度、ブロードバンド世帯普及率の向上のために努力していきたいと考えております。
〇亀卦川富夫委員 ただいま、e-Japanからu-Japanというお話がありましたので、その点を触れたいと思います。
 国の情報社会に対する政策は、e-Japan構想からu-Japan政策に今後展開していくわけであります。御案内のとおり、u-Japan政策のuはユビキタスの頭文字でありますが、これまで遠い将来と考えられていた、いつでも、どこでも、こういったどこにいてもアクセスできる、いわゆるユビキタス情報社会といったことの実現を目標にし始めている。国では2010年までに、生活、福祉や教育、就労、また産業、行政など代表的分野で、それぞれのテーマ、具体的課題を挙げ、また先導的に取り組む医療、生活など7分野で数値目標を掲げて取り組むということになっております。2010年には世界の最先端を行くことを大目標として国家政策として進めているのであります。国は、このe-Japan構想が2005年まで急速に世界の中で伸びてきたということで、自信を持っておそらくやっていくのでありましょうが、この前提は2005年までにブロードバンド情報基盤が既に整備されているということであります。
 そこで、国の政策展開に、岩手県のブロードバンド環境の整備状況は、先ほどのお話のとおり、まだ十分対応ができていない、このように思うわけであります。さきに人口減少社会における岩手の社会像をお聞きしました。その観点からも、必要不可欠な基盤整備であると私は思います。そこで、岩手県は全国的な水準の、しかも県民に開放された情報基盤の整備に乗りおくれているという厳しい指摘には、やはり耳を傾けるべきではないかと私は思うわけであります。u-Japan政策に乗るためのぎりぎりの時期に来ていると私は思います。情報基盤整備が喫緊の課題であるとの認識であるかどうか、お尋ねいたします。その推進に当たって、先ほども研究会の立ち上げなどもありましたが、今後どのようなスケジュールを考えておられるのか、お尋ねいたします。
〇増田知事 次の一手に向けての情報インフラの整備ございますが、まず、先ほど申し上げました研究会をことし春、立ち上げたわけですが、そこで民間開放も含めて本県の情報化について検討していただきまして、2010年度までに総合計画に掲げた世帯普及率、これは90%なんですが、これを達成するための具体的な施策にその提言を反映させていきたいと考えております。今の既存の岩手情報ハイウェイですけれども、これは近々に回線を現在のものから広域イーサ網に切りかえて回線速度を速めたいと思っておりまして、当面、こうした広域イーサ網で必要に応じて通信速度を増強することによって、情報ハイウェイの利活用をさらにぐっと高めていきたいと考えておりますが、今後、先ほどお話がございましたu-Japan政策の展開というようなことで、国のさまざまな新たな事業が出てくるのではないか。国の方で基盤整備や利活用などに向けて、県やあるいは市町村に対してのさまざまな誘導事業が出てくるのではないかと思います。既に来年度に向けて、地域の知恵と工夫を生かしたICT基盤整備の推進を図るための交付金制度といったようなものが予算要求の中に入っているようでございますから、そうした新たな事業の導入についても、今後、県と市町村でよく協議をした上で、一体的に取り組んでいかなければならないと考えているところでございます。できるだけ民間の皆さん方が使いやすいように、その民間利用というのを前提にして、この活用策を検討していきたいと思っておりますが、また、そうした国の動向等もよく見ながら、関係者の皆さん方での協議を進めていきたいと考えております。
〇亀卦川富夫委員 人口減少社会に転じた我が国の大きな転換期に当たりまして、岩手県はどのような方向づけをするのか、私は三つの角度からお尋ねいたしました。今後、限られた厳しい財政事情でありますが、県の英知を結集して、ひとつ予算編成に向け努力していただきたいと要望いたしまして、質問を終わります。ありがとうございました。
〇佐々木博委員長 この際、世話人会の申し合わせにより、10分間ほど休憩いたします。
   午後2時56分 休 憩
 
   午後3時13分 再 開
〇佐々木博委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。斉藤信委員。
   〔斉藤信委員質問者席に着く〕
〇斉藤信委員 まず第1に、県財政の危機的状況と知事の認識、責任についてお聞きします。
 平成16年度末の県債残高は1兆3、955億円余となりましたが、これは県民1人当たり約100万円に及ぶものであります。増田知事の10年間でふやした県債残高はどうなるでしょうか。総額の何%となるでしょうか。
 また、主要3基金は昨年度末で686億円となりますが、10年間で取り崩した総額はどうでしょうか。
〇増田知事 平成6年度末の県債残高が5、940億円、16年度末ではこれが1兆3、956億円となっておりますので、10年間の増加額が8、016億円、このようになっています。この増加額は16年度末残高で割るとおよそ57%と、こういう数字でございます。
 主要3基金の残高についてでありますが、これは3基金合計残高を見ますと、平成6年度末で1、479億円、16年度末では687億円となっておりますので、10年間で792億円減少と、このような数字になっております。(斉藤信委員「基金のパーセンテージも聞いたんだけれども。」と呼ぶ)
〇斉藤信委員 パーセンテージも示してください。
 県財政の破綻というべき状況について、その原因と知事の責任についてどう認識されているでしょうか。
〇増田知事 財政が悪化しているわけでございます。これは紛れもない事実でありますが、これは平成4年度以降、国の経済対策に呼応した社会資本整備をかなり前倒しで行ってまいりました。さらには、東北新幹線、県立大学、美術館などの県単独事業の整備にも取り組みました。さらに、想定を超えた景気の落ち込みなどに伴う歳入の見通しが必ずしも十分でなかったこと、こういった要因があるというふうに思っておりまして、特に財政悪化について大変責任を感じているところでございます。
 こうした状況になりましたので、行財政構造改革プログラムを策定いたしまして、それに基づいて今改革を実施しているわけでございますが、その一層の行財政構造改革に今後もさらに取り組んでいかなければならないというふうに思っておりまして、持続可能な行財政構造というものを目標にして、そうした体制の構築に努めていきたいと。
 私の立場というのは、県政の最高責任者でございますので、今申し上げましたような体制の構築に全力を尽くすということが私の使命でもございますし、また、中には、県民の皆さん方に当然のことながら痛みを伴う、我慢をお願いしなければならないものもあるわけでございますが、そうしたものにも十分に皆様方に御説明をし、そして御理解いただきながら、その使命を果たしていくことが私の責任でもある、このように考えております。
 それから、先ほどの数値でございますけれども、基金の関係で減少しているわけですが、これは全体の中で約54%ほど減少していると、こういう数字でございます。
〇斉藤信委員 借金で8、016億円、全体の57%、基金では792億円取り崩してこれは54%と、この責任は極めて私は重大だと思うんですね。これだけ借金をふやして基金は取り崩した知事が、4年間で5、000万円もの高額の退職金を受け取るというのは、私、県民の理解を得られないと思いますが、この見直しについてどう考えていますか。
〇増田知事 退職手当についてでありますが、これは私も他県等との均衡から見て見直しが必要であると、このように考えておりまして、これについては、岩手県の特別職の報酬等審議会の意見をいただいた上でことしじゅうに見直すということで、さきの2月定例会でも答弁を申し上げております。そして、その線に沿って年内の見直しに向けて準備を進めてきたわけでありますが、この間、10月3日に県の人事委員会から、一般職について給与構造の改革が勧告をされました。これはかなり給与水準の引き下げを伴うものでございまして、この一般職の給与を勧告どおり引き下げるということとした場合には、これとの均衡も考慮して、私の給料月額も見直しをしなければいけないのではないかと、このように考えております。そうした給料月額について見直しをいたしますと、これは退職手当の算定の基礎となっておりますので、また、全体の数値が変わってくるということでございますので、この給料月額の改定と退職手当の見直しをあわせて、全体の報酬水準について審議会の方に御意見をいただいて、その答申を踏まえて条例案を提案したいと考えております。
 これは、時期としてはそういたしますと来年の2月定例会ということになりまして、議会が一つ先になってしまうことになりますけれども、途中段階で、そういう給与構造の50年ぶりの大変大きな勧告が一般職はなされましたので、その御事情を御理解いただきました上で、来年の2月に見直しの条例案を提案したいと考えております。
〇斉藤信委員 岩手県知事の退職金というのは全国で9番目に高い。東北で一番。東京都知事よりも高いんですよ。私は、横並びではなくて、高額退職金の根拠といのはありませんので、県民感覚から見て見直していただきたい。
 次に、深刻な財政破綻の中で求められているのは、むだと不要不急の大型開発を見直すことであります。そこで、私は津付ダムの建設事業についてお聞きをします。
 津付ダムの建設事業の目的がこの間どう変わってきたか。基本方針と当面の整備計画、事業費はどうなっているか示していただきたい。
〇増田知事 津付ダムですけれども、これは当初は洪水調節とそれから工業用水の確保、これを目的として平成12年度に建設採択をされております。その後、事情の変更がありまして、平成15年に陸前高田市が工業用水の不参加を表明いたしました。そのためにダム計画について見直しを行って、現在は治水専用ダムということに変更して、平成16年にもう一回事業の再評価を行って、事業継続としたというものでございます。これについては、当然、国とダム計画の変更につきまして協議を行いましたけれども、そうした手続を経た上で、現在、治水専用ダムというものになっておりまして、事業費については、この見直しで当初の202億円から141億円に変更しているものでございます。(斉藤信委員「答弁漏れだ。当面の整備計画も聞いているんですよ、知事。」と呼ぶ)
 当面の整備計画でございますが、このダム計画についての基本方針と整備計画につきまして、途中で国と協議を行って変更をいたしております。これについては、事業費を今言いましたように途中で変更したと同時に、基本方針で治水安全度を70分の1の確率のもので、そして計画を、基本方針を立てているわけでございますが、そうした基本方針に基づいて基本高水流量を毎秒2、000トン、それから計画高水流量を毎秒1、840トン、このような計画にいたしまして、それで今計画をつくっているものでございます。
〇斉藤信委員 委員長、議事進行。
 私はこう聞いたんですよ。津付ダムの建設の基本方針、当面する整備計画、これはこうなっているんですよ。基本方針というのは70年に1回の洪水、当面の整備計画は30年に1回の洪水。30年に1回の整備計画ってあるんですよ。そのことを私は聞いているんですよ。きちんと質問に答えてください。
〇増田知事 今申し上げましたそういう基本方針に基づいて、それぞれ計画ができているわけでございますが、その中で確率規模として、気仙川の河川整備計画ということで治水安全度をおおむね30分の1、30年に1回ぐらいの確率ですね、それで津付ダムで対象流量を毎秒1、460トン、こういうことで計画をつくっているところでございます。
〇斉藤信委員 最後まで答弁漏れだけれども、大事なところなんですよ。当面する整備計画というのは、20年から30年の間に実際に事業をする、整備する計画なんです。それはダムプラス河川改修で164億円です。河川改修なら94億円と試算されているんです。現地の説明会では、70年に1回の整備は無理だと言っていますよ。だったら、このむだなダムではなくて、河川改修をやるべきじゃないですか。いかがですか。
〇増田知事 この気仙川全体の治水安全度というのは、先ほど言いましたように、これはまず基本方針で全体を定めるものでありまして、そこで安全度70分の1と。要するに、計画よりももっと上位の安全度を目指すと、そういうのが基本方針になっているわけであります。
 その手法は、ダムと河川改修の組み合わせ、これは河川改修単独とそれからダムと組み合わせた場合と、そういう両案を比較検討して、その上で建設費用の安いものということでダムプラス河川改修ということで計画したものでございまして、この方が移転戸数も河川の改修よりも少なくなりますので、こちらが妥当であると、このように考えているものでございまして、こうした基本方針でとらえておりますそういう治水安全度を確保することが、この地域の治水対策を進めていく上で必要だと、このように考えております。
〇斉藤信委員 20年から30年のスパンで整備する計画が30年に1回なんです。70年に1回の整備ってあり得ますか、知事。どうですか。
〇増田知事 基本方針でそのような形でつくっておりまして、これは関係のところでいろいろ協議して御理解いただいているものでございますので、確率でございますけれども70分の1で、70年に1度、こういう形で整備していくことが妥当であると、このように考えております。
〇斉藤信委員 財政計画で、平成19年から毎年600億円財源不足なんですよ。そういうときに、いわば20年、30年のスパンでダムをつくったら164億円だと。河川改修というのは94億円だと。そういうダムをやるんですか。
〇増田知事 この気仙川の流域の地域、ここでは過去これまでも洪水の被害なども生じている場所でございまして、そうしたものについて今後必要な治水対策が出てくると、こういうことで今方針を定め計画をつくっているわけでございます。したがって、この治水対策については、地元の自治体の方からも要望されているものでございまして、陸前高田市も含めて、こうした治水対策については必要だということで要望をいただいているものでございますので、財政的な問題ももちろん考えなければいけませんけれども、しかし、こうした住民の皆様方の安心感の造成のためにも、必要なものはやはり整備していかなければならないと、このように考えております。
〇斉藤信委員 この津付ダムの基本方針にも当面の整備事業費にもごまかしがあります。基本方針、70年に1回の事業費は、ダムをつくれば334億円です。河川改修の場合は354億円です。わずか20億円の違いであります。誤差の範囲ですよ。しかし、この河川改修費はどういうふうに試算されているかというと、原始河川なんです。全然手がつけられていない河川を前提にして河川改修費を積み上げているんですよ。
 いいですか。この間、平成9年には2.8キロより下流は堤防が完成をしています。平成14年には、住田の岩沢橋の付近が道路2メートルかさ上げをされています。平成7年には国道340号の整備で、ここもかさ上げをされています。ほとんど今水害を受けないという状況になっているんですよ。だから、まともに河川改修費を試算したら、大幅にこれ削減されるはずなんです。わかりますか、知事。
〇増田知事 今のは御質問だと思うんで、それで、この計画について今、以前も議会の方で担当している課長といろいろやりとりをされておられるようでございますが、この原始河川ということですけれども、これは現況河川というふうにお考えいただいて結構だと思います。現況に比べて、それだけの事業費がかかるということでございまして、私どももこの河川改修の工事費の積算につきましては、原始河川ではなくて現況河川を前提に算出をしておりますので、特にその点での事業費には変わりはないと、こういうふうに御理解をいただきたいと思います。
〇斉藤信委員 担当課長はそう言っていないんですよ。現況河川についてはこれから出しますと言っているんですよ。とんでもない答弁ですよ、今のやつは。精査してください。
〇増田知事 改めて申し上げますけれども、この河川改修の工事費の積算については、原始河川ではなくて現況河川を前提に算出をしておりますので、特に事業費についての差というか、事業費には変わりないということでございます。
〇斉藤信委員 実際に河川改修の事業費は、大幅にふえたんですよ、見直しをして。いいですか。何でふえるんですか。道路がかさ上げされて立派に堤防も完成されているときに、河川改修の事業費はふえているんですよ。知っていますか。
〇増田知事 さまざまな見直しは、それぞれ適宜実態に合うようにされていると思いますけれども、その上で先ほど誤差の範囲というようなお話がございましたが、現実にはやはり事業費としてダムプラス河川改修と、それから河川改修単独で数字的にも差がございます。河川改修よりも、ダムプラス河川改修の方が工事費として安い、それから移転戸数もずっと少ないと、こういうこともございますので、そうしたダムプラス河川改修をこの地域で進めていくべきものと、このように考えております。
〇斉藤信委員 結局、当面の整備計画を30年に1回にしますと、70億円のむだ使いをやるということになるのです。財政が逼迫している中で、何で70億円のむだ使いをやらなければだめなんですか。
 いいですか。お隣の秋田県は、財政が厳しいから300億円の真木ダムやめましたよ。今年度です。鳥取県は、この前200億円の中部ダムやめていますよ。そういうことをやらなかったら、財政逼迫の中で、県民に犠牲を押しつけるということできないでしょう。そう思いませんか。
〇増田知事 大変財政も逼迫しておりますし、いろいろ事業の精査、見直しをするべきものはしなければいけないと、そう思いますが、治水対策など、その中で必要なものも多々あるわけでございまして、そうしたものについては、整備をそういう中でも計画に従って進めていかなければならないものもあるというふうに思います。
 特に、この津付ダムでございますが、これは地元の陸前高田市から強く要望されているものでもございまして、市長の方も私の方に来られて、強く要望を承った経緯もございます。そうした地元の声にも十分に耳を傾けていかなければならないと、その上で事業費などもいろいろ工夫して整備を進めていければと、このように考えています。
〇斉藤信委員 陸前高田市長は今年度の要望をどういうふうにやっているかというと、総合的な治水対策を求めたんですよ。高田の水害は内水被害なんです。そういう対策はもっとやってくれというふうに今年度の要望は変わっているんですよ、知事。話、違いますよ。
 いいですか。北本内ダムは600億円の事業だったのを、河川改修にやったらたった2億円で済んだんですよ。この教訓をどういうふうに、私はこの教訓を踏まえて津付ダムは精査しなければだめだと思いますが、いかがですか。
〇増田知事 この津付ダムについて、これは私どもも事業計画をいろいろ市の御要望も受けて見直したりしてやってきているものでございます。今後もこうしたダム計画について、岩手県としては必要なものをつくっていかなければならないと、治水安全度を高めていかなければならないと、このようにも思っておりますので、ぜひ、こうした地元の要望なり県の考え方については委員の方にも御理解いただければと、このように考えています。
〇斉藤信委員 70億円のむだ使いをやるようでは、財政の立て直しはできません。指摘しておきます。
 それで、もう一つのむだ使い。花巻空港のターミナルビル建設であります。花巻空港のターミナル建設計画はどうなっているでしょうか。県の財政負担と支援額はどうでしょうか。花巻空港の利用客はどう推移しているでしょうか。ターミナルビルの耐用年数はどうなっているでしょうか。これまで300億円近い整備事業が実施されていますが、その効果は具体的にどう出ているのでしょうか。
〇増田知事 花巻空港のターミナルビルについての御質問でございますが、これについては、ターミナルの整備について、空港整備事業のスケジュールに合わせて平成19年度内に整備するように、今計画ができ上がっております。
 このターミナルビル建設についての負担の考え方でございますが、これ全体では整備費42億円ということでございます。内訳は、県が約6億7、000万円で国際線の施設を整備すると。そのほか、ビル会社の方で整備をいたします国内線施設がございますが、その中で国際線とは共用する部分がございますので、これに対しては県の方で約3億4、000万円ですが負担をしたいと、このように考えております。また、ビル会社では、御案内のとおり、なかなか資金調達がみずからでは難しいということがございますので、みずから資金調達できない資金約23億円ほどございますが、これについては県が貸し付けを行うと、全体そういう資金計画を今つくっているところでございまして、これはまだ全体さらに精査が必要だと思いますが、検討中のものでございますが、そういう考え方を今持っているところでございます。
 それから、空港の利用者数の推移でございますが、この利用客の推移、平成9年度が約55万2、000人と、ここがピークでございまして、その後やや減少してございます。16年度は約48万4、000人ということでございまして、ことしの上期は9月いっぱいまでですが、そこでは26万9、000人ということで、前年同期に比べまして5.4%増、105.4%の数字となってございます。ぜひこの数字が上向くことを期待してございますが、そういう数字でございます。
 それから、ターミナルの耐用年数でございますが、これは昭和58年に現在のターミナルビルを建設してございまして、22年経過ということになっております。税法上の耐用年数ですね、これは税法上38年ということでございますので、法定の耐用年数の残存期間があと16年あると、こういう状況でございます。
 それから、空港整備事業の整備効果についてでございますが、ことしの3月から2、500メーターの滑走路で供用開始をしているわけでございまして、国際チャーター便などで距離の長い、いわゆる足の長い国際チャーター便などに滑走路延長の効果が出ておるわけでございますが、国の事業で採択していただいたときにはこれは例の冬季の就航率の向上と――あそこはかなり気象条件、風向きなどが複雑なものですから、冬季の就航率の向上ということを理由にしているわけでございますが、こちらについてはまだこれから今年度の冬場の運航が始まりますので、その就航率についてはこの冬以降に検証したいと、このように考えているところでございます。
〇斉藤信委員 国内線の利用客は46万7、000人ですよね、平成16年でね。平成9年と比べると85%です。このように利用客が低迷している、これはチャーター便を含めてもそうですよ。低迷しているときに、耐用年数がまだまだあるとき、税法上でなくて建物から見たら60年もつんですよ、鉄筋コンクリートは。残存価格は6億1、000万円以上ありますよ。こういうまだ使えるものを壊して、なぜ利用客が減っているときにまた新たなビルをつくらなければならないか。それが42億円の事業で、貸し付けを含めると県は33億円の負担ですよ。そういうことができるんですか。財政のこういう厳しいときに。必要性が余りないときに。
〇増田知事 今、現在のターミナルビルを壊して新しくつくるということでございますが、現在のターミナルビルは、それはそれで、また利用を考えるべきというふうに考えております。
 確かに残存年数は残っているわけでございますけれども、見ておりますと、繁忙期やそれからチャーター便等の運航時にロビーや待合室が大変混雑しているという、利便性の問題がございます。それから、航空会社の使用機材に十分ターミナル機能が対応できていないという問題もございまして、航空会社の方の機材が今かなり大型化をしている中で、航空会社との交渉の中で、花巻空港の使用をどうも敬遠されたりということがあって、なかなか今苦慮しているのも一方で事実でございます。
 ことし利用客の数値が昨年より、国内線だけで今申し上げましたように5%強、上半期は伸びているところでございますが、当然そういう利用数の動向などもずっと落ち込むということではなくて、これからやはり機材が大型化すれば料金も安くなりますから、そうした利用客も今後政策によって戦略的にふやすことも可能だというふうに思っているところでございますので、そうした状況を勘案いたしまして、現在のターミナルの整備計画、こういうものができ上がっておりますけれども、その計画を進めていきたいと考えております。
〇斉藤信委員 現在の国内便の利用率を、それぞれの便ごとに言ってください。
〇増田知事 国内線の利用……(斉藤信委員「定期便」と呼ぶ)失礼しました。定期便ですけれども、利用率ですが、定期便、16年度は利用率が60.8%です。これは、ここ3年ばかり14年、15年、16年と、60.3%、60.4%、60.8%ということでございまして、ことしはまだ数値が出てございませんけれども、利用率としてはこのような利用率になっているところでございます。
〇佐々木博委員長 知事に申し上げます。
 今の質問は、便ごとにという質問でしたので……。
〇増田知事 (続) 便ごとというのは……(斉藤信委員「大阪便、札幌便」と呼ぶ)恐縮です。今、手元に資料がないので、数値ですから調べればお答えできますので、後ほどまた、よろしければ資料でお答え申し上げたいと思います。
〇斉藤信委員 私ね、花巻空港を聞くと言っているんだから、そのぐらいはつかんでいてくださいよ。
 札幌、名古屋、福岡は50%台です、利用率。大阪が71%になっているのはなぜかというと、50人乗りが飛んでいるからですよ。だから、花巻空港の拡張の緊急性って一つもないんですよ。そう思いませんか。
〇増田知事 利用率ですね、利用率は今申し上げましたような数字でそのとおりでございますけれども、あの狭いターミナルの中に、時間帯によってかなり機材が集中をすると、そういったことがございますので、今お話ございました座席の利用率とそれから飛行機の機材のやりくりですとか、そうしたことは必ずしも私はリンクしないというふうに考えてございますが、いずれにしても、この花巻空港の整備ということにつきましても、これから計画、今まで延ばしてまいりましたけれども、使用期間、供用予定を2年繰り延べているところでございますけれども、今後ともそうした今お話ございました状況、さらには県の財政状況を見きわめながら適切な事業の進捗に努めていきたいと考えております。
〇斉藤信委員 ターミナルビルの資金計画、返済計画はどうなっていますか。私は今二つ聞きましたが、不要不急の大型開発について見直さなかったら、知事は何を見直すんですか、大型開発について。
〇増田知事 大型開発ですけれども、やはり見直すべきものは見直しをする、あるいは中止するべきものと判断されたものは、今までも中止をしてまいりました。それから、事業費が大きくかかりますけれども、やっぱり推進をしていかなければならないものは地元負担を最小にしつつ、進めていかなければならないというものもございます。そのための資金手当てをきちっと行うということでございまして、大型ということイコール直ちにむだということに結びつかない、そこにいろいろ評価があって、そういう中でも必要なものについては資金手だてを十分に工夫しながら推進していかなければならないものもあると、このように考えております。(斉藤信委員「答弁漏れだ、資金計画を聞いたでしょう」と呼ぶ)
 資金計画は、先ほど花巻空港については答弁を申し上げたところでございますが、それが資金計画でございます。(斉藤信委員「返済計画と言ったでしょう、ターミナルビルの。返せないでしょう。ターミナルビル、こんなに借金して。暫時休憩か。」と呼ぶ)
 そこについては先ほど御答弁申し上げましたが、この資金計画自体まだ検討中のものでございます。これは具体的にこうしたものを県として財政負担をするというときに、改めて全体像を議会の方にお諮りをして御審査いただくものでございまして、先ほどの資金計画自体もまだ検討中、改めてまたそうした点についてはつくって、御判断いただければと思っております。
〇斉藤信委員 答弁漏れが続いていて残念なんだけれども、600億円の財源不足が出るから、大規模事業の再見直しというのが今検討されているんです、あなた方が。だから、今私が言ったような不要不急のこういう大型開発を従来どおり進めるようでは、財政再建になりませんよ。何かあったらお答えください。
〇増田知事 大変恐縮ですが、少し繰り返しになる部分がございますけれども、大型開発が直ちに不要不急というものではなくて、やはりそこにしっかりとした評価があるわけでございまして、財政的には新幹線の建設費も含めてかなり大型の財政負担を伴うものがございまして、それがきちっとした効果を出しているものも数多くあるわけでございます。ですから、もちろん、むだ、不要不急のものは抑えなければいけませんが、大型開発だからといって直ちにそうするのは、やはりしっかりとした評価をした上で、私どもも、財政の制約も一方でございますが、評価をしっかりとした上で進めるべきものは進めていきたいと、このように考えております。
〇佐々木博委員長 ただいま斉藤信委員から、花巻空港の国内便の利用率について答弁を求める旨の発言がありましたが、現在総括質疑の最中でありますことから、議事の進行上、資料の提出は部局別審査の際に求めることとしたいと思いますが、斉藤信委員、それでよろしいでしょうか。
〇斉藤信委員 返済計画も含めて、なければないという答えを出してください。
〇佐々木博委員長 返済計画についてはないという答弁ですので。(斉藤信委員「ないのか。驚くべき計画じゃないの。」と呼ぶ)
〇佐々木博委員長 それでは、斉藤信委員から要求のあった資料については、部局別審査の際に提出を求めることといたしますので、執行部においてはあらかじめ事務局に提出されるよう、お願いをいたします。
 次に、小野寺好委員。
   〔小野寺好委員質問者席に着く〕
〇小野寺好委員 公明党の小野寺好であります。
 県総合計画の2番目の柱の16年度決算に関し、初めに住環境についてお尋ねいたします。
 最近の国内外における地震災害の甚大化に伴い、建物の免震構造、耐震化への関心が高まっております。特に、公共施設などを優先とした耐震診断、耐震補強が進められておりますが、大規模地震の際、避難所生活を余儀なくされるであろう圧倒的多数の住民が住む一般住宅は、直ちに耐震工事を行える状況にはありません。
 そこでまず、公共施設の耐震対策、特に避難場所となる施設に対しどれだけの対策が講じられたか、また、民間の一般住宅に対してはどのような考えで対処してきたか、及び不特定多数が出入りする大規模店舗や映画館のような施設に対し、耐震改修促進法による県の指示の効果等はいかがであったか伺います。
〇竹内副知事 大規模災害時に避難場所となる公共施設の耐震対策のお尋ねですが、これは主に学校等が避難場所になってくるわけですけれども、これの耐震化を早急に図る必要があるというふうに考えております。
 平成17年4月1日現在の耐震化の状況は、市町村立小中学校では、全棟数1、878棟中926棟で耐震化が図られておりまして、耐震化率は49.3%となっております。県立学校の方は、全棟数412棟中311棟で耐震化が図られておりまして、耐震化率75.5%になっております。
 今後とも、市町村立小中学校に対しては、計画的に改修工事を実施するよう市町村を指導していくとともに、県立学校においても、計画的に鋭意耐震化に取り組んでいきたいと考えております。
 それから、一般住宅の耐震対策ですが、県では、平成16年度に、簡易に耐震診断を行うための住宅の耐震診断リーフレットを県民の皆さんに幅広く配布いたしましたほか、県のホームページに掲載するなど、耐震診断に対する普及啓発を図ってきたところでございます。
 今年度は、木造住宅耐震診断士の養成と、個人が行う耐震診断に市町村が補助を行う場合に、その費用の一部を県が助成する木造住宅耐震診断支援事業を創設しておりまして、10月末までに592名の耐震診断士の育成を行ったほか、市町村における事業執行体制の整備を図っているところでございます。今年度から5年間で5、000戸の診断助成を予定しておりまして、今後とも引き続き、市町村や建築関係団体とも連携を図りながら、耐震診断事業の推進に努めてまいりたいと考えております。
 それから、大規模な店舗等の耐震対策でございますが、これは3階以上かつ2、000平方メートル以上の大規模店舗、映画館などの不特定多数が利用する特定建築物について、必要な耐震診断又は診断改修が行われていないと認められるときは、この所有者に対して県又は盛岡市は必要な指示をすることができるとされております。県としては、3階以上かつ1、000平方メートル以上の大規模店舗や映画館等については、平成8年度と15年度の2回にわたって、文書によりまして所有者又は管理者に対して耐震診断・改修の指導を行いました。このうち、2、000平方メートル以上のものについては、個別に所有者に対して現地で指導を行ってまいったところです。
 耐震診断や耐震改修は、県民の安全性を確保するために重要と認識をしておりますので、今後、この耐震改修促進法の趣旨を踏まえながら、耐震性の向上を図ることについて普及啓発を進めてまいりたいと考えております。
〇小野寺好委員 次に、合理的で快適だと言われるマンションが特に盛岡市において急増しておりますが、新たな居住環境の変化という観点からお尋ねいたします。
 従来の市街地に急に何棟ものマンションが建設された場合、まず、小中学校や町内会組織に当然影響が出ますし、地震や火災等による災害の際のはしご車などの機能の限界等、懸念材料が想起されます。さらに、地上数十メートルに孤立して生活した場合の精神面への影響、特に子供や高齢者にはどのような影響があるのか、研究レポートなどがありましたらお伺いいたします。
 また、公営住宅におけるエレベーター等の設置、階段歩行に困難を来たすようになった高齢者の下層階への住みかえ許可など、高齢社会への対応についてどのような対策を講じてきたかお伺いいたします。
〇竹内副知事 マンションと居住環境に関するお尋ねですけれども、盛岡市の場合、立地に当たって、市の条例に基づいてマンション建設者と地域住民との間の意見調整のあっせんを行っております。したがいまして、マンションと周辺居住者のなるべく意見を調整するというような状況をつくっているということです。
 それから、はしご車の話がございましたが、これは今県内に12台配備されておりまして、はしご車からの直接の消火活動というのは12階ぐらいが限界になっております。こうした高層建築物につきましては、スプリンクラーの設置とか消防隊専用のエレベーター設置義務、これが付されておりまして、これらは個別の建築指導の中で適切に運用がなされております。
 それから、高層階層での生活が子供に対してどういったような影響を与えるかについてという研究についてですが、これは、平成6年度厚生省心身障害研究として、生活環境が子どもの健康や心身の発達におよぼす影響に関する研究というのがされておりまして、リポートになっております。高層階居住の子供の方が低層階居住の子供に比して、友達と遊ぶ割合は少ない傾向にあるといったような研究報告がなされております。今後は、こうしたことについても、よく勉強してまいりたいというふうに考えております。
 それから、高齢社会に対する公営住宅の対応ですが、県営住宅につきましては、建てかえや改修に当たって、平成2年以降のものについては室内の床の段差解消、階段及び浴室への手すりの設置、水栓のレバーハンドル化等の高齢者仕様による整備を進めております。現在、管理戸数の41.7%に当たる2、135戸が高齢者仕様となっております。建てかえや大規模改修を行っていないものについては、階段部分の手すりを、これは平成16年度以降順次設置を進めておりまして、平成19年度に完了を予定しております。
 エレベーターにつきましては、平成6年度以降に建てかえを行った3階建て以上の県営住宅には、すべて設置しております。
 既存住宅のエレベーター設置につきましては、今後、大規模改修等に際して設置に取り組むよう検討してまいりたいと考えております。
 それから、入居している高齢者で、加齢、病気等によって日常生活において身体機能上支障のある方につきましては、入居者の要望に沿って、下層階への住みかえ等を認めることとしております。
〇小野寺好委員 次に、県民生活センターについてお尋ねいたします。
 ますます巧妙、悪質化する振り込め詐欺や住宅リフォーム詐欺に対し、多くの善良なる県民は対応策を持ち合わせておりませんし、被害を受けたとわかってから警察に届けを出したところで、ほとんど救済は望めません。そこで、消費者保護の観点から、県民生活センターの果たす役割に期待を寄せたいと思いますが、これまでの体制でいかほどの効果を上げてきたか、新手の欺罔方法に対する対策、研修についてどのような取り組みがなされたか伺います。
 また、新たな被害者を出さないために、具体的被害例から学んだことをどのように生かしているかお伺いいたします。
〇竹内副知事 県民生活センターの役割と取り組みですが、センター及び地方振興局の消費生活相談室におきまして、現在31名の生活相談員が消費者からの相談に対応しておりまして、クーリングオフ制度の助言や苦情解決に向けたあっせん及び苦情の多い事業者への指導を行っております。また、内容の複雑な相談事例などにつきましては、来所による相談に対応いたしております。
 悪質な事例につきましては、警察や市町村、弁護士会等と密接な連携を図りながら、消費者苦情及び紛争の解決に努めておりまして、平成16年の相談件数1万8、780件、このうち約77%の1万4、431件についてクーリングオフなどの解決に導いておりまして、被害者救済の観点から、効果を上げてきているものというふうに認識をいたしております。しかしながら、相談件数は増大する傾向にありますことから、これは相談員の弁護士から毎月助言を得て事例研究会を開催するなど、生活相談員の研修を実施しておりますほか、悪質商法による被害を未然に防止するために、新聞紙上や県の情報紙、ホームページ、市町村広報紙による情報提供によりまして、消費生活に関する知識の普及啓発を図っております。
 このほか、県民生活センターにおいて、県民の方々に具体的被害例を学んでいただくなどのため、悪質商法対策特別講座や消費生活セミナーを実施いたしますとともに、高齢者等の消費者教育の機会を得にくい消費者のために、出前講座などを積極的に実施をいたしております。
〇小野寺好委員 次に、災害時医療と防災ヘリの災害・救急出動の実績についてお尋ねいたします。
 災害現場に駆けつけた医師らが、傷病者を4段階に識別して収容・治療するトリアージ・タッグと呼ばれる医療手法について、各地の災害現場で大きな効果を上げていると報道されております。また、活動形態が自己完結型とも言うべき医療チームとして、国の目指している災害医療派遣チームがあります。本県の取り組みはいかがでしょうか。
 なお、救急出動にも活躍している防災ヘリの増機、ドクターヘリの導入について以前お伺いしたことがありますが、その後、検討がなされたかどうかお伺いいたします。
〇時澤総務部長 防災ヘリの出動実績につきまして私の方から申し上げます。
 直近の16年度の実績で申し上げますと、災害・救急における出動71件でございます。うち、火災出動4件、救助出動44件、救急出動23件でございます。例年に比較しまして、火災出動が少なくなっているほかは、おおむね同程度の件数となっているものでございます。
 それから、防災ヘリの増機でございますが、これまでの出動・飛行時間あるいは他県の防災ヘリ等との相互応援体制が確立しております。このような実態にかんがみますと、直ちに2機目の整備を必要とする状況にはないというふうに考えているところでございます。
〇竹内副知事 トリアージ・タッグのお尋ねでございますが、災害現場における患者のトリアージ・タッグにつきましては、阪神大震災を契機に、平成7年度末に国がこれを標準化したことによりまして普及が進んでおりまして、県内の災害拠点病院、11病院を指定しておりますが、この病院においてもタッグを購入、配備しておりまして、緊急医療に対応可能となっております。また、これらの各病院においては、それぞれに訓練も行っております。
 次に災害医療派遣チーム、ディーマットについてのお尋ねでしたが、これは新潟中越地震を契機に、厚生労働省において全国200チームを目標に整備を進めているもので、国のこうした取り組みを受けまして、本県におきましても、16年度岩手医科大学に災害医療派遣チームを整備したところでございます。このほか、日赤病院については従前から派遣体制が整っております。
 それから、ドクターヘリについてですが、これは、これまでいろいろな検討を行ってまいりましたが、ヘリコプター、ヘリポートの整備、医療スタッフの配置等のいろいろな課題がございますことから、まずは既存の資源であります防災ヘリを積極的に活用する中で、防災ヘリコプターによる患者搬送の実績を検証しながら、その整備について検討することといたしております。
〇小野寺好委員 次に、高齢者が急増し続けている社会構造になっていますが、高齢者が介護を必要とすることのないような健康づくりや疾病予防策はどのように図られたか。また、障害者も積極的に外出していくには、公共施設への車いす対応トイレ、オストメイト対応トイレの導入が不可欠でありますが、昨年までの実績をお伺いいたします。
〇竹内副知事 高齢者の健康づくりや疾病予防につきましては、これは市町村による老人保健事業を中心として展開しているところでございまして、健康教育、健康相談、健康診断、機能訓練等の事業を実施しております。
 平成16年度の主な実施状況は、集団健康教育の参加人員が延べ18万3、000人、それから保健センター等で指導助言を行う総合健康相談の利用人員が延べ10万7、000人となっております。平成12年度からは疾病予防を主眼とする老人保健事業の一環として、高血圧、高脂血症、糖尿病、喫煙の4領域について個別の健康教育も実施しておりまして、これには平成16年度、県内市町村で延べ625人が参加しております。
 県では、保健師や栄養士等の健康指導者の養成研修を行うなどによりまして、こうした市町村による老人保健事業の円滑な実施を支援しているところでございます。
 次に、車いす対応トイレの整備状況ですが、公共施設のうち、県が管理する施設につきましては、庁舎133施設中110施設に車いす対応トイレを整備済みでございまして、16年度は4施設において整備を行っております。
 それから、オストメイト対応トイレの整備状況ですが、これは平成16年度末の公共施設におけるオストメイト対応トイレの整備数は33施設になっておりまして、前年度比で17施設増加しております。県が管理する施設につきましては12施設を整備済みで、16年度4施設の整備を行ったところでございます。ことしは道の駅3施設を初め、県営野球場や県立博物館など8施設において、オストメイト対応トイレの整備を予定しております。
 今後とも、オストミー協会等とも連携をしながら、要請の高い施設から順次整備を進めてまいりたいと考えております。
〇小野寺好委員 次に、治水対策、防災対策としての県管理河川について改修実績をお尋ねいたします。
 はんらんが予想される多数の河川のうち、優先すべきは人口密集地域であります。県人口の2割を占める盛岡市では、農業用水として活用されてきた木賊川や南川などが住宅密集地を流れる結果となり、豪雨のたびに日夜不安な状態に置かれることになります。これら河川の早期の対策が求められてから久しくなりますが、昨年の改修実績はいかがであったか伺います。
 また、非常時にすべて行政に頼るのではなく、地域住民が結束してみずからを守っていこうという考えから、地震等に備える自主防災組織も各地で発足していますが、近年の実態はいかがでしょうか。
〇竹内副知事 河川改修の実績についてでございますが、16年度は国庫補助事業で21河川、県単事業で50河川において、全体事業費68億8、000万円余を投入いたしまして河川改修を実施したところでございます。平成16年度末の整備率は46.4%となっております。
 なお、木賊川におきましては、従来、災害復旧等によって整備をしてきたわけですが、平成16年度県単河川改良事業や河川災害復旧事業によりまして、堤防のかさ上げや護岸工を延長約200メートル施工いたしております。
 それから、南川ですけれども、これは国道4号から下流区間において用地取得を進めたほか、上流部につきましては、平成16年度までに528メートルの河川改修を行ったところでございます。
 今後とも、洪水被害から県民を守るため、着実に整備を進めてまいりたいと考えております。
 自主防災組織の現状についてでございますが、平成17年4月1日現在の本県の自主防災組織率は59.6%になっておりまして、前年度0.2ポイントの増となっております。
 ちなみに、内陸都市部及び県北部では低い組織率となっておりまして、大規模災害時の地域での初動活動における自主防災組織の重要性をかんがみまして、今後とも自主防災組織の育成強化に努めてまいりたいと考えております。
〇小野寺好委員 木賊川についてはことしもまた被害が出ていますので、さらに促進されることを望みます。
 次に、青少年犯罪の実態等についてお尋ねいたします。
 仕事を持たないばかりではなく、警察などの世話になる少年が増加し続けた場合、社会保障制度や治安などの面からこの社会は破綻いたします。昨今、全国的に刑法犯罪の大半を少年や20代の青年が占めていると聞いておりますが、本県の傾向はいかがでしょうか。
 安全な暮らしの実現が県政の重要課題となっている現在、青少年犯罪の実態と、これに対してどのように取り組んできたのか、お伺いいたします。
〇竹内副知事 青少年犯罪の実態等についてですが、県ではことし、いわて青少年育成プランを作成いたしまして、県、市町村、関係団体が連携してこの推進を図っているところでございます。
 青少年犯罪のうちでも、街頭における青少年犯罪は近年増加傾向を示しておりましたが、平成16年は、20歳未満の少年刑法犯の補導件数が1、246人と、対前年比で15%程度減少しております。これは、昨年度から警察、教育委員会、市町村、防犯協会等の各種団体、それから民間ボランティア等が連携して取り組んでいるいわて非行防止チャレンジ1000作戦など、地域ぐるみで取り組んできた総合的な少年非行防止対策の成果であるというふうに考えております。
 今後とも、青少年の犯罪の抑止を図るとともに、さらなる健全育成に努めてまいりたいと考えております。
〇小野寺好委員 最後に、防犯対策についてお尋ねいたします。
 被疑者が逮捕されれば、完全に社会から放逐されるわけではなく、禁錮や懲役刑の後社会復帰いたします。犯罪者の更生支援対策は国の責任においてなされておりますが、刑を終えた者の再犯防止、更生保護は重要課題であります。自活手段を持たない者を排斥して済む問題ではなく、また、再び加害事件を起こす可能性のある者から一般の住民の安全な暮らしを守る観点で、県はこの課題にどう対応してきたかお伺いいたします。
 また、犯罪被害者支援についてでありますが、本県では、昨年の9月定例県議会で、犯罪被害者の権利と被害回復制度の確立を求める意見書を議決し、国の関係機関に送付いたしました。その後、我が党や自民、民主の3党合意による議員立法として犯罪被害者等基本法案が提出され、12月1日に成立いたしました。現在のような殺伐とした社会状況では、いつ、だれが、犯罪の被害者になるかわかりません。万一、そのような状況になった場合、被害者が自分の権利として、さまざまなサービスを受けることのできる環境整備が必要であります。本年4月1日、この基本法が施行され、地方公共団体の責務が規定されたところでありますが、本県における犯罪被害者支援の取り組みや法施行に伴う今後の取り組みについてもあわせてお伺いいたします。
〇竹内副知事 犯罪の再犯防止対策についてでございますが、県といたしましては、犯罪者の更生支援に重要な役割を担っている保護司の活動を支援するため、岩手県保護司会連合会が主催する更生保護研究大会の開催経費の助成を行っております。また、法務省が主唱する社会を明るくする運動に参画し、関係機関と連携し、県の広報媒体等により、広く県民に犯罪のない明るい社会の構築を呼びかけておりまして、今後ともこうした犯罪の再犯防止について側面的な支援に取り組んでまいる考えでございます。
 それから、犯罪被害者支援についてですが、現在、県警察における対応策といたしまして、被害者に対する捜査状況等の速やかな情報提供や、電話相談窓口の設置等による相談体制の強化、それから捜査過程における諸経費、例えば診断書とか診療費用とか、そういったものの給付、暴力団事件における被害者の安全の確保など、そういった被害者支援に力を入れております。それから、民間の被害者支援団体でありますいわて被害者支援センターと連携いたしまして、被害者の心の傷を専門的にサポートすることにも財政支援を行っております。ことしの4月、犯罪被害者等基本法が施行されましたが、国におきましては、この法律に従って、ことしの12月を目途に犯罪被害者等基本計画が策定されることになっておりまして、これに基づいて地方公共団体も地域の状況に応じた施策を策定することとされております。こうしたことを踏まえまして、県としても被害者支援に取り組んでまいりたいと考えております。
〇小野寺好委員 終わります。ありがとうございました。
〇佐々木博委員長 次に、阿部富雄委員。
   〔阿部富雄委員質問者席に着く〕
〇阿部富雄委員 民間にできることは民間にを原則に、観光宣伝業務を財団法人岩手県観光協会へ移管。指定管理者制度の創設など外部委託を進め、平成16年度は8事業を移管。職員の人件費相当額を含む7、483万円の経費削減が図られたとしています。しかし、行財政構造改革プログラムでは、全体的に取り組む件数が少ないという課題があるとしています。取り組む件数が少ないということはどこに問題があり、なぜ解決できないのかお聞きします。民間にできて官ではできないという発想、安易に民間への移管や外部委託という選択ではなく、効率的で県民の利益のための仕事のあり方を考えるべきです。職員個々の能力や力量を生かし、やる気を引き出すことなしに行う民間への移管や委託は、ますます官の政策形成や業務運営能力を衰退していくことになります。職員の仕事のあり方と民間への移管、委託についてはどう整合性を図っていくのか、お聞きします。
 国においては、公共サービスの向上、公共サービスの効率化、民間のビジネスチャンスの拡大を目的に、これまで官が独占してきた公共サービスについて、官と民が対等な立場で競争入札に参加し、価格、質の両面で最もすぐれた者がそのサービスの提供を担っていく市場化テストを制度化しようとしています。本県では市場化テストについてどう対応されていくのか、お聞きいたします。
〇相澤総合政策室長 私の方からは外部委託についてお答えを申し上げたいと思います。外部委託の検討対象事業、全体で700事業ほどございますけれども、このうち、現在約370については実施済みでございます。しかしながら、新たに外部委託をしたものは、平成15年度は6事業、16年度は16事業ということで、ここに来て件数が少ないといった状況になっているところでございます。そこで、残りの330につきまして調査を行ったところでございますが、国からの委託調査など法令による制限、あるいは機密情報の保持の確保といった問題、あるいは業務量が小さくてコストの削減が期待できないといった理由がございまして、約9割が現時点では難しいといった状況にございます。残った1割については、17年度以降、外部委託をしてまいりたいと考えております。難しい9割につきましても、業務量をまとめていく、あるいは法令等による制限の緩和を国に働きかけていくといった取り組みをしながら、解決につなげてまいりたいと考えているところでございます。
〇時澤総務部長 私からは仕事のあり方につきましてお答えさせていただきます。
 まず、仕事を進めるに当たりましては、職員一人一人が県民の視点に立って、県民のためによりよいサービス、よりよい価値を提供することは何かということを考えることが重要であると考えております。ともすると行政本位になりがちな仕事の仕組みややり方、こういったものを改善していくことが重要であると考えております。このような考え方から、現在、行政品質向上運動、行政の質を高める運動というものに取り組んでおりますし、また、職員の能力アップということにも力を入れておりまして、政策形成能力、業務遂行能力の育成のための研修にも力を入れております。16年度からは行政品質向上運動の一環といたしまして、業務のプロセスを改善するという観点から、最小限のコストで今以上に質の高いサービスを提供する仕組みづくり、しかも、それを職員が常に改善・改革を求め続ける風土づくり、このようなことを民間の手法を取り入れまして現在行っておりまして、全庁的に浸透させていくこととしております。民間への移管、委託につきましても、最小限のコストで質の高いサービスを提供する仕組みづくりの一環として、このような観点が大事だと思っておりますので、民間のノウハウ等を活用することにより、サービスの向上が図られるものについて進めていくこととしていきたいと思っております。
〇増田知事 市場化テストについて、県の対応についてのお尋ねがございました。この市場化テストというものは、公共のサービスがありますと、その提供について官民で競い合って競争入札を行って、価格と質の面でよりすぐれた方がそのサービスを提供していくという制度だと理解しております。一般的にそのことによる効果として、サービスの質が向上するのだということ、それからコストの削減が図られる、また民間でのビジネスチャンスが広がるのだという効果があると言われているわけでありますが、しかし、制度の導入に当たっては、例えばコスト削減というものもありますが、それが図られればそれでいいというわけにもいかないわけで、災害などの重大な危機管理に直結するもの、私人の権利義務に直接制限等を及ぼすものは除外するといったような、適用するサービスの範囲というものをやはり見きわめていく必要があると考えております。現在、国の方で18年度からの導入に向けて法案を準備中、そして国会に提出するということを聞いているところでございまして、まだその内容がつまびらかにはなっていないわけでありますけれども、県の方では、民間でできることはできるだけ民間にゆだねるということが原則になるわけですが、やはりそれぞれの行政サービスの性質に応じて最も効率がよく、そして質の高いサービスを提供することが何よりも重要だという認識を持ってこの分野に取り組むこととしておりまして、この制度をどのように活用していくことができるか、また、行政サービスにおける総費用のデータ把握、この内容の開示のあり方などについて、今後検討していく考えでございます。
〇阿部富雄委員 次に、自動車関連産業への対応についてお伺いいたします。
 県内中小企業の自動車関連産業への参入を促進するため、コーディネーターによる生産工程の改善指導、企業や大学が有する技術の展示会、技術アドバイザーの設置などを支援しています。自動車の部品は9万から10万個と言われ、関東自動車岩手工場では約3、000個の部品を組み立てていると聞いています。こうした部品の多くは中部圏を中心とする地域から調達されています。部品を供給している企業は、他の企業には絶対渡さないとの信念で取り組んでいると聞いていますし、県内や宮城県に生産拠点を移しています。しかも、関東自動車が操業した五十有余年にわたり、高度な技術による品質管理、極限までのコスト削減を行っています。モジュール品や輸送コスト等の関連での部品供給は期待できますが、県は自動車部品のどの分野の製造を目指して支援していくのか、お聞きします。
 県は、産業人材の育成や地場産業を育てる、先端技術をつくる、有力部品メーカーを連れてくるの3視点で取り組んでいます。自動車関連産業をめぐる厳しい状況を考えるとき、育てる、つくるも大事ですが、連れてくることに力点を置くことが現実的と考えますが、県の対応についてお聞きします。
 自動車関連産業を柱とする産業基盤づくりについては宮城県と連携を図ることにしていますし、山形県も自動車関連産業の育成に力を注いでいます。3県に早急に求められるのは物流インフラを整備することです。在庫を抱えることなく行われる自動車組み立ては、部品の納入が生命線です。関東自動車への部品納入は国道4号を使い、トラック輸送で行っています。国道4号の4車線化が進まず、渋滞に巻き込まれ期限内納入が危ぶまれ、運送業者との連携は欠かせないとのことです。国道4号を補完する新たな道路の整備、間もなく開通する三陸縦貫自動車道登米インターから国道342号の整備など、物流インフラを早期に整備すべきですが、対応についてお聞きいたします。
〇増田知事 自動車関連産業への参入についてですけれども、これは確かに高い品質保証やコスト低減、そして短納期など、ものづくりの中では大変高いレベルが要求されます。こうした要求に対応でき得る企業を育成するためには、工程改善などの企業指導が不可欠でございまして、今、そうしたものを関東自動車のOBの方などの協力もいただいて行っておりまして、何とか地場企業がそうしたところに入れるように参入支援を進めてきているところでございます。こうした取り組みで、全体で見ますと現地調達ニーズの高い、軽量でもかさばる部品、それから重量のある重たい部品、プレス部品ですとか、内装のプラスチック部品、シート、マフラー、こういったようなものですが、これは愛知の方から運んでくるというのは大変不利でございますので、こうしたものについては地元での参入が進んできていると考えております。
 今後についてでありますが、今、委員の方からお話がございましたとおり、自動車関連部品というのはモジュール化が進んでおります。それから電子化も進んでおりますので、こうした全体の部品の動きに的確に対応するような競争力の高い企業の育成が求められるということでございまして、モジュール部品の流通に向けましては、地場企業のグループ化による共同受注の取り組みを推進しているところでございます。また、本県のものづくりの分野で言いますと、従来から電気機械産業が強いという本県の持ち味がございましたので、こうした電気機械産業との融合を進めて、いわゆる電装部品、電子制御部品や計器のたぐいでございますが、こういった電装部品に参入をしていきたいということ。さらにその先の目標としては、一段と高い品質や技術が求められる動力系部品、駆動あるいは制動系の部品ですが、こうした動力系部品などへの参入が果たされるように、関連諸施策の一層の充実を図っていきたいと考えております。
 それから、人材の育成、地場企業を育てる、こういったような育てる、先端技術をつくる、これは委員のお話のとおり、確かに少し時間もかかりますし、即効的な効果としては、やはり連れてくるということに力を置くことが必要であると考えております。この自動車産業の誘致のためには、私ももちろんでございますが、副知事もそうでございまして、いわゆるトヨタグループ全体のトップに対してのトップセールスをたびたびこれまでも行っております。ことしも、現会長あるいは現社長、関東自動車工業の社長、担当役員等に何度も直接会って、かなり時間をとって、本県のこうした自動車産業誘致についての考え方を説明しているところでございますし、そのほか名古屋での企業誘致セミナーの実施、本県の産業振興策のプレゼンテーションを行うなど、さまざまなイベントも行ってまいりました。それから、これは宮城と合同でございますが、具体の企業を現地に連れていっての展示商談会といったものも行っておりまして、トヨタグループの主要企業などの多くの参加者を集めるなど、それぞれの相乗効果というものも出てきているところでございます。こうした活動を通じて、昨年の11月の関東自動車工業の増産発表後、県外の自動車部品メーカー4社がこれまでに立地しているなど、こうした連れてくるということについても成果が出てきていると思っております。また、現在も水面下で数社の企業との折衝を行っているところでございます。やはりこうした育てる、つくる、連れてくる、特に連れてくるは即効的効果が大きいものですから、これにもうんと力点を入れて取り組む。それに人材育成の視点も加えて、今後も施策の拡充に努めていきたいと思います。
 こうしたことを宮城、山形などとも連携して効果的に進めていくためには、やはり物流インフラの整備というものも重要でございまして、国道4号については、平泉バイパス、水沢東バイパス、そうしたものの整備が進められています。これは国にさらに強く働きかけていきたいと思っております。
 また、登米インターからの宮城方向からのアクセスということでございまして、これは国道342号の花泉バイパスのここが重要な路線でございますので、今、圃場整備事業とあわせて用地取得を進めているわけでございます。この用地取得事業をさらに進捗いたします。これは将来、国庫補助を入れていかないといけない路線でございますので、そうした用地取得の状況を見ながら、国の方ともよく協議をして、その進捗状況を見ながら工事に着手したいと考えております。
〇阿部富雄委員 そこで、自動車関連産業にかかわって、県の施策というのは特別の支援を行っているというような印象を県民は多く持っているのではないかなと私は思っています。本来、企業の技術力向上だとか品質管理、経営などというものづくり基盤というのは企業みずからが行うものだと私は思っています。既に岩手県においては産業振興センターなどで十分な支援をしていますから、行政はインフラの整備であるとか、あるいはファンドなどの支援にとどめるべきではないのか。
 そこで、県とすれば企業の基盤整備のあり方をどう考えるのか。それにかかわる行政のかかわり方はどのようにあるべきだとお考えなのか、お尋ねをしたいと思いますし、あわせて、自動車産業集積のために工業技術集積センターを設置しております。この成果、評価はどのように行っておられるのか、お聞きいたします。
〇増田知事 企業へのさまざまな支援策、この自動車関連については特に力を入れてやっています。御承知のとおり、そもそも社会インフラの方が本来の役割分担ですと、やはり公共が一番中心に担う役割なのだろうと思うわけでございますが、今はどの県も産業政策として伸ばすべきところに的を絞って、相当強力な産業政策を実施していかないと、どうしてもやはり他県との競争に負けてしまうというところもございます。本県がこれから大きく地域社会をいろいろ維持していくためにも、強い産業を持つということが大変大事でありますので、総花的ではなくて、やはりこれから競争力を、今までの蓄積を踏まえると間違いなく勝ち取ることができる、あるいは大いに可能性があるというものについては、企業との適切な役割分担を踏まえながら、行政として少し踏み込んだ支援もやっぱりしていかないといけないのではないか。特に自動車産業について言いますと、従来から関東自動車工業の工場があるということで、東北近県の中で本県は大変優位性を持っているということがございますのと、一方で、国内全体を見ると、九州が年間100万台生産構想という大変大きな構想で、今、各県で集中的に取り組んでいます。その九州に匹敵するような地域にこの東北がなる可能性も一方で秘めております。したがって、企業との役割分担ということは、委員お話のとおり、常に踏まえる必要がございますけれども、本県としての競争力を大いに増していく上でも、この点については県民あるいは議会の皆さんの十分な御理解をいただきながら支援などをしていきたいと考えるものでございます。
 そうした中で、ただ単に財政支援ではなくて、工業技術センターがございまして、そこでの地場の企業との共同開発ということも、自動車関連産業集積を進めていく上では非常に有効な武器でございます。ですから、工業技術センターについてさまざまな官民の共同研究を促すようなことを今進めているわけでございますが、この工業技術センターでそうして行っておりますさまざまな事業の評価については、これはこれでまた私どもも一つ一つの事業評価と、それから中で行っております研究の外への情報開示をしっかりと行って、そうした工業技術センターのさまざまな人材、技術開発能力がより地元の企業の支援につながるようにもっていきたいと考えております。
〇阿部富雄委員 次に、隣接県との連携についてお伺いいたします。
 本年9月に北東北のグランドデザインが策定されました。地域に魅力と活力のある東北など三つの姿を描き、これら実現のために考えられる取り組み例をアイデアとして提示しています。したがって、3県の役割分担や各県の具体的な取り組みが明らかにされているものではありませんし、官主導から市町村、住民を含めた連携への道筋もありません。アイデアから具体の政策へ、市町村、住民の理解、参加を含めた連携をどのように展開していくのか、お聞きします。
 同じ隣接県である宮城県とは、岩手・宮城県際連絡会議や課長レベルでの意見交換会で個別、具体の課題を検討の俎上に上げ、取り組みが進められています。両県知事が親密な関係にあっても、今回の宮城県知事選挙に見られるように想定外の事態も発生します。県際連携に当たっては、両県のトップの相互理解とビジョンが不可欠です。加えて、北東北3県連携でも言えることですが、知事がかわることにより連携にも微妙な変化があらわれます。所期の目的や理念を達成するには、知事がかわっても組織体での取り組みの継続性が求められます。個別の課題にとどまらず、産業、観光、学術など全般について包括的な連携協定を締結し、常設協議機関を設置して連携を図るべきです。新宮城県知事とはどのように連携関係を構築していくのか、お聞きします。
 県際地域は無限のポテンシャルを持っており、これをいかに引き出すかが重要であり、関係市町村や住民が一体となり取り組むことにより成果を上げることができるものと思います。そのためには、県際振興局の果たす役割は大きいものがあります。本庁の課長レベルの意見交換会に地方振興局や地方振興事務所も加えるとともに、地方振興局長へ予算などに関する裁量権を拡大し、会議の場で内容のある連携策が実るようにしていくとしていますが、どのような取り組みがなされているのか、お聞きいたします。
〇増田知事 隣接県、特に宮城県との連携についてのお尋ねでございますが、まず、その前提として、北東北3県のグランドデザインについての御質問がございました。このグランドデザインは、北東北3県連携が次のステップ、次のステージに入ったという認識のもとで、今後の共通の地域経営の方向性を示すいわばガイドラインとなると認識しております。そして、9月に当県で北海道・北東北知事サミットがございました。その中でそれぞれ各道県知事間で連携の具体的な事項について取り組みが合意をされております。公設試験研究機関相互の機能分担ですとか、あるいは県境をまたいだまさに県際地域ですけれども、そこについては産業振興を図るための各県の産業担当部長による検討組織の設置など、全体で8項目ございますが、こうした取り組みが合意をされましたので、これを今後より具体化をしていきたいと考えております。当然、住民の皆さん方、地域の皆さん方との意見交換も大事でございますので、そうした意見交換会などを設置していくということでございまして、いずれはこうした今までの北東北3県の連携の実績、成果を踏まえ、さらに次の展開を進めていくと同時に、こうした3県連携の実績というものを踏まえながら、やはりこれを宮城県も含めた東北全体への大きな連携へつなげていくことが大変重要ではないかと考えて、これからそういうもっとスケールの大きいような見方と、それからやはりそれぞれの各県との連携というものが図られるようにしていきたいと考えております。
 それで、宮城県との連携でございます。宮城県側は今回知事が交代をするわけでございますが、宮城県は東北の中でも経済力が大きいわけでございまして、宮城だけでなくて東北全体の発展のために新しい知事も今後行動していかれるのだろうと思うわけでございます。今後、私どもも隣県として、同じ東北全体の発展を視野に入れながら、それぞれの地域をよくしていくという視点で連携を進めていく考えでございまして、新しい知事の具体的な県政運営の方向性というものが、今後、就任されてから出てくるのだろうと思いますけれども、我々は、いずれにしても両県にとって大変メリットが大きい、そして今までの実績も踏まえて、これからさらに連携を進めていかなければならないところ、そうしたものについてはより関係を深めて成果が上がるようにしていきたと考えております。そのために新しい知事とも十分話を進めていきたいと思っております。
 従来は、宮城との連携については観光面、防災面、医療面といったところなどに力点を置いて、両県でメリットが得られるという共通認識に立っていたわけでございます。そこで、そうした問題について出先機関で県際連絡会議を継続しているわけでございますが、さらに、先ほど来お話がございましたとおり、自動車もそうですし、それのみにかかわらず県境を越えたものづくり産業の一大集積地域ともなり得る地域だと思っておりますので、そうした分野についてのお話も今後進めていかなければならないと思います。本庁で、今、課長が入って事務レベルで、今後新たに取り組むべきものについて検討させているわけでございますが、これに今後は地方振興局も加えて、そうしたところでさらに検討を進めていかせたい。本県で今ちょうど地方振興局の再編ということで取り組んでいるわけでございますが、そうした裁量権強化を図った地方振興局同士と向こうの方との連携と、それから地方振興局も含めた本庁での検討というものを行って、そして具体的な意見交換というものをさらに深めていきたいと考えております。
〇阿部富雄委員 そこで、私ども県際地域に住む者は、宮城県との連携がどうなるかというのは、やっぱり一番心配といいますか、関心事なんですよね。したがって、宮城県知事とは連携について早期に話し合いをしていただければと思っているわけでありますが、新宮城県知事とは、どの時期に、どういう形で連携についての話し合いをされると考えていらっしゃるのか、お聞きします。
〇増田知事 まだ御就任されていないのですが、新しい政策の方向を出されると思います。やはりそうした方向を見て、その中身をよく分析した上で、こちらも建設的な話し合いにしていく必要がありますので、まだ具体的な時期まで申し上げる段階にはございませんが、事務的には、今お話があったように、いかに知事がかわろうとも、この関係は密にしていかなければならないという合意ができていますので、私も、新しい知事の御方針というものをよく踏まえて、お目にかかっていろいろお話をしたいと思っていますので、その方針が明らかになった暁に、できるだけその内容をよく分析して、いい連携、密な連携をつくり上げられるように努めていきたいと考えております。
〇佐々木博委員長 これをもって総括質疑を終わります。
 以上で本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後4時48分 散 会

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