平成18年2月定例会 予算特別委員会会議録

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平成18年3月6日(月)
1開会  午前10時4分
1出席委員  別紙出席簿のとおり
1事務局職員
  事務局長 圃  田  清  昭
  議事課長 駿  河     勉
  議事課長補佐 千  田  利  之
  主任主査 保  原  良  和
  主      査 小  船     進
  主      査 福  田  清  喜
  主      査 佐々木  ユ  カ
  主      査 渡  辺  謙  一
  主      査 安  藤  知  行
1説明員
  知事 増  田  寛  也
  副知事 竹  内  重  徳
  総合政策室長 相  澤     徹
  首席政策監 阿  部     健
  総合政策室参事 田  中  正  武
  政策推進課
  総括課長 千  葉  茂  樹
  経営評価課
  総括課長 大  矢  正  昭
  地域振興部長 山  口  和  彦
  地域企画室長 佐  藤  博  己
  市町村課総括課長 野  本  祐  二
  総務部長 時  澤     忠 
  総務室長 古  澤  眞  作
  参事兼人事課
  総括課長 高前田  寿  幸
  予算調製課
  総括課長 菅  野  洋  樹
  税務課総括課長 柴  田  律  夫
   
〇圃田議会事務局長 御承知のとおり、委員長が互選されるまでの間、委員会条例第7条第2項の規定により、年長の委員が委員長の職務を行うことになっております。
 出席委員中、藤原泰次郎委員が年長の委員でありますので、御紹介申し上げます。
 藤原泰次郎委員、どうぞ委員長席に御着席を願います。
   〔年長委員藤原泰次郎君委員長席に着く〕
〇藤原泰次郎年長委員 ただいま紹介ありました藤原泰次郎であります。よろしく御協力をお願いいたします。
 それでは、ただいまから予算特別委員会を開会し、直ちに本日の会議を開きます。
 これより委員長の互選を行います。委員会条例第7条第2項の規定により、委員長互選の職務を行います。
 お諮りいたします。委員長互選の方法につきましては、指名推選の方法によりたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇藤原泰次郎年長委員 御異議なしと認めます。よって、互選の方法は指名推選によることに決定いたしました。
 お諮りいたします。指名推選の方法につきましては、当職において指名することにいたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇藤原泰次郎年長委員 御異議なしと認めます。よって、当職において指名することに決定いたしました。
 予算特別委員長に工藤大輔君を指名いたします。
 お諮りいたします。ただいま当職において指名いたしました工藤大輔君を予算特別委員長の当選人と定めることに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇藤原泰次郎年長委員 御異議なしと認めます。よって、ただいま指名いたしました工藤大輔君が予算特別委員長に当選されました。
 ただいま当選されました工藤大輔君が委員会室におられますので、本席から当選の告知をいたします。
 工藤委員長、委員長席にお着き願います。
   〔予算特別委員長工藤大輔君委員長席に着く〕
〇工藤大輔委員長 ただいま皆様方から御推挙いただき、予算特別委員長に選任されました工藤大輔でございます。
 平成18年度予算を審議するに当たりまして、皆様方から終始御熱心な議論をいただくことになると思いますが、議事の運営につきましては円滑に進みますよう努力をしてまいり、そして、この職責を全うしてまいりたいと考えています。委員各位の特段の御指導、御協力をよろしくお願い申し上げ、あいさつにかえさせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。(拍手)
 引き続いて副委員長の互選を行いたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇工藤大輔委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。
 これより副委員長の互選を行います。
 お諮りいたします。副委員長の互選の方法につきましては、指名推選の方法によりたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇工藤大輔委員長 御異議なしと認めます。よって、互選の方法は指名推選によることに決定いたしました。
 お諮りいたします。指名推選の方法につきましては、当職において指名することにいたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇工藤大輔委員長 御異議なしと認めます。よって、当職において指名することに決定いたしました。
 予算特別副委員長に伊沢昌弘君を指名いたします。
 お諮りいたします。ただいま当職において指名いたしました伊沢昌弘君を予算特別副委員長の当選人と定めることに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇工藤大輔委員長 御異議なしと認めます。よって、ただいま指名いたしました伊沢昌弘君が予算特別副委員長に当選されました。
 ただいま当選されました伊沢昌弘君が委員会室におられますので、本席から当選の告知をいたします。
 伊沢副委員長、ごあいさつをお願いします。
〇伊沢昌弘副委員長 ただいまは副委員長に選任をいただきましてありがとうございます。
 委員長を補佐いたしまして、委員会の審議、そして中身の濃い議論が多くの委員の皆さんから出るように努力をしてまいりますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。(拍手)
〇工藤大輔委員長 お諮りいたします。当予算特別委員会に付託されました議案38件についての審査の方法でありますが、お手元に配付してあります日程のとおり、本日から10日まで、及び13日から15日までの8日間は、関係部局長の説明を求め、質疑を行うこととし、議案38件に対する意見の取りまとめと採決につきましては、15日の企業局関係の質疑が終わった後、各会派の意見調整を経た上で行いたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇工藤大輔委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。
 これより議事に入ります。
 議案第1号から議案第21号まで、議案第25号、議案第35号から議案第39号まで、議案第41号から議案第48号まで、議案第51号、議案第53号及び議案第54号の以上38件を一括議題といたします。
 これより、平成18年度予算の総括説明を求めます。
〇時澤総務部長 平成18年度当初予算の概要につきまして総括的に御説明申し上げます。
 本県財政は、県内経済状況を踏まえますと、県税収入の大きな伸びが期待できないことに加え、国の三位一体改革等の影響を受けまして、国庫支出金や実質的な地方交付税の減収が見込まれる一方、公債費が累増するなど財政構造の硬直化が進行しており、極めて厳しい状況にあります。
 このような中にありまして、平成18年度当初予算の編成に当たりましては、主要3基金に係る所要の残高確保及びプライマリーバランスの均衡を図りつつ、限られた財源の重点的、効率的な活用に努めたところであります。
 また、予算の内容につきましては、政策評価結果等に基づく一層の選択と集中により、40の政策に配意しながら、産業振興や人づくりなど、地域の自立に向けた基盤を強化するための施策に特に重点的に取り組むこととしたところであります。
 それでは、お手元の議案その1、1ページをお開き願います。議案第1号平成18年度岩手県一般会計予算であります。第1条は、歳入歳出の総額を7、398億6、200万円余と定めるものでありますが、これは、前年度当初予算に比べ3.6%の減となるものであります。第2条は、債務負担行為の限度額等を、第3条は、地方債の限度額等をそれぞれ定めるものであり、第4条は、一時借入金の最高額を1、000億円とするものであります。第5条は、職員給与について、同一款内での予算流用を定めるものであります。
 次に、歳入について御説明いたします。
 厚い方の冊子であります。予算に関する説明書の1ページをお開きいただきたいと思います。一般会計歳入歳出予算事項別明細書の1総括、歳入のうち、自主財源は、1県税、2地方消費税清算金、7分担金及び負担金、8使用料及び手数料、さらに、10財産収入から14諸収入までであり、その総額は2、656億8、300万円余で、前年度当初予算に比べますと4.7%の増となっております。これは、主に県税や繰入金の増などによるものであります。
 また、依存財源は、3地方譲与税、4地方特例交付金、5地方交付税、6交通安全対策特別交付金、9国庫支出金、15県債であり、その総額は4、741億7、800万円余で、前年度当初予算対比7.6%の減となっておりますが、これは、主に地方特例交付金及び国庫支出金の減などによるものであります。
 この結果、歳入に占める自主財源の割合は35.9%と、前年度当初予算の33.1%から2.8ポイント上昇し、一方、依存財源の割合は64.1%となりました。
 次に、これら歳入の内容について御説明申し上げます。
 4ページをお開き願います。まず、第1款県税1項県民税は243億2、800万円で、前年度当初予算対比7.2%の増となっておりますが、これは、3目の県民税利子割の減収が見込まれますものの、1目の個人県民税が税制改正及びいわての森林づくり県民税の創設などによりまして、また、2目の法人県民税が製造業を中心といたしました企業収益の増加により、それぞれ増収が見込まれることから増となるものであります。なお、いわての森林づくり県民税につきましては、個人分、法人分をあわせまして5億6、300万円を見込んでおります。
 2項事業税は262億5、100万円で3.8%の増となっておりますが、これは、法人県民税と同様の理由により増収と見込んだものであります。
 次に、6ページの3項地方消費税は、地方財政計画等をもとに118億3、800万円と、前年度とほぼ同額を見込んだものであります。
 4項不動産取得税は33億8、500万円で0.1%の減となっております。
 8ページに参りまして、5項県たばこ税は27億1、500万円で3.0%の増となっており、6項ゴルフ場利用税は4億900万円で4.4%の減となっております。
 10ページの7項自動車税は204億4、600万円で0.6%の増を見込んでおります。
 8項鉱区税は、最近の課税実績等を勘案し、1、800万円を計上したものであります。
 次に、12ページの9項自動車取得税は37億1、100万円で4.7%の減となっております。
 10項軽油引取税は170億6、900万円で2.7%の減となっておりますが、これは、物流の停滞や軽油使用車両の減少が見込まれることによるものであります。
 次に、14ページの11項狩猟税は、狩猟者登録見込み数により5、800万円を計上したものであります。
 12項産業廃棄物税は、最終処分場の年間埋立量等を勘案し、8、200万円を見込んだものであります。
 16ページの13項は、旧法による税であります。
 以上、県税の合計額は1、103億1、100万円で、前年度当初予算額に比べ21億800万円、1.9%の増となるものであります。
 次に、17ページの2款地方消費税清算金は270億3、500万円で0.1%の減となっております。
 18ページに参りまして、3款地方譲与税1項所得譲与税は、18年度における国庫補助負担金の改革及び税源移譲予定特例交付金からの振替により、前年度の約3倍となります225億5、800万円余を見込んだところであります。
 また、2項地方道路譲与税は41億5、300万円余、20ページの3項石油ガス譲与税は3億1、500万円余、4項航空機燃料譲与税は1、400万円余をそれぞれ見込んだものであります。
 次に、22ページの4款地方特例交付金は8億1、200万円と、前年度の10分の1以下に減少いたしておりますが、これは、児童手当特例交付金が創設されます一方、税源移譲予定特例交付金が廃止されることなどによるものであります。
 5款地方交付税は2、340億5、900万円余で、前年度当初予算対比1.2%減で計上いたしておりますが、これは、平成18年度の地方財政計画において、歳出規模の抑制が図られたことなどによるものであります。
 次に、24ページの6款交通安全対策特別交付金は6億3、300万円と見込んだものであります。
 7款分担金及び負担金でありますが、25ページの1項分担金は、そのほとんどが農業農村整備事業等に係るものであり、26ページから27ページまでの2項負担金は、民生、衛生、農林水産業、土木及び教育に係る受益者負担金、市町村負担金を計上したものであります。
 次の28ページ、8款使用料及び手数料でありますが、1項使用料の主なものを申し上げますと、2目民生使用料では、し体不自由児施設使用料、29ページ、5目農林水産業使用料では、漁港施設使用料、7目土木使用料では、道路及び河川の占用料、そして県営住宅使用料、30ページの9目教育使用料では、高等学校の授業料などであります。これら使用料の総額は68億9、600万円余で、公の施設の管理に係る利用料金制度の導入などにより、前年度に比べまして5.8%の減となっております。
 次に、32ページの2項手数料でありますが、その主なものは、3目衛生手数料の食品営業許可や屠畜検査に係る手数料、34ページの7目土木手数料の建設業者許可や建築確認に係る手数料、35ページ、8目警察手数料の運転免許更新等に係る手数料などであり、その合計は24億8、300万円余で、工業技術センターの地方独立行政法人化等により、前年度比3.4%の減となっております。
 次に、36ページ、9款国庫支出金でありますが、1項国庫負担金の主なものを申し上げますと、1目民生費負担金では、7節の児童保護委託17億300万円余、10節の生活保護29億700万円余、37ページの3目農林水産業費負担金では、1節の農業共済団体等事務16億4、000万円余、4目土木費負担金では、基幹河川改修事業、砂防事業など、5目教育費負担金では、義務教育人件費に係るものなど、また、6目災害復旧費負担金では、38ページの4節河川等災害復旧事業などがその主なものであります。
 これら国庫負担金の総額は352億6、400万円余で、義務教育費国庫負担金の国庫負担率の引き下げなどにより、前年度より20.8%の減となっております。
 次に、39ページ、2項国庫補助金でありますが、その総額は、49ページまで進んでいただきまして、534億2、600万円余で24.7%の減となっておりますが、これは、国庫補助金の一般財源化などによるものであります。
 次に、50ページに参りまして、3項委託金でありますが、1目総務費委託金の減などによりまして、総額は、52ページに記載しておりますとおり、9億9、500万円余で、40.1%の減となっております。
 次に、53ページ、10款財産収入でありますが、1項財産運用収入は4億9、000万円余を見込んでおり、54ページ、2項の財産売払収入は、県有未利用地の売り払いなど20億5、200万円余を計上したものであります。
 次に、55ページの11款寄附金は、5億2、300万円余を見込んでいるものであります。
 次に、56ページ、12款繰入金1項特別会計繰入金は、電気事業会計からの借り入れを行うことなどにより13億7、200万円余となっております。
 57ページ、2項基金繰入金は、県債管理基金のほか、自治振興基金等のいわゆる特定目的基金の資金の活用などにより、前年度比120.4%増の323億4、800万円余となっております。
 なお、平成18年度末の主要3基金の残高は、ここには記載しておりませんが、財政調整基金は63億3、100万円余、県債管理基金は212億900万円余、公共施設等整備基金は147億9、600万円余、合計で423億3、800万円余と見込んでおります。
 58ページに参りまして、13款繰越金は整理科目であります。
 59ページ、14款諸収入1項延滞金、加算金及び過料等は2億7、900万円余を計上しており、60ページの2項預金利子は、金利動向から1、600万円余を見込んでおります。
 61ページ、3項公営企業貸付金元利収入は124億6、100万円で、県立病院等事業会計への貸付金元金が主なものであり、62ページの4項貸付金元利収入は、総務や農林水産、63ページの商工など、各行政分野における貸付金に係る元利収入で、その合計額は、64ページに記載しておりますとおり、538億3、300万円余となっております。
 65ページ、5項受託事業収入の総額は、次の66ページにありますように、13億4、100万円余となっております。
 次に、6項収益事業収入は、宝くじ収入35億6、400万円余を、68ページの7項利子割精算金収入は100万円余を見込んでおります。
 69ページ、8項雑入の総額は、72ページまで進ませていただきまして、55億8、300万円余と見込んでおります。
 次に、15款県債でありますが、その総額は、75ページに記載しておりますように、1、219億4、500万円であり、前年度に比べまして150億7、800万円、11.0%の減となっておりますが、これは、借換債や臨時財政対策債の減などによるものであります。
 この結果、県債の現在高見込みでありますが、295ページまで進めさせていただきまして、平成17年度末では、前年度末現在高見込み額の、296ページの計の欄になりますが、1兆4、045億2、600万円余、平成18年度末では、同じく計の欄の右端になりますが、1兆3、917億7、700万円余と見込んでおります。
 以上で歳入についての説明を終わらせていただきます。
 次に、歳出でありますが、主要な事業につきましては、それぞれ所管部局の審査の際に担当部局長から詳細に御説明いたしますので、款別歳出につきましては説明を省略し、私からは性質別の主なものについて説明させていただきます。
 お手元の予算に関する資料で説明をさせていただきます。
 予算に関する資料の3ページをお開き願います。平成18年度一般会計歳出性質別内訳表のうち、まず人件費は、表の右端の前年度当初予算からの増減率の欄をごらんいただきますと1.7%の減となっております。これは、職員数の縮減など、総人件費の抑制に努めたことによるものであります。物件費は、オンラインシステム運営経費の見直しなどによりまして3.8%の減、また、維持補修費は、土木施設の維持修繕費の減等により0.9%の減となっております。4ページの扶助費は29.5%の減となっておりますが、これは、市町村合併に伴い、県が実施する生活保護の対象者が減少したことなどによるものであります。補助費等は6.6%の増でありますが、これは、介護給付費等負担金の増及び工業技術センター運営交付金の新設などによるものであります。普通建設事業費は、盛岡駅西口複合施設建設事業の終了や公共事業の投資規模の適正化などにより19.1%の減となっております。次に、5ページの災害復旧事業費は、河川災害復旧費の減などによりまして20.9%の減となっております。公債費は5.8%の増となっております。積立金は、介護保険財政安定化基金への積立金の増加などによりまして34.4%の増となっておりますが、出資金は、岩手県信用保証協会に係る出捐金の減などにより10.7%の減となっております。貸付金は、ほぼ前年度並みを計上しておりまして0.1%の減となっております。繰出金は、県有林事業特別会計への繰出額の減等に伴いまして23.7%の減となっております。
 一般会計歳入歳出予算の概要は以上のとおりでございます。
 特別会計につきましては、所管部局において御説明申し上げますので、私からは省略させていただきます。
 以上で説明を終わります。よろしくお願いをいたします。
〇工藤大輔委員長 ただいまから総括質疑に入るわけでありますが、議会運営委員会の決定に基づき、総括質疑は、各会派及び会派に所属しない議員に質疑時間を配分して行うことになっております。
 質疑時間につきましては、まず、民主・県民会議が45分、次に、自由民主クラブが45分、次に、政和・社民クラブが25分、次に、会派に所属しない議員は、日本共産党斉藤信委員、公明党小野寺好委員、無所属阿部富雄委員の順に、それぞれ8分となっております。
 各会派は、配分された時間の範囲内で複数の議員が質疑をすることができること、この場合につきましては、会派として続けて行うこととされておりますので御了承願います。
 なお、総括質疑は、あす午後2時までに終了することを目途とすることになっておりますので、御協力をお願いします。
 これより総括質疑に入ります。佐々木一榮委員。
   〔佐々木一榮委員質問者席に着く〕(拍手)
〇佐々木一榮委員 民主・県民会議の佐々木一榮であります。
 平成18年度当初予算につきまして、会派を代表して質問をさせていただきます。本定例会では既に代表質問、一般質問と行われておりますので、重複する点もあろうかと思いますが、よろしくお願いしたいと思います。持ち時間45分、目いっぱい使わせていただきますので、答弁漏れのないようによろしくお願いします。
 まず初めに、三位一体改革についてお尋ねいたします。
 昨年決着したと言われる三位一体改革の焦点は、地方に税源移譲をする新年度予算3兆円のうち、決定済みの2兆4、000億円を除く残りの6、000億円の取り扱いについてでありました。結果的に生活保護費の国庫負担分を削減しないこととし、かわりに児童扶養手当など地方負担分をふやすことで補助金削減を行うこととしています。三位一体改革の大きな柱は、補助金削減、税源移譲に加え、地方交付税改革が一緒に議論されなければならないと思っておりましたが、結果として地方交付税改革は先送りされた感があります。
 知事は、今回の三位一体改革をどう認識、評価されているでしょうか、お尋ねします。
〇増田知事 お答え申し上げます。
 三位一体改革についてのお尋ねでございますが、今回の改革、国庫補助負担金につきましては、単なるスリム化や国に配分権限が残る交付金化、さらには、国の単なる負担率の引き下げなど、地方の自由度や裁量の拡大につながらない手法が多くとられていたということがありまして、本会議でも申し上げましたが、改革の本来の趣旨からはかけ離れたものであったと認識をしております。
 また、お尋ねの地方交付税につきましても、財源保障、そして財源調整の両機能を適切に発揮できる仕組みが大変重要でありまして、そうした仕組みを維持しつつ、国の政策誘導的な機能を順次縮小するなど簡素化、透明化を図るという、そういう必要があると思っておりましたけれども、そうした改革の方向性が明らかにされないまま、単なる総額の削減のみが先行したということでございまして、この点も極めて残念であったと思っております。
 税源移譲につきましては、所得税から個人住民税へという基幹税によりまして3兆円という規模で実現したという、このことについては歴史的に大きな意義があると思っておりますし、また、建設国債対象経費につきまして一部補助負担金の廃止が実現したことについても一定の評価をしておりますが、全体として申し上げますと、地方自治体が真に住民本位の行政運営をみずからの責任で行えるような、そういう改革につながっていかなかった部分が大変大きいと思っておりまして、そうしたことを反省材料としながら、国と地方が理念を共有して、今後の改革につなげていくことが大切であると考えております。
〇佐々木一榮委員 趣旨からかけ離れているというお話がありましたが、大体知事は何点ぐらいの評価を今回の三位一体改革についてされているか、お尋ねしたいと思います。
 それから、平成18年度予算は増田知事の最後の任期を総括する予算となります。平成15年にマニフェストを全国で初めて掲げ、選挙戦を展開されたわけでありますが、過去3年の予算編成とその決算を通じ、新年度予算は、知事の掲げる到達目標に対しどの程度満足された予選編成となっているでしょうか。自己評価を伺います。
 また、二つの緊急課題と七つの重点施策を含む40の政策の現在までの達成度をどう認識されているでしょうか。
 また、知事就任以来の11年間──平成7年からの11年間でありますが──この岩手はどう夢県土に近づいてきたとお考えでしょうか。
 今後、本格的人口減少、少子・超高齢化社会への移行、道半ばの三位一体改革に向けた対応、新合併特例法による市町村合併の進展と環境は日々変化してまいります。地域全体の構造改革を進め、本県の持つ強みへの資源の重点的な投入により地域価値を高めていく取り組みが必要として、四つの自立に向けた基盤を強化するための政策を掲げておりますが、正直目新しいものはなく、今まで議会でも議論されてきたことの羅列に思うのは私だけでしょうか。どこか踏み込んだ政策があったのでしょうか、お尋ねいたします。
〇増田知事 お答え申し上げますが、まず、三位一体改革ですが、点数で言えば50点から60点ぐらいのところではないかと思っておりまして、まだまだ今後に向けてやるべきことが多数あると思っております。
 次に、私が発表いたしましたマニフェスト、それから40の政策についてのお尋ねでございますが、マニフェストにつきましては、任期中の4年間の間に何を行うかということについてのいわば選挙公約でございまして、現在までのところ雇用創出をその中に掲げておりますが、こうしたものについては数値の達成に向けて進んでいると思っておりますけれども、産廃の関係、これは緊急課題に挙げておるのですが、産廃の撤去の関係ですとか、保育所の待機児童数を減少させるといったようなことなどについておくれが見られておりまして、全体としてこういう部分についてはおくれていると判断しております。
 平成18年度予算につきましては、さらなる財政状況の厳しさの中でできるだけ選択と集中を行いまして、マニフェストの達成に努力をしたつもりでございます。
 マニフェストを具体的に政策化いたしましたのが県として40の政策ということになっておりまして、これも16年度の達成状況、全体としてややおくれているという評価になっているわけでございますが、特に安心して暮らせる社会先進県などの分野についておくれが見られております。そういうことで17年度──今年度ですが、このおくれを取り戻すために政策形成プロジェクトの中で特にそうした部分、政策評価を行った上で重点配分をしたわけでございます。
 この17年度についてはまだ多少残りございますのと、それから18年度に入りましてから、もう一度よく政策評価を実施して次につなげていきたいと思っておりますが、今お尋ねの11年間やってみて夢県土いわてにどのようにつながってきたかということでありますが、11年間全体を見ますと、前半は特に新幹線や高速道路、それから県立大学、美術館といったいわゆる公共資本、社会資本も含めた公共資本の整備を力点に、県民の生活の基盤の方の充実に特に重点を置いてきたということでございます。
 その後、後半の方は、こうした基盤を生かしながら、その上に根づく産業の振興、特にも自動車関連産業を核としたものづくり産業の促進、農林水産物のブランド強化による地域産業の振興、こういったこと、それからあと人づくりの方に重点を移してまいりまして、現在そうした考え方のもとに施策を推進しているというところでございまして、目指す姿に着実に実現に向けて進めていきたい、このように考えているところでございます。
 今、最後にお尋ねのありました平成18年度予算で特に重点を置いたところはどこだったのか、どこに踏み込んだ政策があったのかというお尋ねでございましたけれども、4点について私ども意識をして予算編成をしたわけでありますが、その中でも特に一番力を入れて踏み込みましたのは、自立の強化に向けた産業の振興と、それから地域経済を担う人づくりの部分、この点に特に力点を置いたわけでございます。
 具体的には、産業の振興では、今申し上げましたような自動車関連産業に特に重点を置きましたけれども、自動車関連金型の高度化や高品質化に係る技術開発ですとか、それから企業誘致の関係でございますけれども、補助、融資、県税の減免をセットにした企業誘致制度を創設したり、あるいは、これは地域的には県北・沿岸地域を念頭に置いた制度でございますが、中小企業者の活動を促進するための融資制度を創設したりといったようなところを新たに盛り込んだところでございます。
 人づくりは、今申し上げましたような産業人材育成の仕組みのほか、35人学級編制といった少人数学級への取り組み、さらには、本県では弁護士やお医者さんが少ないわけでありますので、こうした人材の育成のための取り組みといったようなところ、特に、この2点、産業振興と人づくりに特に踏み込みまして予算を編成したところでございます。
〇佐々木一榮委員 新年度予算は自立と構造改革仕上げ予算として位置づけられ、平成19年度以降の持続的な財政構造構築への第一歩を踏み出す予算編成と考えられます。総額で前年3.6%、273億300万円減の7、398億6、200万円となっています。初めて5年連続のマイナス予算となりました。その中で、公共事業費を13.7%縮減し投資的経費の削減を行いましたが、公債費などの義務的経費は減らず、初めて歳出全体の50%を突破し財政の硬直化が深刻となっております。一方で、県債発行額を前年比11%抑制することによりプライマリーバランスの均衡を達成し、過去最高更新を続けてきた県債残高が減少に転じる見通しとはなりましたが、依然として厳しい財政状況に変わりはありません。
 まず、ポスト行財政構造改革プログラムの策定に向け新年度予算をどう評価、認識されているでしょうか。
 あわせて、平成19年度から22年度の予算規模を現在どの程度と試算されているでしょうか、お尋ねいたします。
〇時澤総務部長 平成18年度予算につきましては、19年度以降も見据えまして、持続可能な行財政構造の構築に向けた一歩としたいということで、主要3基金の取り崩しに頼らない、そして県債残高をふやさない、そういったことを財政運営の基本といたしまして、限られた財源の重点的、効率的な活用によって予算を編成したところでございます。聖域なく県全体を見直しながら歳出の見直しを行ったところでございますし、今後の岩手の方向を見据えて、措置すべきところは措置するというふうにしたところでございます。自立のための基盤を強化していくための予算となったと認識をしておりますが、一方で公債費の増嵩が県財政の圧迫要因となっております。
 今後、財政構造が硬直するということがさらに心配されるということでございまして、私どもは早急にポスト行財政構造改革プログラム、これを策定し、その策定過程の中で、歳出削減による財源不足の解消というものに取り組んでいきたいと考えております。
 平成19年度から22年度までの予算規模ですが、昨年10月に、ポスト行財政構造改革プログラムの前提となります県財政の中期収支の見通し、あらあらではございます。非常に不確定要因が多うございますので、あらあらの試算を行いました。その時点での予算規模というのは大体7、000億円程度と見込んでいるわけでございます。国の方で今年中にも5年程度の地方財政の中期的な財政見通しを作成する方針でございます。したがいまして、私どももこれを踏まえまして、さらに19年度以降の県予算の規模につきましても、そういったことを踏まえながら、さらに明らかにしていきたいと考えております。
〇佐々木一榮委員 今、平成19年度から22年度、約7、000億円の予算規模というお話がありましたが、関連して自主財源についてお伺いしたいと思います。
 新年度予算の歳入を見ますと、県税収入が、個人県民税や法人二税が前年比1.9%にとどまっていますが、何といっても地方交付税や国庫支出金の削減幅が大きく影響しています。ますますこの流れが強まり、今後も地方交付税や国庫支出金の依存財源は全く期待できない中で、常に議論されてきたのが自主財源の確保対策であります。県税は自動車関連産業やIT関連産業に支えられている現状ではありますが、依然として本県の主要産業である1次産業は厳しい環境下に置かれています。今後の自主財源確保の基本的方針をまずお伺いしたいと思います。
〇時澤総務部長 危機的な財政状況から一刻も早く脱却するためには、歳出規模の適正化とともに、自主財源の確保も全力を挙げて取り組む課題だと考えております。自主財源の大宗を占めます県税につきましては、企業誘致や地域からの起業によります産業育成、そして中小企業の経営革新、こういったことを支援いたしまして、地域経済の活性化策の推進によって、中長期的な税財源の確保を図っていきたいと考えております。
 また、いわての森林づくり県民税の創設、法人県民税の超過課税を継続実施することといたしておりますほか、やはり税負担の公平性確保の観点からは、滞納整理の促進によりまして収入未済額の縮減、各税目の課税捕捉調査の強化、こういったことにも取り組みまして県税収入の確保、これにも全力を挙げていきたいと考えております。その他の自主財源につきましては、主要3基金の取り崩しは求めずに、例えば県有未利用地の売却、受益者負担の適正化、各種基金等の活用、こういったことなどの取り組みを行いながら、自主財源の確保に努めていきたいと考えております。
〇佐々木一榮委員 自主財源確保の観点から関連しまして、産業振興についてお伺いいたしたいと思います。
 今、企業誘致のお話もあったわけでありますが、新年度は新規政策予算として特定区域産業活性化奨励事業費補助を5億円計上していますが、これは県北・沿岸のみが対象となっているというようにお聞きしております。国会においても製造業と非製造業、勝ち組と負け組、中央と地方、大企業と中小企業というように格差議論が行われているところでありますので、私の質問が誤解されては困るのでありますが、本県の現状を考えますと、県土の均衡ある発展は、当然ながらその地域に住む方々の願いは理解するわけでありますが、今回の振興局再編に見られる4広域圏の再編は、まさしくその地域に適合した産業政策を推進することにあると考えます。
 現実に有効求人倍率──これは本会議でもお話がありましたけれども──や県民所得の比較をしましても、これは県北・沿岸、そして内陸の格差は広がっている現状にあります。自主財源に乏しければ格差是正も私は不可能だと考えております。岩手は全国的に見て決して地の利が優位とは言える地域ではないと私は思っております。ですから、今度は岩手という枠の中で見た場合、どうしても条件のいい地域と不利な地域がここにも出てくることは否定できないと思っております。
 北東北3県は、全国から見ても景気回復が最もおくれている地域であります。県内経済を牽引する地域を重点的に形成していくことが、ひいては県内全域の底上げにつながると考えます。例えば、県北・沿岸の高校生が県内に就職先があれば県内にとどまって、わざわざ首都圏に就職することもない。県北・沿岸が景気がよくなってくれば県内の中でまた移動もできるということもありまして、そのように思うわけでありますが、お考えをお尋ねしたいと思います。
〇増田知事 産業振興の考え方でありますけれども、先般、四つの振興圏に大きく県内を見直しいたしましたが、県の考え方としては、それぞれのこの四つの振興圏の各地域ごとに類似をする強みですとか資源を幅広く結びつけて、そしてそれぞれで産業振興の核をつくって、県全体としてはより強い経済基盤を築いていく、こういう考え方で進めていきたいと思っております。
 この中で、とりわけ県南の広域振興圏は、ものづくりの代表と言われております自動車関連産業が立地しているという強みがございますので、これを軸として地域技術の高度化などを図って、関連企業の集積も促進していきたい。この県南のものづくりを強化することが他の地域、他の3圏域のものづくり産業も活性化をさせていくと思っておりますので、そこが県内全体を牽引する形で引っ張っていっていただきたいと思っております。
 一方で、沿岸広域振興圏あるいは県北広域振興圏、それぞれ沿岸でありますと三陸海岸という大変重要な資産を持っておりまして、豊富な水産資源の付加価値を高めて食品加工業を育成強化したり、あるいは観光資源の掘り起こしをするということが、また新たな観光産業の振興につながりますし、県北地域では、これは本会議でも申し上げましたが、ヤマブドウや雑穀、野菜といった地域の有望な素材がございますので、こうしたことをうまく生かして農林水産業から外食・環境産業まで、うまく総合的な食産業の振興に結びつけていきたい。県央広域振興圏も学術研究機能がございまして、知識集約型産業の創出が期待できるだろう。こういうことで、それぞれの地域の特色がございますので、それをうまく生かした厚みのある産業集積で県全体の底上げを図っていきたい、このように考えております。
〇佐々木一榮委員 県では、ものづくり産業の集積を重点施策とし、特にも今お話のありました自動車関連産業を大前提としております。今回、特定区域における産業の活性化に関する条例も提案されておりますが、予算面においても集中的に配慮すべきと考えますが、いかがでしょうか。従来のように、金太郎あめと言われる、どこを切っても同じという時代は、私は終えんしたと思っております。それぞれの地域の資源に見合った具体的で緻密な推進策、そして支援策の策定が必要と思いますが、いかがでしょうか。
 続けて質問させていただきます。観光振興事業、これも重点施策になっておりますが、新規に世界遺産登録に向けまして、平泉の文化遺産の新たな魅力づくりと観光への効果的な活用法や、全県及び北東北地域への波及効果を高めるための取り組みを行うとともに、外国人観光客受け入れ体制の整備等に取り組むとして、未知の奥・平泉観光振興事業費を計上されました。このことに異論はないのですが、地元の平泉町長は、仙台を観光客誘致の戦略拠点として位置づけ、積極的に取り組んでおります。なぜ県の事業には宮城を見据えた政策が出てこないのでしょうか、まずお伺いします。
〇増田知事 産業振興政策の中でも自動車関連産業への集中的な配慮を図るべきではないか、こういう話でございました。この自動車関連産業の集積を進めるために、今回新たに名古屋に専任コーディネーターの配置でありますとか、それから県内企業の取引拡大に向けた支援強化のための施策を盛り込んでいたり、それから地元からの部品調達率の向上、そのための施策を盛り込むなど、重点的にそういったところに予算を集中させております。このいわて自動車産業集積プロジェクト、それからものづくり人材育成プロジェクト、その中で自動車関連のものを拾い出しますと、50億円の政策推進枠の中で言いますと、前年度に比較して約2.3倍という形で予算上は計上しております。できるだけ今お話ございましたとおり、そういったものを、効果を早く上げてものづくり産業全体に効果を及ぼしていきたいと考えております。
 それから、今御質問の金太郎あめ的というふうにお話ありましたけれども、そういうことではなくて地域の資源、特色をよく見据えて進めるようにというお話でございましたが、お話のとおりでございまして、大きく4地域に分けますと、それぞれの4地域ごとの強みですとか課題がございますので、それをしっかりととらえた上で地域振興ビジョンを策定して、それぞれの地域の特徴が十分に出せるように、特に産業界の方々、これは農業も含めてですが、農業や商工業に携わっている方々などと十分に意見交換しながら地域振興ビジョンをつくって、そして成果を生み出していきたい、このように考えております。具体的に来年度その作業に入っていくわけですが、その中で地域の特徴を十分踏まえるように努力していきたいと思っております。
〇竹内副知事 観光に関する宮城県との連携についてでございますが、これまで県境地域を所管する地方振興局を中心といたしまして、岩手、宮城連携のためのいろいろな取り組みを行ってまいりました。特に中国との国際観光の面では、宮城県と共同で大連経済事務所を設置いたしまして、中国の旅行会社等との商談会などの共同開催をいたしております。こうした中で、平成20年の世界遺産登録を目指している平泉の文化遺産は、本県観光の中核となる資源でございますが、奥州藤原氏の時代は、宮城県もまた平泉文化圏でありましたことから、平泉の文化遺産は両県に共通する観光テーマになるものと認識をいたしております。
 また、仙台空港は、中国や韓国、台湾との定期便を持っておりますことから、本県への東アジアからの観光客誘致を進める上でも、宮城県との連携が大変大切であると考えております。
 そうした観点から、平泉の文化遺産を核とした観光振興と海外からの観光客誘致をテーマに据えまして、さらに宮城県との連携を進めることについて協議を行っているところでございます。連携に当たりましては、まず両県にメリットがあること、それから行政のみの連携にとどまらないで、観光協会などの民間団体と連携した取り組みであることが大切であると考えております。こうした点に留意しながら、未知の奥・平泉観光振興事業の展開を中心に、宮城県との新たな連携の取り組みを具体化してまいる考えでございます。
〇佐々木一榮委員 本会議でも阿部富雄議員からも質問があったかと思いますが、この宮城との連携というのは非常に重要だと思います。その中でぜひ私は仙台に岩手の事務所があってもいいと思っておりまして、これは御答弁要りませんが御検討いただきたいというように提案いたします。
 関連しまして、一昨年に仙台で鬼の手会、岩手を応援する会が設立されました。知事も設立総会で記念講演をなされております。こうした団体との観光や物産面でのPR面での連携はどう進めていくお考えでしょうか。
 山形県では平成16年度、仙台をターゲットにしJR東日本とタイアップし、おいしい山形ディスティネーションキャンペーン、これは予算として5、400万円、また、仙台のテレビ局を使い山形観光情報発信事業、やまがた発!旅の見聞録を仙台圏に放送するため8、490万円の計上をしておりました。
 そこで、お尋ねいたしますが、本県の仙台圏をターゲットにした観光宣伝事業としてどのような施策を、いかほどの予算として実施しようとしているのでしょうか。
 あわせまして、100万都市仙台は東北では大消費地として位置づけられると考えられますが、仙台圏に向けた第1次産品初め、岩手の物産売り込み対策はどのようにこれまで展開され、今後どのように展開していかれるお考えでしょうか。
〇竹内副知事 仙台の鬼の手会のような団体との連携ということでございますが、これと類似した団体に東京、大阪、名古屋、福岡、北海道、仙台もございますが、岩手県人会というのがございます。これら県人会の会合などにおきまして、本県の観光や県内で開催されるイベントの情報などを提供しておりますほか、多くの方々を銀河系いわて大使として任命をいたしまして、そうしたネットワークを通じて、本県のPRに御協力をいただいているところでございます。鬼の手会には、観光関係者やマスコミ、情報通信などの分野で活躍している方々が大変多くいらっしゃいますので、情報発信という点で大きな力になっていただけることが期待されております。そうしたことから、積極的に本県の観光情報などを提供いたしまして、連携していろいろな発信に取り組んでまいりたいと考えております。
 それから、仙台向けの観光宣伝、これは県の観光協会で平成17年度は予算313万円でございますが、仙台市内におきまして旅行会社を対象に観光客誘致説明会や商談会を開催いたしましたほか、旅行会社の商品造成担当者を本県に招聘いたしまして、直接観光資源を視察していただきまして、県内観光関係者の意見交換を行うといった取り組みを展開したところでございます。このほか仙台で発行される旅行情報誌やタウン情報誌などを活用いたしまして、岩手の観光の紹介・宣伝を行いましたほか、JR仙台駅に岩手の観光パンフレットや観光情報誌の配置もいたしております。
 今後、こうした取り組みをなお一層拡充いたしますとともに、より多くの方々に繰り返し本県を訪れていただけるように、これはいろいろな努力をしてまいりたいと考えております。
 それから、仙台向けの物産の売り込み対策ですが、1次産品につきましては、主にサケ、サンマ、大根、レタス、ピーマンなどの品目で、仙台市のマーケットでは月によっては1位、2位のシェアを占める月がございます。その他の特産品につきましても、岩手県産株式会社が仙台市内の生協や量販店で毎週営業活動を行っておりまして、平成16年度は対前年比約3倍強、平成17年度も30ないし40%の売り上げ増となる見込みでございます。今後もこうした取り組みをさらに支援してまいりたいと考えてございます。
〇佐々木一榮委員 ぜひ継続しましてこの1次産品の売り込みを強力に進めていただきたいと思います。
 観光分野でありますけれども、仙台圏、やっぱり岩手とは日帰り、また1泊で旅行できる、そういった圏内でありますから、温泉等のPRを含めて仙台市民に対して幅広くPRできるような、細かいまた政策をお願いしたいと思っております。
 重点施策、私も読ませてもらいましたが、何でもバラ色に1回に成果が上がればいいのでありますが、余り最初から大ぶろしきを広げては、先ほどの集中的投資の話ではありませんが、なかなかうまくいかないと思っております。いずれ平泉に話が戻りますが、今まで以上の集客実績と効果があらわれれば、当然岩手県内にも波及効果があらわれるものと思っております。施策を見ますと北東北との連携ということが大前提になっておりますが、私も北東北3県の連携に反対するものではありませんけれども、こういった世界遺産ですとか平泉の今の現状を考えた場合には、私はまずやっぱり集中的に、重点的に平泉に支援を行い、とりあえず岩手の県内全域にその広がりを持たせることが必要ではないか、その後に自然に、これは北東北3県、秋田、青森というふうに進んでいくものだと思っておりますが、この辺の考え方についてお伺いをしたいと思います。
 あわせて、この事業のネーミングでありますが、どなたがお考えになったかわかりませんが、理解できないのでついでですのでお伺いします。未知の奥という、先ほど言いましたようにこの事業は未知の奥・平泉観光振興事業費ということになっておりますけれども、未知という言葉は、まだ知らないこと、まだ知られていないことという意味でありまして、そのまた奥というのがついておりまして、これから平泉をPRしようというのにこれはどういう意味でこういう名前をつけられたのか、私、理解できないものですから、これをどう県民に説明していいか、ぜひ御答弁をいただきたいと思います。
〇竹内副知事 平泉への重点支援についてでございますが、平成18年度、平泉の文化遺産の観光活用に関するアクションプランの策定を予定しておりますほか、観光情報の発信、国際観光客受け入れ体制整備を行うお話もございました。未知の奥・平泉観光振興事業、これを実施することといたしております。この事業は、平泉を本県の観光戦略の最重要テーマと位置づけまして、東北の歴史文化の中核としての平泉という大きなイメージを構築して、力強く国内外へ発信しようとするもので、文化遺産の観光への活用や内外の観光客受け入れ体制の整備、効果的情報発信の仕組みの構築などを実施するものでございます。新たに策定するアクションプランに基づきまして、世界遺産登録を見据えながら、宮城県とも連携した取り組みを行うことなどによりまして効果的、集中的に事業を実施してまいりたいと考えております。
 それから、事業名の未知の奥についてでございますが、これは、中尊寺にちなんだ「花咲け みちのく 地に実れ」という著書から引用をさせていただいたものでございます。この著書の中で作者は、みちのくを未知の奥という言葉に置きかえておりまして、未知の奥という言葉は、いまだ知られざる世界を暗示している。東北には未知の世界が広がっていることを予感させる言葉だというふうに指摘をいたしております。そして、未知なる国土を持っている国は実に生き生きとしていて、新しい可能性を開発していくとも解説をいたしております。事業の名称は、このような考え方に共鳴してこれを使わせていただいたものでございます。
〇佐々木一榮委員 私が勉強不足で済みませんでした。
 次に、先週議論がありましたけれども、まず、経営難の県出資団体についてお伺いしたいと思います。
 岩手県肉牛生産公社経営改善資金貸付金に係る補正予算の審議における総務・農林水産委員会連合審査会の審議経過に対する知事の所感をお尋ねいたしたいと思います。
 あわせて、総務委員会の附帯意見を受けての知事の行政最高責任者としての責任の認識と、県民に対する説明責任も含め、どのような決意でおられるのか、まず冒頭、お伺いします。
〇増田知事 肉牛生産公社の審議につきましては、それぞれの常任委員会、あるいは連合審査会におきまして、大変御熱心に御審議をいただきましたが、その中で、多くの御意見を県としていただいたわけであります。特に、2月の補正予算の議決に際しまして、3点にわたる附帯意見をいただいたということで、このことを大変重く受けとめております。
 この附帯意見についてでありますけれども、内容は、今申し上げましたように大きく3点にわたるわけでございますが、公社自身が、数次にわたる収支の経営改善計画をつくりまして収支の改善に努めてきたわけでありますが、その後の事情がさまざまございまして、結果といたしまして、累積欠損金が著しく増大したわけでございます。牛肉輸入自由化、それから大手需要者との取引停止、それから、やはり経営戦略が混迷したこと、人件費等の高コスト体質の抜本的改革におくれをとった、こういうふうに考えておりまして、その結果として累積欠損金が増大いたしまして、多額の県費を投入せざるを得ない事態にまで立ち至ったわけでございまして、私自身も平成13年まで公社の理事長を務めるという立場にもおりましたので、こうした結果になりましたことを大変重く受けとめているわけでございます。
 公社の清算処理に当たりましては、こうしたさまざまな御議論、御意見、さらには附帯決議をいただいたわけでございますので、今後、清算経費の圧縮に努めますほか、出資者と再度協議を行いまして、県民の負担を少しでも軽減できるように最大限の努力をしていく覚悟でございます。
 また、こうした清算業務を進めるに当たりましては、議会を初め、県民の皆さん方に対する説明責任を果たしていきたいと考えております。
〇佐々木一榮委員 関連しまして、県出資団体についてお伺いします。経営難の団体が破綻した場合、県財政の破綻へも影響しかねないことから、明確な御答弁をお願いしたいと思います。
 今答弁ありました補正予算計上された、議論された県肉牛生産公社破綻に伴う16億5、300万円の貸付金と出資金の合計約24億円の処理や、一般質問でも議論されておりますように、今議会でも27億円融資しようとしている競馬組合問題、農業公社への2億6、000万円を限度とする損失補償、また、全国の森林整備法人の中で第3位と言われる負債残高614億円を持つ岩手県林業公社など、負の遺産処理が今後も大きな壁となって立ちはだかってきます。
 そこで、何点かにわたりお尋ねいたします。
 まず、一般会計以外の特別会計での赤字の累積額は平成17年度見込みどうなっているでしょうか。また、県出資法人の赤字法人数とその合計損失額はどうなっているでしょうか、お尋ねします。
〇時澤総務部長 現在、県では11の特別会計を有しております。平成16年度決算におけます収支差し引きが赤字になっておりますのは、県民ゴルフ場事業特別会計の1会計のみでございまして、106万2、000円の赤でございます。平成17年度も同様に、赤字の見込みでございます。
 そのほか、県立病院等事業会計におきましては、平成17年度末で119億2、000万円の累積欠損を有しておりますし、岩手県工業用水道事業会計におきましても、平成17年度の末で3億9、700万円余の累積欠損金を有しているところでございます。
〇相澤総合政策室長 県出資等法人の赤字の状況について御説明申し上げます。
 56法人のうち、平成16年度末時点で累積欠損がございますのが13法人、累損の総額は約51億円でございます。
 ただし、このうち鉱工業海洋生物利用技術センター、これは釜石にございますけれども、約17億円ございまして、これは固定資産の除却損という特殊な事情がございまして、平成17年度決算において、国の機関との減資によって処理されて正常な状態に戻ってまいります。そのほか、県肉牛生産公社が約14億円ございます。合わせましてこれが31億円ございますので、残りが11法人で約20億円ということになります。
 平成14年度末では、この11法人で約35億円の累損がございましたけれども、16年度末では約20億円ということで、15億円ほど減少しているという状況でございます。
〇佐々木一榮委員 いずれ林業公社の問題も今後出てくるかと思いますけれども、今のに関連しまして、ちょっと県の考え方をお尋ねしたいと思います。
 ことしの1月に、県でバランスシート・行政コスト計算書の平成16年度版を公表しております。1兆4、602億円の正味資産に対し1兆5、779億円の負債と、財産よりも負債が多い状況となりました。今後、このバランスシートも、出資法人の経営状況により破綻や整理が行われた場合、悪化することは、だれもが認識しているところであります。
 冒頭、ポスト行財政構造改革プログラムについて質問いたしましたけれども、この際、県の債務保証・損失補償額を含む債務負担行為に係る金額を総合計で年度前に明らかにして、その返済方法、完済年度目標を長期的視点から策定すべきと考えますが、いかがでしょうか。
 あわせて、経営難に陥った原因分析と責任の所在をそれぞれ明確に県民に公表すべきと考えますが、いかがでしょうか。
 知事は、定例会招集日の演述で、問題の先送りをしないと断言されています。そのことからも、県に関係する企業局、今お話ありました医療局や出資法人も含めた県民にかかわる全体のバランスシートの作成と公表が必要と考えますが、いかがでしょうか。
〇増田知事 まず、出資法人等に対する債務保証等の状況でありますけれども、これについては大きく二つございまして、その一つは、県の施策推進において必要な法人の債務保証等でございます。こちらにつきましては、平成16年度決算で8法人312億円余の長期貸し付けと、2法人32億円余の短期貸し付け、さらには6法人321億円余の債務保証及び損失補償を行っております。
 この関係につきましては、今申し上げましたように、県の施策推進上、必要なものと認識しておりますけれども、法人の経営状況が悪化した場合には、当然、債権保全上の問題が生じてまいりますので、今後、法人の経営状況については、しっかりとした指導監督を行っていく考えであります。
 二つ目は、財務基盤の弱い法人の運営支援ということでの債務保証等でございまして、こちらにつきましては、平成16年度決算で4法人24億円余の短期貸し付けを行っております。これは、法人の経営を改善することによって今後縮小させなければいけない性質のものでありますので、目標を立てて財政的支援の縮小を行っていく考えでございます。
 今後、このような県出資等法人に対する県の債務保証等の全体像を公表して、そして、県の施策推進という目的の的確な達成、もう一つは財政負担の軽減、こういう両方の観点に立って、法人の運営が適切に行われていくように取り組んでいく考えでございます。
 また、経営難の法人の原因分析でありますけれども、まず、この県出資等法人につきましては、平成15年12月に改革プランというものをつくりまして経営改善に取り組んでいるわけでありますが、平成16年度から、外部の専門家による経営調査を導入して、その中でいろいろ御指摘をいただいて、法人の財務内容、理事会運営、それから県の法人に対する指導のあり方について、客観的な調査・分析を行って、結果を公表しております。
 この外部調査結果を受けて、法人と県がともに、法人役員の責任及び指導監督を行う県の責任を踏まえて、経営改善方策等を十分に検討して、経営改善計画に基づく徹底した法人改革を進めていくこととしているところでございます。
 全体の連結バランスシートの関係でございますが、本県では、平成15年度決算から、県の普通会計に医療局や企業局のいわゆる公営企業会計、それから県の出資比率で50%以上、これは27の法人がございますが、この27の出資等法人の会計を含めた連結バランスシートを作成して、一覧性のある形で県民の皆さんに公表してきております。
 今後ですけれども、今後は、民間企業の会計の連結方式というものを参考にして、これに加えて、県立大学や地方独立行政法人、さらには、出資比率が今50%以上になっているんですが、今後は、出資比率25%以上50%未満の出資等法人についても、役員派遣や財政支援等の実態がございますので、こうしたことを踏まえて、連結対象とするように検討していきたいと考えております。
〇佐々木一榮委員 その際には、ぜひわかりやすい連結の決算書といいますか、貸借対照表も含めてでありますが、専門家が見なくても、一般県民にとってわかりやすいような、アバウトでいいと思うんですが、冒頭質問しましたように、じゃ、今、県民の資産と負債はどういう状況にあるのかと。予算のときも、よく、県民1人当たりの借金がどうだというのを家計に例えるとというようなことで新聞にも出ておりますが、ぜひその辺は検討されて、公表していただきたいと思っております。
 関連しまして、平成16年度の県内市町村が25%以上を出資する第三セクター139法人のうち、11法人が債務超過となり、その合計超過額は16億7、240万円となっております。単年度決算で赤字となったのは46法人と全体の33%となっています。このうち、経営評価委員会等の委員会などを設置し、定期的に経営状況を点検評価しているのは全体の12%の17法人のみとなっています。
 現下の県内の経済状況と将来を展望しますとき、第三セクターの経営問題が、今の御答弁と同じように、県と同様、市町村財政に与える影響も憂慮されます。現実に市町村合併の弊害となっているケースもあることから、積極的改革、見直しが必要と考えます。
 経営評価システムを導入し第三セクターの健全化を図ることは、市町村の問題とはいえ、市町村民も当然ながら県民であり、県はその支援と解決に積極的に取り組むべきと考えますが、いかがでしょうか。
〇山口地域振興部長 市町村が出資する第三セクターについてのお尋ねでございます。
 県としましては、第三セクターの経営状況によっては、市町村財政に重大な影響を及ぼすということが懸念されます。そういう意味で、市町村が社会経済情勢の変化に対応しまして、第三セクターの使命や役割を改めて点検するよう、情報提供あるいは助言を行っているところでございます。
 特に、本年度におきましては、これは3月29日でございますが、総務省の行政改革に関する新たな指針というものが出ました。これを踏まえまして、外部の専門家の活用などによります監査体制の強化とか、それから、政策評価の視点も踏まえた評価の充実・強化などを盛り込んだ集中改革プランを策定するように、あるいは公表するように市町村に言っております。市町村行政改革担当課長会議というものを開きまして、それを周知徹底したところでございますし、それから、行財政事務調査ということで、市町村に行って調査するわけですが、そういう調査を行ったり、あるいは、プラン策定に係るヒアリングなどの機会をとらえまして助言を行っているところでございます。
〇佐々木一榮委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 次に、地方債の発行についてお伺いいたします。
 平成18年度は、先ほども質問しましたように、財政調整基金、県債管理基金、公共施設等整備基金の主要3基金の取り崩しに頼らない、県債残高をふやさないプライマリーバランスの均衡を達成することを財政運営の基本としておりますが、いまだに県債依存度が高く、厳しい財政運営を強いられております。
 総務省は、新年度から都道府県や市町村の債務負担を示す指標を設け、負担の重い自治体の地方債発行を抑える新制度を導入すると伺っております。
 税収などの税源に対する地方債返済額の割合を算出し、数値に応じて自治体をトップクラス、一番でありますが、健全財政の上位クラスは自由な起債を認める。2番になりますが、中位は引き続き国の許可を得て起債を行う。3番目でありますが、下位は基本的に起債を認めない。こういう3段階に選別し、財政力に連動して、国に頼らず資金調達する自治体をふやすとの考え方のもとに、財政力の劣る自治体には、財政再建への取り組みを報告させ、増税やサービスの停止を強制するとしています。
 そこでお尋ねいたしますが、県及び県内市町村のこの3段階格付はどうなっているでしょうか。この新制度により想定される影響をどのように把握しておられるでしょうか、お尋ねいたします。
 また、地方債の資金引き受けの政府系金融機関の統廃合は、どういう影響を及ぼすでしょうか。
 この制度は、強者は強者間の競争が発生しますが、弱者は市場では受け入れられないという、まさしく地方切り捨ての新指標と私は考えますが、いかがでしょうか、認識をお伺いします。
〇時澤総務部長 平成18年度からは地方債制度が許可制度から協議制度に移行するということになるわけでございます。その協議制の移行にあわせまして、今回、今、御指摘のありましたように、実質公債費比率という指標を導入いたしまして、18%以上の団体は許可というふうになるわけでございます。平成16年度の決算で当県の比率を試算いたしますと15.8%ということでございますので、現時点での財政状況でありますと、許可ではなくて、協議制で発行できるのではないかと考えております。
 ただ、この許可制度から協議制へ移行するというのは、協議をして、同意がなくても本来は出せることになります。これまでは、まさに許可がなければ出せなかった。今回は、協議をし、同意がなくても出せるということになります。したがいまして、ある面、地方債の発行が自由になるという面では大きな意味があるわけでございますが、反面、団体ごとの財政状況あるいは財政力格差を浮き出させるという効果もあると考えておりまして、県におきましても、やはりこの趣旨を十分に理解して、財政健全化への努力を怠らないように努めてまいらなければならないと考えております。
 それから、現在、政府系金融機関の改革が議論されております。地方団体にとりまして、やはり重要な資金調達先としてありますのは、公営企業金融公庫であります。これも、例えば上下水道等の住民生活に直結しております事業を確実に行うために、長期・低利の資金を安定的に供給しているというものでございまして、やはり本県の財政負担の軽減、あるいは地方公営企業の経営の健全化を通じて、本県財政にも寄与しているものだと考えております。
 この公営企業金融公庫は廃止というふうになっておりまして、その後につきましては、地方公共団体が共同出資する新たな機関に移管するということも議論されているところでございまして、この地方公営企業金融公庫のあり方につきましては、まさに地方公共団体総体の債券発行共同体と、もし地方の共同機関となればそういうふうになるわけでございますので、まさに地方みずからが考えていかなければならない問題ととらえているところでございまして、岩手県としても、必要な意見を述べていきたいと考えております。
〇山口地域振興部長 先ほどの地方債の発行についての市町村分についてでございますが、合併後の35市町村のうち、地方債の発行に当たりまして知事の許可が不要な団体数は9団体でございます。それから、許可が必要な団体は26団体。これは直近の決算統計による試算でございますけれども、そういう形になります。不要な団体が9団体、それから、必要な団体が26団体。地方債の発行が認められない団体はないものと想定しております。
 それから、このように市町村の財政状況の格差により許可団体に移行することになることから、今後とも、より一層の公債費等の負担の適正化については、助言してまいりたいと思っております。
〇佐々木一榮委員 市町村について、該当する団体はないということでお聞きしました。
 それでは、関連しまして、自治体の破綻法制について認識をお伺いしたいと思います。
 平成18年度末で、国では550兆円、地方も200兆円を超える長期債務を抱え、合計で国内総生産の1.5倍を超えるという主要先進国に例のない財政危機に直面していることは、多くの国民が承知しているところでありますが、竹中総務大臣の私的懇談会、地方分権21世紀ビジョン懇談会の自治体の破綻法制整備や地方交付税制度の見直し論議には、自治体への緊張感を与える効果はあっても、長年にわたって霞ケ関中心で支配してきたことを棚に上げ、地方自治の責任ばかりを問うという唐突な発想を、6月に決める政府の経済財政運営の基本方針に反映させるとしております。
 今まで国の政策に呼応して、地方に裁量権も与えないために異議を唱えず追従してきたことが、一方的に地方に責任転嫁されることは、国の責任解除としか言いようがないのではないでしょうか。いまだに国と地方という国の形が明確に示されていないのに、地方の自己責任を問うという発想には、三位一体改革でさえ中途半端な状況で、どういう方向に国の進路をとっていこうと考えているのか、理解しにくいのが率直な気持ちであります。
 今回の交付税抑制と自治体破綻法制整備についてどのように認識され、また知事は、全国知事会のリーダー的立場として、どのようにこの問題について行動を起こしていこうとお考えでしょうか、お尋ねします。
〇増田知事 竹中大臣のところの懇談会でありますけれども、あの懇談会の中では、国と地方の役割分担など、地方分権の実現をしていく上での大変重要な事柄についてしっかりと議論をしていく、まずそこを十分に議論していただきたいと考えております。
 地方交付税につきましても、当然議論は必要かと思いますが、そうした今申し上げました役割分担などの議論を踏まえた上での議論になるわけでありまして、そういう地方交付税のあり方も、先ほど委員から御質問ございましたように、やはり財源保障、あるいは財源調整などの役割をしっかりと残す形での制度改革ということが必要だろうと思います。
 また、破綻法制なども、これについても、これは地方分権が行き着く先の社会として出てくる話でありますので、そういった破綻という議論が先にあるのではなくて、まずその以前の段階で分権を進めるということについて確たる議論をしていただきたい、こういうふうに思います。
 今、地方6団体で別途、新地方分権構想検討委員会というものを設置しておりますので、こちらの検討委員会と、そして竹中大臣の懇談会とが、双方で率直に意見交換することが必要ではないかと思いますので、そうした意見交換が行われるように努力をしていきたいと思います。
 そうしたことを行っていく中で、地方6団体の意思統一を図るということ、そして、そのことに対して国民の理解と支持をいただく、これに向けて次に進めていきたいと思っておりまして、そうした行動を通じて、三位一体改革の次の第2期に向けての実現を図っていきたいと考えております。
〇佐々木一榮委員 ぜひ、この件について強く地方の声を届けていただきたいと思います。
 次に、総合的な防災対策についてお尋ねいたします。
 県では、重要課題として消防防災体制の充実強化を定め、地震・津波対策の推進、防災システムの整備、国民保護法制に対応した危機管理対策の三つを大きな柱としております。
 まず初めに、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震に係る地震防災対策への取り組みについてお伺いしたいと思います。
 政府の中央防災会議の専門調査会の被害想定によりますと、三陸沖の海溝寄りを震源とするマグニチュード8程度の地震が冬季間の午前5時、風速15メートルの強風下で行った場合、北海道から東北地方の太平洋沿岸で約2、700人が死亡、岩手県だけで約2、100人に達すると見ています。
 今後、国においては、期限を設けて減災目標を設定し、それを達成するために必要な数値目標実現に向けた具体策を定めた地震防災戦略を策定することとし、地方自治体にも同様の地域目標の策定を求めることとしております。
 本県では6市8町村が地震防災対策推進地域指定となりましたが、今後の県初め対象市町村の地震防災推進計画策定の課題と進め方についてお尋ねいたしたいと思います。
 また、津波による漂流物流入対策としてのフェンスの整備や冬季間の対策強化、積雪時のアクセス道路や仮設住宅用地の確保等が地震対策大綱骨子に盛り込まれておりますが、既に現実の対応が難しいという声も自治体の中には聞かれます。大綱に対する県の認識をお伺いしたいと思います。
〇増田知事 まず、推進計画の策定の課題でありますけれども、この地震・津波防災対策を推進するに当たって、地域住民の防災意識の高揚を初めとする地域防災力の向上を図る、このことが一番大きな課題であると思っております。県、そして市町村は、地域住民が、津波からの避難を初めとして的確な判断に基づいた行動ができるように、教育や広報による防災意識の普及啓発に関する事項、それから避難地、避難路等緊急に整備すべき施設に関する事項等を推進計画に盛り込んでいく考えでございます。
 それから、この推進計画策定の進め方でありますけれども、今後、中央防災会議が定めます基本計画というのがありますので、それをもとにして、県におきましては国と、それから市町村においては県とよく事前協議をして、その上で整合性を図りながら策定を迅速に進めてまいります。
 それから、特に市町村に対しては、説明会を開催するなどして、この計画策定を県として支援していきたいというふうに思いますし、推進地域の指定を契機として、さらに市町村や消防本部等の関係機関との連携のあり方についても、今後よく見直しを図った上で、地域防災計画にもその内容を反映させていきたいと考えております。
〇時澤総務部長 大綱につきましては、私の方から御答弁させていただきます。
 この大綱は、日本海溝特別措置法の施行に伴いまして、地震・津波防災対策の実施主体の役割分担等を明確にする、そしてその被害をより軽減するための効果的な対策を戦略的に集中して実施するということでございます。本大綱に基づきます対策を地域防災計画に盛り込むということになりますし、さらに、被害軽減のための施策の推進を図ることが必要になってくるわけでございます。
 国、県、市町村、関係事業者の役割分担が明確にされまして、実施すべき具体的な対策も示されております。今後、それぞれの実施主体におきまして、被害軽減のための対策等を再点検し、必要な対策を優先的に推進する必要があると考えておりますけれども、やはり県、市町村、関係事業者それぞれ一体となって防災対策に取り組まなければならないと考えておりますので、それぞれの役割分担はございますけれども、総合的に県内の対策が進むように、県としても、必要な助言指導も行いながら対策を進めてまいりたいと考えております。
〇佐々木一榮委員 時澤総務部長に再度お尋ねしますが、さっきの後段でありますけれども、津波による漂流物流入対策というのは、フェンスの整備ですとか、冬季間の対策強化、また積雪時のアクセス道路――ことしも非常に大雪があったわけでありますが――あとは仮設住宅の確保、こういったものは盛り込まれているんですが、これは概算でも、当然どのぐらいの予算がかかるかということも積み上げなくてはいけませんし、これが果たして自治体に対してどういう負担になってくるのか、この辺についてはいかがでしょうか。
〇時澤総務部長 大綱の中で、国が期限を定めまして定量的な減災目標を設定する、そしてその減災目標を達成するために必要な数値目標でありますとか、具体的な実現方策を定めた戦略というものを策定するとなっています。それを踏まえて、地方団体としましては、地域ごとの目標というものを定めていくことになると思います。
 したがいまして、まず、国がどういうふうな目標を定めて、それに対する施策を考えてくるのかということを見る必要があると思っておりますので、それを十分に検討して、地域として地域ごとの目標というものを定める、そういった中で、県、市町村それぞれの役割分担もあるかと思いますし、そうした役割分担の中で防災対策、減災対策が進むように、県としても対応していきたいと考えているところでございます。
〇佐々木一榮委員 ありがとうございます。
 次に、減災の観点から、避難率向上対策についてお伺いいたします。
 防災教育や観光客への啓発、高齢者や障害者などの弱者支援や情報伝達については、各自治体が共通したマニュアルを作成し、相互に連携しながら対応していくことが肝要と考えますが、いかがでしょうか。
 平成17年度の政策評価を見ますと、特にもインターネット、携帯電話の利用に関する指標が伸び悩んでおりまして、指標の到達度が低くなっております。先ほどの6市8町村の地震防災対策推進地域では、情報伝達手段として、携帯電話サービスエリアの拡大といわてモバイルメール――防災メールでありますが――登録者数の現実的目標を立て増加することが重要と思いますが、県の新年度の取り組みをお伺いします。
〇山口地域振興部長 まず、地震防災対策推進地域における携帯電話サービスエリアの拡大についてでありますが、平成18年度におきましては、携帯電話エリア拡大推進事業によりまして、全県で6カ所の携帯電話不感地域の解消を予定しております。現在のところ、この地震防災対策推進地域に指定されました市町村のうちで、宮古市と田野畑村において事業を実施する予定にしております。
 また、次に、モバイルメールについてでありますけれども、本サービスを活用して住民に防災に関する情報を配信しているのは、県のほかには、盛岡市と釜石市、それから大槌町、住田町の4市町村にとどまっております。
 配信市町村の拡大と利用者の拡大につながる改良・改善に努めているところでございます。今、モバイルメールは、最初に出しても、それがどういう情報かわからないというところがちょっとありまして、そういう意味で改良に努めておりまして、まず、コンテンツの登録手順を簡略にできるようにすることとか、それから、どのような警報が出ているか、その警報種別を表示する、何の情報かすぐ、例えば地震なのか、津波なのか、そういうのがわかるような格好にするとか、あるいは警報解除、これも出ておりませんので、警報解除というふうなことでわかるような格好にするとか、こういうようなことに今努めております。また、配信者であります市町村に対しましては、いつ出すんだということを、配信予定時刻の設定機能を追加するというようなことで、今行おうとしているところでございます。
 このような提供コンテンツや利用市町村の拡大に努めてまいりますとともに、活用事例について積極的に情報提供して、地震防災対策推進地域において、防災面でのさらなる利用の拡大を図ってまいりたいと考えているところでございます。
〇時澤総務部長 市町村を含めました相互連携への対応でございます。
 県では、現在、大船渡市と藤沢町をモデルといたしまして、災害時行動マニュアルというものの作成を進めております。市町村に対しまして、このマニュアルを参考に災害対応の見直しを要請することとしておりますし、既に津波避難対策におきましても、指針を策定し、市町村に対して、この指針に基づいて対策の再点検というのをお願いしております。
 さらに、国が災害時要援護者の避難支援ガイドラインという具体的な避難支援の取り組みを要請しておりまして、一部の市町村は既に連携して取り組みを進めておりますけれども、そのほかの市町村にも進めていただきたいと要請しております。
 こうした基本的な指針等を県、国が示すということで、各市町村の防災体制あるいは災害対策において共通の認識が醸成されまして、さらに、災害発生時には、この共通の認識のもとに、相互に連携しながら実効性のある対策がとられていくというふうに考えているものでございまして、そういう観点から、また引き続き県の方も指導していきたいと考えております。
〇佐々木一榮委員 山口地域振興部長のお話がありましたけれども、6市8町村、特にも、例えば県のコンテンツと市町村のコンテンツが違ってはいけないと思うんですね。やっぱりある程度共通したものでやっていただくことが、利用者にとっては重要なことだと私は考えますが、これについてはいかがでしょうか。
 それから、特にこの6市8町村の不感地域、大槌などもそういう地域があるようでありますけれども、やはり特にこの辺は重点的に携帯電話のエリア拡大を進めることが私は必要だと思います。
 先ほど言いました防災メールの登録者数目標、これはぜひ、私は、やっぱり県と、特にも指定地域と連携して進めていただきたいと思いますが、数値目標は立てられないものでしょうか。
〇山口地域振興部長 最初に、今、県と市町村のそういう連携をとってやった方がいいのではないかという話ですが、これにつきましては、例えば今、大槌、それから釜石は災害情報というのを流しております。これをモバイルメールで流しておりますが、これにつきましても、これから、今おっしゃったように、重要地域について、こういうことがありますので、いずれこれから検討させていただきたいと思っております。
 それから、目標値でございますけれども、これは、まず携帯電話の不感地域、ことし6カ所とお話ししましたが、これは、県と国の事業がございますが、そのほかに民間の方にもこれを働きかけていかなければいけないところが多々ありますので、そういう不感地域については、今までもやっておりますが、なるべく重点的にこれから考えていきたいと思っております。
 それから、目標値については、今のところ、まず、そういうふうに普及することが大事でございまして、実は今現在、モバイルメールを使っているところが13市町村しかございません。それで、登録者数も今4、700名ほどしかないという状況でございますので、まず、そちらの方をふやしていくことを重点にしたいと思っております。それで、最終的には、そういう重要地域についても、なるべく多く使っていただくようにしたいと思います。
〇佐々木一榮委員 ぜひ積極的な展開をお願いしたいと思います。
 次に、高齢者のひとり暮らし、それから高齢世帯が増加している中で、災害弱者の把握が重要な課題でもあろうかと思います。介護保険の要介護・要支援認定者や身体障害者手帳を所持する県民の名簿は、万が一に備え、昨年の個人情報保護法の施行のこともあり、十分な配慮の中にその作成が行われなければならないと考えますが、県及び市町村の対応状況をお伺いしたいと思います。
 また、この後質問いたしますが、先ほどの弱者の話ですが、地域の自主防災組織への本人承諾の上での名簿提供等も現実的に私は必要になってくると思いますが、プライバシーの尊重と安心・安全についてどのように認識されているでしょうか、お伺いします。
〇竹内副知事 災害弱者の名簿作成についてでございますが、介護保険による要介護・要支援の認定者数は、平成17年12月末現在で5万5、406人、それから身体障害者手帳の交付者数は、同じく5万5、826人となっております。介護保険の認定者につきましては市町村が、それから身体障害者手帳の交付者につきましては県と市町村が、名簿の作成及び管理を行っております。
 これらの名簿につきましては、介護保険や身体障害者福祉サービスの提供を受けるためという目的に限って作成されているものでございまして、県、市町村とも、個人情報保護法及び条例の規定によりまして、目的外使用はできないこととされております。したがいまして、例えば、自主防災組織などの外部機関・団体への提供は行われていないのが現状でございます。
 それから、災害弱者把握のための名簿情報の提供とプライバシー保護の関係でございますが、地域社会において、高齢者や身体障害者などの災害弱者の安全を図るためには、何よりもその名前の把握が必要になってまいりますが、その名簿作成に当たりましては、申し上げたような個人情報保護の制約がございます。
 こうしたことから、国におきましては、昨年3月、災害時の要援護者の避難支援ガイドラインというのを策定いたしておりまして、この中で、名簿作成等に当たりましては、個人情報の保護に十分配慮しながら、個人本人から個人情報提供の同意を得るという同意方式、それから本人が名簿登録を希望するという手上げ方式、そして、行政が規定を整備した上で、防災部局と福祉部局がそれぞれの情報を共有するという共有情報方式の三つの方式の組み合わせで対応することを提案いたしております。
 県といたしましては、平成17年4月に各市町村に対しまして、国のガイドラインの趣旨を踏まえて、地域に合った災害時要援護者の支援体制の整備を図るように通知をしたほか、昨年の7月には、市町村災害救助事務担当者研修会におきましても要請を行ったところでございます。
 大船渡市とか一関市などの一部で、自主防災組織と連携して積極的な取り組みが行われている地域もございますので、今後とも、市町村に対して取り組みの強化を要請してまいりたいと考えております。
〇佐々木一榮委員 次に、昨年の宮城県沖地震で、1カ月前に開業したばかりのスポーツ施設でプールの天井が崩れ落ち、夏休みの昼間のため、多くの子供たちがけがをしたという事故が発生しました。昨年来、耐震偽装問題が大きく全国的に問題となっていますが、構造上の柱や壁は地震に耐えられるよう設計されていても、内装材による被害までは想定されていないように思います。
 県は、今年度も前年度以上に県立高等学校や特殊学校の耐震診断や改築・改修予算を計上しておりますけれども、今申し上げました宮城県の民間のスポーツ施設のような事例もあることから、市町村や民間の不特定多数が集まる施設についても検証をすべきと思いますが、いかがでしょうか。
〇竹内副知事 お話のございました大規模な空間を有する施設の耐震調査でございますが、地方振興局、それから盛岡市、鉄道事業者等に対しまして、これは面積500平方メートル以上の大規模空間を有する体育館や屋内プール、それから店舗などの天井について調査するように指示もしくは依頼をいたしております。
 この結果、昨年11月までに調査対象といたしましたのが全部で166施設ございまして、このうち市町村施設7棟、民間施設29棟、県営施設2棟の合計38棟が、崩落防止対策が必要と考えられる施設として明らかになっております。
 この調査結果を受けまして、ことしの1月までに県及び盛岡市は、施設の所有者または管理者に対して文書による改善指導を行いましたほか、2月末までに、必要に応じて現地指導を実施したところでございます。
 その結果、安全が確認され措置不要と判断されたものが5棟、それから崩落防止対策が終了したもの1棟、具体的に崩落防止対策を講じるとしているものが県営施設を含む7棟となっておりまして、対策が未定のものは、市町村施設1棟、民間施設24棟の合計25棟となっております。
 施設の所有者や管理者に対して、崩落防止対策の実施を促していくため、現在実施中の建築物防災週間、これは3月1日から3月7日まででございますが、ここにおきまして指導を行っているところでございますが、今後とも、引き続き調査指導を行ってまいりたいと考えております。
〇佐々木一榮委員 いずれ、今お話ありました民間24棟も含めて、これについて、先ほど来からずっと災害の質問をしておりますので、ぜひお願いしたいと思っております。
 次に、自主防災組織率の向上についてお伺いしたいと思います。
 昨年4月現在の県内の自主防災組織率は、平均59.6%となっております。先ほど質問させていただきました地震防災対策指定地域となっている6市8町村にも、100%の組織率のところもあれば、11.8%という大きな隔たりがあります。
 県では、平成22年度全県平均組織率を75%と目標設定しておりますが、この7年間で3.2ポイントしか組織率が伸びていない状況にあります。
 県の自主防災組織率向上に向けての対策をお伺いしたいと思います。
 あわせて、総務省消防庁の調べによりますと、昭和27年には全国で209万人だった消防団員が、平成16年には92万人と半減したとされております。
 本県の消防団団員数と年齢構成はどのように推移してきているでしょうか。消防団員の高齢化と若年者の新規入団の減少から、その組織の存続も危ぶまれるとの声を聞きますが、消防団の強化、育成対策を具体的にどのように進めていかれるお考えでしょうか。
〇時澤総務部長 まず、自主防災組織率の向上でございます。
 自主防災組織の課題といたしましては、特に都市部での組織率が低く、また、組織率が高いところにありましても、例えば防災訓練への参加とか初期消火活動にとどまっておりまして、実際の災害時におけます避難誘導でありますとか、救出救護活動のほか、災害状況の情報収集、避難所の運営への協力、こういったことまでは、組織されている中でも不足している面があると考えておりまして、今後、組織率の向上だけではなくて、中身についても充実させていかなければならないと考えております。
 したがいまして、これまで以上の体制、組織化、実質的な体質強化ということに取り組まなければならないと考えておりまして、例えば、これまで結成されています自主防災組織の体制、活動状況等の調査・検証もつぶさに行いたいと考えております。その結果をさらなる育成強化に反映させるなどいたしまして、災害発生時におきまして、その機能が十二分に発揮できる組織の育成といったことも念頭に入れながら、組織率の向上というのを図っていきたいと考えております。
 それから、消防団のお尋ねでございます。
 本県におきましても、消防団員の高齢化、サラリーマン化の進展、こういったことによりまして減少が続いております。平成17年4月1日現在で2万4、156人、10年前と比較しますと1、663人、6.4%の減少となっております。
 年齢構成の推移でございますが、これも10年前と比較しまして、40代以上の男性の占める割合が46.8%から55.3%に増加しております。その結果、平均年齢が、10年前38.8歳であったものが40.7歳と1.9歳上昇しております。やはり高齢化が進展していると考えております。
 やはり消防団は地域におけます中核的な存在でありますので、その役割はますます大きくなっております。県といたしましても、市町村と協力しながら、消防団の充実強化、消防団への加入促進といったことを推進してまいりたいと考えております。
 そのために、例えば消防団総合整備事業、これは国の補助事業でありますが、こういったものを活用して消防団拠点施設の整備を図る、あるいは宝くじ等の助成を活用いたしまして安全装備品や防災指導用機材といったものの整備を図る、さらに、社会人、女性といった幅広い層を対象にした参加促進パンフレットを配布する、それから消防庁長官表彰あるいは岩手県知事表彰によります消防団員の士気高揚、こういった取り組みを展開しているところでございます。
 さらに、公務員、農業・漁業協同組合等の公共的団体の職員の消防団への入隊につきましても、県も職員に対して働きかけを行っておりますし、市町村についてもさらに働きかけを行って、消防団の強化ということにつなげてまいりたいと考えております。
〇佐々木一榮委員 次に、国民保護計画についてお尋ねいたします。
 弾道ミサイルや特殊部隊による攻撃があった場合、住民の生命・財産を守ることを目的に、有事法制の一環として昨年に成立した国民保護法に基づく国民保護計画が、本県でも作成されたところであります。市町村は、来年度中の計画策定が急務となっております。机上ではなく、県民の参加意識も重要であろうと思います。
 そこでお尋ねいたしますが、県は、新年度、国民保護法制に対応した危機管理体制の整備のための危機管理セミナー等の開催や国民保護事態類似調査を行うこととしていますが、施策の具体をお知らせいただきたいと思います。
 また、県単独施策もあろうと思いますが、このような問題こそ、東北6県なり足並みをそろえて対応すべきと思いますが、県の国民保護計画の住民への啓発活動、訓練を現在どう考えているのか、お示しいただきたいと思います。
 また、鉄道やダムなどの生活関連施設の管理者との連携はどのように行われるのでしょうか、お尋ねいたします。
〇増田知事 国民保護計画についてですが、来年度は、県が策定いたしました国民保護計画に基づいて、今後、マニュアル、要綱等を整備していきたい。それから、市町村に対しては、市町村国民保護計画研究会を通じて、市町村の国民保護計画策定に対する支援を行っていきたいと考えています。
 特に、そうしたことを行うに当たりまして、県として、危機管理セミナーやシンポジウムを開催する、それから、市町村の計画策定の支援としては、武力攻撃事態等の類型ごとの被害想定を推計することを目的として、事態類型調査事業を行っていくこととしてございます。具体的な内容については、今後さらに詰めていくわけでございますが、こうしたことを行って、スムーズな市町村の計画策定につなげていきたいと思います。
 あと、東北6県との連携でありますけれども、これは、従来から、県の計画策定に当たって、隣接県などに意見照会を行ったり、あるいは情報提供を北海道、東北各県に行いまして、個別に協議するなどしてきたところですが、一方で、こうした問題を担当しております全国の都道府県消防主管課長会というのがありますが、来年度からは、これを部局長会に格上げすることにしておりまして、その会の中の所掌事務として、危機管理、国民保護法制に関することということが協議事項として追加されます。したがいまして、この都道府県消防防災・危機管理部局長会の中に北海道・東北ブロック会というのがございますので、北海道・東北ブロックでの危機管理・防災部会におきまして、北海道、東北各県との連携について協議することになっております。そうした場を通じて、特に東北各県とは、よく連携をとっていきたいと考えております。
 それから、生活関連施設の管理者との連携なんですが、この国民保護計画に基づきまして、生活関連施設の管理者に対しては、県の方で、そういう生活関連施設に該当するという旨を管理者に通知すると同時に、所管省庁がこうした生活関連施設につきましては、種類ごとに安全確保の留意点というものを定めていますので、その留意点もあわせて管理者の方に通知する。そして、関係機関とこの管理者との連絡網を整備することとしております。
 さらに、安全確保の留意点というものを踏まえて、既存のマニュアル等を活用して、資機材の整備、それから巡回の実施など、万が一、武力攻撃事態等に至った場合の安全確保措置について定めるように、要請を管理者の方にしていくこととしております。
 こうした措置を講ずることによりまして、この、いわゆる生活関連施設の管理者との連携を図っていく考えであります。
〇工藤大輔委員長 佐々木一榮委員の質疑の途中ではありますが、世話人会の申し合わせにより、この際、昼食のため、午後1時まで休憩いたします。
 佐々木委員、御了承願います。
   午前11時59分 休 憩
   午後 1 時 3 分 再 開
〇伊沢昌弘副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 総括質疑を続行いたします。
〇佐々木一榮委員 それでは、午前中に引き続きまして質問させていただきます。
 医療制度改革についてお尋ねいたします。
 一昨年の公的年金制度改革、昨年の介護保険制度改革に続く社会保障制度改革の第3弾として医療制度改革関連法案が議論されております。この最大のねらいは、当然ながら、高齢者の急速な増加に伴う医療給付費の急増の抑制をねらいとしております。本県では、平成15年度の老人医療費給付対象者数は21万5、602人、県負担金額75億2、400万円となっています。厚生労働省によりますと、現行のままでは国全体で平成37年の給付費は約2倍の56兆円と試算しています。確かに国民皆保険制度を安定維持するためには、医療財政問題は避けては通れない大きな課題であります。しかしながら、今回の改革の中身は、短期対策としての高齢者の負担増、中長期対策は入院日数の短縮という給付費抑制ばかり強調され、高齢者には厳しく、患者切り捨てが懸念される内容となっております。
 また、医療制度の地方分権という大義のもと、都道府県は医療費を数値目標で管理する医療費適正化計画と独自の医療提供体制をつくることのできる医療計画を立てることとしています。これらについてアンケートによりますと、無回答の3都県を除く44道府県が反対しておりますが、本県の現状から、今回の医療制度改革の問題点と今後の議論についての本県の臨むスタンスについてお伺いいたします。
〇増田知事 医療制度改革でありますが、特に今回、国との共同により策定が義務づけられました医療費適正化計画というものがございます。これにつきましては、生活習慣病患者とそして予備群の減少、平均在院日数の短縮などの政策目標を定めることとしていますけれども、その目標設定の根拠ですとか目標達成方法が明らかにされておりません。また、この計画でありますが、本来は診療報酬制度等について権限を有する国が主導すべきでありまして、こうした計画をつくるということが国の責任を都道府県に転嫁させるのではないか、こういった懸念があるわけであります。それが先般のあのアンケート調査の結果にも反映されていると思っております。
 今回の改革の基本的な考え方として3点挙げられております。安心・信頼の医療の確保と予防の重視、それから医療費適正化の総合的な推進、超高齢社会を展望した新たな医療保険制度体系の実現、こうしたことについては、県としても制度の持続性の維持などの観点から重要と考えているのですが、今回、今、国会で法案審議中ですけれども、法案が成立して改革を推進することとなった場合には、私どもは、医師会や医療機関といった医療関係者はもとよりですが、県民から十分な理解を得て進める必要があるので、まずこうした関係者と協議機関を設置して、そして情報共有化とあわせて、今申し上げましたような制度改革の問題点や懸念材料についての本県の対応方向などについて議論を深めていきたいと考えております。
 また、医療費適正化計画をいずれにしても策定を義務づけられるわけですが、既に県が策定しています医療計画、健康増進計画、介護保険事業支援計画、こうした三つの計画があって、この計画と相互に整合をとられるようにする必要がありますので、この横断的な連携についても十分考慮していかなければならない、このように考えております。
 いずれにしても、県民が安心して生活するための基本的な枠組みについての話でありますので、やはり国においてその責任を果たしていただく必要があると考えております。知事会の方でも既に何回か意見を申し上げていますが、今後もさらに知事会などを通じて国に具体的に発言をして、よりよい制度となるように努めていく考えであります。
〇佐々木一榮委員 今の件についてでありますが、特にも本県は県立病院を全国でもトップクラス保有しておりまして、現在その県立病院の改革プランも実行中ということであります。知事はたしか全国自治体病院開設者協議会の会長もされていると思いますが、医療局の経営と今回のこの医療制度改革、これは非常に本県にとって大きな問題ではないかと思うのですが、現在の県立病院関係機関に対する影響というようなものはどの程度とお考えでしょうか。数字とかそういうことではなくて、県立病院経営に及ぼす影響を現在どのぐらいとお考えかということでお尋ねしたいと思います。
〇増田知事 この医療制度改革の中で、やはり県立病院が担っておりますいわゆる政策医療のような部分、採算性という考え方から見ますと診療科目ごとに差があります。しかし、県立病院というのは不採算な部門であっても地域医療の中核を担っているということで、いわゆる不採算医療もそこで実施をしながら収益を上げていかなければならない、こういう使命を持っておりますので、この医療制度改革の中でそういったいわゆる診療報酬などの改定の中で、今申し上げましたような部分がどのように評価されるのかというのは大変懸念をされますし、また、どうも見ておりますと、そうした県立病院の開設者であります自治体に大分負担が生じかねないようなことも懸念をされますので、大変県立病院の経営をする立場にとってみると大きな影響、甚大な影響が出てくるのではないかと思います。そういったことからも、私どもでは、多くの自治体がそういった公的な病院を開設しておりますので、そうしたところとよく連携をとりながら、自治体の地域医療を守るという立場から意見を具申していきたいと思っております。
〇佐々木一榮委員 次に、昨年10月からの介護保険制度改正による利用者の自己負担額発生による影響と対策についてお尋ねをいたしたいと思います。
 過日、県保険医協会の昨年12月から本年1月にかけて介護事業者施設662施設に対し行ったアンケート調査によりますと、回答率こそ51.2%とはいえ、介護保険施設で入所者負担により退所したのが25人、検討中が11人で、年齢は80代、90代で半数を占め、退所後は在宅が最も多くなっているという結果が出ております。家族は52%が仕方ないとしているものの、大変だと受けとめている家族が40.8%もおります。また、施設経営も収入が減り、人件費削減や食材料の圧縮を挙げた施設もあります。
 県は、今回の県保険医協会のアンケート調査をどう分析され対応していかれるお考えでしょうか。例えば、私も専門ではありませんが、事務経費がかかり過ぎ経営に困難を来しているとの回答もありますけれども、例えば県内の事業者全体でそういった事務センター的なものを共同で設立して合理化に努める対応策や、例えばその施設給食を、例で言いますと近接の県立病院給食なりと連携するなどして、それぞれ施設が単独で抱えている問題を少しでもその地域なり圏域なりで解決していくことが必要と思いますがいかがでしょうか、お尋ねをいたします。
〇竹内副知事 介護保険制度改正に関するお尋ねでございます。
 入所者負担の増額に伴う施設退所者の状況につきましては、これは県といたしましても、昨年10月からことしの1月までの間にこれは調査をいたしておりまして、49人の方が退所していること、それから退所後の状況などについても把握をしてございます。この49人のうち自宅に戻った方が34人で、うち在宅介護サービス利用者は94%に当たる32人となっておりまして、多くが通所リハビリテーションや通所介護、訪問介護などの在宅介護サービスを利用しておられます。退所後自宅に戻る場合におきましては、介護支援専門員と連携いたしまして適切なケアマネジメントによって在宅介護サービスが提供されるよう、これは市町村を指導してまいりたいと考えております。
 それから、昨年10月の食費、居住費の自己負担の導入に伴いまして、補足給付制度の創設や高額介護サービス費の見直し、それから社会福祉法人による利用者負担軽減措置の拡充といった、低所得者に対する利用者負担の軽減措置が講じられておりまして、県といたしましては、こうした軽減策が着実に行われるように市町村をしっかり指導してまいりたいと考えております。
 それから、事務センターの設立や病院給食との連携についてでございますが、この介護報酬改定におきましては、従前、介護報酬に算定されておりました居住費と食費分の減額を含む改定が行われておりまして、国は給食費ベースで約5%の減額になると試算をしております。施設における減額改定への対応につきましては、ことし1月、県が独自に調査したところ、事務費などの経費削減が27%、それから人件費の見直しが13%、食事単価の見直しが13%となっておりまして、それぞれの施設においてコスト削減の経営努力を行っているものと承知をいたしております。
 事務センターや給食業務の連携など地域等での支援につきましては、これは法人の個別・固有の情報を取り扱うことや、施設整備の基準などを遵守する必要があるなどの課題もございます。こうした施設経営につきましては、県社会福祉施設経営協議会において相談を受けておりますが、県といたしましても各施設からの相談に応じますとともに、高齢者福祉協議会など施設事業者で構成する組織との意見交換などもこれは積極的に行ってまいりたいと考えております。
〇佐々木一榮委員 次に、関連しまして高齢者虐待についてお伺いしたいと思います。
 昨年11月に成立しました高齢者虐待防止法が本年4月より施行されますが、この法律では、虐待の定義として、1番として身体に外傷が生じるおそれのある暴行、二つ目に衰弱を招くような長時間の放置、3番目に著しい暴言、4番目にわいせつな行為、5番目に財産の不当な処分等を明記し、虐待発見者に市町村への通報を義務づけました。私の地元でも介護疲れによる事件が過去にありましたが、今回、介護疲れで虐待の加害者となりやすい家族への負担軽減のためや、高齢者本人を虐待から一時避難させるため、市町村に高齢者を一時緊急入所させる居室の確保も義務づけております。
 高齢者施設や訪問介護サービス事業者では、その対応に家族との複雑な事情や感情的な部分までの戸惑いの声が聞かれますが、県は4月から施行を控え、現場で深刻な事態に直面する方々にどのように対応していかれるお考えでしょうか。また、施設入所待ちの多くの高齢者がある中で、市町村の居室確保の基本的な考え方をお知らせいただきたいと思います。
〇竹内副知事 高齢者虐待についてですが、高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律におきましては、お話がございましたように、生命・身体に重大な危機が生ずるおそれのある高齢者に緊急な保護の必要が生じた場合に、市町村は、老人福祉法に基づいて迅速に老人短期入所施設等に入所させるなどの適切な措置を講ずることとされたところでございます。
 この措置を行う場合、市町村は、特別養護老人ホームや養護老人ホーム、ショートステイの空きベッドなどを利用できますが、万一それらに空きベッドがない場合でも、これは一定の範囲で特例的に定員を超過して入所させることができるとされておりまして、県内の特養ホーム94施設について試算いたしますと、現状で183名分の緊急超過使用が可能となっております。それから、虐待の内容や程度によりましては、デイサービスや認知症高齢者グループホームなども対応が可能となっております。
 このような特例的な入所措置も含めまして、その取り扱いについて市町村を十分に指導し、法の趣旨に基づいて、高齢者が虐待から守られるように努めてまいる考えでございます。
〇佐々木一榮委員 次に、児童虐待防止についてお伺いしたいと思います。
 毎日のように児童に関係する悲しいニュースが後を断ちません。昨年4月の改正児童福祉法施行で導入された要保護児童対策地域協議会を設置している市区町村は全国で5%にすぎず、人材確保や市町村合併を理由におくれている現状であります。今年度中に設置する市区町村も29%と、同法施行により市区町村が相談業務を行うことになりましたが、対策がおくれている状況であります。
 そこで、お尋ねいたしますが、県内の地域協議会設置状況と今後の設置見込みについてお伺いいたします。
 あわせて、学校や通学路での子供の安全確保などを目指し、既に28都道府県が条例制定をしており、新年度には7県が制定・施行予定と伺っております。本県の独自条例制定の考え方をお伺いしたいと思います。
〇増田知事 条例制定の考え方の方につきましては私から申し上げたいと思いますが、確かに今、委員お話のとおり、最近、相次いで子供が凶悪事件に巻き込まれるようなそういう悪質事案が発生しておりまして、県内におきましても、こうした体感治安というのが悪化をしてきていると思っております。このため、こうしたことに対しての対策として、警察によるパトロールの強化や空き交番対策を推進はしてきておりますけれども、やはり子供の安全確保を初めとする安全・安心のまちづくりを進めるという上では、こうした警察による犯罪防止とあわせて、地域ぐるみで行政や県民がそこに一体となって取り組みを推進するということが必要だと判断をしております。
 こうした地域力を結集した安全・安心なまちづくりを進めるためには、現在行っております施策、それから組織体制などを検証、そして問題点を整理する必要がありますので、そういったことを行って、条例制定について県民の皆さん方の御意見もいただきながら、そして先進県、もう既に条例を制定しているところがかなりございますので、そうした先進県の状況も参考にしながら、この条例制定について検討を進めていきたいと考えております。
〇竹内副知事 要保護児童対策地域協議会の設置状況についてでございますが、本県の市町村における協議会の設置状況は、ことしの2月末現在で8市町村となっておりまして、今年度中に設置を予定している市町村が12で、あわせまして20市町村が設置を見込んでおりまして、設置率57%となる予定でございます。この協議会は、保護を要する児童の適切な保護を図るための関係機関連携組織として大変重要な役割を担うものでございます。
 このため、県では、昨年9月に策定いたしました児童虐待防止アクションプランの中に、すべての市町村での設置を掲げまして、各種の会議や直接市町村を訪問するなどして、早期の設置を働きかけてきたところでございます。今後におきましても、未設置市町村に対して、引き続き早期の設置を要請いたしますとともに、県、市町村、民生児童委員、医療機関、学校等との緊密な連絡のもとに、子供たちが安心して暮らし、健やかに育っていける社会づくりに向けまして、なお一層の取り組みをしてまいる考えでございます。
〇佐々木一榮委員 再度ちょっとお伺いしたいと思いますが、先ほど質問申し上げましたとおり、現在の状況が全国で28都道府県が条例制定をしておりまして、平成18年度──新年度には7県でありますから、全国で35の都道府県がこの条例を制定するということです。今の知事の御答弁で、県民の意見も聞きながらということがありましたが、具体的にこの条例制定のめどといいますか、今後、環境生活部、また、これは県警本部も関係してくるかと思いますが、どのように進められていくお考えか、また、大体この条例制定時期がもし頭の中に描かれているのであればお尋ねしたいと思います。
〇増田知事 まだ具体的な条例制定の時期等までは中でよく検討しなければいけないと思っておりますが、ことし1年間かけましてよく県民の皆さん方の御意見をお聞きするということと、それから今お話ございましたとおり、28県、それから近々つくるところが7県あって、35道府県がこの条例を運用することになりますので、そのことによって県民運動がどのようにこれを所轄されたのかですとか、それからあと、やはりこうした条例制定の意味と言いますのは、私ども行政も含めた関係機関がさまざまな施策を総合的に展開していく上でのよりどころとなるものでありますので、そうしたことがそれまでどのように展開されたか、よく検証させていただきたい。1年間しっかりそれをやった上で、また成果を出していきたいと考えております。
〇佐々木一榮委員 ぜひ前向きに制定に向けて御努力をいただきたいと思います。
 次に、本会議でも出ておりましたけれども、中心市街地の活性化について簡潔に1点お伺いしたいと思います。
 寂れる一方の地方都市の中心部をてこ入れするねらいで、政府・与党は、大型商業施設の郊外出店を規制するまちづくり三法改正案をまとめました。床面積1万平方メートルを超えるスーパー、ショッピングセンターなどの出店について、従来の原則自由から原則禁止へと大転換されるものであります。御案内のように昨年10月、福島県議会は全国で初めて店舗面積6、000平方メール以上の出店規制条例を可決しています。今回のまちづくり三法の改正の柱は、都市計画法の改正であるにもかかわらず、日本の都市計画のこれまでの過去の反省や将来のビジョン、住民参加や情報開示のあり方など原点に戻った議論が行われたとは言えず、中心商店街団体の政治要求が目立ったという声も聞かれるところであります。
 そこで、お尋ねいたしますが、本県においては研究会を立ち上げ検討というように伺っておりますが、これら一連の大型店出店規制に係る知事のお考えはいかがでしょうか。
 先ほど申し上げました福島県議会の全国で初めての議決についても感想を伺いたいと思います。
〇増田知事 大型店の関係についての私の考え方ということでございますが、今回まちづくり三法を見直すということで、改めてこの大型店出店規制についていろいろな対応が必要になってきていると思います。その背景には御案内のとおり、従来のまちづくり三法が十分に機能しなかったということがあろうかと思います。今回の改正案ですけれども、特に内容を見ますと、大規模集客施設の適正立地、それから各種都市機能の中心市街地への集約誘導というものに一定の役割を果たすのではないかと考えております。それは本県におきましても、従来でありますと都市計画区域に対する出店可能面積というのが大体70%ほどのところに大型店の出店が可能でございました。今回このまちづくり三法、特に都市計画法がそのことにより改正されますと、出店可能面積割合が2%という形で大変限定をされますので、それだけ出店者側にも、それから地域にもいろいろな意味で影響が出てくるわけでございまして、私は、今回のこの改正案がそのまま成立すれば、特に中心市街地へのさまざまなお客さんの誘導に一定の役割を果たしていくと考えます。
 それから、福島県の条例でございますけれども、これはことし10月から施行されるということでありますけれども、これは大型店の個別の出店計画に意見を述べて、勧告、公表できるといったような制度がその中に盛り込まれておりましたり、あるいはさらに、地域貢献活動を促す制度などが盛り込まれています。ただ単に出店規制ということだけではなくて、今言ったようなことを促すような仕組みなども設けられて、ここが福島県の実態に合わせた独自の試みであろうとも思うわけでありまして、まだ運用が開始されていない、あるいは運用をどのようにしていくかということが私どもの方に伝わってきていないので十分な理解が進んでおりませんけれども、今後の運用を特に注目をしているという状況でございます。
 今申し上げましたように、今回の三法の見直しで、都道府県の広域調整機能というものが強化をされました。今まではかなり市町村の方にゆだねるような形になっていましたが、もう一度今回は都道府県の広域調整機能が強化されるということでありますので、県としてもこれまで以上にこの問題に積極的な役割と責務を果たしていく必要があると考えております。こうした問題は大型店への対応だけではなくて、今後の、人口減少の時代でもあるわけですが、その中で中心市街地をどのようにしていくのか、自助努力も含めてまちづくりを郊外と中心市街地を一体的にとらえながら、まちの活力を持続させていくということで検討することが必要だと思っておりますので、こうした観点で来年度は、本会議で部長が申し上げましたが、有識者の懇話会というのを設置して、そこで十分な議論をいただくことを考えております。その上で本県のまちづくりのあり方、中心市街地活性化に関して、必要な場合には当然本県も福島県と同じように、条例などには独自の制度的対応というものも考えていかなければならないと思っておりますので、そのまず懇話会の中での活発な議論とその成果を当面上げるようなことを、全力を挙げていきたいと思っております。
〇佐々木一榮委員 その懇話会でありますけれども、このまちづくり三法のアンケート調査によりますと、一般の消費者、住民からすると大型店が非常にある意味でユーザーの側から言うと便利な面というか、やっぱり魅力があるということで、これに対するいろいろ考え方はあるようでありますので、懇話会の中で、当然有識者の方々入られると思いますが、そういう消費者団体といいますか、通常の普通の一般住民の方々の意見も十分に吸い上げられるような会にしていただきたいということを要望しておきたいと思います。
 それでは、最後になりますけれども、これは私の個人的な意見が結構入りますので、議員の皆さん方も考えはそれぞれあろうかと思いますが、御清聴いただきたいと思います。
 これは岩手県の競馬組合の今後についてでありますけれども、知事も演述で先送りしないと述べられております。競馬組合存続はまさに綱渡りで先行き不透明な部分が多くありまして、将来についてだれが責任をとれるかも現在のところ明確な状況ではないというように思っております。さまざまな新聞等で2場体制をやめて盛岡1場体制にすべしとの発言もあるように、県民もさまざまな御意見を持っていると思っておりますし、何とか存続させられないかとの思いも非常に強くあるところであります。私はやっぱり、今、確かに実行計画の改訂のまた見直し等もいろいろ本会議で議論ありましたが、その観点ではなくあくまでもアバウトな意見でありますけれども、岩手競馬の歴史や経営内容からも、個人的には私は水沢1場体制を検討して現在の盛岡のオーロパークを、県民から期待されている昭和45年以来の2巡目の国体開催のためのメーン施設となる県営運動公園にしてはいかがと提案をいたします。
 本会議で県は、19年度中に2巡目の国体開催について結論づけたいとしていることからも、予算、金がないという理由で国体招致を断念するほど情けないものはないと考えております。現在の水沢競馬場のコース内の野球場やサッカー場などの配置を考えますと、オーロパークコース内に運動公園内の陸上競技場、ラグビー場、サッカー場、テニスコート等すべての競技施設も網羅できるというように思います。また、国体開会式に天皇、皇后両陛下をお迎えしましても、4階にはロイヤルルームも用意されております。
 みたけ地域も昭和40年前半とは大きく変貌を遂げております。約7万4、000坪の運動公園を売却すれば、低く見ても150億円から200億円の収入になるものと推測されます。オーロパーク改修資金も水沢競馬場改修資金も捻出でき、組合の借入金圧縮にも貢献します。また、県民も老朽化した運動公園から新しい施設利用が可能となることから、本県のスポーツ振興にも貢献できると思います。
 盛岡1場体制支持の方からは大変な御批判をちょうだいするかと思いますが、私は何事もこれはいろんな角度から検討してみることが必要でないかというように思っております。知事は、私のこの私案でありますが、検討の価値ありと思われるでしょうか、前向きの御答弁をお願いします。
〇増田知事 今およそ二つの内容の御質問ございました。一つは、国体開催についてのお尋ねでございますが、競馬についてのお尋ねが主眼のお話と受けとめました。
 まず、国体開催の関係でございますけれども、私どもの方で今見ておりますのは、一つは国体改革の動向と、それからあと、先般、県民アンケート調査を行いましたので、その結果を尊重して考えていかなければならないと思っております。その県民のアンケート調査の中では、次の2巡目国体に対する期待が大変高いのですが、その中ではやはり既存施設をできるだけ活用する、あるいは改修をするということによって施設面で対応したらどうか、こういう県民の皆さん方の御要望が大変強いという結果が出ておりました。今後の財政状況の見通しなども十分に見る必要がございますが、そうした県民の皆さん方のお考え、御意見というものも十分踏まえて方向性を出していきたいと思います。
 それから、お尋ねの主眼の競馬の関係でございますけれども、盛岡競馬場を今言ったような形で国体の施設に活用するという方向で解決をしたらどうかというお話でございますけれども、現在、競馬組合、水沢と盛岡の2場体制を前提として、懸命に今、岩手競馬の再生に取り組んでいる、こういう状況がございますので、今の委員からの御提案につきましては、一つの御提案として受けとめさせていただきたいと思います。
 実は競馬場の体制でございますけれども、岩手競馬本体の将来の姿をどのようにするのか、存続をどのように図っていくかということにかかわる大変大きな問題でございまして、2場体制でいくのか1場体制でいくのか、あるいはどちらの競馬場をその場合に活用するのかというのは、当然1場体制であれば片方を廃止するということになりますし、枠組みの大変大きな問題になるわけでございます。したがいまして、今後とも県議会や県民の皆様方の御意見あるいは御提案といったものには真摯に耳を傾けたいと思っておりますし、今、構成団体の長といたしまして、まずもって現在策定をされております改訂実行計画というものがございますので、この改訂実行計画の実現に向けて全力を尽くしていきたい、このように考えております。
〇佐々木一榮委員 昨年の2月定例会で27億円の融資、これは盛岡市、水沢市、そして県議会と議論があったわけであります。この改訂実行計画を確実に進めるということを前提で附帯意見をつけて岩手県議会も昨年可決をしております。本会議で議論ありましたとおり、当然ながら目標達成が至らなかったと、これはさまざまな理由があるわけでありますが、もう既に今議会でもまたその27億円の融資について提案されている。では本当に平成18年度どうなのかというところまで今、見えない状況下だと思います。果たして新しい奥州市の議会、それから盛岡市議会が本当にその負担分について融資できるかどうか、これさえも私はちょっと不透明な部分もあるのではないかというような思いがあります。
 そこで、この提案は確かにアバウトではありますけれども、今後、来年、我々県議会議員、そして知事の任期満了が来まして平成19年度から新しいスタートということになろうかと思いますが、やっぱり今いる人たちがこの将来についてどう考えるかというのは、非常に必要だというように私は思っておりますので、提言ということで受けるというお話はありましたけれども、これはまるっきり別の部分からでも検討の余地ありと思いますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 45分間質問させていただきました。どうもありがとうございました。(拍手)
〇伊沢昌弘副委員長 次に、柳村岩見委員。
   〔柳村岩見委員質問者席に着く〕
〇柳村岩見委員 自由民主クラブの柳村岩見でございます。
 会派を代表いたしまして総括的に質問をさせていただきます。よろしく御答弁のほどお願いを申し上げます。
 予算編成は、いつの時代も、いつのときも大変なエネルギーを必要といたします。ましてや、今日のように厳しい財政状況下にあっては、なおさらであります。まずもって、平成18年度当初予算編成作業の御労苦に対しまして改めて敬意を表しますとともに、御慰労を申し上げたい、このように思います。
 さて、7、398億6、200万円という平成18年度当初予算は、予算編成者の思いによる何点かの特徴と、結果として私どもから見て何点かの特徴を持つこととなりました。その何点かについてを中心といたしまして質問してまいりますが、まず、その何点かの前に平成18年度当初予算編成に係る財政環境について、1点目は国の財政運営による影響、いわゆる地方財政対策の評価についてお伺いをいたします。
 国の予算編成については、昨年12月6日、平成18年度予算編成の基本方針を閣議決定するとともに、12月19日には平成18年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度を閣議了承し、これに基づいて同月24日、平成18年度予算の概算を閣議決定いたしております。特に平成18年度予算は重点強化期間最後の重要な予算であり、平成13年6月に閣議決定された今後の経済財政運営及び経済社会の構造改革に関する基本方針、いわゆる骨太の方針以来の構造改革に一応のめどをつけるものと位置づけられ、同時に改革を加速するための予算であるとされたところでございます。
 また、中期的には引き続き2010年代初頭における基礎的財政収支の黒字化及びデフレの克服、民需主導の持続的経済成長の実現を図らなければならないため、予算編成に当たっては小さくて効率的な政府の実現に向け、従来の歳出改革路線を堅持、強化するとされたところでございます。
 一方、国の予算編成の基本方針において、地方財政については三位一体改革の取り組みについて適切に予算に編成されること。あわせて、2010年代初頭における基礎的財政収支の黒字化を目指して、国・地方双方が納得できる形で歳出削減に引き続き努め、平成18年度においても地方財政計画の合理化、透明化を進めるとされております。このような国の基本方針のもとに平成18年度の地方財政対策が講じられたものと理解しておりますが、地方財政対策の評価についてお伺いをいたします。
 2点目は、本県の歳入予算の中で自主財源の大宗をなす県税収についてお伺いいたします。
 平成18年の県税収入は、前年度当初予算対比で1.9%の増となっております。地方財政計画の都道府県税の伸び率8.1%と大きく開きがございます。さきに本県の経済状況について、知事は、本県の経済は、主要経済指標の動きなどから低迷状態が長引き、厳しい状況が続いているが、緩やかに持ち直している状況と答弁されております。加えて、大都市圏に見られるような順調な景気回復の動きとは大きく異なっているとの認識も示されております。
 また、県内の状況については、電子部品関連産業が好調で有効求人倍率が上昇している地域がある一方で、いまだ好転の兆しが弱い地域があるなど、ばらつきが見られると判断されました。これらの県内経済の状況分析、認識と県税収入の見通しについてあわせてみますと、本県産業構造の脆弱性の一端が見えると思うのであります。
 そこで、お伺いいたしますが、県税収入見込み額について、東北各県との比較、地方財政計画との比較で見た場合の本県の特殊性などについて、県民にわかりやすい言葉で丁寧に御説明を願いたいと思います。
〇時澤総務部長 まず、平成18年度の地方財政対策についてでございます。
 平成18年度の地財対策におきましては、地方交付税を含めました一般財源総額、これは前年度以上の額が確保されております。このこと自体は一定の評価ができるわけでございますが、地方交付税が5.9%のマイナス、臨時財政対策債も含めました実質的な交付税は6.5%のマイナスとなっておりまして、前年度の減少率を上回り、3年連続で大幅に減少しております。地方にとっては非常に厳しい内容だと考えております。大都市圏に比べて景気回復の速度の遅い地方圏には、やはり厳しい財政運営を余儀なくされたところでございまして、したがって、この地財対策が出ました後の本県での予算編成過程におきましても、当初見込んでおりました以上の財源不足が生じまして、一層の歳入確保、さらなる歳出努力、こういったことに努めて予算編成をしたところでございます。
 国に対しましては、やはりこういう都市部と地方部の税収の差というのを確実に反映させた交付税算定というものを要望してまいりたいと考えているところでございます。
 次に、県税収入見込みについてでございます。
 県税収入につきましては、地方財政計画が8.1%の増というのを見込んでいるのに対しまして、当県の予算につきましては1.9%の増と大きくかけ離れております。ただ、これは平成17年度の地方財政計画におきましては、17年度中の全国の法人税が非常に大きく伸びたということが大きく寄与しておりまして、17年度の決算見込みベースでの地方財政対策と18年度の当初の地方財政対策を比較いたしますと2.7%の増、本県の17年度決算見込み額は当初予算とほぼ同じでございますので1.9%となりますので、そういう決算見込みベースでの税収見込みを比較いたしますと、国全体では2.7%に対しまして当県では1.9%、若干ではありますが格差は縮まっておりますけれども、やはり全国ベースには届いていないという状況と考えております。
 これを東北各県と比較をいたしますと、これも決算見込みベースで比較をさせていただきます。青森県が3.9%の増となっております。これは東通原子力発電所の運転開始によります法人二税が大きく伸びるという要因がございます。この要因を除きました伸び率は1.6%の増ということで、ほぼ本県並みだと理解をしております。秋田県は0.2%の増、これは法人二税が前年度を下回る見込みということで、東北6県の中では最も低い伸び率と伺っております。宮城県は5.4%の増でございます。最も高い伸び率を見込んでおりますが、これは主に法人二税の伸びということでございます。本県との産業構造あるいは産業集積度の違いによると考えております。福島県が4.9%の増、山形県が4.2%の増、いずれも法人二税が前年度を大きく上回る見込みによるというものでございます。
 このように東北6県の県税収入見込み額を見てみますと、本県を含みます北3県では地方財政計画の伸びを下回る状況、宮城県、福島県、山形県の3県については地方財政計画の2.7%を上回る、このような状況になっているものでございます。
 特に本県の特徴的なことを申し上げますと、やはり県税収入全体に占めます軽油引取税のウエートが高いというのがございます。したがって、この軽油引取税、地方財政計画でいきますと6.9%の構成比でございますが、本県ではこの軽油引取税が15.5%と非常に高いウエートを示しております。したがいまして、この軽油引取税の減というものが大きく全体として響いているのではないかと分析をしているところでございます。
〇柳村岩見委員 次に、平成14年度以降5年連続してマイナス予算となったことについてお伺いをいたします。
 当初予算の推移を見ますと、平成元年度5、616億円と5、000億円台、2年度に6、097億円と6、000億円台に乗り、その後も伸びて5年度7、059億円と7、000億円台、8年度8、070億円と8、000億円台、そして13年度には9、028億円とピークを迎えております。しかし、その後、14年度マイナス3.9%8、680億円、15年度マイナス4.3%8、308億円、16年度マイナス6.1%7、798億円、17年度マイナス1.6%7、671億円、18年度マイナス3.6%7、398億円と、ピークの平成13年度からマイナス18%と約2割減となっております。さらに、知事は7、000億円を目指すとも言っており、早晩6、000億円台になることも考えられるところであります。本県は、国の財政運営、地方財政対策に大きく影響を受けるとただいま伺ったところでありますが、本県の当初予算の推移と地方団体が予算編成の目安とする地方財政計画の伸びとの比較はどうなっているのでしょうか。平成元年度を基準年として、知事就任時、ピーク時及び平成18年度当初予算との比較についてお示し願いますとともに、その分析結果、評価についてもあわせてお示し願いたいと思います。
〇時澤総務部長 本県当初予算と地方財政計画、平成元年を基準といたしまして平成7年度、そしてピーク時となった13年度、18年度を比較いたしてみますと、平成7年度は本県138に対しまして、地方財政計画131です。13年度本県ピークでございますが、161に対しまして、地方財政計画は142、18年度が本県132に対しまして、地方財政計画は131でございます。したがいまして、18年度はほぼ地方財政計画の規模と本県予算規模が同じ水準になっていると分析をしております。
 平成元年度以降の推移を見ますと、やはり国の経済対策に呼応いたしました公共事業の追加、それが平成4年度以降続きまして地方財政計画の伸びを上回る状況になったのではないかと考えております。特に平成9年度から13年度にかけましては、東北新幹線盛岡以北の本格工事あるいは県立大学の整備、こういった投資が重なったわけでございます。この間、そのような公共事業等の県債の発行に加えまして、また、地方財政対策によりまして発行されました財源対策債、あるいは地方交付税の代替措置とされました臨時財政対策債の発行によりまして県債残高が増嵩して公債費が伸びている。そのことが現在の財政の硬直化を招いていると分析をしているところでございます。
〇柳村岩見委員 次に、公共事業の重点化、特にも事業の選択と集中についてお伺いをいたします。
 これまでも花巻空港整備や大規模事業などについて議論がありましたが、私は角度を変えて何点か伺ってまいりたいと思います。平成18年度の予算編成方針は、歳入に当たっては自主財源の確保、歳出に当たっては政策評価等による徹底した選択と集中とのことであります。特に重点的に取り組む政策については別途お伺いすることとして、ここでは、公共事業における選択と集中についてお伺いをいたします。
 当初予算では、投資的経費が前年度比でマイナス19.2%と約2割の減となっております。盛岡駅西口複合施設整備事業が完成したという事情があるものの、公共事業全体でも前年度比較で167億円の減、マイナス13.7%となっており、しかも国直轄事業はほぼ前年度同額であるのに対し、補助事業マイナス15.3%、単独事業マイナス20%となっているところでございます。
 そこで、お伺いしますのは、行財政構造改革プログラムにおける投資規模の見直し、重点化についてであります。公共事業については、プログラムの目標であった30%削減を既に超えて42.5%減となっている最中であります。県民ニーズ等に的確かつ迅速に対応するため、一層の選択と集中を、そして限られた財源で、より効果的、効率的な整備を進める必要があるところ、平成18年度当初予算編成では、整備効果の早期発現に向けどのように選択と集中が図られたのでしょうか、お示しを願いたいと思います。
 また、汚水処理、道路整備、海岸分野において組織の一元化が進められてきたところですが、一元化の成果についてお示しを願いたいと思います。
〇竹内副知事 公共事業の重点化についてでございますが、平成18年度予算の編成方針といたしましては、まず、自立した農林水産業の担い手の育成を加速させるための生産基盤の強化を行うこと、それからものづくりを初めとする産業振興支援や安全・安心な地域づくりの実現のため、より効果的な社会資本整備への重点配分を行うこと、そして人口減少、少子・高齢化時代に対応して、これまで形成してきた社会資本ストックをより効果的、効率的に活用する取り組みを強化することというような基本的な方針を持っておりまして、緊急性、重要性の観点から事業間の優先性を厳しく総合調整した上で予算編成を行ったところでございます。
 具体的に申し上げますと、担い手への農地利用集積を加速し、自立した経営体の育成確保を図るとともに、生産効率の高い土地利用型農業を推進するために大区画圃場整備に重点的投資を図る。それから、大船渡漁港の整備など水産物供給体制の構築を集中的に行うもの、釜石港と国道283号仙人峠道路などの一体的整備によって、物流機能を高め産業の一層の振興を図ろうとするもの、それから、がけ崩れ危険箇所からの家屋移転など、つくるという大規模投資の概念から移転することにシフトすることによりまして、地域の安全をより早期に確保しようとする新たな取り組みなどを重点施策として盛り込んだところでございます。
 個別の事業箇所の選定に当たりましては、投資効果の早期発現を図るために、緊急性の高い継続箇所に重点投資をいたしますとともに、新規箇所の選択に当たりましては、公共事業評価に基づいて客観性を重視して厳選したところでございます。その結果、平成18年度の事業実施地区数は695カ所となっておりまして、前年度の799カ所に対して104カ所を縮減いたしまして重点化、集中投資化を図ることとしたところでございます。
 それから、汚水処理、道路整備、海岸の分野における組織の一元化の成果についてでございます。
 汚水処理につきましては、公共下水道、農業集落排水、浄化槽などの事業全体の調整が円滑になりまして、それぞれの手法を適切に組み合わせたりPFIを導入するなど、より効率的な整備ができるようになってきております。それから、国庫補助事業の手続が一つのセクションで完結いたしますことから迅速な事務処理が可能となっております。
 道路事業につきましては、国県道や、農道、林道事業間での一体的調整がより円滑になりまして重複投資が避けられるようになったほか、道路交付金制度を活用して農道に市町村道整備を導入するなど、道路ネットワークの総合的な構築が効率的にできるようになってきております。
 海岸事業につきましても、所管省庁の異なる海岸施設の事業計画の調整が迅速にできるようになっておりまして、それからすべての海岸施設について巡視や監視を一元化するなど、統一的な維持、管理ができるようになってきております。
 平成18年度からはこの一元化の効果がさらに発揮できますように、現場業務を担う振興局におきましても組織の一元化を進めることといたしております。
〇柳村岩見委員 ただいまの一元化の成果というところでありますけれども、個々の分野における事務、あるいはまた、執行上の迅速にできるという、そういう個々の成果もお聞きしたところでありますけれども、全体としてこうなったという話について、そういうことが語れるような一元化の最終的な姿というものが願われるところであります。早い時期にその成果をお聞きしたい。限られた財源でより効率的な整備のために一元化が進められて、ただいまのような答弁でございます。
 私見をちょっと述べさせていただきたいのですが、選択と集中といったこういう場合、所管部局や事業分野を超えた重点配分ということで、単なる公共事業のシェアの見直しという手法ではなくて、真の意味での選択、集中が図られることにならなければならない、こう思うところであります。今後、公共事業の規模がさらに落ち込むことも想定され、また、後期実施計画の策定に着手していくわけでありますが、投資すべきところはきちんと投資するという考え方があってしかるべきだと考えるところであります。しかも、部局主体の予算編成手法から全庁的な政策優先方式の予算編成に移行していくと、こう言われているところであります。本県の社会資本整備のあり方、ビジョンなどについてはいま一度議論が必要である、このように思うところであります。私は、選択と集中の成果として、一元化のまた成果として多くの県民が願っている花巻空港ターミナルビルの早期着工の財源確保などにつなげていく必要があるのではないか、こう思うところであります。そういう意味でこの議論が一層必要と、このように申し上げているところでございます。
 次に、義務的経費の状況についてお伺いをいたします。
 平成18年度当初予算の歳出の内訳は、その性質別に見ると、人件費や公債費などの義務的経費の割合が50.2%と、前年度48.4%から1.8ポイント上昇し、一方、投資的経費の割合は、前年度の22.6%から19%に3.6%減少しています。財政運営の弾力性などを示す義務的経費の比率が50%を超えるということは、かなり財政運営が硬直化していると言えますが、当初予算編成の中で、健全化に向けた努力はどうされたのか、また、義務的経費の割合が50%を超えた主な要因についてお示しを願いたいと思います。
〇時澤総務部長 義務的経費の割合が上昇しました理由でございますが、まず第1点目に、公債費が増嵩しているということでございます。2点目としましては、予算規模が縮小しているということです。マイナス予算でございますので分母が小さくなっているということがございます。この義務的経費の上昇につきましては、やはり財政運営の弾力性を損ないまして、政策的な経費への配分を制約するということになるわけでございますので、可能な限り低下させていくことが望ましいと考えております。このため、平成18年度の予算編成に当たりましても、職員数の縮減、あるいは管理職手当の支給額の減額など、総人件費の抑制に努めたところでございます。
 今後も、組織・職員体制のさらなるスリム化を進めるとともに、プライマリーバランスの均衡を維持しつつ、県債発行額を調整しながら、公債費の圧縮に努めていきたいと考えているところでございます。
〇柳村岩見委員 私はここで、一般企業に例えればという議論をしたい衝動に駆られるところであります。しかしながら、県と一般企業の比較はできませんよ、こういう論もあるのでありましょう。
 予算編成の財源が不足して予算規模が小さくなると義務的経費の率が上がることは当然であります。予算の半分以上が義務的経費に使われるという状況は、県政運営上、尋常な姿ではない、私はそう思います。県庁内の理屈や予算編成環境が幾らあるにいたしましても、県民には理解しにくいことの一つであると思うところであります。県民に丁寧にこの部分が説明される必要があると思いますけれども、知事、予定はなかったのかもしれませんが、お伺いしたいと思います。
〇増田知事 今、東北各県の義務的経費、平均ですと大体、来年度予算で48.7%と大変高くなってきていまして、どこも同じような、公債費の増嵩と予算規模の縮小という悪い循環の中でそういう姿になってきています。
 議員お話のとおり、決して健全な姿ではありませんで、やはり政策的な経費に柔軟に対応できるような部分をできるだけ確保したいという思いがございまして、今後なお一層、できるだけ総人件費などの固定的な経費の削減に取り組んでいって、そして、真に必要な政策を実施するための予算の確保に一層取り組んでいきたいと。プライマリーバランスの黒字化を達成するということも、その上で大事なことでありますが、その上で、内容をよく吟味して、そして、いい予算編成につなげていきたいと考えております。
〇柳村岩見委員 次に、ただいま答弁にもございましたプライマリーバランスの黒字達成についてお伺いいたします。
 平成18年度当初予算編成に当たっては、二つの制約条件のもとに行ったとのことであり、その一つは、主要3基金に頼らない財政運営、もう一つが、プライマリーバランスの均衡達成、いわゆる黒字化であります。
 プライマリーバランスの均衡達成、黒字化は、県財政の県債依存構造、いわゆる借金依存構造からの脱却ということであり、ふえ続けてきた県債残高が減少に転ずるということであり、財政構造の健全化へ方向が変えられるものと評価するものであります。しかし、このことは、黒字化が引き続き達成されなければ、せっかくの財政の健全化に向けた努力も無に帰するものであります。
 そこでお伺いいたしますが、今後も引き続きプライマリーバランスの黒字が達成できるのか、その見通しについてお示し願いたいと思います。
〇時澤総務部長 平成18年度予算で初めて均衡、黒字化ということを達成できるわけでございますが、19年度以降につきましても、引き続き県債発行額を抑制することといたしておりまして、また、平成19年度以降の財源不足に対応するために財源対策として追加発行する、こうした場合におきましても、プライマリーバランスの範囲内、均衡の範囲内とする考え方でございまして、プライマリーバランスの均衡、黒字化は、継続して達成できるものと考えております。
 ただ、地方財政対策の状況によりましては、例えば、現在も交付税を削減して臨時財政対策債の発行というような手法をとっておりますので、地方財政対策の状況いかんによっては、県債発行額の増額を余儀なくされる可能性もございます。したがいまして、国に対しては、安易に地方債の発行による財源対策を行わないようにという観点からも要望していく必要があるのではないかと考えております。
〇柳村岩見委員 次に、決算審査を前倒しした効果と当初予算編成への反映についてお伺いいたします。
 平成16年度決算については、例年12月に行っていた決算審査を昨年10月末から11月初めにかけて前倒しをして行いました。決算認定に当たっては、一般会計歳入歳出決算附帯意見を付して認定されたところでございます。
 そこで2点お伺いいたします。
 この附帯意見を踏まえて各種の取り組みを進めて対応されたものと存じますが、施策の重点化や県政の諸課題に対する解決への取り組みなど、決算審査を通じて整理されたものと解しますが、決算審査が前倒しされたことについてどのように評価しておられるでしょうか、お示し願います。
 また、平成18年度当初予算編成に当たって、施策の重点化や県政の諸課題に対する解決の取り組みなど、どのように反映されたのか、具体的にお示し願いたいと思います。
〇増田知事 今回、決算審査を前倒ししていただきまして、県議会の御協力もいただきまして1カ月ほど早く審査をしていただきましたので、この結果が早期に示されましたので、私どもの平成17年度の事業執行、そして18年度の予算編成に、これまで以上にその内容を反映できたというふうに考えておりまして、大変意義深いと思っております。
 その審査の過程に当たりまして、平成16年度決算に係る附帯意見というものがつけられたわけであります。この附帯意見あるいは決算審議における論議というものを真摯に受けとめて当初予算編成に当たったところでありますが、その内容として、本格的な分権型社会の到来、人口の減少、少子・高齢化等を見据えた持続可能な財政基盤と効率的な行政執行体制を構築するように、このことを踏まえて平成18年度予算編成に適切に取り組まれるように、こういう内容でございましたので、私ども三役、各部局長を構成メンバーとする政策評価・推進会議で、今いただきましたような附帯意見を踏まえて、十分な論議を行って予算化をしたということであります。
 具体的には、そうした内容でございましたので、重点的に取り組む政策分野として、自立の基礎となる力強い産業振興、それから人口減少社会への対応といったような内容についてその中に盛り込んだところでございまして、私どもとして、その論議ないしは附帯意見の内容を平成18年度予算の中に可能な限り盛り込ませていただいたところでございます。
〇柳村岩見委員 ここに認定第1号に対する決算特別委員会における附帯意見がございます。この附帯意見をよく見ますと、改めて今読み返してみますと、大変当局に配慮したような内容にも思われると今思っております。
 しかし、この附帯意見は、またよくできております。後段の方に、顕在化する県政の諸課題の解決に取り組むとともに、県民福祉の維持・向上に一層努める必要がある、このように結んでおります。前段の方の御対応について、知事が今答弁をされました。最後の部分への取り組みは触れませんでした。これは、この附帯意見のよくできているところで、このことの予算に対する反映というものがいろいろと議論されるところであり、また、その予算に対する評価が分かれてきていると思います。どうぞ、今後とも御努力いただきますように、私はそういうふうに思いました。
 次に、政策推進枠の200億円についてお伺いします。
 40の政策を推進することを目的に、平成15年度から単年度50億円の予算枠をあらかじめ確保し、4年間で総額200億円をより重点的・効果的な予算編成に努めるために措置してきたところでありますが、平成18年度当初予算は、仕上げの予算という観点から、特に重点的に取り組む政策にどのように反映されたのでしょうか、4カ年の総括も含めてお示し願いたいと思います。
〇増田知事 政策枠200億円についてでありますが、まず、平成18年度の予算編成の対応としては、産業の振興と地域を支える人づくり、人口減少社会への対応、地域力の発揮、こういった大きく四つの分野に分けて、そこに50億円を重点的に投資したところであります。
 産業の振興については、この場でも何度か申し上げましたけれども、特に自動車関連産業を中心としたものづくり産業、それから農林水産業などの強化ということで、事業費ベースで対前年度比35%ほど増とさせていただいております。
 地域を支える人づくりにつきましては、産学官ネットワークによるものづくり人材育成ですとか、あと、農業の方では、今、担い手育成の事業を進めていますが、そうしたことを含めてでありまして、対前年度比で、これも事業費ベースで48%増の予算としております。
 それから、人口減少社会への対応でございますが、これは子育て支援の充実、そのための環境整備、それから女性の就労と子育ての両立が図れるような雇用環境の整備といったようなことが中心でございまして、こちらは対前年度比18%増。
 それから、地域力の発揮につきましては、地域コミュニティーが、環境活動ですとか介護や防犯などの分野で力を発揮できるようにということで、これも、数字としてはごくわずかですが、対前年度で増額を図っているところでございまして、それぞれ4分野にめり張りをつけたところであります。
 4年間の総括でありますが、平成18年度まで4年間で予算化いたしましたものは190億円余ということになっております。これを部局横断的な視点で40の政策に掲げる七つの重点施策に集中的に投入したところであります。
 評価については、議会の方で申し上げましたが、平成16年度実績の評価をいたしまして、全体としてまだややおくれている、こういう政策評価でございましたので、平成18年度は、この40の政策実施の最終年度でもあるということで、そのおくれている部分を中心に事業を進めていくことにしておりまして、18年度にしっかりとした進行管理を行いまして、着実に目標を達成できるように取り組んでいく考えでございます。
〇柳村岩見委員 平成18年度当初予算について、私なりに東北各県の資料を集め、3点について単純に比較してみました。
 本県と青森県が5年連続のマイナス予算、山形県、秋田県が平成17年度まで4年連続マイナス予算でしたが、平成18年度当初予算は増、宮城県は2年連続マイナス予算、福島県は3年連続マイナス予算をプラスに転じ、再度、平成18年度にマイナス予算となっております。
 また、過去5カ年度分の伸び率の平均を見ますと、本県がマイナス3.9%、青森県がマイナス4.4%、秋田県マイナス2.6%、宮城県マイナス0.8%、山形県マイナス3.5%、福島県マイナス2.9%、こうなっております。減少率では、本県は青森県に次いで2番目に大きい状況にあります。
 義務的経費の割合については、東北各県とも同じような水準にありますが、50%を超えているのは山形県の50.0%と本県の50.2%のみとなっております。
 県民1人当たりの地方債残高の比較では、平成16年度普通会計決算ベースの数値で見た場合、本県は多い方から全国で3番目であり、東北ではトップという状況にあります。
 これらのことから、私は、都道府県財政が一層厳しさを増すということの予測に対し、本県がおくれをとった県ではないのかと考えるところであります。
 知事は、中央を初め24団体もの会長や座長などの要職にあり、情報収集機会も多々あったんだろうと思いますが、議院内閣制における政府中枢からの情報が不足していたのではないでしょうか。所感をお聞かせください。
〇増田知事 今、議員の方からお話がございましたとおり、財政状況が本県におきましては大変厳しい状況にあるわけであります。したがいまして、今後、本県の税収などのいわゆる実力ベースでの歳入規模に見合った財政運営への転換をしていかなければいけないのではないか、そして、選択と集中による歳出の徹底的な見直しをしていく必要がある、こういうふうに考えてきたところであります。
 こうした政策の選択と集中などを行うに当たりましては、国の政策の方向性、それから経済社会情勢の変化、また県民ニーズの動向等を的確に把握する必要がございまして、そのために、県内のみならず、県内外を含め、さまざまな方面から情報収集を積極的に行うことが重要であると思います。
 そうした考え方に立ちまして、私自身も、政府を初めとして多方面からの情報収集を積極的に行ってまいりました。職員に対しても、日ごろから幅広い情報収集を行うように指示してきておりますし、また、これは今後なお一層必要なことでありますので、特に国の政策の方向性につきましては、こうしたことを中心に、なお一層多方面からの情報収集に努力していきたいというふうに思っております。
〇柳村岩見委員 次に、産業振興についてお伺いいたします。
 夢県土いわての実現に向け、本県の持つ強みに限られた資源を集中的に投入し高い成果を上げていくこととして、四つの重点的施策を掲げ、その施策の第1は産業振興とされました。
 県全体の予算規模が落ち込んでいかざるを得ないという極めて厳しい財政状況下にあって、特に意を用いたところであります。自立した地域社会を実現していくためには、自立した経済基盤を構築する必要があり、自動車関連産業を核としたものづくり産業の集積促進は、本県の産業振興、経済活性化を推進するためには、逃すことのできない大きなチャンスであると思います。
 県内民間企業に対する支援や企業誘致、県境を越えた連携、新たに地域産業の核となるような企業や工場の進出を促進するための大型補助や融資、課税免除など強力な支援を行うとされ、大きなチャンスを物にする意気込みが強く感じられるところでございます。
 これに対して、農林水産業から食品製造業や外食産業、観光産業などの関連産業までを一つの食産業と考えた場合に、戦略的な食産業振興支援を構築していくという点については、これまでの取り組みをどのように変えていくのかよくわかりません。戦略的な食産業支援を構築するということではなく、さらに一歩も二歩も進んだ取り組みが求められていると思います。
 そこでお伺いいたしますが、本県の食産業振興の具体的戦略はどうなっているでしょうか。また、戦略を生かす戦術がどのようになっているかをお示し願いたいと思います。
〇増田知事 岩手の農林水産物ですけれども、そうした農林水産物やその加工食品の価値というのは、市場で高い評価を得ていると思います。大変いい評価を得ているんですが、それらの評価が必ずしも食産業全体のブランド化につながっていませんし、生産者などの所得向上にもうまく結びついていない、こういうふうに思っております。
 その原因は何かといいますと、生産から加工、流通に至るまでの産地としての一体的な取り組みが弱いということ、それから、例えば中抜きと言われるような流通形態の変化に的確に対応できていないといったような問題点があると思っております。
 そこで、こうした状況を踏まえて、1次産業から2次、3次産業までのやはり横断的な連携の強化を図っていく、そして生産者と加工事業者とが共同で取り組んで新たな商品開発をしたり、大手のスーパー、外食産業、それから観光事業者などとの直接取引による販路の拡大、収益の向上といったようなことも今後さらに必要になりますので、そうしたことによる食産業全体の高付加価値化を実現したい、これが大きな戦略になっております。
 そのための具体的なやり方なんですが、まず、推進体制として、庁内に部局横断のチームをつくって、さらに、それに産学官、あと金融、産学官金連携のネットワークを構築していきたい。そして重点的、それから息の長い支援をしていきたいと思っております。
 具体的に、今申し上げましたようなネットワークのメンバーを軸として、一定規模以上の成長が期待できる地場産業の販路拡大に意欲的に取り組んでいる生産者などを対象に、密着して改善指導や優良企業との取引支援を行っていったり、あるいは研究開発支援でございまして、これは原材料の取引支援や健康食品などの研究開発、そうしたこと、それから企業誘致などで食産業クラスターを形成したり、それから各地域で振興局や市町村が支援している新しい食産業の芽というものがありますが、その事業化支援をしていったりと、幾つか柱を考えておりますが、そうしたネットワークを中心とした事業の展開を図ることによりまして、ぜひとも最終的には生産者の所得向上などにつながるような食産業振興というものを確立していきたいと考えています。
〇柳村岩見委員 この分野の事業推進に期待しておきたいと思います。
 次に、行財政構造改革プログラムについてお伺いいたします。
 平成15年度から18年度までを集中改革期間として、現在の行財政構造改革プログラムが策定され、知事先頭に鋭意取り組まれてきたところでございます。特にも、平成18年度はプログラムの最終年度として総仕上げの年度とされております。
 そこでお伺いいたしますが、取り組みの現状等についてはおおむね計画どおり進めてきたとされておりますが、多額の財源不足が見込まれる状況の中で、目指した安定した行財政基盤の構築と質の高い行政サービスを提供できる行政経営体への転換という点について、本当に、おおむね計画どおりと評価されるのでしょうか。
 また、昨年10月には、平成19年度から22年度までの県財政の中期収支見通しの試算結果が示され、これまでの行財政構造改革プログラムの取り組み以上の取り組みが必要だとされました。しかし、これまでの成果を踏まえると、新しい行財政構造改革プログラムの策定に当たっては、これまでの取り組み以上に成果が期待できるものが、果たして出てくるものでしょうか。
 平成18年度に策定予定の新しいプログラムについて、その基本的な内容と作成スケジュールについて、あわせてお示し願いたいと思います。
〇増田知事 まず、現在の行革プログラムの関係でございまして、これは内容は、今、委員のお話がございましたとおり、安定した行財政基盤の構築という部分と、より質の高い行政サービスを提供できる行政経営体への転換、この二つの内容になっております。
 前半の安定した行財政基盤の構築という点ですが、これは、まず歳出につきましては、職員の削減、給与の減額措置などで人件費を抑制する、それから大規模事業などの見直しをして投資的経費の抑制などに取り組みまして、この4年間で2、000億円を上回る削減というものを実施したところでございます。削減目標額を大幅にこの数字は上回っております。
 この間、大幅な地方交付税の削減等がございましたので、歳入の確保の方については目標額に達していませんが、先ほど申し上げました歳出削減の努力などによって、平成18年度に初めてプライマリーバランスの黒字化ということで、安定した行財政基盤の構築に向けて一定の成果を上げてきていると思っております。
 また、質の高い行政サービスの提供ということですが、こちらは、公共施設への指定管理者制度の効果的な導入や電子県庁の構築、それから大学、工業技術センターなどの独立行政法人化などによりまして、できるだけそうしたことによって、県民サービスの質的な向上に取り組んできたところでございます。
 こうしたことを踏まえまして、プログラムの進捗状況としては、全体としておおむね計画どおり進んでいる、このように考えているところでございます。
 次に、平成19年度以降につきましての新しい行革プログラムの関係でございますが、これは、具体的には今後の策定作業によるところになるわけですが、国の財政対策に左右されない、まさに実力ベースの歳入規模に見合った歳出規模にしていきたい、こういうことを念頭に置いております。
 したがって、当面の目標として予算規模7、000億円程度、それから体制としても、知事部局職員4、000人程度の体制、こういったことで進めていきたいと思っているわけであります。
 やはり、プログラムをつくるに当たりましては、具体的に本県がどういう地域社会を目指していくのかという目指すべき地域社会の姿、ビジョンを議論することが大事でありますので、そういったことをしっかりと行い、また、担い手としての地域のNPOなどとの官民協働の力強い枠組みといったものを構築していく必要がございます。これから、そうしたことも含めましてしっかりと中で検討してプログラムを作成していきたい、また、その中で、カイゼンによる行政コストの徹底した削減ということにもさらに取り組んでいきたいと思っております。
 スケジュールでありますけれども、こうした今申し上げましたような策定作業が必要になりますので、しばらくお時間をいただきたいと思うわけでございますが、国の方で各自治体の方に中期地方財政ビジョンというものを取りまとめて示すと、これは、今年中に国の方でもこうした中期地方財政ビジョンを示すということになっております。その策定も踏まえて、今年中に私どもの行革プログラムの方については骨子を取りまとめたい、そして、プログラム全体につきましては、これは平成19年度の政策的な経費を盛り込むのが6月の補正予算ということになりますので、6月補正予算を踏まえて確定・公表することが適当であると考えております。
〇柳村岩見委員 次に、退職手当の見通しとその対応についてお伺いいたします。
 戦後の第1次ベビーブーム世代、いわゆる団塊世代は、1947年から1951年生まれとする、出生数で1、253万人と言われ、県内では約7万人、知事部局の職員数という形で見た場合は約600人と言われております。戦後、我が国経済の発展を支えてきたこれらの世代の方々は、ここ数年間に多くが定年退職の時期を迎えることとなり、本県知事部局等の職員、警察職員及び教育委員会の教職員なども例外ではございません。
 そこでお伺いしますが、平成18年度から22年度までの間に、どの程度の退職者が見込まれ、その所要額はどの程度見込まれるのか、お示し願いたいと思います。
 なお、この間は、義務的経費が高い水準にあって、厳しい財政状況が引き続き見込まれるという状況と思いますが、退職手当が増加する平成18年度や19年度以降の年度において、どのような財源対策を行っていくのか、あわせてお伺いいたします。
〇時澤総務部長 まず、平成18年度の退職手当でございますが、705人程度を見込みまして161億円余を計上いたしております。平成19年度以降の退職者につきましては、定年退職者は年齢により見込みを立てやすいことがございますが、勧奨退職、普通退職につきましては正確に見込めませんが、年齢構成から概算して積算いたしますと、平成19年度744人、184億円余、20年度が727人、178億円余、21年が653人、149億円余、22年が668人、153億円余、この程度の額を見込んでおります。
 今回の地方財政対策におきまして、団塊の世代の大量定年退職に伴います退職手当の大幅な増加に対応しながら、将来の人件費の削減に取り組む地方公共団体を対象にいたしまして、地方財政法第5条の特例として退職手当債が措置されております。このことから、平成18年度予算におきましても、本県では、今後の定数縮減の取り組みを踏まえまして、退職手当債30億円を計上いたしております。
 今後、退職者が増加し、多額の退職手当を必要とする場合には、当該年度の財政状況、あるいは将来の収支見通しを勘案しながら、退職手当債の活用を図っていきたいと考えております。
〇柳村岩見委員 時間がなくなってきたので、前に進みます。次に、道州制についてお伺いします。
 去る2月28日、第28次地方制度調査会における道州制のあり方に関する答申が発表されました。これは、平成16年3月1日に内閣総理大臣から道州制のあり方について諮問がなされ、同年11月8日の総会で道州制に関する論点メモを取りまとめるなど、総会5回、専門小委員会21回、地方意見交換会4回開催と、多くの議論を費やして今回の答申に至ったものでございます。
 道州制は、広域自治体のあり方を見直すことによって、国と地方双方の政府を再構築しようとするものであると考えます。都道府県制度は、約120年にわたって構成と区域を維持してきましたが、都道府県は、人口減少・超高齢化社会の到来など、最近の社会経済情勢の変化に対応が可能か、今後、一層の地方分権改革の担い手としてふさわしいものかどうか、そのあり方が問われているものと考えます。
 これは、市町村合併が進んで基礎自治体の形成が進んだことや、都道府県を超える広域的な行政課題が増大してきたこと、広域自治体としての規模・能力が整うならば、国から移譲することが望ましい事務が多く、地方分権改革の確かな担い手となり得ることになるものと理解するものであります。
 そこで、全国知事会道州制特別委員会に所属する増田知事にお伺いいたします。今般の第28次地方制度調査会、道州制のあり方に関する答申について、知事の所感をお示し願いたいと思います。
 あわせて、この答申を受けて、今後、本県はどのような取り組みを進めていくのでしょうか。これまでの取り組みの成果を含め、お示し願いたいと思います。
 それとともに、道州制を唱えている知事にとって、都道府県の存在をなくすという制度論の中で知事を務められているということに対して、知事に所感があれば、お聞かせ願っておきたいと思います。
〇増田知事 まず、道州制の今回の地方制度調査会の答申についてでありますけれども、この答申を読みますと、この道州制について、地方分権の視点から、地方分権の立場に立って、広域自治体改革のあり方として国と地方及び広域自治体と基礎自治体の役割分担の見直しを基本としている。その地方の中での広域自治体と基礎自治体の役割分担を行った上で、広域自治体として道州を位置づける。こういう形になっておりますので、従来の私の考えと、その基本的な方向性は、軌を一にしているのではないかと判断しております。道州制について、御案内のとおり、立場によりましては、中央の集権をさらに強化するための道州制といった考え方もございますので、今回は、そうではなくて、地方分権の視点からの道州制という答申に至っておりますので、その点は軌を一にしていると考えております。
 一方で、今回の答申でありますけれども、国から地方への大幅な権限の移譲が前提となるわけでありますので、そういたしますと、当然、中央省庁の組織や権限の再編についても、やはり同じ答申の中でしっかりと方向性を明らかにした上で制度が構築されなければ意味がないと思っておりますが、残念ながら、その点については、今回、答申の中に具体的に何ら盛り込まれていないということでございまして、この点については、大いに不満が残るものとなっております。
 したがいまして、こういった地方制度調査会の答申、道州制の導入が適当であるという答申になっておりますが、その推進そのものに対して、国、特に中央省庁は大変抵抗を示すのではないかと思うわけでございますし、場合によっては、中央の権限が強くなるような形にもなりかねないこともございますので、今後の国の動きには十分注意をしていかなければいけないと考えております。
 それから、こうした答申を受けての本県の取り組み、あるいは知事の所感ということでありますが、まず、全国知事会の場で、こうした答申を受けながら全国の知事がこの問題をどういうふうに考えるのかという議論を今行っているところでございまして、今月、あるいは夏までに、また何回かその議論を行うこととしております。特に都道府県、広域自治体のあり方について、その中でよく議論を行っていきたい。
 本県でも、こういう地方制度調査会の答申が出ましたので、県内で、県民の皆さん方や市町村、それから民間団体を対象に、できるだけ意見交換の場をつくりまして、そして、こうした道州制や広域自治体のあり方について、皆さん方がどのようにお考えになっておられるのかということを率直に意見交換する場をつくり、議論を積み重ねていきたいと考えております。
 そして、やはり県が、今、経済が大変グローバル化しておりますし、また、国と地方の二重行政を廃して、できるだけ効率的な体制で行政を執行していかなければならないということもございますので、こうした道州制議論の方向性というものをしっかりと見定めながら、県民の皆さん方に考え方を提示して、そして検討を進めていくということが必要であり、また、それが知事としての私の役割ではないかと考えているところであります。
〇柳村岩見委員 次に、2巡目の岩手国体についてお伺いいたします。
 国体開催にかける意気込みとスポーツ振興に関する考え方について、先般の一般質問において、同僚・千葉伝議員の質問に、知事は、本県への国体開催誘致について、その方向性を出していきたい旨の答弁をされたところでございます。また、先般のオリンピックに本県出身者の参加がなかったことの話題にも触れながら、最近の国体など全国大会において成績が低迷していることについて、まことに残念であると答弁されたところであります。
 トリノオリンピックで日本唯一の金メダルを獲得した荒川選手は宮城県出身、チーム青森とスポーツ紙をにぎわしたカーリング女子選手たちの活躍と、隣県出身者やチームの活躍を見るたびに、本県スポーツ振興について、もっとてこ入れをすべきと、その必要性を感ずるのは私一人ではないと思います。当然、県体育協会会長でもある知事も、同じ思いであると存じます。
 次期国体開催への取り組み状況については、教育長からも答弁がありました。日本体育協会での国体運営の簡素効率化など、さまざまな改革の取り組み、北東北3県での広域開催や近接県の競技施設の活用可能性、財政状況の見通しなど総合的に勘案してその方向性を出していきたいとしていますが、2巡目となる岩手国体について、改めて知事にお伺いをいたします。
 一つには、35年前の開催となった昭和45年の岩手国体について、知事は岩手県におられなかったと存じますが、この45年の岩手国体について、知事の所感があれば伺っておきたいと存じます。
 また、知事の2巡目の岩手国体への考え方について、あわせてお伺いいたします。
〇増田知事 まず、国体についてですが、昭和45年の岩手国体についての所感であります。
 この昭和45年の岩手国体でありますが、スローガンが、誠実・明朗・躍進、こういうスローガンでございまして、140万の県民が一丸となって開催された国体である、そして輝かしい成績と幾多の感動を残して、大成功のうちに終了したということでございまして、はっきりと岩手県史に刻まれる大変大きな出来事でございました。
 この岩手国体の大成功が、県民の自信と誇りにもつながりましたし、また、県内各地におきましても、社会資本整備もこのことによって著しく進みました。国体道路を初め、各地域でさまざまな社会資本の整備が進められたわけでございまして、その後の県勢発展に大変大きく寄与したと考えております。
 それから、2巡目国体の開催についてでありますが、これは、もちろん本県スポーツの振興に大きく寄与するものでございますし、また、その中で本県出身選手が活躍することによって、県民に夢と感動を与えるものでございますし、何といっても郷土意識の高揚に大きくつながっていくものでありますので、これは本会議の方でも申し上げましたけれども、その開催について、今、県民の皆さん方の意向なども調査してございますし、そうしたことを踏まえながら、平成19年度の早い時期に、本県への国体開催誘致の方向性を出していきたいと考えております。
〇柳村岩見委員 私が、今回の平成18年度当初予算に対する総括質疑において2巡目の岩手国体のことについて取り上げましたのは、昨今の都道府県財政から見て、国体開催は各県にとって重荷になっているのではないか、そのことについて全国知事会等においても議論があったんだろうと思うところであります。その中で増田知事は、改革派知事として、新しいことが好きで、新しい国体開催スタイルについて先導的役割を果たしていきたいと考えておられるのではないかと心配するところであります。
 平成16年度決算特別委員会でも質問いたしましたが、先ほど知事から御答弁いただきました昭和45年の岩手国体の成功から得た県民の誇りと自信は、はかり知れないほど、その後の岩手発展の原動力となっていると私は考えております。教育委員会では、開催連携と施設利用等について隣県に聞いているということでありますが、改革の余り、岩手県民の自信や誇りという尊厳を失うような国体のあり方であってはならないと考えております。
 再度になりますが、知事の所感をお聞かせください。
〇増田知事 次の国体の開催のあり方でありますが、大きく分けますと、一つは施設をどうするかという問題と、あと選手の強化策をどうするか、この二つの問題があると思っております。
 今、2巡目国体の開催につきまして、施設面では、アンケート調査等も行いましたので、できるだけ既存の競技施設を活用するということを基本に対応していきたいと思っておりますけれども、既存の施設でどうしても対応できない場合ということも考えられるわけでございまして、その際には、いろいろな対応の方法がございます。県として、それを新たにまた新設するということももちろんあるわけでございますが、近接県の競技施設を活用するということもありますし、また、広域開催の可能性といったこともございます。
 そうしたことなどについても視野に入れながら、それから、開会式のあり方も、日体協の方で大分改革をして、屋内でも構わないといったようなことが方針として出てきていますので、また開会式のあり方、さらには県の財政状況の見通しなども総合的に勘案して、開催の方向性を出していきたいと考えております。
 それから、選手強化の方ですけれども、今のうちから選手の強化策を、これは着実に進めていく必要がございますので、科学的見地からのトレーニング方法を導入しながら、ジュニア期からの一貫した指導体制の確立を図っていくこととしております。また、スポーツ医・科学の分野が大変進んでまいりましたので、そうしたスポーツ医・科学サポートシステムというものをつくり上げまして、その上で優秀な競技者を育成する仕組みづくりを進めていかなければならない、これは、早くそうした方向に切りかえていかなければならないと思っております。
 いずれにしても、平成19年の早い時期に国体開催誘致の方向性を出していきたいと思っておりますが、それまでにも、そしてその後も、今申し上げました点をよく考えながら、私、冒頭申し上げましたけれども、できるだけ県民の自信と誇りにつながるような国体にしていきたいと考えております。
〇柳村岩見委員 これにて私の質疑を終わりたいと思います。残余の時間につきまして、会派の先輩議員に譲りたいと思います。
 御答弁ありがとうございました。(拍手)
〇伊沢昌弘副委員長 自由民主クラブの持ち時間が残っておりますので、次に、佐藤正春委員。
   〔佐藤正春委員質問者席に着く〕
〇佐藤正春委員 知事、今のお2人の同僚議員の質問を聞いたですか。いい質問だよ。やっぱり議員さんたちというのは、みんな県民から身近に聞いたものを議場で質問しているんですから、よく心して聞いてもらわないと困りますよ。
 そっちの幹部の皆さん、ひな壇に座ったからといったって、おひな様じゃないんだから、ちゃんと聞いてくださいよ。いいですね。
 私は、おかげさまで今期でもって議員をリタイアします。6期24年間でございましたけれども、体力の限界もありますし、ただいまの委員たちの立派な質問を聞いて安心しています。それに比べて、当局の答弁のがおってること。全然話にならん、これは。
 私も、やめるに当たって、同僚議員あるいはマスコミ、県民の皆さんから聞きました。なじょだった、おれの24年間はと聞いた。ああ、そうだな、まあ、おまえも一生懸命やって、議会のチェック機能も果たしたし、御意見番としてやってきた。合格点、60点と言われた。
 そこで知事、あなたは3期やって、自己採点して何点ですか。
〇増田知事 3期やっての自己採点というお話でございますが、まだ過去を振り返って採点する時期ではないというふうに思っておりますが、一生懸命前向きに課題に取り組む、そしてまた、その点につきましては、県民の皆さん方に、あるいは議員の皆様方に御判断していただきたい、このように考えております。今は、前を向いて積極的に課題に取り組むべき時期、このように考えているところでございます。
〇佐藤正春委員 やっぱりこの辺で少し真剣になってやってもらえば、民主党はもう推薦しないと言ってるけれども、自民党はやっぱり、これは推薦するかもしれないから、一生懸命やれば。だから、ひとつ頑張ってやってください。
 そこで、改革派の増田知事の下で県民がこぞって夢を託した夢県土いわて、これは県民2万5、000人が参画して、4、000件以上の意見、提言をもとにつくり上げた夢県土いわて。私は、これは当初からわかっているんですが、平成13年度予算も、今いろいろ話があったけれども、もう1兆円まで行くかなと思った。九千何百億円まで行ったんだからね。この夢県土いわてはどうなったんですか。
 給料を減じたり、職員を4、600人から600人を減らしたり、振興局の見直しは、これは政策じゃございませんよ、知事。これは知事の内政問題だ。これは政策じゃないんです。
 去る2月16日の知事演述では、夢県土いわての実現に全力で取り組むと、これは何ら具体的なものはありません、あの中には。前期、平成11年から17年が終わり、40の政策ではぐらかしていませんか。今、40の政策の説明があったけれども、ちょっと私はいただけないな。それはすりかえているのではないですか。
 私は過去、肉牛公社――先日ありました――盛岡競馬場、花巻空港をやっちゃいかんと、むだな拡張あるいは延長はいけませんよと反対してきた。さらに、西口ビルにも反対してきたわけですね。これは議事録をごらんになればわかります。私が知事をやった方がよかったんじゃないですか。今やっていることは、私が言ったことじゃないの。そうでしょう。私の言うことを聞いていれば間違いなかったんだ、本当は。
 自動車産業や企業誘致などは、具体的に予算のどこに夢県土の約束が入っておりますか。県民の提言4、000件はどこに入っていますか。県民にしっかとお示し願いたい。
 さらに、私は、この夢県土いわての財政的な見地、裏づけについても、当時の総務部長から聞いたところが、大丈夫だと、こう言っていた、当時、総務部長は。財政的裏づけは間違いありませんよと、これは承知していますね、知事。そういうことでございます。
 さらに、もう一つは、昨年11月、県では2006年以降の合併枠組みについて意見の交換がなされ、また2月17日には合併推進審議会が開かれ、八つの新たな枠組みを知事に答申することに決めたとあります。かなりの反対の声もあったが、鈴木平泉町長は、個別にヒアリングをして地域づくりの方向を確認すべきだ、こう言っているんですね。
 また、平成15年2月26日本会議の阿部富雄議員の質問に対し、市町村合併の枠組みは、市町村の自主性というものを最大限尊重することが一番大事なことでありますと知事は答弁しているんですね。さらにまた、先日の一般質問では、知事は、平成21年に一つの区切りとして第2段階の合併を積極的に進めると言っています。どっちが本当なんですか。
 平泉、文化の町のあり方、この点について知事はどう思っているか、まずお伺いしたいです。
〇増田知事 まず、40の政策、それから夢県土実現ということでのお尋ねの方でございますが、この40の政策ですけれども、これは、県の総合計画が夢県土いわてということを基本目標で掲げているわけですが、その中で、毎年度の予算編成や執行を通じて、実施計画に掲げている各種事業、それから40の政策に定める取り組みというのを今、県として実施しているわけであります。
 今、議員の方からお話がございましたが、この40の政策の中での考え方というのは、県の方で、当時、中期財政見通しというのを平成11年につくりましたが、やはりその後、財政環境が大変悪化、悪い方向に変わったということで、もう一度、平成15年に中期財政見通しの見直しをいたしました。その中で絞り込みをしたということになるわけですが、そういうことで、40の政策を今強力に進めている、こういう流れになっているところであります。
 特に具体的にお尋ねございました自動車関連産業などの取り組みでございますけれども、これは、そういう形で自動車関連産業の育成ということでは、これは基本計画に入っておりますが、現在の実施計画の中には、こういう形では掲げておりませんが、途中で、中期財政見通しの変更を踏まえてつくりました40の政策の中に盛り込んで、今、具体的な取り組みを進めているところでございます。
 それから、あと、そうした具体的な総合計画の中で取り組むべきもの、ほかにも多々掲げておりますが、そうした中で、財政的な裏づけということも考えながら、私どもとしては、40の政策の実現を図るということが、総合計画、すなわち夢県土いわての実現に向けた取り組みにつながっていくものと考えているところであります。
 次に、平泉の関係でありまして、今、お話ございましたとおり、平泉につきましては、先般の市町村合併推進審議会の中で、今の新しい一関市、それから藤沢町とともに両磐一体となる組み合わせ、こういう取り扱いになっております。
 私ども県では、この答申の趣旨をいろいろと見ましたけれども、この答申の趣旨を最大限尊重していくことがよろしいのではないかということで、今、パブリックコメントなどを行う手続に入っているところでございます。そうした手続や地域説明会を経て、この合併構想というのはつくっていきたいと思っておりますし、その過程の中で、平泉町長の方からも直接御意見をお伺いもしております。
 そこで、平泉町を含んでいる両磐地域、一関市、それから藤沢町を含んだ両磐地域というのは、平泉の文化遺産を初め、多くの観光資源を持っていますし、それから産業でも、自動車関連産業などのものづくりの共通基盤もあるということなものでありますので、全体として、ここを大きく共通の基盤ととらえて、そして、基礎自治体としての行財政基盤の強化を図っていくことが適切ではないかと思っております。
 また、今後、県として合併構想をつくった後に地域といろいろお話をする場を設けていきたいと思っておりますが、地域全体で合併についても真剣に議論していただきたい、私どももその中に入っていきたいと考えております。
〇佐藤正春委員 知事、夢県土いわてが、あれだけ我々も期待したんですよ、40にしぼんだんでしょう。40に繰り込んでいったんじゃないでしょう、しぼんだんでしょう。そこを間違えないでくださいよ。それによって今度、4期目にあなたが出るか、出ないか決まってくるんだからね、これは。この予算というのは、あなたの出馬の正否を決めるものですよ。
 じゃ、次。昨年12月16日、たまたま県立中央病院に入院中でございます、私ね。7時半、NHK番組、中国人医師招聘で医師不足解消を何気なく見ていたところ、おらほの増田知事の顔がぎゅっと出はってきた。そして、医師不足、特に産婦人科医不足を解消するために中国から医師を招聘することになった、こう放送された。あれれと思った、私は。大丈夫かなと思った。続くのかなと。増田式のパフォーマンスで終わらなければいいがなと私は心配いたしました。天下のNHKは、日本で初めての試みと大変な持ち上げようでございました。
 中国瀋陽市にある中国医科大学より招聘するわけですが、第1回目として高先生というベテラン医師で、日本語も達者な優しくて信頼のおけるドクターが2月18日に赴任されました。この大学では、現在、日本語教育をしている医師養成300人と報道されております。学長先生の談話では、レベルの高い日本との交流を深め、帰国したら大学の要職についてもらい医科大学のレベルを高めたい、こうおっしゃっております。岩手の医師不足に派遣するとは全然言っていませんでしたよ、このときね。
 そこで伺いたいことは、知事の一生懸命やっている努力は非常に評価しますが、一つ、高先生はどこの県立病院に赴任されるんですか。市民挙げて待っている花巻に赴任されるんですか。
 2、厚生労働省の担当官は医師不足の解消にはならないとコメントしております。
 3、東北大学の教授は、これからの課題だなと述べております。
 4、中国人医師は、岩手医師不足の戦力になるのですか。岩手医大では、私の調べでは、平成11年度から毎年1名ずつ中国人医師の受け入れを行っております。これとどう違うんですか。
 5、今後、毎年この医大から何人招聘し、県立病院に何人勤務することができるのですか。
 6、県医師会、関係団体の了解は得ているんですか。
 7、医大の人は画像にいたが、医療局の職員が同行していないのはなぜなんですか。
 8、医師法によると、日本の医師免許がないと診察ができないと。医師法の臨床修練の規定にのっとり、できるとの解釈の本県ではどのような仕組みになりますか。後で問題になりませんか。
 9、最後に伺うが、現在、県立病院に勤務している医師をしっかと厚遇して定着をすること、わかりやすく言うと、逃げ出さないようにするのが先決ではないでしょうか。知事は、本県医療行政の失敗を全国初のパフォーマンスですりかえているんじゃないですか。
 以上についてお伺いします。
〇増田知事 まず、今回の中国人医師、高先生ですが、この高先生を招聘して、どこの県立病院に赴任をされるのかということでありますが、今回の招聘は、臨床修練制度という、これにのっとって行ったものでございまして、医師法の特例として、一定の基準を満たした国の修練許可を得た外国医師が、日本国の指定する病院において実地で研修を行うことを認める制度がございまして、本県では、岩手医大の附属病院と県立中央病院が、その指定病院に指定されておりますけれども、その中で、本県唯一の医師養成機関であるということから、岩手医科大学附属病院で受け入れることにした、こういうことでございます。
 少し長く御説明申し上げましたが、したがいまして、どこの県立病院に赴任されるのかというお尋ねでございますけれども、この高先生ですが、岩手医科大学附属病院で受け入れということでございまして、直接的に県内の県立病院に赴任されるものではないということでございます。
 なお、今、委員の方から花巻のお話がございましたけれども、花巻につきましては、現在、開業医が1名になってしまっているわけですが、別途、4月から新しいお医者さんが開業準備をしておりまして、県の方でもそうしたことにかかわっているわけでございますが、本年の4月からは2名体制ということで産科体制の確保をしていけるものと見込んでおります。
 それから、番組の中で厚生労働省担当官がコメントをしていたということでございます。これは、臨床修練制度が、今申し上げましたように日本の医師免許を持たない外国人医師でありますので、受け入れ病院の指導医の実地の指導監督のもとで修練をするということでございますので、直接的な医師不足の解消にはならない、こういうコメントであったかと思っております。県では、こうした臨床経験も豊富な、できるだけ優秀な医師を入れて、両国の医師が臨床場面でお互いに交流をして切磋琢磨していくということが、医療環境の活性化につながっていきまして、そのことによって本県医療全体に好影響を及ぼす、こういうふうなことを期待しているところであります。
 あわせて、東北大学の教授の方からのコメントもあったということでございまして、この東北大学の教授のコメントでございますけれども、言葉や文化の違いなど研修や診療に際しての課題を指摘していたものと見ております。これに対しては、今回招いた医師が、世界でただ一つ日本語で医学教育を行っている中国医科大学の、なおかつ十分な臨床経験を有する優秀な人材ということでございまして、こういった点では、御指摘をいただくような懸念はないものと思っております。
 それから、この中国人医師は、これまでにも本県で受け入れを行ってまいりましたが、これまでの受け入れは、日中医学協会というのがございますが、そちらを通じた受け入れでありまして、特定のテーマの研究を通じて、相手国、具体的には中国ですが、中国側の医療水準の向上に寄与することに力点を置いて今まで受け入れてまいりました。したがって、テーマも特定のテーマという、分野を決めて、それでそこのテーマの研究成果を向上させるためにということで行ってきたものであります。
 今回の受け入れは、そうした従来のものとは異なっておりまして、臨床経験とか、今申し上げましたように、日本語能力などの要件を定めて、その上で優秀な人材を受け入れるということによって、医療分野の両国間の交流と、それから岩手医科大学の活性化がそのことによって図られて、そして、いずれ県内病院における産科医療の応援等に結びつく、このように考えて実施しているものでございます。
 それから、今後どういう計画で何人招聘するのかというお尋ねでございますが、高先生に引き続き、優秀な人材を中国医科大学には選考をお願いしているところでありまして、引き続き岩手医科大学の産婦人科や、さらにはお医者さんの足りない小児科においても、受け入れをいただくことを今考えているところであります。
 これが何人県立病院への勤務につながるかというお話ですが、これも同じく臨床修練制度の中で招聘いたしますので、直接的な県立病院での勤務にはならないと考えております。
 それから、医師会など関係団体とどういうふうに協議してきたかということでありますが、医師会へは、構想段階から今回のことをお話しいたしております。そして、医師会からも御理解いただいているところでありますし、そのほかにも、主な関係団体には、県の地域医療対策協議会の場で、事前にお話をし、御説明申し上げているところでございます。
 それから、画像の中で医療局の職員が同行していなかったというお話でありますが、今回の臨床修練制度が、県の――県といいましても、医療局も県ですが、県の保健福祉部の事業として実施する、具体的な受け入れが、岩手医科大学附属病院にお願いするということでありましたので、医療局の人間は参りませんで、県の中では保健福祉部の人間、そして医大の関係者が中国を訪問して調整をしたものでございます。
 それから、今回のこの取り組みですけれども、医師法による日本の医師免許はないわけであります。後で何か問題が起こるようなことはないのかということでありましたけれども、医師法の特例として、このようなやり方が認められております。指導医のきめ細かな実地の指導監督のもとで診療を伴う研修を行うということでありますので、医大側とも十分事前に協議をしておりますし、また、後々さまざまな問題が生じないように、厚生労働省とも十分に相談をしながら進めているものでございます。当然、今後とも適正な運用に意を用いていきたいと思っております。
 それから、最後に、まず逃げ出さないようにするのが先決で、本県医療行政の失敗をすりかえているのではないかというお話でございました。
 この医師の養成確保でございますけれども、これは大変大きな問題でございまして、今回のこういう中国人医師の招聘ということは、その大きな問題を解決する中では、その中の一つであると思っております。すなわち、そのほかに市町村の医師養成事業ですとか、それから、今臨床研修医を受け入れしていまして、ことし第1期生の2年間の研修が間もなく終わりますから、そういった受け入れ体制をより整備して、できるだけ多く県内に定着させるといったようなこと、あるいは、特に小児科、産婦人科の診療報酬の問題等、多々やらなければいけないことがございますので、そういった取り組み全般を今鋭意進めております。その中で、今回の外国医師の招聘も、岩手医科大学の活性化などによる環境改善に効果的なものとして取り組んでおりまして、そのほかのことも含め、総合的なこの問題への取り組みというのをさらにきちんと行っていきたいというふうに考えております。
〇伊沢昌弘副委員長 休憩の時間に入っておりますけれども、佐藤委員の質問を終了させたいと思いますので、御了解をいただきたいと思います。よろしいでしょうか。
   〔「はい」と呼ぶ者あり〕
〇佐藤正春委員 知事、この医師の招請は、今の話を聞くと全然違うんだよね。県民は、知事が言ったから、じゃ、花巻だ、北上、水沢だの、皆、すぐ医師が即戦力でやってくれるんじゃないかと思っているんだよ。議員もみんな。話が全然違うんだよ、だから。その具体的な一つだと言っているだけで、全然話が違うんだよ。
 時間がないが、最後に一つ申し上げたい。これは提言ですが、今、知事公舎というのは、全国むだの象徴だ。東京都知事も、あちこちの知事も、全部開放して、会館にしたり、あるいは場所によってはレストランなんかにしているんだな。
 おらほの知事の公邸、大した眺めもいいんだ、あそこは何回も行ったけどね。今の知事になってから行ったことないよ、私は。呼ばれないし、行ったことないけれども、大したいいところだ。中村知事と工藤知事のときに行ったけれども、いいところだ。
 あそこで、私が提言したいことは、岩手県は全国で豆腐の消費量は一番だ、盛岡が。1人99個食っている。それから、この間テレビでやっていたけれども、めんでは、岩手県は全国でも大した有数なめんどころだ。あそこを開放して、あの景色のいいところで豆腐レストラン、ラーメン、それからじゃじゃ麺、何とかのレストラン、こういうものをやる気がありますか。これは知事、やったら、次の当選は相当間違いない。どうですか。
 とにかくむだなんだから、あんなところ。特に、お2人で住んでいるんでしょう。あそこを開放する気はありませんか。
〇増田知事 今後の知事公館の使い方については、よく考えていかなければならない点があるんですが、いずれにしても、今、具体的な御提言がございましたけれども、御提言として受けとめておきたいと思っております。
〇佐藤正春委員 委員長、どうもありがとうございました。(拍手)
〇伊沢昌弘副委員長 以上で、自由民主クラブの総括質疑を終わりたいと思います。
 この際、世話人会の申し合わせによりまして、10分間ほど休憩いたします。
   午後 3 時15分 休 憩
   午後 3 時33分 再 開
〇工藤大輔委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 総括質疑を続行いたします。柳村典秀委員。
   〔柳村典秀委員質問者席に着く〕(拍手)
〇柳村典秀委員 政和・社民クラブの柳村典秀です。会派を代表して質問させていただきますが、その前に、質問の趣旨を理解していただくために県債の償還見通しと公共事業費の推移に関する資料の配付をしたいので、委員長の許可を求めます。
〇工藤大輔委員長 ただいま柳村委員から、質疑に際して資料の配付を認められたい旨の発言がありましたが、審議を深めるためこれを認めることにいたしたいと思います。
 また、効率的に議事を進行したいと思いますので、質疑中にこれと並行して事務局をして資料配付させることにいたしたいと思いますので、柳村委員、御了承願います。
[参照]
県債の償還見通し
公共事業費の推移
〇工藤大輔委員長 それでは、柳村委員、質疑を続けてください。
〇柳村典秀委員 それでは、質問させていただきます。
 昨年5月に増田知事は、国の交付税の動きに一喜一憂せず、県が財政運営できる歳出規模として7、200億円が望ましいとのお考えを示されています。その後10月には平成19年から22年までに2、354億円の財源が不足するとの中期財政見通しが発表されました。このことから知事は、ことしの仕事始めの式で幹部職員を前に、県の体制をもう少し縮小したいと考えており、組織は大体4、000人弱ぐらいの体制、予算規模も7、000億円ぐらいの規模を念頭に置いているとあいさつしました。たしか増田知事は、平成15年10月に策定した行財政構造改革プログラムについて、平成16年3月の予算委員会で次のように述べておられます。
 県民の皆様方に従来にない痛みを与えるものも盛り込まれているが、ぜひとも御理解をいただいた上で、平成18年度までに県財政、そして県行政全体を次のその先に向けて、しっかりと県民に求められる良質の行政サービスが提供できる行政経営体に転換していきたい。このことによって、一時的な痛みが生ずるわけですが、それがその後の産業を強化し、サービスの質を豊かにするということなので、ぜひこの改革を進めていきたい。と、このように、痛みは一時的なもので、その先に明るい未来があるということを強調しておられました。
 しかし、現実にはどうでしょうか。三位一体の改革や県出資法人等の財務悪化などにより、刻々と県財政に与える影響は深刻度を増してきており、県民に与える痛みは一時的なものではなく、今や慢性的なものへと変わってきています。また、削減目標のハードルがどんどん高くなる現実に、一体いつまでこの痛みに耐えればよいのかと、県民から悲痛な叫びが聞こえてきます。
 そこで、お尋ねしたいのですが、増田知事は、平成16年の交付税ショックで平成19年以降も厳しい状態になることをある程度想定していたと思うのですが、いかがだったでしょうか。
 また、刻々と変わる県の財政状況を県民に理解してもらうためにも、中期財政見通しはローリングしながら毎年公表すべきと思いますが、いかがお考えでしょうか、お尋ねします。
〇増田知事 前段の方について私からお答え申し上げますが、今、委員の方からお話ありました、いわゆる交付税ショックでありますが、これは平成15年12月の地財計画の中に盛り込まれたものでございまして、大幅に交付税が削減をされたものであります。これは翌年度の──16年度の当初予算編成を大変苦しくいたしましたので、追加の歳出削減を実施するなどして何とか予算編成を行ったわけでありますが、そうした中で16年度予算編成を踏まえた中期財政見通しにおいて、17年度以降もやはり財源不足が拡大するという見通しになりましたので、さらに16年7月に中期財政見通しをもう一度見直しをして平成16年7月試算というものを作成して、職員に向けて17年度以降の財源不足の解消策の追加検討を指示いたしました。
 したがいまして、この時点で、当然19年度以降も厳しい財政状況が続くという認識はございましたのですが、当面、平成18年度までの財源不足への対応に全力を挙げて今、取り組んできたところであります。18年度当初予算は、昨年の10月に19年以降の県財政の中期収支の見通しというものをつくりましたので、これも踏まえて19年度以降の財政運営を見据えた予算編成を行っているところでございまして、そういった、今後も将来の見通しを十分に踏まえた上での予算編成に努めていきたいと考えております。
〇時澤総務部長 中期財政見通しのローリングでございます。
 平成15年10月に策定をいたしました中期財政見通しにつきましては、毎年度、当初予算編成時にローリングをして公表してまいりました。なお、その時点では平成18年度までとしておりました。これはその先の方向性が不明確であったというわけでございますが、そうした状況の中にありましても18年度の予算編成あるいは19年度以降の財政運営に資するためにも、あらあらのものではございますが県財政の中期収支の見通しというのを作成しております。
 国の方では、一方、ことしじゅうにも5年間程度の地方財政の中期的な財政見通しを作成する方針と聞いております。こうしたことを踏まえますと、私どもも次期行財政構造改革プログラムの検討作業のベースとなる中期財政見通し、国の予測も出てまいりますので、これを早期に作成をしたいと考えております。また、これまで難しかった地方財政に係る予見可能性も国の中期財政が出ますと我々見通しができるわけでございますので、本県の中期財政見通しにつきましても、適時適切にローリングをしていきたいと考えております。
〇柳村典秀委員 先ほどお配りした資料について説明いたしますが、この資料は議会事務局の政務調査課を通じて予算調製課につくっていただいたものです。
 資料1は、平成25年度までの県債償還の見通しと平準化借換債850億円の償還が及ぼす影響を示しております。資料2は、公共事業費の当初予算における推移と平成14年度を基準とした財源内訳別の増減を示したものです。これは平成14年度をベースにすれば平成15年度からの4年間で公共事業費が2、235億円を減らしたことになりますし、そのことによって県債の発行が949億円抑制する効果があったということを示しています。この資料についてはおいおい質問の中でそれぞれお尋ねをしたいと思いますので、よろしくお願いします。
 それでは、先に進みます。県債残高の内訳の推移と借換債についてお尋ねします。
 県債は公的資金と民間引受債、いわゆる縁故資金等に分けられますが、この内訳と借入利率はどうなっているでしょうか。また、今後、公的資金と民間引受債の割合はどう推移していくのでしょうか、お尋ねします。
 以前、借換債850億円の発行に際し、その理由として施設の耐用年数おおむね20年に見合った償還期間とする必要があったこと、交付税措置の場合の償還期間20年との整合性を確保する必要があること、県債の償還のピークを平成18年度の約1、680億円と見込んでいるが、その平準化を図ることにより、財政運営の円滑化を図る必要があることの以上3点を挙げていました。
 しかし、資料に示されているとおり、県債の償還のピークは以前に説明されたときとは全く違ってきています。
 また、平成19年度以降、予算規模を7、000億円規模にしたとしても、平準化借換債の償還が本格化する平成23年度以降の財源不足はさらに深刻な状態になっています。今後、次期構造改革プログラムが策定されればはっきりすることですが、この期間にも財源不足を補うため平準化借換債を発行していかなければならないと思いますが、いかがお考えでしょうか、お尋ねいたします。
〇時澤総務部長 まず、公的資金と民間資金の発行割合等でございます。
 普通会計におけます公的資金と民間資金の新規の発行割合は、平成13年度決算で見ますとおおむね6対4ということで、公的資金が6、民間資金が4ということでございました。16年度決算では3対7と逆転をしておりまして、財政投融資改革や郵政民営化などの影響によると考えております。残高ベースで見ましても平成13年度末で公的資金と民間資金の割合は、おおむね6対4でございましたが、16年度末現在で見ますと5.5対4.5で、やはり公的資金の割合が減少し、民間資金の割合がふえているという現状にございます。
 借入利率につきましては、平成16年度末残高の平均借入利率で申し上げますと、公的資金で平均約2.259%、民間資金で平均約1.683%となっておりまして、公的資金の方が借入利率高くなっていますが、これは公的資金が、非常に借入期間が民間に比べて長いということに起因をしているものでございます。
 今後の資金配分割合についてでございます。
 平成17年度債の本県の公的資金と民間資金の配分割合、現在の概算見込みでおおむね2対8、公的2、民間8となるのではないかと見込んでおります。18年度の地方債計画におきましても、公的資金の割合は引き続き減少しております。当面この傾向は続くのではないかと考えております。
 それから、借換債の発行でございます。
 平成19年度以降の財源不足にどう対応するかということにつきましては、これからの話になるわけでございますが、財源不足の解消策の検討に当たりまして、やはりまず歳出削減の取り組みを最優先で行っていきたいと考えております。歳入確保につきましては、現在の義務的な経費が50%を超えているなど極めて硬直化しております。やはり県債残高を減少させていくことを第一に考えて、プライマリーバランスの均衡の範囲内で県債の追加発行を検討する。さらに、県有未利用資産あるいはその受益負担の適正化などの歳入確保策を検討していくこととしております。
 お尋ねのありました借換債でございますが、この借換債をさらに発行することとなりますと、金利負担の増加など後年度の負担増につながるということもございます。また、現在の借換債はやはり交付税措置との整合性をとるというのも一つの考え方に入っておりまして、これをさらに償還年数を超えて借換債を発行いたしますと、後年度の償還財源の先食い、要するに交付税を先に使ってしまうということにもなります。またさらに、借換債はやはりこれまでの財源対策と同様、やりくりでございます。先延ばしで──先延ばしというか、やはり後年度に送るということで、現在の硬直的な財政を何とか改善するために地方債残高を減らしていかないといけないということの関係からいたしますと、やはりその活用につきましては、慎重に検討をすることといたしたいと思っております。まずは歳出の見直しを優先的に考えていきたいと考えております。
〇柳村典秀委員 それでは、この資料2にあるのですが、公共事業費の推移ですけれども、平成17年度と18年度を比較すると、公共事業が167億円削減しているにもかかわらず、財源内訳で県債が17億円増加していると。ここだけを見れば公共事業費を削減しても県債発行の抑制効果がないように思えるのですけれども、この年だけこういうふうになっているというのはどういう理由からでしょうか。
〇時澤総務部長 公共事業に占めます一般財源の割合は年々減少しております。逆に県債の割合が増加傾向にございます。特に18年度予算では公共事業費が減少した一方で県債が増加をしております。これは行政改革推進債──行革債というものがございます。これを計上している理由からであります。この行革債はこの18年度の地方債計画で新たに新設されたものでございます。行革の努力により後年度の財政負担の軽減効果の見合いで発行できるというものでございます。これを活用することといたしましたのは、財源不足解消策のための財源確保策、こういうものの一環として採用したわけでありますが、やはりプライマリーバランスの均衡の範囲で発行するということも同時に検討して活用することとしたわけでございます。公共事業のその財源の40%から50%は県債であります。県債残高を減少させまして持続可能な行財政構造に展開していく上におきましても、やはりこれまでの取り組みは継続させていく必要があると考えております。
 この行財政構造改革債、それから地域再生債というのも通常充当率を超えて充当できるという起債もございます。こういったものを発行しないとすれば地方債発行額は年々減少している状況にございます。公共事業に占めます一般財源の割合は、割合で見ますと10.8%でございますけれども、やはり公共事業全体の中を考えますと、やはりその削減による効果は少なくないと考えているわけでございます。したがいまして、単年度の財源不足額をどう解消していくのかということと、後年度の財政運営を見据えた県債発行額の抑制、この両方に配慮しながら予算編成をしているところでございまして、19年度以降も原則的にはそのような考えで編成することになるものと考えております。
〇柳村典秀委員 次に、金利動向が県債償還に及ぼす影響についてお尋ねします。
 与謝野経済財政担当大臣は、先月の22日、景気の基調判断を回復しているとした2月の月例経済報告を関係閣僚会議に提出しました。生産や輸出を中心に改善の動きが見られるため緩やかに回復しているとした前月の判断を上方修正しました。上方修正は景気の踊り場脱却を宣言した昨年8月以来6カ月ぶりということになります。
 一方、盛岡財務事務所が1月24日発表した最近の県内経済情勢では、全体としてほぼ横ばいであるものの、一部に持ち直しの兆しが見られるとして、総括判断を2004年7月以来6期ぶりに上方修正しました。また、日銀盛岡事務所が2月2日に発表した最近の県金融経済概況は、自動車関連分野での増産などを主な原因として県内経済は緩やかに持ち直しつつあるとの判断を示しています。
 このように景気回復に地域格差がある中で、今後心配されるのが金利の動向ではないかと思います。景気が上向けば金利が上昇するということになり、毎年多額の県債を発行する本県にとって少なからず影響を及ぼすことになると思います。このことから、今後の政府・日銀の金利政策が注目されるわけですが、地方債の許可制度から協議制度への移行、日銀の量的緩和解除の方針など、金利動向に影響を与える環境は大きく変化してきています。
 そこで、お尋ねしますが、最近の金利動向や、今後、本県の財政に及ぼす影響をどのようにとらえておられるでしょうか、御所見をお伺いします。
〇時澤総務部長 長期金利の動向でございます。
 長期金利の指標となりますのが新発の10年物の国債であります。この利回りが一昨年の6月に一時的に1.9%台にまで上昇しておりましたけれども、ここ1年は1.2%から1.6%台で推移し、昨年6月ごろから緩やかに上昇してきております。特に最近の日銀の量的緩和政策の解除の観測から金利圧力上昇が高まっていると考えております。この長期金利の上昇は、本県の公債費の利払いの負担の増加につながっていくことにもなりますので、また、金利上昇によりまして景気への悪影響を与えるという懸念もございます。したがいまして、この長期金利の動向につきましては注視をしているところでございます。
 仮に、発行金利が1%上昇した場合に単年度での利払い、例えば県債発行額1、000億円といたしますと、1%金利が上昇いたしますと、利払いは単年度で10億円の負担増となります。さらに、4年間継続して影響を受けるといたしますと、例えば4年間1%ずつ上がっていくと考えますと、4年間で107億円の利払い負担増となるわけでございますので、この長期金利の動向につきましては我々も関心を持って見ておりますし、それを的確に把握しながら財政運営を行っていかなければならないと考えております。
〇柳村典秀委員 こういうふうに先行きが実は見通すのはなかなか難しい。ただ、平成15年10月にあらあらのということで中期財政見通しをつくったと。さらに、昨年10月ですか、ここ2年間のブランクがあるわけですね。ところが、この2年間で予想していた以上にまた差が広がってしまっている。これはやっぱりある程度、その見通しが立たないと言っても、実際19年度以降の地財計画がはっきりしないと言いながら昨年10月にまた出しているわけですね。その結果が大きく変わっている。こういうことについてはその都度やっぱりある程度示さないと余りにもギャップがあり過ぎて、県民にとっても私たちにとってもそうなのですが、何かだまされたのではないかというような雰囲気を持つわけですね。そして、一方、プライマリーバランスを絶対守るんですよという話ばかり続けていくと、こういうふうに金融の動向によって100億円ももしかすれば違ってくるという現実がある中で、絶対これを守るのだと言い切れるのか、そこら辺は知事、どうなのでしょう。
〇増田知事 金利動向については国の財政金融政策、それに大きくかかわってくる話でもありまして、それをできるだけ私どもも的確に予想していきたいと思っております。
 それから、行財政構造改革プログラムなりあるいは中期財政見通しを立てるときに常にハードルが高くなっていくようなお話ございましたのですけれども、これは今、国の方の財政対策が特に地方自治体の交付税を初めとする地方財政改革に年々焦点を当てていく方向になってきておりまして、しかも、その地方公共団体の地方自治体の歳出削減、総人件費の抑制などを通じた徹底した歳出削減を強力に進めようと、こういう政策を年々強めているということとも大きく関係をしております。国の方に焦点を当てていたものを、この一、二年、国がある程度めどがついたので今度は地方自治体の方を徹底的にやろうということで、こういう大きな政策変更と言いましょうか、焦点の当て方を大きくウエートを変えてきておりますので、したがって、そういう動向を先取りして見通しを立てるとますますハードルが高くならざるを得ないような今、状況にございます。
 県税収入が本県の場合でもわずか1、100億円の中で大きく依存財源に依存している中で、そこを徹底的に切ろうという方向を非常に強力に出してきておりますので、したがって、そういう状況であって、いろいろ委員からも御指摘をいただき、おしかりもいただくわけでありますが、しかし、今後のことを考えますと、そうした中であっても、策定が可能な時点であらあらの見通しであっても、やはりそういう見通しを示さないと、その時点になりましてから急遽予算編成でそういう事態が明らかになりますと大変予見可能性がなくなってきますので、でき得る限り見通しをつけつつ、私どもとしてもそういった状況については財政見通しなどでできるだけ早目にわかる時点でお知らせをしていきたい、このように考えております。
〇柳村典秀委員 知事は2月6日の記者会見でこういうことを言っているんですね。県債の発行残高を減らしてプライマリーバランスをプラスにすることにより、もう少したつと公債費が減るので硬直度合いは薄れてくる。こういうふうに述べておられました。理屈とすれば確かにそうなんですけれども、しかし、今、取り巻いているこの環境というのは、この県債残高を大幅に減らしていけるような状況にはないのではないかと私は見ているんです。そういう中で、確かに厳しい話なのかもしれないけれども、そういうことを県民にも知らせて打ち出していかないと、言っていることと実際が違うのではないかという、このギャップの大きさに戸惑いがまたまた大きくなってくるわけですね。そのことをやっぱり一つ一つ説明すべきではないか。だから、ある程度の期間を経た段階で、例えば予算を決めた2月あたりに毎年発表するとか、途中で大きく変化したらそのときにそのことについて説明するとかいうことが今後必要になると思うのです。そのことをまずどういうふうに考えるかをお聞きしたいと思います。
 次に、進めさせていただきます。今議会の一般質問で佐々木順一議員の、危機的な財政状況を招いた説明責任を求めるという質問に対し増田知事は、平成19年度以降においてもプライマリーバランスの均衡を維持しつつ、将来の世代に過大な負担を残さない、健全かつ持続的な財政構造を構築することが、県政の責任者である私の使命であり、その使命を果たすことが私の責任であると述べられております。これは事実上の知事選への出馬表明だと受けとめたのは私ばかりではなかったと思いますが、そのことはひとまず横に置きまして、次期行財政構造改革プログラムについてお尋ねいたします。
 まず、望ましい本県の予算規模と説明責任についてでありますが、昨年の決算特別委員会で次期行財政構造改革プログラムを早期に策定すべきとの附帯意見がつけられたことにより、19年度以降の県財政がどうなるかということに注目が集まってきています。
 そこで、お尋ねしたいのですが、知事は予算規模7、000億円、職員4、000人体制など数字を先行して発表していますが、なぜそうなったのか、また、なぜそうしなければならないのか、説明責任を果たしていないと感じています。このことが県行政への信頼を損なっていると考えるのですが、他県とも比較して本県の予算規模は7、200億円が望ましいと言っていたものを変更するなら、それ相当の説明をすべきであると思います。国の交付税の動きに一喜一憂せずと言いますが、交付税をもらっている限り一喜一憂するのが当たり前で、岩手県の経済を疲弊させないためにも、本県の財政規模は最低限これぐらい必要というラインは守るべきと考えますがいかがでしょうか、御所見をお伺いします。
〇増田知事 まず、先ほどの御質問の続きで、例のプライマリーバランスの黒字化、それから県債残高の減少でございますけれども、これは委員のお話のように直ちに公債費の引き下げにつながるものではありませんけれども、平成19年度以降も公債費の水準は高目に推移をいたしますけれども、その基礎的財政収支、プライマリーバランスを黒字化するということ、そしてそれを継続するということによって中期的には公債費の水準が下がっていきますし、それによって財政を硬直化させている固定経費が減少していくわけであります。そのほかに人件費等もございますが、公債費の割合というのは今、大変高くなっておりますので、したがって、こうしたプライマリーバランスの黒字化を維持するという前提で予算編成などを進めていくということが、確実に財政の硬直度合いの低廉化につながっていくものと思っておりまして、これは今後も継続をしていきたいと考えます。
 それから、次の望ましい本県の予算規模についての御質問ですけれども、先般、おおよそ7、000億円程度の予算規模と、こういうふうに申し上げておりますが、この予算規模について7、000億円という数字を申し上げましたのは、やりくりによらない実力ベースの歳入規模に見合った歳出構造を目指すと、こうかねてから申し上げておりまして、その一つの目安となる予算規模として申し上げています。現在、18年度当初予算の歳入構造というのがこの時点でわかりましたので、それをもとにして、今申し上げましたようなやりくりによらない実力ベースの歳入規模といったものがどういうものかということを推測して、そして一つの目安となる予算規模として申し上げたということであります。この予算規模は当然その時々の経済財政状況によって変わってくるわけであります。
 したがいまして、必要最低限の財政規模と、一概にこの規模、水準というふうなものは言い切れないのですが、今申し上げましたようなやりくりというのが前年度のといいますか、正確には今年度ですが、17年度当初予算の段階では大体400億円ないし500億円ぐらいいろいろやりくりをいたしまして、それから18年度──今年度はそういったことを大体400億円ほどやっているということがございまして、したがいまして、そういったやりくりによらない実力ベースと言いますと、ことし編成をいたしました来年度予算が7、400億円弱でございますので、大体7、000億円規模となるものと考えております。
 19年度以降の財政見通しにおいては、特に今、総務大臣等が進めております交付税改革などの動きが不明でありますので、見通すのは今困難な状況でございますけれども、ただ、一つの手がかりとしては、ことしじゅうに今後5年間程度の地方財政の中期的な財政見通しを国の方で策定すると。こういう話が出ております。今まではこうしたものがなかったので、より先の見通しが見通せないような状況であったのですが、国の方でそういった見通しがなかなかできないという御批判がさまざまなところから出てきましたので、こういった国として地方財政の中期的な財政見通しをことしにも示すと、こういうことになっていますので、それを見て今後、財政構造改革プログラムの策定作業の中で、19年度以降の本県の予算規模についても明らかにしていきたい、このように考えております。
〇柳村典秀委員 次に、人員削減による効果と弊害についてお尋ねします。
 これまで総人件費の抑制策として諸手当の見直し、給料の減額措置、職員削減などさまざまな取り組みを行ってきましたが、その効果は平成15年度から18年度までに約180億円と言われております。今後、平成19年度から22年までに職員4、000人体制にするとして、人員削減の効果はどのぐらいと見込んでいるでしょうか。
 また、これまで人員削減のために新規採用を抑制していることで組織の新陳代謝が行われず、長期的に見た場合、職員構成がゆがんだ形になり、弊害をもたらすことになると思いますが、いかがお考えでしょうか。これまでの退職者と新規採用者の実績と今後の予定もあわせてお聞かせください。
 なお、先ほど知事が平成19年度以降のことに言及したことは、事実上の出馬表明ではないかというふうに申し上げたのですが、恐らく知事は次期行財政構造改革プログラムを策定することだと、そういう意味だと言われるでしょうけれども、しかし、それだけのことならむしろ責任を放棄することになりかねないのかなと思うのですが、何か御所見があればお聞かせください。
〇増田知事 今、次の行革プログラムの策定についてどういう意味かというお話ございましたのですが、ちょうどタイミングが、統一地方選挙が間に挟むものですから、そういった意味でただいまのようなお話、御懸念なり、それから御質問になったかと思うわけでありますけれども、ちょうどこの18年度当初予算の予算編成のこの場での議論でも、いろいろ委員の皆さん方から御指摘をいただいておりますが、先の見通しが大変今しづらい状況にある中で、しかし可能な限りの材料を集めて、できるだけ正確な数字を見通すということが大変重要だと、こういうことを再三御指摘いただいていると思っております。
 したがいまして、私どもの方も空白期間が生ずることなく、国の方の中期財政見通しも今回初めて示されるものですから、そういったものを受けて平成19年度以降の備えということを、できるだけ早くしていく必要があるのではないかと思っておりますので、そのこと自体は、それはそれとして、やはり行政を継続させていく上で確実な見通しというもののもとに、財政構造を健全化するための取り組みを、私のみにかかわらず職員全体としてやはり確実に進めていきたい、このように考えております。
〇時澤総務部長 まず、職員体制の見直しによる削減効果でございます。
 職員を4、000人の体制にとした場合に600人削減ということをしなければならないわけですが、非常に単純に職員1人当たりの平均給与額によって試算をいたしますれば、4年間の累計で120億円程度、単年度平均で30億円程度と見込まれるものでございます。
 それから、新規採用抑制に伴う弊害であります。現在も定数縮減に取り組んでおりますことから、採用数を抑制しております。平成15年度では、前年度末退職者137人に対しまして採用者は113名、同様に平成16年度は175名に対して68名、平成17年度は165名に対して38名となっております。平成17年度末の退職者が現時点での見込みで170名程度でございます。18年度当初の新規採用者は22名になる見込みであります。今後もスリムで効率的な組織体制を構築するため、当面、現在の新規採用数の水準を維持することになるのではと考えております。
 こうした新規採用の抑制を継続いたしますと、職員構成の年齢的な偏りが生じまして、また、組織の活力が低下をいたしますとともに、将来的には組織運営上必要な人材の確保にも支障を来すことが懸念をされます。今後、団塊の世代の大量退職等退職者数の変動が見込まれるわけでありますけれども、中期的な視点に立ちまして、可能な限り職員の新規採用枠の確保、こういったことに努めたいと考えておりますし、また、必要に応じまして即戦力となる民間企業経験者等を採用いたしまして、高い資質を持った有益な人材の確保を図っていきたい。こういうことによりまして新陳代謝を促進し、組織の活性化にも努めてまいりたいと考えているところでございます。
〇柳村典秀委員 平成15年から削減をどんどん続けているわけで、そうしますとこれを次期構造改革プログラム期間中もそれをまたやらなければならない。そしてさらにという話になってきますと、もう、一つの世代、10年スパンで見た場合ごそっと抜けてしまうような、そういうゆがんだ形になってしまう。今のプライマリーバランスをその均衡を保たなければならないという話はわかることはわかるのですが、そのことが今度将来的にまた不安要素として残るということもあるということをまず指摘しておきたいと思います。
 次に、進みます。次に、公共事業の投資額についてお尋ねします。
 行財政構造改革プログラムによると、公共事業費は投資規模の適正化を図るため、ほぼ国の経済対策等が始まる以前の水準に戻すこととし、平成14年度当初予算に比べて平成16年度までに段階的に30%削減、以降、平準化を図るということでした。しかし、新年度予算における公共事業の投資額を見ると約1、053億円で、平成14年度当初予算に比べて42.5%減、これは昭和55年以前の水準となっています。ここに昭和55年の予算のものがあるのですけれども、規模は3、915億円でした。そのときでさえ1、000億円を超えているんですね。ちなみに公債費はというと206億円です。それだけ借金の返済が少なかったということなんですけれども、また、この内訳を見ると、補助事業が約610億円で41.3%減、単独事業が227億円で63.4%減、直轄事業が216億円で29.5%増となっています。
 直轄事業は、いわば国から強制的に求められるもので、減らしたくても減らせないというのが実態であります。その分、単独事業が犠牲になっていると言えます。知事はこのような状況の中、さらなる公共事業の削減を明言していますが、一体どの程度の投資額が本県の適正規模と考えておられるのでしょうか。
 大規模な公共施設は、これまで行財政構造改革プログラム期間中ということで、かなり凍結されてきたものがあります。いよいよこれからというときにさらに延期、しかも事業費を圧縮というのでは県民に対する信頼を損ねることになると思いますが、どうお考えでしょうか。
 また、今後、公共施設の整備に関しては、ある程度の中期的な計画を策定すべきと考えますが、いかがお考えでしょうか、お尋ねいたします。
〇増田知事 公共事業の投資規模なんですが、この公共事業は、やはり本県の財政構造を考えた場合に、先ほど言いましたように身の丈に合った予算規模となるようにする。そして、その内容を義務的な経費の割合をできるだけ少なくして、柔軟な政策要求に対応できるようにしていくということから考えますと、その予算の構造の内容については相当さまざまな改革を加えていかなければならない。その際には例外項目を設けるのではなくて、全体を見直しの対象とした上で政策順位別に重点的な施策を配分していく。こういうやり方をとらなければいけないので、公共事業についてもその見直しの例外にはしないで、その中に入れた上で考えていきたいと思っております。
 その投資規模、年々の適正な水準あるいは規模といったものがあるのかどうかというお話なんでありますが、これについては、やはり経済財政状況によってかなり異なってまいりますので、目指すべき適正規模あるいは水準といったものを数値で示すのはやはり困難であろうと思います。今、公共事業の各種の計画自体も国の方でそういった計画の策定をやめる方向に来ておりまして、個別に事業を評価してそれで重点化を図っていくと、そういう方向に今、切りかわってきております。
 特に、大規模公共施設などについては、県の方でもしばらくの間凍結をしていたという関係もございますので、全体的に抑制してきているわけでありますが、その中で緊急性が高いもの、県立学校の改築工事や県境の不法投棄の処理の問題などについては優先的に事業を実施してきているところでありますけれども、やり個別に事業の内容を見て優先度を判断していかざるを得ないだろうと思っているわけであります。したがいまして、この公共事業の投資規模の一定の水準というのを明示はいたしませんけれども、次の行革プログラムの中あるいはその策定のベースとなる中期財政見通しの作成段階におきまして、特に19年度以降の事業の見通しについても十分検討していきたいと考えております。
〇柳村典秀委員 ここに、配付はしていないんですけれども財源不足400億円を回収する場合の試算ということで、公共事業で減らすとしたらどのぐらい公共事業を減らさなければならないか。これは昨年時点でつくっている資料なものですので、公共事業が今年度1、219億円と、これを800億円減らさないと400億円財源不足を解消できないというような実は試算です。そういうことで、知事は平成19年度の予算規模を18年度からあと300億円削減したいと言っておりますけれども、では果たしてこの300億円減らすためには公共事業は幾らにならなければならないとお考えですか。
〇増田知事 平成19年度予算の内容については、これから1年かけて検討するということになりますので、その中で公共事業のウエートをどうするかというのは、まだ今のところは白紙の状況でございます。歳出削減について例外なく、聖域を設けずに検討したいと思っておりますのと、それから歳入確保策でどの程度県税収入等が伸びるかといったような予測も必要になってまいりますので、これから1年かけて19年度予算の内容についてよく情報収集の上検討していくと。その中で、特に緊急性ですとか、それから優先度をよく考慮していきたい、このように考えております。
〇柳村典秀委員 次に行きます。増田知事は昨年の12月議会で亀卦川富夫議員の一般質問に対し、次期行財政構造改革プログラムと符合した平成19年度から22年度までを計画期間とする新たな政策推進プランを策定する考えで、このプランによって選択と集中を図り、総合計画の基本目標である夢県土いわての実現を目指していきたいと考えていますというふうに述べられております。これまで知事は、平成18年から22年までの総合計画後期実施計画については、40の政策で18年度まで示しているので、19年度以降の計画は新しい知事が選挙で掲げた政策を踏まえて策定すべきものと話しておられました。このことにより、後期実施計画に空白期間が生じることを危惧していたのですが、今回の知事の発言は、みずからが新しい計画を策定するという意気込みを示したものと受けとめ賛意を表したいと思います。
 そこで、お尋ねしたいのですが、次期行財政構造改革プログラムと新たな政策推進プランは表裏一体のもので、時期をずらさず策定すべきものと考えますが、いつごろを念頭に置いているのでしょうか。また、みずからがプランを策定しようという思いに至った理由をお聞かせください。
〇増田知事 まず、次の新たな政策推進プランでありますけれども、これについては、これまでの前期実施計画の取り組みというものが大体様子が見えてまいりましたので、それをしっかりと総括して、そして一方で、何度も委員からも御指摘いただいていますような、財政状況がさらに厳しさを増すといったような状況変化もございますので、それを踏まえて内容をよく検討していく必要があるだろうと思っております。したがいまして、準備にはできるだけ早く着手していく必要があるのではないかと思っているところでございまして、特に事務レベルの作業には一刻もちゅうちょすることなく速やかに着手すべきと考えております。今後の地域の将来像などをしっかりと議論して、そして最終的な成果につなげていきたいと思って、新たな政策推進プランの策定も進めていかなければならないと思っております。
 スケジュールについてでありますが、これは、従来から申し上げておりますが、次期行財政構造改革プログラムと符合したものにしていかなければなりませんので、この行革プログラム自身は平成19年度の予算編成が、これは当初は骨格になって6月に肉づけをすると、こういうことになりますので、19年度の6月補正予算後に次期行革プログラムを確定、公表させなければいけないと思います。これと符合したものとして策定をするということになりますので、やはり行革プログラムと同じ時期か、あるいはそれよりもややおくれるぐらいの時期と考えている。あらあらのスケジュールは大体そういったところになると思っておりますが、その内容の前提となります事務レベルでの作業などには速やかに着手をしていきたい、このように考えております。
〇柳村典秀委員 平成19年6月ということは、そうすると任期はもう切れているわけなんですけれども、そうすると、以前言っていたように新しい知事が最終的な仕上げというか、準備は自分がするけれども最後の決定は新しい知事が行うということなのかどうか。
 それと、総合計画と政策推進プラン、そして次の知事のマニフェスト、これらの関係と位置づけはどのように考えておられるでしょうか。
〇増田知事 新たな政策推進プランですけれども、これは今申し上げましたようなスケジュールを県として考えていますので、最終的には新たな知事が策定すべきものと考えております。
 そして、総合計画、それから今申し上げました政策推進プラン、それからマニフェストですが、総合計画自身はその先までの計画、22年までの計画ということになっておりまして、その総合計画で示しております基本理念というのは、これは現時点では特に見直しの必要性はないと県全体としては判断をしております。
 新たな政策推進プラン、これは今、後期実施計画に当たるものとして、まさに策定しようとしているものでありますが、恐らく次の統一選挙の知事選の際に、言い方はどういう形になるかわかりませんけれども、マニフェストというものが提示をされて、それで具体的な政策を問うと、こういうことになると思いますので、そうしたマニフェストなどの内容がその中に反映をされてくるものと思っているところであります。
〇柳村典秀委員 知事はマニフェストを掲げられたと、そのことが具現化するために40の政策をつくったと。その40の政策というのは、言ってみれば総合計画の実施計画だというその論法でこれまで来ました。そうしますと、今までの総合計画というのは10年スパンで、そして前期・後期実施計画、5年ごとにそれをつくっていた。ところが、今後はそうすると4年ごとの知事の選挙によってそれぞれ実施計画が変わってくるというふうな、私から見ると、すごく不安定な、知事によって左右されるという実施計画になるのではないかと思うのですが、そこをどのようにお考えでしょうか。
〇増田知事 総合計画をどういう形でつくっていくのか、次の総合計画をどういうふうに位置づけるかということと大いに関係してくる問題であろうと思うのですが、やはり県の政策でありますので、リーダーの選挙によってその計画の内容をどういうふうに反映させていくのかということが、こうした場合の基本ではないかと思います。したがって、選挙での具体的なマニフェストなり政策の提示とそれに対する県民の意思というものを一番基礎に置いて、その上で県の政策を組み立てていくということであろうと思いますが、この総合計画とそれから新たな政策推進プラン、そして次の選挙の時期との関係で申しますと、今時点での関係で言いますと、今私が申し上げましたようなスケジュールなり進め方で作業を進めていくのが一番適切ではないかと考えております。
〇柳村典秀委員 最後になりますけれども、森のトレー問題についてお尋ねいたします。
 以前、国からの補助金は、県が補助金の一部返還とその後の補助金の回収に最大限の努力をすれば、現在発生している延滞金の免除について林野庁としてもできる限りの対応をしていくということで、平成15年度に補助金の3分の1を国に返還したわけですが、延滞金と残り3分の2の補助金の取り扱いはどうなったのでしょうか、お尋ねいたします。
〇増田知事 森のトレーの関係で、まず2点お尋ねありました。
 延滞金の取り扱いでありますけれども、これについては平成15年度に先行返還をいたしました補助金の3分の1につきましては、これは額としては約4億2、600万円ほどでありますが、延滞金の発生は既になくなっておりますが、残りの3分の2の補助金、額にして大体8億5、200万円余でありますが、こちらについては現在も延滞金が発生をしております。これら延滞金につきましては、先ほど言いましたような補助金の一部返還と、その後の補助金の回収に最大限の努力をしているところでありまして、これは訴訟しているということになるわけですが、その後の補助金の回収に最大限の努力をしておりまして、こういった努力を行えば、免除について林野庁としてでき得る限りの対応を行う、こういう考え方が示されておりますので、その林野庁の考え方に沿って、現在、補助金の回収のための最大限の努力としての訴訟支援をしている、こういうことであります。
 それから、残り3分の2の補助金の取り扱いでございますが、これについては、組合が行っている今の訴訟を支援して、その中で返還金を全額回収し、そしてそれを今度は国の方に返還する、こういうことで今、考えているところであります。
〇柳村典秀委員 そうすると、2年前なんですけれども、あのときには何か、訴訟を起こせば延滞金はもう取らないというような私たちは受けとめ方をしているんです。ところが、現実には今も延滞金が発生しているということは、請求が来ているのでしょうか。
〇増田知事 延滞金自体については3分の1のところについて発生がとまっておりまして、残りの3分の2の補助金については現在も延滞金が発生しておりますが、林野庁としては、県として最大限の努力をすれば、それについてはでき得る限りの対応をすると。これは林野庁としての言い方、その当時の県議会でも申し上げましたけれども、林野庁だけではなくて財務省と協議をしなければいけないということなので、国としての対応は林野庁がすべてを断定的に言うことができないということなんですが、この裏で言いますと、延滞金について今後も、今申し上げましたような取り組みを続けていくことで、最終的には免除の道が開かれているということを林野庁としては最大限言ったと、こういう理解でありまして、現在も正確には延滞金が発生しておりますけれども、県が最大限の努力を行うことによって、林野庁として今申し上げましたような対応をしてもらえる、こういうふうな受け取り方をしているところであります。
〇柳村典秀委員 今のお話ですと、果たして本当に延滞金を支払わなくていいのかどうかということが、確定しているわけではないしはっきりしないわけですね。一体、今時点でそうしたら残り3分の2に対して、まず2年間放置しているわけですけれども、これの延滞金というのは今、幾らになっているのでしょうか。
〇増田知事 お答え申し上げます。
 県の延滞金でありますが、仮に2月末現在の延滞金を試算いたしますと、その延滞金の合計で2億3、000万円余になっているところであります。
〇柳村典秀委員 その後、林野庁とは話をしたわけでしょうか、その延滞金について。裁判の結果によっても左右されるということなのか、その点をまずお伺いします。
 そして、次に進めますけれども、国庫補助金の返還命令額12億7、910万4、000円の3分の1の額4億2、636万8、000円の返還にかかる県と久慈市の負担割合を7対1とする合意がなされ、久慈市は5、329万6、000円を負担することになりました。
 そこで、お尋ねしたいのですが、県と久慈市の負担割合が7対1となった理由と、返還方法は分割にしているようですが、その条件はどうなっているのでしょうか。
 また、久慈市との訴訟費用の負担割合が決まっていないということでこれまで問題になっていましたが、この件についてはその後どうなったでしょうか。そして、裁判の状況と費用についてもお知らせください。
〇増田知事 その後の林野庁との話し合いでありますが、県の方で、その後定期的に林野庁に報告をしておりまして、県として補助金の回収に最大限努力をしているということを林野庁の方に話をしております。林野庁の方でもそういったその後の県の努力というものを期待をしているわけでありまして、そうした努力を続けていくことが先ほど申し上げました免除につながっていくものと考えているところであります。これはその当時の議会などで申し上げました林野庁の見解でございます。
 それから、久慈市との負担割合でありますが、久慈市との負担割合が7対1になった理由でありますけれども、これは返還に至った主な原因を五つの項目に整理をして、それにウエートづけをしてこういった7対1の数値になったものでございまして、今申し上げましたウエートづけと言いますのは、事業計画の策定、事業計画の変更、事業の実行、完了確認調査、それから担保設定に対する指導、こういった五つの項目の中で県と市がどのようなかかわりをしてきたかということをそれぞれ評価して7対1にした、こういうことであります。
 それから、返還に当たっての条件は久慈市に対して特に設けていませんが、県と久慈市が協力して補助金の回収に努める、こういうこととしているところであります。
 それから、訴訟費用の負担割合でありますが、これは、先ほどの補助金返還金の負担割合を一つの考えとして、今、久慈市と協議を進めているところであります。
 それから、この裁判の状況と費用でありますが、裁判の状況は、これまでに口頭弁論が2回開催されました。それから、準備手続が8回行われておりまして、今、その中で争点整理を行っているということであります。
 それから、訴訟費用としてこれまで県が支出したものですが、平成15年度は、印紙代や原告弁護士の着手に係る負担金として1、158万5、000円の訴訟費用でございます。平成16年度は、原告弁護士の日当等でございまして39万6、000円、それから、17年度も16年度とほぼ同額の費用と見込まれております。
〇柳村典秀委員 裁判の状況については明かせないわけでしょうか。今後どういう見通しになっているのかということですね。
 それと、今までも監査委員から指摘があったわけですね。久慈市との裁判費用の協定が結ばれているにもかかわらず、中身がきちんとまだしっかりできていないと。なぜそれがはっきりしていないのか。お金については7対1と決めているんですけれども、裁判費用もそうしたら7対1になるのではないのかと思うんですが、なぜ久慈市とその協定が調わないんでしょうか。
〇増田知事 裁判の見通しですが、これはまだ全くわからないところでありまして、手続がまだ余り進んでおりませんので、今、争点整理を行っている段階であり、どうなるかは、今後ということになります。
 県としては、当然のことながら、これを勝訴に導くべく全力を挙げていきたいと思います。
 それから、訴訟費用の関係でありますが、この訴訟費用については、返還の割合はそういう形で7対1に決めましたけれども、本来、返還の割合とは別に、訴訟を起こすということは、両者が共同で進めてきた事業でありますので、両者協力してやっていかなければいけないということで、別に割合を別の理由で決めていかなければならないと考えておりますが、そのことについて何回か話し合いをしておりますけれども、まだ合意に至っていないということでございまして、早急にこの久慈市との話し合いを進めていきたいと考えています。
〇柳村典秀委員 この合意に至っていないというのは、佐藤正春委員がさんざん今まで言ってきている話なんですよね。また、いろいろ監査請求なんかもしているわけです。言ってみれば、なぜそういう状態になっているのかということで、放置していること自体、おかしいわけですね。
 それと、この補助金については、これは裁判で勝ったらもらえると言うけれども、負けたら、これを全部払わなければならないわけですよね。このことについて、払わないことによって今延滞金が生じているというこの現状を、将来に負担を先延ばししているようにも見えるんです。果たしてこのままにしておいていいんでしょうか。
〇増田知事 訴訟費用については、大分何度も久慈市とやっているわけでありますが、それぞれ訴訟について、私どもは7対1ということじゃなくて、共同でやる訴訟であるので、やはりお互いに対等の立場で費用負担したらどうか、こういう主張をしておりますので、なかなか合意にまだ至っていないということでありますが、今後もよくやりたいと思います。
 あと、延滞金でありますけれども、これは、訴訟努力をするということ、県として最大の努力をするということで免除の道が開かれていますので、そういうことによって、でき得れば免除するということで対応していきたいと、今努力をしているわけでありますので、やはり回収に最大限努力することが、負担を一番最小に持っていく道ではないかと考えております。
〇柳村典秀委員 延滞金が発生しているという、刻々と積み重なっていくわけですので、それらについても、今後はっきりその時期、時期で示していただきたいと思います。
 以上で終わります。(拍手)
〇工藤大輔委員長 お諮りいたします。
 予定の5時までにはまだ若干時間がありますが、区切りの関係から、続く総括質疑はあす行うことといたしたいと思いますが、これに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇工藤大輔委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
 あす以降は、毎日午前10時から開会いたしますので、よろしくお願いいたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
   午後 4 時39分 散 会

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