平成17年12月定例会 第17回岩手県議会定例会会議録

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〇31番(阿部敏雄君) 民主・県民会議の阿部敏雄でございます。
 このたびは、先輩・同僚議員の御高配を賜り、登壇の機会をいただきましたことに心から感謝申し上げます。
 ことしも残すところあと1カ月余りとなりました。この1年間を振り返りますと、社会全体がお金や権力等の力の論理で物事が進められていく状況が顕著であったように思われます。富の一極集中化や勝ち組、負け組みの論理、景気のさらなる西高東低化、都市と地方の格差拡大と格差が当たり前的な議論など、世は二極化や金や力の論理がまかり通っていくような危機感を覚えるのであります。私は、せめてこの岩手においては、人々が信頼で結ばれ、結いの精神で助け合い、この美しい岩手の自然の中で、夢を持ち、幸せを感じながら生きていけることを心から念願するものであります。
 それでは、通告に従いまして順次質問をさせていただきます。
 まず最初に、知事の政治姿勢についてお伺いいたします。
 ことしは、増田知事が誕生してから満10年の年でありました。知事は、平成7年の知事就任後の初県議会で、県政に寄せる県民の思いを肌で感じられたこと、夢あふれる21世紀の県土づくりを目指すことを強く語っておられました。そして、知事のその思いは、第3次岩手県総合計画後期実施計画の策定とともに心豊かなドリームランド岩手の提案となり、さらには、平成22年度を目標とする岩手県総合計画みんなで創る夢県土いわてとしてあらわれたものと受けとめております。この計画の時代や社会に対する基本認識や岩手発展の方向性、基本的方策や施策の方向性などは、厳しい変革の今でもなお新鮮にして的確であります。知事が就任したときから抱き、県政運営を通じて実践してこられた理念を総合的に盛り込んだ県政運営のバイブルと言っても過言ではありません。
 計画策定から6年が経過し、その間、国、地方を通じた新たなシステム構築の取り組みや地域経済の疲弊あるいは過去の景気対策の影響等による県財政の危機的状況などまさに厳しい環境にあったにもかかわらず、県政は堅実、果敢に運営されてきたものと承知する次第であります。私は、厳しい状況下であればこそ、知事には、抱き続けてこられた夢県土いわての創造に向け、勇気を持って邁進していただきたい。それは、県民に希望や勇気を与えると考えるからであります。
 そこで知事にお伺いいたします。これまでの夢県土いわての創造の取り組みを振り返り、どのような感想をお持ちか、お聞かせ願います。
 また、本県を取り巻く状況は、全国的な景気の回復基調に反し、公共事業の縮減や消費の低迷等により景気は依然として停滞し、雇用も一部に明るい兆しが見えるものの、なお厳しい状況であります。農林水産業等の第1次産業も成長が期待できず、衰退の一途をたどっております。また、国や地方の危機的な財政状況から絶え間なく繰り出される改革の波、個人所得の低減や少子・高齢化の中で進められようとする税制改正や年金制度や健康保険制度の見直しの問題など、県民は、先の見えない生活の激変に不安を抱いているように思います。私は、社会全体の閉塞感の中で、不安な状況に置かれている今こそ総合計画に掲げる夢県土いわての創造の原点や理念に立ち返り、この難局を県民とともに乗り越えるべく、知事の御決意を県民に対し発信していただきたいと考えるものであります。知事の御決意をお示し願います。
 次に、三位一体改革についてお伺いいたします。
 平成18年度までを改革期間とし、約3兆円の税源移譲を目指す三位一体改革は、昨年までに2兆4、000億円の移譲が政府・与党合意で固まっており、今年度は残り6、000億円の積み上げが焦点になりました。先日、与党の合意でこの6、000億円も移譲が認められたようであります。その焦点である6、000億円の議論で、厚生労働省は、地方の提案やこれまでの議論を無視した形で地方への負担の転嫁とも言える生活保護費等の削減案を提示し、さらには、昨年の合意で暫定措置とされていた義務教育費国庫負担金については、中央教育審議会が地方の意見を無視する形で国庫負担堅持を答申し、文部科学省に至っては、削減で国の関与がなくなれば給与以外に流用されるなどと地方への不信感をあらわにする始末でありました。これまでの改革に向けた議論は何であったのでしょうか。
 そこで知事にお伺いします。今年度の三位一体改革の論議やその結果をどのように評価されておるのでしょうか。今回の政府決着は、今後の地方財政にいかなる影響を及ぼすのでしょうか。また、知事は、三位一体改革の第1期とも言える税源移譲3兆円の目標の達成後の第2期改革への取り組みに強い決意を示されておりましたが、これまでの国の対応を踏まえ、次期改革にはどのように臨まれるのか、お伺いいたします。
 また、伺うところによりますと、義務教育費国庫負担金等の削減については、知事の中から異論が出るなど足並みの乱れがあるとの情報もありました。また、中教審会長の地方要望を無視した強権的な発言にも驚く次第であります。今年度の三位一体改革も小泉首相と族議員など霞が関のパワーバランスの中で落ち着いたところでありますが、義務教育費国庫負担金の議論を通じて、県民の中には不安視する向きもあります。
 そこで教育長にお伺いいたします。義務教育費国庫負担金及び公立学校の施設整備費補助金が削減され一般財源化された場合、地方の教育がどのように変化するのか、具体的にどのようなメリットがあるのか、お伺いいたします。
 次に、広域振興圏に係る産業振興ビジョンについてお伺いいたします。
 私は、産業振興ビジョンの策定に当たっては、抽象論を排除し、地域の声を真摯に受けとめ、地域の現状、課題を徹底的に分析し、地域の個性や潜在的能力をいま一度洗い直し、的確な認識に立って、具体的かつ実効性のあるものにしていただきたいと考えるものであります。地域に既存の産業資源の集約に加え、潜在的資源を積極的に発掘し、育て、発展的に成長させ、新たなビジネスとして創造していく。そして、雇用の場が拡大し、地域経済に貢献する、地域に夢と希望を与えるものとしていただきたいと考えるものであります。
 そこで知事にお伺いいたします。県が見直し案で示された4広域振興圏のビジョン策定の基本的視点、考え方をお示し願います。
 また、県北・沿岸地域は、地理的制約や交通基盤等のインフラ整備の面で県央に比べ大きなハンディを有しており、県土の均衡ある発展を図ることは、常に県政の重要な政策課題として取り上げられてまいりました。かつて県北・沿岸地域の振興を特定課題として推進するために特定地域振興室が設けられた時代もありました。今、地方分権の流れの中で、地域みずからの自立が強調されておりますが、当該地域は今なお自立のための道筋が見えず、これを支援することが県の重要な役割でもあると考えます。
 知事は、県北・沿岸地域の振興をどのように認識され、振興ビジョンにどのように反映すべきと考えているか御見解をお伺いいたします。
 また、県は、広域圏の見直し案に対するパブリックコメントを11月まで実施いたしましたが、意見等の応募状況はどのようでしょうか。出された意見、提言は、見直し案、今議会に提案されている岩手県総合計画の変更議案にどのような形で反映されたのか、お伺いいたします。
 また、広域振興局の機能の強化についてもお伺いいたします。知事は、平成9年の知事演述で地方振興局の機能の強化を明確にし、以来、自己完結性や地域振興の拠点性を高めるための多様な施策を実施してまいりました。その結果、知事が言われてきた生活者の視点や現場主義の意識は、いまや地方振興局の中に芽生え、着実に育っております。地域振興に取り組む振興局職員の能力ややる気や着実な取り組みを力強く支え、大きく成長させていただきたいと思うのであります。
 地方振興局の再編に当たっては、知事の理念と強いリーダーシップが必要であります。地域の期待や振興局の職員のやりがいにこたえるような再編、実質の伴う事務や財源や権限の委譲をぜひ実現していただきたいと考えるものであります。振興局の再編及び振興局の権限の強化を進めるに当たり、知事の御所見をお伺いいたします。
 次に、平成18年度予算編成についてお伺いいたします。
 県は、去る10月26日、平成19年から平成22年までの中期財政見通しを発表いたしました。本年度予算をベースに単純計算した結果、4年間で2、354億円の財源が不足するとのことであります。また、予算編成の最中である平成18年度の歳入歳出ギャップは、平成15年度推計を141億円も上回る196億円の不足とのことであり、県財政の危機的状況を深刻に受けとめているところであります。
 そこで伺います。まさに厳しい財政環境のもとでの平成18年度の予算編成は、どのような方針や見通しに立って行われているのでしょうか。三位一体改革の政府決着や交付税削減あるいは地方財政計画圧縮の動向等は予算編成にどのように反映されていくのでしょうか。また、不安定な歳入状況下において、事業の重点化をどのように行うのでしょうか、お示し願います。
 次に、行財政構造改革プログラムについてお伺いいたします。
 平成15年度に策定された行財政構造改革プログラムは、平成18年度までの4年間の財源不足額を1、723億円と推計し、その解消のため、プログラムに沿って具体的取り組みがなされてきたところでありますが、平成16年度の交付税等の大幅削減により、中期財政見通しで想定していた以上に歳入が大幅に減少し、財源不足が拡大しているとのことであります。ポスト行財政構造改革プログラムの先行きも極めて厳しい道のりであります。
 そこで伺います。今後、策定することとしているポスト行財政構造改革プログラムは、現在のプログラムに対してさらにどのような視点から検討されることになるのでしょうか。
   〔副議長退席、議長着席〕
 また、予算編成システムの見直しも検討されるとのことですが、現在のシステムにどのような問題があり、今後どのような方向にシステム改善をすべきものかをあわせてお伺いいたします。
 次に、景気動向と地域経済対策についてお伺いいたします。
 内閣府の8月末公表の各地域の経済動向を見ますと、北関東以西は景気が持ち直しているという状況から力強く回復しているとの判断でありますが、一方、東北・北海道地域はやや弱含みの景況判断でありました。全国的に景気回復基調にありながら、北関東以北の地域は依然として景気回復から取り残されている状況であります。また、盛岡財務事務所の10月報告による県内の経済は全体として横ばいとの判断でありますが、個人消費は弱い、雇用情勢は厳しい、企業収益は減益見通しなど、横ばいといっても、依然として低調なる横ばいとの状況であります。
 そこで伺います。県では、本県の現在の景気動向及び今後の景気の見通しをどのように分析し、認識されているのでしょうか。また、県内の地域別及び産業別の景況についてもどのように把握されているのでしょうか、お示し願います。
 また、最近の経済状況を見ますと、都市と地方の経済格差がますます拡大し、経済基盤の脆弱な本県を含む地方は、公共事業の引き続く削減などにより雇用情勢も依然として厳しい状況にあることを強く感じております。人、物、金の動きが都市と地方の二極化をさらに鮮明にしているように思います。例えば、建設業の現況を例にとりますと、全国の建設市場は、平成4年度に84兆円であった建設投資が平成16年度には53兆円を割り込む状況であります。また、建設投資の地域別の状況は、公共投資依存度の高い地方圏――我が岩手も同じでありますが――における構成比率の低下傾向が顕著であり、大都市圏へのシフトと大手建設業への受注シフトが年々高まっている状況であります。構造改革や規制緩和、地方分権の流れの中で、今、新たな視点で地域の活性化を図るべく真剣な取り組みが必要になっていると思います。長期的展望に立って、トータルな視点から取り組むべき困難な問題であると思いますが、一方、地域の活力を維持していくためも、緊急的対応を要する問題でもあります。県の地域経済の取り組みに対する知事のお考えをお伺いいたします。
 次に、雇用状況と雇用対策についてお伺いいたします。
 先般、総務省が全国の人口動態を発表しましたが、それによると、ことし3月末現在の本県の人口は、国の総人口が微増の中で139万6、637人と対前年約8、400人の減となり、30数年前の人口規模とのことでありました。今後、さらに進む少子・高齢化社会、地域経済活動や県財政や年金制度などを支えるべき世代である生産年齢人口の減少にも関連していく問題でもあり、極めて深刻な状況であります。雇用の場を拡大することと労働人口をふやしていくことは、本県の重要な政策課題であると考えるものであります。
 県では、いち早く総合雇用対策局を設置し、雇用拡大のため関係機関と連携しながらジョブカフェいわてにおけるチャレンジセミナー等の新たな事業を展開し、厳しい就職情勢に対し積極的な対策を講じてきているところであり、その結果は、高卒予定者の就職内定率や県内就職者が対前年比で大幅に増加していることなどにあらわれていると感じております。
 雇用状況は、有効求人倍率の改善など明るい兆しもありますが、依然として厳しい見通しでもあります。県では、目標を立て、雇用創出に鋭意取り組んでいるわけでありますが、その状況はいかがでしょうか。どのような分野にどの程度の雇用が創出されているのでしょうか。また、新規高卒者の就業者の定着状況はいかがでしょうか、お伺いいたします。
 次に、防災推進地域の指定についてお伺いいたします。
 去る10月18日から20日にかけて県議会防災対策特別委員会で静岡県や三重県の県外調査を実施してきました。私は、三重県志摩市の津波避難タワー等の整備状況を視察し、津波被害に遭った岩手県三陸地方と相通じるものを感じたところであります。
 さて、本県が強く要望している日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震に係る防災対策の推進に関する特別措置法が昨年4月に公布され、本年9月1日をもって施行されたことは御承知のとおりであります。そして、去る11月16日、政府の中央防災会議の専門委員会から、マグニチュード8クラスの大規模地震に備え防災対策が必要な推進地域として、本県の沿岸の全市町村を含む14市町村が指定案として公表されたところであります。
 そこでお伺いいたします。この指定を受けて、県や市町村においては計画の策定を急がれることになるようでありますが、地域防災計画等の見直しなど、具体的にどのような対応が必要となるでしょうか。また、災害対応には県の指導力が必要と思いますが、関係機関を含めた連携をどのようにとられていくのでしょうか。また、指定によって、県や市町村の地震・津波対策上の整備や諸対策をどのように実施していくお考えでしょうか、お伺いします。
 次に、沿岸漁業振興についてお伺いいたします。
 本県沿岸漁業は、漁業生産額の落ち込みや漁業者の高齢化、後継者の不足等まことに厳しい状況にあります。200海里以降の我が県はもちろん、日本においても非常に厳しい漁業形態であります。中国などからの輸入の増大による水産物の価格低迷の中で、沿岸漁業の不振、さらには水産資源の減少などにより経営体や生産額が減少し続けるなど、低落していく状況は深刻であります。そのような中で、ことしのサケ漁は、漁獲量及び平均単価とも昨年を上回るなど一時的な明るい兆しもありますが、沿岸漁業の抱える問題を解決していく抜本的対応となっていないのが現状であります。
 そこで伺います。県では、現在の状況をどのように認識し、今後どのような政策的対応をしていくつもりなのか、お考えをお示し願います。
 次に、漁業協同組合の経営問題についてお伺いします。
 この問題については、私は非常に危惧しておりますが、本当に漁業協同組合がこれに真剣に取り組んでいることはわかるわけでありますけれども、漁協の組合員の中には、漁業協同組合の経営実態を本当に知っているのかと疑問を感じざるを得ないのであります。漁協は、地域の水産業振興の中核として、漁家への営漁指導や各種の経済事業の積極的な展開により、組合員の所得増進と生活の向上のため、その役割を果たすことが求められてきました。しかし、沿岸漁業の不振に加え、購買事業や販売事業の取扱高も低落傾向にあるなど、漁協の経営基盤はますます脆弱化しているところであります。私は、この問題についてこれまでたびたびお伺いしてきたところでありますが、経営の主体である漁協みずからのより真剣な取り組みはもちろんのこと、加えて県の強力な指導と支援がなければ今の深刻な漁協の経営状況を抜け出すことは不可能ではないかと考えております。
 漁協の系統組織では、平成16年1月に岩手県漁業協同組織強化計画を作成するとともに個々の漁協の経営改善に取り組んでいるところでありますが、県は、こうした漁協の厳しい経営状況と漁協みずからの取り組みをどのように認識されているのか、お聞かせ願います。また、県は、今後どのように漁協の経営基盤の強化を図っていこうとしているか、お示し願います。
 次に、道路財源確保についてお伺いいたします。
 平成15年度のことでありますが、道路整備の必要性が依然として高い状況の中において、本州四国連絡橋公団の債務処理のため暫定的に道路特定財源が一般財源化され、公共事業の一律シーリングにより道路整備費を削減して債務処理に充当してきたことは御案内のとおりであります。その結果、本州四国連絡橋公団の債務処理は、平成18年度には当初の予定を1年前倒しで完了する見込みとなったのであります。ところが、政府内では、道路特定財源の役割は終わったとの議論の中で、この財源を将来的にも一般財源化して他に流用しようとする検討がされております。道路特定財源は道路整備に充当すべきものであり、いまだ整備のおくれている地方、特にも岩手県の配分を高めるべきものであると考えますが、道路特定財源に対する知事の御見解をお伺いいたします。
 次に、地元課題について3点質問いたします。
 三陸縦貫自動車道の釜石山田道路についてお伺いいたします。
 当該道路については、今年度は鵜住居地区の用地調査及び用地買収が進められるとともに、両石トンネルの工事に着手が予定されるなど着実に進捗しているところであり、知事初め関係の皆様の御努力に感謝申し上げる次第であります。
 当該道路は、釜石と三陸沿岸地域や仙台、首都圏とを結ぶ大動脈であると同時に、三陸沿岸の各都市間の連携強化を図るための生命線でもあり、その早期整備は、道路、港湾を核とした三陸沿岸の物流の充実や観光開発につながる重要な路線でもあります。釜石・大槌地域の切実な願いでもあります三陸縦貫自動車道釜石山田線の早期整備、特にも交通渋滞が慢性化している鵜住居-両石間の早期整備及び大船渡-釜石間の整備計画区間への早期格上げについて、県当局の特段の御努力をお願いいたしますとともに、今後の見通しについて御説明を願います。
 次に、土坂峠道路の整備についてお伺いします。
 この土坂峠については、私は、当選以来、一般質問のたびに毎回出しております。地元大槌町が半世紀にわたり県に要望・陳情しておった重要な地元の要望であります。主要地方道大槌川井線は、大槌町内から川井村道又間で国道340号に接続する道路であり、大槌町内から国道340号及び国道106号を経由し、盛岡市に至る重要な路線であります。しかし、大槌町金沢から土坂峠を経由して川井村道又に至る区間は、現在1車線で急勾配、急カーブが連続し、特に冬期間の通行は厳しい状況であります。大槌町及び近隣市町村では、土坂峠のトンネル化による抜本的な改良を強く望んでいるところであります。県当局におかれましては、地域の強い熱意にこたえ、平成12年度の路線発表、その後、地質調査や用地測量に始まり、今日まで積極的に整備促進に努めてこられたところであり、地元を代表しまして感謝申し上げるものであります。
 つきましては、なお一層の整備促進に向けた御努力をお願いいたしますとともに、現在の取組状況並びに今後の見通しについて御教示願います。
 最後に、地域医療確保についてお伺いいたします。
 この問題については、地元の東海新聞に釜石市民病院の深刻な切なる願いが先般ありました。私も県立病院に3度行きまして、その状況をつぶさに見てまいりました。やはりこの問題については、党派を超えて、県当局に十分なる対応をお願いいたします。
 釜石市民病院は、市の中心にあることから交通の利便性も高く、釜石のみならず、周辺の地域を含めた人々の医療の中心的役割を果たしてきたところであります。今般の県立釜石病院と釜石市民病院の統合は、地域内の人口減少や経営上の問題からやむを得ない選択であったとは思いますが、町の中心部から中核的な医療施設がなくなることに対する地域や利用者の不安ははかり知れないものがあります。医療局長においては、平成19年4月の統合を目途に所要の準備を進めていると思いますが、統合に当たっては、ぜひにも地域や利用者の抱く不安を解消すべく万全の対策をとっていただきたいと考えるものであります。
 特にも、統合時までにおける地域医療体制や利用者サービスの維持、あるいは病院職員の採用の確保はもちろんのこと、統合後の新しい県立釜石病院の施設整備や医療体制の充実、あるいはスムーズな診療や遠方からの利用者に対する対応など、利用者サービスの向上に特段の御尽力をお願いする次第であります。
 また、釜石の身体障害者の中からも、釜石病院に行って非常に不便だ、4時間も5時間も待たされるという意見も私に寄せられました。ぜひ医療局長にそれを踏まえてのお考えをお伺いいたします。
 以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕

〇知事(増田寛也君) 阿部敏雄議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、総合計画策定から6年が経過したわけでありますが、この間、地方分権改革が時代の大きな流れとなる中で、地域の自立性を高めることを目指して全力を挙げて取り組んできたというのが私の実感でございます。
 具体的には、市町村総合補助金などの制度を創設して、住民に身近な現場や市町村で総合行政が推進できる仕組みづくりに努めてまいりました。
 また、財政状況が極めて厳しい状況に立ち至ったということがございますので、そうしたことを踏まえて、行財政構造の改革に取り組みますとともに、選択と集中の観点から誇れるいわて40の政策を取りまとめて、その実現に向けて取り組んでいるところでございます。
 こうしたことによりまして、自動車産業を中心としたものづくり産業の集積が促進されたり、あるいは本県で今に残る結いの精神などを生かしたご近所介護ステーションの設置、また、これまで利用価値の乏しかった間伐材に新たな価値を吹き込む岩手型ペレットストーブの普及、こうした新しいアイデアも出てきているところでございまして、自立に向けて、一歩一歩着実な歩みが刻まれていると認識しております。
 夢県土いわての実現に向けた決意についてというお尋ねがございました。
 今後、現実には多額の公債残高も抱えておりますし、地方交付税も減収が見込まれるなど、財政状況がさらに厳しさを増すほか、これまでに経験したことのない人口減少社会に直面するなど、地域の自立への道のりは決して平たんではないと考えますが、総合計画で掲げております自立・参画・創造の理念は、引き続き県政の基本指針として堅持すべきものと認識しております。
 その上で、私は、現在の任期を自立を進める4年間と位置づけたわけでありますが、そうした自立に向けて、今後も全力で取り組んでいきたい。
 産業振興ですとか、福祉、環境、教育などのさまざまな分野におきまして、県と市町村との役割分担や連携、それからNPOや民間との協働をさらに強化しながら、産業振興には県が全力を挙げて取り組む、また、身近な分野は市町村や地域の総合的な力を発揮した取り組みを積極的に推進する、このようなことが、夢県土いわての実現につながっていくものと考えております。
 三位一体改革の評価でございますが、この三位一体改革、先般、政府・与党合意がなされたわけでありますが、所得税から住民税の基幹税による3兆円の税源移譲が実現、また、建設国債対象経費の施設整備費について、今回初めて税源移譲される、ここは一定の評価ができると思います。しかし、一方で、単に国の負担率を引き下げるといったような裁量の拡大につながらないものが数多く見られたわけでございまして、そうしたことは、極めて残念なことであると思っております。
 今後、税源移譲による各地方団体の税収のアンバランスというものが生じますので、これについては、地方交付税による確実な財源調整が行われるべきものと認識しております。したがって、この交付税の見直しも今後行われるわけでありますが、国の財政再建に軸足の置かれた一方的な地方交付税の削減が行われることのないよう、地方6団体として全力を挙げて取り組むべきものと考えております。
 それから、平成19年度以降の2期改革も確実に進めていく必要があると思いますが、これについては、地方6団体で今後設けることとしております新しい分権構想検討委員会での議論などを踏まえて、そして、地方6団体で共通の認識を持っておく必要があるというふうに思います。平成18年に策定されるいわゆる骨太の方針、6月と聞いておりますが、その骨太の方針の中で、第2期改革の取り組みの方向性について、位置づけをして進めていくということが、当面の目標になるのではないかと思っております。
 私としても、地方6団体の一員として、県民の世論に訴えながら、国に働きかけていきたいと考えております。
 広域振興圏に係る産業振興ビジョンについてでございますが、この四つの広域振興圏を設定することによりまして、今後の県政の重要課題である産業振興において、しっかりとした成果を上げていかなければならないという認識に立っております。
 したがって、それぞれ四つの圏域におきまして、産業振興に係る到達目標を明確に設定する。これは、先ほどの佐々木順一議員の質問の御趣旨にもございましたが、やはり産業振興に係る到達目標を明確に設定する。そして、実現させる戦略を十分に練って、必要な政策手段を講じながら取り組んでいく考えでございます。
 具体的に、地方の各界各層の方々の十分な議論を踏まえて、さまざまな経営資源、そして技術の広域的な組み合わせ、特にも地域の産学官の連携強化や産業の振興に向けた人材ネットワークの構築など、具体的な成果につながっていく取り組みを盛り込んでいく考えでございます。
 次いで、県北・沿岸地域の振興についての認識でございますが、この県北・沿岸地域は、新幹線の八戸までの開業、三陸縦貫自動車道、そして、横断道の釜石秋田線など高速交通ネットワークの形成、工業団地、医療機関の整備、下水道の整備といった社会資本整備に努めてきたところでありまして、地域資源を生かした特色ある農林水産業が展開されつつあると認識しております。
 しかし、現状は依然として、所得水準も低い状況でございますし、県道の改良率、水洗化率など、生活面においても十分ではない状況でございます。こうした地域間格差の問題というのは、県政の最重要課題であると考えております。
 将来に向けて、特にこの県北・沿岸地域が、急激な人口減少により地域経済に大きな影響が出てくる、マイナスの影響が出てくる、このことを懸念しているわけでございまして、今後、地域振興ビジョンに産業振興をしっかりと位置づけ、そして、県北・沿岸地域の特性、地域資源をさらに生かした振興策を総合的に展開していくことが重要であると考えております。
 また、県境やこれまでの広域生活圏を越えた産業振興、観光振興を可能とする、より広域的視点に立った交流・連携基盤の整備を引き続き推進する必要があると思います。これは、広域交通ネットワークですとか、港湾の機能を広域的に強化していくといったようなことですが、こうしたことも必要でございます。
 それから、NPOや地域コミュニティーなど、多様な主体の参加による協働を推進して、地域づくりに取り組む人材を積極的に育成、登用、活用する、そして、この地域ならではの地域づくりを推進することが必要でございます。
 地域振興ビジョンには、以上のような視点をもとに、産業振興の方向性、地域の個性と特色ある地域づくりなど、圏域全体の振興の道筋を明らかにしていく考えでございます。
 今回の見直し案についてのパブリックコメント等の状況でございますが、これは、計309件の御意見をいただきました。
 これらの御意見を踏まえまして、市町村の強化を進めるために、市町村の立場に立った柔軟かつ段階的な権限移譲を進めることを明確にいたしました。
 また、県北・沿岸圏域の産業振興の取り組みを一層強化していくことを明確にいたしました。
 さらに、地方振興局再編が、今後の本県の行財政構造改革の重要な一環であることを明確にいたしました。
 主な御意見については、こうした形で最終案に反映させたところでございます。
 それから、広域振興局の権限の強化についてでございますが、これからは、市町村が真に望む権限移譲を進めるなどして、市町村みずからが主体的な行政を展開しやすくなるように強力に支援するとともに、また、現場主義を一層徹底した産業振興の取り組みを強化していくことが重要であると思います。
 このため、広域振興局には、予算原案の作成権限を付与しまして、産業振興などに関する重要業務をそちらに移管して、機能を強化して、業務の完結性を高めていく考えでございます。
 振興局が、こうした形で地域振興に一層貢献できる体制を整備することによりまして、ともすれば本庁の方を向きがちでありました職員が、地域住民をしっかり見てともに仕事ができるようになる、これは職員のやりがいにもつながるものであるわけであります。こうした体制を整備していきたいと考えております。
 それから、地域経済の振興についての取り組みについてでございますが、具体的には、本県の基幹産業である製造業や地域に根差した地場産業、農林水産業や経済波及効果の大きい観光産業など、こうした産業を民間事業者のノウハウを最大限に活用しながら重点的に振興を図る。そして、こうしたものをいわゆる県外からの外貨を持続的・安定的に獲得できるような、そういう強い産業に育成していくことが目標でございます。
 そのため、製造業の振興策として、自動車関連産業を中心としたものづくり産業の集積を促進する、産学官共同による新技術開発に係る製造業の積極的な育成支援を行う。農林水産業については、農林水産物のブランド力強化、食品加工産業の強化による食産業育成。観光産業については、世界遺産登録を目指している平泉を中心とした観光産業の育成、それから、グリーンツーリズムなど、地域資源の有効活用と関係者の連携強化。このような産業振興を推進するために、高等学校などにおける職業観の醸成に始まる高度な産業人材の育成を強力に推進していく必要があると考えております。
 最後に、道路財源についてでございますが、道路は、県民生活や経済・社会活動を支える最も基礎的な社会基盤でございまして、道路を計画的に整備していくことが重要でございます。
 特に、本県は広大な面積を有しているということで、自動車交通への依存度が大変高いわけでございます。高速道路ネットワークを初めとする道路網の整備がいまだおくれておりまして、産業を支援する道路整備、救急救命医療機関へのアクセス性の向上、災害時における緊急輸送道路網の確保などが、県政の重要な課題となっております。したがいまして、計画している道路整備については、引き続き進めていかなければなりませんし、このためには、財源をしっかり確保する必要があると考えております。
 道路特定財源は、道路利用者が受益者負担の原則にのっとって、道路の整備を目的として負担しているものでございまして、国の道路整備事業費は、そのほとんどが自動車関係諸税で賄われております。
 一方で、地方の方は、軽油引取税などの特定財源のほかには、相当の一般財源を充当して実際には道路整備を進めている、これが現状でございます。特定財源の充当率は今半分にも満たないような状況でございます。したがって、国の方で余剰金が生じるということが1年後には起こるわけでございますが、そういうことであれば、今の国と地方の配分割合を見直しをして、現在計画され、整備を待っている地方道路整備にそうした財源は充当すべきである。そして、そのことを国に強く要請していきたいと考えております。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部局長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔総務部長時澤忠君登壇〕

〇総務部長(時澤忠君) まず、平成18年度予算編成についてであります。
 平成18年度の予算編成に当たりましては、極めて厳しい財政環境を踏まえまして、行財政構造改革プログラムに基づいて、自立と構造改革の仕上げの予算ということを基本にしつつ、平成19年度以降、やりくりによらない持続可能な財政構造としていくための第一歩となるよう配意して編成していく考えでございます。このため、まず、歳入面では、県税収入の確保や未利用県有地の処分等によりまして自主財源の確保に努める一方、歳出面におきましては、政策評価をもとに、緊急性・重要性の観点から徹底した選択と集中によりまして、各事業間の優先順位の厳しい選択を行うとともに、さらなる創意と工夫を凝らすなど、限られた財源の重点的かつ効果的な活用に努めることとしております。
 また、平成18年度の財政収支見込みでございます。当初、一般財源ベースで161億円程度の財源不足を見込んでおりましたが、この財源不足の解消を図るために、補助負担金の見直しや大規模施設整備事業の再見直し、人件費の抑制等、さらなる歳出削減を検討するとともに、公共事業等の投資的経費及び経常的経費につきまして、一定の削減率を設定したところでございます。その結果、財源不足は、今後の交付税の動向にもよりますが、現時点でなお50億円程度の財源不足を見込んでおります。さらなる歳出削減など、今後、予算編成を通じまして解消を図っていきたいと考えております。
 また、国の三位一体改革につきましては、11月30日に国庫補助負担金改革と税源移譲に係る政府・与党合意がなされたところでございます。廃止・縮減の改革がなされます個々の補助負担金の詳細につきましては明らかにされておりませんで、現時点での情報から得られます概算の見込みでございますが、試算いたしますと、一般財源の負担が約60億円余り増加するのではないかと見込んでおります。一方のこれに対応します税源移譲額及び交付税総額につきましては、まだ交付税総額が不明でございますので、現段階で具体的な影響額は算定できない状況にございます。
 なお、この交付税の見直しにつきましては、今後の予算編成を通じて具体的な調整を行うとされておりますので、今後、その動向に注意しながら、適切な予算編成を行っていきたいと考えております。
 次に、予算編成システムの見直しでございます。
 現在の予算編成システムは、原則としてすべての経費につきまして、各部局が自己決定・自己責任の考え方のもとに予算調整を行う。そのねらいとするところは、現場主義の徹底と迅速な施策展開を図ろうとするものでございます。
 相応の成果が出ていると考えているところでございますが、今後想定されますような、さらに厳しい財政環境下におきます予算編成を考えた場合には、現在の制度は、財源不足への部局枠の一律削減というものを行っております。これが既に限界に来ているのではないかと考えておりますし、さらに、部局での優先順位が、必ずしも県の施策全体として優先順位が高い、このようなこととは一致していないのではないかということ、さらに、現行の政策評価、事務事業評価が、施策や事業の改善・改良を主眼とした手法を採用しておりまして、財政効果が薄い事業のスクラップにつながりにくい、このようなこともございます。
 したがいまして、今後の予算編成システムの方向性といたしましては、現行制度のメリットを生かしつつも、全庁的な優先度に基づきます政策優先配分方式の採用、そして、事業スクラップも見据えました政策評価、事務事業評価システムへの移行、こういったことによりまして、限られた財源の効果的な活用が図られるシステムとなるように検討してまいりたいと考えております。
 次に、防災推進地域の指定でございます。
 推進地域の指定を受けた場合の対応でございますが、指定が行われた場合、県、市町村は、今後、中央防災会議が定めます基本計画をもとに、それぞれ地震防災に関する事項や円滑な避難の確保などに関します推進計画を策定することとなります。
 具体的には、地域防災計画に必要な事項を規定するなどの改正を行うことになるわけでございますが、この改正作業に当たりましては、県におきましては国に、市町村におきましては県との事前協議によりまして、整合性を図りながら、迅速・的確に進めてまいりたいと考えております。
 それから、関係機関を含めた連携でございます。これまでも、防災関係機関相互の連携につきましては、市町村はもとより、自衛隊、警察と定期的に情報交換を行っているほか、関係団体とは、災害時における応援協定といったものを締結いたしまして、応援体制を構築するなど、連携強化に取り組んでおります。
 また、総合防災訓練におきまして、防災関係機関と実践的な情報共有、応急対応の訓練といったものも行っております。
 推進地域の指定に伴います推進計画の策定に当たりましては、県におきまして、説明会を開催するなど、市町村や消防本部等の関係機関を支援していきたいと考えておりますし、また、推進地域の指定を契機としまして、さらに関係機関との連携のあり方について見直しを図りまして、地域防災計画にも反映させていきたいと考えております。
 それから、地域指定がなされますと、県におきましては、現在、中央防災会議が行っております被害想定等に基づいて地域防災計画を見直す必要があるわけでございますが、市町村におきましても、被害想定等に基づいて、従来の地域防災計画、避難計画等の見直しが必要となります。したがいまして、情報提供など早期に見直しが図られるよう、県として支援を行ってまいりたいと考えておりますし、また、推進地域におきましては、地震防災上、緊急に整備すべき施設等の整備に努めなければならないとされております。県、市町村ともに、これまでの整備状況等も勘案しながら、その整備を図っていく必要があると考えております。
   〔総合政策室長相澤徹君登壇〕

〇総合政策室長(相澤徹君) まず、平成18年度の予算編成につきまして、事業の重点化ということについてでございますけれども、平成18年度は、40の政策の最終年度ということでございまして、掲げた目標を確実に達成することが最重要課題というふうに考えております。中でも、達成のおくれている環境先進県、安心して暮らせる社会先進県については、特に重点的に取り組んでまいりたいと考えております。
 さらに、平成18年度の新規施策を含めた政策形成プロジェクト予算の編成に当たりましては、人口減少、少子・高齢化への対応、福祉政策など、地域力を生かした岩手らしい施策の展開、さらには、地域の資源や特色を生かした産業の振興などについて、特に配慮しながら施策の立案に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
 次に、ポスト行財政構造改革プログラムについての検討の視点ということでございますが、このプログラムは、平成19年度から22年度までの4年間を想定しております。
 現行のプログラムよりさらに厳しい財政状況になるということが見込まれております。予算規模7、200億円台への取り組み、知事部局の職員数4、000人程度の体制構築に向けた取り組みなどを含め、プログラム期間中に予想される2、300億円を超える財源不足の解消に向けた抜本的な行政のスリム化に取り組んでまいりたいと考えております。
 具体的には、思い切った業務の集約化や電子県庁化による組織・職員体制の大幅な見直し、さらには、抜本的な業務改善、選択と集中による事務事業の徹底した見直し、出資等法人改革の一層の推進に加え、職員の意識改革をさらに進めることによる県民との一層の信頼関係の構築といったことも視野に入れながら、スリムで効率的な体制を築いてまいりたいと考えております。
 このような行政のスリム化への取り組みと同時に、分権型社会に対応した自立した地域社会をつくっていくという取り組みをしっかりと進めるという観点から、NPO、企業など、幅広い県民の皆さんとのいわゆる官民の連携と協働、こういった環境整備に率先して取り組み、地域住民が主体的に地域を支えていく、いわば地域力によって公共サービスを支えていく社会の構築といった視点も重視してまいりたいと考えております。
 次に、県内の景気動向についてでございますけれども、個人消費は、大型小売店販売額が40カ月連続して前年水準を下回るなど、厳しい状況が続いております。
 生産活動につきましても、主力の電子部品は持ち直しの基調にあるものの、情報通信などが停滞傾向にございまして、全体としては4カ月連続で前年水準を下回っているという状況にございます。
 雇用につきましては、有効求人倍率が、本年10月の全国平均で0.98倍でございますが、本県では0.59倍と依然として低い水準にあり、このところ一進一退の動きが続いているところでございます。
 このように、本県経済は足踏み状態という状況だと認識しております。
 今後につきましては、自動車関連の生産が増強されるといったこともございます。個人消費や設備投資など、民需を中心とした全国的な景気回復の動きが、本県にも波及してくるということを期待したいと考えております。
 地域別の景気動向についてでございますけれども、雇用状況として、有効求人倍率、職業安定所管内別でございますが、北上が1.42、水沢0.74、盛岡0.64というところでございます。一方、低いところとしましては、大船渡が0.38、二戸が0.39、久慈0.39などが低くなっているところでございます。景気の持ち直しの動きは、地域によって格差があるというところでございます。
 産業別の状況でございますけれども、日本銀行盛岡事務所が公表している9月の岩手県短期経済観測調査によりますと、企業のいわゆる業況判断につきましては、製造業については持ち直しが見られるという状況でございますが、建設業や卸・小売業については、業況が悪いと判断している企業が多いという状況になっております。産業別の格差があるものと考えているところでございます。
   〔総合雇用対策局長長葭常紀君登壇〕

〇総合雇用対策局長(長葭常紀君) 雇用状況と雇用対策についてでありますが、まず、雇用の目標としましては、県では、岩手県総合雇用対策により、平成14年度から平成18年度までの5年間で3万600人の新規雇用創出、うちサービス関連産業におきまして1万5、000人の雇用創出という目標を掲げ、毎年度、四半期ごとの進捗状況を管理しながら、部局横断的な取り組みを行っているところであります。
 雇用創出の達成状況ですが、平成17年9月末現在で、全体で見ますと2万8、002人で、目標の3万600人に対しまして達成率91.5%と順調に推移しております。
 これをサービス関連産業で見ますと、1万5、000人の雇用創出という目標を掲げ毎年度やっているんですけれども、全体では1万372人ということで、目標の1万5、000人に対しまして達成率が69.1%となっております。ただ、これが今年度末には1万2、395人まで伸びる見込みでありますので、達成率は82.6%となる見込みであります。
 また、全体の2万8、002人の内訳でございますけれども、国の基金とか助成金によります創出を除きました県の産業支援等の分野別に見ますと、産業振興で3、814人、企業誘致で2、802人、福祉関連分野で1、846人、農林水産業分野で995人、教育分野で718人となっております。
 県としましては、来年度が最終目標年度でありますので、今後とも、サービス関連産業での雇用創出目標の達成に向けまして全庁を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。
 また、新規高卒者の定着状況についてでありますけれども、新規高校卒の3年以内の離職率が、平成15年度目標の49.5%に対しまして50.8%、平成16年度目標の48.0%に対しまして49.1%とおくれが見られます。このため、各地域ごとに配置しましたエリアジョブコーディネーターを中心としまして、学校や地域、あるいは産業界などと幅広く連携を深めながら、新規高卒者の職場定着支援に向けまして、重点的に取り組んでまいりたいと考えております。
   〔農林水産部長今泉敏朗君登壇〕

〇農林水産部長(今泉敏朗君) 沿岸漁業の振興についてのお尋ねについてでありますが、沿岸漁業を取り巻く環境は、資源の減少、就業者の減少、魚価の低迷など、厳しい状況にありますが、こうした状況に対処し沿岸漁業の振興を図っていくためには、主要魚種であるサケの増殖体制の強化を初め、アイナメやカレイなどの資源管理を進めるほか、アワビ、ウニの磯根資源やヒラメ、マツカワの魚類を対象に、地域の特性を生かしたつくり育てる漁業の充実強化を促進し、資源の造成に努めていくこと。また、養殖業の従業者数減少に対応した養殖漁場の再編やワカメやカキなどの養殖施設を強化し、災害に強い養殖漁場を形成するとともに、1人当たりの規模を拡大し、生産性向上による所得の増大を図っていくこと。さらに、トレーサビリティーシステムの導入や岩手ワカメを初めとした認証品拡大、産地表示の普及、衛生管理の確立など、食の安全・安心を提供することにより付加価値を高め、消費の拡大につなげていくこと。これらに加え、漁協がその経営基盤と機能の強化を図り、沿岸漁業振興の中核としての役割を果たすための主体的な取り組みを県として支援していくことが必要であると考えております。
 今後におきましては、これらの施策を総合的に展開しながら、沿岸漁業の一層の振興に努めてまいります。
 次に、漁業協同組合の経営問題についてでありますが、沿岸漁業振興の中核としての役割を期待されている漁協は、組合員の高齢化や減少、自営定置漁業の低迷など厳しい経営環境にあり、経費削減や設備投資の抑制など経営改善に努めているところでありますが、こうした取り組みが十分な結果を出していない漁協があるのも事実でございます。そのため、特に多額の繰越欠損金を有する漁協に対しましては、経営改善を推進するため、現地におきまして全役員参加のもとに財務改善計画の進捗管理を行うなど、役職員一丸となった取り組みを指導しているところであります。
 しかし、今後とも漁協がその役割をきちんと担っていくためには、その経営資源などを集結し、経営基盤の強化を図ることが不可欠なことから、県としては、現在、系統が進めております県1漁協体制及びその前提となる11拠点漁協体制の構築に向けて、これまでもさまざまな支援を行ってきているところでありますが、今後におきましては、そうした合併に向けた取り組みを加速するため、関係市町村との連携はもとより、地方振興局を含めた支援体制の強化を図りながら、系統の主体的取り組みをこれまで以上に促すなど積極的に支援してまいる考えであります。
   〔県土整備部長橋本義春君登壇〕

〇県土整備部長(橋本義春君) 三陸縦貫自動車道釜石山田道路の早期整備についてでありますが、現在、全体計画区間23キロメートルのうち、特に渋滞の著しい水海から鵜住居間の延長4.6キロメートルについて先行して整備が行われております。
 これまで、水海地区を中心とした用地買収や一部本線工事に着手しておりまして、今年度は、引き続き用地買収を進めるとともに、両石トンネルや両石高架橋の工事に着手すると聞いております。県としましては、早期に整備が図られるよう、今後とも国に強く要望してまいります。
 また、大船渡市から釜石市間の整備計画区間への早期格上げについてですが、県では、三陸縦貫自動車道の基本計画区間であります大船渡市から釜石市間を初めとしまして、陸前高田市以南や山田町から宮古市の間の整備計画区間格上げについて、沿線の市、町と連携を図りながら国に強く要望してきたところであり、今年度から、大船渡市三陸町越喜来から吉浜に至ります約4キロメートル区間を吉浜道路として、早期事業着手に向けた環境調査に取り組むなどの動きが見えてきたところでございます。県としては、引き続き整備計画区間への早期格上げについて国に強く働きかけてまいります。
 次に、土坂峠道路の取組状況及び今後の見通しについてでございますが、計画延長は約5.2キロメートルですが、早期に整備効果の発現が可能な現道拡幅区間は約1.1キロメートルあります。そのうち、現在工事を行っております600メートル区間につきましては、平成18年度の概成を目指して引き続き整備を進めてまいります。
 トンネル部分を含む区間の整備につきましては、県全体の道路整備計画の中で、道路予算の動向も見きわめながら検討してまいりたいと考えております。
   〔医療局長法貴敬君登壇〕

〇医療局長(法貴敬君) 地域医療の確保についてでありますが、釜石市民病院は、平成19年4月の統合までの間は釜石市が病院運営を継続することとし、統合後は、市が策定したかまいし健康ルネサンス構想に基づき、民間が運営する慢性期型病院へ移行するものと伺っており、その間、医療局としても、県立釜石病院医師の診療応援により、できる限りの協力をする一方、地域医療の確保に向けて県立釜石病院の診療体制の充実を図っているところであります。
 また、職員受け入れについては、既に医療局職員として本年4月1日付で看護師16名を採用し、今後、平成19年までの2年間で、看護師、薬剤師など55人程度について、半分程度ずつの人数を採用する予定としております。
 現在、統合移行期にあって県立釜石病院は大変混雑しており、現場では、患者の待ち時間短縮などに向けて患者サービスを改善すべく日夜最大限の努力を重ねており、一方、ハード面では、入院患者、外来の新患者、救急患者の増加に対応するため、外来診察室の増設、救急処置部門の拡張、手術室の増設等の病院増改築を進めているところであります。さらに、自動車での来院者の利便性を確保するため、駐車場の拡張工事もあわせて行っているほか、釜石市においては、僻地患者輸送車の経路を一部延長するとともに、県立釜石病院玄関前に乗り入れる路線バスの本数の増加をバス会社に要請するなど、交通アクセスの確保に努めていると伺っております。
 今後とも、県立病院が地域の基幹病院としての役割を果たせるよう、医療体制の充実を図り、地域医療の確保に努めたいと考えております。
   〔教育長照井崇君登壇〕

〇教育長(照井崇君) 義務教育費国庫負担金等の一般財源化による地方教育の変化についてでございますが、義務教育費国庫負担金及び公立学校等施設整備費補助金が全額一般財源化された場合には、教育の機会均等と水準の維持向上を図りながら、これまで以上に地方独自の工夫や地域住民の声を反映させて、自治体の裁量と責任において地域に根差した特色ある教育が展開できるようになるものと考えております。
 一般財源化による具体的なメリットでございますが、義務教育費国庫負担金の関係では、例えば、小・中学校や養護学校などの学校の種別にとらわれない予算の執行や、従来、国庫負担金の対象とならなかった職種への支出が可能となります。また、少人数教育の充実や学習指導、生徒指導など、それぞれの学校の実情に応じた弾力的な教員配置がこれまで以上に可能になるものと考えております。
 公立学校等施設整備費補助金の関係では、例えば、小・中学校の耐震化については、現行制度では耐震補強工事の財源を国の補助金に頼り、事業の実施が国の動向に左右されますが、市町村の自主的な判断で実施できるようになります。また、補助金申請時の児童生徒数を基準といたしまして施設規模が決められる補助事業と異なり、将来を見通した、適切な規模の整備が可能となります。
 このように、全額一般財源化された場合には、地方自身で教育環境をよくしようとする意識が醸成され、地方の教育が充実していくとともに、補助金申請に関する事務がなくなり、コスト縮減も図られるものと考えております。
   

〇議長(伊藤勢至君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後6時5分 散 会


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