平成18年2月定例会 第18回岩手県議会定例会会議録

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〇26番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
 議案第30号から32号、34号、52号、56号、62号に反対の討論を行います。
 議案第30号から32号、34号、56号は、県職員、市町村立学校職員等の給与を平均4.8%、最大で7%引き下げようとするものであります。
 第1の問題は、50年ぶりの給与構造改革で、平均4.8%の大幅な賃下げを行うことであります。5年間で実施しようとするものですが、全面実施されるなら、医療局、企業局職員を含めると単年度で総額97億円の削減となるものであります。その地域経済への波及効果は約154億円と推計されます。
 既に、これまでに7年連続の賃金の引き下げによって、県職員は総額205億円の減収を強いられています。主査級の職員で約68万円の減収となっています。この地域経済へのマイナスの波及効果は326億円に及んでいるのであります。
 第2の問題は、まともな理由のない賃金の引き下げだということであります。地域の民間賃金との格差是正が理由とされていますが、これは毎年の人事委員会の勧告で是正されているものであります。昨年の勧告では、県内の民間賃金との格差は3.78%とされていました。この格差は毎年変動していますが、4.8%の賃金の引き下げは県内の民間との格差を大きく上回るものであります。二重の意味で4.8%の賃金引き下げは理由も根拠もないものであります。
 第3の問題は、国家公務員の場合は、地域給の導入は、都市部の賃金は上げ、総体としては賃下げにならないものであります。同一労働同一賃金の原則を踏みにじる点では大問題でありますが、地方公務員の場合は、ほとんどの職員が賃下げだけを押しつけられるもので、国の地方財源の削減を押しつけるものだということであります。
 第4の問題は、今回の県職員の賃金の大幅な引き下げは、県職員に準拠する労働者はもとより、民間賃金の引き下げに連動する悪循環をもたらしかねないことであります。岩手県のような地方の場合、公務員賃金が全体の基準、目標となっています。公務員の賃金の大幅な引き下げは民間賃金の引き下げの理由とされかねないのであります。
 第5の問題は、経過措置期間中の昇給抑制を、国の言いなりに進めようとしていることであります。これは、地域給の財源を捻出しようとするものですが、国家公務員と違って、岩手県の場合は賃金が上がる職員はほとんどいません。昇給抑制は全く必要がないものであります。実際、青森県や秋田県では、勧告もされなかったのであります。この間の経過を通じて明らかになったことは、本来、労働基本権の代償措置として設置されている人事委員会の機能と役割を全く放棄してしまったということであります。
 また、増田県政は、今年度170人の退職を出しながら、来年度の採用は、1種で850人の受験者があったものの、最終合格者を33人とし、結果的には、募集人員の半分程度のわずか17人の採用しかしませんでした。これは、異常な人員削減・リストラであります。大幅な賃下げと人員の削減は、国の財政破綻のツケ、県政の財政破綻のツケを県職員と県民に押しつけるものだということであります。
 議案第52号は、工業技術センター条例を廃止し、第62号は、地方独立行政法人岩手県工業技術センターに係る中期目標を定めようとするものであります。
 第1に、工業技術センターを廃止し、地方独立行政法人化することは、その必要性、メリットとデメリットを十分検討することもなく、さきに独立行政法人ありきで進められてきたものであります。県民、関係業者にも十分な情報公開もありませんでした。
 岩手県の2倍以上の規模の神奈川県では、地方独立行政法人化のメリット、デメリットを明らかにして、国や東京などと比べて小規模な神奈川県では、工業技術センターの独立行政法人化はメリットがないとして行わなかったものであります。
 第2に、実際に、独立行政法人化の立ち上げに2、700万円の経費がかかっています。さらに、ランニングコストとして、企業会計システムや損害保険料、消費税など、新たな経費が年間約1、400万円かかります。これだけの経費をかけて、それを上回る効果を上げることは全く考えられないのであります。
 第3に、独立行政法人化のねらいは効率化であります。実際、来年度の予算では、研究費が2%削減されています。一般管理費は0.5%削減、5年間で1、500万円削減するとしています。その分、外部の競争的資金の導入を掲げています。事務の見直しによる業務の外部委託化を進めるとしています。効率化と競争、外部委託化によって、工業技術センターの公共性、公的性格が弱体化されかねないものであります。
 第4に、評価・検証の徹底が掲げられています。実証的な研究が使命とはいえ、研究の成果は決して短期的な視点だけで評価できないものであります。もし、民間的な評価と検証が進められるなら、短期間に成果の上がる研究が主になりかねません。研究機関における評価と検証は、慎重に行われるべきものであります。
 第5に、中期目標を見ても、独立行政法人化によって、どう県民に対するサービスが強化されるのかが具体的に見えません。これまでの利用料金を上げないとしていることは当然であります。県内中小企業の要望にこたえることは、現在の工業技術センターのままでも、十分対応できるものであります。
 最後に、増田知事は、工業技術センターの成果、岩手県のPRとして、ペレットストーブを大宣伝しています。ペレットストーブを開発したことは正当に評価しますが、現状は、開発途上の段階と言うべきものであります。実際に、これまでの普及実績は754台にとどまっています。このうち、県施設に135台、市町村に87台、民間には532台となっています。
 県は、来年度予算にペレット普及促進費として2、265万円、木質バイオマス試験活用費として1、157万円の予算を計上していますが、これだけ支援して普及が進まないのは、料金が高いこと、ランニングコストが高いことであります。誇大宣伝を戒めて、さらなる技術開発を進めるよう、強く求めるものであります。
 また、県庁の部局長の部屋には、ペレットストーブが設置されています。冷暖房設備が整備されている部屋へのペレットストーブの設置は、やり過ぎではないでしょうか。真に必要なところに払い下げして活用すべきではないでしょうか。
 以上申し上げまして、関連議案に対する私の討論といたします。御清聴ありがとうございました。
〇議長(伊藤勢至君) 以上で通告による討論は終わりました。
 これをもって討論を終結いたします。
 これより、請願陳情中、受理番号第73号公共サービスの安易な民間開放は行わず、充実を求める請願を採決いたします。
 本請願は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(伊藤勢至君) 起立多数であります。よって、請願陳情中、受理番号第73号公共サービスの安易な民間開放は行わず、充実を求める請願は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
 次に、議案第30号から議案第32号まで、議案第34号、議案第52号、議案第56号及び議案第62号を一括して採決いたします。
 各案件は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(伊藤勢至君) 起立多数であります。よって、議案第30号から議案第32号まで、議案第34号、議案第52号、議案第56号及び議案第62号は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
 次に、議案第22号から議案第24号まで、議案第26号から議案第29号まで、議案第33号、議案第40号、議案第49号、議案第50号、議案第55号、議案第57号から議案第61号まで、議案第63号及びただいま議決いたしました請願陳情を除く請願陳情を一括して採決いたします。
 各案件は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(伊藤勢至君) 起立全員であります。よって、議案第22号から議案第24号まで、議案第26号から議案第29号まで、議案第33号、議案第40号、議案第49号、議案第50号、議案第55号、議案第57号から議案第61号まで、議案第63号及びただいま議決いたしました請願陳情を除く請願陳情は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
   
日程第27 委員会の閉会中の継続審査及び継続調査の件
〇議長(伊藤勢至君) 次に、日程第27、委員会の閉会中の継続審査及び継続調査の件を議題といたします。
   
〔参照〕
総 務 委 員 会
受理
番号
件     名
70一関市狐禅寺大平地内への駐在所設置について請願

県営建設工事における総合評価落札方式の試行について
環境福祉委員会
受理
番号
件     名
72学童保育(放課後児童クラブ)の施策拡充に関する請願

放射線に関する知識について
商工文教委員会
平泉の文化遺産の世界遺産登録への取り組み状況について
農林水産委員会
岩手県農業・農村基本計画の目標達成に向けた重点施策について
平成18年度における農村の活性化に関する施策について
県土整備委員会
受理
番号
件     名
74緑資源幹線林道八戸・川内線整備効果のさらなる発現のため同路線とネットワークを形成する国・県道の整備促進を求める請願

県土整備部における総合評価落札方式の試行について
   
〇議長(伊藤勢至君) お諮りいたします。委員会の閉会中の継続審査及び継続調査の件につきましては、先ほど各委員長から報告のとおり申し出がありましたが、委員長からの申し出のとおり、閉会中の継続審査及び継続調査に付することに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(伊藤勢至君) 御異議なしと認めます。よって、本件は委員長からの申し出のとおり、閉会中の継続審査及び継続調査に付することに決定いたしました。
   
日程第28 議案第 1 号平成18年度岩手県一般会計予算から日程第65 議案第54号産業技術短期大学校条例の一部を改正する条例まで
〇議長(伊藤勢至君) 次に、日程第28、議案第1号から日程第65、議案第54号までを一括議題といたします。
 各案件に関し、委員長の報告を求めます。工藤予算特別委員長。
   〔予算特別委員長工藤大輔君登壇〕

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