平成18年2月定例会 第18回岩手県議会定例会会議録

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〇26番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
 議案第64号岩手県一般会計補正予算(第7号)について反対の討論を行います。
 補正予算の中には23億8、300万円余の除雪費や松山荘の施設整備費5億340万円など、県民にとって必要で重要な内容が盛り込まれています。しかしながら、社団法人岩手県肉牛生産公社の解散整理に伴って16億5、200万円余の県からの無利子の貸付金の回収が見込めなくなったことから、一般財源に振りかえる財源振りかえが盛り込まれていることは重大であります。これは、事実上、16億5、200万円余の県民の貴重な債権を放棄することになるものであります。
 岩手県肉牛生産公社は、昭和43年以来、事業損益では一度も黒字となっていません。これ自体が異常なことであります。また、これまで投入された補助金は、国庫補助金を含めて、施設整備費11億7、400万円、利子補給金5億5、780万円、事業費補助17億4、200万円余で、合計34億7、400万円に及びます。県の出資金11億4、000万円を含めると46億1、400万円を投入してきたことになります。その結果が、無利子貸付金16億5、200万円余の債権放棄では、県民に破綻のツケを押しつけるものであり、全く県民の理解が得られるものではありません。
 反対する第1の理由は、知事、副知事、出納長、農林水産部長の責任が極めて大きいことであります。これまで、知事が平成13年まで、その後は副知事が理事長を務め、農林水産部長が理事、出納長が監事を務めています。県のトップが長期に深くかかわって破綻に陥った責任は、重大であります。
 増田知事は知事演述で、岩手競馬や肉牛生産公社などの経営にかかわる重要な問題について、将来に先送りすることなく、解決の道筋をつけるべく全力を挙げると述べましたが、結果は、先送りして破綻し、そのツケを県民に押しつけるだけのものではないでしょうか。まさに無責任と言わなければなりません。具体的にどう責任をとるのか明らかにすべきであります。
 第2の理由は、事業内容としては、事業損益で一度も黒字がなく、平成7年からは、破綻救済の性格が強い県の無利子貸し付けを行ってきました。金融機関からの融資が難しいようでは、その時点で事業としては見通しがないものとみなすべきではなかったでしょうか。特に、平成10年には当期損益が3億円を超える赤字となり、繰越損益でも10億円を超えました。この時期に5億4、000万円余の施設整備を行っていることは問題であります。少なくとも、この時点で公社のあり方を根本的に検証すべきでありました。
 第3に、県は平成15年12月に岩手県出資等法人改革推進プランで、肉牛生産公社の平成17年度末までの解散の方針を明らかにしていながら、その直後に、県信連の5億7、000万円余の融資の肩がわりをして、16億円を超える無利子貸し付けを行いました。解散を決めた公社に対して、返還される可能性のない貸し付けをふやしたことは、まさに背任行為と言うべきものであります。
 第4に、肉牛生産公社の破綻の処理は、あくまでその原因と責任を明らかにして処理すべきであります。深刻な県財政の危機的状況のもとで、安易に県民に借金を押しつけるべきではありません。構成団体は、出資割合に応じて責任を果たし、融資してきた金融機関にも負担を求め解決を図るべきであります。
 第5に、肉牛生産公社の破綻処理、特に16億5、200万円余の県の貸付金の債権放棄処理について、県庁内部でどのような議論と検討がされたのか本会議で質問しましたが、まともな答弁も議事録も示されませんでした。県議会にも、県民にも、この間の経過と対応、原因と責任を明らかにすべきであります。公社の解散直前に、県議会に事実上の債権放棄をかけることは、全く問題であります。
 肉牛生産公社の破綻は、こうした問題を先送りしてきた増田県政の行き詰まりを示すものであります。地に足をつけ県政の課題に真剣に取り組むよう強く求めて、私の討論といたします。
 御清聴ありがとうございました。
〇議長(伊藤勢至君) 以上で通告による討論は終わりました。
 これをもって討論を終結いたします。
 これより、議案第64号平成17年度岩手県一般会計補正予算(第7号)を採決いたします。
 本案は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
(賛成者起立)
〇議長(伊藤勢至君) 起立多数であります。よって、議案第64号平成17年度岩手県一般会計補正予算(第7号)は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
 次に、議案第65号から議案第93号までを一括して採決いたします。
 各案件は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
(賛成者起立)
〇議長(伊藤勢至君) 起立全員であります。よって、議案第65号から議案第93号までは、委員長の報告のとおり決定いたしました。
   
〇議長(伊藤勢至君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後 1 時56分 散 会

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