平成18年6月定例会 第19回岩手県議会定例会会議録

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〇 4 番(小田島峰雄君) 民主・県民会議の小田島峰雄でございます。このたび、初めての一般質問の機会をいただき、感謝申し上げます。
 私は、長いこと小さな町の行政に携わってまいりました。その間、自慢ではありませんが、ただの一度も質問に立ったことはありません。もっぱら答弁を担当いたしてまいりましたので、時として答弁者がお答えしやすい質問となりますことをお許しいただき、順次お伺いをいたします。
 まず最初に、地方分権の推進についてお尋ねいたします。
 地方分権型社会の本格的な構築が求められている今日、住民が誇りと将来の展望を持てる個性と活力ある地域社会をつくることは、地方自治体に課せられた最も重要な課題であります。このたびの平成の大合併は、地域における自己決定、自己責任のもと、自立した基礎自治体をつくることを目的の一つとして行われたものと承知いたしておりますが、地方自治の最前線で日夜奮闘されておられる市町村長、とりわけ規模の小さい町村長の中には、果たして、現在目指している方向が真の地方自治に向かっているのか、甚だ疑問に思っておられる方々も少なくありません。このたびの大合併に際しては、いずれの自治体にありましても、比較的短期間の間にもかかわらず真摯な議論が行われ、幾度となく住民懇談会を開催するなど、さまざまな曲折を経て合併を選択した市町村、あるいは自立を決断した市町村があることは御存じのとおりであります。
 県はこのほど、自主的な市町村の合併の推進に関する構想を策定され、合併新法のもと、さらなる市町村合併を進めようとしておられます。その構想の中では、人口規模の小さな市町村の行政体制は、少子・高齢化、税収の減少、職員の人件費の削減、行政サービスの縮減というプロセスで危機的な状況に陥ることが懸念されるとされております。もちろん、このことを否定するものではありません。しかしながら、少なくとも合併を選択しなかった町村長の多くは、それらをきちんと念頭に置きながらも、やむを得ない理由により自立を選択しているのであります。規模が小さく、財政的にも決して恵まれない町村長の多くは、むしろそれを逆手にとり、さまざまな施策を展開しておられます。これは、視点を変えれば、小さいからこそ可能なことが少なからずあるということであります。
 私も小規模自治体の首長として常に念頭に置いてまいりましたのは、住民との協調・協働の地域づくりでありました。それは時に地域自治会とであり、時にNPO法人とであったわけでありますが、こうした住民組織との連携をどう構築するかが、今後の地域自治の行方を占うかぎであると存じております。県としても、さらなる合併を模索するだけではなく、紆余曲折を経て自立を選択した小規模町村をどのように支援するかを検討することも重要な課題であると存じますが、この点について知事の御所見をお伺いいたします。
 また一方、新たな合併自治体における自治の確立も極めて大事なことであります。新自治体の一体性を求める余り、旧自治体が完全に埋没することがあってはならないと存じますし、それを防ぐためにも、新自治体内の分権を円滑に進め、自治を担っていくべき自治組織を育成し、支援することが重要であると思うものであります。そうした観点から考えますと、合併後の県のフォローの体制はいささか消極的に過ぎるのではないかと感じられますが、この点についての知事の御所見もお伺いいたします。
 次に、まちづくり三法改正に伴うTMO支援についてお伺いいたします。
 先ごろ閉幕した今国会において、いわゆるまちづくり三法の見直しが論議され、5月には、空洞化が進む中心市街地の再活性化を目的とした改正中心市街地活性化法が可決・成立し、新たな支援策が講じられることとなったところであります。これに関連して、旧法によって各地に設立されたTMO、すなわち中心市街地における商業集積の一体的・計画的整備を運営・管理する機関に対する今後の支援についてお伺いいたします。
 旧法に基づき平成10年から17年にかけて設立されたこのTMOは、現在、県内に24組織あるとお聞きしております。その活動内容は、組織により多少の温度差もあるようではありますが、総じて、シャッター通りと言われて久しい中心市街地の活性化に向け、果敢に実験事業を行い、ユニークな企画により、にぎわいを創出する取り組みに挑戦していると承知しております。県においても、この間、ハード・ソフト両面にわたる支援策を講じる等、活動をサポートしてこられており、このことは高く評価するものであります。しかしながら、このたびの新法においては、TMOに関する規定がなくなったため、これまで市町村長が認定し、支援してきたTMO構想は、その重要なよりどころを失ってしまいました。例えが不適切かもしれませんが、これではあたかも2階に上げてはしごを外すかのような感がいたしており、これまで真剣に取り組んできた組織ほど、その落胆も大きいものがあります。加えて、新法では1市町村1中心市街地が原則となっているため、旧4市町が合併して誕生した新花巻市においては、旧3町の中心市街地の取り扱いが微妙なものとなっております。合併協議の過程で多くの方々から、合併すれば中心部のみが栄え、周辺部は廃れるとの不安や懸念が示されていたこともあり、この際、こうした不安等を払拭し、早期に合併効果を発現させるためにも、引き続きTMOの活動に対して支援すべきだと考えますが、いかがでしょうか。改正法の評価とあわせ、知事の御所見をお伺いいたします。
 次に、土地改良区の再編についてお尋ねいたします。
 土地改良区は、農家からいただく賦課金をもとに、土地改良施設を維持管理しながら、常に良質の水を配水することにより、これまで本県農業の振興に大きく貢献してきたことは御承知のとおりであります。しかしながら、昭和35年当時343区あった土地改良区は徐々に減少の一途をたどり、平成9年には69区に、さらに平成16年には61区に統合整理されてきたところであります。こうした背景には、改良区が、その重要な役割を担うことを要請される一方で、組織の運営面、施設の管理面のいずれを見ても、常に苦心を重ねてきている実態があることは衆目の一致するところではないでしょうか。最近の報道を見ますと、県内におきましても土地改良区再編の動きが加速しているようにも感じられますが、このことは、とりもなおさず近年の農業人口の減少と高齢化の問題、年々かさんでまいります賦課金の滞納問題、そして厳しい財政環境下における市町村助成金減少問題等、総じて改良区の経営環境が以前とは比較にならないほど困難な状況となっていることと密接にかかわっているのであります。このような中にあって、農業生産を持続するためには、基盤となる土地改良施設を適切に管理し、機能の維持・増進を図ることが求められておりますが、その土地改良施設は老朽化が進み、現在では、こうした施設の維持管理により多くの経費を割かざるを得ないというのが実態となっております。
 一方で、集落ビジョンにより農地が担い手に集中することに伴い、担い手の管理能力についても限界に達しつつあることも指摘されております。さらに、昨今の市町村合併の進展により、一つの市町村に複数の土地改良区が存在する状況となったことなどもあり、市町村等との連携の観点からも、新たな視点で将来のあり方を探る必要があるのではないでしょうか。農業・農村の振興のためにも、土地改良区が農村コミュニティーの中核組織として、今後ともしっかりとした運営基盤を確立することが不可欠と考えますが、土地改良区再編に関する県の現状認識と今後における指導方針についてお示し願います。また、土地改良区が維持管理している農業用水について、農地面積の減少がさらに進んでまいりますと、現行水利権にも大きな影響が出るものと存じます。水の絶対量が減少すれば、本県の将来の営農や作物の振興に少なからず影響を与えるものと思われますが、その対応方策についてもあわせてお示し願います。
 次に、今冬の豪雪災害対策についてお伺いします。このことにつきましては、既に御承知のとおり、ことしの冬は数十年ぶりの豪雪に見舞われ、全国各地に大きなつめ跡を残し、今なお完全復旧には至っていないのが実情であります。このような状況を踏まえ、岩手県議会民主・県民会議は、去る3月22日、いち早く、紫波、大迫、東和の各地区に赴き、被害調査を行ったところであります。私もその一員として参加してまいりましたが、野菜生産施設を初め果樹園並びに育苗施設等の予想を上回る被害の実態を目の当たりにいたし、早急に対策を講じる必要を痛感いたしてまいりました。県においても、市町村と連携し、一部手だてを講じられているとお聞きしておりますが、改めて今冬の豪雪に伴う農林分野の被害状況と、既に実施済みの分も含め、県の対策の具体的内容についてお示し願います。
 また、せっかくこうした支援対策が講じられても、農家の立場から見れば、昨今の農作物価格の低迷も相まって受益者負担の捻出にも苦慮しており、結果として、農家の再生産意欲が著しく減退している実態もあるとのことであります。被害を受けた農林業従事者の方々に元気を出していただけるような実効性のある施策の展開が急務であると考えますが、この点についての県のお考えをお示しいただきたいと存じます。
 次に、雪害倒木の処理についてお伺いいたします。今冬の豪雪は、先ほどの野菜、果樹等への被害に加え山林にも大きな被害をもたらしており、中でもアカマツの倒木被害が顕著であると承知しております。私の住む花巻市におきましても、特に東和・大迫地区に被害が集中しております。これらは、第一義的には被害を受けた山林の所有者が処理に当たらなければならないものと存じますが、労働力不足や経済的な事情から処理に手が回らず、そのまま放置されている例が多いのが実態であります。御存じのとおり、樹勢の衰えた木や倒木は松くい虫の温床となると言われており、これを放置することによって、これまで県や市町村が懸命に取り組んできた防除対策が水泡に帰しかねない懸念も生じております。しかし、県におかれましては、この倒木対策について、松くい虫防除監視帯に限定して行うとお聞きしましたが、この際、エリアを限定せず、全域において倒木処理を進めることが、結果として松くい虫を予防することにつながると存じますが、県の御所見をお伺いいたします。
 次に、農林水産業に深刻な影響を与えつつある原油価格高騰に関連してお伺いいたします。御案内のとおり、ここ2年余りの短期間のうちに石油製品が高騰を続けております。特に内陸部におきましては、野菜や花卉農家のハウス用加温燃料である重油価格の高騰が農家経済を直撃いたしております。もちろん、各農家におきましても、自衛のためにハウスの設定温度の引き下げや小まめな暖房機の運転管理などにより、懸命に経費節減努力をしているところではありますが、いかんせん、平成16年と比較し1.6倍にまで高騰した重油等の価格差を節減努力だけで吸収することは不可能であり、一層の経営悪化を招いている実態であります。このまま推移すれば、石油製品の需要期である秋口から再び切実な声が高まることは必至であり、中には秋からの生産を断念する農家も既に出始めている等、早急な対応が望まれます。また、このことは、内陸部を中心とした農林業分野のみならず、漁船の燃料等の面で沿岸部の水産業従事者に対しても同様に深刻な影響を与えているものと存じますが、これらの状況を踏まえ、農家、漁家それぞれに対し、県はどのような対策をお考えなのか、お伺いいたします。
   〔副議長退席、議長着席〕
 また、その一方で、本県では現在、木質バイオマス等の代替エネルギーの確保に率先して取り組まれていると存じます。石油製品価格が高騰している今は、ある意味ではエネルギー転換を図るチャンスであるとも言えるのではないでしょうか。特にハウス農家にあっては、生産コスト軽減を図る上からも、石油にかわる低廉な代替エネルギーを確保することは急務でありますが、制度により多少の助成を受けたとしても、現在の石油ボイラーを買いかえるだけの経済的な余力がないのが実態であります。
 そこで、農業分野においても石油製品に依存している現状を転換し、新エネルギーを導入し、浸透を図るような大いなる試みを県の施策として実施・展開する考えはないのか、御所見をお伺いいたします。
 次に、いわて花巻空港整備についてお尋ねいたします。このことについては、これまで幾人もの先輩議員が取り上げておられますが、改めてお伺いいたします。
 いわて花巻空港に関しては、空港を中心とした半径150キロメートル圏内に、本県を初め青森、秋田、宮城等の極めてすぐれた観光施設や観光資源が存在し、観光客が旅程を編成する上でも、いわて花巻空港は他県の空港と比べても立地優位性と重要性を有していると認識しております。県においても、そうした御認識に立つからこそ、平成10年から滑走路延長、ターミナル地域、並行誘導路等の整備に取り組んできたものと存じます。整備開始後、今日までの間に投下された事業費も相当な額に上るものと思われますが、一体、これまでいかほどの経費を要したものか、その総額をお示しいただきたいと思います。さらに、現在までの事業の進捗率と、今後完成までに必要となる事業費についてもあわせてお示し願いたいと存じます。
 また、滑走路の延長につきましては既に整備が完了しておりますが、そのほかは計画変更あるいは整備時期の延期が決定されております。当然、整備のおくれは全面供用開始のおくれにつながるわけでありますが、巨額の財源を投じた事業でもあり、本県の観光振興や経済の活性化を展望する意味からも早期に事業を完成させ、その投資に見合う効果を求めるべきであると考えます。
 さきの県議会においては、空港の利用者数が伸び悩んでいるとの御答弁もありましたが、現有施設の受け入れ能力の問題、例えばこれまで就航していた台湾エバー航空が、いわて花巻空港のエプロンが狭小との理由により他県の空港に就航していることや、香港キャセイ・パシフィック航空が同様の理由でツアー募集を中止した事例等を聞き及ぶにつけ、さらなる利用者の増を図るためにも、この際、思い切った施策の転換を行うべきだと考えますが、この点に関する知事の御所見をお伺いいたします。
 次に、新ターミナルビルの建設についてお伺いいたします。さきに知事は、新ターミナルビルは基本的には県、関係市、航空会社等が出資している岩手県空港ターミナル株式会社が主体となって整備・運営していく施設であることから、整備に当たっては、将来にわたってビル会社の自立的な経営が見通せる計画であることが必要との認識を示されておられます。新ターミナルビルの事業費に関しては、当初計画では47億円余であったものが、見直しにより42億円余となり、さらに現在では10億円台半ばの事業費で検討中とお聞きしておりますが、果たして、施設の規模や面積の縮小を伴わず、構造や形状の変更だけで、現在のいわて花巻空港を上回る機能を確保できるとお考えなのでしょうか。現在のいわて花巻空港は、面積6、200平方メートル余、建設費が21億円余、年間利用者数50万人前後と承知しております。
 一方、現在検討中の10億円台半ばの建設費とは、他県で言えば、ちょうど松本、南紀白浜、石見などの小規模な空港に当たると思われますが、それらの空港は施設面積が3、400ないし3、800平方メートル、利用者数は年間でわずか11ないし16万人でありますが、知事が描いておられる新ターミナルビルとはどのようなものなのでしょうか。もちろん、現下の県財政が極めて厳しいことや、昨年11月の大規模事業評価専門委員会の答申における附帯意見等も承知しておりますが、これまで投資した貴重な財源がむだとならないことを願うものであります。この際、この点に関する知事の御所見と事業の輪郭を明確にお示しいただきたいと存じます。
 次に、公共事業費削減等に伴う建設業への支援対策についてお尋ねいたします。
 県、市町村を問わず昨今の財政環境は年々厳しさを増しており、中でも公共事業費の縮減は、本県経済に少なからぬ影響を及ぼしているものと存じます。とりわけ建設業にとりましては、景気が回復基調にあるとされているとはいえ、公共事業費の縮減により、受注機会、受注額の大幅な落ち込みによる経営の悪化は深刻であります。このような状況を踏まえ、県ではこの4月に建設業対策中期戦略プランを発表され、その一環として、各振興局等に建設業総合相談センターを設置したところであります。県内建設業を取り巻く厳しい経営環境を御認識され、いち早く全県を挙げた支援体制を構築されたことは高く評価するものではありますが、業界にあっては、必ずしも好意的に受けとめるだけでなく、一方で不安や戸惑いを覚えている方々が多いのも事実であり、これは何より支援の具体が見えないことに起因しているものと存じます。県においては、2010年度における官民合わせた建設投資額をピーク時の1兆780億円の半分以下と推計しており、さらに、それに見合う建設業者数については、現在の6、800社に対し5、000社、従業員は現在の6万2、500人に対し5万人程度と予測しております。県はその対策として、今後、建設業の新分野進出や建設業従事者の円滑な労働力移動等を幅広く支援するとしておりますが、特に、新分野への進出には、人材やノウハウとともに相応の投資も必要であります。
 そこでお伺いしますが、それらの新分野への進出に伴う支援要請に対し、具体的にどのように支援していくお考えなのか、お示し願いたいと思います。さらに、仮に新分野に進出いたしましても、流通・販売面など、進出後の労働力の定着等に向けたフォローも必要となってくるものと考えますが、この点をどのように進めていこうとしているのか、御所見をお伺いいたします。
 次に、岩手県の教育と人づくりについてお尋ねいたします。御承知のとおり、現在、教育基本法改正や全国学力テストの導入、教員評価制度の導入など、教育改革をめぐる動きが本格化しております。時代の要求にこたえる教育の改革も必要ではありますが、自治体の長として教育現場の苦労や戸惑いをつぶさに見てきた立場からは、むしろ私は、教育というものは変わらないもの、変えてはならないものを真ん中に据え、大切にしていくべきではないかと感じております。そして、それは知・徳・体という人間としての基礎・基本を身につけさせることであり、生身の子供たちとじっくり向き合い育てていくためには、育てる側の時間のゆとり、心のゆとりこそ重要であると考えているところであります。
 そこで、第1点目として、地域に密着した教員配置と育成についてお伺いいたします。
 岩手県では、県北などの教員不足への対応として、教員人事におけるいわゆる南北交流が伝統的に行われており、単身赴任や引っ越し等、異動に係る教員の負担は実に大きなものとなっております。また、異動期間も他県と比べると短く、一つの学校にじっくり腰を落ち着けて指導ができる環境が十分でなく、したがって、地元出身の教員も少ないのが実態であります。こうしたことが、学力やスポーツ競技力の伸び悩み、生徒指導や地域連携の希薄化などの課題の背景になっているとの指摘もあり、広大な県土からやむを得ない面はあるにしても、もっと地元に腰を据えることのできる教員人事、教員育成を図るべきではないかと存じます。この点に関する県教育委員会の御所見と今後の長期的な方針をお伺いいたします。
 第2点目には、少子化の中で地域の教育力の維持についてお伺いいたします。少子化のもと、県内各地で小・中学校の統合が進んでおります。現に私の住んでおります東和町におきましても、合併を目前に控えた昨年、町内にあった小学校6校を1校に統合する決断をいたしました。子供たちに活力ある教育環境を提供するにはやむを得ない選択であったと考えておりますが、地域の拠点を失う住民の不安は大きく、統合後も引き続き子供たちが地域の方々の愛情に触れながらはぐくまれる環境づくりが必須であるとつくづく感じた次第であります。
 そこで、県として、今後ますます進む学校統合に伴って生じる学校の跡地を活用するなどにより、地域教育力の拠点づくりに積極的に取り組むようなお考えがあるか、お伺いいたします。また、そのための住民の活動や市町村の取り組みに対し県として支援していくお考えがあるか、あわせてお伺いいたします。
 以上で私の一般質問を終わりますが、答弁次第では再質問をさせていただきます。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 小田島峰雄議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、自立を選択した小規模町村への支援というお尋ねであります。当面の自立を選択した町村におきましては、昨年3月に国から示されました行政改革の推進のための新たな指針というものに基づきまして集中改革プランを策定して、経費の大幅な節減等による経営を今進めているもの、このように認識しております。人口減少や少子・高齢化が進む中で、自主財源に乏しい財政体質のもとでは、何におきましても行財政運営の一層の効率化を進めなければならないというふうに考えておりまして、当面の自立を選択としたとしても、最終的には合併という選択肢を念頭に置かなければならないのではないかと、このように考えております。
 今後、市町村が合併する、しないにかかわらず、重要なことは、地方分権の進展や人口減少社会の到来に対応した持続可能で自立した地域社会を構築していくために、岩手の地に根づいております結いの精神というものを生かしました、住民みずからが主体となった協働の地域づくりを進めていくということであると考えておりまして、このような地域力を生かした取り組みにつきまして、県としても最大限の支援をしていく考えであります。
 次に、合併後の新市町への県のフォロー体制についてでありますが、合併した市町にとりまして、ここ数年、新しいまちづくりに取り組む中で、合併協議のときには顕在化し得なかった新たな課題が生じたり、その後の環境変化によって、さまざまな調整が必要となる場合もあるというふうに考えます。また、新しい自治体としての経営を軌道に乗せるための課題を解決しなければならない重要な時期であるとも考えております。県として、この間、旧法下で合併した12市町が、新市町として円滑かつ確実に運営され得るように、今週の月曜日、6月26日に、地域振興部と広域振興局などに新市町まちづくりサポートセンターというものを設置いたしまして、県の各種支援策の相談や行財政運営の助言などに当たりますまちづくり支援士といたしまして、新市町ごとに受け持つ27人の職員を配置いたしまして、新しい市町の課題解決に向けて必要な助言、情報提供など、積極的に支援を進めていく考えであります。
 次に、まちづくり三法改正に伴うTMO支援ということであります。
 TMOのこれまでの活動は、各地域のまちづくりに一定の成果があったものと考えておりまして、今後、これらの成果を生かしながら、主体的に取り組む地域の中心市街地活性化に向けた活動に対して、県も市町村と協働しながら支援していく必要性があると、このように考えております。県では、改正まちづくり三法の法運用部分が今後明らかになってまいりますので、その状況を見きわめた上で、意欲と体制の整いました主体的な地域への支援のあり方などにつきまして、先般設置をした有識者による中心市街地活性化懇談会で議論をしていただきますほか、今後、関係市町村、TMOとも協議を実施して検討を進めてまいります。
 それから、まちづくり三法改正の評価ということですが、今回の改正で、都市計画法におきまして1万平方メートルを超える大規模集客施設の郊外立地を抑制するなど、従来の拡散型の都市構造から集約型の都市構造への転換を図る方向で改正されているものと考えておりまして、人口減少下の今後のまちづくりの観点からは一定の評価ができると、こういうふうに考えております。
 一方で、中心市街地活性化法につきまして見ますと、選択と集中の視点から、市町村が策定する中心市街地活性化基本計画に関して国の認定制度が創設をされて、その認定に当たって、商業振興のみならず、総合的なまちづくりの観点とともに、数値目標を含む具体的な計画策定というのが求められているわけでありますが、この法的支援を受けるためには、高い認定水準を満たす必要があると、認定のハードルがさらに高くなるのではないかと、このように考えております。したがいまして、県として改正法の運用制度の内容などをよく見きわめながら、改正法が中心市街地の活性化に十分生かされるように対応していきたいと考えております。
 次に、いわて花巻空港の関係であります。
 まず、整備事業費と進捗率のお尋ねでありますが、総事業費が321億円であり、事業に着手した平成10年度から昨年度末までに268億円を投じておりまして、その進捗率はこの事業費ベースで約84%となっております。
 次に、本年度以降完成までに必要な事業費は残り53億円、うち県費が42億円と、これを見込んでおりまして、その内訳は、ターミナル地域の整備に25億円、平行誘導路の整備に18億円、その他──これは緩衝緑地などの整備ですが、その他の整備に10億円と、こういう予定をしております。
 それから、早期の事業完成に向けて思い切った施策の展開を図るべきではないかと、こういうお話でありました。空港の近年の利用状況を見ますと、国内定期便の利用者数は現実には伸び悩む中で、国際チャーター便、なかんずく、外国人の訪日需要が著しく増加をしております。利用者を増加させるためには、こうした状況の変化に対応できる機能を、この空港に適切に整備していくことが必要であると考えています。したがいまして、新ターミナルビルにつきまして、その事業費の見直しと一層の利用促進に鋭意取り組んで、できるだけ早く事業の着手に向けた環境を整備してまいりたいと考えております。
 そして、この新ターミナルビルの整備につきましては、ビルを整備、運営していく主体であります岩手県空港ターミナルビル株式会社が、将来にわたって自立的な経営を確保するため、この新ターミナルビルの建設費及び維持管理費用をさらに縮減させなければならないと、このように考えています。そのため、現在、簡素な構造にすることを含めて、あらゆる観点から見直しを行っているものでございます。
 いずれにせよ、新ターミナルビルは、近年、著しく増加している国際線の受け入れに対応できるものとするなど、必要な機能を確保することが必要と、このように考えております。
 また、建設費につきまして10億円台半ばとしたわけでありますが、具体的な積算に基づくというものではこれはございませんで、新しいターミナルビルの建設費を極力縮減していくことが重要であると、このような認識から申し上げているものでございます。
 既に供用開始をされました2、500メートルの滑走路は、冬季就航率の向上、直行可能な範囲の拡大といった効果が発現されつつありまして、これ以外の整備についても、あわせてその投資効果がより効果的に発現することが要請されておりますので、今後一層の利用促進を図りますとともに、こうした新ターミナルビルの事業費の見直しに鋭意取り組みまして、当面、早期のターミナル地域の完成に向けて努力をしていく考えであります。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁をさせますので御了承をお願いします。
   〔農林水産部長高前田寿幸君登壇〕
〇農林水産部長(高前田寿幸君) まず、土地改良区の再編についてでございますが、土地改良区を取り巻く状況変化に対応しながら、土地改良施設を適切に維持管理していくため、土地改良区の合併を推進し、スケールメリットを発揮した組織体制や財政基盤を強化していく必要があると考えてございます。現在、県内におきましては、5地区、19土地改良区で合併に向けた話し合いが進められておりますが、県内には小規模で運営基盤の脆弱な土地改良区が多くございますことから、一層の取り組みが必要と考えてございます。
 もとより、合併につきましては、組合員の理解のもとで土地改良区の自主的、主体的な取り組みが基本となりますが、県といたしましても、公共法人である土地改良区の運営基盤強化が農業の振興に必要であるというふうに考えておりまして、関係市町村や土地改良区との意見交換を踏まえ、平成18年から向こう5年間を見通した第8次の統合整備基本計画をこの10月までに策定いたしまして、関係市町村や土地改良事業団体連合会との連携・協力のもとで、水系や市町村を枠組みとした土地改良区の再編に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、農業用水についてでございますが、農業用水の使用量につきましては、議員御指摘のとおり、中山間地域の耕作放棄の増加等によりまして、農地の壊廃が進展し近年減少傾向にございます。このようなことから、県といたしましては、地域農業の振興を図ることを基本として、中山間地域等直接支払制度による耕作放棄地の防止、さらには、集落営農や担い手の利用集積による農地の効率的な利用などにより、優良農地の保全と農地利用の高度化に引き続き努めてまいりたいというふうに考えてございます。
 次に、農林業関係における豪雪災害対策についてでございますが、昨年12月の大雪による農林業関係の被害は県央部の19市町村で発生し、被害総額は7億7、600万円となっており、その内訳は、農業関係では、園芸用パイプハウスの倒壊やブドウ棚の倒壊など被害額5億3、600万円、林業関係では、樹木の倒伏など被害額2億4、000万円となってございます。このため、農業関係では、関係団体との連携のもと、本年1月に農業雪害対策連絡会議を設置いたしまして、農業共済金の早期支払い、補助事業を活用したパイプハウスやブドウ棚の整備に対する支援などを実施したところでございます。また、林業関係につきましては、森林整備事業等による雪害木の伐倒・整理に対する支援を実施しているところでございます。
 今後とも、気象災害につきましては、共済制度の活用を促進するとともに、補助事業を活用した施設整備の支援、経営の負担を軽減する融資制度などの金融面の支援、さらには、経営相談や技術指導などを実施いたしまして、事業経営に支障を来すことのないよう、きめ細かに対応してまいりたいと考えてございます。
 次に、雪害倒木の処理についてでございます。
 今回の雪害による倒木対策は、被害地域全域を対象といたしまして国の森林整備事業等を優先的に導入し、被害木の処理を行っているところでございます。また、雪害地に松くい虫被害木が近接する場合には、松くい虫の感染が懸念されますことから、監視帯の内外を問わず、被害地域を対象として松くい虫被害防除監視員の監視日数をふやすなど監視体制を強化し、感染が確認された場合には直ちに駆除を徹底してまいりたいと考えてございます。
 次に、農家・漁家に対する原油価格の高騰対策についてでございますが、まず、暖房用灯油の高騰の影響が懸念されます園芸につきましては、ハウス内への二重カーテンの設置や循環ファンの導入、ハウスの設定温度の引き下げによる燃料の低減など、そういった技術的な指導を行っているところでございまして、今後はこうした指導に加えまして、補助事業を活用した暖房効率を高めるための排熱回収装置の導入や花卉等の加温栽培の無加温栽培への切りかえ、さらには、木質バイオマスエネルギーの活用などに取り組んでまいりたいというふうに考えております。
 また、漁家に対する対策につきましては、水産技術センターによる漁場調査結果や表面水温データなどの情報を活用した効率的な操業の指導を行っているところでございまして、今後は、漁業団体が作成した省エネ・コスト削減等の工程表に基づく取り組みの促進や、既存の制度資金を活用した省エネ漁船の導入などにより、原油価格高騰下においても、生産を継続できる経営の転換を促進してまいりたいと考えてございます。
 次に、農業分野における新エネルギーの導入・浸透についてでございます。
 県は、平成17年に策定いたしましたいわてバイオマス総合利活用マスタープランに基づき、家畜排せつ物を活用したメタン発酵による発電、木質ペレット・チップによるボイラーの開発など、バイオマス資源の積極的な利活用を推進しているところでございます。現在、北上市や住田町で園芸施設などに木質系バイオマスボイラーが導入されておりますものの、ボイラーの導入コストが相対的に高いこと、それから、きめ細かな温度管理への対応が困難なことなどから、現時点では県内に広く普及するに至っていない状況にございます。このようなことから、木質バイオマス利用に係るコスト面や技術面での課題解決を図るため、民間企業と工業技術センターの連携による低コストボイラーの開発や、関係試験研究機関の連携によります農業用ハウスでの実証試験などに取り組み、農業分野への新エネルギーの導入を促進し、岩手らしい循環型農業の推進に努めてまいりたいと考えてございます。
   〔県土整備部長西畑雅司君登壇〕
〇県土整備部長(西畑雅司君) 建設業の新分野進出に伴う具体的支援についてでありますが、各振興局に設置しました総合相談センターにおける個別相談や新分野進出の意向調査、ワークショップの開催、調査研究の支援など、地域や個別企業の実情を十分把握しながら取り組んでまいります。
 また、建設業総合対策事業を創設し、新分野進出等に必要な製品開発や販路開拓、人材養成等を支援することとしているほか、現在、建設業対策クロスファンクショナルチームにおきまして、新たな融資制度につきまして、新分野に取り組んでおられる企業の御意見も伺いつつ、庁内関係部局や金融関係機関と相談しながら検討を進めているところでございます。
 次に、新分野進出後のフォローについてでありますが、企業の取り組みの状況に応じまして、岩手県建設業協会の経営支援センターから、生産から販売まで幅広い視点から指導・助言するコーディネーターや販路開拓などをより専門的に支援するアドバイザーを派遣するなど、密着した支援に努めていくほか、振興局の総合相談センターにおいて、振興局各部が持っております幅広い分野のノウハウの活用や全国の先進事例の紹介などを通じまして、適切なフォローに努めてまいりたいと考えております。
 また、雇用能力開発機構、公共職業安定所などの各種支援制度を十分活用することにより、新分野進出に必要な労働力が確保されていくよう、振興局の総合相談センターと関係機関が連携して、適切な支援に努めてまいりたいと考えております。
   〔教育長照井崇君登壇〕
〇教育長(照井崇君) まず、地域に密着した教員配置と教員育成についてですが、各学校においては、より一層、地域に根差した特色ある教育活動を推進していく必要があり、このため、教職員には、地域の期待にこたえるため、地域にしっかり根を下ろして地域に密着した教育活動に当たるよう、市町村教育委員会と連携しながら、会議や研修会などさまざまな場を通じて指導しているところです。
 現在、小・中学校の教員については、できるだけ生活根拠地に配慮し、地元での教育に打ち込めるように努めているところでございますが、広い県土を有する本県においては、地域によって教員の出身者数や将来の生活根拠地への希望数に不均衡が生じていることや、全県的な課題である学力向上や競技力向上などに対応するために、全県交流を基本とした人事異動を行っております。こうした全県交流人事は、それぞれの地域における学校教育の活性化や教員の資質向上に一定の成果を上げてきたものと考えております。
 近年、市町村合併の進展や新しい教育事務所の枠組み、交通網の整備による通勤時間の短縮など、教職員の異動をめぐる状況が大きく変化してきており、現在こうした状況に適切に対応するため、人事異動方針の見直しを進めているところです。その見直しに当たりましては、全県的な視野に立ちながらも、地域や学校の実情に応じて、必要がある場合は勤務期間についても弾力的に対応することなど、さまざまな観点から検討してまいりたいと考えております。
 また、教員が勤務地に愛着を持ち、地域の方々から信頼されるように地域の行事や活動などにも積極的に参加するなど、地域と積極的にかかわり、ともに歩むよう指導してまいります。
 次に、地域教育力の拠点づくりについてですが、地域ぐるみで子供をはぐくむことは大変重要なことであり、特に統廃合により学校がなくなった地域における教育力の維持・向上は大きな課題となっております。
 御指摘の市町村立学校の跡地利用につきましては、基本的には市町村において判断すべきものでございますが、県教育委員会としては、地域の教育力は地域の課題解決のため、住民が一体となって取り組むことが重要との視点に立って、本県独自の教育運動である教育振興運動のさらなる活性化を図る、みんなで教振!10か年プロジェクトを通して、地域の教育課題を掘り起こし、その課題を共有することにより、地域全体で子供をはぐくむ取り組みを進めているところです。
 また、平成16年度からは、地域住民のボランティア活動、文化活動などのさまざまな活動や交流活動を通じて、地域の教育力の再生を図る地域教育力再生プランを推進し、空き教室や公民館、児童館を利用しての読み聞かせや世代間交流事業、小学校の廃校を利用した自然体験活動など、地域教育力の拠点づくりにも積極的に取り組んでいるところです。
 さらに、放課後の学校施設を利用して地域のボランティアと学校の教員との連携により、地域の子供たちの学力向上を支援する地域おさらい教室支援事業を今年度から新たに推進しているところでございます。
 次に、地域教育力の拠点づくりのための住民活動や市町村の取り組みに対する県の支援についてですが、県内には廃校後も地域の特色や伝統文化などを生かして、地域住民の力で活性化の取り組みを行っている例が多くございます。県教育委員会としては、地域住民が積極的にボランティア活動などに参加できる環境づくりや空き教室を利用した人材活用など、地域の取り組みを積極的に支援しながら、地域の教育力の維持及び向上に努めてまいりたいと考えております。
〇 4 番(小田島峰雄君) 詳細にわたるお答えを賜りまして、大変ありがとうございました。お答えをいただきましたところで、二、三、再質問をさせていただきます。
 最初に、知事にお伺いをいたします。第1点は、地方分権に関連しての御質問でございます。
 ただいまは、小規模町村を支援すると言いつつも、最終的には、合併を視野に入れなければならないというお答えでございました。自立を決断した小規模自治体にとって、目下の最大の関心事は、このたびの交付税改革であります。今議会でも議論されたところでありますけれども、さきの経済財政諮問会議の議論などを見ますと、自治体の人口、面積を基本に配分する新型交付税の導入や、自治体の再生型破綻法制の整備などの改革によって、特に財政力の弱い小規模自治体が直撃を受ける可能性が高いと思われます。小規模自治体がこれまで取り組んできた地域自治確立のための懸命な努力を無にする、言ってみれば、兵糧攻めのようなやり方で新たな合併に追い込んでいく動きは、地方分権とは似て非なるものと思いますが、再度、知事の御所見をお伺いいたすものであります。
 次に、いわて花巻空港の整備に関連して御質問を申し上げます。これも知事の御所見をお伺いします。
 先ほど御答弁にありました空港のこれまで投下された事業費は、平成17年度までで268億円でございます。進捗率が84%、そして残りが53億円というお答えでございました。整備が始まりましてほぼ8年が経過をいたしました。そしてまた、延期がもう決まっておりますので、おおよそ10年の長きにわたって、この事業は投資効果が出ないわけでございます。
 先ほどの質問では触れなかったんでありますけれども、このほかに一般県道東宮野目二枚橋線も並行して整備が進められております。この道路整備にも26億円余が投下されたと聞きますけれども、これとて、新ターミナルビルが完成されなければ供用されないわけでございます。改めて、この空港問題というのは、政治で解決せざるを得ない重要課題と考えるものでありますが、いま一度、知事のこの空港整備に対する意気込みをお聞かせいただきたいと思うのであります。
 次に、まちづくり三法についてでありますけれども、これは担当部長にお聞きをいたしたいと思います。
 先ほどは、知事から、TMOについては今後も支援をしていくという大変ありがたいお答えがあったわけでございますけれども、念のために申し上げておきますが、改正中心市街地活性化法によって1市町村1中心市街地が原則とされております。しかしながら、合併新市にあっては、要件を満たせば、複数の中心市街地が認められるとお聞きをいたしております。まず、この要件とは一体どういう内容であるのかお聞きしたいと思いますし、それから、TMOの法規定はなくなりますけれども、新たに中心市街地活性化協議会を立ち上げ、国の認定を受けたものが支援の対象となるということでございます。先ほど、これからも支援をしていくというのは、恐らくこれを指して言われているのではないかと思いますけれども、国の認定を受けるであろうこの認定件数というのは、今年度全国でわずか20件ほどというふうにお聞きをいたしております。
 先ほど、県内に24のTMO組織があると聞いたところでございますけれども、本県で該当する組織は一体幾つぐらいになるとお考えなのか、これをお聞きしたいのであります。恐らく、全国で20件程度と言いますから、ほんの一、二件も認定されれば精いっぱいではないかと思いますが、私が申し上げたいのは、このさまざまなTMO組織、活動には温度差はあるんだけれども、例えば私の身近にあるTMOの実態をお話し申し上げますと、中心市街地の活性化ばかりではなくて、いわゆる町おこしや村おこし、さまざまなイベントを企画したり、言ってみれば、まちづくりのシンクタンクのような活動をしている組織があるということであります。これからの地域自治を構築していく上で、こういう組織、団体を大いに活用してやれば、言ってみれば、これからの自治を確立するためには非常に大きく貢献をするのであろうというふうに思うので、そのために今後の支援をお聞きしたわけでございます。ひとつお答えを賜りたいと思います。
 それから、教育と人づくりの関係でございます。
 先ほどは、この支援をしていくんだという前向きな御答弁をいただきました。この地域教育力の確保は、県、市町村を問わず、重要であることは論を待たないところでありまして、その拠点づくりの必要性についても御認識をいただけたということは、大変うれしく思うのであります。今後、小・中学校の統合がどんどん進んでまいりまして、基本的にはこの活用というのはほとんどが市町村有財産でありますから、市町村で第一義的には考えるべきものと思いますけれども、今度は県教委の高校再編によって、今後、統合や廃校になる可能性のある学校もたくさん出てまいります。これは県の教育財産でございますから、それらについても、この際活用方策等がございましたならお伺いをいたしたいと思います。
 以上、あとは立ちませんので、きちっとした御答弁を賜わりますようにお願いを申し上げます。
   
〇議長(伊藤勢至君) 本日の会議時間は議事の都合により、あらかじめ延長いたします。
   
〇知事(増田寛也君) 私の方に2点お尋ねがございましたので、お答え申し上げます。
 まず第1点目、交付税の問題についてお尋ねがございました。各地域で特に市町村が、今、自立のために懸命な取り組みを続けておられると思います。今回、交付税改革の方向が示されましたけれども、その内容を見ますと、そうした中で財政力の弱いところがますます今後困窮をし、そして税収が上がるような、一部自治体はそのことによって恩恵を受けるような、そういう交付税改革に進んでいくのではないかということを大変危惧しております。この交付税でありますけれども、やはり本来の交付税が果たす機能、これはこの議会でも申し上げましたけれども、まさに共有税的なそういう考え方、地方団体相互の連帯という意識の中で、そうした共有税のような性格を持つものに切りかえていくということが大変重要ではないかというふうに思います。
 おとといですか、政府・与党のいろいろな歳出歳入一体改革の中身が決まりましたんですけれども、あれも交付税の書き方、結局は押し戻したような感じになりました。従前の案は、御承知のとおり、総額がキャップ制で、交付税総額を固定化するような書き方になっていましたけれども、結局押し戻して、何とか各年の交付税の予算折衝にゆだねるような、そういう形になりましたけれども、全体としては交付税を削減する圧力が大変強いということでありますので、今後、我々としてもますます工夫をしていかなければならない。よくここでいろいろな議論をするわけですけれども、こうした各地方自治体、議会でもいろんな交付税についての議論が出てきています。みんな大変危惧していますが、それを何とかして力を、声を合わせて、物事を今決めていく中央の決定する場面に持ち込んでいかなければ、この事態は今後も全く変わらないというふうに思いますので、ぜひまたお知恵もいただいて、こうした交付税の我々が考えております本来の方向にしていく考え方というものをより声高に主張していきたいというふうに思います。
 それから2点目、花巻空港についてであります。これにつきましては、今後も早く事業に着手していかなければならないものというふうに考えております。今、御案内のとおり、既に268億の事業費を投下しているわけでありますが、ただ、それがまだ何の効果も発現されていないというお話でございましたが、実はこの花巻空港は地方空港整備の特別事業として新たに事業をつくっていただいて、岡山空港と花巻空港が第1号として採択をしていただいたものであるわけでありますが、本来、採択したときの一番の大きな理由は、冬場の就航率の向上という形で採択をしていただきました。今、2、500メートルに延長されたということで、その点では就航率が向上して、もう既に効果が発現しているということになっております。ただ、今、全体を見まして、やはり議員から御指摘いただきましたとおり、海外からのお客さんを収容する際に、中型機あるいは大型の機材を今使うことが多くて、花巻空港を回避するという動きも出てきておりますので、いずれにしても、早急な事業費の見直しと、また一層の利用促進に鋭意取り組んで、その上で早期の事業着手に向けた環境整備に努めていきたい、このように考えております。
〇商工労働観光部長(阿部健君) まちづくり関係のお尋ねでございました。
 最初に、1市町村1地域が原則であるかというお話がございましたが、これにつきましては、中心市街地活性化法、新しい法律のいわゆる基本方針、運用の関係でございますが、これから出てまいりますので、この中で明らかになっていくと思います。この辺をきちんと見なければならないと思います。
 それから、県内で幾つぐらいいわゆる国の認定、そこに想定できるのかということでございますが、これは現在、県内の市の段階でもいろいろ動きがあるところもございますが、ここのところは現在想定はしてないところでございます。ただ、これからいろんな動きにつきまして、認定を受ける場合に、そこの地域の主体といいますか、今般の場合にはまちづくり協議会という形で、商業者のみならず民間の方々が本当に主体となって全体としてもまちづくりをやっていく、そういった体制が必要でございます。そういった意欲、体制といったものを整えながら、そこに対していろんな情報、助言といったことをしながらやっていく必要があるというふうに考えております。
 それから、東和のお話も出ましたけれども、いわゆる今般のまちづくりの関係、これは私自身は本当に地域づくりと同じだというふうに思っておりますが、本当に地域でいろいろこういった形でまちづくりに対しましていろいろ動く、積極的にやっている、そういったものに対しては、やはり県もきちんと支援をしていくべきだというふうに考えております。ただ、今般の新しい法律の中でいろんな支援の関係が、いわゆる国の支援の関係が認定を受けたところに集中していく、そういった形になってございます。したがいまして、これから基本方針、運用の関係、それはきちんと見ながら、そこの運用の中でどういうふうにできるのか、あるいは新しい法律の中で我々の方としてどういうふうにできるのか、この辺は懇談会との――先ほど知事が申し上げましたとおり、懇談会をつくっているわけですが、懇談会の中での議論、それからまた、今、一部、TMOを持っている市から始まっておりますが、そういった現地とのいろんな話の中で、どういうふうな形でやっていくのか、その辺をいろいろと協議をしながら対応してまいりたいというふうに考えております。
〇教育長(照井崇君) 県立高校の統合等に伴う廃校の施設につきましては、地域の教育力の維持向上でありますとか、あるいは地域の活性化、振興に資するように、その利活用につきましては地元の市町村と一緒になって考え、取り組んでいるところでございます。最近の活用事例といたしましては、岩泉高校の小川校の場合、建物をシイタケ生産技術研修施設に利用する、あるいは柔道場を郷土資料館として利用している例がございます。それからまた、黒沢尻南高校の場合は、地元の北上市が建物を譲り受けまして、これを地元の専門学校に貸与している例がございます。いずれ、今後とも、こうした廃校施設や敷地などにつきましては、地元の市町村と一緒になってともに考えて、その有効な活用方策について一緒に考えてまいりたいと思います。
〇 4 番(小田島峰雄君) もう立たないと申し上げておきながら、舌の根も乾かないうちに立ってしまいましたが、たった一つだけでございます。
 空港整備に関する知事のお答えを拝聴いたしておりますと、一見、この空港整備は前に向かって進んでいるかの錯覚に陥るわけでございますけれども、なかなか各論に入りますと、はてなと思わせる内容でございます。この本県の経済の振興や、また観光立県を標榜する我が県にとって、やはりこの中心となるいわて花巻空港整備は非常に大事なものであろうと思います。今後とも、私だけではなくて皆さんが本当に前に向かってきちんと歩んでいるんだというような姿勢をお見せくださいますことを御期待申し上げ、終わります。ありがとうございました。
〇知事(増田寛也君) よく努力をいたしたいと思っております。
〇議長(伊藤勢至君) 以上をもって一般質問を終結いたします。
   
日程第 2  議案第 1 号 平成17年度岩手県会計補正予算(第 8 号)の専決処分に関し承認を求めることについてから日程第31 議案第30号 岩手県保健福祉計画の変更に関し議決を求めることについてまで
〇議長(伊藤勢至君) この際、日程第2、議案第1号から日程第31、議案第30号までを一括議題といたします。
 これより質疑に入ります。質疑の通告がありますので、発言を許します。斉藤信君。

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