平成17年12月定例会 第17回岩手県議会定例会会議録

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〇1番(亀卦川富夫君) 政和・社民クラブの亀卦川富夫でございます。
 さきに通告しております項目につき、順次質問いたします。よろしくお願いいたします。
 まず、厳しさの増す財政逼迫についてお伺いいたします。
 去る10月、県財政の中期収支見通しの試算が示されましたが、その内容は非常に厳しいものであります。極めて深刻かつ悲観的な数字が並んでおります。平成15年度から18年度の4年間における歳出ギャップ150億円のうち、18年度の55億円の不足が196億円の不足見込みに拡大するとのことであり、やりくりも限界との内容であります。さらに、平成19年度には借りかえでの対応や基金の繰り入れなどの財源的対策も困難となり、19年度から、県の総合計画の最終年度である22年度までの4年間の歳入・歳出のギャップは何と2、354億円、単年度平均約600億円の不足が見込まれるとの内容であります。こうした収支見通しを受け、18年度当初予算編成の見直しにより、さらなる歳入確保、歳出削減の努力をするとしておりますが、以下、具体的な取り組み方について御説明願います。
 まず、1点目は、歳入確保についての具体策とは何か、お示しいただきたいと思います。
 2点目は、財源不足の解消に向け、基金残高479億円の活用、プライマリーバランス均衡の範囲内での県債追加発行、歳出削減対策の三つを挙げておりますが、それぞれの内容について具体的に御説明願いたいと思います。
 3点目は、予算編成の見直しについて、具体的にどのような見直しをするのか、お示し願いたいと思います。
 4点目は、次期行財政構造改革プログラムにより、歳入に見合った歳出構造への転換を図るとしておりますが、そのイメージが描きにくいところもあり、内容や考え方などをお示し願いたいと思います。
 5点目、取り組みには血のにじむような努力が必要になると思いますが、県財政が安定するまでの期間など、どのような見通しを持っておられるのか、お示し願いたいと思います。
 6点目は、行財政改革の実行は必要ではありますが、その一方で、地方分権社会における自立のための方策、施策もあわせて求められるものと考えます。例えば、本県では自動車産業分野に大きな期待が寄せられておりますが、そのほかにも広い県土を活用した発想・アイデアが期待されているのではないでしょうか。単に歳出削減のみを進めるのではなく、新たに経費を使うべきものには使うという視点も大事ではないかと思いますが、この点をどのようにお考えでしょうか。
 最後に、目下進めておられる総合計画や40の施策についての見直しは必要ないのでしょうか。実行に必要な財源確保は可能なのでしょうか、お伺いしたいと思います。
 次に、三位一体改革の進行を、岩手の財政についての関連でお伺いします。
 小泉内閣が国と地方の税財政を見直すため、いわゆる三位一体改革が議論されて以来3年を超え、このたび一応の結論が得られたわけですが、かつて全国知事会議の席上で、皆さんの声を真剣に受けとめて進めたいとした小泉総理の姿勢にもかかわらず、各省庁の取り組み方は、知事会の考え方や要求とはほど遠いものであったのではないでしょうか。各省庁には、補助金等によって国が決めて地方が従うといういわゆる統治機構の変革を受け入れたくない姿勢が根底にあったためだという指摘もあります。地方分権社会への移行に伴う分権改革と、国の財政再建を目指す財政構造改革の二つの理想が最後までかみ合わないまま今日に至ったのではないかと思います。
 そこで、これまで全国知事会の中でも強力に推進してこられた増田知事の三位一体改革についての考えを改めてお伺いします。
 まず1点目は、これまでの議論、また、このたび一応まとまった改革の中身について、知事の総括をお伺いしたいと思います。
 2点目は、今回合意された内容により、本県の財政への効果あるいは影響について、どのように見込んでおられるのか。ますます逼迫する県の財政の視点も含め、所見を伺いたいと思います。
 3点目は、税移譲がなされた場合、県の財源としての取り扱いはかなり自由度が確保されるのでしょうか。また、これにより地方分権の理想と行財政改革は実現できるとお考えでしょうか。移譲の対象として、教育費国庫負担金や児童手当などが挙げられておりますが、これらをめぐっては、国の省庁のみならず関係機関、団体などをも巻き込んだ大変な議論があったものであります。例えば一部人件費のように、現在、国に必要額の支出義務を課しているものは、将来にわたる財源確保が確実との意見があるほか、負担制度の廃止によって、将来、都道府県間の財政力の格差により義務教育などの質に差が出てくるのではないかとの指摘もあるなど、依然、さまざまな疑問点も多くあると思われますが、実際に岩手県に当てはめたとき、具体的にどのようなことになるのかをあらかじめ想定の上、県民に示し、理解を得ることも必要と考えますが、知事の認識をお示し願いたいと思います。
 次に、人口減少社会への対応についてお伺いします。
 我が国の人口減少がいよいよ現実的になってまいりました。11月30日に公表された国勢調査の速報値によれば、本県の人口は138万5、000人と、前回2000年の調査時に比べて3万1、000人余り減少しているなど、本県は既に全国より速いペースで人口減少が進んでいることがうかがえるものであります。我が国の少子・高齢化が顕在化して以来、人口減少社会への移行に伴う労働力の低下、年金・医療などの社会保障制度の破綻などが指摘され、人口構造の変化に対応した社会経済システムの転換の必要性が論じられ、問題化されてまいりました。しかし、現実に少子化はとまらず、社会システムも年金改革を初めとして対応がおくれております。こうした人口減少社会に対する増田知事の基本認識をお示し願うとともに、本県及び県内の各圏域別人口動態の今後の見通しや推計、さらにはこうした見通しに基づいた県政の基本的な方向性をあわせてお示し願いたいと思います。
 人口減少問題の第2点目として、2007年問題についてお伺いいたします。総人口の減少傾向に加えて、人数の多い団塊の世代の退職により労働力人口が急速に減少するというものですが、この問題は、財政、年金会計などの破綻要素となり得ることや、生産現場では技術・技能継承の難しさが指摘されていることなど、危機感を柱として認識されております。2007年は我が国の大きな時代の曲がり角としてとらえるべきであると思いますが、知事の認識をお示し願うとともに、この問題に関し、県行政としての現在の取り組み状況、また、今後取り組もうとしている具体的な対応策をお示しいただきたいと思います。
 第3点目として、少子化対策についてお伺いいたします。少子化の解決策としては、出生率の向上と未婚対策が基本にあると考えるものであります。さきに男性の育児参加を促す次世代育成対策推進法が制定されたところでありますが、大手企業については、この法律の遵守が可能であったとしても、中小・零細企業では無理な実情なのではないでしょうか。特にも岩手県の場合は従業員が300人以上の企業が対象であることなどから、その効果のほどは疑問に思うものですが、この点をどのように認識されておられるでしょうか。
 また、なぜ夫婦が子供をつくらないかという点について、少子化社会白書によれば、経済的理由が圧倒的との調査結果があります。夫婦が理想とする子供の数は決して低くはないのですが、子育てや教育にお金がかかり過ぎるからとの理由で子供をつくらないというものが約63%を占めております。こうしたことから、さらに経済的支援をもっと充実すべきとの見地から、子育て基金や育児保険制度の創設を望む提案などもあるようであります。また、その他にも未婚対策などさまざまな取り組み方が考えられると思いますが、これらの点に関する県の取り組み方針をお示し願いたいと思います。
 次に、産業振興についてお伺いします。
 人口減少に対して地域社会としてとらえるならば、少子化の観点とともに定住人口を確保する施策が大切であります。今後進む地方分権社会は、見方を変えれば地域間競争でもあります。いかに魅力ある住みたい地域社会を築くか、その根底は雇用の場確保であり、そのためにも産業の振興が重要であります。本県の場合、仕事がないため、年間5、000人が県外へ流出しており、人口減少の最大の要因となっているところであります。さらに、働き手がなくなることにより、10年後の県民所得も2000年対比で7.4%減少する見通しであり、これでは高齢社会を支えることは難しいとの指摘もあります。さきに述べましたように、一部自動車産業などに明るい兆しもありますが、農業を初め本県の産業の育成・振興も殊のほか大切であります。しかしながら、16年度の岩手県総合計画の実施状況を見ると、産業の振興に関連する目標達成は厳しいとの評価も示されているところであります。こうした中、広域生活圏の見直し作業が進められておりますが、これは産業振興を中心としたものとのことであり、これまでの生活圏の名称から広域振興圏と変更し、産業振興を推進しようとするものでありますが、こうしたことについて県当局の現状認識を伺うとともに、広域生活圏の見直しと産業の振興・育成策をどのようにとらえ、進めていこうとしているのかについてお伺いします。
 また、このたびの見直しに伴い、県南地域については広域振興局を設置するなど、他に先行して広域振興圏としての具体的取り組みを進める方向と伺っておりますが、より一層の産業振興策が必要な県北・沿岸地域についても、早期に広域振興圏として機能できるよう、取り組み・作業のテンポをより速める必要があるものと思いますが、改めてこの点の認識をお伺いしたいと思います。
 次に2点目として、岩手の新産業の取り組みについてお尋ねします。これまで岩手大学において、プリント配線基板製造技術や酸化亜鉛単結晶によるダイオード開発に関する画期的な取り組みが報道されており、まことに心強いことであります。このほかにも岩手県には多くの新産業の芽が創出されつつあるものと思いますが、その現状と今後の見通し、さらには県の果たすべき役割についてお示し願いたいと思います。
 次に3点目として、これに関連して工業技術センターの独立行政法人化について伺います。本定例会に岩手県工業技術センターを地方独立行政法人に移行させるために必要な議案が提出されていますが、この独立法人化によって真に県内産業の振興に結びつくのか心配される点もあることから、以下、質問いたします。
 現在の岩手県工業技術センターは、種々の事業を通じて県内企業の活動に多くの貢献をしてきているものと私は理解しておりますが、県としてどのように評価をし、また、どのような課題や問題があるとお考えでしょうか。また、こうした現状の組織では解決できない課題や問題が独法化によってどのように改善されるのか、あわせてお示し願います。
 次に、今回提案されている定款第6条では、法人の種別が特定地方独立法人となっており、法人の役職員は公務員の身分を有したまま移行することになりますが、その理由と、具体的な役職員の移行に係る手続の内容、さらに将来にわたりこの公務員型を継続させるお考えなのか、お示し願いたいと思います。
 次に、行財政構造改革プログラムでは、他の試験研究機関についても独立行政法人への移行を検討することになっていましたが、現時点における検討状況についてお示し願います。
 次に、産業振興の広域的取り組みについてお伺いいたします。我が国の人口減少などの動態に関し国土交通省の調査がありますが、それによれば、2030年時点における全国85カ所の都市圏域の人口予測では、2000年に比べ約90%に当たる74の都市圏で人口が減少するとのことであります。幸い人口を維持できる残り11の都市圏の中に盛岡圏域及び仙台圏域が見込まれております。知事はかねて宮城、山形との自動車産業での連携を目指しておられましたが、このような人口動態調査の予測が示されたことについて、さらに意を強くされておられるのではと思いますが、産業、特に商工業などの分野の振興に関し広域で取り組むことの意義について、県当局に改めてお伺いしたいと思います。
 さらに、過日の報道によれば、新しく宮城県の知事に就任された村井知事は、増田知事に呼応したかのように自動車産業などでの連携を打ち出されておりました。同時に、観光政策でも隣接県と連携を図りたいとも述べておられますが、これについて増田知事の考え方はいかがでしょうか。また、連携を進めるとすれば、どのような構想とスケジュールをお持ちでしょうか、あわせてお示し願いたいと思います。
 次に、県立高校の再編についてお伺いします。
 県立高校新整備計画後期計画は、提案以来、多くの議論が交わされました。特に統合計画については、当該市町村や同窓会などから、地域の実態を無視した数合わせ的統合との反対意見が相次ぎました。結果的には、当面単独という形で存続になった高校など、当初の案から見れば内容的に異なったものになりました。まず、これらの事実について、どのような反省に基づき、どのような発展性を考慮して後期計画の成案としたものなのか、お伺いいたします。
 次に、成案になった後期計画の中に当分の間という期間が示されたものがありますが、この考えについてお伺いいたします。当分の間という語感からすれば、数年後にはさきに示された当局の案に戻して実行に移すということではないのかとも思われますが、思い過ごしなのでしょうか。私は、当分の間とは、この間に先進的な教育理念、あるいは岩手ならではの具体的な方策の構築について、地元や関係者と鋭意協議しながら、より充実した教育環境の整備・推進に充てるべき大切な期間ではないかと思います。財政の痛みとか数合わせと言われる論議から一歩進め、子供たちが本県の教育を受けてよかったということを、精神的にも、社会的にも実感できる教育制度、教育環境を構築すべきであると思います。三位一体改革で地方が国に主張している、地方それぞれが創意工夫することの大切さを実践し得る場であるとも考えるものですが、この当分の間に対する疑念に答えていただきたいと思います。
 以上の点を踏まえつつ、さらに専門学科高校のあり方についてお伺いいたします。
 現在、本県が最も力を入れている自動車関連などの産業振興を支える人材教育は大きな課題であります。この産業人材育成を主眼とした教育を初め、新産業に及ぶ分野のカリキュラムの展望や、県立大学進学などをも考慮に入れた検討が必要ではないかと思います。また、いわゆる新ビジネスが台頭し、それらに対応した実質的な教育の必要性も指摘されております。私は、このような観点からの検討を進め、実行に移すまでの期間がまさに当分の間ということであるべきだと思いますし、特にも、専門学科高校については、それぞれの地元関係者にとっても、それが強い願いであるものと存じます。具体的な例として、水沢工業高校及び水沢商業高校などは、これまでの経過を踏まえ、自動車関連学科の設置や新ビジネス対応のカリキュラムなどを検討し、実践すべき対象になり得ると思いますが、いかがでしょうか、御所見を伺いたいと思います。
 次に、去る11月4日、いわて産業人材育成会議から、本県の人材育成に関する提言が提出されたところであります。事務局は商工労働観光部が所管していると承知していますが、今後、教育委員会などとの横断的な取り組みも期待されるところであります。この提言に対する県当局のそれぞれの御認識と取り組み方をお伺いいたします。
 次に、岩手競馬の今後のあり方についてお伺いします。私は岩手県競馬組合の議員でもありますので、組合の経営内容については組合議会においてただしますが、岩手の競馬が今後どのようなあり方であれば生き残れるのか、その経営主体のあり方について知事に質問いたします。
 過日の新聞は、競馬法改正の第二弾として、地方競馬の運営一元化という見出しで次のように報じております。政府の特殊法人等改革推進本部参与会議は、11月25日、売り上げ低迷が続き、収支が悪化している地方競馬をめぐり、競走馬登録や広報を行う地方競馬全国協会を解体し、各地方競馬が出資する共同法人組織として運営を一元化する改革案をまとめたという記事であります。これは、かねて法律の改正によって可能となった官から民への経営の道筋が見えてきたということであります。今後、全国の地方競馬の進むべき道が問われることにほかなりません。現在、岩手県競馬組合では、改革実行計画に基づき、ソフトバンクとの提携あるいは資産売却など、再建の努力を必死に行っております。この成果が上がることを心から念じ、願うものでありますが、一方、法律の改正によって新たな展開が全国的に可能になった競馬事業について、しっかりとその真髄を把握理解して、進む道を追求することも肝要なことと存じます。
 そこで、この観点に立って、以下お伺いします。
 1点目は、競馬改正法によって可能になった経営・運営についてであります。この改正は、我が国の競馬のあり方懇談会において、地方競馬は、主催者単独の努力では限界があり、競馬施行形態の抜本的改革が必要である。そのために主催者間連携の強化と私人委託などの規制緩和が必要である。この提言に基づいて、17年1月1日施行による競馬法改正の実施に至ったものであります。その概要は、第1には、競馬主催者が自主的に事業収支の改善を行うことができる範囲を拡大するための規制緩和などであります。具体的には中央競馬と地方競馬の相互受委託、競馬競技開催の民間委託の導入といった競馬の実施に関する事務の委託制度の見直しなどであります。
 第2は、地方競馬主催者の事業収支改善の促進であります。これは地方競馬主催者間の連携を促し、施設や競走馬などの共通化などによるコストの削減、販路の拡大・促進を通じた安定的な売り上げ確保に資するための措置をとることが可能となる内容であります。赤字に苦しむ地方競馬にとっては、長年の思い、夢がかなったものであります。しかし、その具現化を図る上で連携の大切さ、すなわち単独ではなく複数の競馬場が集まって合理化するという、このポイントがよく理解できず、実現できなかったのが本県競馬の現実ではなかったのではないでしょうか。この点についての知事の見解をお伺いいたします。
 お伺いする2点目は、今後の大きな方針と取り組み方であります。競馬は、競馬競技を開催する業務と馬券の発売業務の二つから成り立っておりますが、さきの新聞報道による今回の動きは、法改正によって、競走業務の委託については、地方競馬にかかわる共同組織が広域的な連携によってその担い手となることが可能になったということであります。そしてまた、発売業務については、有力な民間の担い手が広域ネットワークシステムを構築して当たることが可能だということであります。つまり馬の競走業務と発売システムのネットワークが縦と横の関係で結ばれることになります。このような全国的な連携のもと、地方競馬が存続し得る仕組みが現実的なものとして考えられるようになるものであります。
 私は、このような大きな動きの中で、これまで幾多の先人が培ってきた伝統ある岩手競馬の個性をいかに発揮し、その存在感を全国的にアピールすることができるか。そして、もう一方では、広域の発売システムのネットワークが構築される中に岩手の抱える債務をいかに組み込ませることができるか。今こそ、創意と工夫が必要とされているのではないかと考えます。つまり、レースという商品には個性を、発売システムには債務をという二つの柱があります。この二つの流れを柔軟かつ大胆に取り入れ、道筋をつけていくことこそが岩手競馬再生の方向であろうと思うのでありますが、いかがお考えでしょうか。また、そうした取り組みのためには、今後、農林水産省のさらなる指導のもと、地方競馬全国協会あるいはJRAなど関係団体とのより深い信頼関係を築くことがより重要であると思いますが、これらの点に対する増田知事の御所見をお伺いいたします。
 最後に、今日、我々県民生活にとって非常に不安な問題が起きております。すなわち新型インフルエンザ問題と耐震強度偽造問題であります。これらの問題については、国の問題だとか、一地域、一業界の問題として片づけることができないものと考えます。県としても、市町村としても、それぞれ十分な連携のもとで、それぞれの立場で早急に取り組まなければならない緊急性の高い性質のものでありますので、これらの問題に対する県当局の対策状況についてお伺いいたします。
 まず、新型インフルエンザについてでありますが、目下、その対応については、厚生労働省を中心に国を挙げてその防止に努めているものと存じます。本県においても、去る11月25日、庁内関係部局担当者による健康危機管理会議が開かれ、県としての行動計画について協議されました。早期の体制整備が求められる中での対応を評価いたします。現在、新聞やテレビ等での情報によって危機感は持っていても、どう対応したならばよいのかわからないという県民の不安感払底のため、さらなる取り組み方を願うものでありますが、対応の現状と今後の取り組み方、県民に対する情報提供についての考えをお示しください。
 次に、耐震強度偽造問題についてであります。これはまさにあってはならない人災と言うべき大変な問題であります。この問題の深刻さは、現在判明している建築物にとどまらずほかにはないのか、自分のところは大丈夫なのかという不安がなかなかぬぐえないことであり、しっかりした調査を行って、こうした不安を取り除くことと、二度とこのような偽造などが起き得ないよう、建築確認制度の見直しをすることが重要であると考えます。特に本県は、いつ起きるかわからない宮城県沖地震などに備えた対策を講じている中であります。県民生活の不安を取り除く上で万全の措置を願うわけでありますが、今回の偽造問題に関する県の対応と県民への情報提供などの考え方について、お示し願いたいと思います。
 以上で私の質問を終わりますが、答弁次第で再質問をさせていただきます。
 御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕

〇知事(増田寛也君) 亀卦川富夫議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、次期行財政構造改革プログラムの基本的な考え方についてでありますが、第1点は、2、300億円を超える財源不足の解消に向けて、聖域のない徹底した行財政のスリム化に取り組むということでありまして、具体的には、組織・職員体制の大幅な見直し、民間のすぐれた改善手法を参考にした業務改善、成果重視の徹底による事務事業の見直しなどで、スリムで効率的な体制を築いていきたいと考えております。
 第2点目は、地域経済の自立に向けた産業振興、そして福祉、雇用など社会的弱者に配慮したセーフティーネットの構築などの視点を重視して、財政的、人的な資源の重点化を進めていく考えでございます。
 第3点目は、市町村中心の行政システムへの転換を促し、また、地域力を生かした取り組みの一層の展開や、NPO、そして企業などとの連携や協働をしっかりと進めていく考えでございます。
 第4点目は、県の政策形成能力をさらに強化いたしまして、職員の意識改革を徹底して、信頼される行政の実現に努めていく、このような方針で進めていきたいと考えております。
 限られた財源の活用のあり方でございますが、やはり、今、議員の御指摘のとおり、重点化すべきところにはしっかりと重点化をしていく、投資も行っていく、こういう考え方が重要だと思います。
 そのために、中期的な財政見通しのもとで、政策評価などを踏まえながら、特に産業育成の分野、自動車産業を中心としたものづくり産業の展開、また適地適作による複合型の農業の構築、また広域型観光の展開といったような岩手ならではの強みを生かした産業の育成に取り組む。
 また、地域づくりの基本は人づくりということでございますので、あすの岩手を担う青少年の育成、たくましい産業を支える人材の育成、こうした分野につきまして、学校教育の段階から将来を見据えたしっかりとしたビジョンを持って人づくりに取り組んでいきたいと考えております。
 次に、40の政策についてでありますが、来年度がその最終年度となりますので、財政状況には限度がありますが、一般財源に50億円の政策推進枠を確保して、目標が確実に達成できるように全力で取り組む考えでございます。
 また、次期行財政構造改革プログラムと符合した平成19年度から22年度までを計画期間とする新たな政策推進プランを策定する考えでございまして、このプランによりまして選択と集中を図って、総合計画の基本目標でございます夢県土いわての実現を目指していきたいと考えております。
 次に、三位一体改革についてでございます。
 これは、昨日申し上げましたが、3兆円の税源移譲が行われたということ、それから、施設整備関係の補助負担金の移譲が実現したといった点は評価するものでございますが、地方案にないものが多くを占めまして、地方の自由度や裁量の拡大につながらない補助率の単なる引き下げなどの手法をとったことについては、極めて残念なことであると考えております。
 なかなか地方分権が進まなかった大きな原因として、やはりこの間の過程を見ますと、既得権益を守ろうとする中央省庁などの抵抗もございました。また、国と地方の役割分担の議論が進みませんでしたし、残念ながら、国民への理解の広がりにも欠けた面があったと言わざるを得ないと思いますが、しかし、政府・与党合意、さらには国、地方協議の過程を振り返りますと、我々地方の側から具体的な補助金廃止リストを掲げて国と対峙していった、そして、曲がりなりにも国、地方の協議の場で両者が議論を積み重ねて政策決定をしたというプロセスがございました。これについては、今後に向けて意味のあることでありまして、こうしたことを今後の2期改革につなげていく必要がある、このように認識しております。
 それから、本県への影響額についてでございますが、現段階では、まだ詳細が明らかにされていないということで、現時点での情報から得られるおおよその額でございますが、国庫補助負担金の廃止・縮減に伴いまして、見合いで、本県では一般財源の負担が60億円余り増加するのではないかと見込んでおります。
 一方で、これに対応した税源移譲額及び交付税額については、現段階でまだ不明でございます。したがって、財政への具体的な影響額は算定できない状況でございますが、三位一体改革の基本的な枠組みの問題として、確実に所要一般財源が確保されるべきものと考えております。
 それから、3兆円の税源移譲による増収の関係でございますが、これが実施されますと、県と市町村を合わせた個人住民税の増収額は、本県分としては約260億円程度と、これは平成16年度の決算ベースをもとにしておりますが、約260億円程度と試算されております。まだ県と市町村の配分割合が未定ですので、これは合算した額ということでございます。
 これは、当然のことながら、移譲額分の地方税収がふえるということでございまして、自主財源比率が高まりますので、財政の自由度向上には貢献すると認識しております。ただ、改革の内容では、国の負担率を単に引き下げるという手法をとっているものが大変多かったので、実質的には、地方が創意工夫をして効率化を図る余地は少ないのではないかととらえております。
 総額20兆円ある国庫補助負担金のうち、今回見直しが行われるのは約4兆円にすぎないわけでありますので、やはりこうした第1期改革の検証をしっかりと行って、そして、新しく設けられます地方分権構想検討委員会による検討状況も踏まえながら、地方側で十分に協議をして、意思統一を図りながら、2期改革に向けて進んでいかなければならないと考えております。
 それから、こうした税源移譲額が国庫補助負担金廃止額に満たない地方公共団体が出てくると困るわけでございまして、今回も、地方交付税の算定等を通じて確実に税源措置されるというのが改革の前提条件でございますので、この点が非常に重要になると思います。
 今後、地方交付税の見直しも行われると思いますが、国の財政再建を重視する余り一方的な削減が行われることのないように、地方6団体として全力を挙げて取り組んでいきたい。
 そして、この財源確保の仕組みがしっかりでき上がれば、仮に全額一般財源化されても、自治体としてはそれぞれ確実に予算措置ができるものと考えております。
 次に、人口減少社会への対応でございます。
 この人口減少社会でございますが、労働力人口の減少で、経済規模の縮小や高齢化に伴います社会保障面での財政負担の増加といったようなことがございまして、こうしたマイナスの影響をしっかりと認識していく必要があると考えております。
 そのためにも、右肩上がりの経済社会を前提とした既存のシステム、そして価値観、発想を根底から変えまして、豊かな社会の創造につないでいかなければならないと思うわけであります。
 本県では、現在140万人を少し切る人口でございますが、2030年には総人口が123万2、000人まで減少と予測されております。
 とりわけ、気仙、釜石、宮古、久慈、二戸といった沿岸・県北地域の各広域圏では、2000年を100とした人口指数が3割前後減少するのではないか、盛岡以南の北上川流域の生活圏に県人口の約77%が集中する、こういう予測がございます。
 このような総人口が減少して、そして、県内でも各地域における人口の偏在が進んでいくことが予想される中で、やはり大事なことは、ものづくり産業の集積の促進や農林水産物のブランド強化、観光の振興など、地域固有の資源を生かしながら、しっかりとした地域経済の基盤をつくり上げる、これが最も重要であり、また急務であると考えます。
 2007年問題、いわゆる団塊の世代に対しての認識でございます。
 全国で約700万人弱、本県では約7万人と推定されておりますが、本県の社会経済に大きな変化をもたらす、それは一気に大量の退職者が発生するということでございますので、大変大きな変化をもたらす重要な問題でございまして、地域経済の縮小化などの懸念を踏まえて、しっかりと受けとめていく必要があると考えます。
 この団塊の世代というのは、他の世代と比較して、大変活動的・創造的な世代と評価されておりまして、高度な技能、そして知識を有しておりまして、社会参加の意識が高いということがございまして、考え方によっては、大変貴重な戦力、財産であるというふうにも思われるわけです。
 したがって、人口減少、少子・高齢化社会が進行していく中にあって、地域社会の担い手としての活躍が大いに期待できるわけでございます。
 現在、この団塊世代の大量退職がどのような影響を及ぼすかということについて、雇用対策の面から調査分析を実施してございます。
 こうした調査分析を踏まえまして、雇用対策面では、退職後の活躍の場の提供について対応策を検討していくということ、それから、全国的に大きな動きとして、近年のふるさと・田舎志向というものを背景にして、首都圏などからのふるさと回帰への動き、首都圏からの移住も視野に置きながら、地域社会への受け入れ態勢づくり、そして商工観光分野、農林水産分野を初め、地域づくりなど、各分野にわたってこの問題を総合的に検討しているところでございます。
 それから、子育て支援についてでございますが、これも国、地方自治体という行政だけでなくて、企業も含め社会全体の問題でございます。
 次世代法においても、企業に事業主行動計画の策定が求められまして、本県では、義務づけられている企業87社、これは従業員301人以上ということですが、この87社すべてで策定が終了しております。
 しかし、義務づけがなくて努力義務となっております従業員300人以下の企業では、こうした計画がつくられているものは、届け出制になっておりますが、20社のみということになっておりまして、より多くの企業での取り組みが必要でございます。
 働き方の見直しをテーマとしたフォーラムを企業関係者も参加いただきながら開催しているわけでございまして、今後とも、こうした問題について、県と市町村、そして企業一体となって、環境づくりを推進していきたいと考えております。
 それから、子育てについての経済的支援についてでございます。やはり理想の子供数を持たない理由の一番にお金がかかるということがあるわけですが、ここに目をつけまして、幾つかの県で経済的負担の軽減を主眼にした支援策を実施しておりますが、多くは奨励的で、効果も極めて限定的なものということで、最近、またそれをやめている自治体も多く出ております。すなわち、単独の自治体の財政力では、経済的な支援に限界がございまして、その効果も、今申し上げましたように、非常に限定的にならざるを得ないということでございます。
 国で、社会保障給付の中で、大きな比重を占める高齢者関係給付を見直しして、こうした次世代育成支援の方にそれを回そうということも検討課題とされていると聞いておりまして、こうした動きも今後注視していきたいと思っております。
 未婚対策についてでございますが、これも、出会いの場づくりなど、他県の取り組み事例を見ますと、事業の実施には相当工夫を凝らしているにもかかわらず、残念ながら成果が上がっていないという実情でございます。そのような結果が認められます。
 そこで、県では、新しいいわて子どもプランを着実に推進することを基本といたしまして、社会、親、子供の三つの視点を柱として、男女がともに安心して産み育てられる環境づくりを推進していく考えでございます。
 広域生活圏の見直しと産業振興の関係でございますが、先般の10月の国勢調査の速報値を見ますと、本県で、予測を上回るペースで実は人口減少が加速していることが判明しております。こうしたことは、生産年齢人口の減少は地域経済の縮小につながりますので、ひいては県民生活への大きな影響が懸念がされる。
 したがって、産業振興の取り組みを今後の広域行政の最も重要な課題と明確に位置づけて、そして、しっかりとした成果を出すことが必要でございまして、より広域的な視点で、市場競争力、そして付加価値の高い産業構造を構築していきたい、こういう考えを持っております。
 県南地域では、市町村合併や、また産業の集積が進んでおりまして、市町村と民間活力を生かした地域振興に取り組む体制、条件が整いつつありますので、こちらは来年4月から広域振興局体制に移行して、よりそうした産業の振興を図っていきたい。
 一方で、県北・沿岸地域は、やはり、本庁に全庁的な組織として副知事を本部長とする県北・沿岸振興本部を立ち上げて、市町村との連携を一層強化して、相互に目標、方策を共有して、その上で、市町村みずからが地域の自立に向けた取り組みを進めることができるよう、その後押しをしていきたい、このように考えているわけでございます。
 こうした取り組みを通じて、県北・沿岸地域、市町村と民間活力を生かした地域振興に取り組める状況を早くつくり出して、そして、極力早期にこちらも広域振興局体制に移行できるように、全力を挙げて取り組む考えでございます。
 さらに、観光政策につきましての宮城県との連携ですけれども、宮城県とはこれまで、それぞれ県境を所管する地方振興局を中心に、観光振興の面で連携を図ってまいりましたが、考えてみますと、奥州藤原氏の時代には、宮城県にまで平泉文化圏の範囲も及んでおりましたので、今、平泉の文化遺産の世界遺産登録を目指して動いているわけですが、こうした平泉の文化遺産は、両県に共通する観光テーマになる、このように考えております。
 また、国際観光の面でも、4月に宮城県と共同で経済事務所を大連に設置いたしまして、11月にも商談会を開催いたしました。
 さらに、仙台空港は、中国、韓国、台湾との定期便を持つ東北唯一の空港でございまして、本県への東アジアからの観光客誘致を進める上でも、宮城県とのこの面での連携が必要、このように認識しております。
 こうした平泉の文化遺産を核とした観光振興と、それから、東アジアからの観光客誘致などをテーマとした連携を具体的に推進するために、今後、宮城県とスケジュールも含め協議を進めていく考えでございます。連携に向けて、両県で協議を進めていく考えでございます。
 最後に、岩手競馬についてでございます。
 岩手競馬の今後のあり方ということですが、先般の競馬法改正によって可能となった経営・運営につきましては、組合の改訂実行計画で、その内容を活用しながら経営改善を進めるとの観点から、民間の知恵と手段を活用した経営改善に取り組むことといたしまして、テレトラックの民間への運営委託を開始するなど、一定の成果があったと思っております。
 また、法改正のもう一つの柱とも言える主催者同士が連携した事業収支改善、これは、取り組んだわけですが、どうも主催者それぞれの事情もあって、実現がなかなか難しいという状況でございます。
 しかし、今お話ございました、法改正で設けられた認定競馬連携計画に基づく補助制度、それから、先般発表された特殊法人等改革推進本部参与会議の地方競馬全国協会改革案で見られますように、地方競馬は、主催者が連携して経営改善に取り組んでいくという方向にある、このように認識しているわけでございまして、地方競馬の再生に向けて、他の主催者との連携の重要性を念頭に置きながら、今後、具体的な連携の実現に取り組んでいきたいと考えております。
 そして、今後のそうしたことも含めた取り組みですが、先ほど申し上げました特殊法人等改革推進本部参与会議の改革案を見ますと、今後の地方競馬は、民間活力も導入しながら、地方主催者が連携して経営改善に取り組んでいくべきという方向の中で、民間事業者と連携して、インターネットを活用した地方競馬の全国的な発売システムを構築しようとする動きがございます。
 こうした動きの中で、当県の競馬が継続・発展していくためには、現在取り組んでおります全国に向けて岩手競馬の情報を発信する、そして、全国から投票できるシステムを実現し、発売能力を高めていくことが、ぜひとも必要でございます。
 一方で、地方競馬の情報がそれぞれのところで全国規模で発信される状況になっていくことを踏まえれば、やはり岩手競馬それ自体の魅力、商品性を高めていくことが、発売システムを有効に活用していくために欠くことのできない重要な要因であると認識しております。
 そこで、先ほど申し上げました、他道県との連携を図りながら、機会を十分にとらえて、農林水産省、地方競馬全国協会、そして日本中央競馬会などの関係機関・団体とも十分に協議を重ねて、理解を得ながら、この岩手競馬の再生を目指していきたいと考えております。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁させますので、御了承をお願いいたします。
   〔総務部長時澤忠君登壇〕

〇総務部長(時澤忠君) 中期収支見通しに関しまして、まず、歳入確保の具体策でございます。
 具体的な歳入確保につきましては、例えば、その県税収入の確保、あるいは未利用県有地の処分といったことが考えられるわけでございますが、具体的には、次期行財政構造改革プログラムの策定過程で検討してまいりたいと考えております。
 この歳入確保につきましては、本県では、歳入の3割以上を交付税に依存しているという現状がございます。したがいまして、地方財政の安定的な運営の確保のためにも、地方財政対策におけます地方交付税等一般財源所要額の確保につきまして、これまで以上に国に要請してまいりたいと考えております。
 それから、県債の追加発行でございますが、後年度の財政運営も念頭に、県債残高を減少させていくことを第一に考えまして、プライマリーバランスの均衡の範囲内で、投資的経費の抑制など必要な事業量を調整していく方向で検討してまいりたいと考えております。
 歳出の削減策でございますが、将来を見据えた組織・職員体制の構築による総人件費の抑制や、公共事業の規模の抑制や大規模施設整備事業等の見直しによります投資的経費の抑制、さらには、義務的経費の見直しや政策的経費の優先度に基づいた調整、こういったことを考えておりますが、今後、一切の聖域を設けることなく見直していきたいと考えております。
 主要3基金の活用につきましては、他の歳入確保、歳出削減の取り組みを最優先で進めまして、なお生じます各年度の財源不足の状況に応じて、活用を検討してまいりたいと考えております。
 次に、予算編成の見直しであります。
 平成19年度以降の財政環境を見据えた場合、さらなる歳出削減努力を要するわけでございまして、これまで以上にスクラップ・アンド・ビルドを徹底いたしまして、県政全般にわたりまして、分野を超えて事業効果の高い施策・事業を厳選していく必要があると考えております。
 現在の政策的経費に係ります予算調整方式は、財源を各部局ごとに枠配分する、そして、部局内の優先順位を基本に予算化を図っていくというものでございますが、この方式によりますと、今後さらに、配分できる財源はますます少なくなっていくということがございますので、部局枠の一律削減ということでは、もはや限界があるというふうに考えておりますし、さらに、部局での優先順位が、必ずしも県全体としての施策の優先順位と一致しないということもございます。
 また、現在の評価システムが、評価の結果が財政効果の薄い事業等のスクラップにつながりにくいという点もございますので、現在の予算編成の仕組みは、今後必要となります予算編成には十分な機能が期待できない面がございます。
 したがいまして、平成19年度以降の予算編成に当たりましては、現場主義と迅速な対応という現制度のメリットは生かしつつも、先ほど申し上げました点を克服するために、部局枠配分方式を見直しまして、全庁的な優先度に基づいて配分する政策優先配分方式へ転換したい。さらに、事業等の改善・改良を目指した評価システムから事業スクラップも見据えた評価システムへの移行、こういったことをあわせることによりまして、見直しを検討していきたいと考えております。
 次に、財政が安定するまでの見通しでございます。
 中期の財政見通しにつきましては、ここ数年、三位一体の改革の影響などによりまして、毎年、地方財政対策の内容が見直されております。また、国が策定することとしております中期地方財政ビジョンがまだ策定されていないということもございまして、平成19年度以降の国の方針等が不明確な中で、今後の財政状況を正確に見通すことは困難な状況と考えております。
 国の地方財政ビジョンが明らかになりますれば、ある程度の見通しや方向が明らかになると考えておりまして、現時点では、どの時点で安定的な財政状況に転換し得るかにつきまして、明確に答えられる状況にはございませんが、平成19年度以降の財源不足の解消に向けまして、やりくりによらない実力ベースの歳入規模に見合った歳出構造となるように、次期行財政構造改革プログラムを策定していきたいと考えております。
   〔商工労働観光部長酒井俊巳君登壇〕

〇商工労働観光部長(酒井俊巳君) まず、新産業への取り組みについてでございますが、議員御案内のような具体的な新産業の芽となる成果が県内に創出されつつありますが、議員のお話のありました研究以外に、岩手医科大学と岩手大学が医工連携ということで、脳血管診断装置や心電計など各種医療機器の開発、あるいは岩手大学の研究シーズでございますが、コバルト-クロム-モリブデン合金による生体材料、これは人工骨とか人工関節でございますが、こうした生体材料の開発、あるいは、1次産業でございますが、ワカメを原料とするフコキサンチンなどの機能性食品素材の開発、こうしたものが、岩手大学のインキュベーションラボなどにおきまして大学と企業との共同研究の中で実施されておりますが、これらにつきましては、早期の事業化が期待できるものということでございます。
 こうした研究推進に当たっての県の役割ということでございますが、独立行政法人の科学技術振興機構、これはJSTと申しておりますが、これが今月9日にサテライトを開所いたしますが、こうした国関連の機関や、あるいはいわて産業振興センターなど県内の産業支援機関、こういったものと連携を一層強化しながら、有望研究に対する重点的な支援、それから、研究開発から事業化に至るまでの一貫したコーディネートを行う体制の整備というようなことを通じまして、研究開発資金の助成は当然でございますが、それを行いながら、積極的に支援してまいりたいと考えております。
 工業技術センターの独立行政法人化に関するお尋ねでございます。
 まず、工業技術センターの業務成果に対する評価と課題及び問題点ということでございますが、工業技術センターは、大学、企業との共同研究、あるいは企業等からの技術相談、依頼試験、こうしたものを通じまして、企業への技術支援を行っております。本県の産業振興にこれまでも大きな役割を果たしてきているわけでございますし、さらに、県境産廃の不法投棄事案に係る廃棄物の再利用技術の研究開発、こういった県政の重要な課題の解決にも、重要な役割を果たしていると認識しているところでございます。
 しかし、経済のグローバル化、あるいは科学技術の高度化が急速に進展しております。多種多様な企業ニーズが出ているわけでございますが、こうしたものに一層迅速な対応、そして指導を行う必要がありますが、そのためには組織、人事、財務面、こういった面での自由度を増すということが課題だと考えております。こうした課題の認識のもとにその解決を図るためには、地方独立行政法人化をすることが極めて有効だというふうな考え方のもとに、独立行政法人化を図ることで、こうした問題解決を図ろうとしているものでございます。
 次に、公務員型独法とする理由、役職員の移行手続及び公務員型の継続ということについてどうかというお尋ねでございますが、公務員型の地方独立行政法人といたしますのは、本県の工業技術センターは、国の試験研究機関とは異なり、技術指導や依頼試験への対応などの企業支援を通じて、県内企業の技術力・生産力の向上を図ることを使命としておりますということ。また、県内には工業技術センターと同様な機能を果たす機関がないことから、企業からの依頼試験への回答のおくれ、技術相談への対応のおくれなど、こうした業務停滞が当該企業のビジネスチャンスを奪うことになるというふうなこともあるということ。それから、地域経済を支える県内企業をあまねく支援するという使命を果たすためには、高い中立性と公正性に裏づけられた企業との強固な信頼関係を構築することが必要だというふうなことなどの理由から、工業技術センターの業務が地方独立行政法人の中で公務員型とする要件に該当するというふうなことで、公務員ということの身分を与えての地方独立行政法人化を図ろうとするものでございます。
 役職員の身分の移管につきましては、地方独立行政法人法の規定に基づきまして、役員のうち理事長及び監事は知事が任命をする。他の役員は理事長が任命するというものでございます。また、職員につきましては、原則として格別の辞令を必要とせずに地方独立行政法人の職員となるというものでございます。
 将来にわたって公務員型を継続させる考えについてでございますが、工業技術センターの地方独立行政法人化に当たりましては、先ほど申し上げましたとおりの理由から、公務員としての身分を付与することが必要である、公務員型とすることがベストであるという判断をしたものでございまして、今後もこのような考え方で進めてまいりたいというふうに考えております。
 次に、他の工業技術センター以外の試験研究機関の独立行政法人化の検討状況についてでございますが、行財政構造改革プログラムでは、各試験研究機関に係る制度導入の可否を平成16年度内に決定するとしていたため、それぞれの機関の性格等を考慮しながら検討を行った結果、本年3月の庁議において、工業技術センターについては独法に移行する。環境保健研究センターについては、業務の性格から見て、本来行政が行う役割を担っているということから、当分の間は独立行政法人化を行わないという結論を得たところであります。一方、農林水産関係の試験研究機関につきましては、17年度、今年度中に制度導入の可否を決定するため、引き続き検討を行っているというところでございます。
 次に、産業振興の広域的取り組みについてのお尋ねでございますが、経済のグローバル化が一層進展する中で、国際競争に勝ち抜ける高付加価値型のものづくり産業の集積を進めるためには、多様な技術の集積や、それを担う人材の育成を図っていかなければならないと考えてございます。しかしながら、こうした中でこういったものを1県だけで進めるということは、現実的には大変難しいというふうに考えているところでございまして、そこで、隣接県と、それぞれの地域が持つ固有の強みを結集させて付加価値の高い製品をつくり上げ、これを広域地域全体の産業集積の促進につなげるということ、これが広域で連携をして取り組む意義と考えているところでございます。国際競争力が高く、すそ野も広い自動車関連産業に着目して、今回、宮城、山形と連携いたしましたのも、こうした考えに沿ったものでございまして、将来的には広域連携の成果として、岩手、宮城、山形を中心として、この地域をものづくり産業の一大集積地域にしたいというふうな考えを持っているところでございます。こうしたものづくり産業の集積が、地域の雇用の拡大や商業・サービス関連産業など第3次産業にもプラスの波及効果をもたらし、それぞれの地域経済の活性化につながるのだというふうに考えております。
 最後に、いわて産業人材育成会議からの提言への認識でございますが、この提言の中で最も重要な点としては、ものづくり人材を育成するための新しい仕組みとして、それぞれの地域にものづくりネットワークを設け、工業高校など教育機関のみならず地域の企業も積極的に産業人材の育成にかかわり、まさに産学官が一体となって、本県のものづくりの将来を担う子供たちを育成するべきであるという、そういった提案がなされたところが最も重要なところだというふうに考えてございます。
 県といたしましては、この提言を最大限尊重し、教育委員会と密接な連携を図りながら、北上川流域における企業、学校等のネットワーク化をまずもって進めるとともに、工業高校や産業技術短大における専攻科の設置など、提言内容の早期実現に向けて積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
   〔保健福祉部長赤羽卓朗君登壇〕

〇保健福祉部長(赤羽卓朗君) 新型インフルエンザに対する本県の今後の取り組みについてでございますが、新型インフルエンザの発生に備えまして、国の新型インフルエンザ対策行動計画を踏まえ、県としての対応方針を年明け早い段階に取りまとめる予定としております。この対応方針をもとにしまして、市町村、医師会、医療機関、報道機関等の関係機関の御協力あるいは連携をいただきながら、インフルエンザの発生動向の把握、蔓延予防対策、医療提供体制の確保、県民への適切な情報提供等に関する総合的な取り組みを国と連携しながら進めていくこととしております。
 県民への情報提供の考え方でございますが、感染予防のためには県民が正しい知識を持つことが非常に大事でございまして、新型インフルエンザに関する一般的な情報を初め、患者発生情報等の迅速かつ的確な情報提供に努めてまいりたいと考えております。こうした点につきましても、先ほど申し上げました県としての対応方針の中で明確にしていきたいと考えております。
   〔県土整備部長橋本義春君登壇〕

〇県土整備部長(橋本義春君) 耐震強度偽造事件について、構造計算書の偽造問題に対します県の対応についてでございますが、県内には姉歯建築設計事務所が関与し、所在地が判明したものはございません。また、今回の事件は大臣認定構造計算プログラムを使用しました建築確認であったことから、県は12月2日までに、県と盛岡市が建築確認したもののうち、そのプログラムを使用し、かつ保存されております申請図書571件すべてについて再点検を行いました。再点検は、大臣認定プログラムが正しく使用されているかどうかの観点から行いましたが、その結果、構造計算書の偽造は認められなかったところでございます。
 県としては、今回の調査結果等について公表しますとともに、県、盛岡市のほか、建築構造の関係団体であります社団法人日本建築構造技術者協会、社団法人岩手県建築設計事務所協会にも相談窓口を開設したところでありまして、この旨を県のホームページに掲載するなど、情報提供を行ったところでございます。引き続き的確な情報の提供に努めますとともに、現在、国において検討しております再発防止策などについて、県としても適切に対応してまいりたいと考えております。
   〔教育長照井崇君登壇〕

〇教育長(照井崇君) まず、県立高校新整備計画後期計画の成案についてですが、本年1月に公表した県立高校新整備計画の後期計画調整案が県民の皆様からなかなか御理解をいただけなかったことから、新年度に入りまして、なぜこれが御理解をいただけないのか、その理由や背景を検証した結果、志願者の多い学校も統合対象としたことや、専門高校の取り扱いについて論旨に一貫性がないこと、地理的に通学が困難な地域に対する配慮に欠けていたことなどから、御理解をいただけないということが明らかになりました。そこで、この検証結果を受けて、改めて各地域に出向いて保護者や地域住民、産業界の方々から御意見を伺い、そのニーズを反映させるとともに、県の産業振興施策の方向性も踏まえながら、生徒の進路の希望が実現できる環境を整えることを目指して、後期計画を策定したところでございます。この後期計画においては、例えば本県は自動車関連産業の集積を目指していることから、それを支える人材を育成するため、現在設置している多くの工業高校を引き続き存続させること。今後ますます多様化する産業の動向に十分対応できる人材を育成するため、総合的な専門高校を設置すること。生徒のさまざまな興味・関心、進路希望に対応し、より選択の幅が広がるよう、多様で特色ある学校・学科の設置や新しいタイプの学校づくりを推進することなどを盛り込んだところでございます。
 次に、当分の間に関する御質問でございますが、今後、少子化や産業構造の多様化・複雑化、地方分権の進展など、本県を取り巻く社会環境は大きく、しかも急速に変化していくものと見込まれます。また、生徒の興味や関心、進路希望も大きく変わり、これまでの学校や学科のあり方・教育内容では、その期待に十分こたえ切れなくなっていくものと考えられます。生徒がこうした社会の変化に的確に対応し、みずからの人生を切り開いていけるよう、基礎的・基本的な知識や技術・技能の習得とともに、社会で必要とされる能力を身につけることができるよう、不断に高校教育のあり方を見直し、生徒にとってより望ましい学びの環境を整えていく必要があると考えております。とりわけ、普通教育においては、生徒が基礎的・基本的な知識を確実に身につけるとともに発展的な学習にも取り組み、大学進学などの進路希望を達成できるようにすること。また、専門教育においては、産業界から高度な専門的能力を求めるニーズがある一方で、幅広い知識や技術・技能を求めるニーズもあることから、これら双方のニーズに対応できるよう、教育内容の充実を図っていくことが必要と考えております。このため、この後期計画の期間内に、これから高校に入学する生徒やその保護者、また地域の方々や産業界の方々などの御意見を伺いながら、また、県の産業政策の方向性も十分踏まえながら、これからの県立高校のより望ましいあり方について鋭意検討してまいりたいと考えております。
 次に、専門高校のあり方についてですが、専門高校においては、これまでも社会の変化や産業の動向に対応できるよう、また、県の産業振興施策の方向や産業界のニーズも踏まえながら教育内容の充実に努めてきているところでありますが、今後もさらなる充実を図っていく必要があると考えております。自動車産業はすそ野が広く、工業高校の機械系、電気・電子系、デザイン系など多くの学科が関連しております。近年の自動車関連産業の集積に伴い、それを担う人材の育成が求められており、こうしたニーズにこたえるため、商工労働観光部と連携しながら、現在、工業高校への専攻科の設置や、工業高校において自動車に関連した知識、技術・技能を習得させるため、自動車に関連した科目をカリキュラムに加えることや、学科の中に例えば自動車工学コースを設置することなどについて、現在検討を進めているところです。
 また、商業高校についても、経済の国際化、情報化、サービス化の急速な進展に伴う流通システムの合理化や新たなビジネスの創造など、経済社会の変化に柔軟に対応できる人材を育成できるよう、今後、教育内容のさらなる充実を図って、特色を出していきたいと考えております。
 次に、いわて産業人材育成会議からの提言に対する認識でございますが、この提言については、県教育委員会としても最大限に尊重し、今後、商工労働観光部と密接に連携を図りながら、提言内容の早期の実現に向けて積極的に取り組んでまいりたいと考えております。提言では、工業高校への専攻科の設置についても具体的に示されておりますが、既に工業高校関係者を中心に工業高校専攻科設置検討委員会を立ち上げ、平成19年4月の設置を目指して、現在、鋭意検討を進めているところでございます。

〇1番(亀卦川富夫君) どうも、一定の御答弁ありがとうございました。
 再度お伺いする点でございますが、知事には三位一体について、まずお伺いいたします。三位一体、先ほども国民の声がなかなか盛り上がらなかったといいますか、そういうお話があったわけでありますが、私も、住民サイドの、何というんでしょう、三位一体というものの考え方といいますか、認識のこの問題についてはなかなか理解しにくい。そういった中で三位一体改革の総括の中でも、論評では、こういうふうな論評がございます。三位一体改革への国民の理解がなかったのが、改革が中途半端に終わった最大の原因だ。国と地方自治体の財源の分捕り合いと見られて、発展途上国型の中央集権国家のシステムを大転換する意義が評価されなかった、こういうふうなくだりがあるわけでありますが、まさにその点を突いているのではないかと。
 そこで、今後、先ほども税源移譲のことで、自主財源が県でも実現といいますか、実際に出てくる。こういうところで、また住民の方から見ると、納税の段階でこれがはっきりしてくるんじゃないかと。そういう意味では税源移譲で中堅層以下の大半が地方税が増税となり、ほぼ同額が国税で減税となる。その意味をじっくり考えるところから2期の改革が始まるんじゃないか、こういう論評があるわけですが、まさに私はそういうことだろうと思います。しからば、岩手県ではこれをどのように県民に知らしめていくか。この辺が今後の大きな、県財政がこれだけ逼迫している、そういうものも含めて、ぜひこの辺を県民に理解していただけるような方策を今後十分、いろいろなものを発刊したり、あるいはネットで伝えたりしているわけですが、市町村も含めまして、ぜひこのような県民理解、そういったものをしっかり、どこをどういうふうに知らせていくか、こういうことを吟味していただきたいと思いますが、この点についてお伺いいたします。
 それから、広域圏の再編でございますが、今、産業振興ということが最大の課題だと。この人口減社会において、岩手県の方策の本当に中心であるということからいきますと、まことに大切な広域圏再編でありますが、やはり県北、沿岸の方々の声の中では、県南におくれていくことは、何というんでしょう、非常に問題だと。でき得れば一緒にスタートしたい、こういう考え方だろうと思うわけでありますが、例えば今までの説明でも10年後というようなお話が一つございましたね。一方、市町村合併については、合併新法では5年以内というふうな点で、10年後とか5年後というのが、何か一つの先行きの話に見えてしようがないんです。そうじゃなくて、今からとにかく進めていく、できるだけ早くやっていく、こういうふうな示し方、これが今一番大切なところではないかと思うわけでありますが、この点について、もう一度しっかりした御答弁をお願いしたい、このように思います。
 それから、競馬でございます。私は、岩手競馬について、改革案でさまざまな要素も取り入れながらやっているということはよくわかるわけでありますが、大きな根本的な問題としては、やはり今度初めて理解しやすい部分ができてきたのが、地方競馬を一元化していく、地方競馬を共同法人化していく。これは16の地方競馬が一体となった経営体をつくるということにもつながるわけでありますので、私は、その辺を見据えた競馬の経営体のあり方というものをきっちりと、中央の進みぐあいあるいは農水省の方針、こういったものを確認し合いながら、また岩手からも十分なる提言を行いながら、よりよい共同法人化に向かっていくべきではないかと。その中で岩手競馬が存続していく、あるいは岩手の抱えている債務というものをどのように解消していくか、こういった創意と工夫が必要ではないか、このように思いますが、この点を確かめておきたいと思います。
 もう一つ、先ほどの人材育成の観点でありますが、岩手の人材育成に関していわて産業人材育成会議から提言がありまして、これは当局及び教育委員会ともども最大限尊重してやっていくというお話でございました。私は、これに関して、先ほど、水沢工業高校、水沢商業高校の例を出しましたが、ひとつ知事に、設置者として、今の商工労働観光部長及び教育長は、最大限に尊重していくというこのいわて産業人材育成会議からの提言を、知事として、やはり同じ考え方と思いますが、改めてお考えをお聞きしたい、このように思います。
 それから、県民に大変不安を与えている新型インフルエンザ及び耐震強度偽造問題につきましては、県当局は素早く動いて、それぞれ国の動向等に合わせながら行動していただいております。これは大変感謝いたしますが、やはり先ほどの三位一体ではないんですが、県民にとってはなかなかこれはわかりにくい。新聞報道では、岩手県はこうやって動いているんだなということでわかるとは思いますが、この辺の周知徹底と申しますか、県民への情報伝達あるいは市町村への伝達、この辺も、御苦労とは思いますが、十分やっていただきたい、わかりやすく発表していただきたい、このように思います。
 その中で、例えばわかりやすいといえば新型インフルエンザ、この前もテレビで見ましたが、国際空港では靴の消毒というんでしょうか、そういったものをやっているんですね。たくさんの乗降客が一人一人靴を消毒している。ああいったことを見ますと、ああ、これは大変なことだなというのがわかるわけでありますが、例えばこれは花巻空港、国際空港ではありませんから必要がないのかもしれませんが、どういうふうになっているものか、こういったことを県民の方々がわかれば、かなり理解が早いんじゃないか、こういう気がいたします。非常に不安に思っている人、あるいは全くそれを鈍感に考えていない人、非常にこれは差があると思いますが、この辺への情報伝達ということが大切だと思いますが、この辺の取り組み方についてしっかりやっていただきたい、このように思いますので、質問といいますか、何か考えがあればお伺いしたい。
 以上でございます。

〇知事(増田寛也君) お答えを申し上げますが、まず三位一体改革でありますけれども、国民の理解がぜひとも必要であります。そして、来年の6月以降の納税の関係で、従来国税で納めていたあて先が地方税に振りかわるような形になってきますので、具体的にそうしたことを通じて、また、この三位一体改革の重みというのが伝わっていくのではないかと思うんですが、今までは2年間やって、ことし3年目なんですが、いい実例が余りなくて、本当に権限移譲して、地方自治体で創意工夫を生かせるような具体的な例がほとんどなかったものですから、なかなか説明する側も説明しづらいところがあったのは正直なところございます。今回も、一部ではありますけれども、例えば施設整備費が税源移譲の対象になっていますので、そうすると、補助金の申請順番待ちですとか、あと、規格・構造をいろいろと考える際に、実情に合わせてやるという、あるいは補助申請などが必要ないので、時期的な判断も地域の実情に合わせてやれるので、こういうことを具体的にお伝えしながら、県民の、あるいは国民の理解を求めていきたいと思います。そのやり方で、ぜひともこれはまたシンポジウムなども開催したいと思いますし、県民の皆さん方の目に触れていただきやすい資料、そうしたものをできるだけ工夫をいたしまして、全体像が大体わかりましたら、すぐに市町村の方への説明会なども開きたいと思いますので、このあたりについては、さらに県民一人一人の理解につながるようなことを考えていきたいと思います。
 それから、広域圏についてでございますが、県北、沿岸につきましては、二つ、民間の成熟した産業振興ということがなかなかまだ目につかないということと、それから市町村合併の問題と、こうしたことがあって、今回、現状維持の振興局体制の中で本庁の方に振興本部をつくろうということでございまして、いずれもねらっておりますのは、やはりしっかりとした産業振興と、それから市町村の行財政体制をきちっと強化した上で、この地域を振興していくということでありますので、その本部を設置する効果をできるだけ早く出した上で、こちらの地域も早急に広域振興局体制に移行させるようにしていきたいというふうに思います。
 競馬につきましては、これはやはり今お話にございましたとおり、あらゆる面で共同法人化の方向をたどっております。他のそれぞれの競馬主催者間の事情もございますが、やはりそれを乗り越えて、こうした時代の流れと、それから全国のファンに向けてのサービスの向上を図っていかなければなりませんので、ここはよく他の主催者、それからあと管理監督する農林水産省やJRAなどともよく連携を密にして対応したいというふうに思います。
 産業人材育成についてですが、これは、答申書は私は直接あの場でお受け取りをいたしました。そして、教育長とそれから商工労働観光部長に、この提言をとにかく早く実現しよう、させようということで指示をしたところでございまして、この中で非常に有益な提言が数多く含まれています。これは、これから最も必要な産業振興にも非常に密接に関係することでございますので、この人材育成の部分、先ほど、重点投資をすべきというところに、御質問で、将来に向けての岩手のあすのための人づくりということを申し上げましたが、その中の柱として入れてございます。この答申の実現に全力を挙げたいと考えております。

〇保健福祉部長(赤羽卓朗君) ただいま新型インフルエンザについてのお尋ねがあったわけでございますけれども、基本的には、現在どういった状況にあって、そして、その状況に応じてどういう行動をとるかということを科学的な知見に基づいて対応していくことが大事だと考えております。過剰に反応して過度な対応をすることが、逆に県民の方々の御不安をあおり立てる可能性もないわけではないのかなと考えております。
 そうしたこともございまして、さまざまな疫学的な調査も必要でありましょうし、本県だけではなくて、全国的に、国の方でやっていただかなければならないと思います。そういったような状況を見ながら、全国の中でどういう危険度になっているのか、外国でどういうふうな状況になっているかということを踏まえながら、確実な対応をとっていきたいと考えております。
 現在のところ、国の行動計画等においては、飛行場で靴を消毒するといったことが求められている状況ではないと考えております。

〇県土整備部長(橋本義春君) 耐震強度偽造事件等に関する情報として、県民にどのように提供していくかというお尋ねでございますけれども、先ほども御説明申し上げましたが、いずれ、県のホームページでも掲載していますが、当部でも、ミニコミ誌なども発行していますので、そういうところで専門用語を解説するとか、あるいは部のホームページの中で図解などを示して、わかりやすく県民の皆様にお知らせしたいと考えております。


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