平成17年12月定例会 第17回岩手県議会定例会会議録

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〇19番(新居田弘文君) 民主・県民会議の新居田弘文でございます。
 このたび、先輩各位の御配慮によりまして、3回目の一般質問に登壇させていただきました。心から感謝を申し上げ、通告に従い、順次質問いたしますので、知事初め、執行部の皆様には明瞭な答弁を期待するものであります。
 まず、三位一体改革への取り組みについてでありますが、平成16年度から18年度までの3年間で、政府は地方への4兆円程度の補助金を減額し、3兆円の税源移譲を約束して、これまでの2年間で約2兆4、000億円の税源移譲につながる補助金削減が行われました。しかし、難航していた6、000億円の補助金削減をめぐる地方公共団体と政府との調整は、11月30日の政府・与党協議会で最終決着を見て、さらに、地方6団体の了承が得られたところであります。この間の調整は非常に難航し、連日、新聞紙上をにぎわせたところでありますが、地方の意見に耳を傾けない省庁の抵抗には憤りを感じたところであります。
 今、国家予算から毎年20兆円余が、国庫補助負担金の名目で地方団体や関係団体に支出されています。そして、この補助負担金行政によって中央での画一的な政策の押しつけや、地方が中央の下請機関的な行政が長年行われ、その反省に立って、平成12年4月の地方分権一括法の施行を契機として、地方公共団体の権限と責任を大幅に拡大することにより、住民の意向に沿った行政運営を可能とする一歩を踏み出したと思っております。
 それを財政面で担保するのが、いわゆる真の三位一体改革でなければなりません。地方公共団体は、20兆円に及ぶ補助負担金のうち、地方分権の理念に沿って、財政面における地方の自由度を一層高めるため、税源移譲に見合った国庫補助負担金の9兆円を廃止するよう政府に求めています。このたびの4兆円の補助負担金の廃止、3兆円の税源移譲問題は、その入り口の第1期改革であります。しかし、今回の6、000億円の扱いについても、協議の過程では、地方が求める趣旨に反して、当然国の責任で処置すべき生活保護費を削減対象にしようとするなど、地方に転嫁しようとする姿勢と国の財政再建だけを優先する姿勢がうかがえてなりませんでした。まさに省益あって国益なしと言わざるを得ないことであり、まことに残念であります。
 そこで、知事にお聞きいたしますが、このたびの決着に至るまでの省庁の姿勢といったことを、どのようにとらえておりますでしょうか。
 さらに、先日の新聞報道にありましたように、次は地方交付税の削減問題があるのではないかと思います。税源移譲による地方税財源の充実確保が行われた場合であっても、税源が偏在することは避けられず、地方公共団体間の財政力格差が拡大した場合、これに適切に対応できるよう、地方交付税による税源調整機能を十分に発揮させる必要があろうかと思いますが、知事の御所見を伺います。
 また、地方6団体がことし7月に公表しました国庫補助負担金等に関する改革案(2)では、三位一体の改革は、現在進めている平成18年度までの改革にとどまるのではなくて、これを第1期改革として位置づけ、引き続き19年度以降も第2期改革としてさらなる改革を行うこととしております。増田知事は、全国知事会の地方分権推進特別委員長でありますが、今後、第2期改革の実現にどういった決意で臨まれるのか、あわせてお尋ねいたします。
 次に、県の行財政構造改革に関して、人件費の抑制策と平成18年度予算編成について、何点かお伺いします。
 県は、平成15年10月、岩手県行財政構造改革プログラムを公表し、平成15年度から18年度までの財源不足額約1、750億円への対応策を明らかにしつつ、自立した地域社会の形成に向けて、誇れるいわて40の政策を掲げ、その中でも、特に二つの緊急課題と七つの重要施策に取り組んできました。また、その中で官と民との役割分担、事務事業の外部委託、指定管理者制度の導入、出資法人の見直し、市町村の自立への支援や地方振興局の再編、あわせて職員体制のスリム化と給与の減額措置等、組織、職員もこの難局を乗り越えるため全庁一体となって取り組んできたものと承知しております。
 しかし、一方では、県民要望の強い公共事業の大幅な削減を初め、市町村や関係団体に対しての補助負担金の大幅カットにより痛みも少なからず与えてきたところであります。
 また、この間の景気の低迷による税収の伸び悩みや地方交付税の減額など、国の三位一体改革という名のもとでの地方への痛みのしわ寄せ、歳入面での改善に期待が持てない状況で推移し、県の予算規模も年々減額し、平成17年度当初では7、670億円台になるなど、県財政は一層厳しさを増しております。
 そんな中で、県では、去る10月26日に試算と言いながら、県財政の中期収支の見通しを公表しました。これによりますと平成19年度から22年度までの4年間で約2、354億円もの歳入歳出のギャップ、いわゆる財源不足が生じて予算が組めなくなるというものであり、標準財政規模の5%を超える赤字額になった場合の財政再建団体に転落するおそれがあるということで、まさに危機的状況に陥っているということであります。
 説明によりますと、県では財源不足の解消に向けて、平成18年度にポスト行財政構造改革プログラムを策定し、その対策に向けて取り組みたいとし、一層の歳出削減を掲げ、特に将来を見据えた行政組織の構築等による人件費の抑制に取り組む姿勢を示しています。今までのように、公共事業を中心とした歳出削減や市町村・関係団体への補助負担金の削減に比重を置いた改革案より、組織や職員みずからの視点での改革に取り組む姿勢をあらわしたものであり、至極当然であり、その姿勢で臨んでいただきたいと思います。
 そこで、まず知事に伺いますが、公表された県財政の中期収支の見通しで、将来を見据えた行政組織体制の構築を掲げていますが、今の時点で考えられる構想をどのように描いておられるのでしょうか。
 また、地方振興局の再編が大きなテーマとなり、今定例会に関係条例が提案されていますが、むしろ本庁の将来のあるべき姿が、より重要であり、広域振興局を10年がかりで再編する前に、財政再建対策としての本庁のスリム化や再編の方が急を要するのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
 次に、人件費の抑制策について具体的にお聞きします。
 争議行為の禁止など、職員の労働基本権の一部制限の代償措置として、国家公務員には人事院が、県職員には県人事委員会が、民間給与の実態を調査するなど法に定める給与決定の諸原則に基づき、給与額を増減することが適当と認めるときは、それぞれ当局に勧告する制度になっています。特に、ことしの人事院の勧告では、官民給与の逆格差を解消するため、2年ぶりに月例給の引き下げ改定及び次年度以降の俸給制度、諸手当制度全般にわたる抜本的な給与構造の改革の実施など、大きな改革が盛り込まれたところでありますが、給与改定の勧告に当たっての基礎となる人事院の給与実態調査は、全国で4万社を対象とし、そのうち約8、000社を抽出して実施しておりますが、その対象となるのは、昭和40年以降ずっと企業規模100人以上で、かつ、事業所規模50人以上に限定され、岩手県人事委員会の調査も同じ基準の事業所規模を対象にしているところであります。
 国税庁の民間給与実態統計調査によりますと、日本の給与所得者のうち、50.6%が100人未満の企業に勤務しておりますし、岩手県での事業所規模別の実態を見ますと、事業所・企業統計調査によれば、従業員50人以下の事業所の総従業員割合は全体の70%を占め、人事委員会での調査対象にした事業所は全体の30%でしかありません。また、給与の実態は平成15年で、民間サラリーマンの平均給与額400万円余に対して、一般行政職は600万円余となっており、約40%以上の高い状態となっております。そして、従業員の規模が大きい企業ほど給与実態が高くなっており、人事院も県人事委員会の調査も極めて給与水準の高いところを対象にしていると指摘されているところであります。
 人事院では、ことしの勧告の中で、課題として官民比較方法の見直しを掲げ、さらに、去る9月28日には、官民給与比較の方法について、調査対象民間企業の拡大や民間企業における人事・組織形態の変化への対応など、民間賃金の状況をより的確、精緻に反映させるための方策について、専門家の意見も踏まえて早急に総合的検討を行うよう要請する旨の、人事院に対する閣議決定がなされたところであります。
 これらを受け人事院は、11月14日に第1回の研究会を開催し、その中で、来年の夏ごろまでを目途に検討を行い、できる限り来年の人事院勧告に反映させるとしているところであります。さらに、政府・自民党内においても、公務員にスト権を与えて、人事院勧告制度の見直しをすべきとの動きも出てきました。ことしの県人事委員会勧告では、月例給与の引き下げなど職員にとっては厳しい内容となりましたが、依然として公務員給与は高いといった民間との認識の開きということを感じざるを得ないところであります。
 そこで、人事委員会委員長にお尋ねしますが、人事院の調査方法に準拠した方法で調査が行われている県人事委員会でも、給与実態調査のあり方について検討すべきと思いますが、いかがでしょうか。
 公務員の給与は、先ほど申し上げたように国も地方も民間給与の実態を反映したとはいえ、比較的大規模な事業所の給与実態に準拠したものだったとの指摘をされております。したがって、国自体が民間給与全体に対して高水準にあり、これに準拠した地方公務員の給与水準も高いと指摘されているところであります。岩手県の実態は、国家公務員を100にした給与水準で見る、いわゆるラスパイレス指数は平成16年度当初で98.2であり、国家公務員と同等の水準にあります。
 また、県は、毎年当初予算に15%の昇給短縮分の給与費――平成17年度予算で見ますと2億5、000万円余となっております――を計上しています。これは、毎年の定期昇給のほかに、6.6年で1号俸昇給するということです。県は、以前からラスパイレス指数の高い市町村に対し、給与の実態調査などを通じて、このような昇給短縮は控え目に運用するよう助言してまいりました。
 また、職員手当の内容を見ますと、24種に及ぶ手当が支給されています。もちろん必要があり職員の全体給与総額の大きなウエートを占め、欠かすことのできないものであることは十分承知しております。しかし、その中で、特殊勤務手当の一部には、該当する職務そのものが特別な手当の支給対象として存在し、見直しの時期に来ているのではないかと思うものもあります。
 そこで、順次質問いたします。
 先ほど述べましたように、県はポスト行財政構造改革のポイントとして、県予算のおおよそ26%、2、000億円を占める人件費の抑制を大きく掲げていますが、私もこの厳しい難局を乗り越えるためには、職員団体の理解と協力を得て、特別職を含め取り組むことが必要であると考えます。ある都道府県では、10%の給与削減に取り組むとの報道も伝えられておりますが、人件費の抑制に向けての知事の決意のほどをお聞かせ願いたいと思います。
 また、総務部長に伺いますが、人件費抑制の方策として、昇給短縮制度は直ちに中止、特殊勤務手当の見直しといったことを行うべきと考えますが、いかがでしょうか。
 また、人件費の抑制に関し、知事は、さきの決算特別委員会や記者会見などを通じて定数の見直しについて、数値を掲げ、縮減の方向を示していますが、具体的にどのように進めるお考えでしょうか。今後のスケジュールも含め、お示しを願います。
 次に、平成18年度岩手県予算編成についてお聞きいたします。
 政府は昨日、平成18年度予算編成の基本方針を閣議決定いたしました。けさの新聞報道によりますと、小泉首相は、郵政民営化法成立後もさらに改革を進めるという、改革続行内閣にふさわしい予算とする必要があるとコメントを発表し、歳出削減の徹底を求めたと報じています。
 明らかになった基本方針によりますと、公共投資や社会保障などの政策経費に充てる一般歳出を2年連続で減額、新規国債発行額も大幅に抑制し30兆円にできるだけ近づけるとしています。さらに、地方交付税については、国の歳出の見直しと歩調を合わせて、地方歳出も見直し、抑制する等の改革を行うといった、地方財政に影響を与える内容も含んでいます。また、社会資本整備に関しては、防災・減災、競争力強化、都市再生・地方再生に重点を置き、大規模ダムや地方空港などは厳しく見直したいとしています。
 こうした国の動向や、平成19年度から毎年度600億円の財源不足が見込まれている中で、来年度の県予算の編成作業を進めていると思います。
 そこで、知事に伺いますが、国が示した来年度予算編成の基本方針をどのようにとらえておられますか。税収見込みとあわせ、地方交付税など本県歳入に影響はないのでしょうか、お伺いします。
 また、県議会では、来年度の予算編成への意見を反映させるため、これまでより約1カ月早めて前年度決算に関する審議を行い、本定例会の初日の本会議において、平成16年度決算の認定が行われたところであります。県議会では決算認定に当たり、将来を見据えた持続可能な財政基盤と効率的な行政執行体制を構築し、顕在化する県政の諸課題の解決に取り組むとともに、県民福祉の維持・向上に一層努める必要があるといった趣旨の意見を付したところであります。この議会の附帯意見をどのようにとらえておられますか、また、平成18年度予算編成にどのように反映していくお考えなのか、お尋ねいたします。
 さらに、岩手県として平成18年度予算の基本方針はどのように考えておりますのでしょうか。予算規模をどの程度に考え、どのような視点で予算編成を行うのか、お聞きいたします。
 誇れるいわて40の政策の見直しは必要ないのでしょうか、あわせて、知事公約のマニフェストの実行への支障はないのか、あわせてお聞きいたします。
 次に、NHKの大河ドラマ義経放映後の観光客増加対策についてお聞きいたします。
 大河ドラマ義経の放映は、あと1回を残すだけとなりました。これまで1年間にわたって、毎週日曜日の午後8時には、約800年の昔に思いをはせ、あるいは平泉を中心とした往時の出来事を想像しながら、毎週の放映を楽しんでまいりました。
 また、ことしの5月3日、春の平泉藤原まつりのメーンイベントである源義経公東下り行列は、義経役にドラマの主役である滝沢秀明さんが扮することもあって、今までに例のない空前の人出となり、まさに義経人気によっての盛り上がりとなって、周辺の道路やJRの駅のホームもパンク状態になるほどでありました。そして、観光入り込み客がもたらした経済効果も大きなものがあったと思います。
 そこで、商工労働観光部長にお聞きします。
 県でも、この大河ドラマに連動して、県内の地域の魅力を生かした各種のイベントや企画展の開催、旅行会社とタイアップした誘客商品の企画など、積極的に取り組んでこられたものと承知していますが、観光客の入り込み状況や経済的効果など、その具体的効果をどのようにとらえているのでしょうか。
 さらに、この義経効果を一過性に終わらせないことが、なお重要であります。今後に向けて、どのような取り組みを考えておられるのか、お聞かせください。
 次に、平泉文化遺産の世界遺産登録について教育長にお聞きいたします。
 平泉の文化遺産は、平成12年11月に開かれた文化財保護審議会で世界遺産暫定リストへの登載推薦が決定、平成13年4月にユネスコ世界遺産センターにおいて暫定リストに登載されました。以来、県を初め、関係市町村において、世界遺産登録に向けて所要の作業が進められてきました。既に国宝に指定されている中尊寺金色堂などの建造物や特別史跡に指定されている無量光院などの史跡のほか、ことしコアゾーンの候補となる平泉町の達谷窟及び一関市の骨寺村荘園遺跡が3月に、また、前沢町の白鳥舘遺跡及び衣川村の長者ヶ原廃寺跡が新たに柳之御所・平泉遺跡群の一部として7月に、それぞれ国指定遺跡に追加されました。
 こうした中で、関係市町村では、遺跡群周辺の環境を保護するための景観形成基準の策定や、これを具体的に担保するための景観条例等の策定に着手していると聞いております。しかし、一方では条例適用の網をかぶることによる私権の制限を受けることもあり、これらの調整が重要であると考えます。
 そこで、伺いますが、世界遺産登録に向かっての準備作業は順調に進んでいるのでしょうか。また、関係市町村との調整はできているのでしょうか。景観条例と私権との調整についてはどのように指導されているのでしょうか、お尋ねいたします。
 次に、一関遊水地整備事業に伴う衣川左岸堤防築堤と埋蔵文化財の保護についてお聞きします。
 一関遊水地整備事業につきましては、去る2月定例会の一般質問においても触れましたが、厳しい国家財政の中で順調に工事も進み、既に事業費ベースで50%を超えたと聞き及んでおりますが、大型事業であり完成までは、今しばらく年月を要するものと理解しております。
 さて、この整備事業の一部として、今、県管理河川である衣川の左岸で築堤工事建設に伴う緊急発掘調査が行われました。この調査の結果、12世紀の建物や池などの遺構や遺物が多く発見されました。現場は、平泉町・中尊寺のすぐ北側を流れる衣川の北側であり、奥州藤原氏の関連する施設であることは間違いないだろうと言われております。これまでは衣川の南にしかないと考えられてきた往時の平泉が、北にも大きな広がりを持っていたことを裏づける重要な発見であり、この遺跡がさらに注目されているのは、源義経が最後を遂げた衣川館との関連で、この地にこの衣川館があった可能性についても議論をされているところであります。この調査を深めれば深めるほど古代中世ロマンをかき立てるものがあり、往時の姿を想像させるに事欠かないものと思います。
 そこで、教育長にお尋ねしますが、今回の文化財調査の結果はどのような内容だったのでしょうか。
 また、県土整備部長に伺いますが、築堤工事の実施は、地区の治水安全対策として非常に重要なものでありますが、施工に当たっては、文化財調査との調整を図りながら進めることが必要であると思われます。今後、文化財の調整と築堤工事との調整をどのように進めていくお考えか、お聞きいたします。
 次に、新たな経営安定対策について農林水産部長にお聞きします。
 平成17年3月25日に閣議決定された、新たな食料・農業・農村基本計画において、平成19年産から品目横断的経営安定対策を導入することが明記され、いわば価格政策から所得政策への転換という、平成11年7月に制定された食料・農業・農村基本法で示された政策方向を具体化する内容となったものであります。これは、従来のように全農家を対象として、品目ごとの価格に着目して講じてきた対策を担い手に対象を絞り、経営全体に着目した対策に転換することは、戦後の農政を根本から見直すものとなるものであります。
 そして、この品目横断的経営安定対策の導入に伴い、現在進めている米政策改革の生産調整支援策の見直しや、農地・水・環境保全向上対策を新たに導入することとしており、この一連の政策改革は、広範かつ大規模なものと承知しているところであります。そして、平成19年産からの導入に向け、平成18年度には関係法の改正、この前提として、農林水産省では、10月27日、経営所得安定対策等大綱を発表したところであります。
 この中の品目横断的経営安定対策では、担い手の認定農業者や集落営農組織など一定要件を条件にして、米、麦、大豆、てん菜、でん粉原料用バレイショを対象にした所得を保障する仕組みと伺っております。また、あわせて米政策改革推進対策の見直しや、新たに農地・水・環境保全向上対策の創設が予定されております。
 そこで、伺いますが、改めてこの経営所得安定対策の大綱の概要と、県としての評価をお示し願います。
 次に、品目横断的経営安定対策の助成対象として、一定要件を具備した認定農業者と集落営農組織とされていますが、該当する農家や農業組織の実態はどうか、伺います。また、対象が少ない場合は今後の対策はどのように進められるのでしょうか。
 また、対象となる基準が、本県の中山間地域にとって厳しいものとなっていないのでしょうか。
 さらに、対象となる農家と、それ以外の農家との所得格差が生じると思われますが、多種多様な農家で形成されている我が国や本県農村の実態にそぐわないといったようなおそれはありませんでしょうか、お尋ねします。
 また、私は平成16年2月定例会の一般質問において、16年2月に胆沢町で開催された知事と認定農業者との懇談会での意見交換の様子を紹介しながら、圃場整備がおくれている傾向がある中で、いわゆるローカルスタンダード的な発想をどのような形で今後取り入れていくのか、などといった趣旨の質問をしたところでありますが、その際、知事からは、効率的な予算の運用などの研究や国との調整を行っていくといった内容の答弁がありました。
 認定農業者等への農地の利用集積に当たっては、土地基盤の整備が必要であり、整備の促進を図っていくためには、国に左右されない、まさにローカルスタンダード的な基準の見直しが必要であると考えております。
 そこで、圃場整備の事業促進に当たって、地域の実情に合った制度づくりや工夫といったものがどのように検討されているのか、お尋ねします。
 以上で私の質問を終わりますが、答弁次第では再度質問させていただきます。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕

〇知事(増田寛也君) 新居田弘文議員の御質問にお答え申し上げます。
 三位一体改革の関係で、決着に至るまでの各省の姿勢についてというお尋ねでございます。
 今回の三位一体改革でございますが、地方側からは、6団体がまとまりまして、ことしの7月に――昨年に引き続きでありますが――いわゆる補助負担金の削減リストを国の方に提出いたしました。そして、こうしたリストについて、総理が地方の意見を尊重するというふうに話をしたわけでありますが、8月末の概算要求時点では、各省はほぼゼロ回答という状況でございました。その後、総理の意向を受けた官房長官が各省に削減の目標額を示して再考を促したわけでありますが、政府・与党合意の直前までこうした目標額に遠く及ばない状況が続いたところであります。11月30日に合意がなされましたけれども、その内容を見ますと、国の負担率を引き下げる手法で、国の関与を残したままで、地方の裁量拡大につながらない見直しが多かった内容となっております。このような各省の姿勢は、地方分権の必要性を無視する対応でございまして、まことに遺憾でございます。この原因は、一つは、国の財政再建に軸足を置いた考え方、そしてもう一つは、やはり自分たちの権限を温存したり省益を温存すると言わざるを得ない考え方に基づくものでございまして、最後までこうした改革の理念が共有されなかったと認識しております。
 地方交付税の財源調整機能についてでありますが、今回、3兆円の税源移譲が実施されますけれども、所得税から個人住民税へ都道府県と市町村分をあわせまして税率10%のフラット化によって行われる、こういうことになっております。このことによって大都市と地方との税源の偏在は縮小されますが、その場合でも地域間の財政力格差というのは不可避であると思います。このため、移譲額が国庫補助負担金廃止に伴い財源措置すべき額に満たない団体につきましては、地方交付税の財源調整機能及び財源保障機能の両機能を十分に発揮することによりまして適切に対応することが不可欠である、このように認識しております。
 今回の政府・与党合意を見ていますと、その中で地方交付税に触れた部分については、今後の予算編成を通じて具体的な調整を行うと書かれておりまして、昨日示されました国の平成18年度予算編成の基本方針において、その部分につきましては、地方交付税について、国の歳出の見直しと歩調を合わせて地方歳出を見直し、抑制する等の改革を行う、こうした記述があるわけでございます。したがいまして、今後の地方交付税の見直しにつきましては、国の財政再建に軸足の置かれた一方的な地方交付税の削減が行われることのないよう、地方6団体としても全力を挙げて取り組む考えでございます。
 それから、2期改革についてでありますが、今回、3兆円の本格的な税源移譲が実現した、これは一つの突破口でございまして、意義があるもの、このように思いますが、しかし、再三申し上げておりますように、地方に負担転嫁する見直しが多く、必ずしも地方の裁量、自由度の拡大にはつながっていない、内容的にも金額的にも不十分であると思います。
 この三位一体改革でありますが、これは、国と地方の役割を再構築することによりまして、いわゆる分権国家を構築するという、この国のかたちそのものの改革でございます。そのため、今回でこれを終わりとするものではなく、平成19年度以降の第2期改革も確実に進める必要がございまして、平成18年に策定予定のいわゆる骨太方針の中でも、こうした2期改革の取り組みの方向性をしっかりと位置づける必要があるのではないか、このように考えます。
 私としても、地方6団体で設置いたします新しい地方分権構想検討委員会におきまして、まず、第1期改革をしっかりと総括して、第2期改革に対しての地方団体の共通認識をきちんと醸成する、また、地方みずからが率先して効率的な行政を進めるなど、国民的理解を深めながら第2期改革を実現すべく、あらゆる機会をとらえて国に強く働きかけをしていく考えでございます。
 次に、県の行財政構造改革に伴いまして、まず、将来的な行政組織体制構築の関係でございます。
 こうした体制の構築に向けては、すべての分野について聖域を設けることなく事務事業の抜本的な見直しを行うことを基本といたしまして、優先度の低い業務の廃止や業務プロセスの改善などの事務事業の効率化、内部管理部門の圧縮などの組織の合理化、民間委託や市町村への事務移譲など、官と民、県と市町村との役割分担の明確化などの視点から検討を進め、スリムで効率的な体制を整備したい、このように考えております。
 また、本庁のスリム化と再編についてでありますが、今申し上げました考え方に基づいて、本庁組織につきましては、内部管理事務の徹底した見直しや組織の見直しなどに加えまして、地域における県民サービス向上の観点から、地方振興局への事務・権限委譲を進めることなどによりまして、特に本庁については重点的にスリム化を進めまして、おおむね300人を削減することを想定しております。また、本庁での取り組みと同時に、職員数の4割以上を占める地方振興局におきましても、再編を通じた効率化、ポスト削減などによりましておおむね300人を削減いたしまして、あわせてそのほかの出先機関におきましてもおおむね100人を削減することにより、県全体としてスリムで効率的な組織体制を構築していきたいと考えております。
 また、人件費の抑制に向けた私の決意でございます。
 これまでの取組状況を申し上げますと、本年3月まで実施した一般職員の給料の減額措置、今年度実施しております管理職の職員の管理職手当の減額措置、退職手当の支給水準の引き下げ、特殊勤務手当などの職員手当の見直しなどによりまして総人件費の抑制に努めてまいりました。また、県政推進の先頭に立って改革プログラムを確実に実行すべき立場にある者といたしまして、そうした決意を明確に示すという考えから、三役の給料についても減額措置を講じているものでございます。
 今後は、持続可能な行財政構造の構築に向けて、みずからの組織、給与水準について率先して見直しを行うことといたしておりまして、職員の給与水準についても、本年、人事委員会から勧告をされた給料表水準の4.8%引き下げを含む給与構造改革の実施を柱にいたしまして、一般職の職員のみならず、私を初めとする三役も含めて、聖域を設けることなく抑制策を講じていく決意でございます。
 なお、人件費抑制についての具体的な方法は今後詰めていくことになりますが、給与水準の見直しに当たりましては、これまでと同様に、職員や職員団体に対する説明を十分に行っていきたいと考えております。
 また、定数縮減の具体的な方策でございますが、先ほど知事部局の職員数を4、000人程度ということで申し上げましたが、これは、将来的な予算規模、職員1人当たりの県民数などから試算して、平成23年度当初におおむね4、000人程度とすることを目標といたしております。この実現のためには、具体的には、徹底した業務プロセスの改善、電子県庁化の推進、地方振興局再編を初めとする組織の再編・統合、外部委託の推進などを想定してございます。
 この詳細につきましては、次の行財政構造改革プログラムの策定作業の中で検討して、平成19年度の政策的な経費を盛り込む6月補正予算を踏まえて行われますプログラムの公表に合わせて明確な内容をお示ししたい、このように考えております。
 次に、昨日、国の平成18年度予算編成の基本方針が閣議決定されました。この中で、基本的な考え方の第一として、歳出改革の堅持・強化ということが示されておりまして、総人件費改革、医療制度改革等の構造改革については順次予算に反映。一般歳出の水準について前年度よりも減額し、一般会計歳出についても厳しく抑制。そして、新規国債発行額については平成17年度より大幅に減額して、30兆円にできるだけ近づけるなどの方針がその中に掲げられております。このような国の財政再建と構造改革の推進については、その必要性は理解するわけでありますが、特に地方に関係する事項につきましては、地方団体等との十分な議論と合意の上で予算に反映させるべきもの、このように考えております。
 また、この基本方針では、歳出の見直しと構造改革の推進についての地方財政に係る具体的な記述につきましてこのように書かれております。すなわち、国庫補助負担金については、平成18年度までに4兆円を上回る廃止・縮減等の改革を行う。税源移譲は3兆円規模。地方交付税については、地方歳出を見直し、抑制する等の改革を行うなどとされておりまして、地方交付税について厳しい方針も打ち出されており、これは、ひいては県財政への影響も出てくるであろうと懸念しております。
 こうした地方税や地方交付税等の額の見通しにつきましては、この年末に示される地方財政収支のフレームと地方財政対策の内容をまつことになるわけでありますが、先ほど申し上げましたように、国の財政再建の負担を一方的に地方に押しつけることのないように十分注視していく必要がある、このように考えております。
 先ほどの決算認定におきます附帯意見についてでございますが、これをどのようにとらえているのかということでございます。
 この附帯意見を初め、審査過程でいただきました御意見、御提言につきましては真摯に受けとめるべきものと考えておりまして、この附帯意見のまず趣旨でございますが、議員お話しのように、将来を見据えた持続可能な財政基盤と効率的な執行体制を構築、そして、県政の諸課題の解決、県民福祉の維持・向上に努めること、さらに、こうしたことを踏まえて平成18年度予算編成に適切に取り組むこと、こうした趣旨であろうと承知しております。
 これを受けまして、来年度の予算編成につきましては、行財政構造改革プログラムに基づいて、自立と構造改革仕上げの予算とし、平成19年度以降の財源確保をやりくりに頼らない持続可能な財政構造への第一歩、このような基本姿勢に基づいて、40の政策の緊急課題や重点施策、政策評価等に基づく諸課題の解決に向けた施策・事業の重点化を図りまして、効果的な施策の実現に努めていく考えでございます。
 さらに、具体的な来年度予算の基本方針でございますが、こうした観点に立ちまして、歳入面では、県税収入の確保、未利用県有地処分などによりまして自主財源を確保する。歳出面では、その抑制を基調としながら、緊急性、重要性からの優先順位に基づく徹底した選択と集中、さらなる創意と工夫の努力、こうした基本方針により、限られた財源を重点的かつ効果的に活用していく予算編成としたいと思っております。
 なお、予算規模についてでございますが、これは、地方交付税等の動向により大きく左右される部分もありますので、これについては今後の予算編成を通じて固まっていくものでございますが、平成19年度以降の持続可能な財政構造の構築を見据えながら適切な予算編成を行っていく考えでございます。
 40の政策でございますが、これは、総合計画を実現するため、さらに重点的に取り組むべきものを取りまとめたわけでありまして、その目標を確実に達成させることが私に課せられた責務と認識しておりまして、確かに財源は大変厳しい中でありますが、来年度予算編成作業においても、4年間で一般財源200億円を捻出してこれに充てることとしていますが、単年度分の50億円を確保してこれを財源とする、いわゆる政策形成プロジェクトを中心にその推進を図ることとしております。
 なお、40の政策はちょうど来年度が最終年度でありますので、達成のおくれている政策項目については、原因をしっかりと見きわめて、その最大の効果を発現できるような実効性の高い施策を講じるなど、この40の政策のすべての項目につきまして、その目標を達成するように全力を挙げて取り組んでいく考えでございます。
 その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁をさせますので、御了承お願いします。
   〔総務部長時澤忠君登壇〕

〇総務部長(時澤忠君) 人件費の抑制策に関しまして、まず、昇給短縮制度についてでございます。
 本年10月の人事委員会勧告におきまして示されました給与構造改革につきまして、現在、具体的な検討を進めております。昇給制度につきましては、国の取り扱い等も参考にいたしまして、これまでの特別昇給を改めまして、普通昇給と特別昇給を統合し、現在、年4回としております昇給時期を年1回に統一し、職員の勤務成績が適切に反映される新たな昇給制度の導入に向け検討を行っているところでございます。
 次に、特殊勤務手当の見直しでございますが、平成15年度から16年度にかけまして45種類のすべての手当について大幅な見直しを行い、五つの手当を廃止、8手当を引き下げ、四つの手当につきまして月額手当を日額化したところでございます。
 今後とも、業務事情の変化、国、他県等の動向も踏まえまして、勤務の特殊性を厳格に判断し、不断に見直しを行うことといたしております。
   〔商工労働観光部長酒井俊巳君登壇〕

〇商工労働観光部長(酒井俊巳君) 大河ドラマ義経の放映後に関する観光客増加対策についてのお尋ねでございます。
 まず、観光客の入り込み状況や経済効果についてでございますが、議員お話しのようなさまざまなイベントあるいは旅行商品の造成支援などを行ってまいりました。なお、関連する事業がまだ実施中ということでございますので、最終的な入り込み数あるいは経済的効果等につきましては算定しかねているところでございますが、いずれ入り込み客につきましては、全国的には、愛知万博の影響等によりまして地方の観光客が厳しい状況でございますが、県全体におきましては、現時点では前年比で横ばいという状況でございます。平泉周辺地域、平泉町とか江刺市というところでは特に大きく増加いたしておりますが、県全体として、先ほど申しましたとおり、地域的なばらつきはございますが、全体としては横ばいということで、大河ドラマに連動した取り組みの一定の効果はあったものと考えているところでございます。
 次に、義経効果を一過性に終わらせないための対策でございますが、今後、平泉の文化遺産の世界遺産登録の取り組みと連動いたしまして、平泉を本県の観光戦略の最重要テーマと位置づけまして、平泉を今までの周辺地域だけの狭い範囲での平泉というとらえ方ではなく、もっと広く、平泉文化は、その時代におきましては陸奥、出羽の国、つまり今日の東北地方を統治範囲としたところでございますので、東北の歴史・文化の核としての平泉というような広く大きなイメージを構築いたしまして、力強く国内外へ発信をするという基本的な戦略のもとに、既存資源のブラッシュアップや未利用資源の活用による新しい旅行商品の造成あるいは観光案内標識、主要観光スポットの整備、そういったハード面の観光基盤の整備を行いまして、その効果を全県的に波及させていくことが重要だと考えているところでございます。
 今後、平成19年7月から9月まで――再来年になりますが――、北東北大型観光キャンペーンをJR等とタイアップして展開いたしますが、これらをも積極的に活用しながら、世界遺産登録の時期を見据え、計画的に取り組みまして、義経効果を一過性のものにしないようにしてまいりたいと考えております。
   〔県土整備部長橋本義春君登壇〕

〇県土整備部長(橋本義春君) 一関遊水地事業に伴います衣川左岸堤防の築堤工事についてでありますが、現在、平泉遺跡群調査整備指導委員会におきまして、発掘調査の結果等をもとに遺跡に係る評価を行うとしておりまして、事業主体であります国土交通省岩手河川国道事務所からは、その評価結果を踏まえて対応を検討していきたいと聞いているところでございます。県としましては、岩手河川国道事務所と連携を図りながら必要な対応をしてまいりたいと考えているところでございます。
   〔農林水産部長今泉敏朗君登壇〕

〇農林水産部長(今泉敏朗君) 新たな経営安定対策についてのお尋ねでありますが、地域農業の核となる力強い担い手の育成や、集落ぐるみでの農業経営、さらには、多面的機能の発揮に向けた共同活動など、本県のこれまでの取り組みと方向性が同じであり、国が定めた経営所得安定対策大綱につきましては大筋で評価できるものと考えているところであります。
 品目横断的経営安定対策の対象となる農家、農業組織についてでありますが、2005年農林業センサスでは、4ヘクタール以上の個別経営体が全農業経営体の約8%と見込まれ、また、集落営農組織については37団体・法人となっております。
 対象となる基準は中山間地域にとって確かに大変厳しい面もあるわけでありますが、対策における規模要件の緩和等特例措置を最大限に活用するとともに、専業農家や小規模・兼業農家などがそれぞれの役割を担う集落営農の組織化を進めていくことで制度の対象となる経営体を確保していくことが可能であると考えております。ただ、そのためには、制度内容の周知を図る一方、その対象となり得る個別経営体や集落営農の実情を踏まえ、集落の徹底した話し合いと実践活動を進めていくことが何より大事であり、県といたしましても、市町村、JAなどと一体となってきめ細かな支援に取り組んでいるところであります。
 次に、圃場整備事業の事業推進についてでありますが、これまでの国への提言活動などにより、事業の基本的な要件以外は地方の自主性に基づいた整備が可能となってきておりまして、こうしたことを踏まえ、平成16年度に岩手らしい整備手法や基準を定め、より安価な新たな暗渠排水工法の採用やパイプラインの埋設深さを浅くするなど、地域の実情に即した整備を進めているところであります。
 今後は、これまでのこうした取り組みに加え、用水路については低水圧のパイプライン方式の採用、排水路については、舗装の高さや幅の見直しなどコスト縮減を進めながら、なお一層地域の特性を生かした創意工夫による効率的な整備推進に努めてまいりたいと考えております。
   〔教育長照井崇君登壇〕

〇教育長(照井崇君) まず、平泉文化遺産の世界遺産登録についてですが、平成20年の世界遺産登録に向け、文化庁との密接な連携のもとに、関係市町村とは随時連絡調整会議を開催して業務の進捗状況について確認し、また、今後の進め方などについて合意形成を図りながら各般の準備を進めているところです。
 中でも、ユネスコに提出する推薦書については、文化庁や関係市町村との連携を図りながら、各分野の専門家から成る推薦書作成委員会の助言をいただいて、県が主体となって策定を進めており、平成18年7月の文化庁への提出に向けて、事務は順調に進んでいるところです。
 景観条例の制定については、県教育委員会と県土整備部が連携して、関係市町村の教育委員会と景観条例所管課を構成メンバーとする連絡会議を設置し、共通認識のもとに進めてきているところです。景観条例は、コアゾーンを保全するため、建築物の高さ制限などの規制を内容とするものであり、住民の私権が制限されますことから、制定に当たっては慎重に進める必要があると考えております。このため、県では、連絡会議等を通じて、景観条例の検討に当たっては、地域住民の代表者を含めた委員会などで住民の意見を十分に踏まえるとともに、住民説明会を開催し、条例制定の趣旨について十分説明するなど、私権の制限に関して地域住民の方々の御理解と御協力がいただけるよう、市町村に対して助言してきたところでございます。
 なお、景観条例は、本年1月に施行済みの平泉町以外の市町村では、前沢町及び衣川村が12月議会に、また、一関市が来年の3月議会にそれぞれ提案予定であると聞いております。
 次に、衣川遺跡群の調査結果についてですが、この発掘調査は、衣川堤防築堤工事に伴い、国土交通省岩手河川国道事務所から委託を受けて行われている緊急発掘調査であり、県文化振興事業団埋蔵文化財センターが本年4月から11月まで調査を実施したところです。
 調査当初から藤原氏時代の12世紀のかわらけが出土し、多数の建物の柱の穴や大きな堀跡が確認されたことから、県教育委員会では重要な遺跡であると認識し、発掘調査方法や遺跡の評価について、平泉遺跡群調査整備指導委員会の指導をいただきながら調査を進めてきたところです。
 この発掘調査の結果、六日市場遺跡から細田遺跡、接待館遺跡まで建物の柱の穴が切れ目なく分布しており、その中には、12世紀の建物跡と考えられる柱の穴も確認されております。特に、接待館遺跡では、12世紀のものと思われる規模の大きな2条の堀跡が確認されており、その堀で囲まれた範囲の中央の溝から大量のかわらけが出土しております。また、衣の関道遺跡では、池の一部と思われる遺構も確認されております。以上のことから、今回の発掘調査によって、12世紀の都市平泉が衣川の北岸の広い範囲にも存在することが明らかになりました。
 10月に開催された第2回指導委員会では、本遺跡群は、柳之御所遺跡に匹敵する藤原氏時代の重要な遺跡であり、継続して発掘調査を実施する必要があるという指導をいただいております。そのため、事業者の了解を得て来年度も調査を継続することとしておりまして、今後さらに衣川遺跡群の内容が明らかになるものと期待されております。
   〔人事委員会委員長及川卓美君登壇〕

〇人事委員会委員長(及川卓美君) 給与実態調査のあり方についてでありますが、そもそも民間給与の実態をどう把握するかということは、情勢に適応した職員給与を実現していく上で、極めて重要なものでありますので、本委員会といたしましては、そのあり方は十分な合理性のもとに、広く理解を得られるよう適切に定めるべきものと認識しているところであります。
 調査対象企業の拡大につきましては、これまでも国会の場等において議論が交わされてきた経緯がございますが、企業規模の小さい事業所等においては、従業員の役職段階がはっきりしていない場合が多く、官民比較の対象となる従業員を特定することが困難であることや、社員採用の実態を見ますと、中途採用、それから縁故採用が多く、公務部門とその任用実態に相違があること、賃金表の定めのない事業所が過半を占めているなど、実態をとらえるに当たって、多くの制約要因が認められたことに加え、公務部門における人材確保の観点をも含め、人事院及び全国の人事委員会においては現行の手法が適当との判断に至ってきたものであります。
 しかしながら、官民比較の方法の見直しにつきましては、議員御案内のとおり、閣議決定を受けて、人事院が新たに設置した官民給与の比較方法のあり方に関する研究会において、今まさに具体的な検討が始められたところであり、その動向に重大な関心を持っているところであります。
 本委員会といたしましては、人事院及び人事委員会が持つ労働基本権制約の代償機能の視点からは、多面的、かつ、慎重な検討が行われることを望むものでありますが、その動きは、反射的に本委員会勧告への影響も及ぼすものと想定されますので、それらの動向を注視しつつ、研究・検討を進めてまいりたいと考えております。

〇19番(新居田弘文君) それぞれ御答弁大変ありがとうございました。二、三点再質問させていただきます。
 一つは、人件費の抑制について、先ほど特別昇給等についていろいろ御答弁あったところでございますが、いわゆる今回の人事委員会の勧告の中でも、職員の給与等に関する報告及び勧告の中で、いわゆるわたりの廃止・縮減を求めた運用の適正化も要請しておりますが、まず、この点について知事の御見解をお聞きしたいと思います。
 それから、いわゆる新たな経営安定対策について、今、部長から概略的な答弁いただきましたけれども、問題は、いろいろ基準もありますし緩和措置もありますが、この内容を農家自身がきちっと理解していないと、せっかくその対象なりチャンスも失う可能性も非常に心配されるわけです。しかも、この制度を見ますと、かなり専門的で難しいような表現がたくさんありますが、いずれ市町村なり農協組織も通じまして、いろいろ農家に細かく指導はいただくと思うのですが、県としてもそれらをきちっと後押ししながら、対象となるようなそういう認定農業者あるいは集落営農をきちっと構築していかないと、岩手県の農家自体が所得の面でも非常に大変な状態になりますので、あるいはその地域づくり、村づくりの中にも影響が大きいと思いますので、その辺の取り組みについて、もう一度決意のほどをお聞きしたいと思います。
 以上でございます。

〇知事(増田寛也君) 御質問にお答え申し上げたいと思いますが、本県では、かねてより職務に対応する級よりも上位の級に格付をして給与を支給する、いわゆるわたりでありますけれども、このわたりの運用を行ってきたところでございます。しかし、この運用は、職員の給与はその職務と責任に応ずるものでなければならないとする職務給の原則に照らして不適当なものである。そして去る10月3日の人事委員会からの勧告におきましても、この廃止を含めた適正化が要請をされていると。こういうこともございますので、この要請の趣旨を十分に踏まえまして、いわゆるわたりを廃止したい、このように考えております。

〇農林水産部長(今泉敏朗君) 議員御指摘のとおりでございまして、農業者の方々が制度内容について、しっかり理解していただくということが、まず何よりも先決であろうというようには考えております。
 現在、10月に設置いたしました担い手育成推進クロスファンクショナルチームという専担チームがございますが、ここが中心となりまして、地方振興局、市町村、JAなどと連携し、現在、認定農業者とか、それから今後、実際に集落営農の組織化を進めていくときの先導役となります集落リーダーというのがあるのですけれども、そういった人たち、あるいは熟度の高い集落に今、先行的に説明会を実施しています。
 ここのところをある程度離陸させてから次に本格的に各集落に入って説明会をやろうという、今そういった段取りで進めておりますが、いずれ農業者の十分な理解を得るために、繰り返し情報を提供していくだけではなくて、現在、県内で既に先行して成果を上げている事例もございます。そういったこともお見せしながら、しっかりと理解していただくという、そういった取り組みを進めてまいりたいと考えております。

〇議長(伊藤勢至君) 次に、嵯峨壱朗君。
   〔10番嵯峨壱朗君登壇〕(拍手)


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