平成17年12月定例会 第17回岩手県議会定例会会議録

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〇47番(工藤篤君) 自由民主クラブの工藤篤でございます。
 まず、これからの広域行政の圏域のあり方と市町村合併についてお尋ねいたします。
 私は、かねがね県北地域の振興のためには広域合併を促進し、県北地域が一体となって6万人都市を目指すべきであると指摘してまいりました。保健福祉や高度医療、産業集積や企業誘致のためにも、人口集積が必要であるからであります。その点からしましても、今回県が示した県北広域振興圏には賛成するものでありますが、新しい広域行政における県の取り組みや産業振興などを見ますと、従前とほとんど変わらないといいますか、これでは、なぜ新しい広域行政の圏域として見直すのかという点において、なかなか住民は納得できないと思うのであります。
 県北地域のみを取り上げますが、まず、農林水産業を基盤にした特色ある食料産業の展開とは、何をどうするのですか、具体的に示していただきたいと思います。
 また、八戸都市圏との連携による産業振興を目指すのであれば、八戸市そのものも地盤沈下にあえいでいるわけで、八戸の民力といいますか、基盤を強化してやらないと岩手県側との連携はとれないと思うのであります。北日本造船を久慈に誘致したように、八戸から企業を誘致するのも岩手県にはありがたいことですが、現に八戸市では、岩手に企業が行かないような対抗策を考えているやにも聞いております。
 八戸市との連携を強めるのであれば、青森県と共同して、例えば八戸・岩手県北振興基金のようなものを設置して、八戸市とその周辺の振興を図るべきであると思いますが、そういう覚悟が岩手県にあって八戸との連携をうたっているのですか。
 住民は、単に岩手県は県北のことはやりたくないから八戸に押しつけてしまおうと考えているのではないかと疑っているのです。
 八戸市の底上げを図りながら、岩手県北地域との連携を深めていくというのがあるべき姿であろうと思うのでありますが、いかがでしょうか。
 県北振興を図るためには、県本庁と地方振興局が一体となった対応が必要と考えますが、具体的にどのように取り組んでいくお考えでしょうか。明快な答弁をお願いいたします。
 また、市町村合併への支援や県からの権限移譲などにより、市町村の行財政基盤の強化を確実に進めていくともうたわれております。県の市町村合併推進審議会においても、二戸地区は、二戸市、軽米町、九戸村、一戸町との合併が適切であると示されました。
 二戸地域は、盛岡や八戸、鹿角と、北3県の都市と1時間で行ける圏域になっておりまして、広域連携のかなめとなる場所に位置しております。北3県の発展のためにも、この地域に6万人の都市づくりを目指すべきであると思います。そういう意味において、県の市町村合併に対する強いリーダーシップが求められているわけでありますが、県が示した素案と二戸地域のありようについての知事の基本認識と市町村合併促進の戦略や目標とする時期についてお尋ねいたします。
 次に、平成18年度の県の予算編成についてでありますが、県では、今回から決算特別委員会の審査を早めたことをどのように評価しておられるのでしょうか。
 また、今回の決算審査を通じての質問、答弁項目などについて、来年度の予算編成過程においてどのように整理して、どう生かして編成作業に当たっておられるのか、伺います。
 また、重点課題としてはどのような点について取り組もうとされているのでしょうか、あわせて伺います。
 次に、県北地域への高等教育機関の設置や人材育成、企業誘致等の産業振興などについてであります。
 まず、県北の高等教育機関についてでありますが、久慈のアレン短期大学がなくなって以来、県北地域には高等教育機関が全くなくなりました。
 県立大学は、県北地域の振興に全く役に立っていないということは、これまでの大学の活動から、私がたびたび指摘しているとおりの結果であります。幸いにも、二戸地区は二戸高等看護学院や二戸高等技術専門校などの県立の施設がありまして、看護や伝統工芸などの県北地域の人材育成に役立っているところであります。
 これまでも二戸地域は、浄法寺塗や二戸時計のような手仕事、伝統工芸が盛んでありまして、特にあの再建された金閣寺の金箔は、浄法寺の漆でしか張れなかったというほどのすばらしいものであり、その浄法寺塗の技術の継承や、盛岡セイコーでは手巻きの高級時計を手づくりでつくっておりますが、その一部を担っている二戸時計が当地にはありますので、これらへ優秀な人材を供給するという観点から、ぜひ二戸高等技術専門校の短期大学校化を検討していただきたいと思います。
 一方で、県では、県立職業能力開発施設再編整備基本計画案において、二戸高等技術専門校の伝統工芸科の廃止を検討しておりますが、これこそが二戸地域の産業振興の核となるべき人材の育成に不可欠であり、今後も、拡充こそすれ、廃止するなどとは言語道断であります。
 県南地域の自動車産業集積に向けた人材育成のプロジェクトばかりが進んでおりますが、こうした県北にも世界に誇れる地場産業があるわけですから、そのための人材育成をしっかりとやって初めて、県北地域の振興が成り立つのではありませんか。前向きな答弁を期待します。
 久慈職業能力開発センターについても、宮古の専門校の分校であれば、いつ廃止になるかわかりません。新しい広域圏を二戸と久慈を一緒にして県北地域にしているのですから、県北地域の一体的な整備、振興を図るためには、久慈職業能力開発センターは単独で残すか、二戸の分校にすべきではありませんか。宮古に入れる理由が理解できません。整合性を持っていただきたいと思いますが、いかがですか。
 また、企業誘致についても、いつになるかわからない酸化亜鉛プロジェクトの事業化などではなく、県南の自動車関連産業集積のような大きなプロジェクトではなくてもいいですから、例えば、せっかくある盛岡セイコーやシチズンの技術を生かした関連企業の集積を図るとか、県北地域の基幹産業である農業、畜産などを生かした高付加価値商品を製造する食品産業などの誘致を図るとかをもっと積極的に推進していただきたいと思うのであります。実のある答弁を期待しますが、いかがでしょうか。
 また、そのためにも、地域の特性や伝統産業を生かした産業の集積と企業が求める人材育成としての短期大学校の設置など、総合的な施策を推進して初めて県北地域の振興が図られると思うのでありますが、いかがでしょうか、お尋ねいたします。
 次に、二戸高等看護学院を県立大学の看護学部関係の短期大学部に移行できないかという提案であります。
 すばらしい看護学院を建設していただきまして、地域住民を代表して、知事初め、関係機関に心から感謝を申し上げます。せっかくの学校ですから、県立大学の看護系の短期大学部に移行できれば、県北地域の高等教育機関の空白解消にも役立つと思うのですが、いかがでしょうか、お尋ねします。
 次に、二戸地域の振興についてでありますが、広域圏のあり方に関する部分以外でお尋ねいたします。
 これまでにも、私を初め、県北地域の同僚議員の多くが取り上げてきました県北地域の振興ですが、その答弁を聞いておりますと、どうも県当局の熱意が感じられないといいますか、悪い言葉で言えば、さじを投げているような気がしてなりません。つまり、本気になって岩手の県北地域を北上川流域と同じように育てていこうという気構えが全く感じられないのであります。
 二戸にも県の工業団地があり、九戸には第2クリーンセンター建設予定地の近くに九戸工業団地があり、浄法寺にも営農学園跡地という絶好の工業集積地があります。
 観光にしても、十和田湖への玄関口としての新幹線二戸駅の活用があります。浄法寺、鹿角や大館、久慈地域へと広域観光ルートの開設も検討できるはずです。
 馬淵川水系の利活用、サッポロビールとの関連からワイナリーの立ち上げ、葉たばこ日本一であれば、葉たばこの振興と、たばこ関連の工場誘致も考えられます。家畜排せつ物によるバイオ発電なども第2クリーンセンターの付録のように書かれておりますが、真剣に県主導で取り組むべきであります。
 携帯電話が全く通じない地域が県北地域には非常に多いのであります。モバイル立県構想の推進は、県北地域ではどうするのですか。
 私が課題を出しただけでも、まだまだ出せるぐらい、県北地域の振興には解決しなければならない課題が山積しているのであります。今回の広域圏見直しの時期が、二戸地域の振興策をしっかりとつくり直す絶好の機会であると思いますが、地域振興計画は策定するのでしょうか。県として二戸地域の振興策をどうするのでしょうか。これまでのようなうたい文句ばかりではなく、戦略、目標など、しっかりした答弁を期待いたします。
 次に、高病原性鳥インフルエンザの本県における防疫対応についてお伺いします。
 本県の養鶏は、ブロイラーが全国1位、採卵鶏が10位の生産額を誇る全国有数の養鶏主産地であり、県農業の基幹部門として発展しているところであります。特にも、県北地域や沿岸地域においては、ブロイラー生産は、農場においての生産にとどまらず、食鳥処理、加工、運輸などを通じ、雇用を幅広く創出するなど、地域経済を支える基幹産業となっております。
 ところが、ブロイラー産業を根底から揺るがしかねない事件が起きております。御案内のとおり、昨年1月に我が国で79年ぶりとなる高病原性鳥インフルエンザが山口県で、さらに2月から3月にかけて大分県及び京都府で相次いで発生し、鶏卵・鶏肉の消費の減退を招くなど、養鶏産業に大きな影響をもたらしたことは記憶に新しいところであります。
 また、本年6月には、茨城県でこれまでと違った弱毒タイプの高病原性鳥インフルエンザが発生するなど、これまでに30例を超える農場において発生が確認され、茨城県においては、いまだに終息に至っていない状況下にあります。
 そこで、本県農業、とりわけ県北・沿岸地域の基幹部門である養鶏産業を守る上で、防疫体制が重要であると考えますが、本県におけるその対応状況はどうなっているか、お伺いいたします。
 次に、県北の雑穀振興についてお尋ねします。
 アワ、ヒエなどの雑穀は、これまでには振り向きもされない時代もありましたが、最近では、雑穀が持っている食物繊維やミネラル類などの機能性成分の多さが高く評価され、健康によい食材として大きな注目を浴びております。
 我が国は、これから高齢化がますます進むわけでありますが、このような中で、健康を保つ食材としての雑穀の地位は一層大きなものになり、雑穀の需要は、今後さらに伸びるものと考えております。
 県北地域は、昔からアワ、キビ、ヒエなどの雑穀の栽培が盛んで、かつてはどの農家でも必ず栽培されていましたが、品種改良などにより米の生産量が安定するとともに、雑穀の栽培はどんどん減少したことは、御案内のとおりであります。
 しかし、減少したとはいえ、県北地域では雑穀栽培が途絶えることはありませんでした。全国的な最近の雑穀の需要増加は、このような地域の先人たちの貴重な努力で守られた雑穀栽培を、地域の特色を生かした農業の振興策として活用できる時代が到来したと考えているわけであります。
 そこで、これからの県北地域の雑穀振興にどのように取り組んでいくかについて、お伺いします。
 次に、県立大学についてであります。
 岩手日報が報じたところによると、谷口学長が、盛岡短期大学部の4年制移行構想の検討を指示し、10月19日の短期大学教授会において報告されたとありました。私は、地域の役に立っていない県立大学だから、学部を減らしたいといったことの間違いではないかと目を疑いました。
 このような大ごとについて、知事には事前に学長から説明があったのでしょうか、また、教授会にかけられるということを承知しておられましたか、まず伺います。
 谷口学長は日報の取材に対し、国際的な視野を持った人材を育てることが本県の存在を高めることになり、将来の地域貢献につながると答えております。さて、将来の地域貢献も結構ですが、今現在の県立大学の状況はどうでしょうか。
 県立大学のホームページを拝見させていただきました。まず、教員はと見ると、学会・社会貢献と銘打って堂々と掲載されているのは、どこそこの学会員であるなどということで、地域社会には貢献されていない先生方がほとんどであります。
 谷口学長は国際という言葉がお好きなようですが、地域にすら貢献できないような教員のもとで、国際社会に貢献できる人材を育てられるとお考えなのでしょうか。
 高橋学部長にあっては、学生、教員とも4年制を望む声は大きいと話されているようですが、学生、保護者、地域住民の声を聞いての御発言だったのでしょうか。4年制を望んでいるのは、肩書が欲しい教員だけではないのですか。
 岩手県では、4年制の大学に子供たちを入れられない親はたくさんおります。それでも、何とか高等教育を受けさせてやりたいと思って、宮古や盛岡の短大に入れているのであります。短期大学なら何とか通わせたいという親が圧倒的に多いのであります。
 そういう思いが、県立大学の谷口学長や高橋学部長は全くわかっていないのではありませんか。県立大学の教員はたくさん給料をもらい、岩手大学の倍の研究費をもらっているから、県民とはかけ離れた思考しかできなくなっているのではありませんか。あれだけの不祥事を起こしておきながら、いまだに自分たちの待遇だけを考えているのか、県民のことを全く考えていないのかと、情けない思いであります。
 私は、今回の4年制移行構想に宮古短期大学部が入っていないことを幸いだと考えております。宮古短大の就職率や就職先を見てごらんなさい、すばらしいものとなっております。
 宮古短期大学部がなぜあのように保護者や企業に人気があるのか御存じですか。太田原前短期大学長、現在は短期大学副学長兼短期大学部長ですが、降格人事のような非礼にもかかわらず、地域に根差し、地域に貢献する大学運営を実践しております。だから、保護者や企業の多くが、宮古短期大学部を支持しているのです。これは、太田原先生初め、教員や事務職員までもが一体となって短大運営や学生の教育、進路指導に当たっていることが評価されている証拠であります。
 私は、盛岡短大も評価しているつもりでしたが、高橋学部長がだめだと言うように、盛岡短大が宮古短大より見劣りするのは、教授などの教職員が、学生のためにしっかり仕事をしていないからではないですか。
 県立大学の就職状況はどうなっていますか。公開している就職状況は、地域別、業界別のパーセンテージとなっており、東北地域は一くくりになっていてよくわからないのですが、実際、岩手県への定着率はどの程度になっているのでしょうか。国際社会に貢献できる谷口学長のようなまれに見る人材を育て上げることより、地域社会に貢献できる人材を育成することが、県民の税金を投入している県立大学の使命であると考えますが、いかがでしょうか。
 まずは、今ある四つの学部を県民の役に立っているかという観点からきちんと評価して見直していく。役に立っていない総合政策学部は廃止する、盛岡の短大は、以前のように世間から評価されるような短大になるよう目標を立てて改革に取り組むなど、見直した上で、新たな学部の設置を検討すべきであります。そのような問題を棚に上げて4年制を目指したいなどとは言語道断であり、ましてや、今ある短期大学部なら昇格させやすいからなどという県民を無視した姑息な手段は、とるべきではないと思うのであります。
 細かい答弁は部長からでいいですが、これまでの私の指摘、主張に対する知事の御所見を伺います。
 次に、県立福祉施設の事業団移管についてであります。
 移管に当たっては、改修費などは今後も県が手当てするとの答弁があったはずですが、10年間ぐらいの改修計画は策定してあるのでしょうか。松山荘の改築以外にも、中山の園など保護者からの各種要望が出ていると思いますが、県では、来年度は認めないと、早くも民営化するがための弊害が出てきております。民営化しても、利用者が困らないようにするのではなかったのですか。事業団と早急に協議して、10年間ぐらいの改修、整備計画を議会にも示していただかないと、私ども県議としても民営化を承認できないのであります。御答弁をお願いします。
 そもそも民間福祉施設ではいろいろな不祥事がこれまでにもさまざま続いております。及勘鋳造所の事件はどうなったのでしょうか。県立にお願いしている保護者は、民営化に反対しているのであります。それを経費縮減という観点からのみで民営化しようとするのであれば、今後に禍根を残しますので、きちんとした対応を希望するものであります。
 次に、県境産廃についてであります。
 現場では既に雪が降り始めております。このままでは年内の処理目標の達成が困難な状況になっておりますが、どうするおつもりですか。久保田リテックスが不祥事で処理を頼めないとすれば、ますますおくれていくことは明らかであります。この際、知事は秋田県にお願いすべきではありませんか。岩手県は、秋田県大館での処理を秋田県に頼んだが断られたと聞いております。それに対し、青森県では処理をしてもらっております。知事が先頭に立って解決しないと平成22年までに撤去できません。決意と見通しをお聞きします。
 また、以前答弁のあった調停は進んでいるのですか。小保内弁護士が岩手日報に書いておられましたが、もうそろそろ責任追及をもっと大がかりに、本気になって実施する時期ではないのですか。進捗と今後の見通しをお聞きします。
 次に、地域課題についてであります。
 農業基盤の整備や道路整備につきましては、知事を初め、関係部長の特段の御配慮により進捗していることに対し、地元住民を代表して心からお礼を申し上げ、質問させていただきます。
 まず、県営畑地帯総合整備事業舌崎地区についてであります。
 この地域は、リンゴの生産性の向上や霜害の防止などを目的に事業が進められております。しかし、埋蔵文化財の発掘などもあって御苦労されていることと存じますが、住民からは早期完成が望まれている事業であります。これまでの進捗状況と今後の見通しについてお示しいただきたいと存じます。
 次に、地域の産業、生活の基盤であります道路整備についてであります。
 新幹線関連道路整備事業として、長年にわたり二戸駅へのアクセス道路として幹線道路の整備に御尽力いただいて感謝しております。まだまだ整備を要する地域がありますので、要望を兼ねてお聞きします。
 まず、川原橋及び川口地区につきましては、平成12年度から着手しておりますが、進捗がはかばかしくないようであります。どのような状況にあるのでしょうか。
 また、早期の改良整備が待たれる県道の御辺地福田地区の供用開始見通しはいかがでしょうか。長嶺地区、浄法寺バイパスの進捗状況と今後の見通しについてもお聞きいたします。
 最後になりましたが、増田知事には、北海道東北知事会長として、三位一体改革、地方分権の確立に鋭意取り組んでおられることに敬意を表するものであります。
 以上で私の質問を終わります。答弁によっては再質問させていただきます。
 御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕

〇知事(増田寛也君) 工藤篤議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、特色ある産業の発展についてでありますが、私は、県北圏域における産業の価値を高めるためには、食料産業の集積を図っていくことが最も重要である、このような考え方に立っております。
 そのため、まず第1点として、基幹となる1次産業の強化が重要でございまして、園芸作物を初め、畜産物、水産物、雑穀、ヤマブドウ、短角和牛など地域産品の産地形成を進めてまいります。第2点は、新たな企業誘致や既存企業の経営の多角化などにより、食料産業に関連する企業などの集積を進めることであります。さらに、第3点目として、地域の食を活用した滞在型の観光、グリーンツーリズムなど交流人口の増大に取り組んでまいります。
 こうした取り組みを広域的な観点で推進するため、地方振興局を中心に、生産者、食品加工業者、市町村などをメンバーとする二戸・久慈食産業ネットワークを立ち上げ、さらに、これを強力にバックアップする体制として、本庁に、研究機関や大学、県外大手資本、金融機関等をメンバーとする食産業の振興を推進する組織を設置することとしているところであります。
 また、八戸都市圏との連携についてでありますが、この八戸都市圏と岩手県北地域との連携については、来年度から久慈及び二戸の地方振興局と青森県の関係機関とが連携し、久慈、二戸及び八戸の各市を加えたプロジェクトチームを設置するなど、現地において具体的な検討を進めていく考えであります。
 こうした動きを強力に後押しをする形で、今年度の北海道・北東北知事サミットにおきまして他の知事と合意をいたしました、担当部長による北東北3県産業振興推進会議を活用していきたいと考えております。先月の11月26日にはその第1回の会合を開催いたしました。県境をまたいだ地域における振興について広範な検討を進めることとして、八戸都市圏と県北圏域との連携に関しても協議を開始したところであります。こうした体制の中で、広域での観光や企業間の連携など、相乗効果が発揮される振興策の検討と実践を通じて、八戸市はもちろん、本県県北・沿岸地域全体の底上げに向けて本腰を入れて取り組んでいく考えでございます。
 この県北・沿岸地域の産業振興は、改めて繰り返しますが、本県全体の振興にとって極めて重要な課題でございますので、副知事を本部長として、本庁の各部局長と各地方振興局長を構成員とする県北・沿岸振興本部――これは仮称でございますが――を設置する考えでございます。また、各地方振興局には、産業振興担当の課長などを配置するなど体制の強化を図って、成果をしっかりと出していく考えでございます。
 それから、市町村合併についてでございますが、いわゆる合併新法に基づく市町村の合併の推進の構想を今年度中に策定することとしております。現在、岩手県市町村合併推進審議会で、二戸地域も含む構想対象市町村の組み合わせ並びに推進施策について十分に御議論をいただいているところでございます。
 二戸地域は、東北自動車道、東北新幹線など高速交通網の整備が進んで、これまでのカシオペア構想による地域の特色ある連携の取り組みによりまして、一体となった一層の発展が期待されているところでもございます。県では、合併新法の期間でございます5年間――これは平成21年度末までですが――を一つの区切りといたしまして、この構想をもとに積極的に市町村合併を推進していく考えであります。
 県立大学についてのお尋ねでございますが、県立大学盛岡短期大学部の4年制大学への移行については、さかのぼりますと、平成7年に県立大学基本構想検討委員会の答申を受けて決定いたしました県立大学の基本構想で、将来の検討課題として位置づけされております。県立大学では、この基本構想を受けて学内の将来構想委員会などで検討を重ねてまいりまして、平成13年6月に盛岡短期大学部教授会で岩手県立大学盛岡短期大学部将来構想として承認されたと伺っております。
 今回の報道につきましては、こうした検討の経緯を踏まえて、本年10月の学部長等連絡会議におきまして、現学長から、4年制大学への移行の構想を検討していきたいとの意向が示されたことを受けて報じられたもの、このように承知しておりまして、したがって、この4年制大学の構想は、まだ大学内での検討が始まったばかりの段階のものでございます。現学長が国際関係の学部を持ちたいとのお考えはかねてから持っておられまして、そのことは私も承知してございますが、大学の組織として事前にこうしたことについて説明はいただいていないものでございまして、また、盛岡短期大学部教授会に報告がなされたことも、こうした経緯から承知していないものでございます。
 県立大学の使命でございますが、これは、やはりそもそも、その中期目標に掲げておりますが、人間教育、実証研究、地域貢献を一体的に推進して、地域課題の解決に貢献する姿を目指していくものであると考えております。したがって、国際貢献についても、国際的な視野で活躍できるリーダーの育成、海外の研究者との共同研究の成果の地域への還元などを通じて地域に貢献をしていくことが求められている、このように考えております。
 学部の見直しのあり方についてでありますけれども、県立大学の法人への移行に当たっては、大学が、環境の急速な変化に対応しながら、教育研究の一層の質の向上、大学運営の効率化などを目指した中期目標を設定したところでございまして、まずは、この中期目標に掲げる目標の達成に各学部とも全力で取り組んでいただいて、今回の法人化による成果を目に見える形で上げていただきたい、このように考えております。県では、その業績を岩手県地方独立行政法人評価委員会で評価して、その結果を踏まえながら、少子化の進展、そして、一層厳しさを増す県財政の状況などを勘案しながら、今後、県立大学とも十分に協議をして、その上で学部の見直しを含めた大学全般のあり方について検討してまいりたい、このように考えております。
 県境産廃の関係でございますが、この廃棄物の撤去は、今年度、約3万5、000トンを目標に取り組んでおりますけれども、公正取引委員会による建設業界に対する排除勧告の影響で契約締結が約1カ月ほどおくれたという事情がございまして、廃棄物の撤去の方も、今、進捗がおくれております。おくれの回復を目指して、10月29日からは、地元の住民や市町村、原状回復対策協議会の理解を得て、土曜日、祝日にも廃棄物の運搬を行っておりますが、今年度の撤去量は、今後を見通しますと現時点では約3万トン、このように見込まれるところでございます。
 今後の見通しにつきましては、現在、現地に整備した選別施設を活用した埋立廃棄物の撤去に着手して、撤去作業がいよいよ本格化してきております。その結果、産廃特措法の期限内に全量撤去するために必要な1日200トンの選別ができる見通しが立ってきておりますことから、平成22年度までの廃棄物撤去、そして平成24年度までの汚染土壌の除去、現場の原状回復は十分可能であると考えておりまして、その期限内の実現に向けて全力で取り組んでいく考えでございます。
 県外の処理施設の活用については、自県内処理の原則を立てておりますので、現在は県内の太平洋セメント大船渡工場に委託して廃棄物を処理しているわけでありますが、今後、県内の他の処理施設や整備予定の第2クリーンセンターも活用することによりまして全量撤去に対応できるもの、このように考えております。しかし、災害、事故などの不測の事態が起こることも当然考えられます。廃棄物の性状によってはできるだけ多くの処理施設を確保することも必要でございますので、引き続き県外の処理施設についても活用を検討していく考えでございます。
 責任追及についてでございますが、これまで、処理委託において法違反のある排出事業者への措置命令、それから、排出事業者みずからの処理責任の自覚による自主撤去の推進に取り組んでまいりまして、21事業者に措置命令を発出、そして県内の医療機関など7事業者が自主撤去を実施した、こういう状況でございます。さらに、本年8月に、廃棄物処理法の所管官庁であります環境省から、注意義務違反のある排出事業者に対する措置命令について、より具体的な指針が示されました。従来は法違反のものでの措置命令でしたが、今回は注意義務違反のものについてのより具体的な運用の指針が示されましたので、措置命令による広範囲な排出事業者の責任追及の実現に向けて具体的な検討を進めているところでございます。
 一方で、調停など公害紛争処理制度は、第三者機関の仲介による被害者、加害者の双方の互譲による、合意による解決を基本としているものでございますので、まずは、措置命令による責任追及を基本として進めて、その上で、調停など公害紛争処理制度の効果的な活用方法を法律専門家に協議するなど、調停制度活用の実現可能性について、今、慎重に検討を進めているところでございます。
 今後は、これまでの法違反者への措置命令の発出、自主撤去の推進に加えて、今申し上げました注意義務違反のある排出事業者に対する措置命令の実施に向けて積極的に検討を進めるとともに、調停制度についての検討も継続しながら、原状回復費用の公費負担の軽減と不法投棄の再発防止のために、こうした排出事業者の責任追及に徹底して取り組んでいく考えでございます。
 その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁させますので、御了承お願いします。
   〔総務部長時澤忠君登壇〕

〇総務部長(時澤忠君) まず、決算審査前倒しの評価でございます。
 今回、議会を初め監査委員の御協力によりまして、例年より1カ月ほど早く前年度決算の審査をいただくことができました。このことによりまして、各部局における施策立案、事業選定や県における全体調整などの予算編成過程へ決算審査が一層明確に位置づけられたものと理解しております。また、審査におきます御意見、御提言を予算に反映させるための検討期間もより確保できるなど、意義深いものと認識しております。
 審査の過程でいただきました質問、御意見につきましては、各部局がそれぞれ取りまとめをした上で、11月下旬に開催しました三役、部局長から成ります庁内の政策評価・推進会議において報告を行ったところでございまして、今後、予算編成に反映させていくこととしているものでございます。
 次に、重点課題でございますが、平成18年度におきましては、40の政策仕上げの年度といたしまして、その緊急課題と重点施策を基本としつつ、安心して子供を産み育てられる環境づくりや生産と地域を支える担い手の確保・育成など、政策評価レポート2005におきまして特に注力すべきとされました分野に配慮しますとともに、厳しい財政環境の中、事業の精選、重点化などによりまして効果的な施策の実現に努めてまいりたいと考えております。
 次に、県立大学に関しまして、まず、地域貢献についてでございます。県立大学は、地域への貢献を大学の基本方向の一つといたしまして、開学以来延べ205件の企業との共同研究、受託研究などを実施してきたところでございます。また、公開講座の実施、各種審議会等の委員就任の引き受けなど、教育研究成果の地域への還元に努めてきているものと認識しております。今後も、中期目標に定めます地域貢献に関する目標の達成に向けまして、教職員が一体となって取り組むことといたしております。
 次に、短期大学部長の発言でございます。高橋短期大学部長の発言につきまして御本人に確認をいたしましたところ、この発言は、保護者や地域住民の声は聞いていないけれども、国際文化学科2年生の約4割が4大への編入学を希望している状況などを踏まえたものということでございます。
 続きまして、保護者の思いでございます。県立大学の設立に当たりまして、その必要な理由といたしまして、保護者の経済的負担の軽減、若者の地域定着、自宅通学が可能などの県民の声、こういったものが寄せられて整備されたものでございます。したがいまして、その体制や運営のあり方につきましては、県民の意向も十分に踏まえていく必要があると考えております。
 このため、県立大学では、ホームページ上に学生提案箱を設けまして学生の声を聞いておりますほか、経営会議に地方自治体、経済界、保護者の代表者などを委嘱しまして、学外の意見を大学の運営に反映させる仕組みを設けております。今後も、大学への相談、意見、提言の総合窓口を設置いたしたり、ホームページ上に県民からの投書意見コーナーを設けるなど、県民の意見をしっかりと聞いて大学を運営していくことといたしております。
 次に、盛岡短期大学部の教職員のあり方でございます。短期大学部の運営や学生の教育、進路指導に当たりましては、盛岡、宮古両短期大学部とも中期目標、中期計画の実現を目指しまして、学科や地域の特性なども踏まえ、教職員一体となって取り組みを行っているものと認識しております。特に、宮古短期大学部につきましては、教職員が一体となって就職活動支援や学業・生活面でのアドバイスを行うことによって成果を上げておりまして、このことが地域や保護者からの評価につながっているものと認識しているものでございます。
 次に、就職状況でございます。平成16年度は、4大卒業生464人中、就職希望者381人、うち366人が就職をいたしまして、就職率は96.1%となっております。ここ数年、95%前後で推移をしております。
 県内への定着率でございます。県内への定着率は、平成13年度が51.2%、平成14年が48.1%、平成15年度が50.3%で推移してきましたが、平成16年度は36.6%となっております。平成16年度の定着率が低かったのは、県内への就職希望者が多いものの、県内求人数が少なく、一方、景気の回復により県外からの求職がふえたためと考えております。県立大学といたしましては、今後一層会社訪問や企業説明会を実施するなどによりまして県内企業の開拓に努めることといたしているところでございます。
   〔商工労働観光部長酒井俊巳君登壇〕

〇商工労働観光部長(酒井俊巳君) まず、二戸高等技術専門校の短大化などについてでございますが、産業技術短期大学校は、本県産業の基盤を支える高度な実践技術者の育成を目的としているものでございまして、本県における産業の集積状況などを踏まえながら、企業ニーズに対応した優秀な人材を毎年度安定的かつ継続的に供給するという考え方に基づき設置しているものであります。
 御質問のございました漆塗りや機械式時計などにつきましては、現時点では、なお産業としての集積は薄いという状況にございまして、一定規模以上の人材を毎年育成供給しなければならないほどの企業ニーズがあるとは認められませんことから、現時点では、二戸高等技術専門校の短期大学校化は考えにくいものでございます。
 また、二戸高等技術専門校の伝統工芸科の廃止についてでございますが、同科は、主に家具や木工品の製作を訓練してございますが、入校生は、県北地域以外及び県外者が多数を占めている状況でございます。就職先も県北以外や自営・自家就業が多数を占めているところでございます。また、今日の木工関係業界におきましては、従来の木材の加工技能のみならず、デザイン開発力など付加価値の高い製品づくりができる人材が求められておりまして、こうしたことから、同科を産業技術短期大学校産業デザイン科へ集約し、県内におけるこうした人材の育成を強化したいと考えているところでございます。
 次に、久慈職業能力開発センターについてですが、同センターは、現在設置している建築科高卒1年課程を二戸高等技術専門校に、また、建築科中卒等1年課程を大船渡職業能力開発センターにそれぞれ移行することを検討してございますが、在職者訓練については、久慈のセンターでこれまでどおり実施することとしております。同センターでは、今後、造船関連学科等の新設を検討しておりますが、訓練規模が縮小することに伴い、同センターの所長を単独で配置する必要がなくなることから分校化を行おうとするものであり、施設の廃止を前提としているものではございません。
 二戸高等技術専門校では在職者訓練を実施していないわけでございますが、一方で宮古高等技術専門校では在職者訓練を実施しておりますことから、久慈職業能力開発センターは宮古高等技術専門校の分校とした方が在職者訓練のより円滑な実施ができるものと考えているところでございます。
 次に、県北地域への企業誘致に関するお尋ねでございますが、県では、企業誘致に当たっては、地域のリーディング産業となり得るような企業を政策的に誘致し、その企業に関連する産業の集積を図り、地域内で企業が相互連携できる産業クラスターを形成することが重要であると認識してございます。
 御質問の中で厳しい評価のありました酸化亜鉛の関係でございますけれども、県では、現在、東京電波一戸工場が生産する酸化亜鉛単結晶を核とした酸化亜鉛産業クラスターの形成を目指しまして、岩手大学や県内の大手企業等との連携のもとに、酸化亜鉛を素材とした応用製品の開発や発光ダイオードに関するキーテクノロジーの開発に成功いたしまして、それらの事業化に向けて大きく進展しているところでございます。県では、できる限り早期に開発研究の成果が事業化され、県北地域への関連産業の集積が進むよう努力してまいりたいと考えております。
 また、二戸地域においては、日本デルモンテや夢実耕望など付加価値のある食品を製造する企業が操業してございます。商工労働観光部では、今後、新たに食産業振興プロジェクトを立ち上げることとしておりまして、農林水産部などとの連携のもとにプロジェクトを推進し、県北地域への食品産業の一層の集積を進めてまいりたいと考えてございます。
 こうした取り組みの結果といたしまして、地域の特色を生かした産業の集積が進展し、道のりは少し長くなると思いますが、そうした産業が求める人材育成のため、県立職業訓練施設における新たな訓練学科や短大化なども考えることができるのではないかと考えてございますので、御了承賜りたいと存じます。
   〔保健福祉部長赤羽卓朗君登壇〕

〇保健福祉部長(赤羽卓朗君) 二戸高等看護学院の関係でございますが、二戸高等看護学院は、3年課程の、主に高卒者を対象とした高等教育機関でございまして、専修学校としての認可も受けているものでございます。昨年8月に高等看護学院として現在地に移転新築したところでございます。
 看護師の養成につきましては、実践力のある看護師の養成が求められているといったこともございまして、県としては、県立看護師養成所においてその養成を図っているところでございまして、県内の医療現場から高い評価をいただいているところでございます。
 こうしたこともございまして、二戸高等看護学院についてでございますが、今後も近隣の県立二戸病院と連携を密にしながら、現在の運営形態で、高い実践力を持った看護師の養成に努めてまいりたいと考えております。
 次に、県立社会福祉施設の事業団移管に関連した事柄でございますが、これまで県社会福祉事業団に管理運営を委託しておりました中山の園を含む8施設の移管に当たりましては、入所者の処遇水準の維持という観点から、運営費については、県としても、事業団の自立的な運営が可能となるまでの一定期間――おおむね10年以内程度と考えておりますが――支援を行ってまいりたいと考えております。施設建物につきましても当面は県が所有したままとし、維持・修繕に要する経費につきましては、県として引き続き一定の役割を果たしてまいりたいと考えております。
 お尋ねのありました施設の改修整備計画についてでございますが、本来であれば、県として一定の計画等をお示しする必要もあったのかとも考えておりますが、建物を当面は県が所有して事業団に無償貸し付けするといったこと、あるいは、さきに成立いたしました障害者自立支援法によりまして、障害福祉サービスに係る施設体系が一定の期間経過後――おおむね5年程度と言われておりますが――大幅に変更されることとなっていること、また、同法に基づき、平成18年度中に障害福祉計画の新たな策定、これは県においても策定しなければなりませんが、こうした計画の策定を求められているといったことも考慮しておりますし、さらには、各施設の老朽化の状況なども考慮しながら、今後必要な検討を行ってまいることにしてございます。
 いずれにいたしましても、入所者の処遇水準の維持という観点から、事業団とも十分に協議をいたしますほか、これまでと同様、利用者や御家族の御意見も十分にお伺いしてまいりたいと考えております。
 なお、不祥事のお話もあったわけでございますが、民間も含め、施設におけるサービスの質の一層の向上が求められておりますことから、県では、今年度から福祉サービスの第三者評価制度の導入を進めまして、利用者に提供されるサービスの質の向上を図ることとしております。こうしたことを含め、福祉の向上に努めてまいりたいと考えております。
 それから、及勘鋳造所がどうなったのかというお尋ねもございましたが、及勘鋳造所は、正確に申し上げますと社会福祉施設ではなく事業所で、会社形態で運営していたものでございますが、会社の運営が行き詰ったことにより障害のある方々が失業されたということがございまして、20人の方が失業されたわけでございます。そのうち、社員寮に入所し帰来先のなかった10人の方につきましては、水沢市と県が連携して障害者施設に緊急入所する等の支援を行ったところでございます。今月中にはこの緊急入所も解消し、全員新たな居所を確保できる見込みとなっております。
 今後も、引き続きこうした就労面での支援を行うとともに、地域において安心して生活できるよう必要な支援を行ってまいりたいと考えております。
   〔地域振興部長山口和彦君登壇〕

〇地域振興部長(山口和彦君) 二戸地域の振興策についてのお尋ねでございます。
 二戸地域は、東北新幹線盛岡-八戸間の開業を契機にいたしまして、盛岡都市圏や八戸都市圏との交流人口が拡大し、新たな企業進出も見られるなど、県内外の交流・連携の結節点として大きな役割を担ってきております。また、地域特性を生かした特色ある農林業が展開され、新たな特産品や加工品の開発に取り組むなど、地域産業の活性化に積極的に取り組んでいる地域であると承知しております。
 今後におきましては、二戸地域の有する強みや地域資源を最大限に活用し、新たな雇用創出につながる産業振興施策として、雑穀など特色ある地域の食材を活用した食料産業の集積に向けた取り組みを推進するほか、久慈地域と連携し、県北地域の有する高原、里山、海などの多様な資源のすばらしさを実感できる体験型観光など広域観光の推進に努めること。
 また、農林業を初め、商工業など広範な分野において、地域産業の担い手となる人づくりに加え、NPOなど多様な主体の参加による協働を推進するとともに、主体的に地域づくりに取り組む人材を積極的に育成し、特色ある地域づくりを推進すること。
 こうした視点を踏まえまして、平成18年度に、産業振興面や生活環境面など、二戸地域が抱えている課題解決の目標を明確にしながら、県北広域振興圏の基本的な振興方向に関するビジョンを策定する考えであります。
   〔農林水産部長今泉敏朗君登壇〕

〇農林水産部長(今泉敏朗君) 高病原性鳥インフルエンザの本県における防疫対策についてでありますが、防疫対策の強化を最重点課題とし、関係機関・団体と連携し対策の強化を図ってきております。
 具体的には、養鶏農場の巡回指導、愛玩鶏飼養者に対する野鳥の鶏舎への侵入防止などの啓発、花巻空港においては、チャーター便を利用した海外からの入国者に対する靴底の消毒、毎月のモニタリング検査や採卵鶏1、000羽以上飼養の全農場のサーベイランスなどを実施し、本病の侵入防止や監視の強化を図っております。
 また、万が一発生した場合の対応につきましては、県の組織や関係団体を挙げた対応が必要となりますことから、二戸市などの養鶏主産地における図上訓練の実施、初動防疫に必要な資材の備蓄、青森県など隣接県との間での農場や食鳥処理場の所在地など、防疫措置をとる上で必要な情報の共有などの連携の強化を図っております。
 さらに、先般ブロイラー農場におきまして、訓練を兼ねて鶏の殺処分方法について実証検証を行い、防疫対策の強化を図ったところであります。
 一方、ハード面におきましても、ウインドレス鶏舎や消毒車、病性鑑定機器の整備等を進めてきております。
 今後とも、産地を守るため防疫対応に万全を期してまいります。
 次に、県北の雑穀振興についてであります。
 県北地域の雑穀振興を図るため、生産面におきましては、雑穀遺伝資源センターによる原種供給体制の整備や中山間畑作地帯という地域の生産条件に合った機械化栽培体系の確立に努めるとともに、産地精白など付加価値を高める取り組みを進め、栽培面積の拡大を図っております。
 また、加工品の開発とあわせ、農家レストランや産直施設での料理メニューの提供など、生産から消費までの仕組みづくりを進めているところであります。
 さらに、二戸地方振興局においては、二戸地域雑穀振興戦略会議を設置し、雑穀を核とする1次・2次・3次産業が連携した展開の体系的な振興戦略を検討しているところであります。
 今後におきましても、雑穀栽培を経営の核とする農家を育成するとともに、雑穀を原料とした付加価値の高い加工品製造の起業化の取り組み、雑穀を味わい、楽しみ、親しむことができる多様なグリーンツーリズムの取り組みなどを促進することで、雑穀が県北農業の一翼を担えるよう努めてまいります。
 次に、地域課題で県営畑地帯総合整備事業舌崎地区の進捗状況と今後の見通しについてのお尋ねについてでありますが、本事業は、平成12年度に着工し、平成17年度末までの進捗率は、事業費ベースで45%となっております。
 平成16年度からは一部地域、面積で約4ヘクタール弱でございますが、そこで給水を開始し、遅霜によるリンゴへの被害の防止やキュウリの計画的な作付などに既に効果があらわれてきております。
 給水区域は、平成18年春には全体面積の29%に当たる15ヘクタールまで拡大される見込みでありますが、今後とも工事の早期完成に努めてまいります。
   〔県土整備部長橋本義春君登壇〕

〇県土整備部長(橋本義春君) 道路整備に係るお尋ねについて、川原橋及び川口地区の進捗状況についてでありますが、街路事業で実施している一般県道二戸一戸線の川原橋については、今年度、北側の道路部分の用地補償を進めており、平成17年度末の進捗率は約14%の見込みであります。
 今後、残る道路部分の用地補償を進め、その後、川原橋のかけかえ工事に着手するよう努めてまいりたいと考えております。
 一般県道上斗米金田一線の川口地区につきましては、全体計画延長約960メートルのうち、上斗米側の約500メートル区間の早期供用を目指して改良工事などを進めており、平成17年度末の進捗率は約44%の見込みであります。残る500メートル区間については、埋蔵文化財調査等を進めているところでありまして、引き続き事業を推進してまいりたい。
 次に、御辺地福田地区の供用開始見通しについてでございますが、主要地方道二戸五日市線の福田地区につきましては、全体計画延長約1、500メートルのうち、今年度末までに安代側の現道拡幅区間の約800メートルを供用する予定としており、平成17年度末の進捗率は約67%の見込みであります。
 今後は、一部未買収用地の取得に努めますとともに、残る区間についても早期に供用が図れるよう、事業を推進してまいりたいと考えております。
 それから、長嶺地区及び浄法寺バイパスの進捗状況と今後の見通しについてでございますが、一般県道二戸軽米線の長嶺地区につきましては、二戸一戸線の交差点から延長約300メートルの区間については、幅員が狭く、円滑な交通に支障となっている状況にございますが、整備につきましては、緊急性、重要性等を勘案した上で、県全体の道路整備計画の中で、公共工事事業予算の動向も見きわめながら検討してまいりたいと考えてございます。
 それから、主要地方道二戸五日市線の浄法寺バイパスにつきましては、今年度、飛鳥橋の完成を図ったほか、用地買収や改良工事を進めており、平成17年度末の進捗率は51%の見込みでございます。
 今後は、埋蔵文化財調査や一部未買収用地の取得に努めまして、引き続き、事業の推進を図ってまいりたいと考えております。

〇47番(工藤篤君) 幾つかの再質問をさせていただきたいと思います。
 まず、県境産廃についてでありますが、先ほどの答弁を伺いますと、今年度の目標は3万5、000トンに対して3万トンぐらいの処理だというお話に受けとめましたが、これでは完全撤去が非常に危ぶまれる状況にあるのですから、きちんと青森県に頼んで処理を進めていただきたいと思います。太平洋セメントに足元を見られているのではありませんか、いかがですか。
 また、第2クリーンセンターを1年でももっと早く完成させるべきではありませんか。物すごくゆっくり作業をしているようですが、本気で全量撤去する気があるのなら、総力を挙げて取り組むべきではありませんか。第2クリーンセンターだけでも、現場に近いのですから、年間2万トンぐらいは処理可能かと思います。御答弁をいただきたいと思います。
 責任追及も、そろそろ青森県とは縁を切らないと進みません。こんなに岩手県民の税金を使わせていただいて、申しわけない気持ちでいっぱいです。一つ一つ追及する時期はもう過ぎたと思います。ぜひ調停が進むようにお願いします。
 また、和平牧野の調査はどうなっているのでしょうか。二戸市だけに任せても一向に進まないのですから、もっと県も前面に出て交渉する必要があると思いますが、いかがですか、お答え願います。
 次に、社会福祉施設についてですが、先ほど民間での社会福祉施設の不祥事を少し取り上げましたので、お聞きします。
 報道によれば、県立の松風園では、水沢の及勘鋳造所の倒産に伴い、勤めていた知的障害者を緊急的に一時保護したとのことであります。事業団や県の迅速な対応を評価するものであります。このような事業団の自主性は今後はどう尊重していくのでしょうか、伺います。
 また、緊急に入所した利用者の多くが、長年の賃金の不払いや会社による年金の横領を訴えております。この調査はきちんと行われているのでしょうか。警察署や労働基準監督署などに相談していると聞いております。一時的とはいえ、現在は県の施設にいる利用者の権利が侵されているのですから、県としてもきちんと対応すべきであると思います。
 本人の確認をしないで会社に預金通帳からお金をおろさせた水沢の金融機関の責任追及はどうなっているのでしょうか。
 カナンの園のときも私が指摘いたしましたが、同じようなしっかりした対応をとらないことには、利用者の人権は守られないと思います。警察や労働基準監督署との連携はいかがですか。もう少し具体的にこれまでの状況把握と今後の対応についてお聞きします。
 また、県社会福祉事業団ですが、最近7年間ぐらい職員の採用がないと聞いております。職員の高齢化が非常に進んでおります。人事異動もほとんどなく、運営に問題があるのではありませんか。担当部長にお聞きします。
 次に、県立大学ですが、私は、盛岡短期大学は、短期大学としての使命があると思うのです。それをきちんと全うしないのは、教職員の怠慢だと思います。
 また、学長の権限ですが、知事は学長に4年制の学部をふやせるような権限を与えているのですか。今年度の県立大学の運営費は63億8、200万円ですが、県からの運営交付金は46億5、500万円で、実に73%が県民の税金で賄われているのであります。知事初め、執行部も議会も全く知らないところで、学長や学部長がこんなにいいかげんなことをやって許されるのでしょうか。
 岩手日報も構想実現には県民の理解が不可欠だと報道しておりますが、県民が納得できるとは到底思えないのであります。このまま放置していくお考えなのか、そんなお金があるなら、県北地域の子供たちに短大を設置してやって、地域定着への夢を持たせられないのかと思うのであります。改めて知事の御所見を伺います。
 また、12月1日付の岩手日報によれば、県立大学の教授が論文を二重投稿した。それも、学生らとの共同研究で一度学会に出した論文を自分だけの名前で出したという、まさに盗用したわけでありますが、この処分が口頭による厳重注意どまりであったとのことであります。他大学では停職6カ月の懲戒処分であると批判が出ているとありますが、当然であります。私が以前に指摘した研究費流用事件の対応について、総務部長がきちんと指導されたとは思いますが、大学当局が県当局の対応の甘さを軽く見ての再発だと思います。本人の懲戒免職を含めた学長以下の管理責任など、厳しい処分で臨むべきであると考えますが、県としてどう対応されるのか伺います。

〇知事(増田寛也君) 議員の方から県立大学についてのお尋ねがございましたので、その点について私の方から申し上げたいと思いますが、この県立大学でございますが、これからの少子化問題、それから県財政の問題、今お話がございましたとおり、県で大分運営費等も出しているわけでございますので、当然のことながら、そうした状況を真摯に受けとめて、県の知的拠点でありますので、その成果、効果を十二分に発揮していただくことが必要でございますし、やはり県民に還元していただくという視点がとりわけ大事だろうと思うわけでございます。
 中期目標というものを議会の方からも御議決いただきまして、県立大学の方にその中期目標を指示しております。それを受けて県立大学の方で中期計画をつくっておりますので、まずは、そうした中期目標に設定した成果を一刻も早く出していただくことが必要でございますし、これから、今申し上げました社会的な背景がございますので、県立大学の運営についても県当局と十分すり合わせを行う必要がございますので、県立大学と私ども十分に協議をして、今後の大学全般のあり方について我々も検討していきたい、このように考えております。

〇環境生活部長(千葉弘君) 県境産廃の御質問が何点かございました。
 まず1点目、今処理を委託しております太平洋セメントに足元を見られているのではないかということでございますが、いずれ基本的には、現在、太平洋セメントに一手にお願いしているわけでございますが、今後、他の施設、市町村の焼却施設、あるいは民間もございます。そういったものを含めて進めていかなければならないと考えてございまして、他の施設についても、現在、鋭意交渉を進めてございます。いずれ地元の御理解も必要でございます。そういった事情もございます。ただ、入札なり契約については、より適正を期してまいりたいと考えてございます。
 この処理に絡みまして、第2クリーンセンターの2点目の御質問でございます。このクリーンセンターにつきましては、本県初のPFIということで、いろいろな制度の制約がございます。ですが、現在順調に事務を進めておりまして、現段階で二つの企業グループからの手上げがございます。今月もうしばらくで提案書の提出がございます。それらの審査を経まして、年度内には基本の協定に結びつけたいと考えてございます。
 いずれ、ゆっくりやっているわけではございません。県境産廃の処理も十分に想定されるわけでございますので、できるだけ早く事業に着手し、完成にこぎ着けるよう努力してまいります。
 それから、責任追及に絡めまして、青森県と手を切るとまでは言いませんけれども、いずれああいう状況でございますので共同歩調をとらなければならない部分が必ずございます。それから、国からもそういったことを求められているわけでございます。ただ、それぞれの立場の違いがございまして、食い違う点はございます。食い違う点は、合意を待ってはなかなか進まないという点がございますので、それぞれ違った方式でやられ始めている部分もございます。いずれ協調もしながら、さらに、できるだけ処理が早く進むような進め方を今後してまいりたいと考えてございます。
 それから、現在の現場に隣接する和平牧野の件でございますが、地元の住民の皆さん、あるいは地元市の御意向は、十分に承知してございます。私どもとしましても、青森県にもその意向を伝えてございます。ただ、地元の住民の皆さんは、まず、今の現場の早期完全撤去をとにかく優先させてくれという御意向と承ってございます。いずれ今の現場の完全撤去、先ほど知事から答弁がありましたけれども、間違いなく進めるような努力をしてまいりたいと考えてございます。

〇保健福祉部長(赤羽卓朗君) 先ほど及勘鋳造所で生活できなくなった方の対応についてお話があったわけですけれども、10名の方が県立松風園に今緊急で入所したということでございますが、これらの方たちは、松風園の出身者だということもあってそうした対応になったわけでございまして、他の施設、民間の施設も含めまして、こういった事案があった場合には対応していただいておりますし、今後とも、こういった対応をとっていかなければならないと思っております。特に、市町村、それから地方振興局、あるいは県本庁連携を密にしながら、こういった対応はこれからも続けてまいりたいと思っております。
 それから、いわゆる権利の問題でございますが、いろいろと現在も取り組み中のこともございまして、なかなか詳細を申し上げられない段階でもあるわけですけれども、一つは、弁護士さんをお願いして解決していく方法もあるということでございまして、県に手をつなぐ育成会という親の団体があるんですが、そこに県で委託して設置しております障害者110番相談室というものがございます。そこで弁護士さんをお願いしてあるものですから、その弁護士さんを通じて、さまざまな関係機関も含めまして、今解決を図っているところでございます。
 先ほど御指摘がございましたように、労働基準監督署でありますとか、それから、地元の関係機関等とも連携しながら、先ほど御指摘ありました権利擁護といったことに主眼を置きながら、問題の解決に当たっていきたいと考えております。
 3点目でございますけれども、事業団の運営についてでございますが、これまで、職員の採用等も含めまして、いわば県がはしの上げおろしまでやってきたということが実態であったのではないかと思っております。今回、事業団施設を民営化するという、県立施設を民営化するということの一つのポイントが、やはり事業団が自主的に考えて、そして、地域の人たちのニーズに即応した運営をしていただくということが大きな眼目であります。むしろ地域の障害のある方々に的確に対応していただくことが大事ではないかと思っておりますので、そうした方向で今後運営していただくように、県としてもバックアップをしてまいりたいと考えております。

〇総務部長(時澤忠君) 県立大学の処分関係でございます。
 独立行政法人化以前は、任命権者であります知事に対しまして、量刑等につきまして事前の調整がございました。それで、大学におきまして所定の手続を経て処分を決定し、その上で大学長から知事に対しまして処分の内申がありまして、知事が処分を行うという手続を行ってきたわけです。それによりまして、先般の不適正支出につきましても、去る3月23日に、特に対応に悪質性のあった2件につきまして戒告の懲戒処分を行ったところでございますが、4月の独立行政法人化に伴いまして、県立大学の教員の身分は、非公務員の位置づけがなされまして、教育公務員特例法及び地方公務員法からの適用除外となりまして、法人及び大学の判断により処分を行うとなっております。
 懲戒処分の場合には、県立大学法人の就業規則あるいは処分規定に基づきまして、学長の申し出により法人の理事長が行いますが、それに至らない場合、懲戒処分に至らない場合、今回の場合もそうでございますが、学内で十分調査した結果、懲戒までは至らないと判断し、厳重注意処分としたと聞いているものでございます。
 先ほど御指摘のありました点につきましては、議会の議論を県立大学の方にもきちんと伝えていきたいと思います。

〇47番(工藤篤君) ありがとうございました。
 1点だけ、県境産廃の関係でお尋ねします。
 先ほど、和平牧野の調査の関係で、部長の答弁を聞いておりますと、完全撤去を優先して和平牧野の調査の方は余り積極的なような答弁がなかったわけでありますが、実は私、委員会でも申し上げてまいったわけでありますが、あの地形は、和平牧野の部分は、ちょうど、いわゆる水系からいきますとほとんど二戸市側に地下水が流れるような地形というんですか、そういう形状になっておりまして、実は、地域の住民の方々が、あそこにも産廃が埋められているということを非常に不安視しているわけであります。かつて、実は青森県でも、あのボーリング調査をする予算の計上もして執行できないという経過もあるわけでありまして、そういうことからしますと、県としてももう少し積極的にこの取り組みをする必要があり、また、青森県側にも積極的に働きかけて調査をするべきだと思うのでありますが、もう一度、担当部長の答弁をいただきたいと思います。

〇環境生活部長(千葉弘君) 今お話がありましたとおり、当該地区の調査については、青森県も予算措置をし、やろうとしたわけですが、こちら側の立ち入りのやり方で合意になっていないということでございます。
 いずれ県としましても、地元の御意向を十分に伝えながら取り組んでまいりたいと考えております。

〇議長(伊藤勢至君) 次に、藤原良信君。
   〔43番藤原良信君登壇〕


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