平成18年6月定例会 第19回岩手県議会定例会会議録

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〇17番(平野ユキ子君) 民主・県民会議の平野ユキ子です。
 先輩・同僚議員の御配慮のおかげで、今期4回目の登壇となります。先輩・同僚議員及び県民の皆様の応援に感謝しながら、通告に従って質問させていただきます。
 まず初めに、教育の問題についてお伺いいたします。
 今国会は6月16日、重要案件を幾つか先送りにしたまま閉会いたしました。継続審議になったものの中に、教育基本法の改正がございます。3年前、岩手県議会でも教育基本法の改正をめぐり継続審議を繰り返し、結局は宙に浮いた形となった経緯があります。このたびの国会の動きは、継続審議になったとはいえ、これまでと異なり改正に向けた前向きの動きがあり、たった3年とはいえ、時代の趨勢を感じるところです。
 そこで知事にお伺いいたしますが、教育基本法の改正についてどのようにお考えか、御所見をお聞かせください。
 教育基本法改正には対案が幾つか出ておりますが、前文で、公共の精神を大切にする人間の育成と、日本を愛する心を涵養するとはっきりうたっている民主党案が秀逸ではないかと私は感じます。
 昨今の社会事情は、目を覆うばかりの痛ましい事件が続いております。親の子殺し、虐待、はては子供の親殺しなど、悲惨で胸の痛む事件が連日報道をにぎわす状況にあります。個性の尊重は確かに大切ですが、個の自由や尊重のみで、公に対する義務や配慮を忘れている昨今の社会を憂うるのは、皆ひとしく感じているところです。
 また、日本を愛する心の涵養についてですが、私は教師をしていたときの経験からも、日本に対して誇りを持てるようにする教育は、やはり子供たちにとって必要と感じますが、知事はいかがお考えでしょうか。
 一方、愛国心について、一部の地方で、学校の成績表の評価項目に組み入れたところがあると聞きましたが、こんなことはすべきではないと思います。日本を愛する心というものは、涵養しはぐくむべきものではあっても、強制すべきものではありません。評価対象などにすれば、それは押しつけになります。この点をどのようにお考えでしょうか、見解をお聞かせください。
 さて、次に中心市街地の活性化についてお伺いします。
 今月6月21日、本県の中心市街地活性化のあり方について懇談会を設置したと聞いております。前年度、庁内部局横断の職員の研究組織、岩手県における中心市街地活性化に関する研究会が実態を分析し、県に報告書を提出しております。それによれば、このままでは中心市街地のみならず、郊外ともに衰弱し、県内総空洞化のおそれがあると指摘しています。この報告を受けての懇談会設置ですが、議論の段階はもう過ぎているとの声も聞かれます。この懇談会の状況・概要と方向性をお示しください。
 大店法の廃止によって1998年制定されたいわゆるまちづくり三法は、今国会で抜本的に改正されました。それは、全国的に本県のような総空洞化になりかねない状況が現出していることを踏まえたものです。このまちづくり三法の中の中心市街地活性化法については、選択と集中により、国が認定する市町村の中心市街地活性化基本計画を重点支援し、具体的成功事例に結びつける取り組みが図られると聞いております。これまでの三法の仕組みの中では、基本的に中心市街地活性化基本計画を策定したすべての市町村に、押しなべて支援を行ってきましたが、取組体制や計画の熟度がまちまちであったり、必ずしもすべてが効果的であったか、疑問が残るところであります。
 今回の中心市街地活性化法の改正は、こうした疑問と反省の上に立って、選択と集中に方向転換を図ったものです。少ない財政の中で、効果的に資金活用をするというメリットもあります。県内には、町中活性化のために、独自の取り組みを図る民間レベルでの動きがあり、元気に活動を始めているところもあります。例えば、地域の資源である古い町並みを生かして歩いて楽しむまちづくりや、昔からの馬事文化を観光活性化につなげようと個性的な取り組みを図ったりと、民間主導でのまちづくりです。地域独特のシネマストリートを生かした活動など、地域の特性を生かした若者を中心とした動きや、頑張っている商店街として、全国77の一つに選ばれたりしている商店街もあります。選択と集中の視点から、このような活性化の熟度の高い都市への効果的な支援を行い、活性化のモデルをつくり出すことも重要と考えられます。このような支援を県としてどうとらえ、また、今後どう対応していくかお尋ねいたします。
 また、中心市街地の活性化に当たっては、中心部でのさまざまな活動を支援する一方、広域での都市構造に大きな影響を与える大規模集客施設への対応も重要な視点と考えられます。郊外に立地する大型店を初めとする大規模集客施設は、消費者の利便性に寄与するものの、一方で、無秩序な立地は都市に追加のインフラコストをもたらしたり、車を使えない高齢者の買い物環境などに影響を与えており、何らかの対応が必要と思われます。
 今回、国においては、まちづくり三法の抜本的見直しの中で都市計画法を改正し、床面積1万平方メートルを超える大型集客施設の郊外立地を抑制することとしましたが、この改正法では、まだ不十分な点が残っており憂慮されるところです。
 そうした中、福島県では、この改正に加え、県が大規模小売商業施設の立地誘導の基本方針を示した上で、対象面積6、000平方メートル以上の店舗設置事業者に、出店計画書の提出を義務づける商業まちづくりの推進に関する条例を独自に策定、ことし10月から施行する予定とのことです。
 広い県土を抱える岩手県は、県北、県央、沿岸、県南とそれぞれに違った風土を持ち、条件も違っています。本県としても、改正都市計画法のみに頼らず、福島県のように、都市構造や中心市街地活性化に大きな影響を与える大規模集客施設の適切な立地に誘導を図るため、岩手県の実情に合った条例を策定し、積極的なまちづくりを進めるべきと思います。御見解をお示しください。県内総空洞化を阻むためにも、こうしたまちづくりに行政も積極的に参画すべきと思いますが、どのようにお考えでしょうか。
 今、県内総空洞化を阻むためと申し上げましたが、その恐れが既に報告書に指摘されているわけです。それは実感としてもあり、声もあります。岩手県には大企業が余りなく、ほとんどは中小及び零細企業です。これら小さな企業が大型店や量販店、中央の大手といった体力のある企業の進出により、仕事が成り立たなくなり廃業に追い込まれている、そういう実情です。しかし、本来、このような人たちが生き生き元気で暮らしていける県土が、正しく夢県土いわてでありましょう。こうした小さな地元企業は、競争社会になった現在、体力のある大企業が参入してくると、とても対抗できません。岩手は岩手の人々のためにあるのです。こうした零細・中小企業の実情を県としてどのように認識し、どのような対応をお考えなのか、お伺いします。
 続いて、競馬の存続についてお伺いいたします。
 去る5月30日、県競馬組合の土地信託契約を銀行が打ち切り要請をしたとの報道がなされました。盛岡にあるビルの契約で、テナントの退去に伴い当該銀行が信託契約終了を提示、契約を終了すれば、債務7億円を組合が受け継がなければならない状況に追い込まれたとの報道です。折しも、2月定例議会で27億円の融資案を可決したばかりでしたが、これは、上四半期までに再建に向けて新しい改訂実行計画案を策定するとの附帯意見を付しての可決でした。その期限は今議会のはずです。それが、現在のところ、まだ出されておりません。このまま議会軽視とならないようにしなければならないと思いますが、この点について御説明願います。そして続いた、先ほど述べました今回の不祥事です。以前から計画の甘さや不透明な体質は、議会でも指摘が相次いでいました。再建が叫ばれる中、このようなことがあれば、民間なら幹部は即刻責任をとるところです。
 それでは、果たして競馬を廃止することが最上案なのか。そう考えるとき、廃止論に再考を促す多くの声があり、耳を傾けざるを得ません。赤字とはいえ、年およそ250億円から300億円内外の売り上げがあり、マネーフローは確かにあるのです。雇用も2、800人、関連企業もあり、その経済効果は確かにあります。岩手にとって、岩手競馬を廃止することの打撃は予想以上に大きいものがあるでしょう。地方競馬の雄たる岩手競馬には、根強いファンもいまだ多くいます。
 もともと、岩手はすぐれた名馬を産する馬産地でした。宇治川の先陣争いで争った名馬、生妾(いけずき)、磨墨(するすみ)は、みちのくごまでしたし、今、NHKで放映中の大河ドラマの山内一豊の妻、千代が賢夫人とたたえられ、内助の功を賞賛された第一の理由は、こつこつためた蓄えで、ぽんと大枚をはたいて、武士にとっては当時垂涎の的の南部の名馬を、夫のために求めたという故事によるものです。
   〔議長退席、副議長着席〕
 名馬と言えば南部の馬でした。昔から岩手・南部は、馬とともにあったのです。馬と金の産地として、みちのく岩手は全国に名をとどろかせ、その歴史、伝統と文化・文芸は今も脈々と息づいています。岩手競馬には、こういった岩手ならではの文化と、それを支える産業も付随しているのです。世界遺産登録に向けた取り組みをしている平泉の文化も、金と馬の産地として名をはせ、その歴史を支えられたのでした。
 なくすことは簡単ですが、一度なくしてしまったら二度と取り戻せないものがあります。それは、歴史とともにある文化であり芸術です。馬事文化は岩手にしかない文化なのです。この点をどうお考えか、知事の御所見をお伺いします。
 もちろん、再建は厳しいものがあります。民間では許されない甘い体質もあるようです。この際、競馬組合内部を刷新するつもりで、再建に臨むというのはいかがでしょうか。また、再建に当たり、債務を返済するスキームと、競馬事業を展開するスキームとを別々に考え、それぞれ別のチームで行うようにしたらいかがでしょうか。
 岩手競馬をなくしたくない多くのファンが望むこと、それは魅力的な競馬レースの開催であり、健全な経営です。管理責任者たる知事のお考えをお聞かせください。
 次に、六ヶ所村の原燃再処理工場についてお聞きいたします。
 昨年よりさまざまの疑問や質問の噴出する中、県民の不安をよそに、ことしの3月31日に、六ヶ所村の再処理工場ではアクティブ試験が始められました。それ以来、これまでに、4月11日の溶解槽セル内でのプルトニウム1グラムを含む洗浄水が漏えいした事故を初めとして、つい3日前の被爆事故の報道を含めますと、既に8件の事故が発生しております。
 岩手県市長会は、5月19日、増田知事に対して、国や日本原燃に再処理工場の安全対策を求めるよう、要望書を提出いたしました。その内容は、1、工場の仕組みや安全性について継続的に説明すること。2、沿岸海域にモニタリングポスト等を設置する。3、定期的情報公開を行うの3点です。この中で、特にも、2の海域内における環境モニタリングの設置は、海の安全を監視する上でぜひ必要と思われますが、この点について県としてどのようなお考えでしょうか。
 現在設置されているモニタリングポストは、大気中の放射能汚染を監視するもののみで、海水汚染を監視する装置はなく、海の安全を懸念する岩手県民にとって、現在の状況では不安は払拭できないのです。
 私は、原子力発電に反対するものではありません。資源のない日本にとって、安定した電力供給をするためには、現状では原子力発電に頼らざるを得ないという事情も理解できます。問題は、再処理工場が安全かどうかです。県民のぬぐい切れない不安を本当に取り除いて安心できるのなら、再処理に反対するものではありません。しかしながら、現在のところ、安全とは言い切れない現状です。本格操業が来年8月から予定されている現在、本当に安全・安心という確証を得られることが大切ではないでしょうか。
 首都圏のある女性からこんな声がありました。岩手県民がそんなに一生懸命海を守る運動をしているのでしたら、私たちは岩手の海産物を買います。岩手の海の安全を守る岩手県民の姿勢が評価されてきています。三陸の海の産物は私たち岩手県民の誇りであり、財産です。県民全体で三陸の海の自然を守っていくことが、ひいては人類のためであり、次世代へ自然の恵みを残す、安全・安心の環境を継承していくことであると思います。環境を大切にしなければ人類の未来は暗いでしょう。この点につきまして知事の見解をお伺いいたします。
 次に、医療制度改革についてお伺いいたします。
 去る6月14日の衆議院本会議で、健康保険法等の一部を改正する法律と医療法等の一部を改正する法律からなる医療制度改革関連法が、与党の賛成多数で可決・成立いたしました。
 最初に、健康保険法等の一部を改正する法律関連についてですが、この法律には、医療費適正化の総合的推進、新たな高齢者医療制度の創設、そして都道府県単位を軸とした保険者の再編・統合などさまざまな内容が盛り込まれておりますので、順次質問させていただきます。
 まず、医療費適正化の総合的な推進についてお伺いいたします。医療給付費を抑制し、医療保険制度を持続可能なものとするため、患者の負担増に頼ってきた従来の手法から大きく転換し、生活習慣病予防対策など疾病予防に着目している点は画期的とも言えますが、疾病を自己責任に置きかえているとの批判もあります。また、高齢者を中心とする患者の窓口負担増、長期入院患者の療養病床削減など、高齢化が進む我が県にとって、このたびの改革は影響が大きいものと考えられます。この点について、県はどのように評価しているか、お伺いいたします。
 また、県としても、国と歩調を合わせて2008年度から5年間の医療費適正化のための計画を策定することとなりますが、国全体としては生活習慣病者・予備群を25%減少、平均在院日数については、全国平均36日と、最短の長野県27日の差を半分に縮小すること、これを5年間での政策目標に掲げており、県としても目標達成のための努力が必要になることと思います。これら医療費適正化の計画策定に向けた現在の取り組み状況と、今後の対応予定についてお伺いいたします。
 次に、新たな高齢者医療制度の創設についてお伺いいたします。これは、75歳以上を後期高齢者とし、これについては、年齢的心身の特性や生活実態などを踏まえ、平成20年度に独立した医療制度を創設するというものです。また、65歳から74歳までを前期高齢者とし、この年齢層では退職者が国民健康保険に大量に加入し、保険者間で医療費の負担に不均衡が生じていることから、これを調整する制度を創設することなどを内容としております。特にも、後期高齢者医療制度については、都道府県単位で全市町村が加入する広域連合を設立することとされています。この新しい仕組みが高齢者にどのように影響を及ぼすか、不安を抱えるお年寄りは多いことと思われます。こうした制度への岩手県の現在の取り組み状況及び今後の対応予定についてお伺いいたします。また、前期高齢者の医療費に係る財政調整制度を創設したことは、市町村国保の負担軽減につながるように思われますが、県としてどのように評価しているか、お伺いいたします。
 次に、都道府県単位を軸とした保険者の再編・統合についてお伺いいたします。これは、保険財政運営の適正化、地域の医療水準に見合った保険料水準の設定のため、市町村国民健康保険、政府管掌健康保険、健康保険組合の各保険者について、都道府県単位を軸とした再編・統合を推進する制度です。岩手県として、今後具体的にどのように対応していこうとしているのか、お伺いいたします。
 また、新聞等報道は余りなされておりませんが、今国会においては、良質な医療を提供する体制の確立を図るため、医療法等の一部を改正する法律も成立しております。これは、平成17年12月1日に取りまとめられた医療制度改革大綱に沿って定められたものです。主に国民の医療に対する安心・信頼を確保し、質の高い医療サービスを適切に受けられる体制を構築するために定められたものとされています。患者等への医療について、情報提供の促進や、医療計画制度の見直しを通じた医療機能の分化・連携の推進、また、地域や診療科目によって偏りの生ずる医師不足の問題への対応等の措置を講ずることなどを内容とするものです。特に医師不足については本県は大変深刻であり、地域的な医師不足と、産婦人科あるいは小児科など特定の診療科目に医師が足りないこと、こういったことは重要課題であります。こうした問題への対策はぜひ必要なものと期待いたしますが、その具体的内容、特に医師不足問題への対応の具体的内容はどのようなもので、県としてどのように考え、今後どのように対応していくのか、お伺いいたします。
 いずれ、本県は全国平均より高い率で高齢化が進んでおり、このたびの改革が県財政に与える影響も大きいと思われます。このたびの改正に不安を抱えるお年寄りや、経済的負担のふえる家族の心配の声があります。医療面での安全・安心を確保できるよう、しっかりとした対策をとることを願います。
 最後に、情報通信インフラの整備促進についてお聞きいたします。
 近ごろ、ますます岩手県内の情報インフラ整備がおくれていると実感することが多くなり、岩手県の将来を考え、危惧するところであります。最近は工業団地の光ファイバー敷設に対する要望の声が多く聞かれるようになっています。例えば盛岡の工業団地は3カ所あります。渋民の盛岡工業団地、川目の盛岡中央工業団地、手代森の都南工業団地、いずれも光通信のケーブルが敷設されていない状況です。企業の場合、大量に情報を送受信する必要がありますが、ADSLでは距離にも制限を受けますし、時間もかかり、仕事になりません。地理的・時間的ハンディを克服し、中央との格差なく企業間競争をしていくためには、テレビ会議などができ、CADなどの画像を送受信できる光がなければ、中央の企業との格差は広がるばかりです。地方には人件費と地代の安さのメリットがあり、これを生かすためには、地理的・空間的制約を克服できる光ファイバーがぜひ、それも早急に必要です。既に操業を始めている企業はもとより、これから入居を考えている企業からのこうした声に、行政としてぜひ力強い応援をお願いしたいものです。光通信は企業にとって、水やガス、電気と同じく必須の整備となっており、中央とのこうした格差は、せっかく入居している企業の中にも撤退を考える企業も出てきている状況であります。地方に立地したメリットを最大限生かせるよう、積極的に対応してくださるようお願いいたします。ぜひ、前向きの御答弁をお願いいたします。
 今後、自立した地域社会を実現するために、情報通信インフラ、光ファイバーは必要不可欠のものであります。国のIT戦略本部がことしの1月19日にIT新改革戦略を策定したところでありますが、その中で、時間と距離を超越することで地理的・空間的制約を克服できるITの持つポテンシャルは極めて大きい。そのポテンシャルの大きさゆえに、ITは既存の社会の構造を改革していくてことなる可能性を秘めていると述べています。そして、特にインフラの整備については、2010年度までには光ファイバー等の整備を推進し、ブロードバンドゼロ地域を解消するという目標を掲げています。本県ではことし3月にブロードバンドゼロ市町村が解消されたとはいうものの、点での解消であって面ではなく、現実にはADSLすら使えない地域も多く残っている状況であります。通信事業者がなかなか投資しにくい地域を多く抱える岩手県ですから、2010年度までにブロードバンドゼロ地域を解消するためには、市町村も積極的に対応する必要がありますし、その動きを県がバックアップする必要があります。農林水産業などの振興のため、医療や福祉なども含めた各産業の振興のため、こうした整備は必要であります。殊に医療面では、県立病院でのDPC導入に当たり参入する病院もふえてくると予想されます。また、このたびの診療報酬改定を見ても、これからはDPCに参入しなければ財政上生き残れないという厳しい状況になることは必至です。DPC参入に電子カルテ導入は必至ですから、地域医療を守るためにも整備が望まれるところです。こうした地域間競争に負けない魅力ある地域を実現するために必須の情報インフラ、殊に光ファイバーの敷設に向けてどのように取り組もうとされているか伺います。
 情報通信インフラ整備について、最後に地上デジタル放送について伺います。
 岩手県では昨年12月から一部地上デジタル放送が開始され、2011年7月をもって現在のアナログ放送が地上デジタル放送に移行します。しかし、県内市町村ではアナログ放送のテレビ電波を良好に受信できない地域が多いことから、地域住民が共同受信組合を設置するなど、長年にわたりテレビ難視聴地域の解消に取り組んできており、地上デジタル放送への移行に伴い、こうした共同受信施設の改修のため多額の費用が必要と見込まれます。費用が賄えない場合、新たな難視聴地域が発生することが懸念され、地域住民や市町村は大きな不安を抱えています。地上デジタル放送は、もとより国策として進められているものですが、県として、こうした地域のテレビ共同受信施設の改修問題をどのようにとらえ、どう対応しようとされているのでしょうか。
 以上、県内課題についてお伺いいたしました。よい御回答をいただけるものと期待して、私の一般質問を終わります。なお、御答弁によっては再質問をさせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 平野ユキ子議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、教育基本法の改正についてのお尋ねでございますが、我が国のこれまでの教育は、教育基本法のもとで、教育の機会均等や教育水準の向上などを実現したところでございます。現行の教育基本法は昭和22年に制定され、約60年が経過したわけでありますが、この間、倫理観、使命感の希薄化による規範意識・道徳心・自律心の低下、さらには家庭や地域の教育力の低下など、教育をめぐる社会環境が大きく変化して、多くの課題を抱えていると考えております。このような背景を踏まえて教育基本法の改正が検討され、政府案や対案について、今、国政での議論が始まっているという段階であるわけでありますが、今後、各政党で、全国各地で教育基本法の改正案をテーマに集会を開催する予定と聞いておりまして、このような機会を通じて、より国民及び県民の関心が高まるように期待しております。法の改正に当たりましては、現行法の普遍的な理念を大事にしながら、今日的な課題も十分に踏まえて、幅広い視点から議論されることが必要であると考えております。
 次に、国を愛する心についてのお尋ねでございます。私は、我が国や郷土の伝統、文化、歴史などについて理解を深め、尊重し、それらをはぐくんできた我が国や郷土を愛する心や、その発展に寄与しようとする態度は、国家・社会の形成者として必要な資質でありまして、これからの社会を生きていく上でも大切なものである、このように考えております。また、今日、グローバル化が急速に進展して、外国が身近な存在となっていくという状況の中で、他の国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度も、これからの社会ではますます重要になってくるもの、このように考えます。
 そこで、国家・社会の形成者として、さらには国際社会の一員として、異なる文化や歴史を持つ人々と共生し、その中で責任ある行動がとれる日本人となるように、国家・社会の発展に大きな働きをした先人の業績やすぐれた文化遺産などについて学び、理解するとともに、これらを尊重し、日本に対して誇りを持っていくことが、国や郷土を愛する心をはぐくむことにつながるもの、このように考えておりますので、学校教育の場におきましては、このような心情をはぐくむことに意を注いでいただきたいと考えます。
 次に、中心市街地の活性化についてでありますが、まちづくり三法制定後の本県におきます中小小売業は、商店数で減少してございますし、従業者数、年間販売額も大幅な落ち込みを見せている状況にございます。また、平成15年に岩手県の商店街実態調査というものを行いましたが、それによりますと、3年前と比較した景況感に関して調査をした商店街の97.6%、ほぼすべてが停滞・衰退という回答でございました。厳しい状況、このように認識をしております。原因として、大型店や量販店などの新規業態・競合企業の参入などのほか、景気も低迷してございます。それが長引いておりますし、消費者心理や消費行動の多様化などさまざまな要因が複合的にかかっている、このように考えます。これまで、中小小売業者の支援として、アーケードなどの商業基盤施設の整備や個店販売力の強化支援など、さまざまな支援を行ってまいりましたが、今回、まちづくり三法の見直しの中で、商業振興という観点のみならず総合的なまちづくりの視点に立った取り組み、この必要性が示されました。今後は、この地域とのつながりといった商店街の強みを生かしながら、商業者と生活者が連携したまちづくりを進めることによりまして、中心市街地の活性化を図ることが求められますので、そのようなまちづくりの視点を持ち、かつ主体的に取り組む事業者に対して、地元市町村と連携しながら支援を行ってまいりたいと考えております。
 次に、岩手競馬の関係であります。
 まず、馬事文化についての所見でございますが、岩手競馬は、これまで、財政を通じての行政各分野への貢献のほか、健全な娯楽の提供、雇用の場の提供や地域経済への貢献、さらには岩手ならではの馬事文化や馬事振興にも重要な役割を果たしてまいりました。特に馬事文化につきましては、岩手には、横浜、東京に次いで日本で3番目となる洋式競馬の歴史など、古くから人と馬との強いかかわり合いがございまして、各地の祭事や競馬の開催などを通じて連綿と今に伝えられているものでございます。このようなことから、競馬を含めた岩手の馬事文化は岩手にとっても大切なものであると考えておりまして、私は、このような歴史と伝統を有する岩手競馬をしっかりと後世に引き継いでいきたい、このように考えております。
 組合の内部体制についてでありますが、長年、組合に対しては県の退職者が常勤の副管理者を務める執行体制となってまいりました。競馬組合の再生に向けて、やはり民間企業の経営感覚や経験を取り入れることが必要と考えまして、副管理者に民間出身者を起用するとともに、県の現職幹部を競馬組合の事務局長に派遣するなど、組合職員の意識改革に取り組んできたところであります。こうした体制の強化に加えて、構成団体である県及び盛岡市から職員を派遣して、外部からの人材投入ということによりまして、経営改革推進のための内部体制の整備を図ってまいりました。再生に向けた取り組みはいまだ道半ばであるわけでありますが、引き続き組合職員の意識改革にも努めまして、組合の役職員が一丸となって再建に取り組めるような組織を構築していく考えであります。
 また、議員の方から目的別チームの設置について御提案がございました。財務内容を改善して債務を返済する、その部分のスキームと、魅力ある競馬事業を展開するスキームというものは、競馬組合の経営改善を推進するためのそれぞれ重要なテーマと認識しております。このため、現在、競馬組合で、民間企業の経験なども生かしながらコスト削減を進めるチームがございます。それともう一つ、競馬組合で長年競馬事業に携わってきた豊富な経験を生かして、これからの岩手競馬の方向性も見据えながら営業拡大を図るチーム、この二つのチームを設置して、これを車の両輪と位置づけて、経営改善に向けた検討を進めているところでありまして、ここでの検討成果を計画の見直しに反映させて、再建に努めてまいりたいと考えております。
 また、競馬に対してファンの希望が多く寄せられております。ファンの皆さんからは、経営の健全化のほか、魅力的なレースの開催やインターネット発売に対応した情報の充実など、多くの御意見が寄せられております。組合として、各地方競馬主催者と共同したダービーWeekの実施や、地方競馬有名騎手の招聘騎乗などレースの魅力の向上、インターネット発売委託者への岩手競馬情報の充実要請、有名馬主のトークショーの開催など、競馬ファンの皆様からの御意見を踏まえた改善に、今、努めているところでありますが、やはり再生のためには、ファンの皆様、そして県民の方々の御理解と御協力が不可欠と考えておりますので、今後も、愛馬の会などからの提言も含めまして、ファンの皆様から寄せられた御意見を真摯に受けとめて、魅力ある岩手競馬の実現に努めていく考えであります。
 六ヶ所村の原燃再処理工場についてのお尋ねがございましたが、今、アクティブ試験が開始されておりますが、この現段階において、今なされるべきことは、次の2点に集約されると考えております。すなわち、第1点目は、原子力政策について一元的な責任と役割を担っている国と、事業者としての責任を有する日本原燃におきまして、施設の安全確保について万全を期すとともに、安全性についての十分な説明責任を果たすということ。2点目は、海洋環境の安全性について、科学的な調査データをもとに立証して国民の不安を取り除くこと。この二つが確実に行われることによりまして、三陸の海の安全性の確認と県民の安心につながるもの、このように考えております。良好な水質を維持して、我が国有数の漁場であり、海洋生物の宝庫でもある三陸の海を将来にわたって維持していきたいという県民の思い、これは私ももちろん同様でございますので、県として、国と事業者に対して今後とも強く働きかけてまいりたい、このように考えております。
 その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔商工労働観光部長阿部健君登壇〕
〇商工労働観光部長(阿部健君) 岩手県中心市街地活性化懇談会の状況概要と方向性についてでありますが、この懇談会は、まちづくり三法の抜本的改正や本県中心市街地の衰退傾向などの動きを踏まえ、各界有識者の方々に中心市街地活性化に関する諸課題や今後の施策のあり方などを懇談していただき、県の施策の方向性について提言をいただくことを目的に設置したものであります。懇談会の具体的議論の内容は、まちづくり三法への対応のあり方や中心市街地活性化に関する具体的な施策の方向性、また、関係主体の役割などについてであり、既に第1回目を開催しておりますが、今後5回ほどの開催を予定し、年末までに中間提言、また年度末に最終提言をいただく予定としており、懇談会の提言等につきましては、可能なものから早期に施策に結びつけてまいりたい、このように考えておるところでございます。
 次に、改正中心市街地活性化法の支援方向に対する認識と対応についてでありますが、今回の改正法では、市町村が作成する中心市街地活性化基本計画について、国の認定制度を創設し、総合的なまちづくりに意欲的に取り組む市町村を、選択と集中により重点的に支援することとしております。この支援の方向性は、施策の有効性を確保する意味から、意欲と体制、高い熟度の計画を持つ主体に国の支援を行うものであり、一定の効果を着実に上げるねらいがあるものと認識しております。県といたしましても、意欲的な主体が法制度を活用しながら、モデルとなる取り組みを生み出していくことは、県内他地域の意欲の向上につながるものと考えており、国の認定を得ようとする市町村に対して情報の提供や助言を行うなど、支援に努めてまいりたいと考えております。
 次に、大規模集客施設の適正立地誘導についてであります。改正都市計画法においては、一定規模の大規模集客施設の郊外立地を抑制することとしておりますが、これに加えまして、独自の制度対応を行う動きが、福島県を初めとして一部自治体で見られるところであります。本県としても、今後の改正都市計画法の運用内容や他自治体の動きなども踏まえまして、本年度設置いたしました有識者による中心市街地活性化懇談会で、本県独自の大規模集客施設の立地誘導制度に関し、その必要性の有無も含めて議論していただく予定としており、必要な場合は何らかの制度的対応も検討してまいりたいと考えております。
 また、まちづくりへの行政の参画についてでありますが、今後のまちづくりにおきましては多様な主体の参画が必要であり、特にも地域ビジョンを持つ市町村の参画・関与は重要であることから、県といたしましても、このような市町村と地域が一体となりました取り組みに対して積極的に支援してまいりたい、このように考えておるところでございます。
   〔農林水産部長高前田寿幸君登壇〕
〇農林水産部長(高前田寿幸君) 岩手競馬の改訂実行計画の見直しについてでございますが、平成18年2月定例会予算特別委員会におきまして、18年度当初予算案について、平成18年度第1・四半期をめどに新たな計画を策定するよう意見が付されたことを踏まえまして、競馬組合は、18年度の計画で予定されているコスト削減に加えまして、本年3月からさらなるコスト削減のための作業に着手し、これを6月中に取りまとめ、可能なものから直ちに実現を図ることとしておりますほか、今年度導入いたしましたインターネット発売や三連勝式かけ式、広域場間場外発売の動向なども含めた第1・四半期の発売実績を踏まえた売上高の設定など、より一層実現可能性を高めた計画となるよう、現在、鋭意見直し作業を進めているところでございまして、競馬組合議会にお諮りしながら、できる限り早急に、その内容を明らかにすべく取り組んでいるものと承知いたしております。
   〔環境生活部長菊池秀一君登壇〕
〇環境生活部長(菊池秀一君) 六ヶ所村の原燃再処理工場に係りますモニタリング調査についてでありますけれども、現在、海洋環境の安全性を確認する方法として、さまざまなモニタリング調査が行われております。具体的には、原子力安全委員会の指針に基づきまして、工場周辺の住民への影響を確認するために、まず事業者が工場付近の海域を、青森県がその周辺部であります三沢沖の海域までを対象として行っております。また、文部科学省が主要な漁場の安全を確認するため、六ヶ所村の沖合を中心に、八戸沖までを対象に海洋環境調査を行っております。本県といたしましても、文部科学省の委託を受けまして、環境放射能調査を行っておりまして、洋野町沖を対象に平成15年度から海水を、今年度からは海底土と昆布を加えて調査することとしております。
 こうした中で、海洋環境の安全性をさらに確認することは重要でありますことから、文部科学省の海洋環境調査の岩手県沖までの拡大について先般要望してきたところでございまして、今後とも働きかけてまいりたいと考えております。
   〔保健福祉部長赤羽卓朗君登壇〕
〇保健福祉部長(赤羽卓朗君) 健康保険法の改正に関連しまして3点お尋ねをいただいておりますが、まず第一に、医療費適正化の関連でございますが、今般の医療制度改革におきまして、高齢者の自己負担増や療養病床の転換などがなされておりますが、これは先ほど議員御指摘ありましたように、急速な少子・高齢化による人口減少など環境が大きく変化する中においても、保険医療制度を維持していく観点から行われるものと認識しております。ただし、現実には、高齢者にとっての影響は大きいものと考えておりまして、こうした中で、低所得者の医療費自己負担限度額については、当面、これまでどおり据え置かれるということとされておりまして、県としては、低所得者への配慮が確実に行われるよう、市町村を支援してまいりたいと考えております。
 また、療養病床の転換に当たりましては、医療や介護が必要な高齢者が必要なサービスを受けられるよう、関係者の御意見を伺いながら対応してまいりたいと考えております。
 医療費適正化計画に係る取組状況と今後の対応についてでございますが、この計画につきましては、平成19年度末までの策定を目指しておりまして、現在あらあらのスケジュールを策定し、準備を進めているところでございます。先月の24日に開催した県医療審議会においては、こうしたスケジュール等の概要を御説明し、御了解をいただいているところでございます。
 今年度におきましては、医療機能調査等により基礎的データを収集する予定としておりまして、こうしたデータをもとに、保健・医療・介護の各計画との整合性を図りながら、具体的な目標設定を含め、医療費適正化計画の策定を初めとする医療制度改革に取り組んでまいりたいと考えております。
 2点目の高齢者医療制度についてでございますが、平成20年4月から新たな高齢者医療制度が始まるわけでございますが、今年度末日までに、新制度の保険者となる広域連合を設立する必要がございます。これまでのところ、市長会、町村会、それから県が連携しましてワーキンググループを設置していろいろな取り組みを進めております。準備作業はおおむね順調に推移しており、現在は広域連合の設立準備委員会の立ち上げに向けた具体的な検討を行っており、本年9月ころをめどに立ち上げが予定されているところでございます。その後、12月に市町村議会での広域連合規約案の議決、それから1月に県知事への設立認可申請など、広域連合設立に向けた業務が予定されております。県としては、これらが円滑に進められるよう、積極的に支援してまいりたいと考えております。
 それから、前期高齢者医療に係る財政調整制度への評価でございますが、市町村国保では、一般に退職者の多くが国保に加入するといった事情もございまして、高齢者の割合が高く、1人当たりの医療費が高い、小規模保険者が多いなどの実態にあるところでございます。そのため、高齢者の医療に関し、市町村国保の財政的な負担が大きな課題となってきたところでございます。今般、前期高齢者医療に係る財政調整の仕組みが創設されたことによりまして、今後は高齢者加入率の高い市町村国保にとりまして、医療費の負担が軽減されることとなりますので、財政基盤の安定化につながるものというふうに評価してございます。
 次に、3点目の保険者の再編・統合についてでございますが、国は都道府県単位を軸とする保険者の再編・統合を進めることとしております。
 県に特にかかわりのございます市町村国民健康保険の再編・統合についてでございますが、小規模保険者が多数存在するということもあり、まず保険財政基盤の強化を図ることとされておりまして、都道府県単位での保険料の平準化や財政の安定化を促進するため、新たに市町村国保の共同拠出による保険財政安定化のための事業が制度化されたところでございます。
 具体的には、これまで1件70万円以上の高額医療費の給付について市町村が国保連に拠出し、財源を共同でプールして支払ってきたところでございますが、今回の制度改正により、1件30万円以上の医療費の給付についても同様に共同化され、その範囲が拡充されたところでございます。県としては、新しい制度の円滑な導入に向け、市町村に対し適切な支援を行っていくとともに、保険者の再編・統合について国の動向を注視しながら、状況の把握に努めていきたいと考えております。
 次に、医療法の改正と医師不足問題についてでございますが、今般の法改正において、地域や診療科による医師不足問題に対応して、地域医療確保のための医療関係者による協議組織として、各都道府県に医療対策協議会を設置すること、それから、医療従事者の地域医療確保への協力の位置づけなどを改正法で定めているところでございます。こうした対応は、地域の実情に応じて、実効性のある対策を協議するために必要なものであり、県として一定の評価をしているところでございます。
 この運営の詳細につきましては、今後政省令を待つ必要があるところでございますが、本県におきましては、これまで医師確保対策アクションプランの策定などを行ってまいりました地域医療対策協議会が既に設置されているところでございまして、この協議会がさらなる実効ある医師確保対策につながるよう、関係機関の参加、協力を得て対応してまいりたいと考えております。
 なお、国に対しましては、今般の法改正に加え、医学部入学定員の拡大や自治医科大学の入学定員の拡大などの医師確保対策について具体化するよう、引き続き働きかけてまいりたいと考えております。
 いずれにいたしましても、今後、来年度までに新たな医療計画策定に向けた取り組みを進めていくことになりますが、今回の改革の理念の一つであります安全・安心の医療を目指し、関係者の御協力をいただきながら取り組みを進めてまいりたいと考えております。
   〔地域振興部長藤尾善一君登壇〕
〇地域振興部長(藤尾善一君) 情報通信インフラの整備促進に関するお尋ねにお答えします。
 まず、工業団地への光ファイバーの敷設についてでありますが、画像などのデータを送受信できる情報通信インフラの環境は、企業活動において今や必要不可欠なものと認識いたしております。現在、議員がお尋ねの盛岡の3カ所を含めた県内41カ所の工業団地について、光ファイバーによる通信サービスの可否を通信事業者を通じて調査したところ、いずれの地区についても、光ファイバーによる専用線サービスが可能であることを確認いたしております。しかしながら、専用線サービスの使用料は企業にとって大きな負担であると思われますことから、専用線の共同利用など企業の要望を踏まえまして、県が仲介の労をとり、企業側の利用ニーズと通信事業者のサービス内容とを調整する場を設定するなど、企業の高度情報通信網の利用しやすい環境の整備に向け、積極的に取り組んでまいります。
 次に、情報通信インフラ、殊に光ファイバーの敷設に向けてについてでありますが、県では17年度末現在で、議員御案内のとおり、ブロードバンド・ゼロ市町村の解消が図られるなど、インフラの整備において一定の成果を上げてきているところであります。しかし、本県は地形上多くの条件不利地域を抱えておりまして、採算性の課題から、民間通信事業者主導の整備が遅々として進まず、地域間における情報格差の拡大が懸念されておるところでございます。このため、県内では、市町村独自に光ファイバー網を整備している事例も見られますが、非常に大きな財政負担も伴うものでありまして、県としては、原則として民間通信事業者主導による整備を、通信事業者に働きかけてまいりたいと考えております。また、民間のそういった投資を促進するという観点から、県として、現在、県内のブロードバンド化に係る地域のニーズだとか課題等を分析整理し、官民の役割分担や対応策、あるいは手段、そういったものの明確化を図るため、現在、岩手県ブロードバンドネットワーク整備推進に係る調査を実施中でございます。
 今後、この調査結果をもとにいたしまして、地域の将来の人口予測や発展動向、それから放送と通信の融合など、昨今著しい進展を見せる情報通信技術の動向などを見きわめながら、光ファイバーの敷設を含め、効率的で効果的な情報通信インフラの整備促進に鋭意努めてまいりたいと考えております。
 次に、地上デジタル放送、殊にテレビ共同受信施設の改修問題についてですが、本県では、地形によるテレビ難視聴地域を多く抱え、昭和40年代半ばから、県としても、これは県の予算ベースで補助金26億7、500万円余を投じて、市町村並びに地域住民と共同で、そういった地域の解消に取り組んできたところでございまして、現在、700カ所がいわゆる地形難視聴解消型のテレビ共同受信施設として存在いたしております。
 地上デジタル放送への移行に当たりましては、テレビ中継局の電波によって視聴エリアが確保されるということが望ましいのでありますが、電波が届かない地域では、こうした共同受信施設の改修が不可避でございます。このため、県といたしましては、現在、県内放送事業者、市町村等関係機関と共同で、これら共同受信施設の実態調査を実施いたしておりまして、その結果が7月以降出ますので、それを県内市町村に提供し、地域ごとに必要な対策を検討することといたしております。
 また、この地上デジタル放送への円滑な移行につきましては、そもそも議員御指摘のとおり国策として進められておりますので、第一義的には国の責務であります。加えて、放送事業者におきましても、相応の責務があると考えておりますことから、全国知事会や県の提案活動などあらゆる機会を活用いたしまして、国等に対して、共同受信施設の改修に係る財政支援制度とか、地域における総合的な情報化計画策定に係る人的支援制度の創設など、適切な対応を強く求めてきたところでございますが、引き続き働きかけてまいりたいと考えております。
   〔教育長照井崇君登壇〕
〇教育長(照井崇君) 国を愛する心についてですが、学習指導要領の社会科の目標である我が国の国土と歴史に対する理解と愛情を育てるということは、今日の国民生活が国家・社会の発展に貢献した先人によりつくり出された歴史や伝統の上に成り立ったものであり、このような歴史や伝統を大切にし、国を愛する心情や将来に向けた民主的で平和的な国家・社会の進展に努めようとする態度をはぐくむことをねらいとしたものです。
 この目標の評価については、国を愛する心を持っているかどうかという子供たちの心の内を評価するものではありません。この評価は、我が国の歴史や伝統などの具体的な学習内容について進んで調べたり、学んだことを生活に生かそうとしたりする関心や意欲、態度を総合的に評価しようとするものであり、各学校に対してはその趣旨の徹底を図っているところでございます。
〇17番(平野ユキ子君) 何点か再質問をさせていただきたいと思います。
 ただいま、競馬につきましてですが、増田知事の方より、岩手競馬を後世にしっかりと引き継いでいきたいという心強い御答弁をいただきまして、競馬、継続していくのかなと思って安心しているところですが、中には、今にも競馬は廃止になるそうだというようなうわさが立っていたりしたものですから、競馬につきましては、私、文化の振興という点から競馬の存続を訴えたところですが、存続していくに当たって、今までどおりではただ繰り返し、税金のむだ遣いになってはいけないと思います。ですから、そこのところをしっかりと刷新するつもりで取り組んでいただければということをお願い申し上げます。これ、コメントがございましたらどうぞお願いします。
 原燃の再処理工場の件なんですけれども、先ほど岩手県沖の海域モニタリングを要請しているけれども、これからも要請していくといったような環境生活部長のお答えがございましたけれども、実は先ほど本質問の中でも申し上げましたけれども、8件目の事故というのはつい3日前に──本当は起きたのはその前だと思うんですけれども、3日前に報道になっているんですね。これはその1カ月前に、やはり被爆事故が起きた、続けて、1カ月たって、そこで厳重注意したにもかかわらず、また起きたというものです。
 本質問の中でも言いましたけれども、アクティブ試験が始まってからは、実はあわせて8件の事故が起きているんですね。6件までは物理的な事故といいますか、漏えい事故だとかちょっと機械が故障したとか、そんなような事故でしたけれども、5月の7件目の事故は被爆事故だったわけです。初めて人身事故が起きたわけですね。そこで厳重注意があったにもかかわらず、1カ月もたつかたたないかのうちにまた2件目が起きたということで、実は三村知事が原燃の兒島社長に対して、謝罪に来たときに、従業員の安全を守れないということは県民の安全を守れないということにつながりかねないと、原燃の兒島社長に激しい怒りをあらわにしたという、そういう報道があるんです。ですから、この際、岩手県でも、岩手県沖のモニタリングの要請ということを──私たち岩手県でもこの原燃の安全ということに非常に危険を感じているわけですから、安全安全と言いながらこのように事故が続くということで、この事故を機会にぜひ早急に要請して──要請といいますかお願いしていただきたいんですが、いかがでしょうか。これは国の責任でやるべきモニタリングだと思います。ですから、そこのところもあわせてぜひ要請していただければと思いますが、要請するのは知事の方がいいんでしょうか。増田知事よりお答えお願いいたします。
 中心市街地の活性化について再質問をさせていただきます。
 国でも、地方が空洞化することに危機感を持ってこのまちづくり三法を改正したわけなんですが、経済産業省の中心市街地活性化支援措置のほかに、国土交通省でも、中心市街地再生のための振興方策としての支援があるということで、国でも省庁を横断して格差をなくすための支援を行おうとしているところですので、ぜひ県としても、民間の活性化の熟度の高いところに、選択と集中ということで応援していただければと思います。
 それから2点目は、福島県の条例、先ほど出しましたんですけれども、実は商店街でちょっと一つ問題が起きておりまして、大型店もそうなんですけれども、大型店だけではなくて、店は小さくてもチェーン店などが中央から来ますよね。例えば盛岡の大通りなどには飲食店のチェーン店があるわけです。チェーン店が入ってきたときに実は地元の商店街に加盟しない、あるいは町内会費を払わないとかといったような状況が出現しておりまして、地元とのトラブルやら摩擦が起きている状況なんです。こういったことを──世田谷の烏山というところで条例をつくっておりまして、地域商店街への加入を義務付ける条例なんですけれども、やはりぜひ地元と──来るのはいいんですけれども、地元との密着した地域、一緒に一体化していくというような状況が必要だと思います。商店街がせっかく一生懸命頑張っていても、商店街の組合に入らなければ商店街そのものが弱体化しますし、一体化できないという状況ですので、こういったことに──市町村の問題ではありますけれども、市町村に任せることなく、県として指導を、もっと誘導を図っていただきたいんです。というのは、郊外にどんどん発展していくのに、市町村境に出店するということも考えられますし、市町村がばらばらでは困るわけです。ですから、県が主導をとった形でこういった条例をつくるということについて、ぜひ県の方で支援していただきたいと思いますが、積極的な応援といいますか、支援をぜひお願いしたいと思います。これについてどうお考えでしょうか。
〇知事(増田寛也君) 今、私の方に2点御質問がございまして、一つは競馬組合でありますが、いろいろ議員の皆様方からも御心配いただいておりますが、今、改訂実行計画の見直しの作業を鋭意進めておりますので、そこでしっかりと見直すべきものは見直しをして、そして競馬継続に向けて努力をしていきたいと考えております。
 2点目の原燃の関係でありますが、これにつきましては、また県の方からきちんと国に対して安全性につきまして申し入れを行っていきたいと、このように考えています。
〇商工労働観光部長(阿部健君) 2点御質問をいただきました。
 最初の熟度の高いところのいわゆる支援、選択と集中のところの支援のところでございます。ここにつきましては、今新しい、これから今後施行されるわけでございますが、その法律の中で中心市街地活性化に向けての国の認定がございますので、こういったところにポテンシャルの高いところは進んでいくべきであろうと。これに対しまして、各地でいろんな動きは既にありますけれども、本県といたしましてもそういったところに対しまして──これは申請者が市町村になりますが、県としても助言、情報の提供、それをやりながら一緒に進むようにやっていきたいというふうに思います。
 それから、いわゆるチェーン店の関係の商店街への加盟、そういった中で世田谷の加入の条例のお話がございました。これにつきましては、直接この条例の中身は承知しておりませんが、中身を調べまして、またこれにつきましては、やはり県内の地元のいろんな商店街とかそこのお話をきちんと伺わなければならないと思いますので、私どもの方で大体主な商店街がございますので、そことお話し合いをさせていただいて、実態をつかみながら対応してまいりたいというふうに考えております。
〇17番(平野ユキ子君) 非常に前向きな御答弁をいただき、ありがとうございました。ぜひそのように取り組んでいただきたいと思います。ありがとうございます。

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