平成17年12月定例会 第17回岩手県議会定例会会議録

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〇44番(佐々木大和君) 自由民主クラブの佐々木大和でございます。時間が押してまいりましたので、可能な限りスピードを上げてやらせていただきますので、よろしくお願いいたします。
 質問に先立ち、先ごろ御逝去されました県漁連会長鈴木甚左エ門先生、農協五連会長岩持静麻先生に謹んで哀悼の意を表します。特に、岩持先生は、県議会議員として5期20年にわたり県勢発展に多大の御貢献をいただきました。謹んで大先輩の御冥福をお祈り申し上げます。
 初めに、岩手が日本で欠くことのできない重要な役割を持つ、あるいは世界の中で存在感を示すプロジェクトにチャレンジすることはできないかということを伺います。
 先般、自民党は立党50年記念大会を開催いたしました。来賓で特に目立ったのは、アメリカ、イギリス、フランス等各国大使が、本当に大勢出席されたことです。
 昭和35年11月の総選挙で自民党は296議席を獲得し、そのとき池田内閣は、日米関係の安定に努め、話し合いの政治へ方向転換しました。そして、経済中心の政策は大成功をおさめ、今日の日本経済の基礎をつくり、経済大国へのスタートを切りました。
 今回の総選挙で296議席獲得は、それ以来のことでありますが、今回は、国内的評価をはるかに超えて、むしろ海外での評価が定まった意義が大きいのではないかと思いました。
 インターナショナルからグローバルへ、グローバル化に向けて世界の流れは急を告げて改革が進んでおります。そこにおいて日本が担う役割に岩手が加わる、岩手が担う、こんなことができれば、活力ある岩手県が生まれることは間違いないと思います。
 今日、自動車産業発展の一翼を担う岩手県を見てもそのとおりであり、日本の人材、岩手の人材、そして岩手の資源で、国のプロジェクト、世界のプロジェクトを岩手県が担うことができればと考えます。
 知事は、深い認識と持ち前の先見性で、このような次世代につなぐ岩手の大プロジェクトを考えておられませんでしょうか。世界が変わるこのときに、岩手県は何に向かって取り組むべきか、元気な岩手をつくるため大胆に打ち出すことも必要と考えており、知事のお考えをお伺いします。
 次に、市町村の広域合併について伺います。
 県南、県央が、中核市を目指す盛岡市を初め、10万人の市が次々と誕生したことは、大変喜ばしいことであり、この活力を十分生かし、県の振興発展に結びつけることは重要であります。
 一方、県北・沿岸は、合併がおくれたとの感は否めないと思うのであります。おくれた理由を分析してみる必要があるのではないでしょうか。また、自立を目指すと言っている町村もあるわけですが、県は、どのような判断のもとに自立に向けて指導してきたのか、お伺いします。
 新合併法に基づく合併審議会が設置され、先ごろ新たな枠組みが示されました。自己決定を尊重する県の姿勢を受けて、自立に向けてかじを切ったところもあったと思われます。
 県は、あるべき方向を示して合併をしっかりと進めていくとの姿勢に変わったのではないかと思われますが、改めて知事の市町村合併へのスタンスを伺います。
 次に、過疎対策について伺います。
 自民党が誕生した1955年、昭和30年は、鳩山一郎内閣が成立し、このとき日本は国連に加盟しました。この年の経済白書は、もはや戦後ではないの名文句を告げ、神武景気に突入しております。電気洗濯機、電気冷蔵庫、テレビが三種の神器と呼ばれました。この年、トヨタはトヨペットクラウンを101万円で発売し、ソニーがトランジスターの商品化に成功したのもこの年であります。
 以来、高度成長に伴って地方の人口が太平洋ベルト地帯に流入し始め、岩手県において、昭和の大合併が行われ、市町村数が、昭和28年の221から63になったのもこのころであります。
 昭和32年10月1日の人口を見ると144万5、000人、今日の岩手と比べると、先日公表された平成17年の国勢調査の県速報値で138万5、000人で、30年ぶりに140万人を切る状況です。昭和32年、このとき盛岡市が14万8、000人、岩手郡が13万9、000人、東磐井郡が9万1、000人、下閉伊郡が9万人であり、釜石が8万1、000人という状況でありました。北上川流域には88万8、000人、県北・沿岸に55万6、000人、61.5%対38.5%の割合でありました。
 平成17年10月には98万7、000人対39万7、000人となっており、71.3%対28.7%の割合となり、10ポイントの変動が見られます。そして、平成17年の本県最大の変化は、平成の大合併により11の合併が行われ、58市町村が35市町村となることであります。賢者は歴史に学ぶの言葉どおり、岩手県の過去、現在、未来をしっかりととらえて、これからに対するときであります。
 35のうち、八つの市と九つの町村が過疎地域自立促進特別措置法による過疎関係市町村となり、平成22年3月31日まで、過疎債配分など4項目の特例措置を受けることになります。今回の合併により、過疎地域の人口は、県人口に対する割合が14.8%から28.5%となり、合併前の2倍近くになっております。また、対象面積は44.2%から55.6%となり、合併前より11ポイント上昇しました。
 さらに、準過疎指定を見ると、12市町村あったものが9市町村となり、人口、面積とも減少しています。これは、合併によって準過疎から過疎に移行したところがあったためと思われます。
 県内13市のうち、一部過疎、準過疎を含めると10市、15町村、つまり35市町村中25市町村が過疎関係市町村となる見込みです。過疎、準過疎でないところは、市では盛岡市、北上市、釜石市の3市、町村では滝沢村、雫石町、矢巾町、紫波町、金ケ崎町、平泉町と野田村の7町村です。岩手県は、中核市を目指す盛岡市周辺と北上市周辺を除く地域は過疎地域と言うことができそうであります。
 全国の過疎市町村は、平成17年4月1日現在で、市町村数は全体の37.5%に当たる899市町村、人口は全人口の7.3%に当たる931万人、面積は国土の51.7%に当たる19万5、516平方キロとなっております。つまり国土の約半分の面積が過疎地域で、そこに1割弱の国民が生活していることになります。
 全人口の1割にも満たない過疎地域の対策は、国に任せているだけではできない、むしろ県の役割と認識する必要があるのではないかと考えますが、県を預かる知事の御所見をお伺いいたします。
 過疎地域自立支援特別措置は、平成12年度から平成21年度まで10カ年を対象とする時限立法であり、そして、その目的は、地域の自立を図り、もって住民福祉の向上、雇用の増大、地域格差の是正及び美しく風格のある国土の形成に寄与することとなっています。特に、美しく風格のある国土の形成に寄与するところが強くうたわれていますが、県土の3分の2、35市町村中25市町村の過疎地域を抱える本県の知事の所見を伺います。
 全国的傾向を見ると、全人口の7.3%の数字が示すように、過疎地域の人口減少はさらに進むものと思われます。市町村合併とともに、過疎地域がふえた今の岩手は、盛岡、北上エリアを除くと、過疎対策が最大の県政課題に浮上してきたのではないでしょうか。
 このような現状をとらえ、知事はどのように考えているのか、お伺いいたします。
 均衡ある県土の発展を目指す我が県は、過疎地域が大半となった今日、一層の格差是正に取り組むべきではないかと思います。今回、振興局見直しを進めていますが、県北・沿岸地域における振興局の役割は、県内人口の30%を切った状況から、基盤整備と連動した産業おこしが喫緊の課題であることは、多くの地区民の一致した考え方であります。県は今後、産業振興に重点化して取り組むとして振興局を設置し、広域的判断のもと、地域全体の振興を図るとしておりますが、具体的な方向性について知事のお考えを伺います。
 次に、過疎債の利用状況と今後の見通しについて伺います。
 県で言う優良起債の一つと思いますが、現在までの市町村の利用状況はどうなっておりますでしょうか。現在高と、どんな事業、どんなことに使われているか、お伺いします。
 次に、県代行制度の状況について伺います。
 市町村要望を伺った折、道路の県代行事業に希望が多く聞かれましたが、現在どれだけの事業が行われておりますか。また、市町村の要望に十分対応できておりますか、その状況をお伺いします。
 次に、下水道等の普及状況について伺います。
 県は、下水道普及に力を入れていることは、県民生活の向上のためにも、また、環境保護の上からも重要なことであります。
 農業集落排水事業や漁業集落排水事業、また浄化槽事業などもありますが、現在、行政が支援できるもの、制度が確立されているものはどんなものがあるでしょうか。その種類と県民が利用している状況をお伺いします。
 なお、公共下水道は、県の下水道計画に沿って進められていると思いますが、過疎地域では、現在どこまで普及しているのでしょうか。住居の密集した地域と違って、農山漁村ではその普及にもいろいろな工夫が必要だと思います。課題も含めて御答弁ください。
 次に、早坂トンネルと下閉伊北農用地総合整備事業について伺います。
 平成12年12月19日工事着工した国道455号早坂道路は、県央と沿岸北部を結ぶ重要な幹線道路でありますが、玉山村と岩泉町の境界にある北上高地、早坂峠に阻まれ、標高約900メートルの峠は、通年通行可能な道路としては、県内で一番高いところを通る道路であります。ヘアピンカーブの連続と全国屈指の寒冷地を通過することなどで、特に冬期間は事故も多発し、時間的にも県都盛岡との間を遠くしている一番の要因でありました。この壁を貫き、県央までの間を安全かつ時間短縮できることが、沿道住民の長年の願いでありました。
 知事初め県当局の皆様、関係各位の御尽力をいただき、平成17年2月9日、50カ月をかけて、しかも無事故でトンネル本体の工事を完了し、現在は、トンネル内の舗装工事、前後の取りつけ道路、電気整備の工事を行い、平成19年度の完成に向けて順調に進行していると聞いております。
 さらに、早坂道路のバックヤード的な道路工事が並行して行われております。平成14年4月1日に着手しました下閉伊北地域農用地総合整備事業であります。この事業は、普代村、田野畑村、岩泉町を20分で結ぶ約20キロの基幹道路と農用地の整備を行うもので、平成21年度末の完成を目指しております。
 この二つの道路が連結されれば、沿岸北部と県央がほぼ一直線につながることになります。経済物流はもちろん、農畜産物、水産物の搬送、観光の振興等に多大な影響を及ぼすものと期待されているところであります。
 しかし、交通の利便性が向上すれば、買い物やレジャー等で県央あるいは近隣の都市に出かけやすくなり、地元商店街が衰退する原因にもなりかねず、若者の都市移住に拍車がかかることも懸念されます。企業の誘致、あるいは起業を目指すにも、地域的ハンディ、特に輸送コスト等があります。やはり基幹産業である農林水産業、畜産、酪農等の振興こそ、過疎に歯どめをかけるものと考えます。
 沿岸北部地域は、夏季に冷涼な土地であります。適したその農作物の営農指導を行い、面整備された農用地を大いに活用していかなければならないと思います。また、水産関係、林業、酪農等を一体化させるような特色ある地域に変貌していかなければなりません。県当局のさらなる指導、支援が期待されております。
 早坂トンネル工事と下閉伊北農用地総合整備事業の見通し、これらの基幹道路等を活用した産業振興などの地域振興への取り組みについて伺います。
 次に、林業振興について伺います。
 初めに、いわての森林づくり県民税についてであります。
 これまで森林の管理を支えてきた林業生産活動は、社会経済状況の大きなうねりの中で、採算性の悪化や森林所有者の高齢化などにより低迷し、その結果、森林の手入れが行き届かず、荒れた森林がふえ、このままでは森林の公益的機能の低下が懸念されるところであります。
 一方、森林に対する県民の期待は、自然災害の防止、水資源の涵養、また、近年では地球温暖化防止への貢献など、公益的機能の発揮に対する期待が高まっており、私も、今のうちに本県の森林を良好な状況で次の世代に引き継ぐ方策を講じることが必要であると考えます。
 こうした中で、県は昨年、いわての森林づくり検討委員会を設置し、森林環境の保全のための施策とその財源のあり方について検討され、環境保全を基軸とした森林施策の実施に当たり、受益者である県民全体で負担すべきとの報告を踏まえ、今般、いわての森林づくり県民税が提案されました。
 そこで伺います。
 まず、国土の保全や地球温暖化防止などに貢献する森林の整備は、本来であれば国策として実施すべきと考えますが、今、なぜ県民税を創設してまで森林整備を進める必要があるのか、知事の基本的な認識を伺います。
 次に、今回の新税は、森林の公益的機能を県民の理解と協力のもとに保全していくという政策目的を実現するために導入する税制度と考えると、法定外目的税として創設し、県民に見えるようにすべきと考えますが、普通税である県民税の均等割超過課税方式を採用した理由を伺います。
 次に、これまでも林業施策として森林整備を進めてきましたが、今般の森林整備はどのような体制で進めるのか、あわせて、作業の実施者はどのようになるのか、伺います。
 また、整備を必要とする森林2万6、000ヘクタールのうち、5年間で7、500ヘクタールを整備しようとしていますが、残りの森林もできるだけ早く整備すべきであると思いますが、県の考え方をお示し願います。
 終わりに、手入れをされていない森林を全額公費で整備するとなると、懸命に森林の整備に努めてきている他の森林所有者との間で、不公平感が生じるのではないでしょうか。県の考え方をあわせてお示し願います。
 次に、社団法人岩手県林業公社についてであります。
 林業公社は、北上高地及び奥羽山間地を事業対象地として、昭和39年に設立され、国の拡大造林施策の方針を受け、分収造林事業による森林整備を積極的に実施し、これまで2万4、000ヘクタールの森林を造成し、本県の森林整備の一翼を担ってきました。
 このような中で、昨年4月、県は、県出資等法人改革推進プランにおける整理合理化対象法人として、平成19年度を目途に林業公社を廃止し、県有林へ一元化する方向を打ち出したところであります。
 これまで林業公社の新植、下刈り、除間伐事業等の現場作業は、地域の造林事業者が実施してきており、林業公社事業を支えてきた多くの造林事業者が、長年にわたって培ってきた豊富な技術力は、山村地域にとって貴重な財産であり、一元化後においても、引き続きこれらを生かしていくことが、森林の機能の増大を図る上で重要なことと考えております。
 そこで伺いますが、林業公社が廃止されることにより、これまで林業公社事業に従事してきた造林事業者にどう対応し、一元化後の事業はどのように実施しようとしているのか、伺います。
 次に、医療問題について伺います。
 先ごろ保健文化賞の祝賀会がありました。保健医療分野に、さらに公衆衛生、そしてこれを支える地域経済の向上と広範な活動が評価されることから、保健に加えて文化賞となったと伺いました。受賞者の元宮古保健所長、橋本勢津先生に、改めて敬意を表するところであります。
 この賞は、日本で初めての生命保険会社、第一生命の矢野一郎社長の提唱によるもので、天皇陛下の御臨席を仰ぐほどの格調高い賞と聞きました。社会福祉の向上、生活文化の発展など、大義をもってその実現を目指す企業精神は、今日改めて重要性が問われるところであります。
 小泉改革が支持されているのは、小さな政府の実現という大義に向けて、民間でできることは民間で、地方でできることは地方で、それぞれの役割を明確にし、一致して大義の実現を目指しているところにあると思います。
 民間企業が、営利のみ追求するのではなく、社会的使命を果たす中で、社会貢献をし、納税をし、繁栄の一翼を担うことを私どもも強く認識しなければならないことであります。
 そこでお伺いします。
 初めに、県立病院が設置されていない市町村への県の支援についてであります。
 市町村立病院、診療所の現状を見ると、医師確保と赤字経営に悩んでいる実態が浮かんできます。県立病院は、県立中央病院などの基幹となる病院を中心に、一定の医師確保はできる環境にあります。
 しかし、市町村立の病院等は、スケールメリットは確保できず、単体の経営ということから、転勤などはなく、赤ひげ的考え方がなければ、そこに勤務することは難しいと考えられます。しかしながら、地域住民の期待は大きく、また必要性は非常に高く、市町村が簡単に閉鎖できるものではありません。
 今に始まったことではありませんが、市町村財政が厳しさを増す今日、県立病院のあるところと比べ大変な負担を負うことになることで、改めて県は支援について検討しなければならないときではないかと思います。毎年の県立病院への一般会計繰入金が多額になっていることを見ても、県民に同等の医療を受けられる機会を保つためにも、県がこれを看過すべきではないと思います。
 県立病院のない市町村での医療機関への支援状況について伺います。
 我が党が市町村や団体から受けた要望を見てみますと、医療にかかわるものは数多く出されております。医師確保についての強い要望があることは、県も十分認知しておられるわけですが、中でも産科医療対策の推進が求められております。地域中核病院から産科の撤退が続き、地域住民に深刻な不安が広がっている状況があります。
 一方、残された施設に出産が集中し、これらの医療機関の産科では、過重労働による医療事故も危惧され、また、産科医療からリタイアする医師も出ることが懸念されております。このようなことから、県医師会では、産科医療対策検討会を設置し、住民に安全で快適な出産の機会を継続的に提供する方策の検討を始めたと伺っております。
 県は、産科医療対策を強力に推進すべきと考えますが、現在どのように取り組んでおられるのか、その状況についてお伺いします。
 終わりに、スポーツ振興について伺います。
 ワールドカップラグビーがニュージーランドに決定しました。日本開催を期待してきた私どもも、本当に残念だと思っております。もし開催が決まれば、盛岡でもぜひ試合をやってほしいと、ラグビー協会の皆さん、そして伊藤議長と一緒に増田知事に要望したことも、残念ながら水泡に帰した感があります。
 スポーツの持つ人間に与えるいろいろな活力は、明るい県民生活の大きな力になっていることはだれもが認めることだと思います。岩手県は、文化芸術の施設は全国平均を上回っており、これまでの努力に敬意を表するものであります。文化や芸術がしっかり岩手に根づいて、人材育成に、人間形成に役立つこと、そして、いい人材が輩出されることを期待しています。
 あわせて、スポーツの振興も大切と考えますが、スポーツ施設の状況はどのようになっているのか、お伺いします。
 また、増田知事は、県体協の会長を務めておられますが、最近の国体の順位が下位に低迷しております。選手強化にもっともっと力を入れて、強い選手を国体などたくさんの大会に送り、応援する県民に喜びと感動を与えるようにしていただきたいと思います。県の意欲の高揚に、そして明るい県民生活を送るにも、スポーツが盛んになることは大変喜ばしいことだと思います。大相撲でも、郷土力士栃乃花が久しぶりに大活躍をし、敢闘賞を受けて喜びに沸いたところであります。
 県スポーツ振興に対する増田知事、増田県体協会長に、その抱負を伺います。
 以上で私の質問を終わらせていただきます。
 御清聴ありがとうございます。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕

〇知事(増田寛也君) 佐々木大和議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、次代につなぐ岩手の大きなプロジェクトについてのお尋ねでございます。
 総合計画におきましては、科学技術分野などの国家プロジェクトの導入を視野に入れまして、2010年という計画期間を超え次代につなぐ構想というものを掲げております。
 このような構想の視野に入っているものとしては、これからの産業や医療、エネルギー、食料、環境などのさまざまな国家的な課題にこたえていくナノテクノロジーや生命科学、海洋科学、さらには物理学や化学などの基礎科学分野の研究開発プロジェクトが想定されております。
 本県には、豊かな自然、有為な人材をはぐくんでまいりました土壌、そして産学官連携の先駆的な取り組みなどのほか、先端科学技術研究センター、生物工学研究所の設置など基礎的な条件が整っておりますので、今後、基礎科学分野などの研究開発プロジェクトが本県で展開されますように、こうした研究開発に関する情報の収集、研究者とのネットワークの形成など、さまざまな取り組みを進めていく考えでございます。
 次に、市町村合併についてであります。
 市町村合併につきましては、これまで、平成12年度でございますが、県で広域行政推進指針を示して推進してまいりました。各自治体間で、それぞれの自治体の財政状況、行革の緊急性などの判断に差がございまして、その上で、合併の枠組みやまちづくり、行財政運営の方向性や進め方などが、それぞれの自治体間でもいろいろ議論となりました。当面自立を目指す自治体がそういう中で出てまいりますし、合併を目指す自治体も出てくるといった、そういう各地域でこの合併の取り組みに違いが出てきていると認識しているものであります。
 合併に至らなかった市町村の中で財政力の脆弱な市町村もございます。合併して財政基盤が強化されたところとそうでないところで、住民に提供される行政サービスに格差が生じるといった懸念もございますので、いわゆる合併新法に基づきまして、県では、自主的な市町村の合併の推進に関する構想について、現在、策定作業中でございます。これを今年度中に策定いたしまして、今後、向こう5年間、平成21年度末を一つの区切りといたしまして、この構想をもとに、積極的に市町村合併を推進していく考えでございます。
 それから、過疎対策についてでございますが、県土の3分の2が過疎地域になる、こういう現状がございます。来年3月でいわゆる過疎地域が県土の56%を占め、県人口の約28%に当たる約39万人の県民の皆さんが生活する、こういう状況でございますが、この過疎地域は、豊かな自然、多様な自然、地域資源や生活文化を有しておりまして、岩手らしさを広く発揮できる地域でもありますし、地域の特色ある産物の宝庫と言うべき地域でもございまして、まさに県政推進上、重要な役割を担っている地域、このように認識をしております。
 この過疎対策を担う主体についての問いでございますが、これまで4次にわたる過疎法に基づきまして、35年にわたりまして、国そして県、市町村がそれぞれの役割分担のもとに、国、県、市町村、三者が一体となった総合的、計画的な対策を講じてまいりました。特に本県では独自に過疎地域への支援を行ってまいりましたほか、この地域に準ずる地域として準過疎地域の制度を設けて支援をしてきたところでございます。この地域は、国土の保全や環境保全といった公益的機能の維持・発展のためはもとより、豊かな自然環境のもとでゆとりある多様な生活様式を実現できる場、さらに都市住民に対しても、彼らに対して豊かな生活を実現できる、こういう地域でもございますので、この過疎対策を引き続き国、県、市町村がそれぞれ適切な役割分担のもとに、三者が一体となって総合的、計画的に実施すべきもの、このように認識をしております。
 その上で、議員の方から、この過疎対策は県としての最大の政治課題ではないか、こういう所見がございました。この点については私も同じ認識に立っているわけでございまして、従来は政府・与党が公平性を重視して、富の分配を重視する政策、そして全国隅々まで光を当てるような政策を実施してきたわけでありますけれども、今後、こうした政策がどのように維持をされるのか。先般の総選挙の結果を見まして、まさにこの政策の分岐点となる可能性も秘めているのではないかと思います。したがいまして、県が過疎地域を守るためにやはり全力を挙げる必要があるわけでございまして、こうした認識に立って、過疎地域の振興は私も県政の最重要課題である、このように考えるものでございます。今後、副知事を本部長とする県北・沿岸振興本部を設置して、山村地域や中山間地域の対策と連動した産業の振興、地域の特性を生かした地域づくりの支援など全庁的な取り組みを進めてまいりますけれども、特に道路、港湾、情報基盤といった社会資本の整備や、それらを十分に活用した産業振興の取り組みを強力に進めていきたいと考えております。
 具体的には、基幹となる1次産業の強化が重要でございまして、園芸作物や畜産物を初め水産物、雑穀、山ぶどう、短角和牛など地域産品の産地形成を進める。また、食品分野の新たな企業誘致、既存企業の経営の多角化を進めたい。そして、広域的な視点に立って、生産者・企業の連携による商品開発、販路拡大といったようなことを行って、1次産品の高付加価値化を進めていきたいと考えております。また、1次産業と2次産業の連携による食関連産業の魅力の構築を背景に、地域の食を活用した滞在型の観光、グリーンツーリズムなど交流人口の増大にも取り組んでいきたいと考えております。
 次に、いわての森林づくり県民税についてでありますが、森林は、単に木材生産にとどまらず、水資源の涵養、山地災害防止の働きを初めといたしまして、二酸化炭素の吸収による地球温暖化防止など多くの公益的機能を有しておりまして、この森林から受ける恩恵は、所有者個人の利益にとどまらず国民共通の社会的な財産である、このように考えます。こうした公益的機能を持続的に発揮させていくための森林の整備でありますが、本来、これは国がしっかり財源を確保して進めるべきである、このように考えます。
 一方、本県におきましても、近年の林業経営をめぐる厳しい状況のもとで、これまでのように森林環境の保全を林業の生産活動のみにゆだねることは大変難しくなってきておりますので、間伐等の森林整備が行われない荒廃した森林が増加しておりまして、これに対しては一刻も早い対応が求められております。このため、森林全体の中で、洪水緩和や良質な水を供給する上で重要な機能を有する森林など特に公益的機能の高い森林につきまして、県民の皆様方の負担によって整備をしてまいりたい、このように考えております。国に対しては、森林整備を適切に進めていくための財源の確保を提言してまいりますけれども、県としても、こうした形で新たな財源を確保して、それを有益に使うことによりまして、県としての責任を果たしていきたいと考えております。
 スポーツ振興についてでありますが、本県の国体における天皇杯の成績でございます。これは、平成10年の冬季国体の地元開催、そして平成11年の岩手インターハイ開催時の強化策が功を奏しまして、平成10年は24位となりましたんですが、その後、これは景気低迷が背景にあるわけでございますが、企業スポーツの後退による成年層の不振、さらにインターハイ後の指導者の異動などによりまして少年層も伸び悩んでいるといったようなことで、今、低迷している状況にございまして、残念な結果となっているわけでございます。
 そこで、競技力向上を目指し、将来、本県からオリンピック選手を輩出できるように、高校におきます特別強化校の指定や、指導教員の長期配置などによるジュニア期からの一貫した指導体制の確立を図りますとともに、スポーツ医・科学サポートシステムを構築いたしまして、優秀競技者を育成する仕組みづくりの検討を進めていきたいと考えております。また、特に成績不振が顕著な成年層を強化するために、県体育協会と県内大学との連携を一層密にいたしますとともに、選手強化費の重点配分などによりまして、企業スポーツを擁しております産業経済界などの御理解、御協力をいただけるように努めてまいりたいと考えております。
 その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁をさせますので、御了承をお願いします。
   〔地域振興部長山口和彦君登壇〕

〇地域振興部長(山口和彦君) まず、過疎債についてのお尋ねでございます。県内過疎市町村のここ3カ年における過疎対策事業債の実績は、平成14年度が約69億9、000万円、平成15年度が約68億1、300万円、平成16年度が約68億9、200万円となっております。過疎対策事業債に係る平成16年度末の地方債残高は約644億2、000万円となっております。その事業内容としては市町村道の整備が最も多く、そのほかの主なものといたしましては、下水処理施設の整備、電気通信施設の整備、統合小・中学校の整備などでございます。
 次に、早坂道路と下閉伊北農用地総合整備事業の基幹道路についてのお尋ねでございます。過疎地域の多くは地形、気象等の自然的・地理的条件が厳しく、交通体系の整備は地域にとって産業、雇用、教育、医療等を確保するための欠くことのできない条件であると考えております。早坂トンネル等の整備は、すべての分野において大きく貢献していくものであると期待しているところでございます。今後におきましては、これらの基幹道路を活用した産業振興はもとより、都市部との交流・連携や広域観光の推進、個性ある地域づくりに向けた施策について検討を深め、地域振興ビジョンにも反映させながら、活力ある沿岸北部地域の振興に努めてまいりたいと考えております。
   〔県土整備部長橋本義春君登壇〕

〇県土整備部長(橋本義春君) 道路の県代行事業の状況について、現在、どれだけの道路の県代行事業が行われているかについてですけれども、県代行事業は、過疎地域自立促進特別措置法によります過疎代行、山村振興法による山村代行、豪雪地帯対策特別措置法による特豪代行など、特別立法に該当する市町村を対象として実施しております。このうち、市町村道代行事業については、本年度、8市町村の8路線を、同じく農道については、一般農道整備事業として7市町村の8路線を、また、林道については、林道整備事業、林業地域総合整備事業及び農免林道整備事業として、16市町村の20路線の合わせて21市町村で5事業、36路線を実施しております。
 市町村の希望に十分に対応できているのか、また、その状況についてのお尋ねですが、昨今の厳しい財政環境を踏まえまして、選択と集中により、現在実施中の箇所における事業効果の早期発現を優先しておりますことから、新規箇所採択については、地元からの要望に十分にはこたえることができない状況になっております。今後とも、新規箇所の採択につきましては、事業の必要性、緊急性、重要性等を総合的に検討し、判断いたしますとともに、関係市町村の理解を得ながら整備に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、汚水処理の取り組みについて、農業・漁業集落排水、浄化槽事業における行政支援とその利用の状況についてでありますが、住民に対する市町村の支援制度としては、農業・漁業集落排水及び公共下水道において融資あっせん制度、利子補給制度等があり、盛岡市ほか40市町村において実施しております。その状況は、多いところでは年間80件、少ないところでは年間数件程度となっております。県が市町村を通じて支援する制度といたしましては小規模農業集落排水推進事業があり、農村集落における普及促進を目的に、宅地内配管に補助しております。また、個人が設置する浄化槽では、昨年度1、649件に対し、国と県、市町村がそれぞれ補助をしています。
 過疎地域における下水道の普及状況と課題についてでありますが、過疎地域における平成16年度末の汚水処理人口普及率は40.3%と低い状況にありますことから、人口密集地域は集合処理、それから住家が点在している地域は浄化槽にするなど、地域の実情を十分に考慮した計画としまして、普及拡大を図っているところであります。また、個人の経済的負担が大きいことが課題となっておりますことから、行政が支援する諸制度を積極的に活用されるように、市町村と連携を図りながら取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、早坂トンネル工事の見通しについてでありますが、早坂道路の整備は、気象条件が厳しい峠部の急カーブ、急勾配を解消することにより、冬期間の安全で円滑な交通の確保や時間の短縮を図るため、3、115メートルのトンネルを含む延長4、170メートルの整備を進めているものであります。現在、トンネル内の舗装、電気設備等の工事を施工しておりまして、引き続き、消融雪設備、換気設備などの工事を行う予定としております。今後は、今年度発注工事に加えまして、消火設備、照明設備等の工事を進め、全整備区間のうちトンネル区間を先行いたしまして、一冬でも早く供用することも視野に入れながら、早期完成に向けて重点的に取り組んでまいりたいと考えております。
   〔農林水産部長今泉敏朗君登壇〕

〇農林水産部長(今泉敏朗君) 下閉伊北区域農用地総合整備事業の見通し等についてでありますが、農地の区画整理につきましては、今年度末までに計画面積125ヘクタールの約7割に当たる89ヘクタールが完成する見込みであり、また、基幹農道16.5キロにつきましては、今年度から岩泉工区のトンネル工事や田野畑工区の橋梁工事に着手するなど、着実に事業進捗が図られております。事業主体の緑資源機構では、今後、基幹農道の整備を重点的に進める予定であると聞いており、県といたしましては、計画どおり平成21年度の事業完了に向けた予算の確保について、国や緑資源機構に働きかけてまいりたいと考えております。
 次に、いわての森林づくり県民税について、整備体制と作業実施者についてのお尋ねについてでありますが、この税による森林整備は、県が事業主体となり、林内の整理も含めて県が責任を持って進めることにしております。具体的な作業の実施に当たりましては請負を考えており、請負業者の選定に当たっては、できるだけ多くの業者が参加できるようにするとともに、地元雇用などの条件を付すことで、少しでも地域の雇用創出につながる仕組みとなるようにしたいと考えております。
 次に、残りの対象森林の取り扱いについてのお尋ねについてでありますが、対象森林2万6、000ヘクタールは、公益的機能の発揮が特に求められる森林のうち、現状では管理が十分なされていない森林であり、速やかに森林整備を行うことで、その機能の維持・増進を図っていくことが必要な箇所であります。この税の性格が法定外目的税に近いことから、課税期間を5年間としたものであり、期間経過後におきましても、引き続き県民の御理解をいただきながら、順次整備してまいりたいと考えております。
 次に、みずから整備する所有者との間の不公平感についてのお尋ねについてでありますが、事業実施に当たりましては、森林所有者との間で、20年間の皆伐・転用の制限、普通林の場合は保安林に指定、必要に応じ森林体験などの場として森林の使用に協力といった内容を盛り込んだ協定を締結することとしております。こうした協定を締結することで、公費を投入することの担保はなされるものと考えております。
 次に、林業公社についてのお尋ねについてでありますが、林業公社が整備した森林は、平均林齢が25年生とまだ若齢の林分がほとんどであり、県有林に一元化された後においても、これらの森林を整備する上で必要な育林事業は引き続き適切に実施する必要がございます。そのため、こうした一元化後の県有林の育林事業の進め方については、現在、新たに公社営林が県有林に加わることや、地方振興局の再編整備を踏まえた管理体制をどのようにするのか、民間活用が可能な部分はどこなのか、外部委託をどのようにするのかなどを踏まえて検討しているところでありますが、これまで林業公社の造林事業に従事してきた方々の経験や専門的技術は大切であり、林業公社廃止後においても、そうした経験や専門的技術が生かせるような機会を持つことができるよう、仕組みをつくってまいりたいと考えているところであります。
   〔総務部長時澤忠君登壇〕

〇総務部長(時澤忠君) いわての森林づくり県民税につきまして、県民税均等割の超過課税とする理由でございます。いわての森林づくり県民税の課税方式につきましては、この税が特定の政策目的達成のための税制であるということを考えますと、法定外目的税として構築するという考え方もございます。しかしながら、いわての森林づくり県民税のように、県民税均等割の超過課税方式を採用いたしますと、徴税コストが低く抑えられる、また税制度として低所得者への一定の配慮が備わっている、このようなことがございますし、また、森林の公益的機能の恩恵はすべての県民に及んでおりますので、税負担につきましても幅広くとらえ、県民全体とすることが適当でございます。したがいまして、会費的な性格を持ちます県民税均等割でありましたら、広く県民の皆様に御負担いただく、そして理解が得られやすいのではないかというようなことを考慮いたしまして、県民税均等割の超過課税方式とすることといたしたものでございます。
 なお、県民へのわかりやすさということに関しましては、広く県民の森林環境保全に対する理解と関心を喚起するために、この超過課税部分をいわての森林づくり県民税というように呼ぶことといたしまして、あえて県税条例の一部改正条例案ではなくて、新規の個別税条例案として提案をさせていただいております。また、この税収につきましては、あくまでも森林環境保全施策のみに活用するということを明確にするための仕組みといたしまして、新たに基金を設置して一般財源と切り離して管理していくことといたしているところでございまして、このことにより実質的に目的税としての機能を担保できるものと考えてございます。
   〔保健福祉部長赤羽卓朗君登壇〕

〇保健福祉部長(赤羽卓朗君) 県としての市町村立病院・診療所への支援についてでございますが、一つは、医師の確保といたしまして、自治医科大学卒業医師の計画的な配置を行っているところでございまして、毎年、2人から3人の医師を配置しているところでございます。また、16年度に事業を大幅に見直しました市町村医師養成事業による養成医師の配置もこれから行われることとなっておりまして、以前は毎年1名から3名程度の養成であったものが、今後、年10名程度ということになる見込みでございます。
 もう一つは、運営費及び施設・設備整備への補助でございまして、16年度は、運営費の補助として23の診療所に、施設・設備補助としまして7病院、3診療所に補助を行っております。それから、僻地医療拠点病院として済生会岩泉病院を指定しておりまして、僻地診療所への代診医派遣事業を含めた病院運営に対する補助を行っているところでございます。今後とも、市町村立病院・診療所に対して、こうした支援を行ってまいりたいと考えております。
 次に、産科医療に関してでございますが、県としては、本県における産科医療の状況を踏まえまして、県医師会と連携して、本年の6月から産科医療対策検討会において検討してきたところでございます。この検討の中におきまして、産婦人科医師と助産師の分担と連携の新たな仕組みとして、助産師外来の取り組みが現実的ではないかといった方向が出されたところでございます。こうした経過を踏まえまして、本年9月末に助産師外来開設のためのガイドを作成し、県内の病院及び助産師に配付し、その普及に努めているところでございます。
 県の医療局におきましては、本年4月から試行的にこうした取り組みを実施してきております県立釜石病院とともに県立宮古病院、県立久慈病院におきましても、12月から本格的に助産師外来を実施することとなっております。ただ、こういった助産師外来というのは、あくまでもいわゆる妊婦さんの健診を中心としたものでございまして、産婦人科医師の確保が非常に重要であるわけでございますが、実際上、非常に困難な状況にはございまして、ただ、先般、これは11月16日でございますが、開催いたしました地域医療対策協議会におきまして、先ほど申し上げました市町村医師養成事業の養成医師について、小児科及び産婦人科を選択した場合の義務履行期間の短縮が協議されたところでございます。また、今後、医師確保のためのドクターバンクの創設を検討する必要もあるのではないかといったような御意見もちょうだいしたところでございます。こういった取り組みを通じて、産婦人科の医師の確保に向けた取り組みを進めていきたいと考えているところでございます。
   〔教育長照井崇君登壇〕

〇教育長(照井崇君) スポーツ施設の状況ですが、3年ごとに実施される文部科学省の平成14年度社会教育調査によりますと、平成14年10月1日現在、地方公共団体が設置している運動場や野球場、体育館、水泳プールなどの社会体育施設の総数は全国で4万7、321施設であり、本県においては857施設で、東北では4番目の施設数となっています。これを施設別に見ますと、体育館や相撲場、スキー場などは全国平均を上回っておりますが、一方、多目的運動広場や庭球場、野球場などは下回っている状況にあります。また、人口1万人当たりの施設数で見てみますと、全国平均の3.7施設に対して本県は6.1施設となっており、東北では秋田県、福島県に次いで3番目の施設数となっています。

〇44番(佐々木大和君) それでは、過疎対策について再質問をさせていただきたいと思います。
 先ほど知事は、国に頼るだけではなくて、県が過疎地域を守る原動力として進んでいくと非常に強い決意を示されたので、特にも県北・沿岸の過疎地域では、知事のその姿勢を高く評価するものだと思っております。この県北・沿岸地域の産業振興を図るには、やはり現状の実態の把握が一番大事だと思うんですけれども、そういう中で、北上川流域と県北・沿岸地域、北上川流域が盛岡、岩手中部、胆江、両磐の4広域生活圏、そして県北・沿岸を、その他気仙、釜石、宮古、久慈、二戸ということに分けてみますと、1人当たりの市町村民所得が、北上川流域では258万1、000円、県北・沿岸地域では205万9、000円ということになっています。これは平成14年度の数字でありますけれども、こういう形で見てみますと、やはりこの差は、県北・沿岸地域205万9、000円から見ますと、北上川流域並みの市町村民所得を上げるには25%アップが必要だと、そういう数字が見えると思います。その辺について、これから年次目標を立ててやっていかなきゃないと思うんですけれども、これからの取り組み方について意気込みを聞かせていただきたいと思います。
 そして、もう一つは、産業振興ということになりますと、当然ながら、大消費地または需要地の東京を初め大都市圏との関係が大事であります。その東京において県産品の販売を進めているのが――いわて銀河プラザがその一つなわけでございますけれども、そこにおいても銀河プラザの活動が大いに期待をされますし、そこでのいろんな新しい業者の事務所活用も活発に行われていると聞いております。
 今般報道されましたことに、岩手県東京事務所が来年から宿泊を廃止するということが報道になっております。そういうことで、この岩手県事務所の活用の方法なんですけれども、産業振興に岩手県が特に取り組まなきゃないという状況の中で、岩手県事務所のこれからの利用方法、活用方法の中に産業振興を取り入れていってはどうかなということを考えていただきたいと思う次第でございます。既に情報関連等の企業からは、その辺の可能性はないのかという問い合わせもあるように聞いておりますし、ぜひ、今回の東京事務所のさらなる活用のために、産業振興のための利用方法というのを考えてみていただきたいと思いますが、知事の御所見をいただきたいと思います。

〇知事(増田寛也君) 佐々木議員の御質問にお答え申し上げますが、県北・沿岸地域を中心とした過疎地域対策、ここでは、やはりまずこれから行うべきは、いまだ十分でないインフラの整備をしっかりと行っていかなければならない。計画されて、今、実行されているもの、先ほどの御質問の中にも大きなプロジェクトの例がございましたが、これがあともう少しで完成するものが幾つかございます。こうしたものが完成いたしますと、今、お話にございましたような産地と消費者との間の太いパイプができ上がるということになりますので、さらにそうしたインフラ整備に力を入れて、そして全体の産業の基盤をしっかりと整える。産業の素材として、私は先ほど申し上げましたが、最も岩手らしいものがあちこちに存在をしている、そういう地域でもありますので、そうした地域の宝を生かさない手はないわけですので、そうしたものが生かされるような、そういう取り組みをさらに強化していくということが必要であろうと思います。そういたしますと、やはり生産者の力では、あるいは市町村の力では少し無理なマーケットの調査ですとか、流通関係についてのもっと支援策、それから全国に向けたPRも含め、ブランド化も含めた、そうした大きな製品が売れるような、そういう対策といったものはやはり県が取り組むべき余地がまだ多いと思いますので、こうした過疎地域を振興していく上では、やはり力強い基幹となる産業を柱として育てていく必要がございますので、今言ったような観点で、さらに産地の皆さん方とよく議論をして、そしてヒントをいただきながら、県としても総力を挙げたいというふうに思います。
 それから、もう一点、東京事務所の活用の方策として、ただいま御提案がございました。そのことも今後の東京事務所の活用方策の中でよく検討していきたいというふうに考えておるところでございます。
   

〇議長(伊藤勢至君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後6時10分 散 会


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