平成18年2月定例会 第18回岩手県議会定例会会議録

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〇38番(小原宣良君) 政和・社民クラブの小原宣良でございます。
 通告の順に、以下、お伺いいたします。
 初めに、財政問題について伺います。
 総務省は、昨年12月に2006年度の地方財政対策概要を、この2月には地方財政計画を発表いたしました。特徴としては、歳入面で地方税約1.6兆円の増収、地方交付税の約1兆円のカット、歳出では、2万3、000人の定数削減、給与の引き下げ、投資的経費地方単独分の3年連続の削減、公営企業繰出金の1、000億円を超える削減などが挙げられると思います。
 この国の地財計画は、収支見通しとはいいながら、実質的には地方自治体の予算編成を拘束します。例えば、地財計画の歳出では、公共事業、給与費、地方単独事業が削減された場合、これらの見合いで交付税総額、地方債総額が決められるため、地方自治体は、地財計画の歳出削減に準じた措置を講じなければ、交付税等の一般財源が不足に陥るという仕組みになっているのであります。国の地財計画が5年連続で縮小されており、このことが地方財政悪化の大きな要因をなしているのではないでしょうか。
 そこで幾つかお伺いいたします。
 質問の第1は、ただいま申し述べました、地方自治体が地財計画の歳出削減に準じた措置を講じなければ交付税等の一般財源が不足に陥るという仕組みをどう受けとめているのでしょうか。
 質問の第2は、三位一体改革と財源保障についてであります。
 これまでの補助金の一般財源化は、地方交付税による財源保障であったと思いますが、今回の国庫補助負担金改革を受けた税源移譲約3兆円は、全額所得譲与税で措置されたところであります。
 一方で、約5兆円の補助負担金の中で約3兆円が税源移譲の対象でありますから、約2兆円については、交付金か、あるいはスリム化と称する単なる補助金廃止となっており、増田知事を先頭に、地方6団体が求めてきたいわゆる三位一体改革とは、ほど遠い内容となっているのではないでしょうか。
 税源移譲の対象事業を含めて、かなり国にごまかされたとの感を強くするのでありますが、知事は、どう受けとめているでしょうか。
 第3に、地方交付税制度にかかわって、建築確認行政体制についてお伺いいたします。
 最近の耐震設計の構造計算書偽装問題に関連して、自治体の建築行政責任が追及される事例がある中で、人員確保の不十分さが問題となっております。
 地方交付税制度では、建築基準法に基づき、建築物の敷地、構造、設備及び用途についての最低基準に関する事務等について、必要な一般財源を基準財政需要額に算入することとされているのでありますが、本県の建築確認行政体制は十分とられているのでしょうか。また、指定確認検査機関は、国及び地方自治体においてそれぞれ指定がなされているようでありますが、問題発覚後の立入調査も含め、本県の建築物の安全確認の状況についてお伺いいたします。
 次に、本県の貿易動向と地域経済活性化対策についてお伺いいたします。
 日本貿易振興機構盛岡貿易情報センターの資料によりますと、本県の輸出入合計額は、平成12年から13年にかけて伸び悩んだものの、平成14年には再び増加に転じ、15年の額は2、798億円、対前年比42.8%と高い伸びを示したとあります。
 輸出面では、自動車等輸送用機器が輸出を牽引しており、本県からの輸出の大部分を工業製品が占めております。一方、地場関連産品の輸出は、食料品や伝統工芸品である南部鉄器などで、全体に占める割合は2.4%にとどまっております。また、輸入は3年連続の減少となっているようであります。
 こうした動向の中にあって、新たな販路開拓とともに、県内における輸出入の活性化に向けた環境整備が求められているものと思います。その課題は、ものづくり産業への積極的な支援と同時に、物流の活発化に向けた港湾の整備、空港の整備、内陸通関施設の整備にあろうかと存じます。港湾の整備については、四つの主要港湾整備が急がれるところでありますが、大船渡港では、荷役用クレーン新設によるコンテナ船の定期航路開設に向けて活発な動きが見られることから、企業立地の進んでいる内陸部との連携が求められております。
 空港整備については、残念ながら花巻空港の新ターミナルビルの移築が延期されましたが、観光客の誘致とあわせて、内陸部の企業からは貨物便の就航を望む声が強まっており、企業活動の活発化を促す意味からも、新ターミナルの移築は可能な限り早期に着工すべきと考えます。
 また、内陸通関施設の設置については、平成7年に北上インランド・デポ設置促進協議会を立ち上げて以来、県やジェトロ盛岡を初め、関係企業等の積極的な取り組みのもとに、通関実績を着実に伸ばしてきました。北上地域での通関実績は、平成11年が3億円であったのに対して、平成16年は118億円と大幅な伸びを示しております。
 昨年末には、函館税関長が県や北上市を訪れ、直接御指導をいただいたと伺っております。
 さて、この内陸税関官署設置の要件でありますが、税関からは具体的目標数値は示されていないようであります。山形インランド・デポの事例で見ますと、平成2年に政令派出所から出張所に昇格した際の輸出実績は148億円であり、既に派出所となっている東京税関三条燕派出所の平成15年輸出実績は78億円と聞いております。この事例から見れば、そろそろ設置要望書を提出できる時期と思われますが、最近、函館税関は、輸入の増加を期待していると言われております。これを受けて、北上地域では新たな取り組みに入っているところであります。
 こうした状況からも見て取れるように、本県の物流の活性化は、地域経済に活力を与え、ひいては雇用の拡大に結びつくことから、大船渡港の定期航路開設や花巻空港の国際貨物便就航の可能性をも視野に入れて検討するなど、内陸税関官署設置とあわせて、ダイナミックな構想のもとに本県経済活性化を展望すべきと考えますが、知事の御所見を承りたいと存じます。
 次に、農業問題についてお伺いいたします。
 今日の農業問題を考えるとき、WTO世界貿易機関の動向を抜きに考えることができない状況に立ち至っております。
 昨年12月、WTO閣僚会議が、アジアを中心とするNGOや市民、農業団体の猛烈な抗議行動の中、香港で行われました。
 今回の閣僚会議における農業分野でのポイントは、関税の大幅引き下げ、上限関税の設定、高関税品である重要品目数の削減などでありました。これらの項目でおわかりのとおり、すべて輸出国側から輸入国側に向けた項目設定であります。例えば、上限関税設定におけるアメリカの要求は75%であります。これを許せば、60キログラム当たりおおよそ7、000円の米がアメリカから入ってくることになります。
 このように、今やWTOの場は、アメリカを初め、輸出国側が農産物貿易の自由化をより一層強め、輸入国や発展途上国の農業生産現場を金融と資本を含めて、丸ごと支配下に置こうとしている点に注目をしなければなりません。
 さて、こうした世界におけるWTO体制の流れの中にあって、日本農業の将来を左右するであろう重要な動きが見られます。それは、政府の諮問機関である規制改革・民間開放推進会議での議論であります。農協事業分割論とも言われているものであります。農協事業は、信用事業、共済事業、経済事業の3事業で成り立っています。当初は、3事業の分離分割と言っていたようでありますが、現在は、部門間補てん禁止としているようであります。いずれ、これは同じ意味でありましょう。
 そこでお伺いいたします。
 前段申し述べましたように、農業を取り巻くWTO閣僚会議などに見られる世界の流れと、この方向性を受けた形での農業協同組合解体論とも思える国の農業政策の現状を、知事はどう見ているのでしょうか。
 また、本県農業にあって、家族農業を主体とした地域農業のあり方、あるいは共同体としての農村のありようについて、どう描き、つくり上げていこうとしているのか、知事の基本認識を承りたいと存じます。
 次に、林業問題についてお伺いいたします。
 近年、地球温暖化に代表される環境悪化に対する危機感の高まりや資源循環への関心の増大などを背景として、林業を取り巻く環境に変化が見られるとの指摘が多くあります。確かに、最近では、森林の多様性に関心が集中する傾向が見受けられ、森林の新たな利用という面からは、森林療法、森林環境教育などがあり、森林と人とのかかわりの面からは、森林ボランティアの活用の活発化や川上、川下を通じた経済、環境といった意識を共有しての交流が見られます。
 また、事業面では、森林認証取得への関心の増大や国産材の利活用に向けた実際的な取り組みが盛んになってきたと思います。
 私は、昨年2月定例会の一般質問で、県林業公社を廃止し、県有林事業特別会計が引き継ぐ計画があることなどに見られるように、林業関係事業者を含め、厳しい経営環境にある背景には、我が国全体で毎年9、000万立方メートル近い木材を紙や建設、家具用品などに使用しているが、その8割以上が輸入木材であり、世界屈指の木材輸入国であること。一方で、輸入木材の原産国では、原生林を含む保護価値の高い森林の乱伐や違法伐採が問題となっていることから、木材の輸入に当たっては、適切に管理され、持続可能な木材であることを証明する国際組織であるFSC森林管理協議会の認証を受ける取り組みを森林県岩手から発信してはどうかと知事に伺いました。知事は、本県においてもFSC認証を受けて木材輸入に当たっている企業、及びその森林から生産された木材製品であることを証明するFSCの加工流通管理認証を受けている10数企業・団体があるとした上で、拡大しない理由としては、認証に係るコストが、現実のマーケットにおいて価格に反映できないこと、また、認証製品に対する消費者の認知度がいまだ低いことの要因を挙げられました。
 そこでお伺いいたします。
 質問の第1は、引き続く対応等でありますが、国際組織であるFSCなどの機関認証のない木材は輸入対象としないことが関係企業・団体に普及拡大すれば、国産材、県産材の見直しにつながり、需要も伸びてくるものと思われます。そのためには、消費者に対しても、外材については認証材しか使わないといった意識を持っていただく取り組みを強めていくことが大切と思いますが、今後の取り組みについて改めてお伺いいたします。
 質問の第2は、先ほども少し触れましたが、県有林事業と林業公社事業の一元化問題についてであります。
 このことについては、議会の出資法人等改革調査特別委員会に検討経緯等の資料が県から提出されております。これによると、農林漁業金融公庫や県、市町村からの借入残高が478億円と多額になっていること。公社造林は、立地条件の厳しい地域で森林整備を進めてきたことなどから、間伐収入がほとんどない中で、公庫等からの借入金の償還に対する県、市町村の負担が年々増加してきていること。さらに、今後、収益確保のため長伐期施業等を導入せざるを得ず、林業公社を存続させた場合、管理等に必要な経費について、さらなる貸し付けとなることなどの問題があるとしております。
 さて、指摘されているこれらの問題のうち、公社造林からの収入がほとんどない中で、公庫等からの借入金に対する県、市町村からの借り入れが増大し、大きな負担となっていることについて、一元化した場合、どのような対応策を見出すことができるのでしょうか。例えばで結構ですから、思案のあるところをお示しいただきたいと思います。
 また、長伐期施業等の導入によって公社事業期間が延長し、それに伴う公社組織の管理等に必要な経費がさらに長期間必要になるとしている点は、確かに一元化した場合、一般管理費等の経費の節減にある程度なることは理解できます。ところで、公社の分収造林勘定の中で、人件費等一般管理費の占める割合はどの程度になっているでしょうか、お知らせ願います。
 また、公社職員の処遇については、公社運営を主導してきた県にも、その責任が全くなしとはしないと考えますが、いかがでしょうか。
 次に、介護保険制度の見直しとその対応についてお伺いいたします。
 介護保険制度は、平成12年度にスタートしたものでありますが、新年度から第3期事業計画期間に入ることから、各市町村においては、計画策定作業が大詰めを迎えております。
 この見直しは、厚生労働省も言っているように、単なる見直しではなく、保険者、事業者、利用者すべてにかかわる大幅な見直しとなっています。特に注目されるのは、介護予防という観点からサービスが提供され、介護給付との二本立ての制度になる点であります。この事業が、利用者にとって本当によかったと思える事業になるかどうかは、事業実施主体である市町村の責任が重大でありますが、あわせて県の支援や適切な助言も重要な役割を持つものと考えます。
 そこでお伺いいたします。
 質問の第1は、平成15年度から平成17年度までの第2期事業計画期間の実施状況をどう見ているかであります。
 要支援を含む要介護認定者は、第2期計画の推計を大幅に上回っているようでありますが、もしその要因が、要支援あるいは要介護1の比較的軽度の方々であるとすれば、この期間中における介護予防事業のあり方をしっかりと検証した上で次の計画に生かすことが大切と考えますが、県は、この点をどう見ているのでしょうか。
 また、給付費の面から見た場合の施設給付と在宅給付の割合はどうなっているのでしょうか。傾向としては、施設の定員がふえないことによる施設サービスの頭打ちが見られたとすれば、これが施設に入りたくても入れない待機者の増大につながっていると思われますので、平成16年度実績でお知らせ願います。
 次に、昨年10月から施設での居住費と食費負担が導入されたことに伴い、利用者にとって負担増となるため、施設から退去せざるを得ない状況が懸念されたのでありますが、現状はどうなっているのでしょうか。
 質問の第2は、制度の重点とされる新予防給付、地域支援事業、地域包括支援センターでありますが、今回の制度見直しの最大の特徴は、予防重視型システムへの転換とされており、要支援及び要介護1の大半を新予防給付に切り分けた点にあります。このことは、従来利用していたヘルパーの家事援助が大幅に制限されるのではないかとの不安をもたらしておりますが、この点を県はどう見ているのでしょうか。
 次に、地域支援事業は、自立と判定された人たちから、要支援・要介護状態になるリスクが高い高齢者に対して介護予防をする事業でありますが、今までの老人保健事業などは、各市町村において、高齢者福祉にかかわる一般行政費の中で行われているものと思います。今回、この事業に保険料を充てることは、新たな利用者負担を発生させるとともに、保険財政の悪化が懸念されますが、どのようにお考えでしょうか。
 こうした新たな制度の見直しとも相まって、平成18年度から向こう3年間の保険料は大幅なアップが見込まれるようでありますが、市町村の状況をどう見ているでしょうか。このことについて、市町村に対して具体的に助言等がなされているとすれば、どのようなものかお伺いいたします。
 次に、国民保護計画についてお伺いいたします。
 県は、既に岩手県国民保護計画を制定済みであり、新年度は、市町村で国民保護計画をつくることとなります。市町村においては、県計画よりさらに細かな事項が加わります。例えば、戦闘によって地域住民に犠牲者が出た場合を想定してのひつぎ――棺おけでありますが、この準備から、埋葬・火葬手続などが含まれてきます。これは、戦時下体制を前提としておりますから、国と地方自治体との関係は、上下の指示命令系統でつながっています。
 問題は、自然災害とどうリンクさせるか、それとも、武力攻撃事態対処に特定するかによって、その対処方法は大きく異なってきます。県は、市町村に対して、日程を含めてどのように国の指示を受けて計画策定作業を伝えているのか、お伺いいたします。
 次に、青森県六ケ所村の使用済み核燃料再処理工場の安全性についてお伺いいたします。
 日本原燃株式会社は、青森県六ケ所村にある再処理工場で、ことし3月にもアクティブ試験操業を開始するとしています。
 御承知のとおり、本県議会は昨年9月定例議会で、三陸の海を放射能から守る岩手の会から提出された三陸の海を放射能から守ることについての請願を満場一致で採択し、増田知事に提出いたしました。この請願は、1、県は、青森県並びに日本原燃株式会社に対し、岩手県民、特に三陸沿岸漁業に携わる県民への説明を求め、使用済み核燃料による再処理工場のアクティブ試験操業について、慎重を期するよう申し入れること。2、県は、青森県並びに日本原燃株式会社に対し、三陸沿岸の漁場や海水浴場など、三陸沿岸海域全般の核燃料再処理工場による環境影響評価を行うよう申し入れることであります。
 問題は、採択された請願にあるとおり、同工場本体及び本体から大気と海洋に放出される放射能物質による環境汚染の心配であります。
 私ども政和・社民クラブは、昨年11月21日、22日の2日間、再処理工場を含め現地調査を行いました。日本原燃の説明は、工場からの放射能物質はできる限り取り除き、環境への放出に際しては、周辺環境に影響を与えないことを確認している。工場から放出される放射能物質からの放射線量は、自然放射線量よりはるかに少なく、健康への影響はないとの説明でありました。こうした終始安全性を強調した説明に対し、幾つかの疑問を呈したところであります。
 この質疑を受けて、日本原燃の担当者は、説明要請があれば、いつでも出かけて詳しく説明したいとのことでありました。事実、日本原燃は、本年2月18日に六ケ所村と八戸市の2会場で、再処理工場で行ったウラン試験結果と使用済み核燃料を使った最終的な試運転に関する住民説明会を行いましたが、八戸会場では、岩手県からの参加者が、三陸の海に廃液が流されるのは非常に不安、岩手県に出向いて説明会を開いてほしいと要望したことに対し、兒島社長は、岩手県当局や議会、漁業者の要望があれば対応したいなどと答えたと、2月19日付の東奥日報は報じております。
 そこでお伺いいたします。
 この際、県は責任を持って、本県漁業関係者等に対し日本原燃が説明する機会を設けてはどうでしょうか。このことが、県民からの請願の趣旨を踏まえた県の責任ある行動の一つであろうと思いますが、知事の御所見を承りたいと存じます。
 次に、教育問題についてお伺いいたします。
 まずもって、県教育委員会は、小学校1年生を対象に35人学級導入を決めたことに感謝し、その労を多といたします。長年少人数学級実現を求めてきた関係者からは、中身は最小限だが大きな一歩との評価が寄せられております。とはいえ、東北各県では既に導入済みであり、全国的にも多くの県で導入済みという面から見れば、ようやく重い扉が開いたとの感も率直にございます。
 ぜひ、今後において、少人数学級を基本に据えながら、少人数指導、すこやかサポートなど、これまでの実践経験を生かして効果ある教育実践を望みたいと思います。県教育委員会として、今後、小学校2年生、3年生以上の少人数学級実現について、どのようなお考えをお持ちかお伺いいたします。
 なお、これまでの実践活動の延長など、市町村教育委員会の意向をも十分受けとめながら、地域とともに、心通う学校づくりに一層御努力いただきたいと存じますが、いかがでしょうか。
 次に、高校教育についてでありますが、県教育委員会は、新年度予算において、医師、弁護士確保や県北・沿岸の産業振興や地域づくりの人材育成として11校を指名し、所要の予算措置をしております。
 しかし、どうでしょうか。難関大学への進学を主として、東北線沿線6校、地域を担う人材を育成するための大学進学支援として、県北・沿岸部5校の指名です。確かに、これまでも大学進学率の向上は大きな目標であったと思いますが、専門高校を含めて、進学希望生徒に対しては、その希望にこたえるため、教職員も大いに努力してきたのではないでしょうか。問題は、指名された特定の学校のみが人材育成の学校になるような印象を与えてしまうことです。このことによる学校間格差拡大を私は懸念します。
 さらに、専門高校と普通高校との意識の面での格差もまた懸念されます。あそこの学校は進学校だ、ここの学校は専門高校だということは、いわばだれもが知っていることです。しかし、県教委みずからが名指しをして学校間格差を助長、固定するようなことはすべきではありません。
 これまでの取り組みにおいて何が不足していたのでしょうか。また、高校だけの問題ではなく、中学校段階においても、公然とした選別を誘導することになると思われてなりませんが、県教育委員長のお考えをお聞かせください。
 以上で本席からの質問を終わります。
 御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 小原宣良議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、三位一体改革についてでございます。
 今般の三位一体改革は、国庫補助負担金につきましては、スリム化や交付金化、国の負担率の引き下げなど、地方の自由度や裁量の拡大につながらない方法、手法がとられ、また、地方交付税につきましても、財源調整機能等を適切に発揮できる制度設計についての検討が行われないままに削減が行われるなど、三位一体改革の本来の趣旨からかけ離れた点につきまして極めて問題があると認識をしております。その中で、国から地方への税源移譲が所得税から個人住民税へという基幹税により3兆円という規模で実現したことは、歴史的には大きな意義があるものと考えておりまして、また、建設国債対象経費でございます施設整備費関係の補助負担金の廃止が実現したことについても、一定の評価をしているところであります。
 本来の三位一体改革は、国から地方に権限、財源、責任を大幅に移譲して、地方が真に住民本位の行財政運営をみずからの責任で行えるようにすることでございまして、この改革については、住民主権型社会の実現という観点に立ちまして、さまざまな障害を乗り越えながらも前進させなければならないものと考えております。現在、この分権改革の進め方の戦略につきまして、地方6団体として検討委員会を設置して鋭意検討を進めているところでございまして、今後、私も地方6団体の一員として、さらに分権改革の推進に向けて全力を挙げて取り組んでいく所存でございます。
 次に、内陸税関官署、いわゆるインランド・デポについてでございます。
 これは国際化に対応した本県の物流体制の整備を図る上で重要な機関の一つと認識をしております。本県内陸部での輸出入の通関実績でありますが、保税蔵置場の設置箇所数が増加をしていることや、北上インランド・デポ設置促進協議会などの活発な取り組みによりまして、年々通関実績が増加をしております。その取扱金額だけを見ますと、先進の東京税関三条燕派出所とほぼ同等なレベルに達しているところでございます。
 インランド・デポの設置促進に向けましては、これまで、輸出企業を中心に内陸通関の拡大を進めてきたところでございますが、平成15年から大半の通関品目についてオンライン処理ができることとなりまして、また、関税法が改正をされましてことしの3月からは、さらに輸出通関手続の簡素化が図られる、こういうことになっておりますので、今後は税関職員の直接の検査を必要とする輸入を行う企業の内陸通関の利用拡大を図ることが重要だ、このように考えております。
 また、企業にいろいろお話をお聞きいたしますと、こうした通関手続の面だけでなくて、輸送方法を含めた物流全体にかかるコスト、所要時間を基準に企業として経営判断をしているということから、国際貨物に係る物流基盤の整備がおくれている本県の現状では、直ちにインランド・デポ利用上のメリットを見出しにくい、こういう声も一部にあるようでございます。したがいまして、今後とも内陸通関を行う輸出入企業の拡大のための活動を積極的に支援いたしますほか、県内中小企業の海外取引展開への支援や企業誘致を進めて新たな輸出入企業の創出に努めるほかに、あわせて外貿定期コンテナ航路の開設に向けた取り組みなどを促進しながら、インランド・デポの設置促進に向け一層努力していく所存であります。
 次に、農業問題についてであります。
 今、農業を取り巻く世界の流れは、世界的な人口増加や栄養不足人口の増加、そして中国を初めとするアジア諸国の経済発展による食料需要の拡大、こうした要因によりまして、世界の食料事情は不安定な状況となっているところであります。一方で、農産物貿易のグローバル化が進む中で、今後の貿易ルールの構築に向けて、WTO交渉などが進められておりまして、自由市場経済の拡大がさらに進展することは避けて通れないものと考えております。国内におきましても、食料自給率の低下、そして消費者ニーズの多様化といったようなことで大きく情勢が変化をしてきておりまして、国は新たに食料・農業・農村基本計画を策定して構造改革を進めるということとしております。
 一方で、国の規制改革・民間開放推進会議の議論の中で、農業協同組合の改革が話題に上っていると聞いておりますが、これまでは農業協同組合と国の農業政策とは密接不可分の関係にあったということができまして、そのことが例えば、戦後の農業政策の基本目標でございまして、農業の近代化や農家所得の向上の実現を図る上でプラスに作用してきたことは事実ととらえております。しかし、近年は、そのことが農業協同組合の経済事業の合理化、効率化をおくらせていることも否めないところでございます。
 今般の農政改革は、これまでの生産者重視の政策から、消費者に安全・安心な生産物を届けることが農業者の役割という視点で、高い経営意識を持ち農業に専念する自立した担い手の育成確保を目指そうとするものととらえております。こうした農業政策の転換にあわせて、農業協同組合も、農業者のために奉仕をする組織である、こういう原点に立ち返ってみずからのあり方を考えるべき時期に来ているもの、このように認識をしているところでございます。
 また、本県農業・農村のあり方についてでありますが、本県におきましては、家族経営を基本として、本県ならではの結いの精神に支えられた地域ぐるみ農業として築かれてきておりまして、その生産基盤である農村は、非農家も含む生活の場として大切に維持をされてきたところ、こういうことでございます。将来にわたってこうした本県の農業・農村を活力あるものとしていくためには、こうした岩手らしい特色を生かしながら、基幹となる主業型農家と小規模・兼業農家が共存する仕組みを構築していくことが極めて重要である、このように考えております。
 このため、小規模・兼業農家にありましては、農地や労働力などを持ち寄って、それぞれの経営志向に応じた役割を担う集落営農組織化を推進しているところでございます。また、こうした集落の中では、女性や高齢者も含めそこに住まう人々が結いの精神を発揮しながら、個々の能力や創意工夫を生かして、それぞれの役割に応じて活躍をしている、そのような自立した農村をつくり上げていきたい、このように考えております。
 次に、六ヶ所村の使用済み核燃料再処理工場の関係であります。
 本県の水産業を守る、このような観点から、核燃料再処理施設から排出をされる廃液による海洋汚染は絶対にあってはならないことであります。核燃料再処理工場の安全性につきましては、第一義的には、事業者が責任を持って取り組むとともに、法令に基づきまして一元的に安全規制を行っております国が、その役割を果たすことが基本である、このように考えます。このため、国及び事業者とも、スケジュールを優先させることなく、安全性の確保を最優先して事業を実施することが必要である、このように考えております。
 また、地元である青森県及び六ヶ所村と事業者──日本原燃株式会社でありますが──この事業者との間でウラン試験の段階と同様にアクティブ試験に係る安全協定を締結する予定があると聞いているところでございます。県としては、まずもって青森県での説明や協定締結の状況に強い関心を持って見守っていきたいと考えております。また、日本原燃株式会社が、本県漁業関係者等に対して説明する機会を設けるように要請してまいりたい、このように考えております。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁をさせますので御了承お願いいたします。
   〔総務部長時澤忠君登壇〕
〇総務部長(時澤忠君) まず、地方財政計画についてであります。
 地方財政計画の策定を通じまして、地方団体が法令や国の予算に基づく標準的な行政水準を確保できるように地方財源が保障され、特にも、地方交付税制度の財源保障機能、財政調整機能によりまして、地方全体はもとより、個々の地方団体の円滑な財政運営が行われるようにという仕組みになっておりまして、その役割は極めて高いと評価をしております。こうした役割の反面、地方の行財政運営は、地方財政計画の内容などに大きく左右される面もございます。特に財政力指数が低く、地方交付税に大きく依存している本県はこの影響を受ける財政構造となっているものでございます。
 小さくて効率的な政府の実現、国、地方を通じたプライマリーバランスの黒字化などにつきましては、それ自体は重要なことと考えておりますが、一方で、地方の事務は国が法令でその実施を義務づけているものや、法令等で基準を定めているものがかなりの部分を占めているという構造になっております。そのこと自体も国が定めているものでございますので、したがいまして地方団体の安定的な財政運営に必要な地方交付税等の一般財源所要額につきましては、地方の実情を踏まえその総額が確保されるべきと考えておりまして、引き続き国に対して要望していきたいと考えております。また、国と地方は対等のパートナーという観点に立ちまして、地方財政計画の策定への地方の参画も求めてまいりたいと考えているところでございます。
 次に、国民保護計画についてであります。
 県及び市町村の国民保護計画に関する作成スケジュールにつきましては、平成16年9月消防庁から発出されました法施行通知の中に、都道府県の国民保護計画は平成17年度中をめどに、市町村の国民保護計画は平成18年度をめどに作成するよう所要の準備を進めるようにとされているところでございます。
 県といたしましては、平成17年7月に、7振興局を会場といたしまして、周辺市町村の担当者に集まっていただきまして、国民保護法の概要と県の現状、そして市町村の今後のスケジュールにつきまして説明を申し上げました。また、11月には、市町村国民保護研究会というものを立ち上げまして、16市町村の参加のもとに、国から示されました市町村国民保護モデル計画を参考に岩手県版のモデル計画を作成するなど、市町村の国民保護計画作成を支援しているところでございます。
   〔県土整備部長橋本義春君登壇〕
〇県土整備部長(橋本義春君) 建築確認行政体制についてでありますけれども、本県の建築確認行政は、県、盛岡市のほか、戸建て住宅等の小規模建築物の建築確認は宮古市、釜石市、奥州市、一関市、北上市、花巻市において行われております。建築確認の際には、複数の者が構造も含むすべての事項を審査することに加えまして、審査に必要な知識を有しています建築基準適合判定資格者であります職員が必ず携わる体制となっております。建築確認行政の体制はそういう点で確保されていると考えております。
 岩手県内を業務区域としております指定確認検査機関は、大臣指定機関が5機関、知事指定機関が1機関ございます。知事指定機関の財団法人岩手県建築住宅センターには、平成17年12月16日に立入調査をいたしましたが、問題はありませんでした。また、大臣指定機関には、国が監督権限を有するため、国が立入調査をいたしましたが、県内の確認について問題があったとの報告は受けておりません。個別の建築物については、県と盛岡市が平成17年10月までに建築確認した大臣認定構造計算プログラムを使用し、かつ保存されている建築確認図書及び国から情報提供を受けた株式会社総合経営研究所の関与物件を検証いたしましたが、偽装はございませんでした。さらに、工事途中段階におきましても、中間検査として、共同住宅やホテルなどの建築物の場合には、柱やはりの鉄筋の本数、位置、径等が建築確認図書と整合しているかどうか現地確認を行っているところでございます。
   〔農林水産部長今泉敏朗君登壇〕
〇農林水産部長(今泉敏朗君) 認証材使用に向けた意識醸成への取り組みについてでございますが、県民が、違法に伐採された木材を使用しない意識を持つことは、環境保全や持続可能な森林経営の推進のためには重要なことであり、外材、国産材を問わず、森林認証材、認証製品に対する消費者の理解を促進することが必要であると考えております。
 このため、県では、イベントでのPRの取り組み、あるいは認証取得者におきましては、みずからが全国的なユーザーへの売り込みを行うなどにより、その利用促進を図ってきているところでございます。さらに、これらの取り組みを拡大するため、認証取得者みずからによる連絡組織を立ち上げ、相互の連携による認証制度の普及啓発や、需要拡大活動を行うこととしております。県におきましては、引き続き普及啓発等を通じ認証製品使用に対するユーザーの意識を高めるとともに、これらの活動を積極的に支援してまいりたいと考えております。
 次に、県有林事業と林業公社事業の一元化についてでございます。
 一元化への対応策についてでございますが、県有林事業へ一元化することとしたのは、これによって将来の県民負担を少なくすることにあるものでございまして、公庫借入金について、公庫との協議により、さらに繰り上げ償還を進め、今後の利息の軽減を図る。また、現在約50年としている標準伐期を約80年まで延長した長伐期施業により、良質材を生産し、木材販売収入の増大による収益性の改善を図るとともに、経営期間の長期化による管理経費の掛かり増しについては、既にある県有林と一体的に管理することにより、管理費の節減を図るなどの取り組みを行うこととしておりまして、これにより将来的な負担の軽減を図ってまいりたいと考えております。
 次に、一般管理費の割合と公社職員の処遇についてでございますが、平成16年度の林業公社の決算では、分収造林事業における一般管理費の割合は約16%となっております。平成12年度で公社事業の新植が終了し、今後、下刈りや除伐等の保育事業が減少していくことなどを考えますと、事業に占める一般管理費の比率は総体的に高まっていくのではないかと見込んでいるところでございます。
 また、公社職員の処遇についてでございますが、公社は、現在、転職を希望する職員が資格を得るための研修などへの参加、あるいは就職活動を行う際の便宜の提供といった取り組みを進めているところでございまして、公社職員の処遇につきましては、まずもって公社自身に取り組んでいただきたいと考えているところでございます。
   〔保健福祉部長赤羽卓朗君登壇〕
〇保健福祉部長(赤羽卓朗君) 第2期事業計画期間内の介護保険制度の実施状況についてでございますが、まず、第2期事業計画期間中の要支援者、要介護者数と介護予防事業についてでございますが、平成16年9月で見ますと、要支援の方は約6、500人とほぼ計画の推計どおりでございましたが、要介護1の方は約1万7、000人と推計値を2、800人ほど上回っているところでございます。
 このことは、制度の周知に伴って、介護サービスを利用しようとする要介護1の軽度の方が増加したことが主な原因と考えておりますが、日本医師会の調査研究機関でございます日医総研の調査結果によりますと、要支援者のうち半数近くが要介護度を低下させており、予防給付が十分に機能していないのではないかという報告もあったところでございます。こうしたことも要因の一つとして考えているところでございます。
 これまでの予防給付は、要支援の方も、それから重度の要介護の方も基本的に同じ種類の介護サービスが提供されていたところでございまして、その結果、要介護度の進行を十分に防止できなかったとされているところでもございます。今回の制度改正におきましては、運動器の機能向上あるいは口腔機能の向上、栄養改善など、介護予防に特化したサービスが提供されることとなっておりまして、県といたしましては新しい介護予防サービスの確実な推進のため、現在策定中の介護保険事業支援計画により、市町村を支援していくこととしております。
 次に、平成16年度の施設給付費と在宅給付費の割合についてございますが、制度発足時の平成12年度の施設給付費と在宅給付費は総額で446億円となっておりました。そのうち施設給付費は73%、在宅給付費は27%となっております。16年度の同じ施設と在宅サービスの給付費を見ますと、全体で約698億円となっております。その割合はそれぞれ施設が58%、在宅が42%となっており、施設給付費の割合は相対的に減少しておりますが、施設整備による入所定員が特養、老健あわせ平成12年度末に比べて1万6、000床余り増加したということもございまして、施設給付費そのものは81億円、約25%増加しているところでございます。在宅の特別養護老人ホーム入所希望者は、平成17年3月末現在で2、059人、うち重度者は1、161人となっているところでございます。
 次に、居住費と食費負担の導入に伴う施設退去者の状況についてでございますが、居住費、食費の負担増加を理由に施設を退所した方は、新たな制度が導入されました平成17年10月から本年1月末日までの間で、特別養護老人ホームが2人、介護老人保健施設が38人、介護療養型医療施設9人の計49人となっております。なお、自己負担導入直後の10月中の退所者が19人でございましたが、1月には5人となっているところでございます。退所後の状況を見ますと、入院が7人、特養等施設入所者が7人、自宅に戻られた方が34人などとなっております。自宅に戻った方のうち、在宅介護サービスを御利用されている方は32人となっているところでございます。
 次に、新予防給付等についてでございますが、まず家事援助についてでございますが、介護予防訪問介護、いわゆる新予防給付としての家事援助につきましては、アセスメントにより把握された課題等を踏まえ、対象者の自立支援の観点から、利用者がみずから行うことができない、あるいは家族等の支援が得られない部分について、介護予防プランにより家事援助を提供することとなります。
 県としては、要介護度の進行を防ぎながら、地域での生活をできる限り継続していただくという新しい制度の趣旨を踏まえ、必要な人に必要なサービスが提供されることが重要と考えております。このため、県独自に介護予防ケアマネジメントマニュアルを作成するとともに、介護予防従事者研修を実施するなど、市町村におきます新予防給付が新たに制度化されます地域包括支援センターにおける取り組みも含め、適切に開始され推進されるよう支援してまいりたいと考えております。
 次に、地域支援事業の導入に伴う影響についてでございますが、地域支援事業につきましては、一般高齢者や虚弱な高齢者が要支援や要介護状態にならないようにすることが目的とされておりまして、第3期計画期間を通じて約7、700人の方の要介護状態への移行を防止することを目標としております。したがって、地域支援事業に介護保険料を充てることは、要支援者等の発生を抑え、制度の持続的な運営に役立つものと考えておりまして、若年者とともに国民全体で介護保険制度を支えるという介護保険制度の理念に合致するものと考えております。
 なお、地域支援事業の予算規模は、介護給付費の3%以内とされているところでございまして、平成18年度におきましては2%とされております。
 次に、介護保険料負担の増加についてでございますが、現在の第2期事業計画における給付費総額は、3カ年間で2、068億円と見込んでおりますが、現時点で把握しております第3期事業計画の給付費総額は、2、314億円と約12%の増加が見込まれているところでございます。介護保険料につきましては、現在、各保険者において精査している段階でございますが、給付費そのものの伸び、それから1号被保険者負担割合の増、これは人数による割合の増でございますが、財政安定化基金貸付金償還金の増、地域支援事業費の増等に伴い増額が予想されているところでございます。
 第3期事業計画期間における介護保険料の県平均額につきましては、ごくあらあらの計算でございますが、現在の3、018円から約20%強の増、金額的には3、700円前後となるのではと見込んでいるところでございます。市町村にはそれぞれの実情を踏まえ新たに導入されます新予防給付でありますとか、地域密着型サービス等についても十分に考慮し、必要なサービス料を見込み適切な保険料設定を行うよう支援しているところでございます。
   〔教育委員会委員長安藤厚君登壇〕
〇教育委員会委員長(安藤厚君) 高校における進学指導についてのお尋ねでございますが、大学等への進学を希望する生徒に対しましては、各学校において、その進路希望に応じて指導しているところでありますが、学校によっては、生徒の多様な進学希望に対応した生徒一人一人に対するきめ細かな指導が必ずしも行き届いていなかった面もあるのではないかと考えております。
 一方、本県におきましては、将来の地域医療を支える人材や、地域の発展を担う高度な専門的な知識や技術を身につけた人材の確保が県政の最重要課題となっており、これらの人材の育成が急務となっております。そこで、これらの課題に適切に対応するために、各地域の中で、進学希望者の特に多い11の高校を中心として、生徒一人一人の進路希望に応じた指導の一層の充実が図られるよう、各学校の取り組みを積極的に支援してまいりたいと考えております。その場合、11の各学校が地域内の他の高校の進学希望者や教員もこの取り組みに参加できるような体制を工夫し、広域的な観点から取り組めるよう支援をしていきたいと考えております。
 また、これらの11校以外の進学希望者の多い学校に対しましては、本年度から実施しております進学目標達成推進事業により、その取り組みを支援していくことにいたしております。
 さらには、すべての県立学校に対し、特色ある学校づくりを進めるため、同じく継続して実施いたしております夢と活力あふれる学校づくり支援事業により、その取り組みを支援してまいりたいと考えております。
 また、関連して申し上げますと、就職を希望するすべての生徒に対しましては、職業観や勤労観を育成するキャリアアップ講座を開催するほか、就職支援相談員を配置するなど、生徒の進路希望の実現に向けたさまざまな取り組みを進めているところであります。
 特に専門高校につきましては、職業体験活動等を行う豊かな体験活動推進事業や地域の小・中学校等との交流を深めるみんなの専門高校プロジェクト、起業精神を学ぶ次代の担い手ビジネスチャレンジ事業等を進めてまいります。さらに、工業高校への専攻科の設置に向けて準備を進めるなど、有為の職業人の育成に取り組んでまいりたいと考えております。
 このように、このたびの取り組みは、決して学校間の格差を助長するものではなく、県政の課題にこたえ、何よりも地域の学校が連携しながら、生徒一人一人の多様な進路希望が実現できるよう、その取り組みを支援しようとするものであります。
 教育委員会といたしましては、このような観点に立ち、今後とも、中学校と高校との連携を一層密にして、生徒の将来の目標が実現できるよう、進路指導の一層の充実を図り、本県の将来を担う多様な人材の育成に努めてまいりたいと考えております。
   〔教育長照井崇君登壇〕
〇教育長(照井崇君) まず、少人数学級の実現についてですが、2年間の少人数学級研究指定校における研究により、少人数学級については、小学校入門期における基本的生活習慣や学習習慣の確立に効果が見られたことから、平成18年度から小学校1年生に35人学級編制を導入することとしたところです。
 この35人学級編制導入後は、すこやかサポート非常勤講師の配置と相まって、県内の小学校1年生の全学級で実質的に30人以下の学級が実現することとなります。
 今後は、35人学級を順次小学校2年生へ拡充することについて検討してまいります。
 また、基礎学力の向上には少人数指導が効果があるという教育センターの研究結果を受け、小学校3年生から中学校3年生については、国からの加配定数を活用した少人数指導を中心に据えて取り組んでいきたいと考えております。
 このように、本県の少人数教育は、少人数指導と少人数学級、それにすこやかサポート非常勤講師の配置により、子供たち一人一人に対するきめ細かな指導の充実を図り、基礎学力の向上に一層努めてまいります。
 次に、少人数学級の実践活動の延長についてですが、今年度、小学校1年生で少人数学級の研究を実践した学校については、2年生に進級する際に、通常、学級がえを行っていないことから、平成18年度も引き続き、研究校として指定を継続してまいりたいと考えております。
 また、1年生以外の学年であっても、平成18年度も少人数学級編制を延長したいという市町村教育委員会がある場合には、できるだけ弾力的な学級編制の希望に沿えるよう対応してまいりたいと考えております。
 今後も地域の声に十分耳を傾けながら、心の通う学校づくりに一層努めてまいります。
〇38番(小原宣良君) 再質問させていただきます。
 総務部長に伺いますが、財政問題です。
 答弁ありましたように、さまざまな仕組みがあってのことでありますけれども、平成18年度における国庫補助金負担金の地方への税源移譲は、所得譲与税と交付税によって行われたわけですね。そういうことでありますが、地方税と交付税に振りかえたということも言えるわけでして、このうち交付税については、お話ししましたが、他の経費で減額されているものがあれば、これは税源移譲分としては増額としてあらわれてこないと。要するに、減要素が交付税の中にあるとすれば、そこで相殺されてしまう。そこで増額分については措置したということは言うんだけれども、実際、それはあらわれてこない。減額要素によって相殺されてしまう、こういう仕組みだということを申し上げたいですね。
 この点について、これまでの国庫補助金負担金と比べて、一体この今度の措置というのは、本県にとってプラスかマイナスか、端的に言いますと、得したか損したかという話です。あるいは、これまでと同額で措置をされたということになるか、これはぜひわかりやすくお知らせをいただきたいというふうに思います。
 それから、部長には、国民保護計画でありますが、先ほど自然災害に対する防災対策という点での兼ね合いについてもお聞きいたしました。宮城県沖地震などによる津波対策、これは県政にとっては当面する最重要課題の一つであるというふうにも思うんですが、こういう点で、この県の自然災害に対する防災対策という点にこそ、しっかりとした対応を今やるべきではないかということについては、どうお考えですか。
 それから、知事にお伺いしますが、先ほど六ケ所村の核燃料再処理工場の安全性について、これは漁業者の皆さんへの原燃の説明の場については、これを要請したい、こういう答弁がございました。これはまことに結構であります。
 そこで、これはアクティブ試験操業も3月というふうに言われておりますので、この時期について、これは早急に対応なさるということであろうと思いますけれども、その時期についていつごろをお考えか、お伺いしたいと思います。
 それから、花巻空港ターミナルの移転新築、これは私も急ぐ必要があると申し上げました。地域経済活性化に向けた企業や団体の積極的な姿勢に比べて、県の取り組み姿勢に弱さがあるのではないか、こういう声をしきりと聞くわけでありまして、財政事情はあるにしろ、整備の方向性は明確に示すべきだと思いますが、知事、改めてお伺いしておきます。
 また、インランド・デポ設置促進に向けましては、函館税関がここの所管でありますので、函館税関を軸としながら、しかも幅広く国に対して設置に向けた働きかけをしていくと。知事を先頭にしながら、ぜひお願いしたいと思うんですが、これも再度お伺いしておきたいと思います。
 それから、農林水産部長、お伺いいたしましたが、再度伺います。
 WTOの動向を踏まえて、昨年11月に国は経営所得安定化対策等大綱を示して、諸外国との生産条件の格差是正に動いたということです。格差是正とはいいながら、アメリカのように、もう広大な水田、飛行機で種をまいて、大型コンバインで刈り取りをすると、実に荒っぽい農業をするわけですね。
 ところが、日本はそういうわけにはいかない。狭い国土、狭い耕地の中で、これを有効に、いわば手を入れてやっていく、こういう農業でしかないわけでして、ここを幾ら頑張っても、この格差是正、価格面の格差是正という点ではない。これはなかなか、もともと競争にならないということで、関税というものをかけて、そこで農業をそれぞれの国は守る、主要品目については守っていくんだ、こういうことなんですね。
 しかし、その垣根も取っ払われようとしているという状況の中で、経営所得安定化対策等大綱、これを昨年11月に国は示したんです。この大綱は三つの対策から成っているわけですね。一つは、品目横断的経営安定化対策ということで、品目といっても、これは、麦・大豆、てん菜、でん粉原料用バレイショ、この4品目ですね。しかも、その経営対象としては、認定農業者、特定農業団体に特化すると。先ほどもお話ありました、そういうことなんですね。
 この対策は、基本的には大規模化を目指すという方向ですね。小規模の兼業農家、いわゆる家族農業という点は、これはこの対策からは、ある意味外れていると言ってもいいと思うんです。しかし、それは組み入れていかなければいけないという、岩手的には工夫が必要だということになるわけですが、いずれこれは、詳しくは別の機会に譲りたいと思うんですけれども、こういう対策が一つ。
 それから、二つ目は、米政策改革推進対策です。これは、米の需給調整を農業者、農業団体に移行させるということですね。ここでの問題は、国の自給率の向上という大命題について、一体、国はそれをしっかり堅持しているかどうかということにかかわってくる問題です。いずれ、この米政策改革推進対策というのが2番目。
 それで、お聞きしたいのは、その三つ目の対策なんです。農地・水・環境保全向上対策ですが、これは、社会共通資本としての農地、農業用水等の資源と、そこで行われる営農活動を一体として地域振興対策と位置づけるとしているものです。この対策を進めるには、先ほど言いました小規模な兼業農家を含めないと地域ぐるみでの共同活動はできない、こういう性格を持っている対策です。したがって、この対策は、規模拡大路線を突っ走っている国の農業政策の中では、本来の地域農業の力を引き出す政策というふうにも言えるわけでして、私は、これは久々の国のヒット商品だと思いますよ。ですから、これに対して県はどういうふうに対応しようとしているかということです。
 平成19年度の本格実施に当たって、国では来年度、全国的には約600カ所を計画していると。モデル計画を指定して、支援をするということです。県は、この対策をどのように評価して、どのように取り組むお考えかという点、部長、お伺いしたいと思います。
 さらに具体的に伺いますが、この対策に対して、県内の農業団体からどれほどの実施希望があったのか。手がどれぐらい上がっていたかということです。平成18年度、新年度における実施箇所、これは幾つと見込んでいるでしょうか。
 2月23日付の岩手日報の「声」欄に、こういうちょっと気になる部分がありました。モデル指定を中止は残念。そして、指定して夢を抱かせ中止とは納得いかない、知事に御一考願いたい、こういう「声」欄があったんですね。これは日報の「声」欄です。この声を部長、どう受けとめていますか。これ、指定とここには書いていますけれども、指定ということではないかなという感じもするんですが、いずれにしろ、今の段階で指定という段階になっているかどうか、私もよくわかりませんから、この声についてどういうふうにお答えするんでしょうか、この点を伺いたいと思います。
 それから、県有林事業と林業公社の一元化についてでございますが、これはもちろん経緯がある。昭和39年2月の定例県議会、この場において、地域間格差の是正とか辺地対策――当時の言葉ですから――ということで建議がなされて、同年11月に農林大臣の許可を受けて公社が設立された。これは、農林漁業金融公庫融資の導入による造林事業を展開することということが、一つの大きな目的だったんです。要するに、農林漁業金融公庫からの融資、県はあの当時、直接融資ができないというような条件の中にあったものだから、ここで林業公社を立ち上げて、農林漁業金融公庫の融資先として設置した。そして、それを有効活用しながら、それぞれ事業展開をしていこうというものだったわけですね。
 こうした経過からも明らかなように、農林漁業金融公庫からの資金借入機関、この役割というのは第一義的にあったと。同時にまた、事業としては県事業を代行する役割があったと思うんですね。こういう認識でいいかどうか、まずは部長、私の認識が誤っていればちょっと大変ですから、お聞かせください。
 また、県は、林業公社に対して公社の清算手続を指示したようでありますが、県林業公社にかかわる新たな森林整備法人に一元化後の業務を移管することになるかどうか。それとも、県がこれまでの公社業務を森林管理を含めて直接行うということになるか。今の林業公社から新たな森林整備法人に移すか、それを設置して移行するか、直接県がやるか、これはどっちですか。今の検討状況の中でどちらでしょうか、この点を伺っておきたいと思います。
〇知事(増田寛也君) まず、日本原燃の説明の機会でありますが、これにつきましては、早急に説明をするように、相手方の方に要請をしていきたいと考えております。
 次に、花巻空港のターミナルビルの関係でございますが、これは、当然、今後も整備をしていかなければならないという認識に立っておりまして、その着工に必要な環境を整えるために、利用促進策の強化と、そして、早急に事業費や財源などの整備計画を見直しをする、このことが必要と考えておりますので、こうしたことに取りかかった上で、できるだけ早くターミナルビルの整備に着手できるように努めていきたいと考えております。
 3点目のインランド・デポの関係でございます。
 これは、私も先般、税関長に会いましたし、さまざまなアドバイス、課題等について、向こうの方からも話をいただいておりますので、こうした向こうの方から指摘されております課題の解決のめどが立ったと判断した時点で、函館税関とよく協力し合うことが必要だと思っています。そういう時点で、函館税関の協力を得ながら、国の関係する部署に働きかけをしていきたいと考えております。
〇総務部長(時澤忠君) まず、補助金改革と交付税でございます。
 今回、補助金改革に伴いまして減になります国庫補助金は238億円でございます。一方、新たな負担もございますので、この改革に伴います一般財源所要額の増加は306億円と見ております。所得譲与税の額が225億円でございますので、一般財源所要額の方が80億円程度上回るというふうに今見込んでおります。これにつきまして、国の方では、廃止・移譲されます施設整備補助に係る施設整備につきましては特別の地方債、その他につきましては交付税措置をすると言っておりますので、私どもも、適切に交付税措置されるべきものと考えております。
 平成17年度までの国庫補助金改革の影響額を我々も検証しております。それを検証いたしますと、今期影響額に対して、確かに基準財政需要額には算入されているということを確認しております。
 今年度の改革も、来年度の交付税によって適切に算入されているかどうか、改めてまた確認をしたいと思いますが、確かに、議員おっしゃるとおり、他の減要素が大きく、トータルでは交付税としては減となっているというのは事実でございます。しかしながら、他の減要素は別にいたしまして、国庫補助金負担金改革につきまして、基本的に検証いたしました結果、私どもは、基本的には損得というのはないと考えているところでございます。
 それから、自然災害についての措置をきちんとするようにということでございました。
 私どもも、津波対策につきましては、30年の間に99%の高い確率で起こるとされておりますので、これは緊急に取り組むべき課題だと位置づけております。県民の意識醸成を含めまして、その対策を今現在進めておりますし、また、日本海溝特別措置法に基づきまして、防災推進地域として14市町村が指定されております。こういった市町村におきましては、今後、防災推進計画というものを策定して準備を進めていかなければならない、こういったことも直ちに取り組まなければならない問題だと考えておりまして、県としても万全を期したいと考えております。いずれにしても、地震津波対策につきましては、県として万全を期したいと考えているところでございます。
〇農林水産部長(今泉敏朗君) まず、農地・水・環境保全向上対策についてのお尋ねについてでございますが、この農地・水・環境保全対策というのは、農業用施設の管理を地域が共同して行う場合に、国、県、市町村がそれを支援するというものでございまして、平成18年度は要望が実は29ございまして、この中から県内3地区でモデル事業を実施する予定で今おります。
 議員から御紹介のありました「声」の欄の投書でございますけれども、私も読ませていただきましたが、その中に、環境を守る活動は、今までも集落――投書をされた方の集落においては――でさまざまな形で行ってきたというフレーズがございましたが、私、そこのくだりに大変共感を覚えたわけでございます。やはり本来、農業施設の管理というのは、このように地域の方々が一体となって自主的に取り組んでいただくべきものと考えているところでございまして、県といたしましては、やはりこのような地域における自主的な活動というものをしっかり応援していくというか、後押ししてまいりたいと考えております。
 次に、県有林事業と林業公社事業の関係でございますけれども、まず、県事業を代行する機関だったかどうかというお尋ねについてでございますが、県事業を委託するという形でそれを行ってきたという意味では、御指摘のとおりというふうに考えてございます。
 公社営林を一元化した後の県有林管理をどうするかということでございますが、今の考え方では、県が直接行うと。ただ、実際の業務に当たっては、民間が行うことが適当な業務については、できるだけ民間に行わせたいと考えてございまして、今、委託の範囲などについて検討を重ねているところでございます。
〇38番(小原宣良君) 最後に知事にお伺いしておきたいと思うんですが、先ほどありました農地・水に関連する対策について、29の要望があって、実施は3だということなんですが、ぜひこれらは、本格実施に向けて十分このモデル実施について精査をしながら、箇所数をできるだけふやしていく、そうした地域ぐるみの共同意識というものを高めていくこれからの大きな視点だと思うので、その点はよろしくお願いしたいと思います。
 それから、県有林事業と林業公社事業の一元化にかかわる問題なんですが、今、部長からもありましたように、林業公社の現状、これは県も責任、これはもうないというわけにはいかない。これは責任ありということでありますから、公社事業を直接県が行うということにしても、この委託をしてそれぞれやっていかなければならない現場の問題があります。こういう点からいうと、今いる公社職員、これはもう一番そうした現場を知っている、こういう形でありますので、その経験を生かす方法というものも含めて、十分にこれは考えていく必要があると思います。知事、ぜひこの点は、どのように有効に、この林業公社移行という部分を考えた場合にどうお考えであるのか、お伺いしておきたいと思います。
 一般管理費が、先ほど16%とお聞きいたしました。いずれにしても、この管理費の16%、どういう計算式か、後でよくお聞きしたいと思うんですけれども、いずれかなり額の効率化という点では、これは努力をしていると見るわけでありまして、そういう点で、今後の公社職員の処遇という部分もあわせて、せっかくの人的な資源でありますから、これらを有効に生かしていく、その方途もまた、今後の公社問題については大事な視点ではないかと思ってお聞きする次第であります。
〇知事(増田寛也君) 農地・水・環境保全向上対策事業、これはモデル地区3地区で実施いたしますので、その中で効果ですとか、それから、関係する機関の役割分担を今後どういうふうにしていったらいいのか、そこをよく検証していきたいと考えております。
 それから、県有林事業と林業公社を一元化いたしますので、今、公社職員の処遇等についてお話がございましたが、まず、関係者にいろいろ知恵を出していただきたいと思っておりますが、公社の職員でありますので、主体的には、やはり公社自身で取り組んでいただきたいと思っております。
 いずれにしても、それぞれ経験とか専門的技術を持っている公社職員でございますので、本県の森林管理に生かせるやり方をそこで考えていくようにしていただきたいと考えております。
〇議長(伊藤勢至君) 次に、大宮惇幸君。
   〔18番大宮惇幸君登壇〕

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